06/12/26 第26回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会平成18年12月26日議事録 第26回 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会議事録  平成18年12月26日(火)10:30〜12:00  場所 KKRホテル東京「孔雀の間」 ○出席委員  井部俊子委員、小澤壯六委員、北村惣一郎委員、坂本雅子委員、笹月委員、  澁谷いづみ委員、高橋(滋)、多田羅委員、田中平三委員、地主憲夫委員、  富永祐民委員、中村丁次委員、久道茂委員、渡邊委員 ○厚生労働省出席  (健康局)外口健康局長、宮坂審議官、上家参事官、岡部総務課長、       矢島生活習慣病対策室長、塚本地域保健室長、勝又保健指導室長、 ○次第  I 開会  II 議題  1.健康日本21中間評価について  2.その他  III 閉会  矢島室長 大変お待たせいたしました。ただいまから第26回厚生科学審議会地域保 健健康増進栄養部会を開催させていただきます。  本日の出欠状況について御報告をいたします。委員定数は25名でございます。現在、 15名の委員の御出席を得ており、出席委員は過半数に達しておりますので、会議は成 立しておりますことを御報告いたします。  次に、配付資料の確認をいたします。  議事次第  座席表  委員名簿  資料1−1.健康日本21中間評価報告書案  資料1−2.健康日本21中間評価報告書に寄せられたパブリックコメント一覧  資料1−3.たばこの目標設定について  資料1−4.健康日本21に関する日本看護協会の取り組み  資料2.標準的な健診保健指導のあり方に関する検討会等における検討状況について  さらに委員の皆様方の席には、参考資料として「睡眠に関する地域保健活動実践ガイ ドブック−睡眠で健康づくり−」を用意をいたしております。もし不足、落丁等がござ いましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。  それでは、以後の部会運営につきましては久道部会長にお願いいたします。  久道部会長 それでは、議事を進めたいと思います。  まず、議題の1です。「健康日本21中間評価について」でありますが、矢島室長よ り議題1についての御説明をお願いいたします。  矢島室長 前回の部会では、資料1−1.健康日本21中間評価報告書案の第4章の 6.「歯の健康」までご議論いただきましたので、本日は第4章の7.「糖尿病」から 御議論をいただければと思います。47ページをお開きいただきたいと思います。  7.「糖尿病」、(1)の「代表目標項目について」でございますが、ここでは三つ の代表目標項目を選定をしております。二次予防と発症抑制に関する項目ということで、 7.4「糖尿病検診の受診の促進」、7.5「糖尿病検診受診後の事後指導の推進」、 7.6「糖尿病有病者数の減少」の三つを代表項目として選定をいたしました。  (2)「新規目標項目の設定」でございますが、[1]の「メタボリックシンドロームを認 知している国民の割合の増加」は、1−15の「栄養・食生活」のところとダブりますので、 ここを御参考いただければと思います。  [2]の「メタボリックシンドロームの該当者予備軍の減少」でございますが、これは今 般の医療構造改革におきまして平成27年度のメタボリックシンドロームの該当者数を平 成20年と比較して25%減少させる目標設定がされております。健康日本21におきまし ても同様の目標設定を行うものでございます。そこで7.10「メタボリックシンドロー ムの該当者・予備軍の減少指標の目安」ということで、ここにありますような形で新た に目標設定をさせていただいています。  [3]として、「メタボリックシンドロームの概念を導入した健診・保健指導の受診者数 の向上」ということで、今回の医療制度構造改革におきまして、メタボリックシンドロ ームの該当者・予備軍の減少に向けて特定健康審査の対象となります40歳から74歳の健 診受診率及び健診受診者のうち、要指導者が保健指導を受ける率の目標を設定をするも のでございます。  7.11として「メタボリックシンドロームの概念を導入した健診・保健指導の受診者 数の向上」という形で健診受診率、ここのところは平成27年度は※になっております。 それから、48ページの特定保健指導の実施率も平成27年度は※になっております。下に この※の注釈が書いてありますが、各都道府県の医療費適正化計画に関する国の医療費 適正化基本方針との調和を図りつつ平成19年度に目標設定をすることになっております ので、平成19年度に目標が設定されたときにここのところを埋めるという形を考えてお ります。  (3)「今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策等」ということで、 [1]は、「メタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導の徹底」でございます。 [2]は「一次予防の充実」ということで、食事バランスガイド等の普及とか、エクササイ ズガイド2006の普及、そういうものを図っていくということでございます。[3]は「糖尿 病予防のための戦略研究等の推進」ということで、戦略研究は平成17年度から実施して いるわけで、この成果を今後の施策に反映させることが重要である、ということでござ います。  以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございました。ただいまの糖尿病のところの説明です が、御質問、御意見はございませんでしょうか。いかがでしょうか。  笹月委員 今の最後の48ページの[3]戦略的研究を推進してその成果を応用するという ことですが、具体的に例えばこういうことに寄与していればというような成果が出ると すれば、どのようにそれを健康日本21に応用できるのか、成果をどのようにフィード バックできるのか、具体的な例をお示しいただけますか。  矢島室長 戦略研究は三つの柱になっておりまして、予防のところと治療中断者を減 らしていくことと、重症化を予防するという観点がございます。今後、その成果が出ま すと、今度の見直しのときにももう少しきめ細かな形で、現在は予防のところだけの話 になっていますが、例えば治療中断者をどのように減らしていくのか、重症化するのを どのように減らしていくのかということについて、もう少し具体的に突っ込んだことが できるのではないかと期待されておるところでございます。  笹月委員 例えば平成何年度にもう一回見直してそれを取り込むとか、そういうタイ ムテーブルみたいなものは考えておられますか。  矢島室長 今回、健康日本21は2010年までの計画になりますし、この戦略研究も17 年度から5年間程度まずやるということですので、そういうことを考えますと、戦略研 究の成果がそのときにうまく間に合えば次の議論に乗せることも可能かと思いますが、 その辺は今後の課題と認識しております。  笹月委員 そうですね。糖尿病の戦略研究に関しては予算もたくさん措置されていま すし、たくさんの人がまさにコントラクティッドプロジェクトとしてチームを組んでや っておりますので、その成果がぜひこういうところで生かされることが大変重要だと思 いますので、よろしくお願いいたします。  久道部会長 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  では「糖尿病」の項目については御意見が出そろったということで、次の項目の「循 環器病」について説明をお願いいたします。  矢島室長 48ページの8.「循環器病」でございます。  (1)「代表目標項目の選定」でございますが、ここも三つの代表目標項目を選定をし ております。8.7「高脂血症の減少」、8.10「健康診断を受ける人の増加」、8. 11「生活習慣の改善等による循環器病の減少」、この三つでございます。  (2)「新規目標項目の設定」につきましては、[1]、[2]、[3]とございますが、既に出て おるものと重なります。[1]は1.15の「栄養・食生活」のところと重なります。[2]と[3] は、7.10の「糖尿病」のところ、7.11に重なりますので、そちらと同じ考え方にな ります。  (3)「今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策等」ということで、  [1]は「メタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導の徹底」。  [2]は「一次予防の充実」、これは先ほどの「糖尿病」のところと同じでございます。  [3]の「研究の推進」については、健康フロンティア戦略における心疾患、脳卒中の死 亡率をそれぞれ25%改善する目標を達成するために健康寿命を延ばす科学技術の振興に 資する研究を行うということを踏まえまして、平成18年度から循環器疾患等、生活習慣 病対策総合研究事業を創設をいたしましてこの研究の推進をしているところでございま す。これにつきましても、エビデンスの構築を引き続き図ることが重要だと考えており ます。  以上でございます。  久道部会長 この項目で何か御質問や御意見はございませんでしょうか。  北村委員 循環器の取り組みについては、メタボリックシンドロームというのが非常 に表面に出て、ちょっと循環器は陰に隠れているような気もいたしますが、健康局の取 り組みとしてこれは適当ではないかと思っていますが、前々回にも申し上げたとおり、 我が国の持続性のある循環器疾病の発症の登録ということがほとんど日本では行い得て いない。例えば脳梗塞による死亡率が激減することは、先進医療的なものもあって実行 されてきているのですが、さすれば発症した人が介護に移行していくぐらいのマヒを残 すような率は本当によくなっているのかというと、なかなか日本全体象は、あるいは地 域における差といったものがよくわからない。東北では10数年前に一応やったことはあ るとか、そういう非常に古いデータは幾つかあるのですが、現在まで引き続きやられて 過去10年間の経過以降、推移を見届ける方法がない。  どういう方法論をとればよいか、そういったことで私どもの研究費を使ってでもどう いう方法論が現在とり得るかということも検討しようということになっていますが、ぜ ひとも日本人全体の象をつかむ発症登録にいこうということは、介護の3分の1は脳梗 塞から移行している、あるいは心不全から移行していることから考えると、サステイナ ブルとよく使われていますが、持続性のある発症登録というものについて、今後、健康 局の取り組みもお願いしたいと。我々も研究費を使って方法論的なものを考えてはいる のですが、日本全体となるとやはり厚生労働省がやらないと、学会単独では時間が短す ぎる、あるいは地域の自治体に頼っていても自分のところだけになる。そういったこと で大規模なものがないのが、いつからどのように取り組むかを検討していただきたいな とは思っております。  久道部会長 意見だったと思うのですが、何かございますか。  矢島室長 御指摘も踏まえまして、これから私どももいろいろと努力をさせていただ きたいと思います。  久道部会長 ほかにございませんでしょうか……。よろしいでしょうか。  それでは「循環器」の項目も皆さんの御意見が出そろったということで、次の「がん」 に進みます。説明をお願いいたします。  矢島室長 では50ページ、9.「がん」でございます。  (1)の代表目標項目につきましては、9.7の「がん検診の受診者の増加」を選定を いたしております。  (2)の「今後取り組むべき介護及び新たに講ずべき施策」につきましては、先ほどの 糖尿病、循環器と重なるところがございますが、がんについては、「平成18年度6月に がん対策基本法が成立したところであり、今後のがん対策の一層の推進が期待される」 ということと、[1]の「がん検診の推進」、[2]の「一次予防の充実」、これは従来の考え 方と同じでございます。[3]の「第3次対がん総合戦略研究等の推進」、がんにつきまし ても第3次対がん10カ年総合戦略を平成16年度からスタートしております。そういうこ とで、いろいろな意味での研究を推進することによっていろいろなエビデンスを蓄積し ていくことが今後、重要だと考えております。  以上でございます。  久道部会長 「がん」のところで、どなたか御意見はございませんでしょうか……。 富永委員、このあたりは何かございませんか。  富永委員 特にございませんけれども、これまでがん対策としてはがん検診中心にや っておりましたのが、今後は生活習慣病としてのがんの一次予防に力を入れるべきだと 思っております。  久道部会長 ほかにございませんでしょうか。  井部委員 がんの専門の人材の育成ということが、これは私の知る限り、文部科学省 からの事業としてきているのですが、専門の医師、看護師、放射線技師の人材の養成、 それとの関係はこの計画の中にはどのように位置づけられるのでしょうか。  矢島室長 実はがん対策基本法にがん対策基本計画をこれからつくることになってお りまして、そちらで一括して今後のいろいろな地域連携拠点病院の話とかそういうこと も含めて、がん対策基本法に基づく計画の中でいろいろと議論していただくことになっ ているところであります。  久道部会長 この計画は都道府県がつくることになっているのですね。  矢島室長 はい。  久道部会長 来年でしたか。  矢島室長 済みません、今、担当の室長が見えていないのですが、がん対策基本法が 今度、4月に施行されますので、そのときにあわせて計画も議論されることになると思 います。  井部委員 そうするとがん対策基本法のもとにさまざまな事業がなされるということ で、ここに示されている施策もがん対策基本法のもとに統合されると考えてよろしいの でしょうか。  矢島室長 がん対策基本法と重なるところについては、そことの調和を図りながらや っていくことになると考えております。  久道部会長 ほかに。  渡邊委員 どうしてもがんの一次予防といいますと、今までは発がんを予防するよう な食事にかなり重点が置かれていたのですが、禁煙の問題とか、運動も不足だと大腸が んになりやすいとか、いろいろ生活習慣全体が絡む点がはっきりしてきておりますので、 がんの一次予防とか循環器疾患の一次予防とか糖尿病の一次予防と、それぞれの疾患に 一次予防の方法があるような考え方は少し古くなってきていると思うのです。そういう 意味では生活習慣が理想的な形で、すべての生活習慣病が同じように予防できるのだと いうことをもう少し明確にどこかで示されたらいいのではないかと考えます。  多田羅委員 がん検診受診者の増加を代表項目として入れていただいているのは非常 にありがたいのですが、例えば日本人の歴史的にも大きながんの中心であった胃がんな どは、5万人の日本人の命を奪っているわけですね。患者数からすると恐らく一番多い のではないかと。死亡数は肺がんなどとの関係がございますが、例えば胃がんでも、が ん検診の受診率を見るとこの数年、13%前後というのはほとんど変化がみられないわけ ですね。  それはいろいろな事情があるかと思います。がん検診というものに対する国民の姿勢 というものは、この13という数字も相当象徴しているという国民の認識の問題、さらに 自治体では、がん検診はかつては老健法で3分の1の費用負担でしたが、今では全額、 市町村の単独負担となっておるために、どうしても予算設定の段階である種の限界があ って、それ以上の受診率の推進に対してはそのまま費用が財政状況の厳しい自治体にか かってくることもあって、ほかのがん検診でも、多くてせいぜい20%程度のものもあり ますが、大体10%から20%の間でほとんど変化がみられていないのが現状かと思います。  そういう点から、がん総合戦略研究とかがん対策基本法という法律もできている段階 で、ぜひ具体的に市町村に対する補助ですかね、単費というのは哲学かとは思うのです が、国全体のターゲットとしてはがんというのは、胃がん検診にしてもほとんどのがん は二次検診以降でも、少なくとも延命効果といいますか予防効果はあるわけですので、 もちろん基本は一次予防ですが、がん検診の重要性はいうまでもないと思いますので、 国の戦略としても少し市町村への補助というものができないものなのかどうか。市町村 の単独事業ですと、これから特に一般の健診が保険の方に移る中で、がん検診というの がどうなってくるのか見えないところもあるのですが、その辺、ひとつ強い姿勢を示し ていただきたいと思います。  久道部会長 では、どうぞ事務局から。  矢島室長 今、多田羅委員からの御指摘については、私どもはいろいろなところから 同じような御指摘も承っているところでございます。がん対策につきましては、がん対 策基本法ができたこともございまして、そちらとの計画の整合性もとりつつ、本日の先 生方の御意見が反映できるような形で中でいろいろと調整をいたしたいと思います。  久道部会長 ほかに何かございませんでしょうか……。よろしいでしょうか。それで は、がんの項目についても皆さんの御意見が出そろったということにさせていただきま す。  次は「おわりに」ですね。どうぞお願いいたします。  矢島室長 52ページ、第5章「おわりに」で、「健康日本21中間評価の総括」でご ざいます。このポイントは、今回成立いたしました医療制度改革関連法案によりまして、 医療保険者による健診・保健指導の実施を初めとする医療制度改革の関連法案の平成20 年度の円滑な施行に向け精力的な準備を進めることが必要である、ということがまずポ イントであります。そのために、この部会でも御議論いただきました標準的な健診・保 健指導のプロジェクトとか、医療保険者の準備事業の工程表を提示していくとともに、 今後は都道府県が中心になって医療保険者、市町村等の関係者の役割分担と連携の促進 を図っていくことになるため、都道府県における健康増進計画の内容の充実に向けた関 係者の協議等が円滑に進むよう、積極的に支援をしていくべきである、という考え方で す。  それから、今までは産業界との連携がうまくいっていなかったという御指摘を受けて います。これまでの国民運動としての取り組みの課題を踏まえ、今後、国民の間に広く 定着するような働きかけ、それから食事バランスガイドとかエクササイズガイド2006、 禁煙支援マニュアルといったツールを積極的に活用して、メタボリックシンドロームの 概念や生活習慣病予防の観点から普及啓発を図るという考え方であります。  健康日本21の最終評価まで残された期間は長くありませんが、国、都道府県、市町 村、医療保険者、保健医療関係団体、産業界といった関係者が総力をあげ、生活習慣病 対策が抜本的に充実・強化されることにより、最終評価までに対策の具体的な成果があ がることを期待したい。そういうまとめ方になっております。  久道部会長 どうもありがとうございます。今説明いただいた「おわりに」という第 5章のところで、何か御意見、御質問はございませんでしょうか。  井部委員 一つ質問なのですが、私は健康日本21推進フォーラムという組織の理事 をしているのですが、これは私の知る限りでは産業界との連携のパイプとしての組織だ と認識していたのですが、ここでは産業界との連携は必ずしも十分ではなかったという ことで、健康日本21推進フォーラムという具体的な組織を意図的につくってあったの ではないかと思うのです。そのような組織があって、それのもっと積極的な活用とか連 携ということは余り考えられていないのでしょうか。そこがよくわからないので、教え ていただきたいと思います。  矢島室長 健康日本21推進会議とかフォーラムとか、いろいろな形でいろいろと御 支援をいただいているところでございますが、今回の反省といたしまして、都道府県と か市町村、自治体を中心に普及啓発をやってきた構造がまずあって、その限界が前の段 階で指摘をされております。そういう形はあったのですが、産業界との関係が弱かった。 特に私どもは今回、指摘をいたしておりますのは、例えばファストフードのところとか レストランのチェーン店とか、そういうところにもっともっとカロリー表示をしていた だくとか、いろいろな食事のメニューとかそういうもの、今までも取り組んでいたので すが、それだけにかなり限定されてきたのをもっと広く、産業界を大きく取り込んだ形 でやっていくという方向性をここで打ち出すべきではないかということで、あえて「産 業界」という言葉を今回は打ち出しております。  久道部会長 小澤委員、何かございますか。  小澤委員 産業との関係は、私どもも民間団体の立場で推進協議会という公益的な団 体が主体になって集まった団体ですが、そういう意味では企業に対してどうしても行動 様式が利潤追及というか営利目的になるのではないかという懸念があって、お互いに胸 襟を開いて話し合う場が十分ではなかったかなという反省はいたしております。  これからはより広い意味で、メタボリックシンドローム対策、いわゆる特定保健指導 等も重要なのですが、やはり基本になるのは一次予防のポピュレーションアプローチと 申しましょうか、それが長期的には一番効いてくるのだろうと思いますし、それを本当 に実のあるものにするためには、今、御指摘のあるような反省を踏まえて、多くの方々 を全部巻き込んだ形で私どもと一緒に協力していかなければいけないのかなと。そうい う意味で、この記述についてはこのとおりかなという感じでございます。  久道部会長 どうもありがとうございます。ほかにございませんでしょうか……。よ ろしいですね。それでは、この項目についても御了承いただいたことにさせていただき ます。  前回の部会で議論いただきました4番目の「たばこ」の部分でございますが、前回の 議論を踏まえまして事務局から資料1−3の案が示されております。この案につきまし て説明をお願いいたします。  矢島室長 それでは、「たばこの目標設定について」を御説明いたします。前回の部 会におきましてさまざまな御意見をいただいたところでございます。具体的には、健康 づくりはそれぞれ個人の責任ではないか、という御意見。たばこは法律としては嗜好品 といった位置づけがあるのではないか、といった御意見。全員が参加できる運動の推進 という観点に立てば、全員が一致できる、絶対反対という人はいない程度の目標がよい のではないか、という御意見。禁煙したい人がふえてきているので、やめたい人が全員 やめられるような施策を推進するべきではないか、という御意見。やめたい人がとにか くやめられる環境をきちっとつくるというのが第一歩で重要ではないか、という御意見。 禁煙は自分でやめてもらわない限りどうにもならないので、ファーストステップとして 徹底的に支援をして、やめる人をふやしていくということではないかなど、さまざまな 御意見をいただいたところでございます。  事務局といたしましては、健康日本21において国民全体が参加できる国民運動とし てたばこ対策を推進するためには、未設定である成人の喫煙に係る目標を示す必要があ ること。次に、国民運動として、より多くの方が賛成し得る目標が望ましいこと。たば こは嗜好品という側面もあることから、やめたい人を増加させ、その方々の禁煙を積極 的に支援するという流れが重要であること。禁煙支援マニュアルが策定され、また、ニ コチン依存症管理料が診療報酬上の算定対象となるなど、禁煙を支援する環境が整った こと、などを踏まえ、成人の喫煙目標について一定の方向性を示すこととしたいと考え ています。  具体的な目標としては「やめたい人がやめる」という方針、考え方を示すとともに、 普及啓発等を進め、やめたい人が毎年ふえてくることを前提として、現在の喫煙率とや めたい人の割合を参考として掲げたいと考えております。国としては、新たな目標のも と、普及啓発によりたばこをやめたい人をふやし、禁煙支援等を推進していく等の環境 づくりをより一層推進していきたいと考えております。  以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございます。事務局案を今、説明していただきました。 具体的な提示の仕方は資料1−3ということですが、このことについてさらに御意見が ございますでしょうか。  中村委員 このたばこの議論は、もう長く続いているわけでございます。健康日本2 1という政策そのものは、従来の政策と比較しまして10年後の目標値を定めて、これに 対して国民全体が国民運動として目標に向かいましょうというのが、そもそもの趣旨だ ろうと私は思っております。ただ、たばこに関してはこの目標値が設定できないでいる ことは大変大きな問題だろうと思っていまして、私はやはり本来は目標値を定めるべき だろうと考えております。以前から、これは嗜好品だから目標値が定められないのだと いう意見が何回も出ております。しかし食事に関しては、例えばアルコールも甘いもの もしょっぱいものも脂っこいものも、ある意味ではこれは嗜好性の高い食品であります。 しかし、これらをとりすぎると健康に害になるということから、これらに関しても目標 値を定めているわけです。だから私は、嗜好品だから勝手にとってもいいという話では ないと思っております。  だから、たばこに関しても健康に害するということは国民はもうほぼ理解しているわ けで、私は目標値を定めるべきだと思っているのですが、ただ、以前からお聞きすると いろいろな緒事情があるということなので、そうなると、今回、事務局から出されまし た「参考値を示す」というこの辺がいいところかなと考えますが、特に参考値の中で、 やめたい人がやめられないでいるというのが2割から3割もいらっしゃるという現実を 数字で示すことは大変重要なので、この委員会でこの案でまとまっていくことに私は賛 同いたします。  久道部会長 ありがとうございます。ほかに。  笹月委員 私は前回欠席しておりましたので、あるいは前回、議論されたのかもしれ ませんが、たばこを吸っている人がやめるというのは非常に難しいというのは、皆さん 御承知のとおりなのですが、例えば新しい成人がどれぐらい喫煙しているのか。同じよ うな40%ぐらいの頻度なのかどうか。そうすると、未成年者を喫煙者の予備軍とすると、 未成年の40%は将来、たばこを吸うようになるだろう。その数字をいかに下げるのか。 要するに喫煙している人が禁煙するのは、それなりのいろいろなことをやらなければい けませんが、吸っていない人が喫煙するようになることを予防する。要するに第一次予 防法みたいなことで、それはいろいろな教育、啓発でかなりのところが可能になるので はないかと思うのです。  ですから新成人の喫煙率を、例えば今の率があるとすれば、それを半分にするとか5 分の1にするとか、一次予防という言葉を使うとすれば、そういう一次予防というセン スもここに出てきていいのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。  久道部会長 今の数値……。  矢島室長 今の御指摘はすごく大事な話で、未成年者は何しろたばこを吸わせないこ とが大事なわけですので、それは今の計画でもう既に入っていると思いますし、これか らも、今、先生の指摘されたことは大事なことだと思っていますので、それは施策とし ては進めていく必要があると思っております。  久道部会長 未成年者の喫煙をなくすという目標値はゼロ%になっていますよね。  笹月委員 それが成人したときに、自分は二十歳になったから吸っていいのだという 余計なことで吸い始めるのをいかにやめさせるか、ということを私は申し上げたのです。  久道部会長 成人したときにね。その項目はないね。  矢島室長 はい。それは今後の大事な課題だと思っていますが、今回の議論には入っ ておりません。  久道部会長 ほかに。  渡邊委員 たばこの問題は、WHOがたばこのない社会が健全な社会だというのを随 分前にいっておりますし、私も全くそのとおりだと思っているわけです。今、中村委員 が、たばこのリスクがかなり知られているのではないかとおっしゃっていますが、私は 全く現状はそうではないのではないかと思っていましてね。例えばたばこを吸っている 人は、自分が吸っている時間だけは悪いことをしている。だけど、吸っていないときは きれいな空気を吸っているという誤解を、ほとんどの方がお持ちなのです。実はそうで はなくて、肺気腫などが多かれ少なかれ進んでまいりますと、残気量の中に必ずたばこ の煙が残るので、喫煙者はほとんど24時間たばこを吸っているという理解の方がいいと 思うのです。  資料の41ページ、各県のを見て私はびっくりしたのですが、全く設定していないとい う県が18県もありますね。ということは、首長さん以下、たばこのリスクを本当に公衆 衛生学的立場ではまだ理解していないのではないかと思われるわけであります。ですか ら、普及啓発をさらに重点化したいと矢島室長がおっしゃっていますので、この部分は ぜひ実行していただきたいと思っております。  目標値をつくるかつくらないかということは結果を先に予測するかしないかという話 でありますので、現状として事務局案で禁煙希望者をとことんやめられるように、禁煙 支援の医療とかいろいろなことを利用する。また、リスクの意義を徹底して普及啓発し ていくということでとりあえず後の5年をやってみるというのは、日本全体の状況をみ ると妥当な方針かなと考えます。  久道部会長 どうもありがとうございました。  北村委員 「喫煙をやめたい人がやめる」というこの短い文章が、ある日、社会に出 たとき、どういうインプレッションを与えるかと。これは私の感じかもしれませんが、 厚生労働省は、もうやってくれというふうな、社会に投げてしまったような感覚で受け 取られるような感じがないかということがちょっと気になっているのです。やめたい人 が自発的にやめる。そしてここにおられるような何回も何回も議論をしてきた人たちに は、ここへ到着したということはよくわかるのです。しかし一般の人がこれを見ると、 厚生労働省の健康日本21に対する態度は、もう人に任せるというような姿勢が出て、 厚生労働省の目標あるいは我が国の目標というものがちょっとぼけるという感覚はあり 得るかなという気はするのです。  だから「喫煙をやめたい人がやめる。それを社会が支援する」というような、何かつ け足しの言葉かセカンドパラグラフみたいなものがないと、やめたい人がやめる、それ だけだということになりはしないかなという懸念がちょっとするもので、その心配はな いのかどうか。  久道部会長 文章には入っているのですけどもね。  矢島室長 先ほども御議論の中で私も御説明をいたしましたが、前のときと比べて、 例えば禁煙支援マニュアルという対策ができていること、それからニコチン依存症管理 料が診療報酬上の算定になるなど、禁煙を支援する環境が整っているという御意見もご ざいましたので、そういう御指摘も踏まえて文章の中でそういうものを少し工夫をさせ ていただければと思っております。  北村委員 「1に幾ら、2に幾ら、3丁目はなくて」というあの標語でもいろいろも めましたよね。薬が入るのをやめろとかなんとか。しかし、こういう一つの短いフレー ズがパッと広がりますよね。そのときの反応は、僕だけの感じならそれはそれでいいの ですけど、そこのところをちょっと。読めばわかるというのはよくわかりますし、ここ のディスカッションをしてきた過程でここに落ち着いたというのもよく理解しています。 しかし、これだけがポスターとかにパッと出ますよね。そのときにどういう印象がある かなと。  久道部会長 今の北村委員の懸念を払拭するような表現をどうするか。これは文章と してはこうなっているけれども、工夫は必要ですよね。  矢島室長 御指摘を踏まえまして、文章とかいろいろな説明の中で御指摘のように誤 解がないように、これから少し工夫をさせていただきたいと思います。  外口局長 たばこの対策はたばこの目標設定のみではもちろんありませんで、例えば がん対策基本法が6月にできましたが、あれの6条では、国民の責務として喫煙とか運 動とか食生活とか、そういった生活習慣についての正しい知識を持つ。それから、がん 検診を受けるということが国民の責務の方に入っているわけです。それから、12条では 予防対策としてやはり喫煙とか運動とか食生活とか入っているわけです。それに対して 国とか県が必要な措置を講ずる。ですからたばこの対策については、これは一つのツー ルであって、実際にはいろいろなことから国としてやっていくということになると思い ます。  久道部会長 ほかにございませんでしょうか。  井部委員 私はこの委員となって日が浅いのですが、「喫煙をやめたい人がやめる」 というのは非常にわかりやすいと思いますし、「やめたい人がやめる」というこの1行 の中にいろいろ考えることは、やめたい人をふやすことが背後にあることと、やめたく ない人はたばこを吸わない人に迷惑をかけないようにしてほしい、そういう個人的な期 待があるのですが、そのようなことが伝わるといいなとこれを見て思ったのです。絶対 やめないという人が一部はいると思うのですが、そのやめない人たちがやめる努力をし ている人たち、あるいは吸わない人たちへの影響を最小限にするというようなことがこ の背後に含まれていると解釈いたしますが、それがよく伝わるといいのではないかと。  私の解釈は間違っているかもしれませんね。やめない人がいるということを前提にし ているのかなと考えますが、これは、その人たちがいるということが前提で「やめたい 人がやめる」と考えてよろしいのでしょうか。  矢島室長 井部委員の御指摘は、残念ながら過去のこの中の議論には出ていなかった と思うのですが、少なくともやめたいという人たちがやめられるような施策を持ってい くことは必要だろうということをいっていますので、それを裏返しに読むと、ひょっと すると井部委員のおっしゃっていることが、表には出ていませんが、そういうことも意 識されて御発言された方がいらっしゃるかとは思いますが、少なくとも井部委員がおっ しゃったことは一つ大事な流れだと思っておりますが、御指摘も踏まえていろいろな施 策を、なるべくやめたい人がやめられるような施策をちゃんとつくっていくことが大事 だと考えております。  久道部会長 ほかにないですね。この問題については大分この部会でも議論いたしま した。それから作業部会でもかなり時間を割いて議論いただきました。最終的には、今 日、事務局から提示された「喫煙をやめたい人がやめる」、それに参考数値として、男 性・女性それぞれの喫煙率、禁煙希望者の割合を提示するという形でまとめることにな ったわけですが、この案で、皆さん、御了承いただいたことにさせていただいてよろし いでしょうか。  (「異義ありません」の声あり)  どうもありがとうございました。これがまとまらないときょうの仕事ができなくなり ますので、まずここでひと安心したのですが。  健康日本21の目標についてはこれで決まったわけでありますが、全体の報告書の文 章については、改めて事務局で整理をしていただいて、各委員会に相談した上で、次回 の部会に報告書として提出いたしたいと思いますが、そのような取り扱いをしてよろし いでしょうか。  (「はい」の声あり)  どうもありがとうございます。御了承いただいたことにさせていただきます。  それでは次の議題ですが、井部委員より資料1−4の提出がございましたので、その 説明をお願いいたします。  井部委員 お時間をとっていただきましてありがとうございます。日本看護協会が健 康日本21に関してどのような取り組みをしたかということを簡単に報告させていただ きたいと思います。  資料1−4でございますが、2ページ、主な取り組みの1番目が「休養・心の健康づ くり」ということで、睡眠に関する健康づくりを日本看護協会を先駆的に実践しており ます。平成15年には「研修教材睡眠に関する模擬講習」というCD−ROMを作成いた しておりますし、平成16年には睡眠に関する地域保健活動開発モデル事業を実施してお りまして、この保険指導を受けた者の58%が睡眠・休養がとれるようになったというア ンケート結果を出しております。平成17年には睡眠に関する地域保健実線ガイドブック を作成しておりまして、きょう、緑色の表紙の冊子が皆様のお手元に届いていると思い ます。平成18年には、標準的な健診・保健指導プログラム暫定版の質問票に「睡眠」と いう項目を追加しております。それから、シンポジウム、ワークショップの開催やリー フレットを作成しております。  二つ目の「たばこ」でございますが、看護職の喫煙は残念ながら多いわけでありまし て、平成13年はたばこ対策宣言をいたしまして、平成16年に看護者たちの禁煙アクショ ンプランを作成しております。その喫煙率では平成13年と平成18年の比較がありますが、 平成13年には25.7%ありまして、それが平成18年には19.9%。先ほどの全国平均の女性 と比べるとまだ高いのですが、女性看護職は24.5から18.5に減りまして、男性の看護職 は54.4から54.2と若干減少している状況であります。  3番「糖尿病」に関しては、一つは人材育成という観点で、糖尿病看護認定看護師の 教育と認定をしております。登録者が、平成18年8月現在で114名です。これは、日本看 護協会の看護研修学校で教育専門課程を設けております。  2番目が、成人看護の慢性期という看護の専門看護師の認定をしております。認定看 護師と専門看護師は用語は似ておりますが、やや教育課程が違いまして、その詳しい説 明は12ページに専門看護師、認定看護師に関して紹介をしております。専門看護師は、 基本的には看護系の大学院修士課程で行われる教育であります。・の三つ目にあります が、専門看護師は「実践」「教育」「相談」「調整」「倫理調整」「研究」という六つ の役割を持つことになっております。一方で認定看護師は「実践」「指導」」「相談」 の三つの役割を持ちまして、これは一定の6カ月、600時間の研修を受けることによりま して認定をされる。そのような専門看護師と認定看護師がございます。  4ページに戻っていただきまして、成人看護、慢性期の専門看護師は、現在、登録者 が13名でありまして、認定の教育機関の大学院が示されております。  5ページが「がん」でございます。がん看護専門看護師の認定をしておりまして、現 在、登録者が79名となっております。認定教育機関はそこに示しているとおりです。  6ページ、次は認定看護師ですが、がん性疼痛看護、ペインコントロールの専門家の 認定をしております。現在、224名の登録者がおります。  3番目は、ホスピスケアの認定看護師教育と認定をしておりまして、303名の方が登録 されております。  四つ目は、がん化学療法看護認定看護師であります。これは現在、148名です。  それから、最近できましたのが乳がん看護認定看護師で、現在、20名が登録されてお ります。  7ページが、その変遷を示しているグラフであります。  8ページが、今後の日本看護協会の取り組みといたしましては、1番目が、市町村保 健師の実践能力の維持向上ということで、生活習慣病予防活動支援モデル事業の研修プ ログラムによって市町村保健師に対して研修を実施することと、市町村以外の保健指導 能力強化に向けた研修としまして、病院、診療所、事業所の保健師に対し研修を実施す ることを考えております。  9ページが、保健活動に関する先駆的事業でございます。生活習慣病予防対策のため のポピュレーションアプローチに対する普及推進事業といたしまして、先駆的事例を全 国から収集して成功要因を分析、標準化した上で事例集を作成するという計画で、平成 19年2月までに事例集を作成することになっております。  10ページは、平成18年度の生活習慣病予防活動支援モデル事業であります。3行目に 書いてありますが、日本看護協会は看護の専門性を生かした独自の生活習慣病予防活動 支援プログラムを開発し、市町村及び医療保険者を対象にモデル事業を開始する、と考 えております。  11ページが研修プログラムの主な内容でございます。1番目は、日本看護協会の生活 習慣病予防プログラムで、地域を基盤に実施する生活習慣病予防活動の主要課題、実践 モデルの紹介。2番目が生活習慣病の理解ということで、生活習慣病の病態、指標につ いて、患者への指導方法や教材の活用について。三つ目は食事と運動ということで、食 生活習慣改善の工夫、食生活リズム、食回数、そしゃくについて、食事バランスについ て、日常の身体活動量と運動のタイミング、効果、といった内容を盛り込んでおります。  付録の1は、先ほど御説明いたしました専門看護師と認定看護師。最後のページが、 日本看護協会以外のがん関連の認定看護師、教育専門課程が、このような機関で看護分 野の教育を行っているということでございます。  以上です。ありがとうございました。  久道部会長 どうもありがとうございました。どなたか、御質問はございませんでし ょうか。  私からお尋ねしたいのですが、認定看護師の方がかなりふえましたですね。その方々 の処遇というのが具体的にどのように変わってきているのか。例えば給料とか何か。そ れは余り関係ないのですか。  井部委員 それはそれぞれの組織の方針によりますので、一律にはいえないのです。  久道部会長 そういう調査はしていないですか。  井部委員 私のところではまだ持ち合わせておりません。  久道部会長 ほかに。  渡邊委員 研修プログラムをどれぐらいの期間なさるのかよくわからないのですが、 例えばプログラム内容で食事と運動になりますと、管理栄養士とか運動指導士とオーバ ーラップしてくるところがありますので、よく協力体制を組むような形で進めていただ ければと思っております。  井部委員 はい。ありがとうございます。  久道部会長 ほかにはございませんか。  北村委員 一つ教えていただきたいのですが、5ページから6ページにかけて、がん 関係の専門看護師あるいは認定看護師というのが種類がたくさんありますね。ですから、 1人の方が重複してとるとかいろいろなこともあるので、これは各看護大学とかそうい ったところが自分でやってきているのを看護協会として集計されたに過ぎないのか、看 護協会としてはこれだけのものが必要であるという形で、今後、ある程度集約したりま とめたり整理したりする方向性を持とうと思っておられて発表されたのか、そのあたり を。  井部委員 専門看護師は大学教育でありますので、日本看護系大学協議会が専門分野 の特定をして日本看護協会が承認するということで、まず日本看護系大学協議会がどう いう分野でするかという分野特定をし、教育カリキュラムについては日本看護系大学協 議会が一定の基準を持っておりますので、それぞれのプログラムを各大学院がやろうと する場合には、そこの承認を受けないと教育機関としてお墨つきをもらえないことにな っているわけです。ですから、修士課程の教育に関しては日本看護系大学協議会がイニ シアティブをとって日本看護協会と連携しているわけでありまして、日本看護協会が最 終的に専門看護師というものを認定することになるわけです。  ですから、専門看護師も認定看護師も最終的には日本看護協会で認定されることにな るのですが、もう一方の認定看護師は、時代の背景とか状況によりまして特定分野が必 要だということが臨床の間から出てきておりまして、例えば乳がんの認定看護師を必要 とするのではないかといったようなことを、専門領域の人たちから分野特定の申請を日 本看護協会にしてもらって、それを日本看護協会が認めますと新しい教育課程が開始さ れるということです。  北村委員 ただ、医者の専門医の場合もそうなのですが、乳がんの認定の専門看護師 ができたから、専門看護師はそれをカバーするのかどうか。そして、例えば胃がん、肺 がん、膀胱がん、脳腫瘍、それぞれ全部の専門医のようにどんどん各看護大学系がつく ろうという形で非常に散らばるのですね。それが医者の専門医領域でも起こっています ので、どこかで集約したりまとめたり、そして意味のある専門医、看護師あるいは認定 看護師というのを、看護協会、頑張っていただいたらと。  井部委員 はい、わかりました。確かに非常に重複したりしている領域がありますの で、現場でもその指摘はありますが、今後、ある程度需要を満たすようになったら、再 調整という時期がくる可能性はあると私も思います。  久道部会長 よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。  議題の2「その他」ということですが、資料2について事務局から説明をお願いいた します。  矢島室長 それでは、資料2に基づきまして、標準的な健診・保健指導のあり方に関 する検討会における検討状況を御報告をいたします。  平成20年4月から実施をされます特定健診・特定保健指導の関係の検討会は、現在、 厚生労働省の中で三つ動いております。  まず、この部会とも関係がありますが、標準的な健診・保健指導のあり方に関する検 討会。これは久道部会長が座長を務めていただいている検討会でありまして、標準的な 健診・保健指導プログラムの策定とか、ここに関係するようなデータ分析とか、そうい う健診・保健指導の実施評価のためのデータ分析等が議論をされております。  もう一つの検討会が、これは保険局でございますが、保険者による健診・保健指導の 円滑な実施方策に関する検討会。こちらの座長は辻一郎先生でございまして、被用者保 険の被扶養者に対する健診・保健指導の実施体制とか、データ送受信・決済システムの 確立とか、特定健診・特定保健指導の評価方法がここで御議論されております。  労働安全部局の方では、労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検討会とい うことで、こちらの座長は和田先生でございます。具体的には、労働安全衛生法におけ る定期健康診断の健診項目の検討、労働安全衛生法における保健指導の検討がされてお ります。  これらは、それぞれ連携をとりながら同じ方向の特定健診・特定保健指導の実施に関 して調整をしながら検討を進めさせていただいております。  2ページは、20年度に施行されます保険者による健診・保健指導の実施の流れでござ います。医療保険者に特定健診の実施を義務づけまして、一定の基準に該当する方に対 して医療保険者に特定保険指導の実施を義務づけます。そして、生活習慣病のリスク要 因の減少を図ることによりまして、生活習慣病に起因する医療費の減少を目指すもので ございます。それから、医療保険者による後期高齢者医療支援金の加算・減算のシステ ムがございまして、これについては平成25年度より後期高齢者医療支援金について、以 下の項目の目標状況等をもとに加算・減算をやります。年明けに、これは保険局の検討 会で具体的な中身については議論をされることになっております。その加算・減算の一 つの考え方の項目としては、ここにありますように特定健診の受診率または結果把握率 とか、特定保健指導の実施率または結果把握率、目標設定時と比べた内臓脂肪症候群の 該当者予備軍の減少率、そういうものが一つの議論になっております。  3ページは平成20年度に向けた保険者の主な作業工程表で、このような形で今まさに 準備を進めているところでございます。  4ページは、第3回の標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討会が11月9日に 開かれました。ここで、実は準備事業を三つの県で行っていますが、その概要について 御報告をしたところでございますので、あわせてここで簡単に御報告をいたします。  5ページでございますが、千葉県と富山県と福岡県の3県でメタボリックシンドロー ム対策総合戦略事業ということで、平成20年度に向けた準備事業をやっていただいてい るわけでございます。千葉県においては、九十九里町、白子町、大多喜町のほかに、新 日本製鐵健康保険組合の君津支部の4カ所で準備事業が行われています。富山県につい ては、インテック健康保険組合において被保険者、被扶養者に対して行われています。 福岡県では、筑後市と福岡県農協健康保険組合の2カ所で行われています。概要は、一 覧表にお示ししているとおりでございます。  6ページは千葉県のモデルで、どのように検討しているかということを具体的にここ でお示しをしているものでございます。千葉県においては、メタボリックシンドローム 対策総合戦略事業という形で実施計画を策定をいたしまして、ここにあるような形で事 業の企画・評価委員会を設置をしていただきました。それから、モデル事業試験の実施 という形で、具体的な市町村等をこの中でお選びいただき、具体的に準備事業をしてい ただいています。また、あわせて保健指導従事者に対する研修等もこの中で行っておる、 という形で進めておるところでございます。  7ページは、千葉県における具体的なタイムスケジュールでございます。まさに今、 同時進行で、各市町村において保健指導等が実施をされておるところでございます。  8ページは、富山県における総合戦略事業の概要でございます。ここは、インテック 健康保険組合で実際に具体的にここに書いてあるような形で準備事業を進めております。 ここは、千葉県と同じように地域・職域連携推進協議会とか保険者協議会とも連携を図 りながら、企画評価委員会等を設置していろいろな調整を行っているところでございま す。  9ページは福岡県の場合でございます。福岡県の筑後市の状況を具体的にお示しして おります。  10ページは福岡県の農協の健康保険組合の状況をお示ししております。まさに今、同 時並行的に具体的な健診・保健指導等がこのようなタイムスケジュールで実施をされて いるところでございます。  11ページは、準備事業における、この当時でございますが、その段階での主な指摘事 項でございます。準備事業における主な指摘事項といたしましては、まず、保健指導レ ベルの階層化についていろいろな指摘がございました。特に動機づけ支援から情報提供、 積極的支援から動機づけになる方々に対する対応とか、対象者が少し多くなるのではな いだろうかということ、その効果的、効率的な保健指導を行うためには予防効果が大き く期待できるものを明確にする、優先的に保健指導を実施すべきではないかということ と、そのためには、必要に応じて階層化の方法を見直す必要があるのではないだろうか、 という具体的な指摘をいただいているところでございます。  それから、運動指導をする際の運動可否判定という形で、運動負荷により脳、心臓疾 患を発症するおそれがあるものをスクリーニングする方法とか、運動指導を行ってよい かどうかの判断方法、こういうものをつくるべきではないかという御指摘もいただいて います。  その他の指摘事項として、健診項目について、現在の労働安全衛生法に基づいて行わ れている事業者健診の項目との間で整合していないところがある。これについてはなる べく整合を図った方がいいのではないか、という御意見もいただいています。  12ページ、質問票についても同じでございます。特に健診項目がずれたままですと、 2回受診を求めることになり、労働者に対して不必要な負担を強いることになるので、 そういう意味でも項目の調整が必要ではないだろうかということ。それから、事業者と 健康保険組合の費用分担を複雑にし、事務手続も複雑になるということで、この辺も検 討すべきであるという御指摘をいただいております。  労働安全法に基づく保健指導の取り扱いですが、労働安全衛生法に基づく保健指導は 努力義務という形になっています。事業者が行っている保健指導との関係については標 準的な研修保健指導プログラムに明示がされていないということがありますので、この 辺を今後、プログラムの中で明示をしていく必要があるのではないだろうかという御指 摘も受けております。  13ページ、14ページは、千葉県における具体的な判定の数値のデータでございます。  15ページは、保険局で実施しております保険者による健診・保健指導の円滑な実施方 策に関する検討会の開催要綱で、検討事項といたしましては、1番目は医療保険者にお ける企画・立案・実施体制について、2番目は被扶養者に対する健診・保健指導に係る 決済やデータ移動の仕組み、3番目は特定健診・特定保健指導の取り組みの評価方法、 そういうものを議論をしておるところでございます。  16ページは、その検討会の委員の名簿でございます。  17ページ、18ページは、保険者への情報提供の仕組みとか、今後のスケジュールが書 いてございます。  19ページは、決済及びデータ送受信に関するワーキンググループのメモでございます。  20ページは労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検討会の開催要綱で、真 ん中に検討内容がございます。具体的には、労働安全衛生法における定期健康診断等の 健診項目について、労働安全衛生法における保健指導について、その他標準的な健診・ 保健指導プログラム暫定版において示されている項目について、これらについて御議論 をいただいているところでございます。  21ページが、この検討会のメンバーの一覧表でございます。  22ページが、労働安全衛生法における定期健康診断等における検討会の必要性という ことで具体的な議論、どういうポイントが必要かということがこの中に示されておりま す。  23ページ、24ページ、25ページは、検討会の概要を資料としておつけいたしておりま す。  以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございます。ただいまの説明に、何か御質問はござい ませんか。  それでは、次回の日程についてお願いいたします。  矢島室長 次回の部会は、後日、日程を調整の上、御連絡をさせていただきたいと思 います。  久道部会長 それでは、本日の部会はこれで全部終了いたしました。年末のお忙しい ところを、大変ありがとうございました。これで本日は閉会とさせていただきます。ど うもありがとうございました。 (終了)  ○ 問い合わせ先    健康局総務課生活習慣病対策室    調査総務係 竹之内・横山    電話 03−5253−1111       内線2346・2342