06/12/13 第2回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録 第2回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録 1.日 時:平成18年12月13日(水) 10:00〜12:00 2.場 所:厚生労働省共用第8会議室 3.出席者:   <五十音順>   大川弥生委員、大橋謙策委員、大日方邦子委員、河原和夫委員、木村隆次委員、   佐藤修一委員、中川俊男委員、丹羽真一委員   事務局 人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、保健統計室長   4.議題  (1)WHO−FICチュニス会議の報告について  (2)国際生活機能分類−小児青年版(仮称)について  (3)活動と参加のリストの使い方について  (4)生活機能分類に関する具体的評価方法(ICFのコード化)について  (5)国内における普及について  (6)その他 5.議事内容 ○丹羽座長  それでは、予定の時刻になりましたので、第2回社会保障審議会統計分科会生活 機能分類専門委員会を開催いたします。  各委員の先生方には、お忙しいところを誠にありがとうございます。お聞き苦し い声で申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。  まず、お手元の資料の確認を、事務局からお願いしてよろしいでしょうか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、お手元の資料を確認させていただきます。  本日の資料は、ホッチキス止めさせていただきましたものがワンセットになって おりまして、議事次第に続きまして、1ページ目から3ページ目までが資料1。4 ページと5ページが資料1の別紙。6ページ、7ページが資料2。8ページから10 ページまでが資料3−1。11ページ、12ページが資料3−2。13ページ、14ページ が資料3−3。15ページが資料3−3の別紙。16ページが資料4−1。17ページが 資料4−2。18ページが資料5でございます。過不足等はございませんでしょうか。  資料の確認は以上でございます。 ○丹羽座長  よろしいでしょうか。資料はございますか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  本日のご欠席は長谷川委員でございます。大日方委員は15分ほど遅れてお越しに なられるということでございます。  議事進行をよろしくお願いいたします。 ○丹羽座長  お手元の資料に基づいて進めたいと思います。  議事1の「WHO−FICのチュニス会議の報告について」ということですけれ ども、まず事務局からご説明をお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長  資料1に基づきまして、WHO−FICチュニス会議のご報告をさせていただき ます。  1ページ目でございますが、このWHO−FICの会議は、毎年1回年次総会を 開催しておりまして、今年は平成18年10月29日から11月24日までの間、チュニスに おいて開催されました。参加国としては16か国、112名が参加致しました。  主な議題といたしましては、まず、「国際生活機能分類−小児青年版(仮称)」 が派生分類として正式に承認がなされました。それから、従来の組織、これは5ペ ージに「WHO−FICネットワーク組織図」について、これまでWHO−FIC 国際分類ファミリーのネックワークにつきましては6つの委員会と1つのグループ という構成になっておりましたが、このチュニスの会議で、新しく疾病分類グルー プ、生活機能分類グループ、ターミノロジーグループという新たな3つのグループ が正式に発足いたしました。それぞれのグループの役割につきましては後で述べさ せていただきます。それ以外に、いわゆるインフォメーション・パラドックスと申 しまして、途上国等データが必要な国ほどデータが集まってこないというものをW HOではインフォメーション・パラドックスと呼んでおりますが、それに関する特 別なセッションも開かれました。それから、各委員会の報告ということで、普及委 員会、分類改正改訂委員会、教育委員会、電子媒体委員会、国際分類ファミリー委 員会等につきましては、ここに書いてあるような中身につきまして、その審議がな されました。  特に本委員会と関係の深い、新たに立ち上がりました生活機能分類グループにつ きましては、後ほどもう少し詳しく説明させていただきたいと考えております。  新たに立ち上がりましたグループとしては、生活機能分類グループ(FDRG) の他に、疾病分類グループがございます。ICDというのはMortality、つまり、 死因統計のためのグルーピングというのが中心で議論がされてまいりましたが、新 たに疾病統計のための観点から検討しようといったグループが立ち上がっておりま す。  それから、ターミノロジーグループと申しますものは、Terminologyは「用語」 と訳してよろしいのでしょうか、それに関する検討を行うグループも立ち上がって おります。  後は、WHO−FIC自体は全世界に各国から集まる組織ですが、ある程度有意 義なネットワークを構築しようということで、アジア・パシフィック地域における ネットワークの構築を目的として第1回目の会議が同じくチュニスで開催されまし た。ここに示しておりますような、アジア・パシフィック地域の9か国が参加しま して、特に各分類の、それぞれの地域における普及や教育といった観点を中心に議 論がされております。  この会議の資料につきましては、お手元にお配りしている資料のアドレスに掲載 をされております。なお、来年はイタリアのトリエステで10月28日から11月3日に 開催される予定でございます。  それから、4ページの別紙の説明をさせていただきます。新しく立ち上がりまし た生活機能分類グループですが、このグループは、基本的にICFの利活用の促進 あるいはその質の向上を目的として設立されたグループでございまして、今年度に 1回目の会議が開催されました。その中には、ここに書いてありますように、8つ のプロジェクトが新たに課題として設定されまして、それぞれ国際的な人材を募り まして活動を開始するということでございます。  1つ目のプロジェクト1はコーディング基準ということで、生活機能分類のオリ ジナルのものにありますようなコーディング規則あるいはガイドラインの原則を開 発していくというコーディングの基準化を目指すものでございます。  それから、プロジェクト2としましては、ICFというのはオリジナルのバージ ョンが2001年にできましてからまだ一度も改訂あるいは改正作業が行われていませ んが、今後、議論を踏まえて、ICFを質的に改善していく枠組みが構築されまし て、それに関する活動をプロジェクト2で行うということでございます。  それから、プロジェクト3は、ICDとICFの調和を図るというプログラムで ありまして、ICDの方も今はICD―10の中での改正・アップデート、あるいは、 ICD−11に向けての改訂・リビジョンといった作業を行っておりますが、その中 にICFの概念をいかに取り入れ、いかに調和を図っていくかというようなことが 検討課題となっているプロジェクトでございます。  プロジェクト4につきましては、ICFの生活機能の測定尺度というものをいか に向上していくかといったようなもの。それによって統計的な利活用をいかに促進 していくかといったようなことを検討するところでございます。  プロジェクト5につきましては、基本的には、これはICFの初心者向け、ある いは、上級者向けの教育用教材を開発していくというもので、基本的には教育関係 の開発を目指すものでございます。  プロジェクト6では、ICFの倫理的な側面から検討を行うというものでござい ます。  プロジェクト7は、ICFの構成要素の一つであります環境因子の質的な向上等 を検討していくものでございます。  プロジェクト8は、ICFの各項目を、今、WHOでは国際標準のターミノロジ ーというものを開発しようと検討しているところですが、そのようなターミノロジ ーの作業とのリンケージをどう図っていくかということを検討していくものでござ います。  以上の1から8までそれぞれの項目が活動の内容、検討の内容が多岐にわたって おりまして、非常にボリュームがある活動ですが、それらのプロジェクトが今年の WHO−FICの会議で一気に立ち上がったということでございます。各国にもい ろいろな課題が課せられておりまして、本委員会でご検討いただいた内容等につき ましても、適宜これらの国際的な議論・検討の場に反映をさせていただきたいと考 えているところでございます。  以上でございます。 ○丹羽座長  どうもありがとうございました。  ただ今の事務局の説明にご質問等がございましたらお願いいたしますが、いかが でしょうか。  よろしゅうございますか。特にないようですので、次の議題2に進ませていただきま す。  議題2は、「国際生活機能分類−小児青年版(仮称)について」でございます。 これにつきましても、事務局からまずご説明をお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、お手元の資料2のご説明をさせていただきます。6ページ目の「国際 生活機能分類−小児青年版(仮称)ICF−CYについて」でございます。これは、 特にICFが開発された後、小児青年期の特性をもう少し十分に反映させる枠組み、 あるいは、そういったものが必要であるという議論を踏まえ、それらの特性をかん がみまして、国際分類ファミリーの中の中心分類としてICFが位置づけられてお りますが、それを補完する目的で小児青年版が開発されたところでございます。そ して、この小児青年版と申しますものは、本年のチュニス会議において正式に承認 されまして、現在、WHOにおいて事務的な手続が進められているところでござい ます。  その手続きについて改めて説明させていただきます。これらが出来上がった後、 これをいかに各国に普及・適用していくか、あるいは、ICF−CY自体をどのよ うに質的に改善していくかにつきましては、先ほどご説明した生活機能分類グルー プにおいて今後検討が進められることとされております。  なお、お手元の資料を一部訂正させていただきたいのですが、この表の「派生分 類」のところのポツの4つ目と5つ目に、「ICD−10神経疾患への適用」と「国 際疾病分類−神経疾患への適用」、同じものが重複して書かれておりますので、上 の方を削除いただければと考えます。ICF−CYにつきましては、この派生分類 の一つとして位置づけられるということでございます。  7ページに参りまして、それが今後どのように国内に適用されていくかという手 続についてご説明させていただきます。  まず一つは、現在、WHO内部において正式な手続が行われているところで、そ の手続終了後、WHOからICF−CYの適用についての勧告がなされます。この 形式は、刊行物として各国に配布されるか、あるいは、WHOのホームページで掲 載されるか等については明確な方針が示されておりませんが、何らかの形で正式に 勧告がなされる予定になっております。  その勧告を受けて我が国としてはどうするかと申しますと、受けた勧告について、 社会保障審議会の統計分科会にまず報告をさせていただきます。そして、統計分科 会におきまして、この内容が個別具体的な審議内容であることから、この社会保障 審議会統計分科会の中のICF専門委員会、本委員会においての検討を依頼される ことになっております。  そして、本委員会でご検討いただくことになることが予定されておりますが、個 別具体的な翻訳作業あるいは関係団体への意見照会等につきましては、事務局の方 で原案として作業をさせていただこうと考えております。その作業の段階において は、研究班等の活用等を念頭に置いて作業を進めさせていただこうと考えておりま す。  そうした検討を受けまして、原案ができた段階で本委員会の皆様方に、こういう 原案でいかがでしょうかとお諮りさせていただきまして、そこでご議論いただき、 了解いただいた上、その検討結果について統計分科会に報告をさせていただくとい うプロセスを考えております。  最終的には、厚生労働省からこのICF−CYの日本語版の刊行という形をもっ て国内への適用とさせていただこうと思います。なお、この翻訳作業の段階で、W HOに対して翻訳権の申請といった国際的な手続きも踏まえて実行するものでござ います。ですので、こういうWHO成果物につきまして、だれもかれもが勝手に翻 訳できるという形ではありませんで、国際的な翻訳権の申請という手続きを踏まえ て、日本国政府が翻訳をして刊行する手続きになっていることをご説明させていた だきます。 ○丹羽座長  10月のチュニスのWHO−FIC会議でICF−CYがWHO−FICのレベル で決定されて、現在、WHOの方で検討が行われていて、勧告があった後に国内に おいてどのように普及していくかということを、ここでまたご議論いただく形にな るという予定にしたいというわけでございます。  今のご説明に対してご質問等がございましたらお願いします。  これから議題3に移りますけれども、実は、議題3の「活動と参加のリストの使 い方について」、議題4の「生活機能分類に関する具体的評価方法(ICFのコー ド化)について」はかなり密接に関連し合ったテーマです。議論としては、一応ま とめて行うようにしたいと思うのですけれども、ものには順序がありますので、先 に3番について質問等があればしていただいて、それから4番の説明を終えた後に 3番と4番をまとめて議論する形で進めたいと思っております。  そのように進めたいと思いますが、大日方委員の方から、3番のお話に入る前に、 この会の活動について、もしご意見等があればお伺いしたいと思っておりますが、 今でよろしいでしょうか。後でもよろしければそうしますが。 ○大日方委員  後ほどにさせていただきます。 ○丹羽座長  わかりました。  それでは、議事の3番から進めさせていただきたいと思います。資料が3−1か ら3−3までありますので、それにつきまして、事務局からご説明をお願いしたい と思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、お手元の資料の8ページの資料3−1から3−3までご説明をさせて いただきます。  まず、「ICFにおける構成要素について」ですが、ICFは、健康状況と健康 関連状況を記述するための統一的で標準的な言語と概念的な枠組みを提供すること を目的としております。そして、ICFは、人間の生活機能に関して、アルファベ ットと数字を組み合わせた方式で分類として活用できる構造となっております。そ して、その構成につきましては、ここにお示しさせていただいているように、「心 身機能・身体構造」、「活動」と「参加」、そしてその「背景因子」としては「環 境因子」と「個人因子」といったものを構成要素と呼んでおります。  なお、「個人因子」につきましては、「背景因子」の構成要素の一つではありま すが、社会的・文化的に大きな差異があるということで、ICFにおいては、今の ところまだ分類されていないということでございます。  8ページの下の方の「構成要素間の相互作用について」ですが、これが、ICF というものを機能的かつ構造的に説明をしていくという中では、最もポピュラーで、 かつ、理解にとって有用である表と位置づけられております。このように、「心身 機能・身体構造」、「活動」、「参加」というものは、それぞれが影響を与え合い、 かつ、それに影響を与える因子としては、いわゆる「健康状態」、これは専らWH Oの中でICDを用いて評価する形になっておりますが、それ以外に「環境因子」 と「個人因子」の相互関係をもって全体的にその人というものを評価していこうと いうことでございます。  9ページになります。「分類としてのICFの構造」というもので、これはWH Oが刊行しているものをそのまま引用してきているものですが、このように、今申 し上げた「心身機能と身体構造」、「活動と参加」、「環境因子」、「個人因子」 それぞれには、この下にありますような観点、例えば「活動と参加」につきまして は「能力」と「実行状況」というそれぞれの観点から評価をすべきであると。そし て、その評価のレベルとしても、後でご説明させていただきますが、第1、第2、 第3、第4というように、様々なレベルにおける評価のレベルがあるということで ございます。  なお、ここに注として書かせていただいておりますが、この図自体は原著原訳の ままですが、構成要素を適切に表現するのであれば、そもそも「活動」と「参加」 の2つにつきましては概念的にも異なるものでありまして、それを一つにまとめて 表現していること自体があまり適切ではないという指摘も世界中でなされておりま す。基本的に原著原訳のまま引用させていただいておりますので、このような形に なっておりますことを十分ご留意いただきますように、よろしくお願いいたします。  10ページに参りまして、「用語の定義」でございます。ICF自体は、ある意味 で非常にわかりやすい日本語ですので、例えば「活動」という言葉でイメージする ものは、普通の日本人の方でしたら、「活動」という言葉が何を意味するかという ことは当然頭の中に浮かびますが、わかりやすいがゆえに誤解を与えかねない。つ まり、わかりやすいがゆえにいちいち定義を確認する作業を行わないということに 基づく誤解が生じるおそれもありますので、ここは、「ICFにおける活動」ある いは「ICFにおける参加」というものはWHOが明確に定義しておりますので、 その定義に基づいて意見交換等をしていただくことが必須となっております。ここ で、用語の定義を整理させていただきました。  「生活機能」は「心身機能、身体構造、活動及び参加のすべてを含む包括用語」 と定義されております。「活動」につきましては「課題や行為の個人による遂行」 と定義されております。「参加」につきましては「生活・人生場面への関わり」と 定義がなされております。「活動制限」につきましては「個人が活動を行うときに 生じる難しさ」、「参加制約」につきましては「個人が何らかの生活・人生場面に 関わるときに経験する難しさ」と定義がなされております。  一方、「背景因子」に関する用語ですが、「背景因子」自体は「個人の人生と生 活に関する背景全体」と定義されております。その「背景因子」の一つであります 「環境因子」は、「人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、 人々の社会的な態度による環境を構成する因子」と定義されております。さらに、 「背景因子」のもう一つの因子である「個人因子」につきましては、「個人の人生 や生活の特別な背景」と定義がなされております。  今一度ご確認をいただければと思います。  続きまして、11ページの資料3−2に参ります。まず、「分類項目の表記」とあ りますが、今申し上げました構成要素が、まず一つはアルファベットであらわされ る形になっております。「心身機能」はb(body)、「身体活動」はs(structu- re)、「活動と参加」につきましては、「活動」がa(activity)、「参加」がp (participation)です。ただ、ICF上は、「活動と参加」をまとめてd(doma- in)という形で表記がされておりますが、具体的な使用に当たりましては、必ず、 activityであるのか、participationであるのかというものを、先ほどの定義に基 づいて明確に区分して利用するようにということが勧告されておりますので、この 「活動と参加」がdというのは、分類項目の設定のために、つまり、重複している ものを2回計上することを避けるためにもまとめられているところもございますが、 実際的な活用に当たりましては、「活動」と「参加」に明確に分けて使うようにと いうことが勧告されております点につきましてご留意いただきたく存じます。最後 の「環境因子」につきましてはe(environment)です。  それぞれのアルファベットの後に分類項目がコードとして付く形になっておりま す。例えばa4は「運動・移動」をあらわします。そして、a4の中のさらに分類 された中身として、1つ目は1けたですが、2つ目は2けたで表示することになっ ておりまして、50は、「運動・移動」の中での「歩行」をあらわす形になっており ます。そして、その「歩行」の中でも、例えば短距離歩行であるとか、長距離歩行 であるとか幾つかのグルーピングがなされておりまして、a4501は「長距離歩行」 をあらわすということで、それぞれの構成要素からどんどん分類が細分化されてい き、個々の生活機能評価の項目が分類されているということでございます。  なお、「活動と参加」に関しましては、資料3−3でもう一度説明をさせていた だきます。ここに「別紙2」は「資料3−3」の間違いですので訂正いただければ と思います。  以上が分類の項目でございます。  そして、ICFは、各分類の項目に対して評価がなされることが特徴でありまし て、この評価点の表記及び評価点の基準についてでございます。これは基本的に、 分類項目の表記の後に「.」(ポイント)を挟んで、そのポイントより下に評価点を 付けるということであります。ですから、上の長距離歩行を評価しようとする場合、 a4501.の後に何か数字が付く形になっております。  そして、ここにお示しされているのは、WHOの概念的なものですが、基本的に こういう概念で評価をすればいかがかという提案がなされております。ポイント以 下が0のxxx.0の場合は「問題なし」、xxx.1の場合は「軽度の問題」、xxx.2は 「中等度の問題」、xxx.3が「重度の問題」、xxx.4が「完全な問題」。そして、 「詳細不明」の場合はxxx.8、あるいは、該当しない「非該当」はxxx.9という評 価の枠組みが設定されております。  例を挙げますと、b7302.0は、b7302という分類項目は「身体の片側の筋力」を あらわしておりますが、その評価をした「.0」というのは「機能障害なし」とい ったように使えるということが例示として示されております。  なお、その下に説明を書かせていただきましたが、各構成要素については、どの ような観点、例えば能力であるとか、実行状況であるとか、これについては後でま たご説明をさせていただきます。どういう観点で評価を行うかについては定められ ているのですが、具体的な評価を行う際の評価点の基準、何をもって.1とするの か、何をもって.2とするのかということについては、今の段階では明確には定め られておりません。基本的には、この評価点基準は各国や仕様目的に応じてその設 定がゆだねられている状況でございます。  1ページおめくりいただきまして12ページでございます。では、その各構成要素 の評価をどのように我が国で対応していくべきであるかについて、少しまとめさせ ていただきました。この中で、「心身機能」の評価、「身体構造」の評価、「環 境」の評価、この(1)、(2)、(4)につきましては、これらを評価するに当 たりましては、「活動」や「参加」との相互関係を抜きにそれらを評価すること自 体に意味がないと検討されておりまして、そうしたものに関する相互関係による影 響等も考慮して評価すべきではないかということで、今後、こういう評価のあり方 はより精緻に国際的に議論が展開されることとなっておりますので、そうした国際 的な動向も踏まえ、対応を検討すべきではないかという形で提案させていただきた いと考えております。  (3)の「『活動』と『参加』の評価」につきましては、「活動」と「参加」とい うのは、それぞれ「実行状況」と「能力」、これは資料3−3でご説明いたします が、その観点で評価を行うことが定められておりまして、各国に対して、そうした 検討を踏まえて、その検討の結果、エビデンス、データの蓄積等を国際的な議論へ 反映してくださいということが強く求められております。これらの反映というのは、 先ほどの生活機能分類グループにおける各ミッションに該当するわけですが、そう した議論に反映する。そのためには、速やかに各国で検討を開始し、エビデンスを 蓄積してほしいという使命が下されている状況でございます。  以上のようなことを踏まえますと、我が国といたしましては、当面、「活動」と 「参加」の評価のところに軸を据えて、ご議論あるいは検討をしていただければと 考えているところでございます。  次に、13ページ、資料3−3に参ります。では、「活動」と「参加」の具体的評 価方法について、いかがあるべきであるかということでございます。  まず、「活動」と「参加」の概念については、これはWHOによって以下のよう に定義されております。「活動」につきましては、課題や行為の個人による遂行の ことであり、それは個人的な観点から捉えた生活機能をあらわすとういことが「活 動」の定義として示されております。それから、「参加」につきましては、生活・ 人生場面へのかかわりのことであると。それは社会的な観点から捉えた生活機能を あらわすと定義されております。  現在、ICFでは、「活動」と「参加」の概念はそれぞれ定義づけられておりま すが、その分類項目としては、「活動と参加」という形で一つにまとめられており ます。この点については繰り返しになりますが、分類項目としてはまとめられてお りますが、実際に評価・活用する段階では必ず、「活動」であるのか「参加」であ るのかを明確に区分して使用するようにということが強く勧告されております。  では、どの項目を「活動」の項目として扱い、どの項目を「参加」として扱うの かというのは、これにつきましても使用する国や使用する目的に応じて設定するこ とということで、各国、各目的に関する裁量という形になっております。そのこと につきましては、本日、ご議論いただきたいと考えております。  ただ、留意すべき点として、「活動」と「参加」の定義の違いもありますし、 「活動」と「参加」は1対1で対応するものではなくて、例えば一つの「参加」を 実現するためには、分類項目の複数の活動が必要となる場合もあるということが、 「活動」として評価するのか、「参加」として評価するのかという意味では、ご留 意いただきたい点でございます。  2に参ります。「『活動』と『参加』を評価する上で検討を要する事項」でござ います。まず一つは、「活動」と「参加」を評価するのは、何の目的で評価するの か、あるいは、その評価したものをどのように利活用するのかということを念頭に 置いて議論いただかなければ、基本的に議論が微に入り細に入るおそれもある、あ るいは、議論のための議論であるような議論が展開されるおそれもあるということ で、目的あるいは利活用のあり方を念頭に置いて以下のものをご議論いただきたい と考えているところでございます。  そして、次に検討を要する事項として、「『活動』と『参加』のリストの取扱い について」で、これを3番でご説明させていただいております。  「活動」と「参加」の具体的評価方法は、資料4でご説明させていただきますが、 そうしたものについて検討をいただきたいと考えております。  3番に参りまして、「『活動』と『参加』のリストの取扱いについて」というこ とでございますが、このリストの取扱いについては、WHOから複数の提案がなさ れております。まず一つは、各分類項目を「活動」として評価するか、「参加」と して評価するかを振り分けるということでございまして、さらに、重複を認める場 合と認めない場合があるとWHOは提案しております。  少し具体的に説明させていただきます。15ページの「別紙」を参照いただきます と、重複を認めないのはどういうものかというと、例えば、第1章から第何章まで の部分の項目については「活動」として評価しましょうと。そこから先につきまし ては「参加」として評価しましょうというように、各章ごとに「活動」として評価 をするのか、「参加」として評価するのかという、重複がないように分類してしま おうといったようなもの。あるいは、重複する、つまり、ある章については「活 動」としても「参加」としても評価をしようというように、それぞれ区分をしよう というものが案1でございます。  案2を飛ばして、案3は、それの究極的な解釈といいますか、基本的にすべて、 第1章から第9章まで全部、「活動」としても「参加」としても評価をする方法も あると言っております。そういう意味では、案3は案1の特殊系と申し上げていい かもしれません。  そして、案2につきましては少し観点が異なっておりまして、詳細な分類項目を 「活動」とする。つまり、「活動」のところは細かいところまで全部分類して、そ して、「参加」については「活動」ほど細かく分けずに、ある程度大くくりにして 評価をしてはどうかというのが案2でございます。  実は、この案1と案2は別に背反のものではありませんで、案1を決めた上で案 2としてそれぞれの分類をどのレベルまで掘り下げて評価するのかという検討をい ただくことも可能ですので、これはあくまでもWHOが、この具体的なリストの取 扱いについて幾つかの方法があるということを定義しているということでありまし て、逆に、どう使えということを明確に定めているものではありません。そのあた りについては、各国の文化的、社会的背景、あるいは、使用目的に応じて裁量が与 えられているという状況でございます。  13ページの「留意点」にありますように、現在、国際的に標準化された評価点基 準というものは定められていません。先ほどご説明をさせていただきました、基本 的な評価の枠組みについては定められております。11ページにございますが、評価 点の基準については定められておりますが、それだけですぐにすべての分類項目に 当てはめるわけにはまいりませんので、そこから先については、各国の裁量と同時 に、得られたエビデンスをフィードバックしてほしいというのが今の段階でありま す。いずれにせよ、WHOからは継続的なデータの積み重ねである検証が求められ ているということでございます。  14ページに参りまして、「我が国おけるリストの取扱いについて」ということで、 いずれにせよ、それをある程度ご議論して一定の方針を出していただかないと、そ こから先のデータの蓄積等には進み得ませんので、案1あるいは案3、つまり、各 分類項目、各章の中身について、どれを「活動」として評価することが適切である か、どれを「参加」として評価することが適切であるか、そして、どれを「活動と 参加」として評価するのが適切であるのかということをご議論いただければと思い ます。  4番に参りまして、「評価点の使い方について」でございます。「活動」と「参 加」は、「実行状況」と「能力」の2つの評価点で評価を行うこととされておりま す。そして、「実行状況」というものは、個人が現在の環境の下で行っている活動 や参加の状況ということであります。つまり、今の環境を前提としている、各個人 個人にそれぞれ与えられている環境は異なりますが、それぞれの環境で行っている 「活動」や「参加」について評価するというのが「実行状況」です。  そして、それに反して「能力」ですが、これは、ある課題や行為を遂行する個人 の能力と定義づけされております。つまり、そういうときの「環境」は何かという と、ある程度標準化された、国際的にというか、その評価をするグループの中で標 準化された環境を想定して、いかがであるかというものを評価しようと。つまり、 ある程度スタンダードな環境がその中では想定されているということでございます。  それからの評価につきましては、例えばd4501(長距離歩行)の中で「.」(ポイ ント)がありまして、その歩行状況の評価点がポイント以下第1位のところ、そし て、ポイント以下第2位のところには、その能力の評価点。つまり、どこに評価が されているか、ポイント以下の第何位のところに数字があるかによって、その数字 が意味している内容が違う。少なくとも、そこの場所については国際的に標準化し ておかないと大きな混乱のもとになるということで、そこについては既に標準化が されている状況でございます。  それにつけ加えまして、任意の評価点ということで、これは裁量でつけ加えても いいことになっておりまして、ポイント以下第3位のところには、「支援あり」の 状態での能力をどのように評価できるかということでございます。そして、ポイン ト以下第4位のところは、「支援なし」での「実行状況」の評価点の欄になってお りまして、それぞれ全部評価する想定されている環境が異なる、あるいは、支援の 有無が異なるという状況で、評価をするところが箱として用意されているというこ とでございます。  その評価点の基準につきましては、資料4のところでご説明申し上げます。  15ページ目の別紙につきましては、議論の際の参考になるようにということで、 まず、「活動」と「参加」の定義を再掲させていただいております。もう少し細か い「活動」と「参加」の定義につきましては、13ページの上のところに四角で囲ま れているところでございます。  第1章から第9章まで、章立てされているものが「活動」と「参加」として位置 づけられているところでございます。  以上で資料3−1から3−3までの説明を終わらせていただきます。 ○丹羽座長  どうもありがとうございました。  さっきも言いましたけれども、議題4もかなり関連しますので、深い議論は4の 後でまとめてお願いしたいと思っておりますが、3に関しまして、現時点でご質問 などがございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○大日方委員  14ページの「任意評価点」のところをご説明いただきたいのですが、d4501のポ イント以下第1位の「実行状況の評価点」と、ポイント以下第4位の「支援なしで の実行状況の評価点」という、ここの位置づけが私には理解できなかったのですが、 ここを追加してご説明いただけますでしょうか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  基本的には、これは、我々も間違えてはいけないと思いまして、ここの本に書い てあるものに極力忠実に反映する形でこの説明資料を書かせていただいております。 今からご説明申し上げるものにつきましては、もし間違いがあれば委員の先生方に 訂正いただきたいと思います。  我々が今の段階で解釈しておりますのは、d4501の最後は、基本的には、「支援 なし」の定義が、実は、現段階ではこの赤本の中に示されていないので、そこを正 式に確認するにはWHO側に照会をかけないといけません。評価される方が何らの 支援的なものを受けないでどのような「実行状況」にあるのかということでありま して、ポイント以下第1位のところについては、今、現にその人が支援を受けてい る、受けていないということを書かずに、現にその人が生活の場においてどのよう な「実行状況」にあるのかというものを評価したということですので、今、現の 「実行状況」によって、その方が全く何も支援がないということであれば、ポイン ト以下第1位と第4位は同じ評価になる形になると思います。一応そのように事務 局としては理解させていただいております。  ただ、そういう意味では、ポイント以下第4位の評価自体の意義等の任意評価点 の意義につきましても、ここで少し議論いただければと考えております。  以上でございます。 ○大日方委員  何となくわかりました。 ○丹羽座長  委員の先生方から、何か補足なり訂正があればと思いますが、いかがでしょうか。 ○大橋委員  今のことはとても大事な問題で、実は、赤本の222ページのところで、「能力の 評価点、実行状況の評価点、どちらも福祉用具又は人的支援を伴う場合と伴わない 場合の両方について」と。この「福祉用具」と「人的支援」はちょっと違いますよ ね。社会福祉からいけば、人的支援があるかないかということと、福祉用具だけで 済む場合があるかないかということと、この辺の違いをどう明確化するかが一つの ポイントになってきます。  さっきのご説明で、14ページのところの「実行状況の評価点」と「能力(支援な し)の評価点」というのは、支援がなければ同じになると言うけど、福祉用具を使 った場合も、それは支援ありなのか、支援なしなのか。この「人的支援」と「福祉 用具」の違いなのかどうか、ちょっと確認していただけるとありがたいと思いまし た。 ○丹羽座長  大切な点だと思いますが、委員の先生方からのご意見をいただきたいと思います。 大川委員、何かございますか。 ○大川委員  先生方がご指摘のとおり、これは非常に重要な点です。ただ、これはこの後の議 事のコード化との関係も大きいと思います。  まず、大日方委員からご指摘いただいた点ですが、非常に大事なところで、「実 行状況」というのは、同一の項目であっても一日の中でいろいろと変化があること があります。車いすを使っているとき、すなわちこれは支援ありの状況ですが、そ のような状況もあれば、車いすを使っていない、すなわち支援なしの状態もあると いうように、支援あり・なしの両方が実行状況として行われていることになります。 ですから、ある一時点だけでなく、一日としての実行状況、例えば朝はこういう状 態であるが、夕方はこういう状態であるというようにきちんと整理をすると、支援 なしの実行状況というのが、実行状況と別に評価点としてあげる必要はないのでは というのが私個人の考えですが、いかがでしょうか。これも議論すべきことではな いかと思います。  それから、大橋委員からの「支援なし」の定義というのは、その支援をどう定義 するのかということですが、赤本の付録のところはこういう観点でこれから議論を 深めましょうととるべきかと思っております。その中で能力における支援は福祉用 具だけではなく物的な環境因子全体、それと人的な環境因子、制度的な環境因子も 含め「環境因子」全体をその支援の中にどう整理していくかが大事なことになるか と思います。  その際、事務局からもご説明がありましたが、何の目的のためにこの評価を行う のかが大事であり、そこのところをまず考えた上で、ここの話に戻した方がいいの かなと思います。  最初はまとめての議論ということになっていたものですから、どこまでの範囲を どの程度詳しく話をしていっていいのか少し迷うところですので、ご指示をちょう だいできればと思います。 ○丹羽座長  ありがとうございました。私としては、今のような問題は大きいので、後でまと めてという形にした方が議論が進めやすいかと思っていますが、よろしいでしょう か。 ○大川委員  はい。 ○丹羽座長  それでは、そういうことで、後でまとめてさせていただきます。  ほかにご質問ございますか。  本日はご欠席ですが、長谷川委員からこれに関するコメントをいただいていると いうことですので、事務局からご紹介をお願いいたします。 ○疾病傷害死因分類調査室長  本日の議事次第に対しまして、事前に長谷川委員から、ご欠席に関する各委員の 皆様方への挨拶とご発言のメモをいただいておりますのでご紹介させていただきま す。  本委員会の取組みにありますように、ICFに関しまして、客観的な観点から評 価点をつけるという取組みには、老人クラブとしても歓迎すると。ぜひ、クラブと しても積極的に取り組んでまいりたいというご意向が示されております。  ただ、例えば、旧来ありました学校の通信簿のように、相対的な評価で、何割か ら何割までがどこといったような評価のあり方は極力やめていただきたいと考えて いると。その具体的な評価方法が定まった暁には、老人クラブの活動をどのように 適切に評価していくかを検討し、活用したいと考えているのでご検討方よろしくお 願いしたいという内容の発言のメモをいただいております。 ○丹羽座長  ありがとうございました。  大日方委員からも、この時点でご意見があればお願いしたいと思います。 ○大日方委員  私は、身体的な障害を持つ当事者としてこの場に参加させていただいております。  このICFで重要視されていることは前回の会議でありましたけれども、当事者 が理解し、かつ、その場に参加することであり、以前のような医学的な立場から、 あなたはこうだからこれこれこういうことしかできない、あるいは、こういうこと をするべきという、与えられる者と与える者という立場ではなく、お互いが対等な、 もしくは、より積極的な当事者としての立場から参加できるものとして、ツールと して、この評価基準が使われていくべきかなと認識しております。  前回、今回とやってきて、わかりづらいというか、難しいなというのが私の率直 な感想です。議論がどんどん難しい方に行くことは、ある意味で、こうした場では 容易だと思いますが、当事者が参加しやすい形をとるためにはその視点を忘れては いけないだろうと考えております。実は、今、ご説明を伺いながらも、これを自分 に当てはめるとどういうことになるのだろうかということで、先ほど大橋委員から もお話があった、福祉用具を使うものなのか、人的支援が評価の「実行状況」なの かということで、自分自身の一番身近な例ということで考えながらということを常 にやって、自分の中で必死に整理をしているような状況です。  これを分類していくことは非常に意義が大きいことだと思いますけれども、ぜひ、 事務局の皆様にお願いしたいのは、概念が間違って伝わることはもちろん避けなけ ればいけないのですけれども、同時に、概念だけが突っ走っても当事者が置いてい かれてしまうというところもあるので、そこの差を埋めていくというか、従来より はよりかみくだいた形、もしかしたら少し踏み込んだ形で、例えばこういう場合に はこういう考え方があるとかいうようなことを、少しずつこの議題の中でより具体 化して示していくことで、わかりやすさ、誤解を生じないものになって、より建設 的なものになるのではないだろうか、そのように考えているところです。  私自身も、義足を使わなければこうだなとか、車いすを一日中使っているわけで はないですし、人の助けがあればこれができる、あるいは、社会的な環境、例えば エレベーターがあればできることだけど、なければできないこととか、細かく考え ていけば、ある意味ですごく身近だなと感じられるのですが、それがどう使われて いくのか。先ほど、事務方からもその目的という話がありましたが、そこをしっか りと伝え、かつ、わかりやすくというところをこの委員会では常に意識していかな いと、結局、概念だけになってしまう恐れを感じています。そのあたりを注意しな がら、私も、当事者というか、身近な例でなるべく素朴な質問も含めてさせていた だければと感じております。  以上でございます。 ○丹羽座長  どうもありがとうございます。非常に重要なご指摘だと思いますので、ぜひ、各 委員におかれましては、議論をなるべく具体的な状況を想定しつつ進めていただき、 何のためにこの分類をするのかというところから議論を考えていただくということ で、先ほど大川委員からもありましたけれども、そういう趣旨で議論を進めていっ ていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  議題4に移って説明をいただいて、それからまとめて議論を進めたいと思います。 よろしくお願いします。  議題4は「生活機能分類に関する具体的評価方法(ICFのコード化)につい て」ということですけれども、これに関しまして、まず事務局からご説明をお願い します。 ○疾病傷害死因分類調査室長  資料の16ページ、資料4−1「活動の評価点基準(案)」でございます。これは、 事務局から提示をさせていただいております案でございまして、ここの部分につき まして、WHOでも、現時点では、各国の使用目的による裁量と位置づけられてい るものですので、この案をたたき台として少しご議論、ご意見をいただければと考 えております。  まず、資料4−1は「活動」の評価点基準でありまして、資料4−2が「参加」 の評価点基準でございます。そして、くどいようですが、「活動」と「参加」の定 義を書かせていただいておりますが、13ページに、より詳細な定義がなされており ます。  そして、その「活動」の中も、「実行状況」と「能力」が評価の軸として区別さ れているところで、実際に最後の数値化するところでは、「実行状況」は、ポイン ト以下第1位に書き込むようにということが国際標準化されておりますし、「能 力」につきましては、ポイント以下第2位に書き込むようにということが標準化さ れております。この「実行状況」というのは、個人が現在の環境の下で行っている 活動や参加の状況ということであります。「能力」につきましては、ある課題や行 為を遂行する個人の能力ということでありまして、この段階での「環境」は標準化 された環境を想定されております。  具体的な評価点ですが、「実行状況」の評価点0は、評価としての用語は「普遍 的自立」とさせていただいておりまして、日常的に出会うどのような環境(外出時、 旅行時、訪問時、通常と異なる用具を用いて等)においても自立していると定義さ せていただいております。  そして、評価点1の「限定的自立」につきましては、生活の場(自宅、病院、施 設など)及びその近辺の限られた環境のみで自立していると評価点を設定させてい ただいております。  評価点の2の「部分的制限」につきましては、「部分的な人的介護」、この人的 介護というのは、「見守り」、「うながし」等も含むと定義させていただきますが、 それを受けて行っているというものが「部分的制限」です。  評価点3の「全面的制限」については、全面的な人的介護を受けて行っていると 定義させていただきました。  評価点4の「行っていない」ということで、禁止の場合を含んで行っていないと いうことでございます。  それから、下の「能力」についてでございます。これも、今回はちょっと用語を 変えておりますが、評価点0の「普遍的独立」ということで、日常的に出会う、ど のような環境(外出時、旅行時、訪問時、通常と異なる用具を用いて等)において も行うことができる。評価点1の「限定的独立」は、生活の場のみで行うことがで きる。評価点2の「部分的制限」は、部分的な人的介護を受ければ行うことができ る。評価点3の「全面的制限」は、全面的な人的介護を受ければ行うことができる。 評価点4「行うことができない」は、禁止の場合を含み行うことができない。こう いう形で、とりあえず事務局の提案という形にさせていただきたいと考えます。  17ページに参りまして、「参加の評価点基準(案)」でございます。この「参 加」も、同じく「実行状況」はポイント以下第1位と、「能力」はポイント以下第 2位という形です。まず、「実行状況」につきましては、評価点0は「活発な評 価」で、内容としては、常に、しばしば、全面的な参加を実現している。ただし、 ここには人的介護の有無は問わないことと、注としてこの表の下にありますが、 「ただし、頻度及び人的介護の有無等かかわらず」ということで、これには全面的、 部分的等にもかかわらず、「高い水準での参加については評価点を0とする」とい うことで、高い水準での参加があれば、参加として評価すべきではないかという形 で提案をさせていただきたいと考えております。  評価点1の「部分的な参加」につきましては、ときどきまたは部分的な参加を実 現している。 そして、評価点2の「部分的制約」につきましては、部分的な人的介護を受けて、 ときどきまたは部分的な参加を実現している。「部分的な人的介護」につきまして は、「見守り」、「うながし」等を含みます。  そして、評価点3の「全面的制約」は、全面的な人的介護を受けて、ときどきま たは部分的な参加を実現している。  そして、評価点4「参加していない」は、禁止の場合を含み参加していないとい うことで提案させていただきたいと考えます。  次に「能力」についてです。評価点0「活発な参加」は、常にまたはしばしば全 面的な参加を実現することができる。基本的に能力ですので、上の「している」に 対して、語尾を「することができる」と変えてさせていただいております。なお、 ここにあります注につきましては、ただし書きで、同じように、「ただし、頻度及 び人的介護の有無等にかかわらず、高い水準での参加については評価点0とする」 ということでありまして、ここの注の横の中で、「高い水準での参加については頻 度を問わない」は、申し訳ございません、記述が重複しておりまして、上と同じく 「人的介護の有無は問わない」と訂正していただければと思います。  評価点1は「部分的な参加」につきましては、ときどきまたは部分的な参加を実 現することができる(人的介護は受けていない)。評価点2の「部分的制約」につ きましては、部分的な人的介護を受ければ、ときどきまたは部分的な参加を実現す ることができる。「部分的な人的介護」は「見守り」、「うながし」等を含む。評 価点3「全面的制約」につきましては、全面的な人的介護を受ければ、ときどきま たは部分的な参加を実現することができる。評価点4は「参加を実現することがで きない」で、内容として、禁止の場合を含み参加をすることができない。  以上が、事務局からの提案とさせていただきたいのですが、留意点としては、こ こにポイント以下第1位と第2位のみ記述させていただいております。それから、 ある意味でWHOが必須としております「実行状況」と「能力」のところで、任意 評価点のところについては今回は提示させていただいておりません。つまり、ポイ ント以下第1位と第2位のところだけ提示させていただいておりますので、ポイン ト以下第3位、第4位につきましては、必要性のご議論の後、可能であれば、その 評価点基準についてもご議論いただければと思います。  なお、この内容自体は非常に概念的なものでありまして、では、それぞれ、「常 に」とは一体何なのか、「しばしば」と「ときどき」の違いは一体何なのか、ある いは、「全面的」と「部分的」の違いは何なのかというようなご指摘があるかと思 います。まず大事なことは、これを概念的に穴がないというか、抜けていないこと を軸とさせていただいております。つまり、「しばしば」と「ときどき」は、何を もって「しばしば」とするか、何をもって「ときどき」とするのかというのは、恐 らくここの段階で決定するのは非常に難しい話でありまして、個別具体的な評価項 目を評価する際の具体的な適用を踏まえて、その疑義解釈、あるいは、こういう場 合はこう評価すべきであるということが今後蓄積されていくのではないかと考えて おりまして、まず第1に、論理的あるいは理念的に抜け落ちがない、つまり、「し ばしば」と「ときどき」であれば、「しばしば」と「ときどき」のどこかにカッテ ィングポイントというか、境界線が引ける、論理的につながっていることに重きを 置いて設定させていただいております。  そういう意味では、「全面的な」の言葉の対象として「部分的な」を設定させて いただいておりまして、そこの境目には、どこかに「全面的」と「部分的」の差が あるにせよ、何をもってその差とするのかをこの段階で明確に定義づけすることは 極めて難しいと考えておりまして、個別具体的な適用の際に、やはりそのあたりの 議論を踏まえ、それが疑義解釈、あるいは、その個別具体的な評価の適用の際に十 分に留意されるようになることを祈念しているところでございます。 ○丹羽座長  コード化していくときの評価点基準の原案ということで出していただいておりま す。  今のご説明に関してのご質問がありましたらお願いしたいと思いますが、いかが でしょうか。 ○大橋委員  なかなか難しくて、基本的にはこれを使わざるを得ないけれども、実際に適用す るとなると本当に大変だと思います。ソーシャルワークとかケアマネジメントの立 場でいきますと、例えば、そもそも生活上必要性があるかないかということがあり ますよね。できる、できないということと、参加しているか、していないかという ことは別の次元で、必要性があるかないかというのはどう考えるのか。これは全部 「非該当」で入れてしまうのかという問題が一つあって、その「必要性」の考え方 というか、評価をどうしたらいいのだろうかと。気をつけないと、その必要性がな いということを、評価する側が勝手に、この人は必要性ないと考えてしまう危険性 があります。  例えば、「寝たきり老人に文化活動なんて要らないよ」と、もし評価する側が考 えるとすると非常に問題です。そういう類のことは随分あるわけです。障害を持っ た方々の学習とか文化ということを考えたときに、欠落してしまう危険性が随分あ って、私などは一貫して、自己実現が持つ意味を言ってきた立場からすると、その 「必要性」はかなり大事かなと。そこをどうあらわすのかということが、私自身、 まだよくわからない、落ち着いていません。  それから、2点目には、「頻度」の問題が出ましたけれども、頻度と同時に、 「時間をかければやれるけれども、標準的な日常の生活リズムの中ではできない」 と考えるのか、「時間をかければやれる」と考えるのかということも大きな問題で す。それは、これまたなかなか評価しにくいのかなと思っています。  個人因子の問題は今回は別ですから、とりあえず活動参加だけでも、その活動の 質のレベルとかに絡んでの時間、出来具合、頻度の問題が一つと、それから、必要 性の問題をどう考えるか。その辺はどう考えたらいいでしょうか。 ○丹羽座長  それでは、今のことについて、事務局から追加があればお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長  事務局から、現時点で当方として想定していることを回答させていただいて、そ こで議論いただければと思います。  まず、第1点の「必要性」についてでございます。これは恐らく、当初説明をさ せていただきました、何の目的で使用するのかということをご検討いただいた際に、 その目的のために評価する分類項目というか事項はどれかという議論がその次に来 るのではないかと想定しております。ですから、すべてのケースに対してICFの 千数百の項目をすべて評価しないといけないというのは、恐らく、膨大な無駄な評 価の作業をするに違いないということですので、それぞれの目的に応じてどの分類 項目を評価するのかということが設定されて、その分類項目に対してどういう評価 基準を設定するのかという一連の流れになるかと考えております。  そういう意味では、大橋委員にご指摘いただいたことは、今日の「評価点基準」 とか、こういったリストの使い方のもう一段上に立つ議論になるのかなと思います。  目的から具体的な評価のあり方の間に立つ非常に重要なキーの要素になるのでは ないかと考えております。ただ、ここの委員会では、ある程度、個別具体的な使用 目的というよりも、ある程度普遍的な位置づけのものをご議論いただきたいと思い ます。つまり、普遍的な評価の事項はICFの本そのものですので、個別具体的に 使う際にどの項目を設定するのかという議論になるのではないかと想定しておりま す。  それから、2点目の「頻度」につきましては、これは恐らく、この評価点基準に ついてはそれぞれ異なる軸がどうしても入ってきますので、例えば、事務局が提案 させていただいたものでも、「参加」のところでは既に軸が3つ入っております。 つまり、「常に」、「しばしば」という頻度の軸と、「全面的」あるいは「部分 的」という参加の割合と言っていいのか、そういう概念と、それとは別に、そうい うもの全体にかかわらず、高い水準のものであれば、これはやはり活発な参加と見 なすべきではないかという意味では、既に3つの軸が入っております。  こういう評価点基準というのは、基本的には、背反というか、相互に重複するこ とがあってはいけないので、エクスクルーシブでないといけないという意味では、 軸を導入すれば導入するほどマトリックスも複雑になっていくので背反化するのが 難しい。そういう意味では、何かの軸を優先していただいて、ある軸を導入すると、 別のある軸は一旦捨てておく、あるいは、別の観点から評価するということにさせ ていただかないと、もともとの概念的な整理の段階で既に5つも6つも軸が入って くるということになると、恐らく、それをコード化していくことは非常に難しくな るのではないかと思います。具体的な活用の中で問題点を抽出して、ある程度この 評価点基準にフィードバックをさせていくというご検討をいただければと考えてお ります。  以上の2つが事務局からの回答でございます。 ○丹羽座長  ここで議論を整理させていただきますが、一応、予定の時間もありますので、議 論すべきこととして、配布されております資料の14ページの一番上の部分で、「我 が国におけるリストの取扱いについて」は今日ぜひご議論いただかなければいけな い点でございます。それから、先ほど、大橋委員からご指摘いただいた支援の問題 について考える必要がありますし、今も出てきました「必要性」ということ、どう いう目的でこれを使っていくのか、評価をするということをどのような実際の使い 方をしていくのかということになるかと思いますけれども、それについての議論。 大きく言って、現時点で3つぐらいあるかと思います。  最初に、今の「必要性」の問題、先ほど大川委員がおっしゃった、どういう目的 でということ、かなりその点は大きな枠組みにかかわることかと思いますので、そ れを先にさせていただいて、それから14ページの「リストの取扱い」に関して話を させていただきたいと思っております。  まず大川委員からお願いします。 ○大川委員  先ほどは途中でしたので、まず私から意見を述べさせていただきたいと思います。  この委員会は、ある意味で非常に恵まれていると思います。どうしてかといいま すと、特定の何かに役立てるために議論するとかいう縛りがないものですから、非 常にゆとりある立場で議論ができることはありがたいと思っております。生活機能 のうち特に「参加」などという、今まではほとんど議論されなかったことを、更に はどう評価点をつけるのかというようなことまで議論できることも、それを厚労省 がやっていただくことも非常にありがたいと思っております。ですから、そういう 意味では非常に責任ある議論をしなければいけないと感じているところであります。  そこで、目的をそういう何の縛りもないところできちんと考えると、コーディン グを考える前提として、まず1点目は、前回の議論の確認になるかと思いますけれ ども、このICFは、健康面について病気以外のもっと新しい観点、すなわち生活 機能をきちんと見て、それを向上することに役立てようというところであり、2点 目は評価の対象はすべての人ということだと思います。  それを前提として目的は、その状態をただ判定すればよいということではなくて、 いかにその方をより良くいい状態、より良い生活機能の状態にしていくのかという 観点で、評価点もつくるべきだろうし、分類法の基本的考え方も議論すべきではな いかと思います。  3点目として当事者自身が評価するという観点です。大日方委員からもご指摘い ただいたように、実は、生活機能に関しては全ての人が当事者といってよいと思い ます。いらっしゃる専門家さえわかればいいとか、専門家のみが評価をするという ことではなく、あくまでもICFは共通言語であって、当事者が専門家を対等に活 用でき、自分自身の人生をよくできるために活用するものです。ですから、専門家 はもちろん当事者に対しての専門的な責任があるわけですけれども、一方でご本人 たちも自分たちの人生を良くする責任があり、それを果たすためのツールとして活 用できるのではないかという観点で、評価をできればと思います。  専門家が当事者に対して評価をする、あえてこういう表現をしますが、「評価を してあげる」ということではなくて、自分たち自身も、先ほど、長谷川委員のご意 見の紹介がありましたけれども、ご自分たちのために活用できるような評価法とし て期待しているという旨でしたから、やはりそういう観点での評価法は非常に大事 ではないかと思っております。  ですから、目的は、生活機能という観点の健康を増進するためであり、専門家だ けでなくすべての人にとって共通言語として用いることができる評価指標であると 考えるべきではないかと思っております。これは一見常識的に聞こえるかもしれな いけれども、今までの例えばADL評価にしても、いろいろな評価法にしても、全 く違う観点に立つものですから、結構大胆なことを今言っているなと自分でも思っ ているところです。  私は、これを基本的な考え方としておりますが、具体的に本日議論しなければい けない具体的コーディングについても続けて意見を言わせていただいてよろしいで しょうか。 ○丹羽座長  ちょっとお待ちいただけますか。 ○大川委員  はい。 ○丹羽座長  私、今日は風邪をひいておりまして声がかれております。そういう意味では生活 機能低下者ですけれども、そういう人はカラオケを楽しむ必要はないかというと、 そういうわけでもないだろう。それなりに楽しむ手はあるだろうと思ったりもして います。  木村委員からお願いします。 ○木村委員  専門用語がどんどん出るので、ちょっと事例を挙げて話したいのですけれども、 例えば「入浴」と捉えたときに、「実行状況」で、自分では「行っていない」と。 お風呂には入っているけれども、自分では準備をしたりということは行っていない となるけど、じゃ、どこでしているかというと、デイサービスに行って入浴してい る。そのときに、具体的に「自分で体を洗っていますか」となったときに、全部や ってもらっている。ところが、やらせてみると全部できる。そこの差だと思います。 それがコーディングをしていくときに、いわゆる「していますか」という「実行状 況」。「能力」はとなったときに、本当はできるけれども、やれていない。どうし てやれていないかというと、例えば介護サービスで言えば、介護サービスで全部や ってあげている。その結果、時間がたってくると、またぎができなくなる。つまり、 お風呂を自分でまたいで入れなくなる。それから、背中に手が回らなくなる。どう してかというと、デイサービスはまたぐ場所がなくて、スロープで入る。それから、 背中も流してくれる。例えば、こういうことで表現していって、では、コーディン グでやったらどうなるのかというと、今日、説明したことなんだと思います。こう いう形に結果的になる。  なぜこれをコーディングしなければいけないかというと、先ほど、大川委員から 話があるのですけれども、保健、医療、福祉の専門職種たちが、全く違う概念で、 例えばカルテを書く、ケアプランを書く。そのときに、言葉が違うし、その評価が 全然違う。ですから、そこのところを共通言語としてこういうコード化していくと いうことですよね。たぶん、当事者の方には、私が今、前段でした説明のように易 しい言葉というか、現場の話としてやっていって、カンファレンスとかやるときに は、ちょっと難しいかもしれないけれども、この人はやれるけれどしていないとか、 そういうことをコードで共通に目線を合わせていく。そういう使い方をしていくの だと思います。それが、高齢者のみならず、生まれてから亡くなるまでの生活機能 全般を捉え、またときにこういうコードで振り分けていく、それがICFではない かと思っています。  大日方委員がさっきおっしゃったことはわかりやすいですね。今のようなことを、 ケアする側というか、専門職側が問いかけていったら、この辺はもっとわかりやす いということをおっしゃったのではないかなと思います。 ○丹羽座長  ありがとうございました。追加がありましたらお願いしたいと思います。 ○大日方委員  まさに、今、木村委員がおっしゃったようなところでして、非常に示唆に富んだ お話だと思います。ご本人は、もしかしたら、最初はやりたいという意思を持って いたかもしれない。でも、それを周りの人が奪っているかもしれない。最初は奪っ ているうちにできなくなってしまっている、恐らくそういう状況があるかと思いま す。 ○木村委員  そうです。 ○大日方委員  そうすると、評価としては3種類になるのだなと。できること、やっていること、 本当はやれたけど奪われていることという考え方もあるのだなと。実際の具体例の 中ではそうなのだろうなと。それを共有する意味で、具体化していくというか、事 例を挙げながら考えていくことは重要だし、わかりやすいなと、今お話を聞いてい て思いました。 ○大川委員  先ほど大日方委員からもご意見がでていた14ページの評価点の使い方が、まさに 今おっしゃっていただいたところではないかと思います。真ん中よりちょっと下ぐ らいのところ、「任意評価点」のところで説明申し上げますと、まず小数点以下1 桁目の「実行状況」というのは、お風呂は介護を受けているということにします。 しかし、次の「能力」で「支援なし」の場合は、実はこれは評価点と一緒に考えな ければいけないのですが、物的な支援や、どのようなお風呂の入り方をした方がい いですよという具体的なやり方の専門的な助言などを受けない状態で、ご本人やご 家族ががんばればできるという状態が、この2桁目の「能力、支援なし」の評価点 です。しかしながら、きちんと専門的な助言をしたり、物的な介護手段の提供をす れば、できるというのが3桁目の「能力、支援あり」になります。  そのように評価をするのは何のためかというと、3桁目で支援があれば、3桁目 の「能力、支援あり」の状態が達成できるのであれば、そのような支援をやれば 「実行状況」自体も向上することができるのではないかとみることができるのです。 要するに、先ほど申し上げた、良くするための評価としてそのように使えるという ことです。なお、ここには評価点ということしか書いてありませんが、評価点とい う0、1、2、3、4という点数をつけるだけではなく、それはどういう状況かに ついてのもっと詳しい表現は追加として記載することが望ましいと思います。  このように、評価点のみでなく、状況について、「実行状況」と「能力」、「能 力」で支援の有無での差があるというところが、良くするためにはものすごく大事 な情報です。この差を専門的な目で、それから、ご本人たちにも分析していただい て、良くするためにはどうしたらいいのかという具体的な策を立てるということに なります。  ですから、実はそこを見ることが「環境」の評価点ですが、これはまだ活動・参 加を見ること自体に習熟してからということで、まず「活動」、「参加」を十分に 議論した上で、次に「環境因子」にいこうという事務局のご方針であるのではない かと思っております。  そのようにして考えますと、これは評価点まで一緒に議論しないと難しいかなと 思うので「評価点基準」の方に行きます。16ページですけれども、この評価点はあ くまでも評価点であって、これで十分ということではなくて、先ほど申し上げたよ うに、具体的内容まで評価するのが望ましい。ただし、この委員会の事務局である 統計情報部関係で言えば、統計をとるためにはやはり評価点だけ用いても十分なよ うにすべきことは当然です。これは、今後の施策を組むためには、国際的にも比較 検討すべき生活機能があるわけですから。  ではそのときに、今回提示された評価点案は非常に画期的なところがあります。 まず「活動」「参加」ともに「自立」の中で0と1を分けている。評価点0である 普遍的自立というのはどんなところででもできる。1である限定的自立は限られた 場所でのみ。ですから、先ほどお風呂の例が出ましたのでお風呂で話しますと、自 宅のお風呂ではできるが、温泉が好きな方がたくさんいらっしゃるけど、温泉地の お風呂ではできない。また温泉地まで行かなくても、自分の娘さんのお宅に行った ときのお風呂ではだめだとかいうことがあるわけです。これは自宅という生活の場 でのみ自立という限定的自立で1になるわけです。  それから、実際の医療の現場で言えば、病院ではできていたけれども家ではでき ないとか、家ではできるけどデイケアでは歩けないとか、あるわけです。ある環境 でだけ「自立」であればいいではないかと思っていたことが、自立の中で0と1と を明確に区別することによって、もっと良い生活に向上させることができないかと いう観点からの見方も芽生えるわけです。ですからこの0、1の区別は、非常に重 要な考え方を含んでいるのではないかと思います。  それから、評価点3と4ですが、全面的な人的な介護を受けて行っているという ものと、いろいろな事情・理由があって行っていないということの区別を明確にし ていることです。4については、先ほど大橋委員からございましたけれども、必要 性がないということで行っていない場合もあるかもしれません。とにかく客観的な 状態として、行っていない状態を明確にしていることは大事なことと思います。こ れまで「行っていない」という状況を評価するという評価点をもつ評価法はほとん どありませんので、これは非常に重要ではないかと思っております。  あくまでも、0、1、2、3、4ということは、優劣を言っているものではない わけです。必要性がないとか、やりたくないということ、やれるはずがないと思っ て行っていない状態、評価点4が、きちんとした支援をすることなどによって、次 の日でも0になる可能性もあるわけです。そのように淡々と、状態として評価する 必要があると思います。  「参加」も基本的に「活動」と同じような考え方です。先ほど事務局からもご説 明がありましたように、0の「活発な参加」について、みるべき、いろいろな軸が ありますが、これは評価点だけでものを言うのではなく、具体的な内容に関しては 詳細な記録も併記するわけですから、最初は提示された案で使用していき今後いろ いろと議論を深めていけばよろしいのではないかと思っております。  いずれにしましても、「参加」についてこのような評価点は今までほとんどなか ったわけですから、このような評価点をつくること自体が非常に画期的なことでは ないかと思います。  次に、「活動」、「参加」ともに実行状況とともに「能力」がありますが、これ は表にはポイント以下第2位で使用と記載されていますが、任意評価点である「能 力の支援あり」という、ポイント以下第3位にもそのまま使うことは可能と思って おります。  評価点の使い方と評価点について、意見を申し述べさせていただきました。あと、 共通のリストということがありますが、これは少し次元が違いますので、また後で 述べさせていただければと思います。 ○大橋委員  大川委員が言ってくれたのですっきりなのですが、16ページの上の方の「実行状 況」の「行っていない」の内容のところに、行っていない状況をどう見るかという ことの少しイメージが湧くようなことが書かれているといいかなと思います。つま り、必要性の問題と、意欲の問題と、可能性の問題などに関して「行っていない」、 つまり可能性を引き出していないから行っていないという状況になっているとか、 その辺が社会福祉では大事なわけです。だから、行っていないという状況は現実に あるけど、それをどう変えられるかということが社会福祉の支援として大事なので、 この「行っていない」のところがもう少しイメージが膨らんでくると、ケアマネジ メントの上でも、ソーシャルワークでも使い勝手がよくなってくるのかなと思いま すので、内容のところをもう少し。必要があれば作業をしますけれども、今、大川 委員が言われたようなことでいいのではないでしょうか。 ○大川委員  「行わせていない」とか「引き出していない」とかいう内容を含んでいるので、 「行っていない」だと、本人だけが悪いように受け取れるかもしれません。 ○丹羽座長  それでは、4の文言に関して、「行っていない」を、今、大橋委員がおっしゃっ たような趣旨を含んで伝わるように言い換えるということを検討することにしてよ ろしいでしょうか。 ○大橋委員  ぜひお願いします。 ○丹羽座長  そうしたら、今の、必要性云々とか、何の目的であるとか、あるいは、評価点の 話のところは、以上でよろしいかと思います。  ないようでしたら、リストの取扱いの方に移りたいと思います。 ○木村委員  どの項目を振り分けるかという前に、この4月から介護保険制度を変えていった ときに、具体的に言いますと、地域支援事業の特定高齢者と予防給付者のケアマネ ジメントのアセスメントツール・様式をつくっていったところにたまたま私がいま した。これは参考意見として聞いていただきたいと思います。  15ページをご覧いただきまして、最終的には、「運動・移動」が一つ。それから、 ここで言う「家庭生活」のところが「日常生活」という2つ目の領域になりました。 3つ目が「社会参加・対人関係・コミュニケーション」という一つの領域になりま して、最後が「健康管理」という形になりました。実は、この4つの領域の前に、 15ページにあります第1章から第9章まで全部洗い出すというか、一つ一つ検討し ていって、最終的に、今申し上げた4つの領域の中で29項目、利用者ご自身に聞い ていく項目というか、最低これを押さえましょうということをやりました。そのと きに、考え方として、「活動」と「参加」ということを両方捉えながらやっていき ました。  例えば、ここで言う「セルフケア」が一番わかりやすいと思いますが、これは 「参加」よりも「活動」に重きが置かれると思いますし、「運動・移動」も自らの ことですから、その結果として社会参加することになるかもしれません。そういう 観点で振り分けた一つの例がありますので、その項目も含めて、振り分け項目とい うか、どっちがどっちに向くかということを少し検討の中で参考にしていただけれ ばと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○丹羽座長  「活動と参加」ということで今は一体化しているわけですけれども、それはやは り「活動」と「参加」に振り分けていくことが必要だろうということで、それを我 が国においてどう振り分けていくかという大変大切な議論をこれからお願いしたい と思っております。  15ページの「別紙」の第1章から第9章で、これを具体的にどう振り分けていっ たらいいかということでご議論をお願いしたいと思います。  たたき台的なご発言をいただければと思いますが、大川委員から何かございまし たらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○大川委員  ご指名いただきましたので。  まず、13ページにある「活動」と「参加」の定義に加えて「活動」は日々行う身 の回りの行為や家事の動作やスポーツの動作などの具体的な日々の生活行為である とお考えいただければと思います。それから、「参加」は、家庭や社会における役 割とか、権利を享受することなど、このように定義をもっと追加しわかり易くすべ きではないかと思いますが、そういう状況です。  それを前提として、15ページの分類項目を使って、私の案を提示させていただき たいと思います。これは、生活機能に関して、特に高齢者を中心としてではありま すが、数万人の単位で実際に調査をした上での結果です。なおこの調査はいわゆる 健康な人から、障害者、要介護認定者全てを含むものです。  この表の順番でいきますと、第1章から第5章までは「活動」だけ、いわゆる 日々の生活行為だけと考えております。この中でも、第1章から第3章は単独で生 活行為ではなく、ある生活行為の中の一つのパーツ、要素的なものだという位置づ けでお考えいただければと思います。例えば、「学習と知識の応用」などは、その 後の「セルフケア」や「家庭生活」を行う中の一つの要素であるというようなこと です。  このような議論は今回の議論をまた複雑にしていきますので、ここではそういう ことだけを一応念頭に置いていただければと思います。  そして、第6章から第9章までは「活動」と「参加」の両方であると考えており ます。要するに、「家庭生活」というのは、例えばトントンと包丁で切るという調 理動作という「活動」がありますが、一方「参加」として家庭の中での主婦として の役割という社会的な役割、家庭内での役割があるので、「活動」と「参加」の両 方があるということです。  第7章の「対人関係」においても、対人関係のスキルとしての「活動」の側面が ありますが、やはり対人関係をもつという社会的な関係や役割を果たすということ があります。  それから、「主要な生活領域」という第8章は、これだけではわかりませんが、 この中に書いてありますように、教育、仕事、経済的取引などが具体的な内容です が、これも両方の生活行為として、教育を受ける行為と、教育の権利を享受してい るという社会的な位置づけがありますので、両方だと考えております。  第9章の「コミュニティライフ・社会生活・市民生活」は、実は、今後の検討課 題として考えますと、ICFの以前の国際障害分類(ICIDH)では、「参加」 はハンデキャップ(社会的不利)と言っていましたが、それは項目数が少ないこと が問題になっていました。それに比べてICFでは増えてはいますが、この第9章 の「コミュニティライフ」には、ものすごくたくさんの内容が詰め込まれておりま して、これは今後、詳細に9章からもっと伸ばして、本当は15章ぐらいまで増えて もいいのではないかと私は個人的には思っております。  この第9章も、このように実はいろいろなものがたくさん凝縮して入っています が、1個1個の項目を見ましても、「活動」や「参加」の両者があると考えており ます。  それが基本的な考え方でありまして、その中で、細かくいきますと、「対人関 係」の中で一般的な対人関係と特定の人との対人関係の2つに分かれておりますが、 一般的な対人関係というものは、これは「参加」には入らない、「活動」だけだと 考えていいかと思います。それから第8章の中のd845「仕事の獲得・維持・終 了」は「活動」だけだと思います。それ以外は、先ほど申し上げた基本的な原理で いいと思います。  ただし、基本的には「活動」は小分類までみますが、「参加」は中分類まででよ いのではないかと思います。但し第9章に関しては、先ほど申し上げましたように、 様々な内容を含むので小分類まで「参加」としてみていいのではないかと思います。  これ以上細かいことを言いましても、この時間内で議論できることではありませ んので、一応まとめます。第1章から第5章の「セルフケア」までは「活動」すな わちaだけであって、第6章以降はaと「参加」すなわちpの両方で見る。ただし、 一部の項目に関しましては、pにはならない、p7、p8においては一部除外され る項目がある。基本的には、pは中項目まででいいのではないかと考えております。 ○丹羽座長  第1章から第5章に相当するところに関しては、基本的には「活動」、第6章か ら第9章に関するところは「活動」と「参加」と。しかし、第7章の「対人関係」 について言うと、「一般的」と「特別」の2つに分けられているけれども、「特 別」の方は「活動」と「参加」を含むだろうけど、「一般的」の方は「活動」にな るだろうと。そのような形ではどうかというご意見だったと思います。 ○人口動態・保健統計課長  中項目まででいいとおっしゃったことの意味がわからなかったのですが、11ペー ジで言うとどういうことなのか、ご説明を補っていただけますか。 ○大川委員  大分類、中分類、小分類ということで、大分類は章で、生活機能の各レベルの頭 文字を示すb、s、a、pのようなアルファベット+1けたで提示するものです。 11ページの例では、a4が大分類になります。次に、a450というのは、アルファ ベット+3けたの数字になっておりますが、これは中分類になります。そして、a 4501と4けたの数字になっておりますが、pの「心身機能」の場合は5けたまでの 数字があるものもありますが、a、pに関しては4けたまでで、これが小分類、小 項目ということになります。  ですから、aに関しては、ここに書いてありますような4けたまでをaとして活 用してもよいと。ただし、pに関して言えば、第9章以外は、数字の3けたで書い てある中分類のところまででよろしいのではないかというのが私の意見です。 ○大橋委員  時間もありませんので、意見だけ述べさせていただきます。これは今日決定しな ければいけないのでしょうか。さっき大日方委員がおっしゃった、使いやすさ、本 人自身が自覚していくという意味でこういうチェックはすごく大事だと思いますが、 そういう使いやすさとかを考えると気になるのは、各章のタイトルも、このままで はない方がいいのではないかと感じています。  例えば、第7章の「対人関係」は、第3章の「コミュニケーション」とどう違う のかわかりづらくて、ここはもっと一般的な対人関係も入っていますが、社会関係 的対人関係ですね、くどいように言うと。社会とのかかわりをどう持つかというこ との対人関係能力みたいなことが中心ですね。  それから、第6章の「家庭生活」の中で、「家庭生活」というよりも「家政管 理」と言った方がいいのかと思いますが、第6章と第8章にダブってしまうものが、 例えば、自分の資産なり財産の管理はどっちに入るのだろうかということがあって、 実は大きいですね。成年後見とか権利擁護事業とか、社会福祉にひきつけますと、 今非常に大きな問題は第6章なのか第8章なのかということが出てきます。  それから、第1章に「学習」が出てきて、第8章で「教育」が出てきます。教育 は、フォーマルな教育制度だけであればいいのですが、インフォーマルなものも第 8章に入れています。そうすると、第1章の方は限定した学習の概念なので、この 第1章と第8章の使い勝手をどうするかということも気になります。ですから、第 8章に「教育」という言葉を使うかどうか、どうしたらいいのかということは前か ら悩んでいます。  それから、第9章も、「社会生活・市民生活」と入っていますが、大事なことは、 市民権をどう守っていくかということなので、市民権が侵されているという人権擁 護の問題もかなりあるかなと思っているので、そこが表に出た方が、使いやすさと 同時に、その必要性などが見えてくるかなと思っています。  もう一つ。第7章の「対人関係」で、さっき、社会関係的対人関係と言いました けれども、その人がどれだけソーシャルサポートネットワークを持っているかどう かがかなり重要な問題です。できる、できないとして、その必要性とか、地域で生 活をしていく可能性とかいうと、ソーシャルサポートネットワークの度合いがかな り第7章で必要なのではないか。そうすると、必ずしも、ここで言っている、第1 章から第5章はactivityで、第6章から第9章はややparticipationとすると、par ticipationというのは、本人が意図的に参加するだけではなくて、そういう社会環 境があって参加できているかどうかということがあるものですから、少しソーシャ ルサポートネットワークのようなことも意識した名称の方がいいかなと思っていま す。  取扱いはどうでもいいのですが、一応、意見として、もしコード化して使うとな ると、そんなことを感じました。 ○丹羽座長  基本的には、今日の時点で大枠的な分類は確認していただきたいと思っています が、今の言葉づかいの問題とかいったようなことに関しましては、先ほども評価点 基準のところで少し再考するというお話もありますので、再考した上でもう一回出 すことは可能かと思います。 ○中川委員  この時点でお聞きすることも場違いかもしれませんが、このICFというのは、 専門家だけではなくて障害者ご自身とかご家族の共通言語という位置づけですよね。 大日方委員が先ほど言われたことは非常に重要で、障害者ご自身やご家族が自分で 評価をするとか、これを一つの目安にして社会生活・家庭生活の改善を目指すとい うことになると思いますけれども、言葉とか、先ほどの事務局の説明、大川委員の 説明、いろいろな議論があって、私、ここにいて説明をお聞きしていると理解でき ますが、広く普及させるということに関しては、すべての表現がほど遠いのではな いかと思います。これは専門家の自己満足になる危険性が極めて高いと言わざるを 得ないと思います。根本的に言葉を全部見直してはどうでしょうか。これは全然だ めですよ。専門家の自己満足の域を全く出ていないと私は思いました。 ○河原委員  さっきの大川委員のご説明がございましたが、13ページで、「活動」は日々の生 活行為を中心に記載する内容であると。それから、「参加」は、家庭・社会での役 割、権利の享受が中心になるというご説明がございましたが、今の資料で意見を述 べさせていただきますと、15ページ、この原案通りに行くとしたら、第1章から第 5章を「活動」だけ、第6章から第9章を両方、そして「活動」が小分類、「参 加」の方を中分類という先ほどの定義の趣旨から言うと、この意見に私は賛成いた します。  それから、この対象者はすべての国民になると思いますが、先ほどから意見が出 ているように、この内容ですべての国民に伝えることは、どうわかりやすい表現に しても不可能だと思います。もし伝えるとしたら、全く別の媒体とか手段、伝達方 法を考えないと、これは絶対に無理だと思います。ですから、ある意味では、今回 のICFの検討内容を法律に例えたら、その法律をわかりやすくするために政省令 や通知が出るわけですね。それでもわからないためにマニュアル本とかが出るわけ ですから、たぶんマニュアル本レベルの水準にまで落とさないと。そして、伝え方 を工夫しない限り、広まることはないと思います。  そうすると、そこまで落とすと、もとの議論が散逸してしまうので、広く広める ことと、ここでの枠組みをつくることは別に考えた方がいいのではないかと思いま す。 ○丹羽座長  この後で、普及の具体策についても話をしていただきたいと思っているのですけ れども、ICFの、今、提案されている内容についてどうしていくかということで、 まず方向を定めなければいけないということではあるのですが、河原委員から、幾 つかの活用法に沿って考えてみる必要があるのではないかというご提言であったか と思います。  中川委員、いかがでしょうか。 ○中川委員  いいと思います。大上段に振りかぶって全国民に広くということはやめて、いわ ゆる総論として具体的なわかりやすいものをまたつくる。それは別に、わかりやす くしたから総論の概念のレベルが下がるとかそういう位置づけではなくて、つまり、 エッセンスというか、わかりやすいところを国民に理解してもらうという姿勢でつ くることに賛成です。 ○丹羽座長  そのあたりをどうしていくかということを今後検討していかなければいけないと 思っていますけれども、ただ今の共通言語としてのものをどうつくっていくかとい うことに関してのご発言がありますか。 ○佐藤委員  16ページの表は、具体的に下ろす段階でわかりやすくしていただくことが一番安 全かなと思います。例えば「働く」ということだと、このままではいささか、評価 の大きい文字はわかりますが、内容の方はそのままでは使えない、非常にわかりづ らいと思います。これは、具体的にどう使っていくかという段階で、内容もそれぞ れごとにわかりやすくしていただきたいと思います。  ただ、評価の方の大きな項目の方も変えるかどうかという議論ではなくて、これ は方針を決めていただいて、あと、具体的な段階で実態をよく反映していただくの が一番ありがたいかなと思います。 ○丹羽座長  先ほど大川委員からご提案いただいた振り分けに関しては、それでよろしいかど うか、ご確認をいただきたいと思います。 ○佐藤委員  関連して、p845は除外しない方が安全かと思います。 ○大川委員  この内容は、ほかのpに全部含まれている、ある意味要素的な内容ですので。 ○佐藤委員  「仕事の継続」があるでしょう、例えばこれはdの850で読む。 ○大川委員  きちんと議論すべきことと思いますが、時間的制約もありますので、それはまた 後で。 ○丹羽座長  木村委員、先ほど参考意見を言っていただきましたけれども、大川委員のご提案 についてはいかがでしょうか。 ○木村委員  賛成します。 ○丹羽座長  では、振り分けに関しては、大川委員からご提案いただいたような方で振り分け ていきたいと思います。  それで、かみ砕いて、どう普及を図っていくかに関しては、なお検討していきた いと思います。  今の細かい点、佐藤委員がおっしゃった点に関しては、なお今あればですが、機 会を改めてということでよろしいでしょうか。 ○佐藤委員  個別にご相談させていただきます。 ○丹羽座長  そうしましたら、先ほどの評価点4について多少考える必要があるということで 大橋委員からご意見をいただきましたし、各章の言葉づかいに関しても、もう一度 検討してみて、改定を加えた方がいい部分を次回のときに出したいと思います。  3番、4番に関しましては、そういう宿題もつけた上で以上の議論としておきた いと思いますが、よろしいでしょうか。  もう一つ議題がありまして、「国内における普及」でございます。これにつきま して、事務局からご説明をお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長  18ページの資料5についてご説明をさせていただきます。  第1回目の会議でもご議論いただきまして、これをいかに活用していくかという ことは非常に大きな課題でございまして、中川委員からもご指摘がありましたこと につきましては、また次回、もう少し議論いただければと考えております。  今回、事務局より提示させていただいているものにつきましては、ICFに関し ましては、今の段階でオフィシャルな政府としての刊行物はこの本しかありません。 この状況でICFに興味を持った方は、これを見ないとオフィシャルな刊行物にア クセスできない状況になっておりますので、もう少しブレークダウンして、ICF というものが理解しやすいものになるようなパンフレットのようなものがつくれな いかということで、今、検討させていただきたいと思っております。  内容といたしましては、ここにありますように、「はじめに」から始まって、 「生活機能とは」とか、モデルの考え方、生活機能分類の意義や特徴、目的や適用、 そして、生活機能の評価方法、最後に歴史といったような内容を盛り込んだ数十ペ ージ程度のパンフレットを、公式な刊行物として年度内を目途に刊行させていただ きたいと考えております。  この内容につきましては、ある程度原案が出来上がった段階で各委員にご意見を いただきまして、最終的な成果物とさせていただきたいと思いますのでよろしくお 願いいたします。 ○丹羽座長  18ページにあります資料5のような内容で、ICFの普及に役立つ資料をつくっ ていきたいと考えますが、そこの中で、今、話になっていましたような、少しかみ 砕いた部分を、入れられるものは入れておいていただくと、より普及が図れるので はないかと思いますので、そんな考えで行くということでよろしいでしょうか。  資料5でご説明いただいたことに関してはいかがでしょうか。 ○大日方委員  こういう資料をつくっていただくことは、すごく大切だと思います。パッと見た 感じ、難しそうなところは、「評価」という言葉に対するある種の警戒感みたいな ものを一般の人はかなり持っているのではないかと思います。評価されることに慣 れているというので。そうではなく、この「評価」の意味は、従来の評価ではない ことをここでしっかりうたう必要があるのではないか。そのために4番の「目的及 び適用」があるかと思います。先ほどから大川委員がおっしゃっているような、こ れは自分の生活をより良くするためのツールであるということですよね。そこをし っかりうたわないと、また違うものになってしまうのではないかと思いますので、 これをつくるに当たって留意していただければ助かるという部分が一つあります。  先ほどからお話がありましたけれども、私自身も、「活動」と「参加」の意味合 いがちょっとわからなくて、このレベルで質問してはいけないのだろうなと思って、 後ほどご指導を仰ごうと思っていたような状況です。大川委員から、「活動」とは 日々の生活、「参加」とは家庭・社会での役割、権利の享受と言われて、初めて腑 に落ちると。これがどうしてこの中でなかなか使えないのだろうかというような、 素人考えで申し訳ないのですけれども、ぜひそういうあたりを、何らかの理由で、 ここでは使えないのかもしれないのですが、資料5でつくろうとしているものでは、 言葉としても、最低限そのくらいは使っていただいて説明していただければと考え ております。 ○丹羽座長  「評価」、「活動」と「参加」、それがかみ砕いて伝わるような形のものにして ほしい、そういったことかと思います。それから、「評価」については、使い方の 意味がこうだということを明確にするということですね。 ○大川委員  「一般の人たちの健康状態をよくするためだ」、「共通言語」だと言っておきな がら、私も本日は少々難しいことばかり言っているのではないかと思いますけれど も、言葉の平易さだけについていいますと、このような公式の場での議論では非常 に難しいところがありまして、事務局もそうではないかと思いますが、WHOが定 めた内容でその言葉の定義をきちんと使用することを考えると、非常に難解な言葉 ばかりが羅列されています。私どもも、最初に仮訳をお手伝いさせていただいたと いう経緯があるのでよくわかっているのですが、ともかく原文に忠実にして、わか りやすい言葉にすることによって誤解を生じることは最初の段階は極力避けようと いうことでした。ですがある程度もう時間もたちましたので、その辺はもう少しわ かりやすい表現かなと個人的には思います。  ただし、何らきちんとした手続なしに勝手にわかりやすい言葉を使って使いだす ことも、これまた誤解を生じる危険性をはらんでおりますので、基本的な言葉はそ のまま残して、かみ砕いたものはかみ砕いたものとしてわかるように追加するとか、 そういうわかりやすい表現も同時に考えていくという過程も、この委員会としては 今後必要になってくるのではないかなと、今日の議論を伺いながら思いました。  それにも関連して本日の議論との関係で特に気になることですが、資料の9ペー ジに「構造の概念図」、これは赤本では付録にあるものですが、これが1回目に問 題になりました、本委員会の目的の一つであるきちんとした啓発をしなければいけ ない、誤解がかなり生じているという、その誤解を生み易い大きな原因の一つかと 思っています。この中の構成要素の真ん中「活動と参加」と書いてあって、そして、 d(domain)というコード番号で示されています。「活動」と「参加」という概念 が別個だという基本的なところは本編に最も基本的概念として説明があるわけです。 それが理解されていれば、dというコードの使い方、すなわちdという概念がある はずがないのに、dがさもあるように考えられたり、また「活動」と「参加」がご っちゃになっている現状がありますので、このページの前に、ICFモデルとして の概念図はありますけれども、今日特に議論になったコーディングの原則との関係 で言えば、コーディングがきちんと腑に落ちるような概念図を日本版としてでもき ちんとつくっていただくと、コーディングに関してはわかりやすくなるのではない かと思いますので、ご検討いただければありがたいと思います。 ○丹羽座長  啓発の具体的な資料に関しまして、今、ご意見いただいたようなことを踏まえて 作成していくということで進めたいと思います。これはなかなか大変だと思います けれども、がんばりたいと思いますので、よろしくご協力をお願いします。  予定しました議事については以上でよろしいかと思いますが、全体を通しまして、 この機会にご発言がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。  特にないようでしたら、今後の予定に関して事務局からお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長  第3回の委員会につきましては、年度内を目途に開催させていただきたいと考え ておりまして、日程調整の上、改めてご連絡申し上げます。よろしくお願いいたし ます。 ○丹羽座長  それでは、以上で本日の委員会を終わります。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課     疾病傷害死因分類調査室     電話 (代表)03-5253-1111(内線)7493