07/02/23 次期治験活性化計画策定に係る検討会第8回議事録 第8回 次期治験活性化計画策定に係る検討会 日時 平成19年2月23日(金) 16:00〜 場所 厚生労働省7階専用第15会議室 ○楠岡座長 ただいまから、第8回「次期治験活性化計画策定に係る検討会」を開催い たします。中島構成員が少し遅れているようですけれども、定刻を過ぎておりますので 始めさせていただきます。本日はお足元の悪いところ、またご多忙のところをお集まり いただきましてありがとうございます。事務局より、本日の出席の確認をお願いいたし ます。 ○研究開発振興課課長補佐(佐藤) 資料2「次期治験活性化計画策定に係る検討会構 成員名簿」をご覧ください。本日は、竹内構成員より欠席の連絡をいただいております。 事務局側は、厚生労働省、文科省の各関係課より出席をさせていただいております。た だいま、座長よりご紹介いただきましたように、中島構成員は本日ご出席の予定と伺っ ておりますので、遅れて到着することと思います。 ○楠岡座長 引き続き、事務局より配付資料の確認と説明をお願いいたします。 ○研究開発振興課課長補佐 配付資料について確認させていただきます。初めに議事次 第、座席表、資料1から資料6まであります。それに引き続いて資料番号はありません が、竹内正弘構成員の提出資料があります。その後に参考資料1から参考資料3までが 本日の配付資料です。  なお、前回第7回の議事録については、メールにて最終確認をお願いいたしましたが、 参考資料7−7として配付し、各回共通の紙ファイルに綴じております。本日は最終回 ですので、各回共通ファイルについてはお持ち帰りいただいて結構です。また、参考資 料集は、傍聴の皆様には配付しておりませんけれども、厚生労働省のWebサイトでご覧 いただけます。 ○楠岡座長 早速議事に入ります。本日は、「新たな治験活性化5カ年計画(案)」に関 する討論を議題として予定しております。まず、パブリックコメントで寄せられた意見 と、前回から修正・加筆された点や、今回の検討事項について事務局から説明をお願い いたします。 ○研究開発振興課課長補佐 資料3は、パブリックコメントとして、1月9日から1カ 月間に寄せられたご意見をまとめたものです。資料4は、パブリックコメント等で意見 を反映させていただいたもの、また前回から今回までの間に修正等を行ったものを見え 消しで作ったものです。委員の皆様方には、反映版という資料4として別刷りのものが ありますが、反映版ではない、見え消し版のほうをご覧ください。資料4に基づき、前 回の案から見て変更された点等について事務局から簡単にご説明させていただきます。  資料4の3頁に「I.はじめに」というところに治験活性化計画の経緯があります。 ここについては、全体的に医薬品についての記載が多いですけれども、医療機器につい ても治験活性化の体制整備は重要ですので、「医療機器」という部分を明示すべきという ご意見をいただきましたので、改めてここには「医療機器についても」ということを書 いております。以降5頁、その他後半の部分に至って、医薬品と医療機器を併記する記 載をご指摘いただいた限りにおいて加えております。それは、個別にはご説明いたしま せんけれども、ご確認いただければと思います。  誤字と訂正の部分はさておきまして、9頁以降の「中核病院に期待される体制・機能」 という表の部分について多少の変更をしております。特に9頁の表ですが、語尾の部分 について少し明確化したほうがいいというご意見がありましたのでこのように直してお ります。9頁の下の患者対応の部分の「患者紹介システムを活用することにより」とい うことで、この中核・拠点において、いかに効率的に被験者に参加していただけるよう にしていくかという観点で、この紹介システムだけではなく、被験者のデータベース等 をより活用するという方向を出したほうがいいのではないかというご意見もあり、ここ はそのように直しております。  10頁については、この計画の中の、例えば右上のほうの「患者や治験依頼者向けに院 内の情報の公開をする」という部分について、「定期的に」ということで頻度を記載して おります。  次に、EDCや英語の症例報告書にも対応できるようにするということで、国際共同 治験等を踏まえた形で、その機能を書いたほうがいいのではないかということで、ここ に明記しております。その他注釈等を多少工夫させていただきました。  11頁以降の「拠点医療機関に期待される体制・機能」という部分も、先ほどの中核と 同じような形での修正を行っております。  次は15頁の(4)の「生物統計家の課題」です。ここにおいては、生物統計家の関与 する治験・臨床研究を「企画する段階から」という、関与するステージについて明記し ております。医療機関において、臨床研究に生物統計家が関与できるようにというとこ ろで、必ずしも生物統計家の雇用だけを前提としたものではないだろうというご意見も ありましたので、ここはこのような言い方に変更いたしました。  17頁の「国民の普及啓発」のところの(3)「患者が治験・臨床研究に参加できるこ とによる負担の軽減及び動機」と書いてあります。ここは、もともとインセンティブの 向上という書き方をしておりましたが、治験・臨床研究に参加する場合に、必ずしもそ ういった金銭的なインセンティブを期待して参加するものではなくて、むしろ負担軽減 といった部分を書くべきだというご意見もありましたので、この下のほうにあるように 「患者が治験・臨床研究に参加できることで生じる負担を少しでも軽減できるよう」と いう形に変更しております。  19頁の「医療機関の治験契約に係る窓口機能の一層の強化と効率化の課題」について は、書式等の電子化という部分が読みにくいというご指摘があり、(4)ということで、電 子化の項目を明記しております。  20頁は前回もご議論がありましたけれども、いわゆるオーバークオリティの部分につ いては、製薬企業だけのオーバークオリティというものだけではないだろうということ です。これは、パブリックコメントのご意見ですけれども、「調査における『オーバーク オリティ』」という部分、製薬企業のみならず「医療機器企業」におけるという部分を追 加しております。  22頁以降が、5カ年計画のアクションプラン等に属するものです。最初の1「治験・ 臨床研究の活性化が目指すもの」の(2)の下のほうに「評価指標の例」があります。 ここで評価指標する場合に治験依頼者が医療機関を訪問する回数みたいなところは「契 約までに」という起点を明確にしたという部分があります。  2「重点的取組事項」の中で、(1)中核・拠点病院の体制整備の部分ですが、ここは 前回の検討会では中核・拠点病院、あとは文部科学省の橋渡し支援推進プログラムにつ いては数字が入っておりませんでしたけれども、現在のバージョンは予算の内示をいた だきましたのでこの数字が入った格好になっております。  23頁に移って、中核・拠点医療機関・橋渡し研究拠点としての役割を持ったものにつ いては、平成19年度以降開始という部分です。共通のネットワークをつくる、いわゆる 協議会組織のようなものをつくり、相互に連携をして取り組むのだという部分がこの計 画の中では弱いのではないかというご指摘もあり、赤字で書いてあるような追加を行い ました。  これは、厚生労働省の国立高度専門医療センターの部分ですけれども、そういう部分 も機能を果たせるような形で、医療政策の一環として整備・強化を図るという部分を追 加しております。  (2)治験・臨床研究を実施する人材の育成と確保の部分では、特に研究費の部分に ついて、前回までのドラフトではわかりにくい部分がありましたので、記載を少し整理 して、特に臨床研究・治験の普及のための厚生労働科学研究費の取扱い、また公的研究 費で行われる研究費の採択に当たっての生物統計家の参画の考慮という部分を明記して おります。  この下の「平成23年度までに実施」という部分で、CRCの配置の目標になる数字、 ここは前回山本晴子構成員と榎本構成員からご指摘をいただき、治験責任医師1名当た り0.5人以上という部分だけではなくて、もう少しCRCの取扱う計画数等に着目した 指標が必要なのではないかというご意見をいただき、今回「CRC1名当たり年間担当 計画数が7〜8程度とする配置を目指す」という記載をしております。  この根拠として、本日は参考資料2を用意しております。前回12月の検討会で、これ は事務局に対しての宿題ということで出ております。これは、日本医師会治験促進セン ターにより、CRCに対して行われたアンケート調査の結果をここに示しております。 大体年間に担当できる計画数は平均すると9計画以上になってくると、業務としては過 多だということを感じている。7〜8程度というのは、平均的には業務量として適当と 感じる量ということでこの数字が出ております。  こういうものを利用して、責任医師1人当たりの目安のほかに、CRCが不足してい る医療機関、CRCのパフォーマンスが悪い所をこれでどうこうということではなくて、 むしろ一生懸命計画をさばいているのだけれども、CRCが不足ぎみだというような所 については、CRC1名当たりの年間担当計画数を7〜8程度というような目安として 併記してはどうかということで、本日の案は23頁に書いております。ここも、後ほどご 議論をいただければと思います。  24頁についても、(2)のいちばん最後の○に研究費についての取扱いという部分を 書いております。教育の関係については、もともと後ろに一覧表があって、厚生労働省 とか文部科学省という国主体以外の方が取り組むべき事項が表になっていたのですが、 そこに紛れ込んでいた部分を、そのままの形で前に移してきて、ここに記載しておりま す。  25頁に「その他の課題」があります。その他の課題において、臨床研究の倫理指針と いう部分についてはこれまでも記載してきたところですけれども、実施段階での適合性 を調査、指導する体制を構築するということで、これも平成19年度の予算から、こうい う調査を実施する事業について予算上の裏付けとなる内示をいただいておりますので、 今回この部分の記載をしております。あとは、医療機器関係のいろいろなご意見があり、 この治験制度に関する検討を引き続き行うという形になっております。  3で「その他引き続き取組を行っていく事項」が25頁の下から26頁にかけてありま すが、これはもともとあった表です。この前のアクションプランの中身と、この表の中 身の整合性を見て、3のほうは基本的に国主体以外の方々の取組が主であるというもの をピックアップして、3として改めて整理したものです。「国が目標として取り組むべき 課題」については、先ほど教育の例がありましたけれども、22頁以降の重点的取組事項 のほうに移し、全体を整理しております。  本編に関するパブリックコメント、その他修正の反映部分は以上です。資料3に戻り まして、これも意見としては31頁ありますので、個々に全部は紹介いたしませんが、資 料3のうち黄色で書かれている部分はご指摘をいただいたもので、今回本編のほうの修 正として反映させていただいた部分です。特に色が付いていない部分については、実際 この計画に沿って実施する際に、そういう部分を考慮しながら対応させていただくとい うことでお答えをしようと思っている部分です。  資料3の5頁は、多少本検討会でもご意見をいただいたほうがいいと思っている部分 です。そういう部分を緑で塗った形で書いてあります。例えば、5頁の34番ですが、い まのアクションプランでの目標や評価指標という部分についてのご意見です。「対象疾患 症例数、治験・臨床研究参加を説明した症例数、ICが取得出来た症例数、実施出来た 症例数を加えて、実際の評価を今後実施する事で見直すことも視野に入れて欲しい」と いうことで、このパフォーマンスの指標を実際に来た方とか、ICが取れた方という形 で分類をして記載してはどうか、というご意見もいただいております。  39番、40番については、「共同IRB」という言葉を今回5カ年計画の中で改めて定 義をして使っておりますけれども、こういうものがちまたで言われている「中央IRB」 とか、GCP省令で使っている言葉遣いと齟齬をきたしていないかといったご意見があ りました。この計画での使い方という部分について、改めてここは何かご意見があれば ということで書いております。  7頁で「医療機関における医師等の業績評価」という部分ですが、今回の計画におい ても、その医療機関においてできるだけ医師を臨床研究・治験に充てる時間を確保して いただけるような取組を医療機関にお願いするような格好になっておりますけれども、 もう少し多忙の解消策について抜本的なものを列記してはどうかといったご意見も出て おります。  9頁も同様のご意見です。今度は、CRC等に関する部分ですが、こういう雇用安定 化とか、待遇の改善ということをこの計画の中で書いておりますけれども、もう少し具 体的に書けるものがないのかといったご意見をいただいております。  10頁では、82番のIRBの関係で、IRBの研修等に関する内容を実施事項として組 み入れられていない。その前に、治験審査委員会の登録制度ということを言っていて、 こういう登録制度みたいなものについて、ここで問題提起が出ているわけですが、そう いうものについてもご意見をいただければと思います。  12頁では、治験薬の継続投与に関する、継続提供に関する部分についてのご意見。ま た13頁では、被験者の登録ネットワークの構築の提案ということで、患者パネルについ てのあり方といったもののご提案をいただいております。  17頁では、特に医療機器の関係で、その治験における部分や、その実施の要・不要の 判断ですとか、直接この議題に関係ない部分も含まれているかと思いますけれども、医 療機器の特性を踏まえた治験の国際整合化というところでの課題をいただいております。 18頁では医療機器の特性ということで、クリニックのほうが症例を集めやすいとか、医 療機器の特徴に応じた部分でのご意見をいただいております。  20頁は、先ほどの継続投与と同様の意見です。21頁のところでは、医療機関での治験 の費用の支払いという部分について、これも前回少しご議論がありましたけれども、ポ イント表のあり方についてのご意見もいただいております。  大体主立ったところを事務局のほうで見ていき、論点になりそうな部分は以上です。 これ以外に26頁以降にも、直接この計画に反映できるものではありませんが、非常に貴 重なご意見をいただいておりますので、そういうものも資料3の中で全部掲載しており ます。こういうハイライトした部分以外でも、先生方にご覧いただきまして、ご議論い ただければと思っております。事務局の紹介はここまでとさせていただきます。資料3、 資料4については以上です。 ○楠岡座長 資料3、資料4が今回のパブリックコメント及びそれを反映した部分です。 参考資料1にあるように、パブリックコメントとしては、個人・団体を含めて38件寄せ られております。その38件の内容について、1つの意見の中に何項目も含まれておりま すので、その項目を事務局で整理したのが資料3で、全部で247項目です。その中で、 いま説明がありましたようなところに反映させていただいております。時間が限られて おりますので、パブリックコメントの中で、特にいろいろな意見があったところを中心 に検討を進めていただきたいと思います。  資料3に基づいて順番に進めていきたいと思います。計画案の「I.はじめに」に関 しては、事務局から説明もありましたように、医薬品のみならず医療機器についても同 様である、というところが主な変更点です。ここに関して何か追加等がありますか。 (特に発言なし) ○楠岡座長 それでは、2頁から始まる「II.治験・臨床研究の活性化の課題」で「II. 1.中核病院・拠点医療機関の体制整備」のところで、いま説明がありましたようにデ ータベースに関しての記載、それから中核病院・拠点病院等で1つのネットワークのよ うなものを構成していくというようなところ。あとは、言葉の問題等に関しての修正が 続いております。資料3の5頁の34番の症例集積性に関する点ですが、これに関してご 意見がありましたらお願いいたします。 ○一木構成員 34番はCRC協会の方で取りまとめたもので出したものです。モニタリ ングをやっていると、最後は「適確な症例がない」というただの一言ですべてが終わら されてしまうということはあまりいいことではないと思います。やはり、施設に実際、 対象疾患の患者がどれぐらいいて、対象症例がどのぐらいいて、本当にどれぐらいイン フォームド・コンセントを取ろうという努力がされたのか、そして実際にその中で何例 にICが取れたのかを明確にする必要を感じます。要するに、非常にICが取りにくい プロトコルなので、それ故に症例数が進まないのか、それともICを取る努力をしていな いのか。それとも本当に対象症例がないのか・・・というところをしっかりと見極めて いかないといけないと思います。例えば国立がんセンターにがんの患者がたくさんいて 20例入れましたと、これは別にちっとも偉くないです。例えば、15例ぐらいしかない所 で、忙しい中で一生懸命ICを取って8例入れてくれている所のほうが評価としてはよ ほど良いはずです。その個々の施設での努力の経緯を評価に入れて欲しいということで す。  これは、アメリカの経験でも、CRCに進捗が悪いと文句を言うと、彼女たちは必ず このリストを出してきます。自分たちは何名トライして、どういうエリジビリティクラ イテリアでエントリーできなかった。何例は、このトライアルに、こういうコメントで 拒絶してきた。だから、結果的に3例しか入っていないのだと。必ずそういう努力のプ ロセスを出してきます。  日本の場合にはどうしても、モニターが先生方に「症例がないからね」と言われ、そ れ以上は言いようがないというような状態になってしまうのは、評価としてはよくない ので、こういう評価を指標に入れていただければというような意見があって、こういう コメントを書かせていただきました。 ○楠岡座長 いまのご意見に関して何かありますか。言うならば、スクリーニング名簿 等がきっちり整備され、それを見てどれだけスクリーニングをかけてICを試みたかと いうことが示されればいいということですね。 ○一木構成員 正直言うと、個々の施設で大体どの程度が実際にインフォームド・コン セントを取る努力をしたのか、ということがなかなかわからない。やはり中核・拠点病 院でやろうという以上は、きちんとしたプロセスで、本当にプロトコル上の問題なのか、 それともそういうトライアル自身が非常に難しいための問題なのか、という問題点をき ちんと洗い出せるような形にすべきではないだろうかと考えております。ただ、例数が たくさん入った、入らないというのではなくて、プロセスをきちんと評価する必要性を 感じております。 ○楠岡座長 当然中核・拠点病院というか、治験をやっている施設ではスクリーニング 名簿というのは必ずあり、そこに経過は当然記載されているものであって、そういうも のをきちんと整備する。そういう行為を求めるということであればいいのですけれども、 ICの成功率を何パーセント以上にしろ、というのは問題になります。ここでは、患者 の集積がきちんと明示できるような仕組みを必ず持たなければならない。治験をやって いる場合は当然のことですけれども、臨床試験の場合はなかなかそこまで行っていない こともあるので、そういうものを含めるというような考え方でよろしいでしょうか。 ○一木構成員 はい。 ○楠岡座長 パフォーマンスの評価ができるようにすべきであるということで、そのパ フォーマンスの指標として、いくらないといけないというような話にはならないと思い ます。そのような考え方でよろしいでしょうか。中島構成員から、これに関して付け加 えることはございますか。 ○中島構成員 ございません。ただ、ここで指摘されている内容は、いま先生がおっし ゃったように、パフォーマンスの部分とはちょっと違う意味合いで、症例集積性という のは少し意味合いが違うような感じがします。いまここで指摘されているような指標で はなくて、もう少し違う指標のほうがよろしいのではないですか。 ○楠岡座長 意見要旨としては、21頁の評価指標の例に対してのご意見と書かれており ますので、この見え消しでいくと何頁になるのですか。臨床評価指標の経緯というとこ ろに、その数値だけではなくて、そういうものの指標としてこういうものを加えるとい うことで整理するということでよろしいですか。これをどうするか、後でもう一度検討 していただくことにします。具体的なものとして書くか、リクルート等に関する状況が 示されるようなものを、というような形で示すことにさせていただきたいと思います。  次は、39番、40番の共同IRBと中央IRBですが、これはまだ言葉としてはっきり 定まっているようなものではありませんので、アクションプランの中ではこのように考 えるという形での注意書きを付けるということで対応させていただくことにさせていた だきます。  7頁の59番の表3の業績評価、動機づけのところです。「治験・臨床研究に関する取 組を業績として考慮し」という点に関して中島構成員から何かありますか。 ○中島構成員 医薬品評価委員会のほうでまとめたものです。ここで申し上げたかった のは、最近指摘されております、特に病院クラスの医療機関で、医者が大変忙しくて、 場合によってはあまりの大変さに開業されるケースも非常に多いと。いろいろな医療制 度に絡んで医師が多忙である、あるいは不足しているという実態があるという指摘もあ ります。そういう意味では、こういう努力をするというのは非常に重要なのですけれど も、もっと違う観点で抜本的な対策を打つ必要があるのではないか、という趣旨で書い ております。 ○楠岡座長 これは非常に大事な問題なのですが、直ちに解決ができないところもあり ます。これは、単に治験だけの問題ではなくて、いまの日本の医療状況すべてにかかわ っているところです。この点に関してご意見はございますか。 ○伊藤構成員 国立病院機構では、医師の研究とか治験に対する評価はかなりやってい ます。実際に活動量をみますと、病院の医師不足があるところでは研究どころではない というので、いま中島構成員からご指摘いただいたとおりだと思います。  ただそうは言うものの、研究とか治験が本来の業務であるというか、それが正当に評 価される対象であるという位置づけにしていく必要があり、看護師や薬剤師等のスタッ フに対して気兼ねしながらやるものではないと思います。日本の医療機関が治験とか臨 床研究をするということが正当な仕事であるという評価に持っていくことが大切だと思 うのと同時に、病院そのものの医師の手厚さを考えていかないと研究等は崩壊してしま う、というのが実際の現場からの声かと思います。 ○楠岡座長 これは、すぐには解決できないと思います。 ○山本(晴)構成員 同じくです。ナショナルセンターぐらいであれば、まだ比較的医 師数は確保されていますけれども、それでもギリギリいっぱいでやっているところであ ります。本当は、クリニックとナショナルセンターの間ぐらいの市民病院クラスがもう ちょっと治験にうまく動くと、それこそ症例集積性は上がるのではないかという気がし ますが、そういう暇は全くないというのが実情です。  逆に、市民病院クラスに行っている先生方は、研究をする暇もないし、研究をする素 材もないというところがありますので、治験とか臨床研究に参加することによって、何 らかの業績とされるということであれば、モチベーションは上がります。非常に深刻な 問題であるので、まず今回の検討会で言えるのはそこぐらいかという気がします。 ○楠岡座長 このパブリックコメントのどの部分にあるかわからないのですが、今回寄 せられた中に、産業界の団体からの意見として、医師等を全国的に1カ所か2カ所に集 めて、そこで治験・臨床試験を集中的に行う。そこにいる医師は治験・臨床試験だけに 従事していてというような考え方の意見もありました。  しかし、治験・臨床試験というのは、診療をしながらでないとできないと思います。 ある程度患者とコミュニケーションがあった上で初めてできていくところがあります。 全く見も知らない医者がいきなり来て、治験に参加してくださいと言っても、すぐに「は い」というわけにはいかないという現実的な問題があります。そういうのを一気に解決 するのは難しい。  今回の中でも、治験に専従する医師をつくれば治験が進むのかというところは少し議 論があったかと思います。治験をやるけれども、一般診療の中で治験も組み込んでやっ ていく。ただ、割合として一般診療を100%なのか、それとも一般診療50%で、治験・ 臨床研究が50%なのか。あるいはもう少し治験・臨床研究の割合を増やして、一般診療 を減らすのかということになっていくと思います。  臨床が全くゼロという方は、もちろん大きな病院の中で、たくさんの医師がいる中で そういう方が1人か2人いるというのは可能としても、そういう方ばかりを集めて、治 験等が進められるかというと、現実的にはなかなか難しいという状況があると思います。 そうすると、病院当たりの医師の数を増やしていくしかないという話になっていくと思 うのですが、それもいまの医療経済的な問題等も踏まえると難しいところがあります。 これは、今後全体的な問題として考えていかざるを得ないと思います。  ただ、いままで研究費というとどちらかというと、あまり人にお金がかけられなかっ たところがあるのですが、今回の臨床研究基盤整備事業では、人を雇えるというところ があります。これで雇用した方が、コメディカルは別として、医師に関しては、これで 非常勤的な形で雇用された先生が、100%臨床試験・治験に従事しないと駄目だというこ とになると、先ほど言ったようなことでちょっと難しくなってくる。その方が臨床研究 に力を入れるけれども、何パーセントかは診療にもかかわっていく。逆に、その方が臨 床現場に入ることで、他の方も臨床研究にいままではコミットできなかったのがコミッ トできるというように、全体の中で調整していく。このような形に研究費が使えるとい うように今後はなるみたいです。そうすると、少しよくなっていく可能性はあろうかと 思います。ただ、お金があっても人がいないという問題も今後は出てくると思いますの で、これに関してはもう少し抜本的に考えていく必要があろうかと思います。 ○山本(精)構成員 いまの意見に反対なわけではなくて、医者が忙しいのもよくわか るし大変だと思うのです。行政回答案にあるように、「治験等の支援スタッフの養成であ り、これにより、医師の負担軽減を図ろうというものです」と。ここも大きなポイント で、私は医師ではないのですけれども、研究する医師にも2種類あって、研究に参加す るという意味ではPI(責任医師)になって、自分で計画を立てる人と、同じように研 究に参加して患者を登録する、という両方あります。  どちらも患者を登録するというのは、もちろん支援スタッフもいてということになり ますけれども、日常臨床の一部と言えば一部なわけです。治療なわけです。健康な人に 対するフェーズIは違うかもしれませんけれども、相手が患者であれば、それは日常臨 床の一部であるわけです。  それから、PIとして研究課題を考えるということも、クリニカルクエスチョンとい うのは日常臨床の中に出てくるので、それは日常臨床をやっている中から出てくる。そ うなったときに、研究費の申請書を書いたり、お金の処理をしたりするのに関しても支 援スタッフがいればできることです。プロトコルを書くにしても、統計家だとか、デー タマネジメントにしてもデータマネージャーが、患者との対応にしてもCRCの方がサ ポートしてということになれば、やはり支援スタッフが多くなっていけば、医師の負担 も当然軽くなっていく。  その中には、わりと臨床試験、オリエンテッドなというか、そういうことを中心にや っていくという医者もいて、みんながそこでやっていくのではなくて、そういう人と、 逆に臨床オリエンテッドな人とが協力していくということだと思うのです。医者を増や していったら臨床研究が増えていくかということではない。逆に支援スタッフで、医者 がちょっと考えて、これができるかなと言ったら、もうプロトコルが出来上がるみたい な立派な支援スタッフをつくっていくほうがいいのではないかと思います。 ○楠岡座長 全く同じ考え方で、言うならば車の両輪のように、先生のご意見と私がい ま申し上げたようなことが両方あって進んでいかないと、全然進まない話だと思います。  先に進めさせていただきまして、次は9頁の75番及び76番のところです。人材の安 定雇用に関する点に関して、中島構成員から何かありますか。 ○中島構成員 ここで指摘させていただいたものは2つです。1つは、後段のほうです が、これは前回も議論が出たところかと思います。「努める」という言葉の持つ意味合い が、努力していればいいのだというように読める可能性もあるということです。そうい うことではいけないということで、そこに書かせていただいたように、具体的に項目を 挙げ、かつその内容についてきちんと書くというやり方が必要ではないかということで す。  もう1つはキャリアパスの問題です。これは人事考課、プロモーションといったこと を含めて、いろいろな課題が、あるいはプロセスがあると思いますので、そういうもの をもう少し絵解きして具体化したほうがいいのではないか。私どもから申し上げるとい うより、CRCの立場にある方に、そういうところを描いていただく、具体化していた だくということがよろしいのではないかと思っております。 ○楠岡座長 これに関してご意見はございますか。 ○榎本構成員 中島構成員がおっしゃったとおり、こちらの表記に対して、今回は5年 間の活性化の計画の中で、研究費を人件費に使えるということですが、CRC等の永久 的な雇用というのはなかなか進まないのではないかと考えています。非常勤のCRCが 増えたり、例えばSMOからの派遣で、5年間をこの計画のために賄うという対応が考 えられています。常勤でその施設に根付いてどんどんキャリアアップするようなCRC をどのように増やしていくのかということが具体的に見えないので、その辺に不安感が あります。その点に関する具体策があればと感じています。 ○楠岡座長 尾芝構成員から、SMOのほうからということで何かありますか。 ○尾芝構成員 当然国全体として活性化するためには、中核病院・拠点医療機関、その 他の医療機関で固定的なCRCの雇用促進することが必要なのと同時に、逆に治験ある いは臨床研究にも波がある。それを上手に使うための非常勤という言葉は、日本ではあ まりいいイメージでは使われないのですが、そういう流動的な労働力をどのように適正 に使うのか、というところも頭に置かないとならない。これは反対するのではなくて、 常勤の人は増やさなければいけない。その人たちを中核として、院内でどのように流動 的な雇用をするか、という具体的な方法を書けば、一方的な話にはならないのかという 気がいたします。気をつけないと、一方的なイメージが出てきてしまうのが怖いという ことです。 ○楠岡座長 あとは、パブリックコメントにも1つあったと思うのですが、CRCの中 でも所属している組織、特にSMOにいるか、医療機関側にいるかで多少問題はあると いう点についてはある程度改善はされているのですか。 ○尾芝構成員 いちばん問題になるのは、雇用の問題もあるでしょうけれども、教育と いうか基準だと思うのです。この辺りはどこがリードしていくのかということは議論し なければいけないところでしょうけれども、何をマスト、逆に最低ここはしなければい けないということをもう少し病院から診療所から、団体、所属が違っても出せるような 基準を作る努力をどこがするのかぐらいは1つ示してもいいのかという気がいたします。 ○伊藤構成員 今回のキャリアパスのレベルが違うことは十分承知しているのですが、 1回安定雇用されたCRCの人たちが1カ所に何年かいて、平だったのが主任になり、 師長になり、それ以上の管理者になれとなることを考えたときに、必ずしもCRCとし ての業務が付随していくわけではない。国立病院機構などでは、人事異動で3年ぐらい で変わっていってしまうと、それまで培われたCRCの人たちの技能が、全く使われず、 別の所でステップアップしていくので、CRCとしてのキャリアパスの問題が将来的に は出てくるのだろうと思います。  ここで書くのは妥当ではないのかもしれませんが、技能職の生涯にわたってのキャリ アパスというのも、問題点として考慮しなければいけない点かと思われますので、書き 込みをしておいたほうがいいのかと思いました。 ○楠岡座長 キャリアパスに関しては、安定雇用の次の項目のところには少し書かれて いますが、いまおっしゃったようなことをどう入れるかです。キャリアパスに関しては、 特にコメントはなかったですね。安定雇用ということと、流動性ということ、それから いまのキャリアパスと3つがお互いに絡んだところですが、これを、いまのところをど う反映させるかということで、必要があれば検討させていただくということにしたいと 思います。  次は「データマネージャーの課題」です。竹内先生は本日欠席なのですが、データマ ネージャーに関してご意見を出していただいています。それが、資料6の次にある資料 番号のない「竹内構成員提出資料」です。ここでは養成というよりも、病院にどれぐら い必要となるかというところで、中核・拠点の中で複数名のデータマネージャーをまと めてOJTを実施するような方向を目指したほうがよいのではないかという意見をいた だいております。  拠点医療機関におけるin-houseの臨床試験についても、中核病院を含むネットワーク の他のデータセンターも有効に利用できることが望ましいと思います。理由としては、 データセンターを持たない中核病院や、拠点医療機関のデータマネージャーと、セント ラルのデータマネージャーとは機能が異なる。データマネージャーの育成にはOJTが 必須、中核病院・拠点医療機関の合計40の施設においてデータマネージャーが1名ずつ 現場でOJTをすることは現実的に困難である。OJTが実施可能となるような方策も 必要である。  データマネジメント業務に関しては、複数の中核病院・拠点医療機関を束ねた、例え ば疾患領域別のグループごとにデータセンターを活用することが効率的である。例えば、 合計で40名のデータマネージャーがいたら、複数名をグループ化して、グループ内(デ ータセンター内)でのOJTを実施するのが現実的である。  特にOJTのところに関して、各医療機関で行うのではなくて、ネットワークの中で 集めた形でやっていく。トレーニングが終わったところで、また医療機関に戻っていた だくような形をとってはどうかというご意見をいただいております。この点に関してご 意見はございますか。 (特に発言なし) ○楠岡座長 データマネジメントの点に関して、計画の中に織り込めるようなところは ありますか。 ○研究開発振興課課長補佐 データマネージャーについては、特に中核の中のデータマ ネジメントの機能を利用しながらOJTを実施したり、トレーニングをしていくという のが、まさしく中核病院の役割として規定されているところです。いかにこのネットワ ークを効率的に構成し、その中で拠点となる中核のデータマネジメント業務のところで うまくOJTをやっていただけるようにできるか、というのがネットワークの中での課 題になると思います。  特に、前回からご意見をいただいておりますけれども、データマネージャーという業 務自身の外延がつかみにくい。どういう業務なのかということが実際につかみにくいと いうところがあるわけです。おそらく、現在臨床研究基盤整備推進事業は5カ所にあり ますけれども、その中でセンターのデータマネジメントの機能を持っている所は何カ所 かあります。そういう所にご協力をいただきながら、そのセントラルでどういうことを やりながら、データマネージャーをトレーニングしているかというところにある程度ご 協力をいただきながらやっていかないと、このデータマネージャーというもの自体がな かなか養成できないのではないか、というところは竹内先生と問題意識を共有するとこ ろであります。ネットワーク化の中で、こういう問題にうまく対応していきたいという ことです。 ○楠岡座長 もし必要があれば、16頁のデータマネージャー養成研修の中に、「モデル 的な研修を実施すること」というようなことが書かれていますので、その中の例的なも のというか。 ○荒川構成員 データマネージャーに関しては、当然いろいろな考え方があると思いま す。いま、企業のほうではICH-GCPあるいはJ-GCPを中心にしてやってきていますので、 そのやり方というのはある程度手本になると思います。やはり、企業出身者とか、そう いう方をこういう所では有効に活用するシステムをやっていかないと、グローバルなレ ベルでのシステムというのはなかなかできてこない部分もあるような気がします。そう いう人材登用の話は前にもありましたけれども、そういう交流もできるような形が望ま しいのではないかと思います。 ○武林構成員 初年度の中核としての仕組みを動かしている所です。私どもの所で、セ ントラルのデータマネージャーを育成しようということでしたが、私どもの所には全く データセンター機能はありませんでしたので、ゼロからセントラル機能を作るというこ とで、いま荒川構成員から話がありました、企業出身の方を大学の中に呼んできてやっ ているところです。  しかし、企業はどちらかというと、既に出来上がったものを動かすデータマネージャ ーであります。大学の何もない所にゼロから作るということで、さらにかなりご苦労さ れているところもあります。実際には、竹内構成員の所が、教育型の機関になっており ますので、そこでのネットワークを使うことによって、その方自身もサポートを受けて スキルアップを図りながら、業務に従事しているところです。先ほど話がありましたよ うに、ネットワークの中でそこはかなり意識して、共有して作るようなことを推進して いただくことでなんとかなっていくのではないか、というのが実際の経験としてのコメ ントです。 ○楠岡座長 ほかにご意見はありませんか。 ○山本(晴)構成員 キャリアパスの話ですが、書きにくいいちばんの理由は、CRC が研鑽を積んでレベルアップしたとしても、受皿がないことだと思うのです。CRCの 中だけで回そうと思うと、どうしてもうまくいかないのではないかと思うのです。  いま、看護師や薬剤師の中で逆に問題になっているのは、CRCをしている期間がキ ャリアにポイントされないことに問題があるので、あまりCRCの期間を長く取りたく ないというところもあります。むしろ、看護師や薬剤師の協会に積極的にCRCの経験、 あるいは厚労省や治験促進センターなどのアドバンス研修や、ある程度のレベルのベー シック研修やアドバンス研修を作ったとしたら、ベーシックを受けて、そのあとアドバ ンスを受けた人は積極的に昇進させるとか、医者と同じで、CRCをやった経験がその 人の本来の医療職の中でのキャリアアップにつながるものを付けてもいいのではないか と思います。  それは1つ波及効果があって、CRCが医療機関内で治験をするときにいちばん困る のは、他部署の理解がないことなのです。圧倒的多数の看護師は、治験の基本的なとこ ろを理解していない場合が多く、それで問題が起こることが非常に多いので、CRCの 経験者が病棟や外来に配置されていくことも1つの促進効果はあると思います。少し歯 がゆい状況ではあるのですが、そういうことも付けて、CRCをするかどうかは分から ないけれど、研修は受けていこうというぐらいのものでも、付けていってもいいのでは ないかと思います。 ○伊藤構成員 誤解があるといけないので、具体例を挙げます。例えば、私が絡んでい る順天堂大学では、10年CRCをやった者を師長にしております。10年やった者は平か ら主任、それから師長まではいくのですが、そこから先のキャリアアップは、彼女がC RCをする限り20年やっても師長のままでしかないのです。  逆に、国立病院機構では副師長クラスをコーディネーターにしておりますが、3年ぐ らいでステップアップした時には、別の業務、外来や病棟の師長として昇進する。極端 に言うとCRCの看護部長はあり得ないところがあります。ステップアップをさせてい くと、CRCとしてのキャリアにははらない二律背反です。欧米型でいくのであれば、 いまの大学のように、ポジションとしては師長で終わりですが、CRCの責任者にとい う形になるでしょう。一方、国立病院や大学では、CRCの職を捨ててステップアップ していく。そうすると、CRCの専門性が続いていかない。キャリアパスについては、 私自身大変悩んでいるところです。そういったことも含めて、今後の検討ではないかと 先ほど申し上げたわけです。 ○山本(晴)構成員 私自身は、CRCを生涯の職とする人が、CRCの中に一体何パ ーセントいるのかなと思います。CRCは補助職なので、ずっとCRCをしていて、た とえ管理職になったとしても、内容が変わらなければやる気が出るのかな、という気が します。もう少し、職種の内容自体に発展性がないと続かないのではないかと思うので す。例えば、現実的には非常に難しいと思いますが、CRCからデータマネジメントや プログラムマネジメントの方向に進んでいけるようにならないと、本当のキャリアパス にはならないのではないかと思います。  もう1つは、医療職は基本的には組織に属する人ではなく、職能に属する人なのです。 あまりそういうことをしない方のほうが多いと思いますが、医者もそうですが、ナース も薬剤師も身分が上がれば国立病院機構を離れて、別の病院に行ってもいいわけです。 ですから、国立病院機構で用意できなくても、どこかの私立の大学の病院グループがそ ういう所を準備したら、そこに流れていく可能性はあるし、それは止めるべきではない と思います。1つの組織の中で役職が上がっていくことは、本来医療職や専門職の中で のキャリアパスとしてはあまり適当ではない気がするのです。 ○楠岡座長 いまの議論はいろいろな問題を含んでいますが、ある意味日本の雇用形態 に絡んでいるところもあります。ポジションが上がらないと給料が上がらない、経験が 給料に反映されない。アメリカだと、学部長より給料をもらっている平の教授がいるわ けです。長く勤めれば給料は上がるのですが、職階が上がらないと給料面のステップが 上がらないという問題もあるので、それをどう解決していくか。いま、企業の中ではそ れがかなり流動化する傾向もあるので、それがもっと医療の現場にも入ってくれば、少 しは解決していくところもあるかと思います。 ○榎本構成員 皆さんがCRCのことをここまで考えてくださって、CRCにとって大 変嬉しいことと思います。いま山本(晴)構成員がおっしゃったように、病院内の中の 異動があれば、すぐにCRCではなくなってしまう可能性を秘めている病院職員がいっ ぱいいます。ほかの仕事をしたい、ステップアップして違うことをやりたい者もいます が、いまCRCがいちばん悩んでいるのは、折角認定を取って経験を積んだけれど、非 常勤だからずっと勤められないかもしれない。また、折角ここまでいろいろ勉強して、 もっとCRCを続けたいけれど、明日には違う職場に移るかもしれない。そのようなC RCが、日本ではまだまだ多いと思います。ですから、どちらかというと、続けたいけ れど続けられないCRCを少しバックアップしてあげるのが優先ではないかと思います。  今回、24頁に「中核・拠点医療機関各々30%以上のCRCが認定を取得していること」 という記述がありますが、10人いたら3人は認定を取っていなければいけない。それだ けでも、「うちには認定を取っているCRCは何人いるのか」と、病院が注目してくださ るので、私たち認定を取っているCRCにとって、この一文があるだけでも随分違うと 思います。ですから、反対にそのように頑張っているCRCが必要だということを公的 文章にしていただくことで、CRCは優遇されますし、これを載せていただいたことで 随分変わってくるのではないかと考えています。今後もそういった形でバックアップし て行っていただければ、CRCがもっと頑張れるのではないかと思っています。 ○山本(精)構成員 今後のためにということで発言してもいいのでしたら、私は先週 アメリカのメモリアル・スローンゲタリングキャンサーセンターに、in-houseのクリニ カルトライアル、治験もそれ以外のものも含めて、どうやっているかを見に行ったので す。自分がいままで知っていたのと全然違って驚いたのですが、リサーチナースがほと んどいないのです。セントラルデータマネジメントもやっていないのです。何百も試験 をやっているのに、それぞれの診療科にデータマネージャーがいて、我々がいままで思 っていたローカルデータマネジメントではなく、セントラルのデータベースがあるので すが、その人たちはそれに直接入力して、ローカルでセントラルデータマネジメントを しているのです。  臨床試験のスタッフは、ほとんどノンヘルスプロフェッショナルで、我々がイメージ するCRCの役割はどうしているのかというと、普通のクリニカルプラクティスとして ナースがやっているのです。先ほどの山本(晴)構成員の話にあったように、ヘルスプ ロフェッショナルとしてのキャリアの1つとして、CRCが患者の臨床試験に携わるこ とがあって、ファーマシストもそうだったのです。それは、職能としては看護師のキャ リアを上げていく、あるいはファーマシストのキャリアを上げていく中にそういうもの がある。  もう1つは、ローカルでやっているデータマネージャーは、知識を積んでくると、そ れだけではなくIRBの管理に入ったり、先ほどの話にもあったプログラムマネジメン トをしたり、医師と組んで研究費のマネジメントをしたりしていく。そこから考えられ ることは、いま現在CRCでもともと看護師や薬剤師だった人が続けてやっていきたい といったときに、新たな仕事ではありませんが、トライアル自体のコーディネーション をするとか、別の所に行って教育をするとか、臨床試験の分野での業界が育っていけば、 そういう人たちの将来も出てくるのです。おそらく、日常臨床と研究が近い形で職能と して存在する部分と、臨床試験は臨床試験の分野として成熟してくれば、続けてやって いける人があり得ると思うのです。先ほど荒川先生がおっしゃったように、データマネ ジメントのあり方もCRCのあり方も、これからまだいろいろあり得ると思うので、こ れから議論をしていって、それぞれのキャリアパスがある形について検討していく緒に ついた所ではないかと思います。 ○楠岡座長 ありがとうございました。とりあえず、いまの段階では現状からというこ とで、3年後の見直しの時期にはいろいろな形が出てくると思いますので、その時点で 検討していきたいと思います。  特にご意見がなければ、次に進みます。10頁では、IRBの研修に関して平成19年 度から開始するとのご返事をいただいております。12頁ですが、継続投与の問題に関し ては、審査管理との関係もあるので、継続的な検討をするとのご返事をいただいており ます。 ○新井構成員 医療機器の場合は、インプラントものが結構あるので、制度面で物の供 給のほかに、インプラントしたものについて、治験が終わって病院に行った場合の診療 の費用をどうするか、費用面での検討も是非お願いしたいと思います。そうしないと、 治験中はメーカーが払ったりしますが、そのあと患者負担になると何のために治験に参 加したかがわからなくなって、患者の負担が大きくなるので、その辺りの配慮を是非お 願いしたいと思います。 ○一木構成員 この部分に関しては、コンパッショネートユースの検討がどこかでされ るのだろうと思いますが、これまでの経験だと、長期の試験を別個に組んでそれに入れ ればいいという、場当たり的な拡大解釈の中で解決しようとする形で、ここ何年かずっ と過ごしてきたのです。ですから、もしもやるのであれば、100番は我々のCRO協会 から出てきたのですが、ちゃんと法整備をして、何かの拡大解釈ではなくきちんとやれ るようにしてほしいのです。  というのは、いつも治験の枠組みの中で長期の試験を別個に組んで、そこにエントリ ーすればいいという形でやられてしまうと、今度は申請をしている最中にいろいろな問 題が出てきます。ですから、それを1つお願いしたいと思います。きちんとしたもので 解決してほしいと、抜け道を作って解決ではなくしてほしいということです。 ○審査管理課課長補佐(森岡) コンパッショネートユースについては、「有効で安全な 薬品を迅速に提供するための検討会」が開かれており、そこの論点として、国の承認を 経ない未承認の使用に関する考え方の論点に挙がっております。その中で、今後検討が なされていく予定です。 ○楠岡座長 先ほど、山本晴子構成員と話していたのですが、「コンパッショネートユー ス」や「未承認薬」という言葉について少し整理が必要と思います。未承認薬というの は、承認するしないはルールの話であって、確かに未承認ではあるのですが、絶対使っ てはいけないのか、要するに禁忌に対して使うのかという誤解をもたらすこともありま す。また、「compassionate」を辞書で引くと、「慈悲的な」という使い方なのです。先ほ ど、山本(晴)構成員は「救済的使用」とおっしゃいましたが。 ○山本(晴)構成員 わりと、「救済的使用」という言葉を当てていたと思うのです。 ○楠岡座長 この辺りも、言葉を少し決めたほうがいいのではないかと思います。よろ しいですか。それでは、この点に関してはそのようなことで、他の検討会の動きも参考 にすることになります。  13頁ですが、患者のインセンティブの向上に関してです。被験者の登録ネットワーク を、という意見をいただいております。施設単位等のパネルはありますが、それをもう 少し広げたらどうかとのご意見をいただいております。これに関して何かご意見はあり ますか。  これも、今後3年間の中で検討していくことになろうかと思いますが、1つの大きな パネルを作ってそこへ登録するのは、現実的に非常に難しいことですし、いわゆる「I 相試験」の場合とは違ってくると思います。ただ、いまいろいろな医療機関や学会レベ ル、研究会レベルでのデータベースを作っている所はあるので、データベースの登録が あると、どこへ見に行けばそういう患者が登録しているかがわかる。それを実際使わせ てもらえるかどうかは、データベースを持っている所にご判断いただくことになります が、そういうものがリストアップされていると多少使いやすくなるかもしれません。 ○山本(晴)構成員 行政回答案にもあるように、病院の種類や性格、成り立ちによっ て、個人情報保護法に対する考え方にまだかなり差があって、行政機関の病院になると、 こういうことを言っただけでも、病院の中でかなり問題になる可能性もあります。です から、要は被験者パネルを作ることが目的ではなく、こういう治験をするときに、各医 療機関に対象になりそうな人がどのくらいいるかが速やかにわかることが目的なのだろ うと思います。  これは、別にここに出すことではないのですが、医療機関によっては、企業が何を望 んでいるか、どのような仕組みを作ったら速やかな回答が出せるかを試行錯誤でやって いると思いますので、どちらかというと、どのようにしていったら速やかにわかるよう になるのか、各医療機関内での工夫を促す形で考えていったほうがいいのではないかと 思います。どこかにあって、ここに聞くと、あの病院に何人、この病院に何人といって も、それは経時的に変化するものなので、努力をするわりに意味のない行為になる可能 性もありますので、本来の目的に戻って考えたほうがいいのではないかと思います。 ○荒川構成員 いまのご意見に近いと思うのですが、大学等では、このためのデータベ ースというより自分たちの研究のためのデータベースであって、患者の経過や何かの治 療をしたら結果がどうであったかとか、そういった研究のためのデータベースが被験者 スクリーニングにも使えるのが、現実的な問題だと思うのです。疾患を定めずデータベ ースを作るのは極めて無駄が多くて、むしろいまの電子カルテや診療のシステムの中で 検索機能があれば、ある程度のことはできます。ただ、詰めるには診療科の医師の協力 が必要になってくるのが現状だと思います。 ○辻本構成員 このお話は、基本的にはインフォームド・コンセントに立ち返ると思う のです。確かに、患者の側の認識が浅かったり、自分の役割が十分に理解できていない こともあって、このような結果が生まれるのだと思うのです。しかし、その状態を招く そもそもの問題は、まだまだ医療側の説明が足りないインフォームド・コンセントに集 約されていくように思います。いまお話をお聞きしながら、逆転してしまっているので はないかと感じました。 ○一木構成員 それは、一度、製薬協と我々CRO協会とで、パネルの問題で調査をか けたことがあったはずです。先ほど山本(晴)構成員からもお話がありましたが、個人 情報の問題などがあって、どこが管理するのかが非常に大きな問題になりました。1つ は微妙な話になってきて、個々の患者のプライバシーを侵害するおそれが出てくること をいちばん注意すると、どうしても医療機関としてはやりにくい。また、非常に特殊な オーファンの場合、数百人しか患者がいなくて治療法を求めているようなものは、登録 されているものを使うのは患者にとっても非常にメリットがあるし、医者にとってもメ リットがあります。  ところが、がんのように毎月変わっていくようなものは、登録しても意味がないので す。また、慢性疾患などは登録が役に立ちそうですが、逆に言えばたくさん患者がいる ので、きちんと臨床試験さえやればできるということで、ジレンマに入っていくのです。  このデータベースの問題は、CRO協会の中でも話が出たことがあるのですが、管理 の問題や帰属の問題、中身の問題などがあまりにもセンシティブすぎて、なかなか取り 扱いにくいのが実情だったように記憶しています。 ○楠岡座長 データベースそのものの取扱いは、中身や、いつの時点で集めたデータで 更新がどうなっているかなど、結局データベースの内容や質に依存してくるので、使え るか使えないかは全くわからないということにはなります。  ただ、ある程度大きなデータベースを持っている所は、それをどこかに登録していた だければ、有効利用できます。それが臨床試験に使えるかどうかは別の問題として、い ままでのいちばん大きな問題点は、いろいろな人が何回も同じデータを集めていて、し かもその人が辞めたら消えてしまって、また一からやり直さなければいけないという繰 返しで終わっている現状があるので、ある程度継続できるものが必要です。また、それ が非常に大事な内容を含むものだったら、続かないのであればそれを引き継ごうという ことも出てくる可能性はあると思うので、そういう意味でのデータベースを社会的資産 として考える必要があります。もちろん、最初に登録する時点でのインフォームド・コ ンセントの中に、それが将来臨床試験等に使われる可能性があるかどうかについても聞 いておいて、それに対して絶対いやだと言う方の場合は出していかないという、制限を つける必要はあると思います。これは、いますぐこうすればいいというものはないと思 うのですが、少し考えていかないといけないと思います。  いまデータセンターがいくつもあって、それぞれがいろいろなデータを集めているわ けですが、各データセンターがどんなデータを持っているか、そのデータベースがない ので、何か調べるときに、既存のデータベースがあるにもかかわらず一からやる、費用 も時間も人手もかかることを繰り返している可能性はあると思うのです。それは別の問 題として考えていく必要があるのではないかと思います。 ○尾芝構成員 被験者のパネルやリクルートの問題なので、私も今回の活性化計画で被 験者データベースや患者紹介システム、中核・拠点をベースにすることは正しいと思い ます。正しい方法でそういった情報を共有し、臨床研究に活かそうとする方法は、簡単 に結論は出ませんが進めるべきだと思います。  ただ、ここにコメントで出ているのは、現実問題として、違うことが現象として起こ ってきているので、二重登録などが起こっているのだと思うのです。正しいパネル構築 やデータベース構築と違うところで、データベースを作るよりも、何かひずんだ形での 治験広告や被験者募集といったシステムが、ここにきて急速に伸びてきて、たぶんそれ が患者の二重登録などを招き始めているのではないでしょうか。それが切っ掛けで、皆 がまじめにやろうとしているデータベース自身もそれに汚染されていくので、それを止 める方策をしておくことが大事だと思うのです。それが蔓延してしまうと、まじめなも のまでが汚染されたり、そういう目で見られてしまって、折角の努力が水の泡になって しまうのです。ここでそれを止めておかないと、被験者候補の方も、変なインセンティ ブやモチベーションで治験に参加することを助長する風潮が始まってしまって、そうな ると取り返しがつかなくなるので、いまだったら何らかの方法で手が打てるのではない かと思います。ここの意見では、そういうことで何か方法を考えたほうがいいのではな いかと読んだほうがいいと思います。  データベースを作ることには、みんな総論では絶対賛成で、いい方向だと思うのです が、入り口で何か違ったことが起こっているのではないかという気がします。 ○楠岡座長 それでは、いまの点に関してはそれを踏まえて検討をお願いします。ほか に何かありますか。よろしいでしょうか。  次の課題ですが、17頁です。140番、GCP省令の見直しということで医療機器につ いてです。新井構成員、よろしいですか。 ○新井構成員 侵襲性の高いステントカテーテルなどの治験と、侵襲性の低いMRIや CTの治験に関しては、同じようにGCPを適用するかですが、MRIやCTのような 侵襲性の低いものについては、一部適用除外するといった制度面の配慮は必要ではない かと思います。 ○楠岡座長 これは審査管理のマターになると思いますので、検討をお願いしたいと思 います。  次の頁です。148番ですが、これも医療機器に関することで、IRBの活用について です。これも、新井構成員からお願いします。 ○新井構成員 透析に関しては、透析クリニックのほうが患者が集まりやすいのです。 症例によってはクリニックのほうが集まりやすいので、クリニックも中核病院や拠点病 院のスタッフを利用できるとか、IRBを利用できるような配慮も必要ではないかと思 います。 ○楠岡座長 これについては、何かご意見はありますか。この点に関しては、医療機器 だけの話ではなく、薬と共通の話になってくるかと思います。  次は20頁です。先ほどのコンパッショネートユースのことがあるので、臨床試験でコ ンパッショネートユースということもあり得るわけですね。ただ、これは非常に難しい と言えば難しいところで、今後の検討課題ですね。これを変に正当化してしまうと、適 用外が続出することにもなりかねないので。 ○山本(晴)構成員 先ほど、コンパッショネートユースのときも思ったのですが、臨 床研究で適用外の薬品を使おうとすると、現在は保険上の問題に非常に阻害されている のです。その辺も含めて、コンパッショネートユースというこちらの整備で、ある程度 臨床研究の中でも適用外の薬を治験と同じように、例えば薬だけを研究費で出せば、あ との医療費は保険で持つことができるといった方向性で整理ができるのであれば、非常 にありがたいと思います。 ○楠岡座長 これについては、医療課はいかがでしょうか。 ○医療課課長補佐(中野) これは、臨床研究自体がどういうものを対象にしているか の前提の入り口論がわからないと、治験というハードルが高いからそういったことがで きるということは、いまやっているわけですから、臨床研究自体もきちんとしたハード ルが示されれば考える余地はあります。ただ、一般的な臨床研究と言われても幅広い中 身ですので。 ○楠岡座長 その辺りが1つ問題なのですが、例えば公的研究費でサポートされる臨床 試験など、ある程度限定をすれば、検討の余地はあると思います。 ○医療課課長補佐 そこは検討していかないと、公的なものの中にもできるものとでき ないものが多々あると思いますので、それは今後の細かな議論になっていくのではない かと思っております。 ○楠岡座長 検討される予定はあるのですか。 ○医療課課長補佐 この会議の結論としては、どのような形になるのでしょうか。 ○研究開発振興課課長補佐 本件の報告の21頁に、「(3)臨床研究と臨床研究に要する費 用について」とあります。ここで、いま中野補佐から申し上げたことが書いてあります。 ここについてはいろいろな角度からの意見があって、必ずしも一様に適用外であれば保 険外併用療養費制度を適用するべきだという意見ではないわけです。こういったところ は、今後議論が必要であると、この計画の中では書いている状況です。 ○楠岡座長 これは、ある程度保険局にも関わっていただきながら議論しないと、我々 の側だけで言っても、最後に駄目と言われたら終わってしまうので、よろしくお願いし ます。 ○荒川構成員 これはあくまで適用外だけで、未承認機器や未承認薬はこの回答では考 えていないのですか。 ○研究開発振興課課長補佐 適用外も未承認も、基本的に保険外の話では同じですが。 ○荒川構成員 むしろ薬事法絡みのことです。いまだと、個人輸入や院内製剤といった 残された道はあるようですが、それ以外の方法は薬事法上なかなか難しいということで、 大学等の研究ではそこが非常に困っているところなのです。単に保険の問題だけではな く、未承認薬・未承認機器の研究をしようと思うと、私もその辺りを相談されていつも 困っているところです。いまそういうことが活性化しようとする中で、そこがいちばん の足かせになってしまっているのです。  クオリティーを保つためには、何とかGMP適合の施設で委託生産ができるシステム を作っていくことのほうが、むしろ重要なので、もし臨床研究まで含めたコンパッショ ネートユースをお考えなら、そこも是非ご検討いただきたいと思います。 ○研究開発振興課課長補佐 この検討会でもこれまでご指摘をいただいていたのですが、 また来年度から臨床研究のいわゆる倫理指針の改定に絡んで、臨床研究のあり方等につ いてもこちらで検討させていただきたいと考えております。  荒川構成員からご指摘いただいた事項についても、未承認のものをどんどん使ってい いということは、国民の保健衛生を守る立場からはなかなか言えない部分もあって、い ろいろなルールや考え方の整理等をしていかなければならない部分だと思います。来年 度以降の検討の場で、そういったご意見を踏まえながら対応しようと思います。 ○荒川構成員 よろしくお願いします。 ○楠岡座長 ほかにご意見はよろしいですか。  次に、21頁です。177番ですか、これは治験費用をポイント表以外に診療報酬を基に とのご意見が出されております。ポイント表をどう評価するかも継続検討課題になって いるのですが、何かご意見はありますか。ポイント表の意味合いは、もともと関与する スタッフのインセンティブというか、どう評価するかのところで診療報酬とは違うと思 いますが、これは検討課題にしたいと思います。  一応、色付きの部分に関しては以上ですが、これ以外の点で何かお気づきの点や追加 等がありましたらお願いします。 ○荒川構成員 前回の検討会からだいぶ経っていて、その間に随分いろいろ手直しをし ていただいたと思います。質問なのですが、今後文科省での橋渡し研究とこちらの基盤 整備研究との間で調整していくと思うのですが、実態として実施している人たちが違う という問題があります。たぶん、橋渡し研究はどちらかというと基礎の先生方が中心に なって、臨床に入るまでのところを熱心にやっている実態があるのです。治験は、臨床 試験をしている人たちを支援しているので、実際その辺りの調整は文科省とされると思 いますが、実態として治験をそういう人たちの中で動かすのは、すぐには難しい側面が あります。大学によって事情は違うわけですが、そういったことも少しご検討いただか なくてはいけないと思います。 ○楠岡座長 のちほど、医学教育課長から今回の橋渡し研究等に関してご説明がありま すので、そのあとでご質問をいただきたいと思います。  本日の資料の中で、参考資料3として「工程表の例(案)」が出ておりますが、これに 関して事務局から何か追加はありますか。 ○研究開発振興課課長補佐 これは5カ年計画自体の資料ではないのですが、意見聴取 をしている間に、全体の計画を工程表的に理解できるものを作ったほうが、皆さんがわ かりやすいのではないかとのご指摘をいただき、本日は例の案の形でお示ししておりま す。これを具体的に進めていくにあたって、先生方からもご意見をいただきながら、こ の工程表も少しずついいものを作って、実際の計画の運用の際に活用したいと思ってお ります。こういったものについてご意見があれば、この機会とは別でもかまいませんの で、ご意見をいただければと思っております。 ○武林構成員 この工程表の中で、平成23年度のところに厚労科研費の細則のことが出 てきます。今日の議論では、今後の基盤整備の中で医師の環境の改善、CRCの専門性 を高めることがあったと思いますが、これでいくと、平成19年度から研究費がシフトし ていく中で、取扱いがかなり遅れて変わってくる状況になるので、可能であれば厚労科 研費の見直しがシフトと同時に平成19年度から起こってくると、現場としては使いやす いと思います。現実的に基盤整備をしていても、細則の部分で使い方が制限されること もあるので、公的研究費のシフトが早く始まるのであれば、それに並行した形で動くほ うが現実的なのではないかと感じます。 ○研究開発振興課課長補佐 厚生労働科学研究費だけに限らず、いま総合科学技術会議 で、いわゆる競争的資金のあり方についていろいろな議論をされているところです。そ ういった部分の方向性が見えてこないと、役所的で申し訳ないのですが、我々も書けな い部分もあります。武林構成員の実感はまさしくそのとおりなので、平成23年度のこと を非常に慎重に書いていますが、新しい情報が出てきたところで直していきながらアッ プデートしたいと思っております。 ○楠岡座長 先ほど事務局から説明がありましたが、23頁でCRCの中核病院・拠点病 院の適正数について、前回パブリックコメントでいい案があればということになったの ですが、あまりいい案が寄せられなかったので、ここはもう少し検討すべきところで残 っております。いろいろな先生のご意見で、治験責任医師1名当たりだけではなく、C RCの1年間のプロトコル数、計画数も入ってきているわけですが、そのときに症例を 何例ぐらい持っているかも1つの指標かと思います。  昨年の調査の中では、参考資料2にあるように、治験の計画数としてもほぼ大体終了 できているという回答の平均値が7.3ですが、最高値は40ぐらいで、かなりばらつきが あります。たぶん、これは治験の内容によると思います。同じく、症例数に関しても先 ほど事務局で調べていただきましたが、平均値が15、16ぐらいなのですが、最高値は 138ぐらいで、内容によります。  ただ、ターゲットになっているのが中核病院・拠点医療機関なので、通常の軽いプロ トコルではなく、相当のものをやっていると考えて、平均値を使うのがいいと思います。 平均値は、どちらかというと極端に高い値があると引っ張られているので、この平均値 はかなり高目に出ていることにはなるかもしれませんが、そちらに置いてもいいのでは ないかと思います。この形で、年間計画数と、担当症例数を加えるかどうかは、のちほ どメール等でご意見をいただきたいと思います。 ○一木構成員 これに関しては、163番と164番にコメントが出されていると思います が、このコメントの部分を少しこの中に加味することはできないのでしょうか。要する に、163番と164番は抗がん剤に関して書かれていますが、シニアのCRCの場合やジ ュニアの場合、中にはメンター制度の問題もあります。また、非常にやっかいな抗がん 剤の試験と均一的にやっていく場合等もありますので、この中に「試験の種類を考慮し」 など、折角パブリックコメントにかなり詳細に書かれたものが出ているので、これを盛 り込むことは可能ではないかという気がしたのです。 ○楠岡座長 ここは、少し検討させていただきます。ほかに何かありますか。  予定の時間になりましたので、本日のパブリックコメントに関する討論は以上といた します。本日いくつかご指摘の点が出たので、多少修正していく必要はありますが、大 筋この計画案については検討会として了承ということでよろしいでしょうか。 (了承) ○楠岡座長 ありがとうございました。それでは、本日いただいた意見を事務局で取り まとめて計画案を修正し、座長預かりにはしますが、必要な点に関してはメールにて各 構成員のご意見を伺い、確認をいただいた上で確定した計画としますので、よろしくお 願いします。  引き続き、平成19年度に計画されている事業についてご説明をいただきます。文部科 学省の取組について、高等教育局の三浦医学教育課長からお願いします。 ○医学教育課長(文部科学省) 資料5です。文部科学省として、事業は2つあります。 今回の平成19年度の予算案そのものについては、いま国会でご審議いただいているとこ ろですが、その政府案の内容についてご説明します。  「地域医療等社会的ニーズ」云々と書いてありますが、私どもは「医療人GP」と略 称しております。GPとは「Good Practice」そのもので、「趣旨・目的」にあるように、 それぞれ特色ある優れた取組を提案いただき、その中から財政支援を行うものを選定す るということです。したがって、それぞれの大学から提案をいただくことが重要になり ますが、それと同時に、選定されるのは数として一定の限界があるので、ノウハウを他 の大学に情報提供していただくことを含めて、大学における教育の活性化を促すという ことです。  この事業そのものについては、枠組みは平成17年度から始まっており、当時すでに出 てきていたへき地医療の問題や全人的医療の問題、平成18年度には分野別偏在、例えば 小児科や産婦人科等々の医師の養成の問題、さらには6年制に転換した薬剤師の養成課 程に関係した課題について、それぞれ大学からご提案いただき、すでに進められている ものです。  平成19年度は、3にありますように、16件程度を対象として財政支援を行いたいと 考えております。テーマ1は、女性医師・看護師の現場定着です。今日のテーマはテー マ2が直接関係するところで、「臨床研究・研究支援人材の養成」です。臨床研究などを 一層推進するということで、質の高い臨床研究者・研究支援人材、今日の議論にあった CRCや生物統計学者や臨床疫学者、データマネージャーなどの養成を図っていただく ことになっております。  今後の予定は、対象は国公私立の大学になります。3月上旬には公募要領の案をお示 ししたいと思っております。5月中旬まで応募の受付を行い、最終的には7月下旬には 大学を選定する手続きです。  2枚目は、先ほど荒川構成員からご発言のあった関係で、いわゆるTR橋渡し研究の 支援推進プログラムです。これは平成19年度予算案の新規です。必要性についてはご案 内のとおりで、いま橋渡し研究を推進していく観点から、推進すべき施策です。  事業概要ですが、大学等に存在する医・薬・理・工学のシーズを臨床へ橋渡しするた めの支援機関を公募し、全国で8カ所程度選定することになっております。その際に、 それぞれの大学の中にある教育研究組織、あるいは知的財産本部、これは大学によって 名称はさまざまですが、このような所と連携して組織・人材を活用するということです。 これも公募で行います。  その下に、支援拠点のイメージがあります。要は、橋渡し研究を支援するための機関 を充実強化する観点で、体制・組職・施設・設備などについて機能を整備することが1 点です。さらに、人材の確保・登用・育成ということで、必要な人材を養成することも 含めて対応する。  3番目に、橋渡し研究に必要な研究費を確保する観点で、それぞれセットで支援をし ていこうというのが今回の取組です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。ただいまのご説明に関して、何かご意見、ご質 問はありますか。荒川構成員、よろしいですか。 ○荒川構成員 具体的に治験の観点からこれをどう見たらいいかは、厚生労働省と文科 省の間で調整していただくことになると思いますので、またご検討をお願いします。 ○山本(精)構成員 とてもすばらしい案だと思います。実際、橋渡し研究に関して科 学者にノウハウがないので、製薬会社の人のノウハウなども入れていただいて、実際に この橋渡し研究をどうやるかに対しての筋道づけ、お金を出すだけではなくサポートと、 実際どれだけ治験までいったかの評価を含めた形での研究費の出し方をしていただけれ ばいいのではないかと思います。 ○荒川構成員 手前みそになりますが、私どもの所では、いくつか治験に移行するもの のほか、いろいろな段階のものがすでに走っております。多くのテーマが動き始めてい るのですが、先ほどの薬事法の問題は1つ大きな壁になっています。  また、産学連携本部などがベンチャーとの仲立ちをしてくださって、企業主導の治験 など、いろいろな形で進もうとしています。そういう中でも、資金的な問題で、初めか ら治験ではなく、臨床研究の形でスタートできないかというのが現実としての要望で、 臨床開発戦略上の問題になってくるのだろうと思うのです。この辺りは、全体でまたご 議論いただきたいと思っております。 ○楠岡座長 よろしいですか。それでは、引き続き厚生労働省からお願いします。 ○研究開発振興課課長(新木) 資料6をご覧ください。先ほど来、報告書の中でも触 れられている中核病院・拠点医療機関の件です。内容・機能については本文中でご議論 いただいているので、今後の手順のみについて簡単にご紹介します。  臨床研究基盤整備推進研究、厚生科学研究ですが、いわゆる中核病院の整備です。本 年度から始まっており、すでに5病院について指定していますが、さらに5病院追加し て選定するよう、現在準備を進めているところです。平成19年度からの研究事業なので、 平成18年度中にすでに公募を行っております。昨年12月11日に締め切りましたが、20 件あって、これから選定を進めていく段取りです。現時点では、(2)の(2)評価基準案の 作成をしているところで、これが済み次第第一次選考、さらに評価委員会を開いて面接 審査、交付決定をしていきます。  念のため申し上げると、厚生科学研究なので、この評価は外部の有識者の方々、また 行政委員も含めた評価委員会を設置し、その場で評価をしていきます。なお、(3)留意 事項の内容は、先ほど文部科学省の事業でご説明がありましたが、これとの重複等を避 けるという意味です。  次の治験拠点整備事業ですが、これについては公募を年度内には開始し、できるだけ 速く、平成19年度早期の段階で実施できるように準備を進めていきたいと思っておりま す。そのために、5月上旬には第一次選考、5月下旬には評価委員会による選考を行い、 翌月に交付決定をしたいと思っております。  なお、これについても上記の中核病院、文部科学省の橋渡し研究事業との重複がない ように選定を進めていきたいと思っております。以上のことについて、文部科学省との 連携の下でやっていきたいと考えております。 ○楠岡座長 ありがとうございました。何かご質問はありますか。 ○山本(晴)構成員 基盤の中核・拠点の所が、それぞれ個々に活動するだけでは全く 意味がないと思います。つまり、皆が100%同じように考えていても、全く無駄だと思 いますので、ある程度効率的にやるために、出揃ったところでお互いに知恵を持ち寄る とか、領域別に得意なところ、不得意なところのノウハウを補う場を作っていただけれ ばいいと思います。 ○研究開発振興課課長 本文中に書いてあるとおり、選定または運営の段階で、必要に 応じて協議会等も作りながらやっていきたいと思います。 ○楠岡座長 よろしいですか。それでは、事務局から何かありましたらお願いします。 ○研究開発振興課課長補佐 本日は検討会の最終回ということで、松谷医政局長からご 挨拶を申し上げます。 ○医政局長 先生方、大変お忙しいとき、また雨の中お集まりいただきましてありがと うございました。ちょうど6月にスタートして、今日まで8回になります。お忙しい中、 構成員の皆様方にはそれぞれのお立場から真剣なご議論をいただきまして、大変感謝を 申し上げます。4つの調査班による詳細な調査もなされ、それを踏まえて計画案が策定 されました。年明けからは、いまご議論があったように、1カ月間かけて広く国民から パブリックコメントを求めたわけですが、それらが反映された計画が、本日ご議論され たわけです。  治験、あるいは臨床研究の迅速化と質の向上を図り、国際的に魅力のある環境を実現 することは非常に大事なことで、文部科学省と厚生労働省で連携をし、本日ご議論いた だいた計画を着実に実施していきたいと考えております。  本日の計画案は、今日のご意見もあり、若干詰めるところもありますが、是非最終的 なものにしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私ど もといたしましても、構成員の皆様方の各専門分野における高いご見識によるご議論を 踏まえ、これからいろいろな施策の実現に取り組んでまいる所存ですので、よろしくお 願い申し上げます。  皆が集まる検討会としては今日が最終回となりますが、また最終的なご意見等もいた だきたいと思っております。計画の実施にあたっては、座長をはじめ、構成員の皆様方 に引き続きそれぞれのお立場からご指導、ご協力をいただくことになろうかと思います ので、お願いを申し上げまして、最終の締めのご挨拶とさせていただきます。本当にあ りがとうございました。 ○楠岡座長 どうもありがとうございました。事務局から、今後の予定についてお願い します。 ○研究開発振興課課長補佐 本日のご意見を踏まえ、事務局で計画案を修正します。ま た、メールで各構成員の皆様にご確認をいただいたあと、公表していく段取りになると 思います。本日の議事録については、作成次第皆様にご確認をお願いし、その後公開し ますので、併せてよろしくお願いします。 ○楠岡座長 ありがとうございました。ただいま局長からありましたが、非常に短期間 に8回の検討会を行ったということで、構成員の方々には非常にお忙しい中ご協力いた だきましてありがとうございました。また、事務局からも非常に大きなサポートをいた だきましたし、今回パブリックコメントに関しても多方面から多数意見をお寄せいただ きましてありがとうございました。おかげをもちまして、次期治験活性化計画策定に係 る検討会も無事終了することができます。皆様方のご協力を感謝しまして、第8回並び に検討会そのものを終了いたします。どうもありがとうございました。 (照会先)   厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室    (03)5253−1111(内線 4163、4164)