06/12/20 中央社会保険医療協議会総会平成18年12月20日議事録 06/12/20 中央社会保険医療協議会          第96回総会議事録  (1)日時  平成18年12月20日(水)10:28〜11:58 (2)場所  第一ホテル東京 4階 「プリマヴェーラ」 (3)出席者 土田武史会長 遠藤久夫委員 室谷千英委員 小林麻理委員 対馬忠明委員      小島茂委員 勝村久司委員 丸山誠委員 小出修三委員代理 松浦稔明委員      竹嶋康弘委員 鈴木満委員 天本宏委員代理 石井暎禧委員 邉見公雄委員      黒崎紀正委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員 古橋専門委員 白石専門委員       坂本専門委員 <参考人> 松本保険医療材料専門組織委員長      <事務局>x      水田保険局長 白石審議官 原医療課長 岩渕保険課長 唐澤総務課長  石原調査課長 武田経済課長 神田国保課長 福田企画官 他 (4)議題  ○医療機器の保険適用について      ○先進医療専門家会議の検討結果について      ○平成18年度診療報酬改定の影響について(看護・療養病床等) (5)議事内容 ○土田会長 ただいまより、第96回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、飯沼委員の代理で日本医師 会常任理事の天本宏さんがお見えになっております。それから大内委員の代理で全日本海 員組合局長付補佐の小出修三さんがお見えになっております。それから坂本専門委員が、 今日は飛行機が欠航だそうで、欠席との連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  まず、「医薬機器の保険適用」について議題としたいと思います。  区分C1について、保険医療材料専門組織の松本委員長より御説明をお願いいたします。 ○松本委員長 それでは、1ページ目の中医協総−1−1の資料をごらんください。メデ ィコスヒラタから申請のありましたクックゼニスAAAエンドバスキュラーグラフトにつ いて御説明いたします。  本品は、本来ならば腹部大動脈瘤の手術に対して開腹で人工血管に置換される治療がさ れるわけですが、血管内にエキスパンダプロステントを入れまして、そこに主に、ポリエ ステル、ステンレススチール、ポリプロピレン、金から成るチューブ型の自己拡張性を有 する腹部大動脈瘤治療用の人工血管であるということで、数年前からいろいろな大学その 他で自分でつくっていたものが製品化されたものであります。  類似機能区分はありません。  価格案はそこにメインボディと補助デバイス、それぞれ162万円、28万6,000 円というふうに原価計算方式で書いてあります。  3ページ目をめくっていただきますと、価格の決定理由でありますが、そこにアメリカ 合衆国からフランスにかけて4カ国のいわゆる定価が書いてありまして、その次に為替レ ートが書いてありまして、外国平均価格が112万8,142円であります。それで、価 格案でありますが、保険医療材料専門組織における検討の結果、162万円と設定しまし た。この価格は、外国平均価格の1.44倍に相当して妥当ではないかというふうに専門 組織では決定をいたしました。  以上です。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。 ○対馬委員 これは事務局の方に伺った方がいいのかもしれませんけれども、価格決定そ のもので1ページ目のところに価格案とあと暫定価格案というのがすぐ下にあるのですけ れども、何ゆえに価格案と暫定価格案と2つ並立になっているのかがよくわからない。つ まり、もう1月に入りかけてはいますけれども、まだ12月ですので、今決めれば価格案 でもって暫定価格というのは必要ないのではないかなという感じも受けないことはないの ですが、ただ、何らかの手続の関係でどうしてもそれはできないのだと、こういうことな のかどうか、ちょっと承りたいと思います。 ○事務局(福田企画官) 医療課企画官でございます。  今対馬委員の御質問でございますけれども、おっしゃられたとおり、手続上のルールで ございまして、現在通知等でルールが定められておりますけれども、基本的に決定されて から3カ月間の猶予を原則として置くという形になってございます。その関係で、このル ールの議論自体はまた保険医療材料専門組織の議論を通じてということになろうかと思い ますが、現行のルールを御説明申し上げますとそういう形になってございますので、残念 ながら1月には間に合わない。これは新しい形のものを全国で均一に適切に供給していた だくという観点から、一応3カ月くらいの猶予期間を置いてございまして、そういった観 点から、この価格案での具体的な価格につきましては、現時点ではルールにのっとると4 月からの適用になるということでございまして、それまでの間の暫定価格として下に掲げ るようなもので進めさせていただくというような形で、現状のルールに基づいた形で提示 をさせていただいたということでございます。 ○対馬委員 ルールはそういうことですので、わかりましたけれども、ただ、ちょっと中 身を見ますと、価格案は原価計算方式でやっているわけですよね。ところが、暫定価格の 方は類似機能ということでもって引っ張ってきているということもあって、どうも腑に落 ちないといいますか、わかりにくいところがありますので、もし実務的な問題等がクリア ができるのであれば、また改めての議論だと思いますけれども、3カ月間、本当に置かな ければいけないのかどうか、そこを御検討いただければというふうに思います。 ○土田会長 よろしいですか。ほかにございましたら、どうぞ。 ○遠藤委員 これは事務局にお伺いしたいのですけれども、原価計算方式を使っているわ けですけれども、薬の方は、原価計算方式を使った場合でも中医協にその原価の内訳が出 てくるわけなのですが、この医療機器については、内訳は出てこなくて原価計算方式を使 って算定したという事実のみが出てくるわけですね。それはどうしてそうなのかというこ とをお伺いしたいのです。 ○事務局(福田企画官) まさにおっしゃる、現状、そのとおりでございまして、と申し ますのは、薬価の場合には、原価計算の場合に、例えば一般管理費の割合ですとか営業利 益の割合といったことがルール化されてございます。そのルールに基づいて検討した結果 というものを出させていただいている。一方、保険医療材料については、毎回専門部会の 方で検討議題にはなるのですけれども、やはり材料の性格とかいうものが非常に幅がある ということで、現状で、例えば非常に大きなものであるとか高価なもの、そして精密機器 的なものもあれば、ある意味ではねじのようなものとか、ねじをとめるようなものまでい ろいろ幅があるということで、なかなかそこの原価を算定するに当たってのいわゆる計算 式というものが現状できていないということがございまして、そこのところでその内訳を 十分に出せていないという、そういう現状になってございます。  今回の算定につきましては、そうはいいましても、幾つかのやり方がございまして、そ れぞれ一般管理費とか営業利益について、業界、その申請者の方から具体的な根拠を出し ていただいて、その数字というのは、総−1−1の1枚目の「(参考)メーカー意見」の ところ、メインボディが200万強という形になってございますけれども、その内容を専 門組織の方で精査をいただいて160万強という形にさせていただいたということでござ います。 ○遠藤委員 ありがとうございます。専門組織、私もかつて所属しておりましたので、そ こでは厳密な精査が行われているということは承知しておりますのでよくわかっています。 そういう事情でここには出てこないということで理解いたしました。ありがとうございま す。 ○土田会長 ほかにございますでしょうか。 ○勝村委員 専門組織の方で議論していただいているということで、それでよいと思うの ですけれども、一応、中医協の議事がホームページで公開されるようになったということ は、やはりごく普通の市民というか国民が見て、一応どんな議論をしているのかというの がわかる形である方が望ましいと思います。なので、説明責任と言うほどではないですけ れども、何らかの形で無理のない範囲で、一応原価でやってこうなったのだということや、 それはそれでいいと思うのですけれども、ほかの国よりも1.44倍になっているけれど も、それはこういう理由で妥当なのだろうと考えるとか、メーカーが言っているよりは安 くしているのだとか、では何倍だったら妥当ではないのだろうかとか、よくわからないけ れどもまあいいやという形でなしに、できれば、だから妥当なのだということがもう少し ごく普通にわかるような論理展開というか、そこまで細かなものではなくてもよいので、 一定やはり出していただくように検討していただいた方がよいと思いますので、それをお 願いできたらいいなと思います。 ○土田会長 事務局の方、検討してください。前から比べれば、これでも図表あるいは写 真が出てきて大分わかりやすくなってきたわけですけれども、まだまだ検討の余地がある ということで、承りたいと思います。  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、本件につきましては、中医協として承認するということに したいと思いますが、よろしいですか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長 どうもありがとうございました。  松本委員長、どうもありがとうございました。                 〔松本委員長退席〕 ○土田会長 それでは次に、区分A2及びBについて、事務局の方から説明をお願いいた します。 ○事務局(福田企画官) それでは、お手元の中医協総−1−2をごらんいただきたいと 思います。平成18年12月1日より新たに保険適用となりました医療機器につきまして 御報告申し上げます。  まず1ページ目でございます。医科についてでございますが、区分A2、これは特定の 診療報酬項目において包括的に評価されている区分ということでございます。1ページ目 から2ページ目にかけてその内容をお示ししてございますけれども、45件ということで ございます。  続きまして、資料の3ページをごらんいただきたいと思いますが、区分Bということで、 これはいわゆる特定保険医療材料でございまして、材料価格として個別に評価をされてい る。個々のものに価格がついているというものでございます。3ページ、4ページ、それ から5ページの頭の方までわたりますけれども、25件ということでございます。  それから、最後の6ページをごらんいただきたいと思いますが、歯科についてでござい ます。歯科につきましても、今回区分A2につきましてはお示しをしてございますように 8件、区分Bにつきましては2件ということでございます。  以上、医科、歯科合わせまして80件ということでございます。  事務局からの報告は、以上でございます。 ○土田会長 ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、次の議題に進ませていただきます。「先進医療専門家会議 の検討結果」について議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(福田企画官) お手元の中医協総−2をごらんいただきたいと思います。先進 医療専門家会議におきます先進医療技術の科学的な評価結果ということでございまして、 平成18年10月受付分についてということでございます。先進医療専門家会議は去る1 2月8日に開催をされまして、その結果について御報告をさせていただくというものでご ざいます。  まず1ページでございますけれども、10月受付分として、12月8日の会議で審議さ れたものについての一覧表をお示しをしてございます。先進医療として上の方に書いてご ざいますが、眼底3次元画像解析というものが適とされてございます。なお、下の方に、 参考として保留等とされた技術をお示ししてございますが、陰茎プロステーシス移植術と いうものにつきましては保留という形になってございます。  それでは、先進医療として適当とされた技術につきまして概要を御説明をさせていただ きます。2ページ目の別紙1をごらんいただきたいと思いますが、先進医療の名称としま しては、先ほど申し上げました眼底3次元画像解析ということでございます。適応症とい たしましては、加齢性の黄斑変性など、こちらにお示しをしているような疾患ということ でございます。  内容をごらんいただきますと、この先進性でございますけれども、まず、これは非侵襲 的な眼底の検査法であるということであります。網膜とか神経線維層、それから黄斑部と か視神経乳頭などの、目の物を見るという観点からすると非常に重要な部分、そこの部分 の病変が、今までは外側からある意味で平面的にしか見られなかったわけですが、そこの ところが3次元的に解析できるということで、立体的に深さも含めて解析できる、そうい った唯一の方法であるというところが非常に新しいということでございます。  概要につきましては省略をさせていただきまして、効果のところをごらんいただきたい と思いますが、この3次元で画像の解析ができるということでございまして、眼底の立体 的、断面的な情報、これをこれまでの眼底検査法で事実上かなり困難であったわけなので すけれども、そこのところが、迅速かつ低侵襲で行うことができるということでございま す。そういったことで、非常に診断上、診療上意味深い、意味のある情報が得られるとい うことで、病態のより深い理解と疾病の診断精度、ひいてはその治療法の選択や治療法の 効果というものについて適切に判断ができて、それを踏まえて患者さんにきちっと御説明 をして、治療法の選択や治療後の効果ということについても納得の上で進むことがより可 能になってくるという、そういった効果があるということでございます。  先進医療に係る費用につきましては、先進医療に係る部分というのは、この検査の部分 の機器の償却と人件費関係分ということで4,000円という形でございます。  3ページ目の別紙2−1、先進技術としての適格性につきましては、基本的にすべてA がついてございまして問題はない、そういった判断となってございます。  また、4ページ目の別紙2−2でございます。医療機関の要件につきましても、眼科の 専門医であるということ、そして一定の経験年数及び症例数ということについての要件が かかっておりますが、基本的にそういった要件を満たしていただければ実施をして差し支 えないというような形の要件が示されているところでございます。  事務局からの説明は、以上でございます。 ○土田会長 ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。 ○竹嶋委員 参考としてお尋ねしたいのですが、保留とされた技術、この結果については 特に問題を挟むわけではありませんが、この先進医療専門家会議の中で、これを保留とし た議論の内容といいますか、どういうことがあったのか。あるいは保留ということは今後 またこれが先進医療になる可能性もあるということが含まれているのでしょうか。そのあ たりのニュアンスをちょっと知りたいのですが。 ○事務局(福田企画官) この陰茎プロステーシス移植術と申しますのは、基本的に、伸 縮する器材といいましょうか、ばね状のものを陰茎に移植をする、そういう形でございま して、擬似的といいましょうか人工的に勃起状態をつくるというものでございます。  この技術につきましては、いわゆる機能の回復とか治療というものに基本的には当たら ないというふうに考えてございまして、内容としては日常生活の質の改善に当たるものと いうことでございまして、いわゆる医療保険の診療報酬上の評価というものに該当するた ぐいの性格のものではないということで事務局としては考えているところでございます。 そういった文脈になりますと、この先進医療というものは、将来的に技術評価で安全性や 普遍性というようなものが確認された場合にいわゆる保険に収載をされていくという文脈 でございますので、その流れに乗るものとしてはちょっと異質ではないかということで、 事務局の方の考えを先進医療専門家会議の方にお示しをしたというところでございます。  その際に専門家の先生の中からは、基本的にはそういう考え方であろうけれども、例外 に当たるようなものがあるのかないのか、もう少し情報を集めて、その上で最終判断をさ せてほしいということでございまして、そういったことで、今回保留ということで、情報 が集まり次第再度このことを開催をさせていただいて、基本的には結論を出させていただ くと、そういう形で位置づけているということでございます。 ○土田会長 ほかにございますでしょうか。  ほかにないようでしたら、ただいま説明をいただきました技術につきまして保険給付と の併用を認めること及び高度先進医療における既存技術の取り扱いについて中医協として 特段の意見はないということでまとめたいと思いますが、よろしいですか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長 どうもありがとうございました。  それでは、次の議題に移らせていただきます。「平成18年度診療報酬改定の影響」に ついて議題としたいと思います。いわゆる看護配置基準と療養病床の問題でございます。  事務局より資料が提出されておりますので、最初に説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長) 医療課長でございます。  中医協の総−3の資料をごらんいただきたいと思います。前回、国立大学あるいは国立 病院機構等々の資料をお示ししましたが、今回は、私立大学病院、公立大学病院、都道府 県立病院、それから全国の厚生連の設置する病院についての看護職員の募集状況について まとめましたので、御報告をいたします。  まず、私立大学病院でございますが、これは、例えばいわゆる第二病院等も含めまして、 募集施設は73ございます。このすべてで一応11月末現在で内定を出しておりまして、 募集数は、18年度に比べて1,058多く募集をしておりますが、内定状況からいくと、 今年度の18年度の採用数より少し少なめになっているということでございます。  それから、公立大学病院ですけれども、都道府県立の大学病院及び市立の大学病院、こ こは10施設ございますが、11月末現在で内定を一応全部出している。ここでも161、 今年度よりも多く募集しておりますが、内定数につきましては約1割強多い80名増の6 60名の内定を出しています。  それから、都道府県立病院でございます。これは公立大学病院は入れない形でございま すけれども、一応213施設ございまして、これは県ごとに調べていますので内定の時期 が違いますが、そのうち内定の時期がまだ来ていないというところも含めまして、23が 内定が出ていない。募集状況につきましては、今年度に比べて537の増加の募集をして いる。それに対しまして、内定の状況は今年度よりも200名多い2,963の内定状況 になっております。  それから、全国の厚生連ですけれども、121施設ございまして、そのうち14のとこ ろはまだ内定を出しておりませんが、12月11日現在で、今年度に比べて191プラス の2,650募集をして、内定につきましては、まだ今年度の採用数より214下回って いるという状況でございます。  次の2ページは、前回お示しをいたしましたナショナルセンター等々について再度お示 しをしております。  それから3ページ目でございますが、前回の中医協総会における主な指摘ということで、 看護関係のものをまとめております。前回の御議論の中で、まず1番目でございますけれ ども、7対1入院基本料の創設の方向性については、各委員での合意は得られたのではな いか。さらに、医療安全対策の観点からも、手厚い看護体制に対する適正な評価は重要で はないかという御意見がございました。 それから一方で、現在は、7対1入院基本料の創設からの過渡期にあるということで、 医療機関等の中で混乱が見られるため、その状態を放置すべきではないのではないか。  さらに、その入院基本料の点数ですが、入院基本料の7対1と10対1の間の点数格差 がかなり大きいために、医療機関が7対1の確保に動いてしまうのではないか。  そのほか、現在、病院単位で届け出ることになっておりますが、それを病棟単位で届け 出られるようにすべきではないか。 それから、7対1入院基本料、これは急性期入院医療ということを目指しているわけで ありますが、それの必ずしもそうではないところもとっているのではないかということか ら、看護の必要度に応じた形にできないのかという御意見がございました。  それから、地域性の問題として、都道府県別に見ますと非常に大きな偏りがありました ので、それを分析すべきではないか。  それから、実際の、先ほども少し触れましたが、急性期医療の充実を図るという観点で 創設したわけですが、それがそのために使われているのかどうかという実態の証明を行う べきではないか。  さらに、一般的な看護師確保対策の充実が必要ではないかという御意見がございました。  それから4ページ以降でございますが、先ほどの御意見の中で「看護の必要度」という 言葉が出ておりましたけれども、現在施設基準の中で、特定集中治療室管理料、いわゆる ICUでございます、これにつきましてこの施設基準の中で、例えば1の(8)になりま すが、「当該治療室に入院している患者の状態を別紙9の重症度に係る評価票を用いて測 定し、その結果、基準を満たす患者が9割以上いること。」、この患者の状態像なのです が、ちょっと1枚飛ばして6ページの別紙9をごらんいただきたいのですが、例えば、心 電図モニターをつけているかどうか、輸液ポンプを使っているかどうか、それから動脈圧 を測定しているかどうか等々の、こういうモニタリングやあるいは処置の状況と、それか ら下のBの方は「患者の状況等」ということで、患者が寝返りができるか、起き上がれる か等々の状態をそれぞれ点数化をいたしまして、Aのこういういろいろな処置がたくさん 行われている、得点でいくと3点以上の患者、あるいはBの患者の状況、これは「できな い」が0点で、逆にできる方がいい点数になりますので、Bの得点は5点以下、このよう な方々を一応重症者とみなして、これが9割以上いるというのがICUの条件になってお ります。 それから次の5ページでございますが、ハイケアユニットというところも同様に、この 1の(5)で、ここでも同じ「患者の状態を別紙10の重症度・看護必要度に係る評価票 を用いて測定し、その結果、基準を満たす患者が8割以上いること。」ということで、実 はICUの基準とハイケアユニットの基準が違っております。ハイケアユニットの重症度 等に係る評価票は7ページの別紙10になりますが、項目も、先ほどのとは少し変わって きております。  このような形で、例えば「看護の必要度」などというのは現在も使っておるわけであり ますけれども、これを例えば一般の病床において、いわゆる一般の病床の急性期の病床を あらわすのにどのように使えるかということなのですが、これについては、実際の調査等 を行わないと、そう簡単にできるものではないということで、ちょっと参考にこのものを つけさせていただきました。  それから8ページでございますが、療養病床に係る資料でございます。前回、いわゆる レセプトの中から抽出をいたしまして8月分までお示ししましたが、今回9月分までまと まりましたので、再度お示しをしております。9月分のレセプトでいきますと、医療区分 1の方が42.9%、医療区分2の方が40.6%、医療区分3の方が16.5%という ことで、3が増加し、2もやや増加し、1が減っていると、そういう傾向が出てきている ということでございます。  私どもの方からは、以上でございます。 ○土田会長 ありがとうございました。  ただいま説明いただきました資料等について御議論いただく前に、本日は、2号側委員 より総会での議論の参考にするということで、資料の提出をいただいております。  これは天本先生の方ですね、御説明をお願いいたします。 ○飯沼委員(代理天本氏) これは後ほどの療養病床のときに一緒に説明させていただく ことでよろしいでしょうか。 ○土田会長 いえ、一緒に議論したいと思いますので。 ○飯沼委員(代理天本氏) はい。それでは、療養病床のことについて発言させていただ きます。  今回の改定において政策的に医療病床に入院している50%の方々を介護保険で対応可 能と判断して診療報酬における介護保険への誘導策として医療区分1の給付を大幅に削減 されました。保険局は、池上委員長の分科会でも中医協の場においても明らかにされまし た実態の調査結果というものを無視され、中医協に調査結果を公表しないといった対応と なりました。また、今年度の改定は、介護保険での受け皿が可能であるといった大前提で あるにもかかわらず、受け皿が整っているといった根拠は何も示されず、医療区分1の導 入、しかも、10万以上の大量の介護保険移行の誘導施策が行われました。保険局、老健 局ともに唐突に実態とあまりにもかけ離れた無計画かつ財源的視点のみで、医療保険、介 護保険における大幅な給付削減を実施し、地域医療の現場は混乱を招いております。  この我々が提出した資料の1ページ目を見ていただきたいのですけれども、これは先週 の介護保険における医療の在り方において提出された資料で、平成17年10月時点にお ける介護三施設の利用状況が示されております。この事業所調査の結果が今になって公表 され、老健局も適正なデータに基づく検討した形跡がなく、調査結果も公表せずに、介護 療養型医療施設を廃止するといった対応となりました。  今回の調査結果からして、介護保険三施設の、この下の表を見ていただきたいのですけ れども、利用率はすべて90%以上であり、これ以上の受け入れ体制がない実態が明らか であります。さらに、上のグラフを見ていただきたいのですけれども、介護療養型医療施 設においては、要介護4、5度といった重介護の方々が8割近く入院されており、介護保 険三施設の中では最も重度な方々への役割・機能を果たしている実態が明らかであります。 にもかかわらず、この介護療養型医療施設を平成24年3月には廃止と決定されました。 しかも、このような重介護者を最も軽い方々を見ている老人保健施設が代行するといった サービスの質の低下につながる給付の削減を実施しようとしているわけでございます。  さらに老人保健施設において、現在の医療・看護機能からして、保険局の思惑である医 療区分1、しかも、医療処置の必要な分まで受け入れることは、利用者にとってサービス の質の低下につながり、不安を招くこととなると思われます。老健局は、地域ケア体制整 備より、まず、介護療養型医療施設の廃止を決め、医療保険からの重看護者、重介護者の 受け皿としての役割を放棄し、保険局、老健局、全く相反する対応がなされております。  重度の障害老人といった最も弱い立場の人たちへのセーフティーネットを国策としてど こが担うのかが現時点では示されておりません。被保険者、国民の代表である保険者団体 とともに、医療・介護サービス提供者もこの弱い立場の者の視点に立ち、この課題に対応 していきたいものであります。  短兵急、一気に療養病床再編を実施し、大幅な保険給付の削減による退院促進、病床削 減政策が施行され、生活を支える医療・介護提供体制を含めて社会保障の枠組みが壊れ、 修復不可能に思われる深刻な事態が来ていると思われます。  しかし、前国会において医療区分の妥当性についての検証が必要といった附帯事項が決 議されたこと、給付削減の結果が及ぼす社会的影響、被保険者への給付サービス低下、不 平等といった社会的問題の大きさから、緊急に中医協での再審議が必要と日医としては認 識し、データに基づく対応を考え、先般、医療療養病床を持つ医療施設に、療養病床に関 する緊急調査を実施し、検証し、緊急の是正が必要との判断に立ち、本日次のような改定 要望を提案させていただきます。  要望1、医療区分1の患者の約2割において胃瘻の管理、経管栄養の処置がなされてお りました。これら処置・ケアは、医師の指示の下、看護師しかできない業務であります。 しかも、これら処置・ケアにおける24時間、365日の危機管理、結果責任を医師が担 っており、医療の必要は高く、医療区分2の給付が妥当であると思われます。また、現状 の介護保険施設における医療機能からして、これら医療処置を必要とした患者さんへの適 正な医療、看護、介護サービスの給付を提供することは不可能であると思われ、このよう な医療処置が必要な方々においては、医療区分1でなく、医療区分2として取り扱うべく、 緊急措置として医療区分の是正を検討していただきたい。  第2の要望としまして、今回の療養病床における報酬改定における医療区分1は、老人 保健施設における要介護度1よりもさらに低い1日当たり7,640円といった、唐突か つ大幅、過激な改定でありました。今までは一律定額制のメリットを活用して、医療区分 1の状態の患者さんにも最善の保険医療サービスを提供し、人員配置も基準以上のスタッ フで個別サービスを提供してまいりました。しかし、今回の給付水準からして、医療区分 1の方々へは、保険医療における最低水準のサービス提供とならざるを得ません。あまり にも大幅な給付削減は、国、支払側としての目的であったかもしれません。しかし、利用 者は、被保険者あるいはその家族が受けるサービスは最低ではなく最善の保険サービス・ 給付を望んでいらっしゃるし、サービス提供者も利用者個別に対応した最善の保険サービ スを提供したいと思っております。それにはあまりにも低い保険給付ではないのでしょう か。被保険者の代表である保険者として、ぜひ再度被保険者の立場から御検討していただ ければ幸いでございます。このような不当な医療区分1の給付を日常生活介助の給付をも 盛り込んだ、利用者・被保険者にとって公平な保険給付を担保する評価に緊急に是正して いただきたいと思います。  地域ケア整備が未整備な現状を見据え、さらに激変緩和の視点からも、中医協において ぜひ再度御審議のほどをよろしくお願いいたします。 ○土田会長 ありがとうございました。  ただいま天本委員の方から説明のありました件と、それから先ほど医療課長の方から説 明されました資料の一番最後のページが療養病床に関する資料でございまして、その前の 方が看護基準に関する資料の説明でございます。議論は、前回と同じように、ちょっと区 分して議論を進めさせていただきたいと思います。  最初に、その7対1の問題につきまして議論を進めていきたいと思いますが、どうぞ。 ○鈴木委員 まず、看護師不足というようなところでもう一度考えていただきたいと思っ ておりますけれども、後から正しい数字を教えていただいてもいいのですが、私の記憶で は、第6次看護師需給見通し、昨年の暮れ、ちょうど1年前にできましたけれども、これ の不足数が4万人ということになっております。看護師の新卒者が大体4万人か4万5, 000人か、この辺のところの数字ははっきりわからないのですけれども、おおよそ1年 間分が足りない。したがって、外国の看護師さんまでお願いしたいというような状況で、 その医療現場に対していい血が注入されていくのであればいいのですけれども、今度、そ の方向性は、私も何度も申し上げているように、十分に理解はするところでありますけれ ども、非常に拙速な導入が図られたことによって非常に医療現場は混乱しております。週 末、いろいろ中小病院ですとか、有床診療所でございますとか、回ってみましても、本当 に悲痛な訴えをしておりまして、看護要員確保というのは非常に困難という、困難を通り 越してゼロですから、現状がそんな形であります。  なおかつ、今日ちょうだいした資料を見ますというと、募集数で私立と国立を合わせま して、おおよそ3万3,000人ぐらいになります。採用数は決まったのが2万4,00 0人ぐらいというようなことでありましょうけれども、前回、資料でどういうような、施 設だけの資料もちょうだいをいたしましたけれども、あれは200床以下の病院が大体 5%程度に当たっております。400床以下200床以上というところが7%ぐらい、5 00床以上の大学病院が大体10%、もう既に7対1をとっているというふうな格好にな りましたけれども、ここに民間の病院が入っておりませんものですから、これはほぼ民間 が、こういう公的病院あるいは私立大学病院等が10%程度に当たっているわけですけれ ども、それにお任せということでは決してないと思いますので、もう容易にこの数倍の募 集状況というのが御想像いただけるのではないかと思います。非常に現場は困窮しており ますので、看護要員募集の狂乱したような状況というものを鎮静化すると申しましょうか、 正常化するような何らかの策を講じていただきたい。これはもう本当にお願いしたいと思 います。 ○土田会長 ありがとうございました。  ただいま鈴木委員の方からの発言の中で、ちょっと2つほど事務局に確認したいのです が、1つは、看護師の需給見通しが4万人ぐらい不足しているということが事実かどうか ということと、それから、先ほど現場の方で大変混乱しているという中で、私立あるいは 中小の病院の方の募集がうまくいっていないという話がありましたが、その辺の事実関係 について、あるいはデータについて何か資料等ございましたら、説明をお願いします。 ○事務局(原医療課長) 第6次看護職員の需給見通しでございますが、平成18年につ いて言いますと、看護職員全体としましては、新卒の就業者数が約5万1,400人、そ れから需要から供給を引きまして、供給の方が少ないわけでありますけれども、その足り ない分が4万1,600というのが、平成18年の状況として計画がつくられています。 平成19年につきましても、卒業者はほぼ同じ新卒就業者約5万人強、それからギャップ がやはり4万1,000人ということで、ほぼ変わらない。20年以降、徐々に小さくな るというような見通しになっております。それが看護職員の需給見通しであります。  もう一方で、実は今回大きな病院、特に大学病院や国立病院を中心に募集状況を調べさ せていただきました。これは、やはり大きいところほど大体先に決まってくるということ もありまして、中小あるいは民間の中小の病院は、比較的採用決定に至るのはかなり遅い だろうということもありまして、実際にはちょっと状況を調べる段階ではないのではない かということで、今回は調べておりません。そのあたり、どちらかというと、逆に医師会 でもし協力いただけるなら、調べていただけるならありがたいなと思います。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  確かに鈴木委員のおっしゃるように、中小の病院が非常に混乱しているというふうなこ とが報じられておりますが、ただ、ここではやはりデータなりあるいはしっかりしたエビ デンスがないとなかなか議論が進まないということがあります。ただいま医療課長の方か ら話がありましたように、そこの調査は厚生労働省としてはなかなか難しいので、そこに ついては2号側で何らかの協力をお願いできないかという話がありました。 ○竹嶋委員 先般来何度も、この中医協の中で、データあるいはエビデンスというものに 基づいて議論したいという座長の御意向でもございました。私たちも、7月の療養病床の 分、もう10月には出させていただきましたし、引き続き、4月から4カ月分の診療報酬 改定の影響、これにつきましても、11月でしたか出させていただきました。そういう御 議論の中で、私どもが主張してまいりましたが、今鈴木委員が申しましたように、地域、 都道府県47ありますが、その地域の中の受療格差が起こってきている。それは医療施設 の中の職員の中にも起こってきている。その一つの大きな7対1の問題が、これが急にこ ういう点数の、どう見ても大きな差があるものですから、やはりそちらの方に移行してい って、私が得ました情報の中では、この6カ月間に、当初5.5万人が12月には12万 人になっている。一気にこう行っている。この現象は、やはりじっと見ますと、本当に7 対1、そういうところに適用というか、我々が本当に考えている、診療側ももちろん、報 酬提供側も、あるいは国民ですね、国民が考えておる急性期の、ここで何度も述べられま した、救急あるいは急性期の質の高い医療、そういうことができる、そういう状況の中に 本当に行っているのかなというのが一つ心配です。  もう1つは、その流れた分のあとは、もう決まった施設あるいは人員ですから、そこは 過疎化してくるわけです。ですから、基本的には医療というのは、何度も申しております が、地域の格差をできるだけ起こさないでほしいと、そしてそういう意味では滑らかに行 ってほしいということの中で私どもも申し上げてきたわけですが、今の看護師の方々の需 給の問題、これは私どもすぐ取りかかりました。  そして、11月25日に私たちなりの調査資料とアンケートを出しまして、12月8日 に締め切って、大体集まってまいりました。それで、今のところ私が確認しておりますの は、病院が3,185施設、これは全国にまたがってです。それから、その中で公的病院 が1,835、民間病院が1,350、そういう施設からもアンケート調査が今手元に集 まってまいりました。  それから学校の方、看護師学校、今鈴木委員が言いましたように、外国からも今入って きていただいていますね、そういう国の施策もありますけれども、我が国の看護師学校は 本当に養成ができないのか、そういうことで、また実態はどうなのか、だんだん少なくな っていっているのかということも含めまして、看護師の学校の養成所も1,310、一応 回答が返ってまいりました。これは84%ぐらいだと思います。かなり高い数字で返って まいっておりますので、私ども今まとめさせておりますけれども、もちろん今度に間に合 いません、もう次の1月の時点でやはりこれはこの席で、どういう結果が出るかわかりま せんが、データとしてきちっと出して、またいろいろ御批判を浴びたいと考えております。  その上で、やはり国民の医療を、本当に何度も出ますように、確かに急性期、救急は大 事なのですが、それだけではなくて、その次の亜急性期、あるいは慢性期、それからまた 介護施設、そして居宅という、その流れを地域医療連携体制の中でつくっていかなければ いけない、そういうことをしっかり起点に置いてそして改革は進めていくと。  先ほども話をこちらで出しましたけれども、本当に大きな流れ、方向というのは、もう 私どもはこれでいいと思っておりますが、その中で混乱がないように、混乱は即国民に行 くわけですから、その中でやはり修正というのは必要であれば見直しを、暫定的でもいい から、言葉をかえると激変緩和という言葉があるかもしれません、認めるというよりも、 そういう方向づけをぜひしていただきたい、そういうふうに希望いたします。 ○土田会長 どうもありがとうございます。 ○邉見委員 これは事務局にお願いしたいとは思うのですが、難しければ我々の方でもや らなくてはいけないと思っておりますが、市町村立病院の問題です。国公立にいい看護師 さんは流れているとよく言われるのですが、公立は負け組と勝ち組がかなり激しく分かれ ておりまして、大きな都市の中央病院とか、県立中央病院とか、そういうところは確かに 勝ち組になる、加害者になるかもわからないとそこの院長さんたちは言っております。た だやはり、人口10万以下ぐらいのほとんどの市町村立病院などは、去年と比べますと採 用内定が少ないと、あるいは内定者の中から辞退者がたくさん出ているという現実がござ います。各都道府県から1名ずつ出ております自治体病院の役員会でも、そのような意見 がたくさん出ております。  例えば沖縄県立中部病院という非常に地域医療に中心的な役割を果たしている病院がご ざいます。研修医には非常に人気のある研修指定病院でもございます。アメリカ型の卒後 研修をやっております。そこの病院が、院長から直接聞きましたけれども、10対1看護 すら危ないと。もう今20人以上の欠員が出ているそうです。もう少し欠員が出ると10 対1もだめになる。そうすれば、そこは研修指定から外れるというふうな、これは大変な ことだと思うのですけれども、我々が理想としているような病院がそういうふうなことが できなくなるということですので、この辺のところも非常に大きな問題だろうというふう に思います。  私立もそうですし、中小もそうです。そうしますと、大都市とか大病院とかいうところ ばかりが医療の、医師もそういうふうに動きつつありますし、ナースもそういうふうにな りますと、地域格差、あるいは大、中の規模の格差とか、ますます格差社会が広がってい けば、この医療というものを教育と並んで地域のセーフティーネットと私は思いますけれ ども、それが失われていくのではないかというふうに危惧しております。よろしくお願い いたします。 ○勝村委員 まず、前回の議論の中で、一定の方向性が出ていたと思うのですけれども、 もう一回まとめというか、確認しておきたいと思うのです。医師とか看護師が動くという ことは非常に大事なことで、これまでどおりの医療ではやはりだめなので、僕はもうダイ ナミックに変わらなければいけないということは当然あると思っています。もう何十年も 救急車のたらい回しが続き、もう何十年も産科医は一人医長で、陣痛促進剤を使わなけれ ばやっていかれないというようなことがずっと続いてきているわけで、薬漬け、検査漬け と批判されて何十年だったのですから、今回のように看護師が取り合いのような状況にな ったということは、価値観を変えていかなければいけないと、ダイナミックに変えていか なければいけないという意見を持つ者としては非常によかったと。大きな流れはそれでい いのだということは前回一致したのだと思うのですが、ただその際の過渡期の暫定的な措 置が必要ではないかということを僕も発言させていただきましたけれども、その意味をち ょっと確認しておきたいのです。  方向性はがいいのであり、かつダイナミックさが求められるのだから、その方向性にブ レーキをかけるような措置があっては意味がないのです。つまり、すべての医療機関が今 までどおりできなくなったと、だからブレーキをかけてくれみたいな暫定的な措置では全 く意味がないのです。一方、もし目指していた方向性の方に流れていないのだったら、僕 はそこはよくないと思うわけです。特に医師の方では非常に象徴的な議論があったわけで、 つまり、普通からしたら価値が高い、より必要なのに欠けていると言われていた救急医療、 産科、小児科、それから地域医療、地域医療というのは本当に都市部ではないところの地 域医療、そういうところの方が激務で、なおかつ収入が少ないのだと。そうすると、楽で かつ収入も多いと言われている開業医に流れていく、つまり勤務医をやめて開業医に流れ ていくのだと。そうすると、ますます救急などがだめになっていくのだという、そういう 悪循環を打破しなければいけないという話があったわけです。だから、その流れが逆向き のベクトルになるように、価値観を変えるような診療報酬改定をしたいということで、今 回、全体としてはマイナスになっても救急とかそういうところはプラスにして、これから は勤務医をやめて開業するよりも、やはり医師たちは地域医療とか救急医療の方に流れて いくということをつくらなければいけないというような方向性はあったと思うのです。  だから、同じように、今この看護師さんの動きが医師の間で問題になっているような動 き、つまり、看護師さんたちが、楽で給与が多いところへみんなで行きましょうみたいな 感じになってしまって、そういうところが7対1になってしまってあまり価値の高い医療 をしていないということであるならば、それは僕は暫定的な措置として何らかの対処をす る必要があるのではないかということは思っているわけです。  今そのあたりのデータをきちっと出していただかないと議論ができないと思いますけれ ども、そういう意味で、前回も僕は最後に発言させていただきましたけれども、少なくと も、次回の診療報酬改定、もう1年後だと思いますけれども、その段階では7対1のとこ ろには一定の要件を課すべきだと思っています。暫定的な措置として僕は必要だと思って いるわけです。つまり、きちんと今必要だけれども足りないと言われている救急等をやっ てくれているのだとか、本当に地域を守ろうとしてくれているのだとか、産科、小児科が 足りないという問題があるので、そこをやってくれているのだとか、そういうところで7 対1がなされているのならばよい。しかし、そこに勤めるのが楽だから、給与も多いから ということでは、ますますそういうところに看護師が集まって、本当に必要な医療をやっ ているところがますます医師だけではなくて今度は看護師も足りなくなったというような こtになれば、僕らが意図している流れではないわけです。よって、求めている方向性を 一定示すことが必要です。だけど、やはりダイナミックに動かしていこうとして初めて看 護の専門学校も定員を増やそうという話になるので、この動き自体にブレーキをかけるよ うでは、やはり看護師の募集も今までどおりかなというふうになってしまったら意味がな いので、前回の最後に発言させていただいた趣旨はそういう趣旨ということで、その方向 で今日は議論を進めていただければありがたいかなと思います。 ○小島委員 今勝村委員が言われたので。まさに勝村委員が前回も言われたのですけれど も、今回の7対1というのは、その方向性というのは間違いではないと思っております。 かといって、では7対1で、看護の質なり医療の安全性という面からいって、それでもう すべて十分かといえば、必ずしもそうではないということがありますので、そういう手厚 い看護をどう目指していくかという観点の方向で見直していくということがまず基本だろ うということです。  そういう場合に、今回厚労省の事務局の方から示されている、大学病院、国公立病院等 の新規の募集については、こういう実態になるのですけれども、先ほどから出ていますよ うに、民間の中小病院のところの看護師の確保がどうなっているのか。今回7対1の原因 で、実際民間の中小病院のところでの今までの2対1、10対1、あるいは13対1とい ったようなところも看護師が確保できないということで、10対1も外されると、あるい は70%看護の比率というようなことも確保できないといったようなことが実際起こって いるのかどうかというところが、まさにそこの実証が必要なのだと思う。そのためには、 やはり医師会の調査、アンケートを今しているということなのですが、そういうものを含 めて実態の上に立ってどう見直すかということだと思います。見直す場合にも、暫定的な 形とすれば、やはり今勝村委員が言われたようなことで、実際に今7対1をとっている病 院がどういう病院なのかということも含めてやはり調査をして、本当に当面急性期のとこ ろを手厚くするということになった、そういうことに7対1をとっているのかと。すべて 7対1をとっていればいいという話ではなくて、まさにそのためにはやはり一定の要件を 暫定的に設けて、そこを認めていくというようなことが今の全体的な看護師不足の中では 必要なのではないか。そういうこともこれからやはり実証、データを踏まえて検討すべき ではないかと思っております。 ○鈴木委員 もうおっしゃるとおりだと思います。  それから1点だけ、前回の主な指摘の一番最後のところの「看護師確保対策の充実が必 要ではないか。」というところだけちょっと一言お話ししたいのですけれども、先ほど4 万1,000人の需給見通しというのが、ちょっと言ってみればむちゃくちゃな数字なの です。これは先週長崎県に行ったときに、実は看護師さんが、県医師会の要求の半分しか 認めてくれない。その数が盛り込まれたのがこの数でありまして、それで、うちのそこの 書類というものをきちんと出してもらうようにいたしまして、これは千葉県の医師会の調 査で、今年度も常勤換算でいきますと4,808.07人の不足というふうに報告をして いるのですけれども、最終的に、これは2,423人という、半分程度の人間が必要とい うふうにみなされた数字が積み上げての4万1,000人のものですから、4万1,00 0人、ことし不足しているのではなくて、もっともっと不足しているということをよく御 理解いただいた上で、こういう看護師の養成充足といいましょうか、充実も一方で必要で ありますけれども、こういう問題を、正確な必要数というのは極力把握した上での数字に していただきたいということだけ申し上げたいと思います。 ○対馬委員 勝村委員なり小島委員がおっしゃられたのであまりつけ加えることもないの ですけれども、2つほどちょっと申し上げたいのは、1つは、今回の改定のときに、一般 病床、7対1の議論のときには、今現在既に9対1とか8対1になっているというところ も結構あるのでという説明も一部あったように理解しているのですけれども、当時の議論 ないしは想定していたことに対して、今現在の7対1の取得状況、これは当時の想定より は相当多くなっているのではないかなと、そういう感じはするのですが、そこがどうなっ ているかというのが1つです。  あともう1点は、確かに診療報酬というのは大きな影響を与えますので、まさに議論し ているとおりなのですけれども、例えばどれだけ実効性が上がるかわかりませんけれども、 本当にそういった地域の中小の基幹的なところで困っているということであるならば、例 えば中医協の中で自粛要請といいますか、特に大学病院等々、例えば京都大学あたりです と、そういったことを踏まえて2年間に分けてなどという話もあるわけですから、そうい ったことができないのかどうか、こういったことも含めてちょっと検討してはどうかなと、 こういうふうに思うのです。 ○大島専門委員 今の御意見を伺っていて、質の問題と量の問題が何かごちゃまぜな議論 になっていると思うのです。それで、量の問題でいきますと、これは制度設計をそれです るわけですから、その制度設計についてマクロで非常に大きく考えたときには、制度設計 上きちんとされているということが当然あると思うのです。ところが、絶対的に足らない とか、絶対的にというような話を、ある局面をとらえれば、これは必ず、それを積み上げ ればもう絶対そういうことになってくるのですが、だから、そのマクロの制度設計自体が おかしいのかおかしくないのかという議論をまた今ここから始めるのか、その辺がちょっ と私はよくわからないところが1点です。もちろんデータをこれからきちんと出していた だくというのは非常に大事なことだとは思うのですが。  それで、非常にダイナミックな制度改変であるということは、これははっきりわかって いるわけですから、そうすると、いろいろなところに大きなひずみが出てくるというのは 当然ですね。すると、そのひずみが出てきたときにどういう対応をとっていくのかと。勝 村委員が言われたように、方向性自体は総論でみんな賛成しているのだと。非常にいい方 向であるという、理念そのものについても同意がされていれば、あと制度が変わるときに ひずみが必ずどこかで出てくるわけですから、そのひずみに対してどういう対応をしてい くのかという議論であれば、これは理解ができると思うのです。  しかし、これは私なりの理解が間違っているかもわかりませんけれども、大きく見てい けば物すごく大きな改変であると。しかも、地域における医療再編を根本からやらないと だめな話だと思うのです。もっとこんな言い方をしていいのかどうかわかりませんけれど も、ある病院をつぶすかつぶさないとかということも含めて、物すごく大きな再編が起こ るような話だと思うのです。それを地域全体の中で、この制度設計をうまく質を落とさな いような形でもってどうやって持っていくのかという議論に持っていかないと、何だかこ の議論は進まないような感じがするのです。 ○竹嶋委員 今の大島先生の意見に私も大賛成なのです。いつも思うのですが、中医協と いうところは、一つの政策が決まって、それの中のいわゆる点数配分、俗に言う言葉で点 数配分がされますけれども、こういう中で、中医協の中で決めたことが、実際ふたをあけ るといいますか、なってみるといろいろ起こってくるということは、いい意味でも悪気が あると思うのです。その中で、医療は一般産業のように例えば計画的に生産とかいろいろ なコストを下げてどうとかして合理化していくとかいうことはできない分野で、しかも保 険という一つの制度の縛りがあるわけですね、だから、そういう中でやっていくわけです から、当然その地域医療の中で、やはり医療関係者も一つの先生おっしゃったような質を 担保しながら、そしてやはり量もそれなりの量をもって、連携をやはりつくっていくと、 これはやらなければいけないと思うのです。  ただ、厚労省がはっきり言っておられるように、20年来の大改革だと、まさにそうだ と思います。ですから、やはりそういうものはあると思うのです。だから、それを決して 無理なことではなくて、そういうところは修正していって、質の担保をだめにしないよう にしていきたいと思います。逆に、5.5万から10万に行ったところが、本当に質が担 保できるところがきちっとそれだけそこに行っているだろうかという疑問も私たちにはあ るということでございます。 ○土田会長 どうもありがとうございました。 ○大島専門委員 基本的に今の御意見に私は反対などという気持ちは全く持っていません。 ただ、もともとの制度設計がもしおかしいのだとすれば、これは話がおかしくなってしま う話なものですから、そうではなくて、制度設計は間違っていなくて、理念も少なくとも 間違っていないとするなら、ただし、医療というのはほかの業界とは全く違いますから、 それによってとんでもないことがもし起こってくるとすれば、これはリアルタイムにどう 修正していくのかという姿勢を常に持ちながらやっていくというのは、絶対これは必要だ と思うのです。しかし、方向性だけは間違いないと、間違いないということについての了 解が得られているとすれば、その方向に向けて努力するような議論と、それから対策をど う考えていくのかという方向に議論を持っていかないと、なかなか前へ進まないのではな いかなというような感想を述べさせていただきます。 ○古橋専門委員 はい。 ○土田会長 今古橋専門委員から御意見をお聞きしますが、時間がありませんので、その 後で一たん僕の方で集約させていただきたいと思います。 ○古橋専門委員 前回と今回、医療課の方からお示しいただきました資料は、あくまで新 卒者がどういう募集状況に置かれていて、どのように職場選択なり内定が起きているかと いうことでございます。新卒者は、先ほど事務局の方からも報告がありましたように、看 護師ですと約5万1,000人前後が出てまいります。国家試験の合格者はそれより多少 少のうございますけれども。今後、新卒者は現在自分たちの到達している技術には大変な 不安を持っておりますので、やはり教育体制が充実しているとか、指導者が明らかに固有 で存在しているかとか、自分たちが知っていきたい医療の質が転換しているというような ところを選択していくと、こういうことはもう歯どまらないだろうと思っております。で すから、新卒者がどう動くかということに対して、地方の過疎のところへ来ないというよ うな議論はいささか現実的ではないということは、もう辛くても受け入れていかねばなら ぬということはあろうかと思います。  そういう点では、出ました資料は、前年度は年度末で最終的に就職をした数でございま す。19年度の数は現在進行形でございまして、これがどう帰着するかは来年4月の時点 で明らかになることですので、そのあたりは緊張を持ちながらも来年4月新卒者がどうい う就職行動をとったかということを、その時点でとらえて考えていくということが大事と 思っております。  もう1つは、看護師不足と看護職確保に関しましては、潜在化する率、要は、やめて働 かなくなるという数がやはりこの看護職については相当多いということです。なぜやめて いくかということに対してもしっかりした視点でこれをとらえ、分析していただくことが 大事だろうと思っております。やめる理由は、やはり家庭での両立が難しい問題、あるい は多忙な問題、職場の関係の問題、ございますけれども、私たちは看護職の労働環境がや はりかなりハードになってきているということをとらえております。そういう点では、看 護職確保ということに尽力をなさる、これはすべての医療機関と看護職の働くところでご ざいますけれども、働く環境の問題とか、看護職の仕事の内容とか、看護職が専門職とし てどのくらい評価を受けられているかとか、チーム医療をどう展開しようとしているかと か、この時代に要求されている医療の在り方とか病院の経営とか事業形態の在り方をきち っととらえながら、いわゆる経験者がやめない病院づくりということが絶対に必要と思っ ております。  先ほど支払側からも出ましたけれども、今は危機感がありますので、いろいろなことが 飛び交っておりますけれども、やはりこれは事実検証が要るのでして、10対1のところ が13対1に本当に落ちたところが一体どこにどのくらい出ているのか、13対1が15 対1になったところが、事実どのくらい出ているのかということをしっかりとらえていく ということも重要だろうと思っております。  日本看護協会も、医師会がなさっていますと同じように、かなりな大規模調査で、これ は例年やってまいりましたけれども、今回は内容も少し調査設計を変えまして、四、五千 の規模の病院の調査を今集計に入っております。1月の下旬にはこのことを御報告できる と思っておりますけれども、確保に関してはそういう要素もあるということを発言させて いただきたいと思います。 ○土田会長 ありがとうございました。 ○勝村委員 1つだけ発言させてください。先ほどの話なのですけれども、中医協という のは単価を決めているわけですから、「単価」の「価」は価値なので、つまり価値観を決 めているわけなので、このように看護というものに大きく価値をつけることになったこと は非常によかったと思っているのです。誰が考えても本来ならすべての医療機関が7対1 になってくれたらうれしいわけですけれども、過渡期、そうなるまでの途中の段階で看護 師たちにとって仕事が楽なところから7対1になっていくという順番はよくないだろうと。 本当に価値が高い、僕らからしたら、これが本当に必要な医療なのに欠けていると思うと ころから7対1というのが進んでいって、行く行く全部が7対1になればいいだろうと思 いますので、そういう形のものを何かで示していけたらいいのではないかという、そうい う意見だということで御理解いただけたらと思います。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  先ほど大島専門委員のお話で大分整理されたような感じがいたしますけれども、先ほど 課長の方で示されました3ページの8点のまとめがございました。これは前回御議論いた だいたところで一応まとめたものでございますが、この中で、今日の議論を聞いておりま と、一つはかなり長期的な対応が必要であるというものがあります。一番最後に書いてあ ります「看護師確保対策」、これは質的にもあるいは量的にも必要だろうと思いますが、 こういうのは今すぐここで議論して結論が出るものではありません。それから、下から4 つ目の「看護の必要度」というのが、これは今回非常に大きなポイントになろうというよ うに思っていたのですが、これも7対1の必要度というものをすぐここで出すわけにはい かないというようなことでございました。それから、下から2番目の丸ですけれども、そ の「創設の趣旨」というところの検証も、これもなかなかすぐには難しいというような話 が出ております。こういうのは、ただ非常に重要な点でございますから、少なくとも次期 改定、つまり20年度改定に向けてこれらをきちっと議論を詰めていくということが一つ の課題として与えられているというふうに理解しております。  1つ目の丸のところですが、皆さん先ほどからこの流れは基本的には御同意していただ いていると思います。しかしながら問題は、2番目の丸にありますように、過渡期の中で 混乱が見られる。先ほど大島専門委員から話がありましたように、医療における混乱ある いはひずみというものは、これは簡単に放置できるものではないということから、何らか の対応策が必要であろうということで議論を進めてきたというように理解しております。  ただ、その場合に、先ほどの話に戻りますが、混乱がどの程度か、あるいは程度なり質 が把握できまして、それによってこちらでどういう対応が必要かという具体策を初めて講 じることができるわけですが、混乱の程度、つまり先ほど邉見委員から一部話がございま したが、そういうのを客観的に判断できるような材料として提出していただきたい。これ は先ほど日医の方で調査されていて次回調査結果をお示しいただけるという話がありまし た。看護協会の方も、ただ、1月末というのはちょっと遅いので、もう少し早めていただ ければ、次回予定されているのは1月17日ですね、そのぐらいまでに出していただけれ ば一緒に議論の材料になりますので、そういうものを踏まえながら、どの程度の混乱があ って、それでどの程度の対応策が必要であろうかという議論になっていくだろうというふ うに思います。  ですから、ここはあくまでも長期的な質なり量なり、看護体制7対1あるいはその10 対1がどういうように方向を進めていくかというところの議論は20年度改定でもう一度 きちっとやっていきたいと思います。それから、先ほど話がありましたように、今非常に 大きなダイナミックな動きが生じている。地域医療をどうするかということを踏まえて議 論していきたいと思います。ただ、当面ここで議論していただきたい、あるいは決めてい ただきたいのは、混乱というものがどの程度あって、それに対してどういう対策が必要で あろうか。あるいは対策なくして済まされるかどうかということをきちんと議論していた だきたいということでございます。  そういうことで、もう一度この点は改めて議論させていただきたいということで、一た んここで締めていただいてよろしいですか。 ○松浦委員 ちょっと1つ。実はデータのとり方なのですけれども、7対1がこれほど各 委員さんから出て問題になっているので、例えば制度改正する前の2対1というのが看護 基準の最高だったと思うのですが、その病院の実態、何床の病院が2対1の看護基準をと っていると。それと、今7対1をとっている病院、それもやはり病床別に出してみるとい うのは、これはそんなに難しい作業ではないと思いますので、ぜひそういうことぐらいは 次回には示してほしいと思います。  以上です。 ○土田会長 重要な指摘だと思います。よろしいですね、医療課長、今の資料の提出でご ざいますが。 ○事務局(原医療課長) 7対1の規模別については前回出させていただいて、561施 設のうち200床未満が340であった。さらに100床未満のところが229あります ということは、前回報告させていただきました。 ○土田会長 もっと新しい時期のものですか。 ○松浦委員 できればもっと新しいのがいいし、そのデータでもいいのですけれども、も っと新しいものを出して、それと2対1ですね、改正前の、それもあわせて表にして出し ていただければよくわかると思います。 ○土田会長 どうもありがとうございます。  それでは、この議論はそういうことで次回にまた引き続き行いたいと思います。  それからもう1つの療養病床の点でございます。これについて御議論いただきたいと思 います。どうぞ。  これは前回もどうぞと言ったところで議論がなくて、そのまままた継続になったのです が、つまりこれは、1つは、医療課長の方から示されました医療区分1、2、3の動向が どうなっているかという、その変化の比率のデータが出ております。それから、ただいま 日本医師会の方からは、要介護度、介護保険の方からの介護療養型施設とのデータを踏ま えながら、こういう状況になっているという説明がございました。ただ、はっきり言って それだけでは一体どうすればいいのかというのがよく見えてこないということは確かでご ざいますので、それがどういう問題でどうしなければいけないかというところまでもう少 し踏み込んだ提案なり問題提起をしていただきたいということを要望しておきます。1月 に具体的な問題を提出していただきましたら、どういう形でそこを対応すべきか、あるい はどうなのかということを議論していきたいと思います。これだけのデータですと、なか なか具体的な対応というのがとりづらいということを率直に申し上げたいと思います。よ ろしいでしょうか。 ○松浦委員 実は、これ療養病床が今危機的状況にあるというので、まず改定率は内閣が 決めるということを前提として私は発言しているわけですが、DPCがどんどん進んでい ますね、そうすると、これは前に検証をされた先生の報告によると、粗診粗療というもの はないという報告が前に出たと思うのです。しかし、これがずっと広まっていきますと、 中にはそうでない病院、医療機関もひょっとしたら出てくるかもわかりませんね。やはり なるべく早く出てもらって、それで回転を早くしたい、こういうインセンティブはDPC の中にあるわけですから、そういうような状況の中で、どんどんこのDPCが増えすぎま すと、私も初めは理想は全部このDPCになったらいいと言っていたのですが、本当の医 療難民というものが出てきかねない。  そういうものに対する受け皿として、DPCの診療報酬体系と、今療養病床の医療区分 3、2、1ですね、そういうものは関連しているのでしょうか、連携がちゃんとうまく絡 み合っていくのでしょうかね。その辺はちょっと2号側委員に私はお聞きしたいのですが。 ○飯沼委員(代理天本氏) 1つの問題として、DPCで非常に短期間で治療ということ に専念しますけれども、在宅に帰る場合には、やはり生活機能障害、それから継続して介 護が必要といったものが必要です。それのケアマネジメントといったものはDPCの中で は不可能です。それを例えば医療区分1の人でも受けるとなりますと、先ほどの給付の問 題で非常に受け入れが厳しいという問題もあります。ですから、ある期間はどうしても狭 間(はざま)の医療がこれからは必要だろう。  それからもう1つは、医療区分3の、器官切開とか、そういう方々を受けるといたしま しても、現在のこのパーセンテージからして、これ以上受けていくということも、これも また厳しいかと。  もう1つは、超急性期でDPCで行われる医療において、特に高齢者において、この医 療区分3の状態像ということが高齢者にふさわしい医療なのかどうなのか。これはしっか りこれから議論をしていただかなければいけない問題だろうと思います。  それから、DPCではないもう1つの問題とすれば、これから在宅を進めなければいけ ないと、その急性増悪したときにDPCで対応する対象群もいらっしゃいますけれども、 DPCでなくて十分対応できる高齢者にふさわしい医療、そのための医療機関というもの もこれからの議論になるのだろうと思うのです。例えば看取りをするときに、在宅で看取 り、これからいろいろなサービス形態あるいは日本歯科医会としてもいろいろな意識改革 をしていこうと思っておりますけれども、その癌以外の末期という際に、やはり医療区分 1のような対象者でホスピス的な対応を望まれると、でも家では不安だと、そういうよう な人たちが、これが医療区分1の今の給付ということではやはりふさわしくないと思う。 いろいろな問題点があると思われます。 ○土田会長 どうもありがとうございました。 ○対馬委員 先ほど会長の方からお話があったとおりだと思うのですけれども、国会等で も確かに附帯決議がされていますけれども、それも、速やかな調査・検証を行って、その 結果に基づいてということになっていますし、また、我々の自主性といいますか、当事者 としては、国会もありますけれども、2月15日、まさに前回の改定の終わったところに 中医協としての附帯意見というのを出しているわけですね。これの中では、包括評価の実 施状況ついては、調査専門組織を通じて客観的なデータを収集して検証を行うことという ことになっているのです。  ですから、そういうことからすると、やはり分科会、専門組織の方ですね、これは天本 先生もお入りになっているのでしょうか。 ○飯沼委員(代理天本氏) はい。 ○対馬委員 そこでの結果を見て、それからやはり議論していくということでないと、な かなか今おっしゃられたような話だけでというのは、もう先ほど会長が言われたとおりだ と思いますので、そこでの実際の実証的なデータに基づいた議論を行っていく、こういう ことではないかと思うのです。 ○飯沼委員(代理天本氏) もちろんその検証はこれからしていかなければいけないと思 いますけれども、この現在の医療区分1、厚労省でも42.9%、これは本来ならば介護 施設で、サービスで対応十分であるというような認識の下でこういう区分けが、値づけが されたのだろうと思うのです。先ほど示しました資料のように、受け皿があってという大 前提があると、しかも、特に医療区分1の中でも、要介護度4、5という方がいらっしゃ るわけです。その方々は、本来ならば介護療養型が適切であろうと思うのですけれども、 それをむしろ廃止するというような現状を、我々とすれば、このままやはり……。医療区 分1の給付の対応というものは、モーニングケアとかイブニングケア、そういうような介 護というものも必要なわけですので、前回の池上委員長からの報告のように、その介護に 関する費用というものは、この医療区分1の中には医療必要度だけしか入っていないとい うことははっきりしたわけですので、これはきっちりとしたデータに基づく実証ではない かと私は思います。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  この問題は、先ほど対馬委員から話がありましたように、現在、池上委員会の方で検討 いただいておりますが、ただ、その検討の中で、果たしてここで改定の材料になるような 形が出てくるかどうかというのはまだ確約できない状態だというふうに判断しております。 ただ、これもやはり同じですが、やはり問題が出てきた場合には、先ほど対馬委員の話と ちょっと反するかもしれませんが、ここで附帯意見を出したときは、こういう問題が出て くるというのは必ずしも予測できませんでしたし、それから介護保険の方でああいう形で 全部廃止するということを前提としない議論をずっと中医協でやってきましたから、やは りそこをある程度踏まえながら、あわせて療養病床の問題は検討していく必要があろうと いうふうに私は思っております。またこれも1月に引き続き議論させていただきたいと思 います。 ○勝村委員 別のことで1つだけ発言をお願いします。この後検証部会があるので、お忙 しい中なのですけれども、ちょっと検証部会の前なのですけれども、先日残念なニュース があって、総務省の中国四国管区行政評価局が、広島、山口、鳥取の社会保険事務局に指 導を勧告したということです。それはどういうことかというと、10月1日で完全実施の はずの内容の分かる領収証の発行が2割以上できていない。しかも、より詳しい明細書の 発行ができることの掲示ができていない。それにもかかわらず電子加算されていると。そ れを至急厚労省の方でちゃんと指導しなければいけないということが、総務省から厚労省 に指導が入っているということです。せっかくいろいろ議論してきているのに、決まった ことができないという状況で、しかも総務省から指導をもらっているという状況は非常に 残念なので、ぜひそういうことがないように厚労省にお願いしたい。2号側の委員さんに も、こういう報道がされているわけですから、領収証の発行と、より詳しい明細の発行が できるということの掲示、両方の徹底を至急にぜひお願いしたいと思います。 ○土田会長 次回の日程はまだですか。 ○事務局(原医療課長) 次回の日程は、1月17日を予定させていただきたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  それでは、総会はこれで終わります。引き続き検証部会がありますので、しばらくお待 ちください。 【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)