06/12/15 第25回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会議事録 第25回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 平成18年12月15日(金) 場所  KKRホテル東京 11階孔雀 ○出席委員  飯島康典委員、井部俊子委員、内田健夫委員、小澤壯六委員、加賀谷淳子委員、  加藤尚武委員、北村惣一郎委員、坂本雅子委員、澁谷いづみ委員、多田羅委員、  田中平三委員、地主憲夫委員、富永祐民委員、中村丁次委員、久道茂委員、  前川初子委員、村田昌子委員、渡邊委員 ○厚生労働省出席  (健康局)外口健康局長、宮坂審議官、上家参事官、岡部総務課長、       矢島生活習慣病対策室長、塚本地域保健室長、勝又保健指導室長、 ○次第  I 開会  II 議題  1.健康診査の実施等に関する指針の改正について  2.健康日本21中間評価について  3.その他  III 閉会  矢島室長 定刻となりましたので、ただいまから第25回厚生科学審議会地域保健健 康増進栄養部会を開催させていただきます。  本日の出欠状況について御報告をさせていただきます。委員定数は25名でございま す。現在16名の委員の御出席を得ており、委員出席は過半数に達しておりますので会 議は成立しておりますことを御報告申し上げます。  次に、配付資料の確認をいたします。  まず、議事次第、席次表、委員名簿のほかに、資料1−1といたまして、健康増進 法第9条第1項に規定する健康診査等指針(告示)の一部改正について。  資料1−2、健康診査の実施等に関する指針の概要  資料1−3、健康増進法第9条に規定する健康診査の実施等に関する指針改正案  資料2−1、「健康日本21」中間評価報告書案  資料2−2、健康日本21中間評価報告書案に寄せられたパブリックコメント一覧  資料2−3、「健康日本21:歯の健康」中間評価にかかわる資料  資料2−4、「健康日本21」の目標達成に向けた日本栄養士会の活動について  参考資料1といたしまして、厚生労働副大臣のメタボ退治のホームページ  参考資料2−1、平成17年度食育推進施策(食育白書)の概要  参考資料2−2、平成17年度食育推進施策でございます。もし不足、落丁等がござ いましたら、事務局までお申しつけをいただきますようお願いいたします。 それでは、以後の部会運営につきましては久道部会長にお願いをいたします。よろ しくお願いいたします。  久道部会長 それでは早速議事を進めたいと思います。まず議題1ですが、健康診 査の実施等に関する指針の改正についてであります。矢島室長より、議題1の説明を お願いいたします。  矢島室長 それでは、お手元の資料1−1をごらんいただきたいと思います。健康 増進法第9条第1項に規定する健康診査等指針(告示)の一部改正についてというこ とでございます。  まず1番の趣旨でございます。今般の医療構造改革におきまして、平成20年度から 医療保険者に対しまして、40歳から75歳未満の被保険者、被扶養者等に対する健診・ 保健指導の実施が義務づけられることとなりました。このため、この健診・保健指導 の標準的なあり方に関しまして、「標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討会」 におきまして、具体的な健診・保健指導の中身、必要な事項について検討していただ いたところであります。この検討結果のうち健康増進法第6条に掲げる各制度、これ は健康増進事業実施者ということでございます。その各制度に共通する事項につきま しては、健康診査の実施等に関する指針を改正するとことにいたしました。  なお、検討結果のうち医療保険者のみに関係する部分がございます。これにつきま しては、特定健康診査等指針(告示)において規定されることになっております。  具体的な改正内容でございます。大きく3つございます。(1)としまして、壮年 期における健診・保健指導の目的を追加しております。今般の医療制度改革の考え方 をこの中に明確に位置づけをさせていただいているところです。具体的には後ほど御 説明させていただきます。  (2)でございますが、標準的な健診・保健指導プログラムの中でも書いてある話 ですが、精度管理が今回重要な話になっております。健診におけます検査結果の正確 性を確保するための精度管理、特に内部精度管理につきましては標準物質を使うこと が新たに定められておりますので、このことについて記載をさせていただく。それか ら外部精度管理におきましても、検査結果等の精度等が保証されることが必要だと考 えておりまして、それについての記載が入っております。  (3)でございますが、これも今回の改正の大事なポイントです。健診結果を標準 的なデータ形式により保存することが追加をされてます。今回の健診の結果につきま しては、電子的に提出をしていただくことになっております。医療保険者間での異動 があった場合、健診事業者からのデータを医療保険者に送付する場合などのデータの やり取りを容易にするための、標準的なデータ形式が必要でございます。そのことに ついて、この中に提出してもらうように働きかけることにつきまして記載をしていま す。  具体的な施行日は、制度が始まります平成20年4月1日を予定をしているところで ございます。各医療保険者等におきましても準備の関係がありますので、早目に告示 の一部改正を、できれば年度末、来年3月にはこの辺のところを告示をする必要があ るのではないか。実際に、具体的に施行するのは20年4月1日になると思います。そ のような改正でございます。  次の資料1−2につきまして、具体的な中身について御説明をさせていただきます。 健康診査の実施等に関する指針の概要でございます。  今回の考え方は、各制度に共通する基本的な事項を定めるということでございます。 健康診査の実施に関する事項といたしましては、健康診査のあり方、これは(1)の (1)で、健康診査の対象者等に対する意義について十分周知することでございます。  (2)といたしまして、健康診査の精度管理。これは先ほど御説明いたしました内部精 度管理と外部精度管理がございます。特にこの診査を委託する場合にも、精度管理の 適切な実施が必要でございますので、そのようなことが規定をされています。  (2)といたしまして、健康診査の結果の通知及び結果を踏まえた保健指導に関す る事項でございます。健康診査後速やかに受診者にその結果を通知することですとか、 健康診査の結果に基づき保健指導を実施することがこの中に定められております。  (3)といたしまして、健康診査の結果等に関する情報の継続のあり方に関する事 項でございます。健康診査等の情報を継続させていくために必要な措置を講じること が望ましい中身についてといったことが書かれております。  (4)といたしまして、健康診査の結果等に関する個人情報の取り扱いに関する事 項でございます。特に個人情報の保護に関しましては、かなり慎重な取り扱いが重要 だと思っております。そこのところにつきまして、個人情報の保護を規定した法令を 遵守するようこの中に規定をしているところでございます。  2ページ目は、健康増進法の参照条文のところに抜粋でございます。一枚めくって いただきますと、参考でございます。平成18年1月19日に、政府のIT戦略本部が策 定をいたしました、IT新改革戦略の中にも、ITの構造改革力の追求という中に予 防医療等へのレセプトデータの活用が十分になされていないといったことが指摘され ています。そういう意味で、目標といたしまして、真ん中のところに2010年度までに 個人の健康情報を「生涯を通じて」活用できる基盤をつくり、国民がみずからの健康 状態を把握し、健康の増進に努めることを支援する。ということを掲げました。  実現に向けた方策といたしまして、具体的にはここにございますが、1番目として、 生涯にわたる健診結果を電子データとして継続的に収集し、適切に管理するための仕 組みを2007年度までに確立する。2番目としまして、電子データとして収集される健 診結果等の健康情報を個人、保険者等が活用するための基盤の整備を2008年度までに 開始し、2010年度までにその普及を推進する。3番目といたしまして、疾病予防の推 進等に向け、収集された健康情報の活用方策を2010年度までに確立する。とういこと がうたわれております。この流れに沿った形で今回も制度改革が行われているところ でございます。  次のページをごらんいただきますと、先ほど御説明をさせていただきました制度共 通ということでございます。今般の制度改正は、主に40歳以上75歳未満までの制度で すが、各健康増進事業実施者における健康診査がどのような形で係わっているかとい うことを一覧にまとめさせていただいたものでございます。今般、老人保健法の改正 によりまして高齢者の医療の確保に関する法律をつくりました関係で、健康増進法に 歯周疾患検診ですとか骨粗鬆症検診、がん検診等がこちらに移ってくるという形にな ります。これが制度全体を網羅したものでございます。  では具体的に資料1−3に基づきまして、改正の案について御説明をさせていただ きます。  健康増進法第9条に規定する健康診査の実施等に関する指針改正案でございます。 まず改正のところでございますが、今回の制度改正の中で発症予防と重症化予防、こ れが大きな柱となっております。発症をまず予防すること、仮に発症してしまったと しても、その後の重症化を予防するというこの二段階に介入していくということがす ごく大事でございます。そこのところを明確化するということで、文言の整理とさせ ていただきました。「疾病の発症及び重症化の予防」という形にさせていただきまし た。従来までの進行の防止という概念は、この重症化予防に含まれるということで、 このところの言葉は削除をさせていただいております。  真ん中のところでございますが、新たに、がん検診等が健康増進事業に位置づけら れる予定であります。それに関係しまして、再検査ですとか受診の勧奨、生活習慣の 改善のための保健指導を分けて記載をさせていただきます。またそれから疾病の重症 化の観点を明示をさせていただくような表現に変えさせていただいています。  下のところでございます。今回の改正の契機となりました平成18年度の医療構造改 革の内容について記載をさせていただいております。メタボリックシンドロームの概 念を導入することを入れさせていただいております。これをすることによりまして、 心血管疾患等の発症予防が期待されるということを明記させていただいています。  一番下のところでございますが、健診結果等を踏まえた保健指導の実施を明確化す るために、このところに保健指導の実施を明確化するために「保健指導の実施」とい うことを位置づけをさせていただいております。  次のページでございます。健診等の実施に関する事項でございます。後期高齢者医 療制度の創設等を踏まえまして、ライフステージの例を追加させていただきます。 「加齢による心身の特性の変化などライフステージや性差に応じた健康診査の実施等」 ということで、明確にさせていただいております。  次の3ページをごらんください。先ほどの精度管理のところです。特に内部精度管 理として標準物質を用いるということは、今回の重要なポイントになっています。こ の部分について明記をさせていただいているところでございます。  検査の精度等が保証された結果となるように努めるということも、一番下のとこで すが同じように明記をさせていただいているところです。  次のページでございます。これも今回の制度改正に合わせて、先ほど御説明させて いただいたものと同じでございます。「再検査、精密検査及び治療のための受診の勧 奨を行うとともに疾病の発症及び重症化の予防」ということを記載させていただいて います。  下のところも、先ほどの説明と同じです。同じような考え方で保健指導の意義を追 加をさせていただいております。  5ページですが、今回の老人保健事業が、医療保険者が実施する対策に移されるこ と。それから介護予防対策に移行すること等に伴いまして、老人保健ということばを 「介護予防」という言葉に改正をさせていただいております。  委託先に関します情報の共有ということで、健診・保健指導の実施に係る資源とし て健診・保健指導の委託先に関する情報の共有を例示として追加をさせていただいて おります。  6ページの健康手帳のところです。基本的には個人情報保護を規定した法令を遵守 することをこの中で明確にさせていただきますとともに、先ほど御説明をさせていた だきましたIT新改革戦略を踏まえまして、健診結果を継続させていくために標準的 な電子的記録の形式により提供すること等を例示として追加をさせていただいている ところでございます。  7ページのところ、これも引き続きまして個人情報保護のところについて想定され るものを追加させていただいております。  後は用語の整理が引き続きあるところでございます。以上でございます。  この中身につきまして、今関連するところ例えば労働安全衛生法の関係ですとか、 保険局で検討しています医療保険者のところの健診の検討会、そこのところとの整合 性を合わせながら一部若干、今後直る可能性がございます。特に労働安全衛生法のと ころとの健診項目の調整がございます。その部分が明確になりました段階で、少しつ け加わることもあるかと思います。一応流れとしては、このような方向で今準備をさ せていただいているところです。以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございました。それではただいまの説明に対して、 委員の方から何か御質問ございますでしょうか。  加賀谷委員 今の1−3の資料で、1ページあるいはその後にも出てきますが、 健康診査の結果を踏まえた効果的な栄養指導、その他の保健指導という言葉があちこ ちに見られます。過栄養と身体活動の不足はバランスとして考える必要のあるもので す。栄養だけを取り出す、保健指導ということで一括する方がいいのかもしれません が、お考えがあってのことと思います。栄養指導だけを前に出しているのは、その辺 のところはいかがでしょうか。  矢島室長 まず従来の法律的なところで、法律の中に書いてある言葉は栄養指導と いうことがあるものですから、先生の多分御懸念なのは、運動というものをもっと明 確にするべきではないかという御指摘かと思います。申しわけありませんが、1ペー ジのところをごらんいただきますと、栄養指導その他の保健指導という中に括弧書き であります。  済みません私がここのところをちゃんと読めばよかったのですが、「運動指導等生 活習慣の改善のための指導を含む」という形にさせていただきましたのは、今書いて あります法令上の言葉との整合性で、そこまでできていないものですから現段階では そこまで明示することができませんでした。一応、ここにありますようにその他の保 健指導の中に、括弧書きとして具体的に運動指導等ということで、ここに「運動」と いう言葉を私ども入れさせいただいて、今先生が御指摘いただいたことについても私 たちとしては心としては、イメージをして表現させていただいたつもりであります。  加賀谷委員 どうもありがとうございました。  久道部会長 ほかにありませんか。  井部委員 確か標語のときに「1に運動、2に食事」ですので、私は順番を変えた 方がいいという立場で発言しました。1に運動と決まりましたので、標語に沿った精 神を反映していただくのもよいかなと思います。  矢島室長 そこにつきましては、現段階のいろいろな法律的な文言の法令的な詰め がございます。結果的にこうなってしまいましたが、気持ち的には今の井部先生が御 指摘いただいたような点もすごく大事かと思っています。そこのところにつきまして は今後の課題にさせていただきまして、なるべく我々が言っているようなものと合わ せられるような努力を今後とも続けさせていただきたいと思います。  今回はちょっと申しわけありませんが、そこまでできるところまでは進んでいませ んが、普通の文章では、なるべく通知ですとかそういうところでは今御指摘ありまし たような形で運動ですとか、そういうものをもう少し前面に出すような形で説明をさ せていただけるようにしたいと思っております。  久道部会長 ほかにございませんか。どうぞ。  坂本委員 お尋ねです。資料1−2の最後のページです。母子保健法から高齢者医 療各法の健診までがライフステージ別、分野別に並んでいます。今御説明いただいた 中で健康増進法の破線で囲ってある部分の規定です。と言いますのは、健康増進にか かわる40歳以下のいろいろな健診にもそれの上位の考え方というふうに考えていいの ですか。  矢島室長 健康増進には2つの役割があります。まず、ここに一覧で書いてありま す母子保健法、学校保健法、医療保険各法ございます。健康保険法、国民健康保険法、 それから今回新しくできました高齢者医療の確保に関します法律ですとか、そういう いろいろな横断的な法律の共通的なところについて、そういうものを定める役割とそ れから今回の制度改正に関しまして、老人保健法が改正されることに伴いまして、実 際に健康増進法の中に規定をしませんと、役割として具体的に、健康増進法として役 割を持つ健診、例えばがん検診ですとか、歯周疾患の検診、骨粗鬆症検診というもの が、これは今回健康増進法で引き受けさせていただく新たな役割という形になってお ります。  ですからここに書いてあります全般の共通するところについは、健康増進法で扱い ます。それから個別の40歳以上のところの歯周疾患、骨粗鬆症、がん検診の部分につ いても健康増進法で受け持つという考え方です。  坂本委員 ありがとうございました。  久道部会長 ほかにありませんか。それではこのくらいにいたしまして、次の議題 に入ります。2番目、健康日本21中間評価について、室長より説明をお願いします。  矢島室長 それでは前回の部会で資料2−1、健康日本21中間評価報告書案の第3 章まで御議論をいただきました。本日は第4章から御議論いただければと思います。  第4章今後取り組むべき課題についてを御説明させていただきます。第4章は、全 般的な課題と分野別の課題に分かれております。Iの全般的な課題について説明をさ せていただきます。  お手元の資料の29ページをお開きください。前回の3章までは、現在あります計画 について達成の状況について御議論いただきました。今ある計画についてのいろいろ なところでして、それについてのいろいろな評価を前回までしていただきました。第 4章は今後取り組むべき課題ということで、これからどのような形でやるべきかとい うことが以降に書かれております。  全般的な課題でございますが、健康日本21の中間実績評価から見ますと、既に目標 を達せいしている項目もある一方で、策定時のベースラインから改善が見られない項 目やむしろ悪化している項目も見られるなど、これまでの取り組みには必ずしも十分 でない点があったと考えております。これまでの取り組みの全般的な課題といたしま して、ポピュレーションアプローチの観点からは、総花主義的でターゲットが明確に なっていないという御指摘、「だれに何を」というものが不十分であるということ、 それから目標達成に向けた効果的なプログラムやツールの展開といった具体的なもの が不十分である、さらには政府、産業界も含めた社会全体として健康づくりを国民運 動化するための取り組みが不十分であったという御指摘を受けてきました。  それからハイリスクアプローチの観点からは、医療保険者と市町村等の関係の役割 分担が不明確であったために、健診の未受診者の把握や受診勧奨の徹底が不十分であ った、健診受診後の保健指導についても必ずしも十分に行われていなかった。また効 果的、効率的な健診・保健指導を行うためのプログラム、ツールの提示といった具体 的なものが十分ではないという御指摘。それから健診・保健指導等の成果を評価する 視点も不十分であったのではないかという御指摘がございました。  さらに、健康づく施策の中心として活躍すべき保健師、管理栄養士等の人材育成、 エビデンスに基づく施策展開の基盤となるデータの収集、整備のさらなる充実化を図 る必要があるということの御指摘を受けてきたわけであります。  こうした課題を踏まえまして、国民の健康づくりに対する意識の高まりを具体的な 行動変容に結びつけるために、今後は、以下のような対策の推進をしていく必要があ るという形で、これは後で個別なところも同じ考え方でございます。  まずポピュレーションアプローチです。健康づくりの国民運動化の視点で、健康日 本21の項目数がたくさんありすぎたという御指摘がありましたので、代表項目という ものを明確にして、代表項目に具体的に取り組んでいくといった考え方です。それぞ れの分野における代表的な項目を選んで、ターゲットを絞って明確にしてやっていく といった御指摘があったかと思います。  健康づくりのためには、日常生活において具体的に何を取り組めばいいかといった ことを、国民にわかりやすい形で示すとこの具体的な代表項目を選定していく。それ を具体的に各分野に後で御説明させていただきます。  それから健康日本21におきます新規目標が必要な部門も出てきます。新たに目標を 設定すべきだというものにつきましては、今回御提案をさせていただいております。 健康日本21の策定時から現在までの健康づくりに関します動向を踏まえまして、例え ば今回新しくメタボリックシンドロームといった概念が出てきました。これは健康日 本21策定時にはなかった考え方です。新しい考え方に関する目標を設定することが必 要ではないかということで、そういうことについての新規目標項目としての追加の考 え方でございます。後で分野ごとにどういうものが考えられるかということをお示し をさせていただきます。  (3)といたしまして、効果的なプログラムやツールの普及啓発という形で、ここは具 体的には例えば運動につきましては「エクササイズガイド2006」。栄養食生活につき ましては「食事バランスガイド」。たばこ対策につきましては「禁煙支援マニュアル」 といったものを、この制度改革に合わせまして策定をさせていただきました。これら の普及活用を図っていくことが必要だと考えています。  (2)として、ハイリスクアプローチです。効果的な健診・保健指導の実施でござ います。今回の医療制度改革におきまして(1)として、医療保険者によるメタボリック シンドロームに着目した健診・保健指導の実施ということで記載をさせていただきま す。今回の医療制度改革関連法において、メタボリックシンドロームに着目した健診 ・保健指導の実施を医療保険者に義務づけ、責任の所在を明確にして、効果的な健診 ・保健指導の実施を徹底することとしており、平成20年度の施行向け、国、都道府県、 市町村、医療保険者、関係団体、産業界その他の関係者が連携しつつ精力的に準備を 進めていくことが必要である。ということでございます。これにつきまして、今関係 の部局と調整をさせていただいている部分がございます。逐次また御報告等をさせて いただき、先生から御意見をいただければと考えております。  (2)としまして、生活習慣病予防のための標準的な健診・保健指導プログラムの提示 です。これにつきましては現在、「標準的な健診・保健指導プログラム」の暫定版を この部会でも御承認をいただきました。具体的には千葉県、富山県、福岡県の3県で 準備事業をさせていただいているところです。健診・保健指導のプログラム(暫定版) の準備事業の状況を踏まえまして、必要な改正をし年度末、3月をめどに最終的なも のに取りまとめたいと思っています。今これにつきましても鋭意作業をすすめており ます。また具体的な中身が固まりました段階で、御相談をさせていただきたいと考え ております。  (3)といたしまして、産業界との連携でございます。運動習慣の定着ですとか、 食生活の改善と広く国民の間に定着させるためには、従来私どもがやってきました都 道府県、市町村を中心としたやり方に加えまして、産業界との連携も大変重要だと思 っています。特にスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ファミリレストラン 等の食品関連産業、フィットネス業界、健康関連機器業界などといったところでも 「食事バランスガイド」、「エクササイズガイド2006」等を広く活用していただくこ とも必要かと思います。関係業界を始めとする幅広い産業界の自主的な取り組みと一 層の連携をする仕組みが必要だと考えています。  31ページになります。(4)といたしまして、人材育成です。今回新しくメタボリ ックシンドロームの概念に着目した生活習慣病対策を行うに当たりまして、この新し い概念にかかわります医師、保健師、管理栄養士の方々につきましても、研修等をし ていただくことが重要かと思っております。そういう意味でこういった関係の方々の 人材育成の観点で、国、都道府県、関係団体等が役割分担をした上で、連携をし充実 をさせていく必要があると考えております。具体的な中身につきましては、先ほどの 健診・保健指導プログラムの中に、研修ガイドラインを策定をさせていただきました。 いろいろな分野のところで国、都道府県、関係団体を含めまして、人材育成のための 研修等を実施いただいているところでございます。  (5)といたしまして、エビデンスに基づいた施策の展開です。今後の効果的な健 康づくり施策を進めるためには、やはりエビデンスに基づきました施策が重要かと考 えています。今回は「食事バランスガイド」、「エクササイズガイド2006」、「禁煙 支援マニュアル」、「標準的な健診・保健指導プログラム」につきましては、最新の 知見に基づきましてつくりました。これをつくっておしまいということでなく、定期 的に見直しを行っていくことが必要だと考えているところでございます。以上でござ います。  久道部会長 どうもありがとうございます。それでは、ただいまの説明の部分、今 後取り組むべき課題の全般的なところでの御意見あるいは御質問をお願いします。  井部委員 ただいまの説明で30ページにあります産業界との連携です。コンビニエ ンスストアなどでお弁当が売られております。若い人たちもほとんどそれに頼ってい るところがあります。食品関連産業あるいはフィットネス業界、健康関連機器業界な どにおいて連携して活動を推進していくといったときに、どんな仕組みで展開してい くことが可能なのか教えていただきたいと思います。  矢島室長 ここのところは実は予算要求のところとも関係があります。具体的には 私ども予算要求中ですが、やはり国民運動をしていくためのそういうようなものが必 要で、今まであります例えば医療関係の団体、市町村、自治体に加えまして、産業界 の方々も入った国民運動づくりといったものを、新たに展開をしていきたいと考えて おります。そういった中に関係の方々も入っていただいて一緒に国民運動として我々 の情報を提供をさせていただきながら、健康づくりを展開していくような地域、それ ぞれの産業界においてやっていく運動づくりをしていくものを予算要求をさせていた だいているところでございます。  村田委員 どこに入れた方がいいのかわかりませんが、ポピュレーションアプロー チとハイリスクアプローチを相互に連携していくということが大事だと思います。今 まではどちらかと言いますとハイリスク・ハイリスクみたいな形で、それが表に出て きています。今度の場合には、ポピュレーションとハイリスクうまく連携をとること によって、全体的な国民健康づくりという形になっていくと思うのです。その辺のと ころの表現をどこかに、ポピュレーションとハイリスクを分断することなく、相互に 連携しながらやっていくという、形態が文章に入った方がいいかと思います。今後の 取り組むべき課題としては非常に大事ではないかと思います。  矢島室長 御指摘も踏まえまして、その辺のところ工夫できるかどうか検討させて いただければと思います。  久道部会長 少し手直しをしてください。  矢島室長 わかりました。  坂本委員 今の件に関連すると思います。先ほど御説明いただいたイージャパンの 情報戦略によって健診データがきちっと流れていくといいますか、それは収集される とこともあるでしょう。特に自治体、市町村までそのデータが行きます。そういうデ ータに基づいてポピュレーションアプローチができるということがあります。そうい う考え方については、非常に新しいこれから取り組むべき課題のかなり大きな部分で はないかと思います。そういうところも書いていただきたい。計画としては、20年で すので現場としては焦るスケジュールが出ていますからよろしくお願いします。  矢島室長 ここのところも、私ども時間的な流れは先ほどの全体のIT戦略本部の ところで、実際に医療保険者がまず健診機関、それから保健指導を実施する機関から 電子的にデータが提出される。それが医療保険者に電子的にデータが集められるとい う仕組みになっています。そのデータをどのように活用するかという段階があります。 先ほどの済みません資料1−2のところの3ページのIT新改革戦略のところでも、 タイムスケジュールが2007年度まで、それから2008年度、2010年度までにといったこ とで、かなり段階的にやらせていただきます。現場の方々の御理解、御協力もいただ きませんと進めないところです。そこの分野ともよく連携をさせていただきながら、 着実に今坂本委員が御指摘くださいました方向性としてはそういう方向で私ども関係 者の間では理解が進んでいると思っておりますので、なるべくそいうふうなものに、 やはり現場の方々もちゃんとついていける形で、着実にそういう方向に向かっていき たいと思っています。  実際にこの中にどのように書けるかは、関係のところとの話があります。余り無理 なことをやると、結局今回の制度改正でも現場がかなり大変で、悲鳴が上がっていま す。やはり現場の方々にもきっちりやっていただける具体的なことも踏まえて、一歩 ずつ進められていくような形で調整をさせていただければと思っています。  池主委員 これまでの発言以外に資料説明の場をとっていただけますか。  久道部会長 それはありますが、個別のところに入ったところでお願いします。ほ かに全般的な課題のところでございますか。富永委員ありますか。  富永委員 特にありません。  久道部会長 全体のところではよろしいでしょうか。それではこの部分については これくらいにいたします。次の分野別の課題というところに入ります。それでは室長、 説明をお願いします。  矢島室長 それでは32ページからになります。大きくギリシャ文字のIIでございま す。分野別の課題という形です。以後は1番が栄養・食生活。2番目が身体活動です。 分野ごとに御説明をさせていただきまして、御議論いただいければと思います。  1の栄養・食生活について御説明をさせていただきます。先ほども御説明をさせて いただいたところでございますが、今後の方向性として代表目標項目を選定しておこ うということです。具体的には栄養・食生活の分野につきましては4項目を代表項目 として選定をします。具体的にありますが、「適性体重を維持している人の増加」次 の循環器疾患やがんの一次予防の観点からですが、「脂肪エネルギー比率の減少」「野 菜摂取量の増加」それから食育の観点から「朝食を欠食する人の減少」この4項目を 選定いたしました。  (2)としまして、新規目標項目の設定です。メタボリックシンドローム先ほども 御説明いたしましたが、この制度をつくるときにはこういう考え方がありませんでし た。これにつきましてはメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を認知してい る国民の割合の増加という目標を設定させていただきました。具体的に書いてござい ますが、現在中間実績のデータはございません。平成22年度に向けまして、20歳以上 の国民の80%以上の方がメタボリックシンドロームを知っているというレベルにでき るように普及啓発をしていきたいといった目標を設定してはどうかという考え方です。  (3)としまして、今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策です。 代表目標項目として掲げました目標値の達成に向けて、栄養・食生活分野においては、 疾病リスクの軽減を目指した個別的な指導(ハイリスクアプローチ)と集団全体に対 します普及啓発、個人の取り組みを支援します「食環境」といいますか、そういった 面からの取り組み、(ポピュレーションアプローチ)、さらにこれを実施するための 人材育成が必要だと思っています。  そういう意味で(1)としまして、この分野は栄養ですので、健診後の、栄養指導の充 実という形で今般の医療制度改革関連法案におきましても、被保険者・被扶養者に対 しまして生活習慣病予防に関します効果的、効率的な健診・保健指導の実施が医療保 険者に義務づけられたところでございます。ここは栄養の分野ですので、栄養、食生 活に関する情報提供及び動機づけ支援、積極的支援を着実に実施していく必要がある ということでございます。  運動につきましては、運動分野で同じような記述になります。そちらで御説明をさ せていただきます。ここは栄養の分野ですので、栄養指導行う管理栄養士等の人材育 成、これを体系的に行うということが必要だと思っています。それから管理栄養士の さらなる資質の向上に向けて養成カリキュラム、管理栄養士の国家試験等を含めまし た、いろいろな養成につきましての養成カリキュラムについても今後検討を行う必要 があるのではないかということでございます。  それからメタボリックシンドローム及び生活習慣病の予防に関します実行可能性の 高い栄養指導と運動指導に一体的なプログラムの開発や効果的な学習教材の蓄積、検 証、食事摂取基準の定期的な見直しを継続的に行っていく必要がある。  (2)としまして、「食事バランスガイド」でございます。これの普及啓発や食環境整 備の推進、これには産業界との連携も含まれております。先ほど御説明いたしました、 スーパーマーケット、コンビニエンスストア、特に外食を利用する人たちが結構多い わけです。そういうところを一応念頭に置いたといいましょうか、そういうことも配 慮した形でいろいろな健康に配慮したメニュー(ヘルシーメニュー)といったものを 開発していただく、そういうことの働きかけも含めまして「食事バランスガイド」の 普及、食環境整備といったもの推進していくことが必要ということです。特に、男性 の肥満、単身者、子育て世代といったターゲット層を明確にした普及啓発というもの も必要ではないかと考えています。  (3)としまして、食育と連動した国民運動の推進です。食育を国民運動として展開し ていく流れは政府全体としてございます。メタボリックシンドロームに関します知識 の普及啓発、朝食欠食の解消に関する取り組み、「食事バランスガイド」の普及といっ たものがございます。先ほど、私ども国民運動に関しまして予算要求中ですが、国民 運動を推進していくという形で、地域に根ざした取り組みを確実に推進するためのい ろいろな取り組みも今後図っていく必要があるのではないかと思っています。  (4)としまして、行政におけます管理栄養士の配置などの体制整備です。市町村のお けます管理栄養士、栄養士の配置率は、まだ67.2%でございます。また配置人数も少 数配置の所が多いという現状です。今後生活習慣病予防をさらに強化するためには、 地域に根ざした適切な情報提供を行うとともに、関係団体等と連携した栄養食生活、 運動に関しますネットワークの構築といたしまして、計画的、積極的に健康づくりに 関する取り組みを推進することが必要だと考えています。それから今回の医療制度構 造改革におきまして、市町村国保が健診・保健指導を担うことになったことに伴いま して、当該健診・保健指導の企画立案、評価といったものを、具体的な保健指導を提 供するに当たりましては管理栄養士の役割も極めて重要になると考えております。こ うした取り組みを着実に実施していくためには、市町村のおけます管理栄養士の積極 的な配置を行なうことが必要ではないかと考えています。  さらには、都道府県におきましても健康増進及び食品に関します計画の策定、評価、 総合調整、人材育成及び市町村における取り組みの支援などの観点から管理栄養士を 積極的に活用し、体制の整備を行うことが必要だと考えています。以上でございます。  久道部会長 ありがとうございます。この分野については、栄養士会の中村委員か ら参考資料2−4が提出されております。中村委員から説明をお願いしたいと思いま す。  中村委員 ありがとうございます。先日の中間報告結果を踏まえまして、日本栄養 士会で特別にこの対策のための検討委員会をつくり今後の対応を検討いたしました。 資料にございますように、私どもは「太るもやせるも食事が基本」というキャッチフ レーズのもとに、従来国民運動を展開してきたわけです。このキャンペーンをもっと 強固にしたいと思っております。  この活動の評価を下記のようにいたしました。適性体重を維持している人を増加さ せるということです。20代から60代の男性の肥満者を除けば、少しではあるが改善し ている傾向が見られる。しかし自分の体重を認識し、体重コントロールを実践する人 は減少している一方、体重適性を維持することのできる食事を理解している人は増加 している傾向がうかがえます。これは一定の周知が図られましたが行動変容までには 至っていない、さらに栄養関係の目標値が悪化している傾向もあり、2010年の達成に 向けまして国民運動として啓発運動をやらなければいけないと考えました。  そこで次のページですが、活動上の課題と今後の対応方針としまして、以前から言 われていますように行動変容が起こるようなことを会員に周知しなければいけない。 そのためには会員の資質向上を推進しなければいけない。行動変容を起こすための科 学的知識や課題抽出の分析等の学習能力を高めていくということを考えております。 そして効果的手法の開発が不十分であるということですので、効果的手法に基づく活 動の実践をしたい。そのためには食事バランスガイドを活用したり、エクササイズガ イドを活用し、メタボ対策をさらに推進したいと考えております。  普及啓発活動に関しては、国民への普及活動を展開するわけです。今回、野菜の摂 取量の平均値が減ったということを深刻に受けとめております。そこで“やさいを食 べよう”キャンペーンを栄養士会として展開したい。このためには、後からお話をし ますが関連団体と連携して行いたいと考えております。  会の活動の課題と対応といたしまして、私どもは、国民の健康と食の両者にかかわ る専門職であるということを、会員に対してもっと自覚するような活動を展開したい と思っております。具体的には栄養ケア・ステーションというものを地域につくり上 げていこうと考えております。そして情報の積極的な提供、会員活動の実績の集約な どをしたいと思っております。  最後のページをごらんください。行動目標といたしまして、なんといっても「健康 日本21」の目標達成に向けて会を挙げて全力を尽くしていこうということで、4つほ ど行動目標を掲げました。1つは、栄養ケア・ステーションの活動を充実強化してい く。今、都道府県にこの設立を誘導する施策を行っております。これは地域の人たち が、栄養に関して気軽に管理栄養士等に相談できる、あるいはいわゆる地域に根ざし た栄養士の顔が見える環境づくりをしたいという目的を持っております。2番目に、 日常業務での栄養指導のあり方の変容を図るということで、行動変容に結びつく指導 の徹底を図りたいと思います。そして行政・医療レベルでのハイリスクアプローチも 展開したい。3番目に、各種機関、団体等の連携を強化したいと思っております。厚 生労働省及びその関連団体はもとより、農水省、農業関係団体、文部科学省あるいは 都道府県教育委員会、さらに食品業界等と連携した活動を具体的に展開したいと思っ ております。  先ほどから業界との連携の話が出ております。昨年の暮れから今年にかけまして、 各業界にいろいろな企業が食育推進室をつくり始めております。そういう中に、食育 を進めるために業界として栄養士や管理栄養士を雇用する動きが起こっております。 こういう動きも推進したいと考えます。4番目が、管理栄養士、栄養士の資質向上対 策でございます。生涯学習の徹底など、あるいは行政にかかわる管理栄養士の育成、 保険指導を担当する栄養士の育成といろいろな試みをこれからしていきたいと思って おります。以上でございます。  久道部会長 ありがとうございます。ただいまの中村委員の説明も含めまして、先 ほどの栄養・食生活についての御質問、御意見をいただきたいと思います。  池主委員 栄養の問題が項目の中には入っていますが、学校歯科の中での栄養の問 題があります。学校には栄養士さんが必ずいて、学童が給食をどれだけ残したという ことが極めて綿密に調べられています。その辺をもう少しデータとしてまとめること によって、実態がかなりわかってくると思います。その辺の取り組みをもう少し強化 していく方向がありますか。  矢島室長 持ち帰らしていただいて、データの整理とも含めましてそういうことが 可能かどうかを検討させていただければと思います。  久道部会長 中村委員、今の質問で今の学校のデータは把握できますか。  中村委員 学校の栄養士さんたちの会は文部科学省の管轄ですが、実は日本栄養士 会の中にも学校栄養士の協議会がございます。ある意味ではクロスオーバーしていま す。私どもの団体としては、学校の栄養士さんたちにそういう情報収集のことを働き かけてみたいと思います。  幸いにして食育基本法ができました。学校の栄養士さんと栄養士会というのがかな り連携が進んできていますので、それは難しくないと考えています。  田中委員 今の給食を残すといった問題です。これは実は非常に難しいのです。と いいますのは、多分例えば小学校であると1年・2年・3年。4年・5年・6年とい うことで、低学年と高学年の二つに分けて給食はつくられると思います。仮に6学年 に応じて供給しているところがあれば、それはそれなりにいいです。仮にそうであっ ても、ある一定の量を供給されたら、全員がすべて食えというのは誤りです。それは その者にとってそれぞれの必要量があります。簡単な言い方をしましたら、身長・体 重が変わっておりますから、残すやつがおってもいいわけです。逆に足りないやつが おってもいいわけです。だから集団レベルでどのぐらい残したかというのは全く意味 がありません。個人レベルで適切に評価して、どれぐらい残しているのかを見て、そ して推定平均必要量以下のものが何パーセントあるかというところまで評価しないと 集団レベルの評価は極めて難しい。ですから、生活習慣病対策室の管理栄養士グルー プは、そういう方向づけを考えてもらったらいいのではないかと思います。  もう一つついでながら野菜摂取量の問題です。これはあくまでも集団レベルの350 が出ております。非常に難しいのがわかってて言うのでずるいですが、個人は何グラ ム目指すべきかというところへの研究をしていただきたいと考えます。  久道部会長 渡邉委員、何かございますか。  渡邉委員 私どもの研究所でもテーラーメイドノットリションというのを目指して、 どうやればいいかというのを検討しております。この生活習慣病予防のためにもう少 し深めてみたいと思っております。  久道部会長 ほかにございませんか。中村委員、栄養ケア・ステーションのイメー ジですが、これは各県に1カ所といった感じですか。  中村委員 今、都道府県栄養士会にとりあえず各県一つモデルをつくってください ということで誘導しております。例えば地域診療所があって、薬剤師さんのいる薬局、 看護師さんの看護ステーションがあるといったイメージです。もっともっと小さい地 域に一つずつぐらい、将来的に気軽に食生活や栄養の相談が受けられる場ができるれ ばいいのではないかと思っています。  井部委員 中間評価報告書の方の31ページですが、管理栄養士の教育や活躍が期待 されるところです。一方で保健師もここに登場しております。つまり保健師と管理栄 養士というのは何か役割分担がある程度あるのか、保健指導の中には栄養指導もこれ までは含まれていたと認識しています。そうすると保健師の指導の内容と管理栄養士 の指導の内容は、専門分化してくるのか、このあたりの役割分担というか連携という のでしょうか、何か考えられているのでしょうか。  矢島室長 きょうも勝又保健指導室長もいらっしゃいます。ここのところともよく 連携をさせていただきながら、具体的に今回の新たに実施されます健診・保健指導と も。医師会の先生もいらっしゃるので言い方を間違えるといつも怒られますが、医師 ・保健師・管理栄養士といいながら、実際にやっていただく、実際に医師でもやって いただける先生がいらっしゃいますが、多くは保健師・管理栄養士だと我々認識して おります。  保健師・管理栄養士がこれからの保健指導の中でかなり大きな役割を果すと思いま す。保健師さんにはいろいろな意味での生活指導の介入が大きいところがあります。 今回の特にメタボリックシンドロームになりますと、専門的な分野が入ってきます。 ですから私ども、ここは栄養士ではなく、あえて管理栄養士というふうに明示をさせ ていただいています。より突っ込んだ形の代謝だとかそういうことも念頭に置いたと ころのレベルの栄養指導という意味で、「管理栄養士」と明記させていただきました。  ただ、今回の保健指導は、我々は保健師・管理栄養士が一緒に連携をしながら個人 の生活習慣の中に介入していかなければいけないという中で、全体で一つのパッケー ジとして保健師・管理栄養士という形で人材の育成をやっていくということ考えてお ります。またいろいろなところと連携調整をさせていただいているところです。  久道部会長 それでは次の項目にまいります。身体活動・運動です。同じように説 明をお願いいたします。  矢島室長 資料の34ページになります。2番目の身体活動・運動でございます。構 成は栄養・食生活と同じになっています。(1)といたしまして。代表目標項目の選 定ということで2項目選定をしています。1つは、「日常生活における歩数の増加 (成人)」「高齢者の日常生活における歩数の増加」これで一つです。次は、運動を 実践している人の割合を示します「運動習慣の増加」。この2項目を代表項目として 選定をいたしているところです。  (2)として、新規目標項目の設定でございます。新たな目標といたしまして、安 全に歩行可能な高齢者の増加という考え方です。このところにつきましては、今回の 新しい介護保険制度、介護予防との関係も出てきます。日常生活が非活動的になりや すい高齢者につきましては、外出についての態度、社会参加についての活動の状況。 日常生活における歩数、運動習慣についての数値目標を設定しまして、高齢者の身体 活動を増加させるとともに、体操やウォーキング、軽スポーツなどの運動を定期的に 実施することによりまして、高齢者の生活の質を規定している日常生活動作能力(A DL)の障害の発生を予防し、活動的余命を延長させることを目指してきたところで す。  超高齢社会を間近に控えまして、高齢者になっても活動的で生きがいに満ちた生活 を送ることができる社会づくりが課題となっているということでございます。そのた めには生活習慣病予防といういわば健康な65歳以上の実現に向けた取り組みばかりで なく、老人保健事業の見直しに関する検討会の中間報告でも提言されております。病 気を持ちながらも、活動的で生きがいに満ちた自己実現ができるような新しい高齢者 像として、活動的な85歳以上の実現を目指した高齢者の生活機能の維持・向上を支援 する取り組みが求められていると考えています。その実現のためには、病気の有無と いう心身の機能にのみとらわれず、活動や参加にも着目し、高齢者が有している身体 的、精神的、社会的な能力のすべてを生かしまして、また高めることを通じまして、 高齢者それぞれの自己実現を支援するという視点を今回入れる必要があるのではない かということでございます。このようなことから、高齢者の方が適切な運動を行うこ とを推進しまして、移動歩行能力などの運動機能を維持、向上させることはADL障 害の発症の予防につながり健康寿命を伸ばすためには重要であり、その取り組みを目 標として健康日本21策定当初より数値目標を設定している項目に加えまして、新たに 安全に歩行可能な高齢者の増加を新規目標項目として設定をしてはどうかということ です。  具体的な評価の方法としては、開眼片脚起立時間を用いまして、数値目標はベース ライン値から開眼片脚の起立時間を20秒未満のもののうち、3分の1を減少させるこ とを設定をいたしました。なお、この健康日本21では、健康寿命の延伸及び生活の質 の向上を実現させることが最終的な目標でございまして、今回新たに設定しました開 眼片脚の起立時間の指標の改善は、高齢者それぞれが自己実現を目指し、生活機能を 向上させるための一つの手段としてあくまでもこれは提示したものでございます。そ の他の手段には、運動に関するもののほかに、低栄養状態の改善、口腔機能の向上に 関するものなどがございます。高齢者の心身の状況や意向等を踏まえ、個々の高齢者 にふさわしい手段が選択されるべきものであるということから、高齢者の意向を尊重 せず開眼片脚起立時間の改善のみに力点を置いたり、開眼片脚起立時間の改善だけで すべての生活機能が改善するかのような誤解を与えたりすることがないよう、これは 先生方からも御指摘をいただいていますが、これには十分注意し、しっかり徹底をす ることはもちろん重要だと考えています。  具体的にここにございますが、目標といたしまして開眼の片脚の起立時間20秒以上 に該当する人をふやしていこうという目標を考えております。具体的には65歳から74 歳までの男性は、ベースライン値が68.1%ですが、これを80%以上ということです。 従来は逆に少ない方ですが、増加という形でふやす観点で目標値を新たに書いている ものでございます。75歳以上の男性、38.9%がベースライン値ですが、これを60%以 上にしようと。女性につきましても65歳〜74歳が62.4%ですが、75%以上にしようと。 75歳以上の女性につきましてもベースライン値は21.2%ですが、これを50%以上にし ようということでございます。  メタボリックシンドロームを認知している国民の割合、これは先ほどの栄養のとこ ろで重なる考え方です。ここのところは省略をいたします。  (3)としまして、今後重点的に取り組みべき課題及び新たに講ずべき施策です。 健診後の運動指導の充実ということが重要かと思っています。今回の医療制度改革関 連法におきましては、何度も出てきますが被保険者、被扶養者に対します健診・保健 指導が義務づけられまして、特に保健指導が重要だと考えております。生活習慣病と 身体活動、運動に関します情報提供と動機づけ支援、積極的支援を着実にしていく必 要があると思っています。そういう方々に対して特に身体活動、運動を推奨する仕組 みが必要だと考えています。具体的には(2)ですが、「エクササイズガイド20006」をこ としの夏に策定をいたしました。これを普及啓発をしていく。関係団体、メディアの 活用も図りつつ、こういったものを入れていく。それから今回の健診・保健指導の中 にも具体的にエクササイズガイドを使ってもらえる取り組みをもう少し明示をしてい くということも考えています。  (3)に、指導者の育成の促進です。生活習慣病のハイリスク者を対象とした安全で効 果的な運動指導が行うことができる専門家として、健康運動指導士ございます。質の 高い健康運動指導士の育成を推進するとともに、健診後の保健指導を担う保健師です とか、管理栄養士が着実に行動変容につながる指導を行えるようなもの、エクササイ ズガイドの普及を図っていくというものが必要だと考えているところでございます。  (4)としまして、環境整備です。学校、企業などの運動施設の市民への開放等による 運動施設利用の促進、地域スポーツクラブなどの自主的な活動の促進、歩道、自転車 道などの日常生活におけます身体活動量増加のための環境整備ですとか、地域におけ るウォーキングなどの身体活動を中心としたイベントの実施、高齢者ボランティア活 動の奨励など環境整備を行いながら身体活動・運動に取り組みやすい環境整備をして いくことが重要だと考えております。以上でございます。  久道部会長 ありがとうございます。御意見、御質問ないでしょうか。  加賀谷委員 全体として非常にわかりやすく書かれていると思います。一つだけ2 .7の安全に歩行可能な高齢者の増加というところで、新たに設定した目標項目とし て、開眼片脚起立時間をもって評価するというところがあります。これについてきち んと考えるべきことを後ろに書いていただいたことは大変重要なことだと思います。 ここをぜひきちんとやっていただきたいと思います。  といいますのは、開眼片脚起立という能力は、若い方では独立した変数です。した がってこれをもって体力を評価することはなかなかできないと思います。高齢者の場 合はすべてのものが連動しています。これにかかわる要因である体重と筋力のバラン ス、神経系等が改善されて初めてこの時間が伸びるわけです。ですから一番最後のと ころに、この改善だけですべての生活機能が改善するかのような誤解を生じさせない ようにということと同時に、この起立時間が改善するということは、単にそれだけで はなくほかのいろいろな機能の改善にあるので、関連機能が改善される取り組みによ って開眼片脚起立の時間が伸びるようにすべきであるといったポジティブな形で書い ていただければ誤解がないかと思います。よろしくお願いいたします。  渡邉委員 環境整備は非常に重要だと思います。歩道、自転車道が整備されること が必須だと思うのです。これはどのように働きかける予定ですか。  矢島室長 これは私どもだけではできません。関係のところとも町づくりの関係、 特に最近は健康づくりと町づくりに関しましてのいろいろな取り組みがあります。日 本全国すぐにということはなかなかできないところですが、なるべくそういった事業 と連動しながら、単なる町づくりだとかそういうことでなく、健康とセットにした形 で事業をやっていただくようなことを関係のところと相談をさせていただきながら、 少しでもふやしていけるような方向で考えさせていただいているところです。  加賀谷委員 もう一つだけ。「安全に」というところが入っておりますが、この 「安全に」というところを、医療機関と連携とか、今の段階でわかりますか、入れば いいと思います。  矢島室長 ここのところはもう少し丁寧に、安全というもののイメージを、どうい う「安全に」ということを配慮するかを明記すべきということでしょうか。  加賀谷委員 はい、運動の仕方を安全に行うという点では運動指導士が十分できる と思いますが、実際の現場で危険な状態が起こる可能性について医師との連携とか、 そういうところも高齢者の場合は配慮を明記した方がいいと思うのです。  矢島室長 といいますのは、運動中に例えば持病の心臓疾患の影響が出たりすると き、といった意味ですね。そこは工夫できるかどうか検討させていただきたいと思い ます。  久道部会長 それでは次に進みたいと思います。3番目の休養・こころの健康づく りをお願いします。  矢島室長 36ページの休養・こころの健康づくりです。ここも代表項目といたしま しては、2項目を考えております。休養という観点から睡眠による休養を十分にとれ ていな人を減少」する。それから自殺がかなり社会問題になっておりますことから 「自殺者の減少」を代表項目として選定いたしました。  (2)といたしまして、今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策で は、自殺対策の推進ということで政府全体として、総合的な推進をするために平成17 年12月に自殺対策関係省庁連絡会議がございまして、そこで自殺の実態解明、自殺予 防に関する正しい理解の普及啓発、相談体制の充実、自殺未遂者、自殺者遺族等のケ アからなる「自殺予防に向けての政府の総合的な対策について」を行ったところでご ざいます。これにつきましては、関係省庁を含めまして関係機関、民間団体等が連携 しながら、現在も自殺対策を推進しているところですが、ここで総合的対策を推進す る必要があるということです。  (2)としまして、自殺対策に対する研究でございます。自殺はさまざまな要因が絡み 合っているものでございますから、遺族の協力も得ながら、自殺に至るまでの心理的 な経過の調査を進めるとともに地域におけるうつ病等による自殺の発生の状況、予防 策の研究を進めるなど、自殺の実態や要因の調査分析、このところはまだまだ不十分 だと思っておりますので、この辺のところを進めることが必要だと考えています。  この分野につきまして少し記述が少ないものですからは、資料2−2でパブリック コメントをごらんいただきたいと思います。  評価につきましては、現在の状況や既定の施策を記述するばかりでなく、原因や要 因に関する調査研究の結果に基づいて保健所、精神保健センター、教育委員会・学校、 職場、地域等の連携協働により課題を解消していくような大きな考え方を入れた方が よい。ということでございました。考え方としてはそのようなことを踏まえたつもり でしたが、このようなことでございます。  次のところは、今後重点的に取り組むべき課題です。睡眠による休養が十分にとれ ていない人の減少とあるが、首都圏のサラリーマンにおいては通勤に時間を要し休養 が十分にとれない状況が発生している。自殺者の問題とも絡めて「職住接化」など企 業との連携が必要である。といった御指摘をいただいています。この辺のところも具 体的な調査研究等もデータ的に我々は持ち合わせていないところもございますので、 調査、分析を多角的に進めていくことが必要だと思っているところでございます。以 上でございます。  久道部会長 分量が少ない項目ですが、御意見ございませんでしょうか。  坂本委員 睡眠の部分に項目が出た方がいいのではないかと思います。ここに子供 は入らないかもしれりませんが、遅く寝る子供は全体的に生活習慣のバランスに大き い問題がでています。中高年の不眠の問題もあります。全然項目が出ていないのが何 となく……  久道部会長 睡眠の項目を1つ起こして、書いた方がいいという御意見ですか。  坂本委員 そうです。睡眠に関しては、自治体でも項目を出していないところが多 いのではないかと思います。  矢島室長 実はここのところも、私も睡眠や休養に関してもう少し客観的な指標が ないかと思っております。きょうは御欠席でございますが精神保健の分野の先生方に もいろいろ御検討をお願いしたことがあります。しかし客観的な指標を今の段階で出 すことができません。いろいろな御指摘はありますが、バックデータとなる、例えば このようなものがいいといったものがないということもあります。  特にこころの分野は大変遅れています。坂本委員が御指摘いただいたことはすごく 大事なことです。しかし私ども外に説明をしていくのに、こういう指標が大事だとい うことをもう少し説明できること調査、研究をさせていただくとともに、関係の学会 の先生方とも相談させていただきたいと思います。例えば、同じ睡眠にしてもどうい う睡眠がいいのかといったことで議論が分かれている段階でございます。もう少し議 論を深めて、その上で次回に間に合うような形でできればと思います。今回、まこと に申しわけありません。今の段階ではまとめることができないといった状況でござい ます。  久道部会長 ほかにございますか。それでは、たばこの項目に入ります。お願いし ます。  矢島室長 36ページでございます。4番のたばこです。(1)といたしまして、代 表目標項目の選定では、具体的にはここにあります形で3つを代表項目に選定してい ます。たばこ対策の具体的な行動目標である「未成年者の喫煙をなくす」「禁煙支援プ ログラムの普及」それから健康増進法の施行により、注目が集まっておりますがさら に対策の強化が必要と考えています「公共の場及び職場における分煙の徹底及び効果の 高い分煙に関する知識の普及」を考えております。  (2)の新規目標の設定でございます。成人の喫煙を減らすという考え方です。こ れにつきましては、前回までもいろいろと議論があったところでございます。(案1) (案2)(案3)が提示されています。喫煙が健康に与える影響が大きく、生活習慣病予 防の上で、たばこ対策が喫緊の課題である。平成17年2月には「たばこの規制に関す る世界保健機関枠組条約」が発効いたしました。この中で「たばこへの依存及びたば この使用の中止についてのたばこ需要の減少に関する措置」をとることが求められて いるところです。  この部会におきましては、複数の都道府県健康増進計画において規定されている喫 煙率減少のための目標であるとか、これを参考に喫煙者のうち「やめたい人」が全員 やめるという考え方、「やめたい人」の一部がやめた場合という考え方、成人の喫煙 率を健康日本21が策定された当時のベースラインから半減させるという考え方、これ が議論を重ねられてきたところでございます。  その資料が具体的に(案1)(案2)(案3)という形で示されました。38、39、40ペー ジが具体的なものです。これは従来からお示しをしているものでございます。  41ページ、42ページは都道府県におけます喫煙率のいろいろな目標の考え方でござ います。都道府県の取り組みをお示しさせていただいております。  45ページでございます。(3)として、今後重点的に取り組むべき課題及び新たに 講ずべき施策です。たばこ対策につきましては、健康日本21策定時にこの審議会の 「今後のたばこ対策の基本的な考え方について」におきまして「国民の健康増進の観 点から、今後、たばこ対策に一層取り組むことにより、喫煙率を引き下げ、たばこ消 費を抑制し、国民の健康に与える悪影響を低減させていくことが必要である」という 御指摘も受けているところでございます。  また平成17年2月に発効しました、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」 においては、たばこの消費を減少させるための措置をとる必要性が示されているとと もに、たばこ価格の上昇がたばこ消費を減少させる効果的及び重要な手段であるとさ れております。このため、我が国も批准国といたしまして、たばこ対策を強力に推進 することが求められており、以下の取り組みを行うことが必要であると考えておりま す。  (1)として、新規喫煙者増加の防止です。新たな喫煙者をふやさないためには、学校 や家庭が連動した地域での包括的禁煙防止対策、あらゆる受動喫煙場面における非喫 煙者の保護が必要であるという考え方。(2)として、禁煙指導の充実です。成人の喫煙 率を下げるための喫煙者を増加するためには、日常診療や健診・保健指導などあらゆ る場面におきまして禁煙指導の徹底が重要でありますが、ニコチン依存症管理料が診 療報酬の算定対象となったことから、今後この成果が期待されるところです。  (3)として、さらなる対策の充実です。これまでどおりですが、たばこの健康影響に ついての十分な知識の普及。未成年者の喫煙防止。受動喫煙の害を排除し、減少させ るための環境づくり、分煙です。禁煙希望者に対する禁煙支援に関する取り組みに加 えて、さらなる喫煙率の減少を図るための取り組みを行う必要がある。具体的には 「たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約」を踏まえ、喫煙率の減少に係る目標を 設定するとともに、このようなことが重要であるということがいわれています。  また各省庁の協力を得て、受動喫煙者に対する実施状況を定期的に把握する仕組み も必要であるといったことが指摘されているところです。以上でございます。   久道部会長 それでは御意見をいただきますが、まず富永委員お願いします。  富永委員 私は、当部会の委員としてのみでなく、健康日本21中間評価作業チーム の座長をしておりますので、その作業チームの立場で意見を述べさせていただきます。  ただいま事務局から御説明いただきましたように、38ページには(案1)、39ページ に(案2)、40ページに(案3)が示されています。これは約1年前から、作業チームが 喫煙率の低下の数値目標を設定したらどうかということで検討を始めておりました。 データを集めて、当初は4つの案を策定しておりました。1つの案は非常に複雑な数 式を用いたものでしたので、事実上3つの案に絞りました。  (案1)は、これまで何回も御説明しておりますが、禁煙したいと思っている人が全 員やめたらどうなるかということを考慮して設定した目標値です。  (案2)は、やめたいと思っていても依存性があってやめられない、だから依存性が ない人がやめたとして、禁煙したいと思っている人の約半分がやめたとしての計算し たものです。  (案3)は、喫煙率半減で、平成12年の健康日本21がスタートした当初の目標です。 これをここで復活しようというものです。  作業チームでは3つの案のうち、どれがいいかを検討しました。(案3)は平成12年 にさかのぼって、そのときから半減ということで目標値も男性25%以下、女性5%以 下と大変厳しく、事実上2010年の達成は大変困難であるということで、いいのだけれ ど目標達成は難しいものです。  (案2)は、やめたいと思っている人のうち依存性のない人だけでして、目標値が男 性35%、女性10%以下となっております。これは少し控目で、目標として低いといっ た意見がございました。結局、いろいろ考慮しまして、中間作業チームとしましては (案1)の、禁煙したい人は全員やめていただく、という施策を推進するということで 数値目標を設定し、少し丸めて男性では30%以下、女性では10%以下としました。  男性の30%以下も中間目標としては大変結構なことですが、欧米先進国に比べると かなり高い率です。これなら努力すればやれるかもしれないという数値目標です。で すから中間作業チームとしては、(案1)が一番妥当ではないかという結論でございま す。  この部会で何回も説明をしておりますが、パブコメ、つまり健康日本21中間評価の 報告書の全文が、先ほど申しましたページも含めてパブリックコメントで公表されて おります。その結果、多くの喫煙率低下の数値目標の設定についての賛成意見、反対 意見が意見が多数寄せられいます。その中でも、私どもの予想をはるかに上回る賛成 意見が多かったことを、御指摘しておきたいと思います。  それからたばこを取り巻く社会環境も大変変わってきました。特に大きく変わった のは健康増進法の施行、たばこ規制枠組条約が平成17年2月に発行したこと、これが 大変大きな引き金になっていると思います。それを受けて、中間評価の作業チームで 検討しました喫煙率低下の数値目標に関しても、今年に入りましても数社の新聞社が、 喫煙率の低下目標を設定した方がいいと。中には、「今度こそ設定すべきだ」という タイトルで記事を書いているところもございました。できることなら、ぜひこれを設 定したいと思います。  それから私は毎回申し上げていますが、喫煙値が低下しますとたばこの価格をその ままでは、確実に売り上げが下がります。収入減になりますので、これは価格を上昇 することによって喫煙率の低下分、喫煙者の減少分も見合うような形で、たばこ業界 もあまり経済的ダメージを受けないで、うまくいけば国、財務省の方でもたばこによ る増税が見込まれる。こういうことを同時に進行しながらやるべきだと思っています。 以上です。  久道部会長 ありがとうございました。作業グループとしては、(案1)がいいので はないかといった説明でした。御意見をいただきます。  多田羅委員 国民の生活習慣の改善は、非常に難しいということは基本として今回 の中間報告でも示されたと思います。そういう中で、さらに広く国民に生活習慣の改 善を呼びかけていくという観点に立って、一定の目標値を設定するということについ ては非常に大事な方法かと思います。  しかしこの場合、国民健康づくる運動の推進ということにとって、哲学的といいま すか原則として非常に大事なのは、健康づくりはそれぞれ個人の責任だということも ありますから、やれる人がやったらいいんだという運動になってはいけないというこ とであると思います。ですから結果として目標を設定する場合、余りきつくあるいは 厳しく目標値を設定すると、結局やる人だけがやれるという結果に運動としてなって しまうということが懸念されます。  目標値の設定という場合、そして国という観点に立って目標値を設定する場合、そ れは最大限、全員が参加できる運動の推進という観点に立ちますと、全員が一致でき る絶対反対という人はいない、その程度の目標であれば仕方がないというレベルのも のにする、国という立場に立った場合、そういうことが私は大切だと思います。です から、高い、厳しい目標を立てるという観点は社会としては本当に望ましいのですが、 国民全体が参加できる運動を進めていくという観点からは、今回(案1)(案2)(案3) と示していただいておりますので、私はむしろ案3件をそのままここに羅列して記載 いただき、全国の各自治体、各団体がそれぞれの事情の中で、みずからの方向を決め ていく参考にしていただくというのが国の姿勢としていいのではないかと思います。 やはりみずから選んでみずからの健康づくりを、みずからの地域でつくっていくとい う観点に立てば、(案1)(案2)(案3)とこの場合は併記していただく。さらに例えば (案1)よりももっとゼロと宣言している市町村もありますので、選ぶという観点から、 国としては、余りきつい、高い目標を定めるのでなく、選べるという方向を示すのも 一つの考え方だと思います。  私としては、ですから案3件を併記いただいて目標として考えるというふうにして いただいたらどうかと思います。以上です。  澁谷委員 作業部会の先生方が大変御苦労された様子が伺われます。今、3案併記 という御意見がございました。実際に、具体的に都道府県や市町村などの計画を見ま すと、ここに載っておりますように具体的に動いているところもあります。そうしま すと3案を例えば載せるにしても、併記でなく、例えば富永委員がおっしゃったよう に(案1)を一番推進するのだと。あるいは(案1)だけを載せるといった方が混乱をし なくていいという気がします。  それから「さらなる対策の充実」というのが45ページにございます。非常に作業チ ームの先生方が、この案を出されるに当たって御苦労なさったプロセスを考えますと、 やはり対策の充実というところに喫煙率の減少に係る数値目標の設定、あるいはたば こ価格の上昇を考慮すべきであるということは、ぜひ書き込んでいただきたい評価を していただきたいと考えております。  村田委員 今、澁谷委員もおっしゃいましたが、たばこ対策の場合には、やはりこ れからは禁煙指導、新規喫煙者の増加の防止が非常に大事になってきます。ここのと ころをしっかり書いていただくことによって、私は(案1)のたばこをやめたい人がや めるというようなことでの現段階での考え方では賛成です。また各都道府県がそれ以 上に自分の目標値を高くするということもあると考えられますが、この都会では案1 の形がいいのではないかと思います。  いろいろな情報提供や普及活動がこれだけ進んでいる中で、いろいろな方がたばこ をやめようと、そして分煙、禁煙場所がふえてくると、やはりやめたいという方たち が回りでもふえてきているように感じます。そういう意味で、一人の住民がいろいろ な選択肢の中で、自分は絶対やめるのだという形でやめていくという目標値を定めた 方が割と取り組みやすいのかなと思っています。  渡邉委員 村田委員の発言に賛成です。私も20年ぐらい前に、WHOの喫煙と健康 研究協力センター長を10年間ほどやっていました。当時に比べますとたばこ対策は隔 世の感があります。富永先生以下たばこに取り組んだ方たちの努力が非常に大きいと 思います。WHOは基本的には、たばこのない社会が正常な社会だというのが基本認 識です。ですから国際的にもそういう方向に動いているところが結構あるということ です。  パブリックコメントも拝見しましたが、やはり一番周知されていない部分は、個人 の嗜好という問題と公衆衛生学的な、あるいは公衆衛生対策的な問題が実は同じレベ ルでなく上位概念としてあるにもかかわらず、どうも混同されて理解されているとこ ろがあります。その面は、たばこ対策を取り組むときに全体としてきちっと理解して いただく必要があるのではないかと考えます。  ここについて資料を見ますと、各県によって数値目標設定しているところは大体4 割弱ぐらいです。減少という目標のところも3割ぐらい。喫煙室の目標項目が設定し ていないところも3割ぐらいある。ですから日本中、なかなか同じような思いに多分 都道府県によってなっていないのではないかということがわかります。この健康日本 21は、日本で多分初めてポピュレーションストラテジーを政策に取り入れようという ことで動いていると思いますが、その意味ではとにかくやめたい人がやめるというの がまず第一歩です。余力があればハイリスクポピュレーションにアプローチしていく ということになると思います。私もそういう意味では、やめたい人がとにかくやめる という30%、女性10%ですか、これはほぼ妥当な目安ではないかと思っております。  数値目標を達成するために何かやるというよりは、やはりやめたい人がとにかくや められる環境をきちっとつくるというのが第一歩の重要なことだと思います。  池主委員 ポピュレーションアプローチとして徹底的にやる場とある程度みんなが 全体で取り組める場というのを明確に分ける必要があるのではないかと思います。例 えば、医師会、歯科医師会は禁煙宣言をやっております。  我々は職業的にそれを強行にやる責務を持っていると受け止めています。影響力を 持つ場を、もう少し明確に分けて設定していくという考えた方もどこかに入れた方が いいのではないかと思います。  飯島委員 日本薬剤師会も禁煙宣言に賛成しました。薬剤師会の中でも基準薬局と いう項目があります。今回、薬局の質を担保させるためにいろいろな項目が設けてあ ります。今まで薬局はたばこ販売をした実態がありました。その中に項目を一つ入れ ました、薬局ではたばこを販売しないというものです。今会員にパブリックコメント を求めているところでございます。  (案1)というところで、環境整備を我々も医療従事者もちゃんとしていかなければ いけないと思っています。  久道部会長 いろいろ意見が出ました中で(案1)(案2)(案3)の中から選ぶとすれ ば(案1)かという意見が多かったように思います。多田羅委員から出た併記をするこ とは。 多田羅委員 ここの意見としては、非常に熱心に健康づくりを支えている人 ばかり集まっていますので、(案1)に反対という人は私も含めていないと思います。 しかし、国という立場、全体を担っているという立場に立てば、やはり国民の中には こういう目標値を設定することすら非常に反対という方もいらっしゃるわけです。だ からその人たちはその人たちだというわけにいきません。やはり国民が選ぶことので きるという視点を、こういう審議会も私は持つべきだと思うのです。その意味で併記 という考え方、数字を30にするのか、35にするのかということがありますが、こうい う特に国民の意見が分かれ大きな議論のあるところでは、柔軟な姿勢を示していきな がら、後は各国民の所属する自治体や団体がみずからの思想で選択して自分らの社会 をつくっていくという、公衆衛生も21世紀つくっていかなければいけないと思うので す。  ですから、今回併記いただいたというのは、非常に厚生労働省の卓見といいますか、 妥協というよりむしろ評価したいという気持ちが強いことを申し上げたいと思います。  池主委員 先ほど言い漏らしましたが、基本的には多田羅先生のおっしゃるような 中で、本当に頑張るべきというか、厳しく姿勢をとるべきところがやはり選択してい くという意味ではそちらの方に**です。  久道部会長 きょうの提案は併記した格好になっていますが、心は一つにしたかっ たことでもありませんか。  矢島室長 できればこの議論を踏まえて、ある一定の方向性を御議論いただけると ありがたいと思っています。我々、一応先生方の御議論を踏まえまして、ある程度の 整理ができればと思っているところです。  久道部会長 併記をするにとしても、澁谷委員から出た意見の形もあるかと思いま す。このたばこの問題、なかなか終わりが見えないところもあります。  宮坂審議官 審議官の宮坂と申します。大変たばこにつきましていろいろな議論が 出ました。なるほどという点が非常に多かったと思います。プロジェクトチームでお まとめいただきました富永委員以下に敬意を表するものでございます。  ただ、今まさに御議論がありましたように、実は健康日本21の中には成人の喫煙率 について記述がないという実態がございます。これはなぜかと、先ほどまさに渡邉先 生が御指摘のように公衆衛生と個人の嗜好品、またなかんずくそれが大きな財政物資、 これも富永委員もお触れになりました。そういう状況を抱えているものであるという 事実が一つあるわけでございます。その中で、先ほど来お話もございましたが健康増 進法、規制枠組条約いろいろなものができている中で、一体先ほど多田羅先生からお 話がございましたが国としてどういう目標を掲げて、目標と申しますか、どういう方 向を示すのかというのが問われているのではないかと思います。  いろいろ御提案がございまして、事務局として検討させていただきたいと思います。 3案を提示するというのも、実際問題混乱をするという面もなきにしもあらずです。 3つ出してどれでもいいよといっても、その3つが同じ強度のものであればいいので すが、それぞれ違うというものです。これをポンと出したときに一体どうすればいい のか、一応健康日本21というのが一定のベクトル、ベクトルは一緒といえば一緒です が、ベクトルの角度に相当差があるのではないかということについて、やはり何らか の一定のベクトルの方向なり角度を示す必要があるのではないかと思います。  次に、ここは非常に悩ましいところですが、先ほど多田羅先生の知恵だと思います が3案提示するというのは、どれでもというのは、まさに最大公約数をどこでとるか という御指摘だと思います。それはやはり我々として、きょう御議論を踏まえてさら に検討させていただくときに、先ほどもお話がございましたがみんなが取り組める、 取り組みやすい、今実際にやめたくないと思っている人たちが、「それであっても、 別におれたちやめないもんね」みたいな、そういうことのないような環境づくりが今 回の21のたばこに関するテーマではないかと思います。  御案内のとおり、この健康日本21の中で3案併記しているのはこの部分だけでござ います。いかに議論が非常に錯綜するかと、それはやはり嗜好品であるということ、 個人の自由に任せられていること、成人であるから自分たちでやっていいではないか という問題と一方でまさに御指摘のあった公衆衛生との観点をどう考えるのか、みず からの健康はみずからでとしながらも、最終的に、もし御病気になられた場合には、 一定の医療にかかるという実態があること。  きょうもこの点については大変多くの委員の方々から御指摘がございました。頭を 抱えているところでございます。やはりみんなが取り組める新たな目標として取り組 めるというものを我々としては模索をしていきたいと思います。大変、丁寧な御発言、 御意見をいただきましたが、その点を踏まえてこの21の位置づけを踏まえながら考え させていただきたいと思っています。  北村委員 まさしく審議官が言われましたように、たばこは法律からみると嗜好品 といった位置づけがあります。医療界としては、いろいろな病気との関連において主 張をしている中で、一定の方向性を示すべきだという観点に立ちますと、現時点でニ コチン依存症の判定がなされた人のうちで3割りぐらいしかやめる意思がない。しか し禁煙は自分でやめてもらわない限りどうにもならないわけです。そういった観点か らしますと、やはり厚生労働省はニコチン依存症の人には保険収載といういわば疾病、 保険というのは疾病に対して行うのが基本になっていますが、ここは疾病としない段 階で、保険収載に持っていったという英断をされたわけです。そういった観点を踏ま えますと、まずファーストステップとして支援をしてやめる人をふやしていくという ことは、1つと絞れば(案1)になるのではないかと思います。  久道部会長 いろいろ御意見があろうかと思います。審議官からもお話がございま した。いろいろ議論が出ましたので、この議論を踏まえて次回以降に事務局に数値も 含めてまとめていただいて、整理していただくということにしたと思います。この項 目については、きょうのところそういう扱いでよろしいでしょうか。  委員一同 はい。  久道部会長 そのようにさせていただきます。次のアルコールお願いします。  矢島室長 それでは45ページをお願いします。5のアルコールでございます。同じ ように代表目標項目につきましては2項目を考えております。肝疾患、脳卒中、がん 等への健康影響が問題となっております。「多量に飲酒する人の減少」、それから未 成年者のアルコール問題としまして「未成年者の飲酒をなくす」この2項目でござい ます。  (2)として、今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策については、 2点です。多量に飲酒する者の割合の2割削減です。アルコール飲料の供給面での対 策の実効性を挙げるためには、関係省庁との連携が不可欠だと考えています。特にア ルコール飲料の販売日や時間の制限等のような供給を減らす対策に加えまして、酩酊 している人にアルコール飲料を提供しないといった提供側への教育・啓発も必要であ ると考えております。  需要面では、多量飲酒者の弊害やその予防の重要性等も含めた啓発活動を推進して いくことが必要だと思っております。  それから未成年者の飲酒をゼロにするということでは、未成年者へのアルコール供 給を防止するためには、未成年者に限らず全般的にその需要を減らす対策に加えまし て、未成年者をターゲットに絞った対策、例えば、未成年者にはアルコールを売らな いといった提供者側への教育等も必要だと考えております。以上でございます。  久道部会長 ここのところはいかがでしょうか。それでは次の歯の健康をお願いし ます。  矢島室長 引き続きまして、6番の歯の健康について御説明いたします。(1)の 代表目標項目の選定につきましては2項目ございます。学齢期を代表する指標としま して「一人平均う歯数の減少」それから成人を代表する指標としまして「80歳で20歯 以上、60歳で24歯以上の自分の歯を有する者の増加」でございます。  (2)として、今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策等につきま しては、(1)の幼児期及び学童期のう蝕予防です。幼児期及び学童期のう蝕予防につい ては、特に地域差が見られるということで、フッ化物による洗口などを推進していく ことが今後必要ではないかといことでございます。  (2)として、喫煙の及ぼす健康影響の知識の普及です。喫煙の及ぼす健康影響につい ては、その知識のさらなる普及に努め、禁煙支援体制を歯科領域でも確立することが 必要ではないかということでございます。以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございます。きょうは、この分野について日本歯科 医師会の池主委員から資料2−3が提出されております。この説明を聞いてから御意 見をいただくことにします。お願いします。  池主委員 私たちは平成元年ぐらいから「8020運動」を十数年展開していることが、 中間報告の中で歯科は優等生と言われることに結びついていると思います。例えば到 達目標達成が16項目中4つあります。その他改善が11、悪化が1で、これは私たちも ある意味では驚いている内容です。  ただ、「8020」という目標か、このままで達成されるのだという認識が、もしこの 結果から広がるといささか問題があります。それは単に健康日本21の中だけの位置づ けということでなく、先ほどからいろいろ出ておりますメタボリックシンドロームの 対策の中での歯科の位置づけとの関連で考えますと、一番大事な40歳から74歳までの 歯科保健が、ややもすると途切れてしまうのではないかといった危惧をもっていると いう意味です。その点を少し御説明させていただきます。  例えばう蝕予防ということについて、既に20%の目標を達成している大きな理由は、 先ほどから御指摘が出ております生活習慣病等に対する公衆衛生的な手段としてフッ 素という、全体の分野にとって特例的な手段が歯科にあるということです。その大き な理由になっているのがフッ化物配合の歯磨き剤が90%以上になっていること、これ から目標に掲げるフッ化物の洗口方という、いわゆる公衆衛生的な手段に近いものが 徐々に普及しているということが大きな理由です。しかし先進国のアメリカ、カナダ においてフッ素を徹底的に使って対応している国に比べるとまだまだ虫歯が多い国と いう分野に入ります。その辺が現状の中間報告の中身をそのまま、「これでよし」と いうわけにはいかない理由の一つです。  それから歯周病予防が大きな課題になります。口腔保健のこのような対策での部分 に強みは、既に歯磨き習慣というポピュレーションアプローチがほとんどの国民に普 及しているということだと思います。その歯磨き習慣をいかに結びつけるか等、プロ フェッショナルケアや定期的な健診をある程度目的を持ちながら日常の生活習慣を少 し変えることによって極めて大きな成果が挙げられるという、そこが我々の大きな武 器ではないかと考えます。  食の関係では栄養の問題や、人間が人間として生きていくといった目的のために、 ちゃんとかめているかどうかという問題が重要だということがいろいろなことからわ かっています。一番明確に出てくるのが、寝たきりの方々が経管栄養になってしまう と一気に栄養不足になります。人間的な活力を失っていくということが、またそれが 戻ることによって人間性を取り戻してくるという経過がいろいろなところで発表され ています。  またこれはよく知られていないことかもしれませんが、運動能力等でも歯がいかに バランスよくしっかりかめているかによって、転倒防止が極めて関与していることも わかってきました。ある意味では、食、運動、たばこ関連の中に、口腔の問題を今後 位置づけることができれば、80歳で20本の歯を残して、人間らしく豊かな老後を過ご せるというその目標を達成できるのではないかと考えられます。今後、そういう関連 から口腔の問題の取り組みを大いに考慮していただきたいと思います。これが、この 資料提起の理由でございます。  久道部会長 どうもありがとうございました。委員の方からは、この中間報告の案 はこれでよろしいといことですか。  池主委員 例えばフッ素洗口の普及ということに具体的な目標を提示させていただ ければいいです。現在全国で50万人ぐらいが洗口をやっていますが、まだまだ少ない です。これを倍増するとった目標、あるいは「8020」といいましても、8020を達成し ている人が人口の何十パーセントという目標はクリアしましたが、本当の意味の80歳 で20本残している方は少なくて、現在は8010を超したぐらいです。ですから本当の意 味で8020を達成する目標をさらに設定していただきたいと思います。  久道部会長 ほかの委員の方で、この部分の御意見ございませんか。よろしいでし ょうか。それではまだ項目としては糖尿病、循環器、がんなどが残っております。時 間の関係できょうの議論はここまでということにさせていただきます。次回以降に、 残された部分については議論いただきたいと思います。  きょうの議題、3番目その他となっております。何か事務局でございますか。  矢島室長 参考資料の御説明をさせていただきたいと思います。参考資料1ですが、 副大臣のメタボ退治ホームページを展開しております。6カ月の目標で、武見副大臣 が体重を5kg、腹囲を5cm、石田副大臣も体重を5kg、腹囲を5cm減少させるといっ た取り組みをさせていただいています。毎週ホームページの更新しております。2枚 目、3枚目は具体的な保健指導の中身です。これにつきまして生活習慣病対策室、実 は私も医師でして生活習慣病対策室の医師・保健師・管理栄養士が総出でこの保健指 導に当たらせていただいているところでございます。6カ月の成果というものができ ればと思っております。このような形で情報提供をさせていただいており、副大臣に も取り組みを頑張っていただいているところです。  それから参考資料2−1と2−2ですが、平成17年度の食育白書ができました。食 育につきましては今まで御説明をさせていただいたところですので、それをまとめた 白書ができ上がったということでお目とおしをいただければと思います。以上でござ います。  久道部会長 今の説明には御質問ごぜいませんか。それでは今後の日程についての 説明をお願いいたします。  矢島室長 次回の部会ですが、皆様方の御都合を事前にお伺いをいたしております。 調整させていただきまして、できれば12月26日火曜日の午前中に開催をさせていただ きたいと考えております。よろしくお願いいたします。  久道部会長 それでは、きょうの会議はこれで終了させていただきます。どうもあ りがとうございました。                                      終了  ○ 問い合わせ先    健康局総務課生活習慣病対策室    調査総務係 竹之内・横山    電話 03−5253−1111       内線2346・2342