07/01/25 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 平成19年1月25日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年 1月25日(木)  14:00〜 厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(13名)五十音順    新 井 洋 由、 飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、    守 殿 貞 夫、 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、 土 屋 文 人、    早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、 三 瀬 勝 利、    山 口 一 成  (注)◎部会長 ○部会長代理      欠席委員(3名)   上 原 至 雅、 岡   慎 一、 溝 口 昌 子 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    山 田 雅 信(安全対策課安全使用推進室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、    坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、    望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、    田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 ただいまから薬事・食品衛生審議会、医薬品第二部会を開催いたしま す。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。当部会の 委員16名のうち、13名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達している ことを御報告申し上げます。  今般の薬事・食品衛生審議会の委員の改選に伴い、昨日、薬事・食品衛生審議会総会 が開催されたところです。総会において各部会長の選出が行われ、本医薬品第二部会に ついては、引き続き池田康夫先生に部会長をお願いするということで決められました。 よろしくお願い申し上げます。また部会長代理については、部会長から御指名いただく というルールになっており、池田部会長からあらかじめ、堀内龍也先生にお願いしたい という御連絡をいただいておりますので、引き続き堀内先生に部会長代理をお願いした いと思います。  議事に入る前に、事務局から委員の先生方を御紹介したいと思います。新井洋由先生。 飯沼雅朗先生。池田康夫先生。庵原俊昭先生。上原至雅先生は本日、御欠席です。また 岡慎一先生も同様です。守殿貞夫先生。竹内正弘先生。田村友秀先生。土屋文人先生。 早川堯夫先生。堀内龍也先生。前崎繁文先生。三瀬勝利先生。溝口昌子先生は本日、御 欠席です。山口一成先生。以上16人の先生方が、第二部会に所属なさっております。よ ろしくお願い申し上げます。  続いて、事務局の御紹介をさせていただきたいと存じます。大臣官房審議官医薬担当 の黒川です。審査センター長の豊島です。安全対策課長は本日欠席で、安全使用推進室 長の山田です。医薬品医療機器総合機構安全管理監の川原です。同じく審査センター審 議役の森です。審査センター第一部長の佐藤です。第二部長の坂本です。第三部長の望 月です。生物系審査部の田中です。先生方にいろいろ御指導いただくかと思いますが、 よろしくお願い申し上げます。それでは部会長、以後の議事進行をよろしくお願い申し 上げます。 ○池田部会長 昨日の会議で、引き続き第二部会の部会長を拝命いたしました池田でご ざいます。5人の先生方には新しく、この部会に加わっていただきました。残りの先生 方には引き続き、御協力をよろしくお願いしたいと思います。  まずは事務局から配付資料の確認と、資料作成に関与された委員の報告をお願いいた します。 ○事務局 最初に、資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第、座席表、委員 名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜6までは、先生方にあら かじめお送りしたものです。このほかに本日は資料1-2として、バルトレックス顆粒の 資料の差替え版、資料2-2として、再審査期間についての議題の資料の差替え版も配付 しております。資料7として、優先対面助言品目の指定について、資料8として、審議 品目の薬事分科会における取扱い等の案の表、資料9として、専門委員のリストがあり ます。また、資料番号は振っていないのですが、本日、御欠席の溝口委員からコメント をいただいておりますので、それも配付しております。  それから関与委員の御報告です。この関与委員というのは、平成13年1月23日の薬 事・食品衛生審議会薬事分科会の申し合せに規定のあるもので、部会で調査・審議をお 願いする品目については、当該品目の申請資料に著者として名を連ねた先生、GCPに 言う治験責任医師、治験分担医師、治験調整医師等の委員だった先生、医学・薬学・生 物統計学等の専門家として、申請資料の作成に密接に関与された先生を、便宜上「関与 委員」と呼ばせていただいております。そちらの方は事前に申請者の協力を得て、事務 局にて有無を確認させていただき、毎回の部会の開始時に部会長の指示に基づき、その 指名を報告させていただきます。本日、御審議いただく品目については、関与委員はい らっしゃいませんが、仮に今後いらっしゃるケースですと、当該品目について審議・議 決をする間、その先生は別室で待機いただくことになりますので、御協力をお願いいた します。 ○池田部会長 本日は議事次第にありますように、審議事項が2議題、報告事項が5議 題です。早速、審議事項から入ります。議題1は、「バルトレックス顆粒50%の製造販 売承認事項一部変更承認の可否」等についてです。この議題1について、機構の方から 概要の説明をお願いします。 ○機構 議題1、資料1、医薬品バルトレックス顆粒50%の製造販売承認事項一部変更 承認の可否及び再審査期間の指定について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上 げます。  塩酸バラシクロビルは、アシクロビルの吸収性を改善したプロドラッグであり、1987 年に米国のバローズウェルカム社、現グラクソ・スミスクライン社において開発された 抗ウイルス薬です。本邦においては2001年7月に承認され、現在までに帯状疱疹、単純 疱疹、性器ヘルペスの再発抑制の効能・効果を取得しております。  本申請の審査に際しては、資料9にありますとおり、岩田委員ほか3名を専門委員と して指名し、御意見を賜りました。今般の申請は効能・効果に水痘を追加するもので、 申請に際し、小児水痘患者を対象とした国内臨床試験、1試験が実施されました。申請 者は当初、この試験において健康成人と小児の間で、本剤投与時のアシクロビルの薬物 動態の類似性を確認し、成人帯状疱疹における本剤の有効性を、小児水痘に対する本剤 の有効性に外挿する理論構築を採っておりました。  しかしながら、帯状疱疹と小児水痘の起因ウイルスは、いずれもVaricella-Zoster であるものの、水痘は接触又は空気感染による初感染であるのに対し、帯状疱疹は神経 節後根の潜伏感染の再活性化に基づくものであることから、薬物動態の類似性をもって 成人帯状疱疹における有効性に関する成績を、小児水痘に関する成績として外挿するこ とは困難であると、機構は判断いたしました。  その一方で、本剤の活性本体はアシクロビルであり、アシクロビル経口剤は水痘の適 応を有していること、申請された用法・用量において、本剤はアシクロビル経口剤の既 承認用法・用量投与時より、高度曝露が得られることから、有効性については、既承認 のアシクロビル経口剤を下回る可能性は低いと判断いたしました。よって、この曝露量 の点から、本剤の有効性は確認できたものと考えております。  安全性については、既存のアシクロビル経口剤よりも曝露量が増加することから、リ スクの増大が懸念されるものの、提出された国内外の臨床試験成績において、特段の問 題点は検出されておりません。しかしながら、これまでの試験成績には一定の限界があ ること、曝露量増大に伴う安全性上の懸念を完全に払拭することはできないことから、 製造販売後に、安全性を中心とした十分な情報収集を実施することが必要であると考え ております。また、本剤は水痘に罹患したすべての患者に対し、投与が必要とされる薬 剤ではなく、審査報告書の32ページの下から記載しているような対象に、投与を推奨す べきであると考えておりますことから、この点については十分な情報提供が必要である と考えております。現在、情報提供資材などについて、最終的な詰めを申請者と行って いるところです。  機構は以上のような審査をいたしました結果、本剤に水痘の効能・効果を追加承認し て差し支えないと判断いたしました。なお、本申請は新効能医薬品であることから、再 審査期間は4年とすることが妥当であると考えております。薬事分科会では報告を予定 しております。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 ○池田部会長 それでは委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います。水痘 の効能追加ですね。これまでは単純疱疹、帯状疱疹、性器ヘルペスの再発抑制というこ とで、2001年に既に承認が下りている薬剤ですが、いかがでしょうか。どなたか御質問、 御意見はありますか。ちなみに溝口委員のコメントについて、そちらの方から何か追加 はありますか。 ○機構 溝口委員から賜ったコメントについては、このような御意見があったことを踏 まえ、申請者との間でどのようなデータがあるのかということから、まずは検討を進め させていただきたいと存じます。 ○堀内部会長代理 検討するということは、特に高齢者、成人についても水痘症の適応 を認めることは、当然問題ないということですね。 ○機構 問題がないかどうかというのは、まず資料です。既に広く使われており、それ が公知性のあるものなのかどうかという観点や、臨床試験成績の有無といったことをま ず確認させていただいて、現場のニーズがあるということを踏まえた上で、検討させて いただきたいと思います。その結果によって水痘を錠剤の方にも、成人の対象として加 えることが妥当かどうか、判断させていただきたいと考えております。 ○堀内部会長代理 ということは、今すぐここでの承認事項にはならないということで すか。 ○機構 はい、そのように考えております。 ○審査第一部長 今回はあくまでも小児の方です。その折の関連として溝口委員から、 成人にもこういう剤型があればありがたいというコメントをいただいたものですので、 これは別個にお考えいただければと思います。将来この成人の場合においての承認申請 の際のデータをどれだけ要求するのか、あるいは有りや無しやというところが、今後重 要なポイントになりますので、まずはこういう御要望があったということを申請者、開 発者に伝えて、今後いろいろな治験相談等の場で、我々との間で相談させていただきな がら、開発をどうするかを決めていきたいというのが今日の趣旨です。 ○土屋委員 おそらく堀内委員は「水痘」と書いてあるので、この錠剤の話は別として、 顆粒を成人に使うことがいいかどうか、ということをお聞きになったのではないですか。 この場合、用法・用量の所に、水痘は小児には体重ということで、小児の用量は書いて あるけれども、成人については書いていません。ただし効能・効果の所には、水痘とし て小児の場合という縛りがないですね。用法・用量の所が小児だけだから、小児しか使 ってはいけないというように読むのですか。 ○池田部会長 そうだと思います。単純疱疹、帯状疱疹、性器ヘルペスに関しては成人 が認められているのに、ここは小児だけなのかということで、これだとなかなか理解し づらいという意味ですね。 ○機構 先生方の御指摘の点、把握いたしました。ただ水痘に関しては、成人と小児の 病態が必ずしも同じようには考えられないところがあると思います。ですので、この添 付文書の記載で成人に使ってはならないかというと、推奨できる用法・用量が分からな いというのが事実だと思います。しかしデータがないということは、きちんとお伝えす る必要があると思います。どのようなデータに基づいてこの記載に至っているのか、ま た成人の水痘に対しては、データがあるのかないのかということが明確になるように、 添付文書ないしその他の情報提供資材を整理させたいと考えております。御指摘、あり がとうございました。 ○堀内部会長代理 用量の問題は若干残っているとは思いますが、基本的に同じウイル スで発症しているわけですから、こういう場合には抗菌剤と同じような取扱いが考えら れると思います。ですから用量の問題をできるだけ早くクリアして、成人にも明確に適 応する方向で進めていただきたいと思います。 ○機構 堀内委員の御指摘のとおりだと思いますので、1日も早く適応が取れるような 方向に向けて検討させていただきたいと存じます。 ○竹内委員 安全性の面で、私の理解によりますと、免疫性が下がったお子さんに対し て一応効くという理解で、実際に承認されて世の中に出たときに、免疫性が下がってな いお子さんでも使われる場合には、副作用等の情報はまだないわけですね。そうした場 合、どのような市販後調査をされるのか、懸念があります。 ○機構 まずデータのところですが、国内で実施された臨床試験の成績については、お 手元の資料の13ページから、国内の臨床試験成績についての記載があります。ここにあ るとおり、この試験自体は免疫状態が低下した患者を対象としたものではありません。 ですから免疫状態が低下していない患者に対するデータも、ここには存在していること になります。しかしながら免疫状態が低下していない、もっと言いますと、水痘に罹患 したすべての小児の患者に、この薬剤を投与する必要があるかどうかについては、議論 のあるところです。また、どういった患者に投与すべきで、どういった患者に投与すべ きでないのかという、例えば小児科学会等がお作りになられたガイドラインのような明 確なものも、国内には特にない状況です。  私どももどういった患者に投与することを推奨したらいいのかといった点で、特に専 門委員の御意見を賜りました。その結果、審査報告の32ページのいちばん下の所から記 載しておりますような議論をさせていただきました。ただ、投与が推奨される患者にお ける有効性・安全性のデータでは、今の段階で少なくともこの薬剤について、十分情報 が得られているという状況ではないことから、同じ活性本体であるアシクロビルの注射 剤について確認をいたしました。その結果、免疫状態が低下した患者においても、安全 性上大きな問題がなく、有効性についても特段の問題が認められていないということを 確認しております。したがって、注射の成績が100%そのまま経口剤に持ち込めるかど うかは分かりませんが、今あるデータからは免疫が低下した患者においても、特に本剤 の投与を否定するようなデータは得られていないという状況です。 ○堀内部会長代理 乳児に対する問題ですが、乳児に対するデータは、今米国で体内動 態について検討しているけれど、まだ予定全症例は登録されていないということが書か れてあります。したがって十分な情報がないと言えるのかもしれませんが、バルトレッ クス顆粒の第2部の「CTDの概要」の4ページ、「製品開発の根拠」にはいろいろな 文献が引用されております。5ページの永井らの小児科臨床の抜粋によりますと、発症 時の年齢が生後7か月以降の乳児後半から1歳にかけてのわりと早い時期に重症化する 傾向があると記載されていると思います。これについては先ほどの成人の議論と同じで、 「小児」という表現になっているわけです。乳児に対する取扱いはどのように考えたら よろしいのでしょうか。確かに6か月未満ですと、腎機能が成人よりも劣っている傾向 があるので、血中濃度が高くなる傾向が推測できますが、それらの記載をきちんとして、 乳児にも使用できることを明確にしてはいかがでしょうか。乳児にも何とか使える形に 表現できないかと思います。 ○機構 今、堀内委員から御指摘いただいた点ですが、確かに投与が推奨されるポピュ レーションですが、今はデータがないという状況にあります。1.8の添付文書案の4ペ ージの右段上から5cmぐらい下りた所に、「小児等への投与」という項があります。こ ちらの方に現在、こういった年齢層のお子様に対しては、安全性が確立されていない、 その理由としては使用経験として評価できるデータがなかったということが書いてあり ます。したがって現行では、製造販売後調査等をする中で情報が集められた段階で、こ の項をリバイスしていくことを考えております。 ○堀内部会長代理 企業は乳児に対する開発はやる意思がないというように、審査報告 書の中に記載されていると思います。やはりきちんと実施する必要があるのではないか と思いますが、いかがでしょうか。 ○機構 乳児に対する開発については現在、海外で進行中で、その旨の記載は審査報告 書の33ページの(4)、「乳児への用法・用量について」にあります。海外のデータが出 た段階で評価をして検討するように、私どもも指示をしており、申請者の方もその旨了 解しております。 ○堀内部会長代理 海外のデータを用いて、日本で審査をするという意味ですか。そう 考えてよろしいのですね。 ○機構 海外のデータを評価したく存じます。 ○堀内部会長代理 日本で改めてやるということではないのですね。 ○審査第一部長 基本的に海外のデータで今後、審査等を行っていきたいと思います。 もう一つ安全性上何か特段のものが出れば、日本での確認ということもあると思います が、基本的には海外のデータを中心にやりたいと我々は考えております。 ○堀内部会長代理 こういう抗ウイルス薬みたいなものは、それで十分ではないかと思 いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。ほかの適応が成人であって、一つだけ小 児というように書いてあるのは珍しいタイプの添付文書で、誤解を受けやすいような気 もしないでもないのです。この辺は、はっきり書きにくいのかもしれませんが、やはり 成人の場合はどうなのかということを。溝口委員の意見を見ると、成人は使ってもいい というように当然理解していて、成人の場合はもう少し用量をはっきり記載したらどう かということで、全体はもう当然のこととして考えているわけです。しかし今の理解だ と、成人に関しては安全性が確立していないからリコメンドできないという、むしろ適 応の所には入れたくないという言い方はおかしいのですが、考えていないというような ニュアンスなのです。その辺は少し紛らわしいような気がするのですが、どうですか。 ○審査第一部長 我々の意図していることが十分ここには書き込めないというか、文章 の方から読むと、いろいろな読み方ができてしまうということが今日判明しましたので、 今日の議論で先生方から御指摘いただいた点は、誤解のないような書き方ができるかど うか、もう一度申請者と協議をしたいと思います。 ○堀内部会長代理 使えるという方向でいいわけですね。できれば、そういう方向でお 願いします。診療報酬では、かなり問題になると思います。 ○庵原委員 一つ確認があります。今、議論しているのはバルトレックス顆粒の水痘適 応についてですね。溝口委員の文書を見ていますと、バルトレックス錠に水痘の適応を 認めてほしいという要望ですね。バルトレックス顆粒の水痘適応に水痘という病名で適 応するのか、小児の水痘として適応するのかが、今現在ディスカッションされていると いう理解でよろしいのですか。成人に関しては書かないで、ぼかしておくというニュア ンスなのですか。さらに言うと、今度は成人の帯状疱疹が錠剤で認められて、顆粒では 認められておらず、認められているのは単純疱疹だけですね。 ○機構 帯状疱疹もあります。 ○堀内部会長代理 顆粒も認められています。 ○庵原委員 顆粒もOKですか。要するに錠剤と顆粒が同じ薬なのに、適応病名が違う のはどうかという、そこのディスカッションを詰めておかないといけないのではないか と思います。剤型が違って治験がなければ仕方がないとおっしゃるのなら、それはそう かもしれませんが、その点の御議論をよろしくお願いします。 ○機構 先生方から賜った御意見は、ごもっともだと思います。いただいた御意見を踏 まえ、まずは記載としてすぐに整備できることに手を付けさせていただいて、その後は 例えば錠剤と顆粒の齟齬、ないし小児と成人といった問題について、少なくとも今ある データに基づいて書けるものはどこまでか、今後開発というか、確認をしていかなけれ ばならないところがどこかというところを明確にして、現場のニーズに合うように、こ の薬をいい方向に持っていきたいと考えております。御指摘、ありがとうございます。 ○土屋委員 その件について私は今回、名前が「小児用顆粒」となっていないことが、 本当はすごくいいと思っているのです。もしここに「小児用顆粒」と書いてあったら、 そこに「水痘」とあっても、これは小児だろうという推測はつくと思うのです。この薬 に限らず、我々はよく逆読みをして、大人で飲めない場合はどうしても錠剤を潰すなど します。散剤があってただ「顆粒」と書いてあれば、それは基本的に使えるのではない かということを、現場ではいろいろ考えるのです。潰すのとどちらがいいかというとき に、散剤がそのままで、経管のときなどにそういうことがあって、名前との関係や類推 の問題など、やはりいろいろあるものですから、その辺りはやはりきちんとされた方が いいのかと思います。  ただし逆に言えば、私はこれを承認しろとは言いたくないのです。この中でわざとぼ かされていることで、推測で使っても駄目とは書いていないと言いやすくなったりする ものですから。現実としてその辺りをただ読み込めというのであるならば、本来、今ま でだったら「何々の」とか「小児の」というように、きちんと書くのではないかという 気はいたします。ただし私は、そういうことを書くのはあまり好きではありません。現 場では幅があった方がいいのです。ただ話を聞いていったら、限定されていくような話 で嫌だなと思ったのです。 ○池田部会長 今、議論されたことは非常に大事なことなので、それは是非。ちなみに 錠剤は何mgでしたか。病名が同じで、剤型の問題と小児と成人の問題というのがありま す。重症化を防ぐということであれば、成人の場合にはどうしても防がなければいけな いということで。 ○審査管理課長 問題を整理させていただくと、錠剤と顆粒の効能・用法の違い、すな わち水痘の部分を錠剤に追加できないかという点が、一つあるのだろうと思います。も う一つは、錠剤も含めての議論になるのかもしれませんが、水痘の成人をどうするのか ということです。この二つの問題がごちゃ混ぜになっているのだろうと思います。  前者の問題は今、錠剤の含量を調べております。審査報告書の35ページに、水痘の用 法・用量があって、錠剤は1錠中500mg入っているということですから、500mgという ことは小児20kgの体重であれば、500mgにきちんと合うということになりますので、生 物学的な同等性等に問題がなければ、錠剤にも水痘の効能と用法・用量を追加する手当 をするという方向で、手続をやることにしたいと思います。  2番目は、成人の水痘をどうするかという問題です。私は専門ではないので分かりま せんが、溝口委員のお話によると、成人の水痘は小児よりもかなり重症だという議論も あります。成人にはどれぐらい使用されたか、試験されたデータがあるのかということ をまず見てみないと、いわゆる医療保険的な観点から、「使えるように、使えるように」 と言われても、薬事・食品衛生審議会の役割というのは、有効性、特に安全性を担保す ることですから、我々としてもなかなか厳しい点があります。ここでお約束できる範囲 で申し上げますと、成人の水痘については外国も含めて、どれぐらいのデータがあるの か、どれぐらいの使用経験があるのか、論文としてどれぐらい公表されているものがあ るのか、その辺りを精査させていただくということで、お願いしたいと考えております。 よろしくお願いします。 ○池田部会長 おそらく国内での使用経験は、免疫不全の患者も含めて、かなりあると 思いますので、その辺も含めて整理をしていただけたらと思います。それでよろしいで すか。先生方の御意見では、もちろん承認をすることは可であると理解してよろしいで しょうか。どういうようになったかというのは、もう一度きちんと次回の部会に御報告 していただくことが必要かと思います。もし差し支えなかったら、委員の先生方、そう いうような格好で処理をさせていただいて、薬事分科会にはその旨報告をするというこ とでよろしいでしょうか。そういうことで承認は可としますが、添付文書の書き方、錠 剤等の理解の問題、成人の問題等も整理をしていただいて、次回報告していただくとい うことで進めたいと思います。よろしいですか。 ○土屋委員 その件について、ひとつお願いがあります。これはもう既に認められてい る薬なので、あえて申しませんが、50%散というのは、散剤においては常用量と製剤量 との間、いわゆる原薬量と製剤量の差が非常に少ないために、現場でいちばんエラーを 起こしやすい濃度なのです。ですから今後、散剤を開発するときに50%散というのは、 最初の段階でなるべく避けるように言っていただくと。ボリュームが多くなることは分 かるのですが、やはり我が国はアレビアチンの97%散という中途半端なものを出したた めに、何人も死亡者が出てしまったことがありますから。結局、あれが出てから何年か 経って10%散がやっと出たわけです。ところが今度は10%と97%の両方があったため に、また事故が起きてしまいました。  散剤というのが我が国独特の剤型で、そもそも開発するときに50%常用量と製剤量の 幅がどちらも取れるというところからいくと、危ない濃度の剤型になるものですから、 今後そういう相談があったときには、最初から50%は避けた方がいいのではないかとい うことを言っていただけると助かります。よろしくお願いします。 ○池田部会長 ほかによろしければ、第1議題に関しては、承認を可として薬事分科会 の報告とさせていただきます。貴重な御意見、どうもありがとうございました。  それでは、議題2の「新有効成分含有医薬品の再審査期間について」ということで、 事務局から説明をお願いします。 ○事務局 それでは議題2の「新有効成分含有医薬品の再審査期間について」というこ とで、資料2-2に基づいて御説明させていただきます。  1枚目に、昨日付けの諮問書があります。8ページを御覧ください。まず再審査とい う制度についてです。新医薬品というのは、承認申請までに得られる情報に自ずと一定 の限界や制約などがあるところから、薬事法第14条4の規定に基づき、「製薬企業は承 認後もその使用成績を調査し、一定期間後にその安全性等に関する再審査を受けること」 という制度です。この新医薬品のうち、有効成分が既存の医薬品と明らかに異なるもの (新有効成分医薬品)の希少疾病医薬品(オーファンドラッグ)を除いたものについては、 現在、承認のあった日の後、原則6年の調査期間、いわゆる6年間の再審査期間を定め ているという状況です。  9ページを御覧ください。これまでにも医薬品の再審査期間の見直しというのは、累 次行われておりました。昭和42年の行政指導に基づく再審査期間、承認後、新薬の承認 から2年といったところから始り、平成5年の薬事法改正を踏まえて、オーファンドラ ッグ及び6年以上の調査期間が必要な薬品については、6年を超え10年といった範囲の 規定があります。  今般、新有効成分医薬品に関しては、「使用上の注意」の改訂の状況についての調査 をしております。その関係で、10ページを御覧ください。これは平成元年以降に承認さ れた新有効成分医薬品のうち、平成15年7月から平成18年7月までの3年間に、重要 な「使用上の注意」の改訂がなされたものです。一般的に重要な「使用上の注意」の改 訂の指示というのは、安全対策課長通知として個別の企業に対し指示を行うものですが、 これについて承認からの経過年数を整理したものが10ページのデータです。青い棒グラ フ、あるいは赤の折れ線グラフを御覧いただきますと、承認後7年をピークとして、承 認後5年〜承認後8年の期間に重要な「使用上の注意」の改訂が、比較的多くなされて おり、承認後8年までに改訂の約7割がなされているといった傾向が見られるという結 果が得られております。  8ページにお戻りください。このような状況を踏まえ、一層の安全対策を講じるとい う観点から、新有効成分医薬品の再審査期間を、現行の原則6年から原則8年としては いかがかということで、本日、御審議をお願いする次第です。具体的な対応としては本 日、御審議の品目ではありませんが、今後新たに承認する新有効成分医薬品で、オーフ ァンドラッグなどを除くものについては、承認の際に薬事・食品衛生審議会の審議を踏 まえ、再審査期間を8年とする。新有効成分医薬品であって、現在6年の再審査期間中 のもの(平成13年4月以降に承認された新有効成分医薬品として、11ページ以降にその リストがあります。計89成分、そのうち第二部会関係の27成分です。)については再審 査期間を2年間延長して、8年とするという考え方でいかがかと考えております。よろ しく御審議をお願いします。 ○池田部会長 委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでし ょうか。再審査期間を6年から8年ということで、今までの使用上の注意の改訂につい てのデータもお示しいただきましたが、何か御意見はございますか。 ○堀内部会長代理 あえて疑問を出させていただきます。今のお話ですと、使用上の注 意の改訂が、ほとんど8年未満に行われているというお話でしたね。このグラフを見ま すと、最初の1、2、3年というのは、発売されていろいろな問題が生じて、そこで改 訂が行われるわけです。これはよく分かることですが、その後減ってきて、7年未満の 所で一気に増えております。これはやはり再審査が行われることによって、いろいろな 問題点が明らかになって、改訂されたというようにも捉えられると思いますがいかがで しょうか。  これが8年未満になると、後ろへずれるだけではないかとも考えられないかと思いま す。そう考えますと、「6年」というのが有効に働いているのではないかと思います。 特に今後は抗癌薬等についても、分子標的薬など難しい薬がたくさん出てまいります。 この一覧表を見ますと、そういうものについても8年に延長するというお話ですが、安 全性の観点から考えると、逆に危ないのではないかと思われます。いかがでしょうか。 ○審査管理課長 先生の御指摘の点というのは、ある面で申し上げますと、使用上の注 意の整備に精通しておられる先生としては、当然のことだろうと思っております。我々 も当初、そのようなことを考えたところでして、この7年目の使用上の注意の変更とい うのがどういうものかというのも分析しております。ただ、これは再審査との関係では なく、そのとき報告された副作用に基づいて手を打っていったものであったわけです。 逆に申し上げますと、再審査の機会に類似のものと比べたり、文章を整備したり、情報 を増やしたりというような、いわゆる類似の注意の範囲の中で整備を図っているのは事 実です。ただ、それはここで言う安全対策課長通知を出して整備を命じるような、重大 ・重要な事項、未必の事項ではないのです。そういう意味で申し上げますと、いわゆる 使用上の注意の整備という観点で整理をしているものです。  御存じのとおり、再審査期間中において、当初の2年は半年ごと、3年目からは1年 ごとに、その1年間の副作用、あるいはそれ以外の試験成績を取りまとめて解析したも の、あるいはその結果に基づいて、例えば使用上の注意を整備する必要があるか、用法 ・用量を変える必要があるかという検討を、毎年行う義務があります。そういう意味で 申し上げますと、毎年そういう整備は行われているというように考えておりますし、重 要な副作用については、毎年の整備を待つまでもなく、そのような副作用が収集・評価 された段階で手を打つというのが、本来の考え方だと思います。安全対策部会の御指導 も受けながら、そのような形で対応してきているところです。  そういう点から申し上げますと、もちろん8年で十分かという議論はあるだろうと思 います。と申しますのは、この図を見ますと、平成14、15、16年の所にも、ある程度の 山があります。この山の大きさは、かなり大きな点があるわけです。今回判断しており ますのは、再審査というのは半年ごと、あるいは1年ごとの調査結果を基に適宜手を打 ち、一応の区切りを打つという意味から申し上げますと、やはり現行の6年ではなく、 8年に延ばしていく方が適切ではなかろうかと、事務局としては考えているところです。 ○池田部会長 そのほかに委員の先生方、御意見をいただけますか。 ○堀内部会長代理 この7年未満の所で、一気に増えていますね。これはいろいろな年 度のものを積み上げて、こういう形になっていると思うのです。例えば平成18年だけが 一気にということではなく、全体としてこういうことが起こっていると思うのですが、 いかがでしょうか。平成15年から18年の3年間に承認されたものですので、年度とい うことではないですね。 ○審査管理課長 今、件数を具体的にお答えするデータが手元にないのですが、ある年 度に偏っているわけではありません。少なくともこれは平成15年から18年の3年間を 分析しております。 ○堀内部会長代理 なぜ7年目にこういうことが起こるのか、少し奇異に感じます。 ○審査管理課長 そういう意味で申し上げますと、なぜ4年目は下がっているのか、な ぜ6年目が低いのかということも、当然あるだろうと思います。この図で我々なりに考 えているのは、一つの大きな塊としては、やはり8年の所にあるのかなということです。 すなわち9、10、11、12、13という辺りがある程度低いというのが、全体としての一つ の傾向を示しているのではないかと考えているわけです。例えば10年未満の山が平成 14年と同じような山であったり、平成11年も同じような山であれば、このデータを今 日お示しすることもなかっただろうと思うのです。これをどういうように読むかという のは、おそらく先生方にはいろいろな御意見があるだろうと思います。我々として申し 上げますと、8年の所に全体としての一つの大きな山があるのではないかと解釈してい るところです。 ○土屋委員 グラフの説明の仕方として、6年目の所で急に7年目にあれがあるからと いう言い方ではなく、全体で見ると8年の所で大きく分かれるので、だから8年だと言 う方がいいと思うのです。こういうものを見たときに6年と言うから、6年がちょうど その機会になるから、7年目でいっぱい改訂が起きるのではないかという議論になって しまうと思うのです。全体として見たときに、やはり8年で大体のことが言い尽くされ ているようなので、だから8年だという論拠ではいけないのですか。むしろ、その方が かえっていいのではないかという気もするのです。 ○池田部会長 今、課長は、そういう意味でおっしゃったのですね。 ○審査管理課長 土屋委員のおっしゃることと、私も同じようなことを考えているわけ で、それ以上のことを言うのは、このデータではなかなかつらいのだろうと感じており ます。 ○池田部会長 そうですね。毎年毎年改訂に向けて、それぞれの薬は作業をしていると いうことも踏まえて、いかがでしょうか。6年から8年というように期間を延長するこ とについて、よろしいですか。 ○堀内部会長代理 私も強く反対をしているわけではありません。 ○池田部会長 それでは、新有効成分含有医薬品の再審査期間の考え方に沿って、別紙 のリストに示されている新有効成分含有医薬品については、再審査期間を2年延長して、 これらの医薬品については8年とすることの御了解をいただいたことにさせていただき たいと思います。ただ、新薬関係にはもう一つ、医薬品第一部会というのがありますの で、この考え方やここでの合意は、第一部会の意見を聞くことも必要です。第一部会で も了解が得られれば、その結果を併せて薬事分科会に報告させていただくという格好に したいと思います。この答申の内容については、第一部会の部会長と事務局で調整させ ていただいて、作成したいと思いますが、よろしいでしょうか。御了解いただきありが とうございました。そのようにさせていただきます。  審議事項は以上の二つですが、5つの報告事項がありますので、逐一、説明していた だきたいと思います。第1議題は、グリベック錠100mgの製造販売承認事項一部変更承 認についてです。御説明をお願いします。 ○機構 資料3を御覧ください。本剤は、チロシンキナーゼ活性阻害作用を有する抗悪 性腫瘍剤であり、現在、慢性骨髄性白血病及びKIT陽性消化管間質腫瘍の効能・効果 で承認されております。今般、ノバルティス ファーマ株式会社から、フィラデルフィア 染色体陽性急性リンパ性白血病の効能・効果を追加する、製造販売承認事項一部変更承 認の申請がなされたものです。本剤のこの効能につきましては、平成12年12月20日に 希少疾病用医薬品に指定されております。総合機構における審査の結果、本剤を承認し て差し支えないと判断いたしました。  議題2、オメプラール錠10等の製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたし ます。資料4を御覧ください。本申請は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクタ ー・ピロリ感染症に対するオメプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシンの三 剤併用除菌療法に関し、承認時に要求され実施した市販後臨床試験の結果を踏まえ、ク ラリスロマイシンの投与量に関する用法・用量の一部変更を行うものです。総合機構に おける審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。  議題3、医療用医薬品の再審査結果について、御報告いたします。資料5-1及び5-2 の医薬品再審査確認等結果通知書「ヒドロキシカルバミド」及び「ネダプラチン」を御 覧ください。これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験等の 成績に基づき、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げら れている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用 量等の承認事項については、変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。 ○事務局 続いて資料6、希少疾病用医薬品の指定についての御報告です。医薬品の名 称はダルナビル エタノール付加物。対象疾病は抗HIV薬治療歴があるHIV感染症。 申請者はヤンセン ファーマ株式会社です。HIV感染症関係の医薬品については、平成 11年5月13日の医薬品特別部会における申し合せに基づき、報告事項とさせていただ いております。  次のページに、総合機構による評価報告書がありますので、これを御参照いただきた いと思います。希少疾病医薬品の指定に関しては、三つの条件があります。一つ目が対 象患者数です。こちらは「平成17年エイズ発生動向年報」等から見て、指定要件である 5万人未満を満たすと判断しております。二つ目は医療上の必要性です。本剤はHIV- 1に対し、強力な活性を有するプロテアーゼ阻害剤で、既存のプロテアーゼ阻害剤に耐 性を示すウイルスにも、活性を示すことが特徴とされております。耐性ウイルスが問題 となっている今日、本剤の医療上の必要性は高いと判断いたしております。  最後に、開発の可能性です。海外において複数の臨床試験が実施され、有効生・安全 性が確認されております。またアメリカで、昨年6月に承認されていることなどから考 えて、開発の可能性があると判断しております。以上、三つの条件に照らして、本剤を 希少疾病医薬品として指定することにいたしましたので、御報告申し上げます。 ○機構 続いて議題5、優先対面助言品目の指定について、報告申し上げます。優先対 面助言品目指定制度というのは、薬事法で規定する、医療上特に必要性が高いと認めら れるものとなることが期待される開発中の薬剤について、他の品目に優先して医薬品総 合機構が対面助言、いわゆる治験相談を行うものです。優先対面助言品目は、優先審査 品目の選定の考え方に準じ、指定の時点までの国内外の試験成績を見て、適応疾患の重 篤性と、医療上の有用性を総合的に評価することにより選定しております。  資料7-1は、株式会社ヤクルト本社から申請されたオキサリプラチンです。本剤の現 時点における効能・効果は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌であり、添付文 書における効能・効果に関する使用上の注意には、「再発予防を目的とした術後補助療 法において、本剤を含む化学療法の有効性及び安全性は確立されていない」と記載され ているところです。  しかし今般、海外臨床試験において、本剤の結腸癌に対する術後補助療法の有用性を 示唆する成績が得られたことに基づき、フルオロウラシルとの併用療法での結腸癌の術 後補助療法の効能・効果を対象として、優先対面助言指定申請が行われたものです。対 象効能であるフルオロウラシルとの併用療法での結腸癌に関しては、生命に重大な影響 がある疾患であると判断いたしました。  医療上の有用性に関しては、海外で実施された結腸癌の治癒切除例を対象とした大規 模無作為化比較試験において、本邦での標準的な術後補助化学療法である5-FUレボホ リナート療法に本剤を併用するレジメンは、5-FUレボホリナート単独療法に比して、 無病生存期間を有意に延長することが示されております。これらの試験成績に加え、さ らなる有効性が期待できる術後補助化学療法の適応取得が望まれている現状を考慮し、 本品目を優先対面助言品目として指定したものです。  資料7-2は、グラクソ・スミスクライン株式会社から申請された、ラパチニブトシル 酸塩水和物です。今般、海外臨床試験において、本剤の乳癌に対する有用性を示唆する 成績が得られたことに基づき、優先対面助言指定申請が行われたものです。優先対面助 言品目の対象効能は、ErbB2の過剰発現を示す進行性または転移性乳癌であり、当該疾 患は、生命に重大な影響がある疾患であると判断いたしました。  医療上の有用性に関しては、タキサン系薬剤、アントラサイクリン系薬剤及びトラス ツズマブの治療歴を有する患者を対象とした、海外第III相臨床試験において、カペシタ ビンと本剤の併用療法とカペシタビン単独療法の比較が行われ、無増悪期間において、 本剤併用分に有意な延長が認められました。また同様の患者群を対象とした本邦第II相 試験においても、本剤単独により腫瘍縮小効果が認められております。  これらのことから本剤は、ErbB2の過剰発現を示す進行性または転移性乳癌に対し、 優れた有用性を示すことが期待できると判断し、優先対面助言品目として指定したもの です。 ○池田部会長 5つの報告事項を伺いました。最初は、イマチニブの効能追加です。今 までのCML、GISTのほかに、Ph1陽性の急性リンパ性白血病を加えるものです。 次がクラリスロマイシンの用量の変更です。再審査結果がハイドレアとネダプラチンで す。それから希少疾病用医薬品の指定でダルナビル、そのほかに優先対面助言品目の指 定ということです。先生方から何か御質問、あるいはコメントはありますか。 ○竹内委員 資料3の第1ページ、グリベックに関して確認します。外国試験と国内試 験の血液学的効果の数字が出ているのですが、これを国内と海外とで比べますと効き方 が違っております。国内試験に入ってこられた患者の数が、海外で行われた試験の数と 違っていたということはあるのでしょうか。 ○機構 資料の番号を確認させていただきたいのですが、どの試験とどの試験のお話で しょうか。 ○竹内委員 ただの確認なのです。資料3のいちばん初めの所にある結果で、外国試験 と国内試験の効果が書いてありますね。ここのパーセンテージを見ていきますと、どう も違うような気がしているのです。効いていることは効いているとは思うのですが、国 内の方は海外に比べて効いていますので、どうしてこういう具合になったのかというこ とをお教えいただければと思い、質問させていただきました。 ○機構 1ページに書いてある国内試験の結果は。 ○山口委員 これは私も同じことを聞こうと思っていました。国内が非常によく効いて いるのでいいのですが。 ○池田部会長 国内はJALSGで80例ですね。 ○機構 表紙の外国試験というのがどの成績であるかは、今、確認させていただきたい と思います。提出された試験は、再発・難治例に用いている場合や未治療例に用いてい る場合など、いろいろな状況下の試験であるということは、審査報告書の6ページの表 に記載してあるとおりです。ですから患者のバックグラウンドやレジメンが違ったり、 審査報告書の中の7、8、9ページに記載してあるとおり、血液学的効果の定義とか、 例えば4週間持続するところをもって判断するとかしないとか、そういった差異があり ますので、御質問いただいた外国試験の成績については、今、確認させていただきたい のですが、よろしいでしょうか。  お時間を要してしまうので、先に結論というか、こちらの考えだけをまず述べさせて いただきますと、今申し上げたような理由で、レジメンの違いや対象患者の違いという のがあります。これらは審査報告書の中に記載しておりますとおり、移植適応の有り無 しとか、一次治療か再発・難治例かということで場合分けして考えた結果、国内と海外 とで有効性に大きく問題のあるような差は認められず、本剤の有効性があるという結論 に達しているところです。しかし外国試験については、今どの試験だったかは即答でき ない状況で申し訳ございません。 ○池田部会長 海外の試験で初発だけのデータというのは、あまりないですね。 ○機構 ええ、そうです。一番主なものは、企業がやった治験ではないのですが、医師 の臨床研究グループであるJALSGが行っている、AJP01試験の結果を、主な試験として 評価しています。海外の試験でも初発例も対象とした試験も、一応評価対象とはしてい るのですが、初発例でグリベックの効果を一番きちんと検討されれていて、かつ機構が 有効性があると判断できた根拠の試験は、この国内のAJP01試験と考えております。 ○池田部会長 22ページにある表では、JALSGの患者数が80例で、コンプリート・ヘマ トロジック・リスポンス96%、その下が58%で、その下が100%となっています。ここ を竹内委員は言われているのではないですか。96%なのに58%だと。その下は100%で すが。これは両方とも初発例ですね。多少上に定義があって、先ほど機構で言われたよ うに、定義は少し違っていたりするので、パーセンテージが少し狂うのかもしれません ね。10とか12とか、症例数が少ないので。一般的には国内外で同じように、大体90% ぐらいの奏効率があるというように考えてよろしいですね。 ○機構 はい、そのように理解しております。 ○池田部会長 リスポンスの定義と、おそらく症例数との違いではないかと思うのです が。 ○安全使用推進室長 安全対策課ですので担当ではないのですが、一応補足させていた だきます。資料の1枚目に書いてある実施機関や症例数というのは、評価資料だけのも のをピックアップしております。審査報告書の6ページに、臨床試験の一覧表がありま す。そのうちの真ん中に二重線が引いてあって、その上に三つ、国内の第II相と海外の 第I相、第II相とあります。ここだけのもので、しかも今回のはフィラデルフィア陽性 のALLですので、その症例だけをピックアップした数字だと思います。ですから国内 が8例となっておりますが、この中には再発・難治だけではなく、初発も入っています。 海外の方は第I相が62例、第II相が56例ですが、CMLも入っていますので、そのう ちフィラデルフィア陽性のALLだけを抜き出した数字が、1ページ目に出てきている 数字だと思います。ここは再発・難治だけになりますので、こういった差になっている のだろうと思います。 ○池田部会長 そのほかに報告事項について、何かコメントはありますか。よろしいで すか。もしないようでしたら、報告事項については御確認いただいたということにさせ ていただきます。ありがとうございました。  本日の議題は以上ですが、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局 まず1点は、過去に当部会で御審議いただいた新薬の承認状況について、御 報告申し上げます。昨年12月26日の薬事分科会を経て、悪性胸膜中皮腫の効能・効果 でアリムタ注射用、成分がペメトレキセド、もう一つがエイズ関連カポジ肉腫の効能・ 効果で、ドキシル注、ドキソルビシンです。この二つの薬品について、1月4日付けで 承認いたしました。残りの品目についても近々承認する予定で今、手続をしております。 次回の部会にて御報告申し上げます。  次回の部会の予定ですが、既に御案内のように、2月22日の木曜日、午後2時から開 催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。次々回は4月になりますが、 4月以降の部会の開催日程はまだ決まっておりません。委員の改選があった関係で、4 月以降の部会の開催日程を決める必要があります。近々ファックスで、先生方に日程調 整の御連絡を申し上げますので、よろしくお願いしたいと思います。今回4、5、7、 8月の4か月分を決めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 それでは本日の部会は、これで終了させていただきます。先生方お忙し いところ、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 山本(内線2734)