06/10/30 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会 第1回速記録 第1回有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会議事録                             平成18年10月30日(月)                   於:霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」 ○ 中垣審査管理課長  ただいまより有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会を開催させていただ きます。事務局を務めさせていただきます医薬食品局審査管理課長の中垣でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。  まず開催に際しまして、柳澤厚生労働大臣よりごあいさつ申し上げます。   ○ 柳澤厚生労働大臣  第1回の有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会を開催するに当たりまし て、冒頭一言ごあいさつを申し上げます。  先生方におかれましては大変お忙しい中、本検討会へ御参加をいただきまして、まず 心より御礼を申し上げたいと思います。さらに、日ごろより厚生労働行政につきまして、 格別の御支援を賜っておりますことにも、この際あわせて厚く御礼を申し上げたいと思 います。  さて、医療技術、医薬品は日進月歩、長足の進歩を遂げておりますが、一方で海外の 医療現場で利用されている医薬品が速やかに利用できないといった声もあり、安全で有 効な医薬品を迅速に国民の皆様方のお手元に提供していくことが強く求められておりま す。  実は、先月9月26日に安倍新内閣が発足をいたしました。最初の所信表明演説で安倍 総理は、我が国の経済成長に貢献するイノベーションの創造に向けて、長期の戦略指針 「イノベーション25」を取りまとめ実行することを表明いたしまして、その中で医薬分 野がその1丁目1番地に実は取り上げられたのでございます。  この「イノベーション25」で、医薬分野が取り上げられたということで、私ども大変 責任も感じておりますし、医薬の開発あるいは研究開発、さらにはその臨床への適用に つきまして、大変な責任を感じております。  もとより医薬の研究開発には、基礎的な研究というのも大変大事であることは重々承 知をいたしておりますけれども、同時に、もう少し臨床に近いところの研究に力を入れ てくれないか。こういった声も強く今叫ばれているわけでございます。  そういうことで、今後私どもはその方向での努力をいたしたいと考えておりますけれ ども、そういうことを前提にいたしますと、このイノベーションによって創造される画 期的な新薬が、国民の皆様方のお手元にいち早く届けられるということが非常に重要に なってまいりまして、その安全確保とともに医薬品に係る治験や承認審査の迅速化とい うものが喫緊の課題ということになると理解をいたしているわけでございます。  このようなことを踏まえまして、承認審査の方針や基準の明確化、市販後安全対策へ の取り組みなどの制度面の課題、治験相談や承認審査体制などの体制面の課題などの各 般の課題につきまして検討し、その結果を踏まえ所要の施策を速やかに実施してまいり たいと考えております。  先生方におかれましては、御多忙の中恐縮ではございますが、ぜひ私どものそのよう な努力にお力添えをちょうだいいたしまして、広く大所高所から忌憚のない御意見を賜 りたいと思います。  第1回の検討会の開催に当たりまして、以上、一言お願いと今回の検討会の趣旨をお 話しさせていただきまして、ごあいさつにさせていただきます。どうぞよろしくお願い 申し上げます。ありがとうございました。 ○ 中垣審査管理課長  ありがとうございました。なお、柳澤大臣は所用のため、ここで退席をさせていただ きます。申しわけございません。  続きまして、本検討会の構成員の先生方を御紹介させていただきます。資料の2に、 構成員名簿がございますのでごらんいただきたいと存じます。  まず日本製薬工業会会長の青木初夫委員。日本医師会常任理事の飯沼雅朗委員のお二 人は本日御欠席でございます。  次に慶應義塾大学医学部長の池田康夫委員でございます。日本薬剤師研修センター理 事長の井村伸正委員でございます。東京女子医科大学教授の大澤真木子委員でございま す。「納得して医療を選ぶ会」の倉田雅子委員でございます。東京大学医学部助手の佐藤 嗣道委員でございます。東京大学大学院薬学系研究科長の柴崎正勝委員でございます。 自治医科大学学長の高久史麿委員でございます。日本薬剤師会副会長の寺脇康文委員で ございます。国際医療福祉大学教授の松本和則委員でございます。一橋大学法学部教授 の松本恒雄委員でございます。読売新聞東京本社編集局解説部次長の南砂委員は遅れて 5時ごろ御出席だという御連絡が来ております。北里大学薬学部臨床薬学研究センター 医薬品情報部門教授の望月真弓委員でございます。日本製薬団体連合会会長の森田清委 員でございます。  次に行政側の出席者を御紹介申し上げます。大臣政務官の菅原一秀でございます。医 薬食品局長の高橋でございます。大臣官房審議官医薬担当の黒川でございます。医薬品 医療機器総合機構理事長の宮島でございます。同じく同機構理事技監の岸田でございま す。  先生方から向かって右から御紹介申し上げます。厚生労働省の医政局研究開発振興課 長の新木でございます。医薬食品局監視指導・麻薬対策課長の村上でございます。医薬 食品局安全対策課長の伏見でございます。医薬食品局総務課長の中沢でございます。医 薬食品局審査管理課の承認審査等推進室長の山本でございます。医薬品医療機器総合機 構審議役の森でございます。同機構企画調整部長の稲川でございます。  続きまして、本検討会の座長及び座長代理の選出について御相談させていただきたい と存じます。特段の御推薦がなければ、本検討会の座長には自治医科大学学長の高久先 生、座長代理に東京大学大学院薬学系研究科長の柴崎先生に、それぞれお願いしたらど うかと存じますけれども、いかがでございましょうか。ありがとうございます。それで は高久先生、中央の席にお移りいただければと存じます。  それでは高久先生、以下の進行をよろしくお願い申し上げます。 ○ 高久座長  最初に簡単にごあいさつ申し上げますが、先ほど大臣からのお話がありましたように、 医薬品の安全の確保ということと迅速な承認審査とは、裏腹の関係にあるとも言えます。 しかしながら両方とも極めて重要なテーマであると思います。皆様方よく御存じのよう に、薬の承認は国民的な関心事ですので、この検討会を通じまして、今後の方策が打ち 出されるよう、委員の皆さん方の御尽力をよろしくお願いいたします。それでは、座っ て司会をさせていただきます。  まず最初に、本日の配布資料の確認を事務局の方からよろしくお願いします。 ○ 事務局  お手元の座席表、それから議事次第をご覧下さい。議事次第のところに配布資料一覧 がございます。資料は1から5までございます。資料1は「有効で安全な医薬品を迅速 に提供するための検討会」開催要綱。資料2は今の構成員の名簿でございます。資料3 は「医薬品の承認審査等の現状について」という厚い資料でございます。資料4は「ヒ アリングの希望団体及び意見の公募について」という資料でございます。それから最後、 「今後の予定」という紙がございます。以上、資料1から5まででございますけれども、 配付資料の落丁等ございましたら事務局の方にお知らせください。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。皆さん方のお手元に資料があると思います。最初に 議題の1です。有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会の開催について。こ の会合の趣旨を事務局の方からよろしく説明をお願いします。 ○ 事務局  それでは資料1に基づきまして、この検討会の目的等につきまして、御説明を申し上 げます。  本検討会は、有効で安全な医薬品を迅速に提供するため、承認審査のあり方、実施体 制、安全対策等に関する事項につきまして、幅広く検討することを目的とするものでご ざいます。主な検討事項といたしましては、承認審査の方針や基準の明確化と、市販後 安全対策への取り組みに関する検討、治験相談・承認審査の体制の充実に関する検討、 その他医薬品の安全かつ迅速な提供に関する事項でございます。  検討会の構成につきましては、医学、薬学有識者のほか、患者等医療の提供を受ける 方の代表の方、それから医薬品業界の方等により構成をしております。さらに必要に応 じ、検討に必要な有識者の参加を求める、あるいはワーキンググループを設置できると いう規定になっております。  本検討会の運営でございますが、知的財産、個人情報に係る事項を除き、原則公開と するとともに、議事録を作成し、公開することとしております。検討会の庶務について は、医薬食品局が独立行政法人医薬品医療機器総合機構の協力を得て、必要に応じて医 政局の協力を得ながら進めることとしておりまして、検討会の開催は来年の夏までを目 途としているところでございます。以上でございます。   ○ 高久座長  どうもありがとうございました。今の開催要綱の説明について、どなたか御質問、御 意見おありでしょうか。よろしいでしょうか。それではこの要綱に従いまして、今後の 検討を進めさせていただきたいと思います。  次に、医薬品の承認審査等の現状について。これは資料3です。これについて説明を していただくことになると思いますが、非常に長い説明になりますので、この資料3の 中で、最初に概要について説明をしていただいて、質問がおありでしたら質問を受けて、 その次に2と3、すなわち治験前の段階と、治験の段階についての説明、さらに御質問 などを受けた後に、最後の4と5と6、承認審査の段階と市販後の段階について説明を 受けて、その後その説明が全部終わった段階で、この承認審査等の現状全般について、 皆さん方の御質問、御意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず資料3の最初の概要について事務局の方から説明よろしくお願いします。 ○ 事務局  それでは資料3「医薬品の承認審査等の現状について」に基づきまして御説明を申し 上げます。表紙に全体の目次がございますが、まず1の概要につきまして、御説明いた します。おめくりいただきまして3ページから資料の本文となっておりますので、まず 3ページをごらんください。  我が国では新しい医薬品が医療現場でなかなか使用できる状況にならないといった御 意見を聞きますが、これはそのことを端的に示すデータの一つでございます。このグラ フは2004年時点の世界の売り上げ上位の製品につきまして、いずれかの国で承認されて からそれぞれの国で上市されるまでの平均日数を示したものでございます。一番左側が 日本になっておりまして1,417日、次のフランスが915日、そのほかドイツ以下の主要 国が並んでおりますが、500日から600日ぐらいと、日本が最も遅れている状況という ことになっております。  このデータによりますと、例えば日本とアメリカの間を見ますと、約900日、2年半 の差があるということが平均的であることを示しているものでございます。この差を埋 め、欧米に遅れることなく、安全を十分に確保しながら、技術革新の成果である医療上 必要な新薬を我が国で使えるようにするということがこの検討会のテーマであるという ふうに考えさせていただいております。  次の4ページをご覧ください。4ページには新薬がどのようなステップを経て承認上 市されるかを、左から右への流れで簡単に示したものでございます。まず基礎研究の段 階では、医薬品の候補物質を見出し、これにつきまして非臨床による動物試験、それか らさらに臨床試験を経て、承認申請され、審査の後承認され、販売されるということに なっております。  この間の研究開発の成功率は下の方に示しておりますけれども、1995年から99年ま でのデータでは、約40万の候補物質から200余りが非臨床試験の動物実験に進みまして、 その内医薬品として承認されるものは40弱ということで、成功率は約1万1,000分の1 となっております。また、1品目当たりの研究開発には500億円以上かかるというよう なことが指摘されているところでございます。  次の5ページでは、今の4ページの流れを上から下に向かって書いております。その 基礎研究、治験、承認審査といったプロセスと、さらに規制、ガイドラインの流れを記 しております。この規制制度につきましては、右側の方に小さく書いてございますけれ ども、その流れについて大雑把にお示ししたものでございます。それぞれの詳細につき ましては、順次後ほどお示しいたしますけれども、ここでは医薬品開発の流れと、それ ぞれの段階での規制との関係についての全体像をお示しするという考え方で図をつくっ たものでございます。  医薬品の審査におきましては、品質の評価、安全性の評価、有効性の評価という3つ の評価が柱と言えるわけでございますけれども、まず品質に関しましては、この左の方 の流れでございます。医薬品の開発当初におきましては合成方法の確立を行い、それか ら最適な剤型の設計、さらに規格や試験方法の設定、それから安定性試験などに移って いくということになっております。  それから安全性、有効性につきましては、まずは動物を用いた各種毒性試験、あるい は安全性薬理試験、さらには薬効に関する薬理試験、あるいは薬物動態の試験などが動 物によって行われます。これらに関しましては、右の方の矢印で書いてありますけれど も、動物試験の信頼性確保に関する規則では、GLPという基準が規則としてございま す。また各種試験につきましては、ガイドラインを定めて、そのガイドラインに従った ものを資料としていただくというようなことを定めているものでございます。  次の治験の段階でございます。この段階では、有効性、安全性を検証する目的で、ヒ トで段階を追って治験を実施するということになっています。ここでは治験中の被験者 の保護、あるいはデータの信頼性の確保ということを目的に、右の方にございますが、 GCPという基準を定めております。また、治験薬の品質の確保の目的で治験薬GMP、 あるいは試験に関する各種のガイドラインを定めております。またこの段階で治験が円 滑に実施されるように、総合機構が企業からの、あるいは開発者からの相談に応じて、 治験相談をするという制度がございます。  その後企業による承認申請の資料が作成されます。それに関しましては施行規則で規 定がございまして、それからさらに厚生労働省・総合機構が審査を実施する。それで承 認に至るといったような流れとなっておりますけれども、これに関しましても各種の制 度が右の方に書いてあるとおりでございます。  市販後に関しましては、副作用情報の収集・評価・対策の実施、あるいは市販直後調 査、あるいは再審査といったような市販後の安全性や使用法についての情報収集・必要 な措置の実施といったものがなされておりまして、これに関しましても基準が設けられ ているものでございます。  次の6ページでございますが、これはその承認申請に添付すべき資料につきまして、 左側に薬事法施行規則で決められている事項を示しています。イの起源または発見の経 緯から、ロ、ハとおりまして、トの臨床試験等の試験成績というように、ここに示され ている資料を添付することを薬事法施行規則で定めております。このように品質・有効 性、安全性を確認するのに多種多様な資料が必要なわけでございます。具体的な資料に つきましては、右側の方により細かく規定するものを記載しております。段階ごとにこ のような試験資料の成績を提出することが求められているところでございます。  7ページには、現在の薬事法の規則、規制ができるまでの主な経緯につきまして取り まとめたものでございます。これは右から左に時系列で年表の形でつくっております。 昭和36年に現行の薬事法が制定されました後、サリドマイド事件、さらにはスモン事件 を経まして、再審査制度、あるいは副作用被害救済制度が設けられました。  その後、GLPの実施、あるいはGCPの実施などがありましたが、一方血液製剤の HIV感染の問題等を経まして、平成8年には医薬品による感染症報告などの制度が法 制化されております。  さらに、平成14年の法改正によりまして、平成16年に医薬品医療機器総合機構が独 立行政法人として発足いたしております。このような経緯を経て、現在の薬事法の姿が あるところでございます。  8ページは、現在の薬事法の規制を左から右の方に時系列的に、開発のステージを追 ってまとめたものでございます。これまでの説明で、左側の開発段階というところを主 に説明をさせていただきました。中ほどの製造段階におきましては、GMPという製造 管理・品質管理に関する基準、市販後の段階、使用の段階ではGPSPという市販後調 査に関する基準があるところでございます。以上が概要の説明でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。この8ページまでにつきまして、どなたか御質問お ありでしょうか。3ページ目の医薬品の上市される状況というのは、新しく開発された のではなくて、ほかの国で、例えば先進国で承認された薬が日本で、あるいはアメリカ で承認される時間、そういうことですね。 ○ 事務局  そのとおりでございます。 ○ 高久座長  ここには載っていませんが、例えば香港、台湾、韓国は非常に速いという事です。も っと短いということを聞くのですが、何か情報はありますか。 ○ 中垣審査管理課長  そこまで情報を持っておりませんけれども、この3ページの資料は、上の枠の、注) のところにちょっと書いておりますが、2004年で世界的な売り上げが上位の100品目に ついて同一成分の重複を排した88品目について、日本、フランス、ドイツ、スウェーデ ン、スイス、イギリス、アメリカといった主な新薬を開発する力のある国々、あるいは 同等の審査体制が整っているというような国々において、どのような状況であるかとい うのを比較したものでございます。そういう意味で申し上げますと、香港であるとか、 シンガポールであるとかというのは、最初から考えていないということでございます。 ○ 高久座長  ほかにどなたか御質問はおありでしょうか。5ページの図がありますね。プロセスの 中で、治験相談はどこで受けるのですか。機構の治験相談のことですが。 ○ 事務局  治験相談につきましては、独立行政法人の医薬品医療機器総合機構の方で現在はやっ ております。 ○ 高久座長  どこの段階でしょう。 ○ 事務局  段階といたしましては、後ほど詳しい資料をさらに御説明いたしますけれども、どの 段階でも、すなわち治験に入る前の段階でもよろしいですし、それから治験が終わった 後、資料を統計的に処理する段階でも、そこに至るいろいろな段階で受けられるような 制度になっております。 ○ 高久座長  わかりました。ほかにどなたか。よろしいでしょうか。それでは引き続きまして、治 験前から治験について、よろしくお願いします。 ○ 事務局  それでは次に治験前の段階ということで、資料10ページの方から御説明申し上げます。  まず10ページ目につきましては、医薬品開発の最近の状況につきまして、幾つかのト ピックスを紹介させていただくために、まとめてみた資料でございます。近年ファーマ コゲノミクス、あるいはトキシコゲノミクスといったようなゲノムに関する、遺伝子の 発現に関する研究、さらにその遺伝子の研究から発展しまして、プロテオミクスという 形で、たんぱくに関する研究などが進んでおりまして、このようなことからゲノムに基 づく創薬、あるいは一方では個人差に対応して用法、用量などを設定していくようなテ ーラーメード医療といったものの開発が期待されているところでございます。このよう な形でいろいろな医薬品を取り巻く技術の進歩がございます。  また、再生医療の分野におきましても、損傷を受けた生体機能を幹細胞などを用いて 復元させるというようなことで、自家細胞、あるいはそれ以外の他家の細胞といったよ うなことで、組織細胞由来の医薬品などについての開発も非常に期待されているような ところがございます。今後このようにいろいろな分野で医薬品開発が進むにつれまして、 審査をする側でも、こういった最新の学問の進歩に対して適切に評価が行われるという ことが必要となっている状況でございます。  次の11ページでございますが、これは非臨床の、特に品質に関する物理化学試験、あ るいは動物による安全性試験に関する国際調和の状況についての現状を御紹介するもの でございます。特に新医薬品の申請資料に関しましては、ICHという日米EUの医薬 品規制の調和国際会議という取り組みがここ十数年来行われておりまして、ここで数々 のガイドラインが合意をされております。特に品質に関しましては、安定性試験に関す るガイドライン等、26種類のガイドラインがこれまでに合意されておりますし、また動 物を使用した安全性試験などにつきましては、薬理試験、あるいは反復投与に関するガ イダンス等々、15種類のガイドラインがこれまで設定をされております。  この合意されたガイドラインにつきましては、日米EU、それぞれにおきまして規制 当局がそれぞれのガイドラインとして採用するようにしておりますので、非臨床試験に おきましては同一のガイドラインで、日米EUで進められているということから、国際 的に相互にデータが受け入れられやすい状況が生じております。  我が国でもこのICHガイドラインを我が国の基準として受け入れておりますので、 ICHのガイドラインに沿って行われた試験であれば、海外で行われたものであっても、 日本で行われたものであっても、同様に申請資料として提出することができるといった ようなことで、非常にデータの共有化が進みやすいような環境が整っているところでご ざいます。  次のページでございますが、このように非臨床までの段階では非常にハーモナイゼー ションが進んでいるという状況で、日本でどうして医薬品の上市が遅れているかという ことにつきまして、今般この検討会の直前に、事務局の方で聞き取りで調べさせていた だいたものでございます。未承認薬使用問題検討会議という会議におきまして、我が国 に早期に導入することが望ましいということで指摘を受けました30品目です。  この30品目はいずれも欧米では先に承認があって、我が国では承認がないので早く導 入すべきではないかというものでございます。これにつきまして実際に日本で開発に着 手されたもの23につきまして、開発企業にその状況を伺ったものであります。なぜ日本 で上市が遅れているかということにつきまして、アンケートの回答では右側の棒グラフ のとおりでございまして、治験前の段階で開発がとまっていた、日本で治験をするとい うことに、要するに決断に至らなかったというものが17と、圧倒的に多くなっておりま す。  その後治験着手の遅れ、治験進行の遅れ、承認審査の遅れなどというのが1、2、8 ということになっております。企業の国内導入に関する意思決定の遅れというもので治 験に入れないというようなことが一つ起きているということが示されているところでご ざいます。この背景には、いろいろな問題があるかと思いますけれども、既に治験の前 の段階で遅れが生じているものがあることが示されているというふうに考えております。  次に、治験の段階について、でございます。13ページからもう1ページめくって、治 験についてという全体の概要を取りまとめたものをご覧下さい。ここでは左側の方に、 治験届けからその承認申請に至るまでのステップについてお示ししております。まず治 験につきましては各相、I相、II相、III相というふうに進んでまいるわけでございます。 治験に入る前に厚生労働大臣に届けをするという制度となっておりまして、実際に総合 機構におきまして、被験者の保護などに重大な懸念がないということを30日以内で調査 した後で、治験に着手されるというところでございます。  第I相におきましては、通常は健康な成人を対象といたしまして、体内動態などのチ ェックが行われます。第II相前期という段階、これは矢印で下の方におりていったとこ ろでございます。第II相前期は薬物を初めて患者に試みる段階でございまして、臨床用 量の範囲、あるいは適用疾患の範囲を探索するというものでございます。  第II相後期におきましては、その中で最適な用法用量を設定するということで、患者 さんを対象とした臨床試験を行いまして、その後有効性、安全性を検証するためにより 大規模の、第III相の多数の患者さんに対する臨床試験が行われるというような順序で進 んでいくというのが、通常の治験の進行でございます。この治験の規模、あるいは期間 につきましては、実際医薬品の特性に応じていろいろな場合があるわけでございますけ れども、平均的なイメージを右上に表の形でもって示しております。第II相試験につき ましては、約20人程度の、通常健常の成人のボランティアの方にお願いする等々といっ たことはここの表で示しているとおりでございます。  それからさらに、治験に関しまして右下の方に吹き出しの形でもってそれぞれガイド ライン、あるいは規則がどうなっているかということを示しております。GCPという ものがまず定められております。それから治験薬のGMPというものがございます。そ れからガイドラインといたしまして、分野横断的に、どの分野の医薬品でも共通に適用 するような臨床評価のガイドラインが16ほどございます。それから分野ごと、例えば抗 悪性腫瘍薬、抗リウマチ薬、あるいは血圧の治療薬といったような分野別の臨床評価ガ イドラインが14定められているところでございます。  さらにこれらに関しましては、総合機構における治験相談というものを実施している ところでございます。実際には承認申請がなされた後におきまして、GCPに適合して なされた試験のデータのみが申請データとして採用されます。総合機構が書面、あるい は実地におきましてGCP省令に従って適切に収集され、作成されたデータであるかと いうことに関する調査を行っております。これが治験に関する流れでございます。  15ページに、このうちGCPにつきましてもう少し詳しく説明をしております。GC Pといいますのは、医薬品を投与される被験者の人権、安全の保護、それから治験の信 頼性の確保といったことを目的とするものでございます。薬事法に根拠を持つ法律上の 規則でございます。その具体的内容といたしましては、2の内容というところにござい ます。まず準備に関する基準として、その業務手順書を作成すること等々、治験実施計 画書を作成するといったようなことにつきましての基準がございます。  それから治験の管理に関する基準といたしましては、治験薬の管理・交付のこと。そ れから監査、モニタリングに関することなどが記載されております。  また治験の実施に関しましては、治験審査委員会、いわゆるIRB、あるいは被験者 の同意、インフォームドコンセントといったようなことにつきましても、この規則で規 定するところでございます。  次に16ページでございますけれども、16ページは治験薬のGMPというものにつき まして、簡単に説明させていただいております。この治験薬のGMPは治験に供する医 薬品の、治験薬の品質確保のための基準として、GCP省令に基づくものとして定めて いるものでございます。基本的には市販後の医薬品のGMPと同じような考え方でござ いますけれども、治験薬の特性に配慮いたしまして、参考のところに書いておりますよ うに、若干実際の薬品よりも緩めた条項となっておりまして、配慮なされているような 規定となっております。  次のページは、治験相談につきまして1枚にまとめております。治験相談は総合機構 が主に医薬品を開発する企業からの試験のデザイン、これは被験者数、あるいは評価の 方法、比較対照薬をとる場合のその比較対照薬の選択といったような、広範な範囲に関 する相談に応じて対面で助言を行うものでございます。治験相談はその治験の円滑かつ 効率的な実施を目的とするものでございます。これは受ける義務というものはなくて、 企業からの希望に対して実施をするというものでございますけれども、患者さんの御協 力をいただいて、多くの時間とコストを要する治験を承認に向けて適正に実施するとい うことのために、この治験相談が期待されている役割というものは極めて大きいという ふうに考えております。  特に、近年開発されつつある、効果は非常に期待できる一方で副作用も懸念されるよ うな医薬品についての試験方法、あるいは海外データをできるだけ利用して、我が国へ の導入を図ろうとする試みといったような、新しい取り組みがございまして、これに関 しまして治験相談の役割はますます重要なものとなっていると思います。その治験のス テージにつきましては、先ほど座長から御指摘がありましたように、第I相の開始前か らII相、III相、さらに申請前、いろいろな段階での相談が受けられるというような仕組 みになっているものでございます。  次に18ページ、国際共同治験ということについて、でございます。近年国際共同治験 ということが行われつつございまして、これは定義をあえて言えば、1にございますよ うに、新薬の世界規模での開発・承認を目指して製薬企業が企画する治験でございまし て、一つの治験に複数の国の医療機関が参加して、共通の治験実施計画書に基づいて、 同時並行的に進行する臨床試験でございます。  我が国の実績といたしましては、これまでに10の医薬品につきまして、日本の医療機 関も参加する形で実施されております。さらに、その相談という段階では、これまで27 件の相談を受けておりますし、また実際に承認まで至ったものも3つあるというような ことで、最近盛んになっているものでございます。この国際共同治験におきましては、 当該の医薬品の審査としては治験全体での有効性、安全性を、外国データ、日本データ 等を総合して、全体として一本のものとして確立すると同時に、日本での成績が治験全 体の成績や外国での成績と差がないことを確認した上で、当該治験全体を有効性、安全 性を評価する資料として受け入れるといったようなことをしているものでございます。  次の19ページに、この国際共同治験を活用した場合の新薬開発の流れにつきまして、 イメージの形でもって示したものでございます。この資料では、上段に国際共同治験の 場合についてのモデルを示しております。こちらは、非臨床試験が外国で行われて、日 本では第I相、第II相が外国と同時に行われて、それから国際共同治験を実施するとい うようなモデルを図示したものでございます。実際に外国や日本でどのような治験が実 施されるかということにつきましては、それぞれの医薬品の特性などに応じまして、判 断されるべきものでありますので、この資料は必ずこうなるというものではなく、一つ のイメージでございますけれども、このように国際共同治験を実施いたしますと申請か ら承認まで国内外同時並行で行うということが可能となりますので、いわゆるドラッグ ラグといいまして、外国と日本での承認の時期の差が生じるという問題の解消につなが る有力な手順であるというふうに考えております。  一方、下の段に(参考)という表題で図示しておりますのは、外国で開発が先行した ものにつきまして、我が国でブリッジング・スタディーといって、橋渡し試験を行いま して、それによって申請をするというような開発のモデルを示したものでございます。   ここではブリッジングの試験によって、第III相試験につきましては国内で実施しない で、海外データがそのまま活用できるといった場合について図示しておりますが、この やり方ですと第III相試験を日本で行わないことによって大幅に開発の期間の短縮が図ら れるわけであります。しかし、そもそも遅れているということについては事実あるわけ でございまして、ドラッグラグの発生は最初から生じているという前提でのモデルとな っておりますので、当然ながらドラッグラグは避けられないということになります。  次20ページでございますが、ここまでは治験の概要、関連する制度等について説明を 申し上げましたけれども、ここからは我が国の治験に時間がかかっているというような ことにつきましての御説明を申し上げます。20ページの左側の図でございますが、これ は1993年から2001年までに上市された新有効成分につきまして、フェーズIIからフェ ーズIIIまでの期間でどのぐらいかかったかというものにつきまして、日米で比較したも のを示したものでございます。  全品目の平均ではアメリカが5年対、日本が6年強。分野によりましてはさらに1年 から2年以上というふうに、いずれの分野もこのII相からIII相までの所要期間の平均と いうものが、日本の方が長くかかっているという状況がございます。この背景といたし まして、真ん中のグラフのようにこれは一つの事例でございますけれども、症例の収集 のしやすさが、日本とアメリカでは大きく異なっているというようなことが指摘されて おります。また、右側のグラフのように、治験を実施するコストにつきましても、日本 と、特に米国では大きな差があるというようなことが指摘されているところでございま す。  次21ページでございますが、これは先ほど御説明申し上げました治験相談に関しまし ての、現在の状況を示したものでございます。これは本年度になりましてからの治験相 談の申し込みと実施に関する状況でございます。一番左側に4月分として申し込んだ場 合について、以下5、6というふうに、毎月分を棒グラフの形で示しておりますけれど も、この4月分の42件の申し込みのうち、実際に相談を実施することができましたのは 23件で、19件につきましては実施ができずに翌月以降にまた申し込んだというような状 況になっております。  5月から以降も同じような状況が続いておりまして、全体的に見ますと、相談申し込 み件数の半数ほどしか実施できないというようなことで、毎月タイムリーな相談が必ず しもできない状況となっております。実際に総合機構では優先的に例えば国際共同治験 を行うもの、あるいはオーファンの分野、患者数が少ないような分野、そういったもの については優先的な治験というようなことで、優先度の高いものについては配慮してお りますけれども、それは逆に優先度の相対的に低いものについては、治験相談を受ける チャンスというものがより少なくなっているというような状況になっているところでご ざいます。  次のページでございますが、欧米で初めて承認されてから我が国で申請されるまでの 期間につきまして、過去3年に承認されたものについて示したものでございます。これ は欧米で最初に承認されてから我が国へ申請されるまで、承認でなくて申請されるまで の期間を見ているものでございます。我が国でも海外でも承認されているものというの は、このうちの左側の枠囲みの中の、合計で36品目でございますけれども、その36の 中で実に33品目までが海外で承認された時点、すなわち販売された時点では日本ではま だ申請もされていないというようなことが示されているところでございます。  すなわちドラッグラグの解消ということを考える場合には、申請された内容の審査そ のものだけでなく、申請自体が早くなされるように手を打つ必要があるというようなこ とが、この状況からも示されていると考えております。以上が治験前の段階と治験段階 についての資料の御説明でございます。 ○ 高久座長  はいどうもありがとうございました。今の治験前とそれから治験の段階について御質 問おありでしょうか。どうぞ。 ○ 柴崎委員  多くの先生方、あるいは委員の方が疑問に思ったことだろうと思うのですけれども、 企業が治験前の段階でその意思決定が遅れるということがかなり大きな問題になってい るということですけれども、この辺の事情を御説明いただけますでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  日本で上市が遅れている理由ということで、12ページでございますが、未承認薬使用 問題検討会議で議論された30品目について調査をしたところでございます。未承認薬使 用問題検討会議というのは、33ページに概要がございます。この会議の目的は、欧米で 承認されているけれども国内で未承認の医薬品について、欧米で新たに承認されたであ るとか、日本の学会あるいは患者団体等から要望があるとか、そういうものを定期的に 把握して、臨床上の必要性とその使用の妥当性を考えていただくというものでございま す。すなわち日本での医療上、それを導入する必要があるかどうかというのを御判定い ただくということをやっているわけでございます。  17年の1月から始めた検討会議でございまして、そういう意味で申し上げますと、必 要な医薬品を迅速に提供するための個々の医薬品の緊急対応をこの検討会議でやってい るということでございます。ここで取り上げられる品目というのは、市場は小さくても、 いわゆるオーファンドラッグと言われるような稀用薬であるとか、あるいは宣伝対策上、 これも稀用薬なのかもしれませんが、市場が狭いがんの薬であるとか、そういうものが ここでよく取り上げられております。逆に申し上げますと、商業ベースとして開発に乗 りそうな薬、例えば糖尿病の薬であるとか、高血圧の薬であるとか、こういうものとい うのは余りこの検討会で議論するまでもなく順調に開発が進んでいくというようなとこ ろがあるのだろうと思います。  したがいまして、12ページはその未承認薬使用問題検討会議で議論された30品目を 分析しておりますから、市場がある程度狭い薬について、あるいは採算ベースとして考 えると、余り得にならないという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、余り 経済ベースに乗っていかないような薬が対象であるということでございますが、回答の 17のうち7つの回答は、社内の開発体制が不十分であるという答えをされております。 この社内の開発体制というのも、端的に申し上げますと、リソースの割り振りの問題で あって、例えば同時に開発している非常に市場が大きい薬に特化しようとすると、どう しても先ほど申し上げた、どうにもならないというようなこともあるのだろうと思いま す。  またその次に多い答えとしては、市場規模が小さいというような答えが5つでござい ます。3つが治験が難しい。あるいは残りの中には、審査の上で困難性が予想されると かいうような答えがあるところでございまして、ここの開発、あるいは治験にそもそも 入っていかないという対応の中には、今申し上げましたような、総じて申し上げますと 企業の開発戦略…もちろん企業の開発戦略の中には市場性でありますとか、経済性であ りますとか、審査上の問題でありますとか、治験の問題でありますとか、こういうもの と複雑に相まっているのだろうと思いますけれども、そういうことが背景にあるのだろ うというふうに考えている次第でございます。 ○ 高久座長  ほかにどなたか御質問、どうぞ。 ○ 松本(和)委員  そうすると、確認させていただきたいのですけれども、一番最初に3ページで、上市 が遅れている理由として、日本が米国に比べると2年半も遅れている、この大きな理由 の一つに、この12ページの一番左側のこの部分が加わっているわけですね。 ○ 中垣審査管理課長  一つの要因としてあるのだろうというふうに考えます。   ○ 松本(和)委員  そうなりますと、今理由を聞きますと、余り緊急性を要しない薬が結構入っているよ うな印象があるわけですけれども、それがあらゆるものの統計上の遅れをあらわしてい るように思うのですが、そういうことではないのですか。今のこの17例の遅れている理 由の説明を聞きますと、余り緊急性を要しないので遅れているような印象があったので すが、そういうことではないのですか。   ○ 中垣審査管理課長  私の説明が悪かったのだろうと思います。未承認薬検討会議で議論された30品目、そ の中の17ということでございますけれども、これはまさしく緊急性があって、これは行 政から企業にお願いして、企業の協力も得て、治験を早く進めるとか、あるいは審査を、 承認申請を早く出してもらうとか、そういった必要があるというふうに認定された薬で ございます。  それに対しまして、3ページの、一番最初に御説明申し上げましたものというのは、 売り上げ上位100品目を対象としておりますから、稀用薬が入っているかと申し上げま すと、そこは入っていないものが多々あるのだろうというふうに考えます。一般的な新 薬へのアクセスという観点から申し上げますと、3ページでもお示ししているような2 年半程度の遅れがあるというのが大体の一般的な、あるいはこのデータが正しいとすれ ば、そういう分析になるのだろうと思います。オーファンである等、非常に導入が、ア クセスが急がれるような分野の問題としては、先ほど申し上げましたような、開発体制 の問題とか、12ページの資料の問題なのだろうというふうに考えている次第でございま す。 ○ 高久座長  そういうことですね。どうぞ。 ○ 松本(恒)委員  今の御説明だと、日本で独自に開発している新薬についてはどうのこうのというのが 12ページですか。日本で開発に着手された、ですよね。そうしますと海外で開発済みで、 製造承認もおりているものについて、日本ではいまだ申請されていないものが非常に多 いというのが22ページのデータで出ていますよね。これは一体どういうふうに説明され るわけですか。 ○ 中垣審査管理課長  申しわけありません。12ページの資料は、未承認薬使用問題検討会議で導入を急げと 言われたもの、欧米で使えるのだけれども国内でまだ使えないから、国内への導入を急 げというふうに会議で指摘されたものを分析したものでございますから、そういう意味 で申し上げますと、外国で既に開発されているものを日本へ持ってくる上での制約がど こにあるかというのを分析した資料です。 ○ 松本(恒)委員  そうしますと22ページのデータの中には、既に12ページで扱われているものは含ま れているということでしょうかね。 ○ 中垣審査管理課長  考え方として含まれるのだろうと思いますが、22ページの資料は15年から17年度に 承認された品目、我が国で承認された品目を分析しておりますから、一方未承認薬検討 会というのは17年の1月から発足したものでございますから、そういう意味で申し上げ ますと、時間的な差で含まれておりませんけれど、考え方としては先生がおっしゃるよ うに含まれているということだろうと思います。 ○ 松本(恒)委員  それで関連してなのですが、海外では承認されているのだけれども、日本で承認をし てもらおうと思うと開発費用が大変かかって、経費倒れになるというのが12ページの趣 旨だとしますと、それは治験の費用ということになると、単純に考えてよろしいのでし ょうか。そして海外での治験データが使えないということがコスト上引っ張っているの だと、そういう単純な理解でよろしいのでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  我々もその原因をもう少し調査する必要があるのかなと思っておりますが、今先生の 御指摘の、やはり人種差の問題があって、臨床データというのは少なくとも単純には外 国データを利用できないという制約がある、そこがまたコスト的にも多くの部分を占め るということを先生に御指摘いただいたわけでございますが、それが原因の多くを占め るというのは、私も先生と同じ考えを持っているところでございます。 ○ 松本(恒)委員  その場合19ページを見ますと、第III相試験だけはカットすることも可能だというふう に書いてあるわけですが、その人種的な差が重要なのであれば、なぜ第III相試験だけ省 略可能なのですか。かなり重要な試験だと思うのですが。 ○ 中垣審査管理課長  19ページにございます国際共同治験というのは、ここ数年、5年あるいは10年弱だ と思いますけれど、考えられてきたものでございまして、具体的にどうするかというこ とは18ページに書かれております。この国際共同治験というのは、第III相を白抜きにし ておりますから、いかにもやらないようなイメージを与えてしまって申しわけなかった なと思っているわけでございますが、18ページに書いているように、例えば日本でもア メリカでも、ヨーロッパでも全く同じ計画で同時並行的に試験をやるのが国際共同治験 でございまして、日本で試験をやらないというようなものではございません。  逆に申し上げますと、全体として例えば1,000例の試験をやるとき、うち日本で300 例やる、アメリカで300例やる、ヨーロッパで300例やるとします。そうしたら900例 でございますが、それを900例集まったところで、900例として分析しますし、日本と アメリカ、あるいは日本とヨーロッパの試験成績を比較しますし、18ページの末尾に書 いていますように、日本の成績と全体の成績に治験全体、日米欧を合わせた治験全体の 成績に差がないかどうかをチェックした上で、差がないのであれば全体として有効性、 安全性が確認できるのであれば、基本的に問題なかろうというような判断を下していく 試験計画の一つのスキームで、最近取り入れられてきつつあるものでございます。 ○ 高久座長  今質問があったのは19ページの下の方の段で、日本で第III相試験をやらなくていいの かという質問ではないかと思ったのですが。 ○ 中垣審査管理課長  まことに申しわけありません。19ページの下というのは、ブリッジング・スタディー という第I相と第II相、特に第II相でございますが、患者さんでの血中濃度の動態であ るとか、その治療薬に関する患者さんの反応、レスポンスが、日本でも例えばアメリカ でも同じようなレスポンスを示すということであれば、日本と例えばアメリカとの間に 第III相試験に差はないだろうというのが、ここのブリッジング・スタディーと言われる 考え方でございまして、内因的な要因と外因的な要因、この2つが一定の試験から差が ないということが検証できるのであれば、第III相試験について外国のデータを日本でも 評価できるというような考えに立っているものでございます。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 望月委員  今のことにまた少し関連するのですけれども、まず一つ目に御質問したかったのが、 12ページのデータというのが未承認薬使用問題検討会議でのデータであるということ で、市場規模やオーファン的なものがかなり対象になっているということで、開発前の 停滞というのがかなり高くなっているというのがよく理解できるところではあったので すけれども、今回の有効でかつ安全な医薬品を迅速に提供するというその目的の医薬品 というのが、どこまでの範囲なのかというのを一度まずお聞きしたいと思ったのですね。 この未承認薬の問題の検討会で対象にした範囲で十分なのか、それとももっと一般的な 医薬品まで含めた範囲なのかということをまず一点お聞きしたいと思います。 ○ 高久座長  どうですか。 ○ 中垣審査管理課長  未承認薬検討会で取り上げておりますのは、そういう意味では先ほど緊急避難的な対 応だというふうに申し上げたわけでございますけれども、例えば先天性代謝異常の薬等、 どうしてもその薬が必要だというようなものに、ある面で限定をしているわけでござい ます。逆に申し上げますと、ここで取り上げたものというのは、保険導入までの間、例 えば治験を追加的に行うとか、あるいは承認審査を優先して行うとか、いろいろの特例 を採用する、また企業には企業で治験を追加的にやる、安全性を確認してもらうとか、 追加的なご負担をお願いしているわけです。そういう意味で申し上げますと、非常に限 定をして運用をしております。  一方ここで議論していただくと考えておりますのは、もちろん医療上必要だというの が大前提にあるのだろうと思います。と申しますのも、森田委員には申しわけございま せんが、似たような薬理作用の新薬が3つも4つも5つも要るのかというような議論は 当然あるのだろうと思いますけれども、3ページ目の資料にあるように、グローバルな マーケットで売り上げ上位100品目をとっても、これほど2年半という大きな差がある というようなことから申し上げますと、未承認薬検討会議は当然ながら広い範囲で、そ ういう意味では医療上必要な医薬品、技術革新の成果である医薬品を日本に導入すると いうことなのだろうというふうに考えております。じゃあ新薬みんなかと言われますと、 先ほど申し上げたように、同じ薬理作用で4番目、5番目が必要かと言われると、そこ は医療上の問題はあるのだろうというふうに大体考えておるところでございます。 ○ 望月委員  ありがとうございます。もう一つ追加で、そうしますとある程度の範囲の一般的なも のも迅速な承認をして世の中に出していきたいというふうになりますと、この12ページ の分析結果だけですと、やはり私たちが、どこに問題があって、どこをどう改善するべ きかという情報としてはちょっと不足だなというふうに思うんですね。  例えば22ページに、この過去3年間の新有効成分についてのデータが出ていますけれ ども、これは諸外国の承認、初めて承認された年から日本で承認された年までがどのぐ らい離れているかということだと思うのですけれども、この段階で例えばその治験は今 届け出されていると思いますから、日本の届出日と国外で承認をされた年とのタイムラ グとか、もう少しこれを分析して、きちんとどこに原因があるのかというのは出すこと が全くできないわけではないのではないかと思ったのですね。  それはやはり私は治験のあり方検討会というのに出ておりましたときに、治験が開始 されてからのところに非常にドラッグラグの原因があるような意見もたくさん出ており ましたので、今回この12ページの資料だけを見てみますと、治験の着手とか、治験進行 の遅れのところが、余りにも少なかったものですから、そこが普通の領域のものとはち ょっと違う分析なのかなと思いましたので、もうちょっと分析を続けていただいた方が いいかなと思います。 ○ 高久座長  おっしゃるように12ページのはかなり特殊な例だと思います。それから22ページの ことも問題になりましたが、22ページの場合はむしろもう外国で上市されている薬です ね。開発された薬です。先ほどの大臣のお話の、イノベーションということだと、日本 で開発された薬の治験も早めるということも当然含まれていないと、イノベーションに つながらないと思うので、そこのところはこの検討会で検討していただきたいです。む しろ一番重要なことだと思うので、ぜひ検討していただきたいと思っています。どうぞ。 ○ 池田委員  今高久先生が言われたところに関連して、恐らく18ページの国際共同治験について、 非常に大きな一つの問題であると思います。ちょっとそれでお聞きしたいのは、もう既 に国際共同治験を受け入れて、承認した医薬品は3つあるということですが、ちなみに これでどのくらい、申請から承認までがアクセレートされたのでしょうか。まだ3つで すので、なかなか言いづらいとは思うのですけれども。この場合はもう諸外国とほぼ承 認の時期は一緒というふうに考えてよろしいのでしょうか。それにもまた恐らく、ちょ っと差があるのではないかという気がするのですけれども、その2つについて、まだ3 つなので余りそれをもとに議論するのは適切ではないかと思いますけれども、もし参考 で聞かせていただければ。 ○ 中垣審査管理課長  今の御質問にお答えするためには、国際共同治験をやらなかったらどれぐらいになる のかという仮定をとった上で、また分析が必要になるのだろうと思います。正直申し上 げて、今の時点でそこまでの資料というのはございませんので、先ほど望月委員に御指 摘いただいた資料とともに調査をして、次回の検討会にでも提出できるようにしたいと 思います。ありがとうございます。 ○ 高久座長  よろしいでしょうか。それでは次の承認審査の段階ということで、引き続いて説明を よろしくお願いします。 ○ 事務局  それでは資料24ページでございます。総合機構が行っている承認審査業務についての 概略をお示ししたものでございます。総合機構では、企業からの申請資料に基づきまし て、それに対して関連する情報を収集して比較しながら、申請された成績を検証して、 承認拒否事由、すなわち有効性の欠如する場合、あるいは著しい有害性によって使用価 値がない場合に該当しないかどうかなどについて評価するものでございます。この一つ の有効成分についての審査の対象となる資料は、A4判で6万から10万ページにも及ぶ 分量となっております。  また、この資料について申請に使えるかどうかという基準適合性調査や、GMP調査 等、審査と並行して行うような調査も総合機構では行いまして、結果といたしまして大 臣への報告という形で、この審査の結果を報告しているわけでございます。通例は数十 ページから100ページの審査の結果の報告書を取りまとめて、その審査のアウトプット としております。  次の25ページでございますけれども、これはその審査に要する期間について示してい るものでございます。審査の期間の中央値、メジアンにつきましての日米比較をしたも のでございます。折れ線グラフで示されているものが総審査期間、すなわち申請してか ら承認されるまでにかかっている期間のうち、すべてを指しています。これにつきまし ては左側のグラフ、通常審査のもので2005年のところを見ますと、この折れ線グラフの 三角と丸をお比べいただくと、日本では22カ月、米国では12カ月というようなことで、 日本の方がこの総審査期間ということでは時間がかかっているということになります。  なお、棒グラフで示しておりますのは、審査側審査期間、すなわちそのうち資料の作 成のために企業が使った時間については勘定しないで、審査側だけでどれだけその日数 を使ったかということを比べたものでございます。それにつきましては余り差がないと いったようなデータになっております。  3ページの資料では、日本とアメリカが販売開始時期で約2年半の差があるというよ うなことでございましたけれども、このデータでは約1年の差が審査の段階であるとい うことでございますので、大ざっぱに言えば、模式的な考え方でございますが、審査ま での段階で1年半、審査から1年といったことで、2年半といった考え方もできるので はないかと考えております。  次26ページでございますが、今25ページでは中央値というものだけを示したもので ございますけれども、その代表値だけでなく、実際の実期間の分布がどうなっているの かということについて示したものでございます。過去3年間に承認されましたものにつ きまして、実際に何カ月審査にかかったかという実期間を示しております。そのうち、 優先審査、市場規模が小さい、あるいは患者数が少ない、あるいは非常に高い有効性が 期待できるというようなことで、優先審査をしたものが、この影のかかったものでござ いますけれども、全体として見ますと、総審査期間として48カ月から60カ月、5、6 年かかっているものもあるというような実態が見てとれます。この原因といたしまして は、申請後に審査を行っております総合評価の指摘によって、追加の治験などが実施さ れた場合について、結果的に時間を要したというようなことであります。このようなこ とから申請前の適切な準備ということも、この審査の期間には重要な関係があると考え たところでございます。   次は27ページでございますが、これは現在の段階において総合機構において承認申請 中であるものの品目の内訳を示したものでございます。この点線で結んであるところの 下を合計したものが、これは9月末現在でございますが、総合機構で審査中の品目でご ざいます。全部足しますと156品目のものが審査されているわけでございます。156と いう数だけでなく、内訳を見ました場合に、13年度以前のものが10件、14年度のもの が9件といったようなもので、かなり申請から日数を経たものもいまだに審査をしてい る状況になっているということが、ここから見てとれるところでございます。なおこの 審査中になっている品目は、総合機構発足時点よりも数は増加している傾向にあるとこ ろでございます。  次の28ページに、その審査を行っている各国の審査人員につきまして、この段階では 比較的大まかな比較でございますけれども、比較をした資料でございます。総合機構で の審査の担当者は200人弱となっておりますけれども、米国FDA、これは医薬品審査 センターの審査官を勘定したものでございますが、2,200人、英国では約700人、フラ ンスで900人、ドイツは1,100人、スウェーデンは400人などとなっております。なお 欧州医薬品庁につきまして360人という数字がございますが、これはEUに対する中央 申請を行っているのに対する事務局機能を担うものでございまして、実際の審査は主に 英、仏、独、スウェーデンの4カ国の審査官に委託して、このEMEAの職員は事務局 的にその取りまとめをしているという方法を採用していると聞いているところでござい ます。  続きまして、市販後の段階についても御説明を申し上げます。1ページおめくりいた だきまして30ページでございます。医薬品の市販後安全対策の概要を1枚に取りまとめ たものでございます。これではまず、全体につきまして安全に関する情報の収集をいた しまして、それを下の矢印のところで、分析評価をいたしまして、実際に下側の措置を とるというような安全対策の仕組みになっているわけでございます。その情報収集の段 階におきまして、まず副作用報告制度がございまして、薬事法の義務として製薬企業、 あるいは医師、薬剤師などの医薬関係者が、医薬品の副作用について一定のものにつき まして厚生労働大臣に報告の義務があるといった制度でございます。  それからさらに感染症定期報告制度というものがございまして、これは血液製剤等に つきまして、感染症に関する情報をやはり同様に報告する義務があるという制度でござ います。  それから一方、新医薬品については販売開始直後6カ月につきましては、特に重点的 な調査、あるいは情報提供等をいたしまして、重篤な副作用の発生の把握、あるいは質 の安全対策を講じられるような制度を我が国では採用しているところでございます。  それから4番目、再審査・再評価制度というものがございまして、再審査につきまし ては治験の段階では必ずしも十分に得られない情報、例えば小児、高齢者に関するよう なこと、あるいは長期使用の情報などにつきまして、製薬企業が収集いたしまして、承 認後一定期間、通常新薬の場合には6年後ということになっておりますが、国がその有 効性を改めて確認をする再審査というような制度がございます。  それから特に既承認の医薬品につきまして、医薬、薬学の進歩に応じて、有効性、安 全性、品質に関して再度見直すというようなことをやっておりまして、こちらの方は再 評価という形の制度になっております。こういったようなところからの安全性に関する 情報の収集があるわけでございますが、これに対します情報提供といたしましては、厚 生労働省からの直接の情報提供としてはファクスによる情報提供、あるいは医薬品・医 療機器等安全性情報といったような情報提供がございますし、また厚生労働省も関与し ながら、企業が担う情報提供といたしましては、添付文書の使用上の注意の改訂、緊急 安全性情報といったようなものがございます。  さらに医薬品適正使用の推進のために医療用の医薬品の添付文書に関する指示のこと、 あるいは副作用報告の症例の概要の公表。それから最近は重篤な副作用の疾患別の対応 マニュアル、それから患者向けの医薬品ガイド、適正使用ガイドライン。こういったよ うな取り組みもなされているところでございます。  次に、その他ということで、横断的なことにつきまして幾つかのトピックスについて 御説明申し上げます。まず32ページでございますが、これは医薬品の審査に関連する最 近の欧米における動き、取り組みについて簡単にまとめたものでございます。  まず米国の動きを2つここに簡単に述べておりますが、一つはFDAが行っておりま す医薬品開発のためのクリティカル・パスに関する報告でございます。これはFDA、 米国の食品医薬品局が医薬品に関して近年の科学技術の急速な進展に比較して、画期的 な薬品の開発が停滞しているということにつきまして、開発プロセスをどのように最適 化すべきか、それに関しまして審査側で何かできることはないだろうかということも含 めまして、例えば新しいバイオマーカーの開発、その治験への導入による効率化、そう いったようなことにつきましていわば開発のクリティカル・パスを同定しながら、その 改善策を提言するといったような報告になっております。これによる取り組みが現在F DAではいろいろと進められているところでございます。  また、米国で別の切り口の報告といたしましては、ナショナル・アカデミー・オブ・ サイエンスにございます医学研究所、Institute of MedicineがFDAの医薬品の安全 管理システムに関する調査分析を行いまして、それでFDAの組織のあり方、あるいは 役割といったものに対する改革が必要であるといった提言をしているといったようなも のもございます。  それから一方、欧州の方の動きでございますけれども、EUにおきましては、これは まだ計画が作成の中途でございますけれども、Innovative Medicines Initiativeとい う形で、経済競争力の強化という目的であるのですけれども、より有効な医薬品の開発 を促進するということの将来計画を現在作成中でございまして、この流れの中でEME A、欧州医薬品庁に関するいろいろな改革に関する検討もなされているということを聞 いているところでございます。  33ページは、先ほど課長からも説明がございました、未承認薬使用問題検討会議につ いて、でございます。これは先ほどの説明とやや重複いたしますが、欧米諸国で既に承 認されているが、国内では未承認の医薬品の中で、特に臨床上の必要性、使用上の妥当 性があるものにつきまして把握いたしまして、それを確実な治験の実施につなげて、ひ いては将来の承認につなげるという考え方で、平成17年1月から始まったものでござい まして、これまでに33品目についてこの検討会で取り上げられております。  当初の状況から現在の状況につきましては、先ほど課長からも御説明申し上げました とおり、かなりのものが承認済み、あるいは承認審査中というようなことになっており まして、遅れを何とか取り戻すように取り組んで、着実な進歩をしております。ただし、 これはあくまでも遅れてしまっているものを早期導入するために、緊急対応のためのも のでございまして、本日の検討会はドラッグラグの解消のための政策のあり方、実施対 策のあり方などのシステム全般に関する御検討をお願いするというようなことにつきま して、改めて一言コメントをさせていただきます。  34ページでございますが、これはこれまでに述べたことのまとめとして、承認審査の 問題点と検討課題といったようなことにつきまして、事務局なりの整理をしてみたもの でございます。左上の方に開発の流れ、非臨床から治験、承認から市販後までという流 れがございますけれども、我が国で新しい医薬品が医療現場でなかなか使用できないと いうことに関しまして、その原因といたしましてはその治験の開始までが既に遅れてい るというようなこと、それから治験の実施に時間がかかっていること。それから今度は 治験が終了しても、実際の審査にかかっている期間が長いといったようなことがあるの ではないかといったようなことが指摘されるわけでございます。  その原因として考えられることにつきましては、この矢印で右上の方に、1、2、3 と分類してみたものでございまして、まず治験相談や承認審査に関する規制、レギュレ ーションに関する問題があるのではないかということがございます。これは現在の治験、 あるいは承認審査に関する規制につきまして、それがあるがために審査側、あるいは開 発側が必要以上の作業や負担を生じさせているような場合があるのではないかといった ような、規制に関するような問題がまず一面あるのではないかということです。  それから承認審査、あるいは治験相談の進め方についてということがございまして、 これは治験相談や承認審査につきまして、例えばその間のコミュニケーションの質の問 題、あるいは量の問題といったことにつきまして、必要以上の負担、遅れが生じるもの がこの進め方に起因してあるのではないかというようなことがございます。  それから、科学技術の進展への対応ということがポイントとして考えられて、科学技 術の進展に伴う新たな医薬品開発、あるいは評価手法に関しまして、治験相談あるいは 承認審査で、必ずしも十分に活用できてない場合もあるのではないかといったようなこ ともあるというふうに考えております。遅れの問題は、先ほどにも御議論がありました ように、医薬品の規制の問題だけではありませんで、治験の実施体制が脆弱であるとい ったような、治験環境の問題、それから新薬の経済的評価が必ずしも十分なされてない のではないかといったような、薬価、医療保険の問題。それから、国内市場の大きいほ かの品目の開発が優先されるとか、国内よりも米国への開発が優先されるといったよう な、これは開発に関するリソースの問題があるというようなことがありますが、企業の 開発戦略の問題、そういったような問題も相まっていることも考えられますけれども、 この検討会では治験の開始が遅い、あるいは実施に時間がかかる、審査の期間が長いと いったような、こういったことに関する解決のために、医薬品規制の立場から何をすべ きか、何ができるかといったことにつきまして御検討いただければと考えているところ でございます。  その検討課題の基本的な考え方ということで、真ん中の検討課題というところに、横 長にちょっと考え方の整理・検討につきまして、事務局なりにお示ししておりますけれ ども、まず公平公正な立場から審査ということは当然でありますけれども、医薬品を迅 速に提供する観点からどんなことが求められるかというようなことがまず検討の視点と してあるのではないかと思われます。  それから2番目に、治験、承認審査、市販後までの各段階に応じて適切な規制のあり 方について、どのように考えることができるかということがあります。それからさらに、 科学技術の応用に関してどのように考えるかでございます。このようなことに関して、 制度的な課題、体制的な課題についての個別な検討が必要であるというふうに考えてお りますが、具体的には下の方に示しておりますように、まず(1)のところにあります、治 験を医薬品ごとに最適なものとするための方策について、具体的に幾つかの検討課題が あるというふうに考えております。  また、科学的な合理性に基づく承認審査のあり方ということにつきましての課題があ るかと思います。さらにその市販後の安全性、有効性の検証のあり方と審査との関係と いったことがあるかと思います。  それから体制的な課題といたしましては、治験相談の体制、あるいは承認審査の体制、 それぞれについて検討課題としてございます。さらに、そういった切り口とは別に、国 の審査承認を経ない未承認のものについての人道的緊急使用についての考え方の整理、 あるいは再生医療に関する薬事規制上の取り扱いなどが横断的な検討課題としてあるの ではないかというふうに考えているところでございます。以上が資料3でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。最後の承認審査の段階ということで、市販後の段階 も含めて説明していただきましたが、どなたか御質問は。  28ページに審査人員の国際比較がありますが、確か日本もそうだと思うし、アメリカ もユーザーフィーですね。治験を頼む方がお金を払うわけですね。フランス、英国、ド イツもやっぱりそうなのですか。ということと、米国と日本と比べた場合に、そのユー ザーフィーはどのぐらい差があるのか。アメリカでこんなに人数が多いというのは申請 者からたくさんお金を取っているから、こんなにたくさん雇えるのか。そこら付近のこ とを少し教えていただければと思います。 ○ 中垣審査管理課長  実は事務局といたしましても、いわゆる申請手数料が日本と欧米で異なるのか、また その申請手数料が全体の個々の審査機関の運営に必要な費用の何%ぐらいを占めていて、 また税金で何%とか、そういった分析をしたいということで、外交ルートも通じて少し データを集めようとしているところでございます。正直申し上げて、例えば手数料です と、日本はここの品目、例えば50ミリ錠、100ミリ錠という品目ごとに手数料をいただ くというシステムになっている。欧米では一般的に、品目ごとではなくて、一つの成分 と申しますか、そういうことで手数料を取るような形になっていて、ちょっと集計に手 間取っているところがございます。でき次第、またこの検討会でできるだけ早くお示し させていただきたいと思います。 ○ 高久座長   ほかにどなたか御質問、どうぞ。   ○ 松本(恒)委員  審査機関についてのアメリカとの差についてのデータがございましたね。25ページで すか。約1年ぐらい日本の方がかかっているということの中身なのですが、審査にかか る人員が少ないということから、申請を受理してから実際の審査にかかるまで、タイム ラグがあるから時間が結果としてかかるという話なのか、申請を受理したらすぐ審査に 入るのだけれど、何か知らないけれど日本は時間がかかるという話なのか、その辺いか がなのでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  実際にやっております総合機構の方から、これは答えさせていただきたいと思います。 ○ 森医薬品医療機器総合機構審議役  それでは総合機構の方から御説明しますが、この25ページの資料で示されているのは、 審査側の持ち時間に関していうと、余り違っていないという数字になっています。しか るにトータルの審査期間は長いということは、審査側からの問いかけ、たくさん質問を 投げるのですが、それに対して企業が答えをつくっている時間というのがかなり消費し ているということです。アメリカは比較的短期間に企業が回答しているというふうな様 子が見られます。ここはそもそもアメリカと日本の審査体制の陣容が違うということの あらわれだと思うのですが、アメリカの方はデータを全部FDA側が解釈できてしまう。 ですから自分で分析もやってしまう。だから聞くことが余りないと。ところが日本の場 合は、少ない人員ですので、いろいろな分析に関しても、申請企業の方にやってもらう というか、こういう解析をしなさいと、こういう評価をしなさい、コメントしなさいと。 こういうことをたくさん聞かないとまとまらないと。こういった実状がございます。こ うしたところが、企業が消費している期間がある程度長いということの背景にはござい ます。多少現場の話でございますので、ややこしいところはございますが、実態として はそのようなところがあるかと思います。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 松本(和)委員  審査の優秀性と思ったのですが、今のお話を伺うと、確かにアメリカと日本では審査 人員に1対11の違いがあるのに、単純に比較はできないのでしょうけれど、審査期間は 9カ月ぐらいしか違わないということで、大変優秀かと思ったのですけれど、企業側に、 申請側にいろいろなことをお願いされるわけですね。そういうことで遅れるということ があり得るわけですか。  そうすると、もう一つ、この26、27ページで、ある一定期限より遅れた部分にかなり の数が並んでいるわけなのですが、24と27ヶ月のところはそうですし、27ヶ月以降の 3、3、2、2というところと、もう一つは27ページでいけば、前の平成13年、14年、 15年度でずっと今まで持ち越しているものがありますけれども、この理由について検討 されれば、遅れている理由というのは、ある程度の示唆を得られるのではないかと思う のですが、いかがでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  この遅れている理由というのは、端的に申し上げますと、機構と企業側の意見が一致 しないといえばいいのか、あるいは意見が一致しているとすれば、追加試験の実施に時 間を要しているというようなものでございます。例えば、ダブルブラインド・スタディ ーをやり直すということになりますと、先生御存じのとおり3、4年かかるとかいうこ とがございますし、当初の企業の見込みが甘かった、あるいは医薬品機構の審査が厳し 過ぎるのかもしれませんけれども、そこで齟齬を生じたために、データを追加してとる。 あるいは引っ張り合いになっているというようなところがあるのだろうというふうに考 えております。  もちろん1年以上試験の実施に必要なものについては取り下げの勧告をすると。例え ば27ページの資料で見てみますと、一番上に取り下げというのがございまして、例えば 16年度ですと9品目取り下げになっているわけでございます。取り下げを勧告するとい うことで作業をやっているわけでございますが、企業もいろいろな戦略の上で、一回申 請したものを取り下げるのは勘弁してくれというような話もないわけではございません し、あくまで勧告であって、法的に承認拒否をしているわけではございませんから、そ のあたりの限界というのもまたあるのだろうと。あるいは法律で承認拒否を運用すると いうのも、またあるのかもしれないというふうに、今先生の御意見を聞きながら感じて いた次第でございます。 ○ 高久座長  ほかの問題といいますか、承認審査等の現状すべてについて何でも結構ですから、御 質問、御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。どうぞ。 ○ 柴崎委員  よろしいですか。きょうの議論を聞いていますと、やはり治験の効率性と、それから 承認審査の効率性というのが決定的なポイントだろうと思います。それで治験のところ にちょっと戻って御質問したいのですが、とにかく現在日本の企業がすばらしい医薬候 補化合物を開発しても、大体治験がアメリカを中心として流れてしまう。その理由とし て、スピーディーに治験が進行するということが言われているのですけれど、私が調べ た範囲、あるいはいろいろ聞いた範囲では、費用でも2分の1程度、日本での治験の2 分の1程度だと。これは正しいかどうかわかりませんけれども、そういう情報を得てい るのですが、時間が短ければ費用も少なくなるのはよくわかるのですけれど、それ以上 に費用が安くできているような感じを受けるのですけれども、この辺は今後日本の治験 問題を考えるときにどういうふうに考えたらいいことでしょうか。 ○ 高久座長  これは検討会全体の問題だと思うのですけれど、どうぞ。 ○ 新木研究開発振興課長  医政局の研究開発振興課長でございます。この費用の問題につきましては、きょう資 料3の20ページに少し載っておりますが、今御指摘いただきましたように、スピードと ともに費用が大変かかるという御指摘をいただいております。このため医政局におきま して、治験環境の整備、治験の活性化と呼んでおりますが、これをこれまで4年間、こ としで4年目ですが、図ってきたところでございます。その中で若干改善の傾向が、ス ピードにしろ、費用にしろ、あるようでございますが、まだまだ足りないということで、 現在来年度からの5年間で一応考えておりますが、次期の治験環境の整備について検討 しているところでございまして、その中で費用の問題、いろいろな費用が生じます。 ○ 柴崎委員  くどい質問ですけれど、この費用と時間というのはパラレル性があるのですか。検討 結果では。それともパラレル性はない点も多く見られるのでしょうか。 ○ 新木研究開発振興課長  申しわけございません。そこについての十分な検討はできておりません。両方高いと いうふうに言われておりますが、そのパラレルかどうかというのは、我々も分析しきっ ておりません。 ○ 柴崎委員  わかりました。 ○ 高久座長  それでは森田委員どうぞ。 ○ 森田委員  今の費用の問題は、かなり日本が高いということは事実でございまして、時間の問題 と、一つ一つのコストそのものが高くなっているという事実がございますので、ダブル で高くなっているというのが実感です。  今日もご説明いただいて、私はとにかく行政当局としては、国民の健康を保持するた めには、未承認薬で非常に数の少ない患者でもきちんとフォローするという重要性があ り、この辺につきましては今改善されてきているということ、そしてメーカーも当然取 り組まなければいけないことについては進めてきているという前提で考えてみますと、 3ページ一番最初にございました欧米と日本の医薬品の上市の状況、この辺の時間差と いうものはたくさんの人が疾病で苦まれ、たくさんの患者さんがいるところについても、 きちんと早く新薬に日本の国民がアクセスできるということが重要だと思いますから、 問題点も奈辺にあるかということを踏まえ、34ページにかなり明確に出されている問題 点を一つ一つ明確につぶしていき、本会あるいはプロジェクトにおいて、一つ一つ専門 性高く取り組んでいただきたいなと思います。  願わくは、とにかくスピードと質の競争になっていますから、来年の夏まで本検討会 が開催される中、一つ一つ問題解決の糸口がついたものについては、ぜひすべてそれを 具体的に対応していけるような仕組みというのもお願いしたい、少し大きい話になりま したが、このように思っております。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。ほかにどなたか、どうぞ。 ○ 望月委員  最終的に国際共同治験というのが、今回のポイントになるのかなとは思ったのですが、 その前の段階として、先ほどブリッジング・スタディーというので海外データをできる だけ日本で有効活用しようというお話が出ていたのですけれども、逆はあるのかどうか。 日本のデータを海外でブリッジングみたいな形で使っていただけるということはあるの かどうか。もしないとすれば、やはり日本の第III相試験だと規模が小さいとか、いろい ろな理由があるのかもしれないのですが、その辺をちょっと教えてください。 ○ 森医薬品医療機器総合機構審議役  ブリッジング・スタディーの審査をたくさんやってまいりました総合機構の方から御 説明しますが、日本がブリッジングのデータの利用の最も進んでいる国であることは間 違いありません。日本でやったデータを逆にブリッジングで向こうへ持っていったケー スがあるかどうか。これに関しては、その例はほとんどございません。ただ、日本で行 われた臨床試験のデータを利用して審査をしたケースは、最近アメリカが承認したアリ セプトというお薬の適用追加において、これは日本のデータを利用したということをF DAがホームページで公表しております。そういう格好で、日本で行われた臨床データ が海外でも利用されるようになるという動きは、最近明らかに出てきております。現状 としてはそのような状況でございます。 ○ 高久座長  それでは井村委員、どうぞ。 ○ 井村委員  先ほどのお話を開発振興課の方にちょっと伺いたいのですけれど、治験環境を整備し たら、少しそれが効果があったように見えるというお話がございましたが、具体的にど ういうことをなさって、どうなったのでしょうか。 ○ 新木研究開発振興課長  詳しいデータはまた次回にでも出させていただきますが、治験の期間や1症例当たり の費用等について、最近若干低下傾向、短くなっている、また安くなっているというよ うなデータが若干ございます。ただ、まだ始めて3年、4年目の話ですので、その傾向 が本当にどこまで定着しているのか、もう少し見なければいけないとは思いますが、い ずれにしましてもその辺のデータを整理いたしまして、申しわけございません、きょう はちょっと用意してございませんので、次回にでも提出させていただきます。 ○ 寺脇委員  25ページの新薬の審査期間で、アメリカはデータを自分で解釈して分析する能力があ ると。しかし日本は企業にそのデータについて一々聞いているから、日本の方が総審査 期間は長くなるという説明がありましたけれども、この日本の審査基準の審査するとこ ろで、28ページでは日本は197、アメリカは2,200とありますが、こういう審査する人 の量の問題もあるのでしょうか。それとも質の問題があるのでしょうか。あるいはそも そも日本はもう審査する側が細かいデータを収集するという、そういう責任を余り果た してないのかなと思ったのですが、どうなのでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  まず私の方から答えさせていただいて、機構の方からまた追加することもあるのだろ うと思います。FDAの審査方式と我が国の審査方式の違いというのは、もちろん寺脇 委員御指摘の、審査にかかれる人員の絶対的な数というのも背景にあるのだろうと思い ます。ヨーロッパにおいても基本的に日本と同じような審査システムがとられていると。 すなわち、申請する人がその有効性、安全性を立証する義務があるという観点に立つや り方なのだろうと思います。そういう意味で申し上げますと、FDAだけと言ってはい けませんが、FDAが独自の道を歩んでいる。それはFDAにそれだけのマンパワーと 知識と経験があるということが背景にあるのだろうと思います。また、FDAと医薬品 機構、あるいはヨーロッパの審査庁との質の問題。これはなかなか比べられる問題では ありませんけれども、正直日本の中にもアメリカ、ヨーロッパと審査の面で戦っていけ る人物が育ちつつあるというふうにお答えして御容赦願いたいと思っているのでござい ますが。トレーニング、あるいは教育訓練を含めて、まだまだ我が国は改善する余地が あると考えておりますし、それでもなおかつ人が足りないということであれば、またそ こをどうするかということもこの中で議論していただく必要があるのだろうと考えてお ります。 ○ 寺脇委員  関連で、よろしいですか。10ページの基礎研究の最新の状況の中でも、それなりに医 学薬学の進歩に対応するような審査員の質の確保ということもおっしゃいましたけれど も、今課長がおっしゃいましたような、そういう最新の医学についていけるような人た ちをいかに審査機構に集められる、経済的にもそういう能力を持つかということは、今 後ますます重要になるのではないかと思います。以上です。 ○ 高久座長  どうですか。 ○ 中垣審査管理課長  委員御指摘のとおりだろうと思っております。そういう人を集めなければいけないし、 集めた197人を、いや私もそうなのかもしれませんが、再教育していく、トレーニング していくことを並行してやっていく必要があるのだろうと考えています。 ○ 高久座長  それでは森田委員を最後にして、そろそろ時間になりますので。 ○ 森田委員  わかりました。メーカーが努力はしていますけれども、すべて正しいということでは ありません。日本の医薬品開発について、ICHとレベルでは同じ水準にあり、仕組み は共有化されていますけれども、いわゆる実施する、あるいは審査する、そしてフィー ルドにおいてもIRB以下、ひとつひとつについて全体のレベルが高いかどうかという こと、ここをこれから上げることによって、一気にスピードがついてくるのではないか と考えます。いきなり機構に200人、300人、耳をそろえて出せと言われても、それは 日本の国、どこを捜せばいいのかわかりませんから、この辺も一定の期間の中に、早く 揃えるように国として後ろ盾をもらいながら、全体として取り組んでいくことが治験の 質とスピードを上げるのではないかと思っております。 ○ 高久座長  おっしゃるとおり、基本的には日本の今の医療事情とか、そういうものがすべてここ に反映されているのだと思いますから、その意味ではこの検討会で取り上げるべき、あ るいは考えるべき問題は非常に大きな問題ではないかと思います。  そろそろ時間になりましたので、事務局の方から今後の予定について説明していただ けますか。 ○ 事務局  それでは今後の予定につきまして、資料5と資料4に基づきまして御説明申し上げま す。まず今後の日程といたしまして、冒頭来年7月までというようなことを申し上げま したけれども、先生方にあらかじめお伺いいたしまして、大体資料5にあるような日程 で今後お願いできればということで、今日程を組んでいるところでございます。  次回につきましては、資料4でございますけれども、論点を広く把握するために、ヒ アリング、意見の公募というものを実施してはいかがというふうに事務局では考えてい るところでございます。具体的内容につきましては、資料4の中に書いてあるところに 従って御説明申し上げますと、この論点を幅広く把握し、検討会における今後の検討に 資するために、具体的に意見陳述したい団体を募りまして、それに対して次回に書面に 基づきましてさらに意見陳述を行った後に、構成員からの質疑を一団体につき、これは 数にもよりますけれども、5ないし10分程度の意見陳述をしていただいて、さらに質疑 というようなことをし、それからさらに集められた意見、それから採択されませんでし たヒアリングの希望のところにつきましても、この検討会における検討の資料として次 回に供するようにしたいと考えております。  そういうことで、次回12月7日につきましては、そのような形でヒアリングというよ うなことでお願いできればというふうに考えているところでございます。その手順とい たしましては、ここにありますように、11月1日から24日まで公募したところで、検 討会でどこに意見陳述していただくか選定をいただきまして、そこに対して12月7日に やっていただくことを検討しています。以上でございます。 ○ 高久座長  きょうの会議で出ました皆さん方の御意見などを踏まえまして、事務局の方では検討 課題の整理の作業をしていただきたいと思います。いろいろな宿題が出たと思います。 それから次回は審査、承認審査のあり方などに関して関連する団体からヒアリングをす るとともに、この検討会の今後の検討課題についても皆さん方の御意見をお伺いしたい と思います。なお、ヒアリングの対象となります団体につきましては、応募の状況にも よりますが、例えば製薬企業の団体、患者さんの団体、学会等々、私自身も2、3思い 浮かぶところがあります。そういう方々の御意見をお伺いしたいと思います。具体的な 団体、あるいは個人などにつきましては、私と座長代理の柴崎委員にお任せいただくよ うになると思います。よろしいでしょうか。  それでは最後になりましたが、菅原厚生労働大臣政務官から一言よろしくお願いいた します。 ○ 菅原政務官  厚生労働大臣政務官を仰せつかりました菅原でございます。本日は座長の高久先生初 め、各委員の先生方におかれましてはほんとに何かとお忙しい中、お足をお運びいただ き、熱心な御議論を賜りましたことを心から感謝を申し上げたいと存じます。  一刻も早い新薬の開発を求めている患者さん、あるいは医療現場、こうした声がある 中で、我が国の医薬分野は国際共同治験にも肩を並べられるような、そういう域まで達 しているわけでございます。しかしながら、足元を見れば、スキームにおいてまだまだ 迅速性に物足りない、こうした現状についてここにいらっしゃる先生方に、それぞれの お立場、エキスパートのお立場で御意見を賜り、今後の医薬行政発展のために資してい きたいと思っております。なお我が国には幾つかの医薬行政の歴史がございます。何よ りも国民の安心、安全のためにも、しっかりとそうした歴史を踏まえ、またこうした検 討会を通じてこうした声にこたえていかなければいけない。このように思っております。  今回はタイトルのとおり、有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会という ことでございますので、急がば回れという言葉もございますが、来年の7月まで大変タ イトなスケジュールになろうかと思いますが、先生方の御協力をよろしくお願い申し上 げまして、ごあいさつとさせていただきます。きょうはありがとうございました。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは事務局の方から何か連絡事項がありますか。 特にないようでしたら、これで第1回の検討会を終わらせていただきます。次回は12 月7日、木曜日ということですので、またよろしくお願いいたします。どうもありがと うございました。 (了)                     照会先                     厚生労働省医薬食品局承認審査等推進室                     03−5253−1111