07/01/26 第3回全国C型肝炎診療懇談会議事録 第3回全国C型肝炎診療懇談会 平成19年1月26日(金)              厚生労働省共用第7会議室  正林調整官 皆さんおはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第3 回全国C型肝炎診療懇談会を開催したいと思います。委員の皆様方におかれましては大 変お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。  まず本日の出欠状況についてでありますが、廣瀬委員より御欠席の連絡をいただいて おります。なお過半数の出席がございますので、本会議は成立いたしております。それ では議事に先立ち、健康局長の外口からごあいさつ申し上げます。   外口局長 第3回の全国C型肝炎診療懇談会の開催に当たりまして、ごあいさつ申し 上げます。委員の皆様におかれましては、大変御多用の中、御参加をいただきまして、 まことにありがとうございます。  肝炎対策につきましては感染者の早期発見、早期治療の促進、並びに治療水準の向上 を図ることが大変重要であると考えております。こうした考えを念頭に、厚生労働省で は、平成19年度の予算案におきまして、今年度の約1.4倍の約75億円を確保し、診療 体制の強化や専門医療機関とかかりつけ医との連携による、地域における治療体制の構 築と総合的な肝炎対策の一層の充実を目指しているところであります。委員の先生方に おかれましては、これまでこの懇談会の下に設けられた作業班も含めまして、活発な御 議論をいただいておるところでございます。  懇談会第3回目でありますが、今回は都道府県における肝疾患診療体制に関するガイ ドライン案について、今までの御議論を踏まえまして、最終の取りまとめを行っていた だきたいと考えております。また、肝炎対策のリーフレットにつきましても、御検討い ただきたいと思っております。  今回取りまとめられるガイドライン及びリーフレットにつきましては、今後、各自治 体に通知させていただき、肝炎診療のより一層の充実、均てん化が図られるものと考え ております。どうぞよろしくお願いいたします。    正林調整官 それでは議事進行を座長の久道先生にお願いいたします    久道座長 はい。それでは前回に引き続きまして、都道府県における肝炎検査後肝疾 患診療体制に関するガイドライン(案)、それからリーフレットについての御議論をい ただきたいと思います。前回は時間が足らなかったということもありまして、いろいろ と議論をいただきましたが、特にかかりつけ医の役割だとか、拠点病院のこと、それか ら人材育成等々について、議論がまとめられませんでした。その後、事務局で、皆さん からいただいた御議論を慎重に検討しながら、また委員の先生方と御相談しながら調整 をし、今回の会議でできればまとめたいということで、ただいまの局長さんのごあいさ つにもありましたように、ぜひ今日まとめたいと思いますので、委員の皆さんの御協力 をお願いしたいと思います。  それではまず事務局より、資料の確認をお願いしたいと思います。どうぞお願いしま す。    正林調整官 はい。まず、資料1が都道府県における肝炎検査後肝疾患診療体制に対 するガイドライン(案)でございます。  資料2−1が肝炎対策リーフレット、ウイルス性肝炎対策について一般向けの案でご ざいます。  資料2−2が肝炎ウイルス診療の手引き、医療機関向けの案でございます。  参考として、肝炎対策の一層の推進についてという、19年度予算案の概要を資料につ けてございます。  以上、おそろいでしょうか。もし不足等ございましたら、事務局までお申しつけくだ さい。よろしいでしょうか。    久道座長 どうもありがとうございました。それではこれより議事に移らせていただ きます。まず最初に都道府県における検診後肝疾患診療体制に関するガイドライン(案) についてです。事務局より説明をお願いします。    正林調整官 ガイドラインについては、この間何回か先生方とやりとりをさせていた だきました。変更点だけを御説明したいと思います。8ページ大きな3番の2)肝疾患 に関する専門医療機関。その中の(3)として、肝がんの高危険群の同定と早期診断、これ を加えるようにという御指示がありましたので、そのようにさせていただきました。  それから9ページ目の3)肝疾患診療連携拠点病院(仮称)、ここのくだりは大きく 修正をしました。まず肝疾患診療連携拠点病院は、一体何をやるのかということを明確 にするために、まず(1)肝疾患診療に係る一般的な医療情報の提供、(2)専門医療機関等に 関する情報の収集や紹介、(3)医療従事者や地域住民を対象とした研修会や講演会の開催 や肝疾患に関する相談支援に関する業務、(4)肝疾患に関する専門医療機関と協議の場の 設定を行うこととする。  これらの医療機関については、肝疾患に関する専門医療機関の条件を満たし、かつ肝 がんに対する集学的治療を行うことのできる医療機関のうち、都道府県の中で、肝疾患 の診療ネットワークの中心的な役割を現在果たしている、または将来果たすことが期待 される医療機関を肝炎診療協議会において、各都道府県につき原則1カ所を選定するこ ととする。このように修正させていただきました。  それから12ページ目、前回西村委員から都道府県で、こうした拠点病院をそれぞれ設 置するのであれば、国の方で、あのとき例示としては、がんセンターの情報センターの ようなとおっしゃっていましたが、国の医療機関でそういった肝炎対策の中核的な役割 を担うようなものというのが考えられませんかという御指摘を、西村委員からいただき ました。それを何とかこのガイドラインに文章として書けないかということで、事務局 の方で工夫してみました。終わりにというものを最後につけ加えさせていただいており ます。読み上げたいと思います。  以上、各都道府県における肝疾患の医療水準の向上を目指して、1.要診療者に対す る保健指導。2.肝疾患診療体制。3.肝疾患診療に関する医療機関に求められる役割 とその要件。4.肝疾患診療にかかわる人材の育成について、ガイドラインとして取り まとめた。ウイルス性肝炎は感染者数も多く、発症前後を通じ長期間の経過をたどる疾 病であって、国民の関心も高いが、一方で近年の医学の進歩により、早期に発見して早 期に治療すれば治癒する可能性が高い病気になりつつある。国、都道府県を通じ検診機 会の拡大に一層努力するとともに、当ガイドライン自体についても今後の医学医術の進 展にあわせて、適宜見直しを行っていく必要がある。なお肝炎対策の均てん化をより一 層推進する観点から、我が国の感染症医療の中核となっている国の医療機関において肝 炎対策の中核的役割を付与することについて検討すべきであると考える。  こうした表現を加えさせていただきました。ガイドラインについては以上です。    久道座長 どうもありがとうございました。前回にもいろいろ議論をしておりました ので、修正部分について、要点だけを今説明いただきました。この修正した部分、ある いは全体を通じて、何か御質問、御意見ございますでしょうか。今名前が挙がった西村 委員、何かどうですか。    西村委員 12ページについては、それでいいと思います。前回の会議以降、厚労省の 方でも、議事録が公開されまして、患者団体の方から幾つか意見が出ています。それを 御紹介しておきたいと思います。  都道府県における協議会の件ですけれども、保健所等という文言が入っておりますけ れども、その後に患者団体などというふうなものが入らないかどうかという意見をいた だいております。  それと前回の会議の議事録を見せていただきました。私も会議に参加しましたんです が、最後の、会議が終わる、最後の委員の発言ですが、私が介護保険云々ということで、 高齢者、特に地方で療養されている高齢者に対して、通院介助の制度があるわけですか ら、例えばかかりつけ医に通うにしましても、地方の場合、特に郡部になりますと、山 間部になりますと、通院時間がかかるということで、車などの利用がどうしても必要に なってくる。  その場合に家族が通院介助できない場合に、介護保険の制度も大いに活用して、肝炎 の沈静化に努めるべきだというふうな御提案をしたわけですけれども、そのことにつき まして、介護保険該当者について、肝がんでは別だけれども、慢性肝炎の段階までそう いうことが必要なのかという御指摘もありました。   一般的にC型肝炎の場合、65歳以上の人が多いわけですし、私どもが所属する患者会 でも65歳以上が、会員の70%以上占めています。その中で肝炎で苦しんでいるという 方が多いわけですから、ぜひ介護保険の通院介助という点も含めまして、積極的な治療 ができるようにしていただきたい。 とりわけ最近寿命が長寿化してきまして、肝発がんも70、80歳の方が、私の会でも多 いものですから、そういう面で何とかならないかというふうに思っております。以上で す。  久道座長 今の件は患者代表といいますか、西村委員からの要望という形でよろしい ですか。事務局は、そういう形でいいですね。  正林調整官 はい。  久道座長 それから作業部会でいろいろやっていただいた林委員、いかがですか。  林委員 これで特に問題はないと思っていますが。  久道座長 それからかかりつけ医のところで、飯沼委員から前回も出たんじゃないか と思いますが。このあたりはよろしいですか。前にも先生から指摘をいただきましたけ ども。それから小俣先生からも、御意見をいただきたいと思いますけれども。  小俣委員 前回いろいろ御議論をさせていただきまして、それに基づいて、特に診療 の連携、拠点病院について、もちろん選ばれるのは高度先端医療ができるけれども、し かしその業務としては、主にその知識あるいはその啓蒙普及という点におかれるという のに、このガイドライン、勧告ですか。変わったというのは、非常によろしいと思いま す。  今一番問題になっているのは、各ステップが余り具体的に機能しないということがあ ると思うんです。ですから例えば保健指導をして受診を勧奨しても、なかなか来ていた だけないし。それから今度はたまたま患者さんが見つかっても、かかりつけ医の方から 専門医療機関に行かない。そういうようなそれぞれのステップが効率化に働いていない という点にあると思います。  確かに非常にすばらしいガイドラインが出ましたけれども、さあこれをいざ実行に移 す際に、具体的にどういう形でいけるのかというところが、最終的な日本の患者さんの ためになると思います。その辺をぜひ十二分に実行に。せっかく国からお金を取ってき ていただいておりますので、その辺を御検討いただければと思っています。  久道座長 どうもありがとうございます。ガイドラインはあくまでもガイドラインで、 これを実効あるものにしないとどうにもならないということは、確かだと思います。 それから都道府県によっては、いろんな診療機能のレベルも違うのではないかという ことも含めて、これのがん診療のときもありましたけれども、肝診療についても均てん 化を含めた、ネットワークをよくするとか。今のような話が必要だと思いますので、ぜ ひこれをお願いしたいと思います。 ほかに御意見はいかがでしょうか。それでは、今回最終的にまとめられたガイドライ ンについて、委員の皆さんから御了承いただいたというふうに扱わせていただいてよろ しいでしょうか。はい、どうもありがとうございます。それでは了承が得られましたの で、都道府県における検診後肝炎診療体制に関するガイドライン、(全国C型肝炎診療 懇談会報告書)として公表したいと思います。どうもありがとうございました。それで はそのようにさせていただきます。 次の議題2ですが、リーフレットについて事務局より御説明をお願いいたします。  正林調整官 リーフレットは2種類用意させていただいております。まず資料2−1、 一般向けという方から御説明したいと思います。表題はウイルス性肝炎について、―正 しく理解し、検査を受けましょう―という表題をつけています。前回この場で議論をい ただいたときに、小俣委員が今回つくるリーフレットに目を通していただけるというこ とでしたので、何回か小俣委員と議論させていただいて作成させていただきました。簡 単に御説明したいと思います。 1ページ目では、まず肝臓の働きとはこんなものでとか、それからウイルス性肝炎と はどんなものなのかということを、医学的な内容ではありますけれども、できるだけ一 般の方がわかりやすいように記述をしてございます。それからウイルスの検査、血液検 査をしたらわかりますよということです。それからウイルスに感染していることがわか ったら、どうなるかということも記載がございます。 そして他人への感染を防ぐためにということで、注意点を何点か記してございます。 2ページ目はもっとビジュアルに、肝炎というものはどんなものかということを御理 解いただくために、B型肝炎、C型肝炎それぞれの自然経過について、ポンチ絵ふうに まとめてあります。B型肝炎であれば、キャリア化することもありますけれども、一部 のタイプを除いては、出生時、乳幼児期以降、キャリア化することはまれだと。大部分 の方は発症せずに一生を終わりますとか。 C型肝炎についても、放置すれば肝硬変、肝がんに進行することはありますけれども、 インターフェロン製剤等の治療によって完治が期待できるようになって、早期に適切な 医療を受けることが大切ですというようなメッセージも加えながら、記載してございま す。 それから資料2−2、医療機関向け、これは肝炎ウイルスキャリア診療の手引き、― 正しい理解のために―ということで医療機関向けに作成してございます。  まず1ページ目ですが、HBs抗原陽性またはHCV抗体陽性の方が来院したらとい うことで、HBs抗原陽性とか、HCV抗体陽性、それはどういう意味があるのかとい うことを記載してございます。それからウイルスキャリアと慢性肝炎の関係について、 簡単な説明をしてございます。初診時の検査項目として、ALT、血小板数、ALP/ γ-GTP等々についても記載をしてございます。それからキャリアの経過観察の手順に ついても記載がございます。  2ページ目は、行政における肝炎対策ということで、先ほどのガイドラインの中に 示されているネットワークの図を示してございます。   最後のページは、最初にこのリーフレットの案というのは、都道府県にお配りして 都道府県で御活用いただこうかと思っています。恐らく都道府県としては、肝疾患連携 拠点病院が専門医療機関を協議会でお選びいただけると思っていますので、そういった 病院は、こういうところですよということをリーフレットの最終ページに盛り込んでい ただいたらいいのではないかということで、そのような案としております。リーフレッ ト関係は以上です。    久道座長 どうもありがとうございました。それでは今一般向けとそれから医療機関 向けと両方の説明をいただきましたけれども、最初に一般向けのリーフレットについて、 皆さんの御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。村田委員、どうですか、 一般向けのこの感じは。    村田委員 これをただ読むということではなくて、先ほどのガイドラインにもありま したように、家庭訪問をしながら一つ一つ説明をしていくということも必要になってく るかと思いますので、そういう意味ではこのような形でいいのではないかなというふう に思っています。    久道座長 西村委員どうですか。一般向けのこの感じは。    西村委員 1つ気になるものがあります。2ページの図なんですけれども、B型肝炎 のところです。自然経過です。私ども患者会の方によく寄せられる相談というのが、思 春期から30代あたりのキャリアの方とかその家族の方から相談を受けるんですけれど も、一時的に肝炎を起こすということが、ままあるわけです。そのときにこの図のまま いきますと、慢性肝炎になって、そのまま無症候性キャリアに戻らないのではないかと いうふうに、理解をされることもあると思うんです。  B型肝炎のことで今の患者会で問題になっているのは、インターフェロン治療が余り 効かないということと、それからウイルスを抑制する効果の高い、抗ウイルス剤が幾つ か出てきまして、その抗ウイルス剤を飲めば、肝炎も沈静化しますし、ウイルスも感度 以下になるということなんですけれども、ウイルスが排除されない限り、一生飲み続け ないといけないというのが、添付文書も書かれておりますし、ドクターの方からもそう いうふうに患者さんに指導されます。  そういう点から見まして10代から30代までの間に一過性に肝炎が起こる。一過性と いいますか、期間のない方もおられますけれども、必然経過を見ていても、治療せずに でも治る方が多くおられるわけです。私ども専門医の先生などを招いて講演会などをや りますと、やはり過半数以上は、自然経過で治っていく。肝炎が沈静化していきますよ というお話をされていますので、そういう点から見ますと、この図からは誤解を与える ということと。  もう1つはやはり患者さんにとっても、それから医療財政を削減していこうという、 国の方にとっても、ちょっと不都合があるのではないかというふうに思うんですけれど も。    久道座長 これは小俣先生、どうですか。    小俣委員 御指摘のとおりだと思います。ただこれは自然経過というようなことです ので、今のお話にはちょっと治療の介入の話も入っていたんですけれども、ここはあく までも自然経過を書いているということで、御理解いただきたいと思います。    久道座長 そうですね、治療、介入は入っていないんですよね、この図には。    小俣委員 この図には。もしタイトルを変えて、それに対する対策を、例えばC型肝 炎に一部ちょっと入っていますけれども、それにするんでしたら。    久道座長 そうだね、インターフェロンのあれも下には入っていますね。    小俣委員 委員の御指摘の、一生飲み続けるかどうかというようなところも、結構議 論があります。ですからちょっとC型肝炎ほどは、B型肝炎治療の適用とその効果は、 世界的な意味でも議論がありますので、比較的単純化したといますか、わかりやすいと いうことで書くと、ちょっと誤解が生じる可能性もあるので、多分B型の方には余り治 療については触れていないんだと思います。    八橋委員 よくできているパンフレットなんですが、B型の自然経過の記述で、「B 型肝炎キャリアの場合、一部は慢性肝炎、肝硬変などの肝臓病が見られますが、大部分 の方は発症せずに一生を終わります」という記述で、一部という表現が意味する頻度は、 大体10〜20%が慢性肝炎、肝硬変、肝がんというふうに私は考えます。一方「一部のタ イプを除いて」というその前の記述は、どちらかというと1%ぐらいなのです。同じ一 部という表現でも実際の頻度は異なります。  私はここのところは、やはり10〜20%の方は、慢性肝炎、肝硬変の肝臓病が見られ、 残りの方は発症せずに一生終わりますというふうなニュアンスを出した方が、いいので はないか。図のプロポーションが正しいということです。    久道座長 図の方が。前の一部は1%で、後ろは10%。    八橋委員 10〜20%というふうに考えますので。    久道座長 林先生はどうですか。    林委員 今の八橋先生の言われるとおりで、一部はとり方によってかなりニュアンス が変わりますので、少し正確にパーセンテージを書いていただいた方が誤解がないので はないかと思います。    久道座長 宮村委員はどうですか。    宮村委員 特にありません。ポンチ絵の目的は、できるだけわかりやすく書くこと、 又自然経過についてもここに書かれているのは一般的な自然経過ですから、今八橋先生、 林先生、小俣先生がコメントされたところでよろしいと思います。    久道座長 それでは、確かに西村委員のおっしゃるように、誤解を招くようなところ がありますので、八橋委員から指摘されたような形に一部修正するという格好で、その 修正の仕方は、また委員会を開いてということはちょっと大変ですので、事務局と私の 方に御一任いただければありがたいです。かかわりのある委員の方々には、もちろん修 正をしたものをチェックしていただきますが、よろしいでしょうか。  どうもありがとうございます。それではこのB型肝炎の自然経過についての絵のとこ ろですけれども、点線で囲った説明の部分を一部修正させていただくということで、お 認めいただいたということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。  それでは次は医療機関向けですが、これについてはいかがでしょうか。飯沼委員、ど うですか、一般の先生方。    飯沼委員 よくできているとは思います。ただ2ページ目の、専門医療機関のところ の注、これは初めの方にもガイドラインのときにもありましたが、専門医療機関をどの ぐらいの数つくるかというのは、あくまでもガイドラインだから都道府県に任せるとい う、そういう感じですか。任せると。    久道座長 任せっぱなし?    正林調整官 ガイドラインには少なくとも二次医療圏に1カ所以上という表現ですけ れども、何カ所かというのは専門医を持たれているかとか、そういうものにおのずと規 定されるかなと思いますけれども。    飯沼委員 何かそういう名前、名称の医療機関になると、患者さんの流れが変わった りすると、大変かなというふうな気がしないでもないんだけれども。ある程度の医療機 関が、二次医療圏に3つも4つもあるときには、みんながやりたいと言ったらどうする んですか。都道府県に任しちゃうというのは、ちょっと無責任だと思うんだけれども。    久道座長 どうぞ何か。    正林調整官 ガイドラインというのは、余り法的な拘束力もありませんので、あくま でもこれはこの懇談会で、各都道府県がいろいろこの肝炎対策を進めていく上で、参考 となる道しるべ的なものとしてお示ししますので、やはり各都道府県の判断というもの が尊重される形というのが望ましいかなと思います。    久道座長 ほかに何か御意見はないでしょうか。    西村委員 厚生労働省の肝炎対策に関係する研究班で、B型肝炎、C型肝炎の治療ガ イドラインが年度ごとにまとめられております。それもやはりここで御紹介をしておい た方が、一般患者さんを診ていらっしゃるドクターたちにも参考になるのではないかと 思いますが。    久道座長 これは情報はもう入れてあるんでしょう。    林委員 実はこれは毎年かなり内容が変わりますので、毎年度お示ししないとだめだ ということがあります。これにつけるのは少し難しいかもわからないと思います。ただ 毎年公表されておりますので、肝炎の方はそれをごらんになっておられますので、それ をごらんいただく方がよろしいかと思います。    西村委員 ちょっと再度すいません。ガイドラインの中身を紹介するということでは なくて、ありますということを。どこどこを見ればわかりますというふうにしていただ ければと思います。    林委員 それはその方がいいと思います     久道座長 それはぜひこれに、小さくてもいいですから、情報として流した方がいい んじゃないでしょうか。    正林調整官 はい。そうしたらどこか、行政における肝炎対策とかその辺に記載を加 えたいと思います    久道座長 これはインターネットですか。    林委員 インターネットでも見られますし、文章としても専門の方は、かなりごらん になっておられます。     久道座長 そうするとインターネットの検索できるものを案内した方がいいですね。 印刷物、どこから手に入れるか、それを入れてもらうということで、どうでしょうか    正林調整官 はい。ホームページのアドレスと。    久道座長 それでいいんじゃないでしょうか。ほかにございませんか。それでは御意 見がないようですので、この肝炎ウイルスキャリア診療の手引きということで、医療機 関向けのリーフレットは、委員の御了承をいただいたということにさせていただきます。 よろしいですね。どうもありがとうございます。それではこれをこの懇談会の名前で公 表したいと思います。どうもありがとうございました。  本日の予定の議題は、以上ですけれども、事務局から何か。どうぞ。    正林調整官 ガイドラインそれからリーフレット等、リーフレットの方は若干の修正 を入れましたので、修正をしたいと思います。  先ほどの2ページの、自然経過のところは、一部というのを10〜20%と。    久道座長 後ろの方の一部ですね。    正林調整官 はい。括弧をして例えば10〜20%というような数字を入れればよろしい ですか。    八橋委員 よろしいと思います。    久道座長 前の方は、1でいいですか。1%程度とか。    八橋委員 これはウイルスのタイプによって1%と10%、難しいところがあります。 これは一部でいいのかなと思いますけれど。    小俣委員 よろしいでしょうか。前の一部の方はエビデンスがあると思うんですけれ ども。後者が生涯どのぐらいのウイルスを持った方がなるというきちんとしたエビテン スは、ほとんどないんです。それで引用に次ぐ引用で10とか20%とかいっています。  生まれてから以降生涯こうなるというのは、余りエビデンスは僕はないと思うのです が、どうでしょうか。    八橋委員 ただ、今B型の肝がんは5,000人毎年見込まれているとあり、発がん率か ら考えるとやはり10万人から20万人の慢性肝炎の方がおられると私は推定します。  また、ラミブジンという薬が大体4万人ぐらいに処方されているというふうに聞いて いますので、実際にはその数倍患者さんがおられるということからいうと、100万人の キャリアの中で10〜20万人が慢性肝炎と推定します。    小俣委員 前向きのスタディーは残念ながらないんです。せっかくワクチンが投与さ れて、前向きのスタディーができたんですけれども、そのフォローは十分されていない と思うんです。ですからどこかで一次的に選ばれた患者集団を、今のように継ぎ合わせ ていくデータが出たというのが実態です。  ですから八橋先生がおっしゃっているような計算方法でも間違いはないと思うんです けれども、厳密に言いますと、ないんじゃないかというのが私の理解です。    久道座長 専門的に言うと、タイプによってもいろいろ違うし、それから今のような エビデンスがはっきりしないところがあるということなんだけれども。一方ではこのま まだと誤解されるということがあるので、その辺。    小俣委員 前者の方は、非常に低いというのは、間違いないです。というのはある限 られたコホートで、先生の御領域ですけれども。マクロ的な方の後者は、ちょっと幅を 持たせた方がパーセンテージではよろしいのではないでしょうか。    八橋委員 必ずしも10〜20と記載しなくても、それぐらいのニュアンスが伝わる表現 にしていただければいいかと。    正林調整官 それが難しいなと思ったんです。    久道座長 誤解されないように。    小俣委員 患者さんへの影響もありますね。余り高い数字ですと、ちょっと心配にな りますし。一方では余り低いと、今度は逆にせっかくの警告的意義がなくなってしまい ますから。    久道座長 それではそれはお任せいただいて。いずれ決めるときには、今いろいろ発 言された委員の先生方も含めて、チェックさせていただきます。ちょっと相談させてく ださい。もう了承をいただきましたので。八橋先生にも相談しますから、どうぞよろし くお願いいたします。事務局の方。そうか、今は事務局から。    正林調整官 相談、そうですね。    迫井委員 よろしいですか。恐らく事務局の方が気にされているのは、都道府県の方 では次の年度に向けていろんな作業をしないといけないものですから、なるべく早く取 りまとめたいんだろうと思います。ですから今のようなニュアンスで、例えば10〜20% と考えられるとか。コンクリートなエビデンスではないにしても、ニュアンスを伝える という意味では、括弧書きで、例えば10〜20%とされているとか、考えられるというよ うなことで、一般向けですので。学術誌とか学術文献ではございませんので、そういう 形で、恐らく一刻も早く決めて。  私がよく気持ちがわかるのは、都道府県の方でいろんな作業をする過程で、なるべく 早く流したいということでしょうから。もしニュアンスの問題で、今のようなことで表 現をこの場で合意できるのであれば、そうしていただいた方が私としても助かると思い ます。    久道座長 どうもありがとうございます。適切なアドバイスをいただいて、事務局は 非常に喜んでいるようです。今のでどうでしょうか。よろしいですか、ちょっとあいま いかもしれないけれども。    林委員 小俣先生がおっしゃいましたが、私も実は調べたことがあるんです。実は本 当の意味の根拠はないんですけれども、八橋先生がおっしゃったように、今ほとんどの 日本の専門医の間では、先ほどの数字を使っています。そういうことでほとんどの専門 医が使っている数字ですので、おっしゃったような表現でよろしいのではないかと思い ます。    久道座長 今のは、10ないし20という感じですか、表現は。それでは前半の一部で はなく、後半の一部について、括弧書きで。    正林調整官 ありがとうございます。そしたら後半の方の一部に、括弧書きで10〜20 %と考えられるというふうに加えさせていただきます。    久道座長 推定されているとか。    正林調整官 推定されている。    西村委員 1つ、この図のことですけれども、右に流れる部分はそれでいいと思うん ですけれども、下にいく一過性感染の方ですけれども、これはこれで本当にいいんです か。幼少期以降の。言葉が一過性感染になっていますけれども、学術的にこれで本当に いいのかどうか、確認をしておきたいんですけれども。    久道座長 確認だそうです。    林委員 これは、西村委員のおっしゃいますのは、ジェノタイプのA型は慢性化しま す。そのことだと思います。以前ですと成人は全部一過性感染だったのですが、最近一 部、ジェノタイプの違うタイプのものについては慢性化するということが言われていま すので、正確には西村委員のおっしゃるとおりでありますけれども、ほとんどこの範疇 に入りますので、一般の方にごらんいただくのは、これでいいのではないかと思います。    西村委員 もう1つ、B型肝炎の場合は、肝細胞の遺伝子に組み込まれるという点が ありますので、その点でもこれはこれでいいのかということなんですけれども。    久道座長 どうですか。    林委員 幼少期の、ジェノタイプのA以外で一過性感染を起こした人が、実際に慢性 化するということはないんですけれども、肝がんが起こることは本当に0%かと言われ ると、それは根拠がないと思いますが。肝がんの発症頻度は普通の感染者において圧倒 的に低いということについては、ほとんど合意が得られています。  先ほどから議論があったんですが、B型の場合、少しいろんな例外が出てくるので、 そのことをここに書こうと思ったら、かなり図が煩雑になるので、専門家の方は、その 方は当然考えに入れていると思いますけれども、記載の方法はこれでいいのではないか という気はします。    久道座長 一般向けの場合はこれぐらいでいいのではないかという気がします。西村 委員は、むしろ専門家みたいな知識ですので、そのレベルではなくて。    西村委員 じゃなくてこれが各都道府県から、今検査をしている方々、陽性の方に配 られると思うんです。そうすると患者会の方に相談がいっぱい来るんです。これで。そ のときに、どこどこに専門家がいるからそこへという話をするんですけれども、そこで も患者さんが多くて、診療現場でそれが伝えられないという問題がありますので。今後 の資料として、これはこれで配っていただくという形でいいんですけれども、今後追加 資料でいろんなことを考えていかなければいけないのではないかというときに、検討材 料として、この図がもとになると思います。そのときの検討材料として御提案をしてい るわけです。  それと肝がんの発症のことを言われていますけれども、一過性感染、無症候性キャリ アのままいくのではないかどうかということをお聞きしたかったんです。一過性感染で なくて。    林委員 逆に言いますと、ここで一過性感染から慢性疾患、あるいは肝がんの方へラ インを引きますと、逆に不安を呼んでしまうことの方を、ものすごく私は危惧します。 というのは一過性感染は圧倒的に日本では多いわけですので、その方が皆さん、肝がん の不安を覚えることの方がインパクトとして非常に大き過ぎると思います。ここの記載 は逆にこの方がいいのではないかという気がします。    久道座長 どうもありがとうございました。今いろいろと指摘された件については、 この事後のきめ細かい対応についての配慮をお願いしたいということだろうと思いま す。  正林調整官 リーフレットについては、ページの制限もありますので、できるだけ簡 潔にという理念で書かせていただきます。 一方厚労省のホームページに肝炎のQ&A集もあります。そちらの方は、多少詳しい ことも書いてあります。適宜リバイスすることも考えていますので、これ以上の詳しい 内容は、できるだけそういうQ&Aなどで対応していきたいと思います。 久道座長 それではそのQ&Aにアクセスできるような案内を記入するといいのでは ないでしょうか。詳しいことはQ&Aでとか。それなら僕はいいと思います。 こっちは議題が終りました。事務局から、どうぞ。  正林調整官 すいません。私の方からぶり返しまして。きょう御了解をいただきまし たので、きょうの午後早速全国衛生部長会という、まさに各都道府県の健康を担当する トップの部長さんたちの集まりがあります。何とか今から印刷を間に合わせて、お配り したいと思っています。    久道座長 ということのようです。いろいろと議論をいただいて、本日でまとめるこ とができました。委員の皆様には本当にありがとうございました。これで懇談会を終了 させていただきます。どうもありがとうございました。                                     (了) 紹介先:健康局疾病対策課 中村(2943)