06/12/22 化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会第2回議事録 第2回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会 日時 平成18年12月22日(金)    10:00〜 場所 厚生労働省18階専用第23会議室 ○永野室長補佐 ただいまから第2回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク 評価検討会を開催いたします。本日は、年末の大変お忙しい中、ご参集いただきまして誠 にありがとうございます。本日は委員の先生方は全員ご出席でございます。また、本日も、 前回同様、オブザーバーといたしまして、厚生労働省の委託によりましてリスク評価事業 を実施している中央労働災害防止協会化学物質管理支援センターからもご出席いただいて おりますことを申し上げます。それでは、以後の進行につきましては櫻井座長からお願い いたします。 ○櫻井座長 それでは、議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。 議事に先立ちまして資料の確認をいたします。事務局からお願いいたします。 ○永野室長補佐 資料ですが、いちばん上に検討会次第がありまして、2枚目が「配付資 料一覧」となっています。資料2−1が第1回の議事概要です。資料2−2が「有害物ば く露作業報告の状況(平成18年9月15日現在)」です。資料2−3が「有害物ばく露報告 に基づくばく露状況等調査の実施について」です。資料2−4が「ばく露状況調査実施事 業場一覧」です。資料2−5が「ばく露作業報告と実態調査選定事業場の関係について」 です。資料2−6が「事業場実態調査結果事例」です。資料2−7が「評価基準値候補リ スト」です。また、参考1として、前回もお配りしていますが、「有害物ばく露作業報告書 の書き方」というリーフレットです。参考2として「職域における屋内空気中のホルムア ルデヒド濃度低減のためのガイドライン」を付けてあります。以上でございます。 ○櫻井座長 次に、前回議事概要の確認を行いたいと思います。 ○永野室長補佐 議事概要は資料2−1ですが、お目をとおしていただいて何かお気づき の点がありましたら、後ほど事務局にご連絡をいただければと思っております。 ○櫻井座長 そういうことでよろしくお願いいたします。早速、議事に入ります。最初の 議題は「事業場におけるばく露状況調査の実施状況について」です。事務局からご説明を お願いします。 ○永野室長補佐 資料2−2から資料2−6に基づいてご説明いたします。リスク評価を 実施するということで、物質の有害性のハザードの評価と実際のばく露の評価を併せてリ スク評価するということで、ばく露評価につきましては今年度から新たに設けられた有害 物ばく露作業報告という報告制度に基づいて、参考1のリーフレットの中に報告書の様式 がありますが、年間500kg以上の対象物を取り扱っている事業者の方に必要な事項として、 取り扱う製剤の用途や消費量、含有率、対象物の量、作業の種類、従事労働者数、換気設 備の設置状況、物質の性状、温度、1月あたりの従事時間、保護具の使用状況について今 年の8月31日までに労働基準監督署に提出していただくことになっておりました。それに つきまして、一部、督促などもいたしましたが、データは監督署でコンピューターのシス テムに入力いたしまして、全国のデータを9月15日に抽出いたしました。  その物質ごとに整理したものが資料2−2です。対象物質は5物質ありまして、エピク ロロヒドリンから順に5つの物質について報告があったものを分析したものです。1頁で すが、エピクロロヒドリンの報告状況になります。上の段のいちばん左側ですが、これは 作業の種類ごとに分析することになっておりますので、作業の種類ごとにそれぞれの内容 を分析しております。報告があった数としましては、(2)のいちばん下にある117の事業場 から報告が出てきております。作業の種類としては、33とか34というのは先ほどの報告書 にあるコード番号ですが、33の計量、配合、注入、投入又は小分けの作業、34のサンプリ ング等の作業、35の充填又は袋詰めの作業、38の清掃又は廃棄物処理の作業、47の保守、 点検等の作業、49のろ過、混合、撹拌等の作業、このような作業があるという報告があり ます。  数として多かったのは、事業場数で見ると71ということで33番の計量・配合等の作業 が断トツで多い作業になっています。その「短冊」というのは、1枚の報告書の様式で1 つの会社から物質について製剤などの作業ごとに分けて報告していただいていますが、そ の短冊数、作業数でいうと103ということで33番の作業がいちばん多い。半分以上が33 番の作業になります。また、従事労働者数においても、(4)の総数で925ということで、こ の33番の作業が多いことになっています。  次が、製剤等の製造量・消費量です。これは大元の製品の量で、その右側の対象物の量 が製品の中に含まれているエピクロロヒドリンの純粋な量になります。対象物の量で見る と、量的には34番のサンプリングの作業や38番の清掃等の作業、47番の作業も多いので すが、これは取り扱っている系の中に流れている全部の量を提出することになっておりま して、サンプリングといってもここに書いてある量を全部サンプリングしているわけでは ありません。プラントの中を流れている全体の量がこの量であって、サンプリング自体は 非常に少ない量しかしていません。同じように、清掃とか保守点検の作業もこの量を全部 消費しているのではないので、そういうところはよく考慮する必要性があるかと思います。 計量・配合等の作業、充填又は袋詰め作業はその量全体を取り扱うということで一定の量 が取り扱われていることになります。また、用途につきましては、02とか03というのは報 告書のコード番号で、いちばん多い用途が02番の「他の製剤等の製造を目的とした原料と しての使用」ということで、エピクロロヒドリンの場合はこれを使ってエポキシ樹脂など の製品を製造するときの用途がいちばん多くなっています。そのほか、01番のエピクロロ ヒドリン自体を製造するとか、そういう用途なども多くなっております。  次が、従事時間ですが、労働者1人当たりの1カ月の時間ということで、コード番号で 報告することになっております。(13)がコード番号で、1が20時間以下、2が21時間から 50時間、3が51時間から100時間、4が101時間以上ということで、大体、1の20時間 以下がいちばん多くて、その作業全体の合計で見ると、いちばん下の「合計」で93%がこ の20時間以下という短いところになっております。これを総従事時間とか事業場当たりの 平均、労働者当たりの平均を計算してみたものが(14)(15)(16)のデータになっています。下の段 に行きまして、(17)が換気装置設備の設置状況です。局排、プッシュプル、全体換気、その 他という4つのコード番号があって、これを記入することになっています。何もない場合 は無記入になります。下の「合計」ですが、基本的に6割ぐらいの所では局所排気装置が 設けられている。全体換気装置が2割ぐらいの所で設けられている。その他というのが3 割ぐらいですが、具体的に何なのか報告上はわからない部分があります。(18)が保護具の使 用状況で、防じんマスク、防毒マスク、保護衣、保護眼鏡、保護手袋、なし、その他とい うコード番号がありまして、それを複数で記入していただくことになっております。「合計」 ですが、防毒マスクは6割の事業場の作業で着用されている。保護衣については3割程度、 保護眼鏡と保護手袋は100%近い事業場で使用されていることになっています。(19)の性状で は、ほぼ100%が液体の状態なのですが、固体の所に1つだけあって、通常、エピクロロヒ ドリンは液体の物質であって、提出した事業場に固体というのは一体何なのか確認したと ころ、重合したポリマーの取扱いについて報告したということで、基本的にこれはモノマ ーの取扱いを対象にしたものなので、これは勘違いということで関係ないという結果にな っています。(20)が温度ですが、これもコード番号が3つに分かれていまして、50℃未満と 50℃以上100℃未満と100℃以上という3つのコード番号のどれかを報告することになっ ています。50℃未満が8割で、比較的低温で取り扱われています。19%が50℃以上100℃ 未満のところで取り扱われています。次の21番は後ほど説明することにしまして、次の頁 にまいります。  2頁が塩化ベンジルです。これにつきましては56の事業場から報告が出てきております。 作業の種類としては33、34、35、49、50の作業の報告があります。いちばん断トツで多 いのは33の作業で、56事業場中49の事業場、作業の数でいうと69のうち60ということ で87%が計量、配合、注入、投入又は小分けの作業がいちばん多い作業になっています。 労働者数で見ても総数で627人ということで、この作業に従事している労働者数が多い。 また、対象物の量についても33の作業が3,761.9トンということで、断トツでいちばん多 くなっています。用途については02番の用途が多くなっていますが、この物質は国内では 製造されておりませんので、01番のその物質の製造は用途として出てこないのですが、塩 化ベンジルを使って何か化学工業製品をつくるという02番の用途が最も多くなっておりま す。先ほどのエピクロロヒドリンと同様なのですが、基本的には、それを原料として何か 製品をつくるともう重合してしまっているので、そこから先についてはエピクロロヒドリ ンとか塩化ベンジルのような物質は含まれていない。塩化ベンジルの製造はありませんが、 そのものを使って何か製品をつくるところで労働者のばく露が問題になることになる。ま た、右の従事時間では、全体としてはいちばん時間が短い20時時間以下が86%ということ で、それほど時間は長くないのではないかと思います。その下の換気設備ですが、局排が 約77%の所で設置されている、全体換気装置が23%、その他も22%あります。保護具に つきましては、防毒マスクが7割ぐらいの所で使用されている。あと、保護眼鏡と保護手 袋については、保護眼鏡が88%の所、保護手袋が99%の所で使用されているということで す。性状につきましては、100%液体の状態になっています。温度につきましては88%、 約9割は50℃未満の所の取り扱いになっております。  次の頁が1,3−ブタジエンです。これも、基本的にはブタジエンを製造している所と、 ブタジエンを原料としてブタジエンゴムとか樹脂とかをつくる。そこから先についてはブ タジエンモノマーが入っているものはなくて、基本的には製造している所と、それを使っ て製品をつくっている所でブタジエンモノマーとしての流通が止まってしまうということ です。作業の種類としては31、33、34、35、38、39、47、49、50という作業が報告され ておりまして、事業場数とか作業数で見ていちばん多いのが34番のサンプリングとか分析、 試験又は研究の作業が多くなっています。エピクロロヒドリンと塩化ベンジルでは33の作 業が多かったのですが、ブタジエンは気体ということもあるので、液体のものを混ぜたり 投入するものではないので33の作業は少なくなっています。従事労働者数も、34の作業が 1,140人ということで断トツで多くなっています。また、量につきましては、この34の作 業は量としても多いのですが、先ほど申しましたように、全量をサンプリングしているわ けではなくて、系の中を流れている全部の量なので、サンプリングで取り扱う量としては それほど多くないのではないかと考えています。用途としては、多いのは02番で、原料と してゴムなどをつくる用途が多い。あとは、ブタジエン自体を製造する用途が多くなって います。作業時間としては、90%以上が1番の20時間以下という短い時間になっています。 換気設備については、局所排気装置は前の2つの物質と比べて設置率が約3割ということ で低くなっていますが、基本的に気体で閉鎖系で取り扱って、屋外でサンプリングをする こともあって局所排気装置はあまりないのではないか。全体換気装置も約1割ということ になっています。保護具につきましては、防毒マスクを使用しているのが約6割、保護眼 鏡を使用しているのが9割、保護手袋を使っているのが9割です。性状については、基本 的にこれは常温では気体の物質なので、気体が62%になっています。そのほか、液体の状 態、圧縮して凝縮したり、あるいは温度を下げて液体にしているとか、そういうことで液 体で取り扱っているのが約4割になっています。温度につきましては、95%が50℃未満の 低い温度で取り扱っているということです。  次の頁が、ホルムアルデヒドです。これは非常に用途も多いし、いろいろなことに使わ れるということで、報告した事業場数も549の事業場から報告をいただいているという結 果になっています。作業の種類も31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、 46、47、48、49、50と、非常に多様な作業が報告されております。多い作業としては33 番の計量、配合、注入、投入又は小分けの作業がいちばん多くなっています。あと、49番 のろ過、混合、撹拌、混練又は加熱の作業、46番の吹き付けの作業、34番のサンプリング、 分析、試験又は研究の作業などが続いて多くなっております。労働者数で見るとそういう ことになっています。また、製剤とか対象物の消費量とか使用量で33番、34番、41番、 47番のような作業が多くなっています。用途も非常に多くて、01番のホルムアルデヒドを つくる用途、02番のホルムアルデヒドを材料として樹脂などの製品をつくる用途。そのほ かに多いのは07の顔料、染料、塗料又は印刷インキとしての使用です。塗装などの塗料に 入っていたりするので、そういうもので使う用途が結構多くなっています。そのほか、燻 蒸とか接着とか、いろいろな用途に使われていますが、製剤をつくるところで終わるわけ ではなくて、そこから先のいろいろなホルムアルデヒドという状態で含んだ製品がたくさ んあります。それを使った塗料、燻蒸剤、メッキ成分などで大量に使うということで、こ れはばく露の恐れのある作業や用途が非常に多様にある物質になっています。従事時間を 見ますと、全体としては74%が20時間以下となっています。作業ごとに見ると、46番の 吹き付けの作業が101時間以上が66%で、吹き付けの作業自体が広い面に噴霧するので拡 散し、時間的にも1人当たりの従事時間が長いという結果になっています。換気設備につ いては、「合計」の所ですが、局排が約77%の所で設置されている。全体換気装置が34% の所で設置されている。保護具につきましては、防毒マスクが62%で使用されています。 保護眼鏡と保護手袋については、それぞれ79%、90%の所で使用されているという結果に なっています。性状につきましては、たぶん、ホルマリンか何かの形になっているのでは ないかと思いますが、86%は液体です。気体が3%です。後でもう少し具体的に説明しま すが、固体と報告している所と粉末と報告している所がそれぞれ7%と4%あります。温 度としては90%以上が50℃未満という低いところで取り扱っているということになってい ます。  最後の頁が硫酸ジエチルです。これは国内では1社だけ製造しております。基本的に、 製造する所と、硫酸ジエチルを使って何か製剤をつくる所があって、そこで硫酸ジエチル の流通が止まるという物質です。作業としては33、34、35、38、49、50などがあります が、断トツで多いのが33の計量、配合、注入、投入又は小分けの作業です。常温で液体の 物質でありますので、そういう液体の状態で計量や注入をする作業が非常に多いことにな ります。労働者数でもこれがいちばん多くなっています。ただ、対象物の量ではサンプリ ングの量が多いのですが、これは何回も言いましたように、抽出している量ではなくてプ ラントの回っている量なので多くなっていますが、消費量としては非常に微量になってい るものと考えられます。用途としましては、いちばん断トツで多いのが02番の他の製剤等 の製造を目的とした原料としての使用が多くなっています。従事時間については、1番の 20時間以下が90%以上になっています。換気設備ですが、局排が約半分ぐらいの作業で設 置されている。全体換気が4割ぐらいの所で設置されているということになります。保護 具の使用状況ですが、防毒マスクが76%、保護眼鏡が93%、保護手袋が88%の所で使用 されている。性状については、基本的にこれは常温常圧で液体の物質であるので、81%は 液体の取り扱い、19%が気体での取扱いという報告になっています。温度は92%は50℃未 満での取扱いになっています。以上、資料2−2で報告を分析するとこういう状況になっ ています。  この報告を基に具体的にどのようなところを調査するか考えるというのが資料2−3で す。これは前回1回目の検討会でも出していますが、この検討会でのご意見を踏まえて一 部修正しています。念のためにもう一回ご説明しますと、こういったリスク評価対象物質 について、ばく露報告からばく露によるリスクが高いと推定される作業を把握して、対象 事業場を選定してばく露状況等について調査を行い、資料2−2にあったような整理表を 作成することになります。(2)ですが、これらの作業のうちから(1)〜(8)にあるような事項 を考慮して、調査を行う作業の選定を行う。(1)が、対象物の量、作業従事労働者数及び作 業従事時間、これらの積が多いものはリスクが高い作業の候補として考慮すべきである。 資料2−2の中で、各表のいちばん最後の21番という欄が対象物の量と従事労働者の数と 作業時間の積を計算したものです。後ほどまた個別に見ていただきたいと思います。(2)が 作業の態様ごとに考えられる発散の程度です。こういう作業は発散が高いとか低いとか、 例えば、私も実際に現場を見てきましたが、サンプリングをするような作業はカップラー というものを使って抽出しておりまして、量も微量で時間も短くて、これは発散があまり 大きくないのではないか。逆に、吹き付け塗装のように、非常に広い面を吹き付けて塗装 をする作業は発散の程度が高いのではないか。そういう作業の態様ごとに考えられる発散 の程度を考慮する。(3)ですが、事業場数の多いものについては広範に使用されている可能 性があるので対象の選定にあたって考慮する。(4)の用途の多い物質についても、広範に使 用されている可能性があるので対象選定にあたって考慮する。(5)の取扱温度の高いものは 蒸散の可能性が高いのでよりリスクが高いと評価する。(6)の労働者1人当たりの作業時間 の長いものもばく露のリスクが高いと考えられるので考慮する。(7)の性状による蒸散のし やすさの程度ですが、特殊な物質の表面に吸着しているようなもので蒸発しやすいものが あるとか、そういう特殊な性状による発散のしやすさとか、そういうものがあればそうい うものも考慮する。(8)は、そのほかに読み取れるようなものがあればそれを考慮する。そ ういったものを考慮して事業場を選定する。  (3)ですが、可能な限り換気設備の設置の有無のそれぞれの事業場について選定をし て、その効果について評価をする。局排とプッシュプルについては一定の換気能力がある と考えられる。そのほか、全体換気とその他については、その他というのは具体的に何な のかよくわからないのですが、換気が期待できないもの、あるいは何も回答がないものに ついては換気があまり期待できないものとして考慮して、その両方が入るように事業場を 選定する。また、可能な範囲で事業場規模にも配慮する。大きな事業場と小さい事業場で 違う可能性もあるので、そういったものを可能な範囲で配慮する。保護具の使用状況につ いては、使用率が高いからリスクが低いということはリスク評価の段階では考えないで、 リスク評価を踏まえた上で、対策の必要性を検討する上で保護具の使用状況を考慮するこ とにすることになります。そういったものを考慮して事業場を選定して、個人ばく露測定、 作業環境測定、作業態様、作業時間、換気設備等の関連情報の把握の調査をするというこ とです。  具体的にどのような会社を選んだかというのは資料2−4になります。1頁がエピクロ ロヒドリンですが、いちばん左に1〜5とありますが、この5つの会社を選びました。1 番の会社は01の用途にこれを使っている、つまりエピクロロヒドリンを製造している事業 場です。2番はエポキシ樹脂を製造している事業場です。3番もエポキシ樹脂を製造して いる事業場です。4番が香料成分を製造している事業場です。5番もエポキシ樹脂を製造 している事業場です。報告書ではそれぞれの事業場でこういう作業があるということが報 告されていて、それぞれの作業ごとの対象物の量とか従事労働者数、性状、対象温度、従 事時間、換気装置の設置状況などがこういう状況になっております。最後の「備考」の労 働者数は事業場全体の労働者数で、エピクロロヒドリンの場合は100人以上の会社になっ ていまして、基本的にはエピクロロヒドリンは大きなコンビナートの中の化学会社でつく られて、そこから先も基本的に大きな化学会社でいろいろなエポキシ樹脂や製剤の製品と して加工されるということで、あまり小さい所がなかったものですから、事業場としては この大きな所になっています。  2頁が塩化ベンジルです。塩化ベンジルは6つの事業場について選定をしています。1 番がメッキ液の成分を製造する事業場です。2番がカチオンを製造する事業場です。3番 が荷姿変更ということで、これを小分けしたりする用途になるかと思います。4番が金属 表面処理剤の製造事業場です。5番が逆性石鹸の製造事業場です。6番が農薬の製造事業 場です。先ほども申しましたように、塩化ベンジルは国内では製造していなくて、全部輸 入していますので、01の塩化ベンジルの製造という用途の事業場はありません。それぞれ、 作業の種類はここに書いてあるような33とか49の作業の種類で、量とか労働者数などは こういう情報になっています。この事業場の規模につきましては5人の会社から350人ぐ らいの大きな会社までいろいろ取り混ぜております。  3頁が1,3−ブタジエンです。これは調査をする事業場として4つ選定しております。 1番は1,3−ブタジエンを製造する事業場です。2番は、ブタジエンを用いて合成ゴム、 1,4−ブタンジオール、燃料などを製造したり、その他の用途に使っている事業場です。 3番はブタジエンを製造している事業場で、併せてそこから合成ゴムの製造もしている事 業場です。4番が合成ゴムを製造している事業場です。ブタジエンは気体で、取扱いも大 変なのでコンビナートのような大きな会社で取り扱っているということで、調査対象事業 場もみんな非常に大きな会社になっております。  4頁がホルムアルデヒドです。これは後ほど次の資料で説明しますが、ホルムアルデヒ ドのばく露評価につきましては、今回調査をする事業場と、過去に中央労働災害防止協会 がシックハウスの関係でいろいろ事業場を測定した結果があるので、その両方でばく露の 評価をするということです。資料2−4に出てくるのは今回新たに調査をする事業場で、 9つの事業場を調査します。1番は、ホルムアルデヒドを製造するとともにフェノール樹 脂を製造している事業場です。2番は、ホルムアルデヒドの製造なのですが、一部、1, 4−ブタンジオールの製造もしている事業場です。3番もホルムアルデヒドを製造してい る事業場ですが、併せてフェノール樹脂の製造もしている事業場です。4番がホルムアル デヒドの入った製剤を使って燻蒸に使っている事業場です。5番も燻蒸成分としてホルム アルデヒドを使っている事業場です。6番は、これは大手の自動車メーカーですが、自動 車の吹き付け塗装の塗料の中にホルムアルデヒドが含有している事業場です。7番は、こ れも大手の輸送機器の製造メーカーで、6番と同じように吹き付け塗装でホルムアルデヒ ドの入った塗料を使っている事業場です。8番は自動車部品をつくっている会社で、無電 解メッキだと思いますが、自動車部品のメッキ液の中にホルムアルデヒドが入っている事 業場です。9番がポリアミド系の塗料樹脂を製造している事業場です。事業場の規模とし ては比較的大きな所もありますが、1番目と2番目の会社はそれぞれ21人の事業場、3番 目の会社は49人で比較的中小規模の事業場です。  最後の7頁は硫酸ジエチルの調査対象事業場で、これは6つの事業場について調査をし ます。1番が、硫酸ジエチルを製造している事業場で、硫酸ジエチルをつくっている会社 は日本では1社しかなくて、この会社について調査をする。2番目がブレーキ用摩擦材で、 ブレーキライニングみたいなものの樹脂の製品だそうですが、硫酸ジエチルからこういっ たものを製造している事業場です。3番は、その他のほかの用途で使っている事業場です。 4番は、感圧/感熱染料の原料をつくる過程で硫酸ジエチルを原料として使っている事業 場です。5番は医薬品等の中間体の製造で硫酸ジエチルを使っている事業場です。6番は 農薬中間体の製造で硫酸ジエチルを使用している事業場です。こういう6つの事業場につ いて選定しております。  それで、資料2−2の報告があって、資料2−3の考え方でなぜ資料2−4の事業場に なるのかということがわかりにくいので、もう少しそれをまとめたものが資料2−5にな ります。1頁がエピクロロヒドリンです。(1)は、資料2−2のばく露報告の結果を資料 2−3の(1)から(7)の事項を考慮して選ぶということがあったので、資料2−3で言う(1)か ら(7)について簡単にまとめたものです。(2)が実際に選定した5つの事業場になっていま す。33から50までの作業があって、(1)の量・時間・人数につきましては33の作業が多く なっています。括弧で書いているのはサンプリングとか清掃、保守、点検は量としてこの 量全部を消費するわけではないので、そういう意味で括弧を付けています。あと、作業の 態様による発散の程度がなかなか難しいのですが、サンプリングの作業は非常に微量なの で少量ではないか。そのほかのものは一概に大きいとか小さいかというのがわからないの で、どこに入れたらいいのか言及しておりません。事業場数としては71ということで、33 が多くなっています。用途では、作業ごとにこういう用途があって、どれも用途が多いの ですが、33の作業は用途が結構多い。温度については、中とか高とかになっている部分が あります。これは資料2−2の中にありましたように、割合としてはほとんど低になって います。時間も短中長と、それぞれの作業ごとに分布していますから、割合的にはほとん ど短の所が多くなっています。性状ですが、ほぼ100%液体で、先ほど言った勘違いの報告 が入っている。  そして、実際に選んだのが(2)の1〜5で、色が付けてあって斜めに交差して、作業 は作業の所を見て、用途は用途の所を見ていただくと、基本的にこういう所を選ぶと、作 業で33から49までのものについては基本的に、下の(2)の作業の所を見ると、どこか の事業場で皆この作業がある。その他を除いては全部入っているということになります。 用途としては、基本的に多いのはエピクロロヒドリンの製造とエピクロロヒドリンから樹 脂などを製造するものが多いので、そういう用途になっております。性状は液体です。温 度はこういう状態です。温度の高い所をなるべく取りたいと思ったのですが、温度が高い 所は閉鎖系の取扱いがほとんどで、逆に、ばく露の可能性が低いということもあり、実際 の事業場の労働者は極端に少ないという事情もあって、温度は基本的に低い所になってい る。固体としては、モノマーのものが含まれていないということで、実際の事業場の中に 固体は入っていない。換気装置ですが、先ほどの、ある所とない所を両方選べればという ことで、1番目の事業場は全部換気装置がある。2番目の事業場は、作業によってはある 所もあるし作業によってはない所もある。3番目の会社は換気装置が全部ない。4番目の 会社は換気装置が全部ある。5番目の会社は換気装置が全部ない。そういう、ある所とな い所の調査ができることになっています。  次の頁が塩化ベンジルです。33から50まで作業があって、(1)の量とか時間で断トツなの が33の計量、配合、注入、投入又は小分けの作業になります。用途も33が多い、事業場 数も多い、時間も長いと言っている所もあるということで、(2)で選んだ事業場ですが、 作業のところでは33という作業が5つの事業場であるということになっています。あと、 1番の事業場については49の作業がある。この34と35の作業ですが、報告書上は今回実 態調査をした事業場からは含まれていないのですが、実際この会社に調査をした話では、 この34と35の作業についてもこれらの事業場の中にあることが確認されているので、34 と35の作業についても調査をすることになっております。  1,3−ブタジエンですが、31から50までの作業があります。量・時間・人数で33の 作業が多くなるのですが、これは色が入っていないので後で説明いたします。あとは、事 業場数からいくとサンプリングの作業が多い、用途もサンプリングが多くなっています。 温度とか時間とか、そういう関係は、これは割合が書いてないのですが、基本的には低と か短がほとんどになっています。それで、実際に選んだ会社を見ると、作業としては34と 38と47と50の作業があるということになっております。ただ、33の計量、配合、注入、 投入又は小分けの作業ですが、これは基本的に気体の物質であって、通常、この計量・配 合・注入・投入というと液体の物質をイメージされるのですが、実際に提出された事業場 に聞いてみると、閉鎖系の配管の中を対象物が流れているのを自動的に計量したりしてい るものを、開放しないのでばく露しないのですが、計量ということで報告した所がある。 あとは、ローリーからタンクへ移送する作業で、カップラーを脱着するときに、チッ素で 弛緩したあとでまたカップラーを外すときに多少臭いがする作業がある。そういう作業に ついては今回の調査対象事業場に含まれているので、33の移送作業みたいなものについて は調査対象に入っていますし、密閉系のものは本来の報告の趣旨からずれているので、こ れについては調査の中には入っていませんが、これは関係ない作業ということになります。 あと、換気装置のあるなしについて、ある所とない所を調べられるようにしております。 事業場の規模については、基本的に大きい所がほとんどなので大きい所だけになります。  ホルムアルデヒドですが、(1)がばく露作業報告がこういうことで、例えば33の作業 が(1)の量が多くなっています。あと、作業の態様としては42とか46の塗装の作業で発散 の程度が高いのではないかということで大にしております。事業場数は33が多いとか、用 途はいろいろと多い所はいろいろな用途がある。温度とか時間はこういう分布があります が、割合的にはほとんどが低と短というところになっています。あと、基本的には液体が 多いのですが、一部固体とか粉末があって、これが何なのかというのは後ほど説明いたし ます。次の頁の(2)が先ほど言った9つの事業場で、こういう事業場について調査をす る。(3)ですが、中災防の調査分析センターで過去にシックハウスの関係で1から12ま でにあるような事業場について測定をしていて、こういう作業に該当するものがあるとい うことがわかっているので、(2)と(3)の調査を合わせると、(1)の作業がほぼ網羅 される。36の消毒の作業は事業場数も非常に少ない作業で、41の染色の作業も1事業場で すが、その他もありますが、そういう一部の少ない所を除いて、基本的にはこういう作業 については今回調査をするか、もしくは過去の調査でこういう作業があるということにし ております。(4)ですが、特記事項として、性状の固体と言っているものがあって、この 固体は一体何なのか。通常、ホルムアルデヒドというと、液体か気体程度が考えられるの ですが、樹脂の製造工程で固体状になった製品を取り扱っているものを報告したものが多 い。あと、粉末と言っているものが結構あって、これはパラホルムアルデヒドであると考 えられておりまして、粉末状のもので、加熱したり水に溶かしたりするとホルムアルデヒ ドになるという物質です。パラホルムアルデヒドについては、取り扱う作業はこの実態調 査の実施事業場に含まれているので、これについても調査をする予定になっております。  最後が7頁の硫酸ジエチルです。これについては作業として報告があったもので49のろ 過等の事業場とか取扱い量が少ない作業以外については調査をする予定となっております。 換気装置についても、ある所とない所と両方を調査する予定にしております。以上、こう いうことで事業場を選定して調査を10月ぐらいから開始しております。ただ、相手の事業 場のいろいろな都合があって必ずしもずっと取り扱っているわけではなくて、バッチ生産 みたいにこの時期でないと取り扱わないという都合等があって、いま中災防のほうで調査 をしていただいていますが、1月程度までかかるような予定になっています。  いくつか参考として分析結果が出ているものについて資料2−6で3社分を載せており ます。「ホの9社」はホルムアルデヒドの9番目の会社という意味ですが、ポリアミド樹脂 製造の所で、こういう反応担当者の個人ばく露データとか、反応釜周辺の作業環境の特定、 バックグラウンドの測定等をして、個人ばく露では例えば0.315ppmとか0.035ppmとか、 A測定の大きさは平均では0.013ppm、B測定で0.097ppmとか、細かい分析や評価はまた 次回以降やっていきたいと思いますが、こういうデータの結果が出ています。ホの8社で すが、これもホルムアルデヒドの8番目の会社ということで、メッキ液成分の事業場で個 人ばく露測定、作業環境測定AB測定等でこういったデータが出ています。いちばん下が 塩化ベンジルの6番目の会社で、農薬中間体を製造している所です。これは比較的低い 0.0004ppmとか、0.000何とかという比較的低い濃度になっていまして、この結果の意味 とか、評価とかはほかの全体と合わせて次回以降にこの検討会で検討させていただければ と思っております。以上、ばく露報告から分析をしてこういう事業場について、いま調査 を実施しているということをご説明させていただきました。 ○櫻井座長 資料2−2から資料2−6まで詳細に説明していただきました。これについ てご質問、ご意見等がありましたらご発言をお願いいたします。 ○和田委員 いまお聞きして、全体として非常にきめ細かく可能な限りの対策案が入って いる感じがしました。たぶん、今回の調査は初めに実態調査をやるということで、その時 点でリスクがあるかないかということも判定するということと、対策等が有益であるかど うかということも一つのテーマになっていると思いますし、それに基づいて対策を提案す ることになるだろうと思います。特に、私自身、是非やっていただきたいのは、対策が必 要であるかどうか、それがどの程度有用であるか、いろいろなことに関して、その辺のと ころが明確に示されると非常にいいなと思っていたのです。この資料2−3で、2の(4) の保護具使用状況については全体を見て対策の必要性を検討するぐらいでいいことですが、 これはこういったいろいろな保護具の使用がどの程度有効であるかというチェックは不可 能ということなのですか。ほかの作業の方法などに関しては、どういう作業で、換気に関 してはきめ細かく分析するということだったのですが、保護具に関しても同じようにチェ ックされるということですか。これは有用だ、これは非常に良い、ということのチェック は不可能なのですか。それは、たぶん、後で個人ばく露量の測定ができて、保護具の使用 で比較すればある程度わかるのではないかという感じはしますから問題はないのですが、 先ほどおっしゃっていた換気装置の「その他」というのはわからないということですが、 何ですかね。窓を開けていて自然に換気させるということなのですかね。 ○永野室長補佐 通常は局排とプッシュプルと全体換気で、その他というのはあまり思い あたらない。それは実際に現地に行って調査してみないとわかりません。報告書上はその 他ということなので、調査で明らかになると思います。 ○和田委員 その中で有用な対策、方法があるのか、それは全然やっていないということ なのか、よくわからなかったのです。いろいろな換気装置の有用性をチェックされるとい うことで、可能な限りは計画に入っておられると思うのですが、あるあれでは局排だけの 作業というものがありますね。だから、ほかのあれとは比較できないですよね。そういう 点が実現性という意味で難しいかなという感じがしますが、これは最大の計画で努力され るということで問題ないのではないかとは思います。いずれにしても、対策の成果がある 程度明確にわかるような結果を出していただければと思います。 ○清水委員 今回は労働者の自覚症状などの調査はやっていないのですね。 ○永野室長補佐 やっていないです。あくまでもばく露評価ということなので、実態調査 というのはどのような作業があったとか、どのようにやっていたとか、そういう基本的な ことを調べた個人ばく露測定とか作業環境測定などの測定までで、そういう個人のそこま ではやっていません。 ○本間委員 資料2−4の労働者数は事業場全体というご説明だったようですが、事務職 も含めるのですか。 ○永野室長補佐 事業場全体のいろいろな作業に従事する全部の労働者数です。ただ、下 請けとか関連の協力企業までは入ってないです。 ○江馬委員 性別や年齢などもばらばらですか。 ○永野化学物質評価室長 そこまで細かくはわからないのですが、通常、いろいろな人が 入っている。厚生労働省のそういう事業場を管理しているシステムがあって、そのシステ ム上の事業場の労働者数として登録されている者を書いています。 ○櫻井座長 報告書にも労働者数は書くようになっていますよね。 ○永野室長補佐 報告書の上のほうに手書きで書く所があるのですが、これはコンピュー ターでは読めないのです。それぞれの労働基準監督署にはその紙が残っているのですが、 監督署ではわかるのですが、我々はOCRで読み取れた部分しかシステム上はわからない ので、この報告に基づいたその事業場の労働者数はわからないのです。ただ、労働基準関 係のシステムがあって、それぞれの事業場の情報が入っているのですが、その中で労働者 数もありますので基本的にはそんなに変わらないはずです。 ○櫻井座長 ほかにはいかがですか。あとでリスクを評価するときに従事時間が結構大事 だと思うのですが、報告で出てきているものはそれほど間違っていないと思いますが、現 場で測定するときにそれを再度チェックしていただけたらありがたいと思います。 ○中災防(オブザーバー) 事前調査に行きまして、一応、この数字はこの数字としまし て、例えばそこで3つの工程があって対象物が1工程だけ使っている場合は、その工程に 関与する人間がどういうシフトを組んでいて、何人が実際にその作業に対応するかという ことをできる限り調べておりますので、大体そういう形はできると思います。 ○櫻井座長 そういうものは後で情報としていただければ幸いです。 ○中災防(オブザーバー) はい。 ○櫻井座長 それでは、資料資料2−6までのご報告の内容についてご了解いただいたと いうことで、現在までに選定された事業場の結果を見て、次にリスクの判定という過程に 入ると思いますが、この事業場の調査でご了解いただいたということでよろしいでしょう か。 (了解) ○櫻井座長 ありがとうございました。次に、議事の2「対象物質の有害性評価について」 です。ご説明をお願いいたします。 ○永野室長補佐 ばく露評価の説明をしたとおり、そういう調査を基に実際のばく露のレ ベルの評価をすることにしていますが、一方、物質の有害性としてどういった評価基準を 使うべきかということで、国のリスク評価の要領の中ではユニットリスクを使った10−4過 剰発がん生涯リスクレベルを超えるようなときは、さらに詳細に検討することになってい ます。では、具体的にどういう基準値を使うべきかということで、次回以降、具体的にリ スク評価をしていく上で考え方を決めなければならないということで、今回そういう考え 方を確定するにあたって、ご意見等をいただければと思っております。資料2−7が評価 基準値の候補リストになっております。対象物質はエピクロロヒドリン、塩化ベンジル、 1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド、硫酸ジエチルがあって、いちばん右側に参考と して硫酸ジメチルがあります。後ほど硫酸ジエチルのときに説明しますが、ジエチルにつ いて情報がなかなかなくて決められない部分があります。その参考として非常に構造が似 ていて、性質の類似性が高くて比較的情報がある硫酸ジメチルを参考に載せております。  順番に見ていきますが、現在、中災防の専門的な委員会でもこれを詳細に検討中で、そ ういう検討中ということを踏まえてこういう表をつくっておりまして、今後さらに詳細に 検討していきたいというものです。エピクロロヒドリンについて、発がん性はIARCで は2Aで、閾値は中災防の有害性の健康影響評価ではなしという結論です。ユニットリス クとして、EPAのIRISから来た数値として1.2×10−6です。それぞれ10−3、10−4 の過剰発がん生涯リスクレベルにすると0.21ppmと0.021ppmになります。10−3と10−4 を併記してあるのは、例えば日本産業衛生学会の許容濃度の勧告でも10−3と10−4を併記 しているということもあって、この両方を併記しています。実際、例えばベンゼンやアス ベストの管理濃度は10−3を使っているので、そういう意味で10−3と10−4の併記をしてい ます。あと、あくまでもEPAのデータであって、それから労働補正したものがその下に あります。その労働補正を見ると、中災防の委員会等で検討いただいていますが、ここで は補正値として0.20としていまして、EPAのものを0.20で割るというか、5倍したもの が労働補正後の値になっています。この0.20はどこから来たかというと、1つは呼吸量の 補正ということで、1日の呼吸量が20m3に対して労働時間中の呼吸量が10ということで、 そこで0.50になる。さらに、労働日数の補正ということで、年間日数が360日として、そ のうち労働日数が240日として、その240割る360で0.67になる。あと、生涯の年数は 75年、就業年数を45年として、45割る75で0.60になる。この0.50と0.67と0.60を掛 けて0.20になります。いま詳細に検討していただいているところですが、とりあえず0.20 で補正したものとして載せていまして、ユニットリスクとして6.0掛ける10−6となる。そ して、10−3、10−4に対応したリスクレベルとして1.1ppm、0.11ppmになっております。  また、その他として、他の有害性の分野ということでNOAELに基づく評価レベルを 併せて載せています。エピクロロヒドリンの場合は反復ばく露、生殖毒性に対応した評価 レベルとして0.21ppm、0.37ppmという値があります。また、次の「TLV」は「TLV 等」となりますが、学会などの勧告値というか提案値というか、そういうものになってお りまして、いちばん上がACGIHのTLVです。0.5ppmは生殖影響とか鼻の刺激等を根 拠にしているものだそうです。その下が許容濃度ですが、日本産衛学会の許容濃度でエピ クロロヒドリンについては設定されておりません。その下に「MAK」とありますが、こ れはドイツの最大職場濃度と呼ばれるものです。ドイツにはDFGという研究基金があり まして、そこが職場における化学物質の健康影響を調査するということでばく露限界値を 提案しているものがあります。ただし、これはエピクロロヒドリンについては設定があり ません。次の「REL」は米国のNIOSH(国立労働安全衛生研究所)が勧告している ばく露限界値ですが、物質の健康影響を根拠とした許容値になっています。ただし、エピ クロロヒドリンについては設定されていません。その下ですが、各国とか我が国の規制値 です。PELはアメリカのPermissible Exposure Limitでありまして、米国のOSHAが 規定する許容濃度です。物質の健康影響のみではなくて、行政的な考慮も加えた規制値に なっています。これもエピクロロヒドリンについては設定がありません。その下の「WE L」はイギリスのWorkplace Exposure Limitです。これは従来のOES(Occupational Exposure Standard)の一部とMEL(Maximum Exposure Limit)のほとんどを2005 年にWELに移行したというものです。OESは、閾値がある物質で実際的な管理が可能 な濃度レベルになるものについて設定されたものです。また、MELについては、行政的 に設定する法定の上限濃度であって、科学的根拠のみではなくて、現実的な経済性も含め て設定された行政的な管理指標になっていまして、そういう値を集めてWELができてい ます。ただし、エピクロロヒドリンについては設定がありません。TRKはドイツの危険 物質規則に基づく空気中の濃度限界値であって、これも現在の技術水準で到達され得る作 業環境濃度と定義されております。これは3ppmという設定がされております。あと、管 理濃度は当然特化物でないのでありません。下のガイドラインはホルムアルデヒドの関係 なのでエピクロロヒドリンとは関係ありません。  次は塩化ベンジルです。これもIARCが2Aで閾値はなし、EPAのIRISの経口 を用いたユニットリスクとして10−3、10−4のリスクレベルとして0.01ppmと0.001ppm です。先ほどと同じような労働補正をすると0.05ppm、あるいは0.005ppmになる。あと、 NOAELに基づく評価レベルを仮に選定すると0.11ppmということになる。その他の有 害性でNOAELに基づく評価レベルとして、反復/生殖毒性が0.19ppm、0.58ppmになり ます。TLVとしては1ppmになる。MAKとRELについては設定なしです。規制値は PELが1ppmでWELが0.5ppm、TRKが0.039ppmになっています。  1,3−ブタジエンですが、発がん性はIARCが2Aの評価、閾値はなしです。労働 補正後のユニットリスクはそれぞれ0.07ppm、0.007ppmになっています。NOAELに 基づく評価レベルはなしです。その他ですが、他の有害性の分野として、反復/生殖毒性は 0.046ppm、0.3ppmになります。TLVは2ppmで、これは発がん性だそうです。許容濃 度とかMAK、RELは設定なしです。規制値としてPELが1ppm、WELが10ppm、 TRKが5ppmになっています。  ホルムアルデヒドですが、これはIARCは評価1、人に対して発がん性がある。閾値 はなしと考えています。労働補正後のリスクレベルとしては0.33ppm、もしくは10−4だと 0.033ppmになる。あと、仮にNOAELに基づく評価レベルを換算すると0.015ppmです。 発がん性以外の他の有害性の分野で算出評価してみると、単回ばく露が0.01ppm、生殖毒 性が1.5ppmです。あと、ACGIHのTLVシーリング値が0.3ppmです。許容濃度が 0.5ppmになります。MAKが0.3ppmでRELが0.016ppmです。あと、各国の規制値で 米国が0.75ppm、イギリスが2ppm、ドイツが設定なしです。あと、ホルムアルデヒドに ついては規制というか、シックハウスの関係の観点で通達レベルのガイドラインを出して います。ガイドラインの本文は参考2に付けていますが、基本的には0.08ppmで管理をす る。特に発散の管理が難しいような特定の作業については0.25ppmで管理をする。その根 拠としてはWHOの欧州委員会の鼻や喉の刺激を根拠とするものもありますが、上気道が んのリスクも軽減するレベルになっているものです。  硫酸ジエチルですが、これは少し問題で、発がん性の評価としては2Aなのですが、そ のユニットリスクの情報がなくて、ユニットリスクが算定できない。NOAELに基づく 評価レベルも算定できない。他の有害性の分野に基づく評価レベルも情報はなしです。あ と、TLVもなくて、許容濃度もない。MAKやNIOSHのRELもない。規制値では、 米国はなしで、イギリスとドイツでは0.05ppmとか0.03ppmというものがある。  参考として、有害性の性質が近いのではないかという硫酸ジメチルです。これもユニッ トリスクは情報なしですが、TLVが0.1ppm、許容濃度も0.1ppmです。NIOSHのR ELが0.1ppmです。米国の規制値は1ppm、イギリスの規制値が0.05ppm、ドイツが 0.02ppmと0.04ppmです。あと、硫酸ジメチルは我が国でも安衛法では特化物なので管理 濃度があって、これが0.1ppmです。基本的に産衛学会の許容濃度と同じ値になっています。 以上、こういうそれぞれの物質について評価をする上での基準となる候補のリストがあり まして、ユニットリスク10−4のリスクレベルを超えるものについては詳細に検討していく ということになっておりますので、これから実際に評価をしていく上で、具体的にどうい う考え方でどのぐらい評価をするのかということが必要になってまいりますので、そうい う観点でご意見等をいただければと思います。 ○櫻井座長 これは、今日、考えをまとめる必要は特にないのですが、次回辺りにもう少 し詳細にご議論いただくことになると思いますが、いかがでしょうか。 ○内山委員 勘違いをしていたら申し訳ないのですが、労働補正をした後に0.2ですから、 労働者は5倍高くていいというのはわかるのです。例えばエピクロロヒドリンで0.21が5 倍して1.1はいいのですが、ユニットリスクは逆に下がらないといけないと思うのです。10 −3が上がるということは、ユニットリスクは小さくならないといけない。だから、この労 働補正後のユニットリスクも5倍してしまっていますが、これは5分の1になるのですね。 ○櫻井座長 そうですね、5分の1にしなければいけない。 ○永野室長補佐 はい。 ○内山委員 ただ、労働補正後のユニットリスクというのはあまり馴染みがないので、こ こでは補正後のユニットリスクを計算してみたということで断わっておかないといけない。 普通は、ユニットリスクは1μg/m3のものを一生涯この濃度でばく露したときの発がんの リスクはこのぐらいであり、それを間歇ばく露で1年間200何日ということでユニットリ スクをまた改めて計算すると少し混乱するかもしれないのですね。ですから、生涯のユニ ットリスクで出した10−3のレベルを労働補正で5倍して1.1と言うだけのほうがわかりや すいかもしれないです。混乱しないのではないかと思います。 ○中災防(オブザーバー) そうですね。 ○内山委員 あと、労働安全衛生法ではユニットリスクはμg/m3でppmで出しているので、 換算式がどこかに書いてあると一般の方にもわかりやすいのではないかと思うのです。こ のエピロロヒドリンに関しては1μg/m3は何ppmである、塩化ベンジルは1μg/m3は何 ppmであると書いてあるといい。一般の方はユニットリスクが倍になっているのになぜか えって少ないのだろうと思ってしまうので、そこら辺の換算式ですね。 ○櫻井座長 おっしゃるとおりです。そこはわかりやすく誤解のないようにしたほうがい いですね。 ○和田委員 基本的には、前にあるように10−4で判断するとしても、実際に現場を見て実 現性などを考慮して一般の人々が理解できる値を考えればいいのではないかと思うのです。 ガッチリ10−4でいくかというと、それは実現性は無理であるということであれば一般の人 にも理解を得られる値のほうがいいのではないでしょうか。 ○櫻井座長 そうですね。この表はいままでの情報を集めて一覧に示したものであって、 実際に測定された濃度がどの程度のところにくるかというものを見ながら議論するのでな ければ議論にならないと思います。今日のところは特段これを見て総論的にご議論がない ようですので、よろしいでしょうか。今日の議事はひととおり終わったと思います。次回 の予定はいかがでしょうか。 ○永野室長補佐 次回は2月9日の午後ということで、会議室の状況を見て時間を決めて ご案内を差し上げる予定にしております。次々回についても調整をしてご連絡をさせてい ただいていますが、第4回は3月6日の午後となっておりますのでよろしくお願いいたし ます。 ○櫻井座長 皆様、できるだけ時間を確保していただきたいと思います。では、今日はこ れで散会といたします。どうもありがとうございました。                  照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                       化学物質評価室                  電話03-5253-1111(内線5511)