07/01/19 第3回社会保障審議会人口構造の変化に関する特別部会議事概要 社会保障審議会人口構造の変化に関する特別部会 ○ 日 時  平成19年 1月19日(金)17:00〜19:00 ○ 場 所  厚生労働省 省議室(9階) ○ 出席者  〈委員:五十音順、敬称略〉        大石亜希子、小塩隆士、貝塚啓明、鬼頭宏、榊原智子、佐藤博樹、        樋口美雄、前田正子                      〈事務局〉        薄井康紀 政策統括官(社会保障)        北村 彰 参事官(社会保障担当)、山田 亮 参事官(労働政策担当)        香取照幸 雇用均等・児童家庭局総務課長        楪葉伸一 安定局雇用政策課長        城 克文 政策企画官、佐藤裕亮 社会保障担当参事官室長補佐        高橋重郷 国立社会保障・人口問題研究所副所長 ○ 議事概要 1.開会  (城政策企画官)  定刻になりましたので、ただいまから第3回社会保障審議会、人口構造の変化に関する 特別部会を開会いたします。委員の皆様におかれましては御多忙の折、お集まりいただき ありがとうございます。  本日、佐藤委員、樋口委員におかれましては若干、遅れるという御連絡をいただいてお ります。阿藤委員におきましては所用により御欠席とのことでございます。榊原委員がち ょっと遅れておられますが、冒頭から御出席というふうに聞いております。  本日は御出席いただきました委員の皆様、3分の1を超えておりますので会議は成立し ておりますことを報告申し上げます。  それでは、以降の進行につきまして貝塚部会長にお願いいたします。よろしくお願いい たします。  (貝塚部会長)  本日は御多忙の折、お集まりいただき、まことにありがとうございます。それでは早速、 議事の方に移りたいと思います。  本日は議事次第に書いてありますように日本の将来推計人口をめぐる12月の推計につ いて報告をお願いし、2番目の議事として前回、多少御議論いただいた、この部会の全体 の骨子でどういうことを議論するかという話の論点をもう少し詰めたものが提出されて おりますので、それをめぐって議論をしていただきたいと思います。  議事の第1番目としまして昨年の12月に公表されました「日本の将来推計人口(平成1 8年12月推計)」について事務局から簡単に御説明いただきまして、引き続きまして議事 の2として「人口構造の変化をめぐる論点」、お手元にお配りしてありますが、それにつ きまして一括して事務局よりあわせて御説明をお願いしたいと思います。  資料の2−1ですが、これは今、先ほど申しましたように前回及び前々回の当部会での 御議論を踏まえまして、私の方から骨子案を再整理して出してまとめてほしいというふう に指示いたしました。本日はこれについて再度、御議論をいただくとともに、いろいろ残 されている論点、あるいは追加すべき論点がございましたら御指摘いただければ幸いと存 じます。それでは事務局から御説明をお願いします。  (城政策企画官)  はい。まず、資料1から説明を申し上げます。日本の将来推計人口ということでござい ます。これは昨年の年末、12月に公表いたしました平成18年推計、将来推計人口でござい ます。1ページ目をごらんください。これ、簡単にまとめた概要でございまして、冊子を つけておりますが、これは公表した冊子でございますのでお持ち帰りいただいてごらんい ただければと思っております。概要を説明させていただきます。  左側にございますのはその前提等でございまして、これはもう御承知かと思いますが、 国勢調査の結果を受けて5年に1回、将来推計人口を出しているということ、今回は平成 17年の国勢調査結果に基づきまして2055年までの人口推計をし、参考推計として2105年ま で出しているということでございます。  その推計に当たっての仮定としまして、これまでのトレンドを伸ばしていった結果、ど うなるかということでございまして、2005年の合計特殊出生率1.26が2055年段階で高位で あれば1.55、中位であれば1.26、低位であれば1.06という合計特殊出生率になるであろう という仮定を置いて計算をしたと。平均寿命につきましては2005年で男が78.53歳、女が8 5.49歳のものが中位であれば男が83.67歳、女が90.34歳という数値になるだろうという前 提を置いて計算をしております。  その結果でございますが、右側であります。総人口につきましては2005年で1億2,777 万人というものが2055年では8,993万人と9,000万人を切るという形になるであろうと。老 年人口につきまして、これは65歳以上ですが、これが2055年には40.5%、40%を超えると いう形になるであろうということでございます。生産年齢人口につきましては同じく51. 1%、年少人口につきましては8.4%、752万人という形になるであろうという試算結果と なっております。  ちなみに下にございますのは前回の結果でございまして、前回であれば2050年というも のをターゲットに50年後として置いておりましたが、このときには人口は1億59万人、そ の他、高齢化率は35.7%等々という状況でございました。これは非婚化、晩婚化の進行等 で出生率が低下したこと、寿命が延びたこと、いろいろございますが、結果としてこうい った形でさらに少子高齢化が進むという形になってございます。  次のページ、2ページをごらんください。これは合計特殊出生率の仮定値をどのように 置いたかというのがわかるように図にしたものでございます。前回の平成14年のときには 2000年の人口をもとに推計しておりますが、これは2050年段階で合計特殊出生率が1.39 となるであろうということで置いておりましたが、今回、中位で見ますと真ん中の四角い 印でマーカーで追いかけているところですが、見ていただきますと最低値が2013年の1.2 13、2055年では1.26という値になるであろうということで人口のこういった前提を置きま して人口の推計をいたしたものでございます。  3ページをごらんください。その結果、人口の形がどうなったかというものをグラフに したものでございます。これが人口減少は続いているわけでございますが、この推計によ りまして一番右の端をごらんいただきますと、人口はこれは中位ですが8,993万人、生産 年齢人口割合は51.1%、高齢化率40.5%、先ほど申し上げたような数値に至るまでこうい う形で減少していくということが示されております。詳細につきましては冊子をつけてお りますので、またそれをごらんいただければと思います。  続きまして資料2−1をごらんください。これまでの議論の整理という形で前回の論点 整理をもとに全体の御議論等入れまして、本日、御議論いただきたい事項も少し盛り込み まして整理をいたしたものでございます。骨子ということでございましたので、前回、い ろいろと肉づきのある部分がございましたので、1度そぎ落としまして簡単な箇条書きの 形に落としております。御了承いただければと思います。  順番に見てまいります。1ページ目の1のところでございます。人口減少の動向という ことで、これはございましたように2030年以降は現役世代人口の減少度が特に大きくなる ということが見込まれるということであります。  労働力人口につきましては現役世代人口の減少に伴う労働力人口の減少というものが ございますが、これは技術革新等でカバーはできるけれども、中長期的なことを考えると 以下の対策が必要ということで2つに分けて2030年までと2030年以降ということで書い てございます。  2030年までにつきましては生産年齢となるのはほぼ既に生まれている世代でございま すので、これは若年、女性、高齢者等の労働市場参加をさらに進めるということが必要で あろうということであります。2030年以降につきましてはこれから生まれる世代が生産年 齢となってまいりますので、これから生まれる子供の数の減少を緩和するという努力が必 要であろうということだと思います。  2でございます。国民の結婚や出産に対する希望と現実の急激な少子化との乖離という ことで題をつけました。急速な少子化進行の要素と書いてございますが、要素というか、 単に急速な少子化進行ということでいいのかもしれません。今、申し上げましたように新 人口推計では1990生まれの女性の大体4分の1が生涯未婚であると。夫婦完結出生児数は 1.7人というふうな仮定を置いております。その結果としまして合計特殊出生率が1.26、1 5歳から64歳の生産年齢人口比率は約5割、65歳以上の人口割合は4割と推計されており ます。  これに対しまして希望がどうなっているかというのを次に書いてございます。各種調査 によりますれば、急速な少子化は国民の希望の結果ではないと考えられるのではないかと。 既婚と結婚希望のある方を足しますと9割以上あると。希望の子供数は2人以上というこ とになってございます。これについては後ほど資料2−2の方で説明を詳しくいたします。  潜在出生率に基づく仮定人口試算ということで、少子化の状況を要素分解して分析して 効果的対策を検討するというためにこういった国民の希望との乖離、国民の希望が一定程 度かなった際の姿の試算ということは有意義だろうということでございます。これは後ほ ど資料に用意いたしましたが、先に書きましたけれども、これで最大1.75程度まで改善さ れる余地があるのではないかという状況になっております。  次のページでございます。いろいろと御議論がございましたので、あえてここで仮定人 口試算の性格という形で載せておきました。結婚とか出産と言いますものは一人一人の選 択に委ねられるべきものでありまして、この試算というのはいわゆる出生率目標ではない のだということをあえてここで記載をいたしました。これによりまして国民の希望が一定 程度かなった社会の姿がどうなるか、国民の選択に影響を与える要因の改善に効果的な施 策の分野は何かということを明らかにするということが重要であるということを記載し ております。  3でございます。必要な労働力が確保されて持続的に発展でき、かつ国民の結婚や出産 に対する希望がかなう社会の姿はどういうものかということでございます。これまでの御 議論と本日、御議論いただきたい事項もございますので多少、穴があいているところもご ざいますが、とりあえず説明をさせていただきます。  労働力人口の状況としては今後、新たに労働市場に参加する世代の人口は継続的に減少 していくと。労働力人口減少の緩和のために若者、女性、高齢者の労働市場参加の促進が 必要であるということであります。  我が国の女性の労働率の向上と出生率のトレードオフの関係。我が国の現在の女性の労 働力率の上昇というのは主に未婚率の上昇によるものであると。これまでのように女性の 労働力率の上昇が未婚率の上昇を通して出生率低下につながっているという、そういう構 造のまま、さらに女性の労働力率の上昇を図りますとさらに少子化が進行いたしまして、 2030年以降の現役世代人口が急速に減少するということではないかということでありま す。  次のトレードオフ関係を両立関係に変えていくためのシステムの改革ということであ ります。外国では女性の労働力率と出生率の両方が高い国というのがあるということであ りますので必ずしもトレードオフ関係に完全にあるというものでないと。我が国がそうな っているということだと思いますので、こういうふうに書きました。持続的に経済が発展 し国民が安心して暮らせるために、これまでの構造を変えて女性の労働力率向上と出生率 の維持・回復をともになし遂げられるようなシステムへと変革していくことが必要である ということであります。  その次でございます。これは本日、資料を用意しておりまして御議論いただきたい部分 でございますが、枠組みだけ用意をいたしました。結婚や出産に影響に及ぼしていると考 える要素ということであります。各種の調査・研究から国民の結婚や出産に関する選択に 影響を及ぼしていると考えられる要素を整理すると次のようになるのではないかという ことであります。  例えば前も御議論がございましたが、男性の結婚については経済的な状況、安定的な就 業といったものであるとか、第1子、第2子の出産で女性については仕事と家庭の両立環 境であるとか、そういったことがございますので、そういったものを整理するという形に してはいかがかということでございます。  というところの御議論を踏まえてということになりますので、下に括弧書きで入れてお りますが、ちょっと先走ったようで申しわけございませんが、下にどういうふうにしてい くべきかというのを載せております。こうした結婚や出産に影響を及ぼしていると考えら れる要素に即して変革を進めると。それによりまして男女とも家族を大切にしながら働き 続けることができ、それを地域が支える社会を構築することが今後の我が国の人口構造の 推移と持続的な発展にとって不可欠という定性的なことでありますので、先にちょっと書 かせていただいております。  次のページでございます。3ページ目でありますが、4として当面、焦点を当てて取り 組むべき施策分野というふうに整理してはいかがかと考えております。これは要素別の乖 離の状況ということで参照コホートに当たります1990年生まれの世代の少子化要素別の 乖離の状況というものをここに記載してみてはどうかということであります。これも資料 を後で用意をいたしております。生涯未婚の状況の乖離、出生児数と希望、1子、2子、 3子、これも推計と希望の乖離というものをここで確認してみてはいかがかと思っており ます。  これを踏まえまして先ほどの分野別の効果のある施策というものを整理できますれば、 それとあわせましてその下に焦点を当てるべき要素、速やかに取り組むべき施策分野、こ ういったものを記載できるような形にできればいいなと思っておりまして、こういうふう な骨子にさせていただきました。  引き続きまして資料2−2の方をごらんください。1ページ目に潜在出生率に基づく仮 定人口試算の仮定の設定ということで整理をいたしました。これは人口の試算をするに当 たりまして、これまでの調査からわかりました国民の結婚とか出産に関する希望から導き 出される合計特殊出生率を、これは試算結果ではなくて試算の前提に当たるものでありま すが、それをどのように示していくかということの試算でございます。  真ん中のところにございます式が新人口推計における合計特殊出生率の値であります。 生涯未婚率が23.6%でありまして、夫婦完結出生児数が1.69となっております。離死別の 影響が、これが中位推計の2055年ごろの影響度をとっておりますが、0.97〜0.98程度とい うことでございます。これを掛け算いたしますと2055年段階で1.26という形になっており ます。  その下でありますが、今回、とりあえず仮定出生率というふうに置いておりますが、こ ういった仮定の出生率をどうするかということがありまして、何を潜在出生率と呼ぶかと いうのもございますが、とりあえず仮定出生率を置きましたが、数字としては前回、お示 ししました希望として現在の若者の世代の結婚の希望が、未婚率を出してみますと10%未 満と書いてありますが、結婚の希望は9割以上ございますので、未婚率は10%未満である ということを置きました。現在の若年世代の子供に関する希望が2人以上ということがご ざいました。  前回もお示ししましたが、こういった掛け算をすると、そのままですと1.8ぐらいとい う数字でありますが、離死別の影響というものをございまして、これが0.96〜0.97、これ は対象にしております参照コホートの出生が終わる時期が2040年ごろでございますので、 2040年ごろの影響度が0.96〜0.97と見込まれておりますので、これを掛け算いたしますと 1.75程度ということになってございます。マックス1.75ということで、これからどのよう にさらにケース分けをするかということでございます。  次のページ、2ページ目をごらんください。今の1.75を模式的にグラフに落としたもの がこれでございます。ケース分けをいたしました。この2040年、これはこれから出生年齢 に入る1990年代の女性が50歳となるときが2040年でありますが、この2040年に結婚や出生 の障壁が一定程度解消されている場合ということの仮定で置くとしたら、こういう仮定を 置くということで出生率の仮定でございます。  先ほど見ましたように2040年で1.75ということでございまして、2055年までいきますと 外国人との影響等がございましてちょっと上がりますが、これは1.75というふうに2040 年で見て計算してみたらどうかということでございます。その時点での12月末の新人口推 計の中位で見ますと、一番下のところでありますが、これは最終的には1.26でありますけ れども、2040年の段階では1.25という数字でございますので、この1.25と1.75の乖離とい うものを、例えば3分の1かなかった場合、2分の1かなった場合、3分の2かなかった 場合というふうに分けますと、程度ということでございますので端数を落としております が、ケースII、III、IVとしておりますように3分の2程度、希望がかなうとするならば1. 6、2分の1かなうとするならば1.5、3分の1かなうとするならば1.4、それぞれ程度と いうことでありますけれども、こういった形の前提を置いて人口の形の試算をしてはいか がかと、そういう形でいかがかという、そういうケース分けでございます。よろしければ この形で次回までに人口の実際、高齢化率がどうなるかとか、そういった何人ぐらいの人 口構成になるかということで試算をいたしたいと考えております。  次のページ、3ページをごらんください。先ほどごらんをいただきましたケースIから ケースIVというのは出生率として出ていることがございますので、これが要素に分解した ときにどういった形で達成される、もしくはどういった形で向上していくということにな るかというのを分けてみたものでございます。これは要素が未婚と子供の数でございます。 その2つで分けております。  左側の一番上の表は、これは未婚と子供の数がそれぞれ同じ程度解消されると。それぞ れに解消されていくというときにどうかというものでございます。例えばケースIになる ためには生涯未婚率は10%程度になっていなければならない。夫婦完結出生率は2.0人程 度になっていなければならない。これは試算の最初のものと同じでございます。ケースII、 これは1.6という出生率になるためには生涯未婚率は13%程度、夫婦完結出生率は1.9人程 度という状況になっていれば1.6というものが達成されるということでございます。ケー スIII、IVともに同様に出してございます。  下の表の左側でありますが、これはどちらか片方だけしか改善しないというふうな形で どこまで改善して、そのときに改善するものはどのぐらいの値になっていればいいかとい うものを出したものでございます。これは左右、それぞれ未婚率だけ解消される場合、子 供の数だけ解消される場合というふうに分けております。左側は未婚率だけが希望がかな う、ある程度、かなっていく場合ということで出しますと、これはどちらの場合もケース IとかケースIIにはどちらかだけでは到達いたしませんで、ケースIII、IVまではいくだろ うということがございます。これは左側でありましたら夫婦完結出生率は1.7という今の 値のまま、置きまして、未婚がどこまで上がるか、上がればいいかと。ケースIIIになるた めには10%程度、ケースIVになるためには15%程度ということでございます。  右側につきましては未婚の状況は変わらないとして、結婚した方の子供の数がどれぐら いになればケースIII、IVになるかということがございまして、これはケースIIIであれば子 供の数が2.0人程度、ケースIVであれば子供の数が1.9人程度ということになると。そうい うふうに要素分解をしたものでございます。  これが具体的にどういった形になっているかということを含めまして、前回、宿題をい ただいている部分もございますので、それを以下、次の資料から用意をいたしました。  4ページ目につきましては、これは前回、お示しをいたしておりますが、労働市場への 参加が進むケースにおける労働力率の変化、これは前回の人口推計に基づいているもので はございますが、今回に当たるというものではありませんが、こういったものがございま す。これを達成するような形の先ほどの希望がかなって、しかもこういったものを達成さ れるというのはどんな姿かというふうにちょっとフィードバックをしてみるという宿題 がございましたので、これをやってみたところでございます。これは前回見ていただいた ものでございます。  5ページ目も前回、お示しした資料でございまして、これも女性全体の労働力率がどう 変化していたかということと、未婚、有配偶にそれを分けたときにどう変化してきたかと いう資料でございます。未婚の方が全体に若年で高く、有配偶の方が低く、それが年齢を 追うに従ってだんだんそろってきているという形になってございます。これを前提として 先ほどの希望がかなった場合の未婚率が達成されるというのはどういうものであるかと いうことでございます。  6ページ目をごらんください。まず、わかりやすく30〜34歳の女性の労働力率というも のを取り出して形を見てみました。左側にございますように平成17年の実績では未婚率は 30%でございます。生涯未婚率が10%になるという場合にはどうなるのか、どうなってい なければならないのかということをモデル的に計算をしたものでございます。  未婚率が低下して、しかも、この年代の女性について労働市場への参加が進むと80%の 労働力率になるということ、前回の人口推計に基づいていますので若干、前提が異なりま すが、こういったものでございますので、それを入れてみた場合でございます。真ん中の 矢印のついているグラフでございますが、総数では80%にしなければならないとして、現 在の未婚の労働力率は90%ございますが、未婚と有配偶の比率が変わりますので、それを 上げていったらどこまで有配偶の方を上げなければならないかというのを考えたもので ございます。そうすると未婚率が低下して、かつ全体の労働力率を80%まで引き上げると いうことをするためには、有配偶者の労働力を大体78%まで引き上げるという必要がある ということになります。逆に有配偶者の労働力率が全然上がらなかった場合に未婚率が低 下した場合どうなるかと言いますと、全体の労働力は56%まで下がるということが右側に 書いてございます。  これは前提としていますのは上に書いてありますように未婚率がこの30代の前半で1 5%まで低下するということを前提にしております。これは生涯ですのでもうちょっと上 の年齢で結婚される方もおられますので、モデルとして生涯の未婚率が10%程度になる1 960年生まれの女性の30代のときの前半のときの未婚率が15%ぐらいでございましたので、 15%ということを前提に計算をいたしております。こういった形になるということでござ います。  それを全年齢に照らしたのが次のページの資料でございます。一番下の箱にありますよ うに生涯の未婚率が10%に下がるという1960年生まれの世代のそれぞれの年齢のときの 未婚率というのは、この下のそれぞれの年代の右側にあります、例えば20代の前半であり ましたら76%と、20代の後半でありましたら30%。こういった未婚率でありましたので、 それぞれの年代でこういうふうに移行したときにどういう形でなければできないかとい うようなものを書いたものがこれでございます。  上のグラフで左側の女性全体というところで下のグラフが今の状況で、労働市場に参加 が進んだというケースというのが上のグラフのようになるという形でありますので、それ にあわせるために未婚と有配偶に分解してみると、右側のように有配偶の方の労働力率が 80%前後に相当高く上がっていると、相当頑張って環境整備をしなければこういった形に はなりませんが、そういった姿になるだろうと。それによって労働力率を大幅に引き上げ ていくということをしなければならないというものでございます。  次のページ、8ページをごらんください。これは逆に未婚率が低下して、しかも、有配 偶の女性の労働力率が上がらなかったらどういう形になるかというものを示しておりま す。これは左側をごらんをいただくと点線で書いてありますようにそれぞれの年代が66% とか63%、こういった60%台前後に労働力率は全体として低下すると。そういった形にな るであろうということでございます。  最後のページ、9ページをごらんください。9ページにつきましては先ほどちょっと触 れましたが、将来人口推計の中における見通しております未婚率、子供数というもの、先 ほど申し上げた希望、未婚者の希望であります未婚率、子供数、既婚者の希望する子供に ついての整理をいたしたものでございます。  一番左の将来人口推計の見通しにおける数値でありますが、生涯未婚率は23.5%、結婚 経験者の子供数は無子、子供のいない世帯、子供のいない方というのは18.2%、1人のと ころが23.7%、2人のところが43.3%、3人以上というところは14.8%となるだろうとい う仮定値でありました。  これに対して希望値は真ん中の段ですが、これは生涯未婚率として10%未満になるだろ うと。結婚意欲のある方のうちの希望の子供数というのはどうかと言いますと、子供はい らないという方は5.3%、1人でいいという方は7.3%、2人以上というところが、これは 将来人口推計より多くなっておりまして61.3%、3人以上という方も多くなっておりまし て23.9%という値になっております。  一番右でありますけれども、これは既婚者の希望でありまして、現在、子供が何人いる かというところでさらに追加が何人欲しいかという希望値のデータがございますが、それ を上げております。これは現在、子供がいない世帯でありますと追加1.32人欲しいと。現 在1人のところにつきましては0.64人欲しいと。もう1人ぐらい欲しいという感じだと思 いますが、2人いるところで3人目が欲しいということがあるかどうかというところであ りますが、2子のところをごらんいただきますと0.08人と、余りそこに希望がない。3人 子供がおられるところで追加予定子供数というのは0.02人と、余りそこも余地がないと。 4子以上というところは0.04人と、こういった結果が出ております。これを見てどこに乖 離とか、どこに余裕があるかとか、そういったことを見る形で使えないだろうかというと ころでございます。資料の説明、以上でございます。  (度山少子化対策企画室長)  続きまして資料2−3、国民の結婚や出生に関する選択に影響を及ぼしていると考えら れるものということにつきまして、各種の調査結果をまとめた資料を準備いたしましたの で説明申し上げます。  これは結婚、あるいは第1子、第2子、第3子の出産ということにそれぞれいろいろな 障壁があると。その障壁を取り除いていくということで希望がかなうようにということを 考えた場合に、では具体的にどのようなものが障壁となっているというふうに考えられる かということについてさまざまな、時間的な制約と能力の制約がございましたので政府機 関の行った調査でありますとか、あるいは政府に関連いたします調査研究機関に投稿され ていたり、あるいはそこで行われていたりするものをまとめたということでございます。 ただ、例えばある世帯とある世帯を比べてこっちの世帯が産んでいるからといって、それ が直ちに要因だというふうに単純には考えられないというところもありますので、そのよ うな影響が示唆されるというような前提でお話を聞いていただければというふうに思い ます。  まず、最初に男性の就業環境ということでございますけれども、労働政策研究機構の調 査で就業構造基本調査の特別集計をして、例えば年収で比べるとどうかとか、あるいは就 労形態別に比べるとどうかと。これはお互いに恐らく相互に関連しているというふうに考 えられますけれども、男性で見た場合には年収が高いほど有配偶率が高い。あるいは正社 員、非典型雇用で比べますと正社員の方が高いというようなことがございます。  資料の方がクリップでとじてございますけれども、クリップを外していただきますと後 ろの方にグラフ化したものと表にまとめているもの、それぞれ見比べて聞いていただけれ ばと存じます。  グラフの方、1ページをおめくりいただきまして、これも以前、説明いたしましたけれ ども、21世紀成年者縦断調査の中でかつて独身であった方が2年間の間に結婚ができた方 についてそれぞれ仕事がどうであったかと言いますと、仕事のある方の方が結婚確率が高 く、その中でも正規、非正規に分けますと正規の方がたくさん結婚しているということで ございます。  3番目の図の3の方でございますけれども、出生動向基本調査の独身者調査で、いわゆ る結婚の意欲というものを見ております。結婚の意思がある方、いずれ結婚するつもりと いうふうに回答された独身の方で1年以内に結婚したいと、あるいは理想的な相手が見つ かれば結婚したいというふうに回答している方の割合というものを就業の状況別に見て おりますが、自営業、正規雇用の方は比較的高い結婚意欲を示しておられるのに対しまし て、パート・アルバイトという赤いラインのところでございますけれども、この方につい ては無職の方と同程度に結婚の意欲というものが下がってしまうといったことがあらわ れています。このようなことから推測をいたしますと、男性の場合にはやはり家庭を維持 するだけの経済力、あるいはそれが将来に対してどういう見通しであるかということが結 婚というものとかなり結びついているのではないかということが示唆されるというふう に考えられます。  今度、女性の方ですけれども、女性の方は以前から御説明しておりますように出産に伴 ってかなり職業の選択が変わるということがございまして、年収でどうかということがき れいに出てこないわけですけれども、さはさりながら就労形態、あるいは育児休業の利用 可能性というところで結婚や出産というものが随分影響しているのではないかというふ うに考えられるデータがございましたので紹介したいと思います。  労働政策研究・研修機構が行いました仕事と生活の両立というレポートの中での調査と いうことですが、女性が最初に雇用された初職における勤務先で勤務形態、雇用形態がど うであったかと。あるいは育児休業の制度があったか、なかったかということで、特に1 961年〜75年生まれ、これはレポートによりますと職業についたときに均等法が施行され ていたかどうかということで前の世代と後の世代というものを分けているようでござい ますが、前の世代はそれほど影響がないのに対しまして、均等法施行より後の世代につい ては、例えば正規と非正規でどうだったかというと、非正規雇用の方というのが未婚の割 合がかなり高くなると。育児休業があったかなかったということについて言いますと、育 児休業がなかった、あるいは利用ができないという方でやはり未婚が多くなっていると。 逆に育児休業につきましては1961年〜75年生まれの方でもそれが利用できるような方に ついてはそれ以前の世代の方と同じように結婚をし、出産をしているというようなことが 分析をされています。  表の方のページをおめくりいただきまして、グラフの方もおめくりをいただきまして、 これは以前、説明いたしましたけれども、成年者縦断調査で子供が生まれている世帯とい うものの妻が就業していて、育児休業制度が利用可能かどうかということで切っておりま すけれども、制度があるところにお勤めの女性の方が多く子供を産み、しかも、利用しや すい雰囲気があるとそのパーセンテージが上がるということでございます。このように就 業が継続できるような環境にあるかないか、恐らく非正規の方はなかなかそこで雇いどめ などがあったりして就業継続が難しいというようなことが言われておりますので、そうい った環境にあるかどうかというのが、子供を持つか持たないかということもさることなが ら、その手前にあります結婚を選択するかどうかというところにも影響が考えられるので はないかということではないかと思います。  単純な分析でないのでグラフは準備できなかったのですけれども、財務総合政策研究所 でまとめられました研究会の中のレポートの中に勤務先に育児休業があった場合には子 供を産む確率というものが高まると。しかも、それは無職、出産に伴って仕事をやめた方 よりも出産確率が高まるという分析もございました。ただ、この勤務形態が長時間労働で あるということになりますと、この影響が出て出産確率が低下するというようなことがご ざいましたので紹介申し上げます。  次に男性の働き方、あるいは男性の家庭内での育児、家事の分担ということで、これは 恐らく表裏一体の関係にあるというふうに考えられますけれども、紹介いたします。最初 は成年者縦断調査で、これ、以前にも御紹介いたしましたけれども、どのような家庭で生 まれているかということで、割と仕事時間が多かった、労働時間が長かった家庭で労働時 間を減らしたところに子供が多く生まれていると。あるいは子供が生まれる前に休日とい うことではございますけれども、家事・育児の時間をふやした家庭に多く子供が生まれて いるという結果になっております。  1枚おめくりをいただきまして、具体的に何時間ということ以外に、例えばパートナー から見て家事・育児を分担してもらっているというふうに感じるかどうかということの分 析でございますけれども、妻から見て夫が家事・育児を分担しているというふうに回答し ている世帯の割合を子供の出生があった世帯となかった世帯ということで分けて見て、や はり同じく成年者縦断調査でございますけれども、子供が1人、あるいは子供が2人とい う家庭において家事・育児を分担しているというふうに妻が思っているところの割合が子 供が生まれた世帯では高くなっているというような調査結果がございます。  もう1枚おめくりいただきまして、妻の出産意欲、もう1人、子供が欲しいと思うかど うかということで調べたものでございますけれども、これもやはりパートナーから見て夫 が家事・育児をしているという世帯、特に子供がいるという、既に子供が1人ないし2人 いるという世帯で夫が家事・育児をしているという世帯の方がいないという世帯の方に比 べてもう1人欲しいという意欲が変わってくる、高まると。逆に家事・育児をしていない 場合には意欲が弱まってしまうというようなことが見えているところでございます。  グラフと表、両方おめくりいただきまして、これも以前、説明した調査結果ですけれど も、社・人研の方で行われた全国家庭動向調査の方でも同じように夫の育児参加度合いが 高まる方が、平均的に追加予定子供数が多くなる傾向があるということでございます。妻 の就業継続も高めると、高くなるというようなことが示されています。  表の方で解析が複雑だったのでグラフ化できなかったのですけれども、経済産業研究所 の方でまとめられた本の中の男性の家事・育児参加と女性の就業ということの分析の中で は、これと同じように夫の家事分担率が多いということが出産に伴っての妻の継続就業を 促す効果があるというようなことと、労働時間が長いと家事・育児参加と、特に育児の参 加の時間をなかなか持てなくなるというようなことが紹介をされておりました。  周辺的な環境、あるいは育児支援サービスの絡みでグラフはございませんけれども、保 育の利用可能性ということですけれども、3〜5歳児の保育園通園者の割合が高い自治体 というものに住んでいらっしゃる女性の結婚確率、出産確率が高いということ。ただ、1 歳児入園待機者が多い。これは育児休明けの保育ということだと思いますけれども、そう いった時点で待機者が多いということになりますと、結婚の確率が下がるというようなこ とが紹介をされております。  育児不安との関係では全国私立保育園連盟が調べられた調査でございますけれども、母 親の育児不安の程度が高まるともう1人、2人産む、何人産むかという追加の出産意欲が なるといったようなことがございます。育児不安というのはさまざまな要素によって構成 されるわけでございますが、ページを1枚おめくりいただきまして、配偶者の意識や子供 のかかわりですので、例えば母親の場合には父親の方、夫の方が育児や子供とのかかわり をどういうふうに持っているかということですが、相手の育児や子供とのかかわりについ て満足しているか、不満であるかということで不満な方の方が育児不安が高い。逆に満足 度が高いと育児不安が弱まる傾向があることが言われています。あるいは地域からのサポ ートという意味では保育園、幼稚園から保護者に対するサポートが多いか、少ないかとい うことで、特に母親に関して言うとサポートが多い家庭の方が育児不安の程度が低いと、 このようなことが分析をされております。  ずっといろいろな企業の育児休業の制度でありますとか、家族における、特に男性の家 事・育児参加と、保育の利用可能性といったものを個別に見てまいりましたけれども、先 ほど御紹介いたしました労働政策研究・研修機構の仕事と生活の両立というレポートの中 では、これらのことが総合的に結びつきますと第1子出産時の女性の方の就業継続を高め る効果があると。ただ、それぞれ単独ではこれはなかなか難しくて、相互に組み合わさる ことで就業継続を高めるということが出ておりましたので関連として紹介いたします。  最後、費用負担の面ではなかなか子供が生まれる瞬間に特にお金がたくさんかかるという わけではない。特に教育費の負担が言われますけれども、子供を持つ選択と実際に教育費 を支出する時点でかなり時点のずれがありますので、教育費の負担感というものと子供を 持つ選択ということで、これは幾つかの自治体で調査をした結果の分析ということですけ れども、実際に予定子供数があって、それ以上の子供を持たないのはどういった理由です かと。例えば予定子供数が2人であるとするとなぜあなたは予定子供数が2人までなのか、 3人目はなぜ持たないのかというところの要因として、教育費の負担、教育費がかかり過 ぎて子供一人一人に十分にお金をかけてあげられないからというふうな理由を上げる者 というものが予定子供数別、あるいは出生年代別に分析をされております。  年次が後にいくほど、教育費負担感というものが高まっているという傾向があるという ことと、0人、1人、2人、3人、4人というところで切ってみますと、どの年代におい ても1人から2人のところがかなり大きく教育費負担感のウエイトが上がっているとい うことで紹介されています。ただ、近年、出生年別で言いますと1970年以降の生まれにつ いては0人や1人のところでもこの負担感というものが高まっているということが紹介 をされています。以上、早口で申しわけございませんでしたが、紹介申し上げます。  (貝塚部会長)  どうもありがとうございました。議題の1の方はいわゆる将来人口推計についてのこと であります。2番目は相当多面的な話がありますが、前回まで御議論いただいた人口構造 の変化をめぐる論点についてもう少し新しい論点も含めて骨子案として出されているも のです。今、御報告いただいたのはいろいろな形での研究、今までの調査・研究の中で我々 が少子化に対応するための政策を考える場合のヒントになるような調査結果研究がある かどうか、幾つかのかなり調査それ自身はいろいろな形で行われているわけですが、そう いう点の過去の調査研究結果について御紹介があったわけであります。  とりあえずそういうことで御説明をいただきました。これまでの説明について余り話が 分散してしまうと困りますので、最初に将来人口推計にかかわるところで何か御質問があ りましたら。それから第2番目は先ほどの骨子案に関連して、それから第3番目はやはり 政策の選択肢についてということではないかと思いますが、最初に人口推計について何か 御質問、あるいは御意見があったら聞かせていただきたいと思います。余り題を限定して しまうとあれですけれども、その他の論点についてもどうぞ御自由に発言、お願いいたし ます。  今回、要するに簡単に言えば将来推計人口というものをどういうふうに読むかという問 題がかなり重要なポイントだと思いますが、いかがなものでしょうか。最初、資料1が直 接は関係しておりますが。どうなのでしょうかね。人口推計というものを見たときにどう いう感想を持つかということですね。ある意味で重要なやはり日本の少子化、そのことに ついて今まで人口推計というのは何回か行われてきたのですが、今までの人口推計は今日、 専門家の阿藤先生がおられないのですが、なかなか要するに将来を考えたときに後で追い かけることですね。すごく乖離が発生したということがそうなのですね。今回は多少、い ろいろ考え方を変えて、しかしいずれにしても将来人口推計というものが新しく出たわけ で、これを見てどういう感じを持つのかというのは、わかりやすく私などがちょっと見る とやはり人口の高齢化、少子化というのはやはり予想以上に進んでいるということはそう ではないかという気がしますが、皆さん、どうぞ、御自由に。どうぞ。  (鬼頭委員)  感想です。私、翌日の新聞各紙を集めて読んでみたのですけれども、ひところよりは相 当冷静になってきたのかなという印象があります。昨日は日本経済新聞社が日本経済研究 センターの推計、人口推計と世界推計を東アジア諸国、ASEAN、EU、世界人口とい うふうにやって、人口、ここの研究課題と重なってくると思いますけれども、人口変動が 経済にどう影響を与えて経済が人口にどう影響を与えるかという試算を出していました けれども、それをもう少しまだ悲観的な数字ですね。  だけれども、中国などでも2030年過ぎると人口減少が始まると。韓国は20年代から始ま るというふうな一覧表を載せていますと、日本は確かにもう人口減少始まっているのです が、後から続く国々もそうなってくる。ベトナムも21世紀前半のうちに人口減少するのだ というような推計でやっていますから、受け取り方はひところよりは冷静になってきてい る。むしろそれを前提にして社会を組み立てなければいけないということを強調するよう になってきたのかなというのが私の感想です。  (貝塚部会長)  他にどうぞ。将来人口推計をめぐるどういうふうな感じを持たれたかということですが。  (樋口委員)  後から来まして2番目にしゃべるというのも何ですが、感想ということですので感想を 述べますと、1.26の重みと言いますか、怖さと言いますか、それはやはり痛感したという 感じがします。  1.26、現在も1.26ですが、従来は1.34でしたか、それまで上がる。前回、上がるという、 39ですか、まで上がるというのは、1.26ということで出生率が変わらないとしてもあれだ けの変化が起こってくるのだということで、これ、下がったらもっと大変だというような ことですね。  特に50年後、2055年の年齢別の人口構成を見ると確か15歳以下が1,000万人減って、65 歳以上が1,000万人ふえると。そこのところは相殺するわけですね。そうすると真ん中の1 5歳〜64歳のところが3,800万人、確か減ったと思いますが、それがそのまま人口の減少と いうようなことになってきて、確か1人の65歳以上の高齢者を何人の生産年齢人口で支え るかというようなものを見たら、これがちょっと驚きという、ちょっと手元に数字がない のですが、現在が3.2人。  (城政策企画官)  現在、3.0人で1人のお年寄りを支えるという状況であるものが、2055年だと1.2人で1 人支えるという状況になりますね。  (樋口委員)  そうですね。特に生産年齢人口でも半分は女性ですから、女性のうち、今、就業してい る人が例えば50%というような形にしますと、結局、1人以下で1人の高齢者を支えなけ ればいけないというようなことなのですね。  これは相当に生産性が上がらないととてもできない数字だろうなと。何とかこれが外れ ることを期待したいというようなところが強く思っていまして、下に外れると困るのです が、上に逆にアンドエスメントだったというふうになるためにはやはりどうしたらいいの だろうかというようなことを政策の力というものもかなりあるなと。  ショックだったのは先週、フランスの昨年の出生率が2人を超えましたというのが出て いるのですね。わずか90年のとき、確か1.63とか、そこら辺の数字だったのがわずか13 〜14年で2人を超えたという数字と対照的だったので、ここのところはちょっとやはり何 かあるのではないか。政策の力というものは全く力がないわけではないというようなこと を強く感じたというところです。  (貝塚部会長)  ほかにどうぞ。佐藤先生、いかがですか。将来人口推計に関してどういう印象を。  (佐藤委員)  人口推計ですか。それは樋口さんと同じ意見なので。  (貝塚部会長)  同じですか。そうですね。それでは話題を少し広げまして、先ほど来、資料の2−1で すね。これまでの議論の整理、骨子案ということ、この骨子案についても御議論いただき たいと思いますが、これは前、議論した点ですが、要するに潜在出生率というふうにちょ っと名前は変わったわけですが、好ましいと思われると言いますか、希望する出生率ない しは子供の数ということですね。そういうことをある程度、念頭に置いたのですが、余り 出生率それ自身を政策の目標に置くということ自身についてはかなり違和感があって、こ こでは話は割合とマイルドな形で、そういうポイントがかなり重要であるということです。  それから、2ページ目の話は結局、いろいろな人口の変化というものをかなり動かせな い要因が非常に多いので、そうすると先ほど、樋口さんも言われた点と関係しますが、一 体、どういう経済社会をイメージするかというのが今までと違った点はどういう点かとい うことをうまく明示できるかどうかということ、そのイメージとそれが望ましいか望まし くないかという話もあるのですが、将来の社会というのが今とどういう感じで変わるかと いうあたりはかなりやはり重要な、余り経済白書とか、そういうのは得意ではないのです が、それはかなり重要な点で、そういうものと対応してこの種の問題があるというふうに 私などは考えますが、その辺のあたり、いかがなものでしょうかね。どうぞ。佐藤先生。  (佐藤委員)  推計の方で一つは未婚率が1990年生まれの人は生涯未婚率10%ということなのですけ れども、伺いたいのは今、現時点で例えば20代後半の人が30代前半の人の未婚率が例えば 5年後とか10年後、どうなるか。つまりそこもかなり相当上げる。90年生まれの人の10% という、ほかの層も多分、未婚率が予想以上に下がっていくということだと思うのですが、 イメージとして今の20代後半の人の生涯未婚率、どんな感じがという、ちょっと伺えると イメージがわくかなという、それが一つです。  もう一つはやはり論点にもかかわるのですけれども、この7ページの資料の2−2。や はり生涯未婚率が下がり、他方で労働力率がさっき樋口さんが言われたような現状の女性 の労働力率を上げていかなければいけないと。この7ページのところを見ると、つまり今、 未婚の労働力として高いのは有配偶の労働力というのはほとんど動いていないのですよ ね。結局、これを大幅に上げなければいけない。ですから、ここが相当、企業の中の両立 政策が相当この10年、15年の中で変わっていかないと難しいということだと思うのですね。  つまり、ですから、かなりの人は妊娠したらやめていっちゃったりするのが継続し、数 は1人でなくて2人目も産み育児休業をとって働き続けるような働き方をつくっていく。 それをするには男性の働き方も変わらなければという、かなりこれはまさに日本の社会の あり方を変えていくことが起きないと結婚して、かつ女性が働き続けるというような仕組 みに変えて、ここをどうやっていくかということを出さないと本当にやれるのという、こ の推計の7ページを見てしまうと多分、そういうふうに思われるのではないかなというの が一番大きく感じたことです。  (貝塚部会長)  今の御質問に関しては。  (佐藤社会保障担当参事官室長補佐)  初めの未婚率、20歳代後半の未婚率というお話ですけれども、この試算自体、そこまで 精緻にやっているものではないですけれども、参考としては7ページの一番下のところを 見ていただきたいのですけれども、過去の世代を見てみますと1960年生まれの人は大体、 生涯未婚率が10%ぐらいだったと。その人たちがどのぐらいの未婚率だったかというのを もとにこの7ページの計算をしていますので、その下の矢印で書いているところ、ですか ら、今、足元では平成17年は大体、6割ぐらいが未婚なわけで、58%が未婚となっていま すけれども、それが1960年生まれの人は大体30%ぐらいだったということであります。だ から、このぐらいまで下がるということを大体想定しているということになるのだと考え ています。  (佐藤委員)  これは1990年生まれの人が25歳になったとき、20代後半になったとき30%ぐらいにとい う話ですよね。今の20代後半の人も多分、推計するときには動いていく、揺れると思うの だけれども、そこも相当結婚するというような感じの推計になっちゃうのかどうかという、 そこもかなり高く推計するときに出てくるのか。その人は希望していますかね。結婚した いと言っているわけだから。つまり相当高くなるようなものになるということなのでしょ うか。  (佐藤社会保障担当参事官室長補佐)  はい。1990年生まれの人がここまでいくのですけれども、その間というのは突然上がる わけではないですけれども、徐々に上がっていくということで、それなりにだから、結婚 がふえていくというような前提だと思います。  (鬼頭委員)  今のお話と関連するのですけれども、初婚年齢について伺いたいと思うのです。私、授 業で先週、学生に人口人生創作ことわざというのをつくらせまして、100ぐらい集まった のですけれども、その中に例えば「孫はミニチュア・ダックス」とか、つまり子供がいな いということですけれども、「子1人で笑って暮らす」とか、子供1人だったら何とかや っていけると。もう一つ、その中に「子ができて早婚、キャリアで晩婚」というのがライ フコースの違いによって随分変わってくるという話があったのですね。これは大体、20 歳より下の18〜19歳の学生なのですけれども、そんな将来イメージを持っている。  今、お話のあったところで生涯未婚率が10%未満ということ、1985年ごろの数値になっ た場合ということで計算されているのですが、そのときに生涯未婚率は10%であったとし ても駆け込み型で50歳近くになってから皆、ドッと結婚するというケースと、前倒し型で 早くからじわじわと結婚していくケースとでは大分、出生率、違ってくるのではないかと 思うのですね。前に人口の推計の人口部会のときにお話、勉強させていただいたのですが、 女性の年齢別の妊娠確率、あるいは妊娠率、これが明らかに30代後半からグッーと落ちて いく。  ですから、そういうことを考えると生涯未婚率だけでいいのかなと。あるいはもっと別 の言い方をすれば社会にアピールするときに、生涯未婚率がこのぐらいと言っても何歳で 結婚すればいいのかという、ピントこないと思うので、むしろ何かモデルみたいなもので 何歳で結婚していくとこうなりますというような、別の年齢別出生率と結婚年齢を組み合 わせた何かシミュレーションみたいなものもあったらわかりやすいのかなというふうに 思いました。  (貝塚部会長)  どうぞ、前田委員。  (前田委員)  今、鬼頭委員からの意見で余り私、明るい話題が提言できないのですけれども、やはり 今、この有配偶女性の労働力率を上げるにはある程度の年で結婚しないといけないという ことを今、鬼頭委員のお話を聞きながら思いましたのは、今の結婚年齢も上がり、子供の 出産年齢が上がっていますので、40代前半が皆さん、子育て盛りと言うか、子供しながら 仕事の両立にかかるのですけれども、親御さんの今、結婚、非常におそい世代始まってい ますので、親の介護や病気がいよいよ始まり出すのですね。  ですから、これは企業だけではなくて高齢化率があるということはもう後期高齢者がふ えますので、介護の介護保険の今、増大もすごい大変ですけれども、話題を余り広げると あれですけれども、急性期病院が入院日数短くして在宅医療だということで療養病床群、 今、厚生省では削ろうとなさっていますけれども、そうしますとやはり長男、長女の時代 ですので仕事をやめざるを得ないという人たちが出てきていますので、これは職場の問題 だけではなく、一方で高齢の親の介護の方の解決もどう図るかとやらないとなかなか難し いというのが現場で今、起こっています。  もう一つは厚生省の方も今、調べられていると、NICUのベット数で実際にはNIC Uというのは3週間ぐらいで退院するのが理想だということで医療機関さんもそうなっ ていると思うのですけれども、実際には調べられたらもう2年、3年いる子たちがいると いうので、これは明らかに高齢出産がふえている影響が大きいです。高齢出産、早期流産、 非常に多いということで、ですから、女性の生き方をやはりこうあるべきだという強要す るとか、そういうことはいけないと思うのですけれども、やはり出産適齢期というのはや はりあるのですよね。  結婚や恋愛は幾つになってもできますけれども、生物学的にやはり健康な子を産める、 やはり働く親たちにとっては子供が健康か病気かというのはやはりその後の職業人生も すごく左右しますので切実な問題になりますので、すごく難しいのですけれども、幾つで 結婚して、今、就職も第2新卒がすごくいいですので、ちゃんとした職業というか、見つ けるのが30代ぐらいですので、それから結婚、出産になるのですけれども、そこら辺です よね。国会議員の野田聖子さんのような方でも女の人はいつでも妊娠できると思っていた と。もっと早く知っていたらというふうにおっしゃっていますので、その辺の何かうまい アピールがないかなというのが実感しています。  (貝塚部会長)  大石委員。  (大石委員)  6ページ、7ページは本当に興味深くて、特に7ページのような姿はぜひ、企業の方た ちにアピールしないといけないのではないかなと思うのですね。幾つかパラメータがあっ て、未婚と有配偶の割合、つまり未婚率と有配偶者の労働力率とトータルの労働力率とい うパターンがあるわけですけれども、こちらでは書かれていませんけれども、ざっと計算 すれば今の未婚率30%のままで労働力率80%にすることはもう不可能と。有配偶女性の労 働力率が100%超えないと80%はもうできないということになりますし、逆に今のような 労働力率、未婚と有配偶のパターンそのままということで労働力率を80%にすると、ちょ っと簡単に計算すると未婚率75%にならなければいけないらしいので、もう再生産なき労 働ということになるというのがはっきりしましたので、そうするとやはり企業の方たちと かにアピールするのに7ページのグラフというのはとてもインパクトが強いと思います ので、ぜひ、このところは何か大きく使っていただけるといいのではないかなというふう に思います。  今の前田委員がおっしゃった介護関係の話ですけれども、やはりもう生涯未婚率、これ だけ高いような世界になりますと、有配偶の妻だけが介護をするなんて思っていたら大き な間違いで、もう未婚男性も介護問題ががんがんかかってきて退職を余儀なくされるとか ということにも十分なり得ますので、やはりそのあたりのことも企業及び社会に発信して いけたらいいのではないかなと思います。以上です。  (小塩委員)  私も6ページから7ページにかけての図は非常にショッキングでして、今まで女性の晩 婚化、非婚化が出生率の低下に大きな影響を及ぼしているというふうな話を聞いていたの で、もうちょっと早めに結婚してもらったらいいのではないかというふうに単純に考えて いたのですけれども、そうなると経済、労働力に大きな影響を及ぼすというのは非常に今 までちゃんと勉強してこなかったことですので、これは非常に重要な点だろうというふう に思います。  話を変えさせていただきたいと思うのですけれども、今まで潜在的出生率について何回 か議論がありまして、最終的な報告に向けて、きょうはもう数字が具体的に出たというこ とでありまして、議論はかなり進んできているというふうに思うのですけれども、これか らこの数字が何らかの形で世の中に出ていくというふうに思うのですけれども、いろいろ な批判に対するディフェンスなり、あるいは説明の仕方を考えておく必要があると思いま す。  現時点の報告書でちょっと弱いなというふうに思いましたところを申し上げたいので すけれども、今までの議論の整理の骨子案を拝見いたしますと、要するに潜在的出生率と いうのは人々の結婚や出産に対する期待や希望が100%か50%かわからないですけれども、 満たされたときにどうなるか。それを機械的に計算した数字であるというふうな、そうい う位置づけだろうと思いますし、それは政府の目標ではないというふうなことも書いてあ りますので、それはそれ自体としていいと思うのですけれども、ここで我々が暗黙の前提 に置いていたのは何かと言いますと、人々の結婚やあるいは出産に対する希望がそれほど 将来、変わらないということなのですね。  ところがその前提は非常に怪しいということです。ひょっとすると人々の結婚や出産に 対する希望そのものが変わってしまう可能性もあります。それでそういう危険性はないの かなというふうに思っていろいろな図表を見ているのですけれども、例えば先ほど見せて いただいた表の中で、例えば図の3というのがあります。資料集です。図の1というのが ありまして、図の3というのがあって、就業形態と結婚意欲という、これは男性の未婚の 場合ですけれども、これを見ますと安定しているなというふうにわかりまして、ちょっと 安心したのですけれども、よく考えてみると、これ、それぞれ就業の状況別で見て安定し ているわけでありまして、そこで安定していても就業の構造が変化している可能性がある わけですね。  例えばここで言うと、パート・アルバイト、あるいは非正規の人のウエイトが高まると いうことになりますと、全体で見た場合の結婚に対する意欲が低下しているかもしれない。 将来、さらに低下してくるかもしれないですね。そういうようなことを考えると、人々の 希望が満たされればどうなるか、また、その希望を満たすためにはどういう政策的なパッ ケージが必要になるかという話を今までしてきたわけなのですけれども、ひょっとすると 希望そのものを現時点の水準に維持するために、さらに追加的な政策努力が必要になると いうふうなことになります。  そういうことを考えるとちょっとアップバイアスがかかっていると言うのですか、数字 を慎重に解釈する余地が出てくるだろうというふうに思います。100%、期待や希望が満 たされたとしても1.75までいかなくて、ひょっとすると1.50になってしまうというふうな 危険性があります。それは十分認識しておく必要があると思います。これは一つ目ですね。 その潜在的出生率に対する解釈の仕方で留意すべき点です。  もう一つの点を申し上げますと、これはあくまでも人々の希望、期待が満たされたとき にどうなるかという、そういう数字ということで、それはそれなりに結構なのですけれど も、それとやはり世の中全体で望ましい数字の議論というのはちょっとずれているのです よね。個人的に最適な出生率と社会全体にとって最適な出生率というのはずれがあります。 それは一致させる必要は全くないと思うのですけれども、人々の希望が完全に、あるいは 50%なり、75%満たされたときに出生率の水準がどういうふうなインプリケーションを持 っているのかというのはやはり考えておく必要があると思います。  例えば先ほど幾つかのケースで潜在的出生率の数字を掲げていらっしゃいますけれど も、1.75までいくというのはほとんど難しいと思うのですけれども、例えばケースのIVと いうのがございますね。そうすると2040年、あるいは2055年で出生率1.40まで回復すると いうことです。これは2004年改正の公的年金の姿、あるいはほかの社会保障制度で想定し ている1.39をちょっと上回るということですから、現行制度で何とかいけますよというふ うな、そういう政策的なインプリケーション持った数字だと思うのですよね。  それは社会保障の面なのですけれども、先ほど来から問題になっている労働供給への影 響というものから見てもそれぞれの潜在的出生率の値がどういうふうな意味合いを持っ ているのかというのはある程度、考えておく必要があるというふうに思います。  繰り返しますと人々の希望が満たされるということとそれが社会全体にどういうふう な意味合いを持っているのかと。その両方、見ておく必要があるだろうなというふうに思 います。以上です。  (貝塚部会長)  他にどうぞ、御発言があれば。どうぞ、榊原委員。  (榊原委員)  済みません。ちょっとおくれて来ましたので御説明をいただいたのかもしれないのです けれども、一つ、ちょっと教えてください。資料の2−2の7ページ、先ほどから話題に なっている7ページのところで未婚率の低下を図りつつということで、未婚をどうするの かという議論がいろいろあるのですけれども、この場合の未婚というのは事実婚も入って、 要するに結婚という婚姻制度に入っている人だけを指しているのか、入っていないけれど も、カップルになった人を指しているのか、どういう扱いをしていらっしゃるのでしょう か。  (城政策企画官)  下の表にあります未婚率の低下ということで書いています、これは事実婚を含むのです が、労働力率の調査の方がどうだったかというのがちょっと今、わかりかねますので確認 をしておきたいと思います。  (榊原委員)  このグラフではどうで、こちらの表ではどうでということを詰めて教えていただきたい という趣旨で伺っているわけでは実はないのですけれども、先ほど樋口先生の方からもあ りましたように、フランスの合計特殊出生率が2.008人でしたか、2.0を超えたと言われて いる中で同時に指摘されているのは結婚以外の事実婚と言うのですか、結婚以外のところ で生まれている子供の婚外子の方が実は多いということが言われていますね。  そのトレンドはヨーロッパのほかの国々でももう随分前から指摘されているとおりで、 日本で議論するときにはいつも結婚した後で子供が生まれるものという前提の議論にな っているので、婚姻率をどう高めるかとか、結婚の適正な適齢期はいつごろなのかという 議論になりがちなのですけれども、そういった前提のまま、これからもこうした数字を出 していくときに議論をしていくのか。それともそうではなくて結婚の枠に入る、入らない にかかわらず家族になった人、子供を持った人は支援していくというところまで施策を講 じていけばどうなるのかという、そこの議論というのも実は非常に大事になっているので はないのかという気がするのですね。  この間もちょっと記事検索などをしていたら、もう十何年前に国際家族年という年に既 に事実婚であるとか、夫婦別姓であるとか、婚外子の扱いであるとかという家族のあり方 が変わってきているのに、応じた日本の家族の制度の見直しというものが現実の課題にな ってきたと指摘されているのに実は現状、それから十何年たってほとんど動いていないと いう中で少子化がすごく進んだという面が、その関連ははっきりされていないにしても起 きている一方で、ほかの国々では婚外子がこれだけふえているところで出生率が上がって いると分析されているということを見てきた場合、出産の適齢期というのは生物の体のあ り方として出産の適齢期というのは確かにあると思うのですが、結婚の適齢期という置き 方という議論がいいのかどうか。それよりむしろ今後の特に50年後を見た議論をしていく のだったら、結婚の枠外でどんな支援をしていけば生まれる余地があるのかどうかという こともそれなりに想定した議論が必要なのではないかなという気がしましたのでちょっ と伺いました。  (貝塚部会長)  婚外子の話は私、専門ではないですが、以前に阿藤先生が言っておられたのは、やはり 日本は結局、婚外子というのは相対的な率は非常に低いというのがヨーロッパ諸国に比べ ると言っておられたのですが、そういう感じで、だから、今の状況は家族の概念とか、結 婚の概念というのは日本の場合は意外と古めかしいところがあって、事実婚でも事実婚に なっちゃったときにはもう結婚の届けを出しちゃって、だから、割と結婚してから出産す るまで期間は割と短いという人も最近かなりふえているのですね。だから、その辺の微妙 なところがヨーロッパとは違っている可能性は。  (榊原委員)  現実に違っているから結婚をした中でしかほとんどの子供が生まれていないというこ とはあるのだと思うのですけれども、それでもできちゃった婚がものすごくふえています よね。確かもう20%ぐらいですか。生まれている子供の。つまり婚外子なのですよ。本当 は事実上の婚外子だったのだけれども、結婚しないとさまざまな不利が振りかかってくる し、子育て支援もなかなか得られない、社会的な支援も得られないということで皆さん、 あわてて結婚しているけれども、結婚できなくて結局、子供を産めなかったという話もい ろいろな形で入ってくることを見ると、もう少しそこのところの支援のあり方が変わるこ とで出生率が変わっていく余地も相当出てきているのかなというのは、これは個人的にな のですけれども、感じてはいるわけですね。そこのところをどれぐらい数字に載せるかど うかということは別にして、結婚しないと子供が生まれないという議論だけでいいのかと いう疑問です。  (貝塚部会長)  確かに、やはり制度というか、そこのところは多分、やはりヨーロッパ大陸の北欧とか、 そういうところと比べると昔からかなり違うのですよね。日本の場合は結局、だから、結 婚して届けを出してという話が割合とバインディングな感じになっていることは間違い ないので、そこのある種の制約というのは日本社会で強いのではないのかなという気はす るのですね。  (鬼頭委員)  私もどう考えていいのかよくわからないので、きょう、学生がレポートを持ってきて、 いや、これは私のではないのですと言って出したのです。友達なのですと。本人、来ない のと言ったら、いや、実は子供が熱を出して来れないのですよと。学生で結婚しているの と。いや、学生同士で結婚したので、相手は金持ちだから何とかやっているのですと。い るのです。だから、そういう条件さえ整えば育てるというような風潮は少しはあるかなと 思うのですが、でも、一方では部会長おっしゃるように日本社会が婚外子に対して非常に 差別的な待遇をずっと続けてきた非常に厳しい面があったということが、それはなかなか とめにくい、人工妊娠中絶に走るか、あるいはできちゃった婚形式で届けをあわてて出す かというところに来たと思うのですね。  だけれども、ここから先はどちらかと言うと榊原委員の方に近くなってくるのですけれ ども、もし、それを制度的、あるいは伝統文化であるからなかなか困難であるぞというふ うに言っているとすると、男性が家事を分担する、育児を分担するということも日本の文 化だから、これはなかなか変えられませんよという話になってしまうと思うので、そこの ところはやはり一体化して我々はどう考えるかということで、それを容認するかどうかと いうよりも、そういうケースにはきちんと援助していくという覚悟を決める必要はあるの かなというふうに思うのです。その辺はやはり難しいところですね。いずれにしても大き く変わらないと現状では出生率変わらない。これは韓国を見ても台湾を見ても香港もシン ガポールも多分、中国文化圏にあったという点では恐らく同じような問題、抱えているの ではないかというふうに思います。  (貝塚部会長)  樋口委員、どうぞ。  (樋口委員)  先ほど部会長が提起した第1番目の今回の新推計を見てどういう印象を持ったかとい うようなこととも関連するのですが、今、出てきた新人口推計がもし、本当にこのままだ と、そうしたらどういう社会になるのだろうかというイメージを持つということはまず大 切かなと。  今、シミュレーションケースをIからIVというふうに想定しているわけですが、この新 人口推計が本当にそのままだったといったときに一体、どのような社会になっているのか ということをベースにして、それに比べてケースはどうかというような議論をしていかな いと、現状、足元とこのケースのI、II、III、IVだけを比較しても暗くなる面が多々ある。  逆を言えば政策をとることによって新推計の方からケースに持っていくということは ある意味で明るくなる材料が幾つか出てくるのだろうというふうに思うのですね。それを しておいた方が客観的にもいいのではないかというふうに思います。  そのときの新人口推計で気になっているのは、生涯未婚率23.6%ということは、これは 50歳のときの未婚率ですよね。各年齢層における、1歳刻みでは難しいと思うのですが、 かなり30歳とか、35歳ぐらいでは未婚者の比率が高いのではないかと思うのですね。50 歳までいっても23.6%ということですから、40%かわかりませんが、50%ぐらい未婚が3 0歳前半でもいるとかいうようなことを想定している。  もう一方で離死別の方の影響、0.97ということは、これ、離別、離婚が相当高くなるよ というふうに今回、見通しているわけですね。晩婚化、結婚年齢がおそくなって離婚する 人が早いということはカップルでいる期間、すごく短くなる。平均的にということを想定 していると思うのですよ。  世代構成が全然、現在の夫婦2人でなっている世帯、構成比とこの50年後の構成比、む しろ1人で暮らしている人の方がマジョリティになるというような世界を想定している のではないかというふうに実は思っているのですね。  そうなってくるとき労働力の方も重要なのですが、その前に人々の暮らし、どうなるの だという、先ほどちょっと出てきた未婚の男性も介護しなければいけないよという話があ りましたけれども、そういうところをちょっと描いておかないと生活はどうなっているの だと。それに対してどうなるのだということをやらないと産業界へのインパクトというの は、これ、すごく、きょう、出されたのであると思うのですが、国民に対して国民の生活 というものがどうなっているのかという、もう少し広い意味での仕事と生活の調和という ことであれば、生活の方もちょっと描いてほしいという気がします。  かなりここで描いているのはマジョリティはもう単身者でしょう。単独世帯でしょう。 多分。何かそんな情報があったら少し教えてもらうと。50年後のこの今の新人口推計の中 位の数字が成立した社会における、例えば世帯構成はこんなになっていますとか、相当に 今、我々が思っているのとは全然違う世界になっている可能性があるのではないかと思う のですね。  (薄井政策統括官)  今、確認したのですけれども、いわゆる何歳ぐらいで結婚するかと。そのカーブと言う か、そこまでのちょっと解析はできていないようなので、非常に最終的な人口推計の報告 書はもっと分厚いものになってきますので。  (樋口委員)  何か描けるものが、例えば現在は10%の生涯未婚率、それが23.6%に50歳でもなるとい うことは、どう考えてもそこに至るパスは明らかに未婚者がふえるパスになっているわけ で、その世界はちょっとイメージしておかないといけないだろうというふうに思います。  (貝塚部会長)  それはイメージしておかないといけないし、実を言うと、私、財政学の方の専門ですけ れども、やはり税制なども昔は標準世帯と言っているのは夫婦と子供2人だったのです。 それがある時期からそうではない。それは樋口さんの言われるように、いやいや、もとも と単身者が中心になってくるような、ただ、この単身者というのも非常に複雑ではあるの ですけれども、だから、要するに日本の典型的な家族というものが一体どういうものかと いうやつが、今、かなり変わってきている。それは高齢化によって自然と変わるという部 分もありますけれども、だから、もちろん離婚その他の要因もありますけれども、そこが 実際問題としてこの20〜30年間にかなり変わってきているわけですね。だから、恐らくそ ういう問題と関連して、もう一つはやはり私は多少関心を持っているのはやはり単身世帯 は基本的には非常にワーキングプアないしは要するに貧困層がかなりいるわけですね。こ の問題も本当はかなり深刻で、多分、そういう層がふえてきたら、いわゆる格差問題と非 常に関係して、そういう層がふえてきたから多分、常識的には出生率は下がりということ は当然、考えられますよね。  だから、その辺の社会的な変動というものが事実、今、動きつつあるのですね。そこは やはり的確に押さえておいてどうするかという話、樋口さんの話にある程度、オーバーラ ップしますので、その辺がかなり重要ですよね。どうぞ。  (榊原委員)  今の樋口委員のおっしゃったことに私は本当に賛成なのです。さっき鬼頭委員もおっし ゃいましたけれども、今回の新しい将来人口推計が発表されたとき、マスコミが妙に冷静 だったというのは2002年の1月に比べて本当にそうだったのですね。では、それは本当に 事態をきちんと見通した上で冷静だったのかと言うと、少なくとも一つのマスコミの中に いた人間としてそうではなくて、恐らく何かもう事態が想像の枠を超えているので皆、思 考停止になったというふうに私は実は見えたのです。  でも、そうではなくて本当はもっときちんと考えた上でああいう報道をしたり、ああい ういろいろなさまざまなアクションを起こしている方たちも世の中にいるのかもしれな いと思って、実はそれにはあの推計をどういうふうに見られましたかということ、例えば 財界のトップの方たちとか、公的な立場にあられるいろいろな方に伺ったりというふうに して少しずつちょっとわかってきたのが、ある方が本当にそのままおっしゃった一言なの は、1.26という世界がもうどういう世界なのかわからないから呆然としているのですと。 一体、何が起こるのでしょう。わけがわらかないのですけれども、という言い方をあるシ ンクタンクのトップの方がおっしゃっていたり、財界関係の方がおっしゃっていたのはも う少子化はわかっていることでしょうという意味で、1.26になろうが、これが0.98になろ うが、わかっていたことだからという範疇の中でもうどうも冷めていて、具体的などんな 変化が起こるかということまで考えた上で反応しているわけではどうもないのではない かというような感じが実はしているのですね。  少なくともマスコミの方もこれまでも年金とリンクしたらだれからも批判されない数 字の世界の中での展開、報道ができるのでやってきたけれども、今さらもう年金だけでも うどうもとどまらないけれども、論じられるのは年金ぐらいだからと、せいぜい年金につ いて論じているのだけれども、もうそれもわかっていたことじゃない、ある程度というふ うに社内でも言われてしまって、大騒ぎな書き方にならないような、そんなような状況が どうもある。  その中でやはりでは本当に1.26という実はもう既に現実のものとなっているこの出生 率が続いた場合、どんな社会になるのかというのがもっと具体的に見せていかないと、要 するに先進国の中でも先例がないわけですよね。高齢化には先例がまだあったけれども、 先例がないからマスコミも伝えようがないところで困っているし、いろいろな研究者の立 場にあられる方たちもどういうふうに将来見通していいのかわからなくて困っていると いうふうに見えるのですね。  総人口の数字というのは出ているけれども、その人口構造の変化がどれほど劇的に変わ っていって、それが見回したときに自分たちの暮らしの周囲をどう変えていくのかという ことまで想像が及んでいない。それをできたら可能な範囲でやはりできるだけ具体的に出 す。  例えばもう既に起きているのですけれども、お墓を継承する人がいなくなっていって、 この状況が続いていったら無縁仏がどれぐらいふえるかとか、例えば代々、代々、家に子 供が1人しか生まれないような状況が続けば恐らく軍隊は維持できないだろうというよ うな言い方を人口学者の方から伺ったのは私は非常に印象に残っているのですけれども、 そういった危険な職業に子供を出そうとしなくなるであろうとか、例えば今のようなすご くどんどんどんどん道路をつくっている状況でいくと、維持のためのお金だけで1人当た り、これほどの予算がかさむようになるであろうとか、可能な範囲でのシミュレーション でもどれぐらい世の中の状況が変わるのかというものも出した上で変化を出さないと、や はり相当世の中の人たちが受けてもらうインパクトが思考停止状態の中でシミュレーシ ョンを出しても余り響かないのではないかなという気がするので、非常に私は賛成です。  (樋口委員)  よろしいですか。そのことは実は小塩さんがおっしゃったこととすごくつながって、 個々人が何を希望しているかという、それが実現したときに今の1.26の世界とどう違うの かという、社会的にどう違うのかというようなことも出てくるのだろうと思うのですね。 それをしないと個人が好んでいるから出生率はこうなりますよ、これ、非常に重要なイン フォメーションだと思うのです。  その上で、では社会はどうそれによって変わるのかということですね。これは多分、最 適な出生率というのは意見は皆、違いますから出せないのだろうと思うのですけれども、 どんな姿になっているかというのを、このベースの1.26と比較する。2055年の新推計の中 位数と比較して、その個人が希望する社会が実現したときには社会としてはこうなってい ますよというようなこともあわせて出すことが個人とともに社会にとってということを 考えることにつながるのではないかというふうに思います。  (大石委員)  ついでに例えば何か写真ではないのですけれども、このぐらいでもいいのですけれども、 何か非常にビジュアルな感じで出せるといいかなと思ったのですね。というのは、私、昨 年、大学に移るまでずっと都心のオフィスで働くサラリーマン生活をずっとしていたので すけれども、それをやめて昼間、ときどき電車に乗るとかいう生活にすると、世の中、こ んなに老人がいっぱいいたのかと思ったのですね。  多分、財界の方たちとは皆さん、若々しい社員と一緒の生活というのを何十年もしてい られるから、普通の平日の昼間の町中って、こんなに頭の白い人たちばっかりなのだとい うのを気がついていないと思うのですよ。それがもうちょっとすごい勢いでふえるのかと。 駅の例えば切符を買ったりするのも非常に老人が1人いるとすべてつまづいて長くなっ てしまうとか、そういうような世界というのと隔絶したところで割合と社会に面している 方が多いというのがちょっと困ったなと思いまして、ですから、町中を見渡したときの印 象写真ではないけれども、そのグレーな雰囲気の頭数の多さというのも何かそれが1.26 のときで、それが1.75になるともうちょっとポチポチとたまに子供がポチッといるとかと いう感じという表現というのができないのかなとちょっと思わざるを得なかったという のがあります。  ちょっとそれは非常に思いつき的なお話で申しわけなかったのですが、潜在出生率とい う言葉をやはり出しちゃっていいのかなというところはやはりどうしてもややまだひっ かかるところがあって、こういう新しい概念を本当に出してしまっていいのか。受け取る 人によっては女性の体のポテンシャルの産めるだけ産んでみたときに到達し得る何か出 生率なのではないかとか、非常に一人歩きしちゃいそうでとてもやや不安を覚えています。  結局のところ、皆さん、2人ぐらいは産みたいと思っていて、それに生涯未婚率が1割 だから、その2から1割引きの出生率にして、あと、離死別の効果をちょっと掛けてとい うことで割合とシンプルな指標なのですけれども、それを何か非常に潜在出生率という名 前で今、新たにガーンと出してしまいますと、何かいいのかなと。皆が2人を希望してい るからもう2人が産める社会にみたいな形でさっぱりとやっても実は構わないのではな いかなという気持ちもしていますが、ほかの方はどうお考えになるのでしょうか。  (貝塚部会長)  今の点、何か事務局。  (城政策企画官)  はい。ちょっと今の潜在出生率のところの御疑問がございましたので、そこだけ話をし ますと、議論の整理の骨子のところで1ページの一番下のところの潜在出生率という言葉、 出てきますのですが、ちょっとどう使ったらいいものかというのがございまして、鍵も二 重鍵をつけてちょっとどうしましょうかというつもりでこういう形で載せております。  物の性質としまして生物学的な潜在出生率というものがあるとしてもそうではないと。 どちらかと言うと社会的な潜在出生率とか、そういうものとの対比でもできればまだわか りやすいのかなというふうなこともございまして、何と呼べばいいだろうかというのもち ょっとありましたものですからちょっとこういう形になっています。  (佐藤委員)  希望出生率とかの方がいいかもわからない。簡単に。国民が希望する結婚なり、希望出 生率と言う方がまだわかりやすいかもしれない。  (鬼頭委員)  そこはこの式でも若年世代の結婚に関する希望とあるし、子供に関する希望と出ていま すよね。  (佐藤委員)  その方がわかりやすい気がする。  (樋口委員)  どうしても経済学者は潜在GDPを思い出しますので、フルキャパシティのもとにおけ る100%稼働させるとどれだけGDPは伸びるかという。  (佐藤委員)  潜在的ってやはり何かそれは可能だという感じになって。  (貝塚部会長)  だから、希望出生率という言葉の方が多分、かなりミクロ的な意味合いが強いのですよ ね。だから、要するに先ほどの調査は皆、すべてある意味ではミクロ的な個別にどう思っ ているかということで、それを一応、全体としてマクロ的な数字であらわすとこういう感 じだということで、やはりその方が恐らく実感にあうと言うのかな、そういうふうなもの で、その点、潜在出生率というのはやはり依然として誤解を生む概念だということです。 その点、考慮していただきたいと思いますね。どうぞ、統括官。  (薄井政策統括官)  先ほど来、将来のこのような人口推計の社会の姿というお話がございます。それから、 樋口先生からもいつごろ、結婚するのかということも絡んでくると思います。ちょうどこ の結果の概要の方の紙、ごらんをいただいていると思いますけれども、中位の仮定でいく と1955年生まれの平均初婚年24.9が90年生まれですと28.2という前提、2ページのところ の中位の一番上のところ、こういうふうになっていますけれども、生涯未婚の方がその下 に書いてあるような形でございます。ここら辺が具体的にどういうふうな前提でというふ うなところ、あるいはそこら辺の話はとりあえず今回のまとめはこういうことでございま すけれども、さらに将来人口推計につきましては先ほど申し上げたように社・人研の方で 整理をしたものをまた今後、発表していくということになろうかと思います。  ただ、大きな姿で言うと、この3ページのところにあるような形で年齢階層別の人口と いうものが出てきます。それぞれのピラミッドというのがあるわけでございますので、や はりそこがやはり人口という立場から見ると出てくる姿であろうということで、今回、お 手元の資料で出生仮定を置くわけですけれども、これも仮定の数字に意味があるのではな くて、これをあてはめたときにどういうふうな将来の人口の姿になっていくのかというの がポイントだろうと思います。  その際に厳密に言うと早め早めに出生率が上がっていくような想定を置くというケー ス、これは早めに結婚なり、あるいは出生が行われるということを前提とすればそうなる と思います。そうではなくて徐々に上がっていくということでいくようなケース、そこは 仮定の置き方、いろいろあると思いますけれども、なかなか最初から上がりますというふ うな仮定もなかなか現実問題として起きにくいので、やはりなだらかにというやり方でま ずはやってみるのかなというふうに考えているところでおります。そういうふうにして出 てきた姿を1.26の新人口推計と比べるとき、どういうふうなイメージで若い世代がどれぐ らいふえているのかと、こういうふうにごらんをいただければなというふうに思います。  あと、それらをどういうふうにわかりやすく示していくかということは、これから御議 論をいただかなければいけないかと、整理をしていかなければいけないかなと思いますけ れども、もう一つ、希望について小塩先生の方からこのとおりの希望でいくのか、希望自 体が変わるのではないかという御議論がございました。確かにいわゆる定職についていな いとか、所得が低いパートとか、いわゆるフリーターと言われる人たちの結婚の希望とい うのは今、低いわけで、そういう層がふえているというところがございます。  やはり最近、出生率が上がっている要因としても経済が少しよくなってきているとか、 パートに流れる中でちょっと歯止めがかかりつつあることもひょっとしたらこのことに 関係するのかもわかりませんので、なかなか定量的には言えないかもわかりませんけれど も、今回のとりまとめる論点の中にそういうふうなこともやはり課題であるし、そういう 意味では労働政策としても重要であるということは入れ込めたらなというふうに考えて いるところでございます。  (樋口委員)  人口構造がどうなるかというのはすごく重要な情報なのですが、やはり我々、暮らしの 問題を考えるというのもやはり重要な問題になってくるわけですね。そこにおいては先ほ どからちょっと申し上げている世帯というものがどうなるのだろうか。どうも少なくとも 世帯員数は減ってきますし、単独世帯というものがふえてくると。今、想定されているよ うな家庭内における互助システムと言うか、そういったものに対する期待というものは余 り持てなくなってくる。まさに社会サービスとしてそういったものを受けるということが 必要な社会になってくるのではないかなと。正確な数字はそれはまたそのうち出してもら えばいいというふうに思うのですが、せめて10%単位ぐらいでこんなものが1割ふえるよ というような話というのは定性的でいいと思うのですが、できないだろうかというふうに 思うのですが。  (高橋社・人研副所長)  社・人研の方でまた別途、世帯推計をこれとは別にやっているわけです。ですから、ち ょっと時間的に少しかかると思うのですけれども、まず、都道府県、市町村別の推計を行 った後に世帯推計という展開を考えておりまして、その中で家族形態別の世帯数の予測で あるとか、あるいは世帯類型別の推計、配偶関係別の人口についても一部出すということ で準備はしておりますが、ちょっと時間的に相当の作業量になりますのでいずれ公表して いきます。  (樋口委員)  中に産業界で労働生産年齢人口が減少するというのはやはり労働供給の減少につなが って危機感を持っている方、いらっしゃるのですが、未婚がふえるということは相対的に 逆に労働力率、上げるわけですよね。だから、その方がいいんじゃないかというふうに。 産業界にとっては。極端な今、ここの1.26で生涯未婚率23.6%。そうすると女性も単身者 として相当働いてくれるよねという声が出てきたりするわけですね。  実はその裏腹に暮らしの方がおかしくなるということを出しておかないと、この意味と いうのは本当に正確には理解できないのではないかなと。1.26だけが一人歩きしてという 危機感を持っていまして、それで申し上げているということなのですが。  (貝塚部会長)  産業界、私は大分前からいろいろ社会保障の会議に出ていますが、やはり財界の指導者 の方とか、そういうのはやはり生活実感がない。先ほど言われたとおりで、要するに世の 中がどう動いているかというのは、例えば多分、社長さんは自宅から全部、黒塗りの車で 行って帰りも帰るわけです。そうすると電車に乗るということはまずないでしょうね。や はり実際に通勤している、あるいはそういう人たちがどういう環境なのかというのは実感 をしていないのではないかというのは、私は大学の教師というのは、私はある程度、必ず 朝はもうそうしないと車なんか乗ったら時間がかかってしょうがないからすぐ地下鉄で 来るわけですが、だから、その辺のところのギャップが私は昔からかなりありまして、や はり世の中の指導者と言われる人の生活実感というものが普通の人間の生活実感とちょ っとずれていると、これがやはり何かまずいという気は、余り言っていると財界の批判に なるからあれですけれども、やはりそれは否定しがたいので、多分、お役所の方も高級官 僚の方はあれではないのかな。比較的、公務員住宅で便利なところにおられて、それはい ろいろ仕事が夜、大変だからね。  (樋口委員)  それはそうですが、ワークライフバランスを議論するのであれば、それは両方やはり語 らないと労働市場、労働供給はどうなりますかというのと同時に、その裏側として生活は どうなるのだという、暮らしはどうなるのだというところがあって初めてワークライフバ ランスの議論というのはできると思うのですよね。  でないと労働供給のためのワークライフバランスみたいな話になってきて、裏腹に片方、 今度は暮らしの方はどうなっているという、とんでもないことが起こっている可能性があ るわけで、そこはぜひ、議論したいなというふうに思います。  (前田委員)  今、委員の御意見を受けてなのですけれども、もう既に地域社会が高齢化で支えられな い状況になっている、もう現在、起こっておりまして、ぜひ、平日の昼間、消防訓練、地 域消防団に行っていただいたらいいのですけれども、もう本当にお年寄りのおじいちゃん、 おばあちゃん出てこられて、その方たちが想定ではジャッキを使ってつぶれた家から高齢 者を助けることになっているのですね。ですから、本当に地域で地域の機能を支えるのが 高齢者、だから、団塊の世代が今、入ってくればちょっと60代の人たち、今、すごく若く て体力ありますので、一時期よくなると思うのですけれども、その今の団塊の世代が後期 高齢者になったときは本当にすごい状況だと。  だから、実際、もう地方都市では消防団が組めなかったり何かしていますよね。だから、 そういう状況がもう昼間の都心部でも実はもう起こっているのですね。もう昼間いるのは 女、子供、年寄りだけなので、横浜でも多分、地方都市もやっているのですけれども、今、 次に頼りになる若い子というのは中学生なので、中学生と地域の方で避難訓練や危機訓練 するということは少し始まっています。高校生はもう電車に乗って遠くに行っていますか らね。  家族がやはり相互扶養機能がなくなっています。シングルになって家族の機能がなくな っていますので、生活保護に入ってこられる方は圧倒的に単身が多いですので、若い間、 働いていても年金が十分、もらえなかったりすれば当然、資産を食いつぶせば生活保護に 来ますし、ですから、近未来の図として正確かどうか知りませんけれども、横浜にある寿 町というのは単身高齢者の男性、地方から上京してきた京浜工業地帯を支えた方たちが高 齢期を向かえて職業引退と同時に生活手段がなくなって流れ込まれていまして、高齢化率 が約5割ですね。生活保護率が7〜8割ということなので、そこで皆さん、もう人生のみ とり、終末期までお世話しているのですけれども、そういう経済状態はどういう状態であ れ、見守る家族がない状態で一生を終える人たちがふえていくということと、1.2人の現 役世代が支えるということは社会保障と医療保障の経済的負担を支えるということでは なくて、この1.2人の人たちが後期高齢者の介護や医療を支えなければいけないことです ので、それは物理的に可能かと考えるとかなり今も看護師さん不足ですので、どうなるか ということにかなり厳しい社会が予想されています。  (貝塚部会長)  鬼頭さん、もう余り時間がないので簡単にお願いします。  (鬼頭委員)  はい。先ほどの樋口委員の提案ですけれども、世帯の問題もそうですけれども、現実の 50年後の姿というものをやはり今、あるデータでよろしいので、ライフコース、どういう ライフコースでいくか、何歳で結婚してとか、あるいはずっと1人で暮らすとか、子供を 持つか持たないかとか、高齢者でだれと暮らすか。ある程度、できるのではないかと思う ので、それを何か描いてみたらいかがかなというふうに思いました。以上です。  (貝塚部会長)  統括官、何かあるのですか。  (薄井政策統括官)  限られた時間の中でどれだけできるかわかりませんけれども、今回、論点を整理してい って、そこで終わりということではございませんので、社・人研の新しい作業が進めばそ れを踏まえてまた整理とか、そういうものもできると思いますので、次回までに整理でき るものは整理をさせていただきまして、また、先ほどおっしゃられた暮らしとか、あるい は地域での生活とか、地域の地域社会とか、こういうものがどういうふうな姿になるのか というところが問題であるという問題提起だけはこれは今の段階でもできると思います ので、そういうのは論点整理の中に少し御意見を踏まえて入れさせていただくということ で整理をさせていただいてはどうかと考えております。  (貝塚部会長)  時間が大体ほぼ終わりに近づきましたので、事務局の方で次の予定はどういうことにな っているか、念のために。  (城政策企画官)  次回につきましてはちょうど来週のきょうと言うか、金曜日、26日の4時〜6時という 時間帯で各委員の御予定を伺わせていただいておりまして、よろしければもうそれでセッ トをしたいと思っておりまして、1週間でということもございますので、ちょっとどこま で逆に我々の資料の方がいけるかというのがございますが、と思っております。  あと、先ほどの議論の整理につきましても今、いただいた御意見も含めて肉づけ、骨子 から肉づけをできる限りして枚数としても倍から3倍ぐらいの枚数になるかもしれませ んが、ちょっとできる限りのものを盛り込んでということで作業をしたいと思っておりま す。  (貝塚部会長)  次回は骨子案をもう少し詰めて提示していただく、いろいろ細かい統計の時間がかかる と思いますが、今の御議論を踏まえてお願いしたいと思います。  それでは本日はこれで会合を終わりたいと思います。どうもありがとうござい ました(終了) 照会先 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室 代)03−5253−1111(内線7714、7692) ダ)03−3595−2159