06/12/18 介護予防継続的評価分析等検討会 第1回議事録 第1回介護予防継続的評価分析等検討会議事録 1. 日時及び場所 平成18年12月18日(月)13:00〜15:00          東海大学校友会館「阿蘇の間」 2. 出席委員 植田、大川、大久保、大渕、坂元、杉山、鈴木、高橋、竹澤、丹後、 辻の各委員 石田、津下委員は欠席 3.議題   (1)継続的評価分析支援事業等について   (2)調査票及び記入要領等について   (3)データ分析のイメージについて   (4)その他 ○ 鈴木老人保健課長より出欠状況等の報告。 ○ 阿曽沼老人保健局長より挨拶。 ○ 鈴木老人保健課長より検討会構成員等の紹介が行われた後、辻委員が座長に選任さ れた。 ○ 藤井企画官より、資料1及び資料2に沿って説明。 (辻座長)  ただいま継続的評価分析支援事業につきまして、その趣旨、目的、調査の具体的な内 容、それから、今後のスケジュールなどにつきまして御説明いただきましたけれども、 これにつきまして御質問などありましたらお願いいたします。 (竹澤委員)  今の今後のスケジュールのところで、平成20年の秋ごろにデータの集計ということ なんですが、実は市町村は平成20年には次の介護保険の事業計画を立てるということ で、市町村が立てていく介護保険事業計画のとき、介護予防の事業効果はどうだと各市 町村で当然議論されると思うんですけれども、その辺でこの研究が利用できるのかどう か、ちょっとお聞きしたいと思います。 (藤井企画官)  まさしくその辺りのことも踏まえて、市町村に御活用いただきたいと思ってございま す。秋ごろと書いてございますけれども、その辺りのスケジュールも考えまして、調査 自体は平成21年1月末までやっていただくんですが、平成20年の秋ごろには一旦デー タの分析等につきまして当検討会でお願いをいたしまして、お示しするというスケジュ ールを組ませていただきたいと考えております。 (辻座長)  ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。  それでは、調査の内容につきまして、資料3、資料4を事務局から御説明をお願いい たします。 ○ 大沢課長補佐より、資料3及び資料4に沿って説明。 (藤井企画官)  すみません、ちょっと補足させてください。これは非常に膨大な量なんですけれども、 事前に先生方に送らせていただいたものとは変更はまずございません。それから、内容 はこれまで各介護予防プログラムの内容等について御検討いただきました先生方に御意 見をいただきまして、まず、たたき台をつくらせていただきまして、やりとりをしてい ただきました。  また、先日市町村にもこういう内容で大丈夫かということも集まっていただきまして 御説明申し上げまして、その中でも少し市町村がデータとしてとりにくいといった内容 については、若干修正等をさせていただきまして、今回資料として出させていただいて おります。よろしくお願いいたします。 (辻座長)  ただいま継続的評価分析支援事業の調査票、記入要領につきまして、事務局から御説 明をいただきましたけれども、この説明に対しまして御質問あるいは御意見がございま したらいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 (大渕委員)  1つ確認なんですけれども、基本的には地域包括支援センターでということでしたの で、ケアプランごとにということになりますが、複数のケアプランといいますかサービ スを利用するようなときには、結果というのはどう考えればいいでしょうか。 (藤井企画官)  複数のサービスというのは通所とか……。 (大渕委員)  通所で口腔と栄養と運動器と一緒にやりましたといった場合に、ケアプランごとで見 ていくと、例えば、それで主観的に効果が変わったと言われたときに、因果関係という のはわかりにくくなるかなと思ったんですけれども。 (藤井企画官)  基本的には、先ほど大沢の方から御説明させていただいたんですが、地域包括支援セ ンターで書いていただく部分と、これは御本人からの聞き取りも含めてなんですけれど も、それと、各サービスの事業所さんで書いていただく部分と少し分けて調査票をつく らせていただきまして、それを最終的に地域包括支援センターの方に集めていただいて、 それを入力していただくという形にさせていただいております。そういう意味では、各 サービスを複数利用されている方につきましては、複数の事業所さんで書いていただい たものを集約していただくということになりますし、共通事項につきましては、地域包 括支援センターで記入していただいて入力していただくという形になります。複数サー ビスの場合には、それぞれの事業所で書いていただくということを想定させていただき たいと思っております。 (大渕委員)  一応指摘しておきたいんですけれども、個別のサービスについてはかなり機能的な話 が主体でありまして、市町村に求められているような介護予防の主観的健康観がどう変 わったとか、要支援・要介護はどの程度変わったかというのはケアプランごとになって いるんですよね。これでもそうだと思うんですけれども、そうすると、一番表に見える ところというのが、各サービスの効果を示すものにはならないのではないかというのが ちょっと心配しているところです。 (藤井企画官)  わかりました。その辺り今後配慮させていただきまして、分析等については留意させ ていただきながら検討をお願いしたいと思っております。 (辻座長)  私から補足なんですが、大渕委員が心配されるのは、基本的に評価するディメンショ ンとして2つあって、1つは心身の機能的な部分あるいは栄養状態といった個別のサー ビスに対応するような機能の変化と、もう一つは、それを超えたQOLとか主観的健康 度とかあるいは要介護度という、2つのディメンションがあるだろうという話ですよね。 そして、個別のサービスとしては因果関係的には考えられるけれども、要介護度とかQ OLの変化については、例えば運動器の機能向上と栄養改善、あるいは口腔の機能向上、 あるいは一般高齢者施策といった具合に複数の種類の介護予防サービスを1人の個人が 受けているときには、個々の介護予防サービスとの間で因果関係はなかなか議論できな いのではないかという危惧ですよね。  それについては、基本的にはその両方とも大事だと思っていますし、勿論、プライマ リーに大事なのは要介護度とか生活の質というところが一番大事だと思うんですが、因 果関係的なところについては、調査客体が大体1万人以上になると見込まれていますの で、多変量解析をいろいろモデルを組んで、その中で使っているサービスの種類とQO Lとか要介護度の改善レベルとかその辺を出していければと考えていますので、また先 生にも御指導いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  ほかに何かございますか。 (丹後委員)  私は介護予防に関して全くの素人で申し訳ないんですが、資料3、資料4という形で かなり膨大な調査票の説明をされるのは大変な調査だなというのはよくわかるんですけ れども、今回の主な目的、つまり効果と費用というものを考えているわけですので、こ の調査でどういった評価をするのかという概念、それから、どういった指標があって、 それをはかるためにこういう調査をするんだという話があるのではないかと思うんです。 ですから、最初から調査の話をかなり膨大にやってしまって、今、座長からもいろいろ なことができるという話をされているんですが、やはり実際には主な効果というのはど ういう指標で見るのかをきちんとまとめて、それに対してこういう調査票が必要だから やっているんですよというのが見えてこないと、何となくすごい調査をやってしまって、 後でどう考えようかということで考えるんだというようなスタンスに見えてくるので、 それは非常にまずいと思うんです。最初から焦点を絞って、こういう効果についてこの 評価で行うんですよと。その効果に必要な資料としてこういうものをやるんだと。その ときにはどういう計算方法で評価をするんだということが見えてくるようなまとめ方を されるのだろうと思うんですけれども、今の説明を聞いていると、最初に調査票がボン と来るので、その辺の順序関係が多分、勿論皆さんは専門家の方が多いので、そんなこ とは当たり前だということがあるかもしれないんですけれども、後でレポートをまとめ ていく段階でこういった指標、こういった効果を見るために、この調査票のこういった 部分を使ってやるんだというのがある程度見えてくるようなまとめ方をしてほしいなと 思います。 (高橋委員)  多分それは資料5なのだろうと思うんですが、私は資料5をさっきから一生懸命眺め ておりまして、これとこちらのリンケージが、まだちゃんとモデルになっていないです よね。そうすると、手法の選択の話というのはここで議論するのだろうと思います。だ から、これとこの前を媒介するような作業がないと、多分ここでは議論がしにくいです よということを丹後委員はおっしゃっているのかなと思いました。 (辻座長)  どうしましょうか。私も事前に相談を受けて、どっちを先にするかというのはいろい ろ議論はあったんですけれども、具体的なところからの方が取っ掛かりがいいかなとい う感じもしたのでそうしたんですが、まず概念的なところから始めた方がよろしいとい うことであれば、そうしたいと思いますので、最初に、資料5「データ分析のイメージ について(案)」を御説明いただいて、今回の事業で何を評価しようとしているのかとい うことを明らかにした上で、それに沿った形でこういったデータになっているというと ころを出して、また戻って議論したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしま す。 (藤井企画官)  了解いたしました。それでは、資料5をお手元に御用意いただければと思います。資 料5が、今、御説明申し上げました調査項目等を用いましてデータを分析するイメージ について、まとめさせていただいたものでございます。  このデータ分析のイメージにつきましては、事前に辻先生あるいは大久保先生、丹後 先生、鈴木先生等々にも御意見を伺いながら、こういう方向でどうでしょうかという形 でまとめてさせていただいたものでございます。  先ほど資料2のときに御説明させていただいたんですが、主に分析していただきたい 内容は、費用に対する効果の部分と、もう一つが高齢者の心身の状態、活動状況の変化 の分析という2つの目的があろうかと考えてございます。  1ページに書いてございますのは、その1つでございます介護予防サービスに要した 費用に対する効果の分析のイメージであります。後ほど御説明申し上げますが、5ペー ジ以降に高齢者の心身の状態や活動状況の変化の分析のイメージをつけさせていただい ております。  まず、1ページの費用に対する効果の分析でございますけれども、先ほど冒頭に局長 からもお話をさせていただきましたが、これは附帯事項で3年後を目途に、この辺りを 解析するようにという宿題をいただいているものに対応するものでございます。  2のデータ集計の方法でございますけれども、大きく分けて(1)のこのサービスを導 入した後の状況と、(2)の導入前の状態を比較する必要があると考えてございます。  後ほど図で説明させていただきますが、ここで概略を御説明させていただきますと、 サービス導入後につきましては、主な対象者といたしまして、要支援の方と特定高齢者 の方を対象とさせていただきたいと思いますが、[1]継続的評価分析支援事業の調査で要 介護認定等の状況につきまして、まず把握をさせていただくというのが1つ。  2つ目といたしまして、この調査におきましては、その時々で使っていらっしゃるサ ービスにつきましても記載していただこうと考えてございますので、そのサービスの内 容に応じまして利用回数あるいは介護報酬単位数等に当てはめまして、そのサービスを 受けていただき始めてから3か月ごとにとらせていただきますが、その変化、そして、 最終的にその方が要介護認定を受けました、または要介護認定等の状況が変わったとい うこともあり得ると思うんですけれども、そういったものも踏まえて一定期間、具体的 に言いますと調査の最初のときからの累積額につきまして計算させていただきたいとい うのが[2]であります。  「なお」以下は、要介護認定者あるいは一般高齢者となって対象から外れた場合につ いても、その費用を換算したいと思っております。  (2)導入前の方でございますが、基本的に4月以降このサービスを利用しないという 群をなかなかつくりにくうございますので、それでいろいろ御相談をさせていただいた んですが、まず1つが過去の方に対しまして、要支援の方につきましては介護給付費実 態調査等におきましてデータを収集し、対照群を想定させていただいたらどうかと。特 定高齢者につきましては、後ほど鈴木先生からお話をいただければと思っておりますけ れども、チェックリストに関するパイロット調査を行っておりまして、それにつきまし ては大体5,000人ぐらいの対象で、特定高齢者の候補者として500人ぐらいいらっしゃ ると思うんですけれども、その方と今年それについてフォローしていただいている方に ついて対照群とさせていただいてはどうかということを想定しています。  口頭で恐縮だったんですけれども、3ページにその辺のイメージ図を描かせていただ いております。導入後、導入前ということで前後を描かせていただいております。導入 後につきましては、基本的に要支援1の方が、かつてのサービスの要支援者に該当いた しますので、その方たちの比較をさせていただく。効果の分析といたしましては、導入 後は継続的評価分析支援事業で得られたデータ、費用につきましても同様に、そのデー タを使わせていただきたいと。  導入前につきましては、介護給付費実態調査等におきましてということでございます が、この介護給付費実態調査につきまして少し補足で資料をつけさせていただいており ます。7ページでございます。先ほど座長からもお話がありましたが、継続的評価分析 支援事業、市町村事業におきましては、大体要支援者の方が1万4,400人程度。特定高 齢者の方が3,600人程度、これは市町村からの事業計画書に書かれておりました、大体 想定する人数を積み上げたものを記しております。  介護給付費実態調査というのが2つ目に書いてございますが、これにつきましては、 一番右に「主な調査項目」と書いてございますけれども、対象者の基本情報、それから、 サービス等に関する情報といたしまして、それぞれのサービスの利用内容、給付費、心 身の状態に関する情報等が入ってございます。具体的な要介護認定区分等でございます けれども、こういったものを活用させていただきたいと思います。これは要支援者の対 象として使わせていただくもので、人数はここに書いてあるとおりのものが対象になっ ております。  特定高齢者につきましては、基本チェックリストに関するパイロット調査、追跡調査 と書いてございますけれども、特定高齢者の候補者、これは全国で12の地域におきま して平成17年と平成18年に同じ方を対象にいたしまして悉皆調査をしていただいたも のですけれども、それにつきまして特定高齢者の候補者数というのが600人程度いらっ しゃる。それぞれ対象者の基本情報や心身の状態に対する情報というのがあると書いて ございます。  一番下は一応参考でございますけれども、そういった調査の中で足りないものにつき ましては、補足的に認定支援ネットワーク、これは認定状況等を記録しているものでご ざいますが、こういうものも使えるのではないかと考えております。  全体の調査の内容につきまして概略をお話ししましたが、3ページに戻っていただき まして、そういったデータで導入前と後につきましての対照群、ただし、その対照群の 補正方法と書いてございますが、全く同一人物につきまして比較しているものではない ものですから、導入後のデータに対して導入前の対照群として想定する群につきまして は、性や年齢等で補正をしていただく必要があるのではないかと考えてございます。  分析のイメージですけれども、認定の改善・維持・悪化の状況につきまして、例えば、 これは要支援1の方が特定高齢者に改善された、あるいはそのままであった、あるいは 要介護区分になられたといったような状態の変化ですけれども、それから、その方がサ ービスを受けている期間累積をした費用を前後で比較いたしまして、費用の増減分を効 果の増減分で除して、その効果について分析をしていただいたらどうかと。  同様に、4ページが特定高齢者の方のイメージでございますけれども、導入後につき ましては、当然ながら継続的評価分析支援事業、市町村事業によって得られたデータで 効果の分析をすると。ただ、導入後でございますが、費用の分析につきましては、介護 報酬等々がついておりませんものですから、特定高齢者施策に係る事業費というものを 計算させていただいて費用に持ってくる。  右の導入前につきましては、先ほど申し上げましたパイロット調査あるいは追跡調査 によりまして対照群を想定していただきまして、過去には特定高齢者施策というものが 平成17年度にはなかったものですから、そのときに該当する介護予防に関する事業に つきまして費用を算出させていただきまして、同様の補正を行っていただき、分析につ きましても前後におけます増減分、効果につきましても前後におけます増減分等で除し ていただいて、効果を判定してはどうでしょうか、という案を記載させていただいてお ります。  今、御説明申し上げましたのが費用に対する効果の部分でございます。先程の調査の 中で主に使用することを想定しておりますのは、利用者の方の状態の改善についての部 分と、サービスの利用についての部分になります。 (辻座長)  要するに、今回の分析で考えておりますのは、費用対効果をかなり意識した効果の部 分と、もう一つは、これからお話しする心身の状態とか活動状況の変化というところで す。まず、前半について少し議論を集中した方がいいと思うんですが、今私が申し上げ ているのは、資料5の1〜4ページまでのところなんですけれども、具体的には、例え ば、3ページの横表を見ていただきたいんですが、ここで言うところの効果というのは 要介護認定度の変化ということです。要支援1とされた方がその後改善して非該当にな ったか、あるいは要支援1のままか、要支援2あるいは要介護に悪化したか、この認定 度の変化、その状況を効果と定義しようということであります。  これから集めますデータというのは、来年1月からデータを集めていくわけですが、 介護予防ケアプランごとに更新していくわけですけれども、そこで要支援1だった方が 例えば、半年後などに何割の方が改善した、何割の方が変わらない、何割の方が悪化し たというデータが出るわけですが、それだけでは効果とは判定できないわけです。  もう一つどういうデータがあれば効果と判定できるかというと、昨年度までの介護予 防が導入される以前のデータです。かつての要支援だった方における改善のパーセント、 維持のパーセント、悪化のパーセント、それと比べることによって初めて比較できて、 この介護予防の効果というものが出てくるわけです。そこで一つ頭を絞らなければいけ ないのは、導入前のデータがちゃんとあるかということでありまして、そこは非常に難 しいところなので、事務局の方もかなり頭を絞っているわけですが、導入前の状況をコ ントロールとするときの資料として、介護給付費実態調査、昨年度までのデータで要支 援の人が何パーセントが非該当に改善し、何パーセントが要支援のまま、何パーセント が要介護に悪化したというデータがありますので、それと比べていきましょうというこ とです。  もう一つが、4ページの特定高齢者に関しましては、昨年度まで特定高齢者という区 分がなかったわけですから、行政データとしていわゆる特定高齢者の方々その後の機能 の推移というものについてのデータはないわけです。ですので、唯一存在しているデー タというのが、基本チェックリストに関するパイロット調査です。これは昨年度12の 市町村で65歳以上の方、各市町村で選んでいただいた行政区に住んでいらっしゃる65 歳以上の方に悉皆調査という形で、たしか8,800人ぐらいの方を対象に行われまして、 回収率が95%以上とかなり高い回収率だったわけですけれども、そこで特定高齢者の候 補者、その基準を満たす方々を把握しております。その方について今回もう一度調査し ていますので、特定高齢者の方が1年後どうなっているかということをコントロールと して出せないかということです。  そして、今回の来年1月以降の調査のデータと比べることによって、特定高齢者と言 われる方々が、従来では何パーセントの方がその後要支援・要介護に悪化しているんだ けれども、今回利用している方の中では何パーセントにとどまっている、その差で効果 を推定できないかということです。きっちりと評価をするには、ランダム化比較試験と 言いまして、片方は新しい介護予防を行って、もう一つの群はしないという形で比べる のが一番厳密ですけれども、介護予防は国全体としてやるんだということは法改正によ り決まっておりますので、ランダム化比較試験は不可能です。そこで改善の策としてヒ ストリカルコントロールと言いますけれども、以前の状況との間で比べていくことを考 えております。ただ、以前との状況をどのくらい比べられるかというのは非常に難しい ところなんですが、その辺を含めて丹後先生とか高橋先生あるいは鈴木先生といった、 そういった調査にお詳しい先生方のコメントをいただきたいと思いますが、いかがでし ょうか。 (丹後委員)  今の辻先生のお話で、少し私の頭の中がクリアになってきたんですけれども、そうし ますと、この身体の影響はまず見ないで、今の前半の部分は、とにかく認定の変化を効 果にしようという発想なんですね。そうすると、実は後に身体の状況の変化を見て、そ れが認定の変化とどうマッチしているかということを調べようという話をされているん ですが、2段階あって、本来は個人の変化がよくなる、または悪くなるという方が正し い評価であって、その間に認定のプロセスが入っているわけですよね、そういう情報を 集めて。ですから、最初の認定の変化だけを今回の効果にするという趣旨が、こんなと ころでこういうことを言ってはあれなんですけれども、本当にそれでいいのかなと。つ まり、それは後で具体的な分析として見るんだと、まして、その具体的な分析で全然違 っていたらどうなるんだということが出てくると思うんですよ。ですから、それは必ず 両方一緒になって見てみないと、つまり、こちらの変化だけで見てこうだと言っても、 実際は具体的な身体活動といったものとのポラリティがなかったら、この評価というの は何なのかという話になりますので、そこのところはきちんと両方やることが重要なん だという位置づけをしないと、評価という観点からすると少しおかしいのではないかと いうのが1点。  それから、費用効果の話で、これはどうでもいいのかもしれないんだけれども、効果 の増減分を費用の増減分という分母分子にしているんですけれども、逆ではないかと。 つまり、費用の方が分母に来て、分子に効果が来る。つまり、このぐらいのお金を掛け たんだから、こういう効果があったんだよと言う方が、費用対効果という観点からする と自然な尺度ではないかという感じが、これはひっくり返せばいいだけの話なんですが、 それが2点目。  それから、基本的にこれは個人個人のデータで効果が出るわけですよね。改善、悪化、 変わらないとか。それから、個人個人の費用が出るわけですが、更に共通の費用という のがあるわけです。ですから、この概念図というのは極めて簡単な概念図なんですけれ ども、個人個人のデータを集計して、個人のバリアビリティをきちんと評価して、最初 の費用対効果を計算するというプログラムはそんなに簡単ではないと思うんですが、そ こをきちんとやるということが、やはり次のポイントとして大事ではないかと、この3 点です。 (辻座長)  まず、2点目の費用対効果を大久保先生からお願いいたします。 (大久保委員)  丹後先生に御指摘いただいた分母分子が逆じゃないかということですけれども、事務 局案は最初、分母分子が逆になっておりましたが、この種の研究は一効果当たり幾らお 金を使ったというような分析の仕方をするのが一般的なものですから、私はあえて逆に させていただきました。つまり、健康な1年を得るのに大体何百万円掛かるとか、1年 寿命を延ばすのに何百万円掛かるかといったような指標をとるというのがごく一般的共 通の概念で、慣例としてそうなっているものですから、そのようにさせていただきまし たけれども、ここでは逆にしてもいいということであれば、それはそれで構わないと思 いますけれども。 (丹後委員)  つまり、今の話で、逆にするということは、例えばNNTというような指標を想定さ れているんですかね。 (大久保委員)  一効果当たり幾ら金が掛かるか、一効果単位当たり幾らお金を使うかというのが一つ の指標として使われているので。 (丹後委員)  今の場合、改善・維持・悪化というような3カテゴリーがあったときに、それをどう やってメジャーするかは別の問題でしょうけれども。 (大久保委員)  ですから、効果の指標を何にとるかということが非常に重要なことで、この効果は一 応介護度の変化ということで見ているわけで、介護度が維持もしくは改善するためにど のくらいお金を要したかということだと思います。この効果がベストか否かというのは いろいろ議論があるかと思いますけれども。 (丹後委員)  2番目については了解しました。 (辻座長)  あと1番目と3番目は多分折り合う話だと思うんですけれども、この介護予防の効果 とは何ぞやということが、ディメンションごとに違うということなんですね。行政的に 最もプライマリーな指標としては、要介護認定度の変化ということが効果ということに なります。次には、介護予防にかかわっている人たちの思いとしては、生活の質という ものです。生活の質ですとか、生活の活発度といったものが大事な指標になってくるん ですが、ただ、それが活発になったからといって要介護認定度が変わるかというと、一 定の関連はあると思うんですが、常に自動的にそうなるという一方向性はないと思うん ですね。ですから、違うディメンションで考えざるを得ないと。  もう一つは、個々の心身の機能ですとか、生活の機能といった具体的な数値で表現さ れる部分。大きく言って、この3つのディメンションがあると思うんですが、まずは費 用対効果、行政的な観点で議論する場合は、要介護認定度といったところの変化で議論 をせざるを得ないと思うんです。だからといって、それ以外のものが不必要かというと 決してそうではなくて、むしろ後半で出しますように、今日かなり膨大な質問票を用意 していますのは、生活の質ですとか、生活の活発度あるいは生活機能、心身機能といっ たところをかなり重視したいからです。そこで我々も非常に頭を悩ませているというか、 これから考え時だなと思っていますのは、まさに先生がおっしゃったとおり、要介護認 定度の変化と個々の人たちのソフトなデータの変化とをどのように意味づけていくか、 ということを我々も考えたいと思っておりまして、そこは是非、先生の御意見をいただ きたいなと思っています。 (丹後委員)  というよりは、私の考えているのは、つまりそれがちゃんとリンクしていれば今の要 介護認定の問題点が浮かび上がってくるということになりますので、つまり、こちらを 別途やって、補助的にこちらをやるという話にすると、乖離が起きたときに解釈が非常 に難しくなるということになるのではないかと思います。 (辻座長)  そこのところは先生御指摘のとおりでありまして、特に別途にするとか対立的な概念 としてとらえるというものではなくて、むしろ、どういうふうに統一的に考えていくこ とができるか、あいるはそういった一つのモデルをこの中から出していければなと考え ていますので、またよろしくお願いしたいと思います。 (高橋委員)  割と印象的な物言いで恐縮なんですが、多分、介護予防サービスの効果という議論が 一つあって、問題はやはりいいサービスをしているといい効果があるという話に近い。 それから、その人のQOLの改善というレベルが一つある。  それから、もう一つは、今回の新予防給付あるいは地域支援事業の介護予防の制度的 評価と言うのでしょうか、その議論の層があって、これがこれからいろいろな議論をす るときに、常にごちゃごちゃに議論される可能性があるので、それを方法論的にも少し 整理しながら、それをきちんと識別していただく必要がある。というのは、制度評価の 場合は多分、介護予防給付の3種類、アクティビティも入れたものが、恐らく介護サー ビスについては均一化した分析をしないとしようがないのだと思いますが、現実にその 人その人については、いい予防をやっているところで運よくいいサービスを受ければよ くなっているけれども、同じコストを掛けても大したことをやっていないところは全然 予防がなかった、その辺の分離ができなくなってしまう可能性があるので、その辺の議 論を、完璧な分析は絶対データの制約で難しいので、まとめていく段階で今何をやって いるのかということを相当意識しながら作業しないと、ちょっとごちゃごちゃになって しまう。ここではわかっていても、社会的に外に出したときに多分相当いろいろなこと が誤解を発生させるなと、ちょっと評論的な言い方で恐縮ですが、気になりました。 (辻座長)  ありがとうございます。おっしゃるとおりでありまして、今日私たちのデータの資料 の出し方も、まとめて出してしまったという部分があるんですが、ポイントは、システ ム全体として今68か所と言いましたけれども、地域包括支援センターのデータ全体と して効果がどのくらい上がっているのかというのが一つあると思うんです。  2つ目は、どういったサービスの組み合わせ、頻度や職種などで効果が上がっている か、効果が上がっていないか、あるいはサービスを受ける人についても、どのような背 景因子の方で効果が上がっているか、そのような切り分けもできてきて、それがサービ スの質の評価あるいは対象者としてどういったところに留意すべきなのかというような 評価も可能だと思いますので、皆さんから御意見をいただいた上で、こういった形での 評価、こういった形での評価、いろいろな階層性も含めてカテゴリー的に出てくると思 いますので、御意見をいただければ、評価のイメージをもっと膨らませていけると思う んですけれども、何かございますか。 (大渕委員)  座長の方から提案があったのは、ヒストリカルなコントロールをとってやるという提 案だと思うんですけれども、この根本的な問題としては、介護予防の効果と制度改正と いいますか、この4月から明らかに受診行動が変わっていますよね。ああいうところが 明らかにあるにもかかわらず、これが介護予防の効果だと、これを分離できないもので すから、根本的にこういうヒストリカルなデータをとるのはこの場合は無理なんじゃな いかなという気がするんですね。むしろ、どっちもすばらしい形ではないですけれども、 今まだ介護予防の周知が進んでいませんので、介護予防本来は必要だけれども、しかし ながら、それを実際に受けていない人あるいは地域にサービスがないから受けていない 人もいるかもしれませんが、そういったものの対比みたいな形の方が効果というのはわ かってくるのではないかと思いますけれども。 (辻座長)  その議論もかなりあったんですが、例えば、現状を見て介護予防が非常に進んでいる 市町村と全く進んでいない市町村、そういうことは調べれば出てくるわけですけれども、 サービスの需給など基本的なところには、かなりバイアスがあるわけです。ですから、 それで差が出たとしても、単にバイアスを見ているだけじゃないのという話になってし まうわけです。ですから、非常に難しいんです。  もう一つは、ヒストリカルコントロールでいいのかという話があるんですが、勿論こ れは100%いいと思っている人は誰もいないので、逆に、100%間違いだと思っている 人も多分いないと思うんです。ですから、むしろそういった現実の制度の中で効果を検 証するということは、いわゆる疫学的な厳密なランダム化比較試験ができる状況とは全 く違う中で、一定の結論あるいは推論をしていかざるを得ないわけです。そういった意 味では、介護予防が進んでいる市町村と進んでいない市町村、あるいは介護予防が進ん でいる市町村の中で自らサービスを希望する人と嫌がった人と比べるというのは、まさ にバイアスそのものですから、そう考えるとヒストリカルコントロールで行かざるを得 ない。さまざまな限界はあるんだけれども、その限界はちゃんと示した上で、できるだ け実態に近づけていくという努力の方が大事なのではないかと思いますけれども。 (鈴木委員)  私も今、辻座長のおっしゃったことに賛成です。せっかく追跡が可能で、かつ、そこ からいろいろな交絡要因やあるいはバイアスといったようなものをある程度コントロー ルし得る集団が存在しているわけですから、使うべきだろうと思います。ただ、先生が おっしゃるように、新しい制度になってしまったときに、ヒストリカルコントロールに も当然それなりのバイアスが入っているわけですから、そこは気をつけなければいけな い。けれども、利用できるものはきちんと利用する。情報が非常にたくさん集まってい ますので、まず、そこのところはきちんとした方がいいのかなと思います。だから、追 跡をしたデータ、ヒストリカルコントロールをきちんと設定して、そこで限界点をはっ きりさせながら今回の制度改正に伴って、特定高齢者施策がどう動いていこうとしたの かという点を明らかにするというのは一つの手だろうと思います。 (辻座長)  ほかに、どなたかございますか。 (大久保委員)  費用効果分析ということで、最後割算になっておりますけれども、効果部分でもしマ イナスになったとき、つまり、導入前の方がよくて導入後は悪いということになったと きは、そういうことはないと思いますけれども、割算もする必要もないということ。  それと、効果がプラスになって費用がマイナスになったというときは、これも割算を する必要がないということです。これは分母分子が両方ともプラス・プラスに結果が出 たときに、今の制度は一つの効果を得るためにこのぐらいお金が掛かっているかと。こ のぐらいお金を掛けるのであれば妥当ではないか、否かという判断をする仕組みになる と思います。 (辻座長)  それでは、少し後半に移って、5ページ以降についてまた御説明いただいて、それか らまた全体で議論したいと思います。 (藤井企画官)  了解いたしました。今の委員の先生方の御議論の中でも既にお話が出ておりますけれ ども、5ページ以降につきましては「高齢者の心身の状態、活動状況の変化の分析につ いて」というパーツでございます。先ほど大沢から御説明申し上げました調査票につい ては、この基礎データとしての項目がかなり含まれていると認識しております。  イメージでございますが、6ページをごらんいただきたいんですけれども、先ほどの 調査票の内容は幾つかに分けられると思いますが、大きく分けまして属性等の基本情報 につきましての項目、それから、介護予防サービス等の利用、サービスの内容ですとか、 頻度といったことに関する内容。そして、要介護認定等の状況の変化。これは例えば、 運動器の機能向上でありましたら、個々の状態等についても入ってございます。それに ついての要介護認定だけにかかわらず、そういった細かいものも含めた改善・悪化・維 持の状況、あるいはそれを心身の機能の状態等の変化と書いてございますけれども、そ ういったものの大きく分けて3つぐらいの項目になろうかと思いますが、それぞれがど のように関係しているかということを解析していただくということを想定させていただ いてはどうでしょうかという図になっております。  例えば、具体的な分析の例といたしましては、有効な介護予防サービスの実施方法、 回数ですとか、個々内容といったもの、あるいは介護予防サービス等の効果が期待でき る属性等を指標にいたしました場合に、そういった対象者の特徴等が明確になるのでは ないかといったようなことも含めまして、その結果を用いまして、今後のサービスの方 法につきましての一つの有意義なデータとなりますので、そういったものを今後のサー ビスに活用していくといったようなことを目的としていただいてはどうかと考えており ます。  今、口頭で申し上げましたような内容が5ページに記載させていただいております。 目的は先ほど申し上げましたが、2の分析の対象となるデータにつきましては、継続的 評価分析事業で収集させていただきました調査結果全般を用いてはどうかということ。  3番といたしましては、先ほど私が口頭で申し上げましたような[1]有効な介護予防サ ービス等の実施方法の同定。例えば、運動器の機能向上に関する効果的・効率的なサー ビスの具体的な内容ですとか、[2]要支援や特定高齢者となった原因疾患別、家族等の支 援の有無等々におけるサービス効果についての違いといったようなことを解析していた だけると、これはあくまで例でございますけれども、そういうことを想定いたしまして、 委員の皆様方に少し御検討・御議論いただきたいと思っております。  以上でございます。 (辻座長)  これにつきまして御意見・御質問いかがでしょうか。  これは主に要介護認定度だけではなくて、個々人の例えばQOLの点数ですとか、基 本チェックリストの点数ですとか、歩行スピードですとか、栄養状態ですとか、さまざ まな数値化できるものについて、その変化の度合いを追跡していって、その推移を見て、 その推移にかかわる要因を明らかにしていくと。例えば、サービスとの関連でいいいま すと、どういった種類のどういったサービスをどの程度の頻度でやっていれば改善が強 いのか、あるいは変わらないのか。あるいは、利用者の原因疾患あるいは家族の支援と いったさまざまな背景要因ごとに機能の推移を見ていくことによって、サービスの効果 が期待できるような群、あいるはもっと手厚く考えるべきである群、そういったものを 洗い出していくということを考えているわけです。何かその辺につきまして。 (大川委員)  この介護予防継続的評価分析等事業の位置づけとも関係することなんですけれども、 私はちょうだいしましたこの調査票を拝見しましたら、介護予防サービスの中でも特に、 例えば、運動器の機能向上だとか栄養だとかそういう介護予防サービス実施計画書、こ れは介護予防の一番基本となるものですから、資料がお手元になくてこういうことを申 し上げて恐縮ですが、その左隅に書いてある事業の効果を判定するのが主なのかなと思 ったんです。その介護予防の非常に重要な観点というのは、やはり介護予防のケアマネ ジメントがこれまで不十分であったと。それをいかに改善するのかというところでござ いまして、その中で特に今後どういうところに視点を置こうかと言いましたら、目標を 明確にしながら進めていくと。その場合の目標というのは、やはりお一人お一人の生活 機能であると。その中でも特に、介護を要するということは、生活行為に不自由がある からそこに介護が必要なわけですから、やはりいかに生活行為、すなわち活動レベルを きちんと見て、そして、できるものを「している」レベルにまで向上していくという観 点が重要であると。  ただし、残念なことに、要介護認定のアセスメントというのは心身機能が中心ですか ら、どうしてもそこは表面に出ないけれども、御本人にとっては、それから介護サービ スにとっては活動レベルというのが重要であるということで、それをもっと評価すべき であろうと。そして、それを元にして、介護予防サービス事業計画書で言えば、アセス メント領域というものを決めて、例えば、それぞれの移動であるとか、家庭生活という ことに関して明確に目標を立てようということになっていたと思うんです。それをいか に達成できるのかというのが、介護予防サービスの非常に重要な観点ではないかと認識 しております。  もう一つは、介護予防の対象者としては廃用症候群ということ、生活不活発病という のが十分に認識されておらず、それに対しての対応が不十分であったということも大き な方針となっています。ですから、これも計画書の右下に総合的な方針として、生活不 活発病に対しての対策というのが明確に位置づけられていたと思います。  もう一つ大事な視点としては、介護予防サービスというのは何も公的なサービスを提 供するだけではなくて、インフォーマルサービスをいかに活用するのかとか、御本人に いかに指導して御本人に気をつけていただくのかということも大事な介護予防のサービ スの一環であったのではないかと思います。ですから、介護予防サービスの効果という ものを見るとすれば、今申し上げたような生活機能全般、ですから、今回は勿論きちん と心身機能と活動と分かれてございますけれども、やはり生活機能全般として活動参加 というものをきちんと見るべきではないかと思います。  それから、せっかく介護支援専門員の人たちが活動レベルに関して「できる」と「し ている」を見て向上させようとして頑張ってプログラムを組んでいるわけですし、マネ ジメントもやっているわけですし、そういう活動に関しての一個一個の効果というもの を明確に把握すべきではないかと思います。  3点目として、やはり生活不活発病に対してのプログラムの効果がどうかということ も明確にすべきではないかと思います。そういうものが介護予防の効果を判定するとい うことではないかと思うんですけれども、今回の継続的評価等事業というのは、調査票 とか今までの御説明から伺いますに、最初に申し上げましたように、例えば、これは私 の解釈ですが、資料3の1ページの下のIIIに、各サービスを実施する事業所において記 入してくださいと書いてございます17、18、19、20というところにかなり重点を置い てあって、もし、今御説明がございました5ページに書いてあります新予防給付及び通 所型介護予防事業云々かんぬんというものの評価までやるのだとすれば、ここでどうい うサービスが行われているのかというのも、この17、18、19と同じくらいに内容まで きちんと見ないと、今回の調査の結果で通所型の介護予防事業や訪問型の介護予防事業、 もしくは新予防給付全体の効果まで分析するのが私どもの役割だとすれば、大層難しい なという気がいたします。  ですから、今回の事業というのは、ここに書いてございます17、18、19、20にかな り重点を置いた効果というものを判定するという位置づけで、私どもは分析をさせてい ただくということでよろしいのでございましょうか。 (藤井企画官)  多岐にわたる御質問をいただいたので、ちょっと整理させていただきたいんですが、 恐らく3につきましてのサービスの事業所におけるプログラムの内容というのは、一つ 提供として重要なポイントだと思っておりますが、先ほど座長からもお話がございまし たように、そういったサービスを利用されて、その方の心身に係る状態がどう改善した かという方向もあると思いますので、今の御説明の中で幾つかのポイントの一つが、多 分活動に関する指標みたいなものが少し薄いのではないかといったことも含めておっし ゃっていただいたのだと思いますけれども、そういうことでございましたら、確かに活 動ということについて、もう少し評価項目について充実する必要があるといったような 形で御発言をいただいて、また、事務局でも御相談をさせていただきながら、その辺り 工夫させていただきたいなということは考えてございます。ですから、もし、そういう 趣旨でございましたら、そういった御意見をいただければ幸いかと思っております。  そのほかについて、お答えが足りないことはございますでしょうか。 (大川委員)  済みません、一遍にたくさんしゃべり過ぎてしまって申し訳ありませんでした。2つ ございまして、1つは、どういう指標で効果を見るのかというときの活動参加というも のも、もっと重点的に見る必要があるだろうということが1つです。  もう一つは、今回が介護予防の効果を見るということが事業の目的だとすれば、今回 見ているのは介護予防サービス全体を見ているのではなくて、ある部分、資料3の17、 8、19、20に書いてあるところの効果をかなり重点的に見るものであると考えてよろし いのでしょうか。 (藤井企画官)  現在の調査票は、そういう形で。 (大川委員)  よろしいですね。そうしませんと、介護予防の効果というのはこういう項目が主であ ると一般の方々に誤解を生じさせてしまうと、せっかく皆さん頑張っていらっしゃるの に水を差すことになるのではないかと思いまして。背景としましては、もう一度繰り返 すようで恐縮ですけれども、介護予防サービスというのは介護予防のケアマネジメント をいかに、これは介護支援専門員が各ケアプランという意味ではなくて、ケアマネジメ ント全体がどうやるのかが非常に重要なわけですから、それをいかに評価するのかとい うのも今後大事な視点ではないかと思ったものですから、質問させていただきました。 長くて恐縮です。 (藤井企画官)  趣旨は了解いたしました。まさにケアマネジメントも含めて介護予防事業でございま すので、そういった辺りは非常に重要な視点だと思っておりますし、事務局の方でもそ ういうことは念頭にきちんと置かせていただきたいと思っておりますが、ただ、市町村 の方で記載をしていただくときに、かなり客観的な評価といたしましてサービスの内容 について御評価をいただいて、余り主観的なものが入らないように、ぶれができないよ うな形で記入をしていただくと、そういうチェック項目をつくらせていただいたという 背景がございまして、今、大川先生がおっしゃったような具体的なサービスを中心とし たチェック項目を中心につくらせていただいているということが実際上あるということ を、一応御説明だけさせていただきたいと思います。 (辻座長)  ありがとうございました。  大川先生がおっしゃるとおりでありまして、介護予防の効果の評価といった場合、か なり広い領域があると思うんですね。ケアマネジメントも含めて。その中でも客観的な 数値として出しやすく、しかも、行政的なニーズとして要介護認定度プラスアルファ部 分に特化して今回切り分けてみましたということなのであります。確かに先生がおっし ゃるように、これだけを出すと評価というのはこういうものだという話になってしまう ような誤解が今後出てくる可能性がありますので、そういったことも少し踏まえて、こ の委員会で次回になりましょうか、介護予防の効果評価というのはこういうもので、そ のうちのこの辺をこの委員会では検討して、それ以外のある部分については各市町村と か地域包括支援センター単位での事業評価になるとか、そういった全体像の中で、それ ぞれの評価の位置付けや分担を示して、この委員会が担当するのはここだというところ を出していった方がいいかなと思います。よろしくお願いします。  ほかに何かございますか。 (大渕委員)  今の大川先生の御意見に賛成なんですけれども、各サービスのところではプロセス評 価とアウトプット、アウトカムということを少し意識しながらつくったつもりなんです が、地域包括支援センターにおいて書き込むところについては、かなりアウトカムの方 が中心に書かれているので、例えば26ページなんですが、運動器の機能向上に関する 目標の設定と、一応つくるようにということなんですけれども、あるいは家族の支援が あるかどうかとか、こういったところも入っているわけです。これと同じように、地域 包括支援センターのところでケアマネジメントについて、多分、大川先生から御意見を いただかなければいけないと思うんですけれども、そのプロセスといいますか、今やっ ているケアマネジメントの質を評価するような項目を入れるというのはいかがでしょう か。 (辻座長)  それでは、少し調査票に入って、委員の先生方には以前から関わっている方もいらっ しゃいますし、今回も事前にいただいて御意見をお持ちの方もいらっしゃると思うので、 細かい文言までは今日は定まらないかもしれませんけれども、大筋こういったところは 直すべきだとか、こういったところを追加せよという具体的な御提案があろうかと思い ますので、それをまずお受けして、それから皆さんで議論したいと思いますが、大川先 生は幾つかおありですか。先ほどの活動参加の辺りを中心に。 (大川委員)  先ほど座長にも整理していただいたように、介護予防全体の効果を見るものではない ということであれば、私は基本的にこの調査票でよろしいのではないかと思います。  ただ、ここのところを御検討いただければというものがございまして、先ほどもおっ しゃっていただきましたように、活動に関しましてはレイアウト上入れられるところが あれば幾つか入れるべきではないかと思います。こういう状況であれば特に大事なのは、 例えば、屋外歩行であるとか、どのくらい活発であるかということを事務局と座長と御 相談いただいてお決めいただくのはいかがかと思います。  もう一点ですけれども、資料3の13ページ、14ページでございますが、入院の原因 となった疾患の種類というところに、病名及び心身機能の障害がリストアップされてお りますけれども、私はここに廃用症候群、生活不活発病を入れるべきではないかと思っ ております。恐らく1年前ここに廃用症候群、生活不活発病を入れても、なかなか聞き 取れなかったかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたように、介護予防サー ビス支援計画書の中には、きちんと生活不活発病のことについて説明をしなければいけ ないという内容が含まれているわけですから、この説明をされていないとすれば、かな り大きな問題であります。ですから、私はきちんとここは聞くべきではないかと思って おります。勿論その前提としては、先ほど申し上げましたように、介護予防のターゲッ トというのは、生活不活発病であるということは明確にこれまでの介護予防関係の審議 の中では位置づけてきたわけですから、やはりこれがないのはおかしいことではないか と私は思っておりますが、御議論いただければと思います。  あと、もう少し誤解を生じにくいような表現に少し変えていただければどうかなとい うところがありまして、例えば18ページの社会的支援ですけれども、これは生活機能 モデルで言えば人的な支援に関して公的なサービス以外のことを聞くということは、こ れまで余り十分ではなかった点でありまして、非常によいことではないかと思いますが、 例えば「日常生活を援助してくれる人がいますか」というところ、これは介護保険関係 であればホームヘルパーさんまで含める可能性もありますし、そういう細かい文言に関 しては御検討いただくところが幾つかあるかと思います。  それから、意見は全部言ってしまいますが、あと1つだけです。事故に関することで すけれども、やはり事故が起きるのではないだろうかという議論は結構ございましたの で、今回事故があったかどうかということを聞くことにはなっておりますけれども、事 故といのは直接サービスを提供したときに何かが起きるというだけではなくて、例えば、 これは議論になったことですが、運動器のプログラムをやったことによって心臓の状況 がどう変わったのかということもきちんと見るべきではないかというのは、かなり議論 があったことですから、事故というものの定義は何なのかを明確にして情報を集めてい ただくことは、かなり大きな課題になっていたはずですので、御検討いただければと思 います。基本的には、この調査票でよろしいのではないかと思っております。以上です。 (藤井企画官)  主に4つのことをおっしゃっていただいたと思うんですけれども、活動に関してある いは廃用症候群の取扱いについては、委員の先生方に御議論いただきまして、事務局に 御指示いただければと思います。  日常生活の内容ですとか事故等に関するものにつきましては、先生方と議論させてい ただきまして、その辺りはむしろ記入要領の方にきちんとそういうことを書き込ませて いただくという形で対応させていただければと思っておりますが、それでよろしければ そうさせていただきます。 (辻座長)  それでは、一つ御議論いただきたいのが、13ページの疾患既往歴です。「要支援又は 特定高齢者となった原因は何ですか」というところで、1〜13番に病名が入っています。 それから、14ページも同じなんですが、入院の原因となった疾患の種類を入れるという ことなんですけれども、ここに廃用症候群という言葉を原因として出すかということな んですが、その辺はいかがでしょうか。 (鈴木委員)  廃用症候群という用語を入れるかどうかということですけれども、廃用症候群という 言葉が、各地域包括支援センターで携わる方々にきちんと内容も含めて知られていなけ ればならないだろうと思うんです。そうなりますと、もし付けるとしても、廃用症候群 とは一体どういうことかということを仮に注書きなり何なりをしておいた方が多分丁寧 だろうと思います。  もう一つ、廃用症候群と11番の高齢による衰弱というものをどういうふうに切り分 けて考えるのかという辺りに少し混乱が生ずるのではないでしょうか。これは感想です けれども、私はそう思います。ですから、入れるのであれば注書きなり何なりした方が 丁寧だろうと。それから、高齢による衰弱とは一体どういうふうに切り分けるかという 辺りをどうするかということだと思います。 (高橋委員)  非常に初歩的ですが、これは本人または家族が記入するか、本人の申告ですよね。そ うなりますと、これでいくんですか。要するに、はっきり言って医者に言われた病気と しか答えようがなくて、御本人の場合は症状というかそういう話でしかなくて、病気だ から返ってくると言えば返ってくるんだけれども、分析目的に合わせたような形がとれ るんでしょうか。 (辻座長)  今回この調査項目や質問票を設計するに当たっては、自前でつくるということは避け て、既に使われているさまざまな調査票から拝借するという形を主にしたんですね。13 ページの病名のリストというのは、実は国民生活基礎調査そのものなんです。国民生活 基礎調査で、あなたはこういう病気を持っていますかということの聞き取りなんです。 (高橋委員)  要するに、要支援、特定高齢者になった原因を聞いているわけです。病気を聞いてい るわけではないですよね。原因疾患を聞いているわけですよね。 (辻座長)  国民生活基礎調査の介護票では、この質問なんです。介護認定を受けている原因は何 ですかということで、この病名が来ます。ですから、あのデータをみんなが信頼してい るのであれば、これも信頼できるし、あれが信頼できないというのであれば、これも信 頼できない。そういう場合は国民生活基礎調査自身がどうなのかという話になってしま いますけれども、一応それはそれでということで。 (高橋委員)  官庁統計でしばしば社会調査的な見方からすると、余りにも調査側の論理だけを押し つけている調査が多いなというのが私の昔からの印象で、これは生活をしている高齢者 なり生活をしている人たちにとって、それは聞かれれば答えますから出てくるのでそれ を信用するよりしようがないというタイプのデータであって、本当のところはわからな いと思っています。 (辻座長)  やはり、社会調査というのはそういう限界の中で。 (高橋委員)  そこは是非慎重にやっていただきたいと思います。せっかく地域包括支援センターの 専門職がいるわけですから、その辺の知見ときちんと原因を押さえられるようなものを やっていただかないとという感じが、コメントとしてはいたします。 (辻座長)  わかりました。もう一つは、これは主治医意見書も含めての議論に当然なってこよう かと思います。  これにつきまして何かございますか。 (竹澤委員)  今、高橋先生がおっしゃったように、地域包括支援センター専門職3職種あるわけで すが、この調査はその3職種とか職種とは関係なしに、とにかく地域包括支援センター にボンとやるのか、イメージとしてはどうお考えなのか、内容的には専門的な部分もあ るので。 (藤井企画官)  基本的に地域包括支援センターの方で御記載くださいということで、市町村にはお話 をさせていただいています。ですから、その職種の方たちがかかわられるというのが前 提だと思っておりますが、ただ、地域包括支援センターさんはほかにもいろいろ業務を 持っておりますので、そういう方たちに代わって調査員等を御委託をされて、その方た ちが御本人等から聞き取りされて記入するということに対しても経費を出させていただ きますので、よろしくお願いしますという言い方をしております。 (辻座長)  ほかに何かございますか。  廃用ということですけれども、どうしましょうか。ほかの方々の御意見はありますか。 (大渕委員)  少し私も鈴木先生の意見に近いんですけれども、混乱が生じやしないかということで すね。先ほど鈴木先生の方からは高齢による衰弱というのが指摘されましたが、あるい は関節疾患であるとか認知症であるとか、転倒・骨折であるといったたぐいも廃用症候 群の一部というような考え方もあると思うんです。ですから、まずは今までの既存のな るべく広く使われているものに従っていくのがいいのではないかと思っています。 (大川委員)  廃用症候群というのは生活の不活発であるとか、不動によって起きる基本的には全身 の心身機能の低下であるということが、全身性の廃用症候群として定義づけられており ます。そして、局所的な廃用症候というものも勿論ありますけれども、今回の場合は廃 用症候群として全身の不活発なことによって起きるということであります。老化による ものとは全く違うものでありまして、これは老化による衰弱であってと思い込まれてい たものの中に廃用症候群があるというところをもっと気をつけましょうという議論であ ったと思います。  勿論、小さな子どもでも廃用症候群というのはよく起きることであります。ですから、 その辺のきちんとした知識の普及啓発が不十分であるということが、廃用症候群モデル が大事だと言っておきながら啓発が不十分なのは、いろいろと私どもも反省することが あるのかなと思っております。  先ほども申し上げましたが、そもそも介護予防サービス支援計画書の総合的方針のと ころに生活不活発病についての方針というのがあるわけですから、それを十分に御本人 に説明しないということがあるということを前提として議論するということは、私はど うなんだろうかと。もし、それが不十分であるとすれば、きちんとした指導の仕方を再 検討すべきだと考えるべきではないかと思うんですが、ちょっと強く言ってしまったの かなという気がしますけれども、今後の検討課題として、これは高橋先生も御一緒でし たが、老人保健事業の議論のときこれは非常に重要な観点であるということで議論した 経緯があったと思います。 (高橋委員)  今の大川さんの御発言で言えば、私は7の中に入れる話ではないのかもしれない、む しろ独立させて廃用症候群の幾つかのチェックリストがございますよね。その一番簡易 なものをうまくあれして。そもそも政策的には、介護予防というのはそこをターゲット にしてつくったという建前になっていますから、その建前をある程度きちんと反映させ たようなデータをここのレベルでとっておかないと、後での効果の問題と絡んで説明が しにくくなるかなという印象を私は受けましたが。 (辻座長)  そういう何かチェックリストみたいなものが別にあればつくった方が。 (大川委員)  ございますけれども、私もちょっと遠慮してここに入れればいいんじゃないかぐらい で言っていたんですが。 (辻座長)  私も、この四角の中には入れるのはちょっとあれかなと思うのは、そもそも要支援者・ 特定高齢者というのは、何らかの形の廃用があるわけですから、全員「○」をつけなけ ればいけない、それだけの話になってしまうんですよね。あるいは、それをしたおかげ で、ほかのものに「○」をつけなくなってしまったりする混乱も出てくる可能性がある ので、少しヘジテイトしたんです。そういったチェックリストを別立てで簡単につくれ るのであれば、それを廃用の範囲とか程度とか広がりといったものがわかりますので、 そちらの方が後々いいのかなと思うんですけれども。そういうものがもしあれば、いか がでしょうか。 (大川委員)  本来はそうすべきだと思いますけれども、そうしますと、ボリュームが結構増えてま いりますし、事務局で御検討いただければと思いますが、今回の目的が何なのかという ところでお考えいただければと思います。 (藤井企画官)  今、御議論いただいた、多分、大川委員がおっしゃっているのは、御本人がそれを自 覚している云々というお話かと思うんですけれども、例えば、各サービスにおきまして は、28ページ等は事業者が書く部分でございますが、低栄養状態のおそれが生ずること となった理由として、当然ながら廃用症候群(生活不活発病)などとして把握する部分 もございまして、そういった客観的な情報でこういうものを得ていく方法はあるという のが、この調査票の中には入っております。勿論、御本人がその辺を御自覚してチェッ クする必要があるということでございましたら、今、御議論いただいたような内容で修 正をしていくことも必要かと思っておりますが、その辺りを教えていただければと思い ます。 (高橋委員)  ここでは廃用症候群とそれなりのある種のコンセンサスはあるけれども、68の地域で、 しかも症候群ですから疾病ではないわけですよね。原因疾患はさまざまなもの、累積的 なものがある。ですから、「廃用症候群ですか?」「はい」というような形で、今それだ けの現場で答えられるような概念にはまだなっていないという、これは保険医療の専門 家ではない立場から見てもそう思えるので、逆に言うと、生活機能に関する基本チェッ クリストは、いろいろなものを組み合わせてそれがはかれるならば、そういうスケール を調査の中から引っ張り出して尺をつくるというやり方にするか、生活不活発病のスケ ールを固めてやる、その辺の判断はあるかなと思っています。少なくとも病名として出 してしまうと、さっき言った排除の関係が生まれて、押さえようとしたものが押さえら れなくなる可能性があるなという印象です。 (大川委員)  おっしゃるとおりでして、廃用症候群を生じた理由というのがありまして、ですが、 それは病気だけではなくて、例えば、パートナーがお亡くなりになった後に活動性が落 ちるというような参加レベルの問題で起きたりとかもするわけですから、本当はそうい うところまで含めて見るべきではないかと。要するに、廃用症候群で活動参加まで影響 してどんどん悪循環を起こすというのは、報告書などの中にもかなり書いてあるわけで すから、本来見ようと思いましたらそこまできちんと確認をすべきでありますし、特に、 介護予防のケアマネジメントとして見る場合には、非常に重要な観点だと思っておりま す。  ただし、今回は先ほどの御説明である程度私は納得しましたが、特定の介護予防プロ グラムについての効果を立証するとすれば、ある程度のところで目的に合わせてどうい う位置づけにするのかということは考えてもいいのかなと思っております。  ですから、例えば、今の13ページであれば、心臓病を元の理由として廃用症候群を 起こしている場合は両方にダブルチェックになるでしょうし、骨間接疾患によって廃用 症候群を併発している場合があれば、両方に「○」をつけていただくということになる のかなと。ほかの活動参加レベルから直接来た廃用症候群、これは例えば、厚労省の例 示でも単身になったときだとか、そういうものが今までも出されてきたと思いますが、 そういう場合は、そういう活動参加の原因に関しては書いていないわけですから、廃用 症候群だけに「○」がつくという形になるのかなと思っております。そういう聞き方で よろしいのかなというのが私の案ですが、その場合には、疾病既往歴というところの表 現をちょっと変えるか、追加すればいいのかなと思っておりますが、いかがでしょうか。 (坂元委員)  現在、市の中でいろいろな講演会とか高齢者対象のもろもろの行事の中で、廃用症候 群という言葉は割と頻繁に使われています。ただ、一つの問題は、先ほど言った定義が あいまいなまま使われていることだと思います。ただ、実際にいろいろな講演会等を見 ていると、言葉そのものはかなり広く使われているように思います。そういう観点から、 これにどう反映するかということは別として、恐らく受けた市民の中には、言葉の意味 について混乱が起きているようですので、やはり何らかの形で、これを期に一つ整理し た情報を提供するのは、行政の現場としてはありがたいことかなと思っております。以 上です。 (辻座長)  ありがとうございました。  まだほかにも議論しなければいけないことがあると思うんですけれども、私としては、 この四角の中は変えたくないと思います。どうしてかというと、国民生活基礎調査との 比較可能性という点です。この中身をいじってしまうと比較できなくなってしまうんで すね。つまり、国民生活基礎調査でとらえられている全国の客体との中での比較可能性 がどのくらいあるのかということが問われてきますので、ここは変えられないと思いま す。ですから、それ以外のところに、廃用をどうとらえているかというところは少し調 整しながら追加させていただくという形で、あと、事務局と大川先生とあと何人かで近々 に決めてしまうということでいかがでしょうか。  ほかにそれ以外の項目で、御質問とか御意見はありますか。植田先生、口腔機能の立 場で何かございますか。 (植田委員)  口腔機能は何せほかの運動器だの栄養だのに比べれば、全く新しいイメージの中で始 まったものでございますので、この半年間実施された中でかなり温度差があります。今 回の項目はこれでお願いしたいと思いますが、やはり実際分析の段階で、先ほどディメ ンションが介護度とQOLと数値というような形で辻先生から御指摘がございましたが、 その中で口腔機能がどういうところに影響を受けるのかといった部分、これはまた対応 する職種によっても異なってきてしまいますし、動機づけする役のいわゆるケアマネー ジャーといった方々によって、サービスの提供がなされる、なされないの反映がかなり 変わってきますので、今後の分析の段階におきまして、特に口腔機能がどういう影響を 受けているのかという辺りの分析を強く希望させていただきたいと思っております。 (杉山委員)  栄養改善におきましても、我が国におけるエビデンスがなかなか十分にはないが、海 外においてはエビデンスがあるということで本制度に取り入れられておりますので、本 継続評価研究は非常に重要だと思っております。特に、プロセスの部分がどのようにア ウトカムに寄与していけるのかというところが、この総合的な分析でとらえられていき ますと、非常にありがたいと思っています。  また、継続的評価でもありますので、いつの時期にどういう形でプロセスがアウトカ ムに影響を及ぼしていくのかが重要なのではないかと思っておりますし、余り効果が見 られない場合は、どういうことなのかということも大切なのではないかと思っています。  今、市町村に対してヒアリングをされて御確認されたということですが、もう一度本 調査をされる前に少しプレテストはされるのでしょうか。 (藤井企画官)  冒頭に御説明申し上げたんですが、1月1日から実施しようと思って市町村に御準備 をお願いしておりますので、プレテストというのは恐らく時間的には難しいかと思って おりますが、全体のスケジュールを動かす必要がございましたら、システム的な話にな りますけれども、できたら1月1日から開始させていただきたいと。そういう意味も含 めまして、市町村さんの方には一回御説明を申し上げたという段階を経させていただい ております。 (杉山委員)  解説文をつけさせていただいているんですが、そのことが大丈夫だったかなという不 安がちょっとありまして、後からいろいろ質問が事務局の方に来たり、そういうことが ないようにと思っただけです。 (藤井企画官)  記入要領のことだと思いますが、こちらの方は適宜バージョンアップをしていくとい うことで、市町村にはお話しをさせていただいております。 (高橋委員)  今の文脈と違うんですが、個別の認定情報は今回は使わないんですか。要するに、目 にするものは集合的な、だけれども個票は追い掛けられないから、認定情報ごとの要介 護認定の調査のデータというのは使わないことにしたんですか。それとも使うんですか。 (藤井企画官)  まず、2つのパーツがあると思うんですけれども、これから継続的評価支援事業で前 向きに収集をさせていただこうという中には、そういったシステム的なものではなくて、 この情報を主に集めさせていただきたいと考えております。  もう一つは、先ほどお話ししました過去の対照群をつくる過程では、給付事情をベー スにさせていただきたいと思っているんですが、それで十分ではないもの、補足的に必 要なものにつきましては、そういった認定支援ネットワーク等の情報も使わせていただ くのが適切ではないかと考えております。 (高橋委員)  当然、再認定の段階で1が要支援、2が1になったり、そうすると、どこがどう改善 したというのは、そっちにデータが出ているわけですよね。それとこれを突合させなが ら分析すると相当いろいろなことがわかるはずだし、さっきの生活不活発病の話も、あ の認定項目は適当な項目を引っ張って分析すれば、中間項目の特定のプロフィールをア イデンティファイさせた上で分析すると、よりいいデータが、1年以上のスパンでやる んだから、ポイント、ポイントで認定して軽くなりましたで、それが例の事業所の報酬 の方にもはね返るということで、突合しながら要介護認定データを使うというデザイン をすると、先ほどの分析にもう少し新しい情報が入ってくるかなという印象を持ったん ですが、今の文脈の流れとは違う質問で恐縮ですが、気がついたものですから。 (藤井企画官)  先ほど資料5の7ページの方にも、そういった意味も含めまして認定支援ネットワー クのことを書かせていただきました。 (高橋委員)  認定支援ネットワークはアイデンティファイできない形で出しているところが多いの で、あれは集合的なデータでしかないから、むしろ個別に追い掛けるデータとしてはあ れが一番基礎で、勿論、手続上の目的外使用の問題があるんだけれども、それは個人識 別ができないようにした形で出してもらうということで、リンクは技術的にはできるは ずですから、是非その辺を検討するとデータのいろいろな議論としては説得しやすいデ ータがつくれるのではと、ちょっと思いました。 (藤井企画官)  この辺りの認定支援ネットワークの方も私たちの方で活用できるデータの一つだと思 いますので、今いただいた御意見も踏まえて研究班でも御議論いただいて、より精度の 高いものをやっていただきたいと思っております。 (辻座長)  できるだけ活用できるものは活用していきたいと思います。よろしくお願いします。  まだほかにもあろうかと思いますけれども、大分時間が迫ってきました。調査の内容、 それから、調査票の中身ということについては、今御議論いただきました内容で本検討 会としては大枠で御了承いただいたということで、1月から事業を開始するということ で基本的なところはよろしゅうございましょうか。  なお、細かいところの字句の修正とか、あるいは先ほどありました幾つかの御追加と いったことにつきまして、本日の会議が終了後あるいは明日中ぐらいに事務局の方に御 連絡いただければ、それを踏まえて事務局と私の方に具体的な細部の修正、それから最 終版の確定につきまして御一任いただければと思いますけれども、よろしゅうございま すか。 (「異議なし」と声あり) (辻座長)  それでは、御承認いただいたということで、今後、具体的な方法につきましては研究 班等を活用して、事務局の方で更に詰めていきたいと思います。  事務局から今後の検討会での検討スケジュールにつきまして、御説明をお願いします。 (鈴木老人保健課長)  本日は御多用中のところ、そして、年末のところ大変ありがとうございます。今、辻 座長の方からありましたように、幾つか今日御指摘いただいた事項については、関連の 先生方にまた御相談をしながら、また座長に最終的に御相談しながら決めさせていただ きたいと思います。  次回以降でございますが、改めてこちらの方から再度調整させていただきたいと思い ますが、先ほど全体の中間的な評価、最終評価のスケジュールがございますので、それ に合わせて座長と御相談しながら、具体的に日程調整をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。 (辻座長)  それでは、議題4のその他に移りますが、何かございましょうか。 (鈴木委員)  この検討会の論議とは少しずれるのかもしれないんですけれども、今、実際に地域支 援事業あるいは特定高齢者の把握事業というのが、いろいろな自治体の努力で進んでい ると思うんですけれども、当初考えられていた基本健診を通じての特定高齢者の把握と いうのが、予測されたものよりかなり少ない、地域においてなかなか特定高齢者が把握 されないという事態があると思うんです。今回の分析事業というのは、そういう意味で も、やはり幾つか考えておかなければいけない部分があって、一つは、基本チェックリ ストの使い勝手を見直せる可能性はいかがか、検討できればと思っています。昨年のパ イロットテストではある程度の数字を出して、それに基づいて予測を立てたという部分 はあるんですけれども、しかし、基本健診をお受けになられる方々の中から特定高齢者 というのは実際非常に少ないということがございますので、今回たまたま特定高齢者事 業についての分析評価のときに、ヒストリカルコントロールを幸い使えるということで ございましたので、そういう中で特に基本チェックリストを使って、その後どうなって いったかという推移も分析できることになりますので、そういった基本チェックリスト のデータに基づく多少の見直しというものも、国として御検討いただければありがたい なと思います。  もう一点、基本健診の中で総合判定をしていただいている医師の方々の中で、介護予 防とか要介護を防ぐためのプログラムにできるだけ積極的に入っていただくというとこ ろがまだ十分理解されていないために、安定的な慢性疾患の状態で通院加療を受けてい る方をそのまま要医療にしてしまって、本来そういう方々の中にこそたくさんの介護予 防事業のサービスが必要な方がおられると思うんですけれども、そういったところにま でなかなか至っていないという現実もございます。この点に関しては、恐らく医師会な どと対応していただき、要医療と要介護予防との間の明確な基準づくりみたいなものを していただければ、大変ありがたいなと思っております。  この場で直接関係ないこととは思いますけれども、是非大事なポイントだと思います ので、厚生労働省におかれても御留意いただければと思いましたので、この場を借りて 発言させていただきました。以上でございます。 (辻座長)  ありがとうございます。  私もこの1年近く動向を見ておりまして、なかなか思ったとおりには進まないものだ なというところで非常に私自身悩んでおりまして、その辺の柔軟な見直しは必要なんじ ゃないかという気持ちは鈴木先生と全く同感でありますけれども、この辺につきまして、 何か事務局からございますか。 (鈴木老人保健課長)  今、鈴木先生から御指摘いただいた事項についても、今、全国の47都道府県での把 握状況等集計をさせていただいているんですが、やはり今御指摘いただいたような2つ の問題、基本チェックリスト自身にもう少し余地があってもいいんじゃないかというと ころと、もう一つは、医師の総合判定のところで少し誤解を招くようなところであると か、きちんと意図が伝わっていないところがあるという御指摘がございますので、その 辺で何が具体的に早急に変更できるのかというのは、我々の方で預からせていただいて 検討させていただきたいと思います。 (辻座長)  ほかの委員の先生方から何かその他ということでございますか。よろしいですか。  では、最後に事務局から何かございますか。 (鈴木老人保健課長)  特にございませんが、先ほど申し上げてしまったんですけれども、スケジュールにつ いては、また調整の上で図らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。 ○ 辻座長より閉会の宣言。                           − 以上 −                                                               照会先                             老健局老人保健課                             大澤(3942)、岩間(3959)                                   - 1 -