06/10/19 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成18年10月19日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年10月19日(木)  10:30〜 厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(10名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 守 殿 貞 夫、 川 嵜 敏 祐、    土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、 折 笠 秀 樹、 溝 口 昌 子、    山 口 一 成、 吉 田 茂 昭  (注)◎部会長 ○部会長代理      欠席委員(6名)   飯 沼 雅 朗、 岡   慎 一、 神 谷   齊、 後 藤   元、  ○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利  3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   伏 見   環(安全対策課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻前ではございますが、出席を予定していただいている先生方がお そろいですので、始めさせていただきます。なお、溝口委員は遅れて来られます。  本日は、薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会にお集まりいただきましてありがとう ございます。また、一部の先生におかれましては、当初の御予定を変更して御出席いた だいたことに厚く感謝いたします。当部会委員数16名のうち9名の委員に現段階で御出 席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。  では、部会長であります池田先生、以後の進行をよろしく申し上げます。 ○池田部会長 おはようございます。先生方、御出席の程、ありがとうございます。本 日の審議に入る前に、事務局に人事異動があったようですので、ごあいさつをお願いし ます。 ○審査管理課長 9月1日付けで審査管理課長を拝命しました、中垣です。よろしくお 願い申し上げます。 ○安全対策課長 同じく、9月1日付けで安全対策課長に着任いたしました、伏見です。 よろしくお願いします。 ○安全管理監 総合機構の安全管理監を拝命いたしました、川原です。よろしくお願い いたします。 ○審査第一部長 総合機構新薬審査第一部の佐藤です。よろしくお願いいたします。 ○審査第三部長 総合機構新薬審査第三部の望月です。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 よろしくお願いします。それでは、まず、事務局から配付資料の確認と 資料作成に関与された委員の報告をお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。机の上に、本日の議事次第、座席表、名 簿、資料として、資料1-2「フルダラ錠」の追加資料、資料6「審議品目の薬事分科会 における取扱い等の案」、資料7「専門委員リスト」を配付しています。  平成13年1月23日の薬事分科会申し合わせに基づく、資料作成に関係された委員の 確認ですが、本日の審議事項について、関与委員はいらっしゃいません。以上です。 ○池田部会長 お手元の議事次第にありますように、本日は、審議事項が4議題、報告 事項が1議題となっています。  早速、議題1、フルダラ錠の輸入承認の可否等について、機構から審査の概要の説明 をお願いします。 ○機構 議題1、資料1及び1-2、フルダラ錠10mgの輸入承認の可否等について、医薬 品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤の有効成分であるリン酸フルダラビンは、アデニンヌクレオシド誘導体の抗悪性 腫瘍薬です。リン酸フルダラビンの注射剤については既に「貧血又は血小板減少症を伴 う慢性リンパ性白血病」を効能・効果として承認されています。今回、リン酸フルダラ ビンを有効成分とする錠剤について、悪性リンパ腫のうち、低悪性度B細胞性非ホジキ ンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫に効果を示すものとして申請されました。  低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫は、進行は緩徐であるものの、抗悪性腫瘍薬の 有効性が低く、治癒が困難です。現在、一次治療としては、リツキシマブを含む多剤併 用療法が主に実施されていますが、一次治療に無効又は再発した場合には、標準的な治 療は確立されておりません。マントル細胞リンパ腫についても、標準的治療法は確立し ておらず治癒は困難であり、また、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫と比較して進 行が早く予後不良です。  経口剤である本剤は、海外では「再発又は難治性のB細胞性慢性リンパ性白血病」に 関する開発が行われ、同適応にて英国等海外72か国で承認されていますが、「低悪性度 B細胞性非ホジキンリンパ腫」に関する適応はベトナムにおいてのみ承認されています。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料にございますとおり、5 名の委員です。  品質、毒性、薬理、ADMEについて承認にかかわる大きな問題は認めませんでした。 臨床試験は、国内2試験の成績が提出され、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジ キンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を対象とした臨床試験において、それぞれ65.2 %及び16.7%の奏効率が得られました。機構は、本臨床試験の結果から、本剤の有効性 は認められると判断し、また、本剤の効能・効果を、「再発又は難治性の低悪性度B細 胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫」として記載することが適切と判断 しました。  安全性については、既承認の注射剤と類似しており特段新たな問題点はないと判断し ておりますが、注射剤と比較して、下痢等の消化管毒性、骨髄毒性、肝機能異常の発現 率が高くなる可能性があることが、使用に当たっての主な注意点と考えます。  製造販売後においては、医療現場で本剤と他の抗悪性腫瘍薬との併用がなされる可能 性があると機構は推測しています。申請者は、現在本剤とリツキシマブとの併用に関す る臨床試験を実施するとしており、機構は、当該結果が得られた時点で結果を公表する よう指示を行っています。また、製造販売後においては、本剤の使用実態を把握し、得 られた安全性に関わる情報を本剤の適正使用に活用することについても、指示を行って います。  以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断しています。本剤は 新投与経路、新効能医薬品であることから、再審査期間を6年とすることが適当であり、 原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来 製品には該当しないと判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 今回はリン酸フルダラビンの経口薬です。今、説明がありましたように、 注射薬については既に承認されているわけですが、経口薬について、適応疾患をローグ レードのノンホジキンリンフォーマとマントルセルリンフォーマということで申請が出 ています。どなたか御質問はございますでしょうか。  ローグレードのB細胞性のノンホジキンリンフォーマに関しては46例で、完全寛解が 14例、部分寛解が16例、奏効率が65%。マントルセルリンフォーマに関しては疾患の 頻度が低いために6例しか評価されていませんが、効果を認めたものが1例ありました。  今回は2試験とも単剤で評価をしたということですが、単剤でもこれだけの奏効率は 得られる。今後は恐らく単剤ではなくて併用、特にリツキサンとの併用が実際的には行 われるであろうということで、それについては今後も調査あるいは実態の把握をしてお くようにと、機構からも指示が出ています。  1錠が10mgですから、1日6〜7錠を5日間連続経口投与して、5日間を1サイクル とし、3週間に一遍ぐらい繰り返し投与する格好で使われるお薬ということです。安全 性については、特段注意すべき点があったということはないのですね。 ○機構 注射剤と比べて、未知のものがあるといった状況ではありません。 ○池田部会長 安全性については、経口薬ということもあり、特段注意すべき問題は今 回の試験では出てこなかったということです。 ○守殿委員 特別な意見ではありませんが、米国とドイツで開発されていないのは、実 際に臨床医は使わないであろうということで開発されていないだけで、有用性は認める 傾向にあるのですか。 ○機構 申請者に、なぜ日本においてのみ悪性リンパ腫の開発かと聞いたところ、米国 での特許の切れる期間など、ビジネス上の理由があって、新薬の新しい効能での開発を、 悪性リンパ腫に関して海外でやる状況にはなかったといった理由であることを確認して います。 ○池田部会長 再発性、難治性のCLLに関しては使われていないですが。 ○機構 補足させていただきます。もともと欧米は日本に比べてCLLが多い状況です。 CLLに対して経口剤の開発が始まって、次に悪性リンパ腫に関する開発を試みてカナ ダ等で臨床試験を実施していたようですが、アメリカのビジネス上の理由で、新しい効 能の追加に関する開発は行えなかったという回答をシエーリングからもらっています。 ○池田部会長 考えによっては、再発性、難治性の慢性リンパ性白血病とローグレード のリンフォーマは類縁疾患という理解でよろしいということで、専門協議でもその辺の 議論が出たのではないかと思いますが。 ○機構 議論がございました。CLLと悪性リンパ腫の低悪性度B細胞性非ホジキンリ ンパ腫に含まれるある疾患が類縁ということもありますし、何より注射剤と経口剤で有 効成分が一緒なのに効能・効果が違うというのは現場にとっても使いづらく混乱がある ということです。海外ではCLLに対する経口剤の開発は行っていますので、そういっ た試験も利用して、有効性、安全性が大丈夫であれば、注射剤と経口剤の効能・効果を そろえていく方向で開発するように指示しています。企業からも、それは検討するとい う回答がきています。 ○池田部会長 吉田委員、何かコメントはございますか。 ○吉田委員 確かに我が国が先行する部分もありますが、この薬は限られた用途で限ら れた人たちが使うと思いますし、注射剤を使っている実績もありますので、読む限り、 特に問題はないと思います。 ○池田部会長 そのほかに何か御意見はありますか。 ○山口委員 確認ですが、海外で、CLLに対して経口剤は認められているのですか。 ○機構 海外では、経口剤はCLLに対する適応で、注射剤は悪性リンパ腫に関する適 応になっています。国内ではそれと逆になっていて、経口剤が悪性リンパ腫に関する効 能、注射剤がCLLに関する効能になっています。そこはビジネス上の理由ということ であったのですが、ややこしいので、データがあるのであれば、注射剤と経口剤とで国 内外の差が無意味にあったり、国内で経口剤と注射剤の効能・効果が違うという状況は 改善してほしいということで、指導は行っています。 ○池田部会長 そのほかに何か御意見はありますか。よろしいでしょうか。ただ今御説 明がありましたように、経口剤自身も多くの使用経験がある。特に海外ではCLLで使 っているということですし、何よりもCLLと類縁疾患と考えられるようなローグレー ドのリンフォーマに関して注射剤の適応があるのであれば、経口剤でもそれなりの使い 勝手があるであろう。専門協議でもそのような議論がなされたと聞いております。特段 御意見がありませんでしたら、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきま す。  続きまして、議題2、パリエット錠、サワシリンカプセル、クラリス錠他の製造承認 事項一部変更承認の可否等について、機構から説明してください。 ○機構 議題2、資料2、医薬品パリエット錠10mgの製造承認事項一部変更承認の可否 及び再審査期間の指定他について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  ヘリコバクター・ピロリ除菌治療はプロトンポンプ阻害剤と抗菌薬2剤を組み合わせ た3剤併用除菌療法が主流であり、本邦においては、ランソプラゾール、アモキシシリ ン、クラリスロマイシンの3剤併用除菌療法が2000年9月に、オメプラゾール、アモキ シシリン、クラリスロマイシンの3剤併用除菌療法が2002年4月に承認されておりま す。今回の申請は、プロトンポンプ阻害剤をラベプラゾールナトリウムとし、アモキシ シリン及びクラリスロマイシンの3剤併用によるヘリコバクター・ピロリ除菌療法でご ざいます。  なお、ラベプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤併用除菌療法は、 欧州、米国等、世界29か国で承認されています。  本剤の専門委員としては、資料7にありますとおり、奥村委員他7名を指名し、御意 見を賜りました。  本申請においては、国内薬物動態試験1試験、国内第III相臨床試験1試験の合計2試 験に加え、参考資料として海外臨床試験4試験が提出されました。  国内臨床試験は、審査報告書の25ページから記載がありますとおり、ラベプラゾール、 アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤を用い、ラベプラゾールとクラリスロマイ シンの用量を換えた4群における比較が行われたものです。その結果、いずれの群にお きましても80%を超える除菌率が得られておりましたものの、ラベプラゾールについて は有害事象発現率より10mgとすることが適切であると判断しました。  クラリスロマイシンについては1日400mg、800mg、いずれの用量におきましても、 除菌効果が得られており、忍容性についても問題は認められなかったことから、1日400 mgと1日800mgのいずれを推奨すべきであるかについては、今回の資料からは判断し難 いと考えております。しかしながら、既承認のプロトンポンプ阻害剤、アモキシシリン、 クラリスロマイシンの3剤併用療法のうち、クラリスロマイシンについて2用量を有す るランソプラゾールを含む3剤併用療法においては、クラリスロマイシンの「基本用量 を400mg/日とし、必要に応じて適宜増量する」とされていることから、臨床現場での混 乱を回避する観点より、現段階においては、今般申請された併用療法においてもクラリ スロマイシンの用量を「基本用量を400mg/日とし、必要に応じて適宜増量する」と設定 することはやむを得ないものと判断いたしました。  なお、2用量間の優劣について、例えばクラリスロマイシン耐性菌出現頻度の相違を 検討するためには、その発現頻度を考慮すれば、大規模な比較検討が必要であり、クラ リスロマイシンの推奨用量に関しては、ヘリコバクター・ピロリの耐性化とクラリスロ マイシンの用量との関係に関する知見やヘリコバクター・ピロリ除菌療法に関する知見 等も踏まえた上で、随時、検討し、いずれを推奨すべきかについては引き続き検討する 必要があると考えております。この旨については申請者に指示をし、申請者も情報収集 することを承諾しています。  以上から、今般申請されたラベプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシン併 用療法は、審査報告書の冒頭にある効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えない と判断しました。なお、本申請はパリエット錠10mgが新効能・新用量医薬品、並びにそ れ以外の品目が新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが妥当であ ると判断しております。  薬事分科会には報告を予定しています。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 ○池田部会長 御承知のように、ピロリ陽性の胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍で、プロト ンポンプインヒビター、アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤併用除菌療法は既 に認められているわけですが、今回、ラベプラゾールに関して新しい申請が出てきたと いうことです。  臨床試験では、ラベプラゾールの用量は10mgと20mg、クラリスロマイシンは400mg と800mgで試験がされています。ただ今説明がありましたように、ラベプラゾールが10 mg、クラリスロマイシンが400mg、アモキシシリンが750mgの組合せを原則として効果 を認めているということと思いますが、委員の方々の御意見を伺いたいと思います。 ○折笠委員 審査報告書の31ページの、クラリスロマイシン耐性の有無で効果がかなり 違います。臨床試験をやったときにクラリスロマイシン耐性の患者さんがたくさんいる のですが、このぐらいいることが通常なのですか。 ○機構 クラリスロマイシン耐性のピロリがたくさんいることはこの領域で問題になっ ておりまして、クラリスロマイシン耐性のピロリ菌に対してどのような抗菌化学療法を していくかは、例えば臨床の現場ではメトロニダゾールを含む3剤併用療法などが検討 されているところです。ですから、このデータが現場の状況と大きく異なるものではな いと考えています。 ○折笠委員 もう一つ、一度除菌をやって、判定して、除菌されていればいいわけです が、除菌されていない場合はもう一度投与できるのですか。 ○機構 一度目で除菌に成功しなかった事例については、この領域では二次除菌という 言葉が用いられていまして、同じ薬剤ではなく、例えばクラリスロマイシンをメトロニ ダゾールに変えるような、薬剤の組合せを変えての治療が行われていると聞いておりま す。メトロニダゾールの併用療法については現在申請中でありまして、近いうちに当部 会にて御審議賜ることになると存じます。 ○池田部会長 除菌の判定には一定の基準があって、除菌に一度成功し、しばらくして から再発ということもありますが、その場合に現場ではどのようにされているのですか。 やはり同じような治療を繰り返すのですか。抵抗性あるいは除菌が不成功に終わってい る症例は次のステップに行かなければいけないと思います。一度除菌がある程度成功し た例が1年ぐらいしてから再発ということも恐らく現場ではあると思うのですが、それ の使い方はどうなっていますか。今の時点では繰り返すことになるのでしょうか。 ○審議役 本質論として、再発なのか、再感染なのかという話も現場ではあるようです。 内視鏡検査をやっている所ではそういったものを介してのイアトロジェニックな感染の 問題など、様々ありまして、また出てしまった場合は感受性があるかどうかを調べてい ただきたい。耐性のものであれば最初からメトロニダゾールを加えたようなレジメンが よかろうと思いますし、そうでなければ同じレジメンを使ってやっても構わないという ことになります。 ○池田部会長 耐性菌は増えているのですね。 ○機構 明らかに増えています。 ○池田部会長 50%ぐらいが一番新しい耐性菌の出現率という理解でよろしいですか。 ○機構 報告によっても若干異なりますが、このくらいの数字と考えております。 ○池田部会長 そのほかに何か御質問はありますか。 ○土屋委員 これ自体が問題というわけではありませんが、現実問題として、例えばア モペニキシンはオメプラゾールと併用できないなど、マトリックスがばらばらです。そ こは当分やむを得ないと見ていくしかないのでしょうか。恐らくアモリンは片方しか駄 目などという組合せが出てきていると思います。申請時の組合せでそうなっているので しょうが、その辺はどうでしょう。 ○事務局 今回のパリエットの組合せの申請に当たりましても、エーザイさんの方から 各社に声を掛けていただいたようですが、結果的に手を上げてくれた会社がこれだけで あったと聞いております。行政側としてもそういうところはなるべく埋めていきたいと いうのがございますので、その後、私どもからも声掛けをさせていただきましたが、経 済的な理由などでお断りがあったという経緯があります。再審査が切れれば全部きれい にそろうわけですが、それまでは致し方ないかと思っています。 ○土屋委員 この組合せ以外のものは適応外使用と、聞かれたときはそう答えるしかな いという認識でよろしいのですね。 ○池田部会長 納得し難いですか。 ○土屋委員 採用薬の関係などのときに、今まではセットになっているものがあったの で簡単に行ったのですが、ばらで出すと通らないなどといったことがあったものですか ら、採用薬との兼ね合いがあっていろいろ大変だということがあります。 ○池田部会長 現場は難しいのですか。 ○土屋委員 これとこれの組合せはいいけれども、これでやってくださいと現実として は言うしかないということなのです。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○上原委員 添付文書の2ページの4.副作用に、(1)重大な副作用、(2)重大な副作用 (類薬)とあります。(2)に、今まで出ている「類薬(オメプラゾール又はランソプラゾー ル)で以下の副作用が報告されている」ということで、五つ列挙されています。この書き ぶりを見ると、この薬にこのような副作用があるのかどうか判断できないのですが、そ れはどうでしょうか。 ○機構 この薬で認められたものについては(1)に記載されることになっていまして、 同じクラスの医薬品に認められているものが(2)に記載されることになっています。 ○上原委員 (2)の副作用はこの薬に認められなかったということで、今までの類薬よ りは優れているという判断でよろしいですか。 ○機構 優れていることや劣っていることを言うつもりで書き分けているのではなく、 この薬で認められているものが(1)です。ただ、この薬では今までのところ記載するま でに至ってはいないのですが、クラスエフェクト等を考えると、検出されていないだけ で、同じようなことが起こり得る可能性があるであろうということで、(2)で類薬で認 められている副作用を書いています。 ○上原委員 注意してくださいという意味ですね。 ○機構 そういう趣旨で書いてあります。 ○上原委員 アンダーラインのある所とない所はどういう違いですか。 ○機構 アンダーラインがある所は今回新たに加わった部分です。 ○上原委員 新たに加わったというのは、今までの市販後調査の中で出てきた副作用が 追加されて書かれているということですか。 ○機構 市販後調査や臨床試験など、これまでに累積されたデータに基づいて今般追記 ないし変更された部分です。 ○上原委員 類薬が出るときは、今までより優れた点があることが条件の一つであった と思いますが、これについてはそういうところはあるのでしょうか。 ○機構 3剤併用療法につきましては、申請者としては耐性ピロリにも使えることを主 張してまいりましたが、私どもとしては、審査の結果、既存の2種類の3剤併用療法と 何ら変わるものではないと最終的に判断いたしました。 ○審議役 補足させていただきます。3剤併用療法というピロリ除菌療法はそもそも抗 菌化学療法でして、効いている主体はアモキシシリンとクラリスロマイシンなのです。 同じ薬を使っていることに関して言うと、同じように除菌ができるということで、これ は十分であると私どもは考えています。  ただ、そのときに組み合わせる、酸分泌を抑制するための薬剤として、PPIの種類 が幾つかあって、最初の承認がランソプラゾールであったものですから、それ限定とい う格好で承認されて、次にオメプラゾールが出て、今回ラベプラゾールが出てきたとい う関係ですので、本来は治療成績に大きな違いがあるはずはないというのが前提です。  実際に得られた結果は、むしろ試験が行われた時代によるピロリ菌の感受性、耐性化 の程度によって影響されているところが伺えます。それは抗菌化学療法の理論的な面か らいっても極めてリーズナブルということで、今回の適応を取るに当たって、他剤に比 べて優れるものという目的で開発しているわけではなくて、当然使えるものがこれでも 使えていいでしょうということを確認した形になっています。こうした形の審査も、新 薬の審査の中では一つのパターンとしてあり得ると考えています。 ○池田部会長 PPIとアモキシシリンとクラリスロマイシンの組合せの除菌に対する 効果に関しては、皆さんもよく御存じのとおりと思います。パリエット錠に関しては、 もともとPPIとして使われている薬ということも踏まえると、特段大きな問題はない 気もしますが、いかがでしょうか。 ○吉田委員 今の件ですが、類薬の副作用を掲げなさいというのは機構の指示ですか。 それとも申請者が出してきたのですか。 ○審議役 同じクラスの薬で出ている副作用で、後から出てきたものは使用している患 者さんの数が少ないからまだ出てきていないだけであろうと思われるものは、そういう ものに対してあり得るということで、情報提供するのがよかろうということです。この 領域の薬に限った話ではなくて、ほかの領域の薬でもやっています。 ○吉田委員 新規のものは載せるということですね。 ○審議役 そういう形を取っています。永遠に出てこないようなものも書かれてしまう ことがあるということです。 ○早川委員 本薬で記載がなくて類薬にあるというのは、頻度から言うと一段低い。そ うも言えないのですか。 ○審議役 一般的には低いです。ただ、薬剤の種類によって出たり出なかったりという ものも当然あり得ます。例えば、母化合物の修飾部分に起因するようなものであると出 ないこともあり得ます。 ○早川委員 効能から見ているのですか。構造的なところから見ているのですか。 ○審議役 両方です。拾い込んでくるものの中には、薬剤の特性によって出ているもの と、その領域の疾患に使っているためによく起きるイベントを、薬剤との因果関係をど うしても否定しきれない格好で取り込まざるを得ないものと、両方あります。特にいろ いろな薬剤を併用して使うような疾患の場合、被疑薬が複数出てきて、そのために書か ざるを得なくなっているものもかなりあります。これがなかなか難しいところであると 思います。 ○池田部会長 副作用の出方にはいろいろな要素がありますので、一概にこのメカニズ ムでとは言えないものもたくさんあると思います。よろしいでしょうか。本議題につい て委員の方々から特段追加する御意見がないようでしたら、承認を可として、薬事分科 会に報告とさせていただきます。  続きまして、議題3、リレンザの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、 機構から説明をお願いします。 ○機構 議題3、資料3、医薬品リレンザの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び 再審査期間の指定について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  ザナミビル水和物は、英国グラクソ社(現グラクソ・スミスクライン社)において開発 された抗インフルエンザ薬であり、本邦においては、A型又はB型インフルエンザウイ ルス感染症の治療薬として1999年12月に承認され、その後、小児に対する用法・用量 が本年2月に承認されております。今般の申請は、インフルエンザウイルス感染症予防 の効能・効果を追加するものです。なお、今般の申請については、迅速審査として審査 を行っています。  海外においては、インフルエンザ感染予防の効能・効果については、米国では本年3 月に、欧州では本年8月に承認されるなど、本年8月現在、69か国で承認されており、 予防の効能・効果については、38か国で承認されております。  本剤の専門委員としましては、資料7にありますとおり、折笠委員他3名を指命し、 御意見を賜りました。今回の申請に当たり、有効性及び安全性を検証することを目的と した試験として、国内において実施された地域内感染予防試験1試験、海外において実 施された家庭内感染予防試験2試験、地域内感染予防試験2試験、介護施設内感染予防 試験2試験の7試験の成績等が提出されています。  国内臨床試験においては、試験実施時の流行が小規模であったことなどから、その有 効性が検証されなかったものの、(1)既に本邦においても治療の効能・効果を有しており、 予防の際には治療時よりもより少ないウイルス量を標的とすること、(2)本剤は、吸入に よりインフルエンザウイルスの侵入門戸である気道に直接適用される薬剤であり、また、 本剤の作用は生体そのものではなく生体内に存在するウイルスであることから、吸入が うまくできれば、民族等による差は少ないと考えられ、海外臨床試験成績より、その有 効性は確認できること、(3)既存のインフルエンザウイルス感染症の化学的予防薬、具体 的に申しますとオセルタミビルですが、こちらに耐性株の出現も報告されており、化学 的予防薬の選択肢を増やすことの公衆衛生上の意義は大きいと考えることから、本剤に インフルエンザウイルス感染症予防の効能・効果を追加承認して差し支えないと判断し ています。  なお、安全性並びに耐性株出現の有無については、国内外の臨床試験成績から大きな 問題点は検出されていないものの、製造販売後調査において十分に情報収集する必要が あると考えており、この点については、申請者も了解しています。  以上のような審査の結果、本剤に「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の予 防」の効能・効果を追加承認して差し支えないと判断しました。なお、本申請は新効能 医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが妥当であると判断しています。  薬事分科会には報告を予定しています。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。リレンザのA型又はB型インフルエンザウイ ルス感染症の予防についての追加ということですが、先生方の御意見を伺いたいと思い ます。 ○折笠委員 私は専門委員になっていて、そのときに気付かなかったことですが、添付 文書を改めて眺め直しますと、読んでいて混乱しそうなものがあります。3ページの右 に2.予防試験成績があって、5ページの右にも2.予防試験成績があります。番号の付 け方をこうやっておられるからかもしれないですが、同じような予防試験成績が出てき て、何の予防試験なのかが読みにくいと思いました。これは、何ポツ、何ポツという付 け方はされないのですか。 ○機構 3ページにあるのは、左の「臨床成績」という言葉のすぐ下にある、「本邦に て実施された臨床試験成績」の「1.」、「2.」で…。 ○折笠委員 それはゆっくり見れば分かりますが、全く同じ名称で、しかも「2.」で出 てきたので、また予防試験かと思ったのです。 ○機構 かしこまりました。5ページだけを見た方にも分かりやすいような表記に整え させていただきたいと思います。 ○折笠委員 それから、私は統計を専門にしていて、論文などであれば検定名を表の下 に書いたりするのはいいかもしれないですが、添付文書で検定の名称まで入れる必要が あるのかという気がします。どうしても必要ですか。論文では結構厳しくなっています が、添付文書に挙げる必要性はどうなのかと思うのです。私は統計の専門家であります が、そこで何とかという話もない気もします。 ○審査管理課長 添付文書に検定のやり方まで書くかどうかは一律のルールが定められ ていると思いますので、それと当たってみまして、ここの扱いを考えさせていただきた いと思います。ありがとうございます。 ○池田部会長 我々に知識がないせいか、こういうテストがあったのかと思うような全 くなじみのないものがあって、びっくりしています。そのほかにいかがでしょうか。 ○早川委員 例えば、ある患者さんが発生して、家族に投与してくださいという話です よね。そのときに、医師は家族の方は診ていないわけですよね。その辺は大ざっぱな話 であろうと思いますが、どういうクライテリアで家族に対する投与をするのですか。 ○池田部会長 家族内における感染予防ということで非常に分かりやすいのですが、ワ クチンを接種していない家族にインフルエンザが発症して、予防のために家族内でこれ を投与しようというシチュエーションのときに、処方する医師はインフルエンザかどう かという確認が取れていないことも多くあるという意味ですよね。 ○早川委員 実際の家族の状況は分からない。 ○機構 患者の申告に基づいてドクターが判断されるしかない状況にあるかと思いま す。ただ、私どもとしましては、先ほど既承認で予防の効能・効果を取っている薬剤の 方で耐性株のお話を申し上げましたが、この薬剤についても使用量が増えると耐性株が 増えることを懸念していまして、バックグラウンドに何もない方までこの薬剤で予防し ていただこうとは考えていません。あくまでも予防接種がインフルエンザウイルス感染 症の予防としては一次でありまして、それを補完するような位置付けと考えています。  家族がインフルエンザウイルス感染症であることをどこまで正確にディテクトできる かという問題はあるかと思いますが、少しでもそこを目指して処方等をしていただけた らと思い、このような形になっています。ですから、投与対象も、添付文書の1ページ の左の、「効能・効果に関連する使用上の注意」の3.に書かれている背景因子を持つ方 々はインフルエンザウイルス感染症にかかりますと重篤化することがありますので、こ のような方々にこの薬剤の使用が推奨されるものと考えています。 ○池田部会長 こういう方たちには予防接種を推奨するわけですよね。 ○審査第一部長 私どものスタンスとしては、インフルエンザウイルス感染症の予防の 基本はワクチン療法であるということで、添付文書の「警告」の2.に明確に書かせてい ただきました。  それから、先ほどの補足ですが、これは吸入剤であり、吸い込むトレーニングをきち んとやりませんと目的の部位まで到達しないこともあります。実際に必要最小限の患者 にきちんとそれをお使いいただく指示をどのようにするのか、どう使っていただくのか ということを含めて、今後どういう情報提供をするのかを企業の間とも詰めさせていた だきたいと思っています。 ○山口委員 2ページの審査結果の「その有効性が検証されなかったものの」という文 章を見たときに、今の時代のエビデンスベースド・メディスンに極めて反するのではな いかと第一に思いました。もちろん、現実には治療でよく効いているわけですから、予 防効果としても非常にいいであろうということで、あとの三点についてはよく分かりま す。今後の予防対象として、33ページにありますが、かなり限定して使ってほしいとい うメッセージは入っているのでしょうか。 ○機構 投与対象の方からお答え申し上げますと、先ほども申し上げましたように、誰 にでも使っていただきたいとは考えていませんで、33ページに記載がある対象と同じで すが、添付文書に記載しましたような背景因子を有する方々にお使いいただきたいと考 えています。  国内臨床試験で有効性が検証されなかった点については、計画を立てたときの算出根 拠となった数字ぐらいでインフルエンザウイルス感染症が起これば検証できると想定し てデザインを組んであったわけですが、流行り物ですとどうしてもその年の流行で流さ れてしまうところがあります。ですから、もともと流行が小さかったからということで 考えています。  事実、海外の臨床試験では有効性が確認されていますので、有効性が全く検証されな かったということではなくて、海外ではきちんと検証されており、その有効性が日本人 にも読み込めるであろうということで、日本人の有効性は確認できたと考えています。 多少、言葉足らずの点が冒頭にあったかもしれません。その点につきましてはおわびを 申し上げます。 ○池田部会長 予防で承認されているのは38か国とおっしゃいましたが、そこではエビ デンスとして予防効果がきちんと取れていると理解してよろしいということですね。 ○審査第一部長 はい。それから、32ページの審査報告(2)に、(1)有効性についてが あります。国内臨床試験においては残念ながら有効性が検証されなかったということで すが、海外で実施されました家庭内の感染予防試験の2試験の成績については、直接の エビデンスにはなりませんが、これらを引っ張ってくることによって本剤の予防効果の 有効性は十分に言えると理解しています。 ○吉田委員 海外データを受け入れる場合は、国内で実証するということで、抗がん剤 などは市販後にいろいろ条件を付けます。この場合は流行り物なので難しいと思います が、国内でも予防効果があったか、なかったかを知りたいところです。市販後にそうい うチャンスがいつ来るか分かりませんが、予防効果を再確認してほしいという希望は出 せないですか。 ○池田部会長 その点について説明をお願いします。 ○機構 私どもも申請時より同じことを考えていまして、何ができるであろうかといっ た点について、審査の過程で申請者とずっとディスカッションをしてまいりました。流 行の規模等は全く予想が付かない状況ですので、今のところは「1.11 市販後調査基本計 画書(案)」に書いてあるものを当座実施していただくことにしていますが、その動向等 も踏まえまして、どういうことをやってほしいか、どういうことが実施可能で、それを やることによってどのようなデータが取られるかについて、随時、申請者とディスカッ ションを重ねていきたいと存じます。 ○吉田委員 別に何が何でもというのではないのです。症例の積み重ねがあって薬剤疫 学的に証明されてもいいわけですから、どこかでエビデンスが欲しいと思います。よろ しくお願いします。 ○機構 ありがとうございます。そのように努力させていただきたいと思います。 ○池田部会長 1.11に「特定使用成績調査の骨子」が書いてありますが、これをしっか りと実施していただくように、もう一度確認をお願いしたいと思います。3シーズン合 計で200例というのは予防線を張っているような気がして情けないのですが。 ○機構 これにつきましては、現行の本剤の治療での売上げを考えましてこのような数 になっていますが、今後、その売上げ等も見ながら、もっとたくさんの数が可能であれ ば、もっとたくさんの数を収集するようにという指示をしてまいりたいと思います。 ○池田部会長 余りにこれが使われるようになって、ワクチンの接種が基本というとこ ろが少しずつ薄れていくと、逆に困ってしまう気もします。 ○審議役 200という数がかなり少ないという見方は一面そうですが、もう一つの経口 の薬剤が既に予防の効能を取っていること、ワクチン接種が基本であることを一つ一つ クリアしていって、この薬を使って予防しようかというシチュエーションになる対象者 ということになると、かなり少ないと考えています。現実問題として、手軽に飲んで予 防できる経口剤に圧倒的に流れているのが日本の現状ですので、そういうことを勘案し ていくと、意外とこの数を集めるのは大変かと考えました。  ただ、万一経口剤の耐性株が急激に増えると、あっという間にこちらにシフトするこ とになりますので、そうした場合の対象者はこの数よりもっと増えるであろう。その点 は企業も十分に考慮しているということです。ですから、この段階でのシチュエーショ ンで、精密にデータを取って発現率をきちんと調べられるような現実的な数ということ で詰めてきた結果がこれですので、その点は御理解いただきたいと思います。 ○池田部会長 ほかの抗ウイルス剤と比べると、これは耐性発現の可能性が比較的低い のではないかと予想されるということですが、データはあるのですか。 ○機構 これについて、耐性発現がインビトロのデータなどで低いということが得られ ているわけではありません。使用量が既存のものと比べますと大きく異なることから、 現状において耐性の報告が少ないのではないかと考えています。 ○池田部会長 説明では、天然基質により近い構造を持つことからと書いてあって、も っともらしくこのものの方が耐性が少ないのではないかと読み取れるところがありま す。そのほかにいかがでしょうか。 ○土屋委員 審査報告で、例えば企業側は家族内感染予防と地域内感染予防の両方を出 したけれども、結果としてそれが否定されているというプロセスが、我々は分かってい るからいいのですが、審査報告書が出たときにそういうところが黒く塗りつぶされてい ないかどうか。情報公開されたものが塗りつぶされたりすることもありますから、その ようなことは大丈夫であろうかという気がしながら、そういうニュアンスを何らかの格 好でどこかで伝えることができないか。  警告でワクチンをやりなさいと言っているとはいえ、現場としては、予防となると、 家族の誰かがインフルエンザと分かったら、ほかの人の分もこの人に付けて全部出して しまおうなどということも現実に起きています。それは、やっていいかと聞かれれば、 絶対に駄目ですと言うしかなくて、その人のカルテを作ってきちんとやってくださいと 形式論は言うのですが、現実としてはそうではない部分がたくさんあって、その辺を何 とか伝えることができればということがあります。 ○機構 御指摘ありがとうございます。土屋先生から承りました点は、重要な点である と存じます。マスキングの部分については、私どもとしては知的所有権に係る部分のみ としていまして、先生から御指摘のありました、審査の過程などが見えなくなるような マスキングは、たとえ申請者から希望があったとしても認めておりませんので、その点 は御安心いただければと存じます。  現場に対する情報提供については、確かにこの審査報告書は公開していますが、医療 現場の皆様がお読みになってくださっているかというと、なかなかそういう状況ではな いと思います。我々としては、お読みいただくことを推奨していきたいとは思いますが、 それだけではなく、現場の皆様にもその経緯が分かるような形で情報提供できないかと いう点について、申請者と相談してみたいと思います。御指摘ありがとうございました。 ○審議役 追加です。先ほど早川先生あるいは土屋先生から、実際に患者ではない、家 族も、というところがありました。そういうものをどういう形で見ていくのか。それか ら、これは吸入剤ですが、器具の使い方、トレーニングをどうすべきか。もう一つは、 審査の過程そのもの、あるいはこういう経緯でこういう承認がされたというところは、 エッセンスが分かるような形でこれから申請者と詰めていき、臨床の現場に適切な情報 が伝わるようにしていきたいと思います。 ○守殿委員 今の話題に関連していますが、予防投与を受ける人はカルテを作らなくて いいのですか。その辺は、実際に臨床の場ではどう指導されるのですか。それこそ予防 効果などはカルテがなかったら追跡しえないと思いますし、実際にどうされるのか。 ○審査管理課長 御指摘の点については、医師法や医療保険の法律による部分がありま すので、そちらの専門部局とも相談した上で、先生方に回答させていただきたいと思い ます。 ○守殿委員 最近では再発性性器ヘルペスの抑制、予防投与がありますが、予防投与あ るいは抑制などに関して、何か厚労省としての取り決めがあるのでしょうか。予防投与 という医療は必要性によって広げられていくと思いますが、例えば、単純なものではS TDのパートナーのピンポン感染などがあります。そのようなものを含めますと、予防 あるいは再発抑制等に関してどこまで広げていかれるのか、何か取り決めがあるのでし ょうか。 ○審査管理課長 薬事法上申し上げますと、医薬品の定義の中に「人の疾病の診断、治 療又は予防に使用されることが目的とされている物であって」という表現があります。 疾病の予防に使う物というのは医薬品の定義ですから、当然のことながら、一定のエビ デンスをもって疾病の予防に役立つことが申請されてくれば先生方の御意見を聞きなが ら審査をしていくことになってまいりますし、問題なければ承認することになっていま す。  それから、先ほど御質問がありました、それを実際の現場で使うときにカルテの問題 や診察の問題をどのような形でやるのかということですが、これは薬事法ではなくて医 師法なり医療法の問題となってまいりますので、そちらと協議した上で回答させていた だきたいと考えています。 ○守殿委員 薬事法と医師法の違いで、という形で別個に結論を出されて、医療サイド としては不本意であるなどということも起こりかねないかと心配なのですが、それは余 計な心配でしょうか。 ○審査管理課長 先ほどの御質問は、患者のカルテだけでいいのか、家族のカルテも作 るのか、という御質問で、薬事法では全く御説明できないですし、間違って説明したら 取り返しが付きませんから、医療法、医師法の所管と相談した上で回答させていただく と申し上げているだけです。医薬品の承認審査、またそれを医療現場で使う際の医師法、 医療法というのは、一貫した、統合した施策なり、不都合があってはいけないと考えて いますが、司々という問題はありますので、その上で回答させていただきたいと申し上 げている次第です。 ○守殿委員 医者としては、薬事法が優先されるような取り決めの方が好ましいという 印象があります。 ○吉田委員 協議すると、接触してから1.5日以内に病院へ行って本人が薬をもらうと いう説明になると思いますが、多くの場合1.5日以内には病院に行けないです。そして、 インフルエンザが流行ると、誰かが病院へ行って誰かの分を買い置きするなどしないと いけなくなる。現実的にはそういう動きをすると思うので、規則の問題だけではなくて、 実際にどうなるかを想定していただいて回答をいただければと思います。 ○池田部会長 タミフルの場合は予防的に非常に効果があるわけですが、タミフルはど うしていたのですか。 ○審査管理課長 うろ覚えで、不正確な知識でお答えしても混乱を広げるだけと考えて いますし、吉田委員から御指摘があったのは、例えば新型インフルエンザが流行ったと きにどうするかを含めてのことではないかという気もしますので、幅広く調査した上で 回答させていただきたいと思います。 ○池田部会長 では、調査した上で、委員の先生方に後日報告いただきたいと思います。 余談ですが、去年、慶應病院のある病棟で集中的に医療従事者にインフルエンザが起こ ったときに、タミフルの予防内服を500〜600人の医療従事者にやりまして、二次感染を 防げた。それに関しては全部病院持ちで、500〜600万掛かった気がします。 ○吉田委員 リスクマネージングとしては安いですね。 ○池田部会長 結果としてはそれぐらいで済んだのですが、それをしなかったら病院を 閉鎖しなければいけない状況になったのではないかという判断で、費用を病院が持った 経緯があります。これは余談です。それでは、その点については後日御報告いただきた いと思います。そのほかに何かありますか。 ○上原委員 使用する対象者は高齢者や基礎疾患を持った人であると思いますが、そう すると、いろいろな薬を使っています。この薬について、併用を注意しなければいけな いものがあるのか、ないのかについての情報はありますか。何も出ていませんから併用 注意薬はないと考えていいと思いますが、その辺の情報の集積があるのかどうか。今、 タミフルが出てきましたが、タミフルを承認するときにここでそういう議論があって、 それは市販後の調査ではっきりさせるということがあったことを思い出しましたので。 ○池田部会長 併用薬について情報はありますか。 ○機構 これまでの国内外の情報におきまして、特に併用を注意する医薬品は上がって きていません。しかしながら、上原先生から御指摘いただいた点は重要であると思いま すので、今後実施する国内の製造販売後調査におきましてもその点は十分に調査をして もらうように指示したいと思いますし、国内のみならず海外におきましてもそのような データが上がってこないかについてアンテナを張ってもらうように指示したいと思いま す。御指摘ありがとうございます。 ○池田部会長 非常に重要な御指摘ですので、是非企業にもその旨を伝えていただきた いと思います。そのほかに何かありますか。 ○早川委員 今のいろいろな御議論の結果として対応がなされますから、これ自体をこ こで承認することに何ら異議はありません。  先ほどのマスキングの逆の話で、うまくサマライズして、なぜこれが承認されたかと いうことを、それなりのものを作っていくとお答えいただいたのですが、それをきちん と分科会で報告事項にしていただきたいと思います。この審査報告資料をベースに私ど もが議論して、その結果としてクリアできたので、あるいは幾つかの条件が付いて分科 会に報告となるわけですが、これが部会での議論の経過が反映されていない元の審査報 告書のまま出ていくと同じ議論が繰り返される可能性もありますので、その辺の道筋を きちんと付けていただいて、また分科会でしっかり御説明いただいた方がいいと思いま す。 ○池田部会長 私に課せられた宿題と理解しましたので、事務局と相談して、ただこれ が承認されましたということではなくて、この部会でどのような議論があって、どうい う使い方をされるかを徹底させることによって、この薬剤の位置付けを明らかにして使 う、なおかつ、幾つか御意見を頂いたように、市販後も引き続きこういう点を注意して やってもらうということをまとめて報告するように、文章も今の議論を踏まえて作って いただけたらと思います。先生方から非常に貴重な御意見を頂きましたので、そのよう にさせていただきます。  この添付文書は結構読みにくい印象があります。赤で「警告」と書いてあるのでよく 読めばいいのでしょうけれども、もっと大きな字で書いてもいいかななど、インフルエ ンザウイルス感染症の予防の基本をもう少し表に出してもいい気がします。その辺も踏 まえて、添付文書についても企業と相談してほしいと思います。よろしいでしょうか。 ○機構 かしこまりました。対応させていただきます。 ○池田部会長 そのほかによろしいでしょうか。先生方に御異存がなければ、この議題 についても先生方から御承認いただいたということで、早川委員から御指摘がありまし たように、薬事分科会にはここでの議論を詳細に報告したいと思います。ありがとうご ざいました。  続いて、議題4、生物学的製剤基準の一部改正について、事務局から概要説明をお願 いします。 ○事務局 議題4、生物学的製剤基準の一部改正について、審査管理課から説明します。 資料4を御覧ください。本件は、薬事法第42条第1項の規定に基づき、生物学的製剤基 準の医薬品各条に規定されている、「乾燥細胞培養痘そうワクチン」に関するものです。  資料の1ページ、「今回の改正のポイント」について御説明します。このワクチンは、 これまで-20℃以下の貯法において3年間の有効期間が設定されていますが、今回の改正 は、同様の貯法において4年間の有効期間とするというものです。  これまでの経緯を少し御説明しますと、平成16年1月に医薬品第二部会で生物学的製 剤基準の改定が行われていまして、それまで2年間であった有効期間を3年間と御了解 いただき、これに基づいて現在3年間になっています。今回、この3年間を4年間にさ せていただいてよろしいかどうかということで、御審議をお願いするものです。  実際の長期保存試験の実施方法に関しては、平成15年12月に専門協議において早川 先生、あるいは本日御欠席ですが、神谷先生に御協議いただき、この試験方法によって データが得られるならば順次5年まで有効期間を延長することで差し支えないと御協議 いただきました。今回、その試験に基づいて試験を行い、4年間に関するデータが提出 されてきたということです。  4年間の有効期間延長に関してデータが出ていますが、1ページの3.根拠に書いてあ ります。乾燥細胞培養痘そうワクチンの長期保存試験成績として、-20℃以下の貯法にお いて製剤の小分製品に関する性状確認試験、含湿度試験、無菌試験、力価試験、安定性 試験、これら生物学的製剤基準に規定されている各試験方法について4年間保存された ものを検査したところ、いずれも適合といった結果が出されています。  具体的に申しますと、まず、3ページに法人Bと書かれていますが、会社で保存され ているLot.2及びLot.3の2ロットについてこれら5品目の試験を行ったとこ ろ、いずれも適合。さらに、6ページですが、実際に国家備蓄されているロットと同じ ものについてサンプル抽出して試験を行ったところ、いずれも適合といった結果が得ら れています。  事前に神谷先生から、本件について資料を御覧いただいた上でコメントを頂いていま す。「今回、諸データで4年間の確認がなされて、安全性が担保されているということ で、有効期間を4年とすることで賛成です」という御意見を頂いています。よろしく御 審議のほど、お願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。乾燥細胞培養痘そうワクチンの保存期間を3 年から4年に延長するということで、備蓄という観点からも保存期間を延長することは 非常に重要と考えられますが、これについて、先生方の御審議をお願いします。早川先 生からコメントはありますか。 ○早川委員 座長がおっしゃったように、国家備蓄という、非常に大事なワクチンです ので、安定性さえきちんとしていればこれで結構だと思います。 ○池田部会長 そのほかに何か御意見を頂けますか。ここにありますように、製剤の小 分製品に関して生物学的製剤基準に規定している試験が五つありますが、その成績がこ こに示されているということです。よろしいですか。 ○土屋委員 現実的な問題として、例えば今あるものが3年と書いてあって、それが4 年になるわけではないと考えていいのですね。 ○事務局 今あるものについても、そのまま4年に延長させていただくことになります。 ○土屋委員 使用期限のところを直すということですか。 ○事務局 本品は備蓄品で、流通しているものではありませんので、備蓄しているとこ ろで3年を4年に切り替えるということです。 ○土屋委員 これからバーコードはあれになると思いますが、基準が変わると、そのよ うな問題など、そこにいろいろな話が出てくるかと思います。 ○池田部会長 よろしいですか。特段御意見がありませんでしたら、これについても基 準の一部改正を可ということで、薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうご ざいました。  これで議題は四つ終了しましたが、報告事項があります。人全血液ーLR「日赤」他の 製造販売承認の可否について、機構から説明をお願いします。 ○機構 「医薬品 人全血液-LR「日赤」等の製造販売承認」について報告します。資 料5を御覧ください。  本申請は、事務局審査扱いの後発品でありますが、国の方針に基づく、輸血用血液製 剤の安全性の向上のための申請ですので、報告させていただきます。  今般、日本赤十字社から、人全血液-LR「日赤」等11品目について、白血球除去フ ィルターにより保存前に白血球の除去を行うことにより、残存白血球による有害事象の 予防・低減化を図ることを目的とした製剤の申請が行われたものです。総合機構におけ る審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断しました。  なお、本申請に伴う生物学的製剤基準の一部改正については、8月の本部会において 既に御審議いただいています。また、本申請は、本日付けで承認される予定です。以上 です。 ○池田部会長 ただ今の報告について、先生方から何か御質問はありますか。保存前白 血球除去製剤ということですが、よろしいですか。御質問等がありませんでしたら、こ の報告事項については御確認いただいたということで、進めたいと思います。ありがと うございました。  本日予定しました審議事項、報告事項はこれで終了しましたが、事務局から最後に何 かありますか。 ○事務局 次回の第二部会は、既に先生方に御案内させていただいていますが、11月29 日(水)に開催する予定です。開始時刻は、当初は午後2時から予定していましたが、午 後1時に繰り上げて開催させていただければと思いまして、最終調整中です。本日御欠 席の先生方の御都合も確認しまして、一両日中に決定をしまして先生方に御連絡申し上 げますので、11月29日(水)午後1時からという予定で御準備をいただければと思いま す。よろしくお願いします。 ○池田部会長 それでは、本日の医薬品第二部会はこれで終了します。先生方、御協力 ありがとうございました。                       ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 山本(内線2734)