06/12/18 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 平成18年12月18日議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会議事録                厚生労働省医薬食品局食品安全部      薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 議事次第       日 時: 平成18年12月18日(月) 15:00 〜17:29        場 所: 厚生労働省 17階 専用第18,19,20会議室 1 開 会 2 挨 拶 3 審 議   議 事:1  議題      (1) 食品添加物公定書改正に伴う、「食品、添加物等の規格基準」の改正に          ついて      (2) 食品添加物の使用基準の改正について      (3) 食品中の農薬の残留基準設定について      (4) 食品中の動物用医薬品の残留基準設定について      (5) 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱)の規格基準の一部改正について       2 報告事項      (1) ニトラロフラン類試験法及びマラカイトグリーン試験法改正について並          びに動物用医薬品(ツラスロマイシン)の残留基準設定に関する意見・          情報の募集結果について      (2) 内閣府原子力委員会決定「食品への放射線照射について」      (3) 加工食品の法第11条第3項への基準適合性に係る告示改正について      (4) コーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会(TFFBT)第         6回会議の結果概要について 4.閉 会 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛 生分科会を開催させていただきます。 本日は、御多忙のところ御参集をいただき、厚く御礼を申し上げます。  まず、本日の出席状況について御報告させていただきます。本日は、神田委員、熊谷委 員、児玉委員、澤田委員、品川邦汎委員、鈴木委員、田中委員、渡邊委員から欠席との連 絡を事前に受けております。また、内田委員はちょっと遅れられているようですが、現在、 分科会会員総数20名のうち過半数に達しておりますので、本日の会議は成立いたしますこ とを御報告申し上げます。  本日の議事次第につきましては、お手元に資料がございます議事次第を御参考にしてい ただければと存じますが、議題が5つ、報告事項が4つ、プラス少し追加で後ほどさせて いただけたらと思っております。  配布資料につきましては、配布資料一覧がありまして、資料1−1から2ページにわた りまして報告資料4までございます。お手元の方で資料の不足や落丁等がございましたら、 事務局までお申しつけいただけますようお願い申し上げます。  それでは、以後の進行につきましては吉倉分科会長にお願いしたいと存じます。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長 それでは議題に沿って進めたいと思います。  最初の「食品添加物公定書改正に伴う、『食品添加物等の規格基準』の改正について」、 事務局からお願いします。 ○松田課長 それでは、議題1の(1)ですけれども、食品添加物公定書の改定について御説 明申し上げます。  先生方のお手元に、お2人に1冊ずつ紙の分厚いファイルがありますけれども、これが 本日御審議いただく内容であります食品添加物の公定書でございます。これは第8版の案 ですけれども、第7版まではこういう形で厚生労働省の方で印刷して出しております。こ の水色の紙ファイルを見ていただくとわかりますが、ファイルの1番目が「通則」、「一般 試験法」から始まって個別の成分規格の酢酸ゲラニル−氷酢酸までがここに入っておりま す。あと、黄色のものが、ピリドキシン塩酸塩から始まって別紙12の化学構造式云々のと ころ、既存添加物新規収蔵品目まで入っているものであります。大部でありますので、資 料1−1に基づいて今回の改正内容について御説明申し上げます。  まず5ページをお開きください。1にありますけれども、食品衛生法第11条の1項で食 品添加物については製造、加工、使用、調理もくしは保存の方法について基準を定めるこ ととなっております。また、成分についても規格を定めることができるとされております。 また、19条第1項に基づきまして、添加物に関する表示についても必要な基準を定めるこ とができることとなっております。特に食品添加物の規格基準につきましては、食品添加 物等の規格基準という告示がありまして、それで通則から使用基準までそれぞれ細かく定 められております。  食品添加物公定書は、法律の第21条に規定がありますが、今申し上げた食品添加物の規 格基準、食品添加物の表示基準といったものを収載するということでつくられているもの でございます。  2にこれまでの経緯等が書いてあります。食品添加物公定書は、昭和35年に第1版が出 ておりまして、直近が平成11年の第7版です。公定書の改正におきましては、その間の食 品添加物の規格基準を新規に収載するとか、一般試験法や成分規格の見直しをするといっ たことをずっとやってきております。今回の第8版改正は、平成15年8月から、第8版食 品添加物公定書作成検討会を開催して検討してきたものであります。  6ページに移っていただきまして、(1)から(6)まで細かくどういうところを見直したか が書いてありますけれども、そこはまた別途御説明申し上げます。この検討会は、昨年5 月23日に最終的な審議を終えまして、8月に報告書をまとめていただきました。その内容 に基づいて、昨年11月11日付け薬事・食品衛生審議会あてに諮問がなされたところでござ います。  3番目でございます。今回の改正案の概要を簡単に御説明申し上げます。  まず1番目は、既存添加物61品目に係る63成分及び一般飲食物添加物1品目に係る1成 分の規格を新たに収載するものです。この既存添加物というのは、平成7年の食品衛生法 改正で、その当時、天然添加物については原則自由に使えたわけですけれども、ポジティ ブリスト制度に移行するに当たりまして、その時点で使用されていたものを既存添加物と いうことで名簿に収載した経緯があります。現在約450品目ありますが、そのうちの61品目 について、今回、成分規格を設定したというものであります。あと、一般飲食物添加物は、 下にもありますとおり、今回は赤キャベツ色素について新たに規格をつくったものであり ます。  次に7ページを見ていただきたいと思います。(2)として、第7版以降に新規に指定され、 または使用基準が改正された添加物の規格基準を収載したというものでございます。  (3)として、試験の操作性の改善や精度の向上を目的として一般試験法の改正や各種成分 規格各条の試験法を改正したというものでございます。これは具体的には、重金属試験法 を個別に鉛の試験法に変更したというようなものがこれに該当します。  (4)として、確認試験法として新たに36規格で赤外吸収スペクトル法を採用したというこ とでございます。  (5)として、クロロホルムなどの有害試薬を他の試薬に代替するというものです。  (6)として、国際的な規格との整合化や流通実態の反映を目的として純度試験の見直しを 行ったというもの。  (7)として、公定書中で用いられる動植物、微生物の定義の明確化のために学名を付記し たということ。  (8)として、8ページになりますけれども、IUPACの命名法に基づく名称やJIS番 号等を付記する。もしくは、構造式の記載法や用語、用例等の統一を行うものです。  今回こうしたところについて見直しをさせていただいたところでございます。  10ページを御覧いただきますと別表1がありまして、今回、一般試験法について改正し た内容が載っております。一般試験法は、ここにありますとおり、1の亜硫酸塩定量法か ら43ほどありますけれども、これらについて用語等の訂正や試験法の中味も一部変えたと いうことでございます。  続いて12ページを御覧いただきますと別表2があります。これは、個別に修正をしてい る品目で、個別の変更内容について記載したものであります。ここにもありますとおり、 改正項目として、定量法の見直し、確認試験でIRスペクトルとか、あと、先ほど述べた 重金属の試験法の代わりに鉛試験法を入れたとか、各品目によって様々ですけれども、こ のような形で見直しをしたというものでございます。  今回、この見直しにつきましては、食品安全委員会に評価の依頼もしているところでご ざいます。19ページを見ていただきますと、食品安全委員会に対する評価の依頼というこ とで書いてあります。ただし、食品安全委員会に評価をお願いしましたのは、先ほど御説 明申し上げましたすべての項目について評価を依頼したわけではなくて、こちらからの依 頼書にもありますとおり、今回新たに規格を設けた、先ほど申し上げた既存添加物等につ いてと、あと純度試験等の見直しを行ったものについて、委員会へ評価をお願いしたとい うことでございます。それ以外につきましては、健康影響評価を行う必要はないものとし て評価はお願いしていません。  27ページからは食品安全委員会からの評価書の案がございます。これにつきましては31 ページを御覧いただきますと、真ん中に「評価結果」とありまして、(1)の新たに成分規格 を設定する既存添加物等につきましては、3行目にもありますとおり、添加物の品質がよ り確保されることから、人の健康に悪影響を及ぼすことはないと考えられるということで 評価をいただいております。あと、(2)の純度試験の規格値の見直しにつきましても、添加 物の品質の向上を主目的としたものであり、改正前と比較して、人の健康に影響を及ぼす おそれはないと。また、先ほど重金属のお話をしましたが、重金属の規格を廃止し、新た に名前の規格値を設定することについても、JECFAとの整合性または有害試薬の排除 という観点から行われるものであり、規格値が緩和されたものではないということで評価 いただいておりまして、32ページにありますとおり、今回の添加物の公定書の見直しにつ きましては、人の健康に悪影響を及ぼすおそれはないものと考えられるということで、こ れはまだ評価書の案ですけれども、まとめられております。  以上、簡単ですが、改定の概略でございます。  1点追加させていただきます。今回、こういう形で公定書を見直しさせていただきたい と思っておりますが、食品添加物の食用赤色104号と食用赤色105号につきましては、今、 不純物としてヘキサクロルベンゼンが含まれるということがありまして、成分規格にそれ らの純度試験を設定することを検討しているところでございます。ヘキサクロルベンゼン につきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法と言わ れている法律の中で第1種特定化学物質に指定されております。第1種特定化学物質とい うのは、環境中で分解しづらい難分解性で、生体中にも蓄積しやすくて、そして、人への 長期毒性、高次捕食動物へ毒性のあるといったものについては、事実上、製造・輸入がで きないという規制がかかるものです。今回、ヘキサクロルベンゼンが染料や顔料、一部の 染料の原料に不純物として含まれることが明らかになっていまして、厚生労働省、経済産 業省、環境省の3省で化審法の規制対象におけるヘキサクロルベンゼンの低減化に向けた 取組みを行うべく合同委員会を設置して、11月に報告書をまとめたという状況ですので、 食品添加物の規格においてもそうした流れに沿って規格を整備したいと思っております。 つきましては、次回以降の分科会でまた改めて御審議いただきたいと思っております。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 何か御質問がありますか。  要するに、ここの資料で直してあるところが今回の修正点ですね。 ○松田課長 そうです。 ○吉倉分科会長 そういうことでいろいろと修正されているのですが、先ほどの報告のよ うに、食品安全委員会の方では、こういうぐあいに修正することによって食品自体の安全 性に影響は出ないでしょうという評価をいただいたということですが、いかがですか。  あと、食品安全委員会の報告に「案」がついているのはどういう意味ですか。 ○松田課長 実は、これはまだ最終的に食品安全委員会から通知をいただいていないもの でありまして、次回以降の食品安全委員会で了解されればこちらの方に正式なものとして 報告される予定になっております。 ○吉倉分科会長 手続き的なことで、あまり実質的ではないのですが、そうすると、これ は今、食品安全委員会の検討は案の段階で、厚労省は今審議しているわけですね。 ○松田課長 はい、そうです。これは食品安全委員会で今パブコメ中でありまして、実は、 先週の12月15日までの期限で行われております。現時点においては評価結果はこちらにま だ通知されていませんので、今回は案の形で御審議いただきましたけれども、次回の分科 会には、この食品安全委員会の結果は報告させていただきたいと思っております。万が一 評価内容に大きな修正があった場合は、この公定書についてはまた改めて審議いただくと いうことで考えております。 ○吉倉分科会長 そういうことで言うと、今日の審議はどういう位置づけになりますか。 ○松田課長 とりあえず、安全委員会からの報告に大きな修正がなければ、今回の審議を もって最終的な審議、それで答申をいただければと思っております。 ○吉倉分科会長 いかがでしょうか。何か御質問がありますか。 ○西島委員 細かなことで、字の誤りかと思いますが、7ページ目の「品目の定義」のと ころに「基原」と書いてありますが、これは「起こる」ですね。 ○吉倉分科会長 それでは、食品安全委員会からもしも大きな変更があれば、もう一回こ の審議をやり直す可能性はあるけれども、さしあたりはこの案で御異議がなければ、この 形で答申するということですね。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 こういうものについては、何年か前に、どれくらいで審議するかという 表をつくった記憶がありますが、違いましたか。こういう技術的なものについては。 ○松田課長 何年ごとに見直すかということでしょうか。 ○吉倉分科会長 そうではなくて、基本的には実質的な審議は部会で、報告ということで もないけど‥‥。2〜3年前だったか、私、ちょっと誤解しているかもしれません。 ○松田課長 軽微なものは基本的には部会審議で、それで報告ということですが、今回は 5〜6年に1回の大改正ですので審議ということにさせていただきました。 ○吉倉分科会長 これは一応、今のところで審議したことになるわけですが、安全委員会 の評価もありますから。  よろしいですか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 それでは、どうもありがとうございました。  次に進みましょう。 ○松田課長 次は資料2−1でございます。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用 基準の改正でございます。このヒドロキシプロピルメチルセルロースは、そもそも添加物 としては平成15年6月26日に指定されたもので、今般、事業者より使用基準改正の要請を 受けたことから、今回、検討を進めたものでございます。  概略ですが、資料の5ページを御覧いただきたいと思います。まず添加物部会の報告書 ですが、品目名は「ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)」でありまして、構 造式はこのとおりでございます。  1の「はじめに」にも書いてありますが、現在の使用基準は、「保険機能食品たるカプセ ル剤及び錠剤以外の食品に使用してはならない」という規定がされております。  今回の改正ですが、このカプセル剤や錠剤以外の食品についても使用できるように使用 基準を改正しようというものでございます。  3番目に、諸外国の状況ですけれども、米国やEUにおいても、GMPの下で幅広く使 えるというものであります。  4番目、「有効性」ですけれども、まず(1)として「一般食品分野における有効性」とい うことで、6ページの1)で、肉汁ソースへ増粘剤として使用した場合のデータが載ってお ります。また、6ページの下、2)では、ベーカリー食品の砂糖被覆物へ安定剤として使っ た場合のデータも載っております。  7ページ目の一番下、ケーキへの利用ということで、8ページの「結果」にもあります けれども、HPMCがケーキのやわらかさの向上に寄与するといったデータが載っており ます。  9ページ目ですが、「カプセル剤分野における有効性」ということで、今回、HPMCカ プセルと、非ゼラチンのカプセルとして使われているプルランカプセルとの比較が載って おります。プルランの場合は、カプセル剤の皮中の水分が10%以下に低下すると割れやす くなる性質がある一方で、HPMCカプセルでは水分量が1%まで低下しても強度が落ち ない性質を利用しているということで、10ページ目に図5が載っております。  5番目の「食品安全委員会における評価結果について」ですけれども、食品安全委員会 におきましては、上から3分の2ぐらいのところからですが、このHPMCがほとんど体 内に吸収されないことと、毒性試験の結果から遺伝毒性や発がん性がないこと、これらの ことから総合的に判断しますと、本物質は極めて毒性が低い物質であるということで、J ECFA等でもADIは設定しないということで評価されていることも踏まえ、HPMC が添加物として適切に使用される場合は安全性に懸念がないと考えられ、ADIを特定す る必要はないと評価されたところでございます。  11ページ目に6として「摂取量の推計」がございます。(1)で「海外における使用量」と いうことで、これは食品安全委員会での評価ですけれども、米国で一般食品用と医薬品用 に使用されるHPMCとメチルセルロース(MC)をあわせた消費量の推移が表にまとめ られております。これに基づきますと、1日体重当たり0.945mgという消費量になるのでは ないかとなっております。我が国における摂取量調査ですけれども、食品添加物として使 用されているHPMC類似のメチルセルロースやCMCの消費量は米国に比べてかなり少 ないということもあり、国内においても、最大使われても米国と同じ程度、最大でも0.94 5mg/kg体重/日ぐらいにしかならないのではないかと考えられております。また、参考まで に、現行のHPMCの消費量は、我が国では、医薬品用途が約320トン、保健機能食品用途 はほとんどないということで、現行では0.137mg/kg体重/日という状況です。  こうしたことも踏まえ、食品使用基準案は、食品安全委員会の評価結果等も踏まえ、現 行の使用基準の「保健機能食品たるカプセル剤及び錠剤以外の食品に使用してはならない」 を廃止して、使用基準を設定しないこととする。ただし、その添加は食品中で目的とする 効果を得る上で必要とされる量を超えないものとすることが前提であり、その旨を関係業 界等に周知することと部会でまとめていただいたところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 いかがですか。 ○丸井委員 これに関して2点、簡単なことをお伺いしたいと思います。  一つは、従来、カプセル、錠剤以外の食品に使用してはならないと決まっていたのは、 何か理由があったのかということです。前に何か理由があってそれに限定していたのかと いうこと。  もう一つは、一部食品安全委員会のことでもありますけれども、「添加物として適切に使 用される場合」という条件がついていて、この「適切に使用」というのは、例えば量とか 加工上どのように使われるとか、「適切に使用される」の基準は何かあるのでしょうか。 ○吉倉分科会長 後の方の質問は、「目的とする効果」とも関係がありますか。 ○松田課長 まず1つ目ははっきりしませんが、前回、平成15年の段階では、その当時は 催奇形性試験とか繁殖性試験等のデータが不足しておりまして、一般食品に対する添加物 として評価するにはさらなる試験成績が必要であるという指摘もいただいておりますので、 そういうことで限定したのが理由だと思います。  2つ目の点は、食品添加物は当然、目的と使われる量には常識的な範囲があってしかる べきだと思います。ただし、それは何かガイドラインが決まっているかというと、ありま せんので、そこは通知等で業界等に常識的な線で使われるように指導していくことを考え ております。 ○吉倉分科会長 これはたしか食べすぎると下痢したり何かするんですよね。ここの審議 で1回何かで出ましたよね。  丸井さん、今の回答でよろしいですか。 ○丸井委員 こういうような例はほかにもあるのでしょうか。「適切に使用される」という、 常識の線を越えないようにという意味合いだけで、それ以上は言わないと。 ○松田課長 はい。最近、使用基準を設定しない添加物の場合は、こうした御指摘をいた だいておりますので、同じように指導するという形でやらせていただいております。 ○吉倉分科会長 たしかプロピルアルコールのときも、飲みすぎたら酔っぱらうのではな いかというコメントがここであった記憶がありますが、それも同じような、使用目的に合 う限りということでやったと思います。  そうすると、11ページの下ですが、「現行の使用基準の『保健機能食品たるカプセル剤及 び錠剤以外の食品に使用してはならない』を廃止し、使用基準を設定しないこととする。 ただし、その添加は食品中で目的とする効果を得る上で必要とされる量を超えないものと することが前提であり、その旨を関係業界等に周知すること。」ということですが、よろし いですか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 そうしたら、これは後の手続きはどういうぐあいになっていますか。 ○松田課長 これは、今、WTOとパブコメの手続きをやっている最中ですので、それで 問題がなければ告示の改正ということで通常の事務的手続きをさせていただきます。変更 等が必要な場合は、分科会長の方にお話を申し上げて、必要があれば再審議ということも 必要かと思います。 ○吉倉分科会長 ありがとうございました。  次に農薬のポスカリドですが、これは前にも何かやった記憶がありますね。 ○松田課長 次は、資料3-1-1ですけれども、ボスカリドでございます。今、吉倉先生から お話がありましたように、平成16年6月の分科会で一度御審議をいただいておりまして、 その結果に基づいて設定もされております。また、ポジティブリスト制度の施行に伴いま して一部基準も追加されておりますけれども、今回、適用拡大ということがありまして、 それで見直しをさせていただくというものでございます。  5ページ目を御覧いただきたいと思います。用途は、灰色かび病とか菌核病に効果があ るということで殺菌剤として使われるものです。化学名、構造式及び物性はこのとおりで す。  5の「適用範囲」ですが、6ページ目以降を御覧いただきますと、ブドウ、イチゴ、メ ロン、スイカ、各種野菜、リンゴ等に使われるということでございます。  8ページ目、上の方から、「作物残留試験結果」ということで出ておりますけれども、こ の分析対象としては、ポスカリド本体を分析対象としております。作物残留試験の結果で すが、ここから11ページ目まで書いてありまして、14ページの別紙1に、ブドウ等の農作 物に使った場合の最大残留データがまとめられております。  戻っていただいて11ページですけれども、「ADIの評価」につきましては、食品安全委 員会での評価が出ておりまして、12ページにありますとおり、ポスカリドについてはラッ トの24カ月の慢性毒性試験での無毒性量4.4mg/kg/dayというデータに基づきまして、安全 係数が100、そしてADIは0.044mg/kg体重/日という形で設定されております。  「諸外国の状況」ですけれども、JMPRではまだ毒性評価がなされていませんで、国 際基準もありません。あとは、米国、カナダ、オーストラリア等では食用農作物に登録さ れているという状況です。  9の「基準値案」ですが、残留の規制対象物はポスカリド本体です。基準値案は、別紙 2として16ページを御覧いただきますと、今回、適用拡大の申請があったのは、この表の 「登録の有無」の欄に「新」と書いてあるトマト、ピーマン、ミカン、夏ミカン等です。 あと、「基準値現行」の欄にメッシュのところがありますけれども、そこはポジティブリス ト制度の施行に伴い暫定的に基準を設定したところでございます。今回、これも含めてあ わせて基準の見直しを行いたいと思っております。基準値案としては、別紙2のとおり、 カブの範囲は従来どおり10ppm、トマトについては3ppmを5ppm等々、こういう形でそれぞ れ基準値を設定したいと思います。ミカン等についてはこれまでは基準値がありませんで したけれども、作物残留データに基づいてそれぞれ基準を設定したいというものです。  12ページに戻っていただいて「暴露評価」ですけれども、これらの食品について基準値 案の上限まで、または作物残留試験成績のデータ等から推定されるポスカリドの摂取量で すけれども、今回はEDI(推定一日摂取量)でやりますと、ADIに対する比はここに ありますとおり、国民全体でいくとADIの38.1%、幼小児で75.5%等々となっておりま すので、ADIの80%以内におさまるという形で基準が設定されているものです。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 いかがですか。 ○品川(森)委員 こういう農薬というのは、易分解性か難分解性かということはわかっ ているのでしょうか。というのは、作物の方はいいのですが、もし難分解性であれば土壌 汚染とかは、国の中で一体どこで考慮したらいいのかということです。 ○松田課長 資料の50ページを御覧いただきたいと思います。食品安全委員会の総合評価 ですけれども、そこの真ん中ぐらいに、「土壌中運命試験を実施したところ」云々というこ とがありまして、こうした形で土壌中の分解性については評価されております。  あと、一般的に農薬等についても、先ほど化審法の話をしましたけれども、化審法では 当然、分解性とか蓄積性、毒性について評価することになっておりまして、そうした面で も、蓄積しやすい、分解しづらいといったものについてはまた別途規制される形になって おります。 ○吉倉分科会長 ほかにはよろしいですか。 ○柳川委員 素人的な質問ですけれども、16ページの表で、「基準値現行」と「基準値案」 の間に非常に大きな開きがあるもの、例えばピーマンが1.2から10、アメリカは1.2。次の ページのミカンの皮が2.5が40、アメリカは0.35と。この大きな変化があったのはどういう 理由でこうなったのでしょうか。 ○松田課長 ピーマンにつきましては、以前は、現行の基準値はアメリカの1.2を参考にし て設定していました。今回、国内で使用するに当たりまして、国内での作物残留データ、 これが右の方にデータが出ていますけれども、3.56ppmとか2.03ppmと出ておりますが、そ のデータに基づいて基準を設定するということで10ppmという値を置かせていただきまし た。  同じように、ミカンの果皮についても、今回、国内的には11.5とか12.2、29.3ppmという ようなデータがありますので、そのデータに基づいて40という値を設定させていただきま した。 ○吉倉分科会長 要するに、前のものがミカンの皮が2.5、ピーマンが1.2というのは、残 留試験をやると、この値は農薬が効く濃度では適切ではないという意味ですか。作物残留 試験成績との関係をちょっと説明してください。 ○井上委員 僕がお答えすることではないかもしれませんが、審議させていただきました 関係でご説明します。もともとこのポジティブリスト制では、現行のデータがない場合は 外国のデータとか、国際規準を探して、もし、ない場合には、0.01という基準で決めてい ました。そのデータに対して、今度、使用拡大とともに新しい日本独自のデータが出てき ましたので、その実態の方に合わせたということでございます。 ○吉倉分科会長 柳川先生、よろしいですか。 ○柳川委員 はい。 ○吉倉分科会長 あとは、この前やったと思いますが、食品安全委員会の評価書が、これ は新しくやり直したということでしょうか。その辺をお願いします。 ○松田課長 27ページを御覧いただくとわかりますが、27ページが表紙で、そこに「第2 版」と書いてあります。今回改めて、適用拡大に伴いまして私どもから評価の依頼をしま したので、平成16年のときは第1版ということで1回目でしたけれども、それ以降の追加 データを踏まえて、内容的にはほとんど変わりありませんけれども、第2版という形で今 回はまとめていただいております。 ○吉倉分科会長 これは変更がありますか、ないですか。 ○松田課長 特にないと承知しております。 ○吉倉分科会長 そうすると、この委員会としては、別表の16、17、18ページの「新」を 含めたこの表について合意するかどうかということですね。どこかにまとめてありますか。 ○松田課長 22ページが、今回、適用拡大もしくはポジティブリスト制の暫定基準を見直 ししていただくところでございます。 ○吉倉分科会長 今回の審議のものは22ページにまとまっています。そうすると、16、17、 18ページの「新」のところだけが22ページに入っていると。 ○松田課長 そうです。 ○吉倉分科会長 22ページの答申案でよろしいかということですが、よろしいですか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 そうすると、今後の審議はどうなっていますか。 ○松田課長 まず一つは、暫定基準が設定されていますので、この基準値案、暴露評価案 については食品安全委員会に報告させていただきたいと思っております。あとは、WTO の通報が今手続き中で、パブコメもこれからですので、今後寄せられた御意見によっては、 分科会長にも御報告させていただいて、審議が必要であるかどうかはまた御相談させてい ただきます。問題なければ、これで告示の改正という形で進めさせていただきたいと思い ます。 ○吉倉分科会長 それでは、そういうことで次に進みたいと思います。 ○松田課長 それでは、資料3−2ですけれども、ヘルベンジアミドということでござい ます。これは新しく基準を設定するものでございます。  5ページ目を御覧いただきますと、フルベンジアミドの用途は殺虫剤ということで、鱗 翅目昆虫のカルシウムイオンチャネルに選択的に作用するというものです。化学名、構造 式及び物性については、このとおりでございます。  6ページ目が「適用範囲」ですけれども、モモ、ナシ、リンゴ等々に使われるものです。  7ページ目の6の「作物残留試験結果」につきましては、まず分析の対象ですが、フル ベンジアミドと2つの代謝物が分析対象となっております。その結果が7ページ目から書 いてありまして、概要は12ページに別紙1として、フルベンジアミドの作物残留性試験一 覧表に、フルベンジアミド本体と2つの代謝物についてのそれぞれのデータがまとめてあ ります。  10ページに戻っていただきたいと思います。「ADIの評価」ですけれども、フルベンジ アミドについては、食品安全委員会で評価されております。これは新規なので概略を御説 明申し上げますと、48ページ目に食品安全委員会の安全性の評価がまとめられておりまし て、上から5行目以降、発がん性試験についても、発がん性はマイナスであったというこ と、あと、真ん中以降に、発生毒性試験でも催奇形性は認められなかったこと、また、そ の下にありますとおり、遺伝毒性試験もマイナスであったという結果でございます。そし て、表30にありますように、亜急性毒性試験、発がん性試験、繁殖試験もしくは発生毒性 試験等々を踏まえて、49ページの一番上のラットでの104週の発がん性試験で、オスの無毒 性量1.70が一番低い値ですので、この値に安全係数100を乗じてADI0.017mg/kgが設定さ れております。  戻っていただきまして11ページ目でございます。8の「諸外国の状況」ですけれども、 これにつきましてはまだ国際的にも評価されていませんし、ほかの国でもまだ基準が設定 されていない状況でございます。  9番目の「基準値案」ですが、規制対象物としては、フルベンジアミドでございます。 分析の対象としては、2つの代謝物も分析されておりますけれども、どちらも残留の値は 小さいということで本体を規制の対象としております。  基準値案ですが、別紙2として13ページに基準値案があります。先ほど申し上げました ように、今回これは新たに基準を設けるということで、右にありますような、我が国での 作物残留試験の結果に基づきまして、大豆については0.3、大根類の根については0.03とい ったように、最後のお茶の40ppmまでこうした形で基準値案として設定したところでござい ます。  戻っていただきまして、「暴露評価」でございます。これにつきましても、作物残留試験 成績のデータから1日に摂取する農薬の量をEDIで評価しております。14ページに細か い表がありますけれども、11ページにもありますとおり、国民全体で23.6%、一番多い幼 小児でもADIの35.6%ということで、ADIの80%以内におさまるというものでござい ます。  ということで、15ページには答申案ということで先ほど説明しました残留基準値が大豆 以下設定されております。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 何か御質問がありますか。 ○柳川委員 これは、米国、カナダ、EU、その他のところで基準値が設定されていない ということは、これは使われていないということですか。それとも、新しい殺虫剤という ことなのでしょうか。 ○松田課長 これはまだ新しくて、日本が最初です。 ○柳川委員 日本で初めて使われるということですか。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 これについては、ほかに特にありませんか。よろしいですか。  発がん試験で発がん性がないというのは、ちょっと奇妙な感じもするのですが。 ○井上委員 毒性学の立場からすると大変いい薬だというのは常に怖いときがありますけ れども、農薬というのは日ごとに新しいものが開発されて、こういうものが開発されたの かという感想を持つほど見事に毒性のないものであることをまず一言申し上げたいと思い ます。  座長の御指摘にあった発がん性の点について申し上げます。これは、41ページを御覧い ただきますと、右上に表の片割れが前のページから続いていまして、1,000ppmの毒性が示 されております。これは肝臓の活性に伴って甲状腺の機能が上がっていることを示してい て、これが毒性になっております。これはしばしば非遺伝毒性、エピジェネティックなカ ルシノジェネシスを引き起こすことがあり、かつ、スレッシュホールド、閾値があるとい う毒性の指標になります。したがってこれが調べられているわけですけれども、その下の ドーズの50ppm、すなわちこれを直したものが先ほど事務局が御説明した1.70mg/kg体重で すけれども、この50ppmでは見られなかった、つまり閾値があったということでございます。 1,000ppmでこのような、2万ppmに比べると軽微な肝重量の増加とか、それに伴う甲状腺の 濾胞上皮の肥大があったけれども、それ以下のドーズでは見られなかった。したがって、 これから下の用量で使われる分には問題ないという論理でございます。 ○吉倉分科会長 ということですが、そうすると、この15ページの答申案のとおりでよろ しいですか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 では、合意ということで、今後のWTOその他の説明をお願いします。 ○松田課長 これにつきましても、WTOの通報の手続き中で、パブコメはこれからとい うことですので、問題がなければ答申をいただいて、告示の改正を進めたいと思いますが、 いろいろ御意見等をいただいて問題があれば、また分科会長に御相談させていただいて進 めたいと思っております。 ○吉倉分科会長 それでは、次はオフロキサシンについてお願いします。 ○松田会長 それでは、資料4−1、オフロキサシンでございます。  5ページ目ですけれども、用途として、鶏の呼吸器性マイコプラズマ病及び大腸菌症の 治療でございます。オフロキサシンはニューキノロン剤で、また、ヒトでも臨床で上・下 気道感染症や尿路感染症の治療薬として用いられているものでございます。  今回の基準設定ですけれども、本剤が承認を受けて6年経過したための再審査申請がな されたことに伴い、安全委員会の方でADIが設定されたということを踏まえて基準を設 定するものでございます。  化学名、構造式及び物性については、このとおりでございます。  6ページ目に本剤の適用方法及び用量が書いてありますけれども、飲水1リットル当た りオフロキサシンとして50〜100mgもしくは1日体重1kg当たりオフロキサシンとして5 〜10mgを飲水に均一に溶かして鶏に3〜5日間経口投与する、使用禁止期間は7日間、ま た、第一選択薬が無効の症例のみに使用するとなっております。  2番目の「対象動物における分布、代謝」ですけれども、2つ目のパラグラフにありま すとおり、鶏に単回経口投与したとき、血中濃度は投与1〜2時間後に最高に達し、以後 は速やかに減少して、8時間以降は定量限界以下になったということでございます。また、 オフロキサシンは大部分は未変化体として尿中に排泄されることが実験動物でも確認され ております。  3番目の「対象動物における残留試験結果」でございます。分析の対象物質はオフロキ サンシンでございます。(2)の「組織における残留」ですが、まず、(1)として、7ページを 御覧いただきますと、上の方に「鶏にオフロキサシンとして200ppmの飲水を7日間自由摂 取させた時の食用組織中のオフロキサシン濃度」という表がまとめられておりますけれど も、筋肉、脂肪、肝臓等、それぞれで投与後5日目ですべて定量限界0.02ppm以下になって おります。  また、2つ目のデータですが、鶏にオフロキサシンとして100ppmまたは200ppmの飲水を 7日間自由摂取させたときの食用組織中の濃度がまとめられております。これも、筋肉等々、 他のいろいろな組織や血清で、投与後3日目で検出限界の0.05ppm以下という結果になって おります。  4番目の「許容一日摂取量(ADI)評価」ですけれども、食品安全委員会の方で食品 健康影響評価がまとめられております。オフロキサシンにつきましては、下から4行目に ありますけれども、幼若犬を用いた8日間の関節毒性試験でのNOAELが5mg/kg体重/ 日ということで、この知見からADIを設定すると、種差が10、個体差10の安全係数100 に加えて、関節毒性試験の試験結果の期間が短いことと、発がん性・慢性毒性試験の知見 がないこと等を総合的に考慮して、10を適用して、ADIは0.005mg/kg体重/日と設定され ております。  8ページ目ですけれども、微生物学的影響に基づくADIも検討されておりまして、そ れに基づきますと0.006mg/kg体重/日と評価されております。毒性学的影響から導かれるA DIの方が低いですので、今回、オフロキサシンについては0.005mg/kg体重/日と評価され たところでございます。  5番目の「諸外国における使用状況」ですけれども、アジアで若干使われている実績が あるそうですけれども、欧米等では使われていないということでございます。  6番目の「残留基準値」ですけれども、残留の規制対象についてはオフロキサシンで、(2) の「残留基準値(案)」ですが、この表にもありますとおり、現行の基準値はポジティブリ スト制度への移行に伴い、すべて0.05という基準値を設けておりますが、今回改めて、同 じ値ですが、基準値として正式に0.05という基準値を設定したいと考えております。これ に基づいたADI比をTMDIで計算すると、9ページ目にありますとおり、国民平均で は0.38%、小児では1.3%といったADI比になります。  ということで、10ページ目に答申案ということで、それぞれ0.05ppmという基準値にした いということでまとめております。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 この委員会として最終的に判断しなければいけないのは、答申案の鶏の 筋肉その他の食用部分に関する残留基準値ですが、何か御質問、御意見がありますか。  井上先生、何かありますか。 ○井上委員 これは従前の値は幾つでしたか。 ○松田課長 従前も今回と同じ0.05です。 ○井上委員 そうですか。結構です。 ○吉倉分科会長 このオフロキサシンはかなり長く使っているという話ですが、たしかニ ューキノロンはなかなか分解しない物質だと覚えているのですが、ここの委員会とは直接 関係ないのですが、いわゆるこの抗生物質への耐性菌出現とか、その辺は部会で何か議論 がありましたか。 ○松田課長 これについては8ページ目にもありますが、下にある表の上の2行に、薬剤 耐性菌を介した影響についてはまた改めて評価が示された段階で見直しをするということ でございます。 ○吉倉分科会長 要するに、食品安全委員会かどこかでモニターされているという理解で よろしいわけですね。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 ほかにはよろしいですか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 それでは、この答申案でこの委員会では合意ということですが、WTO その他今後の手続きについてお願いします。 ○松田課長 これについては、パブコメは終了しております。WTO通報がまだ終わって いませんので、WTO通報でまた何か検討すべき意見がありましたら分科会長に御相談申 し上げたいと思っております。問題がなければ、答申をいただいて所定の告示改正の手続 きを進めたいと思います。 ○吉倉分科会長 それでは、鶏のトリニューモウイルス感染症生ワクチンについてお願い します。 ○松田課長 これにつきましては、資料4-2-1でございます。5ページ目をお開きいただき ますと、品目名が鶏のトリニューモウイルス感染症生ワクチンでございます。  用途としては、鶏のトリニューモウイルス感染による呼吸器症状の予防ということで、 本剤は、鶏胚繊維芽細胞培養弱毒七面鳥鼻器官炎ウイルスを弱毒化した生ワクチンでござ います。今回の残留基準の検討ですけれども、これも承認後6年後の再審査申請に伴い、 食品安全委員会で健康影響評価がなされたことによるものでございます。  4番目の「適用方法及び用量」ですけれども、本剤は7日齢以上の鶏に対して点眼接種、 散霧投与もしくは飲水投与の形で投与するものでございます。  (5)の「諸外国における使用状況」ですけれども、南アフリカ等46か国で承認され使用さ れているということでございます。  2番目「残留試験結果」ですけれども、これについては主剤等の残留試験は実施されて いません。  3番目「許容一日摂取量(ADI)評価」でございます。食品安全委員会でのADIの評 価につきましては、次の6ページ目を御覧いただきますとその概要を書いてありまして、 真ん中ぐらいの「なお、」以下、「本ワクチンに使用されているウイルス株は弱毒株であり、 鶏に対しても病原性を示さない。TRTVのヒトに対する病原性はないとされており、人 獣共通感染症とはみなされていない。安定剤として使用されているD−ソルビトールはヒ ト用医薬品、食品添加物として使用されており、またJECFAにおいてソルビトールと してADIは特定しないとされている。」ということ、そして、最後のパラグラフになりま すけれども、「承認時から再審査期間中にこれまで把握されていなかった新たな副作用報告、 安全性を懸念させる研究報告は認められておらず、提出資料の範囲において、当製剤に関 する安全性を懸念させる新たな知見の報告は認められないと考えられ、当生物学的製剤が 適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視で きるものと考えられる。」との結論をいただいております。こうしたことも踏まえまして、 残留基準の設定については、基準は設定しないという形で検討いただいたところでござい ます。  以上です。 ○吉倉分科会長 これについてはよろしいですか。残留基準を設定しないということです ね。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 では、次に進みましょう。 ○松田課長 資料4-3-1ですけれども、豚のアクチノバシラス・プルロニューモニエ感染症 不活化ワクチンでございます。  5ページ目をお開きいただきたいと思います。品目名としては、豚のアクチノバシラス・ プルロニューモニエ感染症不活化ワクチン、用途としては、豚のアクチノバシラス・プル ロニューモニエ感染症(胸膜肺炎)の予防でございます。本剤は、アクチノバシラス・プ ルロニューモニエトキソイドApxI、同ApxII、同ApxIIIをクロロクレゾールで不 活化したものとアクチノバシラス・プルロニューモニエ菌体外膜タンパク質(OMP)を 主剤とする不活化ワクチンでございます。今般の残留基準の検討ですが、これも承認後6 年を経過したために再審査申請が出されたことに伴って、食品安全委員会で健康影響評価 がなされたことによるものでございます。  本剤の「適用方法及び用量」ですけれども、ワクチン2mLを約6週齢以上の豚に4週間 間隔で2回、頸部筋肉内に注射するというものでございます。  「諸外国における使用状況」ですが、オランダ、ドイツ等の50か国以上で承認され使用 されております。  2番目の「残留試験結果」ですけれども、これについての試験は実施されておりません。  3番目「許容一日摂取量(ADI)評価」でございます。食品安全委員会における食品 健康影響評価につきましては、6ページ目になりますけれども、「本ワクチンに含有される 主剤は不活化されており、感染力及び毒性は有していない。アジュバンドとして使用され ている酢酸トコフェロールはビタミンEの酢酸誘導体であり、動物体内で代謝される。不 活化剤として使用されているクロロクレゾールはEMEAでMRL設定不要とされている。 乳化剤として使用されているポリソルベート80、保存剤として使用されているホルムアル デヒドは過去に動物用医薬品専門調査会において、適切に使用される限りにおいて食品を 通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると評価されている。消泡剤として使 用されているシメチコンは食品添加物として使用されている。」ということでございます。  さらに、最後の段落ですけれども、「承認時から再審査調査期間中にこれまで把握されて いなかった新たな副作用報告、安全性を懸念させる研究報告は認められていないと。提出 された資料の範囲におきましては、当製剤に関する安全性を懸念させる新たな知見の報告 は認められないと考えられ、適正に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康 に影響を与える可能性は無視できると考えられる。」ということでございます。  この結果を踏まえまして、残留基準は設定しないと結論づけたところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 それでは、承認ということで、その次についてお願いします。 ○松田課長 続きまして、資料4-4-1でございます。豚オーエスキー病生ワクチンでござい ます。  5ページ目を御覧いただきますと、豚のオーエスキー病生ワクチンで、用途としては、 豚オーエスキー病の発症予防でございます。本剤は、オーエスキー病ウイルスを弱毒化し たADVバーサ・KS株を主剤とした生ワクチンで、この剤も承認後6年後の再審査申請 に伴って食品安全委員会で評価がなされたものでございます。  用法・用量ですけれども、生後8〜10週に1回、豚の耳根部または臀部筋肉内に投与し、 必要がある場合は3週間以上間隔を置いて追加で1回投与する。その後は、1年に1回以 上の投与を行うというものでございます。  「諸外国における使用状況」ですけれども、スバキシンオーエスキーフォルテという製 剤については、オランダ、ベルギー、ドイツ等で承認されて使用されております。もう一 方のスバキシンオーエスキーフォルテMEについては、海外では使用されていないという ことでございます。  6ページ目ですが、残留試験結果でございますけれども、試験は実施されていません。  3番目「許容一日摂取量(ADI)評価」ですけれども、食品安全委員会の評価として は、「本ワクチンに使用されているウイルス株は弱毒株であり、豚に対しても病原性を示さ ない。アジュバントとして使用されている流動パラフィン、感想水酸化アルミニウムゲル、 乳化剤として使用されているポリソルベート80、無水マンニトールオレイン酸エステル、 保存剤として使用されているチメロサールは過去に動物用医薬品専門調査会において、適 切に使用される限り食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると評価さ れている。」ものでございます。あと、マンナイドモノオレエートはEMEAにおいてMR Lの設定は不要とされる物質に分類されております。安定剤として使用されているD−ソ ル ビトールも、ヒト用医薬品の添加剤、食品添加物として使用されているものでございます。  また、最後のパラグラフですけれども、「承認時から再審査期間中に7頭の副作用の報告 がありましたけれども、いずれも一過性の軽度の兆候でありました。また、その他安全性 を懸念させる研究報告は認められておらず、提出された資料の範囲においては、当製剤に 関する安全性を懸念される新たな知見の報告は認められないと考えられまして、当該製剤 が適切に使用される限りにおきましては、食品を通じてのヒトの健康に影響を与える可能 性は無視できると考えられる。」という評価をいただいているところでございます。  こうした評価を踏まえまして、残留基準の設定につきましては、基準は設定しないとい う形でまとめていただいたところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 これについてもよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 それでは、この基準値ということで、次をお願いします。 ○松田課長 資料4-5-1でございます。ケラチナーゼを有効成分とする洗浄剤でございます。  5ページ目を御覧いただきますと、まず品目名ですが、ケラチナーゼを有効成分とする 洗浄剤です。商品名はプリオザイムということで、プリオンを意味するような名前ですけ れども、今回の目的はあくまでも洗浄剤ということで、プリオン不活化を効能とするもの ではありません。  本剤は、Bacillus licheniformis株が産生するケチラナーゼを主剤とする器具等の洗浄 剤で、有効性としては、牛海綿状脳症由来の異常プリオンタンパク質の汚染除去というこ とでございます。  4番目の「適用方法及び用量」ですけれども、緩衝剤30gを40〜60℃に加温した水道水1 00mLに溶解して、それに酵素剤35gを加えて溶解した液に解剖刀、脊髄を吸い出すチュー ブ及び破壊するニードル、前掛け等々の器具を1時間浸漬するというものでございます。  「諸外国における状況」ですけれども、本剤は諸外国では承認等はありませんが、同様 のプロテアーゼを主剤としたものが英国で欧州医療機器指令に基づくCEマークというも のを取得しているということでございます。  「残留試験結果」ですけれども、使用上の注意に記載されている本剤処理後の器具の水 洗処理により製剤成分が確実に除去されるかにつきましては、メスを用いた疑似試験が実 施されておりまして、6ページに移りますけれども、メスからはケラチナーゼは検出され なかったということで、ほとんど残留しないだろうと考えられるものでございます。  「許容一日摂取量(ADI)評価」ですが、食品安全委員会での評価につきましては、 本剤が適切に使用された場合において、酵素剤あるいは緩衝剤の成分が食品に付着し、ヒ トが摂取した場合に関する評価を今回安全委員会の方で行っているところでございます。 本剤は、主剤のほかに、酵素剤中に結合剤、賦形剤、着色剤、緩衝剤中に無機塩類の緩衝 剤、流動化剤、賦形剤、着色剤が使用されておりますけれども、いずれも国内外で食品添 加物として使用されているものや、食品成分そのものであります。また、用法で規定され ている使用量も微量であると。また、使用上の注意で、洗浄後の器具の水洗が規定されて おりますので、添加剤等は物性からこの水洗によって容易に除去されるということで、適 切に使用される限りにおいてはヒトが食品を通じてこれらの物質を摂取する可能性はほと んどないと考えられるということでございます。  また、主剤でありますケラチナーゼにつきましては、各種の動物試験で特異的あるいは 顕著に強いと考えられる影響は認められなかったと。また、さらに先ほど説明申し上げま した、限定的ではありますけれども、器具に対するケラチナーゼの残留性についてメスを 用いた試験が実施されておりまして、検出限界以下に除去されていることが示されている ということから、用法・用量及び使用上の注意を順守する限り、ケラチナーゼや添加剤等 がメス等に残留して食品を汚染することはほとんどないと考えられるということで、適切 に使用される限りにおいて、製剤に含有される成分が食品を通じてヒトの健康に影響を与 える可能性は無視できるものと考えられると評価されているところでございます。  この評価に基づきまして、残留基準は設定しないという評価をいただいているところで ございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 いかがでしょうか。  酵素を使った洗剤は世の中にいっぱいありますが、洗剤が出てきたのは、私がこの分科 会に関係してから初めてだと思いますが、これはどういう位置付けなのでしょうか。 ○事務局 本剤につきましては、ただいま御説明がありましたとおり、酵素を主剤とする 洗剤でございます。本剤は、あくまでも、その目的を踏まえ、と畜場のような場所で用い られた器具に対して使用される洗剤であるということでございます。ですので、このよう な使用用途を勘案した場合、動物用医薬品に区分されるものという取扱いになっておりま して、これは現在、農林水産省に対して動物用医薬品としての登録申請がなされているも のでございます。ですので、本剤につきましては、動物用医薬品としてこの審議会で御審 議をいただいているというものでございます。 ○吉倉分科会長 そういう仕分けですね。  それでは、これは申請どおりでよろしいかと思います。                  (異議なし) ○吉倉分科会長 基準値は設定しないということですね。  それでは、次をお願いします。 ○松田課長 資料5−1、加熱後摂取冷凍食品(冷凍直前未加熱)の規格基準の一部改正 についてでございます。 ○吉倉分科会長 すみませんが、さっきのケラチナーゼは、今後の手続きはどういうぐあ いになりますか。 ○松田課長 このまま答申する予定です。 ○吉倉分科会長 このまま答申でよいということですか。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 はい。  その次をお願いします。 ○松田課長 それでは、資料5−1の5ページ目を御覧いただきたいと思います。加熱後 摂取冷凍食品ということで、名前のとおり、加熱してから食べるというものでありまして、 そのうち、括弧書きにありますように冷凍直前未加熱ということで、冷凍する直前におい てはまだ加熱処理をしていないものの規格基準の一部改正でございます。  冷凍食品の規格基準がありますけれども、冷凍食品の規格基準のうち、今申し上げた加 熱後摂取冷凍食品(冷凍直前未加熱)という冷凍食品につきましては、現在、糞便汚染の 指標であるE.coliが陰性という成分規格があります。しかしながら、今回、御審議いただ く冷凍パン生地様食品の場合、原料段階の小麦粉でE.coli汚染が指摘されておりまして、 製造工程で加熱等の工程を経ない冷凍パン生地様食品がこの成分規格を満たせない場合が あり、事実、輸入された品目でも違反等が報告されているというものでございます。  今回、この冷凍パン生地様食品について、先ほど申し上げたE.coliの成分規格を適用し ないという一部改正を行うということでお諮りするものでございます。  まず、この冷凍パン生地様食品は、1にありますように、小麦粉を主原料として、高温 で加熱しなければ食べることができないような冷凍パン生地のような食品を言っておりま して、ここにお示しするような、食パン、ハードロール、菓子パン、ドーナツ、デニッシ ュ、パイといったパン生地やピザ生地もくしはジャムや餡等をフィリングしたパン生地、 こうしたものが該当します。  2にあります「冷凍パン生地様食品の製造方法」ですけれども、冷凍パン生地様食品に つきましては、生地を発酵させてから冷凍する場合と、生地を発酵させずに冷凍させる場 合と2通りありますが、通常のパン生地、常温とか冷蔵で流通しているものと、冷凍の工 程以外は基本的な相違はないということでございます。  3番目ですが、「食品衛生法に定めるE.coli」ですけれども、E.coliは、糞便汚染の指標 として設定されているものでございます。  4番目。「食品安全委員会の食品健康影響評価」ですけれども、今回、食品安全委員会に 対しては、食べる前に加熱する冷凍パン生地様食品に限って成分規格のE.coli陰性を適用 しないことについて、健康影響評価を依頼したところでございます。  その結果、ここにありますとおり、摂食前に十分な加熱・焼成が行われる限りにおいて、 E.coli陰性の成分規格を適用しないことにより健康影響のリスクが増大することは考えら れないという評価をいただいております。  具体的には、20ページを御覧いただきますと、食品安全委員会の結論が下の方に載って おります。1)にありますとおり、冷凍パン生地様食品の摂取に絡む食中毒事例等の健康被 害について、調査を行った限りでは、過去に報告はないということ。また、パン生地様食 品の約9割を占める常温及び冷蔵のパン生地でもE.coliに関する特別な規格はないのです が、それにもかかわらず、このものでも食品健康被害については報告がないこと。21ペー ジの3)ですけれども、やはり冷凍パン生地様食品については十分に焼成されれば、E.coli が汚染の指標として有効と考えられる腸管系微生物は死滅すると考えられると。上記の検 討結果から、十分に加熱・焼成が行われる限りにおいて、E.coli陰性の成分規格を適用し ないことにより、健康被害のリスクが増大するとは考えられないという評価をいただいた ところでございます。  6ページに戻っていただきますと、「食品規格部会における審議内容について」というこ とで、今回、規格基準を一部改正するに当たってあわせて考えられる必要な管理措置とい うことで、原材料の小麦粉がE.coliに汚染されていることを前提に、冷凍パン生地様食品 の製造工程中の衛生管理の徹底、また、必要な指導が大事であるということを指摘いただ いたところでございます。また、冷凍パン生地様食品が一般消費者や中小のベーカリーで も使われておりますので、十分な加熱・焼成の温度及び時間等について情報提供をきちん とすべきであるということであります。  あと、冷凍パン生地様食品以外の冷凍食品の成分規格の指標細菌の取扱いについては、 今後検討する必要があるということでございます。  「規格基準一部改正」については、食品等事業者に対して、冷凍パン生地様食品の製造 時に自主的な衛生管理を行うよう指導するとともに、パン生地様食品の利用者に対する加 熱・焼成等に関する情報提供を行うことを前提として、また、食品安全委員会の評価結果 を踏まえて、この規格基準の一部改正ということで、小麦粉を主たる原材料とし、喫食前 に加工工程が必要な冷凍パン生地様食品についてはE.coli陰性の成分規格を適用しないこ ととするという評価をいただいております。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 これについてはいかがですか。  糞便系大腸菌群のことですが、E.coliというのはエシェリキア属を確定した後の話です か。それとも、水質検査などでコリフォーム等を使うこともあるので‥‥。ここに書いて あるのは本当のエシェリキアですね。 ○品川(森)委員 試験をする場合、これは高温で培養していますよね。今、座長がおっ しゃった水などの検査の場合は低温でやるから、エシェリキア・コライ以外のものも出て くるんですよね。 ○吉倉分科会長 そうです。 ○品川(森)委員 糞便由来という形で、ECテストという形できっちり確定してしまっ ているようものが、一体、小麦粉を主にする材料のところにどうして汚染が起きてくるの か。そういう汚染したものを食べても大丈夫だという根拠は、一体どういうことなのか教 えていただきたいのですが。環境汚染から来るというものならわかるのですが。 ○吉倉分科会長 今の大腸菌について正確に答えてもらって、それから品川先生のことに もお願いします。 ○松田課長 まずE.coliの規定ですけれども、5ページ目の下から4行目に注意書きがあ りますけれども、この試験で規定されるものをすべて言っております。 ○吉倉分科会長 そうすると、菌分類はしなくてもいいということですね。これでいけば いいという話ですね。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 わかりました。 ○松田課長 小麦粉の汚染の話ですけれども、18ページ目に食品安全委員会での評価の中 で、(1)と(2)で、国内と文献情報のことが紹介されていますけれども、国内でも、生地からE. coliが検出されたものがあります。あとは、最後にありますけれども、製粉メーカー4社 による小麦粉の自主検査では検出されていないということです。また、(2)にある文献の結 果では、例えば最後に、アメリカでは小麦粉で平均して12.8%が大腸菌で汚染されている ということですけれども、汚染割合、汚染程度、汚染原因については不明であるというこ とで、どういう形で汚染が由来しているかは評価されていません。  いずれにしても、今回も加熱することによって問題ないだろうという前提で見直しとい うことを御検討いただくものでございます。 ○吉倉分科会長 これは、家庭で焼くために売られているクロワッサン生地とかもこのカ テゴリーに入りますか。 ○松田課長 家庭用で焼く冷凍生地もあるかと思いますので、それも対象になります。 ○井上委員 最近のことは存じませんが、臭素酸カリウムなんかはこういうものには入っ ていないことが前提でしょうか。家庭で高熱をちゃんとかけるような注意書きの必要性と の関係で伺います。 ○松田課長 臭素酸カリウムが使われている食パンは、基本的には我が国でも特殊な食パ ンで、あれを使わないとタンパクの熟化がうまくいかなくて膨らまないものが小麦粉の種 類によってあるそうで、使われているのは限定的です。したがって、家庭用のもので臭素 酸カリウムが使われているという話はないと思います。 ○吉倉分科会長 うちなどでもときどきありますが、熱のかけ方によっては生焼けで食べ てしまうことが結構あります。何か注意書きでもしなくていいのかなと思うのですが、い かがですか。 ○松田課長 部会等でも御指摘いただいておりますが、焼成時間とか温度をもっと具体的 に、消費者の方も含めてちゃんと情報提供できるような指導が大事だということを御指摘 いただいておりますので、やらせていただきたいと思っております。 ○品川(森)委員 要するに、加熱すれば腸内細菌の群は、胞子でもない限りほとんどの 生物が死ぬわけですね。ですから、そういう前提で、加熱すれば微生物学的には安全にな るという前提でこのことを変えていくということなのかどうかということ。もしそうであ れば、単にパンにとどまらないのではないかという気もしますが、このあたりはどうして こういう形になったのかというところのことを教えていただければと思います。 ○吉倉分科会長 質問は、なぜ調理が前提の冷凍食品は全部これに該当させないかという 話ですよね。 ○品川(森)委員 そうです。 ○事務局 これが答えになるのかどうかわかりませんが、事務局から若干お答えしたいと 思います。  私どもも確かにそこら辺は難しいと思っております。と申しますのは、今回のパン生地 様冷凍食品につきましては、製造工程のどこにおいてもE.coliが入らないこと、もしくは、 死滅させることを可能にする工程がないということで、原材料段階で汚染されてしまって いるものであるならば、これは汚染指標としてはなかなか使えないものであるということ であること、また最終的には、加熱することで殺菌されて食品として、想定されているよ うな腸管系の微生物が全部死んでしまうということをもって安全であるということは言っ ております。  ただ、先生が御懸念であるような、ほかの食品でも加熱してしまえばいいのではないで すかということは、確かに食品安全委員会でも議論になりました。そこで、食品安全委員 会から私どもにいただいた宿題といたしましては、今後、冷凍食品を全般的に汚染指標菌、 つまり衛生管理に資するような細菌の指標とか、病原微生物についてどのようなことがで きるのかということを検討しなさいということを言われておりますので、そこら辺は今後 おいおい検討させていただきたいと思っております。 ○品川(森)委員 要するに、食品というのは、一つは清浄性が求められるわけです。指 標細菌というのはそこのところにかかってくるものだろうと思います。大腸菌をなめて病 気になるということはまずないわけですから。ですから、さっきからずっと言っているの は、そこのところの考え方が、厚労省として変えたのかどうかをお伺いしたいということ です。 ○吉倉分科会長 今の件は、少なくともここの議論はパンの生生地の話ですので。 ○品川(森)委員 ただ、そこの根底になって、そこを変えるとなったのはどうしてなの かというところは今のところにかかってくると思うわけです。 ○吉倉分科会長 私から説明するのも変ですが、先ほどのように、実際上、パンの生地か ら大腸菌は除けないと。そこが出発点だと思います。さっき事務局からちょっと説明があ りましたが。 ○丸井委員 私も同じような疑問を持っていました。ほかの冷凍食品についても同じよう なことが出てくる可能性もあるわけですが、今回は、例えばWTOで何か必要が生じたと か、あるいは、この業界から何かの形で申請があったのでそれに対応したとか、このよう な多少緩めるもののきっかけは何なのか。ということは、これから先、これを拡大してい くときの契機となる引き金は何なのかということで、それによってこれからこれが拡大す るのか、これにとどまるのかということも関係してくると思いますけれども、今回のこれ の契機は一体、どういうことでこれが始まったのか御説明いただけますか。 ○吉倉分科会長 契機は先ほどの説明で終わったと思います。要するに、小麦粉からは除 けないというだけの話だと思います。今後については、事務局から説明をお願いします。 要するに、技術的な話でこの議題が出てきたのは、それはそれだけの話だと思います。今 後についてどう思うかは事務局から回答されるといいと思います。 ○松田課長 まず、この検討を始めたのは、今、座長からありましたように、もともとい ろいろと汚染の実態があることと、具体的には、それを輸出している企業から見直しの要 望があったということが一つの契機になっております。  今回の見直しはこのパン生地だけのことで、全体をどうするかは、考え方は、指標菌の これからの取扱いなども今後も検討することになっておりますので、その中で検討させて いただきたいと思っております。 ○吉倉分科会長 厚労省の方でお考えになっていただくことが適切だろうと思います。例 えばカキでも、冷凍して、煮て食べるためのカキを生で食べてしまったりいろいろします から、そういう一般的にこうするというように理解されるのは時期尚早ではないかと私自 身は理解しております。やはり製品によってかなり違うのではないかという状況がありま す。  それから、もしも全般的に、先ほどの品川先生のコメントのように、緩和ということで 行くと、今度は消費者側がその分だけ責任を持つことになり、その辺はよろしいのかと。 今後、不用意に、単に全部に広げるという前提の下に今の議論がされたということではな いと私自身は理解しております。 ○品川(森)委員 ちょっと待ってください。そういう形で、今のこのものだけだからオ ーケーという形で行くのは、そこのところの思想というか、厚労省がこれを出してきたこ とに関してのことが未だによくわかりません。一つ個別的に出してくれば、それはいいの だという形になってしまうものなのかどうかということです。ですから、私、公衆衛生学 を大学で教えていた者として、この話を聞いてもなかなかすんなり落ち着かないわけです。 ○吉倉分科会長 そうすると、先生は、この場合、パン生地についてはぐあいが悪いとい うお考えですか。 ○品川(森)委員 衛生的というより、安全かどうかに関して、加熱すれば安全であるこ とはわかっているわけです。もう一つ問題は、ヌイサンスということもあるわけで、こう いうものも排除することが食品衛生上の問題の一つになっているわけです。そういう問題 とここのところのかかわり合いをどのようにお考えか。例えば、加熱したラーメンの中に ハエが入っていたとか、ゴキブリが入っていても、こんなものは安全性の上では問題にな らないわけです。だけど、そんなものはだれも食べないわけです。要するに、言ってみれ ば、食品の取扱いの問題がどうなのかということ。小麦のことは、先ほど伺いますと、国 内のものでは大腸菌が見つからないものが大部分ですね。そういう形でまともにきちんと 製品をつくってくれば、陰性のものがあるわけです。そうすると、陽性のものがあったか ら、陽性をよしとするという形になるところには、一体どうしてなのかということ。これ はやはり、今は学生を教えないからいいのですが、もし現役であれば、これを学生にどう 説明するか、私は非常に困ると思います。そういうことが言いたかったわけです。 ○吉倉分科会長 そうすると、先生のこの案件に対する御意見としてはどういうことにな りますか。 ○品川(森)委員 私でしたら、これはもう少し検討していただきたいというか、これは 少なくとも国民に対してきっちり理解できるような形の説明をしていただきたいというこ とです。ここにあって、これは安全だというこの程度のことではなくて、従来の食品安全 行政の考え方と、ここのところで一つ違いが出てきているような気もするものですから、 その説明をよろしくお願いしたいということです。 ○吉倉分科会長 先ほども、この案件は、このパン生地の、小麦粉で輸入されたものその 他について、大腸菌を含むものがかなりあると。それに対する対応だと。そこだけだと思 います。それ以上のことについては、今、審議しているわけではありません。ただ、これ を全般的に広げるかどうかに関しては、だれでもわかることですが、適用できないものが かなりあるのではないかということは、それは当然の話だと思います。 ○藤崎部長 今、御指摘の点は、公衆衛生学というお立場からは大変貴重な御指摘だろう と思いますし、加熱すれば安全だから、その前の過程が、あまり衛生に留意しない形で取 り扱われていいものだろうかという先生の御指摘、御懸念だろうと思います。  今回、御審議いただいているのは、今、座長がおっしゃいましたように、この冷凍パン 生地の問題がどうなのかということで、食品安全委員会で御審議いただき、また本日も御 審議いただいているわけですが、それはそれとしての安全性の御審議をいただくとして、 私ども食品安全を所掌する立場からしますと、品川先生がおっしゃいましたように、どう いう形の基準ができるにしても、食品衛生の全般的な製造過程、管理過程において、衛生 面の取扱いがおろそかになるようなことがあっては困りますので、例えばこういう新しい、 一つの類型といいましょうか、食品の安全管理の類型が今回出てまいったわけですので、 この適用に当たっては、そういうことに疎漏のないような関係者の取扱いを私どもで徹底 してまいりたいと考えております。そういう意味で、これは加熱して菌が死滅するから大 丈夫なのだということで途中の過程がどうでもいいということではなくて、やはりきちん と食品の製造・加工の過程においては、安全面に対する留意を十分にするようにというこ とで、私ども対応してまいりたいと考えておりますので、そのように御理解願えれば幸い でございます。 ○吉倉分科会長 コーデックスのコモデティの基準があるのですが、この中には、いろい ろな夾雑物がどのくらいということが書いてあって、ネズミの糞、虫の死骸など異物の許 容量が書いてあります。それから、FDAだと、コーデックス基準よりももっと細かい、 ガラス破片が幾つとか書いてあります。要するに、我々が食べるものはそういうものをプ ロセスして食べていると。ここには消費者の方もいらっしゃると思いますが、そういう生 産過程でどうしても入ってくるものはコーデックスの基準の中でも十分に認めているので、 その辺をお考えいただくといいと思います。大体、種々の異物許容値を足すと重量にして 1%近くと思います。  そういうことで、今後、こういう議題が出たときは、部長さんがおっしゃったように、 十分に注意して審議するということでお願いしたいと思います。  なお、この大腸菌は、5ページに定義されてある大腸菌であるということです。 ○松田課長 私、先ほど、国内でのデータは汚染はないという話をしましたが、よくよく 見ますと、冷凍パン生地では1種類から出ていて、あとは10倍感度のいい方法でやると14 種中4種類とか、粉類では15種中4種類から出るということが書いてあります。失礼いた しました。 ○吉倉分科会長 パン生地としても、日本はフランスとかああいうところから空輸してい ますよね。冷凍パン生地としての輸入がたしかあったと思います。 ○松田課長 冷凍パン生地の輸入が一番多いのは、今のところはアメリカが一番多くて、 次が、昨年ですと中国です。次が台湾、フランスというようなところでございます。 ○吉倉分科会長 そういう状況ですので、これは貿易とも少し関係がある話だと思います。  それでは、次をお願いしたいと思います。 ○松田課長 次は報告事項ですけれども、まず報告資料1−1でございます。  ニトロフラン類試験法一部改正ですけれども、これにつきましては、ポジティブリスト 制度導入に伴い、食品において不検出の基準を設定したものについては、あわせて食品中 に検出されないことを判断するための試験法を告示で示しているところでございます。こ のニトロフラン類につきましては、代謝物を分析の代謝物としておりまして、また、この 代謝物を誘導体化して測定しているところでございます。今回、この誘導体化に用いる試 薬と検体の反応比率を変更することによって、より精度の高い試験方法が実施可能になる という知見を得ましたことから、試験法改定の告示を11月30日にしたというものでござい ます。  続いて、報告資料1−2、9ページ目でございます。動物用医薬品のマラカイトグリー ンにつきましては、今年5月30日付で不検出という基準を定めまして、また、マラカイト グリーンと、その代謝物であるロイコマラカイトグリーンを対象とする試験法を告示で規 定したところでございます。しかしながら、この試験法におきましては、ロイコマラカイ トグリーンが夾雑物の存在下では科学的に不安定で、液体クロマトグラフィーによる分離 挙動も不安定になる場合があることから、今般、試験法の中の試験溶液の調製において精 製法を追加して、また、液体クロマトグラフィーの移動相条件を変更することによってロ イコマラカイトグリーンを安定的に分析可能であるという知見を得ましたことから、これ に基づきまして、11月30日付で試験法の告示改正をしたものでございます。  続いて、17ページの報告資料1−3でございます。これにつきましては、ツラスロマイ シンについての意見募集の結果です。このツラスロマイシンにつきましては、今年9月に 分科会で基準設定について御審議いただいたところでございます。その際、パブリックコ メントにつきましては、ここにもありますとおり、今年の7月13日から8月14日までの間 に実施したわけですが、コメントはなかったということで御紹介させていただいたのです が、実は、私どもに、その間にコメントを出しましたという問い合わせがありまして、最 終的にうちの方も受けたかどうかは確認できなかったのですが、コメントを出されたとい うことですので、改めて意見に対する回答を御紹介するものでございます。  今回いただいたコメントですけれども、ツラスロマイシンにつきましては、2つの構造 異性体の平衡混合物ですので、分析法については、米国及びEUのように共通フラグメン トを分析する方法もしくは2種の異性体それぞれを分析する方法がありますので、妥当な ものを検討してくださいということでありまして、回答として、今回、試験法については 2つの構造異性体自身を測定する方法の開発を行ったということで回答しております。  また、意見の2ですけれども、国内における分析法の開発の状況や諸外国の分析に関す るいろいろな情報を提示した上で審議してくださいと。これらの情報については、食品安 全委員会の評価書に盛り込むように、また、貴省からも提言してくださいということです けれども、この分析法に関する情報は、多くの場合、知的財産等に抵触する可能性もある ことから、必ずしも公表できるものではなく、当省の審議会における審議に際しても、審 議資料にその概要をお示ししているところでございます。また、試験法につきましては、 食品監視を適切に実施する観点から、国内の専門家の検討を経て適切なものを開発・公表 しておりますということで回答したところでございます。  以上です。 ○吉倉分科会長 報告ですが、よろしいですか。 ○小沢委員 今のツラスロマイシンのパブリックコメントは、実は私どもの団体で出させ ていただいて、なぜ届かなかったのか、未だに原因はわかっていないのですが、それはそ れとして、意見2の方で、分析法について、知的財産にかかわるものはわかるのですが、 公定法として採用すべき分析法についても、できれば、部会などでもう少し丁寧にあわせ て議論できるような形にしていってほしいという要望ですので、よろしくお願いいたしま す。 ○吉倉分科会長 今のことは、最初にあったこういうもの(分厚いファイル資料)の件で すか。 ○小沢委員 食品安全委員会の方で知的財産にかかわった部分でやっていて、それはなか なか公表できないということはわかるのですけれども、リスク管理機関として検討すると きに、分析法も一緒にあわせて論議すべきであろうと考えていますが、それが全部という のはなかなか無理かとは思いますけれども、要望としてお願いしたいということです。 ○吉倉分科会長 これは技術的な話なので、事務局から何か今のコメントについて返事で きますか。 ○松田課長 実際に規格を検討する時期と、分析法をいろいろ検討する時期とでは時差も あったりもしますので、すべてに対応することはなかなか難しいかと思いますけれども、 内部でまた検討させていただきたいと思います。 ○吉倉分科会長 それでは、適当なときにここでお知らせいただくとか、そういうことで お願いしたいと思います。  それでは、その次をお願いします。 ○松田課長 報告事項2でございますが、報告資料2でございます。  食品への放射線照射の件でございます。この背景ですが、資料の53ページを御覧いただ きたいと思います。これは原子力委員会で検討されたときの資料ですけれども、世界と我 が国における食品照射をめぐる動向ということで、参考資料2−1が53ページの上の方に あります。現在、我が国では、食品照射は1972年にバレイショに認められた以外には認め られていないという状況でございます。  その一方で、左側にありますとおり、国際的には、FAOとかIAEA、WHO等の国 際機関においてもいろいろ検討もされ、また、この表の下にありますとおり、現在、52か 国及び台湾で230品目が許可され、このうち31か国及び台湾で40品目が実用化されている状 況にあります。  詳しくは55ページを御覧いただきたいと思います。参考資料2−6ということで、国内 外の食品照射の状況として、左側に食品衛生法に基づく規格基準ということでまとめられ ておりますけれども、こうした形で放射線の線種、種類とか、吸収線量の量とか、種々の 規定がジャガイモの関係で規定されているところでございます。  あと、各国の照射の状況ですけれども、ブラジルから始まっていろいろな国での食品ご との照射の状況がこのような形でまとめられております。ここで見ていただくとおり、特 にスパイスで実用化されている例が非常に多くあります。  こうしたことが背景としてありまして、今回、10月3日付で、1ページ目に戻っていた だきますけれども、厚生労働省に対して、原子力委員会から、食品への放射線照射に関す る報告書が送付されました。この報告書ですけれども、50ページを見ていただきますと、 付録4ということで原子力政策大綱というものがあります。これは、平成17年10月11日に 原子力委員会でまとめたものですけれども、放射線の利用に関して、食品照射のように放 射線技術が活用できる分野において、活用がまだ十分に進められていないことが課題であ るということ、また、食品照射について、多くの国で、食品照射の実績がある食品につい ては科学的合理性を評価して、それに基づく措置が講じられることが重要であるという大 綱がありまして、その放射線利用推進の一環として原子力委員会に設置された食品照射専 門部会が食品照射に関する検討を行ってきたというものでございます。  それを踏まえまして、3ページですけれども、原子力委員会は、原子力委員会の決定の 紙がありまして、照射についてまとめてあります。その2のところに、この報告書に基づ いて、関係省庁で取組みが進められることを期待するということで、例えば(1)にあります とおり、食品安全行政の観点からの判断等ということで、食品安全行政の観点から妥当性 を検討するために、食品衛生法及び食品安全基本法に基づく検討・評価を、特に香辛料に ついて評価の取組みを期待するということでまとめられたものでございます。  報告書の細かい中味の紹介は割愛させていただきますけれども、今後の厚労省の取組み として、まず報告書の内容について精査させていただきたいと思っておりますし、さらに 食品健康影響評価に必要な科学的な知見の整理、事業者での放射線照射の本当の必要性と いったもの、また、消費者等各方面からいろいろな御意見もありますので、そうしたこと も踏まえまして、今後の対応につきましては、食品の安全性確保を図る観点から検討して いくということを考えております。  この内容については、食品規格部会にも御紹介させていただきたいと考えているところ でございます。  以上です。 ○吉倉分科会長 いかがでしょうか。 ○井上委員 基準審査課長も、これから厚労省の方でこれを受けていろいろ広く検討なさ るということですし、しかも、本日はそういう意味での報告ですので特に長話をするつも りはありませんが、厚労省内部で、放射線照射食品について立場上たびたび答申してまい った者として、2点だけ申し上げたいと思います。  まず、この原子力委員会の食品照射専門部会が出された専門委員の先生方を拝見します と、御自分で、私は毒性学者だと自称なさる方は一人もいないはずです。極めて毒性学的 に、ここに書かれているような内容のような単純な問題ではありません。もちろん、食品 は1件1件審査するのでいいようなものですが、ことに実験動物などでは、私たちは照射 したペレットを使って動物を飼育することを今日ではもう日常的にやっております。それ は、そういうふうにしてもいいということがわかっているからですけれども、それには条 件があります。それは、放射線で壊れるものがたくさんあります。それを、ビタミンCと かビタミンEとかを添加して使っているという状況ですので、乳幼児の食べ物であるとか、 そうしたものにあれすると大変なことになります。  そのことは、厚労省の方々は、私どもも答申しておりますので大変よく御存知ですけれ ども、この報告書は、そういう意味では極めて不見識な内容になっておりますので、厚労 省として、ぜひ、従来どおりの線で慎重に、是々非々の立場で‥‥。ちなみに、スパイス などは、私は大いに結構だと思っておりますけれども、物によっては極めて重大な問題だ ということを申し上げておきたいと思います。 ○小沢委員 食品安全委員会の方でも自ら評価するというテーマの中にこれをお取り上げ になるとインターネットに載っていましたが、そのことと、厚労省として今後ということ でお進めになることとの関係がよく見えないので、そこを伺いたいと思います。  あと、これからいろいろ精査してとおっしゃっておられましたけれども、時期的なもの はどのようにお考えかということ。  それから、実は、9月に、私どもの2,000人ほどおりますモニターに、既にジャガイモに 照射されていることを知っているかと聞きました。6割の人が「知らなかった」と答えて います。3割が「聞いたことがある」と答えていて、1割が「内容を知っている」と答え ています。  こういう新しい技術を食品に取り入れるときに、全体的なリスクコミュニケーションを 丁寧に進めていかないと、またよくわからないうちにそういうことが進んだということで 誤解につながることもあります。あと、殺菌という意味では、香辛料もそれはそれである と思いますが、消費者の側から見ると、なぜそれが必要なのかという必然性についての理 解が、例えば香辛料についても、今、別に消費者は困っているわけでも何でもないですよ ね。殺菌のことも、取り立ててそれが、いろいろかかわっていらっしゃる方はこういう問 題があるのだということをもちろんお考えになっていると思いますが、そうしたところの 説明をよほど丁寧にお互いに理解を進めていかないと、取扱いとしてはなかなか難しい問 題だと思っております。 ○松田課長 今、御質問をいただきました、まず食品安全委員会との関係ですけれども、 食品安全委員会の方では、確かに今、自ら評価ということで新聞等に載っていましたが、 事務局に確認しましたところ、候補に挙がっているということであって、するかどうかは まだ決定していないという状況でございます。  もしも、あちらから、自ら評価をするということでされるのであれば、その結果をもっ てもちろんまた検討することになると思いますが、通常であれば、うちの方から食品安全 委員会に対して健康影響評価を依頼する形の正式な手続きを踏まえて行うことになろうか と思います。  時期的な話ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、私どもとしては、報告書の中 で、どういうところが抜けていないかということ、あと、先ほど先生もおっしゃいました 必要性ということも、どういうところで本当にこういう技術が望まれているのだろうかと いうところももう少し確認したいと思っておりますので、時期的にいつごろになると具体 的な話が進むのかということについては、まだ不確定というところでございます。  あと、社会的な受容性というか、理解というか、それについては、原子力委員会からも そういうことは指摘されておりますので、そこは十分に丁寧に消費者の方にも御説明する ことも検討した上で進めていきたいと思っております。 ○吉倉分科会長 ほかにありますか。  たしかコーデックスでは、添加部会から衛生部会に照射の食品は移りましたね。議論が シフトしているのだと思います。  それでは、その次に進みます。 ○松田課長 それでは、報告資料3で、「加工食品の法第11条第3項への基準適合性に係る 告示の改正について」ということでございます。  まず概要ですが、本年5月に施行しましたポジティブリスト制度の関係でいろいろな内 容の告示を出させていただきました。その中で、第1のパラグラフの真ん中ぐらいからあ りますけれども、「A 食品一般の成分規格の10」というところで、加工食品の関係の規格 があります。ここにもありますけれども、「当該告示において成分規格が定められている食 品を原材料として製造され、又は加工される食品については、当該食品の原材料たる食品 が当該成分規格に適合するものでなければならない」ということで、正式には、3ページ 目に「参考」ということで10番目の告示をそのまま抜粋させていただいておりますけれど も、こうした規定を設けております。  この趣旨ですけれども、1枚目に戻っていただきまして2つ目のパラグラフに、施行通 知でこの趣旨を説明しておりまして、要は、加工食品の原材料が成分規格に適合していれ ば、当該加工食品についても当該食品に残留する農薬等の残留値によらずに成分規格に適 合するものと解しているというところでございます。これについての通知の内容が、同じ 3ページの下の方に記載されております。  ところが、この告示は、実は、原材料に個別の基準がある場合が規定されているわけで ありまして、一律基準が適用される農作物を原材料とする場合の加工食品の規定は明確に 示されていません。今回、一律基準が適用される農作物を原料とする加工食品についても 同様の規定を設けたいということで、2に示すようなスケジュールで進めさせていただき たいと考えております。  具体的にはどういうことかというと、もう少しわかりやすいものが2ページ目にござい ます。加工食品につきましては、個別に規格基準が定められているものは別として、加工 食品については一律基準の0.01ppmがポジティブリストの制度上かかります。その加工食品 で一律基準0.01ppm以下であれば全く問題なく適合となるわけですが、一律基準を超えた場 合、この流れ図の左側にありますように、当該農薬が原料に基準がある場合、これは先ほ ど説明した告示で既に規定されている取扱いで、これについては原材料の基準を超えてい る場合は違反になりますし、原材料について基準が超えていない場合は、仮に加工食品が 一律基準を超えた場合であっても適合という形で取扱いをさせていただいているところで ございます。  今回は、右にあります枠の中でございまして、要は、原材料の基準に一律基準が適用さ れるものについても同様の取扱いの告示を出したいという内容でございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 これはわからないですね。おわかりになりましたか。非常に複雑ですが。 ○井上委員 うまく説明できるかどうかわかりませんけれども、要するに、基準がないも のが全部まとまったら、基準がなくて0.01で行きますよということが右の点線の中です。 それから、基準があるものでも、一律検査は一律基準で見ざるを得ないので上の左に行き ます。この場合には、ただちに違反とはわからないわけです。すぐに調べて、一律基準で ないものがあった場合は、それを超えていなければよろしい。それを超えていれば、もち ろん違反である。ただこれだけのことです。論理としては単純ですけど。 ○吉倉分科会長 よろしいでしょうか。  別に質問はなさそうですが、一度聞いただけでは忘れてしまいそうで‥‥。よく読むと わかります。  それでは、次をお願いします。 ○依田室長 最後の御報告を申し上げます。  コーデックス委員会のバイオテクノロジー応用食品特別部会第6回会議の結果概要につ いてでございます。  私は、9月1日付で国際食品室長を拝命しました依田です。どうぞよろしくお願いいた します。  お手元の報告資料4を御参照ください。この中で、まず日時ですが、先般11月27日から1 2月1日まで、千葉市幕張メッセでこの会議が開かれました。座長は吉倉分科会長にお願い しております。この資料の中には、(1)から(6)まで書かれていますが、ポイントだけ申し 上げます。 まず(1)と(2)、動物由来食品の安全性評価に関するガイドラインというものと、既に出 来上がっております植物由来食品の付属文書としての栄養または健康に資する組換えDN A植物由来食品の安全性評価原案というものの2つのテキストが主に議論されました。前 者につきましては、おおむね合意を見たのですけれども、一部、技術的な部分について、 FAO、WHOの専門家会議が結論を出すことが予定されているものについて、そこを待 とうということで、ステップ3として各加盟国の意見を求めることにしております。後者 につきましては、もう少し文案を練ろうということで、ワーキンググループをまた新たに 立ち上げまして、カナダを議長として議論することになりました。  (3)、(4)、(5)につきましては各国バラバラに提案したものですが、いずれも提案した国 が引っ込めるとか、あるいは、デュープリケーションがある等の理由で議論されないこと になりました。  (6)ですけれども、今回、米国が提案してきたものです。昨年も米国が提案したのですが、 要は、組換え遺伝子食品、認可されていないものが混入した場合の取扱いをどうするかと いうことでございます。昨年は、この会議では猛反対にあって議論はしないことになった のですが、今年は、米国がスコープを絞ってきて、片方の輸出国では既に承認されている、 しかし、輸入国側では承認されていないというものが混入したという場合にどう扱うかと いうものです。これにつきましては、米国、ドイツ、タイの3者が共同議長となり、来年 2月末から3月に、とりあえず第1回目のワーキンググループを米国でやろうということ で話が進められております。  最後に、次回の第7回会議は、来年9月24日から28日まで、やはり幕張メッセで行うと いうことでございます。  以上です。 ○吉倉分科会長 それでは、報告については終わりました。 ○桑崎課長 資料は用意しておりませんが、ノロウイルスに関して、最近の発生状況、さ らには対策について御説明申し上げます。  御承知のとおり、ノロウイルスによる胃腸炎、食中毒はこの時期に多発します。特に感 染症法に基づく定点調査の結果を見ますと、これも報道されておりますが、過去に比べて 非常に高いということでございます。  それから、食中毒に関しても、最近、件数も患者数も増加傾向にあることが指摘されて いることを踏まえまして、本年12月5日に食中毒部会を開催させていただきました。そこ で、ノロウイルスによる食中毒の疾病に関する最近の知見につきまして研究者から御報告 をちょうだいするとともに、これは既に作成済みでしたが、ノロウイルスに関するQ&A についても、その改正について御審議をいただきました。その結果を踏まえて、これは健 康局の結核感染症課と連名ですが、12月8日に関係機関に周知をさせていただきました。  一方、そういう昨今の多発の状況を踏まえまして、本日、内閣総理大臣から厚生労働大 臣に対しまして、関係省庁と連携をしながら、医療機関、社会福祉施設、食中毒事業者等 への予防対策の周知、指導を徹底するなど、感染拡大防止のための取組みを一層強化する ように指示がございました。これを受けまして、大臣からも改めて関係機関への指示を行 うなどの対策の強化を指示するようにという御指示がございました。現在、この大臣の指 示を踏まえまして、早急に周知を図るべき今検討を行っている状況でございます。  簡単ですが、以上、御報告申し上げます。 ○吉倉分科会長 これは厚労省のホームページに出ているわけですか。 ○桑崎課長 はい、出ております。 ○吉倉分科会長 どこに出ていますか。 ○桑崎課長 それも少し工夫が必要で、ちょっとわかりにくいところにありますので、開 いたらなるべくすぐにここに行き着けるように、今、作業を進めようと考えております。 ○吉倉分科会長 それでは、あとは事務局から何かありましたらお願いします。 ○事務局 事務局から伝達させていただきます。  薬事・食品衛生審議会につきましては委員の任期が2年となっておりまして、現在のと ころ、次回は新委員が発令後に開催予定とさせていただけたらと思っております。つきま しては、食品安全部長より委員の方々にお礼の御挨拶をさせていただきたいと存じます。 ○藤崎部長 一言御挨拶を申し上げます。本日は、先生方、年末の大変お忙しい中を御参 集いただき、熱心に御審議いただきまして誠にありがとうございます。また、本日は、議 題、報告事項が多く、予定時間を長く超過いたしまして申し訳ございませんでした。  ただいま進行の者より紹介がございましたように、先生方には、約2年間にわたりまし て、この分科会で本当に精力的に御熱心に御審議をいただきましたことを厚く御礼申し上 げます。  この間に、分科会は、昨年1月23日に先生方に御就任をいただいて以来、分科会が計9 回、各部会・調査会が計76回開催されております。大変な多数にわたっております。その 主な内容でございますが、簡単に例だけ挙げてみますと、BSE問題への対応がありまし たし、また、本年5月29日に施行されましたポジティブリスト制度の施行、また、本日御 審議いただきました第8版の食品添加物公定書の改正、さらには、いわゆる健康食品の安 全性確保への対応など、本当に多分野にわたって精力的に御審議いただいたところでござ います。  この間の食品安全をめぐる状況は、いろいろなことがありましたけれども、広い目で見 ますと、平成15年に食品安全基本法ができて、また、食品衛生法も大改正がされまして、 食品安全委員会が平成15年7月に設置されて、いわゆるリスクアナライシスのアプローチ といいますか、これが食品安全の領域の中に新たに導入されてきた。そういう中で、平成1 7年1月からということで、いわば着実にそのシステムが我が国に定着していく時期に、先 生方には大変な御尽力をいただいた、そういう時期ではなかったかなと考えております。 そういう意味で、本当に先生方の御貢献が大でありまして、繰り返しになりますが、厚く 御礼を申し上げる次第でございます。  私ども厚生労働省といたしましては、いつも申し上げていることですが、国民の健康の 保護を第1に考えながら、科学的知見に基づき、また、国際標準の動向なども視野に入れ つつ、関係行政機関等と連携して食品の安全確保に引き続き取り組んでまいりたいと考え ておりますので、これからもぜひ御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げたいと思いま す。  最後に、委員の先生方に対しまして、改めて、これまでの御支援、御協力に感謝を申し 上げまして、簡単ではございますが、私からの御礼の御挨拶とさせていただきます。本当 にありがとうございました。 ○吉倉分科会長 それでは、ちょっと遅くなりましたが、これで閉会といたします。  ありがとうございました。 照会先:                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                   TEL:03−5253−1111(2449)