資料2
特定保健指導の実施要件について(案)

I 特定保健指導の実施要件(最低要件)

動機づけ支援
面接による支援(個別/グループ)
6か月後の評価(通信等)
積極的支援
3か月の支援
初回時面接による支援(個別/グループ)
個別/グループ/電話/e-mail による定期的で頻回な支援
電話又はe-mailのみで継続的な支援を行う場合には、e-mail、FAX、手紙等により、初回面接支援の際に作成した行動計画の実施状況について記載したもの(別紙例)の提出を受けて行う支援を3回以上実施すること
中間評価
6か月後の評価(通信等)

 ※ グループ支援は、グループ全体への支援と行動目標および行動計画の作成、行動目標の達成状況の確認、評価等個別への支援の両方を含む。
 ※ グループ支援は、1グループ8人以下とする。




II 今回の要件の位置づけ
     
  現時点では、保健指導の効果に関する研究はエビデンスとして蓄積されつつあるが、実践レベルでの検証が不十分であることを踏まえ、保健指導を実施する機関の創意工夫による有効な保健指導の提供を促進する観点から、当面は、最低限実施すべき要件のみを暫定的に設定する。このため、高齢者医療確保法の施行後においては、保健指導実施機関による多種多様な保健指導の実績・成果を蓄積・分析する中で、最低限実施すべき要件の評価を行うとともに、有効な保健指導の要件を整理していくこととする。




III 動機づけ支援
     
 動機付け支援とは、対象者が自らの健康状態を自覚し、生活習慣の改善のための自主的な取組を継続的に行うことができるようになることを目的として、医師、保健師又は管理栄養士の面接による生活習慣の改善に係る行動計画の策定及び栄養又は運動、禁煙等生活習慣の改善に関する保健指導を行い、保健指導修了後、対象者がすぐに実践(行動)に移り、継続できるような保健指導をいう。

初回時
1人20分以上の個別支援
1グループ80分以上のグループ支援
支援内容
<個別支援>
生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。
生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に活用できるように支援する。
体重・腹囲の計測方法について説明する。
生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期について対象者と話し合う。
対象者とともに行動目標・行動計画を作成する。
   
<グループ支援>1グループ8人以下とする。
生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。
生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に活用できるように支援する。
体重・腹囲の計測方法について説明する。
生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期についてグループメンバーと話し合う。
対象者とともに1人ずつ行動目標・行動計画を作成する。
   
〈6か月後の評価〉
身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。
   
〈留意点〉
なお、上記の支援を実施する際には事前に十分対象者の状況を把握し、具体的な行動計画および評価時期を提示できるよう準備すること。




IV 積極的支援
     
 積極的支援とは、対象者が自らの健康状態を自覚し、生活習慣の改善のための自主的な取組を継続的に行うことができるようになることを目的として、医師、保健師又は管理栄養士の面接による生活習慣の改善に係る行動計画の策定及び栄養又は運動、禁煙等生活習慣の改善に関する保健指導を行うとともに、対象者とのコミュニケーションを十分に図ることその他の様々な方法により、対象者が主体的に生活習慣の改善への取組に参加するよう適切な働きかけを相当な期間継続して行う保健指導をいう。

1.積極的支援の在り方について
  望ましい支援方法 最低レベルの支援
対面指導の
回数
最低3回以上
最低1回以上
支援期間
6か月
3か月
1回あたりの
指導時間
個別支援20〜30分、またはグループ支援80〜90分
個別支援20分またはグループ支援80分
支援内容
初回、対面による保健指導
  • 生活習慣の振り返り、行動目標および評価時期の設定
初回時に行動計画の作成
継続的な2回の面接および電話、e-mailを利用した支援による生活習慣の改善の状況の確認、新たに確立された行動の維持のための支援、食生活及び運動に関して体験を通した支援(6か月評価時まで、月1回以上の支援
対面による中間評価
対面による6か月後の評価
初回、対面による保健指導
  • 生活習慣の振り返り、行動目標および評価時期の設定
初回時に行動計画の作成
個別支援、グループ支援、電話、e-mailを利用した支援
6か月後の評価
中間・6か月
後の評価内容
および方法
簡便な生活習慣改善の程度(歩数の増加等)
腹囲、体重の減少、血圧の低下の程度
対面による中間評価および6か月後の評価
簡便な生活習慣改善の程度(歩数の増加等)
腹囲、体重の減少の程度
その他
健康増進施設を活用することが望ましい
 


2.望ましい積極的支援の例
   
1) 面接による支援
 
個別支援(30分以上) または グループ支援(90分以上)
 
  ・ 生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、行動計画や行動目標の設定等動機づけ支援の内容を含む支援とする
  ・ 食生活については、食生活の中で、エネルギーの過剰摂取につながっている要因を把握し、その是正のために料理や食品の適切な選択等が自らできるスキルを身につけ、確実に行動変容できるような支援とする。
  ・ 運動については、生活活動、運動の実施状況の確認や歩行前後の把握などを実施し、確実に行動変容できるような支援とする。
2)
2週間後 電話、またはe-mailによる支援
3)
1か月後 電話、またはe-mailによる支援
4)
2か月後 電話、またはe-mailによる支援
5) 3か月後(中間評価による体重・腹囲等の測定から必要時6か月後の評価までの行動目標・行動計画の修正を含む)
 
個別支援(20分以上) または グループ支援(80分以上)
6)
4か月後 電話、またはe-mailによる支援
7)
5か月後 電話、またはe-mailによる支援
8) 6か月後の評価
 
個別支援(20分以上) または グループ支援(80分以上)
 
次回の健診まで確立された行動を維持できるような支援を行う。



3.特定保健指導の実施要件(積極的支援における最低要件)
     
  1) 初回面接による支援

初回時
1人20分以上の個別支援
1グループ80分以上のグループ支援
支援内容
<個別支援>
生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。
生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に活用できるように支援する。
体重・腹囲の計測方法について説明する。
生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期について対象者と話し合う。
対象者とともに行動目標・行動計画を作成する。
   
<グループ支援>1グループ8人以下とする。
生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。
生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に活用できるように支援する。
体重・腹囲の計測方法について説明する。
生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期についてグループメンバーと話し合う。
対象者とともに1人ずつ行動目標・行動計画を作成する。
   
〈留意点〉
なお、上記の支援を実施する際には事前に十分対象者の状況を把握し、具体的な行動計画および評価時期を提示できるよう準備すること。


  2) 3か月以上の継続的な支援

支援形態
●個別支援  ●グループ支援  ●電話  ●e-mail
 ※ 継続的な支援に要する時間は、ポイント数の合計が180ポイント以上とする
支援内容
支援A(積極的関与タイプ)
生活習慣の振り返りを行い、行動計画の実施状況の確認や必要に応じた支援をする。
栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。〈中間評価〉
取り組んでいる実践と結果についての評価と再アセスメント、必要時、行動目標・計画の設定を行う。
   
支援B(励ましタイプ)
行動計画の実施状況の確認と確立された行動を維持するために賞賛や励ましを行う。
支援ポイント
合計180ポイント以上とする
  内訳; 支援A(積極的関与タイプ)
    個別支援、グループ支援、電話A、e-mail Aで160ポイント以上
    支援B(励ましタイプ)
     電話B、e-mail Bで20ポイント以上


  3) 6か月後の評価

支援形態 ●個別支援  ●グループ支援  ●電話  ●e-mail
支援内容 身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。



  4) 支援ポイントについて
支援形態 基本的な
ポイント
最低限の介入量 ポイントの上限
個別支援 5分 20ポイント 10分
1回30分以上実施した場合でも120ポイントまでのカウントとする
グループ支援 10分 10ポイント 40分
1回120分以上実施した場合でも120ポイントまでのカウントとする。
電話A
e-mail、FAX、手紙等により、初回面接支援の際に作成した行動計画の実施状況について記載したものの提出を受け、それらの記載に基づいた支援
5分 20ポイント 5分
1回20分以上実施した場合でも80ポイントのカウントとする。
電話B
行動計画の実施状況の確認と励ましや出来ていることには賞賛をする支援
5分 10ポイント 5分
1回10分以上実施した場合でも20ポイントのカウントとする。
e-mail A
e-mail、FAX、手紙等により、初回面接支援の際に作成した行動計画の実施状況について記載したものの提出を受け、それらの記載に基づいた支援
1往復 40ポイント 1往復  
e-mail B
行動計画の実施状況の確認と励ましや賞賛をする支援
1往復 5ポイント 1往復  
※e-mail 1往復とは 生活習慣等の振り返りの一連のやり取りが完結すること

留意点
1日に1回の支援のみカウントする。同日に複数の支援を行った場合、最もポイントの高い支援形態のもののみをカウントする。
保健指導と直接関係のない情報のやりとり(保健指導に関する専門的知識・技術の必要ない情報:次回の約束や雑談は含まない)
電話及びe-mailによる支援においては、双方向による情報のやり取り(一方的な情報の提供(ゲームやメーリングリストによる情報提供)は含まない(情報提供を含む))
電話又はe-mailのみで継続的な支援を行う場合には、e-mail、FAX、手紙等により、初回面接支援の際に作成した行動計画の実施状況について記載したものの提出を受けること。なお、当該行動計画表の提出や、作成を依頼するためのe-mail等によるやり取りは、継続的な支援としてカウントしない。
行動変容ステージが無関心期、関心期の場合は行動変容のための動機づけを継続することもある。



  5) 支援パターン
    (1)支援パターン1(継続的な支援において個別支援を中心とした例)
支援の

種類
回数 時期 支援形態 支援

時間

(分)
獲得

ポイント
合計ポイント 支援内容
支援A

ポイント
支援B

ポイント
初回

面接
個別支援 20 - - -
(1) 生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。
(2) 生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
(3) 栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
(4) 対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に活用できるように支援する。
(5) 体重・腹囲の計測方法について説明する。
(6) 生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期について対象者と話し合う。
(7) 対象者とともに行動目標・支援計画を作成する。
継続的

な支援
2週間後 電話B 10   10
(1) 生活習慣の振り返りを行い、行動計画の実施状況の確認や必要に応じた支援をする。
(2) 中間評価を行う。
(3) 栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
(4) 行動計画の実施状況の確認と確立された行動を維持するために賞賛や励ましを行う。
1か月後 個別支援

(中間評価)
20 80 80  
e-mail B   15
2か月後 個別支援 20 80 160  
3か月後 e-mail B   20
評価 6か月後          
(1) 身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。


    (2)支援パターン2(継続的な支援において個別支援と電話を組み合わせた例)
支援の

種類
回数 時期 支援形態 支援

時間

(分)
獲得

ポイント
合計ポイント 支援内容
支援A

ポイント
支援B

ポイント
初回

面接
グループ

支援
20 - - -
(1) 生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。
(2) 生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
(3) 栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
(4) 対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に活用できるように支援する。
(5) 体重・腹囲の計測方法について説明する。
(6) 生生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期についてグループメンバーと話し合う。
(7) 対象者とともに1人ずつ行動目標・支援計画を作成する。
継続的

な支援
2週間後 電話B 10   10
(1) 生活習慣の振り返りを行い、行動計画の実施状況の確認や必要に応じた支援をする。
(2) 中間評価を行う。
(3) 栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
(4) 行動計画の実施状況の確認と確立された行動を維持するために賞賛や励ましを行う。
1か月後 電話A 10 40 40  
e-mail B   15
2か月後 電話A

(中間評価)
10 40 80  
3か月後 e-mail B   20
個別支援 20 80 160  
評価 6か月後          
(1) 身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。


    (3)支援パターン3(継続的な支援において電話、e-mailを中心とした例)
      ○受診勧奨者は継続的な支援において個別支援が必要であり、このパターンを用いることはできない。
支援の

種類
回数 時期 支援形態 支援

時間

(分)
獲得

ポイント
合計ポイント 支援内容
支援A

ポイント
支援B

ポイント
初回

面接
個別支援 20 - - -
(1) 生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。
(2) 生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
(3) 栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
(4) 対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に活用できるように支援する。
(5) 体重・腹囲の計測方法について説明する。
(6) 生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期について対象者と話し合う。
(7) 対象者とともに行動目標・支援計画を作成する。
継続的

な支援
2週間後 e-mail B  
(1) 生活習慣の振り返りを行い、行動計画の実施状況の確認や必要に応じた支援をする。
(2) 中間評価を行う。
(3) 栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
(4) 行動計画の実施状況の確認と確立された行動を維持するために賞賛や励ましを行う。
1か月後 電話A

(中間評価)
20 80 80  
e-mail B   10
2か月後 e-mail A 40 120  
電話B 10   20
3か月後 e-mail A 40 160  
電話B 10      
評価 6か月後          
(1) 身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。


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