07/01/17 保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会 第4回議事録 第4回  保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会 議事録                    日時:平成19年1月17日(水)                       10:00〜12:00                    場所:全国社会福祉協議会第3〜第5会議室                        (新霞が関ビル5階)    照会先:保険局総務課医療費適正化対策推進室(内線3181) ○出席委員(敬称略・五十音順)  赤星慶一郎、飯倉裕之(小島茂代理)、内田健夫、押野榮司、加藤正弘(奈良昌治代理)、 草間朋子、小池啓三郎、櫻井正人、白川修二、田中一哉、田村政紀、辻一郎、津下一代、 東條謙三(対馬忠明代理)、中村嘉昭、松岡正樹、水口忠男、峯村栄司  ○厚生労働省出席者  神田保険局国民健康保険課長、深田保険局総務課医療費適正化対策推進室長、山本保 険局総務課老人医療企画室長、大島保険局総務課医療費適正化対策推進室企画官、梶尾 保険局総務課医療費適正化対策推進室企画官、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、 勝又健康局総務課保健指導室長、金井労働基準局安全衛生部労働衛生課長 ○次第 1.開会 2.議題  (1)特定保健指導について(報告)   (1)特定保健指導の実施要件   (2)特定保健指導の実施者  (2)「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」の見直しに係る論点(報告)  (3)特定健康診査等の実施計画の構成  (4)後期高齢者支援金の加算・減算について (5)その他    ・検討会の今後の予定    ・平成19年度予算について    ・健診等の現状把握について 3.閉会 ○梶尾企画官 おはようございます。ただいまより第4回の保険者による健診・保健指 導の円滑な実施方策に関する検討会を開催いたします。委員の皆様方にはご多忙の折、 お集まりいただきましてありがとうございます。出欠の確認ですが、本日は小島委員、 河内山委員、対馬委員、奈良委員、山本委員から事前に欠席のご連絡をいただいており ます。なお、小島委員の代理として日本労働組合総連合会の飯倉様、対馬委員の代理と して健康保険組合連合会の東條様、奈良委員の代理として日本病院会の加藤様にご出席 をいただいております。  それでは、以降の進行について、辻座長、よろしくお願いいたします。 ○辻座長 それでは議題に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。 ○梶尾企画官 資料です。式次第と座席表、名簿、その後に配付資料一覧、資料1から 6、また参考資料が1と2で合計8つの種類の資料があります。右肩に資料番号を付け ております。ご確認をいただきまして、足りないもの、落丁、乱丁等があればご指摘い ただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○辻座長 それでは議事に入りたいと思います。まず議題1、特定保健指導について、 事務局から説明をお願いいたします。 ○勝又健康局保健指導室長 資料1、特定保健指導の実施要件について説明いたします。  I、特定保健指導の実施要件は、特定保健指導を実施したとみなされる保健指導の内 容です。医療保険者が保健指導実施者に対して保健指導に用した費用などを支払う際の 最低要件で、医療保険者が自前でその保健指導を行う場合についても、同様の考え方を 用いるものと考えております。  特定保健指導の実施要件の動機づけ支援は、面接による支援は個別とグループワーク、 6か月後の評価です。積極的支援については、面接による支援で初回面接とご理解いた だきたいと思います。3か月以上の継続的な支援は、その具体的な方法として個別、グ ループ、電話、e-mailによる定期的で頻回な支援。電話又はe-mailのみで継続的な支 援を行う場合には、e-mailやFAXあるいは手紙等により、初回面接支援の際に作成し た行動計画の実施状況について記載したものを事前に提出を受けて、保健指導の実施者 が対象者に対して支援を行う、そういった保健指導を3回以上実施することです。  11頁に行動計画実施状況把握のためのチェックリストの具体的な例があります。これ を実際には初回面接のときに対象者に渡して、自分の生活の中での、e-mail等で保健指 導の実施者にそれを送付していただく。保健指導を実施する保健師はこれを見て、その 人の生活習慣の改善点を事前に把握して、電話あるいはe-mail等で双方向の保健指導を 行うものです。それを3回以上実施するということです。それから中間評価を行うこと が3か月以上の継続的な支援です。  そして、6か月後の評価を通信等で行う、それが積極的支援です。  グループ支援については行動目標及び行動計画の作成、行動目標の達成状況の確認、 あるいは評価等個別への支援も含まれていると考えています。グループ支援は1グルー プ8人以下で考えています。また、中間評価及び6か月後の評価については個別の対象 者に対する保健指導の効果に関するもので、保健指導事業者の評価に結びつくものでは なく、保健指導事業者の評価は対象者の健診結果の推移を基にして行うことが基本であ ると考えています。  10頁です。特定保健指導の支援計画(案)を付けています。これは特定保健指導の実 施者が、初回面接時に対象者とともに話合いをして、行動計画を策定して、保健指導の 実施状況と対象者の体の変化や生活改善の状況等について記録するものです。これら一 連のものを提出していただいて、特定保健指導の実施要件となります。  II、今回の要件の位置づけです。現時点では保健指導の効果に関する研究は、エビデ ンスとして蓄積されつつあるところですが、実践レベルでの検証が不十分であることを 踏まえ、保健指導を実施する機関の創意工夫により、有効な保健指導の提供を促進する 観点から、当面は最低限実施すべき要件のみを暫定的に設定することにしました。この ため、高齢者医療確保法の施行後においては、保健指導実施機関による多種多様な保健 指導の実績・成果を蓄積・分析する中で、最低限の実施すべき要件の評価を行い、有効 な保健指導の要件を再度整理していくことが必要なのではないかと考えております。  2頁です。動機づけ支援の具体的な内容です。動機づけ支援とは、対象者が自らの健 康状態を自覚して、生活習慣の改善のための自主的な取組を継続的に行うことができる ようになることを目的として、生活習慣の改善に係る行動計画の策定及び栄養又は運動、 禁煙等生活習慣の改善に関する保健指導を行い、保健指導終了後、対象者がすぐに実践 に移って、継続できるような保健指導と定義付けています。  支援の形態は1人当たり20分以上の個別面接か、1グループ80分以上のグループ支 援です。その内容としては生活習慣と健診結果の関係の理解をしたり、あるいは生活習 慣の振り返りなどから生活習慣改善の必要性をきちんと説明する。栄養・運動等の生活 習慣の改善に必要な実践的な指導を行う。対象者とともに行動目標や行動計画を作成す る。さらに6か月後の評価として電話、あるいはe-mailにより身体状況や生活習慣に変 化が見られたかどうかについて確認をする。6か月と一応評価の時期を設けている理由 は、生活習慣病改善ということで一生懸命に本人がやっていたとしても、中だるみとい うか緩みが出てくる時期が6か月ごろで、「あと半年間頑張りましょう」ということも含 めて、6か月後に評価をすると位置づけています。  3頁、積極的支援です。積極的支援の定義は、対象者が主体的に生活習慣の改善への 取組に参加できるように、適切な働きかけを相当期間継続して行う保健指導で、3か月 以上6か月と考えています。  この積極的支援を考えるときに、健康局で行っている健診・保健指導の検討会の中で、 望ましい積極的な支援の在り方を検討しました。それが8頁、9頁です。望ましい積極 的支援とはどういうものか。これはアウトカム評価に耐え得るような保健指導で、現在 市町村等において行われている積極的な支援をいろいろ情報収集して、効果の上がった ものです。支援期間としては6か月、回数としては最低3回以上、1回当たりの指導時 間は個別支援では20分から30分、グループ支援では80分から90分。支援の内容とし ては、初回は対面による保健指導を行う。継続的な2回の面接及び6か月の評価時まで、 月1回以上の支援を電話やe-mail等によって行っていくというものが望ましいレベル の積極的支援ではないかと考えております。  9頁にその具体的な支援の例ということで、面接による支援、2週間後の電話又は e-mail、1か月後の電話又はe-mail、2か月後にも行う。3か月後に中間評価を含め個 別面接あるいはグループ支援を行う。4か月後には電話あるいはe-mailで支援をする。 また、5か月後も同様に行う。6か月後の評価としては最終なので個別、あるいはグル ープで面接指導を行い、次回の健診までに確立された行動が維持できるような支援を行 っていくというものを、望ましい積極的支援と位置づけています。  3頁に戻ります。ですけれども、なかなかその積極的支援をやる側、保健指導を実施 する者、あるいは対象者によってもさまざまな条件があるということで、最低限ここま での積極的支援をやれば、特定保健指導として認めますというものが、3頁の(1)の ところからで、初回時の面接による支援。これは動機づけの支援における面接による支 援と、ほぼ同様のものです。  (2)3か月以上の継続的な支援では、支援形態としては個別支援、グループ支援だ けではなく、電話あるいはe-mailでの支援形態も認めていこうということです。継続的 な支援に要する時間は、ポイント数の合計が180ポイント以上とするということで、支 援の内容についても2つに分けています。支援Aというのは積極的な関与タイプで、支 援Bは励ましタイプとしています。支援Aの積極的関与タイプは先ほど説明した11頁、 12頁などのようなチェックリストを使用して、各対象者に丁寧に保健指導を行っていく。 生活習慣を振り返って行動計画をもう一度見直し、必要があればその行動計画も改善を していくというようなことで、中間評価も含んでいます。支援Bは、ただ行動計画の実 施状況を確認したり、行動が維持できるように賞賛したり、励ましをするというもので す。  支援のポイントとしては、合計180ポイント以上で、支援Aの積極的関与タイプにつ いては160ポイント以上を獲得していただく。支援Bについては20ポイント以上という 考え方です。(3)6か月後の評価を行っていくということです。  4頁に支援のポイントの内訳について記載しています。個別支援については、基本的 なポイントを5分20ポイントにしており、最低限の介入量としては10分です。グルー プ支援については10分10ポイント、40分が最低限の介入量。電話Aは双方向のやり取 りによって積極的に支援をしていくもので、これについては5分20ポイントで、個別支 援と同様のポイントを課しています。ですから、e-mailAについても同様に、1往復40 ポイントとしていますが、これはただ単に1回メールをやり取りするということではな くて、チェックリストに基づき対象者の1週間程度の生活を栄養面や運動面から見て、 きちんと指導が終わるまでを1往復という考え方にしています。電話B、e-mailBにつ いては5分10ポイント、あるいは1往復5ポイントというポイントを付けています。  5頁は積極的支援の例で3つほど支援パターンを示しています。この支援パターン1 は、継続的な支援において個別支援を中心とした例で、特に市町村等において、国保の 方々で比較的時間を取れる対象者について、個別支援を3回面接で行っていただくとい うものです。個別支援3回、電話B、e-mailBが2回で対応をしていただくものです。  6頁は支援パターン2で、個別面接を2回していただくもので、そのほかは電話Aが 2回、e-mailBが2回、電話Bが1回という組立てです。支援パターンの3は、特に事 業所等で働いている比較的若い世代の方々が、こういったものが使えるのではないかと 思っているのですが、個別支援、初回面接は必ずやっていただき、あとは電話あるいは e-mail等で保健指導をしていただくというパターンで、180ポイント以上ということで す。ただいま説明したのが特定保健指導の実施要件です。  次に資料2、特定保健指導の実施者の範囲についての1枚紙です。特定保健指導の実 施者の範囲について健診・保健指導のプログラムの暫定版には、医師、保健師、管理栄 養士が中心となって保健指導を担うことが書かれており、効果的な保健指導を行うため には一定の研修を修了した者が行うことが望ましい。このような考え方を踏まえつつも、 実施体制の現状を踏まえ、期限を定めた経過措置を設けるかどうかについて、さらに検 討が必要と暫定版には記載されています。  今回、保健指導の実施者の範囲について案を考えましたのでご報告いたします。1つ は特定保健指導実施者のうち保健指導事業の業務の統括をする者の範囲です。これにつ いては医師、保健師、管理栄養士で、一定の研修の修了者であることが望ましいと考え ています。2点目の特定保健指導実施者のうち、初回面接対象者の行動目標・支援計画 の作成、保健指導の評価に関する業務を行う者の範囲では、医師、保健師、管理栄養士 が行う。さらに産業保健分野などで、すでに保健指導を実施している看護師が相当数働 いていることもあり、一定の保健指導の実務経験のある看護師については事業施行後5 年間に限って初回面接等についても行っていただくことはどうか。これについても一定 の研修の修了者であることが望ましいということです。  3番目に特定保健指導の実施者の範囲です。これは初回面接や対象者の行動目標・支 援計画の作成、保健指導の評価に関する業務以外のところで、特に栄養指導、あるいは 運動指導といった具体的な実践の指導について、医師、保健師、管理栄養士その他栄養 指導、運動指導に関する専門的知識及び技術を有する者が行うことがいいのではないか ということです。例えば健康運動指導士の方、あるいはトータルヘルスプロモーション プランで、事業場における労働者の健康増進のための指針に基づく機関で育成された 方々で、運動指導担当者、あるいは産業栄養指導の担当者、産業保健指導担当者につい ては、特定保健指導の実施者の範囲に含めたらどうかということです。今後の省令、あ るいは通知等で示したり、研修についてもガイドライン等を改定して示したいと考えて います。 ○辻座長 ありがとうございました。特定保健指導の具体的な実施要件、あるいは実施 者の範囲について、これは健康局の標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会と いうのがありますが、そこでの議論を報告いただいたということです。これについて委 員の皆さんからご質問、あるいはご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょう か。 ○白川委員 特定保健指導の望むべき姿等を具体的にお示しいただきまして、だいぶイ メージができたと感謝申し上げます。1つ気になっているのは、特定保健指導を実施し たと認める最低基準で、ポイント制を入れるところです。この意図はわからないことは ないのですが、現実的な問題として、例えば私どもですと現場で働いている社員といい ますか、被保険者もいるわけです。その方々に就業時間中に電話で5分も話すこと自体、 果たして事業主の理解が得られるかと考えますと、現実面で若干このポイント制は難し いところがあるかと思います。  さらに申せば、具体的にこれを管理し、社内でやろうとすれば、保健師が朝から晩ま で電話をかけまくって帳簿に付けていって、180ポイントいかなくて、160ポイントだっ たら、この人は特定保健指導をやっていないのかと言われると、モラールにもかかわり ますので、もう少し柔軟な、これが望ましいという形でやっていただければ理解はでき るのですが、基準ということになると現実面で少し難しいかという感じがしています。 むしろ、積極的支援の対象者が、自らポイントを付けていって、何点で私は一応ある目 標を達成したというような仕組みであれば理解できるのですが、指導する側のポイント 制というのは考えが違うのかという気がしています。 ○勝又健康局保健指導室長 ポイント制についてはさまざまな支援の形態があり、暫定 的に設定するという考え方で導入したわけです。初回面接などのときに、確かに事業場 においてはなかなか保健指導をする時間がとれないということはわかるのですが、保健 指導を行う者と対象者とでどういった時間帯に電話をするのがいいのか、というような 支援計画をきちんとお互いに話し合って対応していただければと考えています。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 ちょっとだけ追加させていただきます。資料1の1 頁のいちばん下です。いま白川委員がご指摘になった点は私ども健康局でも議論になっ ています。今回の位置づけはいま保健指導室長が説明したように、いろいろな機関の創 意工夫による有効な保健指導の提供を促進するという観点は、いま白川委員からご指摘 があったとおりです。当面は最低限実施すべき要件を暫定的に設定したものであり、そ ういう意味で白川委員が懸念しておられる特定保健指導をしたかどうかの評価のところ で、いろいろな話があるかと思うのです。まずはこれで暫定的にやりながらデータを蓄 積し、また見直していく前提で、ここのところは一応ご理解いただければありがたいと 思います。もちろん白川委員が言われたようなご指摘は、いろいろなところからもいた だいていますので、何らかの配慮はしなければいけないことは十分我々も認識はしてい ます。 ○辻座長 よろしいでしょうか、ほかにどなたかございますか。 ○中村委員 電話とかe-mailで指導するということですが、これは保健師がやるのか、 保健師が選定して誰かオペレーターみたいな者がやっていくようなことまで考えておら れるのか。膨大な量になると思うので、この辺の実施をどう見ていくのか。また、チェ ックリストを作ってあるのですが、この辺についてもコンピュータ処理をして一定のも のを抽出して、選別をしてから保健師等が選んでいくという形を採っていかないと、と ても手作業では無理だと思うので、コンピュータの関係とかが非常に気になるわけです。 オープン化みたいな、フリーソフトみたいなことを検討されていることも聞いているの ですが、関連はどうなっているのでしょうか。 ○勝又健康局保健指導室長 まず1点目の保健指導のところですが、7頁に支援パター ン3で、個別支援の初回面接がありますが、栄養や運動等の生活習慣の改善に必要な実 践的な指導については医師、保健師、管理栄養士以外の方についても対応をしていただ くことが可能ではないかと考えています。e-mail、電話等についても中間評価以外の部 分では対応をしていただくことも可能ではないかと考えています。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 今ありましたe-mail等を使った電子的な保健指導 のやり方のフリーソフトは私どものほうで開発中で、いま入札の手続をしています。そ の入札の関係の資料なものですから出せないということがあり、手続が終わりましたら、 どういうものか説明をさせていただきたいと思います。 ○辻座長 よろしいでしょうか、ほかにございませんか。 ○赤星委員 経団連の代表ですので、前提条件を説明しておきます。私はこの検討会に 出るときに目的が2つあって、1点は08年からの実施がスムーズに立ち上がることと、 もう1点は経団連の代表として今回の実行にあたっては、民間活力を使って実効を上げ ていくという2点を考えてまいりました。その点から申し上げますと、今回、特定保健 指導の要件が決まり、大変明確になったなと思っています。残った課題が2つあるよう に思っていまして、1点は初回の会合から課題になっていた実施者のところで、その辺 については今回、特例を設けていただいて、大変ありがたいと思います。  もう1点残っていますのは、保健指導をやる場合の価格です。どれだけの保健指導を したら、大体どの程度の価格になるのか、はっきりしないと場合によっては法外な価格 になってみたり、場合によっては非常に低価格だけれども、実効性のないような内容に なってしまうと思うのです。競争は行われるべきですが、価格の点はどのようにお考え でしょうか。 ○大島企画官 保健指導の価格についてはやっと最低ラインが出ましたので、この最低 ラインを基に想定したらどうなるかというのを、できれば次回か次々回に、実践を念頭 に入れてシミュレーションをどなたかにご報告いただけないかと思っております。いず れにしてもこれは何回も申し上げていますように、双方の合意によることなので、いろ いろなパターンが出てくるかと思いますので、1つの例という形で出したいと思います。 ○赤星委員 はい、わかりました。 ○津下委員 このポイント制というのは有効性と実現可能性を考えて、暫定的に設定さ れたということなのですが、白川委員のおっしゃったように今後効果がある方法をどん どん創意工夫でいろいろやっていくことになろうし、また実現可能性を高めていくとい う視点も大切です。また赤星委員がおっしゃったように保健サービスも民間活力も導入 され、これからかなり環境が変わってくるだろうと。現在のところこのポイント制を考 えたベースは、現時点で有効性が確認できているところは望ましいラインになっていま すので、今後、社会資源の開発が進んでくれば、より効率的に行えるようになるでしょ う。又は保健指導者の資質の向上ももう1つ非常に大事なポイントだと思いますので、 より有効性が高まってくれば、ポイントの考え方も変わってくるだろうと思うのです。 それにつけても大切なことが保健指導の効果の評価ではないかと思っています。  保険者が受ける評価、加算・減算の対象となるような評価のほかに、保健指導効果を 6か月後にお聞きする。この評価をしっかり行って、保健指導効果を検証しながら、よ り経済性も考えたポイントの設定に組み替え直す、そういうことが検討できるように保 健指導の効果を集積し分析して、このポイントの考え方を改善していくような動きが必 要だろうと思いますので、この保健指導の効果の評価を、またしっかりと検討していた だければと思います。 ○大島企画官 いまの点に関して、そのとおりだと思っています。まず保険者サイドで 保健指導の事業者の評価をきちんとやっていただく。その上で、各都道府県ごとに保険 者協議会ができていますので、そちらの1つの事業として、できれば保険者が自分たち のデータを用いて共同して、事業者の評価が行えないだろうかということを考えていま す。それ以外にも第三者評価の在り方がさらなるステップの課題としてあると考えます。 その際にはこの6か月後の当事者に対する評価もありますが、それよりも、事業者の評 価としては、1年おきに健診データを、いわば客観的な形で取っていくので、その保健 指導を受けた方が翌年、健診結果を見てどのように変わったのか、あるいは翌々年どう なったのかというデータを活用できないかと考えています。 ○辻座長 評価の問題は非常に重要な問題で、得てしてこれまでの保健事業の評価はプ ロセスやストラクチャーが中心だったのですが、今度はアウトカムに主眼を置くという ことで、大きく変わってくると思われます。そのためにも、現場のデータが全部積み上 がって、アウトカムになってくるわけですが、その辺のデータの収集、あるいはコーデ ィングなど、IT技術を駆使して、できるだけ現場の方に負担がないように、そしてま た非常に大量のデータをきちんと分析できるようなスキームを作っていただきたいと思 います。  保険者協議会でどうするかということのスキームも、きちんと作らなければいけない のですが、もう1つ考えなければいけないのは、先ほどの民間活力という話もありまし たが、これから保健指導にかかわる民間の方がたくさん入ってくるわけです。ですから 各民間の健康づくり、保健指導をする団体の保健指導の効果の評価を、その団体自らが きちんと出していくような、そうした透明性を確保することもよろしくお願いしたいと 思います。ほかに何かございませんか。 ○櫻井委員 今回の要件については冒頭、費用支払いの要件というお話がありました。 これは変な言い方ですが払わなくてもいい要件なのか、払ってはいけない要件なのかと いうことがあるのですが、財源が保険料だということを考えると、払ってはいけないと いう要件なのかという気がします。そうすると、こういう細かいデータに基づいて、十 分な保健指導がなされたかなされなかったかという判定をする必要があると思います。 健診等の決済方法を前回までに議論していましたから、「等」の中にも保健指導はたぶん あると思うのです。そうすると、仮に代行機関のようなものが関与する場合には、代行 機関がこういったポイントや、電話をかけたかかけなかったかということを逐一判定を、 いわゆる審査をしていかないと決済ができないことになるのかという気がします。その 辺についてはどのような実務をお考えなのでしょうか。 ○大島企画官 この基準は最低基準であり、それを保健指導として認めるかどうかとい うことで、具体的には目標率の達成や加算・減算をする際の実績としてカウントするか どうかという形で用いる予定にしており、費用の支払いはまた別途の問題として生じる と考えます。 ○梶尾企画官  前回の12月の会議の際に、決済に失敗した場合のルールについていく つかご意見があったので、整理をしようと思っています。あの中で保健指導について、 途中脱落した場合でも、初回面接分やそこで行われた分は支払うという話がありました。 その部分をいま申し上げたわけですが、それはそこまでに行った実績、初回面接、電話 なりに応じた形の支払いは別途あります。ただし、一方でその人について保健指導をき ちんと完了したかどうかの評価については、この180ポイントはきちんと行った者だけ という扱いにすることにしてはどうかということです。そういう意味で、支払い別とい うのはそういう趣旨でのことです。 ○櫻井委員 いま大島企画官から費用支払いとは関係ないというお話だったけれども、 保健指導室長の説明は、冒頭で費用を支払わない要件というご説明があったものですか ら、そこをお聞きしたかったのです。 ○梶尾企画官 あと、代行機関で、ポイントとしてどれだけ行われているかの確認をす るということになるかと考えています。 ○押野委員 保健指導の実施者の質は非常に大事だというお話で、栄養士法の中では、 個人の身体状況や栄養状況を踏まえた栄養指導は管理栄養士の業務と位置づけられてい るわけです。そういう意味合いで、その辺をきちんと踏まえながら、一般的なものとの 分けをしていただかないと、ズルズル誰でもいいのではないかということになってしま う。特に今回の保健指導に対する保険者や被用者の要望は、質の高い保健指導のできる 人と、その質だと思うのです。そういう意味合いで是非その質の確保というものでの位 置づけを明確にしながら、進めていただけたらと、そういう意味合いで3の保健指導の 実施者の範囲の中に、注として一定の研修の修了者である、3にも研修の修了者という のが私は必要ではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○勝又健康局保健指導室長 3番のところについても一定の研修が必要だと考えていま すので、今後、お示しをしていきたいと思います。 ○中村委員 資料2の特定保健指導の実施者の範囲についてですが、例えば薬剤師の扱 いはどうなっていくのか。高血圧、高脂血症などは投薬での効果もあると言われていま す。この辺の薬剤師の参画する場面をどう考えておられるのか、お示しいただければと 思います。 ○勝又健康局保健指導室長 生活習慣病は、基本的には自覚症状がないままに進行して いきますし、長年の生活習慣に起因するところです。その健診結果の理解をきちんとし ていただいて、体の変化に気付き、自らの生活習慣を振り返って行動変容をさせていく 技術は、相当専門的な技術、力量が必要だと考えています。保健指導の実施者というの は、基本的にはここに書いてあるような医師、保健師、管理栄養士が行うべきだという ことで、3番についてはこれまでやってきた方々、研修を受けて実際に保健指導等をや っている方々になりますので、基本的には生活習慣の改善では、ここに書いてあるよう な職種、薬剤師等については服薬指導の部分で活用はしていただけるかと思います。全 体的な生活習慣病の対応は、なかなか難しいのではないかと考えています。 ○津下委員 少し話は戻るのですが、櫻井委員が言われたドロップアウト、要は保健指 導の途中で来なくなった方に対して、保険者と保健指導機関が協力して、ドロップアウ トを防止するような仕組みが必要だろうと考えます。先ほど企画官から保健指導が途中 で終わった方もきちんと支払いの対象になるということで安心したのですが、もし途中 でやめてしまうのであれば、保険者サイドとしては、途中でやめた人は支払わなくても いいとなってしまうのは問題だなと思ったというのが1点です。  いままでの保健事業でも一定のドロップアウトが存在することは想定できます。その 際に、保健指導から声をかけても反応がない場合は、保険者と共同してドロップアウト を防ぐような仕組みで共同体制を取るような考え方ができればいいかと思っていますの で、利害が対立しないような仕組みづくりをお願いしたいと思います。 ○内田委員 今回、保健指導の具体的な内容が提示されたわけですが、この最低1回で もいいという内容について、何か根拠みたいなものはあるのでしょうか。それともう1 つ、これは今後積み重ねていく成果の中で見直すことになってくると思うのですが、こ の中で来年度は、全都道府県で実施されるモデル事業が非常に重要な位置づけになって くると思います。それに関する現在の状況、例えば予算化であるとか、その辺の具体的 な話をお願いします。 ○勝又健康局保健指導室長 私どもとしては3回は個別面接をするのがいいのではない かと思っています。面接は1回やるよりも月に2回やるほうが効果が上がるとか、面接、 電話、e-mailでは面接が効果が上がっているというエビデンスはあるわけです。ただし、 対象者の利便性を考える場合に、個別支援だけではなく、ほかの方法を使うことも1つ のやり方ではないか。暫定的に設定して、評価をしながら変えていこうということもあ るので、そういった意味から1回も採用したということです。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 準備事業の予算化については地方財政措置で来年度 やることになっています。詳しくは、実はこれから国会での予算審議になるものですか ら、まだ正式な文章は出来上がっていないのですが、なるべく早い段階においてこの地 方財政措置の中で準備事業について明記されていることに関するものが出せればという ことでいま準備をしています。 ○内田委員 前回の健康局の会議でも話が出たと思うのですが、1回の保健指導で本当 に成果が上がるかどうかというのは非常に疑問がある。ただ、事業者のほうでは経済性 の問題と効果を考えると、どうしても1回の指導が最低限ということになれば、そちら に流れる可能性も極めて高いということも言われていますので、その辺の問題の検討は 早急に詰める必要があるのではないかと思っています。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 いま内田委員からご指摘があったことも踏まえ、資 料1のいちばん下ですが、暫定的に設定するということ。現に今回も委員で来ていただ いていますが、津下先生のところでも1回の指導で、あとはメールを使ってやっている というような具体的な事実があります。内田委員がおっしゃっているエビデンスのレベ ルには少しまだ到達できていないのかもしれませんが、現場では実際にそのようにやっ て成果を出しているという事実があるものですから、我々はそこのところとの接点が、 実際にやっているという事実をどう捉えるのかということで、あるべき姿、望ましい姿 との関係で、このような形を暫定的にお示しさせていただいて、今後、データを集め蓄 積しながら評価をしていくことは当然大事だと思っています。 ○辻座長 津下先生、何かありますか。 ○津下委員 職域の方で何度も来られることが難しい方に、IT、メールを使って、家 庭での実践記録等の状況をいただいて、それに対してサポートするという形で、一定の 成果は上げています。いろいろなやり方があるかと、これからの発展のテーマになるの かと思っています。ただこれも、メールだけの効果ではなくて、事業所の考え方やポピ ュレーション・アプローチをしっかり考えながら、ITサポートをやったので、ITだ けで本当に成果が上がるかどうか、これだけでいいかどうかはわかりません。ほかの要 因、ポピュレーション・アプローチもどうするのかも含めて、しっかりと作戦を立てて いけば効果が期待できると思っています。これからマスコミ等も含めてポピュレーショ ン・アプローチがかかっていくところに、かなりいろいろな方法論が出てくることが期 待できると思っています。 ○田中委員 報告ということなので聞いておけばいいかと思ったのですが、2点ほどあ ります。健康局の会議で発言すべきかもしれませんが。市町村現場で保健指導というの は現に長いことやられているわけです。市町村現場で蓄積されていた効果的な保健指導 方法というものがあるとすれば、それぞれの市町村現場で取り組みたいという保健指導 手法はどう対応できるのかというのが1点。もう1点は櫻井委員も言われたことで似た ような話ですが、ポイント制度になったときに懸念されるというか、実行した時間をど うチェックするのか。これは介護保険も似たようなことで非常に困っているのですが、 20分やったかどうかをどういった手法でチェックできるのだろうか。特に支払費用をカ ウントするときの要件の話になってくると、極めてそこは正確にシステムを設定してお かないと、という感じがするのです。こういうことについてどうなっているのかという 思いがあるのです。必ずしもお答えは要りませんが。 ○勝又健康局保健指導室長 市町村がいままで行ってこられた保健指導はいろいろ効果 を上げていることもありますので、ここに書いてある最低の要件以上に、さまざまな創 意工夫をこれからもしていただいて、市町村独自の取組を保健指導としてやっていただ きたいと思います。  実行したポイントについては、10頁に特定保健指導の支援計画の案があります。その 中で保健指導を実施した時間帯を記載するような様式に作っています。 ○赤星委員 先ほど支払いの件が出ていましたが、基本的にドロップアウト等を含めて、 支払いに関することは、保険者とご指導を受諾する民間企業との個別の契約によること になるのでしょうか。それとも何か契約に関するガイドライン的なものが出るのでしょ うか。 ○大島企画官 基本的には両者の合意なので自由なのですが、ただ前回まで、集合的な 契約形態で、被用者保険の被扶養者が身近なところで健診等が受けられるようにするた めにという議論をしておりました。そこでは一定の集団的な契約に入っていただく場合 には、共通した処理が必要になりますので、例えば情報をどこに送るか、あるいはどこ がチェックを行うかといったこととあわせて、ドロップアウトがあった場合にはこうし ようというルールを決めておこうということでした。初回面接をした時点で例えば半分 支払うとか、そういう議論をしていたので、集合的な契約形態に乗る場合はそのルール に従っていただくと考えています。 ○内田委員 これも健康局の会議で言ったのですが、個別の契約で事業者と保険者が契 約をすることになりますと、いまの老健法の市町村の健診で集団健診を行っている場面 で見ますと、健診実施者の業者のダンピングという点で、質的なものが全く問題になら ないぐらいひどいレベルで、こんな値段で実施できるのかというような値段で契約をす るという例が見られて、非常に問題になっています。必ずそういう状況が出てくるとい うことを感じています。ですからその辺のところをガイドラインというか、本当は予防 保健みたいな形で全国一律できちんとした実施形態を考えることが、本来あるべき姿で はないかと思っています。そこが現行の立ち上げの準備段階ではとうてい無理だろうと いうことになれば、その辺を担保するようなシステムを考えていかなくてはいけないの ではないかと強く感じました。 ○辻座長 ご意見ということでよろしいですか。ほかに何かございますか。 ○櫻井委員 いまのご意見と似ていますが、資料2に実施者の範囲が示されています。 こういった要件を具備したサービス提供機関であるかどうかというのは、結局登録や認 定など、要するにサービス事業者にふさわしいかどうかを、公的にお決めになるお考え はないということでよろしいのでしょうか。そこはもう民民で保険者の眼力、責任で見 抜いて委託すると、従来の説明では承っていると思うのですが、そこは変わっていない ということでしょうか。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 ある一定の望ましい基準はお示しさせていただくこ とになると思います。基本的には、契約の仕方については従来からの話だと思いますが、 あるべき姿はやはりきちんとお示しさせていただくことになると思います。 ○辻座長 契約ということもありますので、基本的には民民にならざるを得ないと思い ます。一方で質の担保は非常に重要なことになってきますので、いま矢島室長からもあ りましたように、あるべき姿、あるいは標準的なものも含めていろいろ出していただく ということと、もう1つはサービス事業者そのもの、保健指導の成功の度合いとかをデ ータに出して、それを情報開示する。その中で市町村なり各事業所がそのデータを見な がらサービス事業者を選択していく。そういった透明性・公平性もまた必要ではないか と思いますので、これからご検討いただければと思います。  それでは議題2に移らせていただきます。標準的な健診・保健指導プログラム(暫定 版)の見直しに係る論点について、事務局からご説明をお願いします。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 資料3です。健康局で実施している標準的な健診・ 保健指導の在り方に関する検討会で、標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)の 見直しの議論が行われていますので、ご報告させていただきます。まず、標準的な健診・ 保健指導プログラム(暫定版)の中では、保健指導対象者の選定方法について示されて いるわけです。前回、いままでの議論でもそうですが、現在、千葉県、富山県、福岡県 で準備事業をこの暫定版に基づき実際にやっていただき、さまざまな課題が指摘されて います。  その中で、特に保健指導対象者が広がりすぎているのではないだろうかというご指摘 があります。そのような議論も踏まえ、最初の対象者の選定のステップ1では腹囲が一 定基準以上かどうか、また、腹囲が一定基準を満たしていなくても、従来の肥満の基準 であるBMIが25以上かどうか、それ以外の方かどうかということで、グループに分け てから対象者を選定することになるわけです。その考え方でいくと予防効果、今回の内 臓脂肪に着目したメタボリックシンドロームの概念を導入した健診・保健指導では、や はり予防効果が多く期待できる(1)と(2)の該当者を特定保健指導の対象者とすべ きではないか。腹囲は基準以上ではあるけれども、高血圧等のリスクがない者について は動機づけ支援ではなく、情報提供としてはどうか。  服薬中の方については主治医による指導とは別に、特定保健指導を実施する必要があ るのかどうか。脳卒中等の不可逆的な生活習慣病になってしまった場合には、むしろ医 療機関において厳密な管理が必要であり、特定保健指導を実施する必要はないのではな いかという議論があります。  年齢については若年層はどの程度かという議論があったのですが、今回の世代は40 歳からですので、40歳、50歳ということになろうかと思います。40歳のような若年期 に生活習慣の改善を行ったほうが、予防効果が大きく期待できるということで、若年期 に重点的な保健指導を実施するほうが効果的ではないだろうか。前期高齢者、65歳から 74歳については、むしろQOLの低下に配慮した生活習慣の改善のほうが重要ではない だろうか。前期高齢者については介護予防の観点からの対策が重要だということで、実 際の介護保険法でのいろいろな地域支援事業や各学会でも、65歳を管理を行う上での1 つの区切りにしているので、65歳を特定保健指導を実施する上での1つの区切りとして はどうか。この65歳を1つの区切りという考え方で、前期高齢者については、積極的支 援の対象となった場合でも、むしろ先ほどのQOLを配慮したということで、動機づけ にとどめておくなどの対応は考えられるのではないか。服薬中の前期高齢者についても、 医療機関において適切な対応がなされることが重要ではないか。このような年齢に関す る議論があります。  4番目は健診項目です。LDLコレステロール、喫煙歴、尿酸等の扱いで、これは暫 定版の中の階層化基準の中で用いているわけです。これについてはメタボリックシンド ロームの診断基準として用いられている項目と、それ以外の項目があります。メタボリ ックシンドロームの診断基準に使われていない項目についての重み付けを、少し見直す 必要があるのではないかという議論があります。  (5)に質問表があります。ステップ4で質問表を用いているわけですが、その質問 表についてはむしろ保健指導対象者の中で、優先的に保健指導を実施する者を選定する ために用いるほうがいいのではないだろうかという議論があります。  2、保健指導の判定値及び受診勧奨判定値についてです。医療機関への受診勧奨判定 値については、検査項目により判定値を超えた場合の意味合いが異なるというご指摘。 適切に測定が行われない場合には、再測定を行うことが重要ではないだろうかというよ うな議論。軽度な異常の場合にはむしろ生活習慣改善のため、服薬よりも保健指導が優 先して行われているという実態があります。そういうことを考えて、血圧、中性脂肪等 について軽度な異常の場合は、判定値を機械的に当てはめて医療機関の受診勧奨とする のではなく、その健診機関等の医師が、どういう保健指導を優先的にするかどうかの判 断をしながらやっていく。保健指導を優先しない場合には、年齢等を考慮した上で医療 機関の受診をする必要性を判断し受診者に通知する、という仕組みが必要ではないかと いう議論がございました。血圧、中性脂肪についても、直ちに医療機関で受診すべき基 準があることが望ましいのではないかという考え方です。肝機能検査については、日本 消化器病学会から提案された案があるということで、一応、それについての議論をする。 詳細な健診について、心電図については、前年の健診結果において高血圧症等のリスク を複数有する者としてはどうか。眼底検査についても、前年の健診結果において高血圧 症等のリスクを重複して有する者としてはどうか、このような議論をいたしました。 ○辻座長 ありがとうございました。ただいまのご報告について、ご意見やご質問をお 願いいたします。 ○津下委員 ただいまの検討会に私も出席しておりますし、ワーキングにも出ておりま すので若干補足させていただきます。1つは受診勧奨判定値の取扱いです。例えば、高 血圧の基準は140mmHg〜90mmHgなのですが、高血圧学会のガイドラインにおいても、 160mmHg未満の方々については生活習慣改善を優先し、3か月後に再度評価をして治療 方針を決定するとなっております。そのガイドラインに合わせて考えると、160/100mm Hg未満の方については、まず特定保健指導を優先的に行う、保健指導の効果を3か月後 に確認をして、その時点で必要があれば受診勧奨又は経過観察という形に持っていくと いう方法もあるわけです。受診勧奨判定値も、例えば160/100mmHg を超えている方は すぐに医療機関に行っていただかなければいけない範囲である、と段階をつけて整理す るという考え方が議論されました。これは高血圧学会や動脈硬化学会の基準とも合致す るという話になっておりますので、受診勧奨判定値一括でトンと受診勧奨にならないよ うな示し方になるのではないかと思います。  1頁目の(4)のLDLコレステロールや喫煙、尿酸の取扱いについては、もう少し 明確に、丁寧に示していかないと分かりにくいというようなこともありました。特に、 問診をとることが必須で可能かどうかということもあるのですが、喫煙は動脈硬化の重 大なリスクでもありますので、喫煙について判定された場合には、特定禁煙指導や禁煙 治療に結びつけるような流れの整理も併せて示していけるといいのではないかと考えて おります。 ○辻座長 津下先生に1つお聞きします。2頁の受診勧奨判定値についての(1)の取 扱いの2つ目の○について、確かに血圧や中性脂肪が健診で高い値であったとしても、 再測定したら普通に戻っているという方が結構いらっしゃるのです。再測定というのは 重要だと思うのですが、それをどの場でやるべきなのでしょうか。もう健診は終わって いるし、保健指導は始まる前で、どこでどのように行えばいいのかということについて は何かご議論がありましたか。 ○津下委員 血圧については、安静を保って再測定をする、2回測定をするという決ま りになっております。空腹時に採血されていなくて再測定する、というのはできるだけ 避けていただかないと本人も何度も採決が必要ということになりますので、受診条件だ けはできるだけ保っていただくことが必要だろうと思います。 ○加藤氏(奈良委員代理) 1頁の(3)にあります年齢についてですが、生活習慣に 介入する効果というのは、若年者であれば非常に有効だということは当然わかるわけで、 この問題は是非もう少し具体的に詰めていただきたい。法律で決まっているのかどうか 知りませんが、40歳ではなくて、実際には小児からやるべきです。特に沖縄の男子の寿 命が1位から20何位に落ちた理由は若年の生活習慣病のためですので、そういうところ に介入する必要があろうかと思うのが1点です。高齢者になると、ここにお書きいただ いたようにQOLを改良することがいちばん大事だと思います。動機づけ支援とか、い ろいろなことについても年齢の問題に是非配慮していただきたいというのが1点です。  血圧に関しましては2つございます。1つは、いわゆる白衣性高血圧のように、こう いう所で測れば必ず高くなるという人がいるわけで、そういう人をどうスクリーニング するかを決めていただきたい。それから、3か月指導すればよくなるかというと、冬に 測って夏にまた測れば必ずよくなるに決まっていますし、夏に測って冬に再度やったら 悪くなるに決まっていますから、そういう季節要因をどのようにされるのかについても 配慮していただきたいと思います。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 まず年齢のところですが、40歳未満も努力規定であ ります。それから、特に小児の肥満も重要だと我々は思っております。これは全国一律 にやるというよりも補助事業で、小児の肥満対策について、都道府県に対する事業を用 意しております。いろいろな県での実績を踏まえてエビデンスを積み重ねていただくこ とが大事ではないかと思っています。基本的に、小児の基準についてはいろいろな研究 班での報告をいただきつつある段階で、メタボリックシンドロームのように学会でコン センサスをいただいているレベルではないという事実がありますので、その辺はもう少 しコンセンサスを広げていく時間が必要なのではないだろうかと思っています。そうい う意味で、補助事業を使って子どものときからの対策について取り組んでいただくよう 自治体に頑張っていただければと思います。  年齢等についての対応の仕方というのは、個別具体的なガイドラインの中身になると 思いますので、今後エビデンスを集めつつ細かい対応について検討させていただきたい のですが、基本的には、まずこれでやらせていただきたいと思っております。 ○内田委員 子どものころからの対策は重要だという認識でおりますが、これはこの会 議というよりはむしろ学校保健の中の健康教育とか、文科省も絡む話になるかと思いま す。私は学校保健のほうも担当しておりますので、その辺の取組は今後の展開の中で是 非進めていきたいと思います。  もう1点。今回のこの見直しは、線引きをどうするかです。要するに、対象者が非常 に増えすぎたので、どこで線引きをするか、もっと絞り込まなければいけないというこ とから出てきた話だと思いますが、その見方の中で、どういう対象者を選定して効果を 上げるかということがいちばんの重点になっていると思います。この効果の点に関して は、健康指導を素直に受け入れるかどうかという個別な資質とも大きくかかわってきま すので、一律に線引きをしてこういう形で取り組むというのはスタート時点では必要か と思いますが、そういう点から考えますと、健診担当の医師あるいは健診を行うかかり つけの医療機関、そういう所の医師の対応が重要になってくるのではないかと考えます。 ○草間委員 年齢の問題ですが、医療費が最もかかっているのは老齢者であるわけです。 前期高齢者については、できるだけ「積極的支援」ではなくて「動機づけ」で収めまし ょうと言うのですが、団塊の世代が入ってきますと、地域で前期高齢者が占める割合は すごく増えてくると思うのです。だから、政策目標として25%減らしましょうというこ とになると、前期高齢者についても「動機づけ」だけではなく「積極的支援」の対象に していただくような方策が必要だと私は思うのですが、いかがでしょうか。実は、私も 既に65歳ですので、対象にならないなと思うわけですが。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 これはあくまでも望ましい姿を示したわけですが、 それとともに、本当に必要な人に個別にやるということは大事です。これは1つの目安、 基準を示しているだけでありまして、生活習慣病を予防することがいちばん大事ですの で、予防することに価値があると思われる方には積極的に介入して心筋梗塞等を減らす、 ということをやっていただくことが大事だと思いますし、それをどんどんやっていただ くことが重要なことだと思います。 ○辻座長 この点についてよろしければ、議題3に移りたいと思います。議題3は、特 定健康診査等実施計画の構成ですが、この点について事務局からご説明をお願いします。 ○大島企画官 資料4をご用意ください。平成20年度から特定健診と特定保健指導が保 険者の事業として実施が義務づけられますので、それに合わせて実施計画を各保険者に 作っていただくことになります。法律上そういう規定があり、平成20年4月までに作っ ていただくことになっております。  このことについては、本年3月までに厚生労働省から、実施計画策定の参考となるよ うな指針(案)をお示しする予定にしておりますが、一部の保険者の方からは、具体的 にどの程度のボリュームの作業量なのか、イメージが分かるようなものを暫定的にでも 示していただけないだろうかという要望があり、それでこの資料を作成したという趣旨 です。  1は「高齢者の医療の確保に関する法律」で、「特定健康診査等実施計画」を保険者が 作るという規定がその法律の第19条にあります。5年計画で5年ごとに作るということ になっています。特定健康診査等の「等」は特定保健指導のことを指しており、特定健 康診査と特定保健指導に関する実施計画です。  第2項で、この計画に書く内容として3つ列挙してあります。一が、健診と保健指導 の具体的な実施方法をどうするか書いてもらう。二は、健診・保健指導の実施、あるい はその成果についての目標をどう置くのかを書いてもらう。三は、それ以外に適宜必要 なものとなっており、最低限、実施方法をどうするのか、そして目標をどう置くのかと いう2点を書いていただくことになっています。そして、この実施計画を作った場合、 あるいはそれを変更した場合には公表しなければならないという定めが法律上決まって おります。  2に移りまして、実施計画を作る趣旨は、それぞれの保険者の規模や加入者の年齢構 成、地域的な条件等さまざまな実情、特性がありますので、それらを踏まえてそれぞれ の保険者がより適切と考えられる方法は何なのかを予め想定して定めていただくことに あります。そういう観点から、この計画に書いていただく内容を記載しております。1 枚目の一番下になお書きで書いてありますが、この実施計画の姿は、いろいろ体裁を整 えて見目美しくやるというよりも、実践的な内容、保険者がやっていく上で意味のある 内容だけを書いていただければいいと考えております。体裁を立派にするということで はなく、要点を押さえた、むしろ簡素な計画を作っていただきたいと思います。  そういう見方で裏の頁に移りたいと思います。法律のところでは一、二、三と3つに 分かれていましたので、そのうちのどこに当てはまるかをいちばん左に書いてあります。 (1)〜(7)を計画に書いていただきたいと思いますが、(1)は目標です。目標に何を定めるか については資料5で議論が出てまいりますので、そちらのほうに詳細を譲りますが、簡 単に申しますと、特定健診の実施率、特定保健指導の実施率、それとメタボリックシン ドロームの該当者・予備群の減少率です。  (2)は特定健診・特定保健指導の対象者で、何人ぐらいを対象者としているのかを書い ていただきます。具体的に、被用者保険の場合は、被保険者本人は事業主健診のほうで 提供していただくことになりますので、保険者として特定健診を実施する数は、当然そ の分を差し引いた形になりますので、特定健診としての見込み数はどれぐらいか、ある いは保健指導だとどれぐらいになるのかということを各年ごとに推計値を出していただ きますが、これは当然実施率を前提とした数を書いていただくことになります。  (3)は、特定健診あるいは特定保健指導の具体的な実施方法です。実施場所、健診の項 目や時期、期間、それから、外部委託するのかどうか、契約形態、すなわち集合的な契 約形態にするのかどうか、加入者に対する健診・保健指導の周知方法をどうするのか。 被用者保険の場合には、事業主健診の結果をデータとしていただく必要がありますので、 受領する方法も書くことになります。それから、特定保健指導の対象者を選ぶ場合に、 どういう方が該当者かというのは一律の基準が示されますが、そのとおりにやるのか、 その中でも更に、例えば40代、50代に重点を置くなどして保健指導の重点実施者を決 めるかどうか。それから、健診・保健指導に関する年間の一連の流れをどのように設定 するのか、このようなことを定める予定にしております。  (4)は個人情報の保護で、データの管理についての考え方です。これは前回ここでも議 論になりましたが、国のガイドラインに基づいてそれぞれ規程を定めていただいており ますので、その規程の中の関連するところをベースに書いていただくことになります。  (5)は特定健診の実施計画の公表や周知の方法で、どういう形で加入者に知っていただ くのか。(6)は、実施計画の評価と見直しで、実施計画の評価あるいは状況の変化によっ て計画の見直しを適宜、必要に応じてやっていくということを書いていただく。(7)はそ の他で、それ以外に必要と思われるものがあれば適宜書いていただきますが、最低限書 いていただく内容は(1)〜(6)までと考えております。冒頭に申しましたように、これらに ついての詳しい内容は3月末までに示したいと思いますが、イメージを持っていただく ためのものとして、こういう形で整理いたしました。 ○辻座長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問、ご意見をお願い いたします。 ○櫻井委員 確認的な質問なのですが、裏側の具体的な項目の中の1に「メタボリック シンドロームの該当者・予備群」という言葉があります。従来、健康フロンティア戦略 等の流れの中で、平成27年度は25%というときには「患者及び予備群」という言葉づ かいをしていたかと思うのです。それが今回「メタボリックシンドロームの該当者・予 備群」となっておりますが、これは言葉として何か違う意味だということなのか、同じ なのかというのが1点です。  もう1点は、記載事項の中で、法律の第26条で他の保険者の被保険者に対して特定健 診等をできるということがあります。この項目の中にはそういった記載が特にありませ んが、特定健診の計画としてはそういったものは埒外といいますか、他の保険者の被保 険者についての対応は特にこの計画には盛り込まないでいいというお考えで整理をされ ているのか、その2点をお聞きします。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 1点目について、先ほど私が説明した資料の保健指 導階層化の基準のところでも考えを示したのですが、今回は、予防効果が期待できると いうことで、内臓脂肪の減少に着目した保健指導ということになるものです。今回はメ タボリックシンドロームの該当者・予備群がどれだけ減っているかで予防効果が期待で きるということで、このような考え方の整理にさせていただいております。「健康日本2 1」で糖尿病をどうするかという議論はあるのですが、ここのところはメタボリックシ ンドロームの該当者・予備群の減少に係る目標という形で整理するという考え方をして おります。 ○大島企画官 2点目ですが、仮に他の保険者から委託を受けて実施されるということ であれば、そのことは(7)の「その他」の内容に書いていただくことになろうかと思いま す。ただ、前回までの集合的な契約の中で、保険者間の委託を通じなくても、直接にそ れぞれの健診機関と契約できる形態を1つの標準として示しております。当初は、保険 者間の委託が多く生じるかと考えておりましたが、集合的な契約形態の活用によって、 あまりそれを使わないでも済むようになるのではないかと考えております。 ○白川委員 この実施計画書、厚生労働省からのガイドを見ますと、保険者のほうで原 案を作って都道府県に提出し、必要であれば都道府県と調整をするという手順になって いたかと思うのです。我々保険者として気になっておりますのは、例えば被扶養者の健 診、あるいは保健指導については、かなり先行してやっている所もあるし、全く未経験 の所もあるものですから、一律にある目標値を設定すると困るのです。やり方について も、これは駄目、これはいいというような具体的な指導をされますと身動きできないと いう可能性もあるのです。質問としては、都道府県との調整というのは、たしか「場合 によっては」と書いてあったと思いますが、どういうことをお考えなのか。あるいは我々 保険者が立てる計画について、自主性を尊重していただけるのかどうか、その辺につい てお考えを伺いたいのです。 ○大島企画官 都道府県との調整は、都道府県が作る健康増進計画との調和を図るため ということで考えております。都道府県は健康増進計画の中で、その県の中における健 診の実施率や保健指導の実施率、あるいはメタボリックシンドロームの該当者・予備群 の減少率を設定することになりますので、各県下の主要な保険者の状況を聞きながら、 それをベースにして計画を作っていくことが想定されます。その際に、特に目標値の値 が上に外れている分には構わないと思うのです。より高い水準でやりますという所があ れば、それは歓迎すべきことだと思うのですが、極端に低い目標値が設定されているよ うな場合に、それについては、なぜそうであるのか、なぜそういう数字になっているの かを都道府県の立場としても、計画を作る上で一定の話合いをさせていただく場合があ ることを想定しております。健診や保健指導の実施方法については、保険者の創意工夫 があると思いますので、足を引っ張る方向で県のほうから「いや、それは駄目だ」とか ということはないようにすべきであると考えます。 ○津下委員 確認なのですが、保険者が相談する都道府県というのは、その保険者の事 務所がある都道府県ですか。全国規模の保険者の場合は、例えば東京都に本社がある場 合、東京都とだけ調整するという形になるのでしょうか。 ○大島企画官 例えば、本社は東京にあっても、そこに大きな工場や支社がある県は、 保険者協議会の中に県も参画しますので、どの範囲の保険者の動向を聞いたらいいのか をその中で個別に考えることになると思います。国保や政管健保の場合は明確に区分が できますが、被用者保険については、その実態を踏まえながら都道府県と保険者協議会 とで相談をしていただいて、適切と認められる保険者の動向をそこの事業所の範囲内で 聞くということが考えられるのではないかと思います。 ○水口委員 事業主健診との関連がいままでの説明でもうひとつ理解できないのです。 事業主健診の内容については労安部で検討されているという話がありましたが、今日の 資料の(2)を見ると、事業主健診の受診者等は除外するということですから、事業主健診 を受けている被保険者については、保険者のほうで特定健診をやらなくてもカバーでき ていると考えてよいのでしょうか。つまり、データだけを事業主から受領すれば保険者 としての義務は果たしたことになるのでしょうか。 ○大島企画官 事業主健診等の健診項目は最終調整中であり、まだ確定しておりません。 しかし、かなりの部分項目はすり合わせができておりまして、項目が全部事業主健診の 中に盛り込まれるのであれば、いまのような形でデータのやり取りだけで足りると思い ます。ただ、いまご指摘がありましたとおり、仮に特定健診のほうが出っ張る項目が残 った場合、その部分だけ保険者としてやる部分が出てまいりますので、どういうやり方 でやるのかについて議論しなければならないと考えております。 ○辻座長 この点について他によろしいでしょうか。次は議題4、後期高齢者支援金の 加算・減算についてです。まず事務局から説明をお願いいたします。 ○梶尾企画官 資料5をご用意ください。これはいま話題に出た特定健康診査等実施計 画における目標値と加算・減算との関係を示したものです。1頁めくると、上のほうに 全体の仕組みが示されています。特定健康診査等の実施計画として、各保険者は平成20 年度からの計画を作り、その計画の中で、実施の目標と成果の目標を定めると法律第19 条でなっています。目標に関する基本的な事項として、厚生労働大臣が「特定健康診査 等基本指針」を定め、その中で目標についての考え方(参酌標準)を示す、と法律の第 18条と第19条でなっております。  (2)では、平成20年度からの制度で保険者が費用として納付する後期高齢者支援金 について一定の算定をした上で、国が特定健康診査等基本指針で示す実施と成果に関す る基本的な事項、及び各保険者の契約で定める実施と成果の目標の達成状況を勘案し、 ±10%の範囲内でルールを定めて加算・減算の調整を行うということが法律の第102条 で書いてあります。  これらの仕組みは平成25年度から実施されます。最初の平成20〜24年度は加算・減 算は行わず、平成25年度から行うことになります。加算・減算の部分については、この 検討会で短期間に決めようと考えているわけではありませんが、実際の事業を平成20 年度に開始してからどういう調整をするか議論をするのもどうかということもあり、可 能であれば、大筋の合意がとれた上で事業を進めていき、その中で細部をという形が望 ましいのではないかと考えております。今回は、制度の仕組みはこういうことだという ことと、大きな論点について説明し、ご意見をいただければと思います。  いま申し上げたことは、2頁の図の左半分に書かれています。まず大臣が目標に関す る基本的な事項を定める。保険者はこれに則した形で、各保険者としての計画の中で、 実施と成果に関する目標を定める。そして、平成25年度からは加算・減算という制度が あるということです。  3頁は目標値です。資料4の中でも、達成しようとする目標ということで3項目申し 上げました。実施に関する具体的な目標は、(1)特定健康診査の実施率、(2)特定保健指導 の実施率です。この2つは何パーセントだというパーセント表示での数値で定めること になりますが、これは実際に事業をやっていけばデータにより算定・把握が可能ですの で、それで達成したかどうかが見られるだろうと思います。5カ年計画で、平成20〜24 年度までが第1期、2期目は平成25〜29年度までになりますが、5年間毎年の目標値を 各保険者が、20年度は何パーセント、21年度は何パーセントという形で定めるわけです。  成果に関する具体的な目標は、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少 で、該当者及び予備群が何パーセント減ったかを数値で表示することになります。ただ、 第1期計画では、各保険者に該当者及び予備群が今何人いるのか分からないというのが 現実です。本来なら、19年度に何人いるのを24年度に何人にする、よって何パーセン トだというのが考え方であると思うのですが、1回目の計画については基準を20年度に する。20年度に何人いて、それが24年度には何人いると。したがって、実数は出ませ ん。20年度に比べて4年後の24年度に何パーセントに減るというような目標を定めて はどうかと考えております。もちろん、25年度以降の第2期計画については、その前の 24年と比べて29年はどうか、そして、毎年毎年どう減っていくかを記載することが考 えられるのではないかと思います。  各保険者にそのような形で計画を立てていただいてはどうかということなのですが、 4頁に各目標値の参酌標準、つまり国が示す基準としてどういうことを定めるかが書か れております。仕組みとして、各保険者は、実施計画における24年度の目標値を国の参 酌標準に則して設定することになります。特定健康診査の実施率について現状で我々が 持っている全国ベースの数字としては、国民生活基礎調査において、過去1年間に何ら かの健診を受けたことがあるかという調査で、60%の方が受けているということです。 これは特定健診についてのものではありませんので、これがそのままというわけでもな いのですが、何らかの健診を受けたことがあるかという調査では、60%程度の方が受け ているという現状です。第1期の24年には何パーセントにするかというのは、もう少し 時間をいただいて提案をしたいと思います。  保健指導については、現在、特定保健指導に相当するものの利用については把握でき ていませんし、参考として示すことができるものもないわけですが、ここは何らかの形 でつかむことにしたいと思います。  (3)の成果に関する部分で、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率に ついては、先ほど櫻井委員からもありましたように、糖尿病等の患者予備群の減少率と いうことで、平成27年度には20年度と比較して25%減少ということをこれまで申し上 げております。平成27年度に25%患者・予備群を減らす目標を立てている中で、平成 24年度時点の目標の参酌標準をどのように定めるかを検討して報告したいと思ってい ます。  なお、これらの国が示す参酌標準を考えて、各保険者はそれに則してそれぞれの目標 を定めるわけですが、いちばん下の○にありますように、保険者の種別が地域保険であ るか職域保険であるか、それぞれの職域の中でもそういうものがあり、置かれている状 況が異なるということがあります。なお、先ほど標準的なプログラムの見直しについて、 例えば前期高齢者の扱いをどうするか、医療を受けている方をどうするかといったよう なことが保健指導の対象者との関係でどうなるかということもございましたので、今後 はそういったことも考慮しながら参酌標準を考えていきたいと思います。  5頁に進みます。保険者の種別によって異なる可能性がある点ということで考えなけ ればいけないと思うのは、例えば被用者保険について、事業主健診で本人については充 当できる部分が出てくるので、そうすると、個々の被用者保険で、健診の行い方や受診 率では差が出ざるを得ないことがあるだろう。また、被用者保険の中でも、中小・零細 企業の多い総合型健保や政管健保と単一型の健保組合とでは、健診の行い方や受診率に 差が出てしまうのではないだろうか。被用者保険も、本人の分は事業主健診ということ がありますが、被扶養者について、地域保健等で受診率を高めるのは難しいのではない か。健診について参酌標準を定める際に気をつけなければいけないこととしては、そう いうことがあるのではないかと考えられています。  一方、保健指導について、高齢者を抱える保険者は保健指導実施者が多い。対象者が 多いがゆえに実施率を高めることが大変になるのではないか、あるいは該当者や予備群 を減らすのが難しいのではないだろうか、ということがここに書いてありますが、先ほ どのプログラムの見直しで、年齢の高い人は積極的支援ではなく動機づけ支援にとどめ るということになれば、高齢者を抱えるから大変ということでもないのかもしれない。 あるいは、医療を受ける方は外すということになると変わってくる面もありますので、 そういったことも考えながら検討していく必要があると考えております。  6頁は、後期高齢者支援金の加算・減算をどのようにするかについての大まかな考え 方です。その指標については、国の基本指針で定める実施・成果目標の参酌標準、そし て保険者の計画で定める具体的な目標の達成状況を勘案して計算します。項目としては 左欄にあるような、特定健康診査の実施率、特定保健指導の実施率、メタボリックシン ドロームの該当者及び予備群の減少率です。算定式としては、それぞれの事業を実施し た後、当該年度末における被保険者、被扶養者、すなわち加入者の数を分母、分子とし て、当該年度に実施した特定健診の受診者数を算定する。これにおいては、委託をした り、事業主健診のデータをいただいたり、本人から申告してもらう等さまざまな形で、 各保険者がデータを入手したという方も含めた形で実施率を計算できるだろうと考えて おります。なお、前回の議論でも報告しましたが、年度途中の転出・転入者は分子にも 分母にも入れないという整理が必要なのではないかと思います。  特定保健指導の実施率については、当該年度で健診をし、階層化の結果動機づけ支援 または定期的支援となった方を分母として、きちんとその年度内に保健指導を受けた方 を分子にするという形であろうと考えております。しかし、その際分子のほうで、積極 的支援と言われたのに動機づけ支援部分の保健指導しか受けなかった人は、やったうち に入らない。あるいは、例えば2月ごろに保健指導を開始し、年度末の時点では完了し ていないが脱落したわけではないという方は、分母にも分子にも入れるという形で考え てはどうかということが(2)に書いてあります。  (3)はメタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率です。「基準年度(1回目で いえば平成20年度)の健診データにおける該当者数+予備群数」分の「目標年度(平成 24年度)の該当者数+予備群数」で、どれだけ減ったのかで考えたらどうかということ です。実際に加算・減算を始めるのは平成25年度の支援金からですので、25年度の納 付に係る分については20年度に対する24年度の減少率で見てはどうか、それ以降につ いては、前年に比べてどう減ったかを基準にしてはどうかということを3つ目に書いて あります。  なお20年度、基準年度の健診データにおける各保険者の該当者・予備群数がどれだけ いたのかについては、20年度の健診の実施規模が各保険者ごとにさまざまだとすると、 そこにばらつきがあって、それと24年度を比べることが公平なやり方であるかどうかと いう悩ましいことがあります。1つの考え方としては、20年度については性別・年齢別 での標準的な発生率でこのぐらいいるはずだということを分母とし、それに比べて24 年度の実績がどうであったかを見るという考え方もあるのではなかろうか、そういう考 え方のほうがいいのではなかろうかということで論点提示をしております。  最後の7頁は、評価の方法です。加算・減算の評価の指標は、先ほど来条文に則して 申し上げてきたように、国が基本指針で定めた実施及び成果の目標に関する参酌標準と、 各保険者が定めた目標とがあるわけですが、各保険者が定める目標については、実際の 事業状況によって、国が定めるものよりも高く定める所もあれば、低いものを定める所 もあり得るだろうと思います。この会議の第1回目のときにも、低い目標を定めたら達 成できたということになると公平ではないのではないかという議論もあったように思い ますが、この加算・減算の評価指標というのは、各保険者が定めた目標ではなく、国が 一律で定めたものとの関係でその達成状況を見るほうが望ましいのではないだろうかと いうことをお示ししてあります。  論点2は、その上でどういうやり方をするのかです。3つ指標がありますと、3つと も達成したというパターン、3つのうち2つ達成したというパターン、3つのうち1つ 達成したパターン、3つとも駄目だったというパターンがあり得ます。また、3つのう ち2つ達成したといっても、3つのうちのどの2つなのかということでまた3通りあり ます。3つのうち1つ達成したという場合でも、3つのうちどれかということで3通り あって、組合せは全部で8通りあるわけです。そういう場合に、どうなったら加算にし て、どうなったら減算にするか、あるいは加算・減算も+10%と−10%だけなのか、+ 5%と−5%もあるのか等無限に組合せがあるわけで、どういうやり方が考えられるか についてはまだ白紙の論点提示にしてあります。3つの指標がどのようになった場合を 加算あるいは減算とするのか、それをどの程度きめ細かくするのかということも大きな 論点であろうかということで、本日は論点提示だけをいたします。 ○辻座長 ただいまのご説明について、ご質問やご意見はありますか。 ○白川委員 後期高齢者支援金の加算・減算にかかわる評価の件ですが、今回特定健診・ 保健指導を始めるに当たって、いずれの保険者も、これによってどれぐらいの効果があ るかについてエビデンスのある確信が持てない状況で取り組むことになると思うのです。 いま企画官はいくつかの方法があるとおっしゃいましたが、特定健診の実施率、特定保 健指導の実施率、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率と3つござい ます。要望としては、特定健診の実施率と特定保健指導の実施率に重きを置いた評価を 1回目はやるべきではないかと思います。たぶん年数を重ね、経験を積めば、どうすれ ば最も効果が上がってくるのかというのは分かってくるかと思いますが、最初の段階で 3番目の減少率に重きを置かれますと、我々としても対策に困るというのが率直な意見 ですので、お考えいただければということでお願い申し上げます。 ○辻座長 これについて他にもご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○中村委員 加算・減算で「±10%の範囲内で政令で定める方法」となっていますが、 この政令はいつごろを考えておられるのか。私は、ある程度実績を見てから政令を出す、 政令を出すことが必要であれば、大まかなことを出してもらってやっていくほうがいい。 今から相当議論が出てくるのではないかと思うのですが、政令の今後のことについては どう考えておられるのか伺いたいのです。 ○大島企画官 大枠はいま議論いたしますが、実際にどういう数字になって出てくるか という検証をするには、平成20年度からの事業実施の実績をある程度集めて、それを踏 まえて分析しないと適切な設定ができないのではないかと思っております。それで、で きる限り遅いタイミングで政令を決めたいと思っております。それが具体的に平成23 年なのか24年なのかというのはまだ決めかねておりますが、実務に支障がない範囲で、 できる限り遅いタイミングで政令を決めたいと思います。 ○津下委員 6頁の加算・減算の算定式の実施率や減少率について伺います。(2)の保健 指導実施率ですが、動機づけ支援と積極的支援は同数で数えるのか。重み付けです。積 極的支援のほうがコスト等もいろいろかかるわけですから、そういう意味では積極的支 援のほうに重み付けをしていくという考え方はあるのかどうか。それから(3)ですが、積 極的支援はメタボリックシンドロームの該当者を対象にすることが多いわけですから、 「該当者」から「予備群」へ戻すということも非常に大きいところになるわけです。そ の辺りが足し込まれた数ですと見えにくくなるので、その重み付けが必要ではないかと いうのが意見なのです。 ○大島企画官 (2)に関しては分母、下のほうは保健指導が必要な方が何人かということ で、これは動機づけ支援と積極的支援を同じように扱い、単純に足し算をすることを想 定しております。それに対して実際に保健指導を実施したかどうかについては、動機づ け支援の対象となった方は、動機づけ支援を行ったか、あるいは積極的支援を行った場 合でもカウントすることになります。逆に、積極的支援に該当する方は、積極的支援を 実施した方のみが分子に来る。積極的支援のほうに重み付けをすべきだということは議 論としてはあるかと思いますが、案としてはそういう形で書いてあります。  同様に(3)も「該当者」から「予備群」に落ちた方を考慮しない形で案を書いておりま すので、それもご議論いただきたいと思います。 ○辻座長 先ほど事務局からもありましたが、実際に加算・減算を始めるのは平成25 年度からで、そのための政令を作るのは平成23、24年というようなレンジでの話であり まして、今からそういったことを出しながら、いろいろな場でオープンにディスカッシ ョンしようということなので、いろいろなご意見をいただきたいと思うのですが、いか がでしょうか。 ○草間委員 (3)の該当者・予備群の減少率を入れるか入れないかについて、平成27年度 で25%を本当に達成できるかどうかは大変難しいというのはよく分かるのですが、「健 康日本21」の中間目標を見ても、アバウトに決めておくとなかなか達成できないとい うことがありますので、何らかの形で成果を見るための数値を入れるのは必要ではない かと私は思います。そして、平成20年と24年とでは比較するコホートが5年ずつずれ るわけですので、数値を出す場合に性別・年齢別の評価が必要になるのではないかと思 います。 ○辻座長 今日ここが結論を出す場ではないと思いますので、皆さんから自由に意見を いただきたいのですが、いかがでしょうか。 ○赤星委員 加算・減算の評価の指標について、国が基本指針で定めた参酌標準とする べきではないかという結論に至った理由がよく理解できないのです。片方で保険者等で 計画を作って出すということは、その段階で国の参酌基準をある程度頭に入れた上で作 りなさいという意味ですか。なぜ国の基本指針になるのかが理解できないのですが。 ○梶尾企画官 おっしゃるように、参酌標準として国で基本指針を定め、それを頭に置 いて、自分の所の保険者の目標を定めるという形になります。そのときに、国が定めて いる目標値は自分の所では既に達成しているので高く定めようとか、5年間でそこまで 行くのは大変かもしれないので少し低く定めざるを得ないということを考えに置こうと か、様々な保険者の行動が考えられます。後で成果を評価するときに、もちろんそれぞ れの目標を達成しているかどうかを見るわけですが、例えば国の目標より高く定めた保 険者がそれを達成しなかったという場合もあれば、低く定めたところが達成はしている という場合もある。そのときに、それぞれの達成状況を○と×で評価するとしますと、 その評価指標は全国一本のほうがいいのではなかろうかということです。 ○辻座長 5頁にあるように、受診率やメタボリックシンドローム該当率が保険者によ ってかなり差があるのだろうと思うのです。その差がどれぐらいなのかが分からないと いうことが、議論を難しくしている部分があると思うのです。受診率等のデータが今ま で全然ないわけですから、それが出て大いに議論されるということだけでも、今回の制 度改革は非常に大きな前進ではないかと思うので、それも含めて柔軟に議論していただ ければと思うのです。  時間も迫ってきましたが、もう1つ私から申し上げます。加算・減算というのはイン センティブという考えです。悪く考えるとペナルティになりますが、逆の意味ではリウ ォードにもなるわけで、加算・減算を通じて健康づくりを更に推進するようなリウォー ドになってほしいと思うのです。そういった意味で、先ほど津下委員のご意見でも、積 極的支援を行った人数と動機づけを行った人数とは、手間暇もかかるしコストもかかる のだから違うのではないかという話もあったのですが、私も全く同感なのです。特に、 今回のガイドラインで180ポイント以上という最低の基準が出ると、現場では180ポイ ントでやってしまえ、それ以上は無駄だという話になってしまう部分が現実として起こ り得るわけです。ただ、そのときに、保険者によっては、きちんとした効果を出すため には250ポイントぐらいかけて、手間暇をかけてやりたいという所があったとすると、 コストがかかりますから、持ち出しになってしまう部分があるわけです。その結果、ち ゃんと250ポイントかけて、それだけのお金をかけて、それで生活習慣も改善され、メ タボリックシンドロームが減ったという効果が実際に出れば、それにかかった手間暇や お金をリウォードとして補填してあげるという考えが必要だと思います。今日はまず論 点を出した上で、皆さんでいろいろ考えながら、これから実際のデータを見ながら2、 3年かけてじっくりやりましょうということですので、これが結論ではないと思うので す。そういったことも考えながら、これをきっかけに、いろいろな方がいろいろな意見 を出していただければと思いますので、どうぞ、よろしくお願いします。 ○大島企画官 赤星委員のおっしゃられた議論と関連して1点だけ補足説明をいたしま す。2頁を開いていただきますと「厚生労働大臣」とあり、矢印で「参酌標準」とあり ます。これが国が作る基準です。例えば、健診を○%、保健指導を△%、メタボリック シンドロームの減少を□%としてありますが、4頁の下のほうに出ているように、参酌 標準の値の設定というのは、保険者一律というよりは、保険者の種別や特性によって違 えて設定することを検討することが必要ではないだろうかということが前提としてござ います。その上で、各保険者はそれぞれ自分が該当する所の数字を設定するわけですが、 基本的に、法律上は国の基準に則して決めることになっていますので、この基準をかな り参考にしながら、これに合うか、あるいはこれよりも上の数値で設定するわけですが、 微妙に上とか下にずれる場合もあるでしょう。そういう意味で○'、△'、□'ということ で少しずれるかもしれないということを前提にしています。   評価をするのがいちばん下になりますが、評価指標としても同じ3つの項目を使いま すので、その際の物差しをどれにするのか。○でいくのか、○'でいくのかという問題が あります。公平に評価をする上では○を使うべきではなかろうかということで、いちば ん下の所に案として、○'ではなくて○なり△なりを使うということを示しました。次回 もまた加算・減算についてご議論いただきたいと思っています。我々でももう少し精査 したいと思いますので、ご議論を賜れればと思います。 ○櫻井委員 5頁に高齢者を多く抱えた保険者の論点が書かれていますが、今後の評価 を前々年対前年で評価をしていくことになると、母集団そのものがどんどん高齢化して いくということがありますので、対前々年と前年では母集団自体が高齢化していること を是非ご考慮いただきたいと思います。 ○辻座長 さまざまな論点を入れながら、きちんとしたものを作っていきたいと思いま す。次回もこの議論がされると思いますので、よろしくお願いいたします。  議題5、その他として3つの事項がありますので、一括して事務局から説明をお願い いたします。 ○大島企画官 参考資料の1と2をご覧ください。参考資料1は予算の関連です。年末 に予算の政府原案が決まりましたし、平成18年度の補正予算案も決まりました。その中 で、特定健診・特定保健指導を含めた医療費適正化に関連するものを集めた資料が参考 資料1です。  国庫補助は3点ありますが、1点目、2点目は各都道府県の保険者協議会に対する補 助金です。保険者協議会には法人格がありませんので形式的には国保連に渡しますが、 実質的には保険者協議会に対する補助金です。上のほうは、特定保健指導を担う保健師、 管理栄養士、あるいは、今日の議論でも一部看護師が経過的にあるということがありま したのでその点を考慮しなければならないと思いますが、こういった方々が実践的な保 健指導プログラムを習得するための研修事業を各都道府県の保険者協議会で実施してい ただくことを想定しております。これは2分の1の補助で、金額は0.5億円です。  2番目は、実施計画を各保険者に作っていただく際に、各保険者協議会でアドバイザ ーといいますか、支援をしてくれる方を臨時的に雇用してサポートしてはどうかという ことで、これも各都道府県の保険者協議会にお願いをし、2分の1補助、予算規模は0.4 億円です。詳細は交付要綱という形で今後決めないといけませんが、これは各保険者協 議会に参画する保険者、あるいはその実施に携わる保健師、管理栄養士等々の協力のも とに実施できるようにしなければならないと思いますので、この予算の執行方法につい ては、関係団体の方々とご相談をさせていただきたいと思います。  3点目は、特定健診・特定保健指導のデータ管理システムの開発に関連するものです。 各医療保険者が平成20年から電子的な形で保管をするということですので、このための 補助金を計上したものです。国民健康保険については、各都道府県の国保連単位で各市 町村国保からの委託を受けて整備をする、ということを想定した補助金としております。 健保組合についても、効率性の観点から、健保連で一括してデータを管理することを想 定したシステムの補助にする予定です。補助金額はそれぞれ35.5億円、23.2億円です。  なお、国保連の関連については3頁に簡単な概念図を書いています。市町村国保ある いは国保組合が各都道府県の国保連にデータの管理を委託する。そして、国保連にサー バーを置いて、そこで必要な保存やデータの処理を行うということでありまして、各市 町村や国保組合は、それぞれ端末を自分の所から操作して、自分の所のデータについて 必要な情報収集や処理を行うということを想定しております。この詳細も今後早急に検 討して各都道府県、市町村に示していきたいと思います。  2頁は、総務省にご理解をいただいて措置していただいた地方財政措置で、地方交付 税の中でこういったことを積算として積んでありますので、都道府県が予算を組む上で 誘導策になるわけです。2番目に「特定健診・特定保健指導の事業者の情報収集事業」 がございます。これは各県が健診・保健指導の事業者がどこにいるのか、どういう内容 のサービスを提供しているのか、あるいは保健師や管理栄養士で在宅の方がどれぐらい いらっしゃって、この分野に参画する気持を持っている方がどの程度おられるのかを調 査するための事業、あるいは、こういう情報を県民や保険者に対して提供する事業を想 定したものです。こちらは該当する内容を事例として掲げたものであり、この趣旨に沿 うものであれば、別の形態もありえるものと考えております。ただ、これは補助金では なく、一般財源の形になっておりますので、各都道府県の中で単独事業として予算を組 んでいただくことになります。都道府県での積極的なご活用をお願いしたいと考えてお ります。  参考資料2については資料4と合わせて説明する予定だったのですが失念しておりま した。12月のこの検討会で、平成18年度中に保険者がやる作業をもう一度具体的に整 理するというお話を申し上げましたが、これがそれです。今年度中、つまり平成19年 の3月までに保険者においてはこういう作業をお願いしたいということで、表に1、2、 裏に3、4とございますが、具体的に説明したものです。例えば「年齢構成を把握する」 ということについて、真ん中の「変更等」という欄ですが、具体的には5歳刻みで男女 別に取る。被用者保険においては、被保険者本人と被扶養者の数を別に分けて把握しま す。それから、「加入者の居住地を把握する」ということで、被扶養者をどこまで把握し なければならないのか。特に被用者保険ではなかなかそこまで把握できていないという ことがありまして、8月30日の段階では「被扶養者は不明でも可」とだけ書いておりま したが、前回までの議論で、集合的な契約形態というのを大枠で合意いただきました。 この集合的な契約形態を用いますと基本的に全国をカバーすることができますので、そ もそもどこに被扶養者が住んでいるのか、あるいはどの地域に多いのかを初めにあらか じめ把握できていなくても健診自体を提供できないことはない、という状況になりまし た。そういう意味で、被扶養者について、集合的な契約形態を選択される場合、基本的 に要らないのではないかということを示しております。ただし、実際に健診の案内を出 す場合には、あったほうがスムーズに案内を出すことができますので、それは引き続き 来年度以降、可能な範囲で把握することをお願いしたいと思います。当初心配していま した、どこにいらっしゃるのか分からないので、委託先としてどこを選んだらいいのか という心配はなくなりましたので、その趣旨を加味して書いております。  資料6は次回以降のスケジュールです。今回1月17日は第4回目でしたが、次回と 次々回を予定しております。次回は、今日後半にやりました参酌標準の件のほかに、特 定健診・特定保健指導のプログラムの最終版、あるいは健診項目の最終版が健康局の検 討会でまとまるであろうと予想されますので、その最終版をご報告したいと思います。 それが決まりますと、社会保険診療報酬支払基金に対するデータ報告の仕様や健診結果 通知の様式も決められますので、それをご相談したいと思います。それから、時間が取 れれば、特定健診・特定保健指導の準備状況の例の報告も行いたいと思います。  参酌標準や目標値についての議論は時間がかかると思いますので、第5回、第6回と 引き続き行いたいと思います。それから、実施計画の基となる基本指針について、簡単 な項目は今日報告しましたが、より細かく書いた基本指針案をご相談したいと考えてお ります。具体的な日程はまだ決めておりませんので、今後調整し、各委員の方々にご連 絡いたします。 ○辻座長 ただいまのご説明について特に何かあればいただきたいと思いますが。 ○水口委員 参考資料1の3で、データ管理システムの開発について、共済組合の関係 については現在のところ何の手当もされておりませんので、国保なり健保なりで開発さ れたシステムを共済組合も利用できるような枠組みを是非ご考慮いただきたいというお 願いをしておきます。 ○大島企画官 所管省庁とも相談して対応を考えたいと思います。 ○辻座長 本日の議題は一通り終了いたしましたが、今後のスケジュールについて、事 務局から説明をお願いいたします。 ○梶尾企画官 今日いただいたご意見を踏まえて、次回は論点を整理してお示ししたい と思います。2月後半を予定していますが、日程を至急調整してご案内を申し上げます。 ○辻座長 以上で第4回の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。   (了) 1