資料3−3

H18年度リスク評価対象物質の評価基準値候補リスト
  物質名 エピクロロヒドリン 塩化ベンジル 1,3-ブタジエン ホルムアルデヒド 硫酸ジエチル (参考)硫酸ジメチル
  CAS 番号 106-89-8 100-44-7 106-99-0 50-00-0 64-67-5 77-78-1
  換算係数:1ppm=   mg/m3 3.78 5.18 2.21 1.27 6.31 5.16
発がん性 IARC
閾値
ユニットリスク(μg/m3)-1
  -RL(10-3)に対応する濃度、ppm
  -RL(10-4)に対応する濃度、ppm
(引用)
労働補正(10/20「呼吸量」×240/360
「日数」×45/75「就業年数」)後の
  -RL(10-3)に対応する濃度、ppm
  -RL(10-4)に対応する濃度、ppm

NOAELに基づく評価レベル、ppm
2A
なし
1.2×10-6
0.21(0.80mg/m3)
0.021
(IRIS)*1


1.1(4.0mg/m3)
0.11

情報なし
2A
なし
4.9×10-5
0.010(0.053mg/m3)
0.0010
(IRIS、経口)


0.050(0.27mg/m3)
0.0050

0.11
2A
なし
3.0×10-5
0.014(0.030mg/m3)
0.0014
(IRIS)  


0.070(0.15mg/m3)
0.0070

情報なし
1
なし
1.3×10-5
0.065(0.080mg/m3)
0.0065
(IRIS)  


0.33(0.40mg/m3)
0.033

0.015
2A
なし
情報なし 
同上
同上
−  


情報なし
同上

情報なし
2A
未評価
情報なし
同上
同上
−  


情報なし
同上

情報なし
その他 他の有害性の分野
NOAELに基づく評価レベル、ppm
反復ばく露/生殖毒性
0.21/0.37
反復/生殖毒性
0.19/0.58
反復/生殖毒性
0.046/0.3
単回/生殖毒性
0.01/1.5
情報なし 未評価
TLV TLV-TWA ACGIH、ppm
  根拠

許容濃度 産衛学会、ppm
  根拠
MAK 独、ppm
REL NIOSH、ppm
0.5
生殖影響、鼻の刺激

設定なし

設定なし
設定なし
1
目/鼻/喉の刺激,肺水腫
設定なし

設定なし
設定なし
2
発がん

設定なし

設定なし
設定なし
0.3(天井値)
目、上気道の刺激

0.5
感作性
0.3
0.016
設定なし  


設定なし

設定なし
設定なし
0.1
一義的には刺激、生殖、発がんにも有効
0.1
ACGIHと同等
設定なし
0.1
規制値 PEL(TWA)、OSHA、ppm
WEL(TWA)*2 UK、ppm
TRK(TWA)*3 独、ppm
管理濃度(安衛法)
職域における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドライン  
設定なし
0.5
3

1
0.5
0.039

1
10
5

0.75
2
設定なし

0.08、0.25(特定)
  根拠:WHO欧州委員会:鼻、喉の刺激を根拠とするが、上気道がんのリスクも軽減するレベルである。
設定なし
0.05
0.03

1
0.05
0.02/0.04(製造/使用)
0.1
   *1:US EPA Integrated Risk Information System 、*2:WEL:英国のHSEが規制する(旧MEL)から移行した値で、技術的、コスト的に可能と考えられる目標作業環境濃度(TWA)、*3:TRK:独TRGS900で規定する「技術水準濃度」で現在の技術水準で低減されうる目標作業環境濃度(TWA)



許容濃度等に係る用語の意味
1.    ホルムアルデヒドについて
(1)  WHO欧州地域専門家委員会の健康影響評価により、ホルムアルデヒドの気中濃度ガイドラインとして、「0.1 mg/m3(0.08ppm、30分間平均値)」を勧告し、このガイドライン値は「鼻腔粘膜の細胞毒性の推定閾値より1桁低い値であるので、ヒトにおける上部気道がんのリスクを無視しうるばく露レベルである」を参照し、わが国では居住環境におけるホルムアルデヒドの室内濃度指針値として同値が適当であるとしており、同値を「評価レベル」として併記している。
(2)  職域においても、「職域における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドライン」により0.08ppm以下、特定作業場(ホルムアルデヒド等を製造し、又は取扱う作業場であって、作業の性質上ホルムアルデヒドの濃度を0.08ppm以下とすることが著しく困難な作業場)については0.25ppm以下とする」とされている。
2.   海外主要国、機関による、許容濃度、規制値について
(1)  MAK(Maximale Arbeitsplatz-Konzentrationen;最大職場濃度)Value
DFG(Deutsche Forschungsgemeinschaft:独研究基金で大学や公的資金に基づく研究を推進する中心的組織であり、活動分野の一つであるMAK Commission(職場における化学物質の健康影響を調査する機能)が提案するばく露限界値で、物質の健康影響を根拠とした許容値
(2)  TRK(Technishe Richtkonzentration;技術標準濃度)
独の「危険物質に関する技術規則(TRGS 900)」で規定する「空気限界値)」で、現在の技術水準で到達され得る作業環境濃度と定義されている。
(3)  REL(Recommendable Exposure Limit;勧告ばく露限界)
米国NIOSH(National Institute for Occupational Safety and Health;国立労働安全衛生研究所)が勧告するばく露限界で、物質の健康影響を根拠とした許容値
(4)  PEL(Permissible Exposure Limit;許容ばく露限界)
米国OSHA(Occupational Safety and Health Administration;労働安全衛生庁)が規定する許容濃度で、物質の健康影響のみでなく、行政的な考慮も加えた規制値
(5)  WEL(Work Place Exposure Limit;職場ばく露限界)
英国HSE(Health and Safety Executive;英国安全衛生庁)は05年に化学物質の許容濃度についての変更を行い、従来のOESの一部とMELの殆どをWELに移行した。OES(Occupational Exposure Standard)は許容濃度で、閾値がある物質で実際的な管理が可能な濃度レベルにあるものについて設定される。また、MEL(Maximum Exposure Limit)はHSEが行政的に設定する法定の上限濃度で、科学的根拠のみでは(低濃度すぎて)現実的な管理指標(経済性も含め)にならないものについて行政的に設定され、この濃度以下に管理するだけでなく、可能であれば更に低い濃度での管理が求められる。

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