06/11/10 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 第32回議事録 第32回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 1 日時  平成18年11月10日(金)17:00〜19:00 2 場所  厚生労働省13階職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表  :大沢委員、諏訪委員、中窪委員、林委員        雇用主代表 :塩野委員、中島委員(代理:佐藤日本商工会議所産業               政策部課長)原川委員、輪島委員        労働者代表 :栗田委員、豊島委員、長谷川委員、古川委員、三木委員    事務局 生田総務課長、宮川雇用保険課長、田中雇用保険課課長補佐、金田雇用        保険課課長補佐、戸ヶ崎雇用保険課課長補佐、長良雇用保険課課長補佐 4 議題 雇用保険制度の見直しについて 5 議事 ○諏訪部会長 ただいまから第32回の雇用保険部会を開会させていただきます。議事 に移る前に出欠状況ですが、中馬委員、相川委員が欠席とのご連絡をいただいておりま す。中島委員もご欠席で、代わって日本商工会議所の佐藤課長が代理で出席されており ます。  議事に入らせていただきます。本日の議題は「雇用保険制度の見直しについて」でご ざいます。本日は、事務局のほうで前回の雇用保険部会での宿題など、中間報告の論点 に関する資料等をご用意していただいてありますので、これらについて皆様にご議論い ただきたいと存じます。では、最初に事務局から資料1と資料2をご説明ください。 ○田中雇用保険課課長補佐 お手元の資料に沿いましてご説明いたします。配付資料は 資料1と資料2でございます。資料1は「第31回雇用保険部会の議論等に係る資料」 でありまして、前回の部会において宿題となった事項についてのご回答です。資料2「そ の他」といたしまして、雇用保険制度について当方に寄せられている要望項目について 記載しております。  それでは、資料1に沿ってご説明いたします。前回の宿題事項として3点ほどありま した。これにつきまして資料を用意しております。1頁目ですが、横長の表になってお ります。これは被保険者資格の一本化に伴って、どのように基本手当の受給要件を変更 するのかということです。8月4日にまとめていただいた中間報告の中にもたたき台と して「例えば」という形でお示しした、事務局の素案につきましてお示ししております。  被保険者資格と基本手当の受給資格の要件ですが、現行と変更案としてどのようなも のになっているかというものについて表を作成しております。縦の線が被保険者資格で す。現行では、週の所定労働時間が30時間未満の方を「短時間労働被保険者」と分類 しております。それ以外の方については特に名称がありませんが、「短時間労働被保険者 以外の一般被保険者」と、このように2つに区分しております。どのような違いがある かということについては、これまでの議論の中で資料をお出しして説明いたしましたが、 基本手当の受給要件のみが違っております。これにつきましてどのように変更するかと いうことをお示ししております。  短時間労働被保険者ですが、現行の受給資格要件は賃金支払日が11日以上の月が12 月です。これがどのように変化するかということですが、今回、循環型の受給を防止す るという観点から、解雇・倒産等による「特定受給資格者」の方とそれ以外の方、自己 都合退職とか期間満了の方、これらについて受給要件を異ならせるという案を提示して おります。短時間労働被保険者については、特定受給資格者の方は11日以上の月が6 月と変更したらどうかということで提示しております。それ以外の方については現行と 同様、11日以上の月が12月ということです。  一方、「短時間労働被保険者以外の一般被保険者」の方ですが、この方々についても短 時間労働被保険者と一本化しまして、特に区別をせずに「一般被保険者」ということに なります。現行の要件は、1月当り賃金支払が14日以上の月が6月ということが受給 要件ですが、特定受給資格者につきましては、短時間と並びをとって、11日以上が6月 に変更したらどうかということを考えております。特定受給資格者以外の方につきまし ては、これも短時間の方に合わせまして、11日以上の月が12月ということを考えてお ります。下線を引いてある所が現行の要件から緩和される部分、色が付いている所が厳 しくなる部分です。  この結果としてどのような効果があるかということについて2つ目の○に記載してお ります。(1)として、被保険者期間1年未満で解雇・倒産等により離職する短時間労働者 の方については、給付が受けられるようになります。(2)として、短期間に自ら離転職を 繰り返す方に対する給付を抑制できるということです。これも9月14日の審議会だっ たと思いますが、過去3年間でどれぐらい基本手当をもらっているかという表、結果を お出ししていますが、その中で複数回もらっている方のほとんどが自己都合離職という ことで、短期間に自らお辞めになる方に対する給付を抑制できるということです。  (3)として、これは反射効果ということになりますが、被保険者期間1年未満で期間満 了となる期間雇用者について、受給要件を満たさない場合が生じる。現在では、例えば 短時間労働被保険者以外の一般被保険者であれば6カ月で要件を満たすということです が、特定受給資格者以外の方ということになってしまいますので、12月、1年間必要と いうことになってしまう。このような効果が生じるということです。  (3)につきましては、この中でも特に今回の目的とする、循環型の受給を防ぐという観 点で受給要件を異ならせようと考えておりますので、いわゆる雇止めの方につきまして は、現行と変わらないように取り扱うべきではないかと考えているところです。(3)への 対応策を3つ目の丸で書いておりますが、雇止めの方の要件といたしまして、期間雇用 者の方であって、更新することが労働契約締結の際に明示されていて、1年以上の雇用 があった方について、労働者の方が希望するにもかかわらず更新されない。いわゆる雇 用の雇止めということでしょうが、雇止めの場合については特定受給資格者とみなすこ ととする。このような取扱いの変更を行いまして、これは給付日数等については現行と 変更がありませんが、受給できるようにしようと考えております。このような対応策に よりまして問題点を払拭していこうと考えているところです。  2頁ですが、いま問題になっている方がどのぐらいの数いるかということです。平成 17年度の実績で見てみると、色が付いている部分ですが、特定受給資格者以外の方、こ の中で短時間労働被保険者以外の方で被保険者期間が1年未満の方がどれぐらいいるか ということです。受給者実人員で見ると3万7,925人で、全体の6.0%です。この中で、 期間満了したといわれる方は1万5,470人、2.5%です。自己都合あるいは重責解雇の方 については2万2,455人、3.6%ということですが、いまご提示した案によりますと、自 己都合・重責解雇の方の3.6%については給付が受けられない。期間満了者の方で条件 を満たす方については、特定受給資格者とみなされることによって受給ができることに なります。  そのほか、もし先ほどの案ということになれば、短時間労働被保険者の方で、6カ月 以上12カ月未満の被保険者資格の方であって特定受給資格者にあたるような方につい ては、受給できることになりますが、なかなか計算が難しいということでご提示してい ませんが、そこは増える部分になるだろうと思っております。以上が被保険者資格の一 本化に伴う変更点ということです。  続きまして、3頁以降ですが、2つ目の宿題として、失業等給付の財政収支について シミュレーションをしてもらえないかということでした。雇用情勢が変わった場合ある いは国庫負担が変わった場合にどうなるか、というシミュレーションをお示ししていま す。総括表といたしまして、どのような考え方に基づいて試算をしたかということをお 示ししております。この場合、雇用情勢がどうなったかということで3つのパターンに 分けています。  ケースAですが、これは昨年並の状況が今後も続いていくという設定にしています。 今年度以降も平成17年の実績が続いていくという条件です。ケースBですが、これは 平成20年度以降、過去5年間の平均支出で推移するということで設定しています。ち なみに、平成20年度以降の支出につきましては大体2兆円程度になるわけですが、2 兆円程度の支出となると、現在の給付水準で考えて受給者実人員は100万人弱、失業率 は大体5%台であろうと推測されます。ケースAについては4.5%前後、ケースBにつ いては5%台の前半ぐらいであろうと推測できます。  ケースCですが、平成20年度以降、支出が過去最悪の状況になる。現在のような給 付の仕組みになって最も支出が多かったのは、平成13年度の実績です。平成13年度の 実績は2兆7,275億円ですが、これが平成20年度以降続くということです。現在の給 付水準に直すと、受給者実人員が大体130万人ぐらいでありまして、失業率の計算がな かなか難しいのですが、おそらく失業率は6%を超えるような事態ではないかと思われ ます。つまり、いままで体験したことがない悪化した状態がケースCです。  それぞれにつきまして、保険料率は平成19年度以降ですが、弾力条項を発想いたし まして、1.4%になった場合にどうなるかということをシミュレーションしています。弾 力条項ですので、弾力倍率が2倍を割ってしまったことになると1,000分の16に戻す というようなシミュレーションをしています。国庫負担は4つのパターンに分けていま す。現行どおりのもの、それに0.75を掛けた25%マイナスのもの、半分にしたもの、 ゼロにしたものということで、それぞれ3掛ける4で12のパターンを作っております。  4頁以下ですが、12のパターンについて示しております。ざっとご説明しますが、ケ ースA−(1)と書いておりますが、支出が平成17年度実績で5年後まで続いていくとい うものです。保険料率は1.4%です。国庫負担は現状どおりです。収入・支出をお示し していますが、特に積立金残高ですが、平成23年度が試算ではどうなるかということ ですが、積立金残高が8兆4,951億円ということです。弾力倍率は7倍になるというこ とです。以下、ケースA−(2)では国庫負担が0.75倍ですが、これでも8兆円を超えるこ とになります。  6頁に移りますが、それでは半分にしたらどうかということですが、この場合も積立 金の残高は平成23年度試算で7兆6,000億円ということです。もし国庫負担が全くな かったらどうなのかということですが、平成23年度の試算では積立金残高は6兆7,000 億円で、弾力倍率が5.52倍ということになります。ということで、保険料率については、 ケースAの場合は1.4%から1.6%には戻らないという状況です。  ケースAは楽観的な試算ですが、8頁以降は相当程度悪くなるケースBではどうなる かということです。8頁ですが、国庫負担が現状どおりだったらどうなるかということ です。平成23年度の状況を見ていただくと、積立金残高が6兆7,000億円で、過去最 高水準を超えている状況です。国庫負担が25%引、0.75倍になったらどうなるかとい うと、これも6兆円を超えている状況になります。弾力倍率も3.35倍ということです。  10頁ですが、国庫負担が半分になったらどうなるかというと、この場合は5兆円を超 えています。5兆6,552億円になります。弾力倍率は3.03倍ですので、保険料率を戻す ことはないということです。国庫負担がなくなったらどうなるかということですが、こ の場合も弾力倍率は2倍を超えている状態です。平成23年度は4兆6,000億円、弾力 倍率が2.39倍ということです。ケースAと同様、保険料率を戻さなければならないとい う状況にはならないということです。  12頁以降ですが、最悪の状況といいますか、いままで経験したことのない状況になっ てしまった場合にどうなるか、という計算をしているのがケースCです。ケースCにな ると、いずれのケースもそうですが、弾力倍率2を割ってしまいます。どのケースでも 平成20年度に弾力倍率が2倍を割ってしまうということが言えます。国庫負担が現行 どおりの場合に、平成20年度で弾力倍率が1.80倍になってしまいますので、平成22 年度から1.6倍に戻しております。積立金の残高を見ていただくと、平成23年度には 4兆5,000億円ということです。  13頁C−(2)ですが、国庫負担率25%マイナスになった場合は、平成20年度に弾力倍 率が1.65倍ですので、平成22年度には保険料率を1.6%に戻すことが必要になります。 平成23年度の積立金残高は3兆9,000億円ということです。国庫負担を半分にした場 合は、平成20年度に2倍を割ってしまいます。平成23年度には積立金残高が3兆2,000 億円です。弾力倍率は1.17倍ということで、だんだん1倍に近づいてくる状況です。  15頁ですが、国庫負担がゼロの場合は平成20年度に弾力倍率が2倍を下回ります。 平成21年度には1倍を下回ることになります。1倍を下回るとどうなるかというと、 いまの弾力条項の式に当てはめて1倍を下回ると、保険料率を引き上げることができる 規定になっております。今回のシミュレーションでは引き上げておりませんが、引き上 げなかったらどうなるかというと、平成23年度の積立金残高が1兆9,000億円、弾力 倍率が0.55倍という状況になるということです。以上、12とおりのパターンについて 試算をしてみました。  16頁ですが、前回お示しした雇用対策関係予算は、一般会計分としてどのようなもの があるかということでお示しいたしました。この中で、雇用保険三事業でいうところの 能力開発事業、安定事業、雇用福祉事業それぞれにあたるような施策がいろいろ入って いますが、どのように分類されるのかというご指摘がありました。色を塗った部分が、 雇用三事業で言うところの能力開発事業に近いのではないかと言われるものです。その 他のものについては、雇用安定事業または雇用福祉事業に近いのではないかと思われま すが、どちらかに分類するのが難しかったので、能力開発事業についてどれが当たるか ということをお示しいたしました。いずれにしても、規模としては三事業の規模の10 分の1以下ということになろうかと思います。資料1については以上でございます。  資料2でございます。前回、特例一時金について当方に寄せられている要望をお示し したのですが、そのほかに雇用保険制度について、最近1年間を中心に各方面からのご 要望を拾ったものが資料2です。それぞれの項目について掲げていますが、失業等給付 の関係、雇用保険三事業の関係、財政運営ということで掲げております。失業等給付の 関係では、育児休業給付、特例一時金についての要望が寄せられています。3頁ですが、 雇用保険三事業について掲げております。抜本的な見直しを図るようにという趣旨の要 望がほとんどだということです。最後に、財政運営のあり方ということでお示ししてい ますが、国庫負担の廃止等を行うべきではない、国の責任を果たすべきである、現行の 制度を堅持すべきである、というような要望が寄せられている状況です。資料の説明に ついては以上でございます。 ○諏訪部会長 それでは、ただいまの資料をめぐりましてご意見、ご質問があればご自 由にお出しください。 ○輪島委員 1点目に、基本手当の受給要件の変更の点です。2つ目の○で(1)(2)(3)と。 ただし、(3)への対応ということで、制度的には救うということなのだと思いますが、実 際にこのように変えたところで、長谷川委員が前回ご指摘になったように、非常に不利 益になる人が実際に生じた場合にどうするのか、ということのほうが気になるわけです。 その点、変わりましたよということを知らせおくことが重要だと思うのですが、周知と いうものはどのようになるとお考えなのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 今回の次期制度改正の中で仮に行われたとした場合には、一定期 間の周知期間が必要だろうということで、例えば仮の話として、施行時期については周 知期間が必要な施行時期を選ぶという形。そして、その期間の間にさまざまな機会をと らえて、この受給資格の要件が変更になりましたということについては、十分周知して いこうと思っております。今回特にそういう意味での不利益というか、いままでと制度 が大きく変わる部分は、1つは先ほど(2)にあったような、いままでは6カ月で済んでい た、そういうふうに思い込んでいたという方が、12カ月必要という話になるわけですの で、ここのところを中心に周知を図っていく必要性があるのではなかろうか。もう1点 は、然はさりながら、期間満了者の方については、先ほど申し上げたような対応策をき ちっとやっているということを併せて、周知を図っていく必要性があるのではなかろう か。この2点が中心になっていると思っております。 ○栗田委員 いまの基本手当の受給要件の変更という所なのですが、短期間に自ら離職 を繰り返す者に対する給付を抑制できるという理由を持って、6カ月から12カ月に延 ばすということで、いま積立金がこれだけあるという状況の中で、現実には短期間で離 職を繰り返さざるを得ない人は、重責解雇というのは少しわからないのですが、2万 2,000人近くの方がそういう状況に置かれているということだと思っております。こう いう時期にこの6カ月から1年になぜ抑制しなければいけないのかというのが、少しわ からない部分があります。しかも、自ら離職する人とそうでない人をここで区別する必 要があるのかどうかという、基本的なセーフティネットのところをきちんと押さえると いうことからすると、その間の生活安定ということからすると、再就職支援というとこ ろが少し外れるのではないかと思っていますが、ここのところの考え方ということで改 めてお聞きしたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 今回の考え方は論点の中にもありましたように、1つはいままで 短時間労働被保険者と短時間労働被保険者以外の一般被保険者を分けているいまの仕組 み、かつ短時間労働被保険者のほうがある意味で不利になっている部分、具体的に申せ ば、仮に解雇・倒産等でありましても12カ月なければ給付が出ない、という点につい ての解消は図るべきであろう。いまいろいろ議論になっている中で、非正規労働者に対 する取扱いをできるだけ一般の被保険者と合わせていくと。  今回、給付の面につきましては前々回にご説明しましたように、すべて統一が図られ ているわけでありまして、唯一残っているのがここの部分の取扱いということですので、 取扱いとしては統一する必要性が高いのではなかろうか。ただし、そうは申しましても、 もともと短時間労働被保険者の受給資格を12月にした理由は、循環的なものを避ける ということが明確にあったわけでありまして、そういう観点を踏まえると単純に一般に 合わせるわけにはいかないであろう。その場合に考えられる案としましては、特定受給 資格以外の者を分けることが1つの考え方として整理できるのではなかろうかと。です から、今回の場合はあくまでも給付の抑制のために行うという趣旨ではありません。そ ういう趣旨は、今回の財政状況では給付の抑制が至上命題となっているわけではありま せんので、あくまでもここは短時間労働被保険者と短時間労働被保険者以外の一般被保 険者を統合するための方策として考えたものでございます。 ○三木委員 いま説明がありましたが、すでに給付において差がつくわけですから、受 給要件において差をつけるというのははたしてどうなのか、という感じがどうしても拭 いされないという思いがあります。とりわけ、短時間に離転職を繰り返す者に対する給 付が抑制できるということについては、また別のシステムでやるべきではないかという 気がするわけです。そういう意味で、同じ受給要件の問題については差をつけないこと が必要ではないかと思います。 ○宮川雇用保険課長 説明として少し補足しますが、6カ月しか勤めていなかった場合 にはみんな出なくなるのかというと、6カ月だけだと当然出なくなりますが、その後、 再就職されてまた6カ月で辞めるという場合に、過去を通算して24月の中で12月被保 険者期間がある場合には給付が出るということを、補足させていただきたいと思います。 それから、先ほどの資料の中で、自己都合・重責解雇2万2,455人の受給者実人員とい うことですが、この中には繰り返されている方もあるだろうと思われますし、そういう 方の中で過去24月で12月、別の職場でも結構ですので、それを満たしている場合には 給付が出るということは、ご理解いただきたいと思います。 ○古川委員 11日と14日というのがありますけれども、これは短時間労働者の11日を 14日にした場合というのは、そういうところでは抑制はできないのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 短時間労働被保険者を11日にしたのは、短時間労働被保険者の 中には広義な意味でのパートタイム労働者、中には時間も短いし働く日数も少ないとい う方々も含まれていると思います。これを仮に14日に統一してしまうと、どれぐらい 落ちるかは想像できませんが、ある程度落ちてしまうのではなかろうか。もともと11 日にしたのは、短時間労働者の方々がカバーしやすいようにしようという意味で入れた ものですので、ここを短時間労働者について14日に引き上げてしまうのは、短時間労 働被保険者を折角つくったのに、14日も働いていないではないかというご批判を受ける のではなかろうかと。そういう意味で、統一するのであれば短時間労働者に寄せるしか ないのではないかという意味で、11日に寄せたということでございます。 ○大沢委員 いまのところに関連すると思うのですが、短時間労働被保険者でカバーさ れない人が何パーセントぐらいいるのか、教えていただけたらと思います。あと、基本 的な質問なのですが、ここで短時間と言っている場合の定義を教えてください。 ○宮川雇用保険課長 定義から申し上げますと、雇用保険の場合には20時間以上30時 間、これが具体的には短時間労働被保険者となります。それで、どの程度おられるのか というのはなかなか難しいところです。雇用者数5,400万人おられる中で、雇用保険の 被保険者としてカバーしている者が3,514万人、公務員が約400万人程度おられますし、 会社の役員の方が400万人、65歳以上の方が93万人おられます。その他の雇用の方で 残り約1,000万人ぐらいいるわけですが、学生のアルバイトなど、いろいろな方々がこ の中に入り得るという意味で、実質、20時間未満の方がどの程度おられるかというのは、 確定的なことは言えない状況です。 ○田中雇用保険課課長補佐 カバーできない範囲については宮川が申し上げたとおりで すが、20時間未満の方がどれぐらいいるかという試算はこれまでの資料で出したかと思 うのです。 ○宮川雇用保険課長 第25回資料の4の1頁ですが、週労働時間20時間未満の推移で す。割合としては平成16年で391万人と推計しております。 ○大沢委員 数で見ると増えていることになりますが、この中身については、若者なの か、どういう人が雇用保険から漏れているのかということです。先ほど別の会合で若者 の雇用対策について議論をしてまいりまして、無業もかなりおりますし、いろいろと生 活に困っている人がいるという数を聞いてまいりました関係で、放置しておけない問題 とも関係があるかと思いますので、後ほどでも構わないのですが、教えていただけたら と思います。 ○宮川雇用保険課長 ただ、これは労働力調査と就業行動基本調査を使って推計してい るところですので、両調査で年齢等の属性が調べられるかどうか確認いたします。 ○大沢委員 ついでに教えていただけるのであれば、短時間労働者の場合は時間ですが、 この場合の受給資格は1年以上雇用の見込みであるということですが、この部分につい ても適用から外れている期間雇用者の割合について、同じような平成元年から時経列で どのような形で推移しているのか、属性がわかれば教えていただければと思います。い までなくても構いませんが、よろしくお願いします。 ○宮川雇用保険課長 調べさせていただきます。 ○中窪委員 先ほどの基本手当、受給手当の統一のところなのですが、もともと特定受 給資格者と特定以外というのは、結局、給付日数がそれぞれで違うところで作ったはず なのです。それを今回はそれぞれによって受給要件そのものが違ってくるという形にな って、何か、性格が随分変わってくるような気がするのですが、これは基本手当の法律 構造の中できちんとうまく整理できるものなのでしょうか。少し心配なものですからお 聞かせいただければと思うのです。 ○宮川雇用保険課長 今回の特定受給資格者あるいは特定受給資格以外の受給資格者と いうことで、現在、すでに法律上給付日数が異なる形での制度設計をしておりますので、 この場合、雇用保険法の法制の中でこのような形での、受給資格を判断するにあたって のものにそれを使うということは、おそらく、法制上は可能なことであろうと思ってお ります。あとは、特定受給資格者、特定受給資格者以外の方を分ける一種の運用の問題 があるというか、運用で対応することになるのではないかと思います。そういう意味で の制度的な難しさについては、いまの時点で検討している限りでは、それほど難しい問 題ではないのではないかと思っています。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○輪島委員 次の議題についてですが、試算を出していただいたわけですが、1つはケ ースA・ケースB・ケースCの設定の仕方です。Aは、私ども堅く財政を見てきた立場 だと、そうかな、という参考程度と。Bは平均なので、ここがいちばん見るところかな と。Cはさすがに最悪なので、そこもあまりないのだろうなという気もする。そうする と、Bを基本にしつつCに近い辺りがもう少し見られることが重要ではないか。平成15 年の前回の改正のときには、財政の状況のことが忘れがちになっているのではないかと。 いまは非常に良い状況ですが、平成15年の改正のところは、簡単にああいう状況にな るのだということを考えれば、もう少し厳しめのシミュレーションはどのようになるの か、というのを見てみたいなと思っています。  2点目は、個別に積み上げたところはこういう微調整なのだろうと思うのですが、逆 に、例えば2007年以降の高齢者の退職のようなものもどのように加味するのか、それ があるのかないのかということです。3点目は、これは非常に心証的な話ですが、国庫 負担がゼロという(4)が3つ書かれていますが、それは私どもでは想定の範囲外なので、 参考としてはそんなものかなと思うのですが、それを真剣に見る気がなかなか起こらな いと思っているところです。とりあえず以上です。 ○宮川雇用保険課長 今回の試算で、田中が申しましたように、ケースAは楽観的な数 字ではないかと思っていまして、ケースB及びケースCで特にご覧いただければと思い ます。ケースBは、実は、最悪な状態であった平成13年度から調子の良い平成17年度 にこれを平均するという意味は、逆に行けば、調子の良いいまの状態から最悪の状態だ った平成13年度に戻るという意味でのシミュレーション、すなわち、私どもと考えれ ば、ケースBが想定される最悪なのではないかと。  実際の話、ケースCは相当想定外です。これも私ども自身は、例えばいきなり平成20 年度に平成13年度実績までなった上で、それが4年間も連続する日本経済の状況とい うのは想像できません。ただし、輪島委員がおっしゃいましたように、過去の平成15 年、平成12年改正を行った際も、おそらく、それ以前の人たちは想定していなかった ような状況なので、あえてケースCという非常に無茶な試算をして出来たということで す。  ケースCからケースBの間をどのように設定するか、いろいろな設定の仕方はありま すが、ここの中で支出の欄を適当にどういじればどうなるかというのは、支出額を平成 20年度は2兆7,000億円にするのか、支出額を2兆1,000億円にするのか、その間の数 字をいじれば、結局、その収支差額、差引剰余が変わって、それによって積立金残高が 変わって弾力倍率が出るという意味で、この資料から想像されるようなものだとご理解 いただきたいと思います。  それから、2007年の高齢者の退職とか、雇用・失業情勢、経済状況がどうなるかと。 これは、はっきり言って、想像の世界というか、当たるも八卦当たらぬも八卦の世界に なってしまいます。雇用保険というのは非常に短期給付でありまして、あれほど厳しか った平成13年、平成14年、平成15年という状況がわずか3年でこのような事態にま で至るわけですので、この逆になるのはいくらでも容易に想像できるわけです。ただ、 そういう意味で、あまり緻密なシミュレーションをしていくと、その土台であるものが もともとグラグラしているものですので、ある程度大ざっぱと言ったら語弊がございま すが、ある程度大きな構えの中でシミュレーションしていくほうがよろしいのではない かと。  先ほどおっしゃられました、高年齢者、60歳代の団塊の世代がどのぐらいこの雇用保 険の世界に出現してくるのかというのは、一つその給付が増えるという意味での先ほど 申し上げたケースBみたいな感じの状況が、たとえ雇用・失業情勢が良くても給付が増 えるかもしれませんねという意味で、ケースB的なところなのかなと考えられると思い ます。 ○輪島委員 国庫負担の考え方ですが、積立金の存在ということを前提にして、国庫負 担不要というような議論もあるわけですが、それは私どもとしては全く適切ではないと 思っております。失業に対する最低限のセーフティネットのようなものが必要なわけで、 国の4分の1、25%程度の関与は絶対に必要だろうと思っているわけです。そのことを 前提にしてこのシミュレーションを見ると、議論の焦点がいろいろあるのかもしれませ んが、1点目は、財政状況の弾力条項の倍率を見てみると、かなり余裕があるのではな いかという見方もできるわけで、それだったら国庫負担をゼロにするというのも議論と してはあるのかなというのはわかります。しかし、そうであるならば、国の責任ははっ きり4分の1入れた上で、はっきり言えば、保険料率を先に下げるべきだろうというふ うにも思うわけです。それが平成15年改正のところで大鉈をふるって、労使がそれぞ れ負担をした結果の財政状況だということも言えるわけですから。その点で言うと、保 険料率をもう一段下げるシミュレーションも必要なのではないかと思うのですが、その 点はいかがでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 国庫負担のことについては、この場でまたいろいろとご議論いた だければと思いますが、シミュレーションとしてもう一段下げる形のものを試算せよと いうのであれば、次回にでもご提出したいと思います。 ○豊島委員 いま輪島委員がおっしゃった中身と基本的には同じ考え方なのですが、国 の責任は明確にすべきでありますし、長く4分の1ですが、基本的には3分の1でやる という私自身の考え方もありますので、これからさらに国の負担を減らすということに ついては、それを想定した上で試算をすること自体いかがなものかということを、基本 的なこととして考えざるを得ません。  もう1つは、いま言われたように、平成15年あるいは平成12年、そういったところ で私どもも使用者側の皆さんも苦労して判断したわけです。いま料率を下げるのが先で はないかというご意見がありましたが、それもそうであると思いますが、私自身は今日 の給付内容が極めて不十分であるという認識を持っていますので、そういう意味では料 率を下げる下げないというのも選択肢であるし、あるいは給付内容を改善していく。  2007年問題という話がありますが、私が聞くところによると、20H未満の形態で採 用して、使用者側のさまざまな負担をしなくて済むようにしているということも、私ど もの関係者から漏れ伝わってきます。先ほど大沢委員が質問なさいましたけれども、若 年化、高齢化、その中の内訳の問題もありますが、これからそういった者がコストカッ トの関係で増えていくのではないかという危機感を強く持っておりますし、全体的に給 付を厚くすることも十分考慮すべきであると思います。とりあえずそういう考え方です ので、よろしくお願いします。 ○原川委員 シミュレーションの件ですが、私も前回の改正のことを思えば、ある程度 料率の引下げに踏み切る必要があるのではないかと思っております。それで、このシミ ュレーションの設定ですが、財政面を十分慎重に考えてやるということはよく分かりま す。しかし、例えばケースCを考えた場合に、これは過去最悪状況ということで、平成 13年辺りの保険料を上げようという議論が起きた状況が4年続くということなのです が、ケースCで行こうといった場合に想定される失業率が6%と想定されています。前 回の改正のときの、いまの1,000分の16の引上げの際の想定率は6.5%だったと記憶し ております。  私は慎重のあまりと言いたいのですが、もしこれを仮に選択した場合には、実際の状 況がケースAとか、悪くてもケースBで推移するようなときに、ある程度の期間を経過 したらどんどん積立金が貯ってくるわけですよね。ですから、見直しをすることが必要 になるし、要するにどうシミュレーションを組んでも見直しは必要だということになる のではないかと考えるわけです。そうすると、例えばケースB中心ということも結構な のですが、現実よりはやや慎重に考えながら、将来的にこの保険率を納める人たちの意 識、あるいは制度の持続性を維持する上で、少し余裕を持つ形で保険料率を下げること が必要なのではないかと考えます。したがって、そのケースCとケースBの中間的なと ころ、ケースBでもいいのですが、あまり慎重すぎて積立金がまたどんどん貯っていっ て、来年見直しをするという状況もいかがなものかと考えるわけです。 ○宮川雇用保険課長 このケースB、ケースCをご覧いただくとお分かりいただけます ように、ケースCの場合には具体的に言えば平成20年度には2倍を切る形での想定が なされていますし、ケースBはどのケースであっても2倍はキープできるということで、 1.4%を維持する形になっているということです。ご承知のように、この弾力条項という のは、弾力倍率が2倍を超える、あるいは1倍を切るといった場合に厚生労働大臣が引 き上げることができる規定、つまり判断して下げるのかどうかというのを見るわけです。 いままでもそうでしたが、今後ともこの状況をよく見て、いわば毎年判断をしていくと いうことが、このケースCのような状況になったとしても、今回仮に出させていただい た試算に基づけば、ケースC−(4)といういちばん最悪の状況を想定したとしても、制度 的な破綻はとりあえず平成23年度まで来たしていないことがお分かりいただけますよ うに、この辺の状況をよく見ていく。そういう意味での見直しが何よりも必要なのでは ないかと考えられる、ということでございます。 ○長谷川委員 私は輪島さんと同じで、まず下げてほしい。上げたものは下げてほしい。 積立金が多いと政治家の道具にされるので、積立金はあまり積み込まないということが 必要です。もう1つは、このシミュレーションです。使用者側も言っているのですが、 高齢法が4月から施行されていますけれども、必ずしも全員が雇用継続になっているの ではないわけだから、そこはこの支出の所をどのように見るのかという見方については、 もう少し考慮しなければいけないのではないか。  もう1つは、現政府は成長路線だから、失業率がどうなるということをあまり言えな いのかもしれませんが、この辺は非常に隣の国辺りの状況によっては失業率が一気に高 まるということを、エコノミストたちは大体予想しているわけです。これだとこのまま 行くだろうという推定なのですが、本当にこれでいいのかという、そういう心配事はあ る。いま労使が一致しているのは、保険料率を下げろということは一致しています。 ○大沢委員 1点目は国庫負担との関連でセーフティネットのことですが、はたして現 在の日本の雇用保険制度がセーフティネットとして機能しているのかどうかということ について、もう少し慎重に検討する必要があると考えています。それは、先ほどの数字 でも、20時間未満の短時間労働者が増えているとか、有期雇用の1年未満の雇用者がど の程度推移しているのか、そういった点について、そういう人たちが増えていることと その理由について、きちんと議論をしておく必要があると思います。  現実にはいま日本を見ているエコノミストのレポートなどを見ると、多少の改善が見 られて金利が少し上がったわけですが、これが早すぎたのではないかという判断もされ ているわけです。なぜかといいますと、消費が増えていない。ここで経営側にとってい ちばん重要な点は、国内での景気が回復していくことがいちばん重要なわけで、それが なければ対外的な状況に非常に左右されて積立金の問題が出てくるのだと思うのです。  それで、なぜ足どりが弱いかというと、消費が増えていない1つの理由として、働い ている側の所得が増えていないということがあります。ここの背景を見ると、雇用が不 安定な労働者が増えていたりパートタイマーが増えていたりということが関連している のではないかと思うのです。先ほど、自発的な雇用者については支給開始年齢を遅らせ るということもありましたが、その判断についても、なぜ離転職を繰り返すのかという ことについて、自発的だからいいのか、あるいはそうせざるを得ないような状況がある のかということについても検証する必要がある。そうであれば、この現行の改正は必要 だと思いますが、少し慎重にそこら辺を考えてみることは重要ではないかと思います。  もしモラルハザードが起きるというのであれば、雇用対策との関係で、例えば能力開 発や訓練を受けたことを条件に支給をすることも十分可能ですので、重要なことは、本 人が自覚して技能形成をして、有能な労働者になることでより雇用が安定した部門に移 るということだと思うのです。そこができれば非常にいいわけですが、その部分がいま まで議論されていませんでしたので。最後のところでトライアル雇用とかいろいろな支 出がされているわけですが、こことのリンケージをもう少し強めることで、料率を下げ ることも本当に必要であればそれが望ましいと思うのですが、先ほどまで労働経済学者 のいろいろなデータを見たり、いろいろなエコノミストのレポートを読んだりしている と、そこら辺についていま一歩慎重な配慮が必要ではないかと思いましたので、一言申 し上げます。 ○宮川雇用保険課長 ご意見としてお承りしておきますが、今回の基本手当の受給要件 の変更の絡みで補足して説明させていただきます。先ほどの受給要件の変更の効果の(2) で「給付を抑制できる」と表現しております。自ら離転職を繰り返す者に対する給付を 抑制できるという意味は、この人たちに給付をしないという意味ではないとご理解いた だきたいと思います。繰り返すことによって何度もそういう問題を起こすという形の中 で、先ほども申しましたように、過去24カ月で12月受給要件を満たせば受給対象とな るということと、そういう方々に対する訓練を行うなどの施策については、すべて通常 の労働者と同じであるというところはご理解いただきたいと思います。  ですから、今回の改正は、繰り返しになりますが、特定受給資格者の方々が現在では、 たとえ解雇・倒産であったとしても12月かかるところを6月に統一するというところ が大変重要ではなかろうか、と感じていることを補足させていただきます。 ○大沢委員 改正そのものについて、雇用形態間で給付をそろえていくという方向性に ついては、非常に賛成だということも申し述べておきたいと思います。 ○輪島委員 11頁の試算のケースB−(4)で、あまり議論したくないというケースもある のですが、1つは平成19年度で料率が1.4に下がっています。その先の平成20年度と か平成21年度の所でもう一回弾力が利くようになるのか、1.4でそのまま見ているとい うのはどういう状況なのかということです。それから、これは意見ですが、平成13年、 平成14年のときは支出が2兆7,000億円あるわけですから、平成20年度の支出を2兆 1,000億円で横に置いているわけですが、ここが増えることは十分予想されるわけです。 そうすると、弾力倍率の所で言えば2倍を切る状況になると思います。その弾力条項が 利かないまでも、2倍のある一定のゾーンというのは、積立金残高としてリーズナブル な水準だと思いますので、そこをキープすることになってくると、国庫負担との関係か ら言うと(4)は勘弁してほしいと思うのですが、いかがでしょうかと。 ○宮川雇用保険課長 まず、仕組みですが、現在の仕組みは弾力倍率が2倍を超えたら、 雇用保険料率、失業等給付に関しましては、1.6%となっているものについて1.4%に引 き下げることができる。逆に、1倍を切った場合には1.8%に引き上げることができる。 このように法定されております。したがって、例えば毎年2倍を切っているとどんどん 2割ずつ下がるのかというと、そういう仕組みではないということです。  それから、例えば平成20年度が2兆7,000億円になって平成21年度が2兆1,000億 円に戻るとか、それは、まさにこの表とケースB、ケースCの表を活用していただけれ ば、これは端的に申せばどなたでもある程度できる試算になるわけです。例えば、いま おっしゃられたように、平成20年度、平成21年度でいきなり2兆7,000億円ぐらいが 出て2倍を切るような形になって、それがその後継続するというケースも想定すること は可能です。そういう意味で、ケースBは全部そうですが、2兆1,000億円を20から 23というイメージは、現在の現実の支出が平成13年度では1兆7,000億円弱であると いうところから考えてみれば、平均で2兆1,000億円となっているのは、1兆7,000億 円のところをスタート台として徐々に2兆7,000億円に戻っていきますという場合の平 均が、2兆1,000億円ぐらいではないかという意味ですので、例えば平成20年度を2 兆7,000億円にして平成23年度にまた戻りますというような図を作っても、おそらく、 結論としての平成23年度の積立金残高はそれほど変わらないのではないかと思ってお ります。  そういう意味で言えば、このケースB−(4)の場合では4兆6,000億円、他ケースBに ついては5兆6,000億円とかになっていますが、その程度の積立金は積み上がる。それ は失業等給付費がどれぐらい出ているかということにもよりますが、そういう意味での 2倍を超える形のものがキープできるということになるのではないかと思います。 ○輪島委員 それはそうなのでしょうが、ケースB−(4)の国庫負担を継続してゼロとい うことについて言うと、全体に非常に大きな影響があると考えるわけなので、国庫負担 のみに着目して話をするというのも変だろうなと思うわけです。あとはシミュレーショ ンをどのようにやるのかという感覚の問題だとは思うのですが、それでも堅く堅く見た いというのが私どもの基本的なスタンスだということです。 ○諏訪部会長 ほかにご質問ご意見等ございますか。今日の限りでは大体よろしいでし ょうか。それでは、宿題がまた出ましたので、このシミュレーションをさらに進めてい ただくという課題は残りましたが、本日までで雇用保険制度の見直しにつきましてはひ ととおりのご議論をいただいたと思われます。したがって、次回からは最終の取りまと めに向けた議論をさせていただけたらと考えます。そこでご相談なのですが、議論のた めに必要なたたき台ですが、これはこれまでの皆様のご意見等を踏まえまして、私と事 務局で相談の上お示しをさせていただきたいと考えております。そのような段取りで進 めさせていただいてよろしいでしょうか。 (異議なし) ○諏訪部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただこうと思い ます。これ以外のところで何かご意見等はございますか。 ○輪島委員 資料2はあまり議論していないのですが、1頁目の失業等給付の下の箱で すが、要望事項として法定の育児休業制度を上回る形に書いてあります。この点につい て事務局としてはどのようにお考えになっているのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 1頁の下の事業主団体からのご要望の中には、法定の育児休業制 度を上回る形で「1歳未満で復帰し、1歳未満で再び育児休業を取得すること」という 形での可能な制度を企業が独自で導入している場合に、そのようなものについて社会保 険料の免除を可能とし、あるいは私どものところでいう育児休業給付の受給も可能とす べきであるというご要望ですが、私どもの育児休業給付制度は、法定の育児休業制度を 前提としていま制度を現実に作っているところでございます。もちろんこれはさまざま なご意見はあろうかと思いますが、現在の制度の前提は法定の育児休業制度がどうなる かと。例えば、1歳未満で復帰し1歳未満で再び育児休業を取得するというものが、仮 に何か法律的な手当などがあればまたいろいろな議論として、それを育児休業給付制度 でやるべきかどうかという議論にはなろうかと思いますが、議論の前提といたしまして は、法律上の育児休業制度が1つの土台となるのではなかろうかと思っています。  いろいろな経緯はありましたが、過去、育児休業制度について、育児休業と育児休業 給付につきまして、期間雇用者についての条件が少しずれているところもあるなどにつ いてもご意見を承っておりますので、それらを併せて育児休業給付の支給要件のあり方 については、ご議論を踏まえて適切に行っていくべきではなかろうかと思っています。 このご要望については、そういう意味でもなかなか難しいのではないかという率直な感 想でございます。 ○輪島委員 法越えといいますか、奨励策的なものがあれば、導入の促進のためにイン センティブを与えるという方向でご検討いただければとは思っています。 ○諏訪部会長 ほかに補足的に何かございますか。よろしいですか。それでは、本日は 遅い時間に部会を開かせていただきまして、大変お忙しい中ご迷惑をおかけいたしまし た。次回の日程については、事務局において調整の上各委員にご連絡してくださるよう にお願いしたいと思います。そこで、本日の署名委員ですが、雇用主代表は原川委員に、 労働者代表は三木委員にそれぞれお願いしたいと思います。お忙しいところにご迷惑を おかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。本日は委員の皆様に、お忙し い中わざわざお集まりいただきましてご議論を賜り、ありがとうございました。また次 回もよろしくお願いいたします。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     電話03−5253−1111     (内線5763)