07/02/01 第2回「健やか親子21」の指標に関する研究会議事録  第2回「健やか親子21」の指標に関する研究会 議事録 日時:2007年2月1日(木) 10:00〜11:20 場所:厚生労働省専用第17会議室(16階) 出席者:   山縣座長、犬塚委員、北村委員、関口委員  厚生労働省   関谷母子保健課長補佐、齋藤母子保健課長補佐、當山母子保健課主査、  文部科学省   岡田スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官 議事:  1. 開会  2. 議題    (1)「健やか親子21」の指標に関する研究会の進め方について    (2)指標の一部見直し及び未収集の指標の評価(案)について  3. その他  4. 閉会 配布資料:  資料1 「健やか親子21」の指標に関する研究会開催要綱  資料2 「健やか親子21」の指標に関する研究会の手順  資料3 「健やか親子21」の指標の一部見直し及び未収集の指標の評価(案)  参考1 「避妊法を正確に知っている18歳の割合」に関する調査概要  参考2 「性感染症を正確に知っている高校生の割合」に関する調査概要  参考3 「事故防止対策を実施している家庭の割合」に関する調査資料  参考4 「健やか親子21」中間評価報告書 ○山縣座長  定刻となりましたので、ただ今から第2回「健やか親子21」の指標に関する研究会を 開催します。本日は大変お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございま す。まず、本日の出席状況を事務局からご報告をお願いします。 ○當山母子保健主査  おはようございます。本日は、委員の先生方全員がご出席予定ですが、犬塚委員が電 車の事故のため遅れて来られます。また、母子保健課長は所用のため欠席させていただ いております。 ○山縣座長  ありがとうございます。では本日の議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお 願いします。 ○當山母子保健主査  本日お配りしている資料の確認をさせていただきます。まず議事次第があります。次 に、資料1として「健やか親子21」の指標に関する研究会開催要綱があります。次に、 資料2の「健やか親子21」の指標に関する研究会の手順、そして、資料3「健やか親子 21」の指標の一部見直し及び未収集の指標の評価(案)について、こちらが8ページあり ます。そして参考資料として、参考1「避妊法を正確に知っている18歳の割合」に関す る調査概要、参考2「性感染症を正確に知っている高校生の割合」に関する調査概要、 そして参考3として「事故防止対策を実施している家庭の割合」に関する調査資料があ ります。また、参考資料として「健やか親子21」中間評価報告書がございます。以上で す。 ○山縣座長  ありがとうございます。では議題に入りたいと思います。議題(1)は「健やか親子21」 の指標に関する研究会の進め方についてですが、事務局よりご説明をお願いします。 ○當山母子保健主査  それでは、資料2「健やか親子21」の指標に関する研究会の手順をご覧いただけます でしょうか。平成17年の「健やか親子21」推進検討会で中間評価を実施し、平成18 年3月に公表しています。その検討会の中で、五つの指標の見直しが必要とのご指摘を いただき、また未収集の指標がありましたので、これらの達成度の把握と評価を行うと いうことで今回研究会を開かせていただきました。  12月5日に第1回の研究会があり、その検討内容をもとに見直し(案)、評価(案)を作 成させていただいています。また「健やか親子21」の推進協議会の皆さまにご意見を頂 きまして、その結果を参考に今回の指標の見直し(案)、評価(案)を提出させていただいて います。  本日の研究会をもって、取りまとめをさせていただきたいと考えています。そしてそ の結果を、最後の点線の囲みのところに示しました「健やか親子21」推進協議会総会へ ご報告させていただきたいと考えています。総会の予定は、平成19年3月22日の予定 です。また自治体あてに課長通知にて周知、またホームページへの掲載等も考えており ます。以上です。 ○山縣座長  ただ今のご説明に関して、何かご質問はありますでしょうか。進め方についてはよろ しいでしょうか。  では引き続き、議題(2)に移ります。「指標の一部見直し及び未収集の指標の評価(案) について」事務局から説明をお願いします。 ○當山母子保健主査  ありがとうございます。それでは、資料3をご覧いただけますでしょうか。まず今回 提出しております表について説明させていただきます。  5ページ目をご覧いただけますでしょうか。こちらは「事故防止対策を実施している 家庭の割合」についての表ですが、前回提出しました表に2行を追加しています。1行 目は「第1回研究会でのコメント」、2行目は「目標達成のための対策(案)」です。こち らが基本的な形式です。2ページ目、3ページ目は課題1に関する指標ですが、こちら の二つの指標に関する変更(案)は4ページ目にまとめて、第1回の研究会でのコメント と目標達成に対する対策(案)を書かせていただいています。以上が表についてのご説明 です。  それでは、内容について説明させていだきます。まず、1ページの(1)が「健やか親子 21」の指標の一部見直し(案)で、(1)は1-8「避妊法を正確に知っている18歳の割合」。 修正前の指標は、「避妊法を正確に知っている18歳の割合」、修正後は「性行動による 性感染症等の身体的影響等について知識のある高校生の割合」で、1-9と同一指標の(案) となっています。(2)1-9「性感染症を正確に知っている高校生の割合」。修正後の(案)は 「性行動による性感染症等の身体的影響等について知識のある高校生の割合」。(3)3-11 「事故防止対策を実施している家庭の割合」については、指標の名称は変更ございませ ん。修正前に20項目の質問について、すべてを実施していると回答した家庭の割合を 評価していましたが、修正後の(案)は、質問項目を絞り込み10項目の質問の回答の平均 としています。課題4については、犬塚委員が到着してから説明をさせていただきます。  2ページ目は、前回ご説明させていただいたものと大きな変更点はないのですが、「パ ール指数」という言葉が一般的にわかりにくいということで、括弧して(避妊失敗率)と 書かせていただいています。  そして「見直した結果(案)」ですけれども、「既存の調査では指摘事項に答えられる適 切なデータがないため、研究会で質問内容と調査方法について検討し、平成19年度に データを収集することとする」という(案)を前回出させていただいていました。  またページ3の「性感染症を正確に知っている高校生の割合」についても、同じく「見 直した結果(案)」として「既存の調査では、指摘事項に答えられる適切なデータがない ため、研究会で質問内容と調査方法について検討し、平成19年度にデータを収集する こととする」とさせていただいておりました。  ページ4をご覧下さい。こちらは「第1回研究会でのコメント」ということで、指標 については、従来からの「疾患名や避妊法の名称を選択させる方法」によるデータでは 「行動に結びつく知識」という観点から、子ども達の性に関する知識の現状を評価する ことが困難であること、また目標を達成するための取り組みについて現状を踏まえて考 えることが必要であるといったコメントをいただきました。  続いて、次の行の「目標達成のための対策(案)」という点ですが、指標の代替案として は、指標名を「性行動による性感染症等の身体的影響等について知識のある高校生の割 合」とし、性行動の身体的影響等についての知識・意識に関する複数の質問を行い、総 合的に判断することとしています。質問内容としては「性行動によって、妊娠する可能 性があることを知っていますか?」「性行動によって性感染症などの病気に感染する可能 性があることを知っていますか?」「性行動は相手の心や体を傷つける可能性があると思 いますか?」「自分の体を大切にしていますか?」「異性、友人を尊重することが大切だと 思いますか?」「異性、友人とのつきあいの中で、お互いにきちんと話し合うことが大切 だと思いますか?」などの質問が考えられました。評価のための調査を行う前にはプレテ ストを行い、内容を検討することとしています。評価のための調査方法としては、人口 から無作為抽出した全国調査が望ましいといった指摘もありましたが、郵送回収法での 調査では高い回収率が望めないために、かえって回答に偏りが出ることが推測されるた め、学校を通じた高校3年生を対象とした調査の実施を検討しています。その場合、学 校間格差による回答結果の偏りが危惧されますので、全国から地域規模や学校種別、生 徒数などを考慮し、偏りのない方法で抽出した上で、高校生を対象とした調査を行うこ とで対処することとしています。また取り組みについては、現在、性に関する教育は、 学校教育をはじめ、地域等においても実施され、学校と家庭・地域の有機的な連携も進 められているところです。学校における性教育については、さらに効果的な取り組みを 推進するため、文部科学省において性教育の事例集を作成しているところであり、引き 続き全国での性教育の実施を支援する予定です。  続きまして5ページ目をご覧いただけますでしょうか。3-11の資料で「事故防止対策 を実施している家庭の割合」についてです。前回も説明しましたが、今回の見直しでは、 評価項目のうち重複する内容、具体性に欠ける内容のもの、死亡事故との関連が低く、 優先順位が低いと考えられるものは除外し、10項目の質問についての回答の平均を評価 指標としています。  「見直した結果(案)」ですが、策定時1歳6か月児79.19%、3歳児72.8%であり、 中間評価値1歳6か月児80.5%、3歳児74.7%でした。  「第1回研究会でのコメント」として、子どもの事故防止についての具体的な啓発方 法と、目標を達成するための対策について明確にする必要がある。また、現在のデータ 収集方法である保護者がチェックリストをつけるという方法は、それ自体が保護者の学 習の場だと考えられる。そのため、一度チェックリストをつけ、後日もう一度チェック をして頂くと行動が変容している可能性がある。現在の方法で評価を行うとしたら、2 回目のチェック時の結果を指標として利用することが適切であると考えられるというコ メントをいただきました。  「目標達成のための対策(案)」ですが、1歳半健康診査および3歳児健康診査などに おいて、今回絞られた10項目のチェックリストを用いて保護者への子どもの事故防止 についての啓発を行う。また一定期間の後、再度チェックリスト記入を行い、このチェ ックリストによる啓発が有効な取り組みであるかを検討するといった(案)でございます。 以上が、課題4以外についての見直し(案)の説明です。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。では、第4課題が残っていますが、第3課題まででご 質問・ご意見等ございましたら、委員の先生方、お願いします。最初の第1の課題で、 北村委員、お願いします。 ○北村委員  当初の指標が適切かどうかということは、実はいろいろ議論されていたところです。 要は、今10代の人工妊娠中絶をいかに減少させるかなどが、いろいろ話題になってい る中、コンドームを使えば避妊ができる、または、ピルを使えば避妊ができるという発 想だけでは、あまりにも安直すぎるという思いです。先ほど話がありましたが、参考1 の後ろの3枚目ですが、当初は種々さまざまな避妊法を列挙して、その中からコンドー ムとピルに丸をつけた人について「これが適切である」というような判断をしていたわ けです。もっと大事なことは、これは別に禁欲ということを問題にしているわけではな いのですけれども、私などは日常診療の中でどう考えても、やはりセックスというもの はリスクが伴うものである。とりわけ心身に及ぼす影響だけではなく経済的な負担も当 然考えなければいけないことを思うと、「親のすねかじり状態」という言い方を私はしま すが、「親のすねかじり状態」でセックスをするのは、あまりにもリスクがあるのではな いかという思いがあって、基本的にはセックスをしないという選択肢が、実はとても重 要なのだと。これは別に禁欲を意味しているわけではない。  包括的性教育というものがあります。一つは、性交開始年齢をいかに遅らせることが できるか。こういうものが一つ課題としてあります。そして、仮にセックスが行われる ならば、いわゆる妊娠を望まないのであれば確実な避妊、責任ある行動が取れるかとい う、これが「comprehensive sex education」という言葉で代表されるものですけれども、 そういう行動の変容を促し得るような指標が、とても必要なのではないかということを 考えたわけです。  そういう意味では、コンドームに丸をつければ避妊法をよくわかっている、またはピ ルに丸をつければ避妊のことが十分実行に移せるという発想は安直だということで、先 ほど事務局からご提案いただいたような議論をさせていただき、本日提示させていただ いたものです。  ただ、これについては私も幾つかの学会に所属しているものですから、「健やか親子 21」の事務局から種々ご意見がないかというお話があった時に、役員たちにいろいろ向 けてみましたが、中には「これでは避妊という言葉がどこにも出てこないではないか」 「コンドームもなければピルという言葉もない。これで果たして指標となり得るのか」 というご意見も、もちろんなかったわけではありません。  ただ今後、指標がどの程度全うされるのかという調査を行うに当たって、今用意した 項目だけではなく、もし可能であるならば、合わせて幾つかをその項目だけにしてテス トをしてみる。そして、総合的に判断して考えていくという方法を取ればよいのではな いかと考えています。  ただ問題なのは、一体どうやって調査をし、それが可能なのかどうかが一つの課題と して残っていると思っています。性感染症についても同様で、セックスをしないという こと、これは私の立場ですから間違いなくご理解いただきたいのですけれども、禁欲と いうことを私は求めているわけではありません。セックスをしないということが、HIV エイズを含む性感染症を防止するのに最も有効な方法であるということは、少なくとも この世代の若者たちにはきちんと押さえておいてほしいという願いからの話です。言葉 を知っていれば病気がわかる、または予防ができるということには残念ながら結びつき ません。  HIV・クラミジアなど非常にポピュラーな、いわゆる疾患名ではありますけども、大 切なのはこの疾患を確定するのは医者の仕事であって子どもたちの仕事ではない。しか もクラミジアにはこんな特徴がある、また、HIVにはこういう特徴があるということを あまりにも強調し過ぎると、実は現在の性感染症のほとんどに自覚症状がないというこ とを忘れさせてしまうというところに私はいつも問題意識を持っていて、今回の提案を ぜひ支持していただけたらという思いで発言させていただきました。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。関口委員からは、この課題に関して何かありますでし ょうか。 ○関口委員  今回新しく対策(案)として挙げられている質問項目を拝見しましたが、項目によって は回答する側がその質問の意図を正しくとらえてくれるかどうか、正しくこちらが意図 する質問と受け止めてくれるかどうかが危惧されるような項目があると思います。例え ば「自分の体を大切にしていますか?」と聞かれたときに、我々は「自分の身を守る」あ るいは「望まない妊娠を避ける」というような意味合いで質問を投げ掛けていますが、 チェックする高校生がそういう意味合いの質問だと取ってくれるかどうか。「自分の体は 大切ですか?」と問われたら、「それは大切でしょう」と言って「イエス」に丸をつける。 その人は体を大切にしているということになってしまうのか。それは他の各質問にも言 えることですが、この質問に対して「イエス」で答えたら、知っていたり大切にしてい るということで評価ができるのだろうか、この質問に客観的な評価ができるのかどうな のかというのが私が少し危惧したところです。 ○山縣座長  ありがとうございます。北村委員、何かありますでしょうか。 ○北村委員  ですから、やはり多少、補完的な設問を当然置かなければいけないだろうという感じ がしています。仮に調査をするに当たっても、現状学校でここに示した数項目だけを生徒 にご協力を頂いてということで考えているわけですけれど、これだけで調査を終えると いうわけにはいきませんので、そういうことを多少想定した設問を置きながら、山縣座 長を前に「釈迦に説法」ではございますけれど、クロス集計などをしつつ、ここに丸を つけた人の意味合いというものを判断していくということにはなっていくのだろうと思 います。 ○山縣座長  ありがとうございます。一つは、やはり調査票そのものは信頼性と妥当性が大切で、 信頼性というのは、それぞれがちゃんとそのことについて、ぶれなく答えられるかとい うことがあると思います。妥当性というのは、それで見たいものを見ているかというこ との評価は当然調査票の中で必要で、その辺りのところを平成19年度の、例えば研究 班の中で行って、そういうことが担保された上で全国的にこれを用いるなどというステ ップが必要だろうと思います。  これはオブザーバーとしてお見えになっている文部科学省の方にもお伺いしたいの ですが。例えば高校3年生となったときに、当然その他の方でもご協力を頂くときに「ど ういう内容であれば」というようなことは当然あると思います。その辺りはいかがでしょ うか。 ○スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官  確かに学校での調査ということになりますと、その調査の趣旨が当然保護者や子ども たち本人から理解の得られるものでないと受け入れられないということがあります。そ の趣旨は北村委員におっしゃっていただいたようなことであって、今ここに幾つか案が ありますけれども、ご意見がありましたように、これをより具体的なものとして捉えら れるような形にした質問方法ということであれば、理解は得られるとは考えますけれど も。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。「健やか親子21」の場合には「連携」というのが非常 に大切です。特にこの辺りは学校保健と地域保健との連携というところで、その具体的 なものの一つになると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  犬塚委員がお見えになりました。今ちょうど第1の課題のところをやっていますので、 議論に加わっていただきたいと思います。この第1の課題に関しては他にはいかがでし ょうか。 ○北村委員  関口委員が言われたように「自分を大切にしていますか?」という、これは我々の基本 的な設問肢でありますけども、それは具体的にはどういうことなのかということを、少 しかみ砕いて表現して問いかけるということが必要だろうと思います。誘導的な設問に ならないよう、専門家がいますからぜひいろいろお力添えいただいて、やっていく必要 があると思います。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。第1の課題に関しての議論は、これでとりあえず終っ て、また後ほど何かあればと思います。次に第3の課題の中の事故防止に関して、まず 関口委員から追加のご発言があればお願いします。 ○関口委員  先ほど當山母子保健主査からご説明いただいた通りです。この目標達成のための対策 や見直しの(案)を提示して関連の団体からいろいろご意見をいただいたわけですけれど も、日本外来小児科学会の方からは、事故予防の指標として、より客観的な指標を行政 の方でサーベイランスする。あるいはモニタリングする。それから事故の発生状況をモ ニタリングする必要があるというコメントが寄せられています。ただ各項目については、 10項目に絞ることで果たして事故予防につながるのだろうかというような、あるいはチ ェックリストに丸をつけるだけで事故予防につながるのだろうかというような意見も出 ています。ただこのチェックリストをつけることで、保護者の方の意識を向上させるこ とができる。家に帰った後の行動の変容を期待することができると思いますので、チェ ックリストをつけた時点とその後の2カ所で同じような調査をすることによって、介入 といいますか、この啓発活動の前と後のデータを比較して、この活動が有効であるかど うかということは検討できるのではないかと思っています。  それからこの事故防止の活動については、行政だけではなくて、第3課題の幹事団体 の中でも取り組みが行われていて、例えば母子衛生研究会では事故予防の冊子を作成し て、それを広く頒布するということをされていますし、今後は日本小児科学会やその分 科会を通じて事故予防・防止活動、あるいは保護者の方への啓発の活動を進めていくこ とが必要と思っています。以上です。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。他の委員の先生方から何かありますか。私から一つ、 目標で、パーセンテージで平均値を出しているのですが、前回のこのパーセントは全部 できた人が何パーセントいたかというパーセントで、今回は例えば10項目が平均何点 かということでしたか。 ○関口委員  各項目についての達成率の平均値です。ですから、項目別に何パーセントというのが 出て、その10項目の平均ということになっています。 ○山縣座長  パーセントの表し方が前回と違うということを、ここできちんと理解しておく必要が あります。項目によっては20%ぐらいしかできている子がいなければ、項目によっては ミックスというようなことがあって、その平均ということですか。 ○関口委員  そうですね。ただ各項目のデータ、今は持ち合わせておりませんが、低いものでも60% 台ぐらいだったと思います。 ○山縣座長  ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。幹事団体からの一つの意見として 関口委員にご紹介いただきましたが、一つは、これは啓発も含めて、それぞれの親にど のように意識を持ってもらうかというためのものだと思うのですが、一方で環境整備と いえば客観的な指標や目に見えるような改善というものもあるわけで、そういったよう なところ、例えば危ない場所があったらそこにきちんと安全な柵ができているかとか、 それからチャイルドシートなども本人がしている、していないという主観的なものでは なくて、例えば警察の資料を用いるとか、そういうことをそれぞれの自治体で評価に使 う指標として考えていくとか、もう一つはモニタリングです。今私たちの見ているアウ トカムが事故による死亡なので、これは本当に氷山の一角ですから、そのことが本当に 全体の事故そのものが減ってきたのか、それとも例えば救急体制などがうまく機能して いたり向上して減ったのかという辺りのところで、たぶん防止対策ということからする と変わってくるようなところがあると思います。その辺りも今後の課題として、この指標 の中にはなかなか入れ込みにくいのですが、具体的な取り組みのところに入れておいた らどうかというのを、今回ご意見をいただいて思いましたので、その辺りのご意見をい ただければと思います。他にはいかがでしょうか。  ありがとうございます。では、事務局の方から第4課題の二つについて説明をいただ きたいと思います。 ○當山母子保健主査  ありがとうございます。それでは資料3の1ページ目をご覧いただけますでしょうか。 (1)「『健やか親子21』の指標の一部見直し(案)」の(4)4-13「常勤の児童精神科医がいる 児童相談所の割合」が今までの指標でした。修正後の(案)としては「常勤の児童精神科 医または、子どもの心の診療ができる精神科医・小児科医がいる児童相談所、もしくは 隣接して子どもの心の診療を担う診療所が設置されている児童相談所が少なくとも1カ 所ある都道府県・指定都市及び児童相談所設置市の割合」となっています。  続きまして(5)4-16「親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の割合」がこ れまでの指標でした。こちらは指標と目標値の変更(案)があります。「親子の心の問題に 対応できる技術を持った小児科医の数」として目標が「増加傾向」となっています。  それでは、6ページ目をご覧いただけますでしょうか。こちらの「中間評価での指摘 事項」は、前回もご説明させていただきましたので「指標見直しの説明」からご説明さ せていただきたいと思います。「児童相談所における児童精神科医の役割は重要ですが、 児童精神科医の数そのものが不足しているため、常勤の児童精神科医をすべての児童相 談所に配置することは極めて困難である。しかしながら、発達障害、児童虐待、非行等 子どもの心を診療できる医師へのニーズは高まっており、そのニーズに対応でき、かつ 実現可能な目標を設定する必要がある」と考えられました。「そのため、全ての都道府県・ 指定都市及び児童相談所設置市の児童相談所少なくとも1カ所に常勤の児童精神科医ま たは、子どもの心を診療できる精神科医、小児科医がいるか、もしくは隣接して子ども の心の診療を担う診療所が設置されている児童相談所があることを目標とする」となっ ています。指標見直しの結果、中間評価値としては29.7%でした。第1回の研究会では、 指標は良いが、「今後の目標達成に向けた取組を明確にする必要がある」といったコメン トをいただきました。「目標達成のための対策(案)」として、「平成17年3月に設置され た『子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会』において、子どもの 心の問題に関する診療を行うことのできる医師の養成について検討中であり、具体的な 対策については、上記検討会の議論もふまえて、検討を行う予定である」と書かせてい ただいています。  続きまして7ページ目の4-16「親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の 数」という(案)ですけれども、こちらは再度日本小児科医会認定の「子どものこころ相 談医」の数を調べさせていただいたのですが、前回平成14年時点で認定医の数が1,218 名と記載されていましたが、確認しましたところ平成14年時点では1,070名という数 でした。毎年日本小児科医会が10月1日に認定者の更新をしているということでした ので、改めて中間評価時点平成17年の10月1日現在の数を確認して修正しています。 その数字が1,163名でした。中間評価値のパーセンテージ、「見直し前」の欄の中間評 価値の値が8.4%と書かれているのを7.9%と修正していただけますでしょうか。そして 「見直し後」ですけれども、日本小児科医会認定「子どものこころ相談医」の数1,163 名と中間評価値を変えさせていただきたいと思います。「第1回研究会でのコメント」で は「日本小児科医会の会員ではない小児科医もいること。また日本小児科医会の研修以 外の研修についても考慮する必要がある」というコメントをいただいています。「目標達 成のための対策(案)」としては「平成17年3月に設置された「子どもの心の診療に携わ る専門の医師の養成に関する検討会」において、子どもの心の問題に関する診療を行う ことのできる医師の養成に関する検討を行い、新たな研修を実施することも検討されて います。これらの研修受講者数についてもモニタリングする必要がある」という(案)を 出させていただいています。以上です。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。ではこの第4番目の課題の二つの指標についてご検討 いただきたいと思います。まず犬塚委員から追加のご発言をよろしくお願いします。 ○犬塚委員  前回に議論されたことがすべてかと思います。今當山母子保健主査から発表された内 容だと思うのですが、今検討中ということで、そこでどういう対策が出てくるのかとい うことなのです。医師の養成ももちろんとても重要なことで、児童精神科に精通してい る医師が足りないということは本当に明らかな事実です。しかし、この間も出ていまし たように、もしそういう技術を持った人が増えてきても、児童相談所に勤めたいという 精神科医が増えるという流れになるかどうかが不安材料です。東京都は常勤の医師のポ ストが既にセンターの中に1カ所あり、子どもの専門の病院として梅が丘病院がありま す。ただ人事交流がないです。県立の子ども病院の中に精神科を持っていたり、全国に 10何カ所かわかりませんが、17,8カ所のそういう入院病棟、入院ベッドを持った児童 精神科専門病院があります。ほとんどが公立であると思いますので、人事交流やジョブ ローテーションをうまく組んでいくと、病院の経験もし、福祉の経験もし、というよう な流れになります。そういうことも一つ検討して、もちろん絶対数を増やすということ も必要ですが、児童精神科専門病院から児童福祉の場へという人事交流があると、もう 少し進んでいくと日ごろ思っています。とりあえず追加は以上です。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。他の委員の方から何かありますか。では北村委員。 ○北村委員  先週私のクリニックに、たまたま同日に二人の女の子が、一人は緊急避妊を求めてや ってきた高校1年生で、もう一人はもう少し長い間私どもとかかわっている20歳くら いの女性ですが、ヘモグロビンを調べる機会があって、その値が6.7g/dlと6.9g/dlです。 何が起こったのだろうと思っていろいろ問いかけてみました。高校生には「最近月経が 非常に重かったりすることはないか」「けがをしなかったか」などといろいろ問いかけた のですが、一向にそういうことはないと言って、ボソッと「リストカット」と言ったの です。いつものように腕をまくるのですが、傷がついていないのです。どこでといった ら静脈に針を刺して絞り出すという。話を聞くと、実に巧みですごい量を出すのです。 800ccぐらい出たと言うのですが、よく凝固しないなと思いながら感心していたのです が、治療はしないと言うのです。私はその子の説得にかかったのですが、もう真っ白な 顔ですから「とにかく薬をきちんと飲んでくれ」と言うのだけれども、飲まない。飲み たくないと言うのです。彼女自身は「色白であることが私のチャームポイントであって、 ここで薬を飲んで回復することはいやだ」と。犬塚委員、こうなってしまうと私には手も 足も出ません。これは大変無責任な言い方かもしれませんが、「悪いけれども私は君を診 ることはできない。だから私の前から姿を消してくれ」と言わざるを得ないような事態 があったのです。これは医者として本当はまずいですよね。しかし彼女を説得すること は、私の口をもってしても最後までできない。この場合に、何が言いたいかというと、 子どもの心と言いますが、まず子どもの定義というのは、この場合には一体どういうと ころを指しているのかというのが一つ私が伺いたいところです。子どもとはいえ、もし 子どもというものがもう少し年齢の高いところまで、例えば15歳を超える高校生のと ころまでということになれば、小児科医も我々のような婦人科に月経の悩みで来たりし たときに、恐らく見つかったりすることもあるのでしょうが、その辺りの定義をきちん と教えて欲しいのです。そして「隣接する」という「隣接」とは一体どういう定義をも って隣接と言い、指標が改善したという話になるのか、2点をお聞きしたいのです。冒 頭のものはこの会とは直接関係ありませんが、ぜひ関口委員にも、私は一体どうしたら よいのか教えていただけますと、ここに来た甲斐があります。 ○山縣座長  ありがとうございます。それぞれの先生方から、まず犬塚委員から。 ○犬塚委員  児童相談所は18歳未満が対象ですよね。ただ梅が丘は20歳ですか。例えば国立国府 台病院だと15歳以下中学生年代までとか、診療対象としては多分それぞれでいろいろ 区切りをしているのではないかと思います。ここで使っている子どもの心の診療の、子ど もの心の「子ども」について何歳を対象にしているか、実は私も分かっていません。  多分隣接して子どもの心の診療を担う診療所というのは、組織的には児童相談所の中 ではないのだけれども、宮城県のように常勤医が兼務しているような場合と思います。 同じ建物の中に児童相談所と一時保護所、そして研修機関、診療所を持っていて、常勤 医は兼務となっています。組織上は児童相談所とは別になっているけれども、全く別個 にあるのではなくて、いろいろな共有する部分を持ちながら福祉の中でやっているとい う診療所のことと思います。 ○北村委員  隣接というのはそういう話なのですか。同一市町村の中に診療所があるという話です か。 ○犬塚委員  児童相談所の中ではない、組織上は違うのですけれども、福祉の中でもちろん公の機 関としてやっていて、医師は大体兼務しているというようなところが何カ所かあります。 それはまた説明し直していただけたらと思います。  個別のケースの話について述べるのがどうかわかりませんが、リストカットなど非常 に自己破壊的な傾向を持っていて治りたくないという子どもについては、診療という中 で取り組むのはとても難しい。摂食障害もそうですね。治りたくない、やせたいというこ とでどんどん自分でやせていって、医学的には非常に危険な状態になってもやめられな いという状況については、本人だけでなく家族も含めたもう少し濃厚な治療が必要と思 います。それには多分背景がいろいろありますよね、今までの生育歴とか。だから家族ぐ るみでの、最終的には入院を含むような濃厚な治療を導入しなければ、その辺の問題は 解決しないということがあります。虐待とか非常に不適切な養育環境の子どもにリスト カットを含めて自己破壊的な問題行動をする子どもが多いので、本人の治療だけではく 子どもをとりまく全ての状況、養育環境を含めての治療、という形になっていきます。 特に福祉と医療の連携が必要な分野だと思います。 ○北村委員  治りたくないといったらどこに紹介してもだめです。行かないです。私どもには精神 科医もいるのですが、診てもらいたくないと。 ○山縣座長  ありがとうございます。関口委員から何かコメントがありましたら。 ○関口委員  北村委員がお話しになった個別のケースですけれども、患者さんは先生に相談をしに 来たわけですか。 ○北村委員  全く別目的で来たのです。緊急避妊という72時間以内に適切に対処すれば、要する に最後の避妊が可能になるということを求めてやってきたわけです。そして、ともかく 真っ白だったものですから、緊急に調べてみたらヘモグロビンが6.7g/dlという状況だ った。薬を飲んでほしいと私は懇願するわけですけれども、全く飲むという意志を持た ない。でも彼女は保険証を持って来なかったので、1週間後に来たのです。今は子ども たちは保険証を持って来られないことが多いのです。個々に個人カードがあるはずなの ですが、親が抱えていて、ここに性的なものが絡むと親に保険証をもらえない。私から 言わせれば国民皆保険なんて名ばかりというのがあるわけですが、実際にお金がないわ けですから。保険証を持ってきてと言ったら1週間後に来ましたが、話を聞く限りにお いては薬は飲んでいないと言うのです。 ○関口委員  先生の所にいらっしゃったということは、何か助けを求めているサインのようにも思 えますので、何らかの形で当面は治りたくないのかもしれませんが、心の奥底はもしか したら助けてほしいという訴えかもしれないので、何らかの形でつなげていく中で、あ るときから変わっていくかもしれないと今感じました。  それから子どもの定義に関してなのですけれども、日本小児科学会が昨年「小児科医 は子どもが成人するまで診ます」ということを言い始めました。現状ではまだ小児科医 が思春期の年代の方たちを充分に診る技能を備えているとは思えませんので、これから の課題になるわけですけれども。思春期の年代の方たちというのは、実は十分な医療を受 けていない現状があるだろうと思います。恐らくニーズはあるのだけれども、彼らは医 療機関に相談しに行こうと思っていないのかもしれないし、相談してみても仕方がない と思っているかもしれませんし、そもそもそういうことを医療機関で相談するとは思っ てないのかもしれません。そういう現状もありますし、それから我々受け入れる側もト レーニングが足りないのですが、今後日本小児科学会や小児科の関連の団体が思春期の 年代までカバーできるような研修を、まず今年から第1回の思春期医学臨床講習会とい うものを始めようという取り組みがされようとしているところです。以上です。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。子どもたちの心の問題が非常に重要で、今回の課題に 関しても、そういう専門家をきちんと置いていこうということで指標の見直しになった わけですが、昨今のいじめによる自殺の問題などで、その対策というのもあると思いま すが、もしも文部科学省の方で、今はどうしても医療の現場は助けを求めに来たり、本当 に特殊な例かもしれないところを見ているわけですが、根本的には子どもたち全体の問 題として考えたときに、そこの現場、家庭であり、地域であり、学校であると思うので すが、その辺りのところで何かそれに対する対策などを、もしもよろしければご発言い ただければと思います。 ○岡田スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官  子どもの心ということで、学校と家庭・地域の連携が重要だというところは、もう誰 も異論がないところだと思いますし、文部科学省としては、学校の中でできることとい うことで、今実際取り組んできていることが、養護教諭と学校医との連携や、養護教諭 がどうやって子どもたちを見ていけばよいのかということを、養護教諭の方々にそうい う技能を持っていただくような研修など、そういうことをまずできるところから進めて いるというところですけれども、もっと包括的にやっていかないといけない課題だろう と認識しています。 ○山縣座長  ありがとうございます。補正予算の部分も30億円くらいのお金で、24時間相談だと か、来年度はその倍くらいの予算で、スクールカウンセラーに全員が一度相談するとい うようなことも企画されているように聞いておりますが、そういう対策も含めて、子ど もたちの問題というのは非常に重要だと思います。ありがとうございます。この課題に 関して、他にはございますでしょうか。では一応、指標に関しましてはこれで。それぞれ の課題の担当幹事の団体からも、ご意見をいただいているものに関して、ここに十分反 映できないもの、例えば先ほどの小児事故のように、少し客観的に評価できるような指 標だとか、死亡だけではなくて事故の発生そのものがモニタリングできるような仕組み のようなものを、それぞれの自治体で考えるなりして、この対策を目に見える形で行っ ていくことが必要だということが具体的な取組中にあればと思いますので、事務局の方 で最終案として検討いただければと思います。  それでは未収集の中間評価指標についての説明をよろしくお願いします。 ○當山母子保健主査  それでは資料3の1ページ目(2)「未収集の指標の評価(案)」をご覧いただきたいと思 います。(1)1-5「薬物乱用の有害性について正確に知っている小・中・高校生の割合」そ して(2)1-11「外部機関と連携した薬物乱用防止教育等を実施している中学校、高校の割 合」に関しては、まだ調査中ということで今回データを得られませんでしたので、評価 を行うことができませんでした。(3)4-9「出生後1ケ月時の母乳育児の割合」について は、「目標値に対する直近値の分析・評価」を行いましたので、後ほど説明させていただ きたいと思います。目標値の分析とは別に修正案として「第2課題の指標としても位置 づける」と書かせていただいています。  それでは8ページ目をご覧いただけますでしょうか。こちらは前回第1回に(案)とし て出させていただいたものと内容的には同じものです。協議会の方から、こちらの案と 同じく、母乳に関する支援は出産施設から支援が必要だというコメントをいただいてい ます。それに関しては、現在「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)のための研究会」を開 催してガイドを策定しております。その中でも妊娠・出産時点からの支援が必要という ことで、具体的に出産施設での支援についてもまとめさせていただいています。また意 見として、母乳の育児のスタートである産科施設でのケアも重要であることから、第2 課題と第4課題双方の課題としないと母乳育児率の改善は難しいと思われるというご意 見がありました。そして、第2課題の幹事会においても、第2課題の課題として母乳育 児に取り組みたいというご意見をいただきました。  今回の研究会で承認が得られましたら、この指標を第2課題の指標としても位置付け たいと考えています。以上で説明を終わらせていただきます。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。今のご説明に関して、委員の先生方からご質問やご意 見がございますでしょうか。 ○北村委員  薬物の有害性については、私が知る限りにおいては喫煙が一つのきっかけであると。 そういう人たちが薬物に向かう可能性が非常に高いという話を聞きます。そういう意味 では非常に身近なところで、たばこの有害性について正しく知っている小・中・高校生 の割合などがあってもよいと思いつつ今話を聞いていました。喫煙率をいかに下げるか、 なくすかという項目がありますけれども、薬物までいかなくても、たばこの有害性につ いてという辺りの、むしろ日常的なところで指標にしてもよいのではと思って聞いてい ました。 ○山縣座長  ありがとうございます。他にございますでしょうか。お願いします。 ○関口委員  今北村委員が言われたように、思春期の子どもたちで、米国では薬物とアルコールと たばこが一緒の項目で書かれることが多いです。一つのリスク行動を取る若者は複数の リスク行動を取る可能性が高い。ですから、例えばたばこを吸う者はアルコールにも薬物 にも手を出す可能性があるし性行動を早く開始するというようなことも言われています ので、今北村委員が言われたように、たばこやアルコールというものを指標に入れても 十分指標としてよいというような印象を持っています。 ○山縣座長  ありがとうございます。その辺りのところも少し検討の課題としていだだきたいと思 います。他にございますでしょうか。全体を通じて、ご自由に、ご意見でもよろしいの ですが、ありますでしょうか。  幸い喫煙率に関しては、この5年間で急激に下がってきていて、これは「健やか親子 21」の指標の中として一番評価できるものの一つで、高校生が30数%だったものが20 何%まで下がったなど、これはかなり全体の喫煙対策も含めて進んでいると思うのです が、今委員の方が話されたように、必ずしも日本の中でたばことアルコールと薬という のが一般の中で結びついていなかったりするような印象は、例えばアメリカなどと比べ てあると思います。向こうに行くと、大人でも酒が好きだというと変な顔をされる。それ は、たばこやドラックと同じレベルでアルコールを考えているというのが小さい時から あるからだと思うのですが、日本の場合は、お酒は特別なものになったりするという文 化の違いみたいなものもあるという気はします。必ずしも薬物だけではなく、包括的に こういったものに対する体への害というものをきちんと正確に知っているというような 指標というのは一つの方向性だと思います。 ○北村委員  うがった見方なのか、あるいは私などがこの指標を見させていただく中で、とりわけ 「喫煙率がなぜ下がったのか」ということを私のクライアントに問いかけたりしている と、「携帯電話料金が高くてたばこなんか吸っているお金がないですよ」と携帯電話の経 費が高くてという意外と思わぬところに喫煙率を下げる要因があったりして。そういう 意味での研究をしていく必要があると思います。だから我々が思うほど健康意識の高ま りが喫煙率を下げたわけでははく、彼らを取り巻く種々さまざまな社会的経済的要因が それを下げたということになりますと、これは何が起こり得るかと言うと、彼らに容易 にお金を手に入れられるようなチャンスが起こってくれば、例えば性的なことを含めて 起こってくれば、一挙に高まる危険性だってあるわけです。 ○山縣座長  おっしゃる通りです。キャンペーンのような働きかけが当然大きかったと思うのです が、もちろんそれだけではないかもしれなくて、その一つに、例えば十代の人工妊娠中 絶は下っているけれども性感染症は増えているというのは、どういうことなのかという ことを含めて考えていかなければいけないと思います。要因をしっかりと見るというこ とは本当に重要だと思います。 ○北村委員  性感染症についても、最近我々の仲間がいろいろ過去から現在に向けて調べてみると、 減少傾向にあります。人工妊娠中絶も2001年が13.0として12.8、11.9という形でこ こ数年来ずっと減少傾向を示しています。若い世代の性感染症罹患率を文部科学省は調 査していないですよね。 ○岡田スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官  文部科学省はできないです。 ○北村委員  できないですね。例えば北海道や群馬県の例、個々の施設などを中心としてやってい る例などで見ると減少傾向にあるのです。それは一体何によって起こっているのか。私 自身が一方でまた非常に不安を感じているのは、とりわけ若い人たちのそのセクシャ ル・アクティビティ、特に男の子の性行動の経験率の低下、これを良しとするならば良 し。しかしこれは心配だぞという見方も一方でできて、この辺りが影響を及ぼしているこ とにはならないだろうかという思いがあります。経口避妊薬(ピル)などの普及、とは 言っても最近の調査でも1.8%ぐらいの普及率にとどまっているとはいえ、経口避妊薬 が前年比20%ぐらいずつ増えているのですが、そういうものと人工中絶実施率の低下と いうのは、プロットすると逆相関のデータが出てきますし、先ほど紹介した緊急避妊法 というのは日本ではまだ存在していない方法なのです。国連加盟国192カ国のうち、緊 急避妊法というものがまだ承認されていない国が幾つかあり、イラン、イラク、アフガ ニスタン、北朝鮮、日本。私などが知る限りにおいては、そういうところが実は承認され ていない国に名を連ねています。ブッシュ大統領に「ならずもの国家」と言われる国々の 中に見事に日本が入っていたりするのですが、日本では、この周知度と緊急避妊法を受 けたという過去の経験者というのはすごく多いのです。この辺りも人工妊娠中絶実施率 というものに少なからず影響しているという感じがしています。 ○山縣座長  ありがとうございます。全体をとおして、他にはございますでしょうか。では、大体 皆さんのご意見を伺うことができたと思いますので、最後にこの研究会として今回の指 標の見直し(案)についてご異議がなければ、これでこの研究会としての報告をしていき たいと思いますが、ご異議はございませんでしょうか。  ではご異議がないということで、検討についてはここまでとしまして、今後の予定に ついて、事務局より説明をお願いします。 ○當山母子保健主査  ありがとうございます。山縣座長はじめ委員の先生方におかれましては、研究会にお いてご議論いただきまして本当にありがとうございました。  報告書を取りまとめさせていただきたいと思いますが、取りまとめに関しては事務局 に一任いただけますでしょうか。 ○山縣座長  よろしいでしょうか。 ○當山母子保健主査  ありがとうございます。それでは最後に母子保健課からごあいさつを申し上げたいと 思います。 ○齋藤母子保健課長補佐  母子保健課長が本日所用でおりませんので、代わりに一言お礼を申し上げたいと存じ ます。まず委員の先生方におかれましては、本当にご多用のところを非常にご丁寧なご 議論を重ねていただきまして、ご検討を誠にありがとうございました。また座長をお務 めいただきました山縣委員には本当に心から感謝を申し上げます。今回非常に短期集中 的ではございましたけれども、「健やか親子21」の昨年の中間見直しの評価の中でも、 やはり今回非常に現場での創意工夫が必要だったり、大変現場で母子保健の皆さまが苦 労されているような内容についてのものが残っていたわけでございまして、やはりどう いった形で進めていくのかアプローチが大変難しかったり、また人材面などでも人員不 足だったりという非常に難しい課題を今回検討いただきまして、その過程の中で大変ご 示唆に富んだご意見などを賜りましたので、本日いただきました研究会の成果などを生 かしながら母子保健の今後の「健やか親子21」の取り組みにいかして、取り組みを進め てまいりたいと存じます。また先生方におかれましては、引き続き専門的なお立場から 「健やか親子21」へのご支援を賜ればと存じます。どうも本当にありがとうございまし た。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。委員の先生方には2回の会議でしたが、実はそれとは 別に事務局からも何回もこれに対してご意見を伺ったりと、ご協力いただきまして本当 にありがとうございます。前回また今回も話が出ましたが、指標はあくまでも指標であ って、それを達成するためのアクションがとても大切で、そのアクションをどのように していくかということを、それぞれのところで私どもも支援しながら、また実際にやっ ていきたいと考えています。それではこれをもちまして第2回の「健やか親子21」の指 標に関する研究会を閉会いたします。どうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課 (内線7940) 電話03−5253−1111(代)