06/10/23 第91回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第91回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成18年10月23日(月)9:30〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表: 池田委員、市川委員、長谷川委員        使用者代表: 成宮委員、山崎委員、輪島委員   事務局  鳥生職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について(フォローアップ)      (2)その他  ○清家部会長   それではただいまから第91回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は委員全 員出席でございますが、池田委員が遅れてお見えになると伺っております。それでは、 本日は最初に公開で「労働力需給制度について(フォローアップ)」をご審議いただきま す。また、その後一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹 介事業の許可の諮問に係る審議を行いますが、許可の審査につきましては、資産の状況 等の個別の事業主に関する事項を取り扱いますことから、これについては、「公開するこ とにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当 いたしますので、非公開とさせていただきます。傍聴されている方には、始まる前にご 退席をいただくこととなることを予めご了承ください。  それでは、早速議事に入ります。最初の議題は「労働力需給制度について(フォロー アップ)」です。本日は「派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置」、それから、「派遣 労働者からの苦情等」について議論を行いたいと思います。まず最初に事務局で資料を 準備していただいておりますので、ご説明をお願いいたします ○篠崎補佐   それでは、資料の説明をさせていただきます。資料No.1、労働者派遣事業関係で本日 は2点用意しております。フォローアップ事項としては許可届出手続の簡素化というも のもありましたが、これについては今後議論にあたっての留意すべき事項、必要な視点 がありませんでしたので省略しております。それでは、1頁をお開きください。まず、 「派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置について」です。これにつきましては、労働者 派遣法において派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置に関する指針を作ることになって おり、それぞれ労働者の雇用の安定を図るために必要な措置等々を記載しております。  その中で、平成15年の改正事項をここに簡単に記載しております。まず、派遣労働 者の雇用の安定を図るために必要な措置を平成15年に改正しています。具体的には、 派遣元事業主においては雇用契約期間をできるだけ長くするように、そして、派遣先事 業主に対しては、派遣契約期間について可能な限り長くといったことを定めております。  それから、労働・社会保険の適用の促進ですが、平成15年改正におきましては、これ は省令でございますが、まず、派遣元事業主に対して、社会保険に未加入の場合につい ては具体的な理由を付すと改正をしました。そのほか、指針において派遣元事業主が社 会保険に未加入の場合、派遣労働者に対しても通知すること。それから、派遣先事業主 において未加入の場合、具体的理由を派遣元事業主から通知を受けて、もしその理由が 適正でないと考えられる場合においては、派遣元事業主に対して労働・社会保険に加入 させてから派遣するよう求めるといったことを指針に記載しました。  それから、派遣労働者の福祉の増進についてですが、こちらにつきましては、派遣元 に対しては、必要に応じて派遣先で雇用される派遣労働者と、同種の業務に従事する労 働者の福利厚生との実態をよく把握し、そういった労働者の均衡に配慮して必要な措置 を講ずること。派遣先に対しては、そういった派遣元の行動に協力するという意味で、 派遣先の労働者の福利厚生の実情を派遣元に情報提供するということを盛り込んでおり ます。それから、教育訓練に関して派遣先が派遣元に協力をするといったことも指針に 記載しています。  それから、適正な派遣就労の確保、雇用調整により解雇した労働者が就いていたポス トへの派遣労働者の受け入れについての規定を指針に追加しました。論点としては派遣 元、派遣先それぞれ3点記載しています。まず派遣元ですが、1点目は教育訓練や福利 厚生等について派遣先の実情を把握し、均衡に配慮することをどう考えるか。2点目は 教育訓練の実施を促進する方策についてどう考えるか。3点目は労働・社会保険に派遣 労働者を適切に加入させる方策についてどう考えるかです。続いて派遣先が講ずべき措 置に関する論点です。1点目は派遣元が行う教育訓練、派遣労働者の自主的な能力開発 等について便宜を図ることをどう考えるか。2点目は労働・社会保険の加入を促進させ る方策についてどう考えるか。3点目は派遣先における派遣労働者の社員登用制度を設 けることをどう考えるか。以上でございます。  次の頁は派遣労働者からの苦情等です。平成15年改正については特段ありませんが、 実態調査等におきましては、例えば中途解除について派遣元事業主が約2割見られた。 あるいは、労働者からの苦情の主な内容としては、人間関係、業務内容、賃金といった ものが多い。また、派遣労働者から派遣元に対する要望としては、勤続年数、実力、能 力に応じた給与がほしい、等々がアンケート調査でありました。そういったことを踏ま えて、論点として3つ記載をしております。1点目は派遣契約の中途解除に係る苦情に ついてどう考えるか。2点目は人間関係に関する苦情が多いことについてどう考えるか。 3点目は賃金について、勤続年数、実力、能力に応じたものにしてほしいといった派遣 労働者からの苦情についてどう考えるかです。資料の説明は以上です。 ○清家部会長   いま2つの論点、派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置と、派遣労働者からの苦情等 について事務局から資料の説明をいただきました。フォローアップは一応2ラウンドは 終わりということですので、今日はこの2点について議論をしていただきたいと思いま す。両方行ったり来たりすることもあるかと思いますが、とりあえず順番として、まず 最初に派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置についてご意見、ご質問等がありましたら よろしくお願いします。 ○山崎委員   少しわからないので質問させていただきます。いちばん下に派遣先における派遣労働 者の社員登用制度を設けることについてと書いてありますけれども、これはどういった 制度と考えればよろしいのでしょうか。申込義務制度とかとは全然関係なく。 ○篠崎補佐   こちらは以前、当初のアンケート調査において社員登用制度を設けているか否かと記 載させていただきまして、それと同様の社員登用制度ということですので、山崎委員が おっしゃるように申込義務ということではなく、機会を設ける、制度的に応募する機会 を設けている何らかの制度がありますかという趣旨で記載したつもりです。 ○山崎委員   教育訓練の実施を促進する方策についてとあるのですが、これはどういう教育の方策 なのでしょうか。 ○清家部会長   事務局から何かありますか。 ○篠崎補佐   指針において、例えば派遣元が派遣先、そういう同一業務に従事する労働者の福利厚 生、教育訓練の実施方法を調べるようにとか、派遣先においても派遣元の教育訓練に協 力するようにとしているのですが、それは指針でそういうことが望ましいと言っている だけです。そういう意味で、我々としても具体的に念頭に置いているわけではなく、幅 広く教育訓練を促進する方策について何かないかということをご議論いただきたく記載 しております。 ○山崎委員   それについてですが、前に申し上げましたとおり、派遣元というのは、いろいろ苦情 の中にも賃金、能力、実力に見合ったものがほしいとありますけれども、そういう中で、 教育が徹底している所の方々に対してはそれなりのものを派遣を受けた方ではやると思 うのですね。ですから、それなりの目安が私どもはほしいなと。来て初めて中途解約と ありますけれど、思った人が来なければ中途解約というのはやむを得ないところがある ものですから、やはり何かその辺りで教育というものが、前回も申し上げましたとおり ABCとは言いませんけれども、何かそういったものがわかる形になっていると非常に 助かるなと思っております。 ○清家部会長   ほかに何かありますか。 ○長谷川委員   このアンケートの中で、全部ではないけれども、できるだけ早い時期に正社員として 働きたいという希望がある、とあります。これは、どの会社の正社員なのかがはっきり しないのですが、派遣労働者をなるべく派遣先で雇うということでいえば、希望がある という人に対して具体的にどうしたらいいのかというところが見えてこないと思うので すね。だからもうちょっと、派遣で働いていた人を雇い入れするときの事例などがもう 少し出てきて、経営者の方も自分の所で雇っていくと双方効果がある。事業者ももう少 し事例などを出しながら、普及活動することが必要なのではないのかなと思います。  それと、均衡考慮なのですが、いまいちばん労使の溝が深いのが均衡待遇、均衡考慮 だと言われているのですが、派遣の場合、何に対しての均衡を求めるのかはすごく難し いと思うのですけれども、雇用就業形態の多様化ということでいろいろな働き方がある ということは労使認めているわけです。長期雇用の正社員の働き方、パートタイムの働 き方、契約社員の働き方、それから、間接雇用の請負、派遣の働き方、選択肢が増えて きました。労側が言うと均等待遇になるわけですけれど、均衡考慮、均衡待遇というの をどう考えていくのか、私はこれを研究しなければいけないと思います。特に間接雇用 の場合は難しいと言われておりますので、もう少し、派遣労働者の均衡待遇をどう考え るのか踏み込む必要があるのではないか。事実、アンケートの中で派遣で働き続けたい という人もいるわけですね。でも、このままでいたとしても給料はもうちょっとほしい という人もいる。10何年間派遣で働いていた人が全然給料は上がらなくてガックリした という話を新聞などで見たことがあります。正規の社員で10年もいたら大体どれぐら いになるか想像がつくからだと思うのですが、だから、もう少し派遣の処遇のあり方に ついて、非常に特殊な、専門的な能力の人たちでないところについてどう考えるかとい うことは、もう少し研究が必要なのかなと思います。  あと教育訓練で言えば、派遣労働者の教育訓練を本気で真剣にやらないとスキルアッ プにならないと思うんですね。例えば一般の会社に22歳で入って32歳ぐらいになったら ものすごくスキルがついているわけですね。ある意味では仕事など任せられるぐらいの チームでやるのならチーム長をやれるぐらいになっています。しかし、派遣でいるが故 にスキルアップできないということは、一企業で見れば大したことないのかもしれない のですが、我が国全体で見たときに本当にそういうことでいいのか。10年働いたらこの ぐらいのスキル、20年働いたらこのぐらいのスキルとあるはずですから、派遣労働者の 教育訓練がどうあるべきなのかは派遣先事業者だけではなくて、私は業界団体がもっと 真面目に真剣に取り組まないと人が集まってこないのではないかと思っています。そこ のところは、業界団体と研究者でこの問題についてもう少し深刻に受け止めていただか ないと、10年働こうが20年働こうが、30年働こうが、スキルは22歳と変わらないという 現状が出てくるわけで、これをどうするのか本気で考えなくてはいけないと思います。  あと労働・社会保険はアンケートで80何パーセントが入っているわけで、落ちこぼ れている10何パーセントですよね、この対策をどうするか。80何パーセントまで上がっ てきたわけだから、それは業界団体の努力だと思います。これも徹底させれば派遣で働 く労働者も社会保障の担い手として、社会の、国民としての責任を果たしていることに なっていると思うので、更に努力が必要だと思います。 ○輪島委員   労働・社会保険がいつも議論になるのでそこを整理すると、アンケートやヒアリング だと、派遣元のほうは社会保険に入っていないとそもそも派遣先が受け入れてくれてい ないという指摘があります。派遣先のほうも保険に加入している方を派遣してもらうと いうスタンスで対応しているので、その辺については特段問題はないと。それから、派 遣先のスタッフも派遣元で入っていないときは雇用しないというので、その辺はきちん とやられていると思います。実態も95%、80%という加入率なので、大きなところでは きちんと制度は動いていると思います。ただ、いま長谷川委員がおっしゃったように、 と言いつつ、いつも社会保険の適切な加入問題は議論になるので、そうすると、どこの ところで起こってきているのかをもう一度クリアにする必要があると。その点で言うと、 第3号被保険者の問題とかもあるのであれば、そこら辺をどういうふうにするのかは、 むしろこの審議会から違う所に、こういう実態になっているという問題提起ぐらいは必 要なのではないかなと思っています。  それから、教育訓練は基本的なスキルと、10年経ったときの総合力と言うのか、そこ をどう見るのかがやっぱり難しいと思います。そういう意味での派遣元のスキルアップ、 知識、技能の教育訓練はできると思いますけれども、10年経ってリーダーになれる、リ ーダーになれるというのはそれなりの総合力というのか、人間力というのか、そういう ものをどういうふうにするのかというのは結構難しいと思います。制度として教育訓練 をのせることはできるのでしょうけれども、そこら辺の実際のところをどうするのかは 難しいと思います。  均衡についてはほかの部会でもやっていますので、法的な措置の議論は譲るにしても、 まず処遇全体の均衡、均等ということになるとやっぱりここは難しいでしょう。論点の ところで言うと、教育訓練や福利厚生等についてどういう均衡を図るのか。その点につ いて言えば、食堂であるとか、診療所であるとか、そういう福利厚生施設の利用等々は 進んでいると思いますので、そこら辺の課題はあるかなと。課題がありつつも、進んで いるところも実態だと思います。以上です。 ○鎌田委員   いま輪島委員から3つの論点のお話、長谷川委員からのご提案に即して説明があった のですが、私もそれに合わせてお話をしたいと思います。まず、労働・社会保険ですけ れども、確かに部会でもさまざまな措置を工夫しながら法律上指導、指針においても改 善をされてきておりますので、その成果が現れてきているのではないかと思っています。 ただ、全体に底上げされているということと、個別にいろいろな問題がまだあるという ことは分けて考えないといけないような気がいたしますので、どういうところに社会保 険の適用について問題があるのかを少しケースで考えてみる必要があるのかなと思って います。  それから、教育訓練ですけれども、その前に均衡配慮のことですが、長谷川委員は均 衡待遇とおっしゃいまして、輪島委員は均衡配慮とおっしゃったのですかね。言葉の違 いも結構大きくて、均衡待遇という考え方はほとんどパートなどで問題になりますが、 まず同一価値労働、同一賃金というような、同一原則、平等原則というのがあって、そ れをどう実現していくかというニュアンスが非常に強いのではないかと思います。そう いう問題はもちろんあると思いますし、特にパートの問題についてはそういう形で今後 も議論をしていくのかと思います。  派遣の場合にはまず企業が違うということもありまして、そういうふうに考えると、 1つの企業の中でどう均衡処遇を達成していくかというのとまたちょっと違う問題があ ると思っています。しかし、前回の指針の中に均衡配慮という視点、論点が入って出て きたわけですけれども、そういった考え方の基本は、さまざまな面で派遣先の従業員と 派遣元の従業員との均衡を考えていく必要があるけれども、では何の均衡を考慮しない といけないのかというのは、実はなかなか難しい問題だということだと思います。そこ で労使でいろいろ工夫しながら教育訓練、あるいは福利厚生についてはできるだけの均 衡を考慮したらどうかということで、一応同じような意見になったと思っています。で すから、こういった考え方、つまり、どういった点で均衡を考慮していく、配慮してい くのかというスタンスでこの問題を考えていかざるを得ないと思っています。  教育訓練ですが、これは長谷川委員が指摘されたように、非常に大きな問題だと私も 思っております。そして、輪島委員から基本的スキルと、コンピュータとかの技術のス キル、それと総合力、人間力とおっしゃいましたが、それもどういったものになるかは よくわかりませんし、コミュニケーション能力という言い方をされる場合もあるのです が、こういった能力の育成というのはなかなか難しい問題もあるのではないか。しかし、 派遣労働者が正社員になりたいという人たちも多い中で、こういったものも総合力、コ ミュニケーション能力なども何らかの形で育成、促進することを考える必要があるので はないかと思って、そういった観点から、どういったような、企業で工夫をされている のかということも少し調べて考えていかなければいけないと思います。以上です。 ○北村委員   教育訓練の件に関してなのですが、先だっても質問申し上げたのですけれども、業界 でのロイヤリティーはどの程度のものか存じませんけれども、どうなのでしょうか。例 えば派遣で働こうという人が、派遣元のA社、B社、C社を選ぶかというときに、テレ ビに出ていたからとか、実績があるからとかいろいろな選び方があると思うのですけれ ども、やっぱり知りたいのは、ここの派遣元に所属した場合どの程度自分はスキルアッ プできるかというのが大きいと思うのですね。先ほど山崎委員がおっしゃったように、 逆に派遣先で蓋を開けてみたらこんなはずではなかったということも考えられる。そう すると、派遣元にはかなり教育の義務があると私は個人的に考えますし、それと同時に、 派遣労働者が選ぶ際の情報として、この会社はどの程度のエネルギーと費用を教育訓練 に費やして、どういう効果を上げているかを何らかの方法で表示する。つまり、透明性 というのでしょうか。それがもっとあってもいいのではないかと思います。それはよく 言われることで、派遣元の利鞘の問題と、実際にかかっているコストの問題というので、 先ほど業界でのロイヤリティーはどの程度か存じませんがと申し上げたのはそういうわ けなのですが、そろそろ、項目によってはこれがオープンにされてもいいのではないか と考えています。多くの人はそれを知りたがっていると思います。 ○清家部会長   それは具体的に、例えば教育訓練にどのぐらいコストをかけているかなどを開示して もらうということですか。 ○北村委員   はい、パーセンテージなどであるとか。 ○清家部会長   ほかにいかがでしょうか。 ○池田委員   派遣元の事業主が講ずべき措置に関する論点というところでちょっと話をしてみたい と思います。端的に言えば、日本の派遣元の責務というのは非常に軽いのではないかと 思うんですね。いま北村委員が言われたことと似ていますが、やはり、派遣元が派遣先 を見てきちんと教育訓練をして、そして、派遣先のニーズに応えられる派遣労働者とい うものをきちんと派遣元が持つことだと思うんですよね。そして、それを派遣元から派 遣先に送られた労働者が、派遣元が出した派遣労働者については誇り、自信、確信を持 って出せるようなシステムをまずつくる。そして、後段にありますように、苦情処理の 問題についても、派遣元がまず率先して、自分が送った派遣労働者はこれだけのスキル の高い、そして、派遣先に合った者を送ったんだという、そういう中で、派遣元が派遣 先に対して、はっきり申しあげて、抗議、あるいは話し合いを進めていくぐらい派遣元 の責務は私は重いと思います。どうも、派遣元は通過点、ただの点にしかないような気 がしてならないです。ですから、ここはきちんと整理して、そして、派遣元は派遣先も 責務があると。いま大切なのは、派遣元の責務というのは非常に軽い。本当に通過する というのですね。ただ登録して派遣先へ送り、派遣先が苦情がきたとか何だかんだとい う、もっと派遣元に対する責務もきちんと講ずべきだと私は思っております。以上です。 ○市川委員   いま池田委員がおっしゃったように、派遣の働き方が非常に広まってきて、登録型だ とか、常用型だとか分けて考えないと、ちょっと議論がこんがらがってしまうのですけ れども、特に登録型の教育訓練で言うと、派遣労働者がいろいろな派遣会社に登録して いて、派遣先の口がきたら行きますというのが多い。いまは携帯電話やメールを使って、 昔の口入屋みたいなものが増えてもいます。とにかく、人の頭数だけ何日に揃えればい いというものもあれば、一方で専門性の高い、本当にリーダーみたいな人を的確に派遣 していくというものもあります。そういう中で似たような論点で話しているのは頭が混 乱しています。その場しのぎの日銭をもらうための派遣で、社会に出てスキルが伸ばせ ないという問題があります。そういう人たちが増えていることは1つの社会問題ですよ ね。もう一方で、派遣をきちんとつかっている、そういう方たちがうまくスキルを伸ば しつつ、働き方を自分で選べるという状況もあります。こんなふうに分けて整理してい かないと、正直言って混乱してしまいます。いま、新聞や雑誌でそういうワーキングプ アが問題になっていて、派遣がすべて怪しからんというような、請負はすべて怪しから んとなりかねませんが、そうでもないんでしょう。そこを分けてうまい整理ができない のかなと、ちょっと悩んでいます。 ○成宮委員   いまのに関連で、先ほどから同じことを何回も言っているのですが、これに出ている ように、派遣事業は4万何千事業所があるわけで、北村委員がおっしゃるように、それ だけある所に高い水準を求めるのは事実上現実的ではないような気もします。ただ、一 方でこれは許可事業ですから、きちんとその事業は許認可を取らずに派遣行為をやった ら違反になってしまうわけですから、しかし、現実には、市川委員がおっしゃったよう に、割と簡単にこっちであれするだけというのも、現にそういうニーズもあるし、それ で何も問題なく十分成り立つ部分もあるけれども、そういうことを違法にしないために は、いわば許可水準を極めて高く、厳しく取ってしまうと、そういうところは線路から はみ出ちゃって違反状態になってしまいますので、どっちも切り捨てられない。だから、 非常に難しい状況になっている。派遣事業という1つの産業構造をよく考えていって、 それに対してどういう規制なり、助成の手段が有効なのか。そこをもう一度研究をしな いといけないぐらいまで、産業が大きくなってきているのかなという感じがします。 ○北村委員   おっしゃるとおりだと思うのですが、いろいろなサイドで、サービスを受ける側の情 報というのは、大体お菓子にカロリーが付いていたり、車に燃費が付いていたりとある のですが、私は派遣業に関してはユーザー、クライアントに登録しようとしている人、 派遣会社に入ろうとしている人たちにとって情報が非常に少ないと思います。これだけ 大きくなった業界で、業界内業者がある意味での競争であるとか、性格付けというもの が見えなくなってきている。それをもうちょっと見えるようにして、選ぶ側に判断基準 を提供することは必要なことだと思います。自ずから優良なものと、そうでないものは 振り分けられていくわけで、あるいは用途に応じた選択がなされていくわけで、そのた めの情報開示の方法をもう少し考えていただきたいと思います。 ○池田委員   事務局に質問です。この派遣法ができたとき、労働者、派遣元、派遣先といういびつ な関係の中にある特に労災事故、労働保険の問題ですが、私がここに来てびっくりした のは、派遣先に行きまして、派遣先の責任者が派遣労働者に対して、きちんと指揮命令 をして働かせています。その働かせている中で、事故を起こすと、派遣先が派遣元の労 災を使えといいます。そういうことはおかしいのではないかといつも思っていました。 私は審議員を辞めますが、いまでもここのところはどうも腑に落ちないのです。すなわ ち、派遣先が現場で指揮命令し、その指揮命令に従いながら働いていて、そこの労働災 害保険を使えないのはどういうことなのか。派遣元のを使うというのは、やはり誰が考 えても難しい問題が出てくる。何故かというと、派遣元は命令しません。派遣元がこう やっていたら、もしかすると労災の事故に遭わないようになるかもしれない。しかし、 派遣先の責任者が労災事故について、知識が全然なくて、例えばこういうことをすれば、 こういう段取りで、こういう仕事をして、こうやっていけば事故が起きないということ をきちんと訓練の中でやられているかもわかりません。しかし、往々にして、派遣先の 人たちの方がそういう注意点がないと私は思います。何故かというと、怪我をすれば派 遣元の保険を使えとなります。きちんと事故を少なくするならば、派遣先の責任者によ って働かされているのですから、当然派遣先の保険で事後処理をする補償をしていく。 そのことがなされなければ、災害事故は少なくならないと私は思っています。できれば それらの点を一度お聞かせ願います。 ○清家部会長   事務局からいまの点についていかがですか。 ○篠崎補佐   労災保険については当部会の本来の所掌ではないのですが、池田委員がおっしゃると おり派遣先が指揮命令しているということで、安全配慮について、当然派遣先でなけれ ばできません。安全衛生法上の安全配慮義務等について、一定の責任が法律上負わされ る仕組みになっています。ただ、おっしゃるとおり実際に労災給付のときにどうなるか というと、確かに派遣元が保険料を払っていますので、派遣元から払われている感じに なります。しかし、労災保険は全国どこでも一律で国が運営している制度です。ご本人 の賃金に応じた労災補償が受けられるという意味では、保険料の支出、負担者が誰かだ けで、結果として得られる補償は、同一になるのではないかと考えています。 ○清家部会長   池田委員のご質問はそうではなくて、労災保険はもともと事故をたくさん起こすよう な所は保険料が高くなって、労災を防止するインセンティブの機能を持っている。指揮 命令する人たちがリスクを負わないで、つまりどんな危険なことをさせても、保険料は 高くならないと、本来の労災保険が持っているインセンティブ機能は、ないのではない かというのが池田委員のご趣旨だと思います。そうではないのですか。 ○池田委員   私もそう思います。 ○坂口課長   根本的にはこの部会以外で、災害補償の責任の派遣労働のあり方については議論され るべきものです。いま委員の方からご指摘があったように、派遣先で事実上指揮命令を していることに基づいてということもあるのですが、端的にいちばん直接的な安全配慮 義務が使用者責任として安全関係法令上の責任が分担されているのも事実です。詳細に 見てみると、例えば健康診断関係では、特殊な健康診断は派遣先に特異なものがあり、 派遣先で健康診断の実施義務がありますが、いわゆる雇入健康診断等の一般的なもので あれば、派元で義務があります。そのようなことにも代表されるように、安全衛生関係 で申しますと、派元と派先両方の分担を一部行いながら、トータルに派遣労働者の方の 安全衛生を見ていくという仕組みになっています。それと、全体の使用者責任あるいは 労働者災害責任をどういう形で分担しているのかとトータルに考えて、いまの段階では 派元に使用者責任たる災害補償責任を負っていただいています。もちろん、分担させる 災害補償責任の費用徴収の関係も含めてという考え方が取れないかというと、そうでは ないのが事実だろうと思います。しかし、いまの段階では全体の安全衛生の責任をどう 分担するかも含めて、派元に負っていただいているのが現状です。 ○清家部会長   いまの点は私も興味があります。以前労災保険を民間に開放すべきかどうかの議論が 総合規制改革会議等でありましたが、そのとき私は規制改革会議の委員でした。私はそ れには反対でしたが、その際のロジックは要するに労働安全衛生の規制と、労災保険を セットにして行うことが意味があるので、自動車保険のような民営化は難しいのではな いかということでした。そういう観点からいうと、実際に人を使っている人たちにイン センティブがきかないのであれば、そういう趣旨からの労災保険はあまり意味がない。 もちろん、補償がされることは大切ですが、安衛法上の指導と労災保険がペアになって いるから、公的保険として労災保険をやることに意味があるわけでしょう。その点はも しできれば保険関係の部会等にも議論があったことは伝えていただきたいと思います。 ○長谷川委員   以前私が質問したときに、派遣の保険料率はどの産業の料率が適用されるかというと、 派遣会社がサービス業だとサービス業です。ところが、製造業に派遣しても、最初にサ ービス業で登録すると、サービス業の保険料率になります。そういう意味では、例の保 険料率のメリット制は、ここでは反映されない。 ○坂口課長   そこはいま長谷川委員がおっしゃったとおりで、確かに部会長はじめ池田委員、皆さ んのご指摘は、特に製造派遣が解禁になってきて、その危惧が大きいのではないかと思 います。製造派遣の解禁に当たっては、いろいろと派遣元、派遣先責任者にそれぞれの 元先との連絡調整に当たって加味したり、あと製造派遣に限って派遣元、派遣先の製造 派遣関係専門の責任者も別途設置していただくこともやっています。しかし、それとは 別にいまご指摘がありましたような労災保険の持つ災害予防にメリットがあるという機 能をどう考えるかは、確かにご議論があるかと思います。ただ、先ほど申しましたよう に、全部が全部使用者責任が派先にいっているかというとそうではなく、そこをどう加 味して考えるか。そういう意味では従前より、鎌田委員などが同一の場所で上積み的な 災害補償をどう考えるかをご提示されたりしていますが、それも含めて全体を考えてい かなければならないと思っています。 ○清家部会長   よろしいですか。 ○長谷川委員   派遣先が講ずべき措置に関する論点で、派遣先における派遣労働者の社員登用制度を 設けることについてどう考えるか、ここはおそらく労使の意見の溝が深いというか、な かなか意見がかみ合わないところだと思います。やはり先にもっと事例やモデルなどを つくって、それを普及活動させることがすごく必要だと思います。そして、今回の改正 後に派先に雇用された事例があるとすれば、それをもっと出していく。派先で働きたい、 雇用されたいという希望者がある場合、しかしそれでも雇用されないときに、あとの(7) と関わるのですが、苦情や相談などがもっと積極的に行われて、紛争、トラブルになら ないように、もう少しスムーズにできるような支援するものなどがないと、この制度は 進まないと思う。おそらく、経営者は何故ある業務を派遣にしたのかというと、その会 社の方針、人事政策があってやったと思う。そのポストがずっと派遣で補われているが、 法律では雇用申込義務があります。もう少しこの仕組みについて、法律の建前論だけで はなくて、さらにここを活用できるようなことについての研究や検討が必要だと思う。 派遣業界も各企業もこういうものを生かし、活用できるようなものについての積極的な 努力が必要なのではないか。これは企業の利害が絡むので、あまり進んでいないという のは、おそらくそこに何か障害があるからです。その障害をどうやって克服していくの か。これはどちらかというと、企業と派遣業界の努力だと思う。今回の3年間のフォロ ーアップでおそらくあまり進んでいないことだけ明らかになりました。もう少しそこの ところについて、何らかの措置を行う検討が必要ではないか。これは一気に進まないの だから、息の長い努力が必要です。企業はどこかでいいことがあれば、そこに飛びつい てきます。派遣業界ももう少し努力をしてほしいのですが、業界と企業が一緒にできる ような何かをつくることが必要ではないか。 ○清家部会長   すでに苦情等のところにお話が入っていますが、山崎委員は10時半くらいにご退席 と伺っています。その点等も含めて何かご意見等があったらお願いします。 ○山崎委員   先ほどから伺っていて、いちばんびっくりしたのが許可の多さということです。だん だん多くなってくるのはいかがなものか。やはり、その中で本当に明確にしなければな らないところはあります。企業側の大きな問題点としては、中小企業にいい人を回して もらえないことですが、その辺りで行き違いはあると思います。先ほどもこれは多いの で、少し減らしたらいいのではないか、規制をかけるのがいいのではないかと私の頭の 中では思っていたのですが、成宮委員からお話があったとおりなので、これは困ったも のだ、ずっと許可しなければいけないのかという感じがしていました。ここまでできな くても、もう少し教育なり何なりの枠組みを考えたときに、安易に先ほど市川委員がお っしゃったように、口入屋ではないようなしっかりした企業に育てていくのも、私たち としては許可しなければいけないのではないか。その辺りは最初からの考え方を変えて いくのも必要なのではないか。こういう苦情や諸々の行き違いは、いつどこででもあり ます。しかし、それがここに書かれたように多いということは、何かそこのところで普 通の苦情の多さに戻さなければいけない。何か考えていかなければいけないことがたく さんあるような気がします。許可の段階から少し考えてもらいたいと思っています。 ○清家部会長   ありがとうございました。 ○輪島委員   社員登用制度ですが、それほど労使をあえて分ける必要があるとは思えない。好事例 をPRしていくことは必要だと思う。事務局にお伺いしますが、そもそも派遣法の中で 派遣先がハンティングすることをどう整理しているのか。それをまず教えていただきた い。基本的にアメリカ等々の全体の派遣の制度、テンプトゥパーム、テンポラリーから パーマネントにいくという過渡的な状況をどう位置づけるのか。今回の改正派遣法では 紹介予定派遣を入れていますが、それはそう動いていきましょうと基本的に是認してい るのか、そうでないのかという仕組みをどうつくるのかが重要で、そこがあまり明確に なっていないが、紹介予定派遣が入っているのかどうかとは思っています。 ○坂口課長   雇用制度については、いまの段階で派遣法には規制は特段はありません。似通った部 分としては、いわゆる雇用申込義務との関係で第40条の3から40条の5にそれぞれの 労働者の属性あるいはシチュエーションにあった規定があります。ただ先ほど来、委員 の皆さん方のご意見がそれぞれ出ていますように、この登用制度として今回初めて調査 を行いましたが、制度がないところが70%、正社員への登用制度を設けているのが17%、 嘱託・契約社員への登用制度を設けているのが12%です。いわゆる派遣先の側で派遣労 働者のニーズに合わせてさまざまな選択肢として設けることと、実際上おそらくは運用 するに当たっては、派遣元にとってみると、派遣労働者を先ほど来逆にいうと出ている ような形で派遣スタッフの教育訓練をやってきた側の派遣事業者との問題は、確かに一 旦整理をしていかないといけないと思う。実際上、こういう制度を派先、派元の間で転 がしていく段階でもそういう問題は、解決していかなければ制度としてもなかなか混乱 を生じることもあり得ると私としては理解しています。 ○輪島委員   派遣元会社が教育訓練機関で付加価値をつけて、そして教育訓練機関であり、紹介機 関であるものを派遣という仕組みを使って、労働力の需給調整をしましょうという仕組 みにしていくのか。いまの状況をプラスしていくのかは、法律の制度設計上大きな問題 です。そこら辺はよく議論しないといけない。  前の議論であるワーキングプアについて、社会政策上の問題なのかどうなのかですが、 いまの私どもの理解は労働者派遣法は事業規制法です。その中で教育訓練や賃金など、 後発の均衡配慮をどういうように見るのかは、なかなか法律の持っている性格上整理は 難しいと思っています。  労災事故では整理として事務局にお伺いしたいのは、主たる業務が物の製造という許 可を取ったときの保険料率がどうなるのか。制度上切り分けることができるのかどうか。 つまり、サービス業で労災保険料率が適用されるのか。そうではなくて、主たる業務が 物の製造になったときの保険料率を変えることができるのか。テクニカルにできるのか どうかということだけお伺いします。 ○篠崎補佐   労災の保険料率については、輪島委員おっしゃるように主たる業務が製造業に実体と してなったときには、製造業の保険料率を適用します。当初、事務系中心にやっていた 会社であっても、例えば平成18年度から物の製造が主たる業務で多くなったときには、 料率が変わると理解をしています。 ○輪島委員   可能なのですね。 ○篠崎補佐   はい、可能です。 ○清家部会長   それは派遣元のものですか。 ○篠崎委員   派遣元の主たる業務としてです。 ○清家部会長   その主たる業務は、派遣元が自分がそうだと言ったら、そうなるのですか。それとも 外から何か。 ○篠崎補佐   基本的には賃金総額などで判断をします。 ○清家部会長   派遣元が主に物の製造のところに派遣していれば、そこがどう言おうと、主たる業務 は製造になるのですか。 ○篠崎補佐   基本的にはそうです。 ○清家部会長   それは労働局かどこかが認定しているのですか。 ○篠崎補佐   そうです。労働局の徴収部門において、具体的にはどこを適用するかをご相談いただ くことになると思います。 ○清家部会長   ほかに何かありますか。すでに苦情等にも議論が入っていますが、よろしいでしょう か。 ○長谷川委員   派遣契約の中途解除に係る苦情についてどう考えるか。法律の指針と実態を見るとな かなか難しいと思う。問題はやはり次の人間関係に関する苦情が多いこととも関連する のですが、派遣労働者が途中解約されたなどのトラブル、人間関係がぐちゃぐちゃして いろいろあるなど、そういうことを相談できるところがどこかに欲しい。派遣労働者の 話をよく聞くとわかるのですが、派遣先の正規の職員でないからと、自分たちで線引き しています。だから、意外に交わらない。絶対、お昼なども別だということです。正規 の人たちとは昼食も一緒に食べないで、派遣は派遣だけでお昼も食べるらしい。どうも 自分たちで線を引いているみたいですが、それは派遣という働き方を選んだということ だと思う。一方、紹介予定派遣などは、もしかしたら将来は自分がそこで直雇用される かもしれないという人たちは、交わるのだと思う。正規の人たちは何かトラブルがあっ たときに、自分の職場の上司や組合に相談しますが、派遣の人たちにはこれがない。各 県には労働局がありますが、よほどのことがない限り相談には行かない。  そこは、直雇用の人が解雇されたり、雇止めされたなど、労働条件の不利益変更が行 われたという時には行きますが、派遣の人たちは多少は相談があるとしても、そこにも それほど来ない。派遣の人たちが相談できるものがどこかにないと難しいのではないか。 労働者派遣事業適正運営協力員というシステムはいまでもあり、これは相談を受け付け ることになっているのですが、協力員が相談された、相談事にあずかった話はあまり聞 かない。大体、そういう人たちがいること自体も知らない。もう少し、派遣労働者の苦 情などを聞いてあげて、もし人間関係だとすれば、本人たちがもっと努力をするのがよ いのかどうなのか、それとも別なところに派遣先を変えてあげるのかどうなのか。それ は処理の仕方はあると思う。  契約の途中解除は、これもなかなか難しい。ただ、指針の中ではある一定の指導をし ています。それをどうやって進めていくかだと思う。派遣契約の中途解除をどう扱うか については、まだ自分なりによく整理されていない。むしろ、鎌田委員にこれは法律的 にどう考えるのかをお聞きしたい。何故、指針で書かれていながらも苦情が多いのかは、 鎌田委員、それから事務局からも聞いてみたい。これをどう対応するかは、私も少し苦 労しています。 ○鎌田委員   私もよくわからないことがあるので、それも含めて事務局からお答えいただきたい。 契約の解除の問題と契約は維持したままの差し替えの問題と両方あると思う。つまり、 個々の人間の能力の問題として、この人は駄目だという言い方がある。労働者本人とし ては自分は駄目だと言われているから、中途解除という意味では多分同じように理解し ている人もいると思う。しかし、契約の解除とその人についての差し替えというのと、 問題としては2つありますが、指針は契約の中途解除だけです。差し替えについて決め たものは、何かないのですか。問題は2つあると考えていいのですか。差し替えの問題 はないのですか。もし、データなどがあればお願いします。 ○坂口課長   派遣法上具体的な規定として、差し替え、交代に関して規定をしているものはありま せん。特定を目的とする行為、類似する選別は同じような取り扱いになりますが、具体 的な交代に関しての規定はありません。  中途解除の関係については、長谷川委員のご指摘にあったようなどういう形でという ことは、アンケート調査でも派遣先からの中途解除についてその理由を派遣元の事業所 に聞いた中身で多いのが派遣労働者の知識、技術が派遣先の要望と異なっていたためと いうのが51%。派遣先の事業計画の急な変更、中止などがあったためというのが41%。 こういうケースが多いというのが現状かと思います。  苦情相談の関係については、長谷川委員からもご指摘があった点然りであります。労 働者の方は苦情をかかえていますが、それをいろいろな形で解決をしていかなければな りません。行政としてもその対応について尽力します。派遣制度全体の仕組みとしては、 先ほど来もご指摘のあった点ではありますが、派遣元、派遣先責任者で苦情処理をする ことにはなっています。具体的には更に派遣元、派遣先責任者からそれぞれ派遣元にお ける、あるいは派遣先において苦情の申し出を受けるものを更に明らかにして、派遣労 働者からの苦情が申し入れやすい体制を整えるようにしています。行政も一緒になりな がら、一義的にはそういうところの活用にならざるを得ないかと思います。また、協力 員制度は先ほどのご指摘の中でもあったように、どこに協力員がおられるのかわからな い点について、行政としても反省をしてまた更に周知をしっかりとやっていきます。 ○輪島委員   苦情の関係ですが、基本的に派遣のスキームの中で苦情が多いとなっているのか。一 般の職場でも苦情は多いので、相対的に派遣というスキームで苦情が多いとなっている のかどうかというのはわかりません。そこがケアしなければいけないところなのかどう かを、相対的な比較をする必要がまずあるのではないか。もちろん、派遣特有の問題も あるとは思っています。  協力員制度は私は東京労働局の協力員でもありますが、年に2回か3回くらい協力員 会議があります。労働側の委員は非常に小まめに何々会社の許可のあり方を初め、個別 の案件などで大々的にご活躍しています。個別のニーズ、状況を非常によく把握されて います。使用者側どうですかといつも振られて、苦しい答弁をしていますが、それなり に協力員制度はそれぞれで機能はしていると思います。ただ、ご指摘のように、全体的 にそういう制度があるのかどうかも含めて、認識具合が低いことは否めませんが、それ なりの機能は果たしていると思っています。 ○清家部会長   ほかによろしいですか。それでは、本日の「派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置」 及び「派遣労働者からの苦情等について」のフォローアップを終わらせていただきまし た。今回でこのラウンドのフォローアップは一応終わりです。いいろいろな意見ありが とうございました。私から最後に1つだけ感想を言います。いつか輪島委員がおっしゃ ったことだと記憶しています。何でもそうですが、派遣にも悪い派遣とよい派遣とがあ ると思います。悪い派遣については何らかの規制、最低基準で担保しなければいけない。 よい派遣については、今日北村委員が言われたように、情報開示等において競争しても らう。そして、よくない派遣がだんだん淘汰されていくことだろうと思います。ただ、 一旦許可した以上は、たとえどんなに悪い派遣であっても、最低限のことを規制で担保 することが必要ではないかと思っています。今回でワンラウンド終わりましたが、また 引き続きいろいろなご意見を承りたいと思います。いままでの議論を踏まえて、次回は これまでの議論の整理と今後の審議の進め方などについても更に議論をしたいと思って います。今日の議論を含めて、事務局には資料の整理をしていただきます。  次に、一般労働者派遣事業の許可の諮問に移ります。冒頭申しましたように、ここで 傍聴されている方々については、ご退席をいただきます。また、職業安定局次長におか れましても、所用により退席されることになっています。 ○篠崎補佐   次回の部会は、11月28日火曜日13時半から16時、第一会議室で予定しています。 ○清家部会長   いまお話がありましたように、次回の部会は、11月28日13時30分から16時で開催 させていただきます。日程の確保等よろしくお願いします。  以上をもちまして、第91回労働力需給制度部会を終了します。なお、本日の署名委 員は、雇用主代表成宮委員、労働者代表池田委員にお願いします。それでは、どうもあ りがとうございました。       照会先  厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係  〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL03(5253)1111(内線5747) FAX03(3502)0516