07/02/09 医療関連サービス基本問題検討会第21回議事録           第21回 医療関連サービス基本問題検討会                        日時  平成19年2月9日(金)                            10:30〜                        場所  厚生労働省共用第8会議室 ○川瀬室長  定刻になりましたので、ただいまから、第21回医療関連サービス基本問題検討会を開 催させていただきます。皆様方には、大変ご多忙なところ、本検討会にご出席を賜りま して、誠にありがとうございます。本日、医政局長の松谷におかれては、国会等の業務 のため、急遽、欠席させていただくことになりました。大変申し訳ありませんが、皆様 のご理解を賜りたく、併せてお詫び申し上げます。開催にあたり、事務局を代表しまし て、経済課長の武田よりご挨拶を申し上げます。 ○武田課長  経済課長の武田でございます。本来ですと、医政局長がご挨拶すべきところでござい ますが、いまご説明がありましたように、本日は、どうしても出席ができなくなりまし たので、私から事務局を代表しまして、挨拶を申し上げます。  本日はお忙しい中、医療関連サービス基本問題検討会にご出席いただきまして、誠に ありがとうございます。皆様方には、日頃より、医療関連サービスの質の確保及び業界 の健全育成のためにご尽力を賜り、厚く御礼を申し上げます。  我が国の医療をめぐる環境は、急速な少子高齢化の進行、安全で安心できる医療を求 める国民の要請など大きく変化してきており、国民の医療に対する安心・信頼を確保し、 質の高い医療サービスが適切に受けられる体制を構築していくことが求められておりま す。  厚生労働省におきましては、こうした状況を踏まえ、患者の視点に立った、安全・安 心で質の高い医療提供体制を構築する観点から、昨年、医療法、医師法等の改正を行い、 患者支援のための医療に関する情報の積極的な提供、医療機能の分化、連携を推進する ための医療計画制度の見直しや医療法人制度改革などに取り組んでいるところでござい ます。  一方、医療関連サービスにつきましては、医療機関の経営の合理化、効率化や患者サ ービスの向上に大きく貢献をしており、患者、国民の視点に立って医療関連サービスの 更なる質の確保、向上に努めているところでございます。  本日、お忙しい中をご参集をいただきましたのは、昨年9月に開催した本検討会にお いて、寝具類、洗濯業務におけるオゾンガス消毒の追加に関し、その有効性や安全性に ついて検討が必要であるというご意見等を踏まえ、本検討会の下に、「寝具類洗濯専門 部会」を設置し、精力的に議論を重ねていただいた結果、去る1月に「報告書」を取り まとめていただきましたので、ご検討いただきたいと思います。  本日ご参集の委員の皆様方におかれましては、それぞれご専門の立場から、忌憚のな い意見を賜りまして、医療行政の充実に反映させていただきたいと思います。以上、簡 単ではございますが、私からの挨拶とさせていただきます。平成19年2月9日、医政 局長、松谷有希雄。  改めて、医政局長が出席できませんことをお詫び申し上げますとともに、本日、ご審 議を賜りたく、お願いを申し上げます。  なお、重ね重ね、大変失礼ではございますが、私自身も、いま現に、日米の政府の定 期協議が別室で開催中でございますので、失礼ながら、中座、退席をさせていただきた いと思いますので、よろしくご理解をいただきたいと思います。 ○笹子補佐  ありがとうございました。議事に入ります前に、本日の委員の出欠状況についてご報 告いたします。本日は遠藤(昌夫)委員、太田委員から、欠席のご連絡をいただいてお ります。  お手元の資料の確認をさせていただきます。資料1「寝具類洗濯業務におけるオゾン ガス消毒に関する報告書」、別添として、報告書の概要を添付しています。次に資料2 −1で「業務委託に関する関連法令等」です。別添として、A4横の省令通知の3段表 及び寝具類の一覧表を一緒に綴じています。  続いて資料2−2です。「課長通知に規定する消毒方法(案)」です。資料2−3で すが、「寝具類洗濯専門部会の設置について」です。参考資料として、「業界からの要 望書」です。以上が本日の資料です。  また、本日の資料とは別に、「寝具類洗濯専門部会」において検証していただいた、 文献や研究報告、あるいは試験結果について、専門部会の資料から抜粋したものをご用 意しておりますので、資料と併せてご参照いただければと思います。資料の未配付など、 不備がありましたら、事務局にお申しつけいただきますようお願いいたします。  それでは、以下の進行については座長にお願いします。 ○座長(田中)  改めまして、おはようございます。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとう ございます。医療関連サービス基本問題検討会の議題がいろいろありますが、今日は「寝 具類洗濯業務におけるオゾンガス消毒に関する報告書」について議論いたします。何か あれば、「その他」のところで対応します。  昨年9月にお集まりいただきまして、オゾンガス消毒の有効性、安全性について検討 するために、部会を設置することの承認をいただきました。その際、大変活発な議論が あったことも覚えております。本日は、「寝具類洗濯専門部会」において取りまとめて いただいたオゾンガス消毒に関する報告書について、審議いただきます。  そのため、本日は「専門部会」の座長を務められました、東京医療保健大学医療情報 学科感染制御学教授の大久保先生にご出席いただいております。後ほど、事務局からの 説明が終わった後、専門部会の報告書について、大久保先生よりご説明いただきます。  はじめに、専門部会の設置の経緯などについて、改めて、きちんと把握するため、事 務局から説明をお願いします。 ○川瀬室長  資料2−1、資料2−2、資料2−3について説明いたします。  はじめに、資料2−1「業務委託に関する関係法令等」です。1頁ですが、真ん中の 枠で囲ったところをご覧ください。医療法においては、病院等の管理者は、診療または 患者の入院等に著しい影響を与えるものを委託しようとする場合は、一定の基準に適合 するものに委託しなければならないとしており、著しい影響を与えるものとして、政令 では2頁になります枠で囲っている8業務を定めています。その8業務のうち、マル7 に今回ご検討いただきます患者等の寝具類の洗濯というところがあります。  また、この施行令を受けて、省令等の細かい基準が定められています。省令等につい ては、4頁になります。これらの省令等で具体的な基準を設けていますが、洗濯の関係 ですと、左側の囲みのところです。ここが、医療法施行規則となっておりまして、これ が省令となります。運用通知としましては、真ん中の局長通知、右側にはさらに細かい 課長通知ということで、10数頁に渡って詳細に規定が設けられています。  続いて、資料2−2です。これは先ほどの右側にあった課長通知から、消毒方法の箇 所を抜粋して、一覧にまとめたものです。真ん中より少し下に、ホルムアルデヒドガス 及び酸化エチレンガスによる消毒方法、その条件等についてまとめています。今回、こ のガスを用いた消毒方法に関して、より有効で、安全なガス消毒方法として、新たに、 オゾンガス消毒の追加について、ご承認いただきたく、ご検討のほどよろしくお願い申 し上げます。  続いて、資料2−3です。これは昨年開催した本検討会において、オゾンガス消毒に ついては、エビデンスはもとより、環境への影響、セレウス菌などの芽胞を形成するも のに対する効果などを含めて、ご検討いただくということで、専門部会の設置をご了承 いただいたものです。説明は以上です。 ○座長  ただいまの説明について、何かご質問、ご意見はおありでしょうか。特にないようで したら、大久保先生から、専門部会の報告書について説明をお願いします。 ○大久保参考人  東京医療保健大学医療情報学科感染制御学の大久保でございます、よろしくお願いい たします。私は、「寝具類洗濯専門部会」の座長として、報告書の取りまとめをさせて いただきましたので、本日ここに、ご報告させていただきます。  資料1として、報告書及び報告書の概要を用意させていただきました。お手元の報告 書の7頁をご覧ください。専門部会の委員名簿です。ご覧の7名を委員として、それぞ れ感染制御、消毒、病院管理など専門の立場から検討を行いました。  続いて、8頁をご覧ください。専門部会の開催経過です。第1回目として、昨年10 月27日に会議を開催しました。寝具類洗濯業務の現状と、現行の委託基準を確認し、ま た、社団法人日本病院寝具協会からオゾンガス消毒に関する研究報告を受け、議論を行 いました。  第2回目は12月13日に開催し、検討を進めました。最終回である第3回目を、本年 1月19日に開催し、お手元にある報告書をまとめさせていただきました。  まず、報告書の前文である1頁の「はじめに」から、そして2頁の「基本的な考え方」 まで、要約して申し上げます。  医療機関で使用された寝具類は、病原体に汚染されたもの、血液や体液、排泄物等が 付着しているもの、一般のものがあります。これらは、感染症の蔓延や作業従事者に対 する感染防止などの観点から、適切な処理がなされなければいけません。現行基準によ り、医療機関及び受託事業者が医療機関以外の専門施設で行う消毒等について、それぞ れ定めているところでございます。  また、感染の危険のある寝具類は、原則として医療機関内で消毒をしてから、受託事 業者に引き渡すこととされていますが、例外的に、感染の危険ある旨を表示した密閉性 の容器に入れて、未消毒のものを委託する場合もあることから、それらのものは、受託 事業者が医療機関以外の専門施設において消毒することとなります。  そして、消毒は、蒸気、熱水、塩素剤、ガス等を用いた方法で行うこととされており、 基本的には、80℃10分の熱水による消毒が主であります。ガスに関しましては、低温に よる消毒が可能であることから、加熱による材質の損傷のおそれがないといった利点は あるものの、残留毒性、発がん性など人体への影響等から、より有効で安全なガス消毒 の方法として、新たにオゾンガスによる消毒方法を追加すべきか否か、その有効性、安 全性について議論を重ねてまいりました。  引き続き、報告書の概要版をご覧ください。まず、1番目の「基本的な考え方」です。 近年、オゾンを活用して、院内の病室、手術室、厨房、医療機器や介護用品などの殺菌、 消毒が行われており、又、医療機関以外でも、食品や水処理など広い分野で活用されて います。このような状況を踏まえ、新たにオゾンガス消毒を追加すべきか否か、オゾン ガス消毒に関する文献や研究報告、試験結果等に基づき、病原菌等に対する有効性、患 者等や作業従事者に対する安全性について検討した次第です。  2番目は「オゾンガス消毒の有効性について」です。血液や体液、排泄物が付着して いる感染の危険のある寝具類には、大腸菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌、黒カビなどの病 原菌や一般細菌が付着している可能性があります。これらの病原菌等を想定して、寒天 培地及びメンブレンフィルターを用いた試験の有効性データを検証したところ、どの病 原菌においても、オゾンガス消毒による有効性が確認できました。  オゾンガス消毒の有効性は、CT値(濃度ppm×時間min)によって表現されます。C T値、「C」はconcentration、「T」はtimeです。先ほど申し上げた有効性データで は、それぞれの病原菌におけるCT値は様々ですが、最も高いCT値は黒カビの 5,600ppm・minであったことから、目安としては、CT値6,000ppm・min以上の設定が必 要であると考えます。  なお、常在菌として存在しているセレウス菌や枯草菌が形成する芽胞菌を完全に除去 するには滅菌以外に方法はなく、創傷等のない健常な皮膚に接触する寝具類においては、 これらの芽胞菌が増殖しない程度にまで減らすことが重要と考えます。  一方、一度に大量の寝具類や折りたたんだ状態での消毒に際しては、中心部までガス を浸透させるために必要な濃度を計測したところ、中心部の濃度は、外部における濃度 の70%以上を確保しており、又、曝露時間の経過とともに、それぞれの濃度は同様な傾 向で上昇していたことも確認できました。これにより、中心部を消毒するために必要な 濃度を確保するためには、CT値を9,000ppm・min以上に設定する必要があると考えま す。  有効性についてもう1つ、素材への影響でありますが、オゾンは酸化力が強いことか ら、ゴムなどの素材はオゾンガス消毒によって劣化するため、対象物の適否等を明確に しておく必要があると考えます。  3番目は「オゾンガス消毒の安全性について」です。オゾンガス消毒を行った寝具類 に残留毒性がある場合は、その寝具類を使用する患者等に支障を来す恐れがあることか ら、オゾンガス消毒後は、消毒庫内のガスをオゾン分解触媒を通して、適切な排気等を 行う必要があります。寝具協会において、実験装置を用いて実際のオゾンガス消毒と同 様の工程により寝具類の消毒を行い、その後、適切な排気等を行った上でそれぞれの残 留濃度を測定する試験を行った結果、どの寝具類も残留濃度は検出限界である0.001ppm 以下でありました。  この試験結果から、オゾンガス消毒後は、消毒庫内のガスをオゾン分解触媒を通し、 酸素に分解して排気するという作業工程を適切に行うことにより、オゾンガス消毒後の 寝具類にガスが残留しないことが確認できました。  続いて、概要版の2枚目「作業従事者への影響」です。オゾンガス消毒を行う作業従 事者は、高濃度のオゾンガスを被曝する恐れがあることから、ガス漏れを検知するセン サーを適切な箇所に設置し、併せて、定期的に作業所内の換気を行うことにより、作業 環境基準である0.1ppmを遵守する必要があります。  安全性についてもう1つ、「オゾンガスの発生装置」についてです。オゾンガスを発 生させるためには、空気中の酸素と電気(100V)を用いますが、空気中には窒素も含ま れており、オゾンガス生成時に有害な窒素酸化物が排出される危険性もあることから、 PSA式酸素発生装置、これは機器に内蔵された窒素吸着剤を通して大気中の空気を高 濃度酸素と窒素に分離するものですが、この装置を有するオゾンガス発生装置を用いて、 高濃度酸素と電気によりオゾンガスを生成する必要があると考えます。  これは高濃度酸素(90%以上)と電気によってオゾンガスを生成するこにより、オゾ ンガス生成時に窒素が含まれることはほとんどないことから、有害な窒素酸化物が排出 される危険性も非常に少なくなります。  4の「その他」として、諸外国における寝具類の消毒状況です。こちらについては、 山口大学医学部付属病院薬剤部の尾家重治先生を参考人として招致し、諸外国の状況を 含めたガスによる消毒について、幅広くご意見をお伺いしましたところ、諸外国におい ては熱水消毒が主であり、ガスによる消毒は殆ど行われていないという実態が確認でき ました。  日本における寝具類の消毒についても、熱水消毒が基本となりますが、寝具類の素材 等の特性などにより熱水消毒が困難な場合があることから、低温によるガス消毒も必要 となっています。  以上、寝具類洗濯業務におけるオゾンガスの消毒について、文献や研究報告、試験結 果等に基づき、その有効性や安全性について検討してまいりました。厚生労働省におい ては、オゾンガス消毒の追加にあたり、この報告書を踏まえ、患者等に対して安全で安 心なサービスの提供を図るため、寝具類洗濯業務の委託基準について必要な見直しを講 じていただきたいと思います。簡単でございますが、検討結果についてご報告申し上げ ました。 ○座長  ありがとうございました。ただいまの説明について、何かご質問、ご意見がありまし たら、ご自由にお願いします。 ○羽生田委員  CT値で、有効性の値が出ているのですが、現実に消毒に使用するときは、1分で 6,000ppmというものを使うということなのですか、それとももう少し時間的に長く、も う少し濃度を低くして使用するということになるのでしょうか。 ○川瀬室長  現時点では、具体的な数字等はお示しできませんが、例えば200ppmを30分というこ とで、一定の時間を設けて、その間にCT値が6,000ppm・min以上になるようなことを考 えています。 ○池澤委員  いまのお話に関連するのですが、そうすると、実際の問題としてはびっちり積み重ね てある布団などの場合に、内部への浸透の問題というのは、時間が大きなファクターを 持つでしょうから、時間のほうに重点を置くということですか。 ○川瀬室長  そうですね、今申し上げたのは1つの例でございまして、いずれにしても、寝具類が ある程度大量に入った場合に、どうしても中心部にまで浸透させなければいけないもの ですから、いまの実験結果等においては、外部の約7割程度が、ある一定時間を経過す れば中心部も確保できるというデータが出ているので、そういうものを踏まえた上での 整理をさせていただきたいと考えています。 ○座長  諸外国では熱水で済んでしまうということですが。 ○大久保参考人  それは寝具類の素材に大きく影響されます。日本では布団の綿です。それに比較して、 外国では水で洗えるような素材にすることに重点が置かれているので、その辺が違うと ころだと思います。日本の綿布団を使う特性上、こういう形になっていると思います。 ○座長  オゾンガスというのも例外的なのですね。 ○大久保参考人  言ってみれば、基本的には熱水で処理できる素材に変えていく必要があると思うので すが、日本は病院のみならず、介護、老人施設等でも布団に拘るところがありますので、 こういう形だと思います。 ○座長  布団文化を守るためにガスが必要ということですね。 ○羽生田委員  排気というか、空気中に出すときには、必ず触媒を通して出すということですが、触 媒を通さずに漏れてもあまり害はないと言ってもいいのでしょうか。 ○川瀬室長  高濃度で漏れると、当然呼吸器系統等への影響はありますが、機械の安全装置と、現 在のエチレンオキシドガス等の消毒庫と同じような安全性、何重にもかけた安全機能を 装備する、もしくは、いま以上の部分で考えも進んでいるので、そういう意味での漏れ というのは、基本的には心配をしていません。  分解触媒については、マンガン酸化物という格子状に組んだところにオゾンを通する ので、そこで全部吸着してしまう。基本的に実験結果等では、ほとんど有害な形にはな らないという結果です。 ○大久保参考人  万が一、オゾンガスが漏れたとしても、酸素に自然に分解されます。全体の量の半分 になるのが大体12時間ですので、残留毒性とかはないと思いますが、高濃度のものが曝 露する危険性は相当注意しておかなければいけないと思います。 ○大道委員  今回のオゾンガスによる消毒の有効性、あるいは安全性については、今日ご報告いた だいたので大丈夫だということだと思います。  その上で、今後どうなるかというところをお答えいただけるか、わからないのですが 委託の問題として提起されているのですが、院内レベルで、消毒という行為は従前もあ りますし、今後もどういう考え方で受け止めていかなければいけないということも併せ ての質問ですが、これが認められることによって、委託業務の中で熱水で対応してきた ところを、布団という寝具の特性を捉えてオゾンガスになると、委託の中身がこうなる という見通しはおありなのでしょうか。  それから、院内で例えば酸化エチレンガスなどについては、かなり気を遣って管理を してきたわけですが、オゾンガスの今回の扱いが、それなりに国として条件でというこ とが出てくるわけですが、院内で対応しなくてはならないことで、もし、何か専門的に おありでしたら教えていただきたいと思います。 ○大久保参考人  今回の検討は、医療機関以外の専門施設における基準に限定して検討しています。こ れが将来院内で自由に使える形になるかに関しては、検討しておりません。  それから、いま大道委員が言われた、現行基準であるエチレンオキシドガスとホルム アルデヒドガスなのですが、これらのものは非常に毒性が強くて、厳重な管理が必要と いうことですが、現在の2つのガスに比較して、オゾンは十分に受け入れられる、むし ろ従来使われてきたものを禁止する方向で進むべきではないかと考えています。 ○座長  単に新しいものを追加するだけではなく、いま認められているものをいずれ禁止する と。 ○大久保参考人  そうですね、低温滅菌ということで、プラスチックとか、そういうものはエチレンオ キシドガスを使わざるを得ない場合もあるのですが、耐熱性のものは高圧蒸気滅菌、こ れが基本で、熱に弱いものはガス滅菌ということですが、その中でエチレンオキシドガ スは捨て難いわけですが、残留毒性、発がん性、催奇形成などいろいろと強い毒性が多 いものですから、必要最小限にするという概念が大事だと思います。  もし、寝具類を院内で対応する必要性が出てきた場合には、やはり高圧蒸気滅菌を適 用すべきだと思います。ただ、熱に対して素材が、化学繊維は対応できないと思います ので、院内での滅菌というのは不可能ではないかと思っています。 ○大道委員  医療機関の現場で、寝具類の消毒、場合によって滅菌というのは、苦慮している問題 のひとつです。専門的な基準とか、考え方というのは必ずしも徹底していません。  私は、問合せを受けるような立場におるのですが、なかなか答えきれません。汚染さ れればその都度対応するとする考え方があるのですが、その都度、何をどう対応するか までは、必ずしも、考え方が明確でないのです。汚染されたらその都度ということは、 汚染されたというのはどういうことかとか、定期的に年に何回かという基準がいいのか ということで、院内の施設設備管理上は、結構厄介な問題になっているという認識を持 っています。  今回、大久保先生からしっかりとご指示をいただいたので、改めて、そういうことだ ということで、必要であれば、院内レベルでの問題として検討するようなこともあるの かなと思っています。 ○大久保参考人  寝具類というのは、患者の健常な皮膚に接するものということで、これはノンクリテ ィカルになるので、決して無菌性を追及するものではないと思います。清潔、不潔とい う意味は、清掃でもいえることですが、目に見える汚れがあるかどうかというのが、こ の領域での清潔、不潔です。  例えば手術で使う道具の清潔、不潔は無菌かどうかということですけれども、寝具類 は、そういう意味では無菌である必要はないと思います。正常なレベルより異常に菌が 多い場合には、先般問題になったセレウスなどですが、そういうものの洗濯の問題で異 常に数が増えるようなものは問題ですが、通常レベルであれば、これは無菌にする必要 はないということです。  しかし、最近はいろいろと新しい疾患も出てきまして、SARSなどに対する対応は、 初期段階としては、無菌を要求されることもあるかもしれません。そういう場合には、 あらかじめ汚染がわかっているわけですから、滅菌できる素材で患者を包むというか、 そちらのほうが大事ではないかと思います。 ○座長  状態が事前にわかっていればそうですね。そして一般の寝具とは違うということです ね。 ○大久保参考人  はい。 ○遠藤(久)委員  ただいまのやり取りの中で、私の疑問はある程度解決したのですが、疑問というのは、 すでに2つのガスによる消毒が行われています。それで、今回はまた新しいものを追加 するということですが、先ほどのお話の中では、熱水消毒が適切でないということなの で、議論になっていたわけですが、すでに2つのガスがあるわけですので、それによる 布団の消毒は行われていたのだと思うと、なぜここで1つ追加をする必要があるのかが 報告の中になかったものですから。ただ、ただいまの中で有効性、特に毒性が弱いとい うことで、今回、これにすると、そのように理解してよろしいわけでしょうか。 ○大久保参考人  もう1つは、経済性という点もあります。装置を含めて、あるいはガスそのものの費 用です。これは、専門部会の参考資料にも入っていると思います。 ○遠藤(久)委員  それに関連しますと、もし、この装置が非常にコストが高いとなると、大手しかでき ないこともあるかもしれませんが、必ずしもそうではないわけですね。 ○川瀬室長  基本的には、いま使われているガス消毒庫、いまの装置と設備そのものの負担は変わ らないと考えています。つまり、ランニングコストが経済的であるとうことです。 ○座長  あとはよろしゅうございますか。一通りご質問が出たので、私たちとしては専門部会 から提出された報告書について、親委員会としても原案どおり承認したいと思いますが、 いかがでしょうか。  (異議なし) ○座長  異議なしとのことですので、専門部会から提出されました報告書について、本検討会 としても承認することとします。ここまで短期間のうちに精力的に検討を重ね、報告書 を取りまとめていただきました大久保先生並びに専門部会の各委員の方々に敬意を表し たいと思います。ありがとうございました。  その他は特にありますか。なければ、事務局からはいかがですか。 ○川瀬室長  本日はお忙しい中、ご出席を賜りまして大変ありがとうございました。今後の作業と しては、本日ご承認いただいた報告書に沿って、通知等の改正を行っていきます。また、 今後医療関連サービスを推進していく中で、現行の委託基準の見直しや、新たな検討課 題が発生しましたら、座長と相談の上、委員の皆様方のご協力を賜りたいと思いますの で、引き続き、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。 ○座長  ありがとうございます。皆様のご協力で理解も進みましたし、専門部会のお蔭で報告 書もまとまりました。この方向で進めていきます。どうもありがとうございました。                                     −了− (照会先) 厚生労働省医政局経済課    医療関連サービス室        佐藤、峰岸 03−5253−1111 (内線)2538又は2539