06/10/30 第5回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会議事録 振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会(第5回) 日時 平成18年10月30日(月) 15:00〜 場所 厚生労働省専用第21会議室                      ○副主任中央労働衛生専門官 定刻より少し早めですが、お揃いですので始めさせてい ただきます。本日は第5回目の「振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会」に なります。出欠状況ですが、前田委員と宮下委員が欠席で、ほかの先生方は皆様ご出席 です。  議題に入る前に、私ども事務局の異動がありましたので、ご紹介をさせていただきま す。労働衛生課長の金井課長です。主任中央じん肺診査医の一瀬主任です。ここで金井 課長より、一言ご挨拶を申し上げます。 ○労働衛生課長 労働衛生課長の金井でございますが、一言ご挨拶させていただきます。 私は9月1日付で労働衛生課長に就任したわけですが、前任の阿部同様、よろしくお願 い申し上げます。振動障害については、ご存じのとおり従来林業のチェーンソー使用者 に多く見られたわけですが、最近は建設業の手持ち動力工具取扱い作業者に数多く発生 しているところです。  厚生労働省といたしましては、平成5年に「振動障害総合対策要綱」を策定して、振 動障害の防止対策の計画的な推進を図ってまいったところですが、さらなる振動障害の 減少を図るため、低振動・低騒音機器の選択を促進するため、ひいてはさらなる振動障 害の減少を図るために、振動・騒音レベルを表示する制度の導入を第10次労働災害防止 計画に盛り込んだところです。我々としましては、委員の先生方にご検討いただいてい る表示制度のあり方、作業管理のあり方等の検討結果を踏まえて、振動障害防止対策を 講じていきたいと考えておりますので、引き続き、ご検討のほどよろしくお願い申し上 げます。 ○副主任中央労働衛生専門官 本日お手元に配っております資料の確認をさせていただ きます。資料5−1は「表示制度及び作業管理に関する意見概要整理表」で、いただい たご意見をまとめたものです。資料5−2は榊原委員からいただいたご意見です。資料 5−3は今日ご欠席ですが、前田委員からいただいたご意見です。資料5−4は畝山委 員からいただいたご意見です。ご議論いただくに当たり、参考資料ということで、本年 3月に開いた第1回目でお配りした資料を、再度机上に置いております。資料は以上で す。  議事に入っていただきたいと思いますので、相澤座長、よろしくお願いいたします。 ○相澤座長 5回目になりましたが、引き続き、振動障害防止のための作業管理のあり 方について、ご審議をお願いいたします。吉村委員が教授になられたそうで、おめでと うございます。事務局から、前回の議事要旨の報告をお願いいたします。 ○副主任中央労働衛生専門官 前回は7月28日(金)15時から17時にかけて開催いた しました。畝山委員から、米国のANSIが手腕振動の測定及び評価に関する指針を制 定したというご紹介があり、中身としてはISOの規格に沿っているということと、予 測していた以上に早期に制定がなされたと。その背景として、米国において振動障害が 生じていることが推測されるというお話がありました。日立工機から大津さんにお越し いただき、ご説明内容としては、欧州に出す製品については欧州機械指令に従って、E N規格で騒音も測定し、取扱説明書への記述及び本体への表示を行っている。欧州では、 屋外で用いる機械に関しては制限値があって、それ以上の騒音を発するような機械は流 通させられないというお話がありました。重量については、カタログと取扱説明書に表 示をしているというご説明でした。  その後、振動関係について随分ご議論がありました。項目ごとに申し上げると、振動 の大きさと時間とを組み合わせて制限をしていこうと。こういう新しい概念であるから、 国内においての概念の普及が非常に重要なことであるというお話がありました。従来か ら、チェーンソーについては振動障害の原因ということはわりとよく知られているわけ ですが、建設業で使う工具などについても同様の振動障害の原因となる性格があります ので、この面も併せて広報が必要であろうというご意見がありました。  振動工具を指定するに当たって、範囲をどのように決めようかというのが非常に難し い課題であると。1つの案として、想定される使い方で、振動があるレベルを超えるも のなら表示をする、そうでなければ表示不要という考え方もあるというお話がありまし た。工具にラベリングをさせる場合に、輸入業者について漏れがないように補足をする 必要がある。今後2時間を超えて長時間使用することが可能になると見込まれるわけで すが、そうした場合に、振動とは別の観点で頚部や肩に障害が発生しないような配慮も 要するというご指摘がありました。  振動の測定について、現在JISが徐々に整備されつつあるというご紹介がありまし た。表示制度については、ユーザーがわかりやすいものとする観点が必要であるという ご意見がありました。国内に流通させるに当たり、振動レベルを測らなければいけない わけですので、事業者は測定機器を備えておく必要があるというご指摘がありました。 本体にラベリングするに当たり、デザイン的に十分なスペースがないという状況ではあ りますが、最低限、振動と騒音は本体に表示する必要があろうというご意見の一致がみ られました。振動レベルが非常に高い工具についてEUの考え方を適用すると、場合に よっては1日に数秒しか使えない、理論的に数式を当てはめれば、そういうものも出て くる。このようなご議論をいただいたところです。前回の概要は以上です。 ○相澤座長 何かご指摘はありますか。ないようですので、議題1の「表示制度のあり 方に関する検討について」に入りたいと思います。本日、事務局から配付のあった資料 に沿って、ご議論いただければと思います。事務局から、配付資料の内容について、簡 単にご説明いただけますか。 ○副主任中央労働衛生専門官 資料5−1にまとめてありますが、1の「表示制度につ いて」という大きな項目が4頁の下のほうまで続きます。4頁の下から最後までが「作 業管理について」という大きな項目になっております。1の「表示制度について」に限 定して説明いたします。細かい項目は各種ありますが、それを説明いたします。  まず、表示の対象とすべき振動工具の定義付けということで、ご意見を賜ったところ です。「産業用に使用される振動工具」を対象とすべきだというご意見と、「機器及びワ ークピースから振動が発生し、人体の手腕に振動を伝達するもの」という定義もあろう ということです。「工具が振動を発生し、その振動が使用者の健康や安全に悪影響を及ぼ す可能性のある工具」、あるいは「人体の手腕に伝わる振動が一定レベル以上の工具」と いう言い方もあるということです。  可搬式のみならず、据置型であっても、大きくはないけれども振動を人体に伝える。 これをどう扱うかというのも検討課題である。通常意図する使用方法では、非常に振動 が少ないものがある。振動クラッチ機構のないスクリュードライバー等ですが、こうい うものについては除外をしておく必要があろう。その除外の手法としては、2.5m/s^2 未満のものは、それ未満であるという表示をした上で、あとは除外をするという可能性 が考えられるというご意見です。  各メーカーがどんどんと新しい機械をつくるので、工具という名前でカテゴリーを決 めてしまうと、それをはみ出すものがあるからそれはあまりふさわしくないのではない かというご意見もありました。動力源によって、「空気圧」と「電気」という区別は特段 必要ないというご意見です。  次は、職域以外での使用が主用途であるものの取扱いをどうしようかということです。 1番目のご意見は除外しよう。2番目のご意見は必要である。3番目のご意見は職域で 使うものには必要であるということをメーカーなり流通業者に徹底すれば、不要なもの は回避できるだろう。ただ、あまり広げてしまうと、非常に安い製品を流通させている 方々は虚偽の表示をしたり、自分たちでは表示ができないというおそれもあるというこ とのご指摘がありました。ただし、その場合であっても、取扱説明書には振動障害につ いて、何らかの形で記載が必要だろうというご意見です。  次は、海外からの輸入品、国内の中小メーカーの製品の取扱いをどうするかというこ とに関してです。1番目のご意見は、外部に測定を依頼できるような機関を設けてはど うか。2番目のご意見は、ISOの方法があるので可能ではないか。3番目のご意見は、 表示を必要としない分野、ランクということで、先ほどの2.5m/s^2以下であるとか 専ら家庭用であるというものについて、要しないのだということを明瞭にすればどうに かなるだろう。ただし、それでも測定する必要があるところについては、行政レベルで の対応等が必要だろうというご意見がありました。  次は、表示すべき内容は何であろうかということです。1番目のご意見は、振動、騒 音、重量を挙げております。2番目のご意見は、数値で表すのもいいのですが、なかな かわかりづらいのでカラー表示ではどうであろうか。3番目のご意見は、カラー表示な り絵の表示が非常にわかりいいのではないかということです。  次は、振動なり騒音なりの測定および評価の手法をいかにすべきかということです。 1番目のご意見は、ISOを基準にすべきである。それがなければEN規格でやったら どうか。2番目のご意見は、JISが整備されつつあるから、これに準拠すべきである。 3番目のご意見は引用ですが、案を書いていただいております。資料で引用すると5− 4の最初の塊の5頁です。「工具に表示する工具振動測定」ということで案をいただいて おります。7頁で「騒音レベル測定<案>」ということで、JISに従ってやったらど うかというご意見です。  次は、表示箇所をどこにすべきかということです。1番目のご意見は、工具、説明書、 会社等のホームページ。2番目のご意見は、工具はもちろん、カタログや取説にも書く べきである。3番目のご意見は、ネームプレートはかなりスペースが苦しいから、別途 ラベリングをしてはどうか。そして、取説にも書くべきである。カタログは考えるとい うことで、必須ではないということです。  次は、いま現在、チェーンソーは40cc以上のエンジンについては構造規格適用対象で すが、これをどうしようかということです。1番目のご意見は、国際的方法にすべて統 一してしまおう。2番目のご意見も同じです。3番目のご意見も同じで、対象として国 際的な規格に合わせたらどうかということです。  次は、適用対象外についてです。1番目のご意見は含めるべき。2番目のご意見も含 めるべき。3番目のご意見は除外すべきではないということで、いただいた意見は一致 して含めるべきであるということです。  次は、表示の導入をした場合に、当該振動工具は非常に振動レベルが高いものしか市 場に流通していない。表示をする趣旨は、表示を見て、低い振動工具をユーザーが選べ るようにしようという観点ですが、いくら表示をしたところですべて高いのだという場 合、いかなる対処ができようかということでお尋ねをしたわけです。1番目のご意見は、 何はともあれ表示が必要である。高いものも出てくるが、それは作業管理で対処せざる を得ないということです。2番目のご意見も、表示制度の取り入れそのものが目的であ るから、メーカーへの刺激にもなろうということです。3番目のご意見もほぼ同様で、 危険であるという趣旨が工具に表示をされることによって、注意喚起が市場に行き渡る ということで、これは当面の間やむを得ないのではないかということです。  次は、新たに表示制度を導入したとしても、従来から既に市場に存在している振動工 具について、いかがしようかということです。1番目のご意見は、猶予期間をおいた後 に、表示制度を全面的に適用したらどうか。2番目のご意見ですが、古いものについて は使い得る期間を限定してはどうかということです。3番目のご意見としては、過去の ものについては対応することは極めて困難である。ネット等で公開をして、アクセスで きるようにしてはどうかということです。  その他、一部繰り返しになりますが、振動工具のリスクという概念を事業者、作業者、 メーカーに普及をしていこうということが必要であるというお話です。表示制度につい ては以上です。 ○相澤座長 これは前田委員、榊原委員、畝山委員のご意見をまとめたということです ね。 ○副主任中央労働衛生専門官 そうです。 ○相澤座長 逐次、検討をしていただければと思います。1頁の表示の対象とすべき振 動工具の定義付けですが、いかがでしょうか。ご意見等ありますか。産業に使用される もの、振動工具の定義ということが2番目の前田委員のご意見です。畝山委員は振動が 健康影響、あるいは安全に影響を与えるような工具、それから振動工具という言葉自体 にも少し問題があるということが指摘されておりますが、いかがでしょうか。ご意見を いただいた先生、何か追加はありますか。 ○榊原委員 問題になるのが実際の工具だけなのか、それとも装置やワークピースから 出てくる振動のものまで含めるか、ということが1つ論点になってくると思うのですが、 その辺はEUではどうなっていますか。 ○畝山委員 全部ひっくるめてです。ワークピースを通して手に伝わるものも、当然対 象になります。 ○相澤座長 2.5以上は、振動ピースとして認めるということですか。その辺はいかが でしょうか。 ○畝山委員 やはり1つの基準としては、どれだけの振動が出るのだと、エミッション のほうですね。これが1つの閾になるのではないか。当然メーカーのほうとしては、そ のエミッション値以上か以下かということの確認のために、つくる物はすべて測定する 必要があるのです。ここにも書いておきましたが、ここ数年に限らず、新しいカテゴリ ーの工具がどんどん出てきています。実はいまヨーロッパのEN60745という規格の振 動測定の改正の真っ最中なのですが、実はしょっちゅう相談がくるのは、「今度出したこ の工具はどのカテゴリーになるのだ」と。60745で一応パート2で1〜20まで工具のカ テゴリーを決めているので、それに入らないのがいっぱい出てきています。それと、そ ういうカテゴリーを決めてしまうもので、明らかに振動が大きいのはわかっているので すが、対象外だというものも出ていますので、やはり動力工具であって、設計時メーカ ーが想定している使用状態で一定以上、おそらく2.5mという線が出てくると思うので すが、それ以上の工具に対しては振動表示が必要だという線引きをしておけば、今後ど のような工具が現れたとしても適用できると。 ○相澤座長 おっしゃるとおりですね。ほかの先生方、そういうことでよろしいですか。 それから、産業用に使用されるものということでよろしいですか。日用道具、日用工具、 日用大工で使われるもの、これはあとで出ていますね。一応、動力工具であって、振動 を有する物で、振動値が2.5m/s^2以上のものは、振動工具と言っていいのですか。 どうなのですか。 ○畝山委員 これは前回も日立の大津さんからお話があったのですが、メーカーとして は振動工具という言われ方は、ものすごく嫌なのです。それと機械屋的な概念からいく と、振動工具というのは、最近もよく出てきているので、特許などに出てきますが、例 えば旋盤の機械加工でバイトを振動させて、ある特殊な仕事をやらせる。こういったも のを振動工具というジャンルが別にあるのです。いわゆる振動を出す工具であっても、 機械そのものが振動を発生するメカを持っていて、その振動で仕事をすると。ハンマー などですが、それはいいのですが、機械そのものはほとんど振動はない。ただ、それを 使うことによって、ハンマーだと相手材との力関係で振動が出てくるものを振動工具と 呼ばれると、ちょっとメーカーとしてはうーんという感じになるのですけれどもね。 ○相澤座長 使わないでも何とかなりますかね。どうなのでしょう。振動を発する工具。 それでいけばいちばんいいということで、条文などを書いているときは厳しくなってく るかもしれませんね。とりあえずそういうことで、なるべく使わないで、「振動を有する 動力工具」という定義でいくということで、よろしいでしょうか。 ○鈴木委員 いまおっしゃられた2点の区別は、そのこと自体は書いたほうがいいので すか。つまり、振動そのもので仕事をするものという工具と、振動が派生的に発生して しまって、人体に影響するというのは、根本的に違いがありますよね。前者だけなら振 動工具と呼んでもいいわけですよね。 ○畝山委員 それはいいと思います。 ○鈴木委員 「振動を発生する」と書いても、いちいち長い表現だとやはり短くする必 要があって、その2つを合わせて、例えば「振動工具等」と呼ぶとか、それら2つがあ るのだと。本来は上が入るけれども、人体への影響だということであれば下も入るのだ と。それらをひっくるめて、ここではこう呼びますみたいな言い方でもいいのですか。 ○畝山委員 日立さんや松下さんと時々話すのですが、メーカーサイドとしては、まず 振動工具という名称ありきという印象を我々は受けたのです。本来それがどういうもの なのだというと、あと名称がずらっと並んでくるというのが、いままでの規格などに出 されているものなのです。私のほうにも多少入れていますが、例えば振動障害対策にお いては、こういうものを振動工具と呼ぶという定義付けをした上で、それがどういうジ ャンルに入るのだということが明確になれば、別に振動工具という名称は、定義付けが きちんとしていれば構わないとは思うのですけれども。 ○相澤座長 振動の弱いものは、振動工具にならないということになりますかね。 ○畝山委員 そうですね。私どもにゼネコンや基準局のほうからよく問合せがきて、そ の中で、例えば普通のドリルですね。こんなものは最大径のキリを付けて、かなり粗っ ぽい使い方でもせいぜい2m足らず。通常のときは1mオーダーというところなのです が、これは振動工具なのかどうなのか、という聞かれ方をされることがよくあるのです。 ドリルを振動工具と言われるのはちょっとやばいよねというところがありますので。 ○相澤座長 なかなか難しいですね。これはまたあとでも問題になると思いますし、こ ればかりやっているわけにもいかないので、先に進みましょうか。2頁ではいかがでし ょうか。特に日常で使われる大工道具などまで、表示する必要があるのかどうか。 ○榊原委員 メーカーのほうで、プロ用と民生用と区別はしているのですか。 ○畝山委員 ほぼ区別はしていますが、状況的に問題になるケースが2つあります。1 つは、いま例えば日本ですと、ホームセンターに行って、日用大工でテーブルを作るの だから安い何かないかなということで、買ってくると。それといわゆるプロが自分の職 業で使うものですね。これは日本では大体、販売系列が分かれているのです。いわゆる 金物屋さんや大手の専門店ですね。そういう所で扱う物と、ほとんどのメーカーはそう ですが、製品のランク分けをして、こっちは一般ユースラインだということで、コスト もそこそこ。ただし、主に耐久性なのですが、それもそこそこと。我々は以前、丸ノコ 調査をしたのですが、通常、普通に日用大工と言って生涯に使われる時間は、大雑把に 言って3時間ありません。せいぜい1日5分か10分。どのぐらいかというと、「あれは 時間かかったからね、2カ月も使ったよ。延べで1時間も使ったかな」と。だから、よ く言うのですが、プロ用の工具をそういった用途で買われるのなら、曾孫の代まで使え ます。ただ、実際にその程度の物でいいというのであれば、はっきり言って数千円で売 られている安い物でも、ちゃんとその程度までは使えます。それが1つです。  もう1つは、いま市場がだんだんアメリカチックになってきていて、アメリカの場合 は大手のホームセンターが何社かあって、そこが完全にプロラインの物を揃えているの です。5年ぐらい前に私が調査に行ったときは、プロはあくまでもハードウェアショッ プ、インダストリーショップといった所で買う。規模は違いますが、ホームセンターは あくまでも日用大工だというのが、いま逆にホームセンターですと出す量が違いますか ら、専門店で買うよりも値段が安いのです。プロがホームセンターでプロ用の工具を選 択して買うというのは、ヨーロッパもだんだんそうなりつつあります。日本にも、その 傾向は出てきつつあります。  これはどうでもいいのですが、うちで言いますと、ホームセンター用、一般用使用と してMシリーズという、多少耐久性のランクを落としたものを設定しているのです。こ れがホームセンター用だということで設定しているのですが、実際にホームセンターの ほうで、「いや、プロ用も置くんだ」ということで、はっきり言って見て呉れはそんなに 変わらないのです。中の材質やシビアなところでコストを下げてということをやってい るのですが、実際日本でもそういうのが大手のホームセンターには並ぶようになりまし た。  販売チャンネルで区別するというのはできないのですが、メーカーサイドとしては、 これはもうプロに使ってもらう物だという設定と、これはもうこの値段で、とにかくユ ーザーに気軽に使っていただこうという物との仕分けは、どこもできているわけです。 特に海外メーカーの場合は、はっきりランク分けしています。それから、名前を変えて いるのもあります。ぶっちゃけて言うと、ブラック・アンド・デッカーが10年ぐらい前 ですか、デウォルトという昔のプロ用ブランド名を新しく復活させたのですが、これは 完全にプロ用だと。ブラック・アンド・デッカーは、これはもう一般ユースだという物 で仕分けしていますので、そういったことでメーカー、販売サイドのほうもその区別は つくはずなのです。  もう1つ私が気になっているのが、実は私も経験があるのですが、明らかにこんな物 をプロが使うわけないという物を実際プロが使っているという経験が少なからずありま す。私が経験した中で、いちばん多かったのはグラインダーなのですが、グラインダー なんていうのは、プロが使うと2年持ちません。ところが、いわゆる日用大工用として 数千円で出ている物、これをプロが使うと3カ月らしいです。ところが、それでもその 製品のある特定の部分が気に入ったから、ほかの仲間に知られたら馬鹿にされるから黙 って隠しているのだけれど、俺はこれを使うのだと。だから、買うときに5台一遍に買 う。グラインダーを使うとき、ほとんどこれを使っているのだと。はっきり言って、普 通のグラインダーが実勢で2万から3万のところを、そのお客さんは石屋さんなのです が、「いくらで買ってますか」と言ったら、6,000円で買っていると言っていました。ほ かにも丸ノコの関係とか、そういうケースを私は結構目にしていますので、そうなると プロ用ということだけで規定してしまうと、そこから漏れるのが出てくるおそれがある という気はしています。 ○榊原委員 EUの機械指令の場合はどうですか。 ○畝山委員 これは全部ひっくるめてです。ただ、HSEのパンフレットで、今朝も探 して見つからなかったのですが、要するにホームユースの物に関しては使用時間が短い し、曝露そのものが小さいもので、そんなに問題視する必要はないという情報がどこか にあったような気がして探したのですが、どのパンフレットだったか。ただ、EUの場 合は別にブラック・アンド・デッカーのデウォルトであれ、B&Dであれ、ボッシュの ブルーラインであれ、グリーンラインであれ、これはすべて謳う必要があります。 ○相澤座長 日用品については、相当難しいところですね。 ○畝山委員 だから、一応名の通ったメーカーであれば、強制しても何ら問題ないと思 うのですが、実はここへも少し書いておきましたが、はっきり言っていまいちばん気に なっているのが中国製の安物です。これは数年前に偽物をいっぱい作られたもので調べ たことがあるのですが、まずメーカーそのものがはっきりしないと。その裏はいっぱい あるのです。それと例えば日本の場合でも、そういった物を売っているのですが、どう もロットのスポット買いをやっていると。だから、当然修理も効かない、売りっぱなし です。ぶっ壊れたら、「その値段でぶっ壊れたのだから、文句ないでしょう」というレベ ルでやっている。  実はそういったものがヨーロッパにもどんどん流れていて、ちゃんとCEマークは付 いています。振動値も謳っています。これはうちの偽物なのですが、取説の振動値まで そのままコピーしている。ものはハンマーなのですが、現地で手に入れて、使ったら一 発で偽物だとわかるようなこんなひどい振動はないなどと言って、サンプルを送ってき てみたら取説の振動値、うちの製品と振動値が一緒なのです。だから、そういうケース が発生するとなると、もう逆にヨーロッパでも一部、日本でやる買入試験のようなこと をやって、部分的にチェックは入っていますが、そういったシステムを導入しないと、 それが本当に正当な値なのか、ある意味捏造したものか。はっきり言って、取説をフル コピーして、メーカー名だけ削って版を変えているなというのがわかるような物もあり ますから。 ○相澤座長 プロ用でも、そういうことはあり得るわけですよね。それはあまり考えす ぎるとあれですからね。原則的でいいと思うのですけれども。 ○畝山委員 考えすぎると何もできなくなってしまうので、やってみるしかないのだろ うとは思うのですけれども。 ○相澤座長 日用品でもプロが使う可能性もあるから、一応付けたほうがいいというこ とでしょうかね。そういうことでよろしいですか。ほとんど同じものでしょうから、メ ーカーとしても、別にそのものによって区別する必要もないわけですよね。 ○畝山委員 そうです。だから、設備さえあれば、ISO8662なりENなりに準拠して やっても、測定そのものは1機種当たりかかっても2時間。 ○相澤座長 一応大工道具も付けるということで、よろしいでしょうか。ありがとうご ざいます。  次は海外からの輸入品です。特に中小メーカーの製品の扱いです。いまちょっとお話 がありましたが、こういった測定できない中小企業からのプロダクトということですが、 これはどのようにしたらいいですか。どこかで検査できるようなところがあればいいで すね。 ○畝山委員 そうですね。だから海外の場合、国の認定機関などに委託してということ をやっていますし、一種の賃仕事ですが、大学で測定を引き受けて、責任をもってこの 振動値だということを出している大学もあります。 ○相澤座長 そうしたら、それは日本でもできますね。ありますか。 ○畝山委員 ただ、調べてみたのですが、振動測定を請け負っているという所は日本に も数社あるのですが、現実に例えば「ISO8662に従った振動測定をやったことがあり ますか」という問合せをメールでしたら、規格は持っているけれども実施したことはな い。実施するためには、相当ジグ等を作らなければ駄目なのです。  もう1つ心配なのは、振動測定の場合、測定者の力量というのがかなり効いてきます。 規格にもはっきりとスキルドオペレーターを使えと謳ってあるのですが、私どもでも大 体新入社員は、配属になってすぐ1年間は測定はさせますが、そのデータは使いません。 あまりにばらつきすぎて、とんでもない数字が出る。実際の作業も兼ねて1年ぐらいや らせていると、大体使い方を覚えてきて、プロの使い方のコツというのですか、3人測 らせればそこそこデータも揃ってきます。このぐらいなら別に問題にするほどではない なということがあるもので、そういったことを委託しますという所があったとしても、 どこまでの信憑性をもって振動データが出せるか。結局はこの辺も、例えばチェーンソ ーの場合は林野庁がやっていますが、そういった形でやはりある程度行政サイドのバッ クなり、検証が必要なのではないかという気はしています。 ○相澤座長 そういった条件で、中小企業もやると。これは中小企業だけ外すというわ けにはいかないですね。おかしいですよね。それは行政に考えていただくということで、 いきたいと思います。  次に表示すべき事項、表示方法ですが、振動、騒音、重量等というご意見と、これを グラフィックで表すか、数字で表すかということもありますが、いかがでしょうか。カ ラー表示、これは統一したものはないのですよね。ある値以上だったら赤とか、そうい うことですか。 ○畝山委員 これはEUでやっているのもハイヤーとメーカーと一部のコンストラクシ ョンが共同でそういったものを決めてやっているというところと、1つの企業で私の所 はこうやるということでやっているという状況です。それがだんだん一般的になりつつ あると。対策値と限度値を境に3つに分けてというのが一般的になりつつあるのです。  これも生々しい話なのですが、類似機械であれば、ある程度の対策をやれば大体同じ ラインに入ってくるのです。そこから先何が起こるかというと、今度は極端に言うと、 7.6mと7.7mでどれだけ差があるのだと。こんなものは測定誤差、指針のばらつきの範 囲内なのですが、それが今度は独り歩きしてセールスポイントになってしまってという ことで、現実にヨーロッパで非常に熾烈です。 ○榊原委員 7.6とか7.7とか。 ○畝山委員 これは具体的な数字なのですが、向こうが7.7だけど、うちは7.6に何と かできないのかという営業からのプッシュもあります。そういう意味から言うと、数値 はどこかに載せなければいけないでしょうけれども、ユーザーの判断としてはこれが危 険域なのか安全レベルなのか、注意して使わなければいけないレベルなのか。それで言 うと、やはり3つの仕分けというのはちょっと粗っぽすぎるかなと。前田委員のほうが もうちょっと詳しく案を出されていますが、もうちょっと幅を広げて仕分けして、パッ と見てこれはどのレベルの機械だなということがわかるような表示が必要だと思います。 ○相澤座長 それから、騒音についてもそうですね。騒音もデシベル値でやるよりは、 グラフィックのほうがいいですか。重量はしょうがないですね。 ○畝山委員 この間も大津さんのほうから話が出ましたが、世界的なレベルとして重量 をどうするか自体、まだはっきり決まっていないのです。一般的には取付工具は省く、 電動であれば電源コードは省く云々があるのですが、これもまだ結論が出ていない状況 です。ただ、そうはいってもカタログや取説には、全部質量を載せていますので、それ をそのまま転載するということであれば、別にやることに対して問題はないと思います。 ○鈴木委員 振動と騒音というのは、もし2つ書く場合、例えば20種類その対象となる 物があって低い順に並べたときに、振動と騒音の相関は極めて高いのですか。つまり、 振動は小さいけれども、騒音が大きい機種もあるなど食い違うような情報になると、極 端な場合、振動は緑だけれども、騒音は赤だみたいなことがあり得るわけですか。 ○畝山委員 あり得ます。 ○鈴木委員 振動と騒音の情報が食い違うような場合には、今回の場合には振動を優先 して議論していくのか、悪いほうで取るのか、その辺はどんな感じでしょうか。 ○畝山委員 これは私どもは長々と書いておいたのですが、振動の場合はエクスポージ ャー、曝露のほうは、実際に使っている工具のみに依存します。だから、例えばこの部 屋の中でハンマーを使うと、そのハンマーが発生するエミッションが直接エクスポージ ャーに関係してくるのですが、騒音の場合はほかの要因がいっぱい出てきますよね。例 えばこの部屋の残響であるとか、いちばん大きいのは、例えばハンマーを5人の方がこ こで5台使っていても、一人ひとりに関してはそのハンマーの振動のみに依存しますが、 騒音は5台使っていたら、全部エクスポージャーが入ってきます。だから、騒音につい て、その機械が単独で発する騒音だけでどうのこうのというのは、ちょっと私としては 問題があるのではないかと。 ○鈴木委員 一言で言うと、環境に依存せず決められるのは振動のほうだから、トラフ ィックライトシステムを使うとしても、振動がベースとなるという考え方ですね。 ○畝山委員 はい。 ○相澤座長 騒音の場合は、作業をしていない状態で、ただ動かして発する騒音ですよ ね。 ○畝山委員 それも通常は半無響室。 ○相澤座長 相手はないわけですね。 ○畝山委員 はい。これはほとんど振動測定と一緒にできるようになっていますので、 場合によっては無負荷もありますし、場合によっては実際の模擬負荷を掛ける、実際の 作業をやるなどと、ISOにしても、ヨーロッパの規格にしてもいろいろなのです。だ から、純粋に学問的に発する騒音がどうだということであれば、いまあるISO規格で 十分対応はできると思うのですが、それを実際の作業時の曝露騒音とどう関連付けるか というと、関連は付けられないと思うのです。 ○相澤座長 表示は負荷を掛けないときも騒音ということでしょうね。 ○畝山委員 一定の条件下で、それも半無響室という無限の広さを持つ平面で発する騒 音という形で済むので、実際の作業をやっている現場、極端に言うと屋外でやっている か、コンクリートを打ちっぱなしの狭い部屋の中でやっているか、これは全然曝露レベ ルが違います。その辺を考慮せずに測定値だけでというのは、ちょっと。 ○吉村委員 騒音のほうは環境に作用されて、振動はあまり作用されないということだ ったのですが、イメージとして、例えば被作物、被加工物が非常に大きな物だと、反作 用で効果は逆に揺れやすくて、非常に相手が軽いと揺れにくいとか、相手との関係で振 動が変わってくるということは、あまり考えられないのでしょうか。 ○畝山委員 極端な場合あると思うのですが、振動はむしろ使い方によります。前にも 言いましたが、例えばハンマーでコンクリートをはつるときに、ピンピンに磨ぎ上げた ビットが鋭い物でやれば、かなりというか、それが標準の測定値になるのですが、それ をまる半日、2日ぐらい使って、もうビットが鈍化してしまう。先が丸くなって、こう やったって全然痛くもないという状況になると、私の経験で振動値が5倍ぐらいにはね 上がります。 ○吉村委員 先端の磨き具合が影響するわけですか。 ○畝山委員 はい。これはチェーンソーの場合も一緒ですよね。刃の磨ぎ方、目立てで 全然変わってくると言われていますが、それと同じ新品の工具であっても、角っこをは つってとばしていく場合と、でっかい物をど真ん中でどんどんやっていって、穴は空い ていくのだけれどもはつれないと、割れないわけですね。この場合と全然、振動値が変 わってきます。  騒音も振動も、とにかく実際の現場でどうなのだということの議論を始めると、1千 通り、1万通りのケースを持ってきて、これはどうなのだという話になりますので、そ の辺はこんなのがほぼ標準的なところだろうというところで定められている規格をベー スに置いて、現実にいまISOもENも改定途中なのですが、1つの典型的な型式試験 値というものを導入せざるを得ないのだろうとは思っています。 ○吉村委員 条件をある程度明確にしておかないと、状況で全く変わってしまう。 ○畝山委員 はい。 ○相澤座長 それでは、一応、騒音、振動、重量、重量も本体にラベリングするわけで すね。取説だけではないということで、よろしいですか。取説でもいいですか。重量は 取説でいいのではないか。道具にもよりますよね。 ○畝山委員 この間、大津さんも言っていましたが、現実的にいまの製品はデザインが かなりこっているもので、表示する場所が少ないのです。 ○相澤座長 振動、騒音については必須ということで、重量は取説には載せるけれども、 本体に載せるかは任せるということですかね。ありがとうございます。3頁の騒音、振 動レベルの測定評価法ですが、いまも少し話が出ましたように、これをISO規格とす る、あるいはなければEN、日本のJISがあるというご意見もありました。それから、 畝山委員から提案された資料5−4ですが、そういうものもあるということです。これ は3人のご意見が分かれてしまったのですか。畝山委員のは、JISとも違うのですか。 ○畝山委員 JISが現在整備されていなくて、ISOではエンジン工具に関してチェ ーンソーと兼合いができている。これは騒音も振動も測定規格がISOはできています ので、それをもってくるのが妥当かと。 ○相澤座長 ISOがあれば、これでいくと。 ○畝山委員 ある意味、現在ある騒音も振動もISOで、これはTCが違うものでエン ジン関係のTCがやっているものですが、これが2001年、2002年だったか、ごく最近 両方とも測定規格ができていますので、これがJIS化されればいちばんいいのです。 ○相澤座長 まだされていないのですね。 ○畝山委員 はい。あとISO5349、8041、8662のパート1からパート14は、JIS 7762は8662に相当しますが、これが9月2日に制定・発効されていますので、一応全 部これで適用はできるはずです。 ○相澤座長 これはENはまた違うのですか。 ○畝山委員 前にも申しましたが、ENの場合は電動工具はCENELEC、非電動工 具はCENと、この両者はかなり仲が悪くて、電動と非電動ということははっきり規格 にまで謳って、別々の規格が出ています。むしろCENのほうはISOに依存している 面が多いのですが、CENLECのほうは電動工具に特殊性があるからということで、 ISOと違った規定をしようとしている面があります。それと、あくまでもENは欧州 規格で、国際規格より1ランク下がるわけですから、その意味合いからもJISがあれ ばJIS、なかったらISOに準拠するというのが、いちばん妥当かという気はしてい ます。 ○榊原委員 一応、電動工具の場合もISOで。 ○畝山委員 ところが、ないのです。 ○榊原委員 その辺がいちばん問題ですね。 ○畝山委員 実はJIS7762、ISO8662は、エアー工具のテクニカルコミッティーが 担当していますので、グラインダーなどは電動もエアーも油圧も、すべて含める。別の 部ではエンジン工具まで含むと言っておきながら、別のパートを持ってくると、これは エアー工具に限定するなどということがあります。IDT規格でそのまま訳しています から、そのままずばっと適用はできないもので、これを運用上、類似工具には適用して もいいというものを何かで謳い込む必要がある。もう1つは、現状まだこれは単軸です。 優先単軸、Z軸の測定で済むので、これを3軸測定に置き換えるような運用をどこかで 考えなくてはならないかと。だから、JISのBの7762で規定した測定点で3軸で測れ という形にするのか、もしくは例の換算値を使うかなのです。 ○相澤座長 JISかISOかということで、ENは榊原委員がご提案ですね。 ○榊原委員 そうです。電気工具がないというお話を聞いていたものですから。 ○相澤座長 JISもISOもなければ、使わざるを得ないですかね。そういう順番で いけばいいですか。 ○畝山委員 そうですね。ヨーロッパの場合も、まずEN、次はISO、次が各加盟国 内の国内法を探せというようになっていますから、日本だと当然JISが最優先という 話になると思います。 ○相澤座長 JIS、ISO、ENという順番で、よろしいでしょうか。  次は表示箇所ですが、工具、説明書及びホームページ。カタログ、取説、ネームプレ ート。ネームプレートというのは工具ですね。違うのか。工具本体へマーキングする。 ネームプレートというのは、ラベルみたいなものを本体に貼るというものですか。 ○畝山委員 はい。モデル番号とか製造番号など。これはネームプレートへ組み込むの は困難な内容というのは膨大なもので、最近の小さい工具ですと、笑い話ではないので すが、工具の付属品に虫眼鏡を付けておこうかというぐらいです。 ○相澤委員 これは皆さん同じですね。ホームページというのもあるということですね。 ○榊原委員 表示のことで、カタログをどうするかということが、ヨーロッパではしな いという話をされているということですけれども。 ○畝山委員 ヨーロッパではEPTAのほうでしないという話になってしまったのです が、ユーザーの便を考えれば、まずカタログに記載してあれば、欲しいカタログを集め てくればそのカタログと比較するだけでわかりますし、まず日本でカタログ記載は嫌だ という所はないと思うのですけれどもね。 ○相澤座長 それでは、工具、カタログ、説明書、場合によってはホームページという ことで、よろしいでしょうか。  次は、チェーンソー構造規格に適用対象となるチェーンソーの取扱いですが、40cc以 上のものについては国際法に統一するというのと、国際整合がとれていないので、内容 の見直しが必要。構造規格の振動・騒音のところが国際整合性のないものになっている 現在、他の工具に整合させて改正すべき。国際整合がとれていないわけですね。 ○畝山委員 現状は、まず人体振動のWの補正がかかっていないです。それと表示がデ シベルで、このデシベルも国際基準のデシベルの値と基準が狂っているという。 ○相澤座長 これは具体的に、どういうことでしたっけ。 ○畝山委員 これはチェーンソーの規格で、測定方法が謳われています。これは、どっ ちみち改正しないと、これではチェーンソーだけ置いてきぼりになってしまうような。 ○榊原委員 チェーンソーの場合、林野庁の関係機関で既に騒音と振動の測定をしてい るわけですが、その振動の測定方法と表示の仕方が、現在のISOのやり方と異なって きてしまっていますから、その辺はこの際、もしできれば一緒に合わせたほうがいいと いうことになると思います。 ○相澤座長 林野庁ですか。 ○榊原委員 林野庁の方法ですね。 ○相澤座長 それは、省庁間で調整していただくことになります。それは皆さん、一致 しておられますね。  次は、適用外のチェーンソーの取扱いです。産業用であれば、表示制度の対象を含め る。導入は必要。これは、ないのですか。 ○畝山委員 いま、40cc以上が適用範囲で、40cc未満のものは含まれていません。 ○相澤座長 しかし、産業用であれば表示制度の対象に含めるというのが、榊原委員の ご意見ですね。 ○畝山委員 構造規格が作られた時点で、小さいチェーンソーはなかったと思います。 ○榊原委員 昔は、60ccとか80ccが中心だったけれども、いまは40cc以下が結構出て きています。 ○畝山委員 いまは24ccとか25ccなどもあります。前田委員のレポートにありました が、実際にプロは丸太引き用と枝払い用で、チェーンソーの大小を使い分けています。 ○相澤座長 そういう小さいものも測定方法をきちんとすべきで、ISOという国際規 格はありますか。 ○畝山委員 あります。 ○相澤座長 ISOですか。 ○畝山委員 ISOです。 ○相澤座長 それに従って、日本国内のも整合を取るようにする。これも林野庁ですか。 ○畝山委員 あとは、例えば普通の工具の場合は、ある意味では宣言値ですから、自分 のところで測ってこういう値ですよと。ところが、チェーンソーの場合は林野庁、公的 機関で測って、こうですよというお墨付をもらってラベリングをすることになっていま すが、その辺の整合性をどう取るか。 ○相澤座長 それは、あまりこちらからは。省庁間でよろしくお願いします。  次は、ある種の振動工具について、振動レベルの高いものしか流通しておらず、低振 動工具の選択ができない事態における対処。まずは、表示をするということですね。す べて高い場合はしょうがないですね。質問が難しいです。これは、高いものは表示して いかざるを得ないということですね。 ○畝山委員 作業時間で管理していくしかないですね。 ○榊原委員 それで、あまりにも振動レベルが大きすぎて、実際に使える時間が数分し かないという機械は、現実的にはどうなっていきますかね。 ○畝山委員 産衛学会の勧告値のほうも、文章的にはこんな機械が世の中にあったら駄 目だという内容ですよね。 ○相澤座長 実際には、まだあるわけですね。 ○畝山委員 あります。ただ、例えば日本でこういう規制が出てくれば、非常にいい面 で競争が出てきますから、おそらく一定期間、それもそんなに長期でないうちに、新し い低振動のものがどんどん出てくるという良い傾向が出てくると期待をしています。 ○主任中央労働衛生専門官 そういうものは、メーカーで何年かあれば対応が可能でし ょうか。いまは非常に大きな振動が出ているものしかないけれども、研究開発すればそ ういったものでも、小さな振動に改善していける見通しといいますか。 ○畝山委員 私どもは2年ほど前に、ハンマーの振動を半分以下にしました。他社さん もこの間、大幅に振動低減をやったハンマーを発表しています。いちばんの問題は、最 初の話にも出てきたと思いますが、2時間規制であると。2時間以上使わなければいい ならば、振動が低かろうが高かろうが関係ない。だから、逆に2時間規制というものが あって、こちらに低振動工具があったとしても、低振動工具を選択する必然性がなくな ってしまう。それと当然のことながら、ある程度最新技術を組み込んで低振動化してい きますので、コスト的な問題も出てくる。ユーザーとしては、そういった問題がなけれ ば、同じことをするのであれば当然安い工具にこしたことはないですから。こういう規 制が出てきて、多少のコストはかぶっても低振動で長時間使えるものをという流れにな ってくれば、メーカーとしてもそういうニーズに従ったものも否応無しに開発せざるを 得ないです。  ただ、ある程度数が捌けている製品ならいいと思いますが、ぶっちゃけて言いますと、 いまほとんど生産されていない削岩機とかロックドリルの系統で、例えばメーカーが開 発費はペイできないよというケースが生じた場合、対応できるかどうか。電動工具の場 合でいきましても、私どもは代表的なもので2機種を出しましたが、その1機種に関し ては発売量も大したことがないし、開発経費をそこまで投入して、低振動のものを作る 意味があるのかないのかで、さんざっぱら経営問題になってしまいました。私も制裁を くらいましたけれども。実際にヨーロッパでは、事業者からユーザーが、まず選択の第 一要件として低振動が定着してきていますから、市場がそのように動けばメーカーも対 応はしていけるはずです。 ○相澤座長 そういうものがある場合でも、表示はせざるを得ないということですね。 よろしいですか。実際は困ると思います。これは多分、ガイドラインですよね。 ○主任中央労働衛生専門官 表示は、一般的に言ってですが、ガイドラインでどう実効 性をあげるかの問題が考えられます。 ○畝山委員 強制でないと。 ○相澤座長 人間がやらないで、ロボットにさせるということになりますね。 ○榊原委員 振動ですから、騒音のレベルは機械そのものの性能という情報提供の1つ だと思います。ですから、とにかく振動する工具の振動と騒音のレベルはこれだけです よという情報提供を義務的にやってもらうということです。それがあまりにも高すぎた 場合は、必然的にこれは高すぎて使えないということになってきますので、自然に振動 レベルの低いほうをユーザーが使うような動きになってくるといいなと思います。 ○相澤座長 そうできればいいですね。できないのがあると困ると思ったのです。これ はそうしておいて、実際にこれから現場でどうなるかをシュミレーションするわけです よね。 ○榊原委員 メーカーのほうが、どうかということもあると思います。 ○主任中央労働衛生専門官 問題は、振動が極めて非常に大きな機械の問題だと思いま す。現時点で同じ作業をするのに、ほかに小さな機械がないという場面で、仕事をして はいけませんということになるのかどうか。かといって、健康問題はもっと重要ですか ら。 ○労働衛生課長 今回は、これより上のものを使ってはいけないという規定ではないの で、先ほどの委員のご指摘のように情報提供ですので、あくまでもその範囲でユーザー に選んでいただくということで、非常に強い規制を強化する、あるいは即何かを止める とかそういう話ではないと思います。 ○相澤座長 これからガイドラインというか、規制値が出てくると瞬間しか使えないと か、ものすごく振動のあるものだと何秒しか使えないという可能性があるので。 ○労働衛生課長 ある程度振動性の高いものについては、一定時間しか使えないとかの 規制をするならばまた別ですが、とりあえず表示をどうするかという話です。 ○相澤座長 表示については載せるということで、あとでまたやりましょう。 ○主任中央労働衛生専門官 表示の話とユーザーの作業管理、時間規制の話の2種類が あると思います。 ○相澤座長 いずれは、作業時間にかかってきます。 ○吉村委員 参考までに、どういう工具にそういう危険性があるのかを教えていただけ ますか。 ○畝山委員 通常ですと、ハンマーです。現実に、20mをはるかに超しているハンマー が存在します。だから、使える時間が7分22秒とか4分30秒とか。あとはインパクト レンチも、1本のネジ締めの時間は短いですが、1日に1,000本、2,000本を使ってし まいますと、相当な曝露量になると思います。 ○相澤座長 回数が増えるということですね。 ○畝山委員 私のほうでとにかく振動をなんとか対策しなければいけないと考えている のは、ハンマー、インパクトレンチ、往復動ののこです。ジグソー関係。ただ、この辺 は順次対策も打っていますし、海外メーカーもいろいろな手を使って低振動化をやって きています。それと現実の施工状態を見ていても先ほどの話ではないですが、ロボット 化、機械化というのは進んできていますから。 ○相澤座長 また、作業管理のところで話題になると思います。  次に、既に流通している振動工具の取扱いです。これは、いま流通しているすべてに 表示を適用するのと、新しい工具について適用するという2つのご意見があるようです。 現在使われているものについては、現場での曝露評価の方法で管理をする。猶予期間が 必要であるとの意見です。 ○畝山委員 これは非常に現実的な話になりますが、実際に市場というか、お客さんの 手に渡っていないけれども、工場から出ていっている工具に対しては、メーカーサイド から言うと、この対応はまず不可能です。現実に、工場から出て5年後、6年後にやっ とユーザーの手に渡る製品があります。数がどのぐらいだということを把握することは 可能だと思いますが、何千件、何万件の販売店、問屋にあるものを引き上げてラベリン グするとか、問屋にラベリングをお願いするのは、まず不可能に近いです。 ○主任中央労働衛生専門官 いま、製造時期はラベルに書いてありますよね。 ○畝山委員 製造年月までは、必ず入っています。だから、例えばこういうラベリング をやることになれば猶予期間はあると思いますが、おそらくどのメーカーも1年もあれ ば十分対応できると思います。ただ、その前のものは、例えばネームプレートに関して 言えば、電気安全のがかかったときの変更にしても、古いものは手の付けようがないで す。だから、できるだけ新しいものに切り替えて工場から出していくけれども、それ以 前のものは店頭掲示とか販売店に、こういうことですからとお願いしていかざるを得な い。問題は、人体の健康に影響をという話になりますと、情報は出さないと駄目だと。 そうなると、どこかで振動値、騒音値がデータベースとして拾えるようになっていない といけない。  現実に、いまはドイツとスエーデンにはネット上で公開されているものがあります。 こうなると、中災防あたりが出番かなという気がしています。ここを見てもらえば、現 在市場にある動力工具の振動値は拾えますよと。それから拾って判断してくださいとい うことをお願いするしかないのかなと。ホームページのほうが確かにやりやすいのです が、日立のホームページにアクセスしても、日立のものしか拾えない。例えば、工具を 作っているメーカーは、私が知っている範囲でもかなり巨大なものをたくさん作ってい るけれども、1つだけ電動工具を作っている。しかも、その電動工具自身がそこそこの シェアを持っているメーカーもあります。どこかで、ある意味で公的なバックボーンを 持ったデータベース公開というものをやるべきではないか。私はしょっちゅうHSEな どのホームページは覗いていますが、そのようなものがあると関連情報も流せます。 ○榊原委員 最終的には、中災防かどこかに全部データを集めてもらって、そこで公開 してもらうと、比較する場合も非常にいいですよね。 ○相澤座長 新しいものについても含めてですね。新しいものは、工具に表示するとい うことですね。 ○主任中央労働衛生専門官 集める場合、結局メーカーに昔のものを測ってもらわない といけないことになりますね。 ○畝山委員 そういうことです。だから我々がいま考えているのは、少なくとも現在市 場に存在していて、動いている機械に関してはデータを出さないといけないだろうなと。 はっきり言って、大雑把に勘定しても1,800機種ぐらいはあるのですが。 ○相澤座長 ありがとうございます。「その他」は、作業管理のほうでよろしいですか。 EUのことでその他とありますが、榊原先生ですか。 ○榊原委員 これは前田委員です。 ○畝山委員 基本的に前田委員がしょっちゅう言われていたのは、A(8)を基本にし て曝露対策値を決めていくというEUの振動指令の内容を、そのまま日本へ取り込める のかどうか。要するに、何を基本にして規制をかけていくのか。それが、まずはっきり しないと次に進めないねという話です。 ○相澤座長 表示してもですね。 ○榊原委員 リスクの考え方の問題ですね。 ○畝山委員 そうです。 ○相澤座長 大変時間がかかってしまって申し訳ありませんが、表示についてはご同意 いただいたということでお願いします。  4頁の2の「作業管理について」も、今日ご意見を伺うことになっていますので、逐 次お願いします。まずは、管理対象の業務の位置づけということで、EU指令と同じよ うに2.5でいくか、手に振動が伝達する作業すべてをやるか、「仕事を行うために振動工 具を使用することがあるもの」とするということです。いかがでしょうか。「振動工具」 ということを謳っていますが、これは2.5以上ということですね。手に振動が伝達する ことになると、全くあれはないですか。これは少し難しい感じがしますね。 ○畝山委員 ただ、ここでは最初に出た振動工具というものを定義づけすれば、その振 動工具を使うものと。 ○榊原委員 だから、実際上は2.5以上あるということになるということですね。 ○相澤座長 これは時間に限らずですね。 ○畝山委員 それを1日のうち、たとえ3分間しか使わなくても、一応管理対象になる よと。 ○榊原委員 そうですね。 ○相澤座長 そういうことでよろしいですか。 ○井奈波委員 これはこれでいいのですが、工具が古くなって高くなることはあります か。 ○畝山委員 あり得ますが、EUの場合は、はっきり規定していますが、日本でもチェ ーンソーのようにこういうメンテはきちんとやれと。ほかの一般工具に関してもメンテ をきちんとやっていただくことは大前提でないと。日本のユーザーは、いい加減な使い 方をしていないですから。 ○相澤座長 振動が古くなったものも測ってやらなければいけないということですか。 ○井奈波委員 途中で古くなって動かなくなる可能性もあるということで、定期的に。 最初から切ってしまうと、低いものは野放しになってしまうのではないかと思います。 ○主任中央労働衛生専門官 ユーザーに、そういう測定をやってもらうのは極めて困難 のような感じがします。 ○畝山委員 要するに、測定機能のコストですね。 ○主任中央労働衛生専門官 簡便なものがあるのですか。 ○畝山委員 あります。簡便なものといっても。 ○榊原委員 ですからユーザーでやるとしたら、自分の所の作業現場で、実際にどの程 度の振動が出るかというのを測定してもらうといいと思います。 ○主任中央労働衛生専門官 今は、できるものもあると。 ○榊原委員 そうです。それは簡便な測定器がありますので。 ○畝山委員 振動測定器として、日本でも4機種か5機種は入手できます。 ○榊原委員 いくらぐらいですか。 ○畝山委員 安いので70万円、高いのでは140万円だったっけ。 ○井奈波委員 2.5と決めると、それ以外は落っこちてしまうので、例えば2.0ぐらい からにしたほうがいいのではないかということです。2.5よりもう少し下げておいて、 変化する可能性があるかなということでどうかなということです。 ○畝山委員 現実に2.5程度の振動レベルの工具ですと、かなりいい加減に使ったとし ても早々に振動レベルが変わるような。例えば往復動のハンマー機構は、エアーのスペ ックが多少変わるとかガタが出るとかでも大幅に変わってきますが、2.5というとほと んど回転運動の機械に限定されますので、メンテが悪くてそんなに振動値が変わってく るということは少ないと思います。 ○相澤座長 少し振動が強くなったらメーカーのほうでやってもらうとかということな のでしょうか。きちんと制度化するのはなかなか難しいかもしれません。よろしいです か。ありがとうございます。  次は、5頁の管理項目の修正です。作業時間2時間規制を、8時間等価振動レベルを 基準とした振動曝露管理又は作業時間管理とする。それから、EU指令を取り入れるか どうかによる。具体的な内容については別途検討する必要がある。これは、いかがでし ょうか。いままでのご議論では、騒音レベルと時間との関連でいくと流れていたと思い ます。時間だけではなくて、具体的な内容としてはもう少し細かくやるということで、 方法としてはよろしいでしょうか。  次は、追加すべき安全衛生教育項目です。労働者には、振動の身体的影響について情 報提供をする。EU指令を取り入れるかどうかによる災害防止団体等の教育テキストの 改正が必要となる。振動値使用時間、振動曝露量の関係を対象者に理解してもらうこと が必須である。これも、このとおりでよろしいでしょうか。  次は、振動レベル表示値と作業時間規制との関連づけです。これは、8時間等価振動 レベルを基準とした作業時間規制とする。メーカーから宣言され、災害防止団体等によ り作成されたデータベースがあれば、リスクを事前に把握することができる。どの値を 取り入れるかが決まり、EU指令やISOのような時間依存性を取り入れるとすると、 おのずと工具の振動値や工具の種類による作業時間が決まってくる。エミッション値と 工具使用時間とで作業者のエクスポージャー値の参考値が求められる。これも先ほどと 同じですね。こういう方向でいくということです。  次は、林業において主に使用されているチェーンソーについて、作業時間2時間規制 を取り払うことの妥当性です。これも、だいぶご議論をいただいてきたことですので、 これも林業と普通の振動作業と同じにしておくということです。  6頁です。振動レベルが大きい振動工具について、1日あたりの作業時間が数秒とい うケース、先ほどのケースです。こうした場合における、1日あたりの作業時間をどう するかです。1週間あたりの平均としての振動曝露管理・作業時間管理は許容できる。 作業時間数秒というケースが可能性として考えられる。日本でどのように考えるかによ って異なる。実際にある日に限って、曝露限界値を超えるような作業が必要となるケー スは想定される。どうしましょうか。1週間あたりというのが出てきました。 ○畝山委員 イギリスが、A(8)weekという概念をはっきり謳っています。ただ、こ れは非常に特殊なケースであって、希にそういうのがあって、なおかつそれを1週間で 固めた場合に、2.5mというのは当然基準値に入ってきます。先ほど言いましたように、 20mを超えるような工具が現実的に存在して、その工具がないと仕事にならないケース があれば、それが2分間しか使えないものを5分間使ったとしても、残りの週5日のう ちの4日間で該当する作業がなかったら、それは許容するよという抜け道をどこかに作 っておかないと身動きが取れなくなるのではないかと。 ○相澤座長 そういう考え方でよろしいですか。  次は、振動レベル以外に作業時間に影響させるべき要因です。一応、ご意見としては 作業時間は4時間以内にするわけですね。 ○榊原委員 推奨ということで、どうかというか。 ○相澤座長 実際には、実施作業時間はそんなにやっていないでしょうね。 ○榊原委員 2時間以内だと思います。 ○相澤座長 それを入れるかどうかですね。 ○畝山委員 これは次の次の小休止時間、連続作業時間とも絡んできますが、いま基発 などで謳われている連続使用時間や休止時間の基準もそれに生かさないといけないと思 います。だから、この機械は4時間と書いたから4時間ノンストップで使い続けていい のだという話にはならないはずですから、その辺と絡めてトータルでどのぐらいまで現 実なところとして。 ○相澤座長 一応4時間という目安ですが、それは後にもありましたか。休止時間です ね。これは、いまお話にありましたが、休止時間を作ったほうがいいですか。 ○畝山委員 これは前田先生の研究結果が出ていますし。 ○相澤座長 「健康診断結果、作業者の慢性病等か」というのは何ですか。 ○畝山委員 この辺は、考えるのが当たり前の話ですね。 ○相澤座長 では、おおむね4時間でよろしいですか。  次は、エクスポージャーをどう考えるか。作業現場における測定の必要性、これは現 場での測定ですね。これは井奈波委員からもありました。厳密に言えば、実際に作業し ているときの振動を測ったほうがいいということですが、なかなか現実には難しいです か。 ○畝山委員 そう思います。 ○榊原委員 ですから、基本的にはメーカーから出してもらったら、値を使って管理を するということでいいと思います。 ○相澤座長 将来的には、そういったことも考えるということでよろしいでしょうか。  7頁の真ん中です。小休止時間、連続作業時間といった作業時間以外に注目した対策 です。何らかの休止時間を設けるということで必要である。現行は、連続は30分で、そ の後5分以上の休憩。このぐらいでよろしいですか。 ○畝山委員 いまは、工具によって区別していますね。たしか10分と30分でしたっけ。 ○榊原委員 1時間で10分ではありませんでしたか。 ○畝山委員 ちょっと詳しい記憶がないのですけれども。 ○相澤座長 4頁のこれがそうですか。チェーンソーとチェーンソー以外の2つがあり ますね。 ○副主任中央労働衛生専門官 第1回の資料1−7の1頁がチェーンソーですが、これ の4の(4)で、10分以内というのが示されています。チェーンソー以外は、1−7の 6頁です。振動作業の作業時間があって、業務で分けていまして、元へ戻りますが(1) は削岩機とか大きいものですが、(1)は10分連続で5分の休み。それ以外は(2)の ハの30分以内で5分という基準が示されています。 ○相澤座長 いかがでしょうか。エビデンスというのは、なかなか難しいですね。安全 をとることになるのでしょうね。チェーンソーと、それ以外ですね。現行どおりでよろ しいですか。鈴木委員、いかがですか。休止時間を置くことは必要であるということで、 具体的にもう少し。 ○鈴木委員 現行でそのように書かれていて、いま変えるべき根拠が見付からないので あれば、とりあえず現行でというのは1つの考え方ですよね。 ○相澤座長 では、そういうことでよろしいでしょうか。  次は、振動レベルの異なる振動工具を使用した場合の、作業時間規制の当てはめ、評 価方法。これは先ほどと同じではないですか。どう違うのですか。 ○副主任中央労働衛生専門官 Aという機械とBという機械を1日に分けて使う場合で す。 ○相澤座長 2つを使う場合は、それに合わせて加算するのでしょうね。 ○畝山委員 多分、前田委員も自分で作られていると思いますが、ヨーロッパの場合は HSEやスェーデンの何々とか、あちこちの国のホームページから計算式がダウンロー ドできます。そこへ何メーターの機械を何分使ったよというのをピタッと並べると、合 計の被曝露量が出てくるというのがありますので、そういったものをオープンにしてお けば作ってもごく単純な計算ですから。 ○榊原委員 基本的には、ISOで考えている計算式があるものですから、その計算式 に当てはめてやるということで、それを使いやすいようにヨーロッパはホームページに 数値を入れると出てくるというのを作ってあります。だから、日本でもそういうのを作 っておけば、利用しやすいと思います。 ○相澤座長 この検討会では、いままで資料が出ていましたか。 ○主任中央労働衛生専門官 いままでは出ていないです。 ○相澤座長 それを参考にということで、次回までにそれをやってよいかどうかですね。 JISにありますか。 ○畝山委員 7761の1と2の両方あります。計算式はHSEの分もあるし、私が作った ものもあるし、ごく単純なルート計算を出したものですから。 ○相澤座長 加重平均みたいな感じですか。それは次回までに、具体的にどういうもの かを出していただきます。  次は、管理者による作業時間管理方法です。使用する振動工具及び振動レベルに基づ いて、作業者は作業時間の管理記録を作成するとか、算出、評価に基づく作業時間の設 定と作業管理。具体的に時間をどうやったらいいかということですね。実際問題は大変 なことではあると思いますが、時間管理をするならばこういうのを作らないといけない でしょうね。現場でどうですか。 ○畝山委員 日本の現場では、多分できると思います。結構、作業管理表みたいなもの を使っていますから。 ○相澤座長 作業管理者がやるわけですから、個人作業者がやるのですか。作業者がそ ういう表を作っておいて、管理者が見るわけですね。 ○畝山委員 特にイギリスでは特定のコンストラクターですが、作業者全員にそれを書 かせておいて、瞬時にコンピュータで計算してこの作業者はこの辺で止めておけとか、 この状態ならばずっとやっていいよという判断をしているところもあるみたいです。 ○相澤座長 ここに書かれているようなことでいくということですね。  次は、表示制度導入開始前に製造・使用されている工具についての、作業時間規制と の関連。どのぐらい振動があるかがわからないような工具についてはどうするか。古い 工具については規制する。 ○榊原委員 これは、古いのが全部データとして集まってくれば、ホームページに出れ ば、それで管理してもらうということにつながっていくと思います。 ○相澤座長 次は、騒音管理に関する法令。騒音レベルによる作業管理を実施する。多 くは保護具着用による作業管理が中心となる。これは、いわゆる騒音のガイドラインが ありますから、それに従っていけばいいわけですね。一つひとつの騒音レベルというの は、あまり意味がないということですから、これでよろしいですね。  次は、騒音レベルの表示。騒音レベルによる作業管理を実施し、多くは保護具着用に よる作業管理が中心となる。これもよろしいですね。  次です。例えば、保温服を着用させている場合は作業時間をある程度延ばしてよいと いった、作業時間増減要因の取り入れ。防振手袋はありますね。防振手袋は、どのくら い効果があるかというのはないのですか。 ○畝山委員 実験室的には効果は確認できると思いますが、実際の周波数特性とか着用 の仕方で全然変わってくるでしょうし、例えば防振手袋をしたから規制を弱めてもいい よということになると、私の経験で防振手袋をさせているから2時間規制は関係ない。 そのために防振手袋をさせているのだから、1日8時間使わせればいいと言い出す部分 もあります。これは、あくまでもより確実な安全対策ということだけであって、防振手 袋をしたから、イヤーマフをしたから、規制をどれだけ延ばせるというものではないと 私は思います。 ○相澤座長 保温服というのも、あまり意味はないですね。関連ないですね。これは関 係ないということです。  次にいきます。作業時間規制を超えた場合に施すべき追加対策。最大5m以上の限界 値、ストップさせるか絶対に認められるべきでなく、直ちに中止すべきである。これは、 上の5.0m/s^2以下のような限界値を超えても、そこまではいいということですか。 許容できるということですか。 ○畝山委員 基本は、対策値と限度値の二段構え。これ以上は絶対に曝露させたらいけ ないよというラインは、絶対に決めておかないと駄目でしょう。それと、いわゆるアク ションバリューみたいに、ここを過ぎたら気をつけなさいよというものとの設定ですよ ね。だから、限界値は絶対に超えたらいけないし。 ○相澤座長 極端に言えば、数秒でも使えないということですね。5mというのは、相 当すごいですか。5m以上だったら、瞬間でも駄目。 ○榊原委員 8時間換算での5mですので、2時間ですと結局10m/s^2の機械までは 使えることになりますので、かなり大きい条件レベルになる。 ○畝山委員 実際は、A(8)の5mは相当大きいですね。 ○相澤座長 そうすると、二段構えでいくことになるのですね。作業をストップさせる というのは、限界値を超えた場合ですか。 ○榊原委員 A(8)で5.0m/s^2換算ということです。 ○相澤座長 これについては、やめるということでよろしいですか。ありがとうござい ます。  最後は、その他追加・修正を要する作業管理項目です。特殊健診の対象者を、8時間 等価振動レベル2.5m/s^2以上の工具使用者とする。日本の方針により異なる。全体 的な検討を要すると考えられるが、具体策は未検討である。これは健康診断もやるので すか。 ○副主任中央労働衛生専門官 現時点では、通達ベースですがやっています。 ○相澤座長 この検討会でもやるのですね。 ○副主任中央労働衛生専門官 対象にはなっていませんが、参考事項として。 ○相澤座長 レベルが低い人は、やらなくていいかどうかということをここでやるとい うことですね。 ○副主任中央労働衛生専門官 私どもは、直接そう言及してお尋ねしていなくて、その 他何かご意見はありますかとお尋ねしたところ、こういうご意見が返ってきたというこ とです。 ○相澤座長 これはどうですか。健康診断の対象者は、一応全員やるということですか。 ○副主任中央労働衛生専門官 現行はそうしています。 ○相澤座長 チェーンソーとか何かも、みんな扱っている人はやることになっています から、それはよろしいですね。日本の方針により異なるというのは何でしょうか。いい でしょう。  最後は駆け足になってしまいましたが、全般的に何か追加になることはありませんか。 ○畝山委員 私が大体5、6年前からヨーロッパに時々行って、ユーザーやハイヤーと 話をしていて、本当にここ5年間で欧州、特にイギリスのユーザーの理解レベルが、ド ラスティックに変わってきています。最初に行って話をしていて、振動値とA(8)は 単位が一緒ですから、完全にごちゃ混ぜになっていたのが、最近は少し話をすると「今 度の工具の振動値はどのぐらいだ」「そんなら何時間使えるんだな」と、ポンとエンドユ ーザーまでそういうのができています。  なぜそうなったかというと、行政サイドが徹底した教育をやっている。イギリスの場 合はHSEですが、とにかく「あいつらは悪魔だ」と言われるぐらいにものすごく介入 して、資料も嫌になるぐらいに出ています。そこへもってきて、今日はコピーを持って きたのですが、ヨーロッパの場合ですと、かなりいい資料ですが、これだけのものをネ ットで無料で配付しています。これは、イギリスやドイツやフランスで、いままでもこ れに類したものがありましたが、ここまでよくまとめたものをただでよく載せるなとい うぐらいのもので、こういったものがボンボン出てきている。  もう1つは、こういう公的な資料がたくさんありますから、メーカーのほうはある意 味では非常に楽なのです。HSEのこの番号の資料から引っ張ってきたよ、こうなって いるよと。当然そうなると、各メーカーの基本的なものが一緒ですから、どのメーカー のどういうパンフレットを持ってこようが何を持ってこようが、ベースはバンとこうい うもので決まっているということになります。しかも、それが例えば行政側から来る、 メーカーから来る、ハイヤーから来る、コンストラクターの上層部のほうから同じよう な資料がボンと来るということで、否応なく明けても暮れても情報に左右されて、否応 無しに内容を理解してきています。それが、いちばん重要なのではないか。  だから、先ほども言いましたが、中災防でもどこでもいいですから、どこかでそうい うホームページを作って、そこへアクセスすれば振動値も新しい情報も注意事項もわか るよと。例えば、どこそこがこういうことをやって、ここまでの成果を出しているとい うのがわかる、というものがあればいい。いまは私の知る範囲では、大工でもほとんど の人がインターネットを使いますから、そういったものが必要ではないかと思います。 いま中災防や、林災防のテキストがありますが、本当はあのぐらいのものをホームペー ジに載せて、ただでどんどんばら撒けるようだといい。なおかつ、ああいうテキスト類 も著作権があるので、メーカーとしては金を払わないと引用できないのです。  確かに、これだけのものでありとあらゆる面から出てきた管理方法から、医学上の問 題から原理原則から、どういう計算方法、どういう考え方だと、計算方法は……になっ ていますから、こういったものを行政主体でどこかへボンと1個設けていただきたいな と。そこにリンクを貼っておけば、関連するところへ全部飛べる。  例えば、前田委員から教えていただきましたが、ドイツとスエーデンの工具の振動値 のデータベースへ辿り着いたのも、結局これからなのです。リンクを貼っているよと。 リンクを辿っていったら、こんなものがあるよと。3,000種類ぐらいの工具の振動値が 出ています。メーカーごとのソートもできるし、工具ごとのソートもできる。  そういったことをきちんとやって、まずはとにかくユーザーにこういうものだよ。基 本的な概念から始まって、どういうことをやっていかなければいけない。これを怠ると こういうことになってしまうというのをまずビシッと教えていって、そういったものを ベースにして、メーカーサイドは製品にそういったものに関するパンフレットを同梱し ておくとか講習会を開くとか、統一した何かでやっていければ、あまり時間をかけずに EU並にとはわかりませんが、徹底してくるのではないかという気がしています。 ○相澤座長 ありがとうございました。貴重なご意見をいただきました。行政のほうは、 よろしくお願いします。 ○労働衛生課長 全体の制度の概念が設計される段階で、例えばどういう仕組みでする のかによって、まさに中災防は中災防の範囲でメーカーから登録してもらうのか、それ とも自動的に義務だからやらなければいけないなどといろいろな形になると思いますが、 まずは全体を整理した上で、先生がおっしゃったような位置づけをやっていく。そうい うのを我々としても考えていきたいと思います。 ○相澤座長 議題3の「その他」は何かありますか。 ○副主任中央労働衛生専門官 次回の予定等です。机上に予定表をお配りしていまして、 11月、12月についてご都合をもってお知らせ賜れば、その資料を基にして日程を設定し たいと考えています。  次回は、今日ご議論を賜りましたことを取りまとめまして、全体としての素案という 形でご提示を差し上げたいと考えています。よろしくお願いします。 ○相澤座長 あと何回の予定ですか。 ○副主任中央労働衛生専門官 実は6回くらいと考えていたのですが、状況次第でまた 追加は可能かと思います。 ○相澤座長 まとまれば、もう1回で終わるということですが、難しそうですかね。事 務局からは、よろしいですか。  どうもありがとうございました。 照会先 労働基準局安全衛生部労働衛生課物理班(5497、5498)