06/10/17 第24回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会平成18年10月17日議事録 第24回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 開催日  平成18年10月17日(火) 場 所  KKRホテル東京 孔雀の間 ○出席委員  飯島康典委員、井部俊子委員、内田健夫委員、小澤壯六委員、加賀谷淳子委員、  加藤尚武委員、北村惣一郎委員、坂本雅子委員、笹月健彦委員、澁谷いづみ委員、  高橋清久委員、高橋滋委員、多田羅浩三委員、田中平三委員、地主憲夫委員、  富永祐民委員、中村丁次委員、久道茂委員、前川初子委員、松田晋哉委員、  村田昌子委員、 ○参考人  大槻浩(日本大衆薬工業協会副会長) ○厚生労働省出席  (健康局)外口健康局長、宮坂審議官、上家参事官、       矢島生活習慣病対策室長、塚本地域保健室長、勝又保健指導室長、 ○次第  I 開会  II 議題  1.平成18年度健康増進普及月間の報告及び食生活改善普及月間の実施について  2.第7回健康日本21全国大会の開催について  3.健康日本21中間評価について  4.その他  III 閉会  矢島室長 定刻となりましたので、ただいまから第24回厚生科学審議会地域保健健 康増進栄養部会を開催させていただきます。まず、前回の部会開催後に事務局に異動 がございましたので、私の方から紹介させていただきます。健康局長の外口でござい ます。大臣官房審議官の宮坂でございます。大臣官房参事官の上家でございます。総 務課長の岡部でございます。保健指導室長の勝又でございます。それでは事務局代表 といたしまして、外口健康局長よりあいさつを申し上げます。  外口局長 本日は御多忙中のところ御参集いただきまして、まことにありがとうご ざいます。この地域保健健康増進栄養部会でございますけれども、7月以来の開催と なります。 今回の地域保健健康増進栄養部会の重要なテーマとしては、健康日本21の中間評価が あげられます。  中間評価に当たりましては、この部会の御意見を踏まえながら、約2年にわたり作 業チームが合計7回開催され、報告書案を作成してまいりました。御存じのとおり、 平成12年の健康日本21の策定以降、健康増進法の成立、健康フロンティア戦略の策定、 がん対策基本法の成立、医療制度改革関連法の成立など、健康を取り巻く状況は大き く変化しております。また、健康に対する社会的関心は高く、この報告書案のパブリ ックコメントに対しては、900件近くの意見が寄せられたところであります。  このような中、委員の皆様には、健康日本21の充実、改善に向けて幅広い御議論を お願いし、いただきました貴重な御意見を今後の健康づくり運動に反映させてまいり たいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。  矢島室長 続きまして、本日の出欠状況について御報告させていただきます。委員 定数は25名でございます。現在18名の委員の御出席を得ており、出席委員は過半数に 達しておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。  次に配付資料の確認をいたします。まず一番上に議事次第、次に座席表、委員名簿 のほかに、資料1−1としまして「平成18年度健康増進普及月間実施要綱」、資料1 −2「平成18年度食生活改善普及運動の実施について」、資料2「第7回健康日本21 全国大会開催要領」、資料3−1「健康日本21中間評価報告書案」、資料3−2「健 康日本21中間評価報告書案に寄せられたパブリックコメント一覧」でございます。も し不足、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いい たします。それでは以後の部会運営につきましては久道部会長にお願いいたします。 よろしくお願いいたします。  久道部会長 それでは議事を進めたいと思います。まず最初の議題ですが、平成18 年度健康増進普及月間の報告及び食生活改善普及月間の実施についてですが、健康増 進普及月間のポスターに関して、日本大衆薬工業協会より意見陳述の要望がございま した。本日は、参考人として、同協会副会長の大槻浩様にお越しいただいております。 お席を用意してございますので、どうぞお移りください。  それでは矢島室長より議題1について御説明お願いいたします。  矢島室長 お手元の資料1−1と資料1−2に基づいて説明させていただきます。 まず資料1−1でございますが、平成18年度健康増進普及月間実施要綱ということで ございまして、生活習慣病の特性や、運動・食事・禁煙など個人の生活習慣の改善の 重要性について国民一人一人の理解を深め、さらにその健康づくりの実践を促進する ため、9月1日から30日までの1カ月間を健康増進普及月間といたしまして、さまざ まな行事を全国的に実施しております。  実施機関は、厚生労働省のほかに、都道府県、政令市、特別区及び市町村でござい ます。  統一標語は「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ〜良い生活習慣は、 気持ちがいい!〜」でございます。  6番目の実施方法でございますが、厚生労働省では、財団法人健康・体力づくり事 業団、関係機関の協力のもと、ポスターの作成により健康増進に関する普及啓発を図 っております。都道府県、政令市、特別区及び市町村におきましては、関係団体と連 携を密にしながら効果的な普及啓発を図るということで、2ページ目でございますが、 活動内容の例示といたしましては、このようなものをいろんな都道府県、自治体で実 施していただいているところでございます。  3ページは、今回これに使ったポスターでございます。  それから資料1−2でございますが、平成18年度食生活改善普及運動の実施でござ います。これにつきましても同様に、メタボリックシンドロームの概念を導入した取 り組みを行うということと、「食事バランスガイド」等の普及活用を目標といたしま して、厚生労働省それから都道府県、政令市、特別区、市町村、関係団体において実 施しているものでございまして、これは10月1日から10月31日まででございます。  統一標語は「あなたの腹囲(おなか)は大丈夫?〜食事バランスガイドを活用し、 メタボリックシンドロームを予防しましょう〜」ということでございます。  3ページのところでございますが、重点活動といたしまして、メタボリックシンド ロームに関する理解を深める。2番目といたしまして「食事バランスガイド」等を活 用していただく。3番目といたしまして、野菜料理など野菜の摂取量をふやしていく という工夫。それから4番目といたしまして、朝食を欠食しがちな者に対しての取り 組みですね。5番目といたしまして、油の摂取量を控えるような工夫。6番目は、肥 満、過度のダイエットに対するいろんな支援。  そういうものを考えておりまして、具体的な方法といたしましては、例えば「エク ササイズガイド2006」の活用ですとか「食事バランスガイド」の普及啓発。そういう ものを使っております。関係しますポスターは一番最後の5ページにおつけしており ます。以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございます。それでは大槻参考人より意見の陳述を お願いいたします。  大槻参考人 まず、当部会の大変貴重なお時間を私ども日本大衆薬工業協会のため にいただきまして本当にありがとうございます。大変光栄に思っております。私は、 日本大衆薬工業協会の副会長をしております大槻でございます。日本大衆薬工業協会 と申しまして、大正製薬あるいは武田薬品を始め加盟会社88社で構成しております協 会でございます。今般の薬事法の改正によりまして、一般用医薬品という名前が法律 にも掲上されたわけでございますが、一般にかつてから大衆薬と称しておりましたか ら、協会の名前は大衆薬工業協会という名前になっております。  私どもは日ごろから、国民、市民の皆様方の健康増進並びに維持、向上ということ について、お薬、一般用医薬品を通して社会に貢献したく事業をしております。そう した中で、ここ最近セルフメディケーションという言葉がございますが、市民、国民 の方々が御自身で自分の健康をはかって、その中で適切にお薬をもって、例えば風邪 を引かれたときの症状を軽減いただく、あるいは緩和いただくというようなお薬を皆 様にお届けしております。  そうした事業とともに、お手元にこのような小冊子を御用意させていただきました けれども、セルフメディケーションハンドブックとか、こうしたものも作っておりま して、今回の健康日本21、各都道府県を始め地方でも実施していらっしゃいますが、 いろんなキャンペーンやいろんな大会のときにも、こうした資料も届けさせていただ いて、お使いいただいたりしております。また、中学校の保健体育などの参考資料と してお使いいただきますような小冊子をつくらせていただきまして、全国の中学校に 届けさせていただいたり、新聞社と共催でございますけれども、おとといも読売新聞 社さんとさせていただきましたが、健康フォーラムというのを全国で毎年3度、読売 さんと朝日さんと御一緒してフォーラムをしたりしております。  医薬品の製造販売をさせていただきますとともにこうした活動をしておりますのは、 医薬品は、ここ近年、かつての薬局様あるいは薬店様における対面販売という状況が 少しばかり薄れてきておりまして、ドラッグストアさんを中心に、棚にお薬が置いて ありまして、それを手にとってレジでお金のお支払いをいただいてお持ち帰りになる という状況が多少増えてきております。  そうした中で、医薬品というのは物という側面は当然ながらお薬としてございます が、安全性情報、有効性情報、そして疾病情報等を店頭からお伝えいただいて、適切 に使っていただくということがとても大切だと思っておりまして、こうした時代の中 で、メーカーもその責任を負い、こうした社会啓蒙という形を進めていこうというこ とで、ここ数年前から大変強くそうした施策を打ち出させていただいております。  さて、今回の健康増進標語でございますが「1に運動 2に食事 しっかり禁煙  最後にクスリ」という標語につきましては、現在の、日本の生活者の状況を踏まえま して、セルフケア、セルフメディケーションを推進する私どもにとりましても、大変 歓迎して、いい言葉だなということでとらえさせていただいております。特に近年増 加しております生活習慣病の治療におきましては、これは一般用医薬品にとどまらず 特に医療用医薬品においてですけれども、医療の専門家の先生方におかれましても、 運動、食事等のカウンセリングと患者様一人一人の自助努力の上に薬物療法が設定さ れているということで理解されております。そうした意味では、今回の健康増進標語 がそれをよく表現しているものと私どもも受けとめさせていただいております。  たまたま私どもの加盟メーカーの一般用医薬品のテレビのコマーシャルなどでも、 先ほど申し上げました、安全性、有効性情報、疾病情報とともに、例えばビタミンB 1製剤のテレビのコマーシャルでございますが「食事 睡眠 アリナミン」というの がございます。これも、医薬品をたくさん買っていただいて、たくさん飲んでいただ いて、というかつての医薬品の販売の姿勢から、生活者一人一人の健康的な生活の中 における適切なる食事、適切なる睡眠、適切なる運動、それでも疲労、お疲れが残る ようでございましたらお薬をお使いいただいたらどうですか、という形での広告のス タンスに大きく切りかえてきたようなことでもございます。  そうした中で、今回の健康増進標語をもってポスターも今回つくっていただいた状 況でお伺いしております。その選定の中で、今部会長様の背中のホワイトボードに掲 出いただきましたが、最優秀作品がああいった標語とともに表現されました。大変い い形でできているなと拝見しておりましたが、その絵図らの中に、たばことともに薬 を投げ捨てるような図柄がございまして、多少私どもは驚いた次第でございました。  今回のポスターの絵図らというのは、薬にすべてを頼らない、薬は万能ではない、 まずは日々の運動、食事管理ということが大切ですよという、そうしたお気持ちで恐 らく学生さんもおかきいただいた状況だろうと思っておりますけれども、多少薬を投 げ捨てるという状況につきまして、標語どおりの「最後にクスリ」ということも含め まして、表現していただければ幸いだったなと思っている次第でございます。  私どもは、先ほどのハンドブックを含めてですけれども、そうした活動もさせてい ただいておりますが、先の薬事法の改正におきましても、医薬品の適正使用推進に向 けた国民の啓発が、国及び地方自治体の責務として明示された状況もございまして、 当然ながらこうした医薬品を製造販売させていただいている私ども自身は、さらにも そうした適切なお薬の使い方ということでの取り組みを高めようとしているところで ございます。決して投げ捨てるのではなく、適切な使用上の注意や服薬指導のもとで こうしたお薬を使っていただく状況でお願いしたいと思っている次第でございます。  最後でございますけれども、私どもは、日ごろは、本日の健康局様と別の医薬食品 局と申します組織が厚生労働省にございますが、こちらの医薬食品局は特に監督性の 高い組織でございますけれども、そちらの皆様方と、大衆薬、一般用医薬品自身がよ り適切に情報伝達されてお客様、国民の一人一人に健康になっていただくことを、10 月から新しい担当の方々に変わられてからも、強めて検討しているところでございま す。  また本日こうして御一緒させていただきました健康局様初め健康日本21を御推奨な さっている地域保健健康増進栄養部会の皆様とも、私ども大衆薬工業協会は、国民の 皆様方の健康を願うところにおきましては、場は違いますけれどもスタンスは全く一 緒のことだと思っております。どうぞ御指導賜りまして、私どもも御一緒に御参画さ せていただければと願っているところでございます。どうもありがとうございました。  久道部会長 それでは、ただいまの意見陳述につきまして御質問あるいは御意見ご ざいますでしょうか。それでは事務局から何かございますでしょうか。  矢島室長 事務局といたしまして、今、日本大衆薬工業協会の大槻様からもお話が ありましたけれども、ここは誤解のないようにということで経緯についてだけ御説明 させていただきたいと思います。  私ども、今回このポスターを作成されました松野さんの趣旨は、たばこを吸って運 動もせずに食事もカロリーをとり過ぎるといった不健康な生活習慣――これはポスタ ーの一番下のところでございますが、そういう不健康な生活習慣が原因で、内臓脂肪 型の肥満となり薬に頼らざるを得なかった人が、運動や食事などの生活習慣を改善す ることにより、結果的に肥満を解消し薬に頼る必要のない快適な生活を送ることがで きるようになった、というメッセージをわかりやすく表現したものと考えたことから 選出したものであります。  生活習慣病の種類などによっては、薬の力を借りざるを得ない場合もあることから、 薬の使用ですとか中止については、医師の適切な指導が必要であるということは言う までもないと考えております。以上でございます。  久道部会長 ほかに委員から何か。はい、どうぞ。  飯島委員 日本薬剤師会の常務をしています飯島でございます。今の大槻副会長の 御意見にまさに賛成ですけれども、我々日本薬剤師会としても、約5万件の薬局、地 域薬局の会員がいるのですが、その中で一次予防の部分では、やはり薬を通してとか 健康相談を通して、相当の貢献ができるのではないかと思っております。ぜひその部 分も、薬をほかすということでなく、ぜひ活用していただければと思っております。  久道部会長 ほかにございませんか。参考人の発言のほかに、議題として事務局か ら先ほど普及月間の報告がありました。そのことについて何か御質問はないでしょう か。それでは、議題1はこの程度といたします。続きまして議題2、第7回健康日本 21全国大会の開催についてです。事務局から説明お願いします。  矢島室長 それでは資料2に基づきまして説明させていただきます。第7回健康日 本21全国大会開催要領でございます。  目的でございますが、健康日本21を国民一人一人が主体的に取り組む国民運動とし て普及、推進するため、広く国民、健康関連団体、自治体等の参加を得て、健康日本 21全国大会を開催するものでございます。ことしは岡山県で実施いたしまして、岡山 県から情報発信を行う予定でございます。  対象は、国民一般、行政関係者、健康増進関係者、ボランティア団体、マスコミ関 係者、医療保険者、企業関係者等でございまして、メーンテーマでございますが、こ のテーマは「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ〜良い生活習慣は、 気持ちがいい!〜」ということで実施したいと考えております。  開催日時は、平成18年11月2日でございます。このときには展示のほかに、ウォー キング大会も同日このような形で一緒に実施する予定でございます。  内容につきましては、岡山県でございまして、金メダリストの森末慎二氏のスペシ ャルトークをいただくとか、いろんな地域での「ももっち体操」とか、そういうもの を実際にやっていただくということで、情報発信をしていきたいと思っています。2 ページでございますが、地元の方々を中心にシンポジストの方々をお招きしてシンポ ジウムを行うことを考えております。以上でございます。  久道部会長 全国大会開催の報告、予定ですが、何かこれについて御意見、質問。 はい、どうぞ。  高橋(清)委員 この全国大会というのは毎年開催されていると思いますが、過去 の会においてどの程度の参加者があって、こういったシンポジウムの波及効果といい ますか、なかなかそれを測定するのは難しいかもしれませんが、何かそういったこと に関しての情報はおありでしょうか。  矢島室長 過去の資料は手元にないのですが、昨年は鹿児島で実施させていただき まして、たしか3,000名程度お集まりいただいたと思っております。昨年の場合には、 鹿児島は離島を抱えているということで、地域における子育てだとか、そういうこと もテーマにしながら健康づくりについていろいろと地域の人たちも一緒になって情報 発信をさせていただいたという経験があります。こいうものも、全国で実施しながら なるべく地域の取り組みとか、そういうものを引き出しながら普及啓発をしていくと いうこともすごく意味があるのではないかと考えております。  久道部会長 ほかにございませんでしょうか。それでは3番目の議題です。これが 今日のメインの議題になろうかと思いますが、健康日本21中間評価についてでありま す。事務局から御説明お願いします。  矢島室長 それでは、資料3の健康日本21中間評価報告案について御説明いたしま す。この中間評価報告書はごらんのとおり非常に膨大な分量となっておりますので、 各章に分けて説明いたしまして御議論いただきたいと思います。本日は第3章までに ついて御議論いただき、第4章以降につきましては次回に御議論いただきたいと思い ます。  まず「第1章健康日本21策定の趣旨とその動向」について御説明させていただきま す。お手元に資料3−2としてパブリックコメントもございます。総件数876件のパ ブリックコメントをいただいておりまして、特に最初のところでございますが、全体 についての意見ということで、第1章の「健康日本21策定の趣旨とその動向」につい ても影響がありますので、このパブリックコメントもあわせて御紹介させていただき ながら御議論いただければと考えております。  資料3−1の「策定の趣旨とその動向」のところでございます。3ページをお開き いただきたいと思います。健康日本21策定の趣旨でございますが、まずこれは、ポイ ントといたしましては、この健康日本21では平成22年度までを運動期間としておりま す。平成17年度を目途に中間評価を行うということで、現在この中間評価をお願いし ているわけでございまして、平成22年度に最終評価を行い、その後の運動の推進に反 映させるというのが大きな流れになっております。  「健康日本21に関する動向」でございますが、全般的な動向という形でここに平成 14年からの過去の経緯が述べられておりますが、最近の動向といたしましては、中間 評価の関係で申し上げさせていただきますと、平成17年から10カ年戦略として、健康 フロンティア戦略というものが策定されているところでございます。国民の健康寿命 を延ばすことを基本目的において、生活習慣病予防対策の推進と、介護予防の推進を 柱とする健康フロンティア戦略が策定されています。  それから、近年は内臓脂肪型肥満というものが、糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、 脳卒中等の生活習慣病の発症リスクを格段に高めることが明らかになり、メタボリッ クシンドロームの概念が世界的に提唱されている。このような流れの中で、平成17年 4月に日本内科学会を初めとする関係8学会がメタボリックシンドロームの日本人向 け診断基準をまとめた。このような大きな動向が最近あったということでございます。 そういうものを踏まえております。  次の4ページの2の「分野別の動向」というところでございますが、まず(1)の 栄養・食生活のところですが、これにつきましては過去の経緯がありますが、最近の 流れといたしましては平成17年6月には、何をどれだけ食べたらよいかを示す「食事 バランスガイド」、これを厚生労働省と農林水産省が作成、公表し、普及啓発活動を 行っている。これが最近の新しい流れでございます。また、平成17年7月には食育基 本法が施行されました。それから18年3月には食育推進基本計画が策定されています。 国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むための食育を総合的に 計画的に推進するという目的でございます。  次の5ページのところでございますが、(2)といたしまして身体活動・運動につ いて。これも最近の流れでございますが、ことしの7月ですが、健康づくりのために 必要な運動量・身体活動量について「健康づくりのための運動基準2006」を示しまし た。この運動基準に基づきまして、安全で効果的な運動を行うためのツールとして 「健康づくりのための運動指針2006」「エクササイズガイド2006」ということで通称 申しておりますが、それを策定いたしました。  人材育成の観点からは、財団法人健康・体力づくり事業団が設置した健康づくりの ための運動指導者普及定着方針検討委員会におきまして、健康運動指導士を安全で効 果的な運動指導の専門化を目指す上で、まずどういうふうな取得すべき標準的な資格 が必要かという観点で、その養成、普及定着を積極的に図っていくための検討を行っ ております。平成19年度から新たな健康運動指導士の養成事業というものが、同事業 団により実施されることとなったところでございます。これが身体活動・運動につい てでございます。  それから3番目でございますが、休養・こころの健康づくり。これにつきましては、 平成16年に、地域におけるうつ対策検討会、こころの健康問題の正しい理解のための 普及啓発検討会が実施されまして「都道府県・市町村向けうつ対策推進方策マニュア ル」「保健医療従事者向けうつ対応マニュアル」それから「こころのバリアフリー宣 言」等を作成いたしまして、地方公共団体ですとか関係機関に配布いたしまして、休 養・こころの健康づくりに関する普及啓発を行っているところでございます。  それから自殺対策に関しましても、平成17年7月でございますが、参議院の厚生労 働委員会におきまして「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」 がなされまして、平成17年9月に内閣官房副長官のもとに自殺対策関係省庁連絡会議 が設置されました。また17年12月には「自殺予防に向けての政府の総合的な対策につ いて」が取りまとめられました。またことしの6月には、自殺対策を総合的に推進す ることを目的とした自殺対策基本法が成立いたしまして、国、地方公共団体等の責務 が規定されたところでございます。  4番目のたばこでございますけれども、たばこに関しましては平成17年2月に、こ の保健分野におきます初めての多国間条約でございますが「たばこの規制に関する世 界保健機関枠組条約」が発効いたしました。同条約におきましては、たばこの健康警 告表示の義務づけですとか、たばこに関する広告の制限措置等が規定されております。 同条約に沿ったたばこ対策が推進されています。  たばこの規制に関しましては、たばこ事業法の改正によりまして、平成15年に健康 警告表示の見直しですとか、平成16年には、たばこの広告規制の強化が実施されてい るところでございます。それから17年10月には、日本循環器病学会等の関連9学会に おきまして、禁煙は喫煙病という全身疾患であるとの位置づけを示した「禁煙ガイド ライン」が策定されました。また、喫煙によって引き起こされるニコチン依存症につ いて疾病であるとの位置づけが確立されたことを踏まえまして、6ページでございま すが、ニコチン依存症と診断された患者さんのうち禁煙の希望がある者に対する一定 期間の禁煙指導につきまして、ことしの4月から新たに診療報酬上の評価が行われた ところでございます。  ことしの5月には、地域、職域、それから主に保健医療従事者等を対象にいたしま した禁煙支援に取り組むための「禁煙支援マニュアル」を策定いたしまして、公表さ せていただいたところでございます。  5番目アルコールでございますが、このアルコールにつきましては、平成13年12月 に「未成年者飲酒防止に係る取り組みについて」を警察庁、国税庁及び厚生労働省か ら発出し、年齢確認の徹底とか、酒類自動販売機の適正な管理の徹底、未成年者の飲 酒防止に係る取り組み等について関係省庁連絡会議でいろいろと連絡をとりながら通 知をしているところでございます。  6番目の歯の健康でございますが、これにつきましては8020運動というものを、今 推進しているところでございます。そのほかに平成14年には「フッ化物洗口ガイドラ イン」を策定するとともに、歯周病対策といたしまして平成16年度から老人保健事業 の歯周疾患検診の対象が、これまでの40歳と50歳に加え、60歳と70歳に拡大されたと ころでございます。  7番目の糖尿病対策でございますが、糖尿病対策につきましては、平成16年に国民 の健康寿命を延ばすことを基本目的におきました健康フロンティア戦略が17年度から 始まったわけでございますが、その中でも糖尿病の発生率を20%改善するということ が目標と定められておりまして、7ページでございますが、現在平成17年度から、糖 尿病予防のための戦略研究事業を実施しているところでございます。  8番目の循環器病に関しましても、これも平成18年度から循環器疾患等生活習慣病 対策総合研究事業を創設いたしまして、種々の研究事業を実施しているところでござ います。  9番目のがんでございますが、がん対策につきましては、平成16年から、第3次対 がん10カ年総合戦略を行っております。それからことしの6月ですが、がん対策基本 法が成立いたしまして、がんに関します総合的な研究の推進、がん医療の均てん化、 個人の状況に応じた医療情報提供の体制の整備などを総合的に、かつ計画的に推進す ることとしております。  大きなギリシャ文字のIII番でございますが「医療構造改革の推進」ということでご ざいまして、ことしの6月に成立いたしました医療制度改革関連法におきまして、予 防を重視した生活習慣病対策をその1つの柱としております。具体的には、メタボリ ックシンドロームの概念を導入しまして、予防の重要性に対する理解の促進を図ると ともに、産業界とも連携した健康づくりの国民運動化を図ることとしております。  それからハイリスクアプローチといたしまして、生活習慣病予防について保険者の 役割を明確化いたしまして、40歳以上の被保険者・被扶養者に対する健診・保健指導 を義務づけるとともに、国といたしまして内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病予防 のための標準的な健診・保健指導プログラムを提示しているところでございます。  また都道府県の健康増進計画において、地域の実情を踏まえた糖尿病等の有病者・ 予備群の減少率とか、糖尿病等の予防に着目した健診・保健指導の実施等の具体的な 数値目標を設定し、関係者の具体的な役割分担と連携方策を明記するなど、その内容 を充実させ、中長期的な医療費の適正化につながることとしているところでございま す。  これが一応第1章のところでございますが、この関係でございますが、パブリック コメント、資料3−2もごらんいただきたいと思いますが、結構この健康日本21中間 評価の全体についての意見、最初のところの1ページ2ページがありますが、ここも よく御評価をいただきたいと思いますが、かなり手厳しい御意見もたくさんいただい ております。このような御意見も私どもは真摯に受けとめながらこの対策を進めてい かなければいけないと思っていますが、この中身について簡単に御紹介させていただ きます。  まず1ページのところでございますが、健康日本21中間評価報告書全体についての 意見という形で、最初の方は、なぜ後退するような項目が出ているのか、やはり原因 を解明しなければいけないのではないか、というような御意見もございます。  次の方は、縦割りに食事、睡眠・休養、運動とか、そういうものを個別にやってい る、結果として循環器病や糖尿病といった医療費の割合を下げることはできなかった じゃないかと。これは労働環境と無縁ではなく、特に家庭環境とか小児、児童にも関 係あるので、家庭のあり方や学校のあり方にも一歩踏み込まなければいけないのでは ないか。厚生労働省だけでなくて、文部科学省とか環境省、産業界等関係各省庁が連 携しなければだめなのではないだろうかという御意見もございます。  それから、単に数値の評価ですとかマニュアルの設定だけではなくて、空洞化した 施策への反省を補う政策の実現をやるべきではないかという御意見。  それから、数値目標を決めれば省の仕事は終わりという傾向があるのではないか。 国民の判断をサポートするまでが厚労省の仕事であり、国民の責任ある判断に任せる というのが基本的な考え方であるのではないかという御意見。  この健康日本21が、国民への強制につながりそうに感じるという御意見。健康に関 しては、国は国民への情報提供や助言というところでとどめておくべきであり、国民 の自己選択にかかわるべきではないという御意見。  それから、いろんな情報提供をすることは大事だが、あくまでも個人の判断にゆだ ねるべきであるというふうなお考え。  それから、日常生活の自由な選択範囲内まで国家が介入すべきではないという御指 摘。  その次でございますが、細かく数値目標などを掲げるのは出過ぎた行為ではないだ ろうか。健康で長生きすることは大切だが、楽しみのない生活が必ずしも長生きにつ ながるとも思えず、そんな人生はむなしいと思うという御意見。  広く意見を聞いた上で、偏りのない適切な対応をお願いしたいという御意見。  その次でございますが、あれもこれもだめ、気をつけなさいと国から言われれば、 人生の楽しみも、もっと言えば生きる意味までも失うことになりかねないということ で、大人なら自己の責任と判断で自分の体のことは考えることができるという御意見。  それから、国が国民の健康を心配してくれるのはありがたいですが、大きなお世話 ということもたくさんあるというふうな御指摘。  健康日本21は、健康になって何をする、長生きをして人間として何をするという目 的を持たないただの健康おたくをふやすだけだ。人間としてどう生きるべきかを発信 し、そのために健康でいましょう、という意味のある活動をしてほしいという御指摘。  それから、掲げられた最終目標は人間としての生き方、価値観なりのテーマであり、 哲学の問題であるべきなのに、単に健康イコール疾病がない、と歪曲された短絡的な 整理となっているという御指摘。  それからメタボリック症候群についてですが、メディアなどではウエストの太さの みが問題になり、他要因が問題になることが少ない。ウエストが基準値を超えている ことが、既に病気であるように考えている社会人も少なくない。ただウエスト85以上 が病気であり、悪であるように宣伝することを容認する厚生労働省の姿勢は、およそ 該当者の精神的健康について考えているとは言えない。身体的健康に関しては及第点 でも、メンタルヘルスに関しては落第であるというふうな御指摘。  それから、健康寿命とは何か、抽象的で明確に理解できないという御指摘。  今回の報告書はテーマごとに少人数のグループが検討した項目をくっつけ合わせた だけのように感じる。何が本当に重要な課題なのか。そういうことに基づいた報告書 であるべきではないかという御指摘がございます。  それから3ページでございますが、数値の出典を明記してほしいということ。  それから、これは次回の議論になるかと思いますが、新分野として呼吸器の項目を 設定するべきではないか。肺がん患者が増加していることを考えれば、先送りするこ となく、これらに速やかに対応する対策を講じることが喫緊の課題と思われる。以上 でございます。  久道部会長 第1章についての説明をいただきました。策定後の動向、いろいろ法 律等も変わったり、新しい取り組みが出てまいりましたけれども、それと関連して今 お話がありましたようにパブリックコメントの厳しい意見等もございます。このこと に関して皆さんから御意見、あるいは御質問でも結構ですが、何かございませんでし ょうか。はい、どうぞ。  富永委員 ただいま事務局から御説明がありましたパブリックコメントの一番最後 の部分でございますが、2ページの上から3つ目に、多くの日本人は病気なのか、た ばこを吸っていてもちょっと太っていても病気とは思えない云々。それから3つ下が りましてメタボリックシンドロームのところで、ウエストが大きいだけで病気なのか という御指摘がありますが、特に上の、たばこを吸っていてもちょっと太っていても、 というところに関しましては、これまで過去の医療は病気になってから治療するとい うのが主でしたけれども、今後は予防、こういう生活習慣病にかからないようにする ということが非常に重要ですから、確かにこれは病気ではないけれども、たばこを吸 っていたり太っていると、このような病気にかかりやすいという情報をもっともっと きちんと提供して、このような病気にかからないようにするということが重要であり まして、今後この辺はもっと考慮しなければいけないと思いました。  久道部会長 ほかにございませんでしょうか。  池主委員 個々の項目についてはこれから検討しますか。  久道部会長 後でやります。それでは、また振り返って御意見をいただいても結構 ですので、次に参ります。第2章の分ですね。  矢島室長 次は「第2章中間評価の目的と検討経緯」というところでございます。 これは1ページだけでございます。  中間評価の目的、今回の目的でございます。健康日本21の評価の目的は、これまで 何をしてきたか、その結果はどうであったかを振り返ることによって、健康づくり対 策の推進に資する情報を得て今後の対策に反映させることである、ということでござ いまして、目標の達成状況や達成状況と関連する促進・阻害要因等を探ることによっ て、健康日本21の改善に当たっての課題を明らかにし、その解決に資する多様な情報 を得る必要があると考えられる、ということでございます。  今回の中間評価の検討経緯でございますが、この中間評価を行うに当たりまして、 平成10年7月から健康日本21評価手法検討会をまず開催いたしました。その評価の手 法について専門家及び関係者からの意見を聴取いたしまして、16年3月に「健康日本 21評価手法検討会報告書」を取りまとめました。これを踏まえまして、16年10月に設 置いたしました健康日本21の中間評価作業チームを合計7回開催いたしまして、その 中間実績値の分析評価を行うとともに、その作業状況をこの厚生科学審議会地域保健 健康増進栄養部会に逐次報告いたしまして、部会においても議論を行わせていただき ました。  これは参考資料7をごらんいただきますと、後ろのところに過去の開催状況ですね。 88ページになります。健康日本21中間評価作業チームの開催状況、88ページにござい ますが、このような形で開催いたしまして、この部会においても議論を行わせていた だいたところでございます。  健康日本21中間評価作業チームにおきましては、健康日本21に定められている9分 野70項目について、その取り組みの問題点、今後の施策のあり方等について検討行い ました。以上でございます。  久道部会長 ここについては、特に御意見はないですよね。ですからこの第2章は このままパスいたしまして、具体的な御意見をいただきたいところが第3章になりま す。中間実績値の評価ということですが、この第3章は全般的な評価と分野別の評価 に分かれておりますので、まず1番目の全般的な評価について、説明お願いいたしま す。  矢島室長 では、お手元の資料10ページになります。「第3章中間実績値の評価」 です。1番が全般的な評価で、その下半分からが分野別という形になります。  全般的な評価でございますが、これにつきましては、まず根拠に基づく具体的な数 値目標を設定し、この数値目標を設定する手法を導入することによりまして、体系的 ・継続的なモニタリング、評価が可能になったというふうに評価しております。平成 14年3月にはすべての都道府県で都道府県計画が策定されております。また市町村に おきましては、ことしの7月時点でございますが、約54%の市町村においてこの計画 が策定されております。まだ策定をしていない市町村につきましては、ほとんどの市 町村で平成20年度末までの策定を予定しているということでございます。参考資料の 4でございますが、お手元の資料の85ページになります。85ページのところに、この 策定の状況についてまとめをさせていただいております。  今回の中間評価におきまして把握した中間実績値からは、後ほど具体的に出てきま すが、例えば脳卒中、虚血性心疾患の年齢調整死亡率の改善傾向が見られるとか、脂 肪エネルギー比率ですとか、女性の肥満者の増加に歯どめがかかるという評価がある 一方で、逆に高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、特に中高年男性で改善していない。 さらに男性の肥満者の割合ですとか日常生活における歩数のように、健康日本21策定 時のベースライン値よりも改善していない項目や、悪化している項目が見られるなど、 全体としては必ずしも十分でない点が見られる、というものでございます。以上でご ざいます。  久道部会長 御質問ないでしょうか。御意見。  私からですが、全市町村のうちの54%程度だけ計画が策定されているということで すが、いつもの計画にしてはパーセントが悪いですよね。何か低い理由があるのです か。  矢島室長 基本的に努力規定ということがあると思います。それから、ここのとこ ろはまだ私どもも十分な評価ができていないのですけれども、自治体も合併だとかい ろいろなことがあったことによって、なかなか動きづらかったという時期的なものも あったのかもしれません。  富永委員 市町村計画の策定のおくれは、ただいま室長さんが御説明された市町村 合併等々、それから市町村は策定の義務が課せられていないということもございまし ょうが、もう一つの理由としましては、厚生労働省が策定しました健康日本21は9分 野延べ70項目で、翌年都道府県が策定しました都道府県計画に至りましては、私がい ます愛知県では94項目、隣の三重県でも90項目以上ということで、非常に項目数が多 くて、市町村はそれを見習って市町村の計画を策定するにしても、項目があり過ぎて 手に負えなかったことも1つの理由ではないかと思っております。  久道部会長 ほかに御意見、はいどうぞ。  笹月委員 質問ですが、高血圧、糖尿病は改善していないと書かれていますが、こ れは一次予防が成功していないという意味ですか、あるいは重症化が防げていないと か、合併症が防げていないというのか、どちらでしょうか。  矢島室長 それは多分両方だと思いますが。書き方をそこはもう少し明確にした方 がいいということですね。  久道部会長 ほかにございませんでしょうか。はい、どうぞ。  坂本委員 この健康日本21健康増進計画に関しましては、市町村が頑張っていくと いうのが基本で、先ほど、原因はどういうのでしょうかということでしたが、幾つか の項目が今原因として挙がってきましたけれども、市町村の実態としては、この計画 を立てるほかにも義務計画が非常に多いというのでしょうか。例えば、子供でありま したら次世代育成推進、それから介護保険計画、そういうのは必ず義務計画になって おりますので、そちらに追われているというのが実態ではないかと思います。健康づ くりは、そういう点では、非常に頑張るところは頑張るけれども、全体的には理解さ れる素地が少ない分野ではないかと、市町村から見て思います。  久道部会長 ほかにございますか。はい、どうぞ。  内田委員 この実績についてのお話でもよろしいでしょうか。  久道部会長 はい。  内田委員 私も神奈川県で目標設定にかかわりまして、大変膨大な時間とエネルギ ーを使って目標設定を立てたのですけれども、実際に中間評価を見てみますと、かな り多くの項目で実績が伴っていないということがあります。これは反省も込めてです けれども、理由としては、1つは、今回の計画策定の実行に当たってはポピュレーシ ョンアプローチが中心であって、ハイリスクに対するアプローチというのがほとんど なかったということと、もう1点は、各関係団体への丸投げであって、具体的な取り 組みというのがなかなか進んでいなかったということを感じております。これは医師 会にもその責任の一端はあると思っておりますけれども、その辺のところの取り組み がどうしても各団体に丸投げになっていた。具体的な方策、戦略というのが全くなか ったという気が非常に強くしております。  久道部会長 それでは、また後で意見が出るかと思いますが、全般的な評価から、 次の分野別の評価、これはかなり具体的な話が出てまいりますので、まずそのうちの 栄養・食生活について御説明をお願いいたします。  矢島室長 それでは、1番目の栄養・食生活から御説明させていただきます。資料 は10ページから14ページの上までになります。かいつまんで御説明させていただきま す。  まず目標のところですけれども、栄養・食生活に関する目標は、適正な栄養状態、 適正な栄養素(食物)の摂取、適正な栄養素(食物)の摂取のための個人の行動及び それを支援するための環境づくりについて設定されております。  この目標を踏まえて具体的な施策としては、国民健康・栄養調査の実施や「食事摂 取基準」の策定など科学的根拠の蓄積及び整理をするとか、「食生活指針」や「食事 バランスガイド」の普及啓発や食環境整備、管理栄養士等の人材育成及びボランティ ア、例えば食生活改善推進員等の育成などに取り組むというようなことを行ってきた わけでございます。  具体的には、参考資料の1でございます。ページは60ページからになります。参考 資料1、9分野の施策の具体的にはどういうふうな取り組みをやってきたかというこ とです。最初の方のところでございますが、62ページが栄養・食生活の具体的に行っ てきた施策でございます。このような形の施策を進めることによって、この目標達成 のための活動をしてきたということになるわけですが、11ページをごらんいただきた いと思います。  その目標と達成状況でございますが、適正な栄養素(食物)の摂取についてのとこ ろですが、適正体重を維持している人の増加、これを目標にしているということです。 適正体重を維持している人をふやそうということでございます。これは、児童・生徒 の肥満児、肥満を下げるということになるわけですが、10.7から10.2ということで、 これは横ばいと評価していいのかどうかわかりませんが、7には届いておりませんが 大体横ばいという形になります。20歳代女性のやせの者、これはやせの方を減らすと いうことですが、23.3から21.4ということで若干減っております。次の20歳から60歳 代男性の肥満者、これは下げなければいけないのですが、逆にふえて29%ということ で、中間実績値から見ますと目標値の約倍になっていますので、ここはなかなか達成 が難しい状況になっているという問題がございます。40歳代から60歳代の肥満者、こ れは若干下がっているという形です。  次の脂肪エネルギー比率の減少についても、若干下がっています。25%以下でござ いますので、ここは若干下がっているということです。  食塩摂取量の減少、これも目標には到達していませんが、若干下がっている。  野菜の摂取量は、ふやさなければいけないのですが、逆に減っております。  カルシウムに富む食品の摂取量の増加でございますが、牛乳とか乳製品、豆類とか 緑黄色野菜というものは、ふやすことを目的にしているのですが、これも軒並み下が っております。  次の、適正な栄養素を摂取するための行動変容ということでございますが、自分の 適正体重を認識し、体重コントロールを実践する人の増加ということですが、これは ふえていただくことを期待しているのですが、逆に減っているということになってお ります。  それから、朝食を欠食する人の減少ということで、これも減らしたいところですが、 逆に中学生・高校生で若干ですがふえている。男性20歳代も30歳代もふえているとい う現状がございます。  量、質ともに、きちんとした食事をする人の増加ということですね。これは1日最 低1食をきちんとした食事、家族と2人以上で楽しく30分以上かけてとる人の割合と いうことですが、これは若干でございますがふえています。70%には到達していませ んが、若干ふえているという感じです。  次、12ページでございますが、外食や食品を購入するときに栄養成分表示を参考に する人の増加ということでございますが、これが逆に減っているという問題がござい ます。これはふえていただかなければいけないのですが、これが減っているという問 題。  それから、自分の適正体重を維持することのできる食事量を理解している人の増加 ということですが、これは若干ふえていると考えられます。  それから、自分の食生活に問題があると思う人のうち、食生活の改善意欲のある人 の増加でございますが、これは成人男性は若干ふえておりますが、成人女性は横ばい というのでしょうか、ほぼ変わらない状況で、ふえていないという状況があるかと思 います。  それから、適正な栄養素を摂取するための個人の行動変容に係る環境づくりでござ いますが、ヘルシーメニューの提供の増加と利用の促進、このところは中間実績値が 出ておりません。  それから、学習の場の増加と参加の促進、これは若干ふえているということです。  学習や活動の自主グループの増加ということでございますが、このところは女性に ついては少し減っているということです。  次のところにもかかわってくるのですが、未設定数値目標の設定というところで、 健康日本21策定時には、ベースラインとなるデータがなかったため、目標値を設定し ていなかった以下の4項目については、現在得られているデータに基づいて検討を行 い、新たな目標設定をしましたということで、13ページに4つございます。  外食や食品を購入するときに栄養成分表示を参考にする人の増加に関する割合です ね。これを一応設定しております。ヘルシーメニュー提供の増加と利用の促進、それ から学習の場の増加と参加の促進、それから学習や活動の自主グループの増加という ものでございます。  評価のところですが、栄養状態、栄養素のレベルは、20歳から60歳代男性において 肥満者の増加については、現状での取り組みが十分でない可能性が高いが、今後は効 果的な健診・保健指導の実施による成果が期待されるところであります。主として分 析がなされた栄養素ですとか食品摂取量レベルの指標につきましては、食塩摂取量や 脂肪エネルギー比率の若干の低下が見られていることは、健康日本21開始以前から、 国及び地域における取り組みも含めた成果と考えられます。一方で、野菜摂取量につ いては、増加が見られていないということです。  2番目といたしまして知識、・態度・行動レベルという形で、食生活に関する知識 ・態度・行動の指標については、ほぼ横ばいであり、今後食育の推進などの施策によ る成果が期待されるところであるということです。  それから3番目といたしまして、環境レベルですが、今回の評価の段階では、数値 の評価が十分にできていない状況にありますが、施策としては国及び地方レベルで、 レストラン等における栄養成分表示、ヘルシーメニューの提供、自主グループの育成 等が行われていまして、今後の成果が期待されるところでございます。  地域でのいろいろな食生活改善のボランティアさんなども、レストランに行ったと きに、例えばこのレストランでは栄養成分表示をしていないのでしょうかと問いかけ ていただくとか、そういうこともやっていただいているようでございますので、この 辺のところは今後の成果が期待されるところだと考えております。以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございます。今、栄養・食生活についての実際の中 間実績値、それから目標値等について説明がありました。この数値そのものは直すこ とはないのですが、皆さんに御意見をいただきたいのは、(1)(2)(3)の評価のような表現 でいいのかどうかということですが、食生活関係で前川委員あるいは中村委員、お2 人あたりからお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。  前川委員 食生活改善推進協議会会長の前川でございます。私たちは、地域に根ざ した食生活改善推進ということでやっておりますが、ここの目標設定とか状況のとこ ろで、男性の摂取、適切な栄養素とかが中間目標値より中間実績値が上がっていない ということが書かれていますが、やはり男性を呼び込むというのがなかなか難しい現 状がありまして、そこら辺は、もう少し私たちだけでなくいろんな団体と連携してや っていかなければ、こういう栄養素の摂取についてはなかなか改善が見られないので はないかと思っております。  男性につきましては、全国的に今ヘルスサポーター事業ということでやっておりま すが、限られた人になっておりまして、来ていただきたい人は見えないということが ございますので、その辺を今後私たちも考えていかなければいけないかと思っており ます。  久道部会長 そのあたりを強調する表現を加えた方がいいということでもあるので すか。  前川委員 はい。  久道部会長 中村委員いかがですか。  中村委員 この中間報告によりまして幾つかの問題点が明らかになりましたので、 この問題点を詳細に分析し、会としてこれから積極的に引き締めて対応していきたい と思っております。まだ詳細の分析をしていませんので何とも言えませんが、現時点 での感想をちょっと述べさせていただきますが、恐らく4つの点が明らかにされたの だろうと考えてお ります。  1つは体重管理のことでございます。特にここに指摘されたように中高年男性の肥 満者の問題がクローズアップされたわけでございまして、これは、先ほど事務局の方 から御報告ありましたようにメタボリックシンドロームを対象として保健指導に取り 組みますので、現在その講習会の準備等を行っております。したがって、中間報告と してはよくない結果になってしまったのですが、これからはかなり期待できるのでは ないかと考えております。  2番目の問題で、野菜の摂取量が増加しなかった、むしろ減少してしまったという ことでございます。実はこの野菜の摂取量に関しては、食生活の欧米化が進む過程に おいてどうしても減ってくる。これは世界じゅうが同じ悩みを持っております。多く の国がこの野菜の摂取量の増加を目標に掲げるのですが、成功した国は余りないとい う現状もございます。恐らく我が国もそういう要因があるのだろうと思うので、なぜ 欧米化が進むと野菜が減るのかということをもう少し多面的に検討して、かなり本格 的に取り組まなければいけないかなと思っております。  3番目がカルシウムの問題でございますが、3つの食品から目標を掲げているわけ でございまして、牛乳・乳製品が若干減少しております。これは、飲料水が多様化し てきた。特に今お茶のブームがありまして、お茶を飲むことによって牛乳を飲まなく なっている傾向もございます。もう2つの豆類と緑黄色野菜の問題は、先ほどの野菜 の摂取量が減っていくという問題と恐らく同じなのだろうと思っております。  そして最後の4番目が欠食の問題でございます。この欠食の問題も、生活パターン の問題とかなりリンクしていまして、特に夜型の生活になって朝起きるのが遅いとい う生活リズムの問題とリンクしていますので、その生活リズムの問題をもう一度検討 し直さないと抜本的な解決にならないのかなという気もしております。  いずれにしても、今回の中間報告の値を参考にして、我々、会としては反省も込め てこれから頑張りたいと思っております。どうもありがとうございました。  久道部会長 どうもありがとうございます。ほかに御意見ございませんでしょうか。 はい、では田中委員。  田中委員 今、食生活改善推進委員会と栄養士会という現場の目から意見を述べら れたわけですが、健康日本21の栄養・食生活については、私が座長として決めまし た。研究者側からのいわば反省を申し述べたいと思っております。要するに、健康日 本21は集団つまり国レベルでの目標値を掲げたわけですけれども、ここでは個人と集 団とを明確にしなかった、それがために栄養・食生活の中でも栄養状態、栄養素(食 物)摂取レベルにおいてあいまいさがあったのではないかと、私は深く反省しており ます。  例えば脂肪エネルギー比率の減少でありますが、25%未満というのは、個人に対し ての値なんですね。ですから、もしも集団の平均値が25%となることを目標とするな らば集団の50%の人々は25%以上でもいいみたいな話なんですね。それも大きい問題 です。同じように食塩摂取量についても、10グラム未満にせよというのは個人の目標 なんです。国民の平均値が10グラムということになると、10グラム以上の人が50%で よろしいみたいな感じにもなってくるわけです。野菜の摂取量350グラムは集団に対 しての目標であって、個人が350グラム以上とるのがいいのか、もっととるのがいい のか、そういう点もあいまいであったのではないかと思っております。  食事摂取基準につきましても、個人と集団での栄養評価及び栄養計画については、 現場においてもまだ非常な混乱を起こしております。つまり、個人と集団を区別して 明確に私が示さなかったからであると深く反省しております。  もう一つは肥満者の割合の話ですが、参考資料3−2の4ページですが、適正体重 を維持している人の増加というようなあいまいなことを言うなという話でしたが、日 本の女性のダイエット志向は非常に強いというところから、このようにしたわけであ ります。肥満と、不必要なダイエットをするなということとを、分けた方がよかった のではないかと反省しております。反省ばかりで申しわけありません。  もう一つは、この肥満者の割合は有病率で示しているわけですから、疫学の観点か ら言いますと、この有病率の減少、増加という解釈は非常に難しい。極端な言い方を しましたら、肥満者の割合がふえてきたということは、ある意味ではよいのかもしれ ないとも解釈できるんですね。というのは、太っていても死ななくなってきたからふ えてきたという話もあり得るわけです。では罹患率で示すのかと言われると、これは 現実的に不可能なことであります。  そういったことが、栄養素(食物)摂取レベルでの混乱を起こして、食生活改善推 進委員会や日本栄養士会の会員レベルでの活動をややうまくいかないようにしてしま ったのではないかとも思っております。これをつくった者として、深く反省とおわび を込めて発言させていただきました。  久道部会長 どうもありがとうございました。事務局からどうぞ。  矢島室長 そうしますと、ちょっと教えていただきたいのですが、例えば食塩摂取 量の減少、これを平均というよりも、今の先生の御指摘ですと、食塩摂取量10グラム 未満にしている人口の増加とか、そういう形が本当だと。  田中委員 割合でしょうね。  矢島室長 その割合、率ですね。それをもっとふやすというふうなことの方がより 適切だったという御指摘のようにお聞きしたのですが、そういうことでしょうか。  田中委員 はい、そのとおりです。10グラム未満の人の割合(%)の増加、これも 有病率的な発想ですけれどもね。そうすべきであったなと思っています。ある地域で 平均値10グラムであったらよいとしますと、50%以上の人は10グラム以上とっていて もいいみたいになりますね。脂肪のエネルギー比率も同様であります。個人が25%エ ネルギー比未満にしなさいというところを、その地域集団の平均値が25%エネルギー 比になってしまっているということです。  久道部会長 この同じ考え方は、ほかの項目にもありますね。これから説明する分 野にもあると思いますが。高橋委員、どうぞ。  高橋(清)委員 朝食の欠食の問題ですけれども、つい最近テレビでも放送されま したけれども、ある小学校で、岡山か広島かどちらか忘れましたけれども「早寝 早 起き しっかり朝食」というスローガンで3年間やったところ、学力がかなり上昇し たという報告がありました。そういう試みがだんだん小学校では広がっているようで すけれども、中学、高校でも、多少今エビデンスが出ていると思いますけれども、そ ういうエビデンスを普及させること、そしてモチベーションを高めるということが必 要だと思います。  それから、30代の男性の欠食は、やはり仕事と関連しているのではないかと思いま すが、企業との関連の問題があるんですね。だから、仕事が忙しくて朝食がどうして もとれないという状況をどんなふうにしたら改善できるか。そして、恐らく朝食を食 べると、作業能率も上がると思うんです。そういうエビデンスをどこかで示していく ことが、これから対策としては必要だと思います。難しいことかもしれませんが、ち ょっとそういう点も御検討いただきたいと思います。  矢島室長 実は、食育の関係で今文部科学省と一緒にやっているのですが、キャッ チフレーズはうろ覚えで申しわけないのですが「早寝 早起き 朝ごはん」だったと 思いますが、そのようなキャッチフレーズで文部科学省が全国的に、特に児童を対象 に進めている事業がありますので、私どももそういうところとも連携をとりながら、 まさに朝食を欠食する児童、これはいろいろな意味で問題を抱えてくると認識してお りますので、そこはよく連携をとりながらやっていく必要があると思っております。  久道部会長 ほかにございませんか。  澁谷委員 12ページのところですが、未設定の数値の設定を新しくしたわけですよ ね。この参考資料の2を見ますと、それぞれどういうものかということが書かれてい るのですけれども、なぜこれをわざわざ中間報告のときに新たに設定したかという、 その辺の理由をもう1〜2行でも少し書いた方がいいのではないかと思いますが、そ の辺はいかがでしょうか。  矢島室長 わかりました。もう少しこの辺のところはわかりやすく、なぜそういう ものを入れる必要があったのかということをもう少し丁寧に書き加えるようにさせて いただきます。  内田委員 全体についての意見というパブリックコメントを踏まえて私自身の感想 を申し上げますと、実は私も腹囲85センチ以上、それからLDLコレステロール高値 ということですけれども、私自身の健康目標というと、必ずしも今回の目標設定で頑 張ろうという気にはなかなかなれないし、実際難しいところがあります。ですから、 これは国としての目標設定と当たらないのですけれども、これ以上不健康にならない という目標設定があってもいいのではないか。そういうものを出していただけると非 常に励みになる人も多いのではないかということをちょっと感じました。  久道部会長 それでは、また戻って御意見をいただきますが、前の方に進めさせて いただきます。2番目の身体活動・運動について説明をお願いいたします。  矢島室長 14ページになります。身体活動・運動でございます。まず目標でござい ますが、日常の生活における身体活動に対する意識ですとか、運動習慣等について、 成人及び高齢者に分けて設定しているところであります。それから、この目標を踏ま えまして、具体的な施策としては「健康づくりのための運動基準2006」の策定など、 科学的根拠に基づく運動施策の推進、「エクササイズガイド2006」などを活用した健 康づくりのために必要な運動についての知識の普及、健康増進施設の認定等による運 動実践の場の提供に取り組んできたところでございます。  具体的な目標とその達成状況でございますが、まず成人、これは20歳以上という設 定の仕方です。成人でございますが、意識的に運動を心がけている人の増加という形 で、これは男性、女性ともに、若干でございますが増加傾向にございます。  次に、日常生活における歩数の増加。これは男女ともに減っております。  それから、運動習慣のある人の割合。これは若干ふえております。  高齢者でございますが、外出について積極的な態度を持つ人をふやそうということ ですが、これは残念ながら60歳以上男性、女性、それから全体におきましても、すべ て減っております。外出について積極的な態度を持つ人の増加というのは減っており ます。  次でございますが、何らかの地域活動を実施している者をふやそうということです が、これは目標値を既に達成しております。中間実績値では、目標値より大幅にふえ ております。  それから、日常生活における歩数の増加でございますが、これは残念ながら男性、 女性ともに減っております。  ただ、先ほどの地域活動のところについては米印があるのですが、ベースライン値 を把握したときの調査と中間実績値を把握したときの調査が若干異なっていますので、 その辺のところを少し配慮しなければいけないデータかもしれませんが、データ的に はふえているということでございます。  評価のところでございますが、日常生活における歩数は減少しているものの、運動 習慣者はわずかに増加している。歩数に関しては、成人においては特に男性の30歳代 と50歳代及び女性で低下が見られ、70歳以上の高齢者においても、男女ともに低下し ている。運動習慣者に関しては、成人全体ではやや増加傾向にあるが、男性の30歳代 では低下が見られた。これらの状況は、身体活動・運動によりメタボリックシンドロ ームや生活習慣病を予防し、さらに高齢者の介護予防を図るための目標達成には不十 分であり、今後とも身体活動・運動に関しては、メタボリックシンドロームの概念の 普及による運動習慣の定着ですとか「エクササイズガイド2006」の普及啓発を図ると ともに、高齢者の運動機能を保つための運動指導を行うなどの積極的な取り組みが必 要であると考えております。以上でございます。  久道部会長 3番目もやってください。そこまでまとめますから。  矢島室長 では引き続きまして、休養とこころの健康づくりまで御説明させていた だきます。目標につきましては、ストレスの軽減、睡眠の確保、及び自殺者の減少と いうものを設定しております。この目標を踏まえまして、保健所とか精神保健福祉セ ンターにおける相談体制の充実や、こころの健康づくりに関する普及啓発によるスト レスへの対応、「健康づくりのための睡眠指針」による十分な睡眠の確保等に関する 普及啓発などに取り組んできております。  具体的なところですが、ストレスを感じた人の減少ですが、これは逆にふえており ます。  睡眠による休養を十分にとれていない人の減少、これは若干減っております。これ は一応目標値に近づいているというところでございます。  それから、睡眠の確保のための睡眠補助品やアルコールを使うことのある人を減ら すということですが、これは逆にふえているという問題がございます。  それから、自殺者に関しましては、このところずっと3万人を超えているという状 況でございます。  米印がついているものは、策定時のベースライン値を把握した調査と中間実績値を 把握した調査が異なっているという点は若干ございますが、このような形で評価をし ております。  3番目の評価でございますけれども、中間実績値を把握した調査と策定時のベース ライン値を把握した調査が異なっているものも含まれているため、分野全体を通じて の評価は難しいが、全体的に目覚ましい成果を示唆する結果というものは残念ながら 見られていないということでございます。  休養・こころの健康づくりの推進につきましては、個々の目標値に関する客観的指 標がなく、具体的方策を立てにくいなどの困難を伴います。ストレスからの回復を促 し、こころの健康を保つ休養・睡眠、こころの健康の破綻から生じるこころの病が密 接に関連することを考慮して、それらを整理していく必要があるというふうに考えて います。以上でございます。  久道部会長 今説明のあった2項目、身体活動・運動、それから休養・こころの健 康づくりの項目ですが、いかがでしょうか。はい、どうぞ。  多田羅委員 このデータで見ると、実績値が目標値に十分達していないということ が、この間指摘されてきたと思います。それは先ほどの市町村計画でも54%のところ しか策定されていないというところと通じるところもあって、健康日本21がおくれて いるのではないか、あるいは目標設定して進むやり方への疑問という意見もあるかと 思いますが、しかし考えてみますと、健康日本21という運動がこのようなものではな いか。つまり、健康増進法の第2条で、健康づくりは国民の責務とされたのであって、 政府の責務ではない。ですから、あくまで健康づくりは国民が主体的に取り組んでい くものであるという哲学が、私は最も重要な部分ではないかと思います。  政府が取り組んでいくという形ですと、これはいわゆる健康ファシズムとも言われ かねないわけで、最も大事なことは国民が主体的に取り組んでいく。その点が揺らい できますと、このパブリックコメントにもありますが、国が国民の健康を心配してく れるのはありがたいのですが大きなお世話、という意見が非常に出てくると思います。  そういう点から、例えば54%という数字も、一昔前の市町村計画だったら、実施し ていない市町村に対して厚生労働省の方から一発で電話を入れて、今年度中に出して ください、内容はともかくとして、というようなことがありがちな歴史もあったと思 うんですね。そこを、54%でこうしたところに厚生労働省が出しているという苦しさ と同時に、やはり市町村の主体性を大事にしている、電話一本でつくらせるという政 策をやっていないという面からも、私は評価すべきだと思います。  国民の実態も、国民それぞれ主体的にやっていくという点から、少なくとも先ほど 田中委員からも貴重な御意見がございましたけれども、平均値が上がっていくという のは大変なことで、やはりもう少し分布で見ていくという考えは大事なのではないか と思います。  そういう点で、じゃあどうするのか。国民の主体的な取り組みに対して国から指示 したり、通達行政という方法はとれないとすれば、やはり古くからサクセスストーリ ーというのがございます。実は、健康日本21推進に対しては、健康日本推進全国連絡 協議会というのがございまして、小澤会長もきょう御出席いただいておりますが、私 も実は幹事をさせていただいておりまして、毎年各地で講演会とかセミナーを開いて おります。私もそこへ参加させていただいているのですが、そういうところのセミナ ーなどに出てくる意見は非常に貴重な、非常にすぐれた実績を上げているところが全 国にいっぱいと言っていいほどあるかと思いますので、そうしたモデル、サクセスス トーリーを意欲的に拾い上げていただいて、そういう事実をもって多くの市町村ある いは国民に示していくという方向をぜひ示してほしいと思います。ですから、平均値 もいいのですけれども、やはり同じ国民、同じ市町村ですぐれた実績を、みずから主 体的に取り組む活動の中でつくっている現実というものをぜひ紹介いただいて、次回 の報告にはそのような事例をぜひ入れていただきたいと思います。  先週も愛媛県の今治でそういう講演、セミナーがあり、講演では矢島室長が来られ てお話しされましたけれども、500名近い方が、熱心に最後までセミナーに参加いた だいたのも現実ですので、そういう状況を踏まえていただいて、モデル的なサクセス ストーリーというものを意欲的に取り上げていただいて、国民に紹介いただきたいと 思います。少し長くなって済みませんでした。  久道部会長 評価の項目は、表現はこんな感じでよろしいですか。  多田羅委員 これはこれとしていいと思います。ただ、平均値という考えは、平均 値が上がるというのは非常に大変だし、田中委員がおっしゃったような問題点もあり ますので、もう少し分布で、何割以上の人がどれくらいとか、そういう分布で出して いただく方法も考えられるのではないでしょうか。  久道部会長 では、高橋委員どうぞ。  高橋(滋)委員 私はこの健康日本21の評価を初めて見せていただいて、ちょっと 違和感がありました。というのは、私が環境省とかいろいろな役所でやっている計画 というのは行政計画でありまして、結局、行政がどれだけのことをやるのかというこ とを目標にしているわけです。しかし、今多田羅先生におっしゃっていただいてよく わかったのですが、どうもこの健康日本21の目標というのは、国民全体が医学的に見 てどれくらいが理想なのかという、そういう理想値みたいなものに考えられるわけで す。それに向けてみんなで頑張りましょうという値であり、健康日本21の計画として はそれはそれでよろしいのではないかと思うのですが、行政としてこれをどう評価す るのかという行政の取り組み、もしくは行政と各団体の取り組みという観点も必要な はずで、もう少し行政が限られたリソースでどういうことができたのか。できたはず のところをどういうふうにできなかったのかという、ちょっと分析的な評価が要るの ではないかという気がしました。  もう少し、具体的に述べさせて頂きますと、それは先ほどの御指摘にもあるように、 関係団体に丸投げして、その辺が明確でなかったということがあるので、これは今ど うしろという話ではないのですが、今後は行政が各団体と連携してどこまで持ってい くか。その持っていき方をこの数値の上でどう判断するのかという、そういう視点か らぜひ評価していただくと、より有効な行政施策の推進方法になるのではないかと思 いました。そういう感想です。  久道部会長 どうもありがとうございました。はい、どうぞ。  小澤委員 私どもは、健康日本21推進連絡協議会という組織でございます。先ほど 多田羅先生がおっしゃったようなことで、この健康日本21を民間の関連する団体とし て推進していこうということでございます。それぞれの中間評価の数字が必ずしも芳 しくないということで、私ども、まさにポピュレーションアプローチとして活動をや ってきた者としては、いろいろと反省すべき点があるということでございます。  この文章上の表現自体はこれはこれで特に意見はございませんけれども、今お話が ございましたように、私どもは民間団体としていかに多くの方々にポピュレーション アプローチとして行動変容を促し、そのきっかけを与えるなり、定着させる等の活動 をどうやって進めていくかということは、今までの活動を反省して今度後半に向かっ てやっていかなければいけないのかなと思っております。  そういたしますと、21の目標値は今までどおりたくさんあるのですけれども、今回 さらに具体的な運動としては大きくメタボリックシンドロームが取り上げられて、非 常に単純化というと語弊がございますけれども、わかりやすいキャッチフレーズをつ くっていただいている。その具体的なツールと申しますか「エクササイズガイド」と か「食事バランスガイド」とか、そういうものもおつくりいただいているということ で、いかにそういう具体的な、かつ個別的と申しましょうか、幾つかの少ない項目に ついてこれから民間団体としてポピュレーションアプローチをどうやっていくかとい うことを相談しながら、今までの反省の上に立ってやっていきたいという感じでござ います。  久道部会長 どうもありがとうございます。はい、どうぞ。  高橋(清)委員 少し教えていただきたいのですが、高齢者の2.4の表現のこと ですけれども、これは外出について積極的な態度を持つ人の増加ということで、実際 は運動習慣の者の割合なのですか。  この項目では減っていますけれども、次の2.5の地域活動はふえているわけです ね。ですから、外出する人は、外出ということだけに限ればふえているような印象を 持つのですけれども。ここが減っているのがどうしてかということなのですが、それ は運動習慣ということで定義したからそうなったのかどうか、教えていただきたいと 思います。  矢島室長 一応もとの調査は、平成11年は高齢者の日常生活に関する意識調査とい うものをベースにしていまして、その後国民健康・栄養調査でデータを取り直してい るのですが、自分から積極的に外出する方であるという定義で、要するに外出すると いうことをもって高齢者の運動というのでしょうか、それに結びつけて評価をしたと いう経緯があるようでございます。ですから、これが適切かどうかというのはまたい ろいろと分析の仕方があるのですが、一応私どもが持っている使えるデータ、いろん な既存のデータの中で、高齢者の方が外出について積極的な態度を持つということが、 身体活動、要するに運動をするということにつながっていくという判断をさせていた だいているところです。  高橋(清)委員 そうすると、外に出ようという気持ちで出れば、それも含めて運 動といえば運動ですけれども、実際にエクササイズをするということではないわけで すね。  矢島室長 はい。何か器械を使ってエクササイズをするとか、体操するということ ではなくて、まず自分から積極的に家の外に出る、外出するということをもって、身 体活動という考え方もありますので、運動だけでなく身体活動として評価をするとい う考え方であります。  高橋(清)委員 そうすると、2.5の上昇と矛盾しないと考えてよろしいのでしょ うか。  矢島室長 これは何らかの地域活動を実施しているということですから、外出のと ころは減っていますが、こちらは回数は少ないかもしれないけれども年に1度の、月 に1回の例えば地域でのお祭りだとか、公民館での活動とかがあると思うんです。で すから、こちらの何らかの地域活動というのは毎日ということではなくて、定期的な 地域での活動に社会参加しているという考え方で、前の方はどちらかというと毎日の 生活の中で外出しているかという、そういう評価ではないかと考えております。  久道部会長 ほかに。はい、どうぞ。  飯島委員 1から3まで評価の部分をいろいろ見させていただいて、やはりなかな か啓発普及がうまくいっていないとか、数字がうまくいっていないというのを見ます と、我々の団体は10月に毎年、薬と健康の週間をやっています。3年間いろいろなデ ータをとりまして、薬と健康の週間での相談が、数字ははっきり覚えていないのです が、1日約33万人の消費者からの相談業務を受けています。その中でやはり受診勧奨 をしたり、健診をしたらいいのではないかというような相談業務をやっているわけで す。やはりそういう地域の資源をしっかり活用していただければ、こういう部分はあ る程度クリアできるのではないかと思っております。  久道部会長 ほかに。はい、どうぞ。  坂本委員 私は福岡市ですが、福岡市でも今、中間評価をしているのですが、やは り結果は似たような感じで、総論的に言いますと、市町村としては頑張っているのだ けれども結果は男性や女性などで、都市生活者の方々の健康指標の改善が見られない。 高齢者行政、市町村活動として公衆衛生活動が到達している部分は少しいいのだけれ ど、という結果としてまとめられるのではないかと思います。今後は都市部の働く特 に男性が、焦点になるのではないかと思います。  久道部会長 はい、どうぞ。  松田委員 身体活動と運動のところですけれども、これは個人の方の目的がほとん どだと思いますが、運動したいと思っても運動する場がない、あるいは外出したいと 思っても外出する場がなければなかなか上がってこないと思います。その環境に関す る指標というのもあるべきではないかと思います。  例えば青森県の、青森駅の目の前の新町商店街というところは、歩道を広くして100 メートルおきにベンチを置くことにして、街に高齢者や障害者が出やすいような環境 づくりをしたことによって、街に高齢者が出るようになった。ですから、そういう高 齢者対応をしている、あるいは障害者対応をしている例えば商店街の割合であるとか、 あるいは公園の割合であるとか、そのような運動をするような、外出をすることを促 すような環境設定の割合に関する指標もぜひ設定していただきたいと思います。  久道部会長 今のは大事なお話ですね。それでは次のたばこの方に参りましょう。 お願いします。  矢島室長 たばこにつきましてはパブリックコメントの方もごらんいただきたいと 思いますが、今回一番御意見が多かった分野でございます。かなり御意見が多かった 分野でございますので、こちらの方のパブリックコメントも一緒にごらんいただきな がら御議論いただければと思います。  まず、たばこについてでございますが、目標は、たばこの健康影響について十分な 知識の普及。未成年者の喫煙防止、防煙という形。それから3番目が、受動喫煙の害 を排除し減少させるための環境づくり、分煙という形。4番目が、禁煙希望者に対す る禁煙支援について設定しているところです。  このようなことを踏まえまして、たばこ対策につきましては、1番目として、健康 影響についての知識の普及。2番目は、未成年者への喫煙防止対策。3番目は、分煙 の徹底とその知識の普及。4番目といたしまして禁煙支援プログラムの普及の、4つ の柱を中心に取り組んできたところでございます。  まず4.1、喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及という点につきま しては、横ばいのところもあるのですが、大体ふえているのではないか。若干、胃潰 瘍についてはちょっとデータが、中間実績が減っているところですが、そこを除きま して大体ふえている。増加傾向にあると考えられます。  それから4.2の未成年者の喫煙をなくすというところでございますが、ここのと ころは大体減少傾向にあるという形でございます。まだ0には至っていませんが、減 少傾向にあるということです。  それから4.3ですが、公共の場及び職場における分煙の徹底及び効果の高い分煙 に関する知識の普及ということでございますが、これは100%の目標値に対しまして、 中間実績値でも100%もしくは100%にかなり近いデータが出ておるところです。ただ 職場のところが、残念ながら55.9ということでまだ低い状況がございます。効果の高 い分煙に関する知識の普及につきましては、ベースライン値がないのですが、ここも 8割近くという形でかなり高くなっています。  禁煙支援プログラムの普及、これにつきましては一応増加傾向にあるということで ございます。  評価については、分煙の推進など昨今のさまざまなたばこ対策の成果は着実に推進 していると考えています。  1番目のたばこの健康影響についての十分な知識の普及につきましても、ここはか なり進んでいるのではないか。それから未成年者の喫煙防止対策、ここも未成年者の 喫煙率は著しく低下しております。受動喫煙の害を排除し減少させるための環境づく りにつきましても、公共の場及び職場における分煙に対する取り組みも増加しており ます。それから禁煙支援対策についてですけれども、これにつきましても、ニコチン 依存症管理料が診療報酬上で評価されるなど、そういうものができています。  それから「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の中でも、基本原則とし てたばこ消費を減少させるための措置をとる必要が示されておりまして、価格及び課 税に関する措置がたばこの消費を減少させる効果及び重要な手段であるというふうに、 この条約の中でされておるところでございます。それから、たばこ税の引き上げによ る財源を健康づくりの特定財源にすべきという意見も出されているところであります。 以上でございます。  久道部会長 それでは御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。はい、 どうぞ。  富永委員 まず、健康日本21の中間評価の部分で今事務局から、17ページの喫煙の 健康への影響の知識が悪いところもあるけれども全般的によくなったというお話でご ざいましたけれども、ベースライン値と中間値を比較しますと、いいところはもとも とよかったし、悪いところはもともと悪くて、少しよくなっている程度にとどまって います。  特に、知識がよく知られていないのは、歯周病、胃潰瘍、脳卒中、心臓病というと ころがございまして、もっともっと健康教育、情報提供に力を入れるべきだと思いま す。日本癌学会では、昨年会員を対象にして喫煙実態調査をやりましたところ、学会 員の喫煙率は5%から7%でした。医師会の実態調査でも20数%ということで、やは り立場上ではなくて、喫煙に関する知識があるから低いのだと思います。ですから、 ここをもっと力を入れるべきであります。  それから18ページの、公共の場及び職場における分煙の徹底の部分ですが、公共施 設は非常に進んでおりまして、目標値にもほとんど達成しております。おくれている のは職場です。職場も少しよくなっておりますが、ここでは最初から目標になってお りませんでしたけれども、受動喫煙対策でおくれているのは、公共の場以外の飲食店 が全国的に非常にまだおくれていると思いますね。そのほか建物内だけではなくて、 公園とか道路とか、こういったところも今後受動喫煙対策を進めるべきだと思います。  それからパブリックコメントでございますが、喫煙率の低下目標の設定とか、価格 の増加に関しては、多分次回の部会の議題になると思いますのでこれを飛ばしまして、 これまで種々議論されていたところで、またパブリックコメントで書いてある部分が ございますのでその部分を御紹介しますと、8ページの一番上ですね。  賛成意見のところに書いてございますけれども、よく成人男性の喫煙率は著明に低 下しているけれども肺がんの死亡数は増加しているという指摘がある、これはやめた 人が肺がんになって死亡しているから、と書いてありますが、それともう一つですね。 喫煙率が低下してからでも、かなり年数がたたないと肺がん死亡率は低下しないとい うことがございます。これは、この点をついた逆の反対意見のところにもございます けれども、アメリカにおきましても、1960年代から急速にたばこ対策が進んで喫煙率 が低下しました。その結果やっと肺がん死亡率は1990年以降になって低下し始めまし た。ヨーロッパ諸国も同じでございまして、喫煙率がかなり低下して20年とか30年た ってから、全体の肺がん死亡率が低下しております。  以前のこの部会でJTの関係者が出された資料で、私は批判しましたけれども、喫 煙率の低下と肺がん死亡数あるいは死亡率の上昇を出しておられるのですが、これは 我々疫学の立場からは非常識でありまして、我が国は高齢者人口が非常にふえており ますので、高齢者がふえるだけで自動的に高齢者に特に多い病気はふえてしまうんで すね。ですから、疫学的には年齢調整死亡率といいまして年齢構成の変化を調整した 死亡率を計算する必要がありまして、日本でも男性の肺がんの死亡率はここ数年ほと んど頭打ち傾向で、わずかですが低下傾向の兆しもあります。ですから、この10年ぐ らいの間に相当喫煙率が低下してきておりますから、そう遠くない将来に日本でも肺 がん死亡率は低下していくのではないかと思われます。その点だけちょっと指摘して おきたいと思います。  久道部会長 評価のところで一部加えた方がいいということになりますね。  富永委員 そうです。知識の普及が必要だという点ですね。  久道部会長 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは次の5番目に 行ってください。  矢島室長 アルコールでございます。アルコールにつきましては、目標は多量飲酒 者の減少、未成年者の飲酒防止、3番目は「節度ある適度な飲酒」についての知識の 普及が設定されています。この目標を踏まえまして、ホームページ等を活用した「節 度ある適度な飲酒」に関する知識の普及ですとか、年齢確認の徹底、酒類自動販売機 の適正な管理の徹底などによる未成年者の飲酒防止などに取り組んできたところでご ざいます。  20ページですが、目標とその達成状況ですが、多量に飲酒する人の減少ということ でございますが、これについては残念ながら中間評価ではふえております。  それから未成年者の飲酒については、これは減少しております。  「節度ある適度な飲酒」の知識の普及に関しましては、これは男性が横ばいと言っ ていいのでしょうか、若干データは下がっているということでございます。  評価でございますが、多量飲酒に関しては、策定時のデータと中間実績値で調査が 異なるため単純に比較できないが、国民健康・栄養調査のデータが得られた平成15年 と16年を比較すると、ほぼ変化が認められなかった。未成年者で飲酒している人の割 合に関しては、中学3年生の男女、高校3年生の男女においても低下していた。一方 「節度ある適度な飲酒」の知識については、男性は不変、女性はやや上昇、全体では 不変であった。継時的に見ると、いずれの指標も追跡期間内には悪化はしておらず、 未成年者の飲酒については明らかな改善を示していた。以上でございます。  久道部会長 いかがでしょうか。御意見ございませんか。それでは次の歯の方に行 ってください。  矢島室長 次の6番目の歯の健康でございます。歯の健康は、目標は歯の喪失防止 と、歯の喪失の原因となり得るう蝕及び歯周病の予防についてということでございま す。この目標を踏まえまして、8020運動の推進等による歯科保健に関する正しい知識 の普及啓発活動、フッ化物応用の推進やう蝕予防に係る正しい知識の普及等による乳 幼児・学童期のう蝕予防、それから3番目といたしまして、歯周病及び歯の喪失の原 因となる喫煙の健康影響に関する知識の普及等による成人期の歯周病予防などに取り 組んできたところでございます。  目標とその達成状況でございますが、乳幼児期のう蝕予防というところにつきまし ては、一応中間実績では上昇しております。ただ次の、フッ化物歯面塗布を受けたこ とのある幼児の増加、これは減少しております。  間食として甘味食品・飲料を頻回飲食する習慣のある幼児の減少、これは減少して おります。  学童期のう蝕予防につきましても、ここも1人平均のう歯数の減少ですとか、フッ 化物配合歯磨剤の使用の増加ですとか、個別的な歯口清掃指導を受ける人の増加、こ このところは増加傾向にございますし、う蝕は減少しております。  成人期の歯周病予防につきましては、進行した歯周炎の減少につきましても、40歳 代も50歳代も一応減少傾向にあるということでございます。  それから、歯間部清掃用器具の使用の増加、これも増加しておりますし、喫煙が及 ぼす健康影響についての十分な知識の普及、これはたばこのところでございます。  次の、歯の喪失防止につきましては、80歳で20歯以上、60歳で24歯以上の自分の歯 を有する人の増加につきましては、目標値を上回っているということになります。中 間実績で目標値を上回っております。  定期的な歯石除去や歯面清掃を受ける人の増加、これにつきましても上回っており ます。  それから、定期的な歯科検診の受診者につきましても、ここも上回っているところ でございます。  未設定数値目標の設定につきましては、健康日本21策定時に、ベースラインとなる データがなかったために設定していなかったものにつきましては、以下のものについ て新たに目標を設定したということで、間食として甘味食品・飲料を頻回飲食する習 慣のある幼児の減少という目標で、22ページでございます。  4番目、評価でございますが、本分野においてはいずれの項目も目標値に近づいて おり、このまま推移すれば、目標年度には全国平均で目標値に到達できると予測され る。しかし、地域により達成状況に差が見られるので、それぞれの地域の特性に応じ た対策を策定し推進していくことが必要である。以上でございます。  久道部会長 歯の健康はかなり目標よりもいいような状況ですが、池主委員どうぞ。  池主委員 この評価は、確かにこのまま行けば僕らは極めて褒められるという状況 になるのですけれども、実はこのパブリックコメントとの対比で見ていただきたいの ですが、パブリックコメントについても、たばこを除いて歯科の分野が一番多いわけ です。これはやはりデータが、我々歯科会あるいは一般の国民の方々にストレートに は受けとめられていないのではないかという1つの理由と感じております。  多分、口腔が生活の質とか、いわゆる生活の基本的な問題に相当大きな影響を与え る、しかもそこが改善されることによって人の生活の質が維持できるということは、 極めてポピュレーションアプローチとしてはいろんなところに広まっているのだと思 います。ところが、今回一番大きな問題は、不安材料としては、メタボリックシンド ロームというものが途中に基本線として入ったときに、これを主体としてやるのは保 険者の方々なわけですね。ですから保険者の方々に、こういう我々がポピュレーショ ンアプローチとして果たせる役割をどこまで理解していただけるかという具体的な問 題が、極めて不安材料の1つであろう。  先ほど富永先生のおっしゃった歯周病のものが一番低いというのは、実はリスクフ ァクターとしては歯周病がどういう問題を起こすかというのは皆さん結構広まってい ると思いますが、それを全体の健康とか、そういう問題に結びつける発想は、これは 僕らの責任でもあるのですけれども、まだ広まっていない。  ですから、大きな課題は多分この次の会議で、今後どうしようかという問題にかけ られていると思いますが、我々としては、できるだけ口腔の問題をいろんな公から出 すコメントの中にどこかに入れておいていただきたい。それに対応する努力は僕らも これから一生懸命やりたい。そこまでで今回はとどめておきますけれども、この次に 少し課題として出させていただきたいと思います。以上です。  久道部会長 評価のところで少し加えることはございますか。  池主委員 1点、歯科が評価されている理由は、歯科分野が平成元年ぐらいから厚 労省と一緒にやっている8020運動というものが極めて大きな役割を果たしているのだ と思いますが、この調査の母数が結構減っているところは、これは僕らがむしろ評価 されているのを否定するような部分もあるのですが、そういう調査の内容ももう少し 精査していただければ、より我々の問題が具体的になっていくのではないかと考えて おります。とりあえずその程度です。評価については、褒められたので何も言うこと はございません。  久道部会長 それでは7、8、9と、これは疾患を対象にした項目ですが、残り5 分しかございません。やれるところまでやりますか。  矢島室長 はい。では簡単に、まとめて御説明させていただきます。糖尿病につき ましては、目標は、糖尿病の一次予防の推進を図る観点から、生活習慣の改善、糖尿 病有病者・予備群の早期発見、早期治療を目指していくということで設定しておりま す。  この目標を踏まえまして、糖尿病に関する研究の推進ですとか、調査実施による科 学的根拠に基づく糖尿病対策、「食事バランスガイド」ですとか「エクササイズガイ ド2006」を活用した糖尿病を初めとする生活習慣病の一次予防に関する知識の普及啓 発。それから3番目といたしまして、健診等による糖尿病の早期発見などに取り組ん できたところでございます。  それを踏まえまして、目標とその達成状況でございますが、このような形で、健診 の受診率とか、そういうものも若干増加傾向にある。有病者も増加をしていますが、 当初の予想したところから比べると若干少ないかもしれませんが、それでもふえてい るという状況がございます。  それから有病者治療の継続につきましても、これは一応継続が続いているというこ とですが、糖尿病の中で特に合併症の減少の、糖尿病性腎症のところがかなりふえて いるという問題があります。失明につきましてはデータがうまく得られないというこ とで、合併症としての失明のところにつきましては、調査中ということで今回は中間 実績値を挙げることはできませんでした。  次の循環器疾患でございますが、目標につきましては、一次予防の観点から生活習 慣の改善及び疾病の早期発見について設定しております。これも、研究による科学的 根拠に基づく対策ですとか、知識の普及啓発、早期発見、早期治療という同じような 形で取り組んできております。  そういうわけで、食事の設定、食塩摂取量とか、カリウムの摂取量の増加とか、こ こはちょっと横ばいであります。高脂血症の人の減少、これは逆にふえているという 状況もございます。データ的にはここにあるような形でちょっとそのまま比較するこ とは難しいのですけれども、一応、死亡率、脳卒中、虚血性心疾患死亡率の改善傾向 が持続しているとは考えておりますが、しかし循環器疾患の罹患状況を把握する施策 が十分になされておらず、罹患状況についてさらに明らかにする必要があると考えて おります。  最後のがんでございますけれども、これにつきましては、平成16年度から第3次対 がん10カ年戦略を行っております。がんの一次予防の推進を図る観点から生活習慣の 改善、がん検診の受診者等について設定しているところでございます。その目標を踏 まえまして、がん研究の推進、対がん10カ年総合戦略、がん検診等によるがん予防の 推進ですとか、社会環境の整備に取り組んできております。  一応、データ的にはここにお示しさせていただいているようなものでございますが、 がん検診の受診者につきましては、ふえているものもございますが、減っているもの もあるということがございます。そのようなことで、がん検診の受診者につきまして は、ベースライン値よりふえた可能性のある部位、減った可能性のある部位もござい ます。ベースライン値と中間実績評価は調査が異なるため単純に比較することは困難 でありますが、今後この辺のところは課題になると考えております。以上でございま す。  久道部会長 どうもありがとうございました。ちょっと急ぎでまとめてしまいまし たけれども、北村委員、何かございますか。  北村委員 それでは26ページの循環器のところを、ちょっと意見を述べさせていた だきたいと思います。  (3)の評価のところに書いてありますように、例えば脳卒中を例に挙げますと、 1960年代から死亡率そのものは既に5分の1に下がりまして、日本の平均寿命を上げ るのに大きな貢献をした1つになっております。ところが、本当に脳卒中というもの の発症が減っているのかということになりますと、いわゆる発症登録がここに書いて ありますように甚だしく不完全でありまして、例えば地域発症登録というのはがんに 比べますと、始まってもいない。しかし、各地域で研究者が中心としてある地区での 地域発症登録研究等は始まっているのですが、何せ研究として3年ぐらいの研究資金 で打ち切りますと、むだなものになっているところもございまして、やはりこの循環 器のところにもがんと同様に10年の戦略的なものを見て、本当に発症そのものが減っ てきているのかということを検討する必要がある。  ですので、がんは最も重要な疾患で戦略とかはできているわけですけれども、やは り厚生省内でも循環器の長期戦略というもの、発症登録というものの充実等をやる必 要があるのではないかと私どもは強く思います。ベースとなるデータが甚だしく欠け ているというのが現状ですし、上の方に書いてあります生活習慣改善等による循環器 病の減少という数が出ていますけれども、これは主に医学あるいは医療の進歩による 生存率の向上で、本当に発症が減っているのか。しかも、生活習慣病がこのような問 題になっているときに発症率は逆にふえているのではないかというところのデータが 日本の国として欠如しているということで、やはり長期の目で見た発症登録の充実を ぜひ……しかも脳卒中は現在、要介護者の半分近くを占めてきているんです。循環器 病を入れますと45%。ですから、介護保険医療費の膨大化の責任疾患にもなっており まして、要介護者を減らすという観点からも発症の実態をぜひつかむ必要があると思 います。  久道部会長 どうもありがとうございました。ほかにございませんか。はい、どう ぞ。  富永委員 非常に短く、がんの部分について。27ページの一番下にがん検診の受診 数がありまして、一部ふえているものもありますけれども、子宮がん、乳がんが非常 に減っている大きな理由は、特に乳がん検診では最近、以前行われていた医師による 指触診からマンモグラフィーを併用した乳がん検診に切りかわりましたので、地方で その整備がおくれていたのが1つの理由です。それから、子宮がん、乳がんともに、 2年に1回というふうに変わりましたので、これが大変大きな減少の理由になってい ると思います。まだこの調査年には反映されていないかもしれませんが、将来これは 2年に1回ということで、2年に1回受診した人の率を出さない限り、1年ごとの受 診数を出せば減ってしまうと思います。以上コメントです。  久道部会長 今のコメントは入れた方がいいと思いますね。誤解されますので、子 宮頸がんと乳がんについては2年に1回に変わったという、それを入れた方がいいと 思いますね。ほかにございませんか。はい、どうぞ。先生で最後にします。  笹月委員 糖尿病は戦後この60年の間に30倍から50倍にふえたと言われているので すが、すなわち戦後の状況に戻せば30分の1、50分の1と、非常に荒っぽい言い方を すればそうなのですが、じゃあ一体何が生活習慣で最もクリティカルなのかというの は、実はまだ我々が知らないというのが現状だと思うんですね。ですから、それを知 るためにファクターをもう少し細かくできないかというのが、全体を拝見したときの 印象です。  それからもう一つは、これは個人情報の保護の観点から連結不可能になっているん ですね。ですから例えば4年後に同じ調査をしたとしても、その人が前はどうだった のか、今回どうだったのか、そして糖尿病になったのかというところが追跡できない ようになっているので、それはそれで別のプロジェクトでやらなければしょうがない のでしょうけれども、何かその点も少し工夫して、地域ごとでもいいですから、糖尿 病の発症と、この指標の改善がどういう関係にあるのかが見られるデータをとってい ただくのがいいのではないかと思います。  久道部会長 どうもありがとうございました。司会の不手際で5分ほど延びてしま いましたけれども、きょうの議題の項目はいろいろ御意見をいただいたと思います。 残りの第4章以降については次回に議論いただくということにしたいと思います。な お、きょう資料が出て、十分に数値も見られない、あるいは文言についても詳しく見 られないということがあろうかと思いますので、次回のときにはそれも含めて御意見 をいただければと思います。それでは最後の議題4、その他でございますが、何か事 務局からございますか。はい、どうぞ。  塚本室長 先般、地域保健法の施行令が一部改正になりまして、東京都の八王子市 が19年4月1日から保健所の設置する市となりました。これで、今まで128地方公共 団体であったものが、八王子が1つふえまして129公共団体で保健所を設置するとい うことになりました。来年の4月1日から、東京都の保健所が八王子市に移管されて 運営されるということになっております。以上でございます。  久道部会長 どうもありがとうございます。今後のスケジュールをお願いします。  矢島室長 今後の日程につきましては、後日日程を調整させていただきお知らせし たいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  久道部会長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがと うございました。                                    (終了)  ○ 問い合わせ先    健康局総務課生活習慣病対策室    調査総務係 竹之内・横山    電話 03−5253−1111       内線2346・2342