06/12/21 第18回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 第18回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日 時  平成18年12月21日(木)13:00〜13:20 2 場 所  厚生労働省専用第21会議室 3 出席者     【委員】 公益委員   今野部会長、石岡委員、勝委員、田島委員、中窪委員 労働者側委員  勝尾委員、加藤委員、松井氏、中野委員、横山委員        使用者側委員  池田委員、川本委員、杉山委員、原川委員、前田委員   【事務局】厚生労働省   青木労働基準局長、青木勤労者生活部長、 熊谷総務課長、前田勤労者生活課長、 藤井主任中央賃金指導官、吉田副主任中央賃金指導官、 吉田勤労者生活課長補佐 4 議事次第  (1)今後の最低賃金制度の在り方について  (2)その他 5 議事内容 ○今野部会長  ただ今から第18回最低賃金部会を開催いたします。本日は武石委員、高石委員、高橋 委員、竹口委員が御欠席でございます。高石委員の代理として、UIゼンセン同盟労働 条件局労働条件部長の松井健さんに御出席をいただいております。早速ですが、議題に 入ります。まず、資料について御説明いたします。お手元に資料1と資料2という2つ の資料がございます。資料1は前回の部会でお示しした最低賃金制度の見直しについて の案でございます。また前回、部会で私の方からその内容について御説明しましたが、 その趣旨を資料2として、整理しております。  前回お示しをした最低賃金制度の見直し(案)について、労使各側から御意見を伺い たいと思います。まず、労働者側からお願いできますか。 ○加藤委員  労働者側の見解です。労働者側としては前回第17回の部会で、資料1にあります最低 賃金制度の見直しについて(案)の御提示を受けまして以降、今日までこの内容につい て、慎重に検討を重ねてまいりました。その結果、以下我々の見解を申し上げたいと思 います。  この見直し(案)については、労働協約拡張適用方式が廃止になること、あるいは、 産業別最低賃金については最低賃金法の罰則の適用がなくなること、より実効性の高い 最低賃金制度とするための運用のあり方など、これまで我々が主張してきたこととの関 係で、いくつかの点で課題認識を持っております。  しかし、本案は昨年6月の第1回部会以降、1年半に及ぶ審議の経過を踏まえながら、 かつ労使の意見の一致を図ることを念頭にまとめられた最終的な提案であるというふう に重く受け止めさせていただいております。  したがいまして、基本的にこの内容をもって、部会答申の取りまとめに当たられるこ とについて、労働者側委員としては、了解をしたいと思っております。以上が私どもの 見解であります。なお、公益委員の皆さんの御尽力に対しましては、改めて感謝申し上 げたいと思います。以上であります。 ○今野部会長  他の委員で、追加されることがございますか。よろしいですか。それでは、使用者側、 お願いいたします。どうぞ。 ○川本委員  前回の部会で示されました最低賃金制度の見直しについて(案)に対する使用者側の 見解を表明いたします。ただし、各団体におきまして、今回の提案に対します意見集約 を行いましたので、それぞれの委員から見解を申し上げておきたいということでありま す。  まず、私どもですが、これまで繰り返し申し上げてまいりましたように、日本経団連 といたしましては、従来から地域別最低賃金が全国に定着している中で、屋上屋を架す 産業別最低賃金の廃止を訴えてまいりました。この観点からいたしますと、今回の案で も示されております労働協約拡張方式の廃止につきましては、高く評価をしているとこ ろです。また、これまでの公益委員試案で示されておりました職種別設定賃金の新設が 盛り込まれていない点につきましても、企業や現場の実態を踏まえた現実的な御提案を していただいたものと理解するとともに、公益委員の皆様方の御尽力に改めて感謝を申 し上げます。  しかしながら、産業別最低賃金は労使のイニシアティブにより設定することを明確に するとの観点から、民事効に改められるとはいえ、引き続き存続していることや、地域 別最低賃金の3つの決定基準、労働者の賃金、生計費、事業の支払能力のうち、労働者 の生計費について、生活保護との整合性も考慮する必要があることを明確にするとの点 など、これまで私どもが主張してまいりました内容とは異なる点があるのも、また事実 であります。  そうした点を踏まえまして、今回の提案について、地方経営者協会、あるいは業種団 体、そして日本経団連で最低賃金制度に関する事項を所管しております委員会で検討を 重ねてまいりました。その結果、日本経団連といたしましては、労使の意見が大きく隔 たる中、公益委員から4回も試案が示されましたこと、また昨年6月からこれまで17回 にわたって部会を開催し議論を重ねてきましたことなどを重く受け止めまして、私ども の主張と異なる点はあるものの、今回の提案内容で取りまとめることについて、やむな しという結論に至りましたことを御報告いたします。以上でございます。 ○原川委員  私ども中小企業団体中央会も、今、川本委員のおっしゃったことと同意見です。私ど もも産業別最低賃金の廃止ということを強く訴えてまいったわけですが、職種別設定賃 金に対する反発、不安というものが非常に大きかったということがありまして、この産 業別最低賃金の廃止について、実現に至らなかったということは非常に残念ではありま すが、しかし、産業別最低賃金の罰則規定を適用しないというような案につきましては、 一歩前進ということで、全体としてこの案を受け入れることとしたいと思います。  ただ、私どもも地方にアンケート、意見照会を行ったところ、地方ではあくまでも産 業別最低賃金の廃止を貫くべきであるという意見も強うございましたし、今出ましたよ うに生活保護との整合性を法律で明確にするということについては、これは社会保障の 中の生活保護と、賃金としての性格を持つ最低賃金とを比較するということで、非常に 抵抗感が強くありました。また、それはなじまないものだというような意見が大変多く ございまして、我々としても、受け入れるに当たって大変悩んだところです。  しかし、今申し上げましたように全体としては、2年間審議を行いましたし、こうい った事実を踏まえて、全体として見た場合に一歩前進であるという判断をいたしまして、 受け入れることとしたいと考えたわけです。ただ、お願いですが、産業別最低賃金制度 のあり方については、これで終わったということではなくて、今後ともまた検討を続け ていただきたいと思います。  それから、生活保護を法律に盛り込むということについては、中小企業の経営上の観 点ということもありますし、経営に大きな影響を与えないように、是非生活保護よりも 機械的に最低賃金が高くなければいけないというような方向にはもっていかないように、 くれぐれも慎重に配慮していただきたいとお願いを申し上げます。 ○今野部会長  池田委員、ありますか。 ○池田委員  商工会議所としての意見を申し上げます。今までの委員の皆様と同様、公益委員の方 々をはじめ、大変苦労されたことには、大いに敬意を表したいと思います。ただし、商 工会議所のスタンスとしては、現段階では賛成できないというスタンスであります。そ の理由を何点か申し上げたいと思います。他の委員の皆様の御意見にも入っていたこと が多いわけですが、3点ございます。  1つは、やはり産業別最低賃金というのは屋上屋ということで廃止すべきというスタ ンスは変わらない訳であります。この1年半の部会におきまして、廃止を含めて、最低 賃金制度のあり方を議論していただき、いったんは他の賃金制度の導入によって産業別 最低賃金を廃止ということを提案された経緯もあるわけですが、今回の案につきまして は産業別最低賃金の廃止に向けたワンステップという理解をしているわけです。産業別 最低賃金を民事的なルールに改めるということでありますが、先ほどの原川委員のお話 のように、制度そのものが存続することは変わりはない訳であります。したがって、産 業別最低賃金を廃止すべきということが私どもの長い間の主張でありますので、将来に わたって、これはワンステップであると同時に産業別最低賃金の規制緩和という目的の ためには、どのような方法で廃止していくかというところの私どもの主張が、現在では ちょっと見られないということが1点です。  2点目は同じように生計費の問題として生活保護との整合性の問題です。一方で、今 生活保護自体が社会的な問題になっております。これは、制度自体が現状のままでいい のかということが解決されていないと思います。生活保護を受けられる人の格差の問題、 それから非常にハードルが高かったり、一度受けた人がずっともらっているとか、都心 に集中しているとか、国においても非常に大きな負担になっていると同時に、出してあ げたいような人ももらえない、ワーキングプアもありますが、そういう状況の中で、生 活保護自体が今社会的な問題になっています。一方では、それを解決してもらわなけれ ばならないという今の社会の中では、即、それに整合性を持たせるということは、まだ 時期的には問題があるのではないか。それと同時に生活保護でも、前から申し上げてい るように、最低賃金を考慮しないで決めるということに対して、部会としてもメッセー ジを出すべきではないか。その辺の観点から生活保護との整合性については、より慎重 にやるというメッセージが、今の段階では見られないというのが2点目であります。  3点目につきましては、最低賃金の罰則を労働基準法より高い基準に上げるというこ とですが、高くするということが具体的にいくらなのかと。これは、ただ上げればいい のかということですが、1円でも上げるわけでありまして、1万円でも上げることにな るわけでありまして、その額がある程度の目処がつかずに高い基準という想定でいいの かということがございます。これは、今の交通法規の酔っ払い運転の問題もありますが、 ただ罰金を上げればいいということではなくて、他の方法として、やはり基準を守らせ るという制度のあり方も同時に検討していかなければ、ただ高い基準ということで、上 げるということだけで罰則を守るという方法論にはならないのではないかという観点が あります。その点につきましても、今の文章の中では、もう少し具体的な内容の提示が あってもいいのではないかと考えます。  以上3点につきまして、現時点といたしましては、日本商工会議所としては、了解で きないというスタンスであります。経営者側の中では、私どもは相違した意見でありま す。民主主義の時代でありますので、意見として申し上げたいと思います。以上です。 ○今野部会長  ありがとうございました。他に御意見はございますか。よろしいですか。前回私の方 から案をお出ししまして、労使に御検討をいただきまして、今日は御意見をいただきま した。もう暮れも迫っておりますし、部会としての議論もとりまとめる時期にきている と考えております。本日の御意見を踏まえて、次回の部会において報告のとりまとめが できるように引き続き努力したいと考えております。それに当たりましては、労使各側 には特段の御協力をお願いしたいと思います。  次回の部会は12月27日に予定しております。詳細については、改めて事務局から連絡 をさせますので、よろしくお願いいたします。今日の御意見をいただいて、我々として はもう一度報告案を考えたいと思いますので、今日はこの辺にしたいと思います。終わ りにしたいと思いますが、その前に御意見があれば、お聞きします。よろしいですか。 それでは、今日の会議はこれで終了します。本日の議事録ですが、署名は横山委員、前 田委員にお願いをいたします。終わります。ありがとうございました。   【本件お問い合わせ先】    厚生労働省労働基準局勤労者生活部    勤労者生活課最低賃金係    電話:03−5253−1111            (内線5532)