参考資料−2




「臨床研修に関する調査」
報告のポイントについて



照会先:
医政局医事課医師臨床研修推進室
課長補佐 井内
専門官 村重 
電話 03−5253−1111
内線 2563、4124

「臨床研修に関する調査」報告
のポイント

平成 18年 8月 31日

<2年次研修医への調査より>

1.臨床研修体制・プログラムについて

  (1) 研修体制についての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高く、また、病床規模が小さい病院ほど高い。
 昨年度(1年次研修医)の満足度と比較すると、臨床研修病院では満足している者が11.0ポイント増加、満足していない者が0.7ポイント減少しているが、大学病院では満足している者、満足していない者ともに4ポイント程度増加している。

 
平成17年度 研修体制についての満足度 ( 臨床研修病院 / 大学病院 )

平成17年度 (病床規模別)
研修体制についての満足度


平成16年度(臨床研修病院/大学病院)
研修体制についての満足度




  (2) 研修体制に満足している理由、満足していない理由
    1)  研修体制に満足している理由としては、臨床研修病院においては「職場の雰囲気がよい」(43.2%)、「研修に必要な症例・手技の経験が十分」(41.5%)、大学病院においては「指導医の指導が熱心」(25.9%)等が多い。また、300床未満の病院において「職場の雰囲気がよい」等の理由が挙げられている。
(なお、本データは、「満足した」と回答した研修医がそれぞれ選択した項目の数を分子とし、臨床研修病院、大学病院それぞれのアンケートに回答した研修医数を分母として計算している。今後の「満足している理由」「満足していない理由」は同様の計算法を行っている。)

 
平成17年度 研修体制に満足している理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
平成17年度 研修体制に満足している理由 ( 病床規模別 )

 

    2)  研修体制に満足していない理由は、臨床研修病院においては「受け入れ体制が十分整っていない」(9.7%)、大学病院においては「雑用が多い」(28.0%)、「待遇・処遇が悪い」(26.9%)等が多い。また、昨年(1年次研修医)の満足していない理由と比べ、特に「受け入れ体制が十分整っていない」、「雑用が多い」が大きく増加している。

 
平成17年度 研修体制に満足していない理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 

 
平成16年度研修体制に満足していない理由(臨床研修病院/大学病院 )

 

 
研修体制に満足していない理由(平成16年度/平成17年度比較)

 
    平成16年度 平成17年度
受け入れ体制が
十分整っていない
臨床研修病院 1.7%  9.7%
大学病院 1.8% 16.5%
雑用が多い 臨床研修病院 0.7%  5.3%
大学病院 2.7% 28.0%


  (3)研修プログラムについての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高く、また、病床規模が小さい病院ほど高い。
     昨年度(1年次研修医)の満足度と比較すると、臨床研修病院では満足している者が6.5ポイント、満足していない者が1.2ポイント、大学病院では満足している者が3.1ポイント、満足していない者は4.7ポイント増加している。

 
平成17年度 研修プログラムについての満足度( 臨床研修病院 / 大学病院 )

平成17年度 (病床規模別)
研修プログラムについての満足度


平成16年度 (臨床研修病院/大学病院)
研修プログラムについての満足度




  (4) 研修プログラムに満足している理由、満足していない理由
    1)  研修プログラムに満足している理由は、臨床研修病院においては「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」(37.7%)、「複数の科を回って進路を決める参考になる」(25.2%)、大学病院においては「複数の科を回って進路を決める参考になる」(20.9%)等が多い。また、特に300床未満の病院においては「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」「全人的医療を学ぶことができる」が多い。

 
平成17年度 研修プログラムに満足している理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
平成17年度 研修プログラムに満足している理由 ( 病床規模別 )

 

    2)  研修プログラムに満足していない理由は、臨床研修病院においては「1分野あたりの研修期間が短い(14.9%)」、大学病院においては「1分野あたりの研修期間が短い(23.5%)」「プライマリ・ケアの能力がよく身につけられない(20.2%)」等が多い。
 また、昨年(1年次研修医)と比べると、特に「1分野あたりの研修期間が短い」が増加している。

 
平成17年度 研修プログラムに満足していない理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
平成16年度 研修プログラムに満足していない理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
研修体制に満足していない理由(平成16年度/平成17年度比較 )

 
    平成16年度 平成17年度
1分野あたりの研修期間が短い 臨床研修病院 3.7% 14.9%
大学病院 5.6% 23.5%


  (3) 目標が十分、もしくはほぼ達成されたとした研修医の割合は、全体では64.4%、臨床研修病院では70.8%、大学病院では57.6%であり、臨床研修病院の方が大学病院より高い。

 
平成17年度 臨床研修の目標達成度( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 

2.臨床研修修了後の進路について

  (1) 臨床研修修了後の研修・勤務先
 臨床研修修了後の進路は、大学病院で勤務・研修を行う者は50.4%(大学院を入れると54.2%)、市中病院で勤務・研修を行う者は37.6%であった。
 大学病院で臨床研修を行った者において、臨床研修後に大学で勤務・研修を行う者の割合は80.4%(大学院を入れると83.7%)であった一方、臨床研修病院で研修を行った者における割合は21.1%(大学院を入れると25.3%)であった。
 大学病院で臨床研修を行った者において、研修修了後に市中病院で勤務・研修を行う者の割合が9.1%であった一方、臨床研修病院で研修を行った者における割合は65.4%であった。
 研修後も臨床研修を行った病院にて研修・勤務を引き続き行う傾向があり、特に大学病院ではその傾向が強い。

 
臨床研修後の進路 ( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 

  (2) 研修修了後の研修・勤務先を決定した理由
  臨床研修修了後の勤務・研修先を決定した理由では、全体では、「専門医取得につながる」(39.1%)、「現在研修している」(32.5%)、「優れた指導者がいる」(32.3%)、「出身大学である」(30.2%)等が上位を占めた。

 

  (3) 研修後に専門としたい診療科
 専門とする診療科が決まっていると答えた3298人のうち、最も多い科は内科で
14.6%であった。また、小児科は7.5%、産婦人科は4.9%、麻酔科は
5.8%であった。小児科、産婦人科、麻酔科に関しては、20代医療施設従事医師診療科別割合(平成14年)よりも高くなっている。

 
診療科 人数 割合
内科 480 14.6% 脳神経外科 57 1.7%
外科 293 8.9% 心臓血管外科 46 1.4%
小児科 247 7.5% 総合診療科 25 0.8%
消化器科 217 6.6% 小児外科 16 0.5%
整形外科 213 6.5% 呼吸器外科 15 0.5%
循環器科 207 6.3% リハビリテーション科 15 0.5%
麻酔科 191 5.8% 病理 15 0.5%
産婦人科 163 4.9% 基礎系 11 0.3%
精神科 142 4.3% リウマチ科 8 0.2%
眼科 131 4.0% 心療内科 6 0.2%
皮膚科 131 4.0% 美容外科 6 0.2%
放射線科 100 3.0% 緩和ケア 5 0.2%
呼吸器科 92 2.8% 医療行政職 5 0.2%
泌尿器科 86 2.6% アレルギー科 3 0.1%
耳鼻咽喉科 84 2.5% その他 67 2.0%
形成外科 71 2.2% 無回答 18 0.5%
救命救急 70 2.1% 総計 3298 100.0%
神経内科 62 1.9%


  <参考>

 

  (4) 診療科を選んだ理由
 「学問的に興味がある」(63.0%)、次いで、「やりがいがある」(60.2%)が多く、精神科、放射線科、皮膚科、循環器科では「学問的に興味がある」が70%以上となっており、産婦人科、外科、小児科、循環器科では「やりがいがある」が70%以上となっていた。

 

  (5) 専門としたい診療科の変化と理由
 臨床研修の前後で将来専門とする診療科を変えた研修医は、1156人(35.1%)であった。また、理由は「研修してみて興味がわいたから」(71.3%)が最も多く、「研修してみて大変だと思った」は17.6%であった。

 

  (6) 性別にみた専門としたい診療科
 女性医師の割合が高いのは、産婦人科(68.1%)皮膚科(65.6%)、眼科(50.4%)等であり、女性医師の割合が低いのは、整形外科(8.0%)、泌尿器科(12.8%)、心臓血管外科(13.0%)等であった。

 

  (7) (診療科別)臨床研修修了後の進路
 大学病院で勤務・研修する割合が高い科は、形成外科、眼科、皮膚科等であり、市中病院で勤務・研修する割合が高い科は、総合診療科、外科、救命救急等であった。

 

<1年次研修医への調査より>

1.臨床研修体制・プログラムについて

  (1) 現在研修している病院に応募した動機
 現在研修している臨床研修病院に応募した動機としては、臨床病院では「症例が多い」(45.6%)、「研修プログラムが充実」(36.7%)、大学病院では「出身大学だから」(50.7%)が多い。

 

  (2) 研修体制についての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高い。

 
平成17年度 研修体制についての満足度 ( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
平成17年度 研修体制についての満足度 (病床規模別)

 
 
平成16年度 研修体制についての満足度

 
 

  (3) 研修体制に満足している理由、満足していない理由
    1) 研修体制に満足している理由としては、臨床研修病院においては「職場の雰囲気がよい」(42.1%)、「研修に必要な症例・手技の経験が十分」(38.2%)、大学病院においては「指導医の指導が熱心」(28.8%)等が多い。また、病床数の少ない病院において「職場の雰囲気がよい」等の理由が多い。

 
平成17年度 研修体制に満足している理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 

 
平成17年度 研修体制に満足している理由 ( 病床規模別 )

 

    2)  研修体制に満足していない理由は、臨床研修病院においては「教育資源(図書等)が足りない」(10.6%)、大学病院においては「雑用が多い」(21.0%)「待遇・処遇が悪い」(19.8%)等が多い。

 
平成17年度 研修体制に満足していない理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
平成17年度 研修体制に満足していない理由 ( 病床規模別 )

 

  (4) 研修プログラムについての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高く、また、病床規模が小さい病院ほど高い。

 
  平成17年度 研修プログラムについての満足度( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
  平成17年度 研修プログラムについての満足度 (病床規模別)

 
 
  平成16年度 研修プログラムについての満足度

 

  (5) 研修プログラムに満足している理由、満足していない理由
    1)  研修プログラムに満足している理由は、臨床研修病院においては「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」(37.0%)、「複数の科を回って進路を決める参考になる」(26.1%)、大学病院においては「複数の科を回って進路を決める参考になる」(25.6%)等が多い。また、特に300床未満の病院においては「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」「全人的医療を学ぶことができる」が300床以上の病院に比べ多い。

 
平成17年度 研修プログラムに満足している理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
平成17年度 研修プログラムに満足している理由 ( 病床規模別 )

 

    2)  研修プログラムに満足していない理由は、臨床研修病院においては「1分野あたりの研修期間が短い」(13.3%)、大学病院においては「1分野あたりの研修期間が短(15.4%)、「プライマリ・ケアの能力がよく身につけられない」(14.0%)等が多い。

 
平成17年度 研修プログラムに満足していない理由( 臨床研修病院 / 大学病院 )

 
 
平成17年度 研修プログラムに満足していない理由 ( 病床規模別 )

 

<病院に関する調査より>

  (1) 有効回答率
 
 
対象病院数 849施設 (臨床研修病院745施設、大学病院104施設)
回答病院数 755施設 (臨床研修病院659施設、大学病院 91施設)
有効回答率 88.9% (臨床研修病院88.5%、大学病院87.5%)

  (2)

定員を満たしている理由

 
   募集定員を満たしている理由として、臨床研修病院においては「研修プログラムが充実」(29.1%)、「指導体制が充実」(28.7%)、「病院の施設・設備が充実」(26.9%)が、大学病院においては「研修プログラムが充実」(8.8%)等が多く挙げられた。

 
 

  (3) 定員を満たしていない場合の課題
 
   研修医が募集定員を満たしていない場合の課題として、臨床研修病院においては「臨床研修予定者等への情報発信の充実」(25.0%)、「指導体制が充実」(19.0%)等が、大学病院においては「処遇・待遇の充実」(62.6%)、「臨床研修予定者等への情報発信の充実」(50.5%)等が多く挙げられた。

 

  (4) 研修プログラムの特色
 
   研修プログラムの特色として挙げられたのは、臨床研修病院では「プライマリ・ケアの習得に力をいれている」「内科研修を充実」等が、大学病院では「救急部門の研修を充実」「選択期間を長く設けている」等が挙げられている。

 
  (5) 研修医の処遇・待遇について
  1) 事故に備えての病院賠償責任保険での保障
臨床研修病院で88.2%、大学病院で83.5%が保障されていた。

 

  2) 事故に備えての医師賠償責任保険等の取り扱い
 
   臨床研修病院では「病院の負担で加入」(34.4%)、「保険を紹介し任意加入」(33.5%)等が多く、大学病院では「保険を紹介し任意加入」(56.0%)、「個人の負担で強制加入」(40.7%)等が多い。

 
  (6) 臨床研修における評価について
  1) 臨床研修についての自主評価の実施の有無
 
   臨床研修体制について、自主評価を実施しているのは、臨床研修病院では26.7%、大学病院では35.2%、自主評価していないのは、臨床研修病院では70.6%、大学病院では60.4%であった。

 

  2) 臨床研修についての自主評価以外の評価
 
   臨床研修体制について、自主評価以外の評価を実施しているのは、臨床研修病院では9.9%、大学病院では14.3%、自主評価以外の評価を実施していないのは、臨床研修病院では85.9%、大学病院では78.0%であった。

 

  3) 臨床研修についての必要な評価体制について
 
   必要な臨床研修の評価としては、臨床研修病院、大学病院ともに、「第3者による評価」、「自主評価」が多い。
(なお、本データは、「評価している」と回答した病院がぞれぞれ選択した項目の数を分子とし、アンケートに回答した全ての病院数を分母として計算している。)

 

  (7) 新医師臨床研修制度による病院の変化について
 
    新制度の臨床研修病院に指定されて、「よくなった」と回答したのが臨床研修病院では57.8%、大学病院では34.1%、「悪くなった」と回答したのが臨床研修病院では3.2%、大学病院では12.1%であった。

 

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