06/11/30 研修・技能実習制度研究会第4回議事録 第4回研修・技能実習制度研究会 日時 平成18年11月30日(木)10:00〜 場所 専用第17会議室 ○今野座長 それでは第4回の研究会を始めます。本日は山川委員と森永委員がご欠席 です。  前回は労使関係者からヒアリングを行い、制度の適正化に関する意見のみならず、制度 のあり方や枠組みに関する要望等も出まして、若干議論が広がったというか、拡散したよう に思います。そこで今日は事務局に、当研究会として検討すべき論点を再度整理していた だいて、それを基に議論をしたいと考えております。  まず事務局から、資料をご説明いただきたいと思います。 ○外国人研修推進室長 第2回の研究会では、規制改革民間開放推進3カ年計画で指摘 されている研修生の法的保護のあり方等、適正化に関する部分について、まずご議論い ただきました。前回の第3回においては、労使からのヒアリングを実施したところですが、そ の議論が適正化の問題にとどまらず、制度のあり方や要望事項が多岐にわたりました。ま た前回の議論の中では、研修生だけが問題だという認識でよいかどうか、技能実習には問 題がないのかというような投げかけもありました。そこで今回は、研修や技能実習全体につ いて、事務局なりに論点を整理してみましたので、それをご説明させていただきます。  資料1−1は、「研修・技能実習制度のあり方に係る問題の所在と検討の視点」という形 で整理をしております。1頁が研修のあり方です。この部分は第2回でもかなりご議論いた だきましたので、かいつまんでご説明させていただきます。  まず研修については、いわゆる実務研修が研修なのか、あるいは資格外活動たる労働 なのか、外見上は明確に区別できないという問題があります。また研修手当は、実態とし て6、7万円の水準で払われておりますが、それについての基準がなく、結果的に実質的な 低賃金労働となりかねないという問題があります。検討の視点としては、これもすでに第2 回のときにご議論いただいておりますが、組織的な労務管理が十分にされていない零細中 小企業、いわゆる団体監理型の受入れにおいては労働とならないよう、研修としての性格 を担保することが可能かどうか、研修手当の性格が曖昧な中で、研修手当の最低基準と いうものを設定することが可能かどうか、というところをご議論いただいたわけです。  黄色の枠囲みで、若干抜粋しております。主な意見としては、働いた時間に応じて報酬が 増額されるとか残業を命ずるということになると、本来の研修目的から外れ、労働の側面 が強くなるのではないか。研修手当については、受入れ機関のある種の一定責任としての 最低基準を設定すべきではないか。そうはいっても研修手当の性格というものが、生活上 必要な実費をすべて保障すべきかどうか、その性格上疑問である。ただこの問題と労働と しての実態に見合った保障がされていないということとは別問題ではないか、というような ご指摘がありました。  その他にも、第2回でいろいろなご意見をいただいております。資料1−2として、第2回 の議論を論点ごとに整理をして付けておりますので、後ほどご参照いただければと思いま す。  資料1−1の2頁は、技能実習のあり方です。1年の研修を終えて技能評価等を受け、入 管が認めれば、2年目、3年目以降は技能実習に移ります。技能実習は、研修によって得 た基礎2級レベルの最低限の技能と日本語を修得した後に、より実践的な技術の修得を 目的として、雇用契約を結んでいただいて行う活動で、労働関係法令が適用されます。い わゆる労働者、雇用者として扱われるということです。実態として一部の地域・産業におい ては、「技能実習」にとどまらず、事業活動の継続に不可欠な労働者として扱われるという 面は、否定し難いのではないかということです。これは労使関係者からのヒアリング、ある いは当研究会として行った受入れ団体等への現地ヒアリングの中で、やはり労働力として の受けとめ方、受入れといった問題としてあるのではないかという状況です。  左の枠で囲ってありますのが、現地での受入れ団体へのヒアリングの結果です。これを 見ますと、今回は11団体22企業を対象にヒアリングをいたしました。その中で団体として は6団体、企業としては11社が人手不足への対応、あるいは人手不足への対応が理由と 思われる受入れを行っておりました。それから日本人の採用の状況についても聞いており ます。15企業中9社において、「求人募集をしているが、応募がない」という回答をいただい ております。また本制度への要望を聞いたところ、「会社の継続のために、この制度の存在 は不可欠である」という意見も見られました。例として縫製業の具体的なコメントを挙げてお ります。「人手不足が深刻になってきたので、仕方なく受入れを開始した。求人募集はして いるが、賃金の水準が最低賃金程度で低いためなのか、応募がない」といった声も聞かれ ました。 右の枠ですが、前回の第3回のヒアリングにおいても、労使それぞれから実態としてのお話 がありました。一部の受入れ団体や企業においては、安価な単純労働力の調達手段とし て活用されていて、「間違った認識」が定着しているのではないか。研修生・実習生がいな ければ、事業を継続できない中小企業も多い。さらに目的はもちろん国際貢献だけれども、 受入れ企業のメリットというものも考えるべきではないかというご発言もありました。  3頁に移りますが、併せて産業界からの具体的な要望として、在留期間の延長、再研修・ 再技能実習の制度化、職種の拡大、受入れ人数枠の拡大といった要望も出されておりま す。参考として、賃金水準の比較があります。これは第2回の研究会でお示ししたものです。 これは研修・実習生受入れ企業というわけではなく、一般の日本人労働者の賃金と比べて、 実習生の賃金の水準がどの程度かというグラフを再掲載しております。こういった実態が ありまして、下の枠囲みで整理しております。こういった受入れ側の実態や、産業界の要望 等を踏まえますと、国際的な技能移転を図るための「実習」としての実効性を、いかに確保 するかという観点に加えて、産業・企業からの受入れ要望について考える観点も必要では ないかと思っております。  こういった認識の上で、当研究会として検討していただきたいことを、事務局なりに4頁以 降で整理しております。第1の視点は、「実習」としての実効性の確保をどう図っていくかと いう点です。技能実習に移行する段階での各受入れ企業においては、技能実習計画とい うことで実習の計画を作成して、これをJITCOが内容をチェック評価いたします。それが研 修から技能実習移行への要件の1つになっております。この技能実習計画の評価、評価 試験への合格、在留状況が適正であることという3つが主な要件です。1年目の到達目標、 2年目の到達目標、基礎1級とか3級を書くのが望ましいとしております。こういった到達目 標を定めた上で、技能実習のカリキュラムやスケジュール等を記載することになっておりま す。  JITCOにおいては移行時に評価をするとともに、技能実習移行後は巡回指導を行って、 適正な実習が行われているかどうかをチェックします。ただJITCOのマンパワーの問題も あり、平成17年度の巡回指導の実績は5,945件、実際に企業を訪問したのが4,770件と いう状況です。移行申請企業数が1万3,900ですので、実態としては2年に1回、行けるか 行けないかというのが現状です。  もう1点が、実習修了時の評価です。制度上、技能実習修了時の評価試験というのは義 務づけではありませんが、実習成果を測る意味で奨励を行っております。しかし実態として、 いわゆる3級レベルの受験率は0.75%にとどまっております。合格率は9割を超えていると いう状況です。修了時試験を奨励するための何か策はということですが、現行ではJITCO において、検定試験の合格者に対して、基礎1級相当であれば1万円、3級相当であれば 2万円、2級相当以上であれば3万円という報奨金を支給する助成制度があります。技能 検定の受験料はそこに書いてありますように、2万円程度ですので、3級であれば合格す るとそれに見合ったものがもらえます。ちなみに平成17年度は基礎1級280件、3級169 件の報奨金の支給をしたという状況です。  3点目は、技能実習の受入れ・指導体制です。技能実習中の指導員については、制度上 の義務づけはありませんが、JITCOのほうでは実習計画の評価時に、指導体制について もチェックをすることにしております。資料1−3に、技能実習計画の記入例と、その次の頁 に「受入れ機関技能実習体制概要書」というのを付けております。技能実習移行希望のあ る受入れ企業においては、指導実習体制概要書を書いて、指導員の名前等も記入した上 で、JITCOの評価を受けるという仕組みを、いま取っているところです。  帰国後の技能移転の状況については研究会でも、しっかりとフォローアップをすべきとい うご意見をいただいております。現状としてはJITCOが年1カ国、フォローアップ調査を実 施して、サンプル調査などを通じて技能移転の効果を図っております。また最近の取組み としては、JITCOのほうでは「ネットワーク化事業」と呼んでおりますが、帰国生についてそ のネットワーク化を図るとか、同窓会の設立を推奨するという形で、帰国生のつながりを組 織化することによって、帰国後のフォローアップ、あるいはその後の状況の調査をしっかり 取れるようにするという取組みを、JITCOが送出国に働きかけながら進めております。これ 以外の論点もあろうかと思いますが、以上が技能実習の2年目、3年目の実習としての実 効性をどう図っていくかという論点ではないかと思っております。  5頁が第2の視点として、産業・企業の受入れニーズについてという論点です。技能実習 生を受け入れている企業の労働市場や労働条件の状況の実態が、どうなっているかという のを踏まえた議論だと思っております。大変申し訳ないのですが、具体的な現状把握はな かなか十分でない面がありますので、ある程度わかる範囲で言えることを箇条書きにして おります。資料1−4と資料1−5を参照しながら聞いていただければと思います。  資料1−4は、昨今、技能実習制度について悪質な事例が多いというご批判もあり、JIT COのほうで今年の9月に全受入れ事業場、受入れ団体に対して自主点検表を配付し、自 主点検の実施をお願いしたものです。現在、回収・集計中です。その自主点検表の中では、 技能実習生の賃金の額と、それと同職種、あるいは同職種がない場合は基本給が最も安 い日本人の労働者の賃金も、調査表に記入していただくことにしております。この部分だけ は速報値という形で、先に集計した結果がこれです。これを見ますと、例えば機械金属等 については、日本人労働者に比べて技能実習生の賃金は低くなっております。一方で食品 製造や縫製・衣服関係では、賃金額はあまり変わらず、ほとんど同じという状況になってお ります。  資料1−5は、ハローワークの業務統計からです。これも全国計の数字ですので、大まか な感覚だけの問題かもしれませんが、求人賃金、求人倍率を取っております。例えば下の ほうが、技能実習生を受け入れているであろう職種・職業の求人賃金等です。金属加工や 輸送用機械器具製造であれば、やはり求人賃金は20万円を超えており、それなりの高い 水準になっております。それから求人倍率は2倍を超えているような状況です。景気がいい こともあり、ハローワークにどんどん求人を出しているという状況です。  一方、食料品製造や衣服・繊維製品を見ますと、求人賃金が17万円とか15万円という 状況です。求人倍率も低いとは言えませんが、ほかに比べると、そんなに高い状況でもあ りません。このように受入れの実態として日本人も積極的に採用し、それなりに賃金を払い つつ、一方でそれよりも安い賃金水準で技能実習生を受け入れている職業・職種のパター ンと、日本人にもそれなりの賃金しか払えないというか、払わないというか、技能実習生も 同じようなレベルで雇っている職業・職種というのが、傾向としてあるのではないかというの がうかがわれるところです。  資料1−1に戻ってください。こういった実態も踏まえながら、産業・企業のニーズをどう考 えていくかということではないかと思います。(2)(3)では、前回の労使ヒアリングの中で出 されたものを整理しております。  (2)は、対象職種や技能レベル等において、国内の産業・企業の受入れニーズをどう考 慮していくかです。例えば職種ですと、現行は送出し国のニーズがあって、公的な技能評 価制度が整備されている職種ということで、制度発足当時は17職種、現在62職種になっ ております。具体的な意見・要望としては、職種については送出し、受入れ双方のニーズを 満たすことを条件に拡大すべきである。メーカーが求めるのは特定の職種や作業ではなく。 まさにライン工程の中の多能工であるので、そういったニーズに対応できていないのではな いか、また技能レベルとしては、より優秀な人材を再び受け入れたい、あるいは再技能実 習という形で制度化してほしい。業種によって習熟度が異なるのだから、3年では足りない 業種や職種もあるのではないか、というようなご意見もありました。  一方、こういった再技能実習や在留期間の延長というのは、実態として「戦力」として活用 する誤った認識が横行する可能性が高いので、制度化すべきではないという労働団体の ご意見もありました。  (3)としては、労使のヒアリングの中でも一部の地域・産業においては、技能実習生の存 在抜きには、事業そのものの継続が困難な企業があるというご指摘がありました。これに ついて、どう考えていくかということだと思っております。実際に特定の地域・産業において は、研修生・実習生を受け入れることで事業を継続している面があるとか、実習生を受け 入れる企業の経営者、あるいは日本人の従業員の生活の維持の意味も考えるべきではな いかというご意見も出ました。ただ一方で、この制度は当然国際技能移転ということが目的 で、日本の国内産業のための制度ではないというご意見もありました。  以上のように技能実習について、その実習としての実効性をどう確保していくかという視 点と、具体的な産業・企業のニーズについてどう考えるかという視点、こういった両面を合 わせて見ていかないと、実態に即したあるべき姿というものが議論できないのではないかと、 事務局としても考えまして、こういった整理をさせていただいております。  6頁に、その他の論点を掲げました。1つ目、2つ目の不正行為を行った受入れ機関に対 する規制や団体管理型における団体の責任については、第1回、第2回でも相当議論をし ていただいて、いろいろなご意見をいただいております。また、これについても次回以降、 意見を整理して議論を深めていただければと思っております。それから技能実習の技能レ ベルや送出し機関。受入れ機関のあり方も、ブローカー的な存在というのも議論になってお りましたので、そういったこと、あるいは受入れ企業の条件として、受入れ人数枠の問題等 のご意見も出ておりましたので、これもまた論点として整理をしていきたいと思っておりま す。  受入れ人数枠の件で、若干補足させていただきます。資料の最後に、参考3というのを 付けております。これは以前も出しているもので、受入れ人数の上限の絵です。赤、黄、青 の3色の絵です。これはたしか丹野委員だったかと思いますが、いまの受入れ人数の母数 が、常勤職員数の5%ですので、例えば旋盤加工の職種で受け入れるに当たっても、その 母数となるのは、ホワイトカラーも含めた企業全体の数になるという点で、ご指摘があった かと思います。  それから、例えば日本人従業員が3人いると、1年目は3人まで研修生の受入れができ、 2年目以降の技能実習生は、常勤職員数という形で母数になって、3年目で計9名まで研 修技能実習生が受け入れられるわけです。実は取扱い上、常勤職員数のカウントの中で、 技能実習生を除くというようにはなっていないところから、仮に日本人が2年目以降退職さ れても、研修生の受入れができますので、一応指摘させていただきます。  以上が資料1−1です。本日はこの論点について、認識そのものがどうかという点も含め てご議論いただければと思います。  それから11月の上中旬にかけて、委員の先生方にもご協力いただいて、受入れ団体へ のヒアリングを行いました。資料2は、とりあえずの形で打ち込んだものです。一部ヒアリン グ事項から聞き漏れているところや不明なところもあります。またその精査をして、かつ見 やすい形で整えてお出ししたいと思っておりますが、とりあえずのものとしてご覧いただけ ればと思います。  本日の論点に絡めて、いくつかかいつまんでご説明させていただきますと、資料の見方と しては、1〜4頁が団体に対するヒアリング結果です。団体はAからKまでの11団体あり、 それぞれ1団体2枚ずつで見ていただければと思います。5頁以降が受入れ企業です。こ れも各企業2枚ずつの表になっております。受入れ企業のほうは、例えば5頁のA−(1)、A −(2)と書いてありますが、これは受入れ団体Aの傘下の企業という理解で、計11団体22 企業という形で、今回ヒアリングを行っております。  1頁に戻って、いくつかかいつまんで申し上げますと、2段目の(2)、「研修生・実習生受 入れの経緯」については、例えばBの縫製関係ですと、「国際交流、同業者同士の交流、 人手不足への対応等の観点から、受入れを開始した」ということです。Cですと、「以前より 人手不足であり、受入れを始めた」というような、人手不足を理由とする団体が見られます。 一方でDのように、「将来の中国進出に備え、中国からの受入れを開始した」という形で、 将来の進出を控えての受入れというのもあります。5頁の個別企業においても、B−(2)の2 段目の受入れの状況を見ますと、「労働力不足を補うため受入れを開始した」というように、 明確に正直におっしゃっている所もあります。  中段辺りの(2)の「日本人労働者の求人の状況」を見ますと、「求人募集をしているが、 低賃金のため応募がない」とか、「雑誌、広告等、職安に求人を出しているが、求職者がい ない」ということがあります。また、そもそも求人を出していないというのもあります。例えば 7頁のG−(1)の食品関係ですと、「職安には求人を出していない。(来ないことがわかって いる)というようなご意見もありました。一方で最後のK−(1)やK−(2)においては、「新卒も 含め、毎年数十名単位の新卒を採用している。順調に日本人の若手職員を確保しつつ、 研修生・実習生も受け入れている」という企業もありました。こういった実態も踏まえてご議 論いただければと思っております。 ○今野座長 それでは今日はいまご説明いただいた資料1に基づいて、議論をしていただ ければと思います。これまで研修についてはザーッとやってきたので、できれば実習につい て、多く発言していただけるといいという程度です。あとは自由にご議論いただければと思 います。 ○樋口委員 まず、この研究会のミッションの範囲について、少し議論をしたほうがいいの ではないか、あるいは決まっているのであれば、教えていただきたいということです。前回 の労働側や使用者側からのご意見、あるいは実態を踏まえての議論をしたご意見など、い ろいろなお話を伺っておりますと、それらにかかわる法令というのは、1回目にいただいた 「外国人労働者問題関係省庁連絡会議において、技能・実習制度の趣旨は何か」というの がありまして、「海外への技能又は知識の開発途上国への移転を図り」というのが、主たる 目的であったわけです。  話を聞いていますと、それもあるかもしれませんが、同時に国内の労働力について、不足 をどう補うかという別の話が、いろいろな所で出てきていますし、実態でもそういったものが 起こっているという感じがいたします。そうしたときの対応としては、いくつか考えられると思 うのです。1つは、現行の法令を前提にして、この目的に即したシステムのあり方、いまの 目的、趣旨に即したあり方というものを議論して、国内の労働力不足は二の次ということで、 この前提がリジットに守れるような仕組みをどうつくっていくかという議論をするのか。  それとも、ある意味では法令を変えて、目的の中に労働力の確保も視野に入れて、こうい った制度をつくるようにするのか。  そして3番目の対応は、ここでやるのがいいのか、どこでやるのがいいのかわかりません が、今のやり方ではもう無理だということで、現行の研修・技能実習制度を廃止して、代わ りに単純労働も含めた新たな労働力の確保の方法について議論をするのか。どの範囲で 議論をするのかということでしていかないと、なかなか到達点にたどり着かないのではない でしょうか。  まさにいろいろな所で意見が出ているわけです。問題があることは皆さんもそう思ってい るようですから、その対応をまずここでは現行の法令というものを前提にして、国際貢献に 限ってこの制度をどう考えるかというようにするのか、いや、趣旨も変えようというようにす るのか、そこに今、もやもやとしたものがあるのです。みんな何となく隠れ蓑みたいな形で。  これは労使ともにあるという感じで、この間も認識を示していただいております。だとする と、制度の目的や趣旨を変えるというのも対応の仕方だろうし、もう1つは、もうやめてしま おうといった意見もあったわけです。経営者のほうからも、長期的に見ればこの制度ではな くて、やはり単純労働をどうするかという、外国人の受入れ型についての議論をしておくべ きだというご指摘もいただいたわけです。もちろん労働側からも、そういった意見は出てい たかと思います。そこをご議論なり、もう決まっているのだったら。 ○今野座長 いや、別に決まってはいないのですが。 ○樋口委員 主催者としてです。 ○今野座長 後者の考え方だったら、もう解散ですね。 ○樋口委員 それもあり得ると思います。どんなにやり方を変えても、この方法でやっていく のは、もう無理だと。 ○今野座長 しかし、いま想定されているのは団体監理型ですね。 ○樋口委員 はい、そうです。 ○今野座長 もし後者の考え方を採るにしても、やめるのは多分、団体管理型ということに なるのですか。 ○樋口委員 ただ、そのときには労働力不足への対応というのは、視野に入れないという ことになりますよね。 ○今野座長 いや、後者というのは、労働力の受入れということを前提に考えて、新しい法 律をということです。 ○樋口委員 後者にするのならです。そこのところもあるでしょうね。 ○今野座長 しかし研修生、技能実習生というのは広いから、いろいろなものがあります。 たぶん、ここでいつも問題になっているのは、団体監理型ばかりですから、もし、やめるとい う選択にしたら、実質上は団体監理型ということになるのですか。ただ、もう1つ面倒くさい のは、例えば日本の企業で新入社員を働かせているけれども研修だと言っている、あれは 研修と見ないのかということになるわけです。これはもともと微妙なのです。 ○樋口委員 ただ雇用関係はそこで発生していますから、労働法は適用になっているわけ です。 ○今野座長 しかし技能実習だったら、雇用関係になっているわけですよね。 ○樋口委員 技能実習だったらなっていますが、研修だったらなっていないわけです。 ○今野座長 もしそうだったら、研修まで雇用関係でやってしまえばいいのかという話です よね。いずれにしても研修にOJTというものが王道としてあるから、面倒くさいのです。です から、こういう制度がちょっと微妙なのです。 ○樋口委員 ただOJTというのはオン・ザ・ジョブということで、ジョブをやっているわけです から、最低賃金は守らなくてはいけないのです。 ○今野座長 それはいいのです。そのことと研修と労働を明確に分離して、労働の要素が あるからそれを排除して研修だけ、つまり「研修」というとoff-JTを完全に考えてしまうわけ ですよね。 ○樋口委員 いや、労働を分離するというのではなくて、労働力の不足というものに対して、 この制度で対応するかという議論をするかどうかです。それは実態がそうですから、もう切 り離すことはできません。 ○渡邊委員 つまり中長期的に見て、この制度をどういうように位置づけるべきかという議 論ですよね。 ○樋口委員 そこまで議論するのか、もう目的、趣旨というのははっきりしていて、それに 即すようにするには、どこを手直ししたらいいのかという議論にするのかということです。 ○北浦委員 現行の労働力政策のところが、一応基本的な前提になっているのではない ですか。 ○審議官 我々としては技能実習制度のあり方の研究会ですから、技能実習制度の本旨 は技術移転ということで、これをどうするかというのが間違いなくあるわけです。ただ現実問 題として、産業界には受入れ人数というのがあって、それが変質というか、必ずしも本来の 建て前だけではないという実態があることを踏まえて、この制度をどうするかという議論をし ているのです。ですから議論の中では、廃止ということもあり得るかもしれません。しかし、 その先の外国人受入れニーズに対して、どういう制度にするのかというのは、ここのミッショ ンではありません。あくまでも、ここでは技能実習制度というものをご議論いただくわけで す。  技能実習制度をご議論いただく中では、技術移転だけではない側面も当然あるということ も踏まえて、この制度をどうするかということまでご議論いただきたいと思います。もちろん 可能性としてはその結果、廃止ということもあり得るわけですが、それから先のことは別の ステージになりますので、そこはここのミッションではないという仕切りです。 ○今野座長 例えば、こういうことはどうですか。国際貢献をしたいというのはいいですが、 受け入れるためにはコストがかかるから、やはりインセンティブがほしいのです。インセンテ ィブとして、不足しているから使うという場合はどちらになるのですか。不足対策になるので すか。 ○樋口委員 いや、まず今の趣旨を変えないと無理でしょう。今の趣旨にはそれが入って ない、全くないですから。 ○丹野委員 たぶん労働と研修がきちんと区別できないというのが、最大の弱いところな のです。少なくとも研修をしたのかしなかったのかが、きちんと測れるような仕組みをどこか につくって、その上でここまでやったから、ここから先という形で実習制度に移るとか、どこ かで研修をきちんと捉えるというか、つかまえる何らかの仕組みをつくらないと、もう駄目で はないですか。 ○今野座長 出来の良い悪いは別にして、形の上では技能実習に移るときに一応試験が あるのですね。 ○丹野委員 それ以外に、先ほども申し上げたようにOJTですから、机上の試験だけでは なくて、OJTをきちんとやっているかどうかを測ることによって、研修を把握するしかないと 思うのです。要は、OJTがどうやってきちんと行われているかどうかを何とか捕捉しないと、 どこまで行っても無理ではないですか。 ○今野座長 どうやるのですか。 ○丹野委員 少なくとも受入れ団体側にきちんと、指導員が相当程度の人数確保されてい て、その人たちが回っているのか回っていないのかということを、きちんと把握するような仕 組みをつくると。それ自体、相当程度受入れ側にコストをかけさせることになりますから、や ればやるほどフィージビリティーが低くなるのです。 ○今野座長 例えば研修が終わった後に、機械をいじれという実習試験があったら、これ はどうせペーパーではできないから、OJTで教えているはずなのです。ですから結果主義 をとるのでしたら、実習試験をちゃんと強化する。プロセスでいろいろなことをやっても、見 つけるというか、チェックをするのが大変ではないですか。 ○丹野委員 そうです。そうするとコストが異常に高くなるだけなのです。 ○今野座長 結果できちんとやってしまうというのも1つですよ。 ○丹野委員 それか3カ月目とか、途中のどこかに1回確実に入れると。 ○渡邊委員 どちらにしてもチェックをもうちょっときちんとしないと。 ○丹野委員 ええ、チェックをしないと。 ○樋口委員 建て前ではなくて本音が、実質がそちらに移っているわけですから、議論とし ては労働力不足にどう対応するかということも含めて、それで議論をしていくということにな るわけですか。 ○今野座長 それをもう少しきれいに言うと、労働力不足をインセンティブにするという、そ ういう実態だろうという話ですか。 ○樋口委員 そこはちょっと議論が。 ○北浦委員 そこをやりますと、労働力対策になってしまうところがあるかと思いますから、 難しいところですね。 ○上林委員 そもそもできた時は労働力不足対策というよりも、不法就労者対策でできた わけです。反対なのです。労働力不足で現実に不法就労者がいて、これをどうしたらいい かという苦肉の策として、技能実習制度ができたと私は思っていますから、労働力不足と いう意味が、ある意味ではもう不法就労対策という意味だったのです。ですから1つ考える のは不法就労対策と、労働力の確保と、技能実習ということで。 ○丹野委員 3つですよ。 ○上林委員 1つは不法就労対策を視野に入れて、労働力対策というものを考えなければ いけないと思うのです。いちばん端にきちんとした労働者というのがあって、片方に不法就 労者があって、その中間段階に、ちょっと曖昧な形で現在の技能実習制度があるというよ うに考えて、そこを入れておいたほうが、労働力対策の意味としてはいいと思うのです。 ○北浦委員 労働力を目的としていくのか、結果として労働力と見るのかで、全然違うと思 うのです。これは先ほど樋口委員がおっしゃった二の次というのを、どのぐらいの意味合い で理解するかです。二の次を副次効果と考えるか、二の次のほうが強いと見るかです。た だ、技能実習は労働としているわけですから、制約条件付きの一定程度の労働であると。 これと同じことが言えるのは、例えば中学生にもアルバイトを認めれば、労働力として使わ れているわけですし、現にそれがないと成り立たない所もあるかもしれません。それは結果 として使っているわけで、労働力政策の目的として入れたのかというと、そうではないだろう という一応は整理をしておいて、結果として使われる面での労働力性に意味合いがあると すれば、それは適正にという、そういう筋道を整理するのかという感じがしたのです。 ○上林委員 それはきれいにいきますよね。 ○今野座長 一応そういう整理だと思うのです。もし、そうではなくて労働力政策を前に出し たら、ここは解散ですよね。 ○樋口委員 議論をする上で難しいですよね。 ○丹野委員 本音は違いますよね。 ○樋口委員 本音はそちらにあるから。 ○上林委員 そうですね。そうすると、別の仕組みを新たに考える必要があるぐらいまでで、 これ自体は寿命が終わったみたいな書き方になってしまうということですか。 ○樋口委員 可能性もありますね。要するに的確に目的を達成できないのではないかと。 だとすれば、別の仕組みが必要だろうということになるかもしれません。 ○北浦委員 本当に労働力政策として議論をしようと思ったら、産業政策の議論まで入ら ないと、できなくなってしまうでしょ。 ○上林委員 そうです。 ○北浦委員 これは一過性の問題ではないから。 ○上林委員 まとめの2番目に書いてあります。「産業・企業の受入れニーズ」という所に 対して。 ○樋口委員 片方で有効求人倍率とか、賃金水準がどうかとか、日本人との対比という話 が出てきているわけです。これは技能実習制度よりも、労働政策の意味合いが強くなって いるから、それが議論の対象として上がってきているということだと思うのです。 ○今野座長 もちろんそうですが、外国人のことだけではなくて、教育訓練の仕組みの流 れとして、例えばインターンシップが入ってくる、デュアルシステムが入ってくると、これはも う就労と訓練を結合してきているのです。つまり、片方では給料を払っているわけです。そ ういう形で訓練をしていくほうが効率がいいのです。ですから、それはちょっと似ているので す。ドイツのデュアルシステムでは、受入れ企業は低賃金労働者として使っているのではな いかという批判が昔からあるわけです。 ○上林委員 いや、違います。 ○樋口委員 例えば医師のインターンシップ、医学部のインターンシップは、まさにそれが 問題だったわけです。守られていないとは思わないけれども、従来は労働者ではないという ことで、最賃が議論になっていたわけでしょ。そうではなくて、それは労働関係だと位置づけ たわけです。そうであるがゆえに各大学病院は今、そういう仕組みで問題なったわけでしょ う。 ○今野座長 私が聞いたのは、労働関係だと位置づけたときに、労働力政策として位置づ けたかです。やはりそうではないですよね。私が言っているのはそこです。どうしてもOJTと 両面がくっ付いてきてしまうのです。 ○樋口委員 医学部の前に、たしか大学と高校のインターンシップ制度をどう位置づける かということで、あのときは厚労省だったか労働省だったか忘れましたが、そこと通産省と 文部省で、共同の研究会を開いたことがあります。そこでは最賃とか、けがが発生したとき の補償の問題をどう位置づけるのかという形で、たしか内容によって変えるという仕組みを つくったと思うのです。例えば座学が主で、たまたま1週間来ている2年生に対してやるよう なものについては、雇用関係ではないという形で。 ○今野座長 ただ日本のインターンシップの場合は中途半端で、非常に短期だからそうい う問題で済んでいるけれど、これが半年のインターンシップとなると。 ○樋口委員 諏訪先生が委員長をやられたときに、そちらには労働関係があるという基準 はできたと思いますよ。私も出させてもらったので。これは研修が1年ですからね。 ○今野座長 研修・技能実習はトータル3年。 ○樋口委員 そうすると、また複雑になってくる。 ○今野座長 そういった意味では研修だって、ちゃんと労働者だと位置づける。今回も研修 手当がはっきりしないという話になっているから。 ○樋口委員 そこのところをどうするかみたいな話ですね。 ○今野座長 違います。ちゃんと最賃を適用しようと。ただ、例えばこういうことがあるとどう なるかな。意外に真面目にやっている所は、研修生は研修手当のほうがメリットが大きいと いうことはあり得ますか。そういうことはないですか。つまり住宅も何もかも面倒をみてもらう と、トータルしたら6、7万円もらっておいたほうがいいという人たちもいるわけですよね。 ○丹野委員 あり得ます。それは当然出てきます。 ○今野座長 これが労働者だと言ってしまうと、そんなものは必要なくて、最賃の範囲内で 自分で住宅を探せと。そういう人も出てきそうですよね。 ○丹野委員 当然、それは出てきますよ。難しいですよね。 ○上林委員 労働力の部分で、研修としての確保をするという1つの論点といまご議論の あったように、労働力政策という2つを論じるということで、先ほど問題点を挙げてくださいま したよね。 ○外国人研修推進室長 2点目は、労働力政策としての観点というより、実態として、まさ に労働となっている部分です。そこはやはり無視できないので。 ○上林委員 そうだと思います。 ○外国人研修推進室長 ただ我々としては、この研究会では技能実習制度のあり方をお 願いしているつもりですから、技能実習の実効性という本来の目的の達成のために、ある べき要件なり改善すべき点を。そのときに、併せて労働という実態を踏まえた観点も議論し ていただきたいので、必ずしも労働力政策を議論していただきたいという意味で、これを挙 げているわけではありません。 ○丹野委員 今日、机の上に置いてある最初の30頁分ぐらいは、研修生から始まって、実 習制度に移るためのさまざまな要件が、おおむね入っていると思うのです。たぶん、これを きちんとやれば、相当コストがかかってしまうし、不良業者がいなくなるはずだとは思うので す。要するに、現行制度でも考えられている限りにおいては、ほかの制度に比べれば相当 程度、よほどましな制度だと私は思っています。しかし、これが必ずしもやらなければいけ ないとなっていないことのほうに問題があるのです。 ○今野座長 「やれ」と書くのですか。 ○丹野委員 いまの規制改革等の方向とは、ちょっと逆行してしまうのですが、そうである ならば受入れ団体とか受入れ自体を、ある種のライセンス事業的にして、免許を受けた人 でないと受け入れられないということにしてしまう。これをきちんと実行せよ、実行しない所 については免許を取り上げてしまって、ない以上は二度と受け入れられませんという形にし てしまうか。あえてすごい仕組みをつくらないと出来ないということではないような気がして いるのです。 ○今野座長 いまだって一応、ライセンスは与えているのでしょ。 ○丹野委員 いや、別に特にライセンスを取って始めるわけではないですよね。 ○今野座長 いや、そういうことではなくて、事業協同組合でないといけないというライセン スを与える。 ○丹野委員 それだけでは駄目だという。 ○今野座長 事業協同組合などのいろいろな受入れ団体は、ある種の公的な性格を持っ ているから、悪いことはしないはずだということで、ライセンスを与えているわけですね。 ○丹野委員 悪いこともするという前提に立って。 ○渡邊委員 性善説でするかはともかく、制度そのものなのか運用で対応できるのかとい うのは、1回目の議論であったと思うのです。そういうことから言えば、制度そのものはわり あいよく出来ているとは思うのです。ところが実際の運用はうまくいっていないのですよね。 ○北浦委員 協同組合という要件だけで十分でないとすれば、もう少し事前的要素を強め ないといけないけれども、そこはいいということであれば、やはり事後的なところでやると。 むしろ事後的な措置を強化するとか、こちらにあったように、問題を起こした所はどうするか という、そちらの議論でいけばいいわけです。ですから、そこの考え方ですよね。確かに協 同組合であるということが、いろいろな手続を取ってやったところですから、そこの中の運用 実態と言いますか、この要件をきっちり守る体制をつくればいいし、それを後は事後的に監 視していくという形が、いまの要請なのでしょう。そういうことではないかという感じがしま す。 ○今野座長 いまの丹野委員のお話ですと、一種のプロセスコントロールになっているわ けです。プロセスでこういう手順を取りなさい、こういう体制を取りなさい、このプロセスを踏 んだら、必ずいい人材が出てくるはずだということが前提で、これが守られていないのだっ たら守らせよう、厳しくいこう、やらなかったら罰則を付けるぞというやり方ですよね。 ○丹野委員 そうです。 ○今野座長 もう1つは、プロセスを緩くして、結果を厳しく見るという方法もあるのです。試 験をもう少しちゃんとやって、プロセスでどういう教育をさせるかというのは自由度を与える という。 ○丹野委員 基本的にどちらでもいいと思います。 ○今野座長 たぶん真面目にやっているほうは、後者のほうがいいでしょうね。 ○丹野委員 それはそうでしょう。 ○樋口委員 検討の視点ということでは、今日いただいた資料1−1の4、5頁に第1の視 点、第2の視点として出ていたわけですよね。いま議論されているのは、どうも第1の視点 についての限定だけれど、第2の視点のほうは、わりとニーズの話ですよね。この両方を合 わせて議論しろということでしょうね。 ○今野座長 そうそう、両面があるからね。 ○樋口委員 そうすると、時には相反することもあり得るわけです。リジットにやれ、厳しくや れということになれば、逆に受入れ人数は減ってしまうだろうということですから、相反する ときはどちらに力点を置くかです。この間のインタビューでも言っていたのは、いい受入れ 先が一般的なんだ、ところが中には悪いのがかなり混在している、これらを識別するような リトマス紙を用意できないかというのが、みんなから出ていたわけです。リトマス紙は今おっ しゃったように、第1の視点をやる場合に、こういったものは、ちゃんとストリクトリーにやって いけという話ですよね。ややこしいのは第2です。これをどう考えるかというときには、労働 政策抜きには語れない話ですから。ここに列挙されているような、それに対する要望もかな り出ていたわけです。 ○北浦委員 やはり1つ違いがあるのは、OJTではあるけれども、日本においてずっと国 内労働者として使っていくための養成課程なのかというと、そうではないというところは、ま ず決定的に割り切っておかなければいけません。 ○上林委員 そこが問題なのです。 ○北浦委員 そうでない政策、つまり定着政策、移民政策をとって、完全に国内労働力政 策のスタンスでいける。有期・限定的ということであれば、つくってあげて出すわけですから、 そこは自ずと相手国というか、送出し国における貢献ということにならざるを得ません。そこ を変えるのか変えないのかというのが、ひとつ大きいだろうと思いますが、現状ではそうな っていません。  ただもう1つのニーズといったときに、確かに受け入れる所がなければ国際貢献など成り 立ちません。それは事実です。たぶん受け入れる所は人が足りないし、そういうところで是 非やっていただきたいというニーズがあってやっているのが事実なのです。しかし、それを 副次効果というか、二の次の効果として、たまたま成立していると見るか、いや、労働力政 策としてこれが機能しているから、そこのところをもうちょっとちゃんと考えるか、そこの見方 の違いがあるわけです。  結果論から見ると、やはり人手不足の所にみんな行っているわけで、そういう所は受け入 れるニーズが非常に強いのです。問題は、そこの企業がとことんこれを自分の労働者とし て使っていきたい、3年後、5年後の暁には、自ら定着してくれというスタンスでいくか、そう でないかです。おそらく短期型の労働力でいいという割切りをしているとすれば、それはア ルバイトを使っているのと同じ考え方になってしまい、そこまでの対策でしかないと。 ○今野座長 北浦委員が言われた、将来の基幹労働力として養成しているという立場に立 つと、樋口委員が言われた2番目の立場になって、ここは解散ということになります。この 第1の視点のほうでリトマス試験紙をかけ、それがきちんと適用されれば、労働があったと しても、真面目に研修をします。結果としてどこかの産業がバーッと上がってきたときに、人 手不足の深刻な所があっても、それは全然問題ないという話ですよね。 ○北浦委員 それはたまたまですがね。 ○上林委員 そうしますと、もしも研修ということでしたら、本当はこちらのニーズではなくて、 これはやってほしいという、向こうのニーズの職種を持ってこなければいけないでしょう。そ れを一切聞かないで技術移転というから、そもそも本末転倒になってしまうわけです。 ○北浦委員 もともとの議論のときにもあったと思いますが、労働力政策として考えるので あれば、人手不足対策がそもそも1個あって、そちらをどうするかと。その産業の労働力確 保はどうあるべきかという対策が別に講じられているという前提がないと、変な方向に走っ てしまう。現状がちゃんとやられているのであれば、副次的にこういうところがあっても別に 問題はないでしょうと。こういう低賃金産業に対して、一応それはやっているという建て前な のではないですか。 ○上林委員 例えばドイツともOJTは一緒だという意見ですが、それはその人たちが将来 国を支えて定着していくので、OJTがずっと単純にあっても、いずれ10年、20年、30年後 を見越してなのですが、外国人の方は基本的には戻るという前提ですから、それはその人 個人の10年後が日本の国に経済的に役に立つという見方とは違うのです。 ○今野座長 そのデュアルを出したのは、研修というのはどうしてもOJTが入ってしまいま すよという例で出したのですが。 ○上林委員 それは誰も否定しないと思います。 ○北浦委員 もう1つは、ドイツでも中小企業の場合は受け入れますが、自分の会社に残 らない労働者はたくさんいます。ですから、個別企業にしたらインセンティブはそういうこと なのです。少し似ているのです。大規模の場合は大体定着してしまいます。そういう意味で 「似ていますね」と言っただけです。 ○樋口委員 おまけにこれは基本的に労働の移動の自由を認めていないわけです。 ○渡邊委員 5年とよく言いますが、5年間同じ企業に縛り付けるのか、ということにはどう しても理解できません。3年でもどうかなという人もいますが。 ○今野座長 いちばん問題になっているOJTというのは働かせているのか、研修をやって いるのかわからないと。ここがいちばん問題ですから、このリトマス試験はないですか。 ○丹野委員 それは解釈の問題ですからね。 ○上林委員 研修しているのか、働いているのか見た目も同じですから、わからないですよ ね。1年間については能力を養成しているのが多いということで、1年間という期間で区切 る。まだ1年間だったら技能レベルは高くないので、従って研修であるという形の期間限定 で見てしまえばいいのではないですか。 ○渡邊委員 基準として期間で見るのか、それともテストで見るのか、技能というか、どちら にするのか。 ○上林委員 1年間の研修期間というのは、それなりに合理性を持ちますよね。1年間は 労働力としてまだ未熟練であるという言い方は、合理性を持つと思います。 ○今野座長 何となく私は結果主義が好きなのです。ですから、結果でちゃんと評価すれ ばいいわけです。ところが、日本の場合はそういう仕掛けが社会的に十分でないので難し いですが。 ○丹野委員 業種によっても違うと思いますが、研修生に全くのズブの素人が来て、研修 をしてうまくなるというわけではないではないですか。予めある程度の人が来て、そのある 程度がないと、もともと渡って来れないという前提があるにもかかわらず、その中で研修と いう名目で働いてもらっている。そういう意味で、本当の新卒者を雇うよりも、よっぽど最初 から能力のある人が研修の中で働いてしまっているということに、私はどちらかと言うと問 題があるのではないかと思います。そこは最初の定議の問題ですが、要するに実態を加味 しないで、日本語もできない人が渡って来ると思って、研修期間として想定するのか、そう ではなくて、最初からある程度の技能なり、何なりを測った上で、そこそこの労働者、もしく は労働技能のある人が渡って来ていると考えるのかで、位置づけそのものが随分変わって しまうと思います。 ○今野座長 真面目にやっているところは事前面接をしますよね。事前にテストをして。 ○上林委員 最初はそういう形で始まりましたが、受入れ人数がここまで拡大してきますと、 それだけでは十分に人を送れなくなってしまいますよね。最初の成績については、同じ業 種で同じ職種の人というようにできるだけ厳しくやってきたのですが、そろそろそういう人た ちが向こうにいなくなってきたという現実を見ますと、さらに厳しくしていくという方向は、あま り現実的ではなくなっています。送出しの工場は、無限にあるわけではないですから。 ○丹野委員 しかも2度目は来れないわけですからね。 ○今野座長 いまのところ出ているアイデアは、ここに書いてあることを全部強制させるよう な仕組みを作ればオーケーだということと、もう1つは、ここを緩めたのは私ですが、結果を 厳しくしようというアイデアしか出ていないのですが。 ○北浦委員 技能実習計画書というのは、この本を見ますと確か数字だけ出せばいいよう になっていますが、あとはたった1行なのです。「これに基づき着実に実行すること」のこれ だけになってしまっているのです。つまり、結果主義なのです、検定があるからということで すが。  マニュアルまで整備するかどうかは別ですが、例えば、こういうことをやりなさいという指 示書とか、マニュアルではないが教本みたいなものがあるのかとか。あるいはこれについて の担当者は誰になっていて、どういうところを見るのかとか。いわば実際の場面になると、 「どういうことができるようになりますか」と目標を書くわけです。そういうレベルまでの降り立 ちというのは、任せてしまっているわけですね。 ○外国人研修推進室長 補足して説明すべきだったかもしれません。現状としては、北浦 委員がおっしゃるとおりです。ここには時間数と、何をやるかを書くだけになっています。こ の技能実習計画の中身については、本当にこれだけで足りるかどうかというのは、実際の 評価を行っているJITCO自身も問題意識を持っております。JITCO内部で検討会を行って、 実習計画の中身をもう少し実態といいますか、実習の状況を見られるものに改善すべきだ ろうと内部で検討しています。その中で、例えば「主な作業とその内容」という形で、まさに 作業、中身だけが書いてあります。この作業について、こういった技能を向上させるとか、こ ういうことを到達目標として訓練するといった実習のプロセスとか、定性的かもしれません が、目標をもう少し書かせてはどうか。  これは悪質な事例かもしれませんが、実際に対象職種になっているフライス旋盤の現場 を見ますと、その旋盤にはシートがかかってホコリをかぶっているという例もあると。実際に どういう器具、工具、機械を使ってどういう実習なり、訓練をするか、もう少し明記させて、そ の機具は本当に動いているのか、指導に行ったときにチェックできるようにすればよいので はないか。そういった議論もしております。  指導員については、実習体制概要書という形で、指導員の職名は書かせることになって いますが、制度としてはどこにも義務化という文字はないのです。JITCOはそういうことを 評価の1つのポイントとして見ています。 ○今野座長 一応国際貢献という意味での職業訓練をするというときに、普通ならいちば ん最初に考えるのは、訓練の人たちが言う言葉で、「出来上がり図」を考えますが、その定 義はないのですね。あるのですか。 ○渡邊委員 ないのではないですか。この程度で。どういうふうに。 ○今野座長 ということは、出来上がり図がないと、アウトプット評価はできないわけです ね。 ○渡邊委員 できないですね。到達度がわからないですからね。 ○今野座長 受験を一応奨励しているではないですか。あれはどのくらいのレベルなので すか。高卒初任ぐらいですか。 ○審議官 ですから、出来上がり図は最初からありますので、まず技能実習を始めるとき の条件として、評価制度があることが絶対的条件です。これは技能検定3級が基本で、技 能検定がないところは、業界団体を中心に同レベルの評価制度を作ってもらう。それがで きた場合には、JITCO認定として評価をやっていると。評価制度があるのが大前提ですか ら、出来上がり図はあるのです。そういう前提でこれを作っています。ただ、評価を受けて いる方は少ないということが現実としてあるわけですが、制度としてはそういう仕組みは、そ れが大前提です。 ○今野座長 日本人との対応でいくと、一応奨励しているのが3級レベルですから、高卒、 工業高校卒ぐらいを出来上がり図としている。ですから、企業の現場では、一人前の下と いうことですね。一人前ですとやはりもう1個上、2級ですよね。 ○外国人研修推進室長 これも名目だけかもしれませんが、「実習体制概要書」、指導員 と書く様式の中に、技能検定の受験予定をチェックする項目もあります。実習移行後1年 後には、基礎1級相当、2年後の修了時には、3級相当を受けてくださいということを、ここ で奨励し、なるべく受けてもらうことをお願いしています。ただ、実際上の数字としては、受 験率は低いということです。 ○渡邊委員 もっと、上げさせる。 ○今野座長 これは真面目にやってきた人たちが3年やれば、3級の実習は受かると思う のです。問題は、日本語の問題ですからペーパーテストでしょう、素人考えですが。これは 日本語を考えますと、3級は受けたくないなと思いますが。実技だけならばいいぞという、そ ういうことはありそうな気がしますが、どうでしょうか。 ○外国人研修推進室長 現行制度の実際の受入れ企業の要望といいますか、不満の中 には、いまの仕組みがあまりにもリジットではないか、という要望も実はあるのです。技能 検定3級試験そのものを必ず受けなくても、同じような技能を誰かが評価してくれればそれ でいいのではないかとか、そういった現場の声としては確かにあります。 ○渡邊委員 誰かがというのは、誰かですよね。 ○上林委員 2の論点は置いておいて、1について話すとしたら、例えば、ここは中国語で 受験問題を作るといった形で、受験率を高めて技能を保障する、ということはそんなに難し くはないですよね。 ○審議官 現実に、安全衛生上を考えますと、やはり工場は日本語でやっていますので、 いろいろ指示したり、それがわからないと、安全衛生上の問題が出てきます。ですから、OJ Tの効果を高めるのは日本でやっているわけですから、日本語をある程度理解しないと、O JT自身も効果的にできないということもありますので、技能のレベルを上げるのと日本語 は平行してないと、研修効果も上がってこないと思います。日本語以外でというのは1つの 考え方としてそういうこともあるかもしれませんが、やはり基本は日本でOJTがある以上、 教育訓練効果としても日本語というのは最低の条件として持ってもらわないと、安全衛生 の問題もありますし、それは基本ではないかというのがいまの考え方だと思います。 ○今野座長 考え方によって、それは技能実習に入るときに、最低限の日本語を知ってい ないと、安全衛生上の問題がある。今度は出口ですから、中国へ帰ってその技能が発揮 できるかですから、それは少し違うのではないですか。どうですか。  例えば、計量や数学系をやっている大学院生の留学生は日本語は下手ですが、ちゃんと 論文は書くとか、そういうことはありますので、スキルのほうはついていきますので。 ○樋口委員 私の大学ではいまは英語で単位が全部取れるようにしました。何で英語なの かはよくわからないですが。 ○今野座長 技能実習のいちばん出口を、例えば3級を義務づけたらどういうことになるの ですか。大混乱になりますか。研修なんだからと言って。 ○上林委員 研修のあとに技能実習に移るのに当たって、受講レベルを上げる。 ○審議官 移行のときは基礎2級を通らなければ、技能実習に移行できないということで、 これはやっているわけですね。 ○今野座長 それはいいのですよ。しかし、あとの2年間のOJTの評価をしたいのだけど。 ○審議官 そういう考え方もあり得ると思います。ですから、実習の実を上げていくのにプ ロセスでやるのか、結果でやるのか、ということがあると思いますので、その辺をどう考える のか、おっしゃるようなところはあると思います。 ○今野座長 技能検定の体制から変えなければいけないから。 ○上林委員 職種の概念が。 ○樋口委員 それは分離できませんが、知識と技能と分けられたらの話ですよね。 ○北浦委員 ただ、実習生はそれが受かったからと言っても、いまは何のメリットもないの です。受かってまた2年という話ではないですからね。いずれにしても、帰らなければならな いわけでしょう。インセンティブがあるのは、むしろ受入れ側の企業ですよね。それが受から なければ、次また受けられないというところでチェックがかかるでしょうけれども。 ○今野座長 本当はこの3級が中国で流通すればいいということですね。 ○樋口委員 そういうことなのです。 ○渡邊委員 資格の相互移転みたいな。 ○今野座長 そういうことがあれば、メリットはあります。 ○渡邊委員 日本語検定もあまり受けていないですよね。奨励はしているみたいですが。 ○上林委員 日本語を現実にこれだけとなると、職場で使う日本語はわからなければいけ ないですよね。職場の人の日本語は、日本語学校で教わる日本語とは違って、各地の方 言もありますので、それがまず先にいくのでしょう。それからテスト対策というのは、また別 にくるのですよね。それはやればやるほど、企業にとっては負担が高まるのです。 ○今野座長 適性化というのは何らかの形で、どういう方法か知らないですが、もう少しち ゃんとしようという話ですね。 ○北浦委員 JITCOが認定しているのは、やはりペーパーテストがあるのですか。同じな のですね。完全に準じている。この受講率はネットの数字、外ですね。 ○外国人研修推進室長 中です。奨励金の中には入っています。 ○今野座長 奨励金を5倍ぐらいにしますかね。 ○渡邊委員 なぜ受けさせないのかというのが、よくわからないのです。 ○北浦委員 評価の仕方がポイントですよね。 ○上林委員 実習修了時のときですか。 ○丹野委員 それが3年経った段階で。それはお互いにメリットがないからやらないのです よね。強制もされていませんし、メリットがなければやらないですよね。それは我々も試験は 受けたくないですものね。 ○上林委員 これが通ったら、移動が可能とか。またはもう一回来られるとか。 ○外国人研修推進室長 実際のヒアリング実施結果の8頁の受入れ企業の7の(2)実習 修了時の受験の有無も聞いております。確かに技能検定の受験をさせている所は、ヒアリ ングの中にはなかったのです。しかし、日本語検定については、本人の希望も強いかもし れませんが、日本語を折角勉強したのだから、中国へ帰るのに当たって日本語検定の試 験を受けたいという希望はあって、それを受験させているような例はありました。 ○樋口委員 それはメリットがありますものね。日本語検定に受かっているなら今後雇用。 ○丹野委員 技能検定のほうは。 ○樋口委員 何の価値もないというのは、どういうことなのですかね。 ○北浦委員 この事業の評価としては、これは建て前かもしれませんが、帰国後のフォロ ーアップということで把握していることになっているのでしょう。それはどのくらい行われてい るのですか。 ○外国人研修推進室長 これはこの間から出ていますが、不十分なところがあります。第2 回でお示ししたように、例えば中国のフォローアップにおいては、現地の送出し機関をいく つか回って、実際にその帰国生に対するアンケート調査を実施しました。それも本人の満 足度といいますか、技能が上がったと考えるかどうかという意識面の調査と併せて、実際 に企業で、日本へ行く前と帰国後の職位がどう変わっているか調査しています。やはり、一 定程度職位としては上がっていると、結果としては出ております。そういうことを本来はもっ と徹底してやるべきでしょうが、全数が多いということもあって、十分にできていないのが実 態です。 ○渡邊委員 この中に「帰国後の予定」と書く項目がありますね。例えば82頁の「技能実 習修了後の予定」というのがあって、チェックするところがありますが、これはどこに付ける のが多いのか、「その他」なのか。どこが多いのか、これを見ながら疑問に思ったのです が。 ○樋口委員 いまの調査で例えば業種ごとに、日本でどのような業種で研修を受けたのか。 その技能は帰国してから役立っているのか。あるいは全く違う仕事に就いているのか、とい う結果は出ているのですか。 ○外国人研修推進室長 サンプル調査の範囲で出ているものはあります。 ○樋口委員 それを基準にして、産業や業種を考えていくことはあり得るのですか。 ○外国人研修推進室長 はい。 ○樋口委員 先ほどまでの産業職種というのは、国内のニーズのほうでしたよね。 ○外国人研修推進室長 例えばすべての職種作業についてフォローアップができているか というと、現状としてはそうではないのです。そういうことをこれから取ることはあり得るかも しれませんが、現段階のデータとして、残念ながら62職種についてフォローアップができて いる状況ではないです。 ○今野座長 たぶん、団体でもトレースするのは大変だから。 ○樋口委員 こちらがするのは大変ですが、受け入れてきた企業が逆にそれをしないと、 次は受けられないよとやるのは。 ○今野座長 日本の受入れ企業が。 ○樋口委員 国がそれをやると大変というか。 ○今野座長 向こうに受入団体がいて、そこが全然把握してない。またどこからか持ってき ていますから。 ○樋口委員 フォローアップができないというところが問題なのでしょう。ですから、現地の ニーズをどこまで把握しているのかわからないということです。日本で研修を受けて資格を 取っても、それが向こうで使われないと。それはある意味では目的を達成していないことに なるのですよね。 ○上林委員 労働力という側面に焦点を当てて、きちんと制度を作ったほうがいいのでは ないかという気がします。 ○樋口委員 向こうの送出し国で、どれだけ有効にその技能が使われるか。例えば、こち らで研修を受けた人たちが、向こうへ帰ってその技能をいかに活かしているか、そういうス タッフルールを出せと。それはワールドバンクの研修制度で来る人たちは、そういうことをや っている所もあるわけです。帰ってからその人たちがいかに貢献しているか。 ○今野座長 日本の研修でも、例えばAOTSや日本ILO協会という所を通していれば、ち ゃんと把握できているのです、筋がいいから。駄目でしょう。これは団体監理型がすごく難 しいです。つまり、出し手が非常にはっきりしない場合があるのです。これは追っかけようと しても、大変だろうね。 ○丹野委員 難しいと思いますよ。 ○樋口委員 何かの基準を設けないと、産業によって違いを付けることはまず考えられな いですよね。ある産業は有効求人倍率が国内でも低いですし、ハローワークにも求人を出 していない。しかも出したのを見ますと、賃金が安いというのが出ていたわけでしょう。そう いう所はなるべく抑えて、いい所を増やそうといったときの基準というのは、日本国内の労 働市場の基準で言っているわけです。 ○今野座長 それはいいです。 ○樋口委員 それを考えるときは、趣旨のところにそれを書いたほうが。「国内の労働市場 を鑑み」とか。建て前と本音があまりにも違いますと、制度はできたけれど運用ができない という、先ほどの話になってしまうわけです。 ○北浦委員 そこがなかなか難しいのは、国内で努力してもできないという現状があるとす れば、むしろそれは送出し側の条件ではないか、ということになってしまうかどうかです。そ れが成立しなければ、受けてはならないと。こうやって縮小均衡型にしていくということも1 つの考えとしてあります。そこは難しいところです。国内は真面目にやろうと思っていても、 そういうことは把握が不可能なので、それはどうするかというのがいまの現状だと思います。 そうしますと、送出し要件自体がそのようになっていたら、ちょっと。しかしこれは外国です から、そこはなかなか言えないと。難しいと。こちら側で条件を付けてしまうと、締めていく感 じになってくる気がします。 ○上林委員 目的をきちんとやろうとしたら、結果として締めていくことにしかならないので すよね。ということは、何か別枠を設けるという方向にしかならない。この事業の目的をきち んとフォローしていこうとすると、やはり厳しくして受け入れ枠は下げていく。研修生人数を 現在の8万から6万、5万、4万というふうにやっていかないと、目的は達成できないだろう。 ○北浦委員 そうしますと、国内できちんと仕上げたところで、そこの水際の所で評価する という方向しかないと思います。 ○上林委員 やはり拡大の方向でやっていくと、現状でもこんなになっているのに、とてもフ ォローアップまではいきませんので、適性化ということは数を減らす方向になると思います。 適性化のための人数を増やすことになれば、とても現実的ではないと思います。 ○樋口委員 ちゃんとやっている所は増やしたい。そのニーズを満たすにはどうしたらいい かという話はあるわけですよね。 ○上林委員 本当にやったら、そんなに増やせないでしょう。真面目に教えていたら。 ○渡邊委員 そうですね。そのとおりです。規模が小さい所は多いわけですから、無制限に 増やせるはずはないのです。 ○上林委員 お前にやらせるぞと社長さんが言って、時間外に教えたりして、やっと3級が 通る感じですから、人数が増えたら手は回らないと思います。 ○樋口委員 トレーナーを雇ってやるのだということも、何かのシステムを作ればあり得ま すよね。それでもやりたくないと言うのであれば、それはそれでもういいですし。 ○丹野委員 費用がかかるということですね。それはどこかで負担されれば。 ○上林委員 一緒にいる人が教えるのがいちばんいいわけです。昔のブラザー制度みた いな、職兄制度みたいな感じで教え込むことは可能だと思います。それにはやはり少ない 人数でなければならないのです。 ○樋口委員 (2)の第2の視点は駄目ですか。 ○上林委員 この枠で第2の視点に移ろうとするには、難しいと思います。ここを突破口に して(2)にいくのには、矛盾が拡大するのではないか。 ○樋口委員 この制度の中では無理だと。 ○上林委員 はい。ですから、もしもこれを目的、適性化、実効性の確保という形ならば、 反対に枠を絞るような形でやっていくほうが守りやすいでしょう。(2)は分けて、この制度内 でやるほうが。 ○樋口委員 この制度以外にないから。 ○上林委員 これを借用して、そちらへ持っていけば、ますます破綻が大きくなると思いま す。 ○丹野委員 (2)は完全に単純労働者を受け入れるのかどうかという、そちらをまず決め てもらわないとどうにもならないですよね。 ○上林委員 90年ころにこういうことが話題になったときに、世の中に単純労働者なんてい るんですかとか、みんなやればうまくなるのですというほうが、非常にアピールできたのです。 そうおっしゃった先生がいらして、現実にしたのです。技能差はあるわけですから、あるとい う前提から始まったほうが、議論としては真っ当だと思います。 ○樋口委員 趣旨を2つにするのは、相反することになるのですか。 ○上林委員 いかがですか。 ○樋口委員 制度A、制度Bというのが、新しい制度の中にあるというのは。 ○上林委員 どうでしょう、総合判断ですから。 ○樋口委員 そうするとみんなAにはいかないでしょうね。 ○丹野委員 それはそうですよね。好き好んで厳しいほうを選ぶ人は。 ○外国人研修推進室長 ヒアリングの結果で恐縮ですが、私が調査したことでもあります のでご紹介いたします。7頁のK-(1)、K-(2)は、自動車部品関係です。輸送用機械の大手 自動車メーカーの下請というか、子会社というか、企業です。1,000人以上の中堅大手です。 お話を聞いていますと、当然管理体制もしっかりしておりまして、企業単独型でも、本来受 け入れられます。受け入れているのも、現地の中国法人での採用を見越して、あるいは採 用した若い方、あるいは採用予定の方を見込んで受け入れている企業です。  ただ、送出し機関との連絡や、いわゆる集合研修の部分については、ある程度ノウハウ を持った第1受入れ団体についてお願いしたほうが、企業としては管理的にうまくいくという 判断のもとに、団体監理型での受入れを行っています。団体監理型の中にも良い事例が あるという印象を受けて帰ってきました。 ○今野座長 前から出ていますが、団体監理型でも極度に気真面目な人たちもおります。 研修をして、結局労働でも使える人がいて、最初から労働ねらいということで、3パターンあ るのです。最初から労働ねらいのところが問題になっていると思います。 ○樋口委員 第3回目でインタビューをしましたが、いくつか受け入れを促進するところから、 こういう形でやればリトマス試験紙も合格しますよというものは、ご質問しても出ないのです。 それならばいまの趣旨を合致するような、なおかつ受け入れを拡大するような方法はどう すればいいのでしょうかねと言いますと、みんな「うーん」と、誰もが首をひねっているじゃな いですか。私が聞いた限りでは、それが出てこなかったのですが、何かありましたか。 ○今野座長 いずれにしてもリトマス試験紙をかけることは、縮小して適性なところを増や すということですね。 ○樋口委員 縮小かどうかわからないですが、色分けをしてね。 ○今野座長 まずいところを外すという意味では縮小して。 ○樋口委員 そうそう。ただそのまずいところに、もっとこうなってもらうのかもしれませんし、 既存のところになるかわからないけれども。何かないのですよね。 ○今野座長 先ほどの渡邊委員や丹野委員の話は、これをちゃんとやればリトマス試験紙 になると。これももう少し強制したらという話ですね。 ○丹野委員 なかなかよく考えられているとは思うのですが。 ○渡邊委員 制度はね。やっぱりそこに戻るのですけれども、本来の制度に。 ○丹野委員 同じことを日系人に行っていたら、日系人も随分と変わっただろうと思います し、10年働いても、日本語を全く覚えないというのは、少なくとも研修生にはないわけです。 日本語できちんと日誌を書かせたりするだけで、全然習熟度は違うわけです。2年間働い た研修生と、10年働いた日系人では、2年間の研修生のほうが日本語ができると、工場の 人は皆さん、そこは研修生の評価はできるよねと必ず言います。 ○外国人研修推進室長 決め手にはならないかもしれませんが、良い事例を情報として共 有化する。帰国前の3級の取得の義務づけというのが、労働側ですがご意見としてありま した。 ○今野座長 いまのところ出ているのは、団体のチェックをちゃんとするという話ですか。 ○上林委員 3級は母国語では駄目だとしたら、3級を取った人に対しては就労資格を与 えると。 ○今野座長 それは新しいアイデアですね。 ○上林委員 そうしたらインセンティブとか、結局それしかないですよね。 ○渡邊委員 受けないならインセンティブに何か付けるとか。その方法が就労資格になる と。 ○丹野委員 それはものすごく受験率が上がりますよ。 ○上林委員 そうしたら、もうずっと定住化ということを見越して、そのようにしていかなけれ ばいけないので。 ○丹野委員 そうしますと、2番目の論点につながってしまいますよね。 ○上林委員 定住化についてはどう考えるか、というところを議論しなくては、そういうこと が言えなくなってしまいます。 ○審議官 これは技能検定3級ですから、いまの外国人の就労の受け入れの考え方という のは、専門技術が受けられるけれど単純。3級というのは、その専門技術というレベルから 見ますと、はるかに低いわけです。修了後の評価によって就労とか、そういうことについて は我々は議論にはなり得ない。この制度ではそういう理解でおります。そこはレベルが違う 話だろうと思います。 ○今野座長 1級ならいい。 ○北浦委員 1級でもまた議論が割れるところではないですか、難しいでしょうね。それは 移民だっていうならば別ですが。 ○上林委員 やはりどこかでお帰りいただくことを入れると、高いレベルを要求してはいけ ないということになりますね。 ○丹野委員 それも矛盾していますよね。 ○北浦委員 そのニーズがいまは非常に高くて、ボルテージが上がっているのかどうか。そ こはどうなのでしょうか。 ○上林委員 この間のヒアリングでは、使用者のほうでも、そういうことはなかったですね。 そうしたら、やはり基準を上げて、高くして、厳しくするというのはニーズがないのです。 ○今野座長 そうしますと、プロセスで担保しなければいけないという話ですね。 ○審議官 結局、技能実習という制度での枠組みですから、本来能力が付いて、その政策 評価として見ることはあるべきだという議論もあるわけです。インセンティブを付けて受けさ せるという考え方もありますが、もう1つは、もともと実習制度ですから、その政策評価をど うするか、という議論からしますと、評価があってしかるべきではないか。 ○樋口委員 強制するということですね。 ○審議官 インセンティブを付けて受けさせることは、いまそうやっているわけですが、制度 本来から見ますとどうかという議論はあると思います。 ○上林委員 実習制度本来の目的からは、論理的に必要なものであるわけですね。 ○審議官 そういう制度として受け入れているわけですから、インセンティブを付けて、なる べく受けさせることも1つの方法だと思います。 ○北浦委員 インセンティブなのか、負担の軽減なのか、やはり似て非なるので、少し違う と思います。強制的にやらせるが、負担の大きさに応じて軽減策を取るという考え方は、イ ンセンティブ論とはまた別ですから。 ○丹野委員 いまのお話ですと、技能実習に移った段階で、終わるときにはその試験を受 けることにするということです。 ○審議官 そういう考え方もあり得るということです。 ○上林委員 ということは、規制が強まり、実習制度の遂行自体が厳しくなる。むやみに受 け入れてはいけないという形になりますね。 ○丹野委員 望ましいとは思いますが。 ○樋口委員 これをリジットにやろうとすれば、そうなってくるわけでしょう。卒業試験がない のですよね。 ○丹野委員 いまの状態がそうですからね。 ○上林委員 そしてこれが卒業しない限りは次の受け入れは認めない、ということになるの でしょうね。 ○審議官 事業場の評価ということでは、いま評価する視点はなかなかないわけです。もち ろん基準法違反だとか、そういうことがあればネガティブな否定というのはありますが、質の 良い実習をやっているかどうかというのはないので、もし仮に受験率が向上してくれば、そ れによってその事業場自体も、実習として適しているかどうかということを見る1つの指標に はなってくると思います。義務づけまでいくかどうかという話はあれですが。実習としてのメ リハリは、我々としても考えていかなければいけないという感じは持っています。 ○丹野委員 趣旨としては、私はそれがいちばん好ましいと思っています。その場合ですと、 今日書かれた中で、(2)については全く無視することに。ニーズを考慮すべきかということ については、全くあれですよね。 ○上林委員 それはそれでもう。 ○今野座長 これは意外と合うのです。例えば、多能工化で受けられるような資格にちゃん とするとか。もし受かれば再入国を認めるとか。 ○丹野委員 次の道ですね。 ○上林委員 しかし、本当にやるには数を絞って決めないと。0.75を上げるという形になり ますよね。 ○北浦委員 3級なのか、別枠の試験なのかという問題ですよね。もともとあった議論だけ れども。 ○外国人研修推進室長 何をもって評価するのか。いまは技能検定等の試験合格として おりますが、そのツールの問題。 ○今野座長 普通に考えたら、3年やって技能レベルが3級以下というのはないという感じ がします。技能でしょう。ペーパーは別にして。 ○渡邊委員 3級以上。 ○今野座長 2級を取ったら、もう一度入ってきてもいいと。 ○上林委員 それは積極策ですね。3級を取らなければ認めないというのは、ディスカレッ ジのほうですね。 ○北浦委員 入るというのはこれ、技能実習生としてですね。 ○今野座長 3年間を置いてとか。 ○北浦委員 再実習ですね。3級受験の問題点というのは、もう少し整理されているのです か。数字が非常に少ないので。先ほども少し出ていましたが日本語がネックなのか、本当 にどこが難しい、どこができないかを。 ○上林委員 だからなくても全然構わないものは一切しないという。ですから、問題点も何 もこれまで考えられたことはないと思います。 ○北浦委員 それだけならば、そこは意識啓発の問題ですか。 ○上林委員 試験を受けないで卒業できるなら、やりたくないでしょう。 ○北浦委員 それはやらなければいけないという形に持っていけば済む話なのか、もっと 技術的な障害があるのか。技術的というのもおかしいですが、例えば、受けさせてみても、 受けられない何か問題点が現行にあるのか。そこは私もよくわかりません。メリットがない から受けない、そこだけなのですかね。そういう割り切りですかね。それならば、推奨すると いうことで、これは方策として成り立つと思います。推奨というか、もっと積極的に義務化に 近づけるようにして、なるべく受けなさいと。 ○今野座長 もし義務化したときに、企業単独型もそうしなければならなくなってしまいます かね。 ○外国人研修推進室長 企業単独型と団体監理型の2つをどう考えるか、というご議論も あるかもしれません。 ○上林委員 どういうことを考えているのですか。 ○今野座長 企業単独型は、例えば、ちゃんと真面目にやっているからいいではないです かというのがあったとしたら。 ○樋口委員 そうはいかないでしょう。 ○今野座長 そうすると一緒ですよね。 ○樋口委員 団体もいい所はあるという話もありますので。 ○今野座長 そのとおりですよね。 ○外国人研修推進室長 制度的に企業単独型というのは、基本的には現地企業とか子会 社、あるいは取引企業からの受入れです。団体監理型はそういう関係がない所という大き な違いは明確にあります。 ○今野座長 それは研修をするほうがコストをかけてもいい、インセンティブが全然違うとい うことなのです。 ○樋口委員 再入国を認めるならば、もとの企業しか駄目なのか。移動を認めるのかとい う話は出てきますよね。5年間縛る。3年の次は5年だとすれば、それがやはり大きな交渉 上の考えの差になっているわけでしょう。移動できないから、実質的に母国に帰るのか、そ こに残るのかしか選択肢がないわけですよね。そうすると買い手が嫌ってそれは起こり得 ると。母国と比べるとこっちのほうがいいということになるという問題点もあるわけでしょう。 ○丹野委員 もし再技能実習まで考えるならば、再技能実習だからこそ、やはり日本のニ ーズでなくて向こうに。要するに3年で帰るよりも、5年で帰ったほうが、向こう側できちんと その能力が発揮できるということでないと。 ○今野座長 いつから5年になったのですか。 ○丹野委員 いや、知りません。一応、5年とすれば。再入国するとすればです。 ○今野座長 再入国で一応帰るからね。 ○上林委員 これはそういう議論は出ていないですよね。 ○樋口委員 再入国という話はあったかもしれません。 ○丹野委員 余計に高いハードルを課しておかないと。 ○今野座長 要するに、結果評価を受けていただくためのインセンティブをどうするかという 話でしょう。ここがないのに、無理矢理強制したら、逃げるか、潜る。 ○上林委員 大反対します。 ○今野座長 大反対もありますね。結局、ちゃんとしたインセンティブを考えなければいけ ない。 ○丹野委員 ビザも切れるから、無理にでも帰ると言われたら、それは帰すしかないでしょ うね。絶対に受けないと、当人が言い張れば。 ○今野座長 どっちにしても帰るのですが。 ○丹野委員 そうですよ。 ○今野座長 やはりほんの少数でも受験している所があるというのは、事業主が非常に熱 心な人ということなのでしょうね。 ○外国人研修推進室長 JITCOが広報誌を関連企業に出しています。その中で良い事例 として紹介しています。社長さんがすごく熱心で、研修実習生自身も、折角身に付けた技 能なので何か証が欲しいということで、受験させたという例が載っています。 ○北浦委員 3級を取ってしまった人が、2級も取りたいという例はありますか。 ○外国人研修推進室長 そこまでは承知していませんが。 ○北浦委員 そういうことが出てくるようになると、相手国のニーズが見えてくるのです。で すから、再研修というのは何か世界が違う形にしないといけないので、異なる職種をやると か、あるいは明らかに上の2級を目指すとか、その前提は最初の技能実習のときに、しっ かりしたレベルに達していることが証明されないと、次は絶対に出ませんよね。現状のまま で出したら、いろいろな議論をまた起こしてしまうかもしれません。 ○今野座長 日本で技能検定3級を取っても、中国へ帰っても役に立たないのでしょう。役 に立っているのですか。 ○外国人研修推進室長 いわゆる相互承認という形はまだできていません。 ○今野座長 日本で取ったからブランドで、日本の資格はいいじゃないという話もないわけ ですね。 ○上林委員 新しい試みですから、そういうことをやって広がってくれば、将来そういうこと はあり得るかもしれませんが、現実はまだです。 ○外国人研修推進室長 まさに先ほどの良い事例としては、本人も日本で技能を身に付 けた証明書を持って帰れるということで、本人も喜んでいると。現地に帰ってもそれがステ イタスと言いますか、俺は日本で技能を付けてきたんだということが、明らかな評価につな がらなくても、本人がアピールできるものとして、帰国のいいお土産になることは紹介されて います。 ○上林委員 最初に始まったころは非常に研修生の人数が少なかったですから、日本に セレクトされて行って、帰ってきたこと自体に箔が付いて、それ自体は特に証明がなくても、 非常に高いインセンティブになっていたのです。いまは人数が増え過ぎて、そういう形でセ レクトしなくてもどんどん行けるようになっているので、価値が落ちてしまったのです。 ○今野座長 考えてみますと、せいぜい8万人でしょう。中国は12億人ですよ。良い人はた くさんいます。 ○上林委員 ですから、いちばん行きたい人の多い国が日本で、駄目でしたら韓国かシン ガポールかアフリカという選択です。 ○今野座長 日本は相対的にいいのですか。 ○上林委員 はい。しかし、そういう選択の中で来るわけですから、日本に来たい人の枠が 相対的に少なくなっている。中国も日本だけが相手国ではないのです。ですから、どうして も質が下がってしまうのです。 ○今野座長 もうやめますかね。 ○渡邊委員 ハードルを高くすれば、確実に質が下がりますかね。 ○今野座長 来る人の質が。それはハードルを高くしますと、普通は真面目な人だけが集 まって質が高くなると考えますが、そうではないのですか。そういうシナリオもあり得る。 ○渡邊委員 どちらなのかなと思ったものですから。 ○丹野委員 最低賃金がかかって、確実に最賃が、要するに給与として現金でもらえるよ うになればインセンティブは上がると思います。 ○今野座長 それは研修ですね。いずれにしても、研修については一応結果評価がありま すね。技能実習はないですよね。 ○渡邊委員 そうですね。 ○樋口委員 やはり趣旨からして、帰ったあとその国で評価されないというのは、それ自身 が問題なわけでしょう。その目的で、国際貢献をしようとしているのに、日本にいたことが評 価されないというのは。 ○今野座長 いいえ、資格が評価されないというだけで、もしかしたら経験は評価されてい るかもしれません。それこそ、トレースの調査ですよね。帰国後調査でどのように評価する のか。 ○樋口委員 それがないので、何とも言えないところです。やはり卒業試験をやって、メリッ トを付けるのが筋でしょう。 ○今野座長 そうしますと、そのメリットをどう設計するか。卒業試験をきちんとやるというこ とは、プロセスは緩めるのですか。 ○樋口委員 プロセスはいま実質的に2年に一遍とか。 ○北浦委員 緩めるというか、そこは自主管理なのでしょうから。 ○職業能力開発局長 受け入れた企業がきちんと研修と実習をしたのか、という知見とし て、3級試験を受けさせることはあるのかもしれません。 ○今野座長 企業に対して、なるほど。 ○職業能力開発局長 そうしますと、企業ごとに合格率の差が出ると、非常に合格率の悪 い企業は、研修生もそこに行ったら技能が身につかないと判断するのかもしれません。 我々の側からしますと、あまりにも低い所は受け入れをさせないということに使えるのかも しれません。  研修生の側からしますと、これは制度としてどうするか大議論になりますが、今いろいろ な所から出てきている再技能実習を仮に考えたときには、そういうものを最初に取っていな ければ、再技能実習の対象にはなれないとか、そういう意味でのインセンティブの付け方 はあるのかもしれません。  私は状況がわかりませんが、これだけの人数の技能検定が適正にできるのかということ は、それはそれで検証しなければいけないものですから。 ○樋口委員 アベイラビリティーを含めて、検討をしていただくというのか、検討するという のかわかりませんが。 ○今野座長 それではいろいろご意見をいただきましたが、次回はまた整理をしていただ いて、だんだん絞った議論をしていきたいと思います。 ○外国人研修推進室長 当然悪質な事例を排除するというのは、当面の大きな課題にな っています。それは前回から議論していただいていますので、それも含めて整理して、全体 が見える形でもう一度議論をいただければと思います。 ○今野座長 それでは今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○外国人研修推進室長 次回は12月6日10時からとなっております。 (照会先) 職業能力開発局海外協力課外国人研修推進室 TEL:03-5253-1111(内線5952) 03-3502-6804(夜間直通) FAX:03-3502-8932 - 1 -