06/11/24 第16回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 第16回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日 時  平成18年11月24日(金)10:00〜10:15 2 場 所  厚生労働省労働基準局第1、第2会議室 3 出席者   【委員】 公益委員  今野部会長、石岡委員、勝委員、田島委員 労働者側委員  勝尾委員、加藤委員、高石委員、高橋委員、中野委員、 横山委員        使用者側委員 池田委員、川本委員、杉山委員、原川委員、前田委員   【事務局】厚生労働省   青木労働基準局長、青木勤労者生活部長、                熊谷総務課長、前田勤労者生活課長、                藤井主任中央賃金指導官、吉田副主任中央賃金指導官、                吉田勤労者生活課長補佐 4 議事次第  (1)今後の最低賃金制度の在り方について  (2)その他 5 議事内容 ○今野部会長  時間ですので、ただ今から第16回最低賃金部会を開催いたします。今日の出欠状況で すが、武石委員、中窪委員、竹口委員が御欠席です。  早速議題に入りたいと思います。前回、公益委員からお示しした公益委員試案再修正 案について、労使に御検討をお願いしました。今日はまず、労使から検討結果について お伺いしたいと思います。最初に使用者側からお願いします。 ○川本委員  公益試案再修正案につきまして、内部で検討してきた結果を申し上げたいと思います。  まず、私どもは従来から地域別最低賃金が全国に定着している中で、屋上屋を架しま す産業別最低賃金の廃止を訴えてまいりました。この主張並びにその趣旨は現在も変わ っていないことは、まず申し上げておきたいと思います。この観点からすると、今回の 再修正案にも示されている労働協約拡張方式の廃止については、評価し賛成いたします。  しかしながら、職種別設定賃金の新設、そしてその当面の運用については、私どもが 主張してきた内容とは著しく異なるものです。また、これまでの部会の議論を通じて、 企業や現場において、職種別管理が進行、定着しているとは言い難いという現状が理解 されたものとも考えています。  一方、地域別最定賃金の在り方についてですが、すべての地域において地域別最低賃 金を決定しなければならない旨を明確にすることについては、異論はありません。しか しながら、決定基準の見直しにおいて、労働者の賃金、生計費、そして通常の事業の支 払能力という3要素のうち、生計費の中の1要素として、生活保護との整合性も考慮す るということについては、地方経営者協会などから疑問の声が上がっておりまして、に わかに賛同できるものではありません。したがいまして、結論としては、再修正案には 賛同できないことを表明するとともに、労使の一致に向け、さらに実態を踏まえて御再 考をいただきたく、お願い申し上げる次第です。以上です。 ○今野部会長  他に使用者側の方で、御意見ございますか。追加することはございませんか。また何 かありましたら、後からでも結構です。  次に労働者側からお願いします。 ○加藤委員  労働者側は、私から意見を総括的に申し上げまして、他の委員から補足的な意見があ りましたら、それぞれ出してもらうことにしていただきたいと思います。  労働者側の見解を申し上げますが、我々労働者側は、より実効性の高い地域別最低賃 金への改革、そして、これまで現行の産業別最低賃金が公正な賃金決定の面で果たして きた役割の大きさにかんがみまして、その継承と発展を図る必要があることを基本的な 考え方として、部会審議に臨んでまいりました。そうした観点から、昨年11月の第7回 部会で、公益委員試案として提示された職種別設定賃金の考え方については、我々とし ては理解を示し、その設定について了解をしてきたところです。その上で、真に実効性 の高い制度をつくる観点から、今日の雇用環境や働く現場の実態、あるいは企業におけ る賃金決定や労働協約の実態などを踏まえ、申出要件や審議会の在り方など、運用面全 般について個々具体的に私たちの考え方を主張してきたところです。  前回提示された公益委員試案再修正案は、そうした審議経過を踏まえて、とりまとめ に向けて示されたものであると受けとめています。この中で示された地域別最低賃金の 在り方については、その基本方向について労働者側としては、賛同をいたします。  一方、産業別最低賃金の在り方については、職種別設定賃金を真に実効性の高い仕組 みとする観点から、我々が何度も申し上げてきた申出要件の緩和であるとか、決定手続 の在り方であるとか、そうした我々の意見が十分に反映されたものではないと考えます。  なお、先ほど使用者側委員の見解も伺いましたが、労使の意見には依然隔たりがある という印象を受けました。最低賃金は地方最低賃金審議会での審議決定が基本的な枠組 みでありますし、とりわけ現行産業別最低賃金、あるいは公益委員試案にある職種別設 定賃金は、労使のイニシアティブによる設定と運用がベースであることを重く受けとめ て、公益委員の皆様には、更に労使の意見の一致に向けた御尽力をお願いしたいという のが、我々の見解です。私の方からは以上です。 ○今野部会長  他に追加はございますか。 ○中野委員  加藤委員がおっしゃったこととほぼ同じ中身になるとは思いますが、私がこれまで審 議会に参加をしてきた立場から、少し違ったニュアンスで申し上げたいと思います。  私の記憶が正しければ、最低賃金法の本格的な改正は、約40年ぶりになるのではない かと思います。これまでの改正までの年数を考えれば、今回の改正に当たっては10年や 20年という将来のことを、そして将来における公正な賃金決定の在り方を考えなければ ならないという立場で、この審議会に参加してきました。その観点からみると、法改正 の骨格部分、特に職種別設定賃金をつくることについては、根拠法を何にするかという 点で不安は残りますが、職種別設定賃金を新設するという骨格については、労働市場の 変化等も勘案されており、適切なものだと考えてきました。  しかし、使用者側の御意見をお聞きしますと、職種別設定賃金について同意が得られ なかったことについては、私としては非常に残念に思っています。ただ、最低賃金なり 職種別設定賃金制度というのは、他の労働関係法とは異なり、金額決定という運用の細 部に至るまで、地方の審議によらなければならないという違いがあります。そうした意 味では、法制定の基本的な部分での労使の見解が隔たったまま制度をつくることは、今 後の運用段階において混乱を招きかねないことも想定されると思います。したがいまし て、使用者側の委員から再考要請があったわけですから、私としても更に努力をしなけ ればならないと思いますし、公益委員の先生方についても再度の御努力をお願いしたい と思います。以上です。 ○今野部会長  他に労働者側からございますか。どうですか使用者側、何か追加されることはありま すか。何かいつもは賑やかなので静かだと心配になりますが、よろしいでしょうか。  我々としては、前回再修正案を出させていただいて、一応我々の考え方は表明させて いただきました。それで労使ともにこの間御検討をいただきました。  今日労使からいただいた意見を踏まえますと、まだまだ難しい状況にあるということ だと思います。ただ、今日労使ともおっしゃっていましたが、まだ合意を得るのは非常 に困難な状況ですが、労使が一致できるように、もう少し再考するように努力してくれ というお話でした。私どもとしては、今日そのお話を受けましたので、前回は私どもか らボールを投げて今回は労使からボールが来ました。したがいまして、公益委員として は、年内に部会としての合意を図るように、引き続き努力をしたいと思います。今日い ただいた意見を踏まえて、公益委員としては考え方を改めて整理をしたいと考え、整理 をした上でまた御相談をしたいと考えています。今度私たちがもう一度考え直しますの で、それを踏まえて改めて御検討をいただいて、特段の御協力を是非ともお願いしたい と思います。  他に公益委員の方、御意見ございますか。よろしいでしょうか。一応公益委員として は今そういうポジションにありますので、今後ももう一度公益委員として相談をしたい と思います。我々が今度ボールを投げないと今日は議論が進みませんので、わざわざ来 ていただいて申し訳ないのですが、今日はこの辺でもう終わりにしたいと思いますが、 よろしいですか。早すぎるという異論はないですか。そうしましたら、我々に少し時間 をください、もう一度検討いたします。  次回の部会は、12月1日に予定しています。その間で我々は検討しますので、改めて 詳細については事務局を通して連絡をさせていただきますので、少しお待ちいただけれ ばと思います。  それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。本日の議事録の署名は、高石 委員と原川委員にお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。 【本件お問い合わせ先】    厚生労働省労働基準局勤労者生活部    勤労者生活課最低賃金係    電話:03−5253−1111            (内線5532)