07/01/31 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 平成19年1月31日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年1月31日(水) 14:00〜    厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(12名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 川 西   徹、 澤 田 純 一、 千 葉   勉、    土 屋 文 人、◎永 井 良 三、 中 澤 憲 一、 西 澤   理、    長谷川 紘 司、 林   邦 彦、 村 勢 敏 郎、 本 橋 伸 高 (注) ◎部会長 ○部会長代理  他 参考人 1名   欠席委員(3名)    五十嵐  隆、○首 藤 紘 一、 鈴 木 洋 史  3.行政機関出席者    黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 伏 見  環(安全対策課長)、     豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、     川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、     佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、    坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、    望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、  田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻ですので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いた します。本日は、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。当部会 委員数15名のうち11名の委員に御出席をいだいておりますので、定足数に達しており ますことを御報告申し上げます。  第1に、今般の薬事・食品衛生審議会の委員の改選に伴い、去る1月24日に、薬事・ 食品衛生審議会の総会が開催されました。総会において、各部会長の選出が行われ、本 医薬品第一部会については、引き続き永井良三先生に部会長をお願いすることとされて いますので御報告申し上げます。また、部会長代理につきましては、部会長から御指名 いただくことになっておりますが、永井部会長から、予め首藤紘一先生にお願いしたい という御連絡をいただいておりますので、引き続き首藤先生に部会長代理をお願いする こととなっておりますことを併せて御報告申し上げます。  議事に入ります前に、本日は委員の改選後初の部会ですので、委員の先生方を御紹介 申し上げます。お手元に、医薬品第一部会委員名簿がありますが、これに沿って御紹介 申し上げます。  1番目は飯沼雅朗委員ですが、本日は遅れるという御連絡をいただいております。2 番目の五十嵐隆委員は、本日は御欠席です。川西徹委員です。澤田純一委員です。首藤 紘一委員及び鈴木洋史委員は本日御欠席です。千葉勉委員です。土屋文人委員です。部 会長をしていただきます、永井良三委員です。中澤憲一委員です。西澤理委員です。長 谷川紘司委員です。林邦彦委員です。村勢敏郎委員です。本橋伸高委員です。  次に、事務局の紹介をさせていただきます。黒川大臣官房審議官(医薬品担当)です。 豊島医薬品医療機器総合機構審査センター長です。川原医薬品医療機器総合機構安全管 理監です。森医薬品医療機器総合機構審議役です。佐藤医薬品医療機器総合機構新薬審 査第一部長です。坂本第二部長です。望月第三部長です。田中生物系審査部長です。伏 見安全対策課長です。私は、審査管理課長の中垣です。  以後の議事進行は、永井部会長にお願いいたします。 ○永井部会長 これから、新しいメンバーでよろしくお願いいたします。早速、事務局 から配付資料の確認、資料作成に関与されたメンバーの紹介をお願いいたします。 ○事務局 本日の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿 を配付させていただいております。本日は、議題6の関係で資料No.6-2と資料No.6-3を、 新有効成分医薬品の再審査期間についての資料の差し替え版があります。当初お送りし たものには諮問書が付いておりませんでしたので、差し替え版をお配りしております。 資料No.8として「優先対面助言品目の指定について」、資料No.9として医薬品第一部会 審議品目の取扱いの表です。資料No.10として、本日御審議いただく品目の専門委員のリ ストです。それから、番号は付いておりませんが、1月26日と、その前の1月4日に承 認いたしました新薬の一覧を配付しております。4月以降の部会の日程調整をさせてい ただくために日程調整表をお配りしておりますので、御確認いただきますようお願いい たします。  続きまして関与委員の御報告です。この関与委員につきましては、平成13年1月23 日の薬事分科会の申し合わせにおきまして、部会で調査・審議をいただく品目につきま して、その品目の申請資料に著者として名を連らねた先生、それからGCPの治験責任 医師、分担医師、治験調整医師などをされた先生、それから医学、薬学、生物統計学等 の専門家として、申請資料の作成に密接に関与された先生方を関与委員と呼ばせていた だきまして、それにつきましては申請者の協力を得まして、事務局にて関与委員がいる かどうかという確認を事前にさせていただきます。毎回の部会の開始の際に、部会長か らの御指示に基づき、いる場合には事務局からその氏名を報告させていただくというこ とです。関与委員がいた場合には、その先生におかれましては、その品目について審議 又は議決が行われている間は、別室で御待機いただく形になります。本日御審議いただ く品目につきましては、関与委員の先生はいらっしゃいませんことを御報告申し上げま す。  本日は、議題5のマイオザイム点滴静注用におけます参考人として、国立精神・神経 センター武蔵病院名誉院長の埜中征哉先生にお越しいただいておりますので御紹介申し 上げます。この関係で、本日は議題順を入れ替えまして、議題5の審議を先にお願いで きればと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 本日は審議事項が7議題、報告事項が1議題です。今お話がありました ように、議題5のマイオザイム点滴静注用の審議を先に始めさせていただきます。それ では、医薬品医療機器総合機構から、審査の概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題5、資料No.5、医薬品マイオザイム点滴静注用50mgの製造販売承認の可否 等について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  本剤は、グリコーゲン分解酵素である、アルグルコシダーゼアルファ(遺伝子組換え) を有効成分として含有する、注射用凍結乾燥製剤であり、体重1kg当たり20mg、糖原病 II型患者に隔週点滴静注投与するものでございます。  糖原病II型は、ポンペ病とも言われ、ライソゾーム中のグリコーゲン分解酵素である 酸性α-グルコシダーゼの先天的欠損により、組織中及び細胞内にグリコーゲンが蓄積 し、心筋症、呼吸機能障害を含む進行性の筋力低下を引き起こす、致死的なライソゾー ム病の一つでございます。  中でも重症度が高いのは、進行性の乳児型であり、生後12カ月以内に症状・兆候が発 現し、ほとんどの患者が生後1年以内に死に至るとされております。現時点で有効な治 療法はなく、患者に不足している酵素を補充することを目的に開発された本剤は、従来 にない本疾患の根本的治療法であるとして、その導入が待たれているところでございま す。  本剤は、平成18年2月に希少疾病用医薬品に指定されております。海外では、2006 年3月に欧州で承認されたのをはじめとして、ノルウェー、米国及びカナダで承認され ております。  本品目の専門協議では、本日の配付資料No.10に示しますような方々を専門委員として 指名させていただいております。  本剤の品質、安定性、薬理、薬物動態及び毒性について、提出された資料に特段問題 となる事項はございませんでしたので、臨床試験成績について述べさせていただきます。  なお、本申請に際しては、本疾患が希少疾病の中でも、対象患者数は極めて少なく、 また致死的であるという疾患の重篤性などから、第8回未承認薬使用問題検討会議にお いて、海外臨床試験成績に基づき、製造販売承認申請を行うことが妥当と判断され、海 外臨床試験成績に基づいて申請されております。  本剤の有効性に関してですが、乳児型糖原病II型患者18例を対象とした、海外非盲検 試験において、主要評価項目である、生後18カ月における侵襲的人工呼吸補助なしでの 生存率は83.3%であり、ヒストリカルな自然経過歴から抽出した、本剤未投与の同様な 患者集団61例での生存率は1.9%にすぎないことから、有効性は十分に示唆されている と考えております。さらに、日本人1例を含む試験においても、同様の成績が得られて おります。  次に安全性に関しては、国内での検討症例が、継続提供プログラムによる10例と少な く、その評価には限界があるものと考えております。特に、抗体産生が本薬の有効性及 び安全性に及ぼす影響について、現時点では不明確であり、投与関連反応が、海外での 治験も含めて、多くの症例で認められていることから、投与速度の減速を行うことなど、 措置を行うことが必要と考えております。併せて、本剤による治療に精通した医師、も しくはその指導の下で治療が行われる必要があると考えております。  なお、日本人の投与経験が極めて限られていることから、製造販売後には、本剤を投 与した全症例を対象に、安全性及び有効性に関する調査を行い、情報を集積した上で、 本剤の適正使用に係る措置を講じる必要があるものと考えております。  以上のとおり、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、製造販売後の全例調査の実 施を条件に、承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されること が妥当と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は、 10年とすることが適当であると判断しております。原体及び製剤ともに劇薬に該当し、 生物由来製品に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 先ほど御案内がありましたけれども、本日は国立精神・神経センター武 蔵病院の埜中征哉先生においでいただいております。先生から追加コメント等はござい ますか。 ○埜中参考人 今、機構から説明があったとおり、この病気は筋肉の中にグリコーゲン が溜まる病気です。乳児で発症した者は、大体1歳までで亡くなってしまうという非常 に重症な病気です。その後で発症したのは、筋肉が主に侵されて、特に呼吸器が侵され るものですから、非常に寿命が短くて、そのわりに知的な面などは少しも侵されません ので、非常に悲惨な経過をとるような病気です。ですから、このような酵素治療法が適 用になると、患者にとっては非常に大きなメリットになると私は考えております。追加 することはそのぐらいのところです。 ○永井部会長 それでは、委員の先生から御意見等をお願いいたします。 ○川西委員 私は、この薬に関しては未承認薬検討委員会等々で見させていただいたり した経過があります。私自身その結論に関しては、これは先日のラロニダーゼと同様、 一刻も早く患者に使っていただける体制をつくることが非常に重要な薬だと考えていま す。私も専門委員に入って見させていただいています。品質の中で、例えば、規格値の 再設定ということが報告書にもいくつか書かれています。これは、そういう処置でどん どんやるということには私も全く賛成なのですが、規制の上ではどのような条件を付け てということになるのでしょうか。それとも、通常の承認書以外に何か制限を付ける、 ということをメーカーに確約していただくことの扱いなのでしょうか。その辺をお聞か せください。 ○機構 規格等に関しては、グローバルなものに合わせていくということです。 ○川西委員 それは、大変いい考え方だと思います。これの場合は、日本だけでいろい ろ言っていても患者数は少ないし、製造規格等々でなかなか難しい面もあろうと思いま すから、それに合わせて速やかにやっていけばと思っております。 ○土屋委員 患者数が極めて少ないということですが、どれぐらいの人数がいるのでし ょうか。 ○埜中参考人 外国の論文では、大体4万人に1人という頻度になっております。日本 では、まだ実際に何人という頻度は出ていません。1歳までで亡くなってしまいますの で、人口当たり何万人というのはなかなか出にくいのです。私の所で、いろいろ診断シ ステムを作ってやっておりますが、過去20年程で大体50人ぐらいの診断をしています。 ほかの大学などを合わせても、そんなにたくさんの人ではなくて、外国と頻度を比べる と、4万人に1人よりは低くて、感じとしては10万人に0.5人とか、その辺のところだ ろうと思います。 ○土屋委員 この使い方のところで、最後の「本剤による治療に精通した医師、もしく はその指導の下で治療が行われることが必要である」と書かれていて、それでネットワ ークを組むとかそのようなことが書かれていますが、それは添付文書上は何も表記して おかなくてもよろしいのでしょうか。  通常、今は抗癌剤でも精通している人がやらなくてはいけない、というのが警告欄に 書かれたりしているのですけれども、そういうものとの比較の関係でネットワークまで 作って、もちろん患者が少ないということで、それに当たる人が少ない中でだから徹底 できるということはあるのかもしれないのですけれども、添付文書的に見たときに、そ ういう意味での共通性というのは持っておかなくてもよろしいのでしょうか。 ○機構 当初、添付文書に記載ということも考えておりましたけれども、実際に本薬を 使っていく上では、診断等につきましてもかなり限られた施設になっていくものと考え ております。また、酵素活性等の測定ができる施設もかなり限られているということも ありますので、事実上本剤による治療に精通した医師、あるいは精通した医師の指導の 下で行われるものと判断しております。  比較的長期間使っていかなければいけない、というものでありますので、必ず決まっ た施設で投与となってしまいますと、それも使いづらいということもございますので、 精通した医師の指導の下で、ネットワークを作って、その中で実際に診断、本剤を使っ ていくということとしております。  ネットワークにつきましては、アウドラザイムと類似のやり方をとっていく、という ことでございます。それに精通した医師として、今現在9名ぐらいを考えているとのこ とでございます。ある決まった医師の人たちに情報が集約するような形をとり、さらに アプローチすることによって、さまざまな情報が得られる、あるいは相談することによ って、診断方法等についても情報が得られるようにしていくということ。あとは、ホー ムページ等で情報提供していく、ということでございます。 ○土屋委員 何らかの形で、そういうことについて一言入れておいた方がいいのではな いか。実際に使う方は御存じかもしれませんけれども、こういう薬を見てというときに、 詳しいことはどこか別のものに書いてあってもいいのですけれども、それを見に行こう とするというようなことは何かしなくてもよろしいのでしょうか。 ○機構 既存のものと横並びで考えて検討させていただきたいと思います。 ○澤田委員 「抗体ができる」という記載がありますけれども、そのできる抗体は蛋白 を見ているのか、糖鎖を見ているのかという情報はあるのでしょうか。 ○機構 確認をさせていただきます。 ○澤田委員 症例が少なくて、そこまで調べていないのでしたら構いません。もし、糖 鎖に対する抗体ができているのだったら、今後リスク管理をするときにちょっと気にし ないといけないかと感じました。 ○機構 ありがとうございます。市販後において、抗体産生等についても検討していく ことになっておりますので、その旨を伝えたいと思います。 ○土屋委員 これは、溶解液は使わないわけですね。注射用水でやればいいのですけれ ども、いわゆる溶解液が添付された形ではないわけですね。 ○機構 はい、違います。 ○土屋委員 そのときに、注射用蒸留水10.3mLで本剤を溶解して、それで10ccとらさ れて、実際10.3mLと言われると、今度は目盛りは10以上で使うものなのです。10.3mL と言われても現実としてはしようがないとは思うのですけれども、結構気にする人は気 にしてしまいます。  最近は容れ目のことが、医療機関で実施記録を取るようになってから、何cc入れたの かとか、そういうことが話題として言われるようになってしまったのです。今までは、 入っているものをそのまま入れる、というのが多かったのですが、そういうことで問合 せをかけるとか、そういうことが結構増えていると聞いています。その辺のことも含め て、これはしようがないのでしょうけれども、これは10.3mLなのでしょうね。 ○機構 調整手順書というものを配付することになっております。その方法としては、 写真等で示していくことになっています。調製手順書にも1バイアル当たり10.3mLを入 れると。シリンジで注入するということになっています。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見がないようでしたら、承認「可」と いうことで分科会報告とさせていただきます。埜中先生、どうもありがとうございまし た。 −埜中参考人退席 − ○永井部会長 議題1について、医薬品医療機器総合機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、資料No.1、ゼチア錠10mgについて、医薬品医療機器総合機構から説明 させていただきます。議題ではゼチア錠10mgとなっていますが、名称類似薬剤があるた め、ゼチーア錠10mgに販売名を変更する予定です。  ゼチア錠10mgの有効成分エゼチミブは、小腸壁細胞のコレステロール吸収に関与する 蛋白質ニーマンピックC1 Like1に作用して、食事性のコレステロール及び植物性シトス テロールの吸収を選択的に阻害する新規な作用機序の高コレステロール血症等の治療薬 です。  本邦では、シェリング・プラウ株式会社により開発され、今般臨床試験成績等に基づ き、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、ホモ接合体シトステロール 血症を効能・効果とする製造販売承認申請がなされたものでございます。  本剤は、平成18年9月現在、米国等89以上の国及び地域で承認されております。  本品目の審査に関しまして、専門委員として資料No.10に記載されている委員が指名さ れております。  本品目の審査の概略について、臨床成績を中心に説明させていただきます。高コレス テロール血症患者を対象とした第II相用量設定試験における、有効性及び安全性に関す る成績から、用法・用量は1回10mgの1日1回投与とされました。  次に、同じく高コレステロール血症を対象として、陰イオン交換樹脂のコレスチミド に対する非劣性を検証する、投与期間12週間の第III相二重盲検比較試験が実施されまし た。有効性の主要評価項目とした治療期開始時を基準とした治験薬投与終了後のLDL- コレステロール変化率は、本薬群では-18%であり、対照薬に対する非劣性が示されまし た。  安全性に関しまして、有害事象の対照薬群における発現率は69.0%であったのに対 し、本薬群における発現率は58.5%であり、対照群に比し高いものではありませんでし た。これら有害事象は、すべて軽症又は中等度でした。  一方、発現率は低いものの、横紋筋融解症等の重篤な副作用や、耐糖能への影響等が 報告されており、またHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用には注意が必要であり、さらに フィブラート系薬剤とは併用しないことが望ましいとされておりますが、肝機能障害患 者への本剤投与、他の高脂血症治療薬との併用等に関する注意喚起とともに、添付文書 に注意喚起されており、適正に使用されれば承認の可否に影響するような重大な懸念は 認められないものと判断いたしました。  以上の成績も含め、提出された資料より、本剤の単独投与及びHMG-CoA還元酵素阻害 薬との併用による、LDL-コレステロール低下効果は認められていることから、家族性 高コレステロール血症等も含めた、高コレステロール血症治療薬として有効性が期待で き、既存薬との作用機序が異なる本剤が、臨床現場に提供される意義はあると考えまし た。  また、非常に稀なホモ接合体性シトステロール血症患者については、国内臨床試験成 績はないものの、海外臨床試験成績及び非臨床試験成績より、市販後の情報収集は必要 ですが、効能・効果として認め得ると判断いたしております。  以上より、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、ホモ接合体性シト ステロール血症の効能・効果で本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  なお、市販後には、本剤長期投与時の有効性及び安全性の情報を収集するとともに、 ホモ接合体シトステロール血症患者を対象とした特定使用成績調査や、本薬の糖代謝へ の影響について調査が実施される予定です。  本剤は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間については、審査報告書には6年 間と記載されておりますが、議題6において改めて事務局より御説明いたします。  また、原体及び製剤は、毒薬又は劇薬には該当せず、生物由来及び特定生物由来製品 にも該当しないと判断しております。薬事分科会では審議を予定しております。御審議 のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 新しい薬理作用を持った高脂血症薬ですが、いかがでしょうか。 ○村勢委員 外国では広く使われている薬でありまして、今の説明にありましたように、 有効性とか安全性についてはほぼ妥当であると思います。高コレステロール血症の治療 薬の選択肢が増える、という意味で意義があるのではないかと思います。そこで、二つ ほど質問させていただきます。  一つは、作用部位が小腸壁だということで、そこに経年的な変化が起こっていないか どうか、ということです。機構の審査の中には、腸の病変を有する患者を対象とした臨 床試験がないということもありましたが、その辺を含めて、どのみち長期に使う薬です ので、そのような情報があればありがたいし、なければ市販後調査で、いろいろその辺 の情報が得られたら教えていただきたいということが1点目です。  もう1点は、語句の使い方でこだわるのですが、45ページの9番の「重症高コレステ ロール血症を対象とした」という言葉なのです。同じように、添付文書の中にも「重症」 という言葉が使われています。この「重症」という言葉は多少抵抗があるということで お聞きします。家族性の高コレステロール血症の場合には、問題なく重症と言っていい と思うのですけれども、ここは260mg以上を重症と書いてあるのですけれども、260mg 以上の総コレステロールが認められて、FHと診断されていない患者を重症とする言葉 の使い方にちょっと問題があろうかと思います。 たぶん、更年期の女性ですと、2割 ぐらいは重症になってしまうことになろうと、そのぐらいの頻度です。普通「重症」と いう言葉を使うのだったら、300mg以上とか、その場合には「高度の高コレステロール 血症」という言葉を使うのが妥当ではないかと思います。260mgから300mgぐらいは、 せいぜい中等症ぐらいな感じかと思います。このまま添付文書を見ると、260mgは重症 であるから使うべきだとか、云々というようなことになっていくのはちょっとまずい。 言葉の使い方で、ちょっとその辺を考えていただくことはできないだろうかということ です。 ○機構 1点目からお答えいたします。小腸壁の病変に関してですが、ヒトの臨床試験 ではそのようなところまでは見ておりません。ヒトではないのですけれども、毒性試験 でも特段、臨床上問題となるような所見はみられていないと判断しております。  本薬は、腸肝循環をして長く作用する薬ですので、病変の有無の他にも、抗生剤投与 時に、腸内細菌叢が壊れたときの有効性及び安全性等が懸念されます。おそらく大きな 影響はないと申請者は回答しておりますけれども、消化器系の副作用等がみられており ますので、市販後の調査の中で詳しくその辺もみていく必要があるとと考えております。 ○審査第二部長 「重症」という記載についての御指摘ですが、審査報告の45ページに つきましては、試験がそういう名前で行われたということがございます。添付文書の記 載につきましては、今の御指摘も踏まえ、既存の類薬などの表現との整合性もあろうと 思いますので、これまで使っている言葉等を確認した上で、整理することにさせていた だきたいと思います。 ○村勢委員 ありがとうございます。そのとおりだと思うのですけれども、審査報告等 の書類の方では「重症」を使ってあっても、ああそうか、ということで内容的には問題 ないのですけれども、添付文書の方で「重症」という言葉を使ってありますと、いろい ろ混乱を招くことがありますので、そちらの方はどうにかしていただきたいと思います。  腸管の小腸のことですけれども、例えば胃腸炎を起こしているときにはどうしたらい いのか。一時休薬をすることが必要なのか。先ほどおっしゃったように、動物実験では 云々という話でしたが、動物実験で、長期で何年使っているのか見ていないので私は分 かりませんが、ヒトに臨床的に使う場合には、5年、10年のスパンで使われることがあ りますので、それをチェックしてほしいというのではないのですけれども、中には内視 鏡検査等が実施される例もあると思うのです。そういう情報がありましたら、なるべく 早く提供していただければ、臨床に使うときにいろいろ役に立つのではないかと思いま したので、そういうことのコメントです。 ○本橋委員 精神科の立場から、70ページにありますうつとの関係のことをお尋ねしま す。オーストラリアで報告があって、全体的に調べるとあまりうつの誘発はないのでは ないかということでした。例えば、コレステロールが低すぎると自殺につながるとか、 うつが出やすいといった報告もあります。コレステロールの値と抑うつ症状の出現がど うだったのかとか、その辺の資料はあるのでしょうか。 ○機構 それに関しては、特にこの報告の中に資料はありません。今後、市販後調査の 中で関連の情報が得られるかもしれませんが、発現頻度等を考えますと情報は集めにく いというところがあると思います。 ○永井部会長 ほかにはよろしいでしょうか。よろしければ承認「可」ということで分 科会に上げさせていただきます。ありがとうございました。次は議題2「ミケランLA 点眼液」です。 ○機構 議題2、資料No.2、医薬品ミケランLA1%点眼液及び同2%の製造承認の可 否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分は塩酸カルテオロールで、本邦では既に緑内障、高眼圧症を効能・効 果とした、1日2回投与のミケラン点眼液というものが承認されております。今回の製 剤は、1日1回での投与を可能とした持続化製剤で、海外25カ国で承認されております。  本申請の専門委員としては、資料No.10に記載されております6名の委員を指名いたし ました。  審査内容については、品質及び非臨床試験での成績については、特に大きな問題はな いと判断しておりますので、臨床成績について簡単に御説明いたします。  国内患者を対象とした試験で、本剤の眼圧下降作用は、現行製剤、既存の製剤よりも 持続することが確認されております。また、本剤1%製剤1日1回と、既に承認されて おります現行製剤1日2回での眼圧下降作用を比較したところ、眼圧下降度における両 群の差の95%信頼期間が予め定められていた同等域の範囲内であり、両製剤の眼圧下降 作用の同等性が検証されております。  一方、本剤2%と現行製剤2%との同等性は厳密に検討されておりませんが、我々の 審査において国内臨床試験、それから国内及びフランスで実施された第III相試験の結果 を検討し、本剤と現行製剤との関係、それから1%製剤と2%製剤との関係が、日本人 とフランス人で大きな差はないということで、本剤2%の有効性は、現行製剤2%と同 様であると判断しております。  なお、本剤2%反復投与時の、日本人患者における眼圧下降効果については、製造販 売後臨床試験の中で検討する予定となっております。  安全性については、眼障害が海外に比べ、本邦で高い割合で認められておりますが、 収集方法での違い、有害事象の定義等の差異もあり、現行製剤との比較においては大き な差異はないということで、本剤のリスクについては、現行製剤と同様であると判断し ております。  なお、本剤長期投与時の安全性については、特定使用成績調査においてさらに検討す る予定となっております。  以上の審査を踏まえ、本剤の製造を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部 会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。  本剤の再審査期間は4年間、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製 品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科 会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 いかがでしょうか。既に、1%の方は市販されているということですか。 ○機構 1%も、2%も現行製剤にあります。1日2回の製剤としては、1%、2%の 両製剤が販売されております。 ○永井部会長 今回は、ロングアクティブになっているということですか。 ○機構 そうです。1日1回の投与の製剤で、1%、2%を作ったということです。 ○永井部会長 今は、濃度表示で「%」はあまり使わないようにということになってい ると思うのですけれども、点眼薬に関しては問題ないのでしょうか。 ○土屋委員 前にWGでやったときにも、点眼液等は「%」表示の方が分かるだろうと いうことで、こういう形になっております。 ○永井部会長 長時間作用のメカニズムとしては、アルギン酸の濃度が濃くなっている ということですか。 ○機構 今回の持続可能メカニズムとしては、アルギン酸をかなり高濃度添加しており ます。それの極性成分がお互い酸塩基で違いますので、そのイオンの相互作用で、眼内 滞留性が向上する、ということが機序としては想定されております。 ○永井部会長 ほかにはよろしいでしょうか。よろしければ承認「可」ということで、 分科会報告とさせていただきます。ありがとうございました。次に議題3のアクトネル について、機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題3、資料No.3、医薬品アクトネル錠17.5mg他の製造承認の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるリセドロン酸ナトリウム水和物は、骨吸収抑制作用を有するビ スホスホネート系薬剤であり、リセドロン酸ナトリウムとして2.5mgが配合された1日 1回製剤が、骨粗鬆症を効能として既に承認を取得しております。  本剤は、消化管に対し、刺激作用を有することから、十分量の水とともに服用し、少 なくとも30分は横にならないこととされており、服薬回数を1日1回から週1回に減ら すことにより、患者の服薬コンプライアンスを維持することを目的に開発されたもので す。  本申請は、1週間当たりの総投与量が同じであれば、投与頻度によらず、同程度の薬 効が期待できるとして、既承認の1日1回投与量である2.5mgの7倍量に相当する 17.5mgを週1回投与する製剤です。なお、本薬週1回投与製剤は、海外におきましては 米国を含め、世界88カ国で承認されております。  また、本申請と同様のコンセプトで開発されたアレンドロネートにつきましては、平 成18年5月の医薬品第一部会で御審議いただいております。本品目の専門協議では、本 日の配付資料No.10に示しますような方々を専門委員として指名させていただいており ます。  本剤の品質、薬理及び薬物動態については、既承認申請時に評価されていることに加 え、特段問題となる事項はございませんでしたので、臨床試験成績について述べさせて いただきます。  有効性に関してですが、退行期骨粗鬆症患者494例を対象とした、国内第III相二重盲 検試験において、主要評価項目である、投与48週後の腰椎骨密度変化率は、本剤群で 5.36%、連日投与群で5.87%であり、本剤群の連日投与群に対する非劣性が検証され、 本剤の有効性は示されているものと判断いたしました。  安全性に関しては、臨床試験結果から、既承認製剤とほぼ同様であると考えておりま すが、本剤は比較的長期間投与される薬剤であり、1回投与量も増加することから、製 造販売後において、本剤の使用実態下における服薬状況、消化管障害、肝・腎機能障害、 顎骨壊死をはじめとする副作用発現状況等について、特定使用成績調査を実施する予定 です。  さらに骨密度、骨代謝マーカーに加えて、骨折頻度を指標とした、本剤の有効性並び に安全性について、3年間の特定使用成績調査を実施する予定です。  以上の審査の結果、本剤の骨粗鬆症に対する適用を承認して差し支えないとの結論に 達し、医薬品第一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。  本剤は、新剤型医薬品並びに新用量医薬品であることから、再審査期間は4年が適当 であると判断しております。なお、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由 来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定してお ります。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ただ今の説明についていかがでしょうか。 ○村勢委員 骨粗鬆症に効果がある薬ということですけれども、本邦においては何歳ぐ らいまで有効性が証明されているかということです。おっしゃられたように、非常に長 期に使う薬でありますし、特に老人に使うことが多いと思います。いたずらに長期に使 うのは何だと思います。それから、80歳とか90歳のおじいさん、おばあさんが、これ だけを取りにわざわざ来られるということも結構ありますので、そのようなこともちょ っと気になっています。  米国の試験では、75歳以上の方は10%含まれている、ということがここの書類に書か れてありましたが何人ぐらいかは分かりません。80歳、90歳ぐらいの人で、有効性がど のぐらいなのか。アメリカの試験では、75歳以上の人でも感受性がある人があるという 記載があるのですが、アッパーリミットが書いてあると、その辺は臨床的に役に立つの ではないかと思います。層別のいろいろな試験成績などが併せて載っていれば、使用す るときのガイドとしてとても役に立つのではないかと思います。飲み始めると、いつや めたらいいかということもとても苦労するので、併せてその辺のことを教えてください。 ○機構 先生から御指摘いただきました内容については、医療機関向けに配付する資料 等において、情報提供するように申請者に伝えたいと思います。  年齢ですが、本邦における第III相骨密度比較試験においては、88歳までの例がござい ます。 ○村勢委員 その人は感受性があったのかないのか、とにかく非常に少ない症例だと思 いますので、何かそういう層別のものがあったら、一緒にその辺の情報提供をしていた だければと思います。 ○機構 ありがとうございます。 ○永井部会長 これは、骨折の直後には使わないようにという話はありませんでしたか。 治癒が遅れるとか、そのことは添付文書に書かれていますでしょうか。 ○機構 骨折直後にということにつきましては、少なくとも臨床試験等では検討してお りません。 ○土屋委員 この薬ではないのですが、この間のボナロンの件もありましたように、単 純に7倍のものが出たときに、2.5mgの方の添付文書の過量投与のところの表現という のは、それは変わらずそのままになるのでしょうか。普通、過量投与というと、3倍と か4倍を通常は過量投与と考えると思うのですが、こういう7倍のものが現実に今出て いるわけですけれども、そういうときに、直接これの添付文書ではないのですが、そう いう関係といいますか、そういうときにはアイテムを見るというようなルールはあるの でしょうか。 ○審査管理課長 土屋先生の御指摘はもっともですので、少し考えてみないといけない と思っております。例えば、この7倍量ではない、1日1回投与の方の書き方の、特に 過量投与のところをどう書くかというと、先生の言わんとするところはよく分かるわけ です。それでは、現実にどう書くかというのは、全くアイディアが浮かばないような状 況です。安全対策の方とも連携を取りながら宿題とさせていただければと思います。 ○澤田委員 今のでちょっと気になったのですけれども、例えば2.5mgを4日間分で4 つ飲んで、あと3錠を3つ飲んでも安全上は問題ないということが、このデータから裏 づけられているわけですね。そうすると、薬の飲み方として、そういうことが将来起き 得るのかということがちょっと気になったのですが、それは問題ないということですか。 ○機構 本剤の投与方法として、机の上にサンプルをお配りさせていただきましたが、 週1回製剤については、必ず週1回投与するようにということで、それぞれ1錠あるい は2錠添付されております。また、2.5mg錠については、1日1回しか投与しないよう にということで、使用方法をかなり限定するようなことにしておりますので、その辺の 使い方を間違えない限り問題ないことになっていくのではないかと考えております。 ○審査第三部長 一応パッケージ上でも配慮いたしまして、1つのものをたくさん飲む のではなくて、1週間ごとに製剤をきちんと服用できるように申請者側に対応を取らせ てきております。 ○永井部会長 ほかにはよろしいでしょうか、よろしいようでしたら承認「可」という ことで分科会報告とさせていただきます。ありがとうございました。議題4について、 機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題4、資料No.4及び4-2、医薬品ビジクリア錠の製造承認の可否、再審査期 間の指定の要否等について機構より御説明申し上げます。  本品目は、大腸内視鏡検査の前処置における、腸管内容物の排除を効能・効果とする 新医療用配合剤です。ビジクリア錠は、リン酸二水素ナトリウム一水和物及び無水リン 酸水素二ナトリウムを含有しており、米国InKine Pharmaceutical社において開発され た錠剤Visicolを、申請者が導入して開発した、経口腸管洗浄剤です。  大腸内視鏡検査の前処置法としては、本邦ではポリエチレングリコール含有電解質溶 液(以下PEG電解質溶液と略す)を用いる方法、またクエン酸マグネシウム製剤を用い るマグコロール法等が用いられており、PEG電解質溶液を用いる方法が、現在最も標 準的な前処置法とされておりますが、製剤特有の味の問題や、服薬量が多いことから、 必要量を服用できないという受容性の問題が指摘されております。  本剤は、従来の腸管洗浄剤の味の問題を解決することを目的に開発された錠剤で、患 者の受容性を改善するために、錠剤を一定量の水で服薬するという用法がとられており ます。  なお、本剤と同一組成比の有効成分を含有するVisicolは、大腸内視鏡検査前の腸管 洗浄剤として2000年9月に米国で、2005年1月に英国でそれぞれ承認されております。 また、米国では、リン酸ナトリウム塩溶液が100年以上前から、一般用の医薬品の緩下 剤として使用されており、また医療機関におきましても、術前、X線施行前及び大腸内 視鏡検査前の腸管洗浄剤として、30年以上前から使用されております。  さて、本品目の専門協議では、本日の配付資料No.10に示しますような方々が専門委員 として指名されております。  それでは、審査の内容について御説明申し上げます。品質及び非臨床に関して提出さ れた資料の内容は妥当であると判断いたしましたので、以下臨床試験成績について述べ させていただきます。臨床薬理試験、第I相試験、第II相試験及び第III相試験、それぞ れ1試験の合計4試験の成績が評価資料として提出されております。  第II相試験の結果、本剤の用法・用量として、本剤を1回当たり5錠ずつ、約200mL の水とともに、15分毎に計10回、即ち総計50錠を、総量2,000mLの水とともに服用す る方法が選択されました。  第III相試験は、20歳以上80歳未満の、大腸内視鏡検査が必要な日本人患者を対象に、 PEG電解質溶液であるニフレックを対照薬として、本剤の有効性及び安全性を検討す る目的で、目標症例数1群220例、計440例の多施設共同非盲検並行群間比較試験とし て実施されました。  まず有効性に関してですが、主要評価項目である全般的腸管洗浄効果の有効率におい て、本剤群では93.7%、ニフレック群では91.6%と、有効率の差の95%信頼区間の下 限値が、非劣性の限界値として事前に定めました-10%を上回ったことから、ニフレック に対する非劣性が示されております。  また、有効性評価で無効と判定された患者のうち、悪心、嘔吐、腹部膨満、腹痛等の 有害事象により服薬中止となり、大腸内視鏡検査未実施となった症例数が、ニフレック 群では11例、本剤群では1例であったことを考慮しますと、錠剤である本剤は、受容性 の面で利点を有する可能性はあるものと考えております。  次に安全性に関してですが、第III相臨床試験において、臨床検査値異常の有害事象発 現率が、本剤群では66.1%、ニフレック群では45.4%と、本剤群に多く認められており ます。特に、本剤群において血中カリウム濃度減少が21.8%と、ニフレック群の2.9% に比較して高頻度に認められました。このため、本剤が心臓疾患患者及び電解質異常者 に適用された場合には、電解質異常に伴う有害事象を発現することが懸念され、投与に 際しては、これらリスクのある患者には投与しないよう注意喚起を行うことが必要と判 断いたしました。  専門協議におきましても、特に心室性不整脈の基質を有する症例や、QT延長の素因 のある症例の場合には、重篤な心血管系有害事象を誘発するおそれがあることから禁忌 とすべきとの意見が出されております。  機構は、添付文書において、十分な注意喚起を図ることとし、警告欄に「心疾患、腎 疾患、電解質異常を疑わせる所見がないこと、電解質濃度に影響を及ぼし得る薬物、Q T延長をきたすおそれのある薬物を服用中ではないこと及び電解質濃度が正常値である ことを予め十分確認すること」と記載することをはじめ、禁忌や慎重投与欄において、 電解質異常及び基礎心疾患を有する患者への注意を記載して、製造販売後も本注意事項 の周知徹底を図ることとしております。  製造販売後には、本剤投与に伴う電解質異常や心電図異常などは臨床現場では把握し にくいものの、これらにより誘発される可能性のある心臓障害に係る有害事象の発現状 況を確認すること、また、添付文書で規定した諸注意の遵守状況や、これらの注意によ る安全確保の状況を確認することを目的とした製造販売後調査の実施を予定しておりま す。  以上のとおり機構での審査の結果、大腸内視鏡検査の前処置における腸管内容物の排 除に関して本剤の有用性が認められ、承認して差し支えがないと判断いたしました。な お、本剤は生物由来製品又は特定生物由来製品に該当せず、毒薬又は劇薬に該当せず、 再審査期間は6年と判断しております。薬事分科会へは報告を予定しております。御審 議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。1万例規模の製造販売後 調査ですが、実際に可能なのですか。今までになく症例数が多いと思うのですが、 ○機構 確かに1万例規模と言いますと、通常のものに比べるとかなり大がかりなもの という印象もありますが、本剤の場合は単回投与ということと、実際に本邦での大腸内 視鏡検査の施行数が非常に多いということも考えますと、類薬でも実際に1万例実施の 経験もあるので可能だと判断しており、また、申請者の方からも実施するとの返答を受 けております。 ○千葉委員 大腸検査は例えば大学などでも普通、年間3,000例とか4,000例とかされ ていますし、私の印象では、その検査を受ける方の半分ぐらいはこれを使用するのでは ないかと思いますので、それは十分可能だろうと思います。  もう一つ、大腸検査のときに心電図をとってからやるということは、一般的にはして おりません。したがって、QT延長がある方は禁忌とするということになりますと、か なりの方が心電図をとってからやるということになると思うのです。それは病院では可 能な問題だと思いますが、大腸検査というのは結構、一般開業医でもされておられます ので、この禁忌項目については、かなりはっきり示していただくような方法をとらない といけないとは思います。実際に大腸検査をやるのは高齢者の方が多いわけですし、こ れに該当される方は結構いらっしゃると思います。しかし、ニフレックを飲めない方も 結構いらっしゃいますので、そういう意味では非常にいいものだと私は認識しておりま すが、そこのところは極めて重要なポイントではないかと思います。 ○機構 今、先生から御指摘いただきましたように、心疾患の患者に本剤が使用される ということは、やはり避けるべき事項だということで、警告欄及び禁忌欄に記載してお ります。禁忌欄においては既往のある患者に対して、うっ血性心不全及び不安定狭心症 の患者、QT延長症候群、重篤な心室性不整脈を有する患者に対しては禁忌という形で 設定をしております。また警告欄でこういった心疾患を疑わせる所見がないこと、ある いはQT延長をきたすおそれのある薬物を服用中でないことを具体的に記載して、注意 すべきということを呼びかけております。また、添付文書の重要な基本的注意の所には、 QT延長をきたすおそれのある薬剤に関して具体的に、抗不整脈薬、三環系抗うつ薬、 抗精神薬等々、分類名を挙げて注意喚起を行っております。  また、本剤による投与は高齢の患者に多いことが、先生の御指摘のとおり予想されま す。そういったことに関しては添付文書上の高齢者への投与の欄で、高齢者では十分観 察しながら慎重に投与することに加えて、やはり、腎機能低下患者が多いことも予想さ れることから、本剤投与前に、腎機能及び血清電解質の検査を実施することが望ましい という記載をして注意喚起をしています。また、添付文書とは別に、実際に本剤の投与 前に患者及び担当する先生方にチェックシートをお配りして、そこで患者の既往などを チェックした上で投与していただくという形をとることを計画しております。 ○永井部会長 QT延長をきたすおそれのある薬というと、ものすごくあるのではない ですか。それは現実的に問題にはならないのですか。 ○機構 ここでは代表的なもののみを挙げさせていただいておりますが、その部分に関 して、さらにもっと注意すべき部分があれば、記載はもう少し詳しくしたいとは思いま す。 ○永井部会長 添付文書は、例えば高脂血症の薬とか、いろいろなものに書いてあるよ うに思うのですが、あとでそういうことが問題にならなければいいのですが。 ○安全管理監 チェックシートは、今薬を飲んでいらっしゃる方に。 ○機構 はい、チェックシートに、QT延長をきたすおそれのある薬剤ということで、 添付文書に挙げてある抗不整脈薬、三環系抗うつ薬、抗精神薬についてはチェックをす ることになっております。 ○安全管理監 患者には申告をしてもらわないと。 ○機構 患者にも事前に申告をしていただきます。併用薬がある場合には、併用薬の名 称を記載してくださいという形でチェックシートには記載欄を設けております。 ○安全管理監 それで一応、調べることはできるのではないかと思いますが。 ○永井部会長 そうですね。ただ、どうでしょうか。どのくらいの種類にQT延長とい う。 ○土屋委員 添付文書上に出てくるのは結構ありますよね。要するに、QT延長が起き るおそれがあるというようになってくると、そういう話をしだすと本当にすごいのが出 てきていますので、実際に使うときにどうすればいいのか。 ○永井部会長 つまり、逆に使えなくなってしまうのではないか。 ○土屋委員 書き方ですね。 ○機構 確かに、非常におそれがあるということで、多くの薬剤に書かれている場合に は、今飲んでいらっしゃる薬を挙げていただいた場合、それにかかってくる場合もあろ うかと思います。その場合には、先生方の御判断ということになりますが、本剤はやは り大腸内視鏡検査の一つの選択肢ということでもありまして、電解質異常が起きやすい 薬剤であるという特徴は認識していただきたい。そういう患者に関しては別の選択肢を 選んでいただくということも、担当の医師の先生方に判断していただければよろしいの かなと思っております。 ○千葉委員 直接結びつくというよりは確かに、低カリウム血症ですね。要するに、下 痢をすることで、それが起こることでそういうことを惹起することがあり得るというこ とですから、言ってみれば、利尿剤を使用したときと同じような注意の喚起になります。 それにすべてのQT延長の薬剤を併記しているわけでは必ずしもないと思いますし、そ んなに頻回に起こるわけではないとは思いますが。したがって、そこのところは全部書 かないと駄目だというようには私は思いませんが、とにかく、しっかり注意を喚起とい うことだと思います。 ○土屋委員 どうしても警告の所で、QT延長をきたすおそれのある薬剤を服用中では ないことを十分確認してから投与しなさいということになるので、やはり現実としては、 患者が飲んでいる薬について、QT延長をきたすおそれがあるからとかいう話は、出な いとは限らないと思うのです。かと言って、それをどう解釈するか、総合的な判断でと いうことにはなると思うのですが、そういう意味では警告の所でそういうようにきちん と。書かれてあることが悪いというわけではないですが、そうすると、使い勝手が悪く なるのかなと思います。 ○永井部会長 それと、もし何か事故が起こって、実際に関係があるかどうか分からな いけれど、一応添付文書で、QT延長のおそれがある薬が使われていたときに、これは 使った側が圧倒的に不利になりますよね、ここまで書かれていると。実際に高齢者の場 合、外来で大腸内視鏡をすることがよくありますが、危ないという意見もあって、何か 事故が起こる可能性はあると思うのですね。そういうときに、この因果関係という問題 になってこないかというおそれですが、千葉先生、どうでしょうか。 ○千葉委員 今おっしゃられた問題はこれに限らず、大腸内視鏡を頻繁に、開業医のレ ベルも含めて行うかどうかという問題に絡むとは思うのですが、内視鏡学会では検査に ついては、検査前処置も含めてそのガイドラインを作っていて、それを継続的にリバイ スしていますので、こういった問題は必ずそこに上げられて、ガイドラインとして出さ れることにはなってくると思います。一応、我々の認識ではそれに則って行って、学会 レベルでも、訴訟の問題等々非常にセンシティブになっていますが、一応そのガイドラ インを遵守するという形で皆に注意を喚起しているというのが現実だと思います。 ○土屋委員 おそらく病院では、現実としては薬剤部が、採用薬についてQT延長のお それのあるものをリストアップして渡すというようなことで、先生方が現場でいちいち、 わざわざ聞いたりしなくてもいいということがあります。しかし持参薬などがあるもの ですから、どうしても採用薬だけに限らなくなるのです。ただそういうことは、現実的 にはそういう対応をするしかないのかなという気はします。 ○永井部会長 ほかにチョイスがないわけではないので、慎重にいった方がいいだろう、 病院もそれに対する対応をとっておくということになるのでしょうか。 ○土屋委員 添付文書の重要な基本的注意の所で「用法・用量を超えての飲水を行わな いこと」というタイトルがありますが、これは「超えて」ではなくて不十分な場合も書 いてあるので、タイトルとしては、飲む水の量を守りましょうという言い方の方が、注 意としてはこの後ろに書いてあるので、そういう方がいいかなという気がしました。  それから、ちょっと些末な話ですが、味の問題を解決すると言って、そういう話が添 付文書でも全く書いていないですね。それは本当に解決しているのですか。別にコーテ ィングされているわけでもなんでもないので、それは情報として教えてください。 ○事務局 添付文書の記載に関しては修正をさせていただきます。味の問題については 臨床試験の方で患者の受容性について、アンケート調査を行っております。「受け入れ やすい」と「まあまあ受け入れやすい」という評価をした患者が、本剤では80.3%に対 して、ニフレックでは58.0%ということで、本剤群の方が飲みやすいと言った患者が多 かったという調査結果は出ております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ承認「可」ということで分科会報告 とさせていただきます。では議題6、新有効成分含有医薬品の再審査期間について、御 説明をお願いいたします。 ○機構 続いて議題6の新有効成分含有医薬品の再審査期間について、お手元に関連す る資料として資料No.6-2と6-3がありますが、資料No.6-2に基づいて御説明します。  8ページ目を御覧ください。まず再審査の制度ですが、新薬について、その承認申請 までに得られる情報には自ずと一定の制約があることなどから、薬事法第14条第4項の 規定に基づいて、製薬企業は承認後もその使用成績を調査し、一定期間後にその安全性 等に関する再審査を受けることとされておりまして、これが再審査の制度です。1とし て、薬事法第14条第4項に規定する新薬のうち、有効成分が既存の医薬品と明らかに異 なるものについて、オーファンドラッグを除いて新有効成分医薬品と申しますが、その 承認があった日から原則6年の調査期間、いわゆる再審査期間を定めております。  9ページは、この医薬品の再審査期間の見直しについてのこれまでの経緯です。まず 昭和42年に行政指導で、新薬の承認から2年間という再審査期間をつけておりますが、 その後昭和46年に新薬の承認から3年間、昭和54年に再審査制度の法制化がなされて、 そのときは新薬の承認から6年間でした。平成5年に薬事法の改正によって、オーファ ンドラッグ及び6年以上の調査期間が必要な医薬品については、その承認から6年を超 え10年を超えない範囲内という規定になっております。  8ページに戻って2、新有効成分医薬品に関する「使用上の注意」の改訂の状況につ いて今般調査を行っております。平成元年以降に承認された新有効成分医薬品のうち、 平成15年7月から平成18年7月までの3年間に重要な使用上の注意の改訂がなされた もの、この重要な使用上の注意の改訂については、通常は安全対策課長通知によって改 訂の指示を個別企業に対して行うわけですが、その使用上の注意の改訂の指示が、承認 から何年経過して行われているかという整理をして、10ページにその結果が出ておりま す。その結果、承認後7年をピークとして、承認後5〜8年の期間に重要な使用上の注 意の改訂が比較的多くなされていること、また、承認後8年までに改訂の約7割がなさ れているという傾向が見られます。  8ページに戻って「今後の対応」の考え方ですが、このような状況を踏まえて一層の 安全対策を講じるという観点から、新有効成分医薬品の再審査期間を現行の原則6年か ら原則8年にしてはいかがかと考えているわけです。  具体的な対応として、(1)新たに承認する新有効成分医薬品、オーファンドラッグを 除きますが、これについてはその承認の際、薬事・食品衛生審議会の審議を踏まえて、 その再審査期間を8年とする。したがって本日、議題1で御審議いただいた「ゼチア錠」 は新有効成分医薬品に該当しますので、その再審査期間は8年が適切ではないかという こと、今後また新有効成分医薬品の御審議をいただく際には、再審査期間は8年が適切 ではないかということ。(2)現在6年間の再審査期間を行っている新有効成分医薬品に ついて、1月24日付で諮問させていただいた89成分のうち、第一部会に関係する62 成分と、資料No.6-3の関係ですが、1月30日付で諮問させていただいた3成分のうち、 第一部会に関係する2成分について、再審査期間を2年間延長して8年としてはいかが かと考えている次第です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ただ今の御説明に何か御質問、御意見がありますでしょうか。よろしい でしょうか。御承認いただけるということでしたら、この新有効成分含有医薬品の再審 査期間の考え方、また、この考え方に沿って別紙のリストの新有効成分医薬品について は、再審査期間を2年間延長して8年間とするということ、また、今日御審議いただい たゼチア錠についても、再審査期間を8年間ということで御了解をいただいたことにい たします。 この考え方については、医薬品の第二部会でも意見を聞いて了解を得られ ているということです。その答申の内容についてはまた両部会長、あるいは事務局で相 談させていただくことにしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。はい、 ありがとうございます。では議題7、希少疾病用医薬品の指定について、これも事務局 から御説明をお願いいたします。 ○事務局 シルデナフィルクエン酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否に 関して、資料No.7に基づいて御説明します。資料No.7のいちばん上にある審査報告書の タブを御覧ください。医薬品医療機器総合機構が事前に取りまとめておりますので、対 象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点についての事前評価について御説明し ます。  品目の名称はシルデナフィルクエン酸塩、対象疾病が肺動脈性肺高血圧症、申請者が ファイザー株式会社です。このシルデナフィルクエン酸塩は、バイアグラの販売名で、 勃起不全を効能・効果として我が国でも承認されております。対象疾患患者数は肺動脈 性肺高血圧症(PAH)のWHOの分類では特発性肺動脈性肺高血圧症、家族性肺動脈性 肺高血圧症、特定の疾患に合併して起こる肺高血圧症、有意の肺静脈又は肺毛細血管閉 塞を伴う肺動脈性高血圧症、新生児遷延性肺高血圧症に分類されていますが、それぞれ の肺高血圧症の分類の推定患者数の総数は6,000人程度と考えられ、希少疾病医薬品の 指定要件である5万人以下を満たすと判断しております。  次に医療上の必要性です。PAHは安静臥位での平均肺動脈圧が25mm/Hgを超え、労 作時呼吸困難、動悸、胸痛、失神などの自覚症状が認められますが、これらの明らかな 症状が出現したときには、既に重度の病態へと進展している場合が多く、進行性の肺血 管の閉塞により、最終的には心不全、重度の機能障害及び死亡に至ることから、生命予 後は非常に重篤、極めて悪いとされております。PAHの治療についてはAmerican College of Chest Physicians(ACCP)のガイドラインにおいて、従来から抗凝固薬、 在宅酸素療法、カルシウム拮抗薬、利尿薬、ジゴキシン等の基礎治療薬に加えて、近年 ではプロスタサイクリン製剤、エンドセリン受容体拮抗薬、PDE(ホスホジエステラー ゼ)5阻害薬の使用が進められております。シルデナフィルクエン酸塩はPDE5の阻害 薬であり、我が国の既存のPAH治療薬とは異なる作用機序で肺血管を拡張させるため、 医療現場の治療の選択肢を増やすとともに、既存の治療薬等への適応や新たな組合せに よる併用療法の提供を可能とするものと考えられ、医療上の有用性は高いものと判断し ております。  3つ目は本剤シルデナフィルクエン酸塩20mg錠の開発の可能性ですが、米国及び欧州 では優先審査の対象とされ、それぞれ2005年6月及び2005年10月に肺高血圧症の治療 薬として承認されていること、我が国では医療現場で肺高血圧症患者に対して、シルデ ナフィル25mg錠、バイアグラを適応外に使用した治療が既に行われていることから、我 が国における開発の可能性はあると判断しております。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を考えると、本剤について は希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。御審議のほどよろしく お願いいたします。 ○西澤委員 実際に我々は、よくこのバイアグラをEDの分野で使っているわけですが、 現在は自費診療ですよね。ですからコスト的にかなり負担になるのですが、この承認が 取れればこういった方たちは、一応保険診療ということになるのでしょうか。 ○事務局 承認が取れれば、保険診療になると思います。 ○西澤委員 そうするとかなり長期投与になって、かつ今回は、20mg×3ですから60 mgの申請のようですが、肺以外の心臓とかあるいは尿道の平滑筋とか、それに対する副 作用のような事象は今までの検討ではないのでしょうか。 ○事務局 □□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、海外臨床 試験と比較して有害事象の発現傾向に大きな違いはなかったという報告を受けておりま す。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。実際にこれはかなり使われているのですね。 ボセンタンという薬もありますが若干、効き方も違うような印象もありますが。よろし ければ指定「可」ということで、分科会報告とさせていただきます。  では報告事項にいきます。議題8の優先対面助言品目の指定についてよろしくお願い いたします。 ○機構 医薬品優先対面助言品目指定について、本日配付した資料No.8により報告いた します。  優先対面助言品目指定制度は、薬事法で規定する、医療上特に必要性が高いと認めら れるものとなることが期待される開発中の薬剤について、他の品目に優先して医薬品医 療機器総合機構が対面助言、治験相談を行うものです。優先対面助言品目は、優先審査 品目選定の考え方に準じて、指定時点までの国内外の試験成績に基づき、適応疾患の重 篤性と、医療上の有用性を総合的に評価することにより選定されます。  今回の指定品目は、ノーベルファーマ株式会社から指定申請されたオクスカルバゼピ ンであり、カルバマゼピンと類似した構造を有する抗てんかん薬です。優先対面助言の 対象となる効能・効果は、てんかん部分発作に対する多剤療法及び単剤療法です。  本剤の医療上の有用性については、海外臨床試験において未治療及び多剤抵抗性のて んかん部分発作に対する有効性が確認されており、安全性においてもカルバマゼピン、 フェニトイン等既存の抗てんかん薬よりも忍容性に優れることが示唆されております。  一方、対象効能であるてんかん部分発作の重篤性については、薬物療法により発作を コントロール可能な症例も多く、全般的には必ずしも優先対面助言の指定要件である「生 命に重大な影響がある疾患」又は「病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を 及ぼす疾患」には該当しないと考えられます。しかしながら、本剤は未承認医薬問題検 討会議において、早期の開発を要するとされた品目であり、医療上の必要性が広く認識 された薬剤であると考えられることを考慮して、同要件の「その他」に該当すると考え、 優先対面助言品目に指定し、早期の開発を促す必要があるものと判断したものです。以 上です。 ○永井部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしなければこれは了解した ということですね。よろしくお願いいたします。本日の議題は以上ですが、事務局から 何か連絡事項がありましたらお願いします。 ○事務局 過去に当部会で御審議いただいた品目の承認状況について御報告します。  本日資料番号を振っていないのですが、「新医薬品の承認について」という1枚紙に リストアップした薬品について、去る12月26日の薬事分科会を経て1月26日付で、第 一部会で御審議いただいたものについては承認しましたので御報告いたします。  次回は既に御案内のように、2月23日(金)午前10時から開催させていただく予定で すので、よろしくお願いいたします。次々回は4月になりますが、4月以降の日程はま だ決まっておりません。委員の改選もありましたので、本日配付の日程調整表に御都合 を御記入の上、ファックスにて御返信いただければと思いますのでよろしくお願いしま す。以上です。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。では本日は、これで終わらせていただきます。ど うもありがとうございました。 (了) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 山本(内線2746)