働き方・労働時間の状況について

<職業別雇用者構成の推移>

 いわゆる「ホワイトカラー」(専門的・技術的職業従事者、管理的職業従事者、事務従事者、販売従事者)の割合は、概ね増加傾向をたどっており、平成16年現在、合わせて2,954万人、全体の55.2%を占める。

職業別雇用者構成の推移
職業別雇用者構成の推移のグラフ
※資料出所: 総務省統計局「労働力調査」


<成果に応じた賃金及び年俸制の状況>

 業績・成果に対応する賃金部分を拡大する賃金制度の改定を行っている企業数の割合は、増加している。

過去3年間に業績・成果に対応する賃金部分を拡大する
賃金制度改定を行った企業数の割合
過去3年間に業績・成果に対応する賃金部分を拡大する賃金制度改定を行った企業数の割合のグラフ
※資料出所: 厚生労働省 「賃金労働時間制度総合調査」(平成8年)
「就労条件総合調査」(平成16年)

 資本金階級別に成果主義的賃金制度を導入している企業の割合をみると、資本金階級の大きい企業の方が高くなっている。
 また、職種別にみると、「管理的職業従事者」、「営業従事者」、「専門的・技術的職業従事者」、「販売従事者」、「事務従事者」のいわゆるホワイトカラー労働者への導入割合が高くなっている。

資本金階級別の成果主義的賃金制度の導入割合
資本金階級別の成果主義的賃金制度の導入割合のグラフ
資料出所: 内閣府経済社会総合研究所「平成16年度企業行動に関するアンケート調査」
 注  調査時期は平成17年1月。

 年俸制導入企業数の割合は、増加している。

年俸制導入企業数の割合
年俸制導入企業数の割合のグラフ
※厚生労働省 「賃金労働時間制度総合調査」(平成6年)
「就労条件総合調査」(平成14年、16年)


<労働時間管理を受けない働き方に対する希望(事業場、企業調査)>

 今後の労働時間管理の在り方について、裁量労働制を導入している事業場及び未導入企業の人事担当部署に聞いたところ、労働時間規制を受けない働き方の導入を望む回答がそれぞれ43.9%、30.0%となった(複数回答)。

<裁量労働制導入事業場>
裁量労働制導入事業場のグラフ

<裁量労働制未導入企業>
裁量労働制未導入企業のグラフ
資料出所: 厚生労働省「裁量労働制の施行状況等に関する調査」(平成17年)
 注  調査の回答時点は、2005年3月末日現在。


<労働時間管理を受けない働き方に対する希望(労働者)>

 今後の労働時間管理の在り方について、裁量労働制を導入している事業場の労働者に聞いたところ、労働時間規制を受けない働き方の導入を望む回答が企画業務型裁量労働制適用労働者で特に多く、24.9%となった(複数回答)。

<裁量労働制導入事業場の労働者>
裁量労働制導入事業場の労働者のグラフ
資料出所: 厚生労働省「裁量労働制の施行状況等に関する調査」(平成17年)
 注  調査の回答時点は、2005年3月末日現在。


<労働時間分布の長短二極化>

 週35時間未満働く労働者の全体に占める割合が増加傾向にある一方、週60時間以上働く労働者の割合は10%超で推移している。

週の労働時間
週の労働時間のグラフ
資料出所: 総務省「労働力調査」

 30歳代の男性で週60時間以上働く労働者の割合は、20%台で高止まりしている。

30歳代男性の週の労働時間
30歳代男性の週の労働時間のグラフ
資料出所: 総務省「労働力調査」


<少子化対策で特に期待する政策>

 少子化対策で特に期待する政策として「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しの促進」を答える者が51.1%と最も多くなっている。

少子化対策で特に期待する政策のグラフ
資料出所: 内閣府「少子化対策に関する特別世論調査」(平成16年)



 時間外労働削減等について

<時間外・休日労働に関する労使協定の締結状況>

 時間外・休日労働に関する労使協定(以下「36協定」という。)は37.4%の事業場で締結しており、事業場規模が大きいほど36協定を締結している事業場の割合が高くなっている。

時間外・休日労働に関する労使協定の締結の有無
時間外・休日労働に関する労使協定の締結の有無の表
資料出所: 厚生労働省「労働時間等総合実態調査結果」(平成17年度)


<特別条項付き36協定の締結状況>

 特別条項付き36協定は27.7%の事業場で締結しており、事業場規模が大きいほど締結している事業場の割合が高くなっている。

特別条項付き36協定の有無
特別条項付き36協定の有無の表
資料出所: 厚生労働省「労働時間等総合実態調査結果」(平成17年度)


<法定時間外労働の実績>

 変形労働時間制適用労働者を除く一般労働者について事業場における1箇月の法定時間外労働の実績をみると、平均的な者で(1)、最長の者で(2)のとおりとなっている。

(1) 1箇月の法定時間外労働の実績(平均的な者)
1箇月の法定時間外労働の実績(平均的な者)の表

(2) 1箇月の法定時間外労働の実績(最長の者)
1箇月の法定時間外労働の実績(最長の者)の表
資料出所: 厚生労働省「労働時間等総合実態調査結果」(平成17年度)


<法定時間外労働に対する割増率の設定状況>

 法定時間外労働に対する割増賃金の割増率の設定状況は、次のとおりとなっている。

法定時間外労働に対する割増賃金率の定めの有無及び割増率
法定時間外労働に対する割増賃金率の定めの有無及び割増率の表

法定時間外労働に対する割増賃金率の定めの有無及び割増率の表
資料出所: 厚生労働省「労働時間等総合実態調査結果」(平成17年度)



<参照条文>

 労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
 (時間外及び休日の労働)
36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。
 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
 第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
 行政官庁は、第2項の基準に関し、第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)
37条 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

 労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(平成6年政令第5号)
 労働基準法第37条第1項の政令で定める率は、同法第33条又は第36条第1項の規定により延長した労働時間の労働については2割5分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については3割5分とする。

 労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)
 (業務区分の細分化)
1条 労働基準法(以下「法」という。)第36条第1項の協定(労働時間の延長に係るものに限る。以下「時間外労働協定」という。)をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)は、時間外労働協定において労働時間を延長する必要のある業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該必要のある業務の範囲を明確にしなければならない。
 (一定期間の区分)
2条 労使当事者は、時間外労働協定において1日を超える一定の期間(以下「一定期間」という。)についての延長することができる時間(以下「一定期間についての延長時間」という。)を定めるに当たっては、当該一定期間は1日を超え3箇月以内の期間及び1年間としなければならない。
 (一定期間についての延長時間の限度)
3条 労使当事者は、時間外労働協定において一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間についての延長時間は、別表第1の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る。)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定める場合は、この限りでない。
 (1年単位の変形労働時間制における一定期間についての延長時間の限度)
4条 労使当事者は、時間外労働協定において法第32条の4の規定による労働時間により労働する労働者(3箇月を超える期間を同条第1項第2号の対象期間として定める同項の協定において定める同項第1号の労働者の範囲に属する者に限る。)に係る一定期間についての延長時間を定める場合は、前条の規定にかかわらず、当該労働者に係る一定期間についての延長時間は、別表第2の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。
 前条ただし書の規定は、法第32条の4第1項の協定が締結されている事業場の労使当事者について準用する。
 (適用除外)
5条 次に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、前2条の規定(第4号に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、厚生労働省労働基準局長が指定する範囲に限る。)は適用しない。
 工作物の建設等の事業
 自動車の運転の業務
 新技術、新商品等の研究開発の業務
 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの


別表第1(第3条関係)
期間 限度時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1箇月 45時間
2箇月 81時間
3箇月 120時間
1年間 360時間
備考  一定期間が次のいずれかに該当する場合は、限度時間は、当該一定期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げる。)とする。
 一  1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間 15時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間
 二  1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間 27時間に当該日数を14で除して得た数を乗じて得た時間
 三  2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間 43時間に当該日数を28で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が27時間を下回るときは、27時間)
 四  1箇月を超え2箇月未満の日数を単位とする期間 81時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が45時間を下回るときは、45時間)
 五  2箇月を超え3箇月未満の日数を単位とする期間 120時間に当該日数を90で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が81時間を下回るときは、81時間)

別表第2(第4条関係)
期間 限度時間
1週間 14時間
2週間 25時間
4週間 40時間
1箇月 42時間
2箇月 75時間
3箇月 110時間
1年間 320時間
備考  一定期間が次のいずれかに該当する場合は、限度時間は、当該一定期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げる。)とする。
 一  1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間 14時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間
 二  1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間 25時間に当該日数を14で除して得た数を乗じて得た時間
 三  2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間 40時間に当該日数を28で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が25時間を下回るときは、25時間)
 四  1箇月を超え2箇月未満の日数を単位とする期間 75時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が42時間を下回るときは、42時間)
 五  2箇月を超え3箇月未満の日数を単位とする期間 110時間に当該日数を90で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が75時間を下回るときは、75時間)



 年次有給休暇について

<年次有給休暇の取得率・取得日数>

 年次有給休暇の取得率の低下及び取得日数の減少傾向が続いている。

年次有給休暇の取得率及び取得日数
取得率 年次有給休暇の取得率及び取得日数のグラフ
付与日数 ・ 取得日数 年次有給休暇の取得率及び取得日数のグラフ
資料出所: 厚生労働省「就労条件総合調査」(旧「賃金労働時間制度総合調査」)


<年次有給休暇の望ましい取得方法>

年次有給休暇の望ましい取得単位について、「1日単位での取得」(42.0%)、「なるべくまとめて取得」(31.7%)を望む労働者割合が高いが、1日未満の単位での取得を望む労働者も一定割合(25.2%)存在する。
特に、30〜49歳層の女性において、「半日単位」「時間単位」での年次有給休暇の取得を希望する割合が高くなっている。

年次有給休暇の望ましい取得方法
年次有給休暇の望ましい取得方法のグラフ

年次有給休暇の望ましい取得方法の表
資料出所: 三和総合研究所「長期休暇制度に関する調査研究」(平成12年)


<年次有給休暇の取得に対する労働者の意識>

「みんなに迷惑がかかると感じる」(58.7%)「後で多忙になる」(42.3%)「職場の雰囲気で取得しづらい」(36.4%)などの理由から、約7割(68.6%)の労働者が、年次有給休暇の取得にためらいを感じている。

年次有給休暇の取得へのためらい
年次有給休暇の取得へのためらいのグラフ
ためらいを感じる理由(MA)
ためらいを感じる理由(MA)のグラフ
ためらいを感じない理由(MA)
ためらいを感じない理由(MA)のグラフ
資料出所: 三和総合研究所「長期休暇制度に関する調査研究」(平成12年)


<年次有給休暇の主な取得目的>

 全体としては「休養」(28.5%)、「病気の療養・体調不良」(24.2%)などが 多くなっているが、1日単位の単独取得でみると、「家事・育児・子供の行事」(21.4%)などが多くなっている。

年次有給休暇の主な取得目的の表

年次有給休暇の主な取得目的の表
資料出所: 連合総研「年次有給休暇の計画的付与等の実態に関する調査研究報告書」 (平成15年)



<参照条文>

 労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
 (年次有給休暇)
39条 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
 使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6箇月を超えて継続勤務する日(以下「6箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる6箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を与えることを要しない。
6箇月経過日から起算した継続勤務年数 労働日
1年 1労働日
2年 2労働日
3年 4労働日
4年 6労働日
5年 8労働日
6年以上 10労働日
 次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前2項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第1号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
 1週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、1年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に1日を加えた日数を1週間の所定労働日数とする労働者の1年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
 使用者は、前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
 使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間について、健康保険法(大正11年法律第70号)第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業した期間は、第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。

 労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)(抄)
24条の3 法第39条第3項の厚生労働省令で定める時間は、30時間とする。
 法第39条第3項の通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数は、5.2日とする。
 法第39条第3項の通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数と当該労働者の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数は、同項第1号に掲げる労働者にあつては次の表の上欄の週所定労働日数の区分に応じ、同項第2号に掲げる労働者にあつては同表の中欄の1年間の所定労働日数の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分ごとに定める日数とする。
週所定
労働日数
1年間の
所定労働日数
雇入れの日から起算した継続勤務期間
6箇月 1年
6箇月
2年
6箇月
3年
6箇月
4年
6箇月
5年
6箇月
6年
6箇月
以上
4日 169日から
216日まで
7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から
168日まで
5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から
120日まで
3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から
72日まで
1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日
 法第39条第3項第1号の厚生労働省令で定める日数は、4日とする。
 法第39条第3項第2号の厚生労働省令で定める日数は、216日とする。

 半日の年次有給休暇の取得に関する解釈例規
 法第39条に規定する年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。
(昭和24年7月7日基収1428号、昭和63年3月14日基発150号)



 企画業務型裁量労働制について

<参照条文>

労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
第38条の4
(1)  賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者を当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第三号に掲げる時間労働したものとみなす。
 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務(以下この条において「対象業務」という。)
 対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であつて、当該対象業務に就かせたときは当該決議で定める時間労働したものとみなされることとなるものの範囲
 対象業務に従事する前号に掲げる労働者の範囲に属する労働者の労働時間として算定される時間
 対象業務に従事する第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
 対象業務に従事する第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
 使用者は、この項の規定により第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者を対象業務に就かせたときは第三号に掲げる時間労働したものとみなすことについて当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかつた当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
(2)  前項の委員会は、次の各号に適合するものでなければならない。
 当該委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に厚生労働省令で定めるところにより任期を定めて指名されていること。
 当該委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ、保存されるとともに、当該事業場の労働者に対する周知が図られていること。
 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件
(3)  厚生労働大臣は、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るために、労働政策審議会の意見を聴いて、第一項各号に掲げる事項その他同項の委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとする。
(4)  第一項の規定による届出をした使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、定期的に、同項第四号に規定する措置の実施状況を行政官庁に報告しなければならない。
(5)  第一項の委員会においてその委員の五分の四以上の多数による議決により第三十二条の二第一項、第三十二条の三、第三十二条の四第一項及び第二項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第三十八条の二第二項、前条第一項並びに次条第五項及び第六項ただし書に規定する事項について決議が行われた場合における第三十二条の二第一項、第三十二条の三、第三十二条の四第一項から第三項まで、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条、第三十八条の二第二項、前条第一項並びに次条第五項及び第六項ただし書の規定の適用については、第三十二条の二第一項中「協定」とあるのは「協定若しくは第三十八条の四第一項に規定する委員会の決議(第百六条第一項を除き、以下「決議」という。)」と、第三十二条の三、第三十二条の四第一項から第三項まで、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第二項、第三十八条の二第二項、前条第一項並びに次条第五項及び第六項ただし書中「協定」とあるのは「協定又は決議」と、第三十二条の四第二項中「同意を得て」とあるのは「同意を得て、又は決議に基づき」と、第三十六条第一項中「届け出た場合」とあるのは「届け出た場合又は決議を行政官庁に届け出た場合」と、「その協定」とあるのは「その協定又は決議」と、同条第三項中「又は労働者の過半数を代表する者」とあるのは「若しくは労働者の過半数を代表する者又は同項の決議をする委員」と、「当該協定」とあるのは「当該協定又は当該決議」と、同条第四項中「又は労働者の過半数を代表する者」とあるのは「若しくは労働者の過半数を代表する者又は同項の決議をする委員」とする。


労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)(抄)
第24条の2の3
(1)  法第38条の4第1項の規定による届出は、様式第13号の2により、所轄労働基準監督署長にしなければならない。
(2)  法第38条の4第1項の規定は、法第四章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用する。
(3)  法第38条の4第1項第7号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
 法第38条の4第1項に規定する決議の有効期間の定め
 使用者は、次に掲げる事項に関する労働者ごとの記録を前号の有効期間中及び当該有効期間の満了後3年間保存すること。
 法第38条の4第1項第4号に規定する労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置として講じた措置
 法第38条の4第1項第5号に規定する労働者からの苦情の処理に関する措置として講じた措置
 法第38条の4第1項第6号の同意

第24条の2の4
(1)  法第38条の4第2項第1号の規定による指名は、法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者以外の者について行わなければならない。
(2)  法第38条の4第2項第2号の規定による議事録の作成及び保存については、使用者は、労使委員会の開催の都度その議事録を作成して、これをその開催の日(法第38条の4第1項に規定する決議及び労使委員会の決議並びに第25条の2に規定する労使委員会における委員の5分の4以上の多数による議決による決議が行われた会議の議事録にあつては、当該決議に係る書面の完結の日(第56条第5号の完結の日をいう。))から起算して3年間保存しなければならない。
(3)  法第38条の4第2項第2号の規定による議事録の周知については、使用者は、労使委員会の議事録を、次に掲げるいずれかの方法によつて、当該事業場の労働者に周知させなければならない。
 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
 書面を労働者に交付すること。
 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
(4)  法第38条の4第2項第3号の厚生労働省令で定める要件は、労使委員会の招集、定足数、議事その他労使委員会の運営について必要な事項に関する規程が定められていることとする。
(5)  使用者は、前項の規程の作成又は変更については、労使委員会の同意を得なければならない。
(6)  使用者は、労働者が労使委員会の委員であること若しくは労使委員会の委員になろうとしたこと又は労使委員会の委員として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

第24条の2の5
(1)  法第38条の4第4項の規定による報告は、同条第1項に規定する決議が行われた日から起算して6箇月以内に1回、及びその後1年以内ごとに1回、様式第13号の4により、所轄労働基準監督署長にしなければならない。
(2)  法第38条の4第4項の規定による報告は、同条第1項第4号に規定する労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況について行うものとする。

附則第66条の2
   第24条の2の5第1項の規定の適用については、当分の間、同条同項中「6箇月以内に1回、及びその後1年以内ごとに1回」とあるのは「6箇月以内ごとに1回」とする。



<制度の導入の流れ>

ステップ1  「労使委員会」を設置する。
 〔法第38条の4第1項〕

  ○ 委員会の要件
(1) 委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に任期を定めて指名されていること 〔法第38条の4第2項第1号〕
(2) 委員会の議事について、議事録が作成され、かつ、保存されるとともに、労働者に対する周知が図られていること 〔同項第3号〕
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 ↓
ステップ2  労使委員会で決議する。
 〔法第38条の4第1項〕

  ○ 決議の要件:委員5分の4以上の多数決
  ○ 必要的決議事項
(1) 対象業務:事業運営の企画・立案・調査・分析の業務、使用者が仕事の進め方・時間配分に具体的指示をしないこととする業務 〔法第38条の4第1項第1号〕
(2) 対象労働者の範囲:対象業務を適切にこなせる知識・経験等を有する者 〔同項第2号〕
(3) みなし労働時間:1日当たりの時間数 〔同項第3号〕
(4) 対象労働者の健康・福祉確保の措置:具体的措置とその措置を実施する旨 〔同項第4号〕
(5) 対象労働者の苦情処理の措置:具体的措置とその措置を実施する旨 〔同項第5号〕
(6) 労働者の同意を得なければならない旨・その手続及び不同意労働者に不利益な取扱いをしてはならない旨 〔同項第6号〕
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ステップ3  労働基準監督署長に決議を届け出る。
 〔法第38条の4第1項〕
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ステップ4  対象労働者の同意を得る。
 〔法第38条の4第1項第6号〕
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ステップ5  対象労働者を対象業務に就かせる。
 

  ○ 「みなし労働時間」を労働したものとみなされる。 〔法第38条の4第1項〕
  ○ 運用の過程で必要なこと
(1) 対象労働者の健康・福祉確保の措置を実施すること 〔法第38条の4第1項第4号〕
(2) 対象労働者の苦情処理の措置を実施すること 〔同項第5号〕
(3) 不同意労働者に不利益な取扱いをしないこと 〔同項第6号〕
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ステップ6  対象労働者の労働時間の状況及び健康・福祉確保の実施状況を定期的に所管の労働基準監督署長に報告する。
 〔法第38条の4第4項〕
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ステップ7  決議の有効期間の満了
 



<企画業務型裁量労働制の導入状況について(平成18年3月31日現在)>

導入事業場数及び適用労働者数(単位:事業場、人)
導入事業場数及び適用労働者数(単位:事業場、人)の表
資料出所:厚生労働省監督課調べ
(注) 企画業務型裁量労働制に関する決議届の有効期間に平成18年3月31日を含む事業場を集計したもの


<企画業務型裁量労働制に対する評価(適用労働者)>

 企画業務型裁量労働制適用労働者に対し、適用前における同制度に対する評価を聞いた上で、適用後、それぞれの点について期待どおりか、という問についての回答割合をみると、「自らの能力の有効発揮に役立つと思った」、「仕事の裁量が与えられることにより仕事がやりやすくなると思った」という点について、期待どおりとする割合が高い。
 一方、「仕事を効率的に進められるので労働時間を短くすることができると思った」については「概ね期待どおり」、「一部期待どおり」が合わせて約2/3を占める一方、「あまり期待どおりではない」も約1/3を占めている。

企画業務型裁量労働制に対する評価(適用労働者)のグラフ
※資料出所: 厚生労働省「裁量労働制の施行状況等に関する調査」(平成17年)


<企画業務型裁量労働制の適用について不満な点(適用労働者)>

 企画業務型裁量労働制の適用について、「大いに満足」、「普通」を合わせると7割強となっている。
 一方、「大いに不満」、「一部不満がある」を合わせると2割強となり、不満の内容としては、「業務量が過大」、「労働時間(在社時間)が長い」などが多くなっている。

企画業務型裁量労働制の適用を受けていることに満足か
企画業務型裁量労働制の適用を受けていることに満足かのグラフ

企画業務型裁量労働制の適用について不満な点(M.A)(上記の問で「大いに不満」、「一部不満がある」の場合)
企画業務型裁量労働制の適用について不満な点(M.A)(上記の問で「大いに不満」、「一部不満がある」の場合)のグラフ
※資料出所: 厚生労働省「裁量労働制の施行状況等に関する調査」(平成17年)


<企画業務型裁量労働制適用労働者に対する健康・福祉確保措置の実施状況>

 健康・福祉確保措置として実際に実施したものを事業場から聞くと、「心とからだの健康相談窓口の設置」、「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置」、「産業医等による助言・指導又は保健指導」の割合が高くなっている。

健康・福祉確保措置として実際に実施したもの(M.A)
健康・福祉確保措置として実際に実施したもの(M.A)のグラフ
※資料出所: 厚生労働省「裁量労働制の施行状況等に関する調査」(平成17年)


<企画業務型裁量労働制適用労働者の健康・福祉確保措置についての要望>

 健康・福祉確保措置についての適用労働者の具体的な要望をみると、「休日・休暇を組み合わせた連続休暇制度の導入」、「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置」、「定期的な特別休暇付与」、「一定時間以上の勤務が行われた場合の特別休暇付与」などの割合が高くなっている。

具体的な要望内容(M.A)
具体的な要望内容(M.A)のグラフ
※資料出所: 厚生労働省「裁量労働制の施行状況等に関する調査」(平成17年)



 管理監督者について

労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
 (時間外、休日及び深夜の割増賃金)
37条 (略)
 (略)
 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

 (労働時間等に関する規定の適用除外)
41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
 (略)
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 (略)

管理監督者の範囲についての解釈例規
[監督又は管理の地位にある者の範囲]
   法第41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。具体的な判断にあたつては、下記の考え方によられたい。
(1) 原則
   法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は、最低基準を定めたものであるから、この規制の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。
(2) 適用除外の趣旨
   これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限つて管理監督者として法第41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従つて、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。
(3) 実態に基づく判断
   一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。)と、経験、能力等に基づく格付(以下「資格」という。)とによつて人事管理が行われている場合があるが、管理監督者の範囲を決めるに当たつては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。
(4) 待遇に対する留意
   管理監督者であるかの判定に当たつては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといつて、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。
(5) スタッフ職の取扱い
   法制定当時には、あまり見られなかつたいわゆるスタッフ職が、本社の企画、調査等の部門に多く配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によつては、管理監督者と同様に取扱い、法の規制外においても、これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれがないと考えられ、かつ、法が監督者のほかに、管理者も含めていることに着目して、一定の範囲の者については、同法第41条第2号該当者に含めて取扱うことが妥当であると考えられること。
(昭和22年9月13日付け発基17号、昭和63年3月14日付け基発150号)

[都市銀行等の場合]
   労基法上の管理監督者の範囲
 取締役等役員を兼務する者
 支店長、事務所長等事業場の長
 本部の部長等で経営者に直属する組織の長
 本部の課又はこれに準ずる組織の長
 大規模の支店又は事務所の部、課等の組織の長で一〜四の者と銀行内において同格以上に位置づけられている者
 一〜四と銀行内において同格以上に位置づけられている者であつて、一〜三の者及び五のうち一〜三の者と同格以上の位置づけをされている者を補佐し、かつその職務の全部若しくは相当部分を代行若しくは代決する権限を有するもの(次長、副部長等)
 一〜四と銀行内において同格以上に位置づけられている者であつて、経営上の重要事項に関する企画立案等の業務を担当するもの(スタッフ)
(注)
 (1) 四の本部の課は、部長−次長−課長という一般的な組織における課をいい、課という名称が用いられていてもこの基準の適用にあたつて適切でない場合には、実態に即して判定するものとする。
 (2) 課制をとつていない場合等、この基準の適用する職位がないときは、各職位の権限、責任、資格等により判定するものとする。
 (昭和52年2月28日付け基発104号の2)

[都市銀行等以外の金融機関の場合]
   金融機関における資格、職位の名称は企業によつてさまざまであるが、取締役、理事等役員を兼務する者のほか、おおむね、次に掲げる職位にある者は、一般的には管理監督者の範囲に含めて差し支えないものと考えられること。
(1) 出先機関を統轄する中央機構(以下「本部」という。)の組織の長については次に掲げる者
 (1)  経営者に直属する部等の組織の長(部長等)
 (2)  相当数の出先機関を統轄するため権限分配を必要として設けられた課又はこれに準ずる組織の長(課長等)
 (3)  (1)〜(2)と同格以上に位置づけられている者であつて、(1)の者を補佐して、通常当該組織の業務を総括し、かつ、(1)の者が事故ある場合には、その職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有する者(副部長、部次長等)
 従つて、(2)の者の下位に属する、例えば副課長、課長補佐、課長代理等の職位は除外されるものであること。
(2) 支店、事務所等出先機関における組織の長については、次に掲げる者
 (4)  支店、事務所等出先機関の長(支店長、事務所長等)
 ただし、法の適用単位と認められないような小規模出先機関の長は除外される。
 (5)  大規模の支店又は事務所における部、課等の組織の長で、上記(1)(2)(4)の者と企業内において同格以上に位置づけられている者(本店営業部又は母店等における部長、課長等)
 従つて、(4)の者を補佐する者で(5)以外の者(次長、支店長代理等)は原則として除外されるものであること。ただし(4)の者に直属し、下位にある役付者(支店長代理、(5)に該当しない支店課長等)を指揮監督して、通常支店等の業務を総括し、かつ、その者が事故ある場合にはその職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有する者であつて、(1)(2)(4)と同格以上に位置づけられているものは含めることができること(副支店長、支店次長等)
(3) (1)〜(4)と企業内において同格以上に位置づけられている者であつて、経営上の重要な事項に関する企画、立案、調査等の業務を担当する者(いわゆるスタッフ職)
(注)
 (1) (2)の本部の課長等は、権限分配された職務を実質的に所掌する者であつて、その地位にふさわしい処遇をうけているものでなければならない。従つて、単なる人事処遇上の実質を伴わない課長等は除外するものである。
 (2) 支店次長等支店長の直近下位の職制管理者については、その職位にあるからといつて、支店長等の職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有するものとして取扱うものではなく、その代行、代決の権限が明らかなものに限られる。従つて、本来なら次長制を必要としないような規模の支店等に名目上の次長を置いたり、形式的に複数の次長を置く等、実質を伴わない補佐役は含まれないものである。
(昭和52年2月28日付け基発105号)

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