06/12/04 社会保障審議会福祉部会平成18年12月4日議事録            社会保障審議会福祉部会議事録 1 日時:平成18年12月4日(月)14:00〜15:34 2 場所:厚生労働省7階専用第15会議室 3 出席委員:岩田部会長、石原委員、石橋委員、井部委員、江草委員、小島委員、 京極部会長代理、鴻江委員、木間委員、駒村委員、白澤委員、 高岡委員、鶴委員、中島委員、福田委員(代理:田中栃木県保健福祉部 長)、堀田委員、村尾委員、森委員   欠席委員:なし 4 議事   「介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見(案)」について 5 審議の内容 ○岩田部会長  それでは、定刻でございますので、ただいまから社会保障審議会福祉部会を開催いた します。  まず、本日の委員の出欠状況について事務局より御報告をお願いします。 ○矢崎総務課長  本日の委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は福田委員が御欠席で、代理として栃木県保健福祉部長の田中さんがお見えです。 また、森委員、小島委員からは少し遅れて到着される旨の御連絡は受けております。  なお、社会・援護局長の中村でございますが、国会関係用務のため、3時40分頃途 中退席させていただくこととなっております。  それでは部会長、よろしくお願いします。 ○岩田部会長  それでは、早速議事に入りたいと思います。  本日は、これまでこの部会においてかなりいろいろな議論をしていただきましたけれ ども、この議論を踏まえて事務局の方で介護福祉士制度及び社会福祉士制度の見直しに ついて、在り方に関して、意見書というものを作成していただいております。お手元に あるものがそれです。この意見書の案について、まず事務局より説明をいただきまして、 それに基づいてその後、御議論いただきたいと思います。  それでは、お願いいたします。 ○成田福祉人材確保対策室長  それでは、資料1について御説明させていただきます。  まず1ページでございますが、本部会は介護福祉士制度及び社会福祉士制度について、 本年9月以降4回にわたって審議を行い、意見を取りまとめたとしております。  介護福祉士制度につきましては、本年7月に取りまとめられた「介護福祉士のあり方 及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会」の報告書を踏まえつつ、介護福祉士 制度の具体的な在り方について審議を行った、また、社会福祉士制度については、制度 の現状と課題について整理を行った上で、制度の見直しの方向性について審議を行った としております。  本意見書は、特に介護福祉士及び社会福祉士の養成の在り方を中心として、法律改正 も視野に入れつつ取りまとめを行ったものであり、福祉人材の確保については引き続き 審議を行い、人材確保指針の見直し等について検討を行っていくこととしている。厚生 労働省においては法律改正案を次期通常国会に提出するなど、改革に早急に取り組み、 着実に実行されたいとしております。  2ページからが目次でございます。第1が「介護福祉士制度の在り方について」、第2 が「社会福祉士制度の在り方について」、第3は「終わりに」という構成になっておりま す。  4ページからが第1の「介護福祉士制度の在り方について」でございます。  まずIの「介護福祉士制度の見直しに当たっての基本的視点」として、介護福祉士は 制度施行から現在に至るまで約54.8万人が資格を取得し、介護を支えるマンパワーとし て中核的な存在となってきております。  一方、制度の施行から現在に至るまでの間に、介護保険制度の施行とその後の見直し や障害者自立支援法の施行など、高齢者及び障害者に対する新しいケアに対応できるよ うな資質の確保及び向上が求められており、一方で少子高齢化が急速に進展し、また障 害者に対するサービスの利用者が急増してきている中で、介護福祉士には介護の担い手 としての量的確保が求められていることから、本部会においては、「専門資格としての介 護福祉士の養成の在り方の側面と、介護の担い手の人材確保の側面とをいかに調和させ ていくのか」という観点を基本に据えつつ、制度の在り方について検討を行ったとして おります。  IIが「求められる介護福祉士像」でございます。まず、検討会報告書において、これ からの介護福祉士の養成に当たっての目標として12項目の整理が行われていることを 御紹介した上で、今後、本部会に限らずさまざまな場においても、この「求められる介 護福祉士像」を実現していくことが最終的な目標であることを共有した上で検討を行っ ていくべきであるとしております。  例えば、介護福祉士養成課程における教育内容等の見直しについては、作業チームに おいて検討が行われており、前回御紹介したように養成施設2年課程等について、中間 的な取りまとめが行われており、引き続き具体的な教育内容、教員要件、既修得科目の 認定、他の福祉関係職種の養成課程との間の単位認定についても検討を行っていくこと とされておりますが、検討に当たっては「求められる介護福祉士像」を実現していくこ とが最終的な目標であるという姿勢を基本としていくべきであるとしております。  教育カリキュラムについては、今回の見直しにとどまることなく、今後定期的に見直 しを行っていくこととするべきであるとしております。  また、法律上の介護福祉士の役割、責務等について、例えば本部会で出された心理的、 社会的支援の側面も重要、チームとして介護を提供する中での介護福祉士の位置付け等 を明示すべき、福祉関係者との連携も重要といった指摘を踏まえ、見直しについて検討 を行う必要があるとしております。  IIIの「介護福祉士の養成の在り方」の1の「資格取得方法の見直しに係る基本的考え 方」の「(1)介護福祉士の資格取得方法に係る現行体系」として、現行の介護福祉士の 資格取得方法である3つのルートを御紹介した上で、介護福祉士資格は名称独占資格で あり、介護業務に従事する者が介護福祉士の資格を取得することを通じて、その資質を 向上させることが求められていることから、資格の取得方法として、就労前に集中的に 勉強した上で資格を取得するルート、働きながら勉強して資格を取得することも可能な ルートがそれぞれ設けられております。  (2)の「介護福祉士の資格取得方法の一元化」でございますが、介護福祉士の国家 資格については基本的な介護を提供できる能力を有する資格と位置付けた上で、資格取 得後も生涯にわたって自己研鑽するという姿を考えていくべきである。介護福祉士につ いては、新しいケアへの対応などが求められている中で、介護福祉士の資質の確保及び 向上を図っていくためには、それぞれの教育プロセスにおける教育内容や実務経験を充 実した上で、その水準を統一するとともに、すべての者が国家試験を受験するという形 で資格取得方法の一元化を図るべきであるとしております。  資格取得方法の一元化に関しましては、この部会におきまして特に福祉系高校ルート の取扱いが大きな議論となり、高等学校卒業後に2年以上の専門教育を受けて国家試験 を受験する仕組みとするべきであるという御意見と、小さいときから福祉に対して素養 を持って育ってきた者等が介護福祉士の資格を取るルートを排除すべきではなく、むし ろ多様な人材が介護福祉士となる途が確保されていることは、利用者やその家族の視点 からしても意義のあることであるとする御意見があったところでございます。この点に ついて更に議論を深めた結果、それぞれのルートについて、教員要件等も含めた教育の 内容について同等の水準が制度的に担保されることを前提として、多様な人材が介護福 祉士として実際の介護現場に入ってくることができるような途を広く開いておくことが 望ましく、3つのルートを残しつつ、すべての者について一定の教育プロセスや実務経 験を経た後に国家試験を受験するという形で一元化を行い、資格全体のレベルアップを 図ることが適当であるとの意見が大勢でございました。  2が「それぞれの資格取得ルートの在り方」です。まず養成施設ルートにつきまして は、養成課程における教育内容を充実した上で、卒業者は新たに国家試験を受験する仕 組みとするべきである。教育内容の充実については、養成施設2年課程については、作 業チームから示されたとおり、現行の1,650時間の課程を1,800時間の課程に充実する こととし、その他の1年課程についてもそれぞれ充実することとするべきであるとして おります。  (2)の実務経験ルートにつきましては、実務経験に加え、理論的、体系的に必要な 知識及び技能を学ぶ養成課程を経た場合に、国家試験を受験することができる仕組みと するべきである。具体的には、実務経験に加え、600時間程度の課程を経た場合に国家 試験の受験資格を付与する仕組みとするべきであるとしております。また、本年度から 導入されている介護職員基礎研修を修了している者は、あらかじめ理論的・体系的に必 要な知識及び技能を修得した上で実務経験を経ることとなるものであることから、2年 以上の実務経験を経た場合に、国家試験の受験資格を付与する仕組みとするべきである としております。  (3)の福祉系高校ルートにつきましては、実習時間数を拡充するなど教育内容を大 幅に充実することとするべきである。具体的には、現行制度においては高等学校3年間 の課程は1,190時間、高等学校専攻科2年間の課程は1,155時間の課程とされておりま すが、これを養成施設ルートと同様の1,800時間の課程まで充実することとすべきであ るとしております。  実習時間数についても、養成施設ルートと同等の450時間の時間数まで充実すること とするべきであるとしております。  また、現行の1,190時間又は1,155時間の課程を維持することを時限措置として認め、 当該課程を卒業した者は卒業後に9月以上の実務経験を経た場合に国家試験を受験する ことができる途も認めるべきである。ただし、このような措置は新制度の導入に伴う経 過的な措置であり、将来廃止する方向で検討するべきであるとしております。  福祉系高校については、単に教科目及び単位数のみならず、例えば教員要件、教科目 の内容等について養成施設と同等の水準が制度的に担保されるように、新たに基準を課 すとともに、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指導監督に服する仕組みとするべきであ るとしております。  3でございますが、本部会におきましては介護実習の重要性についても御意見がござ いましたので項目を立てており、実習は、介護福祉士の養成課程において非常に重要な 要素であり、効果的な実習が実施されるためには多様な介護現場で実習が行われるとと もに、養成施設等と実習施設とがそれぞれ役割を担って積極的に取り組んでいくことが 求められている。実習施設の確保の観点からも、養成施設等と実習施設との連携を推進 する方策とともに、施設側が率先して実習施設となるような方策についても検討してい くことが必要であり、実習施設の要件、実習指導者の要件等については作業チームの中 で検討をしていくべきであるとしております。  国家試験につきましても御意見がございましたので、4の「国家試験の在り方」とし て、資格を取得するためにはすべての者は国家試験を受験するという形で一元化を図っ ていく以上、国家試験の在り方の見直しが重要な検討課題とし、筆記試験につきまして は、介護福祉士として必要とされる知識及び技能を総合的に評価できるような内容とな っているかどうかについて検証が必要であるとしております。  福祉部会におきましても、単に知識の暗記を問うような問題とすべきではない、倫理 観や介護に関わる理念等については、出題内容として位置付けていくべき、基本となる ような知識を問うものについては繰り返し出題することとしてもよいといった御意見が 出されており、これも踏まえつつ検討を行っていくべきである。具体的には、国家試験 の在り方についても、作業チームの検討事項として検討を行っていくべきであるとして おります。  実技試験につきましては、現在、介護技術講習を修了した者については実務試験を免 除する措置が講じられておりますが、これと同等程度の技能の獲得が養成課程において 担保されるものと考えられるルートについては、実技試験を免除する取扱いとすること が考えられることから、養成施設ルート、600時間程度の養成課程を経る場合の実務経 験ルート、1,800時間の教育時間を確保した福祉系高校ルートについては実技試験を免 除することとすべきであるとしております。  5は「専門介護福祉士(仮称)の検討」ということで、資格取得後の、さらに重度の 認知症や障害等への対応、管理能力等の分野について、より専門的対応ができる人材を 育成していくことが求められており、専門介護福祉士の在り方について、有識者や関係 団体で早急に検討を行っていくべきであるとしております。  6は「その他」でございますが、まず(1)の「通信課程の取扱い」につきましては、 現在養成施設ルートにおきましては実習及び演習の時間の比重の大きさの観点等から通 信課程は認められておらず、このような基本的考え方は維持するべきである。  一方で実務経験ルートにおいては新たに600時間程度の養成課程を経なければならな いこととなりますが、これは働きつつ学べるように通信課程を認めることとするべきで ある。また、福祉系高校ルートについては、現在NHK学園などにおいて通信課程が設 置されておりますが、これについては現行の1,190時間又は1,155時間の課程を基本的 に維持することを時限措置として認め、卒業後に9月以上の実務経験を経た場合に国家 試験を受験することができる途を認めるべきである。ただし、このような措置は新制度 の導入に伴う経過的な措置であり、更なる見直しの検討と併せ、通信課程への取扱いに ついても検討を行うこととするべきである。  (2)は「実務経験の取扱い」でございます。実務経験として認められる範囲につい て点検を行っていくほか、ボランティアとして従事した場合にあっても実務経験の期間 として算入される現行の取扱いについても見直す方向で検討するべきであるとしており ます。  (3)の「その他のルートの取扱い」でございますが、これまでに実績のない技能検 定ルート、またはほとんど実績のない「厚生労働大臣の指定した職業能力開発校等」に つきましては、これに係る規定を廃止するべきであるとしております。  (4)の「介護現場における医療提供の在り方」でございますが、この部会におきま して介護福祉士制度の在り方に関する議論に関連して、介護現場における医療提供の在 り方について問題提起があったところでございます。この問題につきましては、介護保 険法の改正の際の附帯決議においても触れられており、また介護職員による医行為につ いては平成15年、平成17年に一定の取扱いが示されているところでございます。本 部会としては、関係部局はこの問題について速やかに検討に着手すべきであると考える としております。  7の「実施時期」につきましては、具体的な時期は明示しておりませんが、まず教育 内容の充実については養成施設等における対応に要する時間を考慮しつつ、できる限り 早期に実施することが望ましい。また、資格取得体系の見直しについては、既に養成施 設に入学している者等の期待権や教育機会の準備等にも配慮しつつ実施していくべきで あるとしております。  IVの「介護の担い手の人材確保」につきましては、引き続き本部会において審議を行 い、人材確保指針の見直し等について検討を行っていくこととするが、これまでに行わ れた議論を整理すると、介護福祉士資格取得者には資格取得後のOJTのほか、生涯に わたる能力の向上が求められていることから、これに対する支援を行っていくことが重 要である。このため職能団体等による資格取得後の研修の実施に向けた取組等による体 制の整備のほか、事業者の側においても研修機会を確保するような積極的な取組が求め られる。  介護職員の就労状況につきましては、離職率が高い等の特徴も指摘されているため、 介護労働者の雇用管理の改善等に取り組むほか、介護保険制度等の中でも介護福祉士を 積極的に位置付けていくべきであり、介護報酬等において評価を行うことも含め、サー ビスの質に応じた評価の仕組みを構築していく観点から検討を行っていくべきであると しております。  第2の「社会福祉士制度の在り方」のIの「社会福祉士制度の現状と課題」の1でご ざいますが、社会福祉士は、制度施行から現在に至るまで約8.3万人が資格を取得して おり、主な就労先は社会福祉施設等、社会福祉協議会等、医療機関等となっております が、介護保険事業の生活相談員等や福祉事務所の職員のうち、社会福祉士資格を有して いる者の比率は必ずしも高くない状況にございます。  社会福祉士の任用・活用が進んでいない現状を踏まえ、社会福祉士制度の課題を整理 すれば、社会福祉士の活動が見えにくく、社会的認知度が低くなっているのではないか。 社会福祉士として求められる高い実践力を有する社会福祉士が養成されていないのでは ないか。社会福祉士には生涯にわたって自己研鑽することが求められているが、資格取 得後のOJTの仕組みのほか、能力開発やキャリアアップを支援するための研修体系等 の整備が進んでいないのではないかといった点を挙げることができます。  2は「社会福祉士を取り巻く状況の変化」でございますが、制度の施行から現在に至 るまでの間に、社会福祉士を取り巻く状況は大きく変わってきており、このような変化 を踏まえ、今後社会福祉士に期待される地域福祉を基調とした新たな役割について整理 を行っていくことが必要である。  その際、法律上の社会福祉士の役割、責務等について、例えば家族や地域社会の福祉 課題への働きかけなど、地域福祉における役割等を明示すべきではないか。地域の多様 な福祉機関やその他の関係機関、諸団体との連携を推進する役割や、社会資源の調整や 開発を行っていく役割を明示していくべきではないかといった指摘を踏まえ、見直しに ついて検討を行う必要があるとしております。  IIは、「社会福祉士の養成の在り方」で1の、「社会福祉士の養成の現状と課題」とし て、国家試験の受験資格として、大きく福祉系大学等ルート、一般養成施設ルート、短 期養成施設ルート、行政職ルートの4つのルートがあり、国家試験の合格率は全体で約 3割と非常に低い水準にあり、大学等や養成施設別に見てばらつきが見られる状況にな っております。  国家試験の合格率の状況のみが社会福祉士の養成における課題を徴表するものではご ざいませんが、このような状況を踏まえますと、社会福祉士の養成における課題といた しましては、教育カリキュラムについて社会福祉士を取り巻く状況の変化を反映したも のになっていないのではないか、社会福祉士として求められる技能を修得することが可 能となるような実習内容になっていないのではないか、福祉系大学等ルートについて、 教育内容等は大学等の裁量にゆだねられる仕組みとなっていることから、ばらつきが見 られるのではないかといった点を挙げることができます。  2の「教育カリキュラムの在り方」につきましては、社会福祉士を取り巻く状況の変 化の中で地域を基盤とした相談援助等の分野において新たに社会福祉士が役割を担って いくことが期待されているため、教育カリキュラムについても、例えば、権利擁護のた めの法知識、ケアマネジメント、就労支援等に関する知識及び技能を修得することが可 能となるよう検討していくべきであり、具体的には専門家・実践者による作業チームを 設置し、早急に検討を進めていくべきである。その際には、現在1年以上とされている 修業年限を前提としつつ、新たな分野の追加等についても検討を行って、最大1,200時 間程度までの範囲内での時間増も視野に入れつつ検討を行っていくべきである。また、 福祉系大学等の指定科目名の見直しについても検討を行っていくべきである。このほか 国家試験の在り方についても作業チームの検討事項として検討を行っていくべきである。  教育カリキュラムについては、今回の見直しの後においても定期的に見直しを行って いくこととするべきであるとしております。  (2)の「実習の在り方」につきましては、一般養成施設ルート等におきましては、 実習に係る時間数、教員要件等については基準が設定されている一方、実習の具体的な 内容に関する基準は設定されておらず、実際には介護業務の補助や施設見学に過ぎない ような事例も少なからず見受けられるところでございます。福祉系大学等の実習内容は、 大学等の裁量にゆだねられる仕組みとなっております。このほか、国家試験の合格率が 約3割でございまして、実習が実際の社会福祉士資格の取得に必ずしも生かされていな いという現状が指摘されております。  つきましては、実習の質の担保及び標準を図っていくために、(1)実習の必須事項につ いて検討し、これを明示するとともに、典型的な実習モデルを提示できるような研究を 進めていくべきである、(2)実習指導体制については、実習担当教員について社会福祉士 資格を有する者であること等を要件とする方向で検討し、実習指導者については、研修 の充実を図っていくべきである、(3)実習の対象となる施設や事業の範囲の拡大について 検討するべきであるとしております。実習の質の担保及び標準化のためには、まずは社 会福祉士の担う役割について整理を行って、見直しを行った上で実習時間数の在り方に ついても検討すべきであるとしております。  このほか、福祉系大学等における実習についても基準を設け、実習教育の質を制度的 に担保し、適切な実習指導を行っている施設に対して社会的な評価が高まるような配慮 等について研究を進め、通信課程の実習時間数を昼間課程及び夜間課程と同等な時間数 とする見直しを検討するべきであるとしております。  3の「それぞれの資格取得ルートの在り方」でございますが、(1)の「福祉系大学 ルート」につきましては、国家試験では評価が難しい実習・演習系の指定科目について は、教育内容、時間数等について新たに基準を課し、実習・演習教育の質を制度的に担 保していくことを検討するべきである。  (2)の「行政職ルート」につきましては、実務経験のみをもって受験資格が付与さ れるルートでございますが、必要な技能を体系的に修得する機会を確保するため、4年 以上の実務経験を経た後に6か月以上の養成課程を経た上で国家試験を受験する仕組み とすることを検討すべきである。  (3)の「社会福祉主事としての任用資格を有する者による社会福祉士資格の取得の 取扱い」につきましては、社会福祉主事養成機関の課程を修了した後、2年以上の実務 経験を有する者につきましては、6か月以上の養成課程において必要な知識及び技能を 修得すれば、国家試験の受験資格が付与される仕組みとすることを検討するべきである としております。  4の「実施時期」につきましては、具体的な時期は明示しておりませんが、福祉系大 学等ルートにおける実習・演習の質の担保に係る措置等については、福祉系大学等にお ける対応に要する時間も考慮しつつ、できる限り早期に実施することが望ましく、行政 職ルートの見直しについては行政職ルートにある者の期待権等にも配慮しつつ実施して いくべきであり、社会福祉主事としての任用資格を有する者に係るルートについては、 できる限り早期に実施していくことが望ましいとしております。  IIIが「社会福祉士の任用・活用の在り方」でございます。今後、地域包括支援センタ ー、生活保護における自立支援プログラム、障害者に対する相談支援事業等の地域を基 盤とした相談援助等の分野において、社会福祉士がサービスを担っていくことが期待さ れておりますが、社会福祉士の専門的な知識及び技能が福祉現場において必ずしも発揮 されていない状況を改善していくためには、行政や関係者がそれぞれ積極的な役割を担 っていくことが求められております。  行政におきましては、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司等の任用資格として社会 福祉士を位置付ける方向で検討し、施設長、生活指導員等の任用要件についても、福祉 サービスの質の向上やサービスマネジメントの観点から見直しを行うことが考えられ、 社会福祉事業等の経営者においては、実習施設としての取組に加え、社会福祉士の能力 開発とキャリアアップのために積極的な支援を行っていくべきであり、養成施設等にお いては、実践力の高い社会福祉士の養成に取り組み、職能団体においては、社会福祉士 の活動に係る社会的認知を高め、社会福祉士による様々な実践の事例を集積し、フィー ドバックし、社会福祉士に対して専門的な支援、助言、指導等を行い、資格取得後の体 系的な研修制度の一層の充実を図るといった取組を進めていくべきであるとしておりま す。  「第3 終わりに」ということで、介護福祉士制度及び社会福祉士制度双方について、 制度施行後18年間に介護や社会福祉を取り巻く環境が大きく変化していることから、厚 生労働省においては、本意見書を踏まえ、制度の見直しに早急に取り組んでいくべきで ある。  資格取得体系については、まずは今回の改革を着実に実施していくことが重要である が、新しい資格取得体系の実施後の状況などを踏まえ、さらなる見直しについて検討を 行っていくことが考えられる。  その際には福祉サービスが契約に基づく「消費者本位」の仕組みへと転換が図られて いることを踏まえつつ、消費者の視点から検証を行っていくことが求められる。具体的 には、利用者やその家族の視点からみて高い満足やQOL、安全が実現されているかに ついての評価を踏まえつつ、それが資格取得体系にきちんと反映されているかどうかと いう観点から検証を行っていくことも必要であるとしております。  30ページからは、関係資料を付けさせていただいております。以上でございます。 ○岩田部会長  どうもありがとうございました。大変大部な意見案でございまして、要領よくおまと めいただきまして本当にありがとうございました。  それでは、まず前半の介護福祉士の方から御意見があればちょうだいしたいと思いま す。どうぞ、どの点からでも結構です。  では、鴻江委員どうぞ。 ○鴻江委員  それでは、専門介護福祉士の部分のところで2つほど、1つは要望、1つは意見とい うことでお願い申し上げたいと思います。  介護職員の生涯を通じた能力開発とキャリアアップということで、現在グループホー ムあるいは認知症通所介護等におきましては、その認知症の研修を受けた方たちが人員 配置となっております。それと、個室ユニットケアにつきましてはユニットケアのリー ダー研修あるいは管理者研修を受けた方たち、また今回地域密着型の管理者研修という ことで、私はグループホームはユニットの最たるものだと思っておりますし、地域密着 にもそういったグループホームが含まれるわけですけれども、この研修の在り方ですね。 それと、スーパーバイザーの養成講座というふうに名称もばらばらということで、もう 少しこの研修を整理して、名称も一本化していただきたいと思っております。  それから、人材確保の部分でもう一つは環境整備ということです。御利用者にとって 快適な生活を提供するための環境整備はもちろんなのですが、介護職員の方々に対しま しても働きやすい場所を提供するということで、介護の分野は離職率が非常に高い。そ の理由の一つに、介護の仕事は非常にきついという部分がございます。例えば入浴一つ を取りましても、認知症が進んでまいりますとお風呂に入るすべといいましょうか、誘 導して入っていただくことはできるんですけれども、上がる行為がわからないといった ような方たちもいらっしゃるわけです。そうしますと、その体型に応じて非常に介護す る方たちが大変な思いをいたします。コルセットをはめながらやっていらっしゃる職員 の方たちも大変多いわけですけれども、そういった介護者の方たちの介護負担の軽減と いう意味では、これは費用もかかる部分ですが、介護機器の導入ですね。ある意味では 自立支援を促すような機器、そしてまた介護職員がやりやすい、非常に負担が軽減でき るような機器等の環境整備というものはこれから事業者にも求められるのではないかと 思っております。2つ申し上げました。以上です。 ○岩田部会長  ありがとうございました。では、森委員どうぞ。 ○森委員   29ページの最後のポツを先ほど読んでいただきましたけれども、本当に大きく措置 から契約へと変わったこの視点が私は利用者にとってどれほど大切な視点であるか。こ れは介護福祉士だけではなくて社会福祉士の分野についても、最終的には利用者あるい は消費者という視点になって初めて社会福祉士も介護福祉士もどういう求められる資格 像を打ち立てていくかということが根本になければ、せっかく措置から契約に変わった ことが、ある面では例えば事業者本位あるいはまた今回養成施設の問題を含めていろい ろなことを御議論された中で、私は根本はそこに置いて、利用者本位とか消費者本位と いう措置から契約へという視点をいろいろな分野できちんと持っていただきたい。  そのためには、先ほど早急に取り組んでいくとか、あるいは早期にとか、いろいろな 言葉を使われました。ある面では、そういう視点からいくと直すべきことは早く直して いって使い勝手のいい、いわゆる資格像を制度にしていくことが私はこれからますます 求められるのではないかと思います。取り分け最後のところは本当に意味があると私は 思っていますので、ここら辺は特にいわゆる全体の思想としてこれを反映していただき たいと思います。 ○岩田部会長  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。かなり今までの議論を取り込 んで丁寧にお書きいただいていますが。 ○田中委員代理(福田委員)  栃木県知事の代理で来ました田中でございます。  前回、知事の方からも話があったかと思うのですが、現在福祉行政を担当している立 場といたしまして、報告書の方をざっと読ませていただいたのですが、確かに数的にも 増えて本当に多様なサービスが求められておりまして、以前であれば介護だとか福祉だ とか一部の人が受けるものという状況から、基本的にすべての住民のライフスタイルの 中に、長い短いは別にしましても受けるということが前提条件になっていまして、そう いった多様なニーズにどう行政はこたえるんだということでしばしば議会でも質問など をいただいております。  基本的にはすべていろいろなバックグラウンドを持った人が福祉、介護の場に入って くるということで、今回多様な人材を多様なルートから登用していただくということで 福祉系ルート、ここについても教育内容を充実させるということで入れていただいてお りますが、基本的には教育内容の充実といった面につきましてはきちんとやっていくと いう前提条件でありますが、引き続きこういった論点につきましても充実させていきた いと考えております。 ○岩田部会長  ありがとうございました。そのほか、介護福祉士の方に関していかがでしょうか。  では、江草委員どうぞ。 ○江草委員  幾つか申し上げたいと思いますが、その前に今回の原稿を見ますと大変よく私たちの 議論が取り上げられているということで評価できると思っております。  私は幾つかの点を申し上げていたわけでありますが、それは介護福祉士を中心とした 介護チームというものが存在する、その介護チームの中で介護福祉士の役割は一体何だ ろうかということを考えてみるべきだということを何回か申し上げました。今回の原稿 を見ておりましても、介護保険の施設サービスで就労する介護職員の約4割、在宅サー ビス、就労に関する介護職員の約2割が介護福祉士となっているとあります。というこ とは、あと6割ないし8割の方は介護を行うさまざまな方であるということになろうか と思います。恐らく一番多いのはホームヘルパーさんではなかろうかと思います。  そこで、介護のチームの在り方というものをよく考えてみなければいけない。介護サ ービスイコール介護福祉士の仕事であるというとらえ方での議論が少し整理されたのか という点では、私は大きく評価するものではありますが、同時に今後の問題としてちょ うど看護がチームナーシングという形で理論的にも、あるいは現実的にも定着しており ますように、介護のチーム作業というものが理論的にも、あるいは現実の問題としても 整理されるべきではなかろうかと思っております。これが1つでございます。  次に、いろいろな議論の根底は出発点が同じでない、条件が同じでない教育というも のを一緒にするのはどうだろうかということではなかったかと私は思っております。そ れでいきますと、6ページの上3分の1のところに、具体的な教育内容に加え、教員要 件、施設設備基準、実習施設の要件、実習指導者の要件のほか、養成課程同士の間での 既修得科目の認定やその他福祉関係職種の養成課程との間の単位認定についても検討を 行っていくとありますが、私はこれは大進歩であると思っております。  同時に、この問題は後ろに、厚生労働省及び文部科学省がともにこの問題については 責任を持ってお進めいただくような記載がありますが、これも今までになかったことで ありまして大きな進歩ではなかろうかと思います。国家試験を受けることで一元化する ということはもちろん大事なことでありますが、同時に教育課程も一元化するというこ とでなければいけないのではないかと思います。  3番目でありますが、私は度々高等学校の課程について議論いたしましたが、先ほど 来のお話にもございますように、多様な介護職の確保、介護福祉士の相当数の量的な確 保が課題となっているということは、よく認識いたしております。  そこで、ではさまざまでいいのかということではないのであって、一元化ということ は非常に大事だということを今も申し上げているわけでありますが、その意味からどこ かに専攻科の設置という言葉があったと思いますが、私は一回専攻科について検討され たらいかがであろうかと思います。看護の場合には準看さんが2年間の専攻科をやりま して正規の看護婦になるというルートがありますが、そういうこともお考えになってみ たらいかがかと思っております。  それから国家試験の問題でありますが、これは早急に改善していただきたい。来年春 というわけにはいかないので再来年でしょうけれども、やっていただきたい。これはも ちろん教育内容が変わってからそれに対応した国家試験になるのは当然ですが、それ以 前に今の国家試験も新しい教育カリキュラムが修了するまで待たないでやっていいんじ ゃないかと思います。  それから、専門介護福祉士の問題については早急に御議論いただきたいと思います。 以上です。 ○岩田部会長  ありがとうございました。そのほか、介護の方はよろしいでしょうか。もしありまし たらまた後で追加していただきまして、それでは後段の社会福祉士の方について御意見 があればどうぞ。 ○石原委員  社会福祉士も参加して介護現場をやっているわけですけれども、その中で管理職にな っていくようなときに社会福祉士を受験して取っていくという経過が多いんです。現場 の経験を持っている人たちは社会福祉士の資格そのものというよりもその勉強が大きな 効果が有り制度を学ぶということで社会を広く見るという力がつくと思います。制度等 から入ってしまうとなかなかわかりにくいかもしれませんが、障害を持った方の生活を 知って、それから制度を見ていくと非常に社会がよくわかってくる。  23ページに、社会福祉士の方々が実習に行かれたときに介護業務の補助や施設見学 というふうになっておりますけれども、これが本当は全く効果がないかというとそうで はなくて、きちんと介護の現場に入ってそういったことをやるということがないと、自 分はこんな専門じゃないんだと言って知らん顔をしていたらせっかくの実習が役に立た ない。むしろこういったところからきちんと介護に入っていくということで、逆に社会 福祉士の勉強の大切な実習になるのではないかと思います。 ○堀田委員  介護福祉士については、私はこの答申は非常にいいものになっていると思います。そ れは、介護福祉士の仕事も社会的にはっきりしておりますし、その養成についても長い 養成の経験があって、それを踏まえての議論になっておりますので、実態にも即し、提 言の趣旨も論理の通ったものになっていると思います。  それに比べまして、社会福祉士の方の記述は実態もよくわからないし、なぜそういう ことを検討することになるのか、そこもよくわからない。非常にそこの差が大きいと思 います。  その理由は前回も申し上げましたけれども、社会福祉士の果たすべき役割について、 これは法律的にも中身が非常に漠然としており、実態としても非常に漠然としておる。 基本のこの役割自体が固まっていないのに、その上で何をどれだけ教えるとか、どうい うコースがあるとか、そういう議論に入ってしまうから話の筋が通らないことになって いると私は思います。  ですから、社会福祉士の役割には、本人が果たすべき役割、あるいは既にあるサービ スにうまくつなぐ役割、それがない場合には、更にはそれを場合によっては創出する役 割までと非常に幅広いものがあって、それは実態的にどの分野でやるのか。これは前回、 中村局長から早急に検討するという話がありましたが、そこの中身がこの中に出ていな い。そこを検討するとしておりながら、コースは、行政コースと養成コースと社会福祉 主事のコースという3つのコースはそのまま一応置きつつ、更にそれをどうするこうす るということを検討する細かい話になってしまっている。  場合によっては、主事についてこれでいいのか。行政コースというものをそもそも認 めておいていいのかどうか。認めるならばどの範囲にするのか。その辺りが社会福祉士 の役割から出てくるべきなのに、そこのつながりができていない。ましてやその時間を 6か月養成コースにするのは、どこから一体そういうことが出てくるのか全くわからな い。少しきつい言い方ですが、私はそういうふうに感じます。  したがって、この答申の書き方としては基本的なところをしっかりこういう視点から 検討する。その役割を果たすのにどういう養成をすればいいのか。そして、どういう実 習をすればいいのか。どれくらいすればいいのか。そのことはしっかり役割を踏まえて、 そこから検討するという程度にとどめるのが、現段階では相当な報告書のつくり方では ないかと思います。 ○岩田部会長  ありがとうございました。いかがでしょうか。では、京極委員どうぞ。 ○京極部会長代理  今の堀田先生の発言に関連いたしまして、介護福祉士は検討会でかなり時間をかけて、 それを踏まえてこの部会でも審議をしたという経緯がございます。社会福祉士の方はそ れがなくていきなりここでやったということなので、時間的にも必ずしも十分かどうか ということがありますが、ただ、26ページの最初の○にありますように「社会福祉士 の任用・活用の在り方」で、ここに任用と書いてしまうからちょっとあれですけれども、 新しい社会福祉士の役割が書いてありますので、ここの場所に持ってこないでもう少し 社会福祉士の在り方のところを最初の方に持ってくる手があるのではないか。  実際には、特に地域を基盤とする相談事業とか、権利擁護とか、地域福祉計画の策定 というような新しい現場ニーズにこたえる仕事があるということが書いてありますから、 これを任用の仕方、活用の仕方だけに書くのではなくて、これはあくまでも社会福祉士 の新しい役割だということをもう少し積極的に打ち出せば、少しトーンが変わってくる のではないかと思います。 ○中島委員  私も堀田委員のおっしゃったことは本当に賛成で、これだけを読んだのではよくわか らないという印象はあります。  ただ、私なりに社会福祉士というものがどういう役割を担っていくのかと、資格とし てちょっと考えたところを申し上げますと、我々の学者の世界というか、実務でもそう なんですけれども、例えば博士号みたいなものがありまして、大学院で所定の単位を取 るとか、あるいは博士論文を書いてそれが通るということで博士号をもらう。  しかし、博士号をもらうということは決してそれが終点ではなくて、博士号を取った からこの人は何でもできる、私は経済学ですが、経済学について何でもわかっている、 実務のこともわかるというわけでは全然ないんです。むしろそれを取ったことが出発点 であり、そこからその人は専門的にその学問の領域で頑張ってやっていくという一種の 決意表明みたいなものです。  ですから、私は社会福祉士というのも、福祉のそういう意味では専門家というものを つくる上での出発点で、この資格を取るということはその人はこの領域で専門的にやっ ていくんだ。その後、恐らく実務を勉強しながら仕事を通じていろいろな人的なものを 積み上げていく。それで最終的にその方が福祉の業界で非常に頼りになる存在になる。 そういうような資格なのかなという感じがします。  というのは、この資格の要件なり、求められる人材を見ると非常に幅が広くて、こう いうものを最初からすべて資格を取らせる段階で求めていくというのはちょっと無理で はないかという感じがするんです。ですから、一つの例えですが、博士号みたいな役割 を福祉の領域の中で社会福祉士というものに与えていく、あるいはそういう責任感を持 ってもらうということが望ましい社会福祉の制度ではないかという感じがいたしました。 ○岩田部会長  ありがとうございました。社会福祉士の仕事といいますか、機能の整理としては一応 これまでの御議論や、あるいはもちろん今までの社会福祉士、実際に社会福祉士がやっ ている仕事、あるいは果たしている機能というものがないわけではなくて、かなりはっ きりしている部分もあるわけで、それは一応3点に整理したわけですね。  24ページに実習絡みではありますけれども、利用者の相談をするというのは結局は 利用者の自己決定に基づくサービス利用を支援していく役割があるんだということと、 それから前回の議論にもありましたように、いろいろな関係機関その他社会資源を利用 して今度は具体的に日常生活を支援するんだということと、それから社会資源の調整開 発あるいはネットワークの形成というような地域福祉の推進、この3点についてはこれ までの資料よりははっきりした形で整理はしてあるんです。  それで今、中島委員の御発言にありましたように、そもそも特に3番目のものとか、 あるいは1番目も2番目の機能についても、かなり具体的な職務内容や職場に落として 列挙できるだけではなくて、恐らく新たに仕事をつくっていくというようなものがある ので、今まさにおっしゃったように、そういうことができる能力があるという資格なん だろうと思うんです。その辺が社会からはなかなかわかりにくい。実際に利用してみれ ばわかるわけですけれども、そうでない場合は非常にわかりにくいことになっているん だろうと思うのです。  京極委員がおっしゃったような形で、具体的な活躍の場のようなものを多少列挙して いく必要があるのか。列挙だけではなくて、そこで果たす役割をもう少し前の方でも書 いておいた方がいいのかもしれませんけれども、少しそちらにより重みを置いて果たす 役割についての整理をした上で今後、更に検討すべき課題として養成ルートの問題とか カリキュラムの問題等々をもう少し具体的に詰めていくということで整理していった方 がいいでしょうか。 ○京極部会長代理  部会長の方から御発言がありましたが、それをちょっとさっき落としたんですけれど も、内容的にはかなり網羅されていて、私は社会福祉士についてもよくできていると思 いますけれども、見た目によっていきなり教育カリキュラムの実施に入ってしまいます から、社会福祉士の役割は何かというところを十分見ると後ろの方に書いてあったり、 いろいろなところに書いてあるので、1と2の間に、つまり社会福祉士の養成の現状と 課題とカリキュラムの在り方の前に、社会福祉士の新たな役割とか、そういう項目を設 けて、今24ページの実習のところで御指摘があったわけです。それと、26ページの 社会福祉士の任用のところをまとめて、社会福祉士が今後果たすべき役割ということを 一つにまとめた方がわかりやすいのではないか。それがないからすぐ実習とか具体的に なって、よく中身を見るといろいろ点在されて書いてあるので、内容的にはここで議論 した内容が私は入っていると思います。  ただ、ちょっと読んだだけではなかなかわかりにくいところがあるので、介護福祉士 の方はイメージまで具体的に書いて12のポイントなどがあってわかりやすいんですけ れども、それがない関係もあって、社会福祉士の新たな役割とか、任務とか、そういう ことをここにある文章をただまとめるだけでも大分はっきりしますし、国民に訴える場 合もイメージがわく。ずっと読んでいって、実習の先のここの中に出ているということ ではちょっとまずいのかなと、後で気が付いたことで申し訳ないんですけれども。 ○岩田部会長  小島委員、どうぞ。 ○小島委員  私も今、京極部会長代理あるいは堀田先生がおっしゃったようなところを感じますの で、介護福祉士については介護福祉士見直しに当たっての基本的視点があって、そして 求められる介護福祉士像ということがあって、それで具体的な教育あるいは実習に入っ ているので、社会福祉士の方もやはり見直しに当たっての視点、そして前回私も、求め られる社会福祉像が12項目挙げられていた中に、更に就労支援というようなこともこ れから重要なテーマになるというお話をしましたので、これから求められる社会福祉士 像というところがこの本文に幾つか入っていますので、その辺を整理してもらうとわか りやすいのではないか。  地域福祉もこれから極めて重要なテーマだということになっていまして、社会福祉士 法の中にも改めて地域福祉の推進という項目が入っているということがありますので、 そういうものを担っていく人材として位置付けるというようなことが前段の方で整理さ れれば、ここで指摘しているような見直しというのはよりわかりやすくなるのではない かと思いますので、その辺の工夫が必要かと思いました。 ○堀田委員  せっかく部会長、部会長代理が一生懸命まとめようとしておられるので、私もその線 に最終的には乗りますけれども、今、中島委員のおっしゃった意見も全部わかるのです が、やるべきことが申し上げておりますように自分でやるときに必要な知識と、それか ら人の力を借りるときの知識、やり方とは全然違うわけです。  例えば、新しい役割として京極委員もおっしゃいましたが、権利擁護というものが新 しく入ってくる。これは自分でやるべきことのように扱われておりますけれども、権利 擁護をしっかり自分でやってもらうならば、これは千何時間程度の勉強ではとても足り ないので、しっかり法律を勉強して、司法試験を通れとは言いませんけれども、相当の 時間を使ってもらわなければいけない。  そんなことは社会福祉士に求めるのもおかしいし、できっこないことなので、それで はどの程度の勉強を自分でこなして、あとは権利擁護で出てくるある程度複雑な問題に なったらそれをどこへどのようにつなぐのか。成年後見制度をどう利用するのか。弁護 士等を利用するのか。その辺りはどこまで勉強するのか。これは、職場に入ってから勉 強するとしてもそれには限度があるはずなので、どこからどこまで自分でやってどこか ら先につなぐか。そういう問題がいろいろな分野の問題として出てきます。  その辺りをしっかり実態として詰める。そうすると、社会福祉士になろうとする者は、 ここまではとりあえず自分はやらなければいけない。その入り口のところはここで勉強 して受かろう。あとは自分で勉強しよう。それから先は、人の知識をこういうふうに上 手に使おう。その使い方はまた別途、技術論で勉強しているから、それを使っていいネ ットワークを使っていこう。そういうふうにオン・ザ・ジョブ・トレーニングで勉強し ていく道筋が見えて成長していく。  その過程をしっかり描いておいてあげないと、わけがわからないことになってしまう のではないか。そのことを追加して申し上げたい。報告書としてはその役割のところ、 今申しましたようなことを書いていただければ私はそれで満足です。 ○岩田部会長  では、白澤委員、村尾委員の順でどうぞ。 ○白澤委員  前回、望ましい社会福祉士像という12項目がございましたが、あれを是非この中に うまく入れ込んでいただければもう少し見えてくるのではないか。  それから、堀田委員が今おっしゃったことで、どう仕分けをするかというのは非常に 難しいわけですが、ストーリーを逆に1、2、3というものを利用者の相談に乗って云 々ということではなくて、やはり社会福祉士の仕事というのはコーディネーションと言 ったらいいんでしょうか。ほかの資源をきちんと使うということが一番大事で、その中 で利用者が自分で力をつけていくということなので、1、2、3のニュアンスを少し入 れ替えていただければ今、堀田委員のおっしゃった部分が、一番大事なことはこういう ことです。しかし、それに合わせて社会資源をつくっていくこともあり得ますと、ちょ っとウェート付けの議論をしていただければ少し仕事が見えてくるのではないかという 意見でございます。 ○村尾委員  私は、今回の議論は現在の社会環境の変化に沿った現実的な議論が随分されて、それ が大分盛り込まれていると思います。特にどういう仕事をするかという領域の議論を随 分この中に盛り込んでいるのではないか。それからもう一つは職域ですね。これは任用 とか、そういうところなんですけれども、その議論が定義に結び付くかどうかというの はまたもう一つの議論だと思います。  それから、資料で見ますと27ページの上のところに書いていますように、人材養成 の確保という立場では行政と社会福祉事業等の経営者、養成施設、職域団体、こういう 役割を明確にしたということは大変私はありがたいと思いますし、職能団体としてはこ ういう役割が明確にされたということは感謝申し上げたいと思います。  それから、このページで追って申し上げますと、2つ目の○のところでは経営者の役 割ということをしっかり書いていただいているのですけれども、実践力の高い社会福祉 士をどう養成するかということで、これは実習のことを書いておりますが、積極的な支 援をする。ここにつきましては、やはり積極的に取り組むというインセンティブのよう なものをここに盛り込んでいただく。そういうものがあれば、なお経営者そのものが人 材養成について効果が発揮できるようになるのではないかと思っております。  それから、一番下の○には職能団体のことをたくさん書いていただいておりますが、 最初の広報のところにつきましても会員以外とか市民向けに職能団体は実施しておりま すけれども、これを更にやっていきたいと思いますし、この実践の事例というのは社会 福祉士の養成の中でとても大事だと思います。事例にいかにたくさん出会えるかという ことがその養成に関わってきますので、現在現場で事例に出会うというのは非常に難し いんですけれども、演習とか、いろいろなやり方を考えて進めていくことではないかと 思っております。  一番下のところはバックアップ体制というものをしっかりつくらないと社会福祉の活 動というのはなかなか進まないのではないかということでございますし、28ページの 専門社会福祉士ということにつきましても生涯研修プログラムというような形で体系的 にお話がありましたようにレベルアップということで取り組む必要があるのではないか と思っております。  それから29ページの最後の○のところでもう一つ申し上げたいのですが、評価を踏 まえつつ、また研修ということがございますし、その前の23ページのところに定期的 な見直しが必要というふうな意見も書いておられますけれども、そのために定期的なデ ータの検証というものが必要ではないかと思います。任用とか活用状況の実態調査、こ ういうものがしっかりとれるような仕組みを考えていく必要があるのではないかと思い ます。  専門職団体は会員だけについてはかなり実施しておりますけれども、それ以外の人も 含めて、例えば登録団体、登録機関などの御協力を得て実施していただければと思って おります。 ○岩田部会長  それでは、田中委員代理、森委員どうぞ。 ○田中委員代理(福田委員)  私どもも社会福祉士を任用する立場ということで、私どもの保健福祉部にもいろいろ と児童相談所等にこういった方々は任用という機会があるわけでございまして、またこ の報告書を見ますとそういった方の任用資格として位置付けるといったことが触れられ ております。  是非ともこういったことを今後進めるためには、先ほど委員の方からもお話がありま したが、29ページの最後ですね。そもそもこの資格として、その人がどういう難しい 試験を通ったかとか、どれだけ長い期間勉強したかというよりは、やはり一番大事な視 点としましては利用者やその家族、私どもの目から見て住民のサービス、どういった点 から高い満足やQOLが実現されているかという評価ですね。こういったことの評価を きちんと踏まえた上で、やはりこの職種は必要なんだ、これだけ喜ばれているんだとい ったような実績というか、そういったエビデンスに基づくということが、非常に今、地 方公務員に対して厳しい状況なのですが、今後行政としてもあえてその中を押してこう いう方々を任用していかなければいけないんだといった状況をつくっていくためにもこ ういった部分の視点、きちんとした評価の結果というものを私たちとすれば求めたいと 考えております。 ○森委員  この4月から、実は地域包括支援センターで社会福祉士がチームに入ってやっている わけです。そういう中で、やはり社会福祉士そのものが住民の皆様方にはまだなかなか 見えにくいという現状があるわけです。  それからもう一つ、社会福祉士の方たちでもいろいろなケース事例の積み重ねが幅の 広い活動にもつながる。これは、実は今回のこの言葉の中で先ほど白澤委員がコーディ ネートということをおっしゃいましたが、私はつなぐということで、いろいろなサービ スにどうつなげていくかということがある面ではものすごく求められる。  こういうことはある意味で私ども取り分け保険者であり、あるいはまた行政として社 会福祉士をこれから積極的に活用しようと思う場合、例えば求められる社会福祉士像、 先ほど12項目のお話もされましたし、どういう役割を担っていかなければいけないか がある面では国民的なコンセンサスを得られるようにしていかないと、ただ私どもが社 会福祉士を現場に配置しておりますというだけではなかなかわかっていただけないと思 いますので、その辺のことも含めて是非いろいろまたお考えいただきたいと思います。 ○岩田部会長  ちょっと誤解のないように申し上げますけれども、実際に社会福祉士の方や、あるい は社会福祉士と同じ仕事をしていらっしゃる方々というのは、もう既にそういう仕事を 相当しているのです。これは村尾委員が一番よく知っていらっしゃいます。  それから、先ほど堀田委員がおっしゃったように、自分が法律相談をするのではなく て、司法書士会と結んでやっていくとか、たとえば生活保護施設やホームレス支援など の職員の方は借金返済援助の勉強をしてこられて、勉強もしながらネットワークをつく るというようなことをやってこられたわけです。  ですから、そういう仕事はもうされているし、そういうものを含んで私たちは社会福 祉士教育をしてきているのですけれども。そのことをもうちょっと明示的に整理して書 く必要はありますね。問題はそのために一体どういう教育が必要か。ここはもうちょっ と詰めないといけないだろうと思うのです。  もちろん状況の変化というのはありますので、更に職域がもっと拡大するとか、ある いはさっき白澤委員がウェート付けとおっしゃったけれども、その中でも特にどういう 役割の拡大が求められているか。そういう整理は必要になってくるだろうと思います。  ですから、書き方として介護福祉士と少し並べて、改めてどういう役割を果たすかと いう整理をして、そして特に状況の変化に応じて更に求められている機能と、例えば職 域をただ権利擁護事業と書くのではなくて、権利擁護を進めていく上での社会福祉のこ ういう機能というような書き方で少し整理していくというようなことで前半をまとめて、 それに合うような形で教育内容や実習についても見直しが必要だという指摘にとどめる というような整理でいかがでしょうか。 ○中村社会・援護局長  先ほど来、御議論いただいておりますことは私どもも自覚しておるのですが、先ほど 来からお話がありましたように、介護福祉士の方の検討状況に比べて社会福祉士の方に ついては事前の検討会がなく、この部会で御議論いただいたものと、従来いろいろ御要 望もいただいて我々が資料を整理して、あるいは我々なりに考えて12項目の「社会福 祉士の求められる像」を出させていただいたという経緯がございます。お許しいただけ るならば部会長や京極部会長代理の下で今の御議論を踏まえて少し整理をさせていただ いて、また委員の皆さんに御相談をするというようなやり方でよろしいかどうか。  そういうことでよろしければ、御提案いただいた方向で少し部会長と部会長代理と御 相談しながら作業をさせていただいて、改めてその案をごらんいただいて各委員に御相 談をさせていただくというようなことでよろしいかどうか、御判断いただきたいと思い ます。 ○岩田部課長  堀田委員、どうぞ。 ○堀田委員  局長のすばらしい御提案で、是非そういうふうにして詰めてほしいと思います。  私の思いは、確かに社会福祉士は頑張ってくれておりますけれども、もっと認知され て、もっとネットワーク形成のかなめとしてしっかりやってほしい。包括支援センター で介護福祉士を手伝っておるという実態になっておりますが、やはりそれはまずいので はなかろうか。韓国の社会福祉士はしっかり役割を持って、施設経営者に大変嫌がられ るところまでしっかり提言しています。日本もそこまでいってほしいと願っております ので、そういう方向でいい役割が出るといいと思います。 ○駒村委員  私も局長のおっしゃる方向でよろしいかと思いますけれども、前回配られた12項目 をもちろんそのままではなくて、これは網羅的なんですが羅列的な感じがするので、ち ょっと整理をして、本人や家族のエージェントというか、代理人的な部分、コーディネ ーター的な部分、ディベロッパー的な部分、それからマネジメントする部分と、幾つか の余り多くない要素にくくり直して新しい像というか、機能というものを書いた方がよ ろしいのではないかと思います。 ○岩田部会長  私も、余り羅列主義ではない方がいいと思います。当然、職域もそれ自体、開拓的な 役割を担っているので、職域自体を書くというか、職域と組んだ場合にどういう仕事が あるかというような書き方をした方がいいかと思っています。その辺の整理はしたいと 思いますので、是非今日御意見をいただいて整理させていただきたいと思います。  そして、実態としてあるので、堀田委員がおっしゃったようにもっとそこをきっちり しなければいけないんですね。おっしゃるとおりだと思います。そこが社会的認知の一 番の基本になると思うので、そこが問題だということをむしろはっきりさせた上で、更 にどういう教育や実習内容が必要か。その内容自体は今後検討だけれども、その検討を する前段をしっかりするというような仕分けをしたいと思います。 ○小島委員  これも先ほど部会長が話されていましたが、24ページにあります社会福祉士像とい いますか、これからの果たすべき役割ということで3つの柱ということで説明されてい ましたので、前回配られました12項目あるいは就労支援なども含めてこの3つの柱だ けでいいか。その辺もちょっと検討していただいて、そういう役割を担うということが イメージできるような形で整理していけるといいのではないかと思います。 ○岩田部会長   そのほか、お気付きの点がありましたらどうぞ。 ○木間委員  局長のおっしゃることでよろしいと思います。私がお会いした非常に地味な活動をし ていらっしゃる人たちのことを紹介したいと思います。  消費者被害に遭った人たちを地域で支援しているキーパーソンという人たちにいろい ろなところで会いますと、社会福祉士が多いということが1つです。  それから今、第三者は高齢者のホームをどう見ているかという調査をしているのです が、いろいろな人を第三者として調査対象にしているのですが、見事と思う結果が社会 福祉士の方から出ています。その社会福祉士の方は、パートナーに所属している成年後 見人として活動している人です。どうしてそれが見事かというと、身上監護をなさって いる点です。社会福祉士の方はその分野以外にも地域福祉権利擁護事業もそうですし、 それから障害者が福祉サービスを使うときに本当にこの人はここまでやるのかと感心す るほど、仕事の枠を超え支援しているのも社会福祉士です。これほどのことまでやって いらっしゃるのにこの人たちは非常に地味で社会的な認知が余りされていないなという 感じがいたします。 ○岩田部会長  その辺をうまく表現できればいいんですが、もともとソフトなサービスというのはな かなかつかみどころがないので、私が思うには称賛はされなくていいと思うんですけれ ども、必要な仕事だということがその援助を受けた人には心底わかる。そして、そのば らつきがないような、今おっしゃっていただいたようなある標準的な能力を持った人が きちんとそれをやれるというところに持っていかないとだめだろうと思います。  そのほか、是非御発言いただきたいと思います。少し全体を直しますので、文言等も 含めて御意見をいただければ、なおありがたいと思います。 ○京極部会長代理  私も実はよく見てこれでいいと思っているんですけれども、よくよく見ていきますと、 この文章に書くかことかどうか。それとも、こういうところで議論をしておいて議事録 にとどめておくことかはわかりませんけれども、2点ばかりございます。  1つは、社会福祉士の任用でございます。これは今日知事会の代表の方も市長会の代 表の方もいらっしゃっていますので、本来は地方6団体で議論することかもしれないけ れども、大分減ってきたとは思いますが、福祉職採用というものを各県・政令指定都市 でやられています。これは社会福祉士がないときに社会学とか心理学とか教育学の人を 母体に主にやっておりまして、各県でそれぞれモデル的な試験問題をつくって、それで 採用している。一般事務とは別な採用の仕方で、特に福祉現場等でやっています。  これは20年もたちまして、もうそろそろやめた方がいいんじゃないかとずっと思っ ているんですけれども、でも、これは各県あるいは各自治体が決めることなので、こう いうところで言うべきことではないのかもしれないけれども、介護福祉士と保育士と精 神保健福祉士はその職で採用しているんですね。社会福祉士の採用というのはまだ少な いんじゃないか。  必ずしも正しい情報ではないですけれども、その議論は十分今回できなかったので、 やはり社会福祉士枠できちんと採る。もちろん4月1日で落ちている場合は採用取消し ということなので単純なことなんですけれども、看護師も医師も全部そうですから、特 に社会福祉士だけがどうも従来の主事資格があって、それから福祉職採用というのが各 県ごとにやられているというのはマイナス要因なので、これはそろそろやめるというか、 切り替えるように検討すべきなどと書くことかどうかわからない。けれども、ここは全 国知事会とか市長会との関係で言いにくいんですが、私個人としてはそういう意識を持 っています。とりあえず議事録にとどめていただきたいと思います。  それからもう一点は、実習のところで社会福祉士の任務についてはいろいろ書いてあ るんですけれども、特に相談援助に関わることになりますと、近年個人情報保護の問題 が大変話題になっておりまして、この正しい理解を社会福祉士の養成機関と、それを受 け入れる現場と、それから本人(実習生)、この三者が自覚していませんと、個人情報に 触れてはいけない。つまり、ケース記録などは一切見させない、見なくてもいいんだと いう形で本当に専門職の養成ができるかどうか。  医師の場合でも看護師でも、具体的に個と接触しているわけですから一応個人情報は 共有しているわけですね。ただ、文章にして見せてはいけないとか、その保持について は実習するときに誓約書を書くとか、その他いろいろあると思いますけれども、そこに ついては間違った理解があって、日本社会福祉士会でも一時議論があったと聞いており ますが、なるべく見ない方がいいという考え方の人と、見ないと仕事にならないのでは ないかと対立した。だから、個人情報を保護することと、専門職として個人情報に関わ っていかなくてはいけない役割と、その間をどうするかということが恐らく福祉系大学 とか養成校でも十分に教育上されていないし、受け入れる現場の方も何かあいまいもこ で、特に児童相談所などは大変最近厳しくてほとんど実習記録は見せない。  これでいいのかということもありますので、社会福祉士が本当にいい社会福祉士にな るためにやはりケース記録を見たり、関わっていって、しかし個人情報としては一切他 人に漏らさないという訓練もしなくちゃいけないわけです。この辺りは文章に書けるこ とではないのかもしれないけれども、とりあえず私の意見として2つ申し上げました。 ○田中委員代理(福田委員)  また任用の話になりましたので、やはり先ほど申し上げましたように本県では一応事 務職という採用をした上で児童相談所等の方に配置をしていくといったようなことをや っているわけですけれども、実態として個別の方を見ますと、事務として入りながらや っている仕事については医療職に次ぐぐらいの熱意を持ってやっていただいている方は 大変多うございます。  ですから、先ほど私は申し上げましたように、今、社会福祉士に対する社会的評価に ついてはなかなか声を上げるという方たちではありませんので、しっかりとどういう仕 事をして本当にこれだけ役に立っているということをきちんと踏まえた上で、その実態 を持ってそういった職種を独立させて任用するかどうか。そういったことについて、判 断材料をいただきたいということです。  こういった話をここでするのは適当ではないかもしれないんですが、自分たちが必要 であるということではなくて、周りから言っていただくことが必要だと思うんです。例 として言えば、ヨーロッパでは相当薬剤師の地位が高い。これは、ペストが入ったとき に最後まで薬剤師は逃げなかった。そういった歴史上の経緯があってそういった高い地 位を与えられているということを小耳に挟んだこともあります。この社会福祉士につい て、そういった任用という方向で検討ということであれば、是非ともそういった必要性 ということについて、最後の29ページにもありますようにきちんと評価を踏まえた上 でその検証を行っていくといったことを含めてやっていくことがやはり必要だろうと考 えております。 ○白澤委員  我々の意見を随分入れていただき、以前よりは随分わかりやすい報告書になったので はないかと大変評価しておりますが、2点ほど、これは意見ということでお聞きいただ ければと思います。  1つは、我々自身も先ほどからいろいろな形で社会福祉士の内容がわかりにくいとい う議論がございます。そういう中で、どういう社会福祉士像の下でどういう教育やどう いう実習が必要なのかというようなことをもう少し我々の方でもきちんと議論を今後さ せていただきたいと思います。そうした中で、今回は1,200時間程度という一般養成施 設が1年という議論がございますが、将来的には一体どれぐらいの最低限の教育が必要 なのかという議論が今後課題として残っているのではないかと思っております。  2点目ですが、定期的な見直しをするということを随分書いていただいておりますの で、これは今後、我々も今、申し上げましたようにさまざまな形で自分たちのやってい ることを点検してまいりたいと思いますので、そういう中で厚生労働省との間での意見 交換、定期的な見直しというものを是非よろしくお願いしたいと思っております。 ○岩田部会長   ありがとうございました。最後の29ページに「消費者本位」とか「消費者の視点」 という言葉があるんですが、これは「消費者」の方がいいですか、それとも「利用者」 の方がいいでしょうか。厚生労働省としては「利用者」という方を使われてきています よね。もちろん両方使っているんですけれども、「消費者」と言うと、社会福祉の場合 はソーシャルニーズということになるので、やはり「利用者」の方がいいかもしれない ですね。 ○京極部会長代理  これは両方使われている場合ですね。ユーザーとコンシューマーと。 ○石原委員  多分、社会福祉士の仕事が見えにくくて、とても頑張っていいセンスでやられる方と、 そうでない方が見えにくい。介護の場合は、例えば排泄介助にしても入浴介助にしても 何にしても目に見える形になっているわけですね。それで、怠けていたら怠けているこ とが他人の目にも見えるわけですけれども、いわゆるコーディネートをする仕事とか、 相談業務だとかというのは格差が大きいような気がするんです。  そこで、例えばケアマネージャーでも更新制がありますけれども、きちんとやってい る方と、そうでない方がどこかで2、3年後にはくっ付けられる作業というか、評価を するというんでしょうか。そしてもう一度底上げをするとか、そういうふうな仕組みが 何かできないか。見えないからこそ、何かが必要でないかという気がします。 ○岩田部会長  再研修とか、あるいは免許更新みたいな感じでしょうか。 ○高岡委員  今、社会福祉士のあるべき姿とかという大所高所で議論をされている中でちょっと視 点が低いのですけれども、我々は施設関係で職員採用するときに社会福祉士に対する希 望はが多いのです。そういう中で受験資格要件の実務経験の対象とされる施設・職種に 関することなのですが、、児童養護施設や障害児施設などでは児童指導員がその対象に なっているのですが、同じ児童指導員という職種が配置されている場合がある乳児院の 場合は対象になっていないようです。最近では乳児院や保育所等の児童福祉施設におい て家族への相談業務が結構増えてきて、その役割も大きな位置付けになっています。こ うした事業や業務内容に関する時世の動きも踏まえながら、施設関係者が社会福祉士に なれる機会がさらに広がるのであればぜひお願いしたいという思いがあります。  それから、先ほど来、任用の在り方の話が出ましたが、それと関連して受験や資格取 得の時期に関する問題があります。施設関係者からしますと次年度の定期採用の場合、 9月、10月くらいに採用に向けた職員募集が行われるのですが、そのときに社会福祉 士の資格が取れるかどうかはわからないのです。このことも、この職種については社会 福祉士でないとだめだという社会福祉士の役割や業務内容が明確になってから、社会福 祉士の資格のある人だけを受験対象にすればいい話かもしれませんが、そこまでにない 現状では、学生に対して4月になって結果的に資格取得ができないことが判明したら採 用しないなどということは言えません。  ただ、いずれも社会福祉士に関する業務全体から見たときにどうなのかであって、施 設だけが基本ではありませんから、当然全体の状況の中での兼合いがあるとは思います。 ○岩田部会長  それでは、介護福祉士の方はかなりこれまでの経緯がありましたので、今回のまとめ でよろしいというような御意見だと判断してよろしいでしょうか。御意見は幾つかいた だいたものを記録にきちんととどめておきたいと思いますが、問題は社会福祉士の方で ございまして、少し組み立てを含めて文言の修正というよりは、むしろ書かれているも のを社会福祉士の仕事を明確にするという方向で整理し直す。そして、そのこととの関 係で、むしろ内容について今後検討が必要だということで、内容や時間数に余り踏み込 まない。  もちろんいろいろな御意見は書くとして、そういう方向で修正をしたいと思いますが、 先ほど局長から御提案があったように、京極委員と私の方で事務局と相談しまして、こ れまでの御議論と部会に出た資料を元に、今日の御意見に沿った形で修正をして、委員 の皆様にそれをもう一回御提示して御意見をいただくというような形でまとめていきた いと思いますが、よろしいでしょうか。  今日、全部これでよいと言えば一番よかったんですけれども、ただ、やはりこういう ものはかけるべき時間はかけないとなかなかいいものができないというようなことで、 つくづくそうだと思いましたが、今後のこともありますから妙につじつま合わせをしな いできちんとやりたいと思います。そのように修正したものをまた皆様方にお示しして 御意見をいただきますので、後段は引き取らせていただくということで御了承いただき たいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、最後に局長の方からごあいさつをいただきます。 ○中村社会・援護局長  本日の議事を踏まえまして、介護福祉士の方につきましてはこの線で今度は政府や国 会での話になると思いますが、法案作成の作業に移らせていただきたいと思います。  また、社会福祉士の方につきましては改めまして部会長、部会長代理と御相談させて いただきますが、その報告書の内容の中で合意が得られるものについて、法律改正事項 などがあるものにつきましてはそれも合わせて、報告書をまとめていただいた上でそれ を踏まえて、社会福祉士の方についても必要な法改正等に取り組みたい、こういう気持 ちで進めておりますので、また委員の皆様方の御協力と御支援をお願いしたいと思いま す。  そういうことで、社会福祉士の方は作業を続けさせていただきますので、どうぞよろ しくお願いいたします。 ○岩田部会長  それでは、今後の日程について事務局よりお願いします。 ○矢崎総務課長  次回の日程につきましては、年明け以降で日程調整させていただきたいと思います。 また、改めて事務局より御連絡申し上げたいと思います。 ○岩田部会長  お忙しい秋から暮れにかけて何回か御審議いただきました。介護福祉士の方は、お陰 様でかなり皆様方の意見が一致したところできちんとまとまったと思います。社会福祉 士の方は、今日の御意見を踏まえて少しめり張りの効いた形で取りまとめをして、もう 一度御意見を伺いたいと思います。また、来年以降は積み残しになっております人材活 用についての審議がございますので、その場でいろいろ御意見を伺えると思います。  そのようなことで、今日は少し早いですけれども、これで部会は終わりということに したいと思いますが、何か最後に御意見ございますか。よろしいでしょうか。  それでは、どうもありがとうございました。                            照会先:厚生労働省社会・援護局総務課       03−5253−1111(内線2814)