資料1
標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)の見直しに係る論点

1.健康診査の項目について

(1)血糖検査について
 ○空腹時における採血を原則としたとしても、確実に空腹時に採血が行われない場合があるなど、通常の血糖検査だけでは、糖尿病の疑いがある者を正確に把握することは困難である。
 ○一方、ヘモグロビンA1cは、過去1〜3ヶ月程度の平均血糖値を反映しており、採血の前日や当日の食事の摂取に影響を受けないため、糖尿病の疑いがある者を把握する上で有用であると考えられる。
 ○ ただし、ヘモグロビンA1c検査は高価であり、健康診査費用を考慮した場合、必ずしも両方の検査を実施する必要はないのではないか。
 ○ 以上のことから、血糖検査として、ヘモグロビンA1c検査を実施することが望ましく、ヘモグロビンA1c検査を実施した場合には、必ずしも通常の血糖検査を実施する必要はないのではないか。
 ○ ヘモグロビンA1c検査を実施しない場合には、確実に空腹時に採血を行えるよう受診者に空腹時での健診受診を徹底すべきではないか。

(2)尿検査について
 ○ 腎機能障害を早期に把握するためには、血清クレアチニン検査よりも、尿蛋白検査が有効ではないか。
 ○ また、ヘモグロビンA1c検査、通常の血糖検査において、糖尿病有病者・予備群をある程度把握することが可能であるが、血糖検査を補完するために、老人保健事業における基本健康診査と同様に、尿糖検査を実施することも考えられるのではないか。
 ○ 尿潜血検査については、尿蛋白検査を実施した場合、脳・心臓疾患対策として、必ずしも、実施する必要はないのではないか。

(3)血清クレアチニン
 ○ 腎機能障害を早期に把握するためには、血清クレアチニン検査よりも、尿蛋白検査が有効ではないか。
 ○ 尿蛋白検査を必須項目とした場合、必ずしも、血清クレアチニン検査を実施する必要はないのではないか。

(4)尿酸
 ○ 尿酸は、メタボリックシンドロームのリスクマーカーとして重要ではあるが、尿酸値に異常を認める者の多くは、腹囲、血圧、血液検査等で異常を認めていることが多く、必ずしも必須検査とする必要はないのではないか。


2.保健指導対象者の選定方法
(1)服薬中の者の取扱い
 ○血圧降下剤等を服薬中の者については、継続的に医療機関を受診しており、栄養、運動等を含めた必要な保健指導については、医療機関において継続的な医学的管理の一環として行われることが適当ではないか。

(2)LDLコレステロール、喫煙歴、尿酸の取扱い
 ○脳・心臓疾患のリスクを評価する上で、内臓脂肪に着目したリスク因子については、血圧、脂質、血糖を評価しているため、追加のリスクとしては、喫煙を用いてはどうか。


3.保健指導判定値及び受診勧奨判定値
(1)中性脂肪及びHDLコレステロールの受診勧奨判定値
 ○中性脂肪及びHDLコレステロールについては、「標準的な健診保健指導プログラム(暫定版)」に示されている保健指導判定値と受診勧奨判定値が同じ値である。
 ○当該判定値を満たした場合、必ずしも、服薬治療が必要なわけではないため、一律に受診勧奨とする必要はないのではないか。
 ○ 老人保健事業の基本健康診査において用いられている要医療判定値は、中性脂肪:300mg/dl以上、HDLコレステロール:35未満mg/dlである。
 ○ 今回定める受診勧奨判定値については、上記の判定値を暫定的に用いることとし、今後、必要に応じて、見直すこととしてはどうか。

(2)空腹時血糖及びHbA1cの保健指導判定値
 [1] 保健指導判定値の見直し
最新の知見を踏まえて、保健指導判定値を見直す必要があるのではないか(参考資料3参照)
保健指導判定値については、空腹時血糖100mg/dl以上を用いてはどうか。
ヘモグロビンA1cについては、空腹時血糖100mg/dlに対応する5.2を用いてはどうか。
 [2] 随時血糖について
随時血糖については、食後30分、2時間等、時間の経過に伴い、大きく血糖値が変動するため、保健指導対象者を選定する上で、一律の基準である140mg/dlを用いるのは不適当ではないか。
各医療保険者間において、公平な保健指導対象者の選定が行われるためには、HbA1cの実施又は、確実な空腹時の採血を原則とすべきではないか。
そのためには、万一、空腹時に採血が行われていない場合であっても、現行の随時血糖判定値を用いるのではなく、空腹時血糖の保健指導判定値を用いて保健指導対象者を選定することとしてはどうか。
受診者への健診結果を通知する際には、食事摂取後の時間を勘案して、糖尿病の疑いの有無等について通知することとしてはどうか。


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