06/11/02 社会保障審議会年金数理部会 第27回議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第27回)議事録 日  時 平成18年11月2日(木) 13:59〜15:20 場  所 富国生命ビル28階大会議室 出席委員 山崎部会長、都村部会長代理、熊沢委員、栗林委員、近藤委員、 林委員 議 事 1.公的年金財政状況報告−平成16年度−について ○田村首席年金数理官  おそろいになりましたので、ただいまより、第27回「社会保障審議会年金数理 部会」を開催させていただきます。 審議に入ります前に、前回の部会開催以降に年金局で異動がありましたので紹 介をさせていただきます。 総務課長の岡田ですが、後程来ることになっています。 大臣官房参事官資金運用担当の宮本でございます。 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。 座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。 資料1は、1−1、1−2、1−3と3つに分けております。平成16年度公的 年金財政状況報告(案)でございます。 資料2は平成16年度公的年金財政状況(要旨)(案)でございます。 配付資料は以上でございます。 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。 本日は、熊沢委員と牛丸委員が御都合により御欠席とのことでございます。御 出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議が成立して いることを御報告申し上げます。 それでは、以降の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長  委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただきまして、ありがとうございます。 本日は、平成16年度の公的年金財政状況報告のとりまとめに関して審議を行いた いと思います。 それでは、本日の議事に入ります。 先日、平成16年度の公的年金制度の財政状況について、制度所管省から報告を 受けましたが、その際に、これをとりまとめた報告書を昨年と同様、作成するこ ととなっておりました。委員の皆様には、事務局が作成したたたき台の案を事前 にご覧いただき、いろいろと御意見、御指摘をいただいておりましたが、それら を反映したものがお手元の資料ということでございます。 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○田村首席年金数理官  では、少しお時間をいただきまして、資料の説明をします。 お手元にあります資料1が、公的年金財政状況報告の平成16年度版の案でござ います。先ほど、部会長からお話がございましたけれども、6月22日と29日に 行っていただきました、平成16年の各制度の財政状況に関するヒアリングの資料 を基に、公的年金制度全体の財政状況についてまとめたものでございます。 また、これは言わずもがなになりますけれども、誤解があるといけませんので 申し上げます。これからこの報告をざっと御説明申し上げますけれども、これは 厚生労働省からの報告ではなく、部会の事務局としての御説明でございます。 さて、報告書の構成でございますけれども、本日の資料では、資料1が都合上、 3分冊になっています。これが本体です。 薄い紙の資料2が付いていますけれども、その要旨です。 では、まず資料1に沿って御説明をしていきます。 資料1−1を1枚めくっていただきますと、委員の方々の名簿が載っておりま す。 もう一枚めくっていただきますと目次があります。 構成は昨年度までとほぼ同じですが、目次で昨年度と変わったのは、真ん中辺 りに第3章の5収支比率及び積立比率の実績と将来見通しとの乖離の分析という のがあります。この乖離分析を行ったことが昨年度と変わった点でございます。 これ以外は、平成16年度の状況を加えて分析をし直しております。 今回で4年目ということもありまして、大きな変化はございません。というの も、統計表が多いので、資料的価値や使い勝手を考えますと、ある程度は継続性 が必要になってくるということがあって、余り変えていないということになりま す。 では、資料に沿って各章の内容を御説明していきたいと思います。 1ページ、「はじめに」という文章があります。 ここは、年金数理部会の説明とこの公的年金財政状況報告とは何であるかを書 いています。昨年度と余り変わっていませんけれども、上の方に、年金数理部会 として平成16年財政再計算の財政検証を行ったこと、真ん中より少し下のパラグ ラフに、今年度版の特徴を書いております。 3ページからが第1章になります。ここは、公的年金の概要ということですが、 制度体系は前年度から変わっておりませんので、変更点はほとんどありません。 4ページの下に3一元化の推進があります。その第2パラグラフに、現在までの 動きを書いてございます。 5ページから第2章で、資料1−1の終わりまでです。 平成16年度の財政状況を中心に、今の年金数理部会が始まってからヒアリング によるデータを基にして、公的年金制度の現状とその動きについて分析をしてお ります。 6ページに図表2−1−1があります。これが全部まとめたものでございます ので、この表をご覧いただきながらお聞きいただければと思います。 表頭には、各公的年金制度の名前が書いてございます。 左端には表側がありますけれども、そこには収支の項目が並んでおります。 それぞれの制度の下に数字がありますけれども、これはヒアリング資料のまま 写したものでございます。 それらを単純合計しますと、右から2つ目の合計になります。 ただ、細かくて申し訳ありませんけれども、下の注6にもありますが、例えば 各制度からの基礎年金拠出金は、国民年金の基礎年金勘定の基礎年金拠出金収入 に対応するなど、収支の両方に同じ額が出てきます。これらは、公的年金全体で 見る場合には、公的年金間でのお金のやりとりですので、意味がないものでござ います。したがって、こういうものを除いた実質的なもので見たものが一番右端 の公的年金制度全体(実質)で、公的年金全体を見る場合の収支の状況だという ことになります。 飛びまして、その右側に図表2−1−3があると思います。ここには、ここの 制度間のお金の流れがわかるようにしてあります。 そこに矢印が、1〜4とあると思います。 1が、各制度からの基礎年金拠出金ですが、それが基礎年金勘定の収入になり ます。図2−1−3の右側に国民年金(基礎年金勘定)という四角がありますが、 そこの収入にそのお金が行くということになります。その収入が、白い矢印の下 にある支出になりまして、1つは基礎年金給付費として基礎年金勘定から直接給 付されます。もう一つは、旧法の年金に対する基礎年金相当給付費として、2の 基礎年金交付金となって各制度に配られるという動きになっています。3は、一 番外側の矢印で、これは国共済と地共済の財政調整が平成16年から始まりました けれども、それの収支になります。4は、JR共済等の支援のための各共済制度 から厚生年金へのお金の流れになります。こういう項目については、収支の両建 てになりますので、省いたものが、先ほどご覧いただきました左側の図2−1− 1の実質というところでございます。 そこでご覧いただきますと、公的年金全体で見ますと保険料収入は25.7兆円あ りました。国庫・公経済負担が6.4 兆円。運用収入は簿価ベースと時価ベースが ありますけれども、簿価ベースでは2.8 兆円、時価ベースでは5.6 兆円になって おります。保険料収入は、昨年度は25.5兆円でしたので、少し増加をしていると いうことかと思います。 次に図表2−1−1の下の方の支出ですが、年金給付費が41.6兆円でした。昨 年度は 40.3兆円でしたので、約1.3 兆円ぐらい増加しています。 以上の結果、公的年金全体の実質で見た場合、収入が42.4兆円に対して支出が 42.1兆円ということで、実際のお金の動きとしては、3,600 億円ぐらいのプラス にしかならないことになっております。 一番下の年度末積立金ですが、簿価ベースでは198.1 兆円、時価ベースでは 199.6 兆円でございます。 後ほどご覧いただきますけれども、公的年金の全制度で時価ベースの積立金の 数字がわかったのが、平成14年度末からでございまして、今年初めて、時価が簿 価を上回っていることになります。 9ページに参考として囲みがあります。平成16年の財政状況をみる際の留意事 項と書いてありますけれども、平成16年には、制度改正など年金財政に大きな影 響を与える変更がありました。16年の財政に影響を与えるものをまとめたものが、 この囲みの中でございます。平成16年を前年度と比較するときには、これらのこ とを念頭に置いて見る必要があると思います。 まず1保険料率の引上げでございます。下の注1にありますが、平成16年10 月から、厚生年金、国共済、地共済で保険料率が引き上げられております。 2は、後の国庫・公経済負担の説明のところで詳しく書いていますが、これま での負担のほかに、全体で約290 億円ぐらい増えています。 3は、制度改正ではないのですけれども、年金額に直接影響をします。マイナ ス0.3 %の年金額が改正されました。ちなみに、前年度の平成15年度は、マイ ナス0.9 %でした。 4国共済と地共済の財政単位の一元化ですけれども、この一元化によりまして、 先ほどご覧いただきました両共済間での財政調整が始まっています。 10ページ以降でございますけれども、今、ご覧いただきました図表2−1−1 の縦の各項目につきまして、制度ごとの推移をながめております。 10ページは保険料収入です。保険料収入は、被保険者数、標準報酬、ボーナス の状況、及び保険料率によって変わってきますけれども、厚生年金と地共済、私 学共済では増加をしております。国共済と国民年金では減少していることになり ます。 図表2−1−4の一番右端の公的年金制度全体では、平成10年度以降、減少し ておりましたが、平成16年度は増加をしております。その保険料率と報酬ですが、 前者の保険料率は平成16年度に引き上げられました。標準報酬は平成15年度に ボーナスを含めた総報酬になるという制度改正がありました。これらの変更によ る影響は、11ページの上の本文で書いてございます。次の12ページが国庫・公 経済負担の推移でございます。大宗は基礎年金拠出金に対する国庫負担ですが、 基礎年金拠出金が増えているため、各制度とも増加をしております。なお、この 国庫・公経済負担は基礎年金拠出金の一定割合のほかに、12ページの下に○が2 つほどありますけれども、ここに示してあるような目的で繰り入れられておりま す。また、平成16年度からは、13ページの図表2−1−7のような引き上げが 始まっています。 なお、この国庫・公経済負担の公経済負担という言葉ですけれども、地方公務 員は地方自治体が、また国家公務員も独立行政法人や郵政公社はそれぞれが負担 しておりますので、国庫ではないためにこういう表現をしています。 14ページの下から15ページには運用収入があります。15ページの図表2−1 −9に数値があります。ここも数字が多くなっていて申し訳ありませんけれども、 かぎ括弧内に書いてあるものが平成13年度辺りからありますが、これは時価ベー スで見たものでございます。昨年と同様、時価の方が運用収入は多くなっていま す。 なお、厚生年金と国民年金の積立金の運用は、年金資金運用基金と従来からの 財政投融資への預託金がありました。後者につきましては、毎年の利息が簿価ベ ースの収入として入ってくるわけですけれども、前者の市場運用分につきまして は、この前のヒアリングの際にも御質問がありましたが、少し複雑になっており ます。それについては、その前の14ページの下の5行目当たりに「なお書き」が ありますけれども、簡単に説明を付け加えております。したがって、簿価ベース の運用収入を他の制度との比較をする際には注意が必要だということになろうか と思います。 16ページは、運用収入から計算される運用利回りでございます。 17ページは基礎年金交付金でございます。いわゆるみなし基礎年金のために各 制度に交付されるものです。このページに載っているのは、図表の上に注があり ますけれども、決算ベースの数字になっております。 18ページからは支出の項目になります。 18ページは給付費です。数字は、図表2−1−12になりますが、国共済では減 少をしております。また地共済もほぼ横ばいとなっています。これらの制度には、 過去の恩給等の制度を引き継いだ受給者も多く、年金額の大きい老齢・退職年金 相当の受給者が高齢化して、徐々に減少しつつあるためだと考えられます。 右端から3つ目の国民年金の国民年金勘定は、本文にも書いていますが、主に 旧法国民年金の老齢年金の受給者であり、新規発生が少ないために減少を続けて います。 19ページの基礎年金拠出金につきましては、全体の必要額が増加しているため、 各制度とも増加しております。なお、ここの数字も決算ベースであり、後で見ま す確定値とは異なっています。 21ページ以下ですけれども積立金について見ております。公的年金制度全体で は、簿価ベースで198 兆円、時価ベースでは199.6 兆円でした。このうち、約7 割を厚生年金が占めております。ただし、ここの数字は、決算ベースの数字を載 せておりますため、この厚生年金には、厚生年金基金の代行部分については含ん でおりません。それは下の注にも書いてございます。 22ページも積立金関連でございます。ヒアリングで報告を受けました各制度の 資産構成をいただいておりますので、それをそのまま載せています。これは、今 年初めて載せたことになります。 24ページからは基礎年金制度の実績です。先ほどご覧いただきましたのは、決 算ベースの数字でございましたけれども、ここでは確定値ベース、すなわちその 年度に発生したベースで見たものを観察しております。その両者の違いというの は、24ページの注にございます。決算ベースというのは、概算値に精算額を加え たものという形になってございます。 24ページの図表2−1−18というのは、 基礎年金交付金でございますけれども、これは各制度とも減少を示していること になります。一方、25ページの図表2−1−19の、基礎年金拠出金は増加を続け ております。26ページの図表2−1−20は、基礎年金拠出金の算定の基礎数値の 推移をながめたものでございます。27ページの下の方には、図表2−1−21がご ざいます。基礎年金拠出金算定対象者数の種類別の内訳を載せてみました。一番 下に第2号被保険者に対する第3号被保険者の数がありますが、制度によって若 干違っていることがわかろうかと思います。 28ページからは、被保険者、制度によっては組合員、加入者とも言いますけれ ども、その状況になります。 図表2−2−1をご覧いただきますと、厚生年金、私学共済は増加をしており ます。その他の制度は減少しております。 公的年金全体で見ますと、その図表の右から3つ目のところですけれども、 7,029 万人というのが被保険者の総数です。前年とほとんど変わっていません。  被用者年金は、その左側の数字ですけれども、3,713 万人で少し増加をしてお ります。この動きをグラフにしますと、右のページの図表2−2−2になります。 厚生年金が若干増加傾向が見られます。これが全体の動きです。 30、31ページ辺りには、被保険者の年齢構成、平均年齢等について触れており ます。31ページの、図表2−2−4は、年齢構成を男女別に示したものです。棒 グラフの左側が男で右側が女になります。厚生年金では30歳代の前半と50歳代 の後半に山が見られます。国共済は30歳代前半がちょっと山があり、地共済は 50歳代の前半が多くなっています。私学共済では、若い年齢の女子が多くなって います。なお、右下に公的年金制度全体がありますけれども、25〜59歳辺りまで は、おおむね日本の人口とほぼ同じになろうかと思います。こういう構成を各世 代で分けていることになろうかと思います。 32、33ページは、被保険者の平均年齢を見ています。右側のグラフをご覧いた だきますと、少しずつ高くなっているかなと思います。 34ページには、男女の構成割合を見ております。女性の割合は国共済が小さく、 私学共済が大きくなっております。下の図表2−2−8の一番下の対前年度増減 差をご覧いただきますと、私学共済の平成14年度に△1.2 というのがあります。 これは、図表2−2−8の上にも説明を加えておりますけれども、平成14年度に 被保険者の年齢の上限を引き上げて、その結果、男子が増えたことが影響してい るものです。 35ページからは標準報酬について見ております。平成15年度から総報酬ベー スとなりましたので、標準報酬月額ベースの数字と総報酬ベースの数字が2つ並 ぶことになりました。また、それぞれ桁数が多いので見にくいのですが、例えば 一番最初の35ページの図表2−2−9をご覧いただきますと、比較的均一な共済 制度は標準報酬は高く、いろいろな職種や産業のある厚生年金は低くなっていま す。また国共済と地共済では男女の差が小さくなっています。 少し飛びまして、39ページからですが、受給権者の状況について記述しており ます。 各制度別の受給権者数は、図表2−3−1のようで、各制度とも増加を続けて おります。ただ、この中には、受給権者ですので、1人の人が同一制度内や幾つ かの制度で複数の受給権を持っていることもあります。その上の方の文章にも若 干書いてございます。したがって、これらの重複を除いた何らかの受給権を持っ ている人の数というのは、図表2−3−1の直上に書いてありますように、 3,225 万人と推計をされております。 41ページには、全額が支給停止された、年金受給権を持っているけれども、全 然年金をもらっていないという者を除いた受給者数について見ております。 これらの受給権者数を年金種別別に見たものが42ページからです。ここでは、 従来と同じく、1〜4にありますように、まず老齢年金、退職年金を個々人の制 度加入期間によりまして老齢・退年相当と通老・通退相当の2つに分けました。 あと障害年金と遺族年金の4つに分けて見ています。 図表2−3−4ですが、これは制度によってそれぞれの構成は異なっています が、昨年度と余り変化はありません。 ちょっと飛びまして、48ページは年金種別別に見た年金総額を見ております。 年金種別により一人当たりの平均年金額が違っていますので、43ページの人数で 見た構成等が異なっています。図表2−3−8は、上が受給権者数で下が受給者 ですけれども老齢・退年相当がかなり大きくなっているかと思います。 なお、この年金額ですが、受給権者の年度末の年金額というのは、そこにあり ますように全部で46兆円です。そのうち、全額支給停止の者の年金額を除くと、 その下の受給者にある44.3兆円になります。一方、平成16年度中に給付された 額は、 41.6兆円になります。これらの違いにつきましては、別冊の資料1−3の最後の 方に付けている用語解説の中に「年金総額」ということで簡単に触れております ので、後でご覧いただければと思います。 年金額で大きな部分を占めております老齢・退年相当の受給権者について見た のが、52ページからです。52ページ(4)老齢・退年相当の受給権者となってい ますけれども、下の図表2−3−11には人数等があります。女性の割合は先ほど ご覧いただきました被保険者の女性の割合をある程度反映したものとなっている かなと思っています。 また、この受給権者の年齢構成を見たのが53ページの上の図表2−3−12で す。まず国民年金ですが、これは支給開始年齢が被用者年金と違っているので、 形が違っております。被用者年金では厚生年金と私学共済グループと国共済と地 共済のグループに分かれるように見えます。 その下の図表2−3−13は、今回、初めて入れたものです。平成11年度から 全部で6年間の平均年齢が取れましたので、5年間の動きがわかることになりま した。増加幅をご覧いただきますと、5年間で1歳平均年齢が増えているという 制度も幾つかあります。かなり伸びが大きいのではないかと思います。 54ページからは、老齢・退年相当の受給権者に関する平均年金月額について見 ております。ここの数字の平均年金月額というのは、いろいろな捕まえ方があり ます。横並びで見るために、本人がもらう基礎年金分や厚生年金基金の代行分も 含んだものを載せております。図表2−3−14にあるとおり、制度や性別によっ て違っていることがわかろうかと思います。 ただ、これらの数値は、制度の検討の際によく引用されるのですが、比較する 際には、表面的な結果で比べるのではなくて、図表の少し上に書いてあります1 〜4に留意をする必要があると思っております。 共済年金につきましては、いわゆる職域部分が含まれているということで高く なっていることがまず1つあります。 また、2にありますが、公的年金制度の年金額は、1階部分も2階部分も、原 則、加入期間に比例する形となっております。したがって、加入期間の長短が年 金額に影響します。更に3の、男女の割合が影響してきます。厚生年金では、女 子の加入期間が比較的短くなっております。特に、先ほどご覧いただきましたが、 厚生年金、私学共済では現役時代の標準報酬も女子は男子に比べてかなり低くな っております。そのため、女子の年金額はどうしても低くなってしまいます。そ うすると、女子の割合が多い制度では、男女計の数字が低くなってしまうことに なります。したがって、この辺を注意して考える必要があるのではないかという ことになります。 56、57ページは、現在進行中でございますが、1階部分の定 額部分の支給開始年齢の引き上げの影響を見たものです。平成16年度には、62 歳から支給開始されることになったため、図表2−3−15にありますように、基 礎年金分を含んだ年金額で見た場合、ちょっと濃くなっている61歳までは基礎年 金部分が出ないために、年金額は低くなっております。なお、一番下の女子です けれども、厚生年金だけはまだ引き上げは始まっておりませんので、同じ額とい うか、62歳以上とほぼ同じようなレベルになっています。 平均年金月額の推移 を58ページに載せております。被用者年金では、各制度とも減少しております。 一番右端の国民年金は増加を続けております。これは、59ページの図表2−3 −17の平均加入期間の推移でも、国民年金が大きく伸びていることが一つ要因と して挙げられます。もう一つ、被用者年金で減っているのは、60ページに平均年 金月額の減少要因と書いてございますけれども、ここにあるような5点ばかりの 要因が重なって次々に平均年金月額が減ってきていると思います。 61ページからは4財政指標の現状及び推移でございます。財政指標で見た財政 状況をここで分析しておりますが、61〜65ページまでは財政指標の定義ですので、 説明は省略いたします。 66ページが年金扶養比率です。ここは数字を新しくしただけですが、67ページ をご覧いただきますと、単調に減少している、つまり受給者数に比べて被保険者 数の伸びが小さいといったことがわかります。 68ページは、平成14年度分から載せております、年金種別費用率です。今年 度で3年分になりましたので、その推移も載せてみました。それが右側の図表2 −4−6です。ただ、ご覧いただいてもわかりますように、数字自体は年金種別 費用率を出す元となります総合費用率によって動いておりますが、その中の年金 種別の構成割合というのは、まだ余り変化は見られていない状況です。 69ページの下からが総合費用率になります。数字が70ページにございます。 これは申しましたけれども、平成15年度より総報酬制になりましたが、総合費用 率の分母には、標準報酬総額がきますので、グラフにありますようにぐっと落ち るのですが、過去との推移を見るために、標準報酬月額ベースでも残してあるた め、若干ややこしくなっています。 国共済だけは、前年度より若干低下しております。これは、前の69ページにも 少し書いてありますけれども、国共済と地共済の財政調整が始まったためです。 なお、上の図表2−4−7の注2ですが、厚生年金には基金の代行部分は含まれ ておりません。決算ではすべてそうですけれども、1つ前の年金種別費用率もそ うですが、以降の財政指標についても同じですので、制度間で比較する際には注 意が必要だと思います。 少し飛びまして、74ページには、この総合費用率を分けました独自給付費用率 と基礎年金費用率について述べております。傾向的には、総合費用率と同じよう なものですが、独自給付費用率では、国共済は、先ほどの相互費用率と同様の理 由で低下しております。また、私学共済は、74ページの第3パラグラフに書いて いますが、昨年度がやや高かったということで、今年は横ばいとなっています。 77ページが、収支比率の結果です。厚生年金では、簿価ベース、時価ベースと も 100 %を超えています。 79ページが、積立比率について見ております。積立比率は、国共済を除き、わ ずかに低下をしております。先ほどの収支比率は、運用収入の影響が大きく、簿 価と時価で大分違いがありましたが、積立比率は、積立金の動きに影響されるた めにそんなに大きな動きはないということが言えるかと思います。 第2章の最後ですが、81ページにレーダーチャートを載せております。財政指 標をまとめて見ることができるようにしております。それぞれの形は、昨年度と 余り変わりはありません。厚生年金と私学共済が似たような形、国共済と地共済 が似たような形になっているかと思います。 資料1−2の第3章になります。 ここでは、これまでご覧いただきました平成16年度の実績と、平成11年財政 再計算による平成16年度の見通しの2つの数値の乖離の状況について分析をし ています。 財政再計算は、おおむね現実をシミュレートしていくものでございますけれど も、実績と細かな比較をしようとしますと、少し違う点があります。これらを記 述しているのが、 82ページの第3章の1財政計画と比較する際の留意点からで す。昨年版とほとんど変わりはありませんが、項目の順番の並び替えを行ってお ります。 なお、第2章の始めの方で述べましたけれども、平成16年の制度改正の影響が 実績には入っておりますけれども、平成11年再計算には当然ながら入っておりま せん。そのため、ここでは平成11年の財政再計算の見通しに平成16の制度改正 の影響を加味した数字を作成しまして、その改正の影響を除いて見ることができ るようにしております。それに関する説明は、83ページの7にあり、またその計 算方法は142 ページの「補遺1」に書いてございますので、後でご覧いただけれ ばと思います。 85ページからは、その比較の結果でございます。大体昨年と同じように、経済 の見通しが若干違っていましたので、その動きに応じて全部実績の方が低くなっ ています、85ページの保険料収入をご覧いただきますと、図表3−2−1で、厚 生年金だと、左から実績、実績推計、再計算、差、割合とあります。差1−2は 各制度ともにマイナスになっておりますが、その様子は昨年度までと余り変わり ません。ただ平成16年度は先ほども御説明しましたように、制度改正の影響が見 られるために、ここの厚生年金をご覧いただきます。厚生年金の平成11年再計算 による 16年の推計値は、26兆7,000 億となっております。しかし、これは平成 11年の時点で保険料率を16年度から総報酬ベースで1.92%一度に引き上げると いうことを前提として計算されております。ところが、実際には御承知のように、 毎年0.354 %ずつ引き上げていくことになっておりますので、16年改正を考慮に 入れますと、保険料収入の見込みが異なってきます。これが先ほどの 26兆7,000 億の下に括弧書きで252,622億円というのがありますけれども、この 数字です。16年度は引き上げ幅が少ないために括弧内の数字の方が小さくなって おります。その結果、実績との違いも小さくなっています。 86ページは標準報酬総額、被保険者数について見たものです。16年の改正の影 響はありませんので、傾向としては、昨年度までと同じになっております。 88ページは国庫・公経済負担について、89ページは運用収入について比較して おります。90ページは、そのベースになる数字です。 91ページ以降は、実質的な支出について比較しております。財政再計算では、 推計項目が制度によって若干ずつ違っておりますので、給付費といった項目では 比較できないため、ここでは実質的な支出額ということで比較をしております。 92ページには受給者数があります。対応する表は、93ページに載せてございま す。厚生年金では、実績が上回り、その他の制度は実績が下回っています。 92ページの下は基礎年金拠出金関連の比較をしております。 少し飛びまして、96ページの下に積立金の比較をしております。 98ページの図表3−2−12ですが、今までご覧いただきました乖離につきまし て、各制度からいただいた理由等をそのまま載せています。 99ページからは、財政指標について実績と平成11年の財政再計算の見通しに ついて比べたものです。年金扶養比率ですが、動きは下の図表3−3−2のよう です。厚生年金、国共済、地共済では、実績の方が低くなっております。 101 ページには総合費用率や独自給付費用率について比較をしています。 総合費用率についての数値は、101 ページの図表3−3−4に、102 ページに はグラフにしたものがあります。厚生年金や私学共済では差が大きくなっており ますけれども、その後に行われた直近の平成16年財政再計算ではこの違いは考慮 されています。なお、線がいっぱいあって見にくいのですが、各制度の費用の違 いがその線の高さで、これぐらいコストがかかっているというのがわかろうかと 思います。 106 、107 ページに収支比率があります。収支比率は、右側をご覧いただくと、 時価と簿価の両方で見たものがありますが、国民年金を除きまして、すべて財政 再計算の見通しよりも実績の方が悪くなっております。 110 ページは積立比率について比較したものです。厚生年金,国共済,地共済 では、実績の方が再計算による将来見通しが上回っているということになります。 これまで財政再計算と実績につきまして、乖離がどれぐらいあるかというのを ながめてきたわけですけれども、113 ページからは、どうして違いが出たのかと いう分析をしております。 ここは、最初に目次でご覧いただいた昨年度からの相違点でございます。14年 度、15年度版では、保険料収入、給付費及び基礎年金拠出金について、比較分析 を行いました。ただ、2年間やっておおむね傾向がつかめたこともありまして、 本年度は、次の5節でご説明しますが、別の分析を行っています。 さて、まず積立金について分析を行っております。積立金は、収入と支出のす べてが集約された結果ですので、要因全体の財政への影響の分析ができます。そ ういう意味で、最初の平成13年度版から続けているものです。分析方法は前年度 と同じです。ただ、毎年のことですが、1年分ずつ増えていきますので、見た場 合の印象と手間はその分増えております。 飛ばしましたのでわからなかったかもしれませんけれども、積立金の乖離と積 立金比率の乖離をご覧いただきました。積立金は、実績と再計算での見通しにか なり違いがありましたけれども、積立比率は逆に実績の方がいいという制度が多 い結果でした。 113 ページの2つ目のパラグラフに書いていますが、公的年金では、財政全体 が長期的に見れば名目賃金上昇率に応じて増減すると考えられます。したがって、 運用利回りが悪くても、賃金上昇率も少なければ、実績が再計算からずれても財 政的には大丈夫と言える場合があります。それらが結局どうなのかをここで分析 をしています。 115 ページの図表3−4−1ですが、名目運用利回り、名目賃金上昇率及びそ の比率である実質的な運用利回りについて、実績の結果と平成11年の財政再計算 で計算に使ったものを載せています。この実質的な運用利回りは今後、たびたび 出てきます。113 ページの下の注1にありますが、名目賃金上昇率を基準とした ときの運用利回りのことです。  116 ページの図表3−4−2をご覧下さい。平成16年度末積立金の実績と平成 11年財政再計算における将来見通しとの乖離状況を見たものです。例えば厚生年 金ですと、平成16年度末に将来見通しでは、188.8 兆円になると見込んでおりま したけれども、実際には171.1 兆円でしたので、その差が17.7兆円出てきます。 それにつきまして、その発生要因を以下で分析しております。結果としてご覧い ただくのは、117 ページの図表3−4−3です。これが第一段階の分析結果でご ざいます。厚生年金で見ますと、先ほどの差17.7兆円のうち、運用利回りが予定 したものより低かったことによるものが11.6兆円、それ以外の要因が違ったこと によるものが6兆円になります。更に、この6兆円のうち、名目賃金上昇率以外 の経済要素、例えば物価上昇率とか年金改定率ですけれども、これらの変化率の 名目賃金上昇率との違いによるものが1.6 兆円、人口要素、例えば被保険者数の 違いなどによるものが5.2 兆円でした。横に制度別にご覧いただきますと、それ ぞれの要因のきき具合に少しずつ違いがあることがわかります。この図表を更に 細かく見たいという場合には、 119 ページの図表3−4−4に各年度でどう発生 したかが載っております。 ここで、図表3−4−3で一番大きな影響でありました、名目運用利回りを名 目賃金上昇率と実質的な運用利回りに分けて見ます。それが120 ページからです けれども、分析の流れは121 ページに四角い箱の絵があります。  なぜこうするかというと、先ほどから申しましたように、公的年金全体の財政 再計算の動きというのは、名目賃金上昇率で動くということがほぼ言えようかと いうことで、それがベースになるので、その違いは考えなくてもいいだろうとい うことで、そこを分けてみるということになります。このように分けて、名目賃 金上昇率の違いによる部分は、今、申しましたように、見かけのふくらみ具合に しか効かない部分ですので、それを除いた部分を見ます。 図表3−4−5に従って計算した結果が、図表3−4−6です。図表3−4− 4を更に細かくしたようなものですので見にくいと思いますが、左側のページが 実数、右側のページが合計を100 とした構成割合です。 これは見にくいので先を急ぎまして、図表3−4−6のうち、名目賃金上昇率 の違いを除いたもの、つまり財政再計算でも実績と同じ名目賃金上昇率を使って 計算したとした場合の財政見通しと実績を比べてみたいと思います。考えてみれ ば、一人の神様がおりまして、ただ、その神様は少し力が弱くて、賃金上昇率は 正確に見通せるんですけれども、それ以外は財政再計算をやっている人間と同じ ぐらいの能力しかない神様が財政再計算をして、それと実績を比べるということ を考えるわけです。そうしますと、賃金上昇率だけはちゃんとした実績と合いま すので、ここでやっていることに合うということになります。 その結果が、125 ページの図表3−4−7です。結果だけを見ますと、年度の 下の方、図表の真ん中の二重線の少し上に寄与分ア〜カの合計とあります。これ が今、言いました神様の予測と実績の違いになります。厚生年金で見ますと、 9.1 兆円のプラスとなっております。この積立金の分析の最初でご覧いただきま したように、名目賃金上昇率以外の経済要素や人口要素による乖離というのは、 そこにありますようにマイナスで、実績の方が悪くなっております。ただ、実質 的な運用利回りが高かったというか、名目賃金上昇率が低かったことによるプラ スの効果が15.8兆円もあり、合計もプラスになっているということになります。 ほかの制度も同じようなものでございます。 この結果をグラフにしたのが、126 ページから4ページにわたるグラフでござ います。 まず、126 ページの図表3−4−8には、棒グラフと、非常に小さく て見づらいのですけれども、上下の矢印がたくさんあると思います。これは、 122 ページの図表3−4−6に対応する0〜11です。これは平成13年度版から 載せているのですけれども、わかりづらいと不評でございまして、昨年度からは 128 ページの図表3−4−9を作っております。 これもわかりづらいとおっしゃるんですけれども、この図表で御説明いたしま す。まず、左右のページに分かれております。左側のページが簿価ベースのもの、 右側のページが時価ベースのものです。厚生年金は時価ベースだけですので、右 の上にある形になります。それぞれのグラフには、左側の折れ線が3本ありまし て、右側には棒グラフがあります。前のページのつながりで、まず棒グラフから ご説明します。 ご覧いただきますと、3本の棒グラフがあります。一番左側の濃い色のものが、 平成11年財政再計算での見通しにおける平成16年度末の積立金の水準を表して おります。図を書く都合から、この値を全制度100 としております。その右側に くっついているのが、平成16年度末の実績の積立金の水準です。制度によって違 いはありますけれども、財政再計算の見通しよりは小さくなっております。一番 右端の棒は、その下に小さく「名目賃金上昇率の違いを除いた場合の推計値」と 書いてあります。これが、先ほどちょっと説明しました、力の弱い神様が推計し た将来見通しの数字です。  一番右端の低い棒の上に矢印が5つあります。これが各年度に名目賃金上昇率 の違いにより発生した寄与分を表しております。さて、左側の濃い色とくっ付い ている2本の線を見ますと、実績は悪かったので、けしからんという声が出てき そうですが、財政への実質的な影響を考えますと、2つ目の実績のちょっと低い 棒グラフと、一番右端で比べるべきです。そうすると、実績の方がかなりよくな っているということがわかります。 それが結論なのですが、グラフの右側の折れ線グラフは、この積立金の各年度 末の数値を表したものになっています。線が離れている右ページの上の厚生年金 がわかりやすいのですけれども、一番上の矢印が付いているのが、平成11年の財 政再計算での見通しです。真ん中の印なしは実績の線です。一番下の、最初点点 で最後に●が付いているものが、少し力の弱い神様が推計したらこうなっただろ うという動きになります。 ちょっと長くなりましたが、次に130 ページからは、今回、初めて行った分析 です。収支比率と積立比率につきまして、将来見通しと実績の乖離の要因を分析 しております。 基本的な問題意識といたしましては、そのページの第3パラグラフに書いてい ますが、個々の財政項目は実績と将来見通しに大きな乖離が見られました。また、 収支比率は将来見通しよりも悪化しておりますけれども、積立比率はおおむねい い方向に動いております。果たして、この動きがどの要因によるものかというの を分析しています。 最初は収支比率について見ております。131 ページの図表3−5−1ですけれ ども、ここでも厚生年金について見ていきますと、実績と平成11年財政再計算に よる16年の見通しには、18.8%という違いがあります。これをその下の(2)の 3つの○の要因に分けたのが、132 ページの図表3−5−2です。収支比率の計 算式は、説明は飛ばしましたけれども、先ほどの第1分冊の63ページにございま す。簡単なため総合費用と書いてありますけれども、分子はここにあります、実 質的な支出から国庫・公経済負担を除いたものになります。下の分母に来るのが、 保険料収入と運用収入を足したものです。 図表3−5−2をご覧いただきますと、先ほどの18.8%の違いのうち、総合費 用によるものが、これは分子でいきますけれども、−10.2になります。保険料収 入によるものが21.3のプラス、運用収入によるものが7.7 のプラスとなってお ります。これは、総合運用、保険料収入、運用収入の各要素ともに、実績の方が 将来見通しよりも低かったのですけれども、あとの収入2つは、計算式の分母に ありますので、比率的にはプラスの効果が出るということになります。制度ごと にご覧いただきますと厚生年金、地共済では保険料収入が、国共済、私学共済で は運用収入が違っていたことがきいているかと思います。 なお、ここのページでミスがありましたので、修正をお願いしたいと思います。 132ページの上から4行目、本文でいうと2行目に計算における将来見通しを下 回ったと書いてありますけれども、正しくは上回ったの誤りでございます。申し 訳ありませんが、修正をお願いしたいと思います。 ここで見た総合費用、保険料収入、運用収入の要因を、133 ページにあります ように、年金改定率、名目賃金上昇率の違い、名目運用利回りの違い等に分けて 分析した結果が、 134 ページの図表3−5−3です。ただ、これは見づらいとい うことで、これをまとめますと、135 ページの図表3−5−4になります。総合 費用の乖離につきましては、年金改定率の違いが大きく影響をしている、また、 保険料収入につきましては、名目賃金上昇率の違いがきいていることが言えます。 運用収入の違いは、当然ながら当年度の分がほとんどです。ここの15年度以前発 生分というのは、15年度以前の違いにより発生した分が積立金に影響しまして、 その差から出た平成16年の違いになります。 136 ページからは、積立比率について見ています。図表3−5−5にあります ように、積立比率は実績と再計算の見通しは余り違いはありません。これを収支 比率と同様、計算式の分子になります前年度末積立金の違い、分母になります総 合費用の違いの2つの要因に分けて見てみますと、137 ページの図表3−5−6 のようになります。分母のプラスマイナス逆転効果、分母が大きくなると分子の 比率が小さくなるというのは収支比率と同じですけれども、厚生年金では、前年 度末の積立金も総合費用も実績のも同じように小さかったということで、積立比 率は余り変わらなくなっています。国共済では、積立金は余り違いはなかったの ですけれども、総合費用が違ったために、積立比率の違いにそのまま効いてきて いるということが言えようかと思います。 更に、この積立金、総合費用を分けますと、139 ページの図表3−5−7のよ うになりまして、それをまとめますと、140 ページの図表3−5−8になります。 効き具合は、先ほどの収支比率と同じようなものかと思います。 140 ページの下からは、これら2つの財政指標についての乖離の違いを検討し ております。総合費用というのがありましたけれども、収支比率では分子にきて いますし、積立比率は分母に入っておりますので、この総合費用の寄与を100 と して、それ以外の要因の寄与の様子を見たのが、141 ページの図表3−5−9で す。 厚生年金では、総合費用の違いに比べて、保険料収入の違いが大きくて、収支 比率が違ってくることとなっております。国共済では、総合費用の動きを2つの 収入で打ち消す一方、積立金には違いが余りなかったので、積立比率の違いの方 が大きくなっております。地共済では、保険料収入と運用収入の違いが、また、 私学共済では、運用収入の違いが効いてきて、収支比率の違いの方が大きくなっ ております。なお、私学共済で数字が非常に大きくなっているのは、基準とした 総合費用の乖離が非常に小さかったためです。 142 ページ以降は、第3章の分析に使用した方法をまとめております。「補遺 1」は、先ほどご説明しました、平成16年の制度改正の影響の織り込み方につい て書いております。 その後の補遺2〜4は、それぞれ積立金、収支比率及び積立比率の乖離分析の 方法について書いております。飛びまして、非常に細かいのですけれども、161 ページからはこれらの乖離分析に使用したデータをまとめております。161 ペー ジからが実績、163 ページからが財政再計算で使用した結果です。 165 ページ「補遺5」ですけれども、ここでは、先ほど積立金の乖離の分析の ところで前提といたしました、経済要素の公的年金財政への影響の仮定について の検討を加えております。つまり、公的年金では全体の財政が名目賃金上昇率で 動いていくという前提が正しいかどうかということです。いろいろ書いてありま すが、ここではこの前、年金数理部会で行った平成16年財政再計算に基づく公的 年金制度の財政検証での資料を基に、経済前提、具体的には賃金上昇率の違いの 給付費への影響を見ております。再計算の検証では、 165 ページの真ん中辺りに数字が並んでいますけれども、経済前提を変えた場合 の結果をいただいております。給付費ですので、運用利回りは関係なくて、物価 上昇一定としていますので、賃金上昇率だけが動くということになります。これ らの給付費の伸びへの影響を見たのが、ちょっと荒っぽい推計ですけれども、 167 ページの図5−1になります。将来の定常状態になりますと、給付費の伸び と賃金上昇の伸びというのはほぼ同じになっていることがわかるかと思います。 最後、資料1−3の第3分冊です。これは付属資料で、公的年金に関するこれ までの推移、統計数値を載せております。 173 ページからの長期時系列表−1は、被保険者数などについて、制度横並び での推移を見たものですけれども、これを1年分追加をしております。180 ペー ジからの長期時系列表−2は、制度ごとの収支の状況を見たものです。これも、 現存制度につきましては16年度分を追加しております。 193 ページからの長期時系列表−3は、今回、初めて入れたものです。財政指 標に関する推移を掲載しております。最近は、制度改正の議論でも財政を比較す る際にこの財政指標がよく使われるれるようになりましたが、直近の数字だけの 比較をされておりまして、長期を考えるべき年金制度では、それではよくないの ではないかということで載せてみました。193 ページには、最初から大分古いと ころからの年金扶養率が載っています。かなり動いているのがわかろうかと思い ます。194 、195 ページは、総合費用率以下4つの指標ですが、昭和61年度以降 としております。これは、基礎年金制度がこの時点から始まったということと、 昭和59年度までは共済年金で国庫・公経済負担が保険料拠出時でありまして、厚 生年金等、及びその後の年度との時系列の比較ができないために、この年度以降 にしております。 資料2は、資料1を要約したものです。項目は、一番最後の収支比率と積立比 率についての項目を変えた以外は、昨年度版と大きく変えた点はございません。 長くなりましたけれども、説明は以上でございます。 ○山崎部会長  ありがとうございました。 随分骨の折れる作業をしていただきまして、ありがとうございました。従来の ものに比べると、いろいろ工夫され、改善されたところもあるようでございます。 それでは、ただいまの説明に対する御質問や報告書の案に対する御意見などが ありましたら、お願いいたします。 都村委員、どうぞ。 ○都村部会長代理  平成16年度の財政状況について、わかりづらいとおっしゃった図表も含めて、 大変興味深くお聞きいたしました。 そこで、人口動向が年金財政に及ぼす影響についてお尋ねしたいと思います。 最近、 2005年の国勢調査の数値が確定しましたけれども、人口構造の変化を踏まえて年 金財政の見通しを作成する財政検証というのは、今後どのように行われるのかと いうことをお尋ねしたいと思います。 国勢調査では、予想よりも人口減少が2年ほど早く始まったとされていますけ れども、例えば厚生年金の被保険者数を見ますと、平成16年の実績は平成16年 の財政再計算の前提を上回っていますし、平成17年の速報値も平成16年財政再 計算の前提を上回っています。 また、今年になって出生数が前年同期を上回っているという発表もされている わけですけれども、人口動向の影響の出方ということについて、どういうふう考 えればいいのかということを、まず第1点としてお尋ねしたいと思います。 ○山崎部会長  最初に、数理課長の方からお願いします。 ○山崎数理課長  数理課長でございます。 ただいまのお尋ねでございますが、まず公的年金の財政検証は、少なくとも5 年に一度長期的な年金の財政状況というものを見通しまして、マクロ経済スライ ドを何年まで継続することになるかということを見通します。 その前提となりますのは、1つは人口でございまして、1つは経済になるわけ でございます。しかも、それも長期の趨勢というものが重要になってくるという ことでございます。 そういう意味では、勿論、足元のところで厚生年金の被保 険者が16年の再計算で見込んだものより大きくなっているとか、あるいは出生率 につきましても若干、足元で明るい動きがある。そういう条件があるわけでござ いますが、あくまでも長期の趨勢がどうなるかというものの見通しが大事になっ てくるのでございます。 そういうことで申しますと、まずは人口につきましては、本年中にということ で今、新しい人口推計というものが準備されており、まずはこれが出たところで それが1つベースになるということでございます。基本的に人口につきましても、 そこに更に労働力がどうなっていくかということがございまして、そちらについ ては、また専門的な推計が新しい人口推計を踏まえて出てくるであろうと思いま す。 更に、その労働力を1つの要件といたしまして、将来の経済がどうなっていく か。これは、まさに経済官庁がどういうような将来の生産性を見込んでいくかと いうこと。そういうことを踏まえて、更に運用の方もどうなっていくかというと ころを専門家の方々に御検討いただきました上で、期限といたしましては、平成 16年の財政再計算を起点といたしまして、5年以内にということでございますの で、平成21年までの間に人口と経済につきまして、かなりしっかりした前提を見 極めた上で財政検証を行っていくという流れになろうかと考えているところでご ざいます。 ○山崎部会長  都村委員。 ○都村部会長代理  どうもありがとうございました。 もう一点、厚生年金と国民年金の事業運営についてですけれども、国民年金の 方は、具体的な取組みが随分いろいろとなされていますけれども、厚生年金の事 業運営について、お尋ねします。先ほど御説明がありましたように、厚生年金の 被保険者数は前年比では増えているけれども、この10年ぐらいを見ると緩やかに 増減を繰り返しています。 厚生年金の適用事業所数は、経済状況の影響を受けるとともに事業主の社会保 険に対する認識のようなものも影響を与えるのではないかと思うのですけれども、 近年の厚生年金の適用事業所数の動向についてはどうなのでしょうか。被保険者 数の動向と並行しているのかどうか、また厚年適用についての取組みについても、 もし何かございましたらお教えいただきたいと思います。 ○田村首席年金数理官  適用事業所は財政と余り関係がなく、手元に数字がないので,後ほどご説明し たいと思います。 ○山崎部会長 局長は所用のため、退席されるそうでございます。 ほかに御意見ございませんでしょうか。 それでは、皆様にはいろいろと御指摘いただき、御議論を尽くしていただいた ものと思います。特に報告書の修文の必要性がないと思いますので、これをもち まして、本部会の平成16年度公的年金財政状況報告とさせていただきたいと思い ます。よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○山崎部会長 異議がないものと認めます。 それでは、これを本部会の報告とさせていただきたいと思います。 本日は、これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)