06/12/26 第5回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 第5回 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会記事録 1 日時   平成18年12月26日(火)13:00〜16:00 2 場所   厚生労働省共用第8会議室(6階)(東京都千代田区霞ヶ関1−2−2) 3 出席者  ・参集者(50音順)    小川委員、佐藤委員、志賀委員、高井委員、武田委員、時任委員、中井委員、   原委員、東馬場委員、松為委員、松井委員、松矢座長、宮崎委員、村上委員、   森委員、山岡委員、輪島委員  ・オブザーバー   職業能力開発局能力開発課 三富主任職業能力開発指導官  ・事務局   岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、   浜島調査官、白兼主任障害者雇用専門官、矢田障害者雇用対策課長補佐、   澤口障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課長補佐 4 議題 (1)就労支援の現状と課題について(ヒアリング)   (1) 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構における人材育成の取組み     報告者:独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構         障害者職業総合センター職業リハビリテーション部長 西村公子氏   (2) 民間におけるジョブコーチの育成の取組み     報告者:大妻女子大学 人間関係学部人間福祉学科 教授         特定非営利活動法人ジョブコーチ・ネットワーク理事長 小川浩委員   (3) 企業における障害者雇用の取組み     報告者:株式会社かんでんエルハート代表取締役 中井志郎 委員   (4) 地方自治体における障害者の就労支援策     報告者:静岡県商工労働部就業支援総室総室長 牛島聡 氏 (2)その他   (1) 「障害者雇用状況報告」の集計結果について   (2) 平成19年度 障害者雇用施策関係予算案の主要事項について 5 資料   資料1 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構における職業リハビリテーション      人材育成の取組み(議題(1)(1)関係)   資料2 NPO法人ジョブコーチ・ネットワークの取組み(議題(1)(2)関係)   資料3 第2号ジョブコーチの有効性について(議題(1)(3)関係)   資料4 静岡県での障害者就業支援策(議題(1)(4)関係)   資料5 「障害者雇用状況報告」の集計結果について(議題(2)(1)関係)   資料6 平成19年度 障害者雇用施策関係予算案の主要事項(議題(2)(2)関係)   参考資料1 就労支援を担う人材について   参考資料2 障害者福祉に関する資格について   参考資料3 ジョブコーチ支援関係資料   参考資料4 都道府県等における障害者雇用促進に係る支援施策の概要   参考資料5 地域障害者職業センター関係資料   参考資料6 今後の検討スケジュール 6 議事 ○座長  ただいまから第5回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研 究会を開催します。議事に入る前に、研究会の委員であった末永太委員が、人事異動で 交代されたので、新しい委員をご紹介します。日本労働組合総連合会総合労働局雇用法 制対策局部長の村上陽子委員です。それでは一言ご挨拶をお願いします。 ○村上委員  交代した村上です。どうぞよろしくお願いします。 ○座長  本日の委員の出欠については、石井委員と原田委員が所用により欠席です。また、公 務の関係で原委員が1時間程遅れての出席です。  本日の議事は、障害者の就労支援の現状と課題についてのヒアリングの4回目です。 高齢・障害者雇用支援機構からは就労支援を担う人材の育成について、小川委員から民 間でのジョブコーチの育成等について、中井委員からジョブコーチの配置も絡めて企業 での障害者雇用の取組みについて、静岡県から地方自治体における障害者の就労支援の 取組みについて、計4者からのヒアリングをお願いしております。  本日のヒアリングのために、委員の他に外部からお二方が出席されていますのでご紹 介します。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センターから、職業 リハビリテーション部長の西村公子氏がお越しです。よろしくお願いします。 ○西村委員  よろしくお願いします。   ○座長  静岡県から、商工労働部就業支援総室総室長の牛島聡氏がお越しです。   ○牛島委員  よろしくお願いします。   ○座長  それではヒアリングに入る前に、事務局から本日のヒアリングの進め方について説明 をお願いします。   ○事務局  本日のヒアリングは4機関です。報告が20分、質疑を10分と考えています。その後は 30分ほどフリーディスカッションをしていただきます。フリーディスカッションが終わ ったあとに、事務局から、障害者雇用状況報告の集計結果と平成19年度の障害者雇用施 策関係予算(案)の主要事項について説明いたします。  資料1から資料4は、発表をいただく方からの資料です。事務局からは参考資料とし て、ヒアリングに関係する資料を用意しています。参考資料1は「就労支援を担う人材 について」です。第1回目の研究会で提出した資料について福祉、教育分野、企業の人 材について記載がないとご指摘がありましたので、盛り込んでおります。参考資料2は、 福祉系の大学で職業リハビリテーションなどの障害者の就労支援を学ぶ場がないという ご意見がありましたので、参考として、障害者福祉関係の資格を取得するための履習科 目等について整理したものです。参考資料3は、ジョブコーチ支援の実績、配置数等に ついてデータを中心にまとめています。参考資料4は、都道府県が単独で行っている障 害者就労支援施策を取りまとめたものです。参考資料5は、第2回の研究会で地域障害 者職業センターのヒアリングの際、支援実績の都道府県別データがないとの要望があり ましたので用意したものです。 ○座長  それではヒアリングに入ります。高齢・障害者雇用支援機構における人材育成の取組 みについて、障害者職業総合センターの職業リハビリテーション部長の西村公子氏から お話を伺います。   ○西村氏   高齢・障害者雇用支援機構の西村です。よろしくお願いします。資料1の独立行政 法人高齢・障害者雇用支援機構における職業リハビリテーション人材育成の取組みにつ いて説明いたします。  まず、職業リハビリテーションに関わる人材の育成のコンセプトとして、機構の目標 は、職業リハビリテーションの発展及び円滑な推進に寄与するために、医療、福祉等の 分野における職業リハビリテーション実務者を含めて、職業リハビリテーションの専門 的な知識を有する人材の育成を図ることです。  具体的には、まず、職員である障害者職業カウンセラーの養成・研修、それから、医 療や福祉の分野の方々を対象にした専門的・技術的な研修として、就業・生活支援セン ター等の職員を対象にした研修、ジョブコーチ養成研修、職業リハビリテーション実践 セミナーなどの研修を職種別、課題別に実施しています。  また、研修の形ではありませんが、地域障害者職業センターにおいては、地域の関係 機関の方々を集めた職業リハビリテーション推進フォーラムや、これから職業リハビリ テーションに携わろうとする方々に対する基礎的な知識を提供する、地域就業支援基礎 講座もやっています。  本日の資料には載っていませんが、地域障害者職業センターにおいては、研修や講座、 フォーラム以外の日常業務として、個々の障害がある人に対する支援、あるいは障害の ある人を雇おうとする事業主に対する支援を実施しています。例えば、ケース会議等々 では支援ノウハウの提供や情報交換を行い、地域レベルで行政機関や福祉施設等の研修 会、勉強会での講師派遣依頼があれば赴いて、情報提供やリハビリテーションの技術面 を提供していくこともしています。また、障害者の福祉計画等の企画会議への参画、地 域レベルでの基礎講座、事業主を集めたワークショップ等でのネットワークを構築して います。  それでは、資料に戻って、研修やフォーラム等を中心に説明します。  カウンセラーの養成・研修ですが、障害者職業カウンセラーになるためには、高障機 構が実施している障害者職業カウンセラー試験に合格して、採用されるとカウンセラー 補という身分となり、厚生労働大臣指定講習を1年間受講し、修了審査を経て、やっと カウンセラーになります。  カウンセラーになった後は、3年目、5年目、9年目とそれぞれの年次の役割に応じ た研修に参加します。職業リハビリテーションの基礎的なものは1年目の厚生労働大臣 指定講習で学び、3年目のフォローアップ研修で、それを全般的に向上させていきます。 5年目の第二期研修以降は、精神障害がある人や、これからどんどん人を雇っていこう とする事業主等、多様なニーズに対応した援助をするためのノウハウやスキルに関する 研修を実施するなど、それぞれの年次に応じた研修を行っています。主任カウンセラー になるための研修、新任管理者の研修もありますが、カウンセラー全員が受けるのは、 第三期研修までです。最初の研修から年次を追ってノウハウを身につけ、第三期研修に なりますと、後輩カウンセラー等をスーパーバイズしていくことも研修の内容に加わり ます。  厚生労働大臣指定講習は、カウンセラー補に採用された方に対して1年間行いますが、 前期合同研修で1カ月間、全員を集めて、幕張にある総合センターで講義や施設見学、 職業実習等々の実施により、実際に配置される前に業務概要を理解させます。  そのあと実地講習を行います。これは実際にそれぞれの地域の障害者職業センターに 配置して、9カ月間OJTを行います。指導担当カウンセラーの指導援助のもとに、実 際の業務を経験していきます。これは指導計画を作成して、計画的に実施します。また 「事業主から求められる就業支援について」等に、いくつかの指定課題を設けてレポー トを3種類ぐらい提出してもらいます。実地講習の終了後、後期合同講習を約2カ月間 実施しますが、実地講習でのOJTを踏まえた演習や討議等といった具体的でアクティ ブな研修をやり、最終的に修了レポートを作成し、全体を修了審査して、カウンセラー に任命するという流れになります。  医療や福祉機関の職員の方々を対象にした研修については、障害者就業・生活支援セ ンターや雇用支援センターの職員に対する研修があります。新任の施設長に対する2日 間の研修と、就業支援を担当する新任の指導員に対する4日間の研修を実施しています。 また新任指導員研修受講後4年経過した指導員の方に対して就業支援スタッフリーダー 研修も行っています。これは前期3日間集まり、これまでに行ってきた支援の内容を検 証した上で、職業評価のあり方や相談方法のあり方についての講義や演習を行い、一旦 実践の場に12週間程度帰ります。前期の研修を踏まえて、実践期において3種類のレポ ートを作ります。そのレポートの作成についても、メールや電話によって障害者職業総 合センターの担当課が指導援助します。それをもってまた後期に3日間集まり、それぞ れ作成したレポートについて意見交換や討論等を行います。  ジョブコーチ研修についてですが、ジョブコーチは、地域障害者職業センターに配置 されている配置型、社会福祉法人等に所属する第1号ジョブコーチ、企業に所属する第 2号ジョブコーチという3種類のジョブコーチが現在おります。ジョブコーチを養成す る研修は、これからジョブコーチになろうとする人に対して、ジョブコーチとして働く ために必要な理論や技法を付与しています。  幕張の障害者職業総合センターで5日間集合研修して、そのあとは、それぞれの本拠 地の地域に帰り、地域障害者職業センターにおいて、地域研修を実施します。1名から 5名の小グループによる個別の演習や、1号の場合ですと実際に事業所に行ったり、作 業課題の分析、ケーススタディ等を実施しています。1号のジョブコーチと配置型ジョ ブコーチについてはほとんど同じ研修をしています。2号ジョブコーチは企業に配置さ れるジョブコーチで、自社が雇用する障害のある人とその家族を支援するということで、 事業所内外の関係者と調整して、支援計画を作成するのが特徴なので、特別なカリキュ ラムを設けて研修を実施しています。  ジョブコーチになった方に対するフォローアップについては、各地域の障害者職業セ ンターが、配置型のジョブコーチと第1号ジョブコーチがペアを組んで支援をして技術 移転をしていくこともあります。また、どのように支援をしていくのか、ケース会議で 助言と援助をします。また、個別の場合だけではなく、ジョブコーチ推進協議会の場を 設けて、ケーススタディや新しい知識や技能の付与を図ることもしています。  次に、職業リハビリテーション実践セミナーは、4日間のセミナーを年2回行ってい ます。福祉、医療・保健、教育等の関係機関の職員の方で、これから就業支援をやろう、 あるいは今やっているという方を対象にして、大模規に行っています。最初の2日間は、 職業リハビリテーションや事業主のニーズを学ぶという内容で、3、4日目は障害別に 3つのコースに分かれます。発達障害者のコース、精神障害のコース、高次脳機能障害 のコースです。ここでは障害を持つ本人や支援者に来ていただき、具体的な話や提言を していただいたり、それぞれの障害に応じた課題とその対応方法等の解説等を行います。  ケーススタディについては、AグループとBグループのコースに分けます。Aグルー プは初心者を対象に、こちらで用意した事例について検討を行います。Bグループは、 支援した事例を持ってきていただき、小グループで検討します。1回当たり、発達で100 人、精神で100人、高次脳機能で50人で合計250人規模になりますが、今年度は2回の予 定で、1回目はすでに実施しています。以上は障害者職業総合センターでの取り組みで す。  職業リハビリテーションに関する専門的な情報提供については、地域障害者職業セン ターでも、就労支援に関する基礎的な知識を提供する基礎講座、シンポジウムやグルー プ討論等により、事例やテーマに沿って話をしながら、支援のノウハウを深めていくフ ォーラムを実施しています。  いままでお話した研修等については、平成7年度に雇用支援センターの職員研修から 開始し、時代の要請に従い改善、拡充をしてきました。受講者数については、支援セン ターは開始以来658人が受講し修了しています。職業適応援助者は、平成18年度11月末 現在で1,268人、実践セミナーは2,000人、地域で行っているのは47センターで行って いますので桁が1つ大きくなっています。  これらの研修は、ただ行うだけではなく高い評価もいただいています。それぞれの研 修の修了時の評価は、「参考になった」というレベルは90〜100%です。6カ月経った ときに、「いまあなたが行っている業務にこの研修はどうでしたか」ということも、今 年度から追跡調査しています。1号、2号の職場適応援助者や、スタッフリーダー研修、 実践セミナーは高い評価をいただいています。  平成18年度の実施計画については、スタッフリーダー研修だけは1回ですが、その他 は複数回研修機会を設定して、多くの方に来ていただけるように工夫しています。  各研修については、課題別、職種別の研修を順次整備しています。研修の効果的な実 施については、テキストの整備や当機構の職員による実践的なノウハウの提供、また専 門的な分野において外部講師がよりふさわしい場合は講義をお願いし、きちんと実践情 報を提供していく等、努力しているところです。先ほどご紹介したのは全体的な評価で すが、1つ1つの講義についても評価をしていただき、それを踏まえて新しい改善を図 っています。  機構には職業訓練指導員という、職業リハビリテーションの専門人材がおりますが、 その人たちに対しては、OJT等の内部研修と、職業能力開発総合大学校での訓練指導 員向けの集合研修受講で、専門技術のレベルアップを図っています。  今後の方向等については、私どもは、やはりニーズのある所に対して積極的に実施し ていかなければいけないと思っています。新たな職業リハビリテーション人材に対する 研修を実施していこうと、平成19年度から、発達障害者支援センターで就労支援を担 当している方々に対する研修について現在検討しています。また、各研修については、 アンケート等を踏まえた内容の改善は当然のことながら重ねていきます。  研修等を通じての、地域における職業リハビリテーションにかかる技術移転の推進に ついては、いまの体系で十分なのか、重点の置き所については国の施策の方向もよく踏 まえてさらに検討していきたいと考えています。方法についても障害者職業総合センタ ーで集合的にやるのがいいのか、地域センターでもっと地域レベルでやるのがいいのか、 さらに養成だけでなくレベルアップを図るような研修等、新しいことを考えて職業リハ ビリテーションの推進に寄与していこうと考えています。また、研修だけではなく、 会議やネットワークの形成、一人ひとりの障害のある方に対する支援にかかるケース会 議等、全方位的な業務の中で地域のネットワークを形成し、そのネットワークが最大限 に発揮されて、雇用促進に活かされるような取組みを進めていきたいと考えています。  資料の最後に、高齢・障害者雇用支援機構における事業主に対する講習の資料が付い ています。これについては、全国の事業主を対象にした産業別の雇用促進講習や、重度 障害者障害種類別雇用促進講習を行っています。他に、都道府県ごとに、障害のある人 を5人以上雇用する事業所では設置することが義務になっている、障害者職業生活指導 員の認定資格講習等を実施しています。  以上で私どもの説明を終わります。ありがとうございました。 ○座長  どうもありがとうございました。ただ今のお話につきまして、御質問等がございまし たらお願いいたします。どうぞ、志賀委員。 ○志賀委員  ただ今の報告の中で、就業・生活支援センターの研修の実績とプログラムの内容なん ですが、就業・生活支援センターの業務で、4年経過後のリーダー研修を開催されてい て、まだまだ就業・生活支援センターはそれほど歴史があるところばかりではないと思 いますし、参加数も少ないのと、あと、私の方でも社会福祉法人の職員の配置等を担当 しておりまして思うのですが、相談業務を中心とした職員が、常勤職員で1カ所に4年以 上というのは現実には、私たちのような社会福祉法人ではちょっと考えられません。 もちろん、事業収入と人件費とのバランスが合わないというのがまず1つあります。そ れからもう1つは、やはり小さな規模である以上は、ある程度リーダー的な役割を担え る職員は管理業務的な仕事にどうしても早い段階で移行させたいという気持ちが出ます ので、なかなか4年間というのは、もちろん大きな組織の事業団であったりとか、社会 福祉法人、公的な機関であればできるんでしょうけれども、私たちのところではなかな かできません。そういう面で、対象者の問題なんですけれども、施設長研修が新任だけ で、4年次研修がリーダーだけで、実態と今後というものをちょっと検討していただけ ればと思いまして。 ○西村氏  そうですね。スタッフリーダー研修についても、私どもも非常に工夫してやっている ところなんですけれども、なかなか来ていただく方が少ないというところは考えており ます。それは何故なのかという原因をよく究明して、新規採用指導員の研修について、 今のスタッフ研修でやっているような内容を取り込んでいくとか、そういう方向もある かも知れません。いただきました御指摘も踏まえて、さらに良いものにしていきたいと 考えております。 ○座長  他にいかがでしょうか。松為委員、どうぞ。 ○松為委員  非常にきめ細かいたくさんの研修をやっていらっしゃるんですけれども、せっかくの 機会ですので、研修テキストは非常にたくさん作られているけれども、それは例えば公 表するとか、市販するとか、そういう考えはないんでしょうか。現在、この領域におき ましては、非常にそのような研修テキストが少なすぎます。せっかくそういったノウハ ウがありながら、自分のところの内部の研修ということもさることながら、もしできる ことなら幅広く情報として共有していただけると有り難いと思うのです。 ○西村氏  今のところはちょっと。私どもの研修テキストは内部で使っているという状況でござ いますけれども、確かに提供できるものは提供していくということで、さらに御指摘を 踏まえて考えてまいりたいと思います。 ○座長  山岡委員、どうぞ。 ○山岡委員  今後の方向性のところで、発達障害者支援センター就労支援担当者研修ということで、 来年度の予算のことで、既に計画されているかということが1つと、それから、実は発 達障害者支援センターが全国で48カ所になったとお聞きしておりますが、それぞれの成 り立ちや出身母体のようなことがありまして、特に就労支援の部分については、ノウハ ウとか人材の薄いところが多い。一例を挙げると、私はLD親の会に属していますが、親 の会も独自に就労に関して取り組んでいる会があります。発達障害者支援センターから 親の会に対して、就労支援のできる人を紹介してくれ、何とかしてくれと。ちょっと逆 ではないかというのが実態であります。発達障害者支援センターについては、特に秩父 学園の方で研修されているものがありますが、就労支援の部分については是非やってい ただけたら嬉しいということであります。 ○西村氏  ありがとうございます。発達障害者支援センターの就労支援に関わる方々を対象にし た研修は、これはやるということで、今、計画を立てて、検討を進めており、カリキュ ラム、日程、いらっしゃる方々それぞれの成り立ち、ニーズというのがどの辺にあるの かということを、もっとよくリサーチいたしまして、来年度からやっていきたいという ことでございます。また、いろいろと情報提供、情報交換などをさせていただきながら 進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○山岡委員  期待しておりますので、よろしくお願いいたします。 ○障害者雇用対策課長  障害者雇用対策課長の土屋でございますけれども、今の点について、1点だけ補足さ せていただきますと、発達障害者支援センターの事業の枠組みで、国の方からお出しを している事業では4名の担当者がセンターに配置をされていることになっておりまして、 そのうちの1名は就労支援を担当するという名目でセンターに配置をしているという状 況がございます。今回、機構の方でやっていただく予定になっている研修は、この就労 支援の方を対象にしたということで、秩父学園の研修とも整理をしながら進めていくと いうことを予定しているところです。 ○座長  ありがとうございます。では、松井委員。 ○松井委員  今後の方向に関してですが、これは後の議論に関係するのかも知れませんけれども、 少なくとも福祉的就労から一般就労へというふうな形の政策が非常に強調されているわ けですけれども、今後、これ以上総合センターでの研修が可能かどうか分かりませんけ れども、そういう移行支援に携わる職員の研修なり、あるいは、養護学校から一般就労 へという、進路指導を担当される方がいらっしゃいますけれども、そういう人たちに対 する研修というのも、今後の取り組みの中で検討されるんでしょうか。 ○西村氏  検討の対象としてはもちろん、どういう範囲の方々に、どこで、何を研修で提供する のか。また、研修以外にも、地域レベルでのいろんなネットワークとか勉強会とかで、 どうやっていくのかということを全体的に考えながらやってまいりたいと思っておりま す。今、教育関係については、実践セミナー等も対象でございますが、さらに積極的に 私どもから働きかけていくなどを含めて、今できることで何ができるか。そして、今後 は何をどこで、どんな形でやっていくのかということを、国の方針とも合わせながら、 また、全体的なニーズを踏まえながら、とにかくやっていかなければいけないと思って おります。 ○座長  どうもありがとうございました。時間がまいりましたので、また何かありましたら、 後ほどのフリーディスカッションでお願いいたします。西村部長、どうもありがとうご ざいました。  それでは、次に、民間におけるジョブコーチ育成の取り組みにつきまして、小川委員 よりお話をお伺いしたいと思います。小川委員、よろしくお願いいたします。 ○座長  次に、民間におけるジョブコーチ育成の取組みについて、小川委員よりお話を伺いま す。   ○小川委員  大妻女子大学の小川です。よろしくお願いします。本日は大学の立場というよりも、 ジョブコーチの人材養成に携わってきた社会福祉法人横浜やまびこの里仲町台センター の非常勤として、またNPO法人ジョブコーチ・ネットワークの代表をしておりますの で、そちらの視点から報告します。  NPO法人ジョブコーチ・ネットワークは、障害のある人が、社会の中で働くことの 実現を目的として、そのための実践的なネットワークの構築と、就労支援の人材養成を 行っていく組織です。  まず、ジョブコーチ・ネットワークの前身となる活動を説明します。以前勤務してい た社会福祉法人横浜やまびこの里仲町台センターは、横浜の自閉症児者親の会が設立し た社会福祉法人です。こちらに1998年に就労支援部門が設立され、制度ができる前です が、そこでジョブコーチによる就労支援の実践と、ジョブコーチの養成研修が開始され たのがルーツです。ジョブコーチ養成研修は、1998年から2005年までの8年間で、表の 入門編の基礎の部分で、1,900人ぐらい、より実践的な小グループによる実践セミナー で442人の方が受講しています。このセミナーの修了生で、その後地域で就労支援をし ている方が、このセミナーの講師を務めたり、自分の地域で小規模なジョブコーチセミ ナーを開催したり、そういうつながりができて、それがジョブコーチ・ネットワークの 土台になりました。  仲町台センターで行ったジョブコーチのセミナーが非常に拡大して、1つの社会福祉 法人で担える範囲を超えたので、人材のネットワークを使い、その方々たちに実行委員 になってもらい、平成18年8月に任意組織としてジョブコーチ・ネットワークが発足し、 今年の3月にNPO法人を取得しました。私やこの委員会の委員の志賀利一さんを含む 4人が理事となり、他に全国で21人の実行委員が中核として運営を行っています。 運営の財源は、有料で行っているセミナーの参加費収入と民間の助成団体からの助成金 を運営の財源としています。もう少しゆとりがあると嬉しいのですが、非常に質素な運 営で、逆に費用対効果の高い運営に結果としてなっています。  JC−NETの事業は、専門養成事業、一般養成事業、普及啓発事業、WEB事業と いう4つの柱を立てています。ここでは専門養成事業と一般養成事業に焦点を当ててお 話します。  JC−NETジョブコーチ養成研修について説明します。専門養成事業は、就労支援 の専門家養成を目的としています。職場適応援助者養成者研修として、厚生労働大臣の 指定を受け、JC−NETジョブコーチ養成研修という6日間の研修プログラムを実施 しています。これは職場適応援助者養成研修の指定を受けていますが、職場適応援助者 助成金を使う予定のない方たちにも門戸を開いて、幅広く受講者を募っている研修です。 第1回目は8月に定員42人、来年の2月には定員60人で実施する予定です。  今回はカリキュラムについて詳しく説明する時間がありませんが、全体での講義、座 学中心の基礎課程を2日間、6人の小グループで講義をして、そしてロールプレイをし てディスカッションという演習中心の実践課程を3日間、最終日は主に特例子会社での 実習を1日間、合計6日間です。自由に受講していい科目を含めますと50時間を超える 研修内容です。  カリキュラムの特徴は、従来の協力機関型ジョブコーチと違い、第1号職場適応援助 者は、障害者職業センターのカンウセラーが立てた支援計画、指示のもとで稼動すると ころから、第1号職場適応援助者自身が自分で支援計画を作成して、自律して支援を行 える形になりましたので、かなり研修の内容を幅広く持っています。  これはポイントを示していますが、アセスメント、企業との交渉、職務再構成のアイ デアを出したり、ナチュラルサポートの形成のテクニック、わかりやすく仕事を教える 技術、作業指示書やジグなどの作成と、大体現場でジョブコーチが要求される実践的な 内容を含むように構成しています。  ここから少し画像になりますが、この研修は実践的であること。何より顔の見えるネ ットワークをこの研修を通して構築すること。福祉施設に在籍している方たちが多いの で、企業での就労支援を行うスピリットについてきちんと伝えること。それを理念とし ています。  これはディスカッションをしているところです。先ほどロールプレイ、演習と言いま したが、これは実際の作業を教える手順について検討しているシーンです。これは実際 に作った作業指示書を使いながら、障害のある人の役をしているグループのメンバーに 仕事を教えています。これは卒業写真のようなものです。  第1号職場適応援助者と、第2号職場適応援助者のカリキュラムが共通する部分につ いては、共通の研修にしています。1つのグループに第1号の方と第2号の方が交わっ て研修を受けることで、企業側のノウハウと支援者側のノウハウを共有して、いい結び 付きができるという効果が思わぬところでありました。  次に受講者の状況です。第1回目は、男女比は大体同じぐらいで30代は16名、20代が 10名、40代が11名です。申込みの中には、退職した方や退職を控えた方が第2の仕事と してジョブコーチを志し、とりあえずこの研修を受けたいという方も若干いましたが、 倍率が高い状況で、近々に地域の就労支援の実務を担える方を中心に選考した結果、こ の年齢構成になっています。  これは第1回目の受講者の所属機関の状況です。福祉施設等が22名、地方自治体の就 労支援事業、これには障害者就労・生活支援センターも含まれており6名、企業が8名 で、この8名が第1回目は第2号職場適応援助者の受講者になります。福祉施設等に所 属する方は、就労移行支援事業を予定している所が多かったように思います。  次のグラフは、左側が第1号に関する受講者と申込者の割合、右側が第2号に関する 申込者と受講者の割合で、第1号の申込みが多く、定員の3倍の申込みをいただいてい ます。第2号は1回目が12名の定員に対し8名、2月に実施予定の2回目は20名に対し 15名の申込みで、若干定員に満たない状況ですが、参加した方からは比較的良いリアク ションをいただいていますので、今後は2号の申込者が増えることを期待しています。 受講希望者が定員を大幅に上回る状況については、まだ確定はしていませんが、ジョブ コーチ・ネットワークとしては、来年度は開催の回数と開催地域を増やすことで対応し ていきたいと考えています。  受講の目的ですが、ここがJC−NETの養成研修の特徴だと思います。職場適応援 助者助成金を使う予定のない方も受付けています。申込みの段階で、職場適応援助者助 成金のもとで稼動する予定があるか伺っていますが、申込者のうち稼動予定がある方は 50%ぐらいで、その他の方は取りあえず助成金を使う予定はないということです。稼動 予定がある方も、あとで聞き取りをしますと、障害者職業センターといろいろ協議が済 み、稼動の体制が整っている所の数は非常に少ない。かなり大雑把な見積ですが、全体 の申込者のうち1割いるかどうかと考えています。  研修は6日間で、受講料は4万5,000円ですが、地方から来る方はそれに宿泊費と旅費 を含めるとコストは10万円を超えますが、助成金を予定しなくても、それぐらいのお金 をかけて就労支援のスキルアップ研修として参加したい方が一定の層いることがわかり ます。就労支援に対する研修ニーズの高さを表しているのではないでしょうか。以上が、 職場適応援助者助成金にかかわるジョブコーチ・ネットワークの研修についてです。  ここからは助成金とは離れて、JC−NETが行っている主に福祉施設等の方を対象 にした就労支援のセミナーについて簡単に説明します。  JC−NETジョブコーチセミナーは、仲町台でジョブコーチセミナーを受講した方 たちが、自分の地元で同様のセミナーを開催したいという要望があり、それに少しずつ 応えたところ、この図で示すような、全国で開催することになりました。主に週末の土 日を利用して私が行ったり、JC−NETの実行委員が講師として行く形で展開してい ます。平成18年度は9カ所で、1日目の基礎講座が819名、2日目の実践セミナーは342 名受講しています。  これは2000年から徐々に実施してきたので、どれくらいやったのか調べたところ、 2000年度から今日までの実績は全国で基礎を受講した方は3,675人、実践を受講した方は 847人です。入門編と就労支援の裾野を広げるセミナーを地方で開催して、より実践的、 専門的な研修は、職場適応援助者養成研修を都市部で行うという組合せで、段階的に人 材養成をしていくことが効果的であると考えています。  次にウェブについて説明します。ジョブコーチに関する情報発信、コミュニケーショ ン、ネットワークを構築する場としてホームページを設けています。1週間で平均して 3回程度更新するようにしています。月に5,000人ぐらいがアクセスするウェブになっ ています。有料と無料のページに分けられますが、有料の会員は250名、月に5,000人が アクセスするのですが、有料会員はまだそれ程多くない状況です。かなり無料で見られ るページが多いので、そのようになっていると思います。職場適応援助者養成研修を受 講した方は、当該年度に関しては、このウェブに無料でアクセスできる権利を付与して います。これは研修のフォローアップの意味で考えています。  最後に、全体的な就労支援の人材養成について、私が考えていることをお話します。 さまざまな障害者雇用促進の施策の成果が出てきています。雇用率や就職件数が順調に 推移していることは大変ありがたいことです。現場の実情では、これから雇用就労に移 行していく知的障害、精神障害、発達障害の方たちは継続的に支援を必要とする方たち で、支援なしに即戦力になる方たちとは少し層が違うように感じています。そうなりま すと、地域で就労をずっと支え続けていくシステムと人材が必要で、最近の就職件数の 増加に、支えるほうが追いついていかない懸念を持っています。  地域で就労を支えていく社会資源としては、障害者就業・生活支援センターの増強が すでに打ち出されていますので、これは是非実施していただきたいと思います。地方自 治体の就労支援事業も、いろいろなタイプが誕生していますので、この発展も期待しま す。問題はそこで働く人材で、就職への移行支援がきちんとできている所もあれば、生 活支援が中心で、軽度で働いている方たちのよろず相談窓口になっていて、就職への移 行のノウハウがあまり蓄積されていない所もあるようです。  私も施設で働いていましたので、生活支援と就労支援が一体でなければならないこと は重々承知していますが、生活支援の延長線上に就労支援の専門性はあまりないように 感じています。生活支援の専門性と就労支援の専門性は別ものです。地域できちんと就 労移行支援ができるマンパワーが欲しいと考えます。  先ほど研修の話が出て、かなり効果的な研修のシステムがあると思いましたが、障害 者就業・生活支援センターの就労支援ワーカーの役割と専門性をきちんと高めていくこ とが必要です。  就労支援の固有の専門性は何か、いくつかの要素をピックアップしたのが、次の図で す。第1号職場適応援助者と共通する部分が多いですが、より深く専門的に習得する必 要があると感じます。本当に専門性と言えるぐらいに学ぶということになると、第1号 職場適応援助者養成研修も現職研修で1週間やっていますが、これに職場を1週間抜け て出るのが大変だという声が随分上がっていますので、この内容を現職の方に研修する のは現実的ではないと考えています。  別の視点になりますが、大学院レベルの基礎教育にこのような内容が入っていくこと もあり得るのではないかと思います。アメリカではCRCという大学院レベルの職業リ ハビリテーションの資格があり、これは大学院の修士課程のレベルです。その資格を取 得したあとも、かなりフォローアップ研修をきちんと受けていかないと資格を喪失する というハードルの高い資格です。日本でもかなり就労支援の人材の必要性が高まってき ましたので、こういう研究を始めてもいい段階ではないかと考えます。  長期目標としては、大学、大学院での教育もあるのでしょうが、いまの現実的な対応 としては、第1号職場適応援助者養成研修を充実させていくことを、ジョブコーチ・ネ ットワークとして進めていきたいと思います。この研修は、就労移行支援事業の担当者、 障害者就業・生活支援センターの就労支援の担当者、地方自治体の就労支援事業の担当 者、養護学校の進路指導の先生と、どういう立場にも共通する内容が含まれていると思 います。ある段階で整理されて、何か1つのまとまったものができるといいと思います が、国や地方、福祉、労働、教育といろいろ跨がっている分野ですので、当面、NPO 法人の特色を活かして、皆さんが参加できる門戸の広い研修として実施していきたいと 考えています。以上で私の報告を終わります。ありがとうございました。 ○座長  どうもありがとうございました。これから質問等をお受けしたいと思います。いかが でしょうか。それでは、時任委員どうぞ。 ○時任委員  ジョブコーチの養成、育成について、カリキュラムが当然あると思うのですが、つま り、今回の中で対象になる障害者というのは、精神障害、知的障害、身体障害で、身体 障害の中に、さらに盲、聾、肢体不自由、それから内部障害とあるのですが、特に、例 えば、視覚障害、聴覚障害というのは、かなり特殊な技術が支援の上で必要かと思うの です。カリキュラムの中にそういう要素が入っているかどうかをちょっとお尋ねいたし ます。以上です。 ○小川委員  ジョブコーチの職場適応援助者養成研修の基本的なカリキュラムの枠組みは厚生労働 省の方から示されているカリキュラムの規定に沿って組み立てております。御質問の部 分については、障害特性と職業的課題という枠組みの中で取り扱うもので、身体障害、 知的障害、精神障害の3つの障害分野を中心に扱っています。私たちの研修では、時間 が一つひとつかなり限られていることと、これは率直に申し上げて、視覚障害と聴覚障 害に対するジョブコーチ支援に関する事例と、それを担当したことのある現場のスタッ フが非常に少なくて、そこの情報がありません。研修でその辺を十分にお伝えできるだ けの情報源を持っておりませんので、障害特性について簡単に触れる程度で留まってい るというのが現状でございます。 ○時任委員  今後の問題と考えてよろしいですね。ありがとうございました。 ○座長  それでは、松為委員どうぞ。 ○松為委員  2つ質問と、3番目は私の個人的な意見になりますが、3つお話しさせていただきます。  まず、最初ですが、第1号ジョブコーチに関しては、厚生労働省認定の研修となって いますね。そのカリキュラムの中身はどういう基準になっているのか、ちょっとそれを 教えてください。  2番目に、現在の1号ジョブコーチの研修なんですが、例えば、先ほどお伺いしました 障害者職業カウンセラー研修と比べると、かなり質というか、研修の中身がかなり違う ような気がします。言い換えますと、第1号ジョブコーチ研修というのは、この後、レ ベルアップして、もう少し専門的な格好のものに持っていけるようなカリキュラム体制 が考えられているのかどうか。  そして、最後になりますが、先ほど小川委員が御指摘された通り、いわゆる大学、大 学院等に関しての研修は、私どもとしても是非ともお願いしたいところなんですね。た またま、大学にいってらっしゃる方はご存知だと思いますが、12月12日付けで、社会保 障審議会福祉部会で社会福祉制度のあり方に関する意見書が出ているのです。この中で、 社会福祉士に関しては、就労に関して本格的に人材育成しましょうという話があるわけ ですね。私は小川委員のお話を伺いまして、これは是非とも本研究会の報告書での提言 として、特に社会福祉士制度の中において、例えば実習先あるいはカリキュラム等につ いて、こういった就労あるいは職業リハビリテーションに関する研修体制を入れるよう に、この研究会として提言してもらいたいと思います。最初の2つの質問に対してお願 いします。 ○座長  では、お願いいたします。 ○事務局  第1号ジョブコーチのカリキュラムにつきまして少し御説明をさせていただきます。 研修カリキュラムとしましては、私どもの方から厚生労働大臣が定める研修ということ で、カリキュラムについて、モデルカリキュラムということでお示ししてございます。 内容につきましては、大体の科目につきましては、職業リハビリテーション概論ですと か、第1号ジョブコーチの職務ですとか、その他障害特性、職場における雇用管理の理 解ですとか、ケースマネジメントの取り組み、そういった共通項目等がございます。そ の他に事例研究ですとか、支援計画やフォローアップ計画に関する理解促進、そういっ たもので構成されております。  それから、社会福祉士制度の見直しの関係でございますけれども、先ほど松為委員が 御指摘の通り、社会保障審議会福祉部会で社会福祉士制度の見直しについて提言がござ いまして、関係部局に確認したところ、この提言を受けて具体的に社会福祉士制度の大 学における講義の内容ですとか、この資格を受ける際に必要とする必須科目等につきま して検討をしているということでございます。私どもの方も、本研究会があるというこ とを情報提供させていただいて、こういった社会福祉士制度の前提となる科目の中に就 労支援という視点を入れて欲しいということをお願いしているところでございますので、 この研究会の報告等につきましても、今後適宜情報提供していきたいと思っております。 ○座長  ありがとうございます。それでは、関連して、小川委員、よろしくお願いいたします。 ○小川委員  先ほどお示しした内容は、ただ今事務局の方から御説明がありましたカリキュラムの 枠に沿って、私たちの方は、その基本的な枠の中にポイントをうまく盛り込んで、演習 等を行っているということです。  それから、第1号職場適応援助者養成研修をより専門的なところへステップアップで きないかというお話ですけれども、いわゆる職場で仕事をするだけの狭い意味でのジョ ブコーチという視点から、第1号職場適応援助者養成研修の場合には、より就労支援の 守備範囲を広げて考えておりますので、おっしゃられたように、ステップアップは十分 可能であると思いますが、そうすると、先ほどちょっと申し上げたように、研修で果た してその受講がどれぐらい可能なのか。あるいは、費用はどうなのか。その実際の実施 と運営の面で検討しなければならない課題はあると思います。  最後に、大学、大学院での教育についてですけれども、私も同じような意見を持って おりますが、社会福祉士の養成の中に、もう少し就労に関する要素を盛り込むべきだと いう視点と、アメリカのCRCのように就労支援や職業リハビリテーションに特化したコ ースというか、養成を考えるべきだという、2つの視点が必要だと考えております。 ○座長  では、事務局の方から。 ○障害者雇用対策課長  今の点に若干の補足を申し上げたいと思うのですが、まず、ジョブコーチ研修の標準 的なカリキュラムは今御説明した通りなんですが、多分、分かりにくかったと思います ので、こちらの方が持っている標準的なメニューについて、後に資料を追加して提出を させていただきたいと思います。  それから、今、小川委員の方からお話があった点については、実はこれからの話では あるんですが、ある大学から、学生向けの講座ないしは自由に選択できるゼミみたいな 形で、ジョブコーチ研修の標準的なメニューに沿って大学の中でそういうのを受けると いうことを検討してみたいというお話も来ておりますので、そういったことを含めて、 少し幅が広がればと考えております。ジョブコーチ研修自体は、小川委員のところでや っていただいているようなNPO法人とか、社会福祉法人とかに限らずに、どんな主体で も、例えば地方自治体がやるということでもかまわないと考えておりますので、そうい った意味で、大学にもそういうふうに広がればということで、今、御相談をさせていた だいているところでございます。 ○座長  ありがとうございます。では、宮崎委員どうぞ。 ○宮崎委員  2点ほどお伺いしたい点があるのですが、1つは、ニーズが非常にたくさんあって、そ れに応え切れなくて、回数を増やそうというお考えで取り組んでいらっしゃる。今、障 対課長のお話にもありましたように、これからいろいろなところで研修をやっていこう とした時に、研修を企画する側、あるいは実施していく側というのは、どういうような 機能、あるいはどういう要件が整理されていなければいけないのか。それから、1回当 たりの研修に、小川委員のところでやられている人数キャパシティーとしてはどうなの か、という点が1つでございます。  もう1点お聞きしたいのが、実際には人材の育成ということになると、養成研修とい うのはもちろん必要なんですが、ジョブコーチのプロジェクト委員会の報告書にもござ いますように、養成研修に加えて今後のOJTというのが絶対に必要である。特に、職リ ハの業務というのは、この研修の中でやっていただいているところでも、顔が見える形 で実務的にということでやっていらっしゃるように、これが現場の話になってくれば、 実際のケースを通じてのOJTをやっていくことが必要で、研修講座的な座学的な部分だ けではなかなかうまくいかないと思うのですが、体制づくりというところでどんなふう な取り組みをされているのか。あるいは、受講される方のセレクトをする時の指導体制 であるとかをどんなふうにアドバイスをされたりしているのか。その辺りについてお聞 かせいただければと思います。 ○座長  時間がきましたので、お答えは後のフリーディスカッションのところの冒頭でお願い します。では、小川委員、ありがとうございました。また後ほどよろしくお願いいたし ます。  次の企業における取り組みについて、中井委員からお話をお伺いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○中井委員  かんでんエルハートの中井です。よろしくお願いいたします。大阪弁でいろいろ失礼 なことを申し上げると思いますが、ご容赦のほどお願いいたします。それから、私はパ ソコンがあまり得意ではなくて、私の補助で、2号ジョブコーチの、登録番号1番、エ ルハートの上林が、ちょっと後ろに。2人で一人前ということでご理解をいただきたい と思います。  それから、本日お配りしております資料の中に、私ども従業員の個人のプライバシー に関わる部分がいろいろと混じっておりますので、申し訳ありませんが、取扱いにご留 意いただくとともに、この場限りということでお願いしたいと思います。  障害者の方々への就労支援につきましては、主に障害者の方に対する直接的な支援と いうか、障害者側の支援ということが話題の中心になっていると思いますが、私はいま、 97名の障害者と一緒に働いている事業主として、ちょっと皆さんとは違った意見にな るかと思いますが、事業主のほうの支援を有効に行っていただかないと本当の意味での 就労というのは進まないのではないかと考えておりますので、その点についてご説明を したいと思っております。よろしくお願いいたします。  いまから申し上げますのは、目次に書いてありますように、主に私どもエルハートの 概要、それから、第2号ジョブコーチというのは非常に役に立つということ、それを順 次ご説明したいと思います。  私どもの会社は、拠点が3箇所ありまして、大阪市の住之江区に本社があります。こ れが、平成7年ですから、いま商売を始めて12年経っております。さらに5年後、いま から7年前ですけれども、大阪府の高槻市という所に、知的障害者の方の園芸中心のフ ラワーセンターをつくりました。2年前には、関西電力の本社ビル18階に1フロアをい ただいて、ビジネスアシストセンターというのをつくっております。  仕事の中身は、ここの写真にあるような、いろいろなことをやっております。真ん中 の写真の、車椅子の方、これは印刷のデザイナーですね。その隣は、聴覚の方で、印刷 機械で印刷をしています。手話で会話をしています。それから、下のほうは、視覚障害 の方で、産業マッサージをしています。こんなことをいろいろやっております。  それから、従業員の数ですが、合計138名。そのうち、障害者の方が97名。そして、 あらゆる障害者の方がいらっしゃいます。知的48名。肢体不自由22名、聴覚の方8名、 視覚障害の方11名で、そのうち10名がマッサージの関係で、事務的な仕事が1名です。 内部障害は、腎臓の移植、心臓のペースメーカー、肺の移植などをした方たちです。精 神の手帳の方は4名いらっしゃいまして、統合失調症が2名、てんかんの方が1名、強 迫神経症とアスペルガーの方が1名です。  これがエルハートの10年間の歴史ですけれども、要は仕事をいっぱいつくってきたと いうことです。過去、助成金を約8億いただきまして、法人税とか事業税とか、個人の 所得税も入れまして、約4億円。企業の貯金である純資産が、いま4億円。それに資本 金2億円ということで、十分ビジネスとして成立しているのではないかと思っておりま す。それと、自分の会社の自慢をしてはいけないのですが、やはり従業員の方のモチベ ーションが非常に高いというのが我々の誇りではないかと思っております。いま、関西 電力の特例子会社ということで、雇用率が2%を超えております。  法定雇用率が上がるとか、電気事業の除外率が10%になるとか、そのたびにどんどん 人を増やしてきた。そして、仕事をどんどん開拓してきた。それで、助成金をたくさん いただいた、ということです。これはまた、抽象的な仮の話ですけれども、一般の会社 の場合は、納付金5万円というのがありまして、仮に労働生産性が12万円でしたら、1 人の方を雇用するのに20万いるとしたら、マイナス3万円の赤字になるので、成り立た ない。私どもの場合は、納付金5万円と、労働生産性、同じ12万円で、助成金が、大雑 把には8億円を割り戻しますと7万円。設備ですからこういう計算はちょっと間違って いるかもしれませんが。それと、電力、親会社のCSRが非常に高まっていますので、 十分採算に合う状態になっているというふうに考えております。  それでは、本来の2号ジョブコーチが非常に有効であるというお話をさせていただき たいと思います。1号というか、外部のジョブコーチを活用してきておりません。これ は基本的には自前の仕事だと認識しています。いろいろな障害を持つ従業員の方々とい うのも、我々の仲間ですから、企業の役職者が力を付けて支えていかなければいけない というふうに思っておりました。それから、やはり個人のプライバシーに関する部分が 非常に多くて、変な話ですが、お父さんがアル中だとか、お母さんが借金ばかりしてい るとか、そういったことがすごく就労に影響しますので、そういうことをいろいろ議論 していくときに、外部の方に入っていただくことに躊躇していたというのが本音です。  2号ジョブコーチを現在配置しておりますが、直接のきっかけは、精神の方を2年前 に雇用しまして、統合失調症の方が、再発して4カ月休んでしまったのです。ダウンし てしまったのです。非常にショックを受けまして、我々がやってきた、勘と経験と度胸 による就労支援はちょっと限界だなと、これだけでは駄目ではないかと反省をしまして、 専門的な勉強をしなければいけないなと思いました。それで、さらに会社全体で支えて いく戦略を立てないといけないと思ったわけです。  昨年、1年前ですけれども、2名の養成をしていただきまして、さらに年明けには2 名、どんどんこれからは増やしていきたいと。高いスキルというのは非常に有効です。 具体的な、先ほど申し上げた、ダウンした彼の話を申し上げますと、ちょっとグラフに 書いているのですが、実際には働き出して6カ月目に突然休んだのです。それまでは仕 事はよくできますし、明るいし、元気いっぱいでした。本人も、最初は3時までという 短時間でやっていたのですが、もっと働きたい、もっと時間を延ばしてほしい。それで 職業カウンセラーの方にもご相談し、それだけ言うのなら調子もいいし延ばしましょう ということで、延ばしていったのです。ところが、結果的には半年後にダウンしてしま ったのです。後追いで、タイムレコーダーとか、いろいろ職場のみんなに聞いて回りま して、どんな状態だったのかなと。体重が80kgから60kgと書いてありますけれども、半 年間で20kg減っていたのですね。出勤時間も、普通は8時すぎに来れば十分間に合うの ですけれども、最後は6時42分ということで、始発電車で来ていた。入社した喜びとい うか、躁状態など、いろいろな要素があったのですけれども、非常に不安定になってオ ーバーヒートしてしまったのかと思っております。  それで、再発防止策というのを会社で真剣に考えまして、統合失調症の方は、再発し ますとどんどん能力が落ちていきますので、企業としてはこれは是非とも止めないと駄 目だと。いろいろ聞き回って勉強して特にやっておりますのが、(2)の2号ジョブコーチ による「10分面談」です。睡眠時間、睡眠の質、食事の量、気分、職場での人間関係、 家庭での人間関係、その他心配なことを全部毎日聞いています。それと、ご本人にはや はりセルフコントロール力ですね。必ずゆれますので、病のゆれを自分で管理できる能 力、それと対人協調能力も頑張って付けてほしいというようなことを言いました。  車の運転に例えますと、本人がアクセル、ブレーキ、ハンドルの操作をする。自分で 上達をしていただかないと、我々は直接できません。会社は職場環境とか道路状況に例 えましたが、それは整備しますと。それと2号ジョブコーチが助手席に乗って常に助言 しますと。ちょっと左へ寄りすぎてます、スピード出しているのではないですかという ことを言います。こういう体制にしたわけです。これが今年の2月から現在までのA氏 の復帰後の様子であります。10段階評価になっていますけれども、本人の申告、毎日 何点ですかと。満点だったら10点。10点というのはちょっと危ないのですけれども。 それと、会社に来れなかったときは0ですね。これを付けまして、最初は1日4時間で 水曜日もお休みにしましょうというところから始めて、徐々に、下に「ケース会議」と 書いていますけれども、お父さん、お母さんにも来ていただいて、お医者さんにも様子 を聞いてご本人とか職業カウンセラーの方、そして我々が入って、2号ジョブコーチが 中心になりどうしていきましょうと。現在良くなっているか悪くなっているか、気にな る改善点というのは何か、これを細かく大体月1回のペースでやりました。だんだん良 くなってきまして、本人も徐々に落ちついてきたので、ちょっと時間を延ばしてほしい ということで9月ぐらいからだいぶ安定してきました。ご家庭でも、お母さんが、「本 当にだいぶ調子がいい」と言っています。ちょっと脱線しますと、お父さんが非常に良 くない方で、猛烈サラリーマンなのです。いま70すぎですけれども、大企業の管理職 でバリバリやっていたこともあり、息子さんがしんどいときに布団を被って寝てたらそ れをひっぱがしてどつき回す。「根性がないからあかんのや」ということで。そうする と、何か悪くなるとか、非常に難しいのですね。職場だけやったってあかんのですね。 全部ご家庭とか、それから、先ほどのグラフにありましたけれども、恋愛問題とかそん なのが全部絡んできて、彼はゆれるのですね。現在、何とか落ちついていますけれども、 これからもずっと見守っていかなければいけないと思っております。  2号ジョブコーチそのものとは関係ありませんけれども、我々エルハートで考えてい ます「働くということ」というか、2号ジョブコーチの守備範囲に関するようなことで すけれども、これは、高齢・障害者雇用支援機構が作成された就労準備性のピラミッド でありまして、心の健康管理から、日常生活、社会生活、労働習慣、職業適性、この辺 が全部満たされないと働くということはできないということです。身体の方は、いちば ん上のほうかもしれません。知的の方は真ん中あたりで、不調を出される。精神の方は やはりいちばん根っこの心の健康管理の所ですね。発達の方も真ん中辺でちょっと課題 があるというふうなことです。それについてそれぞれ助成金をいただいて、設備改善、 バリアフリーにしたり、OJTで仕事の指導、毎日の仕事の仕方を変えたり。それから、 精神の方の場合は、お医者さんですね、それから、ご家族、グループホーム、就業・生 活支援センター、職業カウンセラー等と、ネットワークを組みながらサポートをしてい ただく。そうすると、私どもの場合はかなり働いていけると思います。  ネットワークの問題については、結局、障害者の方と企業のマッチングがうまくいっ ていないのではないかということです。雇用率は上がっていますけれども、基本的には なかなかうまくいっていない。障害者の方は、労働習慣とか生活能力とか、その辺で不 十分さがあって、企業は何といいましても不安感が大きいのですね。ちゃんと働けるの か、あるいは、職場で不適応になるのではないかとか、この辺を解消するのがいちばん 大切だと。我々は、職業安定所がネットワークの基本になるのではないかと考えていま す。あと就労準備訓練等各機関がありますけれども、養護学校での教育というのがいち ばんベースになる。これをいかに企業に結び付けるかということです。訓練支援の機関 はたくさんあります。ところが、企業側の雇用の受け入れ体制、これはやはり弱いので はないかと思っております。出口というか、企業側での受け入れ体制を解決しないと、 基本的には就労というのは進まない。それのキーパーソンが2号ジョブコーチになるの ではないかと。2号ジョブコーチがスキルを持って企業内に存在しますと、外部の力を 企業内に取り込むことができます。それと、やはり障害者の方が持っているいろいろな 情報、個性、特性も企業に流していただく。これは非常にデリケートな問題ですけれど も、「この部分を支援していただいたらこの人は働けますよ。ここが弱いですよ」とい うのを教えていただけたらいいのではないかと。「情報付き雇用」と書きましたけれど も、そのように考えております。  それから、人的支援に関する現在の制度で、生活相談員、職業コンサルタント、2号 ジョブコーチというのがありますけれども、いちばんスキルが高いのが2号ジョブコー チではないかと思っております。お金がたくさんもらえるのは職業コンサルタントです ね。月に15万円もらえます。2号ジョブコーチの場合は、1対1できめ細かく指導でき るということがありますけれども、私どもの申請した例では、4カ月で2万8,000円と、 4万7,000円と非常に低額になっております。この辺もちょっと将来検討していただけ ればと思います。  制度としては、職業生活相談員、それから外部のジョブコーチ、2号ジョブコーチと、 どんどん企業への関与が深まってきておりまして、これは非常にありがたいことだなと。 できましたらさらに一歩踏み込んで、管理マネージャーというのでしょうかね、ジョブ だけではなくて、もっと裁量権の高い、2号ジョブコーチが係長さんぐらいでしたら、 課長ぐらいの高い位置の人が、そういう就労支援のスキルを身につけていただくと、も っと働きやすい状態になるのではないかと考えております。  各機関に対する要望としては、私どもはまず、ハローワークさんに中心となっていた だいて、非常にデリケートな障害者の方のアセスメント情報を基本的に管理していただ く。だから、それは公的機関でないと駄目かなと。もちろんアセスメント情報は、障害 者の方個人の承諾、保護者の方の承諾、それが大前提になりますけれども、そうなって いただきたいなと思っております。  いちばんいまお世話になっていますのは、大阪障害者職業センターですけれども、や はりカウンセラーとか、経験のある高いスキルの方は、非常に頼りになるけれども、や はり若い方というのはちょっと違うことをおっしゃったりするので、そこは頑張って経 験を身につけていただきたい、というのが本音です。それから、失礼なことを言います けれども、就業・生活支援センターも一生懸命やっていらっしゃるのですが、そのスキ ルの部分と、実際の現実は、大阪の例ですけれども、新聞の折り込みちらしがあれば、 それを見つけて、「どこかこの人働けませんか」と走り回っているのですね。でも、な かなかうまいく就職できないということもあります。まだまだそういう人的な面、質的 な面で、もっと高いものを身につけていただきたいなと思っております。基本的には養 護学校の段階がいちばん期待が大きい。体力、生活能力、社会生活能力、就労意欲とい うようなところを是非18歳までに身につけていただきたいということです。それから、 私どもの例ですけれども、参考資料で、いろいろトラブルというか課題を持った方を載 せていますけれども、教育段階で、自閉症とかいろいろな方、もっと早く適切な教育を していたらよかったのになと。これはわかりませんけれども、そういう方が、受験勉強 をすごくされていたと。全然違う形に歪んでしまって、働く状態にはなっていないので すね。それでトラブッて辞めていかれたという悲しい例もありますので、そこは是非お 願いしたいなと。それと、これは就労支援機関すべてを含めてですけれども、個々の障 害者の方の個性、特性、そのアセスメントを丁寧にやっていただきたいなと思っており ます。  それから、人材育成については、私どもはやはり企業における支援者というのは企業 人でないと駄目だと。やはり株式会社なので、商売をできなければいけませんと。心理 学がわかる人よりも心理がわかる人。それに専門的なスキルを身につけている。失礼な ことをいっぱい言っておりますが、お許しいただきたいと思います。私どもの例では、 子育てを終わったお母さんなんかが非常に上手に知的の人、精神の人、発達の人を指導 してくださいます。その方を、いま2号ジョブコーチに養成して戦力にしたいと。だか ら、外部の支援機関の方については、繰り返しになりますけれども、高いスキルと、是 非企業の、企業というのはぎりぎりの所で勝負しているので、それを是非ご理解いただ きたいと。簡単に配置転換してくださいとか、時間短くしましょうとか、そういうご提 案では、企業としては受け入れられませんので。それぞれの企業で違いますが、ちょっ とそういうことを思っております。  それから、私が勝手に言っているぼやきですけれども、1つが、マッチング論という か、やはり障害者の方の労働力の需要と供給のマッチングがうまくいっていないのは、 アセスメント情報がうまく共有されていないのではないかと。流れてきていないのでは ないかと。チェックリストとかを作っていただいていますから、あれはきっと有効だろ うと思うのですけれども、それを1つ、思っています。それから、仕事さえあれば、エ ルハートの経験では、みんないろいろな力を持っています。是非、ビジネスモデルを開 発援助するような納付金がたくさんたまっているという話がありますので、あれを使っ て、この商売いけますよと。それぞれの企業が頑張らないと成功するかどうかわかりま せんが。我々は常にこの辺を考えています。こういうようなことを是非お願いしたいな と。  繰り返しになりますが、企業への関与をさらに増やしていただきたい。2号ジョブコ ーチが、やはりネットワークのキーパーソンになれますよと。それから、職域開拓みた いなことをやっていただければと。以上、非常に勝手なことを申し上げまして。よろし くお願いいたします。 ○座長  どうもありがとうございました。質問等ございましたら、どうぞお願いいたします。 2号ジョブコーチについて、大変有益なお話でございました。武田さん、どうぞ。 ○武田委員  質問ではなくて、先ほどの事例のお話を聞いていまして、こんな時代が本当に来たん だなというのが、とても嬉しくて、私たちがずっと望んできたことは、精神の方をこう して支えていただければ働けるというのを、ちょっと言葉がうまく出ないんですけれど も、ただ、一言、今日ここでのお話を聞けたこと、本当にありがとうございます。お礼 がどうしても言いたくて、是非これからも、このお話を広めて、企業に伝えていってい ただければ、もっともっと広がるのではないか。身体が進んでいって、知的の受け入れ が始まって、精神がやっとこういう場でというのを、本当に感謝します。ありがとうご ざいます。 ○中井委員  ありがとうございます。今御報告したA氏というのは、うちでも一番手強い人という のか、他の3人は、てんかんの人とか、全然問題なく働いています。それから、アスペ ルガーの人も、もう1人の統合失調症の人も、ケース会議をしながらフォローしていま すけれども、大多数の人はちょっとポイントさえおさえればいけると思います。このA 氏というのは、職業センターさんからも一番手強いからこそ頑張ったらどうでしょうか というお話があって、大分へこたれたところもありますけれども、そういう意味では、 非常に勉強になりました。本当に、我々も頭をガーンと殴られたというか、甘い考えで はいけないということと、真剣になりましたね。本当にお医者さんのところにも聞きに 行き、お父さん、お母さんの話も聞きました。そういう意味では、1つの手法みたいな ものを、彼はまだまだ揺れていますけれども、彼が開拓したんではないかと思っており ます。ありがとうございます。 ○座長  他にいかがでしょうか。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  どうもありがとうございました。2号ジョブコーチのことですが、ハードルが高いけ れども助成金の額が低いという御指摘なのですが、私どもも2号ジョブコーチの要件が、 特例子会社で3年以上というのは長すぎるのではないかとも思うのですが、その点につ いてどのようなお考えがあるかをお聞かせいただければと思います。 ○中井委員  確かに率直なところを申し上げて、要は素養のある人というのはおかしいですけれど も、ハートのある人だったら、別にそんなに経験がなくてもスキルを身につけていただ いて、あとは、実践だと思います。いろいろケース会議だとか違いますから、個々に積 み重ねていってということになるので、ちょっと今の制度に批判的なことを申し上げて 失礼なんですけれども、そんなに高い、3年なければいけないとかではなくて、やる気 のある人であればどんどん勉強して頑張っていけば、いけると思います。 ○輪島委員  2号ジョブコーチは自社の中の人間関係だとか、仕事のことを精通していれば、それ ほど新たな教育ということではないと思うのです。企業の中の事情にさえ精通していれ ば、2号ジョブコーチとして十分に機能していけると思うのです。これは意見ですが。 ○座長  時任委員、どうぞ。 ○時任委員  かんでんエルハートの素晴らしい実践を聞かせていただいて、ありがとうございまし た。中井さんに対する質問ではないのですが、視覚障害の場合、例えば今、かんでんエ ルハートでは11名の視覚障害者のうち10名が按摩・鍼・灸の資格者、ヘルスキーパーだ ということで、もう一方は多分コンピュータ関係と受け取っているのですが、私どもは 今、中途失明者の職業復帰については、原職復帰が望ましいと考えていて、そのために は、渋谷の職安からもこの前にヒアリングで御報告がありました通り、東京にはいくつ かの社会資源といいましょうか、トレーニングを受けるところがあるのですが、全国を 見るとこれが非常に心細い。そういう中で、例えば、厚生労働省と今日も文科省からお 見えになっている方があるかと思いますが、文科省や能開局と全国の視覚障害施設等と の関連で、つまり、そういう盲学校や視力障害センターなどの中で、こういう中途失明 者の教育のできるような方式が採れないのか。つまりですね。そういう施設のないとこ ろから、東京に来て、例えばコンピュータの指導を受けて職場復帰するというのは、非 常に困難な状況にありますので、これについて、土屋課長からの御答弁をいただければ 嬉しく思います。 ○座長  直接今の報告の内容とは関連しないんですが、土屋課長の方からお願いいたします。 ○障害者雇用対策課長  今、時任委員からお話のあった件ですが、確かに視覚障害者の就職状況を見ますと、 あはきの技術を活用したというところが相当のウェイトを占めるという状況がある中で、 やはり職域の拡大ということをこれから私どもとしてもしっかり取り組まなければいけ ないと思っております。その1つの方法として、今お話があったような、特に事務的な 職種での職業訓練といいますか、そういったものをもっと活用できるようにしていく必 要があるだろうと思っておりまして、1つは、私どもハローワークの方も、それからお そらく視覚障害者の当事者の方にも、今既にあるそういった訓練の場を含めて、どうい ったメニューがあったり、どういうところにどういった社会資源があるのかということ が、十分に伝わっていないといいますか、ハローワークの現場でも活用できていないと いう面が、申し訳ないのですが、現状ではあるのかなと思っております。まずはその辺 りから少し状況整理をして、現場での取り組みを起こしていきたいと思っております。 加えて、今お話があったような、能力開発の面などで、他の機関にもそういった面の、 既に持っている教育訓練の機能を視覚障害の方にも活用していただけるような工夫を更 に進めていくということについては、これからもいろいろ御意見をいただきながら進め てまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○時任委員  ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○座長  それでは、時間が参りましたので、どうもありがとうございました。それでは、次に まいりたいと思います。地方自治体における障害者の就労支援策につきまして、静岡県 商工労働部就業支援総室牛島聡総室長からお話をお伺いしたいと思います。よろしくお 願いいたします。 ○牛島氏  ご紹介いただきました牛島と申します。今回、こういう静岡県の取組みを紹介させて いただく場を設けていただいたことに、まず感謝申し上げたいと思います。  早速本題に入ります。こちらはグラフで示しておりますけれども、静岡県の障害者雇 用率です。直近の数字で1.57%です。県全体としては落第をしているというような状況 でして、なおかつ、法定雇用率達成企業割合というのは48.8%。全国と大体同じような 数字なのかなと思っていますけれども、なかなか進んでいかない状況があり、法定雇用 率を達成するには、あと1,000人雇っていただかないと達成できないという状況です。  次に、働きたいと思っている障害の方がどのくらいいるのか、これはあくまでも推計 なのですけれども、大体1万人います。そのうち軽度の方が3,000人強で、逆にいうと 軽度の方の3,000人がすべて就職できれば、県全体としては雇用率を達成できる。3分 の1が就職できればいいというようなことで、初めは、なかなか法定雇用率を県全体で 達成するのは難しいのかなと思っていたのですが、そんなに難しいものではないかなと いうところ、ここをまず企業の方とも認識を共有していきたいと思っています。少しず つ進んできているかなと思っております。まずそういった所を課題として検討したいと 考えております。  一方、ハローワークに登録されている方は4,500人おられます。この辺は背景の数字 として頭に置いておいていただければと思います。  静岡県での就労支援体制ですが、静岡県の地図に就職支援の拠点を示して、こういっ たようなものを整備しておりますけれども、初めは拠点があまりなかったので、非常に わかりやすい地図だったのですが、あれが出来、これが出来というような形で、少し見 にくくなってきています。大きく県としては3つの拠点を整備する必要があるというこ とを考えています。ハローワークは除外させていただいておりますけれども、1つは、 各福祉圏域、静岡県には9圏域ありますけれども、最近は合併とか何とかで、同じ市な のに圏域が分かれているというようなことがありますので、主に7圏域というふうに考 えております。その7圏域それぞれに私どもとしては障害者の就業・生活支援センター を整備していきたいということ。あと、静岡県は横に長い県でありまして、東部、中部、 西部という形で大きく分かれているわけですが、それぞれ東部、中部、西部に職業訓練 の拠点を整備したいと。併せて、職業訓練と、あと、職業訓練まではいかないような方 でも就職に持っていけるような拠点として、やはり職業準備訓練の拠点も整備したいと 考えており、そういうことを主に方針として掲げております。就業・生活支援センター は4箇所、訓練施設は県としては2つ、あと、準備訓練の拠点は4つ出来ておりますの で、大体はできているのですけれども、進んでいる所、進んでいない所、まちまちとい うような状況です。  それでは、各拠点ごとにどういうことをやっているかということですが、1点目の就 業・生活支援センター、こちらは皆様方のご専門でありますのであまり細々としたこと は申し上げませんけれども、先ほどの地図にありましたとおり、いま現在静岡県には、 障害者就業・生活支援センターが4箇所あります。それと、県の事業として、就業・生 活支援ミニセンターを設置しております。予算措置で2箇所準備をしていたのですが、 1箇所調整がつかず、今年度は1箇所というような形になっておりまして、これを順次 拡大しつつ国の就業・生活支援センターに持っていくということを県としては考えてい るところです。ミニセンターは、国のセンターの未設置地域に設置します。支援内容に つきましては、基本的には就業・生活支援センターと同じようなことをやっております が、1つはネットワーク会議といったようなことをやっておりまして、雇用とか保健、 福祉、教育関係の地域関係機関との連絡調整会議を、大体年に4回程度ですけれども実 施しております。これにはハローワークの方にも入っていただいて、いろいろとお互い の顔合わせといったところも大きいですけれども、要はそれぞれのメンバーの面識を深 めていただくというようなことをやっております。  実績につきましては、最近になって非常に伸びてきております。括弧の中が就職者数 ですが、平成17年度が96名就職という形になっております。平成18年度は、上半期です でに95名までいっておりまして、就職件数は伸びている状況です。  次は、ワークセンターという名称で、ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんけれ ども、たしか国のほうでは、雇用支援センターというような形でやっておられるかと思 います。静岡県では、浜松の雇用支援センターで職業準備訓練をやっておりますが、そ れが設置されていない東部と中部では、県と町の負担で予算を出し合って、拠点の整備 をしております。支援内容は、職業準備訓練ということで実施をしておりまして、こち らの実績につきましては、定員がありますので、なかなか実績は伸びてこないのですが、 それぞれ訓練を修了して就職した人数ということになりますと、平成17年度は41名とい ったような状況です。  次にこちらは、この研究会のテーマとはずれるのかもしれませんけれども、やはり大 きな拠点としては、職業訓練施設がありまして、県では本来、3箇所に設置をする必要 があると思いますが、現在のところは2箇所にとどまっております。1つは「あしたか 訓練校」と書いておりますが、これは障害者専門の職業訓練校という形になっておりま して、コンピューターとか生産・サービスなどいろいろな分野にわたっている感じです けれども、それぞれ10名、40名の定員で実施をしています。  また、2つ目の「清水技術専門校」、これは一般の職業訓練校ですけれども、国のほ うからモデル事業の予算をいただきまして今年度までやっております。来年度以降につ いては、いま調整をさせていただいているところです。こちらでは、知的障害の方を対 象にした6カ月の通学型の訓練を実施しております。そのほかにコメ印で書いておりが、 離転職者、施設入所者向けの訓練としての委託訓練を実施しています。この実績につき ましては、訓練の定員というものがありますので、就職者が劇的に伸びてくるというこ とはないですが、平成17年度は、あしたか職業訓練校では42名の方が就職し、また、一 般の職業訓練校では7名の方が就職したという状況です。  以上が拠点といいますか、組織的なものですが、それだけではなかなか障害のある方 の就職というのは進まないということで、そこを取り巻く、側面支援するような事業と して、静岡県では2つの事業を実施しております。1つは障害者の求人開拓事業で、事 業主団体である「中小企業家同友会」に委託をしまして、少ないですけれども、2名を 配置しております。そこの方が基本的に事業所を訪問します。それだけではなく、養護 学校ですとか福祉施設も訪問しまして、個別の求職者の顔をきちんと把握していただい た上での求人開拓を行っております。こちらは、平成16年度から実施をしておりまして、 初年度は16名の方までの就職、求人開拓も27件にとどまりましたが、年度を重ねるにつ れ、ノウハウというか、顔つなぎができてきたということがありまして、平成18年度、 これは10月末現在ですけれども、すでに323人分の求人を取っております。 就職件数も49件で、非常に大きく伸びているのかなという状況です。  もう1つ、県独自にジョブコーチ支援事業を実施しています。こちらはNPOに委託 をしておりまして、現在35名です。どういう方がなっておられるかというと、基本的に はほとんど主婦の方です。障害を持たれている方の親御さんも若干いますけれども、基 本的にはNPOというような形でいろいろと社会参加をする中でこの世界に関心を持っ たような方が入っておられます。県におきましては、その養成の支援ではなく、活動費 を補助するという形になっております。1人あたり15回というような形になっておりま すけれども、そこは結構NPOにかぶってもらっている部分があります。  このNPOは非常に積極的な団体で、国のジョブコーチ助成金の支給対象となるジョ ブコーチを養成する機関になりたいということで手を挙げております。そういった形で ジョブコーチの方々がステップアップして、より専門的なサービスを提供できるように なればと県としては考えております。実績については、17年度が125人を対象としてや りましたが、就職が23人、定着に成功したのも67名で成功率はあまり高くないかもしれ ませんが、こういった事業をやっています。18年度はまだ年度途中でもあり、ほとんど の方が支援継続中の方ですから、結果が出ている方はほとんどいないという状況です。 以上が静岡の主な取組みです。  これ以外に県独自にやっています制度を若干紹介させていただきます。これは他の県 でもいろいろとやっていると思います。県では事業発注や公共工事がありますが、そこ で指名競争入札での点数加算、また物品購入時にいろいろと優遇するといったようなこ とをやっております。優遇対象企業のところを障害者雇用率1.8%を達成している企業 という形でやっておりますが、9,900の入札参加資格者がいる中で、その要件を満たし ているのはわずか303で、ここをもう少し増やすようにしなければいけないのではない かということが課題として挙げられております。  もう1つは、これはこの場を借りてピーアールさせていただきます。2007年に本県で 「ユニバーサル技能五輪国際大会」を実施いたします。これは技能五輪と、あと障害者 の競技大会であります「国際アビリンピック」を実施するということであります。私ど もはこの大会を実施するというのは平成11年に誘致したわけですが、これを契機として 県は、やはり障害者雇用にも力を入れなければいけないということで、少し予算も配分 される状況になっています。是非、こういう大会で障害のある方が非常に高い技能を発 揮し、活躍されることを目の当たりにできる機会ですので、県としても県民の方々に来 場を呼びかけておりますが、国レベルでいろいろなところからご覧になっていただけれ ばということを、お願いしたいと思っております。  最後に県にいて思うことを、2、3、挙げてみました。1つは、県というと、やはり 国との役割分担をいろいろな場面で問われます。地方自治体の財政状況は厳しいという のが背景にあり、お金があればいいのですが、ないということになりますとなおさらの ことです。県の基本認識としては、障害者雇用対策は基本的に国の役割ではないかとい う考えにどうしても立ってしまいますので、そこをいかに部局として財政当局に説得す ることが必要になりますが、そこでいろいろと苦戦をすると。一方で、都道府県労働局 では裁量的に動かせる予算は確保できておらず、県も労働局もいろいろやりたいことは あるのですが、お金がないのでなかなかできないということがあります。何か、お互い が腰を引いているような状況があるのではないかということを感じております。そうい ったところで何か、全然妙案は持ち合わせておりませんので無責任な提案になりますが、 ここで壁を打ち破れないかなというようなことを感じている状況であります。  また、「静岡県でのターニングポイント」と勝手に書きました。言わんとしているこ とはトップの取組み姿勢をいかに持ってくるかということだと感じております。県でい うとトップというのは知事であり副知事であり、それで労働局長ということになるかと 思います。静岡県でいろいろと進んだスタート時点は平成10年です。ここで「ワークセ ンター事業」をスタートするとか、先ほど言いました「技能五輪」を持ってこようとい うことをやったわけです。  もう1つは平成16年です。これは特例子会社が静岡県で2社から5社にどんと増えた 時期でありますが、そのときの当時の労働局長が障害者雇用を非常に熱心に考えておら れて、自分で県内の主な企業を1つひとつしらみつぶしに回り直談判をした年でありま す。そうすることにより2社が5社に、2社が5社になったからといっても微々たる数 字かもしれませんが、トップ層の取組みは馬鹿にできないのではないかと思います。 トップがやる気になる、特に県の人間がやる気になるのはどういうときかと言うと、ほ かの県と比較されるときだと思っています。静岡県は、全国10位という数字にこだわる のですが、そこになっていない、何でだ、ということで非常にトップが力を入れる。 おそらくほかの県も同じような状況ではないかと思いますと、もっと障害者雇用、もし くは障害者全体のいろいろな指標を、都道府県ごとに「都道府県一覧」という形にして 出してみたらどうかと。これは自爆行為になるかもしれませんが、ちょっと感じており ます。  もう1つは、これは皆様方にも届いている声だと思いますが、私にも強烈な声として 届いているのは、企業から寄せられる声として、守れない企業の声というのは結構言い 訳を聞くのですが、守っている企業の声としては、「厳しい経営環境下でも法律を守る ために一生懸命守っているのだ、そういう立場からすると、未達成企業といった所は何 だあれは、正直者がバカをみる感じである」ということを、本当に心の底から叫んでお られます。この裏にあるのは、もっと公表しろということなのかもしれません。守って いる企業のフラストレーションがだんだん高まってきているように感じております。  静岡県は田舎ですのでお金が儲からないと企業は動かないよということもありますが、 もう1つはハートに働きかけるのが非常に大きい部分があるのかなと感じます。トップ が直談判に行くのも心に働きかけるという部分であるでしょうし、障害のある方の働き たいという声が静岡の中の企業に聞えてこないというようなことがあります。少し酷な 言い方になるかもしれませんが、障害のある方がもう少しいろいろな情報を発信してい ただくと、私、県の行政担当者として本当に大きく感じているところであります。静岡 県内の障害者団体にお願いしているのは、障害者雇用率を達成している所については、 障害者団体が褒めてあげてほしいとお願いしています。どこを褒めればいいのかを調整 しているところではあるのですが、そういうことが進めば多少、企業のイメージという ところにも働きかけることができるのではないかと感じています。感想めいたことを含 めて、いろいろと雑ぱくな話を申し上げましたが、以上で私からの説明を終わらせてい ただきます、どうもありがとうございました ○座長  牛島さん、どうもありがとうございました。地方自治体の例ということで、これから だんだんと市町村レベルに、今日は障害福祉圏域におけるハローワーク等の話が出てお ります。御質問等がございましたら、どうぞ。松為委員、どうぞ。 ○松為委員  ありがとうございます。1つお伺いしたいんですが、就業・生活支援センター及びミ ニセンター、それとワークセンターですが、これは福祉圏域をベースにして、最初から 体系的に各圏域毎にミニセンターとワークセンターをセットで置くという戦略できてい るのですか。それとは全然違うんですか。 ○牛島氏  基本的にはあまりきちっとした考えというのはありません。もともと静岡県の地域特 性でいうと、やはり、東部、中部、西部というのが大きな区分になっております。そこ で、ワークセンターというのはそのレベルでつくろうということがまずありまして、そ の後、やはりそこのレベルですと、なかなか就業・生活支援センターのような地域の身 近な場所で支援を行うとなりますと、少し広すぎるということが反省点として出てまい りまして、それで就業・生活支援センターを整備するというのが、遅れて出てきた課題 ではありますが、それを進めるに当たってはやはり福祉圏域というものが1つの目安で はないかという形で準備をしているということです。そのワークセンターは3カ所、就 業・生活支援センターは圏域毎にということが初めからあったということではなくて、 随時考えているというような状況でございます。 ○座長  他にいかがですか。宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員  今、福祉圏域の話が出ているんですが、福祉圏域で考えますと、担っていただけるよ うな有力な法人であるとか、機関がある時には、比較的そこを中心にネットワークを考 えられると思うのですけれども、ここの地図の中でも、例えば伊豆の方ですとか、おそ らく過疎地域というか、そういう機関だとかが非常に少ない圏内があるんだろうと思う のです。そういうところで、こういう就労支援のネットワークをつくろうとされる具体 的な方策というか、そういう過疎地域でどのような形で働きかけていこうとされている のか。戦略みたいなものがありましたら、教えていただければと思います。 ○牛島氏  先ほど福祉圏域毎に設置したいということをお話ししました。やはり支援の拠点とし ては、就業・生活支援センターを設置できればということはあるんですけれども、委員 御指摘の通り、ここの伊豆地域においてはそもそも障害者の数が他の圏域に比べると非 常に少ないという状況がまずございます。もう1つは、生活支援センターに指定をしよ うと思っても、なかなか実際に就職に熱心な団体がないという状況でありまして、それ がために空白圏域になっておりまして、それは御指摘の通りであります。そういう場所 になりますと、どういう拠点があるかというと、これはもうハローワークしかないので はないかということではありますが、なかなかちょっとハローワークにおきましても、 そういったことで、積極的な団体がないということになっておりますので、ちょっとこ の伊豆圏域においては、静岡県においても非常に大きな空白圏域と位置付けざるを得ま せん。逆に、福祉サイドに何か生活支援センターに就職に熱心なところを洗脳してもら えないかというようなことを頼んだりしているのですけれども、ちょっとそこは厳しい。 1つには、それでは県で何か場所をつくればいいではないかというのもあるのかも知れ ませんけれども、なかなかそこまでできるお金がないというのが実状でありまして、県 としても悩んでいるというのが実状であるということを御理解いただければと思います。 ○座長  武田委員、どうぞ。 ○武田委員  労働の方でこのように進められているというのは、なかなか私どもの福祉サイドの方 が熱心に労働の方に働きかけても、労働サイドの方で高齢者と若年者のことで手がいっ ぱいで、障害者のことまで手が届かないという、なかなか県庁の内部で調整が進まず、 会議も1回開かれたばかりという状況です。そうした県の内部で、福祉と教育と、そち らの労働サイドと、その連携のあり方というのをどうなさっているのかということをお 尋ねしたいということが1点です。  もう1点は、高等技術校の中に障害者枠をモデル事業でということでしたが、これも モデル事業が今年度で終わるということで、今後のところをというお話だったんですが、 前向きに県単でとお考えなのか、どうなのか。そこら辺は、島根県でも、モデル事業に ついて、これがなくなった時どうしようかというお話が出ております。やはり他県の状 況というものの影響というものが大きいものですから、そこら辺をお聞かせいただけれ ばと思います。あと、同じ件に関して課長さんにお尋ねしたいんですけれども、この国 のモデル事業というのは、大体全国的にどういった形で行われていて、何を期待してモ デル事業としてなさったのか。今後の方向性としてどんなことがあるのかということも、 また後でお聞かせ願えればと思います。 ○牛島氏  福祉サイドの取り組みというようなことで、なぜ労働部局の方でこんなにやっている のかということでありますけれども、やはり思いますのは、先ほども最後のところでち ょっと申し上げましたけれども、そこはトップの認識が非常に高いということを感じま す。もう1つは、トップがそういう認識を持っているということは、これまた先ほど御 紹介しましたけれども、国際アビリンピックをやるというようなことがありまして、そ れに恥ずかしくない状態をつくらなければならないということではないかということで あります。少なくとも、静岡県内の感じ方といたしましては、確かに委員御指摘の通り、 若者にしても、高齢者にしても、いろいろな雇用に関する対応課題というものがあるの ですけれども、障害者の雇用というのは何にも増して優先すべきではないかということ で考えています。というのは、県民の方に一番理解してもらいやすいといいますか、そ ういうことでありますので、そこは是非そういった形で今後もやっていければなという ことを感じております。  あと、もう1つのモデル事業につきましては、基本的にはモデル事業という形での委 託事業はなくなるということで伺っていますけれども、何かいろいろと予算の関係で、 少し配分のところで工夫される動きがあるやに聞いておりますので、静岡県におきまし ては、そこを前提としまして、県の事業として来年度も実施できるように予算の措置を 進めているという状況になっております。 ○座長  事務局、どうぞ。 ○三富主任職業能力開発指導官  まず一般校を活用しました障害者の受け入れ事業につきましては、16年度から始め まして、今までに22県26校でそうした障害者のコースを設けて実施しております。そ して、3年間のモデル事業ということで、3年間経った後は、県の独自事業として続け ていただくことを念頭にお願いしておりますが、一般校は交付金ということで国の方か ら運営費をお渡ししてございますが、その交付金は普通内訳が分からないのですが、こ のモデル事業が終了することを踏まえまして、それぞれの一般校でこうした活用事業を やっていただいているところには、それに見合う形の交付金としてこれぐらいというこ とがある程度分かるような形で、交付金で配慮したいとは考えております。来年度は発 達障害のコースも3コース予算要求をして付いたところですので、こうした形で、障害 者校のないところに順次広げていきたいということで考えております。  16年度に始まった12県については、2県が継続がなかなか難しいということで見送っ ておりますが、ほかの10県については、引き続き実施していただける方向で検討してい ただいているところです。 ○座長  山岡委員、どうぞ。 ○山岡委員  今、牛島さんの方から、誉めるとか、各県の比較ということでお話をいただいたんで すが、私どものやっていることの事例を挙げたいと思うのですが、実は全国LD親の会と、 それから自閉症協会と、エジソンクラブでやったことがありまして、国で、教育でいき ますと特別支援教育体制モデル事業というのが平成15年度から取り組まれておりまして、 国の方でも毎年9月現在での実施状況というものを、全国の小中学校3万3,000校につい て調査をしていまして、毎年その校内委員会が何%できているとか、特別支援教育コー ディネーターが何%できているというような数字を発表しております。 そして、県別については大きく公表はされていませんが、県別の数字も出ています。そ れに併せまして、私ども障害者団体としても、各県と政令指定都市の実態調査を毎年お 願いしておりまして、今年で3回目なんですけれども、3回とも全県、全都道府県から回 答をいただいております。回答がない場合、公表しますということでやりますと、大体 回答していただけるんですが、それで、さっきおっしゃった通り、いろいろな項目につ いて、1番から47番まで、パーセンテージですとか数字が出てまいりまして、それを各 地元の親の会に返すということを毎年やっております。我々の狙いは平均以下のところ が平均を目指していただけると全体が上がるということで、実は、これは地元の親の会 がその数字を持って行くんですけれども、そうすると、県によってはあまりライバル意 識のない県は関係ないんですけれども、例えば、島根県に行く時に、鳥取県の県に負け ていると過剰に反応するとか、そういうことがありまして、そういうのが大変効果があ るということであります。実はこれを3年間続けてきておりまして、毎年記者クラブで 発表し、各県に返し、文部科学省にも全体をお出ししているということです。今年は日 本発達障害ネットワークとして、平成17年度から発達障害者支援モデル事業でしたか、 体制の整備状況が進んでおりますので、今月47都道府県と15政令指定都市に対して発達 障害者支援に関する取り組み状況についての調査を先週に発送をしておりまして、これ についても来年早々に、都道府県毎の数字とか、取り組み状況を発表させていただき、 それをもってまた各地元の親の会が各県の福祉課に押しかけるというような構図になっ ておりますので、これがさっきおっしゃった誉めるというところも含めまして、国の方 からやることと、当事者団体が何かをやっていく時代かなということで、こういうこと をやっていて、少し、各県には刺激になっていて、効果が出ているというのは、おっし ゃっている通りで、その中で、今おっしゃったような誉めるという方も我々はやってい かなければいけないと考えております。 ○座長  御意見ということでよろしいですね。それでは、牛島総室長からのレポートはここま でということで、全体の討議の方に移りたいと思います。どうもありがとうございまし た。静岡県は私も「働く広場」の取材で、養護学校のネットワークを中心にやりました けれども、やっぱり障害保健福祉圏域に養護学校をセンター校として配置していったと いうことで、卒業後の対策ということですと、福祉、ハローワーク、教育の連携がうま くゆきそうだということで、ですから、その圏域をどのように、あるいは労働の方のハ ローワークの管轄地域、養護学校のセンターの地域、こういうものをやはり重ねていく というところが、おそらくケアマネジャーなんかもスタートしていきますし、就労と雇 用、福祉が重なっていくというところに、非常に県における県域、地域というのが大切 になっていくのではないか。そんなふうなことを感じました。  さて、全体協議で、40分まで時間をとるつもりでおりますが、先ほど小川委員の報告 に対しまして宮崎委員の方から2点ほど質問が出ておりました。このことから入ってい きましょうか。今日はいろんな地域レベルでどう就労支援の人材を育てていくかという ところが非常にポイントになると思いますので、小川委員、よろしいですか。 ○小川委員  御質問の中で研修の実施機関と講師の要件については、私ども厚生労働省の規定に基 づいてやっておりますので、事務局の方からそれは御説明いただくということでよろし いでしょうか。 ○座長  では、お願いします。 ○事務局  事務局の方から研修の実施体制に係る要件についてということで、まず研修に関する 組織体制と責任体制にどのような要件が課せられているのかについて、簡単に御説明さ せていただきます。まず、法人格を要するということと、それから、研修全般の統括責 任者を置くということが明記されております。それから、研修の実施に際して、相当程 度の経験や能力を有しているということで、具体的には、例えば第1号ジョブコーチに よる援助の事業を3年間以上行っていることであるとか、就業・生活支援センターの運 営等で就労支援を3年以上行っていること。それから、こうした就労支援に関わる研修 を3年以上、毎年度実施していること。というような要件が、研修の実施体制に係る要 件として課せられております。先ほどの研修のカリキュラムと合わせて、後日、資料と して提出したいと思います。 ○座長  ありがとうございました。もう1点、OJTに関わることが出ていたと思いますが。 ○小川委員  OJTはなかなか難しい問題だと思うのですね。OJTを実際の職場で、新任のジョブコー チに先輩のジョブコーチが付いてトレーニングをするということで捉えれば、OJTをき ちんとできる機関というのはそう多くないと思いますし、仲町台センターでもいわゆる 第1号ジョブコーチについてはほとんどそういう形のOJTはできておりません。これは、 民間の法人が就労支援を行場合に、まずそこまでのマンパワーの余裕がないというのが 基本的な実情だと思います。それで、このOJTの問題については、私は研修の問題では なくて、ジョブコーチをどういう組織に配置して、どういう体制で支援を行うかという 問題だと思っています。基本的にあまり就労支援を行っていない福祉施設に単独で1人 ジョブコーチが配置されても、そのジョブコーチにノウハウが蓄積されるということも 多くないと思いますし、あまり成果が上がっていかないと思っています。就業・生活支 援センターであるとか、就労移行支援事業であるとか、やはり地域の就労支援の核にな るような福祉施設にジョブコーチが配置されて、ある程度のチームで仕事をしていくこ とが必要だと思います。なかなかそこまでいっていない実情もあるかも知れませんが、 基本的に民間の社会福祉法人が行うジョブコーチ支援というのは、そういう理想的な設 計図を目指してやっていくことが必要かと思います。  それと、もう1つ、規模に関する御質問がありましたけれども、これはJCネットとし ての規模なのか、いわゆる研修の規模なのか、ちょっと分からないのですが、もしJC ネットの規模としての御質問であれば、これはニーズに応えながら、どれぐらい事務局 体制とかを確立しながら、どこまでいけるか、私自身も一つひとつ確かめながらやって いくということで、一定の指針ということは持っていません。もう1つ、セミナーの実 施の一般的な規模としては、私たちはセミナー1回きりで終わるのではなくて、ここで はネットワークを大切にしたいと思いますので、1つのユニットというか、30名、6人の グループが5つぐらい合わさっての30名のグループが1つで、それを2つつくって、最大 で60名、基本的には30名ぐらいが適切な規模ではないかと考えております。 ○座長  ありがとうございます。それでは、全体の意見などをいただいていきたいと思います。  今日は、これからの就業支援で地域で求められる人材について、ジョブコーチを始め として、どのようにして育成していったらいいか。今日は大学における取り組みという のもあるのではないかというお話も出ておりますが。どうぞ。宮崎委員。 ○宮崎委員  ただ今のお答えありがとうございました。今のお答えに関連しながら、意見、又は皆 さんに御質問という感じになるかと思いますが、先ほど機構の研修について、育成につ いてという話をされた時にも、志賀委員からも御質問がありましたけれども、実際に就 業・生活支援センターの中である程度の経験を積んで、さらにスキルアップをしていた だこうという研修を企画しようとした時に、スーパーバイズできるような人を育てる体 制を構築していくのが非常に難しいというお話がある一方で、今の小川委員のお話のよ うに、就業・生活支援センター等のチームでアプローチしながら、誰かがスーパーバイ ズできるような形というものをつくっていかないと、いい支援ができないという問題は、 我々も現場でかなり感じているところです。そういう意味で、地域の中で、就業支援基 礎講座あるいはネットワークを構築していく時に、養成研修だけではなく、プラスして、 ケースを通じて対象者あるいは事業主の支援を介しながら、いろいろなネットワークを 使って、検討していくというのが、本当に生の部分でのネットワークの構築になってい きます。将来的な姿を考えながら、組織対組織でいくという形を考えながら取り組んで いるところです。そういった時に、実際に地域の中で、地域の障害者職業センター以外 にどういうところにそういうネットワークの核になる人たちを置けるんだろうか。そこ について、いろいろと御示唆いただければありがたいなと思います。特に小川委員から、 これからどう進めていくかについて、全国展開をされている中で、いろいろと御示唆い ただければ有り難いと思います。志賀委員の方からも、先ほどのスキルアップしていく ための研修について、どうあるべきか。単に受けられる時期を4年よりも早くにしてい けばいいという問題ではないように思うので、その辺りについて御意見をいただければ と思います。 ○座長  それでは、今の宮崎委員の御意見について、志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  最初に質問してから、途中に中井委員からの発表があって、どうしようかなと思って、 今考えているところなんですけれども、中井委員からの話の中では、いわゆるジョブコ ーチとして会社で期待するのは、技能とか知識、コミュニケーション能力というのは、 その会社の職場内でのOJTがある人材でないと、なかなか使いづらいというお話をされ たと思います。そういった意味で、今回、ジョブコーチの1号、2号があることも含めま して、1つは先ほどから話が出ておりますように、どこが拠点となるかという、その拠 点議論自体は私たち自分たちの職場にかえっての大きな課題でもあります。よりよい事 業所にどうやってしていくかということは、それぞれが考えていかないとやっていけな い。その事業所をどうやって育てていこうとするかという制度をうまくつくっていただ けるようにというのは、私たちの望みの部分ではもちろんありますが、それ以外にも、 今これだけの現状になっている中では、中井委員の方からお話がありましたように、確 かに特例子会社等私たちの現場からたくさん出ていらっしゃる方も、就労されていらっ しゃる方もたくさんいらっしゃるわけですけれども、やはりスタートの、全くゼロから 会社を創る時には、ジョブコーチというのは非常に有益なんです。ところが、2年、3年 経験されて文化ができているところでは、既に今いる2号のジョブコーチの方が資格を 持たれている、持たれていないに拘わらず、既に活躍されていて、その中でということ では、そこにはもう外部からの人材はあまり必要がない。もちろん、ジョブコーチが必 要なものはたくさんあると思います。そういうことを考えると、やっぱり障害者雇用を 実際にやっている特例子会社を含めた、そういったところがこれからどういうふうに役 割を果たしていくかまで考えていくか、あるいは、そこと一緒に連携していく組織、事 業所をどうつくっていくかというのは、非常に、本当に、生きた働く現場にいかに近い ところにいる人材が、福祉施設で就業・生活支援センターであったりとか、作業所であ ったりとか、そういったところとは違う面での人材養成ということだと思います。今ま でとは全く新しい考え方で考えていかざるを得ないんだろうと考えています。 ○座長  小川委員、どうぞ。 ○小川委員  今の御質問、御意見についてなんですけれども、NPO法人ジョブコーチ・ネットワーク で今やってきたということは、多分、行政とか、行政のシステムでできることと、民間 であったり、NPOでできることと、カラーが違うと思います。私たちがやってきている ことは、基本的に人頼みということがかなり大きかったと思います。現在、かなり一定 の地域で就労支援の核になりそうな就労移行支援事業を立ち上げられてそこの責任者に なっている人は、もともとはただのやる気のある授産施設の1職員であったというとこ ろから、4、5年かけてそういう状況に持ってきた人が多い。今のは1例ですけれども、 そういう人たちの集まりが中心だっだのではないかと思っています。それはNPO法人だ からできることであり、ただ、私たちの情報発信の仕方は、狭い意味のジョブコーチと いうことだけではなくて、地域で就労支援をどういうふうに形作っていくかということ にあると思いますので、小さなNPO法人の人が核になった場合、それから、行政とうま く連携をしてきている場合、あるいは行政主導でそこに民が入っていった場合と、いろ いろな地域の事例がございますので、それをセミナーであるとかウェブとかで発信をし て、これからネットワークをつくったり、地域を興していくところの参考になればと考 えております。 ○座長  他にどうでしょうか。中井委員、どうぞ。 ○中井委員  今の志賀委員のお話に全く同感でございまして、やはり雇用の実践の場との連携とい いますか、そこがやはりこれから大切なのかなと思います。やはりジョブコーチの教育 につきましても、やはり質といいますか、理論も大切なのでしょうけど、本当に具体的 なケースによる経験といいますか、その中で端的に言いましたら、職業センターさんの カウンセラーさんはかなり高いレベルにいらっしゃるんですね。たくさんのケース、何 百人も見て来られて、この人にはこういう支援、この人はこういうふうにアセスすべき だとか。だから、そこをベースにしなければいけない。ですから、そのステップとして、 やはり雇用の実践の場とのコミュニケーションといいますか、協同で何かつくりあげて いく。そのためには、特例子会社なんかを大いに活用していただいて、質をより高めて いただくということがいいのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでしょうか。そういう地域毎に、企業、就業支援 機関、センター、養護学校、そういうところにかなりベテランの人材もいるというとこ ろで、そういうネットワークで進めていくということも非常に重要なんだろうと思いま す。全国的な展開で、小川委員のように、まさに講習を受けた人のネット、コミュニケ ーションを強めていって、全体のパワーを高めていくというようなNPOの展開の仕方も ありますし、各地域でみると、それぞれに合った取り組みなどもあるかと思うので、委 員の皆様から、そういう所属しているような職場、地域の中で、今我々のテーマとして いるこうした連携について、何か御提案があれば是非お願いしたいところです。いかが でしょうか。どうぞ。 ○西村氏  委員ではなくて恐縮なんですが、やはりジョブコーチは「養成すればそれで終わり」 ということでは当然ないので、私どもでその後のフォローアップというところをとても 大切にし、技術移転ですとか、支援計画の立て方のような、地域レベルでの私どもが培 ってきたものを、ジョブコーチの方、できれば就業・生活支援センターの皆様方にジョ ブコーチを置いていただいて、そこで私どものノウハウを十分提供して、ジョブコーチ 支援がそれぞれ活発にできるような貢献を私どもがしていけるようにしたいと思ってお ります。そのための高障機構かなと思っております。  それと、中井委員から御指摘がありましたように、私どもは、第2号のジョブコーチ さんが困った時に相談できる相手になっていかなければいけないというふうに思ってお りまして、事業主サイドに対して、困った時に駆け込んでいただける、あるいは私ども から「どうですか」と関わっていくような、そういう取り組みをしていかないとなりま せん。それが私どもの役目ではないかと考えております。ですから、ジョブコーチの地 域センターレベルでのいろいろな推進協議会など、今後もっと民間の養成機関を経て来 た方々を含めて、どのような形でやっていかないといけないのかということを、また御 一緒に考えていければと思っております。 ○座長  原委員、学校の方もそのような企業の経験のある有力なリーダーの力を借りて、就業 促進をやってきたかと思うのですが、ちょっと御披露いただけますか。 ○原委員  いろいろ御意見を伺いながら考えていたところだったんですが、学校での役割という のが非常に大事だというお話が中井委員の方からもありましたし、多くの皆様からもそ うした意見をいただいておりますので、1つのあり方として、東京都ではここ2年間です けれども、企業等アドバイザー事業という形で、企業の方、それから、就労支援機関の 方、学識経験者等、各知的障害養護学校に2名ずつ配置しまして、養護学校でよく行わ れております作業学習の授業改善について、アドバイスを受けてきております。ちょう ど今日お話のあった環境調整、それから、本人の力を引き出すというAさんのお話があ りましたし、小川委員の方からもそうしたお話がありました。そうした内容が、どちら かというと、今までは学校教育の現場には十分届いていなかったと思うのですが、直接 アドバイスを受け、一緒にその授業をつくっていくことで、教育の果たすべき役割が見 えてきたなと思っております。それで、先ほどの支援する側の研修という意味では、教 員の研修がもっと必要なんだということを前々回にお話を聞いていただいたんですが、 地域の拠点をつくっていく時に、それと、宮崎委員の方からもケーススタディのような 場が、地域全体の、支援機関全体の力を高めていくのではないかというお話がありまし たけれども、学校もやはりそうした場があると、今の日常の授業の質を高め、それから、 それを指導する教員の質を高めるという、良い循環を生んでいくように思うのです。そ うした場が今までどこかなと思いますと、ハローワークが設定している雇用連絡会議で あったり、地域障害者職業センターにありますいわゆる職リハネットであったり、いく つかの既存のものはありますので、そこに今日お話をいただいたような専門性のある方 々が入っていただくことで、具体的なケースワークというか、マネジメントも含むかも 知れませんが、そうしたものが何か設定されると、今日のような中井委員のノウハウ、 それから小川委員のノウハウ、又は職業センター等のノウハウを地域全体で共有できる ような、それがあると、学齢期のこれからサービスを受けるであろう若い人たち、又は、 関係する人たちに、啓発的なものもとれると思いますし、学校の役割ももう少し果たす チャンスが出てくるのかなと思いながらお話を聞いておりました。個別の教育支援計画 という形で一人ひとりに支援計画を作っていくというのが、学齢期の早い段階から、小・ 中段階からと言われていますし、発達障害のある方々についてもそうした地域全体で支 援計画をということがありますので、そうした場が教育支援計画にコミットしていくよ うなきっかけをつくれるのではないかというように、いろいろ思いながらお話を聞いて おりました。 ○座長  ありがとうございました。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  これは、あるいはもっと先に出さなければいけないことかも知れませんが、先ほどち ょっと質問させていただいたんですが、似たような人材養成、例えばケアマネジャーの 養成はいわゆる従来の福祉サイドでやっていますし、それから先ほどの社会福祉士の中 でも、そういう検討を始めるとか。ここでは、これまでどちらかといえば労働サイドの いわゆる雇用支援機構が中心となって養成をしてきたわけなんですけれども、その全体 像がここではなかなか分からないといいますか、だから、そうだったら、ケアマネジャ ーにしても福祉士にしても、全体としてどういう形で就労支援の人材を養成していくの かという、そこの整理をやはりきちんとどこかでやる必要があると思うのです。ここか らどこかへ持っていって養成するというのではなくて、この場でできることであれば、 教育では文科省の方も見えているわけですから、進路指導担当の教員の養成についても、 一度全部出して、ではどういう形で整理をして、特に地域における就労支援については、 こういう形で人材養成をしていくというか、そういうものが何かつくれるのではないか と思うのです。 ○座長  とても重要な御指摘だったかと思いますが、いかがでしょうか。ここでは、職業リハ ビリテーション関係の関係者の方が多いわけですけれども、要するに個別の支援計画と いうのがちょっと入っていますので、それは職業リハから福祉、教育も全部それでやっ ていくわけで、結局、そこに一人ひとりのニーズを考えてみると、どこでその職業と、 あるいは福祉のケアプランと、あるいはその両方が重なっている人もいるわけですから、 その辺のところを、今回の場合は精神の方も入っていますので、医療も入ってきますの で、この連携はまさにそういう一人ひとりの支援をどうしようとする時に、どういう人 材を、そこに職業だったらさらにどういった能力とか資質が必要なのかというようなこ とが今、出てきているわけです。全体としてはそれを統合しないと、一人ひとりのサー ビスにはならないので、やっぱりそういった観点ですよね。統合するという観点と、必 要なそれぞれの領域とか分野の能力とか資質というものが問われてきて、そういうもの がかなりここでは出てきているのですね。ですから、その社会福祉士の検討ですと、社 会保障部会の方でやっているそうですけれども、そこでは社会福祉士が就労移行支援事 業に関わって、企業のことを知らないといけない、そういう事業も内容も入れないとい けないという議論になっているわけです。それ自身、バラバラに議論されているという 感じがしますので、やはり今回の法改正、障害者自立支援法と雇用促進法で、教育と福 祉、そして雇用の連携という中では、やはりそれを全体としてどこかで議論をする必要 があると思うのです。もうそれが出かかっているので、何とかそこを煮詰めたいという 感じはするんですが、いかがでしょうか。もう1、2ご意見をいかがですか。どうぞ。 ○志賀委員  今の人材育成の話とちょっと視点が変わるんですが、地域の中で障害者の就労支援を やっていて、いわゆる連携が、福祉、教育、労働と連携ができてきた際に、それをどう いうふうに、そこでは力が高まってきているかということを見るかという指標が非常に 難しいと思うのです。今回、静岡県の表を見てすごく心強く思ったのは、静岡県では平 成10年、11年がターニングポイントで、ここから変わりましたということなんですが、 雇用率を見ると、単純に右肩下がりなんですね。神奈川県でも、私たちは就労支援を頑 張っているつもりなんですけれども、単純に雇用率で見ると、若干下げ止まりはあった ものの、右肩下がりです。もちろん、それだけではないとは思うのですが、支援センタ ー等で何十人、何百人の雇用数が出たのと必ずしも56人以上の雇用率の数とピタッと全 てが一致するだけではなくて、それと比較されると、自分たちの職場はハローワークの 職業紹介で就職した件数の何割を達したとか、合計何人の数がいるとかという、全く個 人の事業所の見栄を張った数字しかもう出てこなくなって、地域の中でどれぐらいとい うのが全然出てきていないので、そういった面では、もう少し何か工夫の仕方によって、 優れた人材がいいサービスを行っていることも含めて、地域の中でこういった数字を求 めていきましょうという指標みたいなものが作れればなと感じました。 ○座長  とても重要で、連携の実みたいなものがどういう指標で計られていくのかということ だろうと思います。この点も、取りまとめのところでは、しっかり考えていきたいと思 います。そろそろ時間が来ましたので、フリーディスカッションはここまでにいたしま して、ここで、先ほどから出ておりますが、障害者雇用状況報告と平成19年度障害者雇 用施策関係予算案の主要事項について、資料に即して説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○事務局  お手元の資料5「障害者雇用状況報告」の集計結果についてをご覧ください。先般14 日に発表した本年6月1日現在の障害者の雇用状況です。1頁は民間企業の状況です。 民間雇用の実雇用率は1.52%、前年が1.49%でしたので0.03ポイントのアップです。法 定雇用率達成企業の割合は43.4%、前年は42.1%ですので1.3ポイントのアップです。  雇用されている障害者数は、これは実雇用率のカウント数ということで見ていただけ ればと思います。重度障害者の方であればダブルポイントですが、そのカウント数で見 ますと28万4,000人で、前年に比べると約1万5,000人増です。その下に書いてあります が、障害者雇用が法的に義務化されたのが昭和51年10月施行で、それ以降、実雇用率が 1.5%台になったのは今回が初めてです。実雇用率の内訳を障害者別に見ますと、身体 障害者が1.28%、知的障害者が0.23%、今回新たに実雇用率に算定されることになった 精神障害が0.01%です。こうした状況で障害者雇用は着実に進展しているかなと考えて おりますが、改善を要する点も多いということです。  中小企業では、実雇用率は引き続き低い水準です。特に100〜299人規模の企業では、 規模別で見たときの実雇用率は1.27%で最も低いです。大企業で見ると、1,000人以上 規模の企業は、実雇用率は高い水準にありますが、法定雇用率達成企業の割合では、企 業規模別で見たときに36.9%で最も低いです。最後に書いてありますように、本年4月 から実雇用率の算定対象とされた精神障害者は、実雇用率では0.01%と申し上げました が、雇用されている数、これは実雇用率上のカウント数ですが、約2,000人です。  2頁は公的機関の状況です。国の機関、都道府県の機関、市町村の機関については、 全体として法定雇用率は達成している状況です。教育委員会は全体で1.46%と前年に比 べると改善はしておりますがまだまだ低い水準です。特殊法人、具体的に申し上げます と独立行政法人、国立大学法人等は、実雇用率では全体で1.56%。全体で246法人あり ますが、法定雇用率達成法人の割合は54.5%で、ここもまだまだ改善の余地があるとい うことです。こういう状況を踏まえて取組みの強化ということで書いてあります。 新しい指導基準を踏まえて、民間企業に対して指導を強化していくとともに、公的機関 についても、指導する上での目標設定をしておりますので、一層徹底していくというこ と。精神障害者の方については、今回初めて実雇用率のカウントをしたわけですが、こ うした雇用率制度、各種支援策を活用して雇用を促進していきたいと考えております。  3〜4頁は、いま説明した内容を表形式で示しております。5頁は具体的に雇用状況 をグラフで示しております。折線グラフが実雇用率の推移、棒グラフが雇用されている 障害者数の推移です。実雇用率は16年以降、3年連続で上昇しております。雇用されて いる障害者数は、白抜きの棒グラフですが、身体障害者の方が23万8,000人、知的障害 者の方が4万4,000人で、前年比では伸びております。上の縞模様の所が精神障害者で、 約2,000人という状況です。  6頁は企業規模別の実雇用率と法定雇用率達成企業割合の状況です。いま申し上げた ように、特に56〜99人規模、100〜299人規模では、実雇用率は全体平均に比べますと低 い状況にあります。また、法定雇用率達成企業の割合では、特に300人を超える所で全 体平均の法定雇用率達成企業割合よりも低い状況にあります。  7頁は産業別の実雇用率、法定雇用率達成企業割合です。非常に細かいグラフで見づ らく恐縮ですが、各産業別に折線グラフにしております。実雇用率も達成企業割合のほ うも、真ん中の太線が平均ですが、医療・福祉、製造業、運輸業といったところは平均 を超えていますが、折線グラフの下のほうにあります平均よりも下回っているところで は、サービス業、飲食・宿泊業、金融・保険、卸売・小売、いちばん低いところでは情 報通信業となっており、こうしたところの産業では平均に達していない状況です。  後ろの資料に具体的に発表した資料を付けております。先ほど都道府県別のデータの お話がありましたが、発表資料本体の22頁に「都道府県別の実雇用率等の状況」を載せ ております。この表の左側から実雇用率、法定雇用率達成企業の割合、法定雇用率達成 企業の数となっております。いちばん右側の欄に、事業所所在地による集計の実雇用率 を、今回初めてこういった形で発表資料に載せました。実雇用率の算定になりますとど うしても企業単位になるわけですが、今回、事業所所在地別に実雇用率を計算したらど うなるかを計算したのがいちばん右側の数字です。その地域における障害者雇用の状況 を見る上での1つの参考値になるのかなということで今回掲載しました。  同じ資料の29頁以降に公的機関の個別の雇用状況を載せております。国の機関、都道 府県の機関、国レベルの独法、特殊法人。公的機関については率先垂範して達成してい ただきたいというような思いを込めて、今回こうした形で個別リストも掲載しました。 後ほどまたご参照いただければと思います。 ○事務局  資料6に基づき、平成19年度障害者雇用施策関連予算案の主要事項についてご説明い たします。平成19年度の障害者雇用施策関連予算については、第2回の研究会の際に、 概算要求の状況についてご説明いたしましたが、先日、19年度予算案について閣議決定 されたところですので、その状況についてご報告いたします。  予算案の総額は、平成18年度137億7,000万円のところ平成19年度予算案においては、 約138億8,000万円で、1億円程度増額して計上しております。その概要は、雇用率達成 指導、職業相談・紹介、あるいは各種雇用支援策の活用による障害者雇用の拡大を図り、 さらに、障害者自立支援法の施行等を踏まえ、福祉施策、教育施策をはじめとして、積 極的に他の分野との連携により、精神障害、発達障害等、障害の特性に応じたきめ細か な支援を充実していくこととしています。  そうした観点を踏まえて大きく4つの柱をたてていますが、1つ目は、雇用・福祉・ 教育の連携による就労支援の強化。2つ目は、障害の特性に応じた支援策の充実・強化。 3つ目は、中小企業による雇用促進の取組みへの支援。4つ目は、障害者に対する職業能 力開発の推進です。  まず、1つ目の雇用・福祉・教育の連携による就労支援の強化です。1の関係機関の チーム支援による福祉的就労から一般雇用への移行の促進ですが、ハローワークを中心 にして福祉等の関係者からなる「障害者就労支援チーム」による就職の準備段階から職 場定着までの一貫した支援を、平成17年度及び平成18年度に10カ所のハローワークでモ デル的に実施しておりますが、平成19年度には、ここで得ましたノウハウを踏まえて、 そのスキームを全国展開していくものです。また、平成19年度には、新たに障害者が就 労支援について適切なサービスを選択できるように、雇用施策、あるいは福祉施策にお いて提供される就労支援のサービスについて、一括して相談できるようにハローワーク に福祉事務所等の職員に来てもらい、ハローワーク職員とともに業務に当たることとし ております。また、ハローワークの職員も福祉事務所に出向き相談を受けることにして おります。  2の障害者就業・生活支援センター事業の拡充は、平成18年度の設置箇所数は全国で 110センターですが、平成19年度では設置箇所数を135センターに拡充しているところで す。  3は養護学校等の生徒とその親の一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進です。一 般雇用等の理解を深めるために福祉施設に対しては平成18年度から就労支援セミナーを 実施する等、就労支援を実施しております。平成19年度には、このような福祉施設への 支援に加え、養護学校と連携し、生徒及びその親を対象にして就労支援セミナーを開催 したり、事業所見学会、職場実習のための面接会を実施し、養護学校等の生徒の就職促 進を図ることとし、事業の拡大をしております。  4の福祉施設の人材を活用したジョブコーチ支援の充実については、昨年10月に創設 したジョブコーチ助成金を引き続き実施していきます。  5の障害者試行雇用事業の拡充については、その対象者を平成19年度においては6,000 人から8,000人に拡充しております。  次に、障害の特性に応じた支援策の充実・強化です。1の「若年コミュニケーション 能力要支援者就職プログラム」の実施ですが、ハローワークにおいて、発達障害等の要 因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について、その希望や特性 に応じて地域障害者職業センターなど専門支援機関に誘導するとともに、障害者向けの 専門支援を希望しない方については、ハローワークの一般窓口に就職チューターを配置 する等により専門的な相談支援を実施するものです。これは平成19年度から新たに実施 するものです。  2は発達障害者の就労支援者育成事業の拡充です。この事業については平成18年度か ら発達障害者の雇用促進を図るため発達障害者支援センターにおいて、発達障害者支援 関係者に対する就労支援ノウハウの付与のための講習、あるいは、事業主を対象とした 雇用管理ノウハウの普及・啓発を図るためのセミナーを実施してきたところですが、平 成19年度には新たに障害者と支援者による体験交流会を開催し支援ノウハウに活用しま す。それとともに、このような事業を実施する法人を4法人から6法人に拡充している ところです。  3は医療機関等との連携による精神障害者の就職支援の実施です。従来から医療機関 等を利用しております精神障害者に対し、ハローワークと医療機関が連携して就職活動 のためのノウハウを付与するジョブガイダンス事業について、平成19年度においては全 国で地域のニーズに応じ機動的に実施することとしております。また、19年度には新た に、そのガイダンス終了後に就労を希望しながらも求職登録等、次の段階に移行しない 者について、ハローワークが中心となり、関係機関が連携して移行の働きかけを継続し て行うことにより、医療から雇用への移行を促進する就労支援モデルを構築し、精神障 害者の就労を支援することとしております。  4の難病者の雇用管理に関する情報提供の実施については、独立行政法人高齢・障害 者雇用支援機構において19年度から実施するものです。  5の障害者団体による障害者の職業自立等啓発事業の実施については、平成18年度同 様、引き続き実施するものです。  3つ目の柱の中小企業による雇用促進の取組みへの支援ですが、近年、中小企業の実 雇用率が低下傾向にあることを踏まえ、1の中小企業団体による障害者雇用の啓発・推 進のためのモデル事業の実施する予定です。ハローワークによる事業に加え、平成19年 度から新たに中小企業団体を活用し、障害者雇用に関するセミナー、あるいは、雇用管 理改善のためのワークショップの開催、また相談窓口等の設置を全国4団体においてモ デル的に実施するもので、中小企業の自主的な取組みにより障害者雇用の促進を図るも のです。  2は中小企業が協働して障害者雇用を推進するモデル事業の実施です。地域において 事業協同組合等を活用し、中小企業が協働して仕事を提供し合う形で、障害者雇用を促 進するモデル事業を、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構において実施することと しております。  4つ目の柱は、障害者に対する能力開発の推進ですが、1は一般校を含めた公共職業 能力開発施設における障害者職業訓練の推進です。それ以下、4つの事業について平成 18年度に引き続き、また一部拡充しながら平成19年度においても実施するものです。 ○座長  ありがとうございました。少し時間が延びておりますが重要な事項ですので、質問、 意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。  今回は地方の状況についてかなり詳しいデータをいただいておりますので、参考にさ せていただきたいと思います。  それでは、本日はこの辺りで終了したいと思います。関係者からのヒアリングも本日 で予定しておりましたものは一通り終了いたしました。次回以降はこれまでのヒアリン グや議論等を踏まえつつ、論点整理をしていきたいと思いますので、よろしくお願いい たします。今日も重要な視点等ご意見をいただいております。  最後に日程等について事務局からお願いいたします。 ○事務局  次回は2月13日(火)15時から17時30分、場所は厚労省内の会議室を予定しておりま す。お手元に次回の出欠確認についての用紙を配付しておりますので、できましたら今 ご記入いただくか、あるいは、年明け1月12日までにファックスでご返信いただきます ようお願いいたします。  また、前回の研究会の議事録は未定稿ですが配付しております。内容をご確認いただ いた上でホームページ上で公開したいと存じますので、問題等ありましたら来月1月12日 までに事務局までご連絡ください。 ○座長  最後になりますが、次回研究会の会議の公開については、公開しても特に差し支えな い議題だと思いますので公開の取扱いをしたいと思います。また、本日の議事について も、議事録を公開しても差し支えないと考えますが、ご意見はいかがでしょうか。 (「異議無し。」の声)  ありがとうございます。それでは、これをもちまして本日の研究会を終了いたします。 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。 照会先:職業安定局障害者雇用対策課雇用対策係(内線5854)