06/12/05 第1回「健やか親子21」の指標に関する研究会議事録 第1回「健やか親子21」の指標に関する研究会 議事録 日時:2006年12月5日(火) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省専用第10会議室(2階) 出席者:   山縣座長、犬塚委員、北村委員、関口委員  厚生労働省   千村母子保健課長、関谷母子保健課長補佐、齋藤母子保健課長補佐、 當山母子保健課主査  文部科学省   鬼頭スポーツ・青少年局学校健康教育課健康教育企画室健康教育調査官 岡田スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官、 議事:  1. 開会    ・課長挨拶    ・委員紹介  2. 議題    (1)「健やか親子21」の指標に関する研究会の進め方について    (2)見直しの必要な指標及び未収集の中間評価指標について  3. その他  4. 閉会 配布資料:  資料1 「健やか親子21」の指標に関する研究会開催要綱  資料2 「健やか親子21」の指標に関する研究会の手順  資料3 中間評価で見直しが必要とされている5つの指標の見直し(案)  資料4 未収集の中間評価指標についての達成度の把握と評価(案)  資料5 「健やか親子21」の指標に関する研究会スケジュール(案)  参考1 「避妊法を正確に知っている18歳の割合」に関する調査概要  参考2 「性感染症を正確に知っている高校生の割合」に関する調査概要  参考3 「事故防止対策を実施している家庭の割合」に関する調査資料  参考4 「健やか親子21」中間評価報告書 ○當山母子保健課主査  定刻となりましたので、ただ今から「健やか親子21」の指標に関する研究会を開催し ます。開会にあたり雇用均等・児童家庭局母子保健課の千村課長よりごあいさつ申し上 げる予定でしたが、国会の対応で遅れていますので、先に進めさせていただきます。  まず、委員の紹介をさせていただきます。犬塚峯子委員です。 ○犬塚委員  犬塚です。よろしくお願いします。 ○當山母子保健課主査  山縣然太朗委員です。 ○山縣委員  山縣です。よろしくお願いします。 ○當山母子保健課主査  関口進一郎委員です。 ○関口委員  関口です。よろしくお願いします。 ○當山母子保健課主査  北村邦夫委員です。 ○北村委員  北村です。よろしくお願いします。 ○當山母子保健課主査  ありがとうございます。続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。 まず、鬼頭文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課健康教育企画室健康教育調査 官です。 ○鬼頭スポーツ・青少年局学校健康教育課調査官  鬼頭です。よろしくお願いします。 ○當山母子保健課主査  岡田同課専門官もご出席の予定ですが、同じく国会の対応で途中からご出席いただく ことになっています。そして、関谷厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長補佐 です。 ○関谷母子保健課長補佐  関谷です。よろしくお願いします。 ○當山母子保健課主査  そして、齋藤同課長補佐です。 ○齋藤母子保健課長補佐  よろしくお願いします。 ○當山母子保健課主査  私は、母子保健課主査當山です。よろしくお願いします。  議事に入る前に、本会議の座長ですが、事務局案としては山縣委員にお願いしたいと 考えていますが、いかがでしょうか。  ご異議がないようですので、山縣委員に座長をお願いしたいと思います。  それでは、これ以降の議事進行については座長にお願いします。座長席へ移動をお願 いします。 ○山縣座長  ただ今、座長を仰せ付かりました山縣です。委員の皆さま方のご協力を得て、会の円 滑な進行に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  では、議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。 ○當山母子保健課主査  机の上の資料をご覧ください。まず、第1回「健やか親子21」の指標に関する研究会 議事次第があります。めくっていただくと、資料1として「健やか親子21」の指標に関 する研究会の開催要綱が2ページあります。続きまして、資料2として「健やか親子21」 の指標に関する研究会の手順(案)があります。続いて、資料3として中間評価で見直し が必要とされた5つの指標についての見直し方針(案)があります。これが6ページあり ます。続きまして、資料4、未収集の中間評価指標についての評価(案)があります。これ が4ページあります。資料5が「健やか親子21」の指標に関する研究会スケジュール(案) です。  その次を見ていただくと、参考1として「避妊法を正確に知っている18歳の割合」 に関する調査概要があります。続いて参考2が、「性感染症を正確に知っている高校生 の割合」に関する調査概要です。参考3「事故防止対策を実施している家庭の割合」に 関する調査資料があります。こちらの「健やか親子21」中間評価報告書の関連する指標 のページには付箋を付けてあります。傍聴席の方には、必要な部分をコピーして資料と して配布させていただいています。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。ではこれから議事を始めますが、進め方について事務 局から説明していただけますでしょうか。 ○當山母子保健課主査  資料2をご覧いただけますでしょうか。「健やか親子21」の指標に関する研究会の手 順(案)です。平成17年度に、「健やか親子21」推進検討会において中間評価を実施して います。その検討会で見直しが必要とされた5つの指標について、本研究会で見直しを 行うこととしております。また、未収集の指標が3つあり、その達成度の把握と評価を 行うことにしています。  検討時期については、第1回目の今回は内容の確認と検討を行い、第2回目の来年1 月下旬に取りまとめを行います。その結果は、「健やか親子21」推進協議会総会におい て、関係団体の了承を得て、取りまとめ結果の公表をしたいと考えています。時期的に は、平成19年2月下旬ごろの予定です。そして、自治体あて課長通知にて周知、ホー ムページへの掲載をしたいと考えています。 ○山縣座長  ありがとうございます。今のご説明に、何かご質問・ご意見等ありますでしょうか。 よろしいでしょうか。なければ議題に入りたいと思います。課題1の最初から順番に入 っていくところですが、課題2から始めて、最後に課題1という順番で説明をしていた だいて、それから、それぞれのご意見をいただくという形にしましょうか。  では、課題2から事務局より見直しの必要な指標についての説明をお願いします。 ○當山母子保健課主査  資料3をご覧いただけますでしょうか。中間評価で見直しが必要とされた5つの指標 についての見直し方針(案)です。  (1)の1-8「避妊法を正確に知っている18歳の割合」という指標の見直しでは、方針と して「研究会で質問内容と調査方法について検討し、平成19年度に、データを収集す る」。(2)の1-9「性感染症を正確に知っている高校生の割合」については、「研究会で質 問内容と調査方法について検討し、平成19年度に、データを収集する」。(3)の3-11「事 故防止対策を実施している家庭の割合」については、「項目の絞り込み(20項目から10 項目へ)」という方針です。(4)4-13「常勤の児童精神科医がいる児童相談所の割合」につ いては、指標の変更を考えています。「常勤の児童精神科医または子どもの心の診療がで きる精神科医・小児科医がいる児童相談所、もしくは隣接して子どもの心の診療を担う 診療所が設置されている児童相談所が少なくとも1箇所ある都道府県・指定都市及び児 童相談所設置市の割合とする」。(5)の4-16「親子の心の問題に対応できる技術を持った 小児科医の割合」では、指標と目標の変更を考えています。「『子どものこころ相談医』 の認定を受けた小児科医の数を指標とし、目標は増加傾向へ」ということを事務局とし て考えています。  続きまして、個々の指標について説明させていただきます。課題1に関しては、関係 の文部科学省の専門官が来られてから説明させていただき、ページ4の「事故防止対策 を実施している家庭の割合」から説明させていただきます。  まず、表の上から2行目に、「策定時の現状値」、「ベースライン調査等」、「目標」、「直 近値」、「調査」という順番で書かれています。見直し前の「策定時の現状値」は、平成 13年度の「子どもの事故防止と市町村への事故対策支援に関する研究」をベースライン 調査とし、その結果1歳6カ月児の時点で4.2%、3歳児で1.8%でした。目標値は100% ですが、平成17年度の「健やか親子21の推進のための情報システム構築と各種情報の 利活用に関する研究」からデータを収集したところ、直近値は1歳6カ月児で4.5%、3 歳児で2.9%という結果でした。その結果、中間評価では「調査では20項目の子どもの 事故に関する注意点について実施しているかどうかを問い、すべてを実施していると回 答した家庭の割合を計上している。そのため、中間評価のための調査においても、策定 時と変わらず低い結果であり、目標値とかけ離れていた。親に対する事故防止対策の啓 発は重要であるため、引き続きすべての内容について取り組む必要があるが、その評価 方法としては、20項目のうち事故防止への関連が大きい項目に絞ったモニタリングが有 用であると考えられるために、項目の絞り込みについて検討する必要がある」という指 摘事項がありました。そして、指標見直しをした結果、「20項目のうち事故防止への関 連が大きい項目に絞ったモニタリングが有用であると考えられました。今回の見直しで は、評価項目のうち、重複する内容、具体性に欠ける内容のもの、そして死亡事故との 関連が低く優先順位が低いと思われるものは除外し、10項目の質問についての回答の平 均を評価指標」といたしました。見直した結果(案)ですが、策定時1歳6か月児で79.1%、 3歳児で72.8%。直近値では、1歳6か月で80.5%、3歳児で74.7%という結果になっ ています。  続きまして、5ページの4-13です。見直し前は「常勤の児童精神科医がいる児童相談 所の割合」という指標でしたが、「常勤の児童精神科医または、子どもの心の診療ができ る精神科医・小児科医がいる児童相談所、もしくは隣接して子どもの心の診療を担う診 療所が設置されている児童相談所が少なくとも1箇所ある都道府県・指定都市及び児童 相談所設置市の割合」という事務局案を出させていただいています。表は同じ形式で、 見直し前の策定時の現状値は、平成12年の雇用均等・児童家庭局総務課調べで3.3%の 数値でした。目標値は100%で、直近値は、平成17年の雇用均等・児童家庭局総務課 調べで5.9%という値でした。中間評価では「児童相談所における児童精神科医の役割 は重要であるが、児童精神科医の数そのものが不足している上、『常勤の』という条件が 達成を一層難しくしている。現状を把握して目標達成への動きを追うためには、非常勤 も含めたモニタリングが有用であると考えられるため、常勤、非常勤両方の数を追うこ とや『児童精神科医と連携体制が確保されていること』をモニタリングすることについ ても検討する必要がある」との指摘がありました。指標見直しでは、「児童相談所におけ る児童精神科医の役割は重要であるが、児童精神科医の数そのものが不足しているため、 常勤の児童精神科医をすべての児童相談所に配置することは極めて困難である。しかし ながら、発達障害、児童虐待、非行等子どもの心を診療できる医師へのニーズは高まっ ており、そのニーズに対応でき、かつ実現可能な目標を設定する必要がある。そのため、 すべての都道府県・指定都市及び児童相談所設置市の児童相談所少なくとも1箇所に常 勤の児童精神科医または子どもの心を診療できる精神科医、小児科医がいるか、もしく は隣接して子どもの心の診療を担う診療所が設置されている児童相談所があることを目 標とする」としています。見直した結果(案)は、「平成17年で29.7%の都道府県・指定 都市及び児童相談所設置市に常勤の児童精神科医、または子どもの心の診療ができる精 神科医・小児科医がいる児童相談所、もしくは、隣接して子どもの心の診療を担う診療 所が設置されている児童相談所がある」という結果になっています。  続きまして、6ページです。見直し前は、「親子の心の問題に対応できる技術を持った 小児科医の割合」でした。見直し案としては、「親子の心の問題に対応できる技術を持っ た小児科医の数」としています。見直し前の値は、平成13年(社)日本小児科医会調べで 6.4%でした。目標値が100%で、直近値は、小児科医会認定「子どものこころ相談医」 数が平成14年12月31日現在で1,218名、8.4%でした。中間評価での指摘事項として、 「『親子の心の問題に対応できる技術』の定義及び測定可能なモニタリングについて見直 しが必要である。現在、「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」(厚生労働省)及び 厚生労働科学研究において、これらについて検討されており、検討会における議論を踏 まえ、モニタリング方法を検討する必要がある』との指摘がありました。指標見直しの 説明ですが、「小児神経科、児童精神科等の医師の不足が指摘される中、平成10年11 月、4日間の研修後に認定される『子どものこころ相談医』の制度が日本小児科医会で 制定され、翌11年から認定事業が開始され、研修後認定を受けた小児科医の数は、徐々 に増加してきている。認定者は『子どものこころ研修会』を4日間履修した小児科医で 『子どものこころ相談医』の登録申請をした医師であるが、毎年行われている研修には 認定者の約6倍の小児科医が受講しており、その受講者は、平成15年から平成17年ま での3年間で1,549名にのぼっていました。ただし、同一者が複数回受講している可能 性もあり、実際に受けた実人数を把握することは困難であるが、実際には登録者数自体 よりも研修を受講している小児科医は多いのが実情である。ベースラインのデータでは、 医師・歯科医師・薬剤師調査による主たる診療科目が小児科であるすべての医師数を目 標としているが、すべての小児科医が『子どものこころ相談医』の認定をとる必要はな いと考えられること、また『子どものこころ相談医』の認定医の必要数を算出すること は困難であるため、目標を増加傾向に変更する」ことが案として書かれています。そし て、見直した結果(案)ですが、「ベースライン調査では『子どものこころ相談医』の認定 を受けている小児科医数は901名。これが平成14年では1,218名となり、増加してい る」という結果になっております。  課題1に関しては後ほどご説明いたします。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。まず、今示していただいた複数の課題について、それ ぞれ委員の方々からご意見をいただきながら進めていきたいと思います。今回のこの会 の趣旨は最初に話がありましたが、もう少し言うと、「健やか親子21」は2001年から 始まって、その61の指標のうち中間評価で58の指標を見直したのですが、そのうち7 割は良い傾向にあるということでした。それ以外はこれから少してこ入れしなければい けないかなという指標で、中でも4つの指標は、とてもこのままではあと5年やってい くのは難しいということになり、それで今日皆さまにお集まりいただいて、どういう指 標が現実的であるのかということをご検討いただくという会です。  その辺りのことは、皆さまのお手元にある中間評価報告書に書いてありますが、例え ば7ページのところに、全体の61指標のうち58指標見た中で、良くなっているのが 41、悪くなっているのが13、かけ離れているのが4となっています。24ページ、25ペ ージのところには、今もご説明がありましたが、指標の見直しの理由などが詳しく書い てあります。  その中で、3番目の小児医療の課題ですが、この中で事故防止について説明がありま したように、これまでは国立保健医療科学院の田中先生にご提示いただいた、家庭での 事故防止チェックリストというものがあり、その20項目全部チェックできていないと 事故防止対策ができていないという基準にしていましたが、そうしますと本当に数%の 家庭しか達成できていない。ただ一方で、ご存じのように小児の事故というのは今減少 傾向にあって、どうも実態と指標とがうまく結びついていないということで、今回検討 をいただくことになったわけです。  この件については、先ほどの資料を事前に関口委員にご検討いただいていますので、 関口委員から説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○関口委員  後ろの方にとじてある参考資料3は「事故防止対策を実施している家庭の割合」に関 する調査資料で、もともと20項目ずつ挙げられていたものを絞り込むようにと中間評 価で指摘されていますので、半分の10項目を目標に絞り込もうと考えました。また20 項目すべてを達成していないと事故防止対策を実施していることにならないというのは かなり厳しい指標になりますので、各家庭でどの程度実施されているかを評価するので あれば、むしろ各項目の実施率の平均値を指標としてよいのではないかと考えています。 理想的には目標100%ということになると思っています。  どういう基準に基づいて絞り込みを行ったかを具体的に示しますと、例えば1歳6か 月のところの4番「浴槽に水を貯めておかない」というのと、11番「バケツなどに水を 貯めておかない」というのは水関連で重複しています。それから、5番・6番の「タバ コ・ピーナッツ・あめ玉を手の届くところに置かない」というのと、14番「小物を手の 届くところに置かない」、これもある程度重複があると思って、より具体性の高いものを 残しています。それから、死亡事故との関連性の高いものを残して、比較的死亡事故と 関連性が低いと思うものを除外しています。例えば、19番の「ビデオデッキのテープ口 に指を入れない」や「テーブルクロスを使用しない」など、そういう比較的死亡事故と 関連が少ないものは除外しました。それから、13番の「敷布団は硬めのものを使用」と いうのは、恐らく乳児の突然死に関連したものと思われるのですが、1歳6か月児への 質問として適当かどうかというと、私の考えでは、これは1歳6か月児には必要ないの ではないかと思って除外してみました。  それから、下の3歳のところでは、やはり同じような基準で選んではいるのですけれ ども、例えば11番の「子どもに交通ルールを教える」というのは、3歳児に交通ルール の理解を求めるのは少し不適切であろうと考えまして除外しております。それから、17 番「子どもの遊びの安全を確認」というのは少し具体性に欠けるので評価がしづらい。 それから18番の「子どもの腕を強く引っ張らないように注意」は、恐らく肘内障の予 防に関する項目だろうと思うのですが、事故対策という項目からすると他とは少し異質 な感じを受けましたので除外しています。  このように、基本的には内容が重複するものや具体性に欠けるもので、死亡事故との 関連性の高さを検討して項目の絞り込みを行ったということです。以上です。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。今のご説明の「基本的にはこのチェックリストの数を 少なくし、しかも全体の中でどれくらいできているのかという平均点で出していくのが よいでしょう」というご説明だったと思います。専門的に見た視点からの重複や重要性 ということで、今回10項目を挙げていただいたわけですが、本来であれば、本当にこ れをやるとどの程度事故が少なくなるかというエビデンスをもとに絞り込むというのが いいと思うのですが、今それは難しいのが現状です。私たちも地域で調べているのです が、死亡事故はもちろん非常に少ないですから、かなり大規模にやらないとこの手のも ののエビデンスに基づいた有効性というのは知ることができません。そういう意味で、 今回はこういう形で絞り込みという手法を取らざるを得ないということで、関口委員に はご尽力をいただきました。どうもありがとうございます。  ご意見はありますか。はい、お願いします。 ○北村委員  少し時間を戻してしまうかもしれませんし、山縣座長のような方には釈迦に説法かも しれませんが、私自身がベースラインとなるデータを示すとしたら、具体的にどのよう な介入が行われたのか、その介入方法と目標値をまず設定する。そして、例えば評価調 査対象を設定するというように、この辺りからまず具体的にやるべきだと思います。私 も実は当初の検討会委員ですから、あまり無責任な言い方はできないのですけれども、 具体的に一体どんな介入がなされた結果、目標値が達成しえなかったのか、この辺りが どうもはっきりしない感じがするのです。介入というのは、例えば1歳6か月児健康診 査や3歳児健康診査で「どうぞ保健師さん、通常のやり方で指導してください」と言う と、私も保健所の医師経験があるのですが、その指導方法には恐らく市町村によっても 大きな違いがある。あるいは指導にしてもインパクトの違いがあるのです。それが人を 動かすものになったり拒絶反応を示したりということがあるので、そういう意味でこの 辺りの評価がどういう考え方のもとで行われているのかというのが大変興味があるので す。私自身は、具体的にかつ極めて明確に、こういう形で介入しますよと、また指導方 法も極めて具体的に示してやり、そして「今までと全く同じような形でやりなさい」と する非介入の部分も、市町村あるいは、大きすぎるかもしれませんが県に具体的に示し てやれば、ひょっとしたら事故防止は今のような20項目でも100%になりうるのでは ないかと思うのです。そして、この方法をもってすれば100%になるという具体的な手 法を見いだせたら、それを一般化するための努力をしていくというものなのかなと思い つつ、この中間評価の動きを見ていたのです。山縣座長、その辺りが少し見えないので すが、具体的にはどんな介入がなされたのか、その結果としてどんな成果があったのか という部分が極めてあいまいで、私たちには伝わってこないのです。 ○山縣座長  これは試験問題と一緒で、最初にこれを目標値にし、20項目全部ができるようにと示 されていたと思います。ではどういうふうに介入するのかということに関しては、北村 委員が言われたように、実際にはそれぞれの市町村、自治体に任せられてきたわけです。 ただ中間評価や最終評価はこれでやりますよということが示されていた状況だと思いま すので、抜き打ちテストで「さあ、どうですか」というわけではなかったと思うのです。 しかし、事故防止そのものについてどのようにこの20項目を啓発し、かつ具体的にし ていたかということに関しては、いろいろなモデル地区ができたり指定されたりしては いると思いますし、そういうモデル地区での結果も、私は十分評価しているわけではな いのですが、なかなかこの20項目が全部できていないという状況だと理解しています。  そういった点で、この20項目では多すぎるのかという理由になると思うのですが、 ただ一方で今北村委員が言われたように、もう少し具体的にこうやりなさいという指導 が行われればもう少し上がったのかと思います。私が地域で18年間追いかけていると ころも、実は最初この20項目で走り始めたのですが、実際の乳児健康診査や幼児健康 診査でこれを指導していくのは少し負担が大きすぎたり、もう少し別のこともやってい かなければいけなかったりということで、そういった辺りでもこれを達成するのは少し 難しかったのではないかと思います。 ○北村委員  それでは10項目に絞り込んで、「これが2010年における評価の項目ですので、この 項目を十分意識した上で、それぞれの市町村や保健師などが指導に当たってください」 という、介入とは言えない働きかけにとどまるわけですね。 ○山縣座長  それは、事務局から説明があるかもしれませんが、手法に関してはそれぞれだと思い ます。いろいろな手立てを用いて「事故防止はこういうふうにすると効果的です」とい う啓発というのは、研究班やモデル地区の設定ということでこれまでにもされてきてい ると思いますが、それが十分だったかという問題はあります。ただ先ほども話しました ように、死亡事故は明らかに減少しておりまして、これがどういう理由なのかというこ とも考えていかなければいけないと思っています。家庭の評価は全然変わっていないの に、死亡事故が減っているというのは、ひょっとしたら救急医療面が進歩したのかもし れませんし、ここには出てこないような家庭や地域での取り組みが進んだおかげかもし れません。そこが今回の中間評価のとき少しはっきりしなかったということはありまし た。 ○北村委員  家庭にとどまらない全国市町村レベルで、どのようなかかわり方、指導がなされてい るのかという、いわゆる温度差みたいなものは出ているのですか。同じような形でのア プローチなのか、それとも相当な温度差があるのでしょうか。 ○山縣座長  地域ごとの取り組みに関するデータはないのですが、今回1歳6か月児5,000人の規 模で全国調査をしておりますが、その中ではほとんど地域差はなく、大体どこの地域で もこれくらいの値だということです。ただ中間評価の研究会では、事故対策についてし っかり取り組んでいるところの方が少し値はいいという結果が出ておりますが、基本的 にこの20項目を全部やるのはなかなか難しいというのはどこも同じでした。  他には何かご意見ございますか。  実は、事故を専門にやっている先生が何人かいてご意見をたくさんいただくのですが、 これはかなり主観的なチェックリストにどうしてもなってしまいます。もう少し客観的 に評価できるような指標がここにあるべきではないかという意見も当初からあり、ご提 案もあるのですが、実際にそれを誰がどのようにチェックしていくのかというところが 十分に煮詰まっていませんので、今はどうしても家庭を啓発してこういうことが本当に できているかどうかを見るということにとどまっているのです。モデル地区では、例え ば通学路や子どもたちが集まるような場所を定期的にチェックして危険な場所がないか どうかを明らかにし、その対策をするなどということをやっているところもあります。 そのように一つの目標値を設定し、そういう会を作って何かやっていくということもも ちろん考えられはするのですが、今回はそこまでは要求していないというところです。 よろしいでしょうか。  関口委員から何か追加点はないでしょうか。 ○関口委員  特にありません。 ○山縣座長  もう1回会議がありますので、各関係機関にもこの案が行ってこれでいいかというご 意見をいただくことになっていますのでそれも踏まえて、それから今北村委員からもあ りましたように、これを具体的にどういうふうに啓発し100%になるような対策をして いくのかといったところも、せっかくなので特に問題になってからではなく、少しご意 見をいただいて一緒に出していくというのも必要かもしれないです。  それから指標には入らないのですが、目標値とは別にも取り組みの具体的な中身があ りますので、そこに先ほど少し私が言いましたような対策委員会を作って、その地域の 安全を確保していくということをもう一度改めて具体的に挿入するということもここで 検討するということでよろしいでしょうか。 ○北村委員  現場を離れてしまったのでどうもわからないのですが、例えば1歳6か月児健康診査 や3歳児健康診断のときに、この10項目が一覧になっているリーフレットを渡して「こ の一覧を冷蔵庫に貼っておきましょう」などということは具体的に行われているのです か。 ○関口委員  行われているところはあるようですけれども、実際にはその説明をしている時間がな いという現場の声もあります。 ○山縣座長  多くのところで渡しているだけという現状があると思うのですが、先ほど話しました モデル地区では、このチェックをしてもらうことが教育的な時間をとることになります ので、勧めてもらっているところもありました。ただ一つは集団で健康学習をするとき、 乳幼児健康診断のときは子どもたちの対応について非常にいろいろな問題がありますし、 もう一つは、個別に移りつつあるので、そういった集団の中での学習機会をどういうふ うに担保するかということも全体にもかかわることで、課題となっているところです。 今のようにチェックして学習してもらうという方法・対策をやっているところもあると いうことですが、その結果が出てくるので、値が低くなっているのです。もう1回チェ ックしてもらうともう少し高くなるかもしれないですが、現実にはそういった値が出て きてしまっていると考えています。  では次に課題4の中につきまして、まず児童相談所における専門家の数値に関して、 犬塚委員にご意見をいただきながらまとめさせていただいたこともありますので、犬塚 委員からお話しいただければと思います。よろしくお願いします。 ○犬塚委員  私は今、東京都の児童相談センターに常勤の精神科医として勤めています。児童相談 所は皆さんご存じのように戦後児童福祉法に基づいて設置されたのですが、実はその当 初から今のアメリカの児童相談クリニックをモデルにしたこともあって、児童精神科医 が所長になる方向性が出されていました。児童相談所の部門の中には、いわゆる措置部 門というか、児童福祉施設に入所させるなどの措置権を持っている行政機関としての役 割を果たす部門とそれから一時保護する必要があれば、子どもや親が同意しなくても児 童福祉法に基づいて一時保護所に入所させてその後の方針を決められる権限を持ってい る一時保護の部門がありますが、それに加えて子どもの診断や治療を行う部門の必要性 が最初に言われていました。このように精神保健の活動を児童相談所でもやっていこう という方向性はずっと出されていたのですが、児童を専門とする精神科医の数がなかな か増えないという状況の中で、児童相談所はむしろ措置機関としての業務を膨らませて いって、精神保健活動についてはなかなか発展してこなかったという現状が多分あった と思います。  その中で、児童相談所が対応する対象として虐待が非常に大きな業務量を占めるよう になり社会問題化している中で、虐待を受けた子どもに精神医学的な問題が高率に出現 するということ、精神科医療の必要な子どもたちの割合が非常に高いというデータが出 されています。それから、虐待する親も精神医学的問題を抱えている比重が大きいとい うことで、ますます精神科医が児童福祉の方に入って、診断ならびに治療的なことの一 部を担うことが必要とされてきたという経緯があると思います。  ただ、戦後に児童相談所が作られた当初からの問題が解決されていなくて、精神医学 の中でも児童精神医学の占める重要度がなかなか増してこないということと、児童を専 門とできるような精神科医も増えてこないという現状の中で、この100%という目標値 は非常に困難だと私は思います。しかし一方で虐待の相談の増加、虐待を受けた子ども の診断ならびにケアと虐待をする親の診断とケアの必要性という流れの中で、少しずつ ですが常勤の精神科医が増えているということ、あるいはここにも書かれていますが併 設してそういう診療所を持っている児童相談所も少しずつですが増加しています。私の いる東京都の児童相談所は、昭和50年に児童相談センターができて、中央児童相談所 の機能を持ちましたが、当時は常勤の精神科医が所長を含めて6人いてセンターの中に、 診療所を持ちました。診療所を持つということは、そこで薬物療法を含めた医学的な治 療ができるということで、一つの方向としては、児童相談所が診療所を有してより幅広 い精神科の活動ができるというのがあると思います。それが本当に一つ、二つ、三つと いう形ですが、全国的に何カ所かにそういうような診療所を設置する、併設という場合 も児童相談所の中に持つ場合も両方あるのですが、そういう方向になってきていると思 います。私は100%という最初の目標値が出たときに非常に感激して、ぜひその方向で と思ったのですけれどもこの目標達成が現状ではそんなに容易なことではないというこ とは明らかです。東京都には11カ所の児童相談所があるのですが、常勤の精神科医が いるのは児童相談センターだけで、現在は4人います。残りの10カ所の児童相談所に は、常勤の精神科医がいろいろな形で支援しているという形です。児童福祉の側に常勤 として勤めている精神科医がいるということが大事ですし、福祉の中で会う子どもたち についての福祉の中にいて精神医学的な観点からいろいろな対策を立てていくのが非常 に重要だと思います。とりあえずは、ここで示されたような目標値が、現時点では現実 的ではあるということと、それもかなり大変なことで、いろいろな方面からのかなりの 努力がなければ達成は難しいと思います。 ○山縣座長  ありがとうございます。この資料では今回の新しい指標だとで、「都道府県・政令指定 都市及び児童相談所設置市の割合」約30%になっていますが、母数は幾つになるのです か。 ○當山母子保健課主査  母数は64です。47都道府県及び、指定都市及び児童相談所設置市が17市です。 ○山縣座長  そうすると、ここの文章の「設置されている児童相談所が少なくとも1カ所ある都道 府県・指定都市及び児童相談所設置市の割合」というと、児童相談所設置市というのは 重複なしにプラス幾つかあるのですか。指定都市ではない市で児童相談所を持っている ところも入れるということになりますか。 ○當山母子保健課主査  はい。指定都市15市及び2中核市です。 ○山縣座長  中核市などを全部入れて17ですね。わかりました。 ○北村委員  児童相談所自体は、全国に幾つあるのですか。 ○犬塚委員  毎年増えているのですが、ついこの間は、192カ所でした。 ○北村委員  また少し失礼な言い方で申し上げますけれど、小児科医会がやっています「子どもの 心の研修会」で私はずっと講師をやっていまして、参加される先生方の数は1218人い ます。ですから、100%に達成させるということは、やり方によっては難しいことでは ない。大げさな言い方をしますと、例えば開業の先生方が得る収入よりもはるかに多い 収入を、「子どもの心の研修会」を受けた小児科医に提供することによって常勤化を促す。 これはまさに、国あるいは地方自治体が、医師を採用するための非常に基本的な予算を 確保しさえすれば、さほど難しいことではない。しかし今のまま手をこまねいていては 100%になるのは常識的にありえない。犬塚委員、そういう具体的な介入があったのか ということに、私は非常に興味があるのです。例えば、児童精神医学会から各都道府県 や国に対して、実は強い要望書が出されていて、その結果として反応があったとかです。 これは大変失礼な言い方ですが、この通知だけを見ると、恐らくほとんどそういう努力 が行政関係団体の取り組みの中では行われていなかったのではないかという印象がある のです。 ○犬塚委員  待遇の改善というのは、多分何ら対策は立てられていないと思います。 ○齋藤母子保健課長補佐  厚生労働省の方からは、「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」を、平成17〜 18年度に組織しており、精神科サイドと小児科サイドの関連学会や医師会などの組織に ご参画いただきまして、これまで一部小児科医会を除いては、なかなか組織的にこうい う研修を行う取り組みがなされていなかったところを、なるべく基盤整備しようという ことで、プログラムの開発や研修プログラムの到達目標の設定というところから着手を しております。平成17年度は、どのぐらいの知識と機能レベルを児童精神科医や子ど もの心の診療に携わる小児科の先生方に体得していただくのが望ましいのかという絵姿 を、自治体を含めた関係者にご提示いたしまして、いろいろな取り組みを促してきたと ころです。また、より具体的にどのように研修を進めていくかという点は、平成18年 度の「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」の主眼となっています。 ○北村委員  私も地方自治体から給料をもらっていた医者ですから、1人の医師を雇うと幾らくら いのお金がかかるかというのは頭の中にありますが、そういう予算措置のようなものは、 例えば100%に向け、中間ですと50%に向けて施されたという事実はあるのですか。 ○齋藤母子保健課長補佐  予算措置のところまでは至っておりませんけれども、まずはその前段階のところの足 場固めということで、そもそもどれくらいの目標を目指して、どれぐらいの技能のスキ ルアップを必要とするのかというところから始めています。 ○北村委員  山縣座長、しかし常勤ということになると、やはり「予算のないところ仕事はなし」 というのが行政の原則ですから、それはかなり難しいのではないですか。予算措置を講 ずることが大前提としてあれば、100%に向けた動きを起こすことは不可能ではない。 ○山縣座長  全部の児童相談所190カ所に入れるのは大変だけれど、64なら少しは近い目標値で あるのではないかということです。その64という数字も、今犬塚委員からありました ように、常勤が一人でもいれば他のところも応援していけるが、非常勤だけだとなかな かそういうことができない。そういうことが実質的な点で示されたのかと思っています。 ○北村委員  64人の医師を入れる分の予算措置は講じられているということですか。 ○山縣座長  それは、都道府県・政令指定都市の話です。現実的にはそこで雇っていくものですの で、どういうふうにこれを考えていくのかということが一番大きな問題です。 ○北村委員  簡単な指標改善が図れるものかなという印象があります。 ○犬塚委員  予算というか待遇の問題は、やはり大きな問題だと思います。私も常勤の精神科医と して病院に勤めていて、児童精神医学をやりたいということでセンターに来たのですが、 実際に就職するとなると他の医師、他の就職先と比べた給料の違いというのは、やはり 大きいかと思います。東京都の他の児童相談所では非常勤を雇っているわけですけれど も、常勤もそうですが非常勤もなかなか来手がないのですが、その大きな理由が給与で す。やりがいとか使命だけではきてくれる人がいないというのが現状です。  それから、私たちのところは複数いますけれども、一人の職場の場合は、やれること が限られてしまうと思います。非常に困難だと思います。所長として一人いらっしゃる というところも結構ありますけれども、その人の本当に大きな力に頼っているというこ とで、複数いることの重要性は、私も今複数でやっているので非常に感じています。北 村委員がおっしゃった「とりあえず」から先に進まないと困るということは、本当にそ う思います。  情緒障害児短期治療施設に常勤精神科医を一人は置くようにということは、実は児童 福祉法で決められていることですが、それがなかなか埋まらないということがあって、 その理由の一つとしてもちろん児童精神科医が少ないということは言われていますけれ ども、やはり待遇の問題も大きいということが精神科医の間で話題になることは事実で す。 ○北村委員  そういう意味では、もし100%ということを目指すならば常勤ではもう無理だから、 これを非常勤という言葉に変えることによって、2010年に100%という目標を達成でき るのではないでしょうか。こういう姑息なやり方、言い方でいいのかどうかわかりませ んが、その辺りはどうなのでしょうか。 ○山縣座長  当初そういう意見も出されてはいたのですが、常勤が専門的にかかわるのと、非常勤 で少しかかわるのではかなりの違いがあると思います。かつ今犬塚委員が言われたよう に、複数いることはさらに違う意味がある。そうすると段階としては、とにかくまず非 常勤がいて、そこの地域のことをしっかり見る人をまずは置いてもらおうというのが一 つの趣旨になると思います。そういう意味では効果と現実的なところのバランスをとり つつこの辺りをなんとかできないか。ただ北村委員が言われるように、これをどれぐら い本気で実現してもらわないといけないのかというところで、それぞれの母数となる地 域に対してこれから働きかけていくかということです。「健やか親子21」全体に言える のは、その目標値が達成できなくてもどうというようなことはないみたいな言い方とい うところが少しあるのですが、この目標値はとても大切なものだということで、働きか けに関しては今後5年の一つの課題だろうということは中間評価のときにも言われてい ただろうと思います。 ○當山母子保健課主査   担当の者から報告を受けているところによると、非常勤の児童精神科医・精神科医・ 小児科医を含めますと、9割以上のところで確保されています。 ○北村委員  それは国が金を出すから置けというのなら、話は非常に早いですが、地方自治体の予 算の範囲内で置けということになると、今かなり厳しい財政事情の中で、地方自治体レ ベルで進めることが可能なのかという、この辺りもきちんと用意してあげないと、スト レスばかりがたまってしまいますよね、犬塚委員。 ○犬塚委員  東京都も最初6人いたのが4人になって、少し前から所長が医師になったので5人に なりました。いろいろな事情があるのですが、やはり予算の問題は大きいと思います。 ○山縣座長   予算の問題は要望というところにとどまると思うのですが、一方で先ほど北村委員か らもありましたように、推進協議会としてもこれをどういうふうに考えていくか、また そういうところから要望書を出していくとかもあると思います。私の乏しい知識の中で は、都道府県の精神保健福祉センターには医師がいて、そして積極的にとにかく常勤の 医師を働きかけているところは多いと思うのですが、言われたように予算の都合だとか、 やはり人がいないということで、なかなか実現できていない。実現したとしても、すぐ にまたひっくり返ってしまうというようなところがどうもあるようで、この重要性等々 の認識に温度差があるということがあると思います。その辺りの対策といいますか、働 きかけがないと、多分100%いかないと思います。ですので、その両面についてぜひ考 えていきたいと思います。  今4-16にも少し意見がありましたが、4-13に関しましては、これを新しい目標値と するということでよろしいでしょうか。これもまた次回検討の課題としてご意見をいた だくことになっております。  引き続きまして4-16ですが「親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の 割合」ですと、非常に少ない値で目標値の100とかけ離れているということで、数を出 して実数で見ていくのはどうかという意見でした。これにつきましても犬塚委員から何 かコメントはありますでしょうか。 ○犬塚委員  私は直接小児科にはかかわっていないのですけれども、今児童精神科からみて小児科 医の方で精神医学を共に学びたいという方が増えているように思います。精神科で大人 全般を診てから勉強して子どもも診るようになるという場合と、逆に小児科医として子 どもを診ていて精神科も含めて非常に幅広く診るという両方の面があるかと思いますが、 精神科医の方より小児科医の方が圧倒的にいろいろな場面で子どもに接していて、子ど もの心の問題にかかわることも多いと思います。研修とか先ほどお話があったように小 児科でそういう心の問題を診られる医師を増やすという方向を打ち出されているという ことなので、方向としては望ましいかと思います。目標設定値については、まだ私はは っきりとした意見はありません。 ○山縣座長  ありがとうございます。ご意見ありますでしょうか。これはそもそも小児科外来に来 る子どもたちのうち8.4%が心の問題だということが、平成11〜12年に行われた数万人 規模の全国調査でわかりました。特に中学生ぐらいの子どもだと、10%を超える子ども が心の問題で来ている。そうなってくると、現場の医師が心の問題に対応できず、全部 専門家に送っていくと、とてもではないがまわっていかないということが基本に一つあ るとは思います。そういうことからより多くの小児科の医師にということで100%とい う目標がまた出てきたわけですが、現実としては先ほどから説明がありますように、北 村委員もご指摘されているような研修会がやっと始まってこれを増やしていていこうと いうところですが、参加者は多いけれども登録する医師が少なくこの数になってしまう わけです。登録の医師が少ないというのはどういうことなのですか。研修を受けても登 録しないというのは、関口委員、どうですか。 ○関口委員  まず、小児科医会というのが、開業の医師を中心としたグループですので、恐らくこ の「こころの相談医」に登録している医師の中で勤務医の割合は低いということが一つ あると思います。それから研修会を全部履修して初めて登録ができるのかということか ら、例えば仕事の都合で部分的に研修会に参加した医師は登録までしないという現実、 あともう一つはそれを表に出してしまって患者がたくさん来てもらっても困るという現 場の問題があると思います。開業の医師が一日200人の患者を診なければならない中、 「心の問題だ」と言って30分とられてしまうのでは非常に診療が滞るという現実的な 問題もあるので、研修は受けるけれども登録するのは躊躇している方もいらっしゃるの ではないかと思います。  実際に、勤務医は小児科医会に入らないことが多いのです。小児科学会には入っても、 小児科医会にまた会費を払うとなると経済的な負担が大きくなりますので、病院で心の 問題に関して対応している医師はいると思うのですけれども、その実数がこの1218人 の中には反映されてはいない可能性があると思っています。 ○山縣座長  事務局から情報として、今のような勤務医とか本当に専門にやっている先生が実際の 数に入っているかどうかということについて、どうですか。 ○當山母子保健主任   聞いたところによりますと、研修を受けて専門的な診療をしている医師でも登録はし ていないこともあるそうです。ただ実際に診療できる医師という基準にしますと、その 数をモニタリングすることが現実的に困難であるという点で、現在資料としては、登録 者数をモニタリングするという案を出しております。 ○北村委員  私が知る限りにおいて「子どものこころ研修会」というのは、小児科医会常務理事の 内海先生が孤軍奮闘やっておられます。開業しておられるにもかかわらず、研修会のた めの準備そして当日の研修のための準備、小児科医の立場で準備しておられるという姿 を遠くから見ると、もし本当に国レベルでこういう人たちの養成をさせようという考え があるのならば、例えば研修を日本家族計画協会に委託するとかできると思うのです。 小児科医が何でもかんでも汗を流しながら準備するには限界がある。東京と大阪でやり ますと400人ぐらいの小児科医が集まって大変熱心なのです。毎年リニューアルした講 師を呼びますから、またここに同じ人がいるぞという繰り返しになる。それはそれでい いと思いますけれども、もし東京と大阪だけでなくて、北海道、仙台、新潟、東京、そ して名古屋というような形で同様のセミナーを開催することができ、しかも常務理事の 内海先生の側面的なサポートをできるような形になれば、数を増やすことはそう難しい ことではないだろうという感じがします。 ○齋藤母子保健課長補佐  まさにご指摘いただいた点が非常に大きな課題だと思っております。これまでは小児 科医会でこういう体系的な研修を先行してやっておられるので、それをもっぱら、例え ば母集団として捉えて人数を増やすことに集中しておりました。しかし、先ほどの「子 どもの心の診療医の養成に関する検討会」などでも、いかに研修の間口を大きくしてい くか、裾野を広げていくか、 そしていろいろな組織にご協力をいただくことで研修を全 国的に広めていくかというところに現在フォーカスをしております。具体的なやり方は 検討会でまさにこれから検討することになるのですけれども、開業医、勤務医の先生方 も含めて研修をもう少し支援していく方法というのはまさに今検討中です。 ○北村委員  ちなみに、日本産科婦人科学会で経口避妊薬のガイドラインの改訂したのを受けて、 私どもが全国18カ所でセミナーを開催いたしましたら、2,980人の産婦人科医プラスコ メディカル等々ですけれどそういう人たちが集ったという経験もございます。 ○山縣座長  ありがとうございます。厚生労働省の研究班というか研究会で検討中ということです ので、ぜひ、その辺りに反映していただければと思います。この件につきまして、他は よろしいでしょうか。では、時間もきておりますので、最初の方の課題にいきたいと思 います。事務局の方から説明をお願いいたします。資料1-8,1-9です。 ○當山母子保健主任  ただ今、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課の岡田専門官が来られました。  それでは資料3をもう一度見ていただきまして、2ページ目からの指標1-8「避妊法 を正確に知っている18歳の割合」について説明させていただきます。見直し前は平成 13年度「思春期の保健対策の強化及び健康教育の推進に関する研究」から、大学1〜4 年生を対象にしたデータで、「以下の避妊方法のうち、あなたが現時点で適切と判断する のはどれですか」という選択項目の中で男性用コンドーム、ピル(経口避妊薬)の両方を 選択された方の値です。男子が26.2%、女子が28.3%というのがベースラインの結果で ございました。目標値が100%で、直近値では、平成16年度「望まない妊娠・人工妊 娠中絶の防止」という調査の中で17〜19歳を対象に同様の質問調査を行っており、こ の結果男性用コンドーム、ピルの両方を知っている者が17.9%、男子のみですと12.5%、 女子のみですと22.7%となりました。「中間評価での指摘事項」といたしましては、「現 状では『避妊法を正確に知っている』ということを『男性用コンドームと経口避妊薬の 両方について適切な避妊法だと回答』したものについて計上している。『正確に知ってい る』ことの基準や、知識が行動の変容に結びつくような有効な指導方法、モニタリング 方法について検討する必要がある。避妊法は多数存在し、パール指数もさまざまなもの となっている。それぞれの避妊法は、それぞれに特徴があり、それらを把握した上で避 妊法を選択することが望ましいといえる。男性用コンドームと経口避妊薬のみをとりあ げて、それらを『適切な避妊方法』と設定し、その知識を問う評価方法(指標の調査方法) については再考の余地がある。知識と行動がどのように結びついているかについて、若 年層の性行動を経時的に把握していく全国無作為調査の継続が望まれる」ということが 指摘されました。  本年度の指標見直しの説明ですが、まず調査対象について、「策定時の値は大学生を対 象としたものであり、直近値においては、全国無作為調査から18歳を中心とした年齢 層(17歳〜19歳)における値を把握しており、直近値の方が、より指標の表すところに近 いと考えられるが、対象年齢が違うため比較は困難である」。一方、同一対象者に対して 同様の調査があるかということを調べましたけれども、そういったデータを得ることは できませんでした。調査項目については、「現状では『避妊法を正確に知っている』とい うことを『男性用コンドームと経口避妊薬の両方について適切な避妊方法だと回答』し たものについて計上していますが、避妊方法は多数存在し、それぞれの避妊法に特徴が あり、それらを把握した上で避妊法を選択することが望ましいため、現在の指標に基づ くモニタリングに加えて正しい知識の普及とその評価も必要である」と考えております。 見直した結果(案)ですが、「既存の調査では、指摘事項に答えられる適切なデータがない ため、研究会で質問内容と調査方法について検討し、平成19年度に、データを収集す ることとする」というのが事務局案でございます。ですので、現時点で見直し後のデー タというものはございません。  続きまして、3ページの1-9「性感染症を正確に知っている高校生の割合」について 説明いたします。見直し前のベースライン調査では平成11年度「児童生徒の性」調査、  東京都幼・小・中・高・心障性教育研究会調査のデータを使用していました。質問内容 は「今までに学習してきたものはどれでしたか」という選択科目の中で、性器クラミジ ア感染症については男子が11.3%、女子が16.5%、淋菌感染症につきましては、男子が 15.4%、女子が14.5%といった結果がございました。目標値は100%で、直近値といた しましては平成16年南アルプス市における調査の結果を用いています。質問内容は「次 の感染症について今まで学習してきたものすべてに○を付けてください」ということで 選択項目がございまして、性器クラミジア感染症については男子が48.4%、女子が 55.8%、淋菌感染症につきましては男子19.9%、女子20.1%といった結果がございます。 中間評価での指摘事項といたしましては、「『性感染症を正確に知っている』ことについ ての定義がなく、かつ調査内容は『学んだことがあるかどうか』を尋ねるのみであるた め、『正確に知っている』割合をモニタリングすることができていない。『正確に知って いる』ことの基準や、知識が行動の変容に結びつくような有効な指導方法、モニタリン グ方法について検討する必要がある。学校間格差が存在するであろうこと、また、就学 していない18歳のことを考慮すると、学校を通してではなく、19歳人口から無作為抽 出した全国調査継続が望まれる」ということが指摘されました。続いて、指標見直しの 説明ですけれども、まず調査対象者について「策定時のベースライン調査では、東京都 内の学校、直近値で南アルプス市の調査であり、調査対象として比較することが困難で あった。また、学校間格差が存在するであろうこと、就学していない18歳のことを考 慮すると、学校を通してではなく、18歳人口から無作為抽出した全国調査の必要が考え られる」とあります。また調査項目につきましては、現在の質問が「次の性感染症につ いて今までに学習してきたものすべてに○を付けてください」ということで選択肢がご ざいますけれども、「指標である『性感染症を正確に知っている高校生の割合』をモニタ リングしているとは言い難いが、既存の調査では、適切なデータがない」ということが ございます。見直した結果(案)ですが、「既存の調査では、指摘事項に答えられる適切な データがないため、研究会で質問内容と調査方法について検討し、平成19年度に、デ ータを収集することとする」というのが事務局案でございます。 ○山縣座長  どうもありがとうございます。思春期の問題で北村委員にご意見をいただきたいとこ ろですし、またこの課題は思春期の問題で教育現場と密接にかかわることでありますの で、積極的にご意見いただきたいと思います。まず、北村委員から、最初に8の方から の課題についてコメントいただければと思います。 ○北村委員  既に當山母子保健課主査から、お話があったように「正確に知っている」と「理解す る」とはどういうことなのか、この定義が非常に不明確になっているというのが一つの 大きな問題だろうと思います。そういう意味で各都道府県の介入や共通理解があるのか ということは最大の問題ではないかという気がします。どの数字をもって評価するのか が不明確であり、ベースラインあるいは介入の対象、評価対象がそれぞれ別目的で設定 された研究班の数字の代用でよいのか、この辺りも議論の余地があるだろうと思います。 ただ今後2010年ということを目途とするならば、これは例えば山縣研究班なり、私ど ももいただいております研究班などを通して、具体的ないわゆる介入研究、評価基準の 設定は可能かなという感じはしております。  具体的にはどういうところに持っていくのかというと、まずわが国における避妊に対 する認識の温度差があまりにもありすぎて、実は戸惑うことが大変あります。これは国 際的に見ても日本という国は極めて異質な国だろうと思います。まず忘れてはいけない のがセックスをしないということです。これは性感染症予防についてもそうです。しか し、もし避妊をしてセックスをしようというのならば、これは常識的に考えて、医学的 禁忌がない限り生殖可能年齢のいかなる時期でも経口避妊薬を使用してもよいというの がWHOのガイドラインですし、私どもが今回日本産科婦人科学会を通じて改訂したガ イドラインの骨子にあるものです。例えばここでもパール指数というのが出てきました けれども、若者たちにとって間違いなく確実な避妊法というのは、妊娠する側に立つ女 性が、女性の意思でできる避妊法を選択する、すなわちピルでございます。しかしそう は言っても、このピルの議論というのはいろいろ政治的なところでも話題になって、さ てこれを具体的に推し進めることが可能かということになりますと、コンドームが大変 好きな国ですから、コンドームを正確に使えるというこの考え方をきちんと定着させる ということになる。それとあわせて、仮にコンドームによるトラブル、例えば破損や、 脱落して腟の中に落ちてしまったという場合には、緊急避妊という方法があることを知 る。緊急避妊というのは、国際的には知らないのは愚か、知らせないのは罪と言われる ほど、今非常に大きな広がりをもっておりますし、WHOなどもこれを知らせないのは 本当に愚かなことだと言っています。残念ですけれども、齋藤先生、191カ国あります 国連加盟国中、緊急避妊が承認されていない国はイラン、イラク、アフガニスタン、北 朝鮮、日本という、まさに驚くべき現実があるわけで、この辺りも含めてきちんと対処 することが必要なのだろうという気がします。そのためには、もし可能ならばいくばく かのテストがあってもよいと思います。あるいは、介入という意味では、2010年に18 歳になる人すなわち1992年生まれの現在14歳の方たちに、今のようなきちんとした避 妊に対する考え方を、岡田専門官などを中心として介入研究をして、そしてそこできち んと徹底すると、セックスをしないということを最優先できる18歳であったり、ある いはセックスをするならば確実な避妊法としてのピルの存在を知っている人であったり、 あるいはもしコンドームということにこだわるならば、緊急避妊という言葉もあわせて 知る人であるというように、知るということにこだわるならば、いくばくかのテスト形 式を加えた介入研究があってもいいのではないかという感じがします。 ○山縣座長  ありがとうございます。要するにまだこれについては項目をもう少し考えるというこ とと、きちんとした情報提供をどこでできてその効果がどうかと研究レベルでもう少し きちんとしようというご意見だと思います。17、18歳というと高校3年生くらいで、 例えばこういう調査をやるときに、無作為に18歳をとって地域ベースに調査をやると いう方法が一つと、あともう一つは、せっかく学校に行っているのでその学校現場をフ ィールドとして使えないかと考えるわけですが、文部科学省としては、実行可能性はど うですか。 ○岡田スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官  調査結果に及ぼす影響を考えないといけないということがあります。現在学校教育で 全員に対して教えるべき内容として、避妊という言葉は学習指導要領にはありません。 教科書レベルで、家族を形成していく中での計画性ということで出ています。保健教育 のスタンスは、原理・原則を教えるというものですので、その避妊の手技自体を全員に 教えるということになっておりません。学校で避妊法を知っているかという調査をする ことが妥当なのかどうかはまずご検討いただきたいと思います。 ○山縣座長  思春期の健康問題はこれに限らずもっと他にもあるわけで、そういうものと一体化し た調査みたいなものがあってもいいかなと私自身は思っています。そうすると学校現場 というよりももう少し広く、学校に行っていない18歳ももちろんいるわけですので、 その辺りの調査を考えていくということも含めて、この18歳という思春期の、成人に なる前の健康問題をどう把握できるかに関してもう少し検討すべきで、しかもそれは今 先生が言われたように正しい知識は何か、どういうことをきちんと学んでおかなければ いけないかということを含めて、学校教育と共に検討する苦労はしないといけないので はないでしょうか。 ○岡田スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官  北村委員がおっしゃるような知識を学校教育でもしっかり教え、そこで子どもたちに 理解してもらうというのは大事なのですが、今どういうやり方が1番効果を上げるのか についてはいろいろ議論があるところです。ともすれば同世代で集まって男の子も女の 子もいる場でそういう話をすることがプレッシャーのようなものを生んで、結局まだ経 験していない自分を恥じたりとか、ある圧力が加わったりして、こちらが意図している ことがそのまま伝わらないということが起こりえるというのも学校の集団教育の実際で はあります。その辺は、そういう知識を教えるとそのまま我々の意図したことが伝わる 学校・クラスもあれば、そうでもなく教育効果の上がらない場も当然ありますので、そ こは慎重にやっていかなければならない。先生がおっしゃるように他の健康課題全般に 対して子どもたちがどう認識しているのかというのは非常に重要な観点だと思います。 性感染症にしてもそうですし、その辺りは我々もそういうデータがあればそれをもとに 教えるべき内容とか教え方を考えていきたいと思います。 ○北村委員  高校の教科書はかなりきちんとした書き方をしていますよね。私は大修館というとこ ろの教科書を持っていまして、いわゆる指導者手引きを避妊法のところだけで5万字で 作らせていただいているところです。だから相当一生懸命やる学校があれば、それなり の知識が得られるかなという感じですが、どうも「見ておけ」で終わるみたいです。 ○山縣座長  ありがとうございます。この辺りのところは、「健やか親子21」のこの5年間の1番 大きな課題の一つが、実は思春期辺りの健康問題をどういうふうに具体的に対応してい くか、学校現場と地域ベースでやっていることをどう連携させてやるかということが具 体的に出てきていなかったということだったと思います。一つにはこういった現状をど う把握するのかという点で、例えば連携できるのかといったこととか、それから方向性 が学校で教えるのと地域の保健師さんや厚生労働省が言っているのが違っているとそれ はそれで困るわけですから、その辺りのところをどうするのかということです。「健やか 親子21」の当初は、教育については餅は餅屋でというか、学校の現場はいろいろなツー ルも持っているわけですから、そこで教育と言いながら地域がどうサポートするかとい うことがあったと思うのですが、その辺のところが「ここで必要ですね」となってまた 5年経つ、という現実ですので、今回は具体的に、実際に連携した形での研究班を持つ ということが現実味のあることかと思っております。その辺りのところは次の厚生科学 研究でも考えていらっしゃるということも耳にしていますので、ぜひ1歩でも2歩でも 先に進んでいくということにしたいと思います。今回1-8や1-9ももちろんあるわけで すが、実態の調査に関してはそういう辺りを含めて、北村委員の研究班や具体的にどう やったら把握できるのか検討していけるような形を研究班の中に作っていただくという ことでよろしいでしょうか。いかがでしょうか。 ○北村委員  確実な避妊とは何かということについて共通理解が得られていないというのが一つで す。ただ幸いにも性感染症に関する特定感染症予防指針が11月30日に改定されまして、 そこにかなり明確に保健所等は教育関係機関等と十分に連携し学校における教育と連動 した普及啓発が重要であるということも明記されていますから、この辺りを弾みにして 取り組めばいいのではないかと思います。 ○山縣座長  ありがとうございます。1-8のところでしたが、1-9の性感染症に関して、これは学校 現場でも教えていて、北村委員がおっしゃるような正確な情報という点はどうですか。 ○北村委員  例えば尖圭コンジローマとかクラミジアとかこれは医学教育の範疇です。なぜこうい う話をするかというと、私のところに実は大勢の高校生たちが来ますけれども、彼らと 議論する中で、「私たちがどんな病気を持っているのかは、先生が判断することです」と 迫られたことがあります。「私はクラミジアなのか、それは医者として判断してほしいこ とで、クラミジアの特徴は何かを知る以上に私たちがもっと知るべきことは何なのでし ょうか」と問われたことがありました。いわゆる性感染症というものを引き受けないた めにはセックスをしない、これは大前提です。ここにきちんとした認識を持てるかどう か。そして多くの性感染症はいわゆる自覚症状がほとんどない。これを自覚できるかど うか。コンドームを正確に使う、あるいは相手を知る、自分を知るということが、実は 性感染症予防には大変大きな意味をなすということになっておりますけれども、この辺 りに○を付けるような教育する。「何を学習しましたか」と「正確に知っている」とを関 連づけるのは無理があるかなという感じがするのです。 ○山縣座長  この辺りはご意見としてどうでしょうか。 ○岡田スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官  まさに北村委員がおっしゃるように、学校教育で全員が知っておくべきこととは、具 体的な疾患名ではないと思うのです。性感染症というものが何なのか、そういうものが 存在していて、また身近な危険として及ぶ危険性があるということをしっかり理解する。 その予防方法も段階に応じたものがあるわけです。例えば中学校・高校など、自分の行 動に責任が持てない間は、性関係を持たない。それから成人になればコンドームなどの 性感染症を予防するツールをしっかり使用する。そういうことが理解すべき内容であっ て、性器クラミジア感染症、淋菌を他の病原体から比べて、そちらに○を付けるという ことで正確な知識だというのはちょっと違う。 ○山縣座長  これはどうしましょうか。どこで中身を検討していくのでしょうか。 ○當山母子保健課主査  後ほど、ご説明させて頂きます。 ○山縣座長  多分北村委員から具体的に出していただくことになると思うのですが、それを踏まえ て次回どういうふうにしていくのかということを検討するということでよろしいでしょ うか。実は中間評価と私たちも全く同じように思っていて、だから直近値をあえて調査 せずに、私の地元で調査したものを代用したのです。これは確かにあまりいい指標では ないなと思いましたので、ぜひその辺りのところを進めていただきたいと思います。と りあえず見直しに関しては皆さんのご意見をいただいて、これをもとにまた次回という ことになりますが、ここまでで何かご意見はありますでしょうか。ないようでしたら続 きまして、時間があまりないのですが、未収集のところについて簡単にご説明いただき ながら終わりたいと思います。お願いします。 ○當山母子保健課主査  資料4をご覧いただけますでしょうか。「未収集の中間評価指標についての評価(案)」 があります。未収集の指標は(1)1-5「薬物乱用の有害性について正確に知っている小・中・ 高校生の割合」、(2)1-11「外部機関と連携した薬物乱用防止教育等を実施している中学校、 高校の割合」、あと(3)4-9「出生後1カ月時の母乳育児の割合」です。  (1)(2)につきましては、現在調査中でまだ結果がでていませんので、今回は説明を省か せていただきます。4ページをご覧いただけますでしょうか。  「課題4 子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」の中で、「出産後1か 月時の母乳育児の割合」という指標があります。ベースラインは平成12年の乳幼児身 体発育調査の結果で、44.8%でした。目標は「増加傾向へ」ということで平成17年乳 幼児栄養調査の結果を見ますと42.4%でした。結果は生後1か月時点で母乳のみを与え る割合をデータとしてとっております。分析として「データの調査項目は生後1か月時 点で、母乳のみを与える割合であり、平成12年度44.8%から平成17年度42.8%に減 少している」という結果でした。「しかし、指標は出生後1か月時の母乳育児の割合で あり、母乳のみを与えることだけが母乳育児とは言えないため、使用しているデータが 直接指標を示すものではない」ということがあります。「また、乳幼児身体発育調査と乳 幼児栄養調査は、調査法が違うため、一律には比較できないと言われており、平成17 年『健やか親子21の推進のための情報システム構築と各種情報の未活用に関する研究』 (主任研究者:山縣然太朗)において全国から無作為抽出された市区町村における調査の 結果では、1か月時の母乳栄養の割合は47.2%という報告もある。平成17年度の乳幼 児栄養調査の結果、授乳や食事について不安な時期は出産直後がピークであり、授乳に ついての問題をあげたものは約7割であった。また、出産施設での支援があった場合に、 母乳栄養の割合が高率であったことなどを踏まえ、出産施設での支援と退院後母子が生 活する地域での支援が、母乳に関するトラブルを解消し母乳育児を継続するためには必 要であることから、平成18年度に、『授乳・離乳の支援ガイド(仮称)のための研究会』 が設置された」。評価としまして「今後更なる取組が必要である」と考えています。調査・ 分析上の課題として、先ほどもご説明しましたように「平成12年の乳幼児身体発育調 査と平成17年の乳幼児栄養調査は、調査法が違うため、一律には比較できないと言わ れている。そのため、最終的には、平成22年に実施される乳幼児身体発育調査の値に よって比較する必要がある」と考えています。目標達成のための課題として「母乳育児 の推進に関して、引き続き両親に対する啓発を行うことも必要であるが、それを助言す る立場の保健医療機関、保健医療従事者に、母乳育児推進のための努力事項などを伝え ていく必要がある」と考えています。以上です。 ○山縣座長  ありがとうございました。前回なかった指標に関してはここでご報告ということで、 具体的にこれを伸ばしていくために「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)のための研究会」 というのが今年度設置されたということで、その活動報告をしながら、と思っています。  追加情報としては、今、出産前後に個別訪問、家庭訪問をやっている地域が増えてき ていて、私どもの地域でも実際に家庭訪問で指導をすることによって母乳育児が50数% から60数%に上がるというように、具体的にやっていくと本当に上がってくるのです。 今回の中間評価のときもそうでしたが上がっておりますので、取り組み次第で上がって いくということだと思います。先ほどの検討会も含めて、今後その辺りのご報告の場を 持ちたいと思います。どうもありがとうございました。  これで一応議事は終わりですが、課長もみえましたし、私の方の議事に関しましては これで終わりたいと思いますが、先生方からもしもご意見がなければ、よろしいでしょ うか。では議題の進行に関しましてはこれで終わりにしたいと思います。あとは事務局 から今後の進め方についてお願いします。 ○當山母子保健課主査  ありがとうございます。資料5をご覧いただけますでしょうか。「健やか親子21」の 指標に関する研究会のスケジュール案があります。  まず今回第1回会議を行いまして、「健やか親子21」の指標に関する研究会の進め方 について、そして見直しの必要な指標及び未収集の中間評価について討議をいたしまし た。この第1回会議の議論に基づいて見直し・評価(案)の修正を行いたいと考えていま す。また「健やか親子21」推進協議会の各団体から修正案について意見収集を行いたい と考えております。そして、第2回の会議は来年の1月下旬から2月初旬を考えていま すが、その会議において修正案の取りまとめを行いたいと考えております。 ○山縣座長  ありがとうございます。今後の進め方について何かご意見はありますか。組織の課題 が残りましたので、それまでの間にそれぞれの委員の方々に個別にご意見をいただいた り、資料の準備に入ったりすると思いますので、ぜひよろしくお願いします。これで議 事に関しては終わりにしたいと思いますので、あとは事務局にお返しします。 ○當山母子保健課主査  ありがとうございます。最後になりましたが雇用均等・児童家庭局母子保健課の千村 課長よりご挨拶をさせていただきたいと思います。 ○千村母子保健課長  冒頭にごあいさつを申し上げるところでしたが、別用がありまして大変失礼をいたし ました。もう既にいろいろご説明を申し上げていると思います。「健やか親子21」の中 間評価を受けての、今後の指標の見直しということで、いろいろご議論をいただいたと 聞きました。今後の事業の進め方等に大きくかかわってくるものですので、ぜひいろい ろご意見を出していただきまして、新しい指標のこれからの考え方に力を貸していただ きたいと思います。よろしくお願い申し上げます。 ○當山母子保健課主査  では以上で閉会させていただきます。本日はありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課 福祉係(内線7937) 電話03−5253−1111(代) 25