07/02/05 第5回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議の議事録について 第5回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議 日時  平成19年2月5日(月)14:00〜17:00     専用15会議室(厚生労働者7F) ○石塚総務課長 それでは、定刻となりましたので、第5回「介護保険制度の被保険 者・受給者範囲に関する有識者会議」を開催させていただきます。  まず初めに、事務局の方から本日の委員の出欠について御報告を申し上げますが、 大森委員、矢田委員、それに山本委員からは欠席の御連絡を受けております。  続いて事務局に異動がありましたので御報告をさせていただきます。障害保健福祉 部長の中村でございます。  それでは、京極座長よろしくお願いいたします。 ○京極座長 それでは、本日の議題に入ります。本日の議題は被保険者・受給者範囲 に関するヒアリングです。まず、事務局から簡単に本日のヒアリングについて御説明 をお願いします。また、委員の中で大島委員は遅れる旨の御連絡が入っております。 それでは、よろしくお願いします。 ○石塚総務課長 それでは、お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。本日 御意見をいただく8団体の方々のお名前を記させていただいております。この資料に 基づきまして、初めに8名の方々を御紹介申し上げたいと思います。  まず、日本身体障害者団体連合会の森様でございます。  続きまして、全日本ろうあ者連盟の安藤様でございます。  続きまして、全国脊髄損傷者連合会の大濱様でございます。  続きまして、DPI日本会議の三澤様でございます。  続きまして、日本障害者協議会の藤井様でございます。  続きまして、全日本手をつなぐ育成会の松友様でございます。  続きまして、全国精神障害者家族会連合会の江上様でございます。  なお、日本盲人会連合の笹川様は若干遅れて参りますので、御到着次第御紹介を申 し上げます。  また、お手元の資料2以下で各団体から予めいただきましたヒアリング資料が配付 されていると思います。この資料に基づきまして、各団体、それぞれ10分程度という ことで御説明をいただきまして、その後、まとめて質疑ということにさせていただき たいと思います。  以上でございます。 ○京極座長 それでは、10分程度と大変時間が少ないので申し訳ございませんが、最 初に日本身体障害者団体連合会の森様から資料の御説明をお願いいたします。 ○日本身体障害者団体連合会常務理事 日本身体障害者団体連合会の常務理事兼事務 局長の森と申します。よろしくお願いいたします。  お手元の資料2でございますので、お開けいただければと思います。日本身体障害 者連合会の本件に対します検討した結果につきましての見解が述べておりますので、 小川会長のかわりといたしまして、私の方から読ませていただきます。        介護保険制度の被保険者・受給者範囲の拡大に関する見解               社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長 小川榮 一  介護保険制度を65歳未満の障害者の介護にも拡大するかどうかは、障害者当事者 にとってきわめて重要な事柄であり、通常の状況下であれば、障害者の生活や自立 支援にとってプラスになるかどうかという視点や制度のユニバーサル化の視点など から慎重な検討を加えた上で、その適否を判断することになる。  しかしながら、現在の障害者施策を取り巻く状況は、昨年4月からの障害者自立 支援法の施行に伴って、サービス利用時の利用者負担の増加や事業者収入の減少、 その結果としてのサービス利用の差し控えや施設職員のパート化といった問題が生 じ、全国各地の現場で多くの混乱が引き起こされたところである。幸い、これらの 問題については、年末の補正予算及び平成19年度予算案の中で解決に向けた道筋が 示され、一安心できる状況になったが、自治体等での具体的な運用に反映させる作 業はこれからであり、障害者自立支援法が本来の目的に沿った効果がもたらされる ようになるかどうかは、いまだ注視しなければならない段階である。更にさかのぼ ると、障害者施策においては、平成15年の支援費制度導入以降、毎年のように補助 金の廃止や予算不足の問題が持ち上がり、そのたびごとに、障害者団体、行政、国 会・地方議会等の各所での必死の取り組みが行われてきた経過があり、ようやく今 回の障害者自立支援法の施行と補正予算等での手当てにより、一定の落ち着きを見 せるきざしが見えたところである。  こうした数年にも及ぶ障害者施策の断続的な制度見直しと、それに伴う現場の混 乱が続いてきた中、ましてや障害者の所得保障が十分ではない上、本年10月、障害 者自立支援法が施行され間もないこの時期に、介護保険制度の年齢拡大を議論する ことは、時期の適切さを欠くものであると考える。今は、障害者にとっては、障害 者自立支援法が地域生活の支援や自立支援のためにどのように機能を発揮できるか を見守ることに力を注ぐべき時期であり、別の大問題まで議論を広げて現場の混乱 を再来させることは避けねばならない。したがって、障害者自立支援法等が定着す るまでの間は、介護保険の適用問題の検討は凍結すべきである。  なお、補足であるが、将来的に介護保険の適用問題を検討する際には、今回の障 害者自立支援法の施行過程においても明らかになったように、障害者施策のこれま での経緯や障害者の生活状況等を含めた特性(特に、障害者に特有な介護必要度の 判定、重度の障害者向けのサービス類型、低所得者が多いことを踏まえた利用者負 担の設定など) に十分配慮すべきであり、介護保険制度の基準や水準をそのままの 形であてはめることにこだわるのではなく、柔軟な姿勢で臨むべきであることを申 し添える。  以上でございます。 ○京極座長 ありがとうございました。座って御説明していただいて結構でございま す。ちょっと、それを言うのを忘れまして申し訳ありません。  それでは次に、全日本ろうあ連盟の安藤様から資料の御説明をお願いいたします。 ○全日本ろうあ連盟理事長 こんにちは。私は全日本ろうあ連盟の理事長の安藤豊喜 でございます。どうぞよろしくお願いします。  私は耳が全く聞こえないのです。自分の声を自分の耳で調整できないので、聞き取 りにくい面もあると思いますけれども、それは資料3を読んでいただいての御理解を どうぞよろしくお願いします。  先ほどからの日身連からの説明にもありましたように、私どもは今、障害者自立支 援法の課題で精一杯というのが現状です。  昨年の4月から支援法が段階的に施行となり、10月から本格的実施となりました。 ただ、これについて明らかなことは、十分な期間をかけた検討や準備期間が設けられ ず、障害者、家族、施設関係者、また市町村の十分な理解や合意が得られないままに 法定化されて、性急な施行となったという反省が必要ではないかと思っています。  具体的な課題を上げるとすれば、1つは障害区分が障害特性を的確に判定できるも のになっていないということです。2つ目が障害者の所得レベル、生活実情が十分に 考慮されず、負担に耐えられない障害者・家族が出ているということです。これが一 番の深刻な問題になっています。3番目が入所施設等の経営を脅かし、専門職員の継 続雇用を困難にしている面であります。私どもは、戦後、障害者の社会参加自立を目 指して、行政に長い歳月をかけて訴え、現在の到達レベルを確保したと思っているん ですけれども、このような長い運動の積み重ねが崩壊されるような危機感を感じてい ます。  本日の有識者会議ヒアリングのタイミングですけれども、私どもの団体は、ヒアリ ングの招聘を受けてから、非常に悩みました。といいますのは、私どもの今の団体の 大きな懸念は、先ほど説明した内容をどう解決するかということです。障害者自立支 援法が、障害者の所得や生活現状を踏まえ、自己選択、自己決定による自立を支援す る法律にすることが急務であり、この解決なくして、介護保険との統合や相互利用を 論じることは、今、私どもの団体では到底できないと考えています。更に、障害者自 立支援法は、障害者・家族・障害者団体・施設経営者などからの大きな懸念の声を振 り切る形で短期間に実施されることになりました。今、その影響を障害者・家族・施 設経営者がもろに受けているときであり、ヒアリングの時期、内容とも障害者の感情 を、厳しい言い方になりますけれども、逆なでするものとなっていると思われるもの です。  この障害者自立支援法は、まず、介護保険等の統合というような考え方で、社会保 障審議会の障害者部会に出されてきました。それがグランドデザインなど、またその グランドデザインが障害者福祉法となって法律化されたんですけれども、そこには問 題が出てから、2年間の短期間の計画や実施となっています。それを考えると、今回 のヒアリングする点は、余りに急であり、拙速な感じがするのです。  結論になりますけれども、介護保険に関する被保険者・受給者の拡大についてです けれども、今のところ被保険者の拡大については、私どもとしては意見を持ち合わせ ていないというのが正直な気持ちです。  ただ、受給者拡大が障害者福祉、つまり障害者自立支援法をイメージしているのな ら、現時点では、基本的に反対を表明せざるを得ないのです。その理由は、現行の障 害者自立支援法は、応益負担または障害区分等に見られるように、介護保険法をモデ ルとしています。その結果的によって、障害者福祉を後退させている現実があるから です。自己選択・自己決定による自立を理念とする障害者福祉と、本人、家族のため の要介護を目的とする介護保険は、理念、手法、内容とも異なる制度であるべきであ ると思います。  また、懸念する事項として、対象者数、予算規模等を見ても介護保険と障害者福祉 には格段の差があり、統合や相互利用は障害者福祉の理念や手法を埋没させる危険性 が大きいと思っています。したがって、障害者自立支援法が、その理念に沿って、障 害を有する当事者が歓迎し納得できる法律となり、その理念や手法が拡大策の中でも 堅持されるという保障が具体的に示されなければ賛成はできないと思っているんです。  私どもとしては、介護保険との統合や相互利用について、今の段階では全く検討で きないし、まず自立支援法を私どもが望むような法律に改善されるということが前提 であると訴えたいんです。  以上です。よろしくお願いします。 ○京極座長 ありがとうございました。それでは、全国脊髄損傷者連合会の大濱様よ り資料の御説明をお願いいたします。 ○全国脊髄損傷者連合会副理事長 全国脊髄損傷者連合会の大濱です。よろしくお願 いします。  資料が9枚あって、ちょっと多いんですが、できるだけ10分程度で要約させてい ただきます。  被保険者・受給者の範囲の拡大についてということで、昨年の12月、厚生労働省側 から2点について答えてくださいと、実は団体の方に来ていました。今回、撤回され たようですが、要介護となった理由や年齢のいかんにかかわらず、介護を必要とする すべての人を介護保険制度の適用とした場合のメリット、デメリットは何ですかとい う質問についてです。これにお答えするような形になるかと思いますが、この被保険 者の拡大の問題は、障害者の介護保険制度の適用は、主として財源論から来ているの で、これは介護保険の財源不足からの発想であるということで、私たちは介護保険は 平成27年度までの8年間で給付費が年平均4.7 %という推定値になっていますので、 団塊世代の高齢化により、平成37年度は給付費が17兆円にまで急増するということ。 これは厚労省側の予測になっています。一方、障害者の自立支援の給付費の伸びです が、平成32年度まで14年間で年平均1.4 %から多くて4%弱、3.8 %程度と推計され ています。しかも障害者人口が増加する要因が今ないということで、一人当たりの給 付水準が従来どおり続伸したとしましても、平成30年前後の給付費の総伸び率は落ち 着くと見られています。  こういうことで、厚労省は現在、障害者が介護保険制度に導入されることによって、 特定財源となり、安定するということで、私たちに説明があるわけですが、実質問題 として、障害者の財源、今年は国費ベースで4,000 億円。ですから、実質的には9,00 0 億円なんですが、介護保険の財源は実質的には6.6 兆円、約7兆円ですね。それか ら介護保険は平成27年には10兆円程度に膨らんでいきます。その先、最終的には平成 37年の17兆という形になっていますが、障害者の場合は、どんなに手厚くしても2兆 円が限界であろうと。要するに、国費負担ベースでは1兆円程度であるということで、 私たちは、このような形の介護保険の中に吸収合併されるような統合というのは、相 当問題があるんでしょうと。この後、いろいろと問題点を具体的にしますが、特定財 源がいいという一方で、特定財源がやはり社保庁の問題とかがあったように、不正の 温床になるとか、隠されて目に見えないという財源になっていますので、これを安易 に考えるというのは問題があるのではないかという考え方を持っています。  障害当事者団体として、私たちは、今42支部全部に介護保険との統合についてのア ンケートをしました。その結果、大体29支部から回答が戻っていますが、そのうちの 25支部が反対です。1支部が賛成、その他の3支部が中立の立場で、どちらとも言え ないような意見でした。このような背景に何があるかというと、やはり自立支援法に なって、支援費が大幅に変わって、この自立支援の内容に非常に信頼できないと。余 りにも制約が多過ぎるというのが、私たちの団体の今の見解です。もう少し、この自 立支援をしっかりと充実させてもらいたいと。このままでは非常に先細りになるので 心配だというのが大方の団体の中の支部の意見でした。  したがって、当事者団体としては、介護保険側の理由によって意図される統合で、 障害者の生活がいかなる影響が生じるかをしっかりと吟味していただき、影響が甚大 で解決不能な問題が山積するのであれば、拙速な統合によって障害弱者を切り捨てに ことがないようにお願いしたい。特に有識者会議の先生方におかれましては、「ユニ バーサル介護」、「共生型サービス」というもっともらしい言葉に惑わされることな く、慎重に議論していただくようにお願いしたいと思っています。  特に現在の特養ホームのように、ややもすると姨捨山のような傾向が見られますの で、このような国がつくった姨捨制度というような、そんな介護保険で批判を受ける ことのないように、是非しっかり考えていただきたいというのが、私たちのお願いで す。したがって、拙速なる統合には、はっきり言って反対いたします。  以下に反対の理由があるわけですが、まず1番として、ほとんどの9割方の市町村 で、このような介護保険制度の中に入っていったら、障害者が地域で生活できなくな るでしょうというのが、私たちの今考えられている内容です。  その理由が別紙ペーパーに列挙されておりますが、その中でポイントだけを申し上 げますと、介護保険は非常に弾力性のない制度でありますから、例えば、要介護度5 の人、この人が35万8,000 円という数字になっていますが、この数字を31日で割ると、 1日約1万1,000 円ぐらいなんですね。この方に介護を出すということになりますと、 連続で5時間、もしも連続でない場合、1日3時間ぐらいしか介護が出ないんですね。 ですから、介護保険は上限で大体90時間から、1か月150 時間という制度なんです。 障害者には、このような形では生活できないですから、介護保険の枠内でやるという のは、非常に窮屈な制度です。したがって、今現在、二階建てということが言われて いるわけですが、二階の部分を国費でしますよというような話が、実際には厚労省の 方から私たちの方に投げかけられています。  それでは本当に二階建てにして、ちゃんと担保できるのかということが問題ですが、 今現在、この二階建てを使っているグループはいいと思うんですが、新たに障害者、 これは24時間なり、前述の介護保険の枠組みを越えた長時間の重度の障害者が出た場 合には、やはり新たな予算措置というのは、市町村はしないと思われます。そうなる と、今、3時間とか、5時間という介護保険の枠の中の36万弱のお金で全部やり繰り しなければならないというような可能性がある。市町村は自分たちの負担が4分の1 ということになりますと、やはり負担したくないというのが市町村の本音だと思いま すので、そのような介護保険制度に今すぐ誘導するというのは、非常に危険ではない かと考えております。  したがって、このような考え方でいきますと、やはり9割の市町村では重度障害者 が生活できなくなるというのが大きな問題点です。  次に制度利用者のための制度改善のルートの必要性ということで、介護保険制度は 要介護者のすべてのニーズのうち、一部をサポートする、今申し上げましたように、 一部だけをサポートする制度でして、制度の主なる対象者が高齢者であるため、家族 介護を担える子どもたちがいたり、長年の貯蓄があったりするのが一般的であります。 このため、保険対象外のニーズについては、そのニーズが深刻なものであっても、今 まで育ててきた子ども世帯から介護を受けなさいとか、貯金を使って自費でサービス を購入しなさい。また、介護保険はすべてに対応していませんと断られるというのが、 今、介護保険の現状です。  そもそも介護保険とは、個々人の状況に合わせて市町村が柔軟に対応することがで きない制度です。たとえ介護利用者が生活できないような困難が生じたとしても、市 町村と話し合って制度改善は不可能であるというのが介護保険制度です。  一方、障害者の制度はどんな特殊なニーズがあっても、それが個々人の障害にとっ て深刻なものであれば、市町村が個別に判断し、きちんと国庫負担に基づくヘルパー 制度も各市町村によって柔軟に対応されるように運営されているのが現状です。  特に家族の介護を受けられない最重度の障害者が、突然、ある市町村に出た場合、 地方の財政力のない小規模な自治体であっても、生命にかかわるような問題であれば、 市町村と障害者等との話し合いにより、給付水準に改善が図られてきたという歴史が あります。  このように障害者の生活を支える最後の砦、これがやはり障害者の介護ということ なんですね。これを従来の介護保険の形の中に組み込むというのは、余りにも制約的 になり過ぎるということを私たちは非常に懸念しています。  このように介護保険のような硬直した仕組みでは、先進国の福祉制度としては問題 があります。先進国では民主主義下のもと、住民と地方自治体、議会や行政で話し合 って、福祉制度を改善してきた長い歴史があります。住民が制度を改善できる仕組み を制度の根幹に持たないと、長いスパンで見ると非常に劣悪な状況を保持することに なるのではないかという懸念です。  次の2点目の大きな問題点。余り時間がないので、ここは簡単に言いますが、いわ ゆる共生型のサービスについては、どうですかという質問がありました。そこでこの ユニバーサル介護ということに考えていいますと、このユルバーサルデザインという のは、前から言われていますが、誰でも使いやすい仕組みであるのですが、使う人す べての人に少しずつ我慢を強いる仕組みが、これがユニバーサルデザインです。ユニ バーサル介護、共生型サービス、一見、これはもっともらしい言葉なんですが、人と 人の関係で成り立つ介護の分野に、このユニバーサルデザインに近い考え方、人の物 との考え方を持ってくるのは非常に危険です。  例えば、私たちの団体でも高齢者の介護保険と、それから自立支援法の支援費を使 っている人間がおるわけですが、その人たちが、例えば高齢者と障害者と同じサービ スの施設を受けるということで、施設に定期的に通った場合ですね。高齢者と一緒に、 そこでレクレーションをさせられるというような現状でディサービスが発生している と。そうなると、認知症の多いような、そういうディサービスのところに行くと、私 は何をしにこんなところに来ているんだろうという疑問が、デイサービスに通ってい る会員の中から上がっています。  このように一見共生型のサービスというと非常に安全なようですが、実質的には非 常に危険なもので、私たちの障害者とは合わない。非常にライフステージの違いが有 り過ぎますということで、是非ここら辺は違うんだということを、しっかり認識して いただきたいと思います。  余り時間がありませんので、最後になりますが、このように問題の多い制度を今の 形のままで統合するというのは非常に危険がありまして、むしろ介護保険制度そのも のをちゃんともう一度見直していただいた上で、障害者の自立支援法なり、障害者の 介護については、もう一度考え直していただきたいというのが、私どもの団体の意見 です。  ありがとうございました。 ○京極座長 どうもありがとうございました。  時間が足りないと思うんですが、申し訳ない。10分で原則的に終わっていただきた いと思います。  次にDPI日本会議の三澤様から資料の御説明をお願いいたします。 ○DPI日本会議議長 DPI日本会議議長の三澤でございます。  私どもDPI日本会議は、福祉サービスを考えるときに、どんな障害を持つもので あっても、地域で自立した生活を営むことができるそれを支える仕組みであること。 そしてもう1点は、病院施設から地域への移行を促進させるそういう仕組みであるこ とという観点で、福祉サービスの問題を考えていきました。現在、障害者の自立支援 法を考えた場合には、多くの問題が起こってきています。この障害者自立支援法の多 くの問題というのが、やはり介護保険に余りにも近付けた、介護保険の一体化を前提 にした形で、この制度設計がなされたということに大きな問題があるというふうに考 えています。  現行の介護保険制度は、私どもの基本的な地域での自立、あるいは病院施設からの 移行という観点から考えると、現行の介護保険制度、それには馴染まない制度である というふうに、今、私どもは認識せざるを得ないということで、基本的には対象を拡 大し、活動期にある障害者を介護保険の対象にしていくということに関しては、現時 点では賛成し難い、反対の姿勢を明らかにせざるを得ないという、そういう観点に立 っております。  これは具体的にどういう理由、根拠でということに関しては、私どもの事務局長の 尾上の方から御説明させていただきます。 ○DPI日本会議事務局長 DPI日本会議の事務局長をしております尾上と申しま す。  先ほど三澤の方から、私どもの団体の基本的立場を表明いたしましたが、その理由 を資料5の「2」のところからお話をしたいと思います。  1つは去年の4月から施行されております自立支援法の施行によって、障害者の地 域生活の後退につながる非常に大きな影響が出ているということであります。そして、 それはとりもなおさず、現行の介護保険になぞらえた制度設計、それからもたらされ た問題だということです。  1つは応益負担を基本とした負担の仕組み、そして2つ目は要介護認定をベースに し、それに多少障害特性を加えても、基本はやはり要介護認定をベースにしたという ことの程度区分に基づく支給の問題。そして、介護保険等に入っていないということ なのかもわかりませんが、障害者の社会参加にとって重要なガイドヘルプ等のサービ スを個別給付から外してしまった問題等々、やはり非常に介護保険にできるだけ似せ ようということが、かえって今の大混乱を生み出したと言わざるを得ないわけです。  去年の10月から全面施行をし、わずか2か月で政府から見直し案が出るというほど の深刻な影響が出ている。そのことはとりもなおさず、今の介護保険の仕組みが障害 者に適用されたら、どれだけの問題を生み出すかというようなことのあらわれではな いかなと思います。  更に、介護保険の適用の拡大ということの議論ですが、どういうものをイメージさ れているのか。その内容がこれまでの有識者会議の資料を読ませていただきましたけ れども、イメージがわからなかったというのが正直なところであります。  諸外国における制度研究をされているという報告がございましたが、例えば、ドイ ツの介護保険は1割負担の仕組みもありませんし、コンピュータ判定に基づく程度区 分もございません。言わば、そういった日本の介護保険の仕組みをそもそも変えると いうことなのか、それとも今の現行の介護保険の仕組みに障害者を当てはめるという ことなのか、それが全然わからなかったです。  もし、現行の介護保険の体系に更に自立支援法の体系を前提にして組み入れるとい うことになりますと、事実上、それは障害者施策の介護保険への吸収合併にほかなら ないのではないか。いわば、自立支援法で言う介護給付部分が介護保険になり、障害 者施策で残るものというのは、訓練等給付だけになってしまうんではないか。そうい った危惧を持ちます。あるいは先ほど大濱さんからも出ておりましたが、今、自立支 援法では、少なくとも障害程度区分でサービスの上限が決まる仕組みではないんです ね。ところが、これがもし介護保険が適用された場合、例えば区分6だと、月幾ら幾 らまでの時間というふうに一人一人のサービス量の上限にもなってしまうのではない かということです。そして更に、政府が去年の12月に出した見直しというのは、例え ば、費用利用者負担というのが、今の介護保険にもともとなぞらえていたものを、そ れを4分の1にしたわけです。これを再び介護保険の適用拡大といった場合、どうい うふうに整理をされるのかといったような問題もあります。  そういったいろんな様々な問題から、やはり冒頭に申しましたとおり、私としては、 賛成するわけにはいかない。基本的に反対であると言わざるを得ません。いずれにせ よ、自立支援法の施行が与えた障害者の地域生活後退につながる問題の解決が真っ先 の優先課題ではないかというのが率直な実感であります。そして障害者の地域生活の ためのサービス基盤整備の飛躍的充実が、財源確保をしっかりやっていくことが、こ の国の責務ではないのかというふうに思っております。  もう1点ですけれども、去年の12月のときに示されていました項目で、共生型サー ビスということについても、もともと去年出されておりましたので、私たちの会で議 論をしてまいりました。ここもやはり、共生型サービスは何かという概念が非常に曖 昧と言わざるを得ません。それはなぜかというと、私たち障害者運動の立場からは、 ある意味で障害者の自立と共生ということは、もう20年、30年前から言い続けてきた わけです。そして、そのときの共生というのは、障害のある人とない人との間の共生 であります。障害のある人とない人との間の共生の問題であって、単に福祉サービス の利用者を、いわば、いろんな形で一緒に使えるようにするということをもってだけ して、共生というのはちょっと違うのではないかというふうに思うわけです。  とりわけ、昨年の12月に国連で障害者権利条約が総会で確認されました。これを日 本で批准をしていくという非常に大きな課題があるわけですが、そのときに、まさに 障害のある人とない人が共に暮らせる、共に働いたり、共に教育を受ける。そういっ たことをもって、やはり共生と言ってほしい。全うな意味で共生という言葉を使って いただきたいなというふうに思っています。  そして、そういう立場から共生型サービスといったときには、例えば、諸外国で行 っているような、働く場においてもパーソナルアシスタントサービスが使えるとか、 教育の場でも使えるとか、いわば、今の居宅だけに限られたサービスではなくて、社 会全般、社会に障害のない人とともに生きていく、社会に出ていくときに必要な支援 を得られるというふうなサービス体系を構築してこそ、共生型サービスに匹敵するん ではないのかなというふうに思っています。  更に、もう一つ危惧を申し上げておきますと、もし、共生型サービスというのが、 単に障害者や高齢者、児童など、各種の福祉分野のサービス提供を共通の体系にする ということだけをもっていうならば、実は障害者施策、措置の時代からある意味で障 害者のコロニーや子どものときから青年期、そしていわば高齢になるまで、特に障害 の場合ですと、1つの都道府県で1法人というふうな場合が多かったですから、ある 意味で年齢にかかわらず、障害者を1か所にまとめてきたというようなことがありま す。そんなことをまさか共生型サービスと言っているわけではないと思うんですが、 ともすれば、単に年齢の枠を取り払うという言葉で、結果的には、特に障害関係のま だまだ社会資源が整っていない中では、独占と集中というふうな形になって、結局の ところ、障害のない人との共生ということと、反する形になってしまうのではないか。 そういったことすら、やはり危惧されるんではないかというようなこともあります。  もう一度申し上げますと、障害者権利条約が国連で確認採択されたということを受 けて、日本でも批准が課題になるとき、まさに障害のある人とない人の共生というこ とを基本に置いたサービス体系こそが構築されるべきではないかというふうに思いま す。  以上です。 ○京極座長 ありがとうございました。  それでは次に日本障害者協議会の藤井様から資料の御説明をお願いいたします。 ○日本障害者協議会常務理事 こういう場をどうもありがとうございました。公式に こういうことを聞いてもらう場が少ないものですから、大変嬉しく思っております。  私どもはペーパーに書いていますように、今もありましたけれども、この環境はな かなか純粋に政策論議ができるような環境にないということですね。つまり、18年 に法が施行されて、いろんな混乱が続いています。12月末に政府も修復策を講じる。 完全施行2月にして、ああいうふうな修復策自体が、考えてみれば、制度設計のミス を自認するも同然だろうと。したがって、現状はやはりこれの修正ですね、あるいは 永続性を持った見直しを図るべき、ここにエネルギーを傾注すべきだと考えます。 そこで私どもは、まずはこういう議論の前段としまして、障害分野のいろんな遅れ であるわけです。共生ももちろん大事なんですけれども、その前段階でやはりきちん と整理すべきを整理してほしいと。ここに6つほど挙げておきました課題が、いわば、 我が国における当座の基幹的な政策課題として挙げておいたわけです。 1つは個人を優先する。個人に焦点を当てる政策立案であってほしい、あるいは法 体系てあってほしい。また、しかし民法の制約があります。民法877 条、その扶養義 務制度がありますけれども、それは一旦は脇に置いておいて、例えば、世帯単位で収 入を合算されるとか、あるいは精神保健福祉法の保護者規定とか、余りにも家族負担 が重いということです。少なくとも自立を標榜するんだったら、二十歳を超えた成人 に対しては、個として、これを尊重するとして、これは貫くべきであろうと思います。 2つ目は総合的な福祉法、現行では今回の自立支援法では確かに3障害と言われます けれども、例えば、難病とか、あるいは発達障害を含めて、文字どおり、すべての障 害種別を超えた実体法としての総合福祉法が必要だと思います。今自立支援法があり、 一方で身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法があり、非常に立法体 系が複雑です。ここをきちんと整備をすべきと思います。  3つ目に余りにも社会資源が乏しいということです。ここで言う社会資源というの は、日中、データイムに働く場、あるいは活動する場、生活をするアフターファイブ、 休日の生活の場、これに加えて人的資源ですね。人によるケア、これは単にホームヘ ルパーだけではありません。例えば、就労におけるジョブサポーターをはじめ、ある いはコンタクトパーソンと言われている様々な間をつなぐ、特にヨーロッパで成功し ている様々な人的な支援、この量が余りにも少な過ぎる。これに関しては、厚労省自 らが一昨年ですか、9月に特別立法で、時限立法で手を打たないかということで検討 に入ったことを記憶しています。しかし、当時の財務省のプレッシャーもあって、こ れはすぐに引っ込んでしまったんですけれども、できれば、新しい視点での、例えば ヒューマン公共事業という視点で、これの法的な根拠を持って確実性を講ずるべきだ と思います。これに加えて所得の保障、それに障害定義が非常に曖昧である。この間、 基礎データが集積できないというのは、一つは障害という定義の曖昧さからくる問題 があります。知的障害、精神障害を含めて障害の定義、これをやはりきちんと少なく とも欧州での成果、あるいはICFという成果等を生かしながら考えていくべきだと 思います。同時に今度の自立支援法の決定的弱点というのは、基礎データが余りにも なさ過ぎたということであります。障害者の実態把握ですね。これをきちんと集積し た上で、政策立案に臨むべきであろうと思います。  以上、こういうことをまずは先行させるべきであって、そういう点からしますと、 今度のいわゆる統合問題というのは、やはり順番としては少し違うんじゃないかと思 うわけです。あえて統合問題を触れますと、私どもは、やはり今の介護保険制度はま だまだ変化の途中であるだろうと。例えば、利用率、利用者の負担率ですね。今は1 割ですが、これはいずれ恐らく2割、3割ということも、多分、遠くないんだろうと 思います。こういったことを含めて、もう少しきちんとした成熟を見てからの論議と いうことに入っていきたい。様々な高齢者の方たちの声も聞いております。いろんな 悲鳴も聞いています。やはり、ここの成熟度を高めていくということを先行させるべ きであろうと思います。今の介護保険法にはくみすることはできにくいということで あります。  2つ目はやはり、先ほども言いましたけれども、いわゆる基盤整備、これが余りに も高齢者と障害者との差が大き過ぎるということです。これの地ならしを、まずは力 を入れるべきです。  例えば、働く場である授産施設というのがありますけれども、これが1か所でもあ りますよという市町村は、依然として4割を割っています。6割の市町村は空白地帯 です。等々を考えてみた場合、やはり余りにも市町村が合体、合併したにしても、基 盤整備の弱体性が、恐らく災いするだろうと思います。  同時に成年後見制度、地域福祉権利擁護事業等を含めて、権利を擁護するシステム が、形はあるんですけれども、これも非常に今暗礁に乗り上げつつある。こういった 点で介護保険を補完するセクターにつきましても、余りにも不備が多いと思います。 こういう点を踏まえますと、当面、検討すべき視点としましては、様々あるんですが、 この部分では、財源問題がもともとこの問題の発端であろうと思うんです。  これに関しまして、一言付言しておきますと、租税が税金かという論議の前に、そ もそも我が国の障害関係の保健福祉策のお金の見積が正しいんだろうか。つまり、障 害保健福祉施策の予算の配分率が妥当なんだろうか。このことを論議しなくては、前 年度比10%増と幾ら言われても、これは信頼できません。その前提としまして、やは り基礎データ、実態の把握、これがない中で誰もがわかりにくいということです。  こういう点において、租税か保険かという前に、やはりこの国の障害保健福祉施策 のお金の配分率を、例えば、OECD加盟国並みにしてほしい。様々新聞等が言って いますように、どうもこの国の障害関係予算というのは、サミットのみならず、OE CDと比較しても随分低い位置にあるということでありますので、こういう点も是非 とも障害分野のみならず、今日ここにいらっしゃいます有識者会議の委員の先生方も 一緒に考えてほしいんです。社会・援護局を超えまして、老健局もこぞって是非考え てほしいと思います。  最後に今の共生という問題なんですが、私はやはり、この間の論議で言いますと、 ようやくできました国際的な共通言語として、国際的な共通のスケールとしての障害 者の権利条約が誕生しました。この神髄は中心概念はリーズナブルアコモデーション と言いまして、合理的配慮という、この5文字であります。つまり、障害に原因する 不都合や不利益は社会の側から調整や変更をすべきであるという意味があります。こ れを欠いた場合には差別に該当するということが含まれています。この視点から教育 も就労も見ていくというのが、今度の権利条約の精神であります。今度の応益負担問 題を含めて、これに抵触するんではないかという事件も早くも起こっております。共 生というんだったら、まずは差別撤廃を含めて、幾つかの前提条件をつくること、そ ういう論議を是非先行させてほしいと思います。  以上を踏まえますと、やはり今度の現行の介護保険制度の統合というのは、余りに も論議が拙速であり、もし問われた場合には、これには同調できないと、こう言わざ るを得ないというのが日本障害協議会の意見であります。  以上であります。 ○京極座長 どうもありがとうございました。大変失礼して順番を間違えました。そ れでは次に、全日本手をつなぐ育成会の松友様から資料の御説明をお願いいたします。 ○全日本手をつなぐ育成会常務理事 全日本手をつなぐ育成会の松友でございます。  結論的に言えば、介護保険制度の拡大については、結論を出せる状況ではないとい うことであります。  まず初めに、「介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」の場に おいて、私たちの会の意見を述べる機会をいただいたことに感謝いたします。  また、12月13日との前回の御案内を、私たちの強い要望により、今日まで御延期い ただいたことに対し、その配慮と決断に敬意を表します。  本日は理事長の藤原にかわりまして、常務理事の私が発言させていただきます。  しかしながら、私たち全日本育成会は今回、組織としての正式な『意見書』を提示 することはできません。それはこれまでのこの問題に対する正式な文書は、理事会で の機関決定を経たものであり、今回は時間等の関係でその手続がとれなかったからで す。そのため、今回は私の「発言」をもって会としての意見表明といたします。  ヒアリングについての異議を申し立てます。  与えられた項目、すなわち「介護保険制度の被保険者・受給者の範囲を拡大すると の考え方について」を述べる前に、今回のヒアリングについて、そのプロセスや手法 について異議を申し立てます。それは、今回、正式な『意見書』を提示できない理由 の説明でもあります。  12月の案内のとき、なぜ私たちは反発したのか。そして、その問題は今回解決した のでありましょうか。2年半前、私たちは社会保障審議会障害者部会において、同様 の意見を求められました。しかしそのときは、介護部会が平行して開催され、その動 きが伝えられる中で、障害部会でも議論が進められていたのです。その上での意見の 聴取でした。今回は、動きがまったくつかめません。  確かに今回も、改正介護保険法の付則に従い、昨年3月より「有識者会議」が開催 されていました。しかしその議論の内容は、私たち障害団体には十分に伝わっており ません。それは、障害団体の委員が一人もいないということも原因しています。当事 者あるいは当事者団体を抜きに論じることに、時代錯誤の感が否定できません。情報 が不足する中で、『意見』を求められたのです。  御存じのとおり、私たちは障害者自立支援法の全面施行に伴う、混乱の渦中にあり ます。この法に対する評価は団体によって異なりますが、具体的な内容における厳し さは、同様に痛感しております。そのため、現実的に運用の改善策を論じ、要望しな ければなりませんでした。特に、介護保険制度では前提となっている「応益負担」に 関し、その負担の力が論じられているとき、「介護保険制度の拡大」を論じるには、 かなりの低抗感を与えることになります。  確かに、障害者自立支援法は3年後の見直しを前提としており、その「見直し」議 論の一環に「介護保険制度の拡大の是非」が含まれることは、理論的には理解できま す。しかしながら、現実的な厳しさに直面している関係者が、この議論に抵抗感や拒 否感を抱くことも同様に理解できることです。その中で、迅速に結論を出すというこ とは、まさに拙速のそしりを免れません。  「もっと時間が欲しい」というのが、都道府県と指定都市の組織を正会員とし、全 国でおよそ2,500 の地方組織と30万余の個人会員を抱える全国組織として、私たちの 率直な気持ちであります。  全日本育成会の取り組みについて御報告します。  前回(2004年) の改正のときは、私たちは3月の定期理事会で『見解』を決議し、 6月に臨時理事会を開催して『意見書』を決議しました。特に、社保審への『意見 書』の作成ためには、全国に広く意見を求めました。その結果、「介護保険制度との 統合は必然」という結論に達しました。この2種の文書は、障害者部会でのヒアリン グでの発言と共に、ホームページに掲載しています。当時の結論として、その決定の 手順と共に、今でも適切であったと自負しています。  今回は、ヒアリングのご案内をファックスでいただいた12月26日、11日の説明会の 資料と前述の2種の文書を添付し、都道府県と指定都市の組織へ意見を求めました。 年末年始の慌ただしい時期でしたので、56の正会員団体の内、14団体、全体の4分の 1と4個人、あるいは地方組織しか回答がありませんでしたが、正会員、すなわち14 都道府県・指定都市育成会の回答は興味深いものがあります。  賛否がほとんど拮抗しているのです。前回のときと比べると、「反対」が増えたと もいえますが、自立支援法による混乱を経てきた今では、「賛成」が半分を占めるこ とも意外でした。この結果も今回結論が出せない状況の一つであります。それぞれの 意見を分析・吟味することをもって、今回の課題についての全日本育成会の現在の意 見といたします。  まず拡大に賛成の理由でありますが、まず第一に、安定した財源を求める意見です。 支援費制度が財政的に破綻し、自立支援法が単価や予算等で厳しい現実を目の前にし て、将来の財源への不安が否定できません。そのため、介護保険制度に期待感を寄せ るのも、ある意味では当然かと思います。しかし、そのためには、受給者の範囲の拡 大と共に、被保険者の範囲の拡大が必然となります。それゆえに、国民各層の負担に ついての理解への不安も同時に語られています。  その意味で、第二の障害、すなわち介護は年齢に関係ないとする意見が、拡大の賛 意の最大のものかもしれません。それは、障害を特別なものとするのでなく、国民の 普遍的な問題ととらえ、それゆえの保険、すなわち共助システムを求めたものです。 そこで、国民各層の負担についての理解は、障害を特別なものとする税方式(公助) よりも得やすいと考えるものです。  賛成の立場は、この2点に集約されています。しかし、賛意を表しながらも、要介 護度認定については、現在の障害程度区分への不満を反映し、危倶と疑間が多く呈さ れています。これは、介護保険制度の問題ではなく、サービスの受給システムの根本 的な間題であり、納得いく解決策が求められます。しかし、次に示すとおりこの問題 が応益負担と共に、介護保険制度の議論の時も大きな比重を占めています。  介護に反対の理由であります。  まず第一に、高齢者と障害者は、そのニーズが異なるという主張です。いうなれば、 障害を特別なものとしてとらえ、それゆえの普遍的な保険(共助)システムは馴染ま ないとするものです。これは、具体的な支援、すなわちケアやサポート、介助・介護 の視点より、財の有無による負担能力の違いに基づく視点からの意見です。年齢とい うものが、財の形成との関係で論じられています。  それ以前に国の責任を求め、それゆえに税方式(公助)でやるべしというのが強調 されています。そのため、財源確保の視点からの議論に厳しい批判が加えられます。 初めに財政削減があり、そのかわりの財政確保のための統合実態には反対ですと明確 に述べられている県組織もあります。政府すなわち税制の責任を国民、すなわち保険 へ転嫁するなという意見です。  反対意見の多くが、障害者自立支援法にも批判的です。それは、国のこの間の施策 への不信であり、この点を改善する、すなわち信頼を取り戻すことなしには、今後の 改革を進めることは厳しいものがあります。すなわち、「介護保険の拡大」等の政策 の大幅な転換は、政府に対する信頼を前提とします。しかしながら、法の理念や骨格 に高いものを掲げながら、運用においては現実を無視し、方向性が不明確な迷走状況 では、国民の信頼を得ることはできません。  第三の意見は、介護保険制度の先行きへの不安感です。障害福祉の関係者は、財源 問題でさんざん苦労させられてきました。そこで、財源問題を理由に介護保険制度の 拡大を主張されても、その介護保険制度自体に財政不安が報じられると、にわかに期 待が持てないということになります。特に、被保険者の拡大に国民、特に若い層が納 得するか、その理由に障害者への受給者の拡大を利用されるのではないか、という不 信感が拭いされないのであります。  次に本質的な問題への対応ですが、賛否を超えた意見も注目すべきです。単なる介 護保険制度の拡大の可否の議論でなく、保険制度をはじめとする社会保障制度につい て、国家予算における社会保障のあり方まで遡って議論する必要があるという鋭い指 摘がありました。少子高齢化等に伴う社会構造の変化や負債が累積した国・自治体の 財政危機状況を理由に、社会福祉制度の見直しが進行していますが、「給付と負担の バランス」を基本にしながら、国民的同意を確立する方向での議論が進んでいるのか、 大いに疑問のあるところです。  いわゆる格差の拡大が指摘される現状において、真の社会的安全網(セーフティー ネット)を確立するために、その議論を先に行うべきでありましょう。その意味では、 障害分野においては、所得保障制度の確立が不可欠であるという意見が強く出されて います。  政府すなわち厚労省は先般1月17日に障害者自立支援推進本部に障害者の所得確保 策を検討するチームを発足させたと報じられています。この課題は、法の附帯決議で 明記されたことであり、対応が遅すぎます。また、報道によれば工賃の引き上げや一 般就労への移行など就労支援を中心に課題を整理するとされています。それでは、社 会保障政策における所得保障策となるのか、期待するゆえに疑問が否定できません。  障害程度区分の問題は、障害者自立支援法において大きな問題となっていますが、 介護保険制度との関係では、更に影響は深刻です。それは介護と支援の共通部分と相 違点についての正確な理解と対応策の提示の問題です。いわゆる法と財政の総合化と サービスの個別化が、この間の議論や対応においては混同されている感が否めません。 財政論が支援論を支配する傾向は、施策の貧困化へつながります。そこに当事者は不 安を抱くのであります。  最後に障害者自立支援法は、当初から3年後の見直しを前提としており、すでにそ の1年は終わろうとしております。そのため、私たちは白紙撤回ではなく、予定され た見直しとして、積極的な取り組みが行われることを期待しますし、その議論に参加 したいと願っています。その過程において、その一つの方策として、介護保険制度の 拡大も論じられることになるでしょう。ただし、どちらにしても、障害の特性を尊重 しながらも、それを特殊化、個別化する方向であってはならないと考えています。障 害問題は、種別や年齢等に関係なく、国民総意の課題とされるべきであり、関係者が 自らその可能性をとじてはなりません。  大変簡単ですが、これにて意見表明といたします。御静聴、ありがとうございました。 ○京極座長 どうもありがとうございました。  それでは次に全国精神障害者家族会連合会の江上様から資料の御説明をお願いいた します。 ○全国精神障害者家族会連合会専務理事 小松理事長のかわりに専務理事の江上の方 から説明させていただきます。  お手元に配付したように、今の精神障害者の現状について少し述べたいと思います。  全家連は昭和55年以来、精神障害者福祉法の成立を希求してきました。昭和59年宇 都宮精神病院事件以来、精神衛生法の改正で序々に社会復帰・福祉の条項が整備され 始めました。その後、国際障害者年決議やWHO、ILOの影響もあり、精神障害者 には医療とリハビリテーション・福祉サービスが必要との認識で障害者基本法の対象 となり、精神保健福祉法で社会復帰施設の促進、そして障害者雇用促進法にも対象化 されました。この間、社会福祉基礎構造改革で、日本の社会福祉施設に対する措置費 が支援費制度に改定されると共に障害者自立支援法が制定されました。このような中 で精神障害者は、いわゆる福祉サービスを受け始めた途端に障害者自立支援法が施行 され、施設利用料の自己負担、また今まで唯一の福祉制度であった精神障害者通院公 費負担も自立支援医療となり、いずれも自己負担増のダブルパンチと受けているので あります。  そのような中で現在の精神障害者の社会復帰している人、自宅におる人、通院して いる人の精神障害者の現状と問題について8項目ありますが、4項目をちょっと説明 させていただきます。  1つは精神障害者の多くは、精神科医療を受けつつ作業所や授産施設、グループホ ームなど社会福祉サービスを利用しながらリハビリテーションに励み、社会参加・社 会復帰を目指しています。  2つ目、従来も自分の力で自立生活や復職・就労生活をした人もいますが、長期療 養などの人の多くは親を中心とする家族と同居もしくは世帯を同一にして、住居、食 事、被服、医療費ほか金銭援助など生きていく生活上の支援を受けています。しかし、 精神障害者を抱える家族の多くは、お父さん、お母さんは高齢で、平均所得は低く、 困窮層も多い状況であります。そして、自らも病気や身体的不自由を持ち、介護保険 制度の利用者であることが多いのであります。  3つ目、精神障害者の主な介護は、食事、買い物、室内片付け、金銭管理など心理 的・精神的な助言を含めた日常生活の介護であり、身体的な介護は高齢者等を除けば ほとんど必要ありません。  次のページの改善していただきたい他法・他施策・諸制度について、9項目ありま すが、2つぐらいを説明させていただきます。  障害者手帳制度は3障害を統一すること。今、障害者手帳を精神障害者の方は持っ ていますけれども、作業所に行くのにも工賃が8,000 円、9,000 円、そこまで行くの に、バス代とかを払うと1万円、2万円と払う。そのような状況であります。そのよ うな中で、是非障害者手帳制度の3障害の統一をお願いしたいと思います。  次に介護保険の被保険者・受給範囲を広げるかどうかについての意見は6項目あり ますが、2つほど説明させていただきます。  1つは初めの介護保険は高齢者の介護を目的とした制度であり、高齢者については ?誰もが必ずなる、(2)若いときから働き保険料負担は当然できる。(3)資産もあり老齢 年金を受給し、介護利用料負担は苦にはならない。  一方、精神障害者は?誰もがなるわけではない。(2)若いときから働けず、保険料の 負担は重荷である。(3)障害年金は少額で利用料は払えないという状況にあります。  また、3つ目の「・」の障害者自立支援法の施行直後に激変緩和や3年後の見直し など議論沸騰の最中に介護保険との関連についての論議は、時期尚早と言わざるを得 ないが、障害者自立支援法の推移を見守り検討したい。  以上、各項目の問題点をしながら、介護保険の被保険者・受給範囲の議論をすべき と考える。  以上であります。 ○京極座長 どうもありがとうございました。  次に本日ヒアリングをお願いしております日本盲人会連合の笹川様がまだ到着して いらっしゃいませんので、時間の関係がありますので、ここで10分間ぐらい休憩をは さんで、いらっしゃったらすぐ始めたいと思いますので、よろしくお願いします。  どうしても時間的に笹川さんの来るのが遅くなるようでしたら、先に質疑の方を先 行させていただきまして、到着次第お話をいただくということになるかと思います。 よろしくお願いいたします。                  (休 憩) ○京極座長 時間になりましたので、再開をさせていただきます。よろしいでしょう か。私の方で御紹介をさせていただきます。日本盲人会連合の笹川様が御来場されま したので、自己紹介を簡単にしていただきまして、それでヒアリングのお話をいただ きたいと思います。 ○日本盲人会連合会長 ただいま御紹介いただきました日本盲人会連合の会長の笹川 でございます。このような重要な会議に遅参いたしまして、大変申し訳ございません でした。  早速ですけれども、今回の有識者会議からの御質問でございますけれども、御承知 のとおり、今、私ども障害者は障害者自立支援法の昨年の4月1日からの施行、そし て10月からの全面実施、その中でまさに混乱状態に置かれております。明日、何か18 年度の補正予算が成立というような情報も聞いておりますけれども、それでもまだ本 当のあの障害者自立支援法が全国の障害者が、それぞれの地域で平等に格差のないサ ービスが受けられるかどうか。現に格差は広がる一方でございます。そういう中で、 今回このような経緯がございました。したがって、私どもの団体は全くこの問題につ いて議論はしておりません。  聞くところによりますと、もうこの有識者会議は3月からスタートしているという ふうに聞いております。であるなら、何でもっと早くこういうことがあるということ を、私どもに知らせてもらえなかったのか、この点が甚だ私どもとしては不満です。  私どもにとりましては大変重要な問題です。したがって、会長の判断とか、あるい は役員会で判断するような問題ではございません。全国的に組織に加盟しているそれ ぞれの団体で十分検討して、そして意見をまとめる。そうでなければ、到底答弁など できるわけではありません。しかも資料というものが全く私どもの方には来ておりま せん。したがって、現在の介護保険、これも改正されてまだ1年経っていないわけで すけれども、その実行状況あるいは収支の状況、全くわかりません。したがって、例 えば、年齢を引き下げたから介護保険が赤字がなくなるとか、何歳まで下げたらどう いう結果になるとか、そういったものも何も知らされていない。  私どもの団体は全国組織ですから、年に評議員会が2回、そして全国代表者会議と いうのが1回しか開けません。ですから、こういった問題はもっと早く提示をしてい ただいて、当事者として十分協議をする。その中で結論を出してくるということにし ていただけませんと、全く答えようがないというのが実態でございます。  そういうことを十分御配慮いただきまして、今回のこのことに関しましては、私ど も日本盲人会連合は回答は保留ということにさせていただきたい。そして特に厚生労 働省にお願いします。こういった問題を軽々に扱わないでいただきたい。12月13日に 会合をやるから資料を出せとか、厚労省からの資料は何も来ていない。そういう中で 答弁を出せというような、こんないい加減な無責任なことはやめてもらいたい。この ことを強く厚労省に申し上げておきます。 以上です。 ○京極座長 どうもありがとうございました。これで一応、今日お集まりいただきま した団体の皆様方からの御意見は伺ったことになりますので、これから質疑応答、意 見交換ということで、有識者会議の皆様方より御質問や御意見がございましたら、時 間が十分ありますので、できれば全員に御発言をお願いしたいと思います。 特に質問に関しましては、それぞれの団体、どの団体の方というふうに言っていた だかないと、全員、それぞれ団体のお考えがありますので、団体に対する御質問につ いては、それぞれ御指名で、あるいは全員のすべての方にだったら、すべての方にと 言っていただいて、御質問していただければ幸いと存じます。 それでは、予定時間は十分ありますので、いろいろお立場はありますけれども、並 んだ席順というのもちょっと形式的ですが、時間がない場合はどうしても発言したい 方を優先してということになりますけれども、関さんからお願いいたします。 ○関委員 それでは、特に特定の団体というわけではなくて、答えていただける方に お伺いしたいのですけれども、3点ございます。  1点目は、資料7でいただいた御意見などの賛成意見のように、安定した財源を求 めるために普遍化に賛成といった意見があります。それからほかの資料では、例えば 資料6に、障害者福祉サービスは絶対的に不足しているという話があります。これに 対して、高齢者のための介護サービスは、介護保険制度が走りながら変えていこうと する整備が足りないながらも始まった制度であるなかで、高齢者の人口が多いことか ら、結局、あちこちでいろんな施設ができたり、サービスが拡充してきました。障害 者に対するサービスは、それに比べて未だ不足しているという現状がある中で、普遍 化した方がいいという意見には、普遍化した方が障害者に対するサービスも増えるし、 財源も安定するのではないかという意見があると思うんですけれども、これについて の御意見をお伺いしたいと思います。  2点目は、反対する意見の中に、高齢者と障害者はそのニーズが異なるというよう なお話がありましたが、その具体的な例として、例えば、資料4の5ページなどには、 施設におけるレクレーションの場で認知症の高齢者と障害者が一緒の場にいると、若 年障害者にとってよくないといった具体例がありました。そのほかにも、もう少し具 体的な例として、高齢者と障害者のニーズがどのように違うのかといった点を御教受 いただければと思います。  3番目には、これは大きな話になるんですが、現在はいろいろと時期尚早ですとか、 自立支援法も始まったばかりで、まだ混乱が大きいとか、問題が多いといった点もあ りましたが、今の時点では言いにくいかもしれないんですけれども、将来的にはどう お考えでしょうか。普遍化しようという考えには、多分障害は年齢に関係しないもの ととらえて、介護を普遍的なニーズとして制度を構築しようというような理念が一番 中心にあると思いますが、そういった理念のもとでの将来的な範囲の拡大については、 どうお考えなのかという点もお伺いできればとは思います。 ○京極座長 特定の団体についての御質問ということじゃないので、特に積極的に御 発言したい方はどうぞ。では、松友様から。 ○全日本手をつなぐ育成会常務理事 育成会の松友ですが、組織としてのあれは、先 ほど言いましたように、それに結論出す段階ではないと言っておりますが、前回、2 年半前の議論にしましても、今回にしましても、今回自立支援法は賛否両論議論があ ります。私たちの団体は法としては賛成し、現状の運用については、いろいろ問題が あるという問題を指摘しておりますが、その一つに基本的に何というんでしょうか。 メディカルモデルという医療モデルで言えば、例えば、身体、精神、知的という障害 レベルにおいても違いというのを協調していけば、3障害を横断する制度さえできな いわけです。それを今回、自立支援法ではある種クリアしたじゃないかと。もっと拡 大する必要があるだろうと。そのときに、なぜ年齢で横断する、分断する必要がある のかと。ですから、制度すなわち財源とか、法体系とかの部分は、例えば、医療保険 制度のように一本化していいじゃないかと。ただし、具体的なサービス支援を受ける ときには、徹底したインディビジュアルゼーションというか、個別化すべきであって、 障害福祉あるいは福祉全体は逆で、支援は非常に十把一絡げでやられて、制度とか、 財源だけはやたら細かくされている。これは教育、医療と比べたとき、そういう感じ も持ちます。そういう意味では、先進諸国いろんな方法論はありますが、基本的には 障害種別によって分断することもおかしいし、とともに年齢で横断して分断するのも おかしい。更にいろんな福祉的ニーズという視点との統合等も含めて、戦略的に考え るべきではなかろうかという感じは持っています。  以上です。 ○京極座長 ほかのヒアリングの方で御発言……、大濱様。 ○全国脊髄損傷者連合会副理事長 今財源の普遍化の話がありましたが、これについ ては、先ほど申しましたように、介護保険は36万弱という、この制度は上限がきちっ と決まっているんですね。したがって、今介護保険で起こっている問題、例えば、老 老介護の問題とかが全く解決されないのもそのためでして、この36万弱、要介護度5 でやりますと、1日3時間とか、5時間ぐらいの、毎日受けてもそれぐらいの介護し か受けられないと。そうなると、介護保険制度そのものをきちっと老人の方に、本当 にお金のない老人の方にも老老介護をしなくていいような、介護保険制度にすること がまず前提なのではないか。  逆に言いますと、介護保険制度をまず二階建てにして、老人がきちっと介護できる 制度をつくり上げた上で、その後に障害者もそこに入ってくれるかどうかという議論 になるのではないかと思っているんですね。ですから、普遍化するということであれ ば、今ある現在の介護保険制度を、もっと老人がちゃんと使える本当の制度にして、 レスパイト的な介護保険じゃない制度にするのか、それともずっと徹底してレスパイ ト的な方式にするのかという、そこら辺をきちっと介護保険の中で示していただきた いんですね。ですから、介護保険で本当に普遍的なサービスをするということであれ ば、その二階建てを介護保険で認めて、その部分を税で出すとか、そういう方式を将 来的にとるのか、それとも将来的にも、それをとらないのか、そこら辺をまず介護保 険の中でちゃんと説明していただきたいんですね。まず、これは介護保険の中で整理 していただきたいことが1点ですね。  それから2点目として、先ほどいわゆる共生型サービスとか、老人の方に障害者が 入った場合の問題点、具体的に1点述べましたが、実際に障害者の場合はライフステ ージが非常に幅広いんですね。したがって、その中には就労とか、そういう障害者は たくさんいるわけです。その点、やはりライフステージ最終末期の介護保険の人たち は、これから就労とかというよりも、どうやって最後の末期を迎えるかという介護で す。そこら辺が障害者の介護と必ず合致しないというのは、どうしても、それはしょ うがないことで、やはり、そうなると就労について、どう考えるかとか、そういう理 念をこの中にきちっと入れていただかないと、障害者の介護と老人の介護を一体化し て考えるというのは、かなり今の時点では無理があるということだけを、あえて申し 上げておきたいと思います。 ○京極座長 藤井様。 ○日本障害者協議会常務理事 関委員のお尋ねの2つですが、1つは普遍化すること で基盤整備がというお話なんですが、これはわかりにくいんですが、現在、例えば精 神科病院における社会的入院が7万2,000人という、これは政府の公表ですね。それ から知的障害者の成人でも11万人から12万人が、いわば社会的入所、入所施設に入り っぱなし、無認可作業所は6,000か所という状態ですね。こういう状況を見ますと、 やはり、そのほとんどは、いわば公的な、あるいは基盤整備がないことからくる一つ の現象なわけです。  政府は障害者プランというのを策定しまして、これを推進しまして、1996年から7 か年でこれを推進していこうと。内閣府も障害者基本法で市町村障害者計画をつくっ ていこうじゃないかと。ほぼ95%の市町村で計画はできあがったんです。計画はあっ て実態は変わらず。100 %ほぼ達成して状況は変わらないんですね。これはやはり、 何か法的な根拠がなければ、普遍化とか、社会化というだけではいかんだろうと。そ れが証拠には昨年の骨太方針で第3項目に、この基盤整備が入ったんです。しかし、 なかなか実態は動かない。ある面ではもっと別なインパクトがいるんだろうと思いま す。  もう1点、最後に高齢者と障害者のニーズがどう違うか。私は全く全盲状態です。 目が見えないんです。一番今自分が困りますのは、通勤です。通勤に関しては、一切 ホームヘルパーは使えないんです。これは雇用行政の管轄なんで雇用行政の所管であ ると。しかし、そういうジョブサポートはないんですね。というように弱齢から来る 社会参加の範囲、まさに万歩計でも付ければ、多分わかると思うんです。高齢者と障 害者の行動半径がね。だから、就労のみならず、文化ニーズだとか、あるいは恋愛の 感情行為とかを考えますと、これは明らかにその差異は大きいだろうと。これに対し て、福祉保険だったらいざ知らず、これは介護保険ですからね。そうしますと、やは り広く障害者の場合には、改めて人的なケアがどうあるべきか。その中で介護保険と どうダブってくるのか。そういう検証をすべきだろう。少なくとも私自身の体験で言 うならば、とても介護保険だとか、高齢者の介護ニーズ等の判定では簡単に論じられ ないというのが実感であります。 ○京極座長 続きまして三澤様。 ○DPI日本会議議長 今のニーズの問題、私の方からちょっとお話しさせていただ いて、あと将来的な方向性については、事務局長の方から見解を出したいと思います。  今の高齢者と障害者のニーズが異なるのかどうかということなんだけれども、年齢 で、例えば65歳以下と65歳以上でニーズというのが明確に異なってくるかというと、 そういうことは余りない。ただ、その人その人の状況に応じた形でニーズというのは 出てきて、やはり個々の問題だと思うんです。私たちは、この福祉サービスというの は、一人一人のニーズにちゃんと対応するというものという形でとらえるべきであり、 その意味でパーソナルアシスタント、自立システムというようなものが、これを原則 に打ち立てられるべきであると。やはり介護保険自体も、そういう方向でのやり方と いうのが介護保険に望まれる。今の介護保険が、余りにも介護というものの内容をす ごく枠を狭めてとらえていて、それがいわゆる若年の障害者がそれに対応できるかと いうと、やはりそれ以上に必要性の高いものがいっぱいあって、それには今の介護保 険制度は対応し得ていないというのが現状だと思います。  やはり、パーソナルアシスタントという形で、個々のニーズに対応できるような、 そういうサービスシステムが介護保険の見直しの中で、今後大きく方向性としては持 っていくべきであるというふうに、私は考えています。 ○DPI日本会議事務局長 あとは今後の検討の経緯なんですけれども、先ほど申し ましたとおり、自立支援法の施行によってもたらされている問題といいますのは、ど ちらかというと運用レベルというよりは、まさに制度の骨格の部分ですね。つまり、 介護保険になぞらえた形の応益負担の仕組みと、そして程度区分の問題、更にサービ ス体系、とりわけ介護保険の場合は、先ほどのニード論で言えば、居宅介護という居 宅に絞られていますよね。障害者の場合は、やはり社会参加のニードということが今 まで言われてきた。そこの部分がばっさり今回後退をしていると言わざるを得ないと いう、この問題をちゃんと骨格から生み出されている問題を解決をしていただかない と、ちょっとしばらく時間が経って、何といいますか、のどもと過ぎればという話で はない。むしろ、そういう意味での骨格から出ている問題を根本から見直していくと いうことと、それとあわせて、もしやるとしたら、介護保険を一から見直すぐらいの 話で、今のできあいの、今ある介護保険を単に広げることが普遍化ということではな いのではないかというのが、私どもの見解です。  もう少し言いますと、むしろ、本当の意味でのセースティネットといいますか、日 本のおける社会保障制度がちゃんと普遍的なものであってほしいというふうに思うん ですね。といいますのは、介護保険のときの議論を、私覚えておりますが、高齢者の 場合、企業に勤められて、勤め上げられた方は比較的資産形成もされていて、年金も あって、そのために、あの当時応能負担という仕組みの中で、なかなか中間層以上が 使いにくい制度だった。だから低所得者向けになっていた高齢者施策を中間層も含め た制度にしようという意味で普遍化というのは使われていた、そういう方向の普遍化 だったんですね。ところが障害者の場合、先ほどから出ている問題というのは、まさ にそういう働くときの段階から障害を持っていて、資産形成もそういったこともでき ない。いわば、もともと高齢者介護保険が想定されたときに、制限されている状況を どっちに普遍化するかという話と、今、障害者が当たり前に障害のない人とともに暮 らせるような普遍化といいますか、普遍的な制度ですね。つまり介護保険に限らず、 社会保障の制度、とりわけ、日本の社会保障の仕組みというのが、企業福祉と家族福 祉を前提にしていた部分があると思うんですが、まさに障害の場合、その働くという 部分からなかなか参加ができない。したがって、企業による福祉の福利厚生や、そう いったものでカバーされないということと、もう一つは家族による介護というのが半 年や1年ではなくて、10年、20年、数十年に及ぶという、つまり、企業や家族がいて 代替をするという前提の上での社会保障の仕組みということを変えていくということ が本来の意味での、私たち障害者から考える制度の普遍化ではないかなというふうに 思います。 ○京極座長 それでは、時間が押してきますので、竹中委員から御意見、御質問をお 願いいたします。 ○竹中委員 質問ということではないんですけれども、毎回この会でも申し上げてい るんですけれども、私たちの活動というのは、介護が必要な障害があっても働きたい という人たちが、きちっと社会の中でステータスを得て、収入も得て、働いていける、 タックスペイヤーにも成り得るという日本を目指してということで活動させていただ いております。  そういう意味で介護を受けるということと、働くということは多くの障害のある人 たちにとっても、同時に必要な問題なんだろうと思っておりますが、残念ながら、日 本の国では介護が必要な状態だと働けないという前提に立って、様々な法がつくられ てきた。そこの部分をどうしていくかというのが、私の抱えているといいますか、私 が仲間たちと今一緒にやっている大きな課題の部分であります。  そういう意味で、今の皆さん方のお話も聞いていて、非常に長年自分たち自身で大 きな運動を率いてこられて、そして能力も発揮してこられたと。例えば、これがアメ リカやスウェーデンであれば、私の知っているたくさんの友人たちは、全身性の麻痺 があっても、今企業のトップリーダーになっているとか、あるいは両手、両足が義手、 義足でも大変優秀な企業顧客も持つ弁護士さんになっておられたり、全身麻痺で電動 車いすで介助犬を使っていながら、数学や物理の先生であるというようなことが、諸 外国では、特に先進諸国では普通のようなことになっている。そうして職業を得るこ とによって、人も恋愛をし、結婚をし、家庭を持っていかれる。  私は日本もこれだけの先進国であり、経済大国と言われる中で、そのような方向を 目指していただきたいと思っているんですけれども、残念ながら、今日の議論をお聞 きしていると、税の受け手としての主に立場で皆さんが御発言をされている感じに、 その面を強調されておるかもわかりませんけれども、そういうふうな感じを受けます。 私も当事者の一人ですので、皆さんとある意味、こっち側に座っているんじゃなくて、 そっち側におって何の不思議もないんですけれども、やはり、皆さん一人一人の能力 を生かすことによって、本当に無理な人たちを支える仕組み、セーフティネットを一 緒につくるというような考え方に対しての御意見はどうなんだろうかと聞いてみたい なという気持ちがしました。 ○京極座長 竹中委員は主として御自分の御意見をお話になりましたけれども、それ に対する一部質問も加味されましたので、どなたかヒアリングの参考人でお話しした い方は、安藤様からお願いします。 ○全日本ろうあ連盟理事長 安藤です。竹中さんの意見、すばらしいと思うんです。 ただ、私どもはいつも考えるのは、日本の場合、障害者福祉と言えば、歴史的に慈善 が基盤になってのスタートでした。慈善から社会的な理解、そして認識というように 発展してきて、今権利とか、ノーマライゼーションというものが一般的になっていま すけれども、まだ、障害者の能力というものを正当に評価して、専門分野の中で積極 的に受け入れるというような条件がなかなかできていないわけなんです。  今、竹中さんのような意見というものは、このような介護保険の統合化、相互利用 というようなテーマと別に、外国の障害者の能力をどう正当に評価し、認めていくか、 それは高等教育なども含めたテーマとして論議されるべきではないかと思うんです。  今、私どもが一番懸念しているのは、一つは障害者の自立ですけれども、一番悲惨 なのは重度の障害者で、親から自立できない障害者ということですね。また、生産的 な職業に付けない人たちなんです。そのような重度障害者が、今自立支援法の中で大 変な困難な目に遭っているということを、まず、そのような基盤というものをきちん と解決するべきじゃないかと思うんです。そのような基盤というものを各地の中で竹 中さんの意見というような展望に結びつけるべきではないかと思うんです。 ○京極座長 ありがとうございました。主として、竹中委員の御意見ということで承 りまして、小島委員から御意見、御質問をお願いいたします。 ○小島委員 3点ほどということで御質問、各団体の皆さんでお答えいただけると思 うんですが、連合の小島です。よろしくお願いいたします。  今、皆さん障害者自立支援法がやっと昨年10月から本格的実施に入って、その問題 点で手一杯だという話は十分理解をしているものです。  質問なんですけれども、御意見の中でも、現行の介護保険は確かに高齢者を対象と し、コアになっているものは身体介護ということで、もし被保険者なり、受給者の範 囲を拡大するということを検討した場合にとも、若年障害者の問題というのは、身体 介護だけではなくて、就労という問題が極めて大きな問題があるんだと。これについ て、今の介護保険では、当然対応できないだろうというお話です。まさにそうだとい うふうに思っております。  そこを若年障害者を含めてサービス、それも含めて現行の介護保険のメニューをも って増やすという選択肢もないことはないんですが、そこまでいくにはなかなか難し いと思いますので、その中で、今の介護保険が持っているコアの介護、ニーズ、身体 介護がコアになっていますけれども、確かに高齢者の中では認知症のところも含めて、 今は対応するということになっておりますけれども、十分かどうかというのはありま すけれども、しかし、障害者自立支援法、障害者サービスの方でもコアになる身体介 護というところは、当然あると思います。そこの方が共通のサービスとして対応でき ないかというのが、この被保険者なり、受給者の拡大というところのベースになって くるところなんです。  身体介護といったところに、障害者の方は3障害と言われますが、そこを十分な共 通なサービスでできるかどうかというのが課題としてあると思いますけれども、しか し、今までの介護保険の方の議論というのは、まさにコアになる若年障害者の共通の 介護というんですか、ニーズ、そこを共通のものにしたらどうかという議論をしてい るので、そこで十分対応できない障害者に対する就労支援、藤井さんが具体的な話を されましたけれども、通勤に伴うガイドヘルパーの問題とか、そういう問題は、これ も含めて介護保険で対応するかというのは、介護保険のサービスメニューを増やすか どうか、あるいはここの部分については、若年障害者の特有のニーズということで、 これは自立支援法の方で十分に対応するという考え方もできますので、どちらかとい うと、そういう後者の方の考え方で今までは議論してきた、この間の有識者会議、そ の前の介護保険部会の議論としてはということなので、これについて、どう考えるか ということなんです。  それとそれをもう少し限定的に言いますと、今でも被保険者は40歳以上になってい ます。40歳以上ですけれども、実際の介護保険の給付は原則は65歳、高齢者になって おります。40から64歳の間の人たちには保険料を払っているんですけれども、介護の ニーズがあっても介護保険は適用にならない。その中で障害者認定も受けられないと いう方がおります。そういう人たちについては、結局、障害者自立支援法のサービス も受けられないし、介護保険も受けられない、まさに制度のはざまという問題が、こ れまた指摘されております。そこを埋めるということからも受給者の範囲を拡大する という検討がされていますけれども、もし仮により限定された受給者の範囲拡大とい う形で、40歳から既に保険料を払っている被保険者がありますので、ここの40歳から 64歳の間の方について、その介護保険の適用といいますか、40歳まで給付適用を下げ るということについては、どうお考えになられるかということが1つの質問なんです。  それともう一つは、これは直接的な介護保険の適用範囲拡大ということではないん ですけれども、それを支える基盤整備という点から言いますと、若年障害者に対する 所得保障、確かに高齢者の場合は65歳から基礎年金というのがあります。障害者につ いても障害基礎年金がありますけれども、それだけでは若年障害者の所得保障では不 十分だということを指摘されていると思いますので、新たな所得保障を確立について、 その辺はどういうような方法を考えるか。今でも重度障害者に対しては、障害者特別 手当、国の制度では2万6,000 円ぐらいありますけれども、東京都などは、それに上 積みして手当てを出しておりますけれども、そういうものをもっと充実させるという ようなことが考えられます。これについては、どう考えているのかということです。  以上3点ほどお願いいたします。 ○京極座長 小島委員の御質問は3、4点ぐらいあったような感じもいたしますけれ ども、それは構いませんので、どの問題点についてでもいいですけれども、全員とな ると、ちょっと時間がかかりますから、ポイントだけ。ヒアリングの参考人の方から お話しいただければと思うんです。 ○全日本手をつなぐ育成会常務理事 何事もしいら穂の先走りでいつもあれですが、 今、大変に本質を突いた質問で、言うなれば、今日はその質問を受けて我々は参加し ていると思います。結論は出せないと言いながら、意見を言うのも若干自己矛盾しま すが、基本的には介護保険であろうが、何であろうが、すべての障害のある人の問題 を、この制度で対応すると無理だと。それぞれ制度が医療保険があれば、労働保障が 問題があるとき、ここは介護の部分というか、必ずしも身体介護に前提していないと。 その部分について共通する、いわゆるベースの部分について、これは年齢を限定する ことに、先ほどから言ったように、私は疑問を持つと思います。ただ、それだけで障 害のある人の、つまり若年性障害者のニーズに対応できるかというところが反対の意 見であって、当然できない。ニーズが年齢によって、社会構造によって変わってくる ということが前提ですから、それをある一つの制度、ある一つの財源、ある一つのあ れですべてやろうと、あるいはそれがいいか、悪いの議論は不毛だと思いますので、 そこでどう組み合わせるかというところで検討すべきだというのが第一点です。  それから40歳まで現に払っているんだから、せめて40までは云々というのは、考え てみたこともありませんでしたので、論理的には、そのとおりだと思いますが、今、 聞かれて初めて考えたことですので、一応、保留します。  最後の所得保障の問題、これは実は非常に難しいんですね。基本的には政府は就労 政策、これは竹中さんがおっしゃったことについて、私は基本的に賛成ですけれども、 そういう意味では、働くチャンスを保障し、その稼得によって地位と収入を獲得する というのが原則だと。しかし、障害があるということは、それに対する支援というか、 ラインの組み方にしろ、様々なサポートがあって初めて成り立つ論議であって、今ま では本人の努力とか、本人の部分、あるいは家族の部分で論議されていたところに問 題があるのであって、それがいろんな国際的な流れから見ても、いわゆる雇用主であ るとか、様々な働く場における支援のシステム、要するに、合理的配慮がなされて初 めて成り立つ論議であって、その意味においては、私はタックスペイヤーを求める、 目指すというのは当然だという前提を持ちます。それでその流れから、いわゆる所得 保障というのを、働いて得るものによって所得保障ではない部分の部分に限定すると、 どうしても年金か、手当てという方法しかないだろう。問題はその財源、年金であれ ば、まさに年金の額の拡大ですが、手当てであるとすると、その材料をどうするかと いう、また別の議論になると思いまして、今我々も民間レベルで議論しておりますが、 大体ある面では財源問題、特に消費税の問題を含めて、更に介護保険の問題も含めて、 最終的には負担する、いわゆる国民的同意を、かつて障害基礎年金をつくったときと 同じような形で、国民的同意をつくるかどうかというのがポイントだろうなという感 じを持っています。あくまでも私見です。 ○京極座長 ほかの方でどなたか……。 ○日本障害者協議会常務理事 今、小島さんの質問で、まず私は障害者施策、高齢者 も入りますけれども、人の支えというのは、かなり究極の施策であろうと思っている んです。例えば、身体介護のみならず、精神障害であれば、相談だとか、通院の同行 だとか、当然、知的障害者の相談もあれば、日常生活のいろんな金銭管理もあります。 通勤もあります。そもそも人が社会参加をしていく上での人の支えということをずっ と列挙した場合、何が上がってくるのか。これに障害種別を重ねて、特性を重ねた場 合どうかということをやってみて、その部分で、私の考えではやはり障害者関係の政 策をきちんと一たん完成予想図を画いてみることだと思うんです。  今ありましたように、障害者というのは年齢から来るニーズ、資産形成が弱いとい う特徴、こういった部分で、まずは障害者政策をきちんと考えてみる。その上で同心 円なのか、円が2つオーバーラップするかわかりませんけれども、これにはもう一つ 異なった高齢者についても当然保健福祉政策があるわけですから、特に人的なケアが あるわけですから、ここをもう少し検証してみてはいかがかと思います。  まずは欧米の例を見ても、障害者施策からいろんな教訓が出ています。いろんな成 果が出ています。これをきちんともう一度青写真を画いてみる。文字どおりグランド デザインを考えてみるということを提唱したいんです。  最後にもう1点、所得保障に関しては2つ言います。やはり、基本的には働いてい るというのが基本だと思うんです。欧米、特にヨーロッパがとっている道は、うんと 雇用行政が、日本で言う福祉に入ってきています。賃金補填付きの就労というのは当 たり前なんですね。つまり、サボタージュじゃなくて、障害からくる労働能力の欠損、 これについては公的に補おうと。一部企業で補おうと。労働能力30%、50%、よくそ ういう表現を使います。その分の欠損部分を公的にもらう。これによって税金を払い、 社会保険料を払うということなんですね。  二つめはそういう点で言うと、日本の雇用行政、福祉行政のジョイントが全くなっ ていない。いつの日からか授産施設と一般就労はうんと差がつきまして、特に賃金で は差が著しいわけです。したがって、賃金補填、人的なケア、医療ケア、医療ケアと いうのは、人工透析あるいは通院ですね。こういったことを含めた雇用政策をつくる べきであって、その上で、どうしても重い障害者がいっぱいいらっしゃいます。これ に関しては、とても6万6,000円では生活できません。したがって、生活保護制度の 少なくとも金額で言うならば、1類足す2類プラス障害加算、そして住宅費です。住 宅補助、この程度の金額は、やはり準備する必要があります。これを年金か、あるい は手当てかというのは別問題で、やはり額的に言うと生活保護の1類足す2類プラス 障害加算足す住宅費、住宅がない場合ですね。こういった点が一つの目安であろうと いうふうに考えます。 ○京極座長 森様。 ○日本身体障害者団体連合会常務理事 日身連の森ですが、最初にお話ししたとおり、 これは私個人の考え方ということで御理解願いたいと思います。  先ほど40から64歳までは保険料を納めて、自己にはもらえないと。これは実は初め からおかしいと、こういう考えです。しかし、法ができてしまった上の問題だから、 これはそのときの問題であろうということでもあるし、これはまた変えていかなくち ゃいけないんじゃないかなというふうに、私は思っております。下手をすれば裁判に なったら負けるんじゃないかなと思っておるわけです。  そこで、実は私自身も老人の方もやったし、知的障害も身障もやってきています。 そういう中で、やはり基本的には高齢者のニーズに対するサービスのあり方、あるい は障害者のニーズに対するサービスのあり方というのは、一緒にやってできるのかし らというのが最近ものすごく思うようになってきております。言うまでもございませ んけれども、施策を見ればわかるとおり、障害者の問題というのは、中途障害の人も いらっしゃいますけれども、いわゆる生から死までという問題が非常に大きな問題に なって、そういう観点から施策をやらなくちゃいけない。しかし、高齢者の介護の問 題というのは、一定の年齢のときからの、その介護というだけだと思うんです。した がって、障害者の場合では、教育もあるし、就労もありますし、社会参加もあるし、 年をとっている人もいるし、若い人もいると、そういう中で本当にいいんでしょうか と。  私自身思っていることは、障害者の何のために介護を一緒にするんだろうかなとい うことを最近思っているんです。つまり、障害者が地域で豊かに一般の人と同じよう に生きていくためには何が必要なのか。必要なサービスというのは、手段だと思うん です。何か目的と手段が変わっちゃったような気がしてしょうがないんです。介護保 険が目的じゃなくて、障害者が生きていくためには、何が必要なのか。それでそのサ ービスがいいのかと。そういうことが検討しなくちゃいけないんだろうなと思ってお ります。  ただし、これは私自身の見解でありますし、これからもう少し勉強していかなくち ゃいけないのかなと思っております。  以上、参考まででございます。 ○京極座長 ありがとうございました。  それでは時間の関係がありますので、堀委員からお願いいたします。 ○堀委員 今までの御意見を伺いまして、現行の自立支援法なり、あるいは介護保険 法なりで共通している問題点は、3つあるのではないかと思います。1つは利用者負 担についての応益負担の問題、2つは障害区分の問題、3つは、もう既に議論がなさ れましたが、障害者に対するサービスと高齢者に対するサービスは違うのではないか、 ということだと思います。多くの方は、介護保険法の40歳未満の人への適用は時期 尚早であり、障害者自立支援法の施行による影響をみてから、とおっしゃいました。 私は、先に挙げた3つの問題は、本当に解決できないものなのかという感じがしてい ます。時期尚早というのは、3つの問題が解決できないからということでしょうか。 3つの問題が解決するのなら、適用拡大は認めるということなのでしょうか。ただ、 問題は、適用を拡大した場合に、現行の介護保険法なり、現行の障害者自立支援法な りが、現在のままでうまくいくかということだ思うのです。  先の3点について、皆さんのお考えをお聞きしたいと思います。1点目は応益負担 についてですけれども、障害者自立支援法については今回修正がなされて、応能負担 の要素が強まっていると思います。保険料負担、あるいは利用者負担について、今後 応能負担の要素を強めるか、あるいは議論が出ています障害者の所得保障といった形 で解決できないものかどうか。そういうことをお伺いします。  2点目は障害区分の問題ですが、これについてもいろいろな検討がなされていると 思うのですが、障害区分を設けるのは絶対だめなのか、それとも見直しをすれば、あ る程度受け入れることができるのかどうか。  3点目は障害者と高齢者との関係ですが、これについては関委員、小島委員から質 問がなされ、それに対する皆さん方の御意見が出されました。私の理解では、障害者 自立支援法のサービスには様々なものがあって、介護保険が適用拡大されても、それ 全部が介護保険に移行するというわけではない。介護に関する部分だけ介護保険に移 行して、あとは障害者自立支援法でやるということだと思います。現在、例えば65歳 以上の高齢者についても、基本的には介護保険法でやって、その他のことについては 障害者自立支援法でやっている。こういった形で、この問題についても解決できない のかどうか。そういった点をお伺いしたい。  それから最後に、皆さん成人障害者の代表の方が多いと思うのですが、障害児につ いてどう思うかということについてお考えがあったらお伺いしたい。この問題につい て関係ある方は、松友さんでしょうかね。障害児について、介護保険の適用に関して 何か御意見があればお伺いしたいと思います。 ○京極座長 今、4点の御質問が出ましたけれども、最後の点から松友委員の方から 最初に話ししていただいて、最初の3つの点は、それぞれの参考人の方からお話いた だきたいと思います。 ○全日本手をつなぐ育成会常務理事 あくまでも私見ですけれども、一貫して、私個 人としては、今先生がおっしゃった3点は解決できる課題だと思います。更には解決 しなければいけない課題だと考えています。  それから正しい意味における発達障害援助法じゃなくて、正しい意味における発達 障害、発達期の障害、つまり、児童、幼児の問題等についての対応は、これは非常に 自立支援法そのものが非常にうまくいかなかったというのがあります。といいますの は、要するに、負担するのが本人ではなくて、いわゆる扶養者、すなわち親でありま して、そこの部分の経済的問題が非常に力が弱い等々との問題がありました。しかし、 これもやはりいろんな形で貧困対策、低所得対策であるとか、いろんなことを組み合 わせる形において、基本形は児童も含めて、私個人としては一貫した統一のものをベ ースにして、そして別の支援策といいますか、緩和策等をかませながらやっていくと いうのが基本じゃないだろうかというふうに思っています。  私たちは基本的に生れてすぐに、あるいは生れたときから障害にある子どもの親の 会でありますが、主張がこの間弱かったことは、児童対策が遅れたことの責任の一た んだと思っておりますので、今後ともやはり、その分については、先生今御心配いた だいたように、私たちとしても積極的に発言していきたいと思っております。  以上です。 ○京極座長 ありがとうございました。それでは、事務局長さんの方から。 ○DPI日本会議事務局長 先ほどいただいた3点の問題、まさに私たちがこの自立 支援法の骨格にかかわる問題だとという話を言っていた点ですね。究極的な意味とい うか、制度というのは人間がつくったものですから、すべてを1からつくり直すとい う意味では解決が可能なのかもわかりませんが、例えば、今回その費用負担が4分の 1になったというのも、あえて言いますと、今回自立支援法で、ある意味では介護保 険とドッキングになっていなかったから、逆に障害部分だけ4分の1にできたんだろ うと思うんです。つまり、今の介護保険がすぐに、わずか2か月で4分の1にすると いうことができるんでしょうか。  つまり、現実の究極的な理論的には人間がつくった制度ですから、解決は一般的に はあり得るんだけれども、今の日本の財政状況、あるいは保険の一たんできあがった、 非常に利用者も財政規模も障害施策と比べてはるかに大きい介護保険がそこまで変わ るんだろうとかというリアリティの問題、そのリアリティが感じられないというのが 一つ。  もう一つは、とりわけさっきのサービス体系の部分で言いますと、だとすれば、な おのこと、今回の自立支援法のサービス体系というのを、一から見直さない限りは無 理だなというふうに思いました。  というのは、なぜかといいますと、たしか第2回目の有識者会議でしょうか、障害 保健福祉部の方から来られて、現在の自立支援法は制度の仕組みや負担の仕組み等、 ちょっと細かな表現は忘れましたけれども、基本的には介護保険と整合性がより近く なったというふうに言っておられたわけです。  つまり、それだけサービス体系が近付けたということも言えるわけです。そして、 現実に去年の10月から、そのサービス体系で何が起きているかといいますと、とりわ け、2004年の介護保険部会のときには、よくガイドヘルプ等の障害独自のサービスは 横出しにというふうな言われ方をしていましたが、自立支援法でも個別給付から外さ れてしまったことで、横出しサービスというよりは自治体独自の裁量的なサービスに なってしまいましたので、非常に格差が広がっています。よく伸びたところと悪くな ったところというよりは、ぎりぎり今までの水準を維持したところと、例えば1月16 時間までしか外出介護を認めませんよ、あるいは社会生活上必要不可欠なものはこう だけれども、余暇はもう認めませんよみたいな、非常に社会参加が後退してしまった という、これは私ども実際に市町村のアンケートをとってみてのデータで明らかにな っています。  だとすれば、先ほどから申し上げておりますとおり、運用のレベルの問題ではなく て、骨格にかかわる問題ですから、自立支援法も含めて一から見直していく、そして の上で介護保険でカバーする部分はこうであって、むしろ障害施策全体はこうであっ てという、先ほど藤井さんおっしゃったとおり、いわば障害施策全体のグランドデザ インがあった上で、つまり、今の自立支援法を前提にするのではなくて、本来あるべ き姿をしっかりもう一度再構築した上で、それと介護保険との共通部分がありやなし やという議論はあるかもわかりませんが、今の自立支援法のままでは、最初の発言で 申しましたとおり、もうほとんど訓練と給付以外はなくなってしまうんではないかと いう危機感を持っております。 ○京極座長 ほかに堀委員からの御質問で、笹川様お願いします。 ○日本盲人会連合会長 障害程度区分のことについて申し上げたいと思います。御承 知のとおり、79項目は介護保険の認定基準そのままでございます。  この中で大変問題なのは、視覚障害に関する部分が全くないと言っていい、1項目 ありますけれども、それで判定がされてしまう。更に27項目が上乗せされております けれども、この中でも十分に視覚障害というものがチェックできない。その結果、大 変低く障害が評価されているのが現状でございます。  したがって、これまで全盲で一人暮らしをしていた人たちが、だんだんそれができ なくなってきた。つまり、程度が低く評価されますから、ヘルパーの派遣の日数が減 らされる。ガイドヘルパーの派遣の時間が減らされる。こういう結果が今出ておりま す。ですから、やはり、その障害の特性が十分チェックできる。そして本当に必要な サービス料を生み出せる、計算で出されるような、そういう仕組みにしていただかな いと、このままの障害程度区分では障害者は大変不利な状況に置かれてしまいます。  それから、所得保障の問題ですけれども、基本的には我々障害者は、まず働くとい うことを考えています。決して、年金や援助で生活しようなんていうことは到底考え ていない。ただ、高齢者が非常に多いというのが、一般の方々に比べて大変違うとこ ろです。例えば、視覚障害者の場合、70歳以上が51.5%です。2人のうち1人はもう 70歳以上なんです。そういう人が大変多い。そういう中で、私どもは何とかそういう 方々が、たとえ視覚障害があっても、ほかに障害があっても、人生が全うできるよう にということで運動しているわけで、税金によってみんな賄ってもらおうなんてとい うような、そういう考えは全くありません。それよりも、むしろ働く場を提供してい ただきたい。働いてこそ、私たちは生き甲斐が得られるわけですから。  今の状況を見ておりますと、例えば一般企業で失明をした。そうなりますと、もう すぐに解雇ということになってくるんです。こういうことでは、本当に就労というこ とを保障するという今度の障害者自立支援法でも極めて不十分。今も都立高校の教員 が1人解雇されて問題になっていますけれども、この辺のところを、やはり十分行政 として考えていただかなければいけないというふうに思います。  例えば、社会援護局に全盲の職員がいるでしょうか。多分、いないと思います。そ れぐらいに働きたくても働く場がない。能力があったとしても、通勤の問題等があっ て働けない。これが現状です。こういう点がクリアできない限りは、なかなか私たち は社会生活を営むことができないわけで、介護保険に入ったから、それで仕事が保障 されるとか、そういうことは全くないわけですから、その辺を根本的に考え直してい ただかなければならない。この点を申し上げておきたいと思います。 ○京極座長 藤井様どうぞ。 ○日本障害者協議会常務理事 堀先生のお話、これは大変大事な問題だと思うんです。 つまり、原理的なお話だと思うんです。私は原理的には今のお話というのはあり得る と思うんです。確かに、受益感があったらお金を払うのは当たり前なんです。しかし、 この原理の前に、実は実態があるんですね。そうしますと、今度の応益負担も、ある いは程度区分基準も実態から始まっちゃうと、これは全部利用抑制につながってしま うんですよ。決して、これは透明であるというものじゃないんですね。  例えば、応益負担で言うならば、結果的には所得が6万6,200円の年金2級が今84 万人、大半が2級年金ですよね。これに作業所の工賃が1万数千円加わって、そこか ら負担が新たに1万数千円発生するわけですよ。つまり、可処分所得が削られてしま うんですね。所得があればというんだったら、なぜ先に所得保障を先行させなかった のか、つまり、信用できないということなんです。あるいは、家族負担を前提にして いるという、この応益負担の前提としまして、自立を標榜しながら、家族の世帯同居 者の収入を合算している、あてにしているという事実があるのです。  それから程度区分に関しましても、基本的には、仮に程度区分がどう出ましても、 クリアカットで出ましても、出た後の行き場がないんです。つまり、さっきも言った ように、基盤整備が非常に弱いんです。結果的には程度区分は歪曲化、歪んでしまう んです。したがって、やはり、原理論の前に実態の整備がもう少しないと、あるいは 相当ないとなかなか純粋な政策論議はしにくいということ、これを申し加えておきま す。 ○京極座長 よろしいですか。松下委員からお願いいたします。 ○松下委員 特に意見とか、質問があるわけじゃないんですが、今日のお話を聞いて いると、大変勉強させていただきました。まずはありがとうございました。  それで基本的にはいろいろな言葉を使われましたけれども、例えば、障害者自立支 援法が一番問題で、それが定着していないからだとか、あるいはそれが混乱している からだとか、あるいはそれを定着させる前にもっと議論すべきことがたくさんあるん じゃないかという、そういうお話がありました。  それでちょっと、私が先ほど皆さん方のお話を聞きながら抱いていたのは、それは 確かにそうだろうと思うんですが、多少、技術論的な話で、もう少し理念的な考えで 言うと、介護保険と本当に相入れないものなのかというようなことをちらっと考えて、 そういうことを御質問しようかと思っていたんですが、たまたま、堀委員とか、小島 委員が質問なさってくださったので、私は質問としてはしないということにいたしま す。 ○京極座長 ありがとうございました。紀陸委員お願いします。 ○紀陸委員 私も特に質問はございません。質問はございませんが、障害者の皆さん からいろいろな御意見をいただきまして、勉強になりました。ただ、感想的に申し上 げますと、介護保険の制度と障害者の福祉の制度、この2つを、特に財源の面から併 合ということは、いろいろと問題あるなというふうに感じております。いろいろ制度 が始まって間がないわけでありまして、この新たな制度を、これから今度、18年度の 補正の問題も含めてですけれども、今後の独立支援の状況をもう少し見極めていく必 要があるなというような感じがいたしました。その点がまずもって重要な課題である なというふうな理解をさせていただいております。簡単でございますが、以上であり ます。 ○京極座長 ありがとうございました。喜多委員。 ○喜多委員 市長会を代表して来ています喜多でございます。今日は皆さんの御意見 を聞かせていただいて、私は非常に心強い思いがいたしました。  質問はないんですが、はっきり申し上げまして、今の介護保険制度の中に普遍化と いう美名の下に、いきなり入れることはおかしいんじゃないかというのを、ずっと私 は主張してまいりました。それからいきますと、今日皆さん方がおっしゃったことは、 私の感じ方としては間違っていなかったんではなかろうかなと、このように思ってい ます。  なぜかといいますと、基礎構造改革という名の下に、今まで措置でやられておりま した障害者対策が、いきなり支援費制度になった。この支援費制度がわずか2年でパ ーになってしまった。これは何かといえば、国民的なコンセンサスもなければ、窓口 である市町村のコンセンサスもなしにいきなりやられて、財源が足りないからといっ て非常に困ってしまった。挙げ句の果てには、それが自立支援法になって、去年の10 月から実施をされております。  未だにまだ、市町村では窓口でいろんな取り決めをすることについて、まだ混乱し ているというのが実情であります。そんな中で普遍化という名前だけで介護の保険の 中に異質なものを入れることはおかしいんじゃないか。本来は国民的に公平さからい けば、年齢を切ることなく、おぎゃーと生れてから死ぬまで、みんな同じ待遇を受け るというのが一番正しいということを、私はずっと申し上げてきたわけであります。  そういう意味では、本日皆さん方の御意見を聞きまして、当面始まった自立支援法 の中で、障害の皆さんに対して不満のないようにどれだけ国がシステムができるのか。 そして地方もそれにどれだけ力を尽くしていくのかということの方が、私は先ではな いか。こういう思いがいたしております。  以上でございます。 ○京極座長 ありがとうございました。特段の御質問ということではないので、では、 貝塚先生、大所高所からお話をお願いします。 ○貝塚委員 私は質問というよりは自分の意見を述べさせていただきますが、私は介 護保険部会をやっておりまして、そのときに、かなり最終段階に障害サービスの問題 が登場したわけです。そのとき非常に議論が分かれて、それが現在の部会の成立に関 係していると思いますが、結局、私の個人的な意見では、介護サービスというものと 障害者に対するサービスというのは、かなり違う性質のものが含まれていて、一番単 純に言えば、障害者というのは若いときからも障害者の人もかなりおられるわけです。  介護というのは、ある程度高齢化に伴う、ある種の身体的な障害を中心に考えて保 険ができ上がっていった。ですから、私の個人的な意見では、両者はかなりサービス の内容がもともとは違ったものじゃないかと思うんです。しかし、問題はそれほど単 純ではないように思いますが、いずれにしても、現在の日本の社会の中で、結局社会 保障の全体の中で介護保険というのは、それはそれなりに皆さんのサポートが得られ た結果でき上がった制度で、制度はいろいろ問題はありますけれども、障害者に関し ては、私の意見では、まだ日本社会において、こういうふうにやるべきだという、本 当の意味でのコンセンサスはうまくできていないんじゃないか。先ほど来、ヨーロッ パ社会でどうのこうのと言われておりましたけれども、例えば、スウェーデンとか、 そういう社会における障害者へのサービスというのは、多分、基本的にスウェーデン の社会における障害者に対する通念といいますか、そういうものを反映しているんじ ゃないかと思うんです。  ですから、多少無責任と言えば無責任ですが、日本の社会保障において、今までい ろんな保険があるんですが、ある意味で普通の保険から抜け落ちている存在のいろん なサービスを、どういうふうにカバーして従来の保険制度の中にうまく取り込めるも のは取り込んで、そうでなければ、やむを得ない場合には、生活保護とか、そういう ところで対応するとか、その辺の全体のいろんな社会保障福祉サービスの全体の体系 を従来の保険制度との関連で、どこからどこまで関係し、応援できるか、あるいは応 援できないかというあたりをかなりはっきりさせて、全体像をはっきりさせて、先の ことは、その辺のところを見ながら現在の自立支援法なら自立支援法の改善をすると か、そういう方向でお話を持っていっていった方がいいのではないか。これは私の全 く個人的な意見ですが、そういうふうに感じているということで申し上げておきます。 ○京極座長 ありがとうございました。あとお二方ですが、既にお話になった方でも、 一巡しましたら、再度御質問、御意見を述べていただいて結構でございます。小方委 員よろしくお願いします。 ○小方委員 私の方からも特段、質問ということはないのでありますが、また各委員 の方々から御質問等々を踏まえて、いろいろ御説明いただいたわけでありますので、 特に質問ということはございません。  私はこの会議に参加するに当たりまして、介護の分野、それから障害者の方々の皆 さんへの支援の範囲ということを見れば、一部介護の部分は統合できるのかなという 反面、皆様方の御意見の中にありましたように、この自立支援法がまだスタートして 間もない。また内容的にもいろいろ課題がまだあるんだというようなことを今日改め て伺って、私自身もその辺の自立支援法の進捗状況というんでしょうか。進展状況を 踏まえた上で、この会議で意見を申し上げるべきかなというようなことを一部思って おりましたものですから、改めて本日皆様方、参考人の方々からお話を伺って大変勉 強になりましたし、今後それを踏まえまして、この会議に参加をしていきたいなとい うふうに思っております。  各障害者の支援の中身、また社会復帰、あるいはこれから就労に向けての御努力 等々、それぞれの障害者の方で大分ニーズも違うんだなということでありますので、 我々のこの会議で自立支援法の中身を議論するというテーマはちょっと違うのかなと いうふうには思っておりますが、そういったところもよく注視をしながら、今後この 会議で意見を申し上げていきたいなというふうに思っております。  以上です。 ○京極座長 ありがとうございました。大島委員、最後にお願いします。 ○大島委員 今日はいろいろと御意見いただきましてありがとうございました。私も 特段質問とか、そういったものはないんですが、この会が進めば進むほど、頭の中に は非常に混乱の方がむしろ大きくなってきまして、大体普通どんな会議でも、例えば これでいけば、「介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」という ことですから、こういったタイトルにもありますように、これを解決するためには、 一体どういう前提条件で、まず少なくとも前提条件はこれですよという前提条件があ って、その前提条件の上に乗っかって議論というのは進むものだというのが、大体、 私の常識というのが頭の中の整理の仕方で当たり前になっていまして、ただ、会議が 進めば進むほど、私がつくろうとしている前提条件がガタガタと崩れていくんですね。 今日のお話を伺っていましても、障害者施策のグランドデザインがないようなところ で、どういった議論をするんだというようなお話が出たりとか、あるいは社会保障全 体のグランドデザインがなければ、こんな議論をしても意味がないという、ちょっと 言い過ぎかもわかりませんが、そのようなお話が出てきたりして、ということになる と、一体この会議は何なんだろうかというところまでいっちゃいまして、大体制度と いうのは、どんな制度をつくっても文句が出るというのは、これは当たり前だと思っ ておりますし、ただ、当たり前ですけれども、こういった障害の問題だとか、介護の 問題に関しては、そこからはみ出たところをどうカバーしていくのかというのは、非 常に重要な問題でして、ところがそういう議論でもなさそうだと。  自立支援法については、今お話がありましたように、ここで議論するような話なの かなというふうに思いながら、しかし、全否定のような御意見があると。こういった ところはいいけれども、こういったところは問題があるねというような話だと何かと っかかりがあって、次に進めそうな感じがするんですけれども、全く話にならんとい うような全否定、実際の自立支援法で影響を受ける方たちの団体の中から全否定のよ うな話が出てくると、一体制度そのものがどうなのかというのは、まるで頭の中で混 乱しちゃっているというところがあって、というのが、私の今日の会議の感想でして、 このレベルのところで考えていますので、もう少し勉強させていただきたいと思いま す。どうもありがとうございました。 ○京極座長 ありがとうございました。今まで発言された方でも、何か追加の御意見 等ございましたら、堀委員。 ○堀委員 この有識者会議でもたびたび理念ということが問題になり、それをどうす るかということが議論になっています。さっきの御意見の中で、介護保険の対象の普 遍化ということに対する疑問が投げかけられたと思います。普遍化を別の言葉で言い かえれば、国民皆年金保険、国民皆医療保険に次いで、国民皆介護保険をつくるんだ と、私は思っています。これが、理念の一つです。  それからもう一つの理念は、自立支援ということではないかと思います。もちろん 障害者自立支援法は自立支援を理念にしていますが、介護保険もやはり自立支援がキ ーワードで、要介護者を尊厳ある形で支援していこうということです。このように自 立支援は、二つの法律で理念として共通していると思います、障害者と高齢者とで、 理念は違うのか、同じなのか。障害者の場合には就労という形での自立支援が多いと 思いますが、高齢者の場合は就労するという意味での自立は難しい。そういった違い があることは十分承知しているのですが、自立支援という点で、要介護の若年障害者 も要介護の高齢者も共通するものがあるのではないのか、そんな点について何か御意 見があればお伺いしたいと思います。 ○京極座長 どうぞ、安藤様から。 ○全日本ろうあ連盟理事長 私、聴覚障害者の福祉を考える中で、国民全体の社会保 障の中での障害者福祉という考え方が基本にあるべきなんです。したがって、国民全 体の社会保障の基盤となるものは、やはり、人間としての尊厳性の尊重だと思うんで すね。人間としての尊厳性の尊重を基盤とすれば、老人の皆さんの介護保険とか、障 害者の自立支援法とかすべてが、国民全体の社会保障の中で整理できるんではないか と思うんです。  ただ、私、若いときからというよりも、子どものときから障害があるわけなんです。 ろうあ学校を出て、社会に参加したときには、     、運転免許がとれるとか、 聴覚障害者の福祉と思うのは、全くなかったわけです。身体障害者手帳をもらっただ けで、サポートされたわけはなかったわけなんです。その中で   進路とか、運転 免許とか、  改正とか、それは私どもの中で、一つ一つ積み上げてきたわけなんで す。このような経過の中で考えると、人間性の尊重というような理念というものが政 府にきちんと理解されていない感じですね。  老人福祉が論議されたときは、国会議員の中で枯れ木に水をやるようなものだとい うような意見も出たようです。また、今は女性を生む機械とか、掃除とかというよう な、ちょっと失言ですけれども、いろいろなことがあるわけですね。また、厚生労働 省に対しても、私たちは50年も60年も続けて運動しているんですけれども、担当が3 年か4年ぐらいでかわる度に、こちらが一つ一つ説明しなければならないような継続 性がないわけなんです。したがって、国の施策といいますか、行政がきちんと人間同 士の尊厳性、基本的人権というものをきちんと踏まえた施策をすることによって、介 護保険とか障害者福祉というものの    はなくなって、総合的に運用ができるの ではないかと思うんです。ただ、それには時間がかかりそうです。同じようなテーマ を論議の積み立てが必要ではないかと思うんです。以上です。 ○京極座長 DPI事務局長。 ○DPI日本会議事務局長 まず障害者施策は私たちの専門なので、そちらの方を言 いますと、障害者の自立というのは、1981年の国際障害者年、ノーマライゼーション、 それ以降ですね。1993年に障害者基本法ができ、更に2004年に改正をされていく、あ るいは権利条約という、その流れからしますと、いわばどんな重度の障害があっても、 自己決定をし、地域で暮らしていけるということが自立支援というか、自立というこ との考え方の根幹です。  もっと言うならば、医療モデルというものから社会モデルにという考え方だと思う んです。その点から見たときに、介護保険の方はよくわからない部分があります。と いうのは、介護保険は最初、介護の社会化というようなことや、あるいは高齢者介護 自立支援システム研究会でしたっけ、あの中では、例えば高齢になって要介護の状態 になっても、車いすでまちに出かけ、いろんな人と交わりというふうなことが言われ たかなと思ったら、ところが実際の介護保険法の議論になり、更に2005年で介護予防 ということが強調されていくにつれ、介護の社会化というよりは、やはり身の回りの ことが自分ができるADL自立のような考え方が、その介護保険に両方含まれている のか、そこが私にはちょっとわからないんです。少なくとも若年の障害者に、今から 障害の予防や介護の予防といっても、いわば、全然意味がないというか、むしろ、そ れは私たちからすれば、逆に自分たちの障害を持って生きてきた人生を、そこの尊厳 を否定されるような感じすら感じるわけです。  そういう意味で障害があっても社会的なサポートを受けて、当たり前に自立ができ るという自立論で、障害者関係は少なくとも進んできたというふうに思うんですが、 介護保険の方はどうなんでしょうかという感じです。  私は、その自立については、少なくとも去年言われた介護予防、介護の社会化とい うのではなくて、介護予防みたいなことが言われるのは、どうも障害を持って生まれ 育ってきた尊厳ということから抵触する部分があるのではないかと言わざるを得ませ ん。 ○京極座長 松友様。 ○全日本手をつなぐ育成会常務理事 議論するというか、先ほど来議論すればするほ ど混乱してきたという御指摘がありましたが、議論の枠というか、戦略的レベルで議 論するのか、理念的でやるのか、あるいはサービス論でいくのかとか、それがどうも 私は常に障害、あるいは介護の議論のとき、明確なる確認をしないで進めているよう な気がするわけです。 といいますのは、先ほど申しましたように、私たち知的障害 で団体として来ました。個人的には私の子どもは赤ちゃんのときにてんかんになりま して、てんかんは逆に言うと精神障害ということに日本の制度ではなっています。結 局、精神、知的、身体、あるいはその他と非常に格差があったわけです。今回、自立 支援法で一本化しようということになっていますが、そのときの議論を身体と知的と 精神は違うんだという違い論で、かなり言われてきた議論を思い出すんですね。  ですから、私たちは何が違って、何が一緒なのかというときに考えた場合に、理念 的な整理と、それから戦略的な確認という点から見ると、私はやはりこの高齢性障害 であろうが、若年性障害であろうが、基本的には一致するものだろうと。ただ、様々 な面で家族関係、すなわち、家族の中において扶養される方なのか、する方なのかと か、いろんなことで構造的に違ってきますから、あるいは当然社会関係の絡みがきま すから、ニーズは異なります。これは知的と身体、同じ知的の中でも様々に違うと同 じことだろうと。だから、いわゆるニーズに対するサービスは、極めて個別的にやる べきであって、しかし、それを保障する法体制、財源体系等は何故に分けるのかとい うことがよくわからないということを感じます。  ただ、これは国家の施策というか、戦略だと思いますので、国によっては、医療保 険と福祉サービスを一緒にして、それも保険サービスで一緒にしている国もあると思 いますし、あるいはすべてを税財源でやっているところもありますので、我が国はど のシステムでいく方が、言うなれば国民的多数の同意ができるかという視点を見たと きに、何故に若年障害者だけを、いわゆる直接税財源にやって、ほとんどの社会保障 システムが保険システムでやっている国において、どうなのかなというところに、あ る種の回答を出さなくちゃいけないというところを見ると、やはり骨格的なものにつ いては、もう少し総合化、普遍化というのがあって、そして具体的なサービスの中で、 それをやろうとするときに、現実的に単価等をガタガタと下げるようなことをやるか ら、技術レベル、あるいは戦術レベルでの問題が厳しく批判されるべきであって、や はり、理念及び戦略的には、もう少し整理して共通点が見れるんじゃないかなという 感じがします。  以上です。 ○京極座長 では、江上様、藤井様。それから大濱様という順番でお願いします。 ○全国精神障害者家族会連合会専務理事 委員の方に、是非現実の、藤井さんがちょ っと言われておったんですけれども、精神障害者の現状というのを是非知ってもらい たいなと思うんですけれども、今、精神障害者は全国で260万人、厚労省の調べでは おる状態です。そのうち、私たちの理事会でいろいろ推計すると、130万人は在宅に おるんではないか。家に出られないで、外に出ないでいろいろグループホームとか、 作業所とかに行かない人が130万人おるんではないかと。そういう中で差別と偏見が あるために、精神障害者の家族会に入っているのは、6万家族、12万人で47都道府県 で組織しております。これが精神障害者の実情であります。  そうしたときに、私は4年前に福岡のある企業で働いていたんですけれども、そこ の大手で2,000人の工場の中で、100人精神障害者がいました。今は多分もっと増えて 続けておると思います。そういう人たちは、成人してなるのであります。高校、大学 を卒業して精神障害になる。在学中にもなる人もおるでしょう。こういう中で、今の 世の中では精神障害者を生み続けておるのであります。そのときに、今回の自立支援 法で身体、知的、精神と横並びになって法律が一つになったということはいいんだけ れども、予算のパイが広がらなくて、障害者施策が進まなかったということに問題が あったと。  そこで是非いろいろわかっていただきたいのは、このような精神障害者を持つとい うのは、やはり差別と偏見があるわけです。日本の国民が障害者に対しての差別偏見 もあるけれども、精神障害に対しての差別偏見は、日本もあるし、世界の国々でもあ るわけです。だから、これを生み続けていろいろ問題を起こしていると思います。  そういう中で、今回の自立支援はきちっと精神障害者が障害者として認められ、ま た本人たちが障害者として、自分たちも認めていろいろな制度も受けていく仕組みを つくっていただくというところになってきたんではないか。だけれども、今回の介護 保険と自立支援法の推移を見ていくということは、やはり余りにも自立支援法で精神 障害、ほかの障害者施策も含めて、理念はよかったけれども、中身が悪かった。実際 に移っていったと。地方自治体に行けば、地方の担当の係の人が2年サイクルで障害 担当をかわる。だからなかなか障害者施策は進まないという意味で、是非この辺の根 本も含めて、日本の障害者施策をどうするかという部分を含めて、きちっと議論して いただければなというふうに思います。  それと自分がある企業で働いたときに、2,000人のうち、100人が精神障害だった。 その100人が100人とも精神科の治療を受けているかというと、お父さんとか、御兄弟 が薬をもらいに行っている。本人は職場の人には隠れて治療をしているというのが実 情であります。そういうことを含めて、障害者の人が今の精神障害者の手帳を持って いる人を含めて、障害者施策を含めて受けている人たちが、本人たちがきちっと所得 保障もできていく仕組みが必要ではないかというふうに考えております。  以上です。 ○日本障害者協議会常務理事 理念というのは事の本質を理念と言うらしいんですが、 私は今度の自立支援法は理念がおかしいと思うんです。文字面はいいんです。理念は おかしいと思うんです。  今、堀先生おっしゃった自立ということなんですが、これは先生御自身はどう考え るか。一般的には、私どものある脳性麻痺の方が、自立を広辞苑で読んだら、人の力 に頼らず、自分で立つことと書いてあると。これを言われたら、私はできないんです とおっしゃるんです。私は安藤さんがおっしゃったように、自立支援という方向はい いと思うんですけれども、その前に大きなベースといいますか、苗床としましては、 やはり個の尊重とか、人間性の尊重ということがあって、その上で自立支援というこ とがあると思うんです。この四文字が先行することは、その影で辛い人がいると思う んです。この辺はやはりもう少し考えてもいいんじゃないかと思います。  最後にヨーロッパの例、僕らもたまに行ったり、勉強するんだけれども、障害者を 支援して社会の側も得をするという考えなんですね。社会も得をするということ、つ まり、一方的に税金を使うんじゃないんだと。ここのところの政策論の深まりをどう するかということを、今日は多くは言いませんけれども、こんなことで単純に自立支 援ということについても、もう少しデリカシーがあってもいいんじゃないかなと思い ます。 ○全国精髄損傷連合会副理事長 先程来から、堀先生が言われているような回答にな るかどうかなんですが、多分、有識者の先生方は気がついておられることだと思いま すけれども、やはり、日本の社会保障制度そのものが、本当に貧弱なんですね。予算 そのものも非常に貧弱なパイの中にあって、その中でどうしようというのは、やはり 正直言って限界があると思います。それが根本の問題じゃないかと。  ですから、先ほど大島先生がいろいろやればやるほど悩みが、当然、こんな小さい パイの中でやりくりするのは、結局は無理なんじゃないかというのが本質論じゃない でしょうかね。やはり、社会保障制度を日本の国家戦略として、どれぐらいまで高め ていくか、そういうきちんとした国家戦略的なビジョンがないうちに、特に厚労省が ちゃんとしたビジョンを描いて、逆に例えば、消費税はこれぐらいまで上げなくては 社会福祉制度ができないんだとか、その辺まで踏み込んだ議論をしていって、ちゃん とした社会保障を獲得していかないと、日本の制度というのは、幾ら議論しても成り 立っていかないんじゃないかと。そう思いますね。  ですから、普遍化とか、理念ということを本当に考えるのであれば、社会保障制度 のもっと充実ですね。この充実の中で初めてそれはできていくのであって、そのため には、このような小さい財源のパイの中では、これはかなり窮屈で無理でしょうと。 医療費がこのように削られて、医療費だって、かなりおかしくなっていますよね。そ ういう中で、この部分だけちゃんと行うといっても、これはかなり限界があるんじゃ ないか。そう私は思います。 ○京極座長 どうもありがとうございました。今日はいろんな御意見が出ましたし、 また、障害者の方々からの具体的な、現実的なお話で大変参考になりました。私も座 長という立場か、個人の立場かはちょっとなかなか微妙なのでありますが、中央障害 者政策推進協議会の会長もやっておりますので、今日の出た議論をまとめるというこ とはちょっと不可能なんですけれども、感想的なことを何点か申し上げさせていただ きたいと思います。  1つは皆さん方から出ましたし、貝塚先生からも御指摘がありましたが、社会保障 全体から見ますと、障害者施策は大変不十分だということは、国際比較その他いろい ろありますけれども、全体としては共通認識はあるんじゃないかなと思います。  ただ、増やせばいいんじゃないかというんだけれども、具体的には、法の改正とか、 法をつくったり、あるいはその制度に基づいて、具体的な肉付けをしたり、そういう 作業がなければ、特に皆様方御存じのように、財政状況は大変厳しいですから、これ はなかなか不可能であります。  それから2点目は、障害者自立支援法との関係で、私も昨年の3月まで部会長で、 3月で解散いたしましたので4月以降はやっておりませんが、障害者自立支援法の法 律にいろいろ不十分さがあるとしても、法そのものと法の肉付けというか、施行の仕 方、これはやはり区別しなければいけないんじゃないかと。一緒になりますと、大変 な混乱をしまして、特にいろいろ障害者団体、その他事業者団体からも問題になった のは、お金の問題でありましたけれども、それは法の肉付けの問題であって、予算化 というのはほとんど肉付け問題ですね。自立支援法を読みますと、100分の90を国と 地方公共団体が支払うと書いてあって、あと残り100分の10、つまり1割が恐らく利 用者負担ではないかということなんですけれども、これはそういうふうに書いていな いんでありまして、いろんな弾力的な活用ができると。  堀委員がさっき整理していただいたように、最初はやや応益負担的なことを強く厚 労省も言っていたような気がするんですけれども、具体的な施行においては、応能負 担的な配慮がだんだん進んできたという現実があります。これは皆様方の運動が功を 奏したこともあると思います。  そういった点で施行と法そのものは区別して考えると、その上で予算で見ますと、 私もずっと障害者の問題、部会長でかかわっておりますので感じますのは、障害者自 立支援法がスタートしたとき、具体的には約600億予算が増えました。それから今年 度の補正予算と来年度、その次というので、約1,200億増えたと。具体的には、計1,8 00億が国のレベルで増えたので、それに地方公共団体のお金を足すと4,000億近くに なるわけです。こういうことは歴史的に初めてなんですけれども、しかし、非常にま だ不満が残っていて、具体的にはいろいろあるというので、基盤としては、底上げし ているけれども、障害者の方によっては非常に負担が重くなって、苦しくなった方も いる。逆に負担が軽くなった方もいらっしゃるわけですね。それから事業者も国レベ ルで1,800億も増えたわけですから、非常に収入も増えたけれども、逆にうんと減っ てしまうところも一部ある。そういったちぐはぐなところがいろいろ出てきた。でも、 全体としては、やはり予算的には少なくとも明らかに前進しているということで、こ れは障害者自立支援法がなければ、円滑な施行という形で、国も予算を増やすことは できなかったんじゃないか。支援費制度じゃ増やせたか、措置制度で増やせたかとい うと、それは全く不可能なことでありまして、不十分なところがあったかもしれない けれども、自立支援法の施行について、皆様方の運動もありましたし、また行政の努 力もあったし、国会議員の先生方も動いたということで変わったんじゃないか。この ところは事実として確認していいんじゃないかと思っています。  あともう一つは同心円の問題が出ました。藤井様のところから、障害者施策と老人 施策はどうかと。これは同心円じゃないと思うんです。基本的には、離れた円が今ま ではちょっとしか設定なかったところが、今回非常に広がってきた。この共通点がで すね。それをもっと広げていこうというのが、これからの検討方向なので、それがい いことなのか、悪いことなのか、ここは戦略的な大きな議論だと思う。それによって 何がメリットになるか、何がデメリットになるか、少し整理をしていく必要があると いうことでございます。  最後に一応、付則で平成21年度にこの障害者施策に介護保険法を適用するかどうか を検討するということになっていますから、これは法律で国会で決まったことなので、 やるかどうかは別ですけれども、検討するかどうかは検討しなくちゃいけないので、 時期尚早だという意見もあれば、もっと早くやらなくちゃいけないといった意見もあ ったと思うんです。この点につきましては、やはり方向性に関する統合という言い方 が不正確なので、同心円じゃありませんので、この活用の方向性と具体的な条件付け、 例えば上限額を介護保険並みにして上げられたらどうなるかということがございます し、また、いろんなメニューでも共通メニューと違うメニューがあるから、それをど う整理するか。その他いろんなことがございます。そしてしかも、具体化については、 就労支援だとか所得保障、つまり自立支援法以外のところで、かなり改善しなくては やっていけない問題も出てくるわけで、そういう条件も付けて検討しなくちゃいけな い。  ただ、方向性については、やはりきちっと議論を整理しておくということが、この 有識者会議の基本的なスタンスでありますので、それはまた改めて今日御登壇いただ きました、ヒアリングに応じていただいた団体の方々のみならず、すべての障害者団 体やあるいはそれを支援している方々にもお伝えし、国民的に広く意見を問うという ことにするべきじゃないかと思っております。  ちょっと出過ぎた発言でございますけれども、私の率直な感想としては、そういう ことを感じております。  あと、全体として何か厚労省の方で御意見等がございましたら、まだちょっと時間 が残っておりますので。 ○社会・援護局長 時間が限られておりますし、今日は障害者団体の方々から実情を 聞いていただき、また御意見、御要望、そういったことについて有識者会議の委員の 先生方と意見交換していただく場でございますので、私の方から特に申し上げること はございませんが、理念や戦略やサービス体系や今回の補正予算等で行います特別対 策について、いろいろコメントもいただいております。  それから老健局長ではありませんけれども、前職ですので、介護予防等についても 御発言いただいておりまして、それらについては多少誤解に基づく面もありますので、 時間があれば御説明したいところでございますが、今日の会の趣旨はそうではござい ませんので、またこの会で御説明の機会がありましたら、それらについても丁寧に御 説明して、できれば、障害者団体の皆さんにも誤解の部分については解く努力をした いと思っております。本当の今日はありがとうございました。 ○京極座長 それでは、最後に事務局から連絡があれば、よろしくお願いいたします。 ○石塚総務課長 次回の日程について御案内申し上げます。次回は3月7日水曜日で ございますが、16時からということで、現在行っております有識者調査、あるいは諸 外国の現地調査の結果等を御報告を申し上げて、御議論をお願いしたいというふうに 考えております。  以上でございます。 ○京極座長 どうもありがとうございました。これで閉会とします。                                      (了) 照会先 老健局総務課 上村 連絡先:03−5253−1111(内線3918) 1