06/10/16 第2回多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 第2回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 1 日時   平成18年10月16日(月) 16:00〜18:00 2 場所   厚生労働省(中央合同庁舎5号館)13階 職業安定局第1会議室 3 出席者  ○参集者    岩村委員、片岡委員、北浦委員、斉藤委員、舘委員、    松友委員、宮武委員、八木原委員、輪島委員  ○事務局    岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、    浜島障害者雇用対策課調査官、白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、    手倉森障害者雇用対策課長補佐、澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官 4 議題  (1) 関係者からのヒアリング   ○ 株式会社 イトーヨーカ堂          人事本部人事政策プロジェクト総括マネージャー 長岐 等 氏   ○ 石巻地域就業・生活支援センター センター長       佐藤正行 氏  (2) その他 5 配付資料  資料1 障害者の短時間労働について  資料2 短時間労働者を雇用率に算定した場合の雇用率等への影響【推計】  資料3 障害種別・障害程度別の雇用障害者数(実数)の推移  資料4 障害者雇用状況報告の詳細な分析  ヒアリング資料   多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度のあり方    〜短時間労働と障害者雇用について〜 (イトーヨーカ堂)   多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会                     (石巻地域就業・生活支援センター)                         ○岩村座長  定刻となりましたので、ただいまから「第2回多様な雇用形態等に対応する障害者雇 用率制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。まず、委員の出席についてです が、本日は鈴木委員が欠席です。そこで、鈴木委員の代理として、社会福祉法人日本盲 人会連合会の時任副会長にご出席をいただいております。どうぞよろしくお願いします。 また、本日は関係者からのヒアリングを内容としておりまして、障害者である短時間労 働者を多数雇用されている企業及び、障害者の方々の就労支援に携わっておられる機関 のお立場からお話を頂戴しようということで、お二方ご出席いただいていますのでご紹 介させていただきます。最初に、株式会社イトーヨーカ堂長岐等人事本部人事政策プロ ジェクト総括マネージャーです。 ○長岐氏  イトーヨーカ堂の長岐でございます。よろしくお願いいたします。 ○岩村座長  次に、石巻地区就業・生活支援センターの佐藤正行センター長です。 ○佐藤氏  宮城から参りました佐藤です。よろしくお願いいたします。 ○岩村座長  続いて、議事に入る前に、9月1日付けでこの研究会の主宰者でございます高齢・障 害者雇用対策部長の交代があったということですので、まず最初に一言ご挨拶をいただ きたいと思います。 ○高齢・障害者雇用対策部長  9月1日付けで高齢・障害者雇用対策部長を仰せつかりました岡崎です。障害者の問 題は、私どももできるだけ雇用の場へということで政策を進めていきたいと思っていま す。最近の雇用の状況を見ていますと、短時間労働の方、いわゆるパートタイマーが増 える、あるいは派遣労働というような形で働いているといったように、雇用形態が様々 になってきています。そのような中で、高度の障害者の方の働き方もいろいろな可能性 も出てきているというような面もあります。一方では、逆の意味での難しさというもの もあるような気がしています。今日は先生方からいろいろなご意見をいただいて、この ような雇用形態が多様化している中でどのような形で障害者の雇用を更に進めるかとい うことを、私どもも考えていきたいと思っています。是非、よろしくお願いします。 ○岩村座長  続いて、事務局にも人事異動があったということですので、引き続き事務局から紹介 をお願いします。 ○事務局  それでは、移動のあった事務局メンバーを紹介させていただきます。  高齢・障害者雇用対策部企画課長の宮野です。  障害者雇用対策課調査官の浜島です。  障害者雇用対策課障害者雇用専門官の澤口です。  私は、障害者雇用対策課課長補佐の手倉森と申します。よろしくお願いします。以上 です。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、早速本日の議事に入りたいと思います。 1つ目は、関係者のヒアリングです。先ほど申し上げましたように、障害者の方々のう ち、短時間労働者を多数雇用されておられる企業及び、障害者の方々の就労支援に携わ られておられる機関の立場の方から、お二方に説明をいただくことになっています。2 つ目はその他ということになっていますが、これは前回の研究会で宿題となっていた事 項に ついて、事務局から説明をいただくことになっています。最初に、事務局から本日のヒ アリングの進め方について説明をお願いします。 ○障害者雇用対策課課長補佐  ヒアリングは、まずイトーヨーカ堂の長岐総括マネージャーから説明を20分程度して いただいて、そのあと質疑を20分程度していただきます。次に、石巻地域就業・生活支 援センターの佐藤センター長から、説明を20分程度していただいて、そのあと質疑を30 分程度していただきます。これは質疑を長めに取ってありますが、佐藤センター長への 質問、ご意見のほか、お二人への質問、ご意見、あるいは長岐総括マネージャーへの質 問、ご意見なども含めてしていただくということで進めさせていただければと思います。 配付資料について確認いたしますが、事務局からの資料として、資料1〜4を提出して います。また、その下にイトーヨーカ堂の長岐総括マネージャーと、佐藤センター長か ら提出していただいている資料が付いているかと思いますので、御確認下さい。 ○岩村座長  資料の方はよろしいでしょうか。それでは、早速ヒアリングに入りたいと思います。 いま事務局から説明がありましたが、まず最初に長岐総括マネージャーからご説明をい ただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○長岐氏  資料は、お手元のA4横のものになります。それでは、資料に沿って説明をしていき たいと思います。まず、本日の主眼であります短時間労働と障害者雇用についてですが、 その前に私どもは昨年の9月から持株会社がセブン&アイ.HLDGSという形になり ました。グループ全体であるセブン&アイホールディングスの概要、イトーヨーカ堂の 概要、それからイトーヨーカ堂のパート労働の雇用の状態などを、1〜3の資料でご説 明していきたいと思います。4番目に、セブン&アイホールディングスにおける障害者 雇用状況、最後に短時間労働と障害者雇用についての意見ということで進めていきたい と思います。  セブン&アイホールディングスの概要ですが、主な業種としては小売業、コンビニエ ンス、デパートという流通関係の会社です。特に総合小売業では、イトーヨーカ堂を中 心として、コンビニエンスではご存じのセブン-イレブンという形です。それから、デ パートメントということで、新たに今年からミレニアムグループが仲間入りしまして、 百貨店のそごう・西武も仲間に入ってきたという形です。スーパーマーケットの分野で は、東北を主体としているヨークベニマルがこの9月から仲間に入ったということで、 首都圏ではヨークマートと言われるスーパーマーケットなどもグループの仲間です。レ ストラン事業の中でも、デニーズがありまして、こちらのほうもレストラン事業形態の グループ会社です。  異質なところでは、セブン銀行ということで、大きな銀行ではないのですが皆さんの お財布代りということで、特にATMの利用率が非常に高まってきたことと併せて、セ ブン-イレブンは1万3,000店舗ぐらいありますが、そこにATMを置いて身近にご利用 いただくというような意味を含めて、セブン銀行という形で営業させていただいている 金融事業があります。そのほかにも、若干ありますが、主にお客様相手の流通関係を主 体とした会社で、世界21カ国で3万店店舗展開ということで、売上高は年間で7兆4,000 億、従業員は72万人という形で進めているところです。その中のイトーヨーカ堂という ことで、特に簡単に売上規模ですが、昨年の売上規模は1兆5,000億でした。営業利益は 120億円、店舗数は180店舗です。東京の北千住を第1号店として出発して、それから北 と西のほうに出店をしています。北は北海道から、西は広島県まで拡大をしているとこ ろです。ヨーカ堂の従業員数は、この2月で社員が1万1,000人、パート社員が3万7,650 人、アルバイトが1万1,700人です。グラフで見ますと、大体社員とアルバイトが2割程 度ずついて、6割がパート社員というような形です。したがって、社員比率は18%ぐら いですので、それ以外は別の言い方をすればパートとアルバイトで構成されているとい うことです。  実際に、店で勤務している状態ですが、こちらには書いていませんが、実はパートの 働き方は時間帯で言いますと、やはり10時から夕方の5時ごろがメインで、それ以降夕 方から夜にかけての戦力は、社員とアルバイトというような形で17時をはさんでかなり お店の中の構成が入れ替わるというようなことがあります。これは後ほどいろいろ関係 してくるところもあろうかと思いますので、人数の構成比だけではなくて、いろいろな 時間帯ごとの変化もあり得るということもご紹介したいと思います。  イトーヨーカ堂では、パートタイムの形式をパートナー社員と呼んでいます。社員も パートもみんな社員という名称で言っていますので、社内では非常に分かりづらいので すが、なかなか正社員という言い方が通用しないで社員管理をしていますので、ナショ ナル型、全国規模型社員、エリア型社員、パートナー社員というような、少し言い分け た言い方をしています。そのパートナー社員ですが、その事業所のみで勤務をするとい う形態を取っていますので、ほかの店への移動などは、本人の理由以外はありません。 6カ月の契約社員で1日7時間勤務、シフトはないという形です。時給制で、お店ごと の時給のテーブルを持っていまして、時給いくらというような形ではなくて曜日別、時 間帯別の時給テーブルを持っています。特に、働きやすい昼間の時間帯、10時〜17時ぐ らいのところは、例えば800円とか、夕方からは850円になるとか。それから、曜日では 土曜日は800円の時間帯が土曜日というだけでプラス50円で850円になる、日曜日だと 100付けて900円になるというような、曜日と時間帯によって時給を決めて、そこで働く 方々にその時給をお支払いするというような形にしています。  また、区分としては、大別して常用と短時間という名称で管理しています。週30時間 以上働く方は、社会保険加入の常用パートナー、30時間未満の方は短時間パートナーと いうような形で、まず大きな括りを持っています。賞与制度は、週20時間以上の勤務実 績のある方については、賞与有り。年間で1カ月分程度ですが、支給をしています。  それから、この1月からパートナーの一部が組合員化されて、常用のパートナーの勤 続1年以上の方については、組合員という形になっています。60歳以降の働き方のとこ ろでは、この4月から社員も65歳まで継続勤務という形にしましたので、パートナーに ついても全員現状で65歳まで継続的に勤務していただける形で運営をしています。退職 金制度はありません。このようなところが、大まかな契約の形態です。  直近の勤務状況ですが、この9月では人数は3万6,700人います。先ほどの区分で申 し上げた、常用が1万6,700人、約45%、短時間の方、30時間未満の方が55%、約2万 人というような形です。この中で、20時間以上30時間未満の方が、1万7500名で、全体 の中では48%、約半分の方がこのような形で働いていらっしゃいます。  全体の平均としては、イメージですが平均年齢43歳、大体主婦の方で既婚率7割、平 均勤続5年ということで、これは年々長くなってきています。平均日数は4日、平均労 働時間は6時間、平均月収は大体11万、賞与は年1カ月です。  4番目として、セブン&アイホールディングス全体における障害者雇用の取組ですが、 企業の社会的な責務、または経営理念の1つとして、日常位置付けた中で活動を推進し ています。推進の大きな3つの分野としては、まず店舗がありますので買物しやすいお 店ということで、障害を持つお客様に対する接客マナーの向上や、施設、設備の改善と いう形で、ハートビル法などもありますのでそのような対応の店舗を増やしていくとい うことで取り組んでいます。現在、ハートビル法の認定店舗は52店舗ですので、180分 の52とまだまだですが、新しい店はほとんどこれに適用する形でやらせていただいてい ます。  2つ目に、働きやすい職場づくりということで、障害者の方に働いていただきやすい 職場ということで、雇用はもちろん職場開発・施設改善等をさせていただいています。 北海道の北見には、特例小会社「テルベ」を設けて、印刷事業と椎茸栽培の2つの事業 を柱に、いま自立できるように進めているところです。  3つ目は、支援仕合う地域社会の参加。店舗の中に福祉ショップの場所を提供して地 域の社会福祉協議会の方にご協力いただきながら、福祉授産施設などで作っている商品 を展示して販売するというような展開もしています。いま福祉ショップは、7店舗でや っています。あとは、地域のボランティア等の活動ということで、大きくこのような3 つの活動をふれ合いガイドという形で、新入社員にも入ったときに、このような理念を きちんと理解するように、いま申し上げたようなことが書いてあります。それから、簡 単な手話を全員でできるようにということで、毎朝挨拶と一緒に手話をやったりもして います。  それでは、いよいよ本題に入ります。セブン&アイホールディングスにおける障害者 の雇用について、この2006年6月1日現在の数字は、雇用率2.01%です。常用労働者数 が4万62人、カウントが803.5です。イトーヨーカ堂だけで申し上げますと2.06という 内容です。その内容をもう少しブレークダウンさせていただきますと、重度の身体障害 者、知的障害者、精神障害者それぞれこの人数がいらっしゃるということです。472人に 対して、カウント合計では593ということで、雇用率2.06という内訳になります。  特に、30時間未満の働き方と雇用について、若干の意見も述べさせていただきたいと 思います。大きくは、こちらの図に書きましたように、障害者の方からの働くニーズは、 これはいろいろな障害をお持ちの方から、特に長時間労働が非常に困難であることは想 定できます。したがって、短時間ならばということで、いろいろな就労のチャンスが増 えることが考えられます。これは、私は素人なのですが、単純に想定してもいろいろな ことがあるだろうなと。例えば小売業でいえば、立ち仕事がメインになるので、8時間 立っているということは非常に困難ですので、それが例えば4時間などとなったときに、 可能な方がかなり増えるだろうと。それだけ見ても、非常にこのようなニーズが多いの と考えられます。一方、企業としては、障害者雇用における短時間労働の有効性と書き ましたが、実際には有効性があるのかといったときに、なかなか単純に有効だという項 目が見付からないのが実態です。いやいや、たくさんあるじゃないかと言われるかもし れませんが、特にこの辺りのことについては、これからこのような有効性をアピールし ていかないと、なかなか難しい面はあるのかなという感じです。というのは、次にご説 明する短時間労働の形態が、なかなか企業というか産業別にはまだ定着していない面も あろうかと思います。そういうところを押し進めないと、なかなか難しいのだろうと。 そのためには、やはりメリットを教えていただきながら進めることが非常に大切ではな いかという感じがします。  もう1つは、雇用の特性ということで、短時間労働は採用要件の1つと書かせていた だいたのは、短時間は働き方の1つではありますが、イコールすぐ雇用ではないだろう と思います。やはり雇用というのは、働く意欲や仕事に求められる能力、適正というも のを備えているか、仕事に対する姿勢、スタンスも企業としては見させていただきます。 言うまでもありませんが、そういうことは前提に置きながらこういうものをマッチング させていく必要があるものだと。その際に、やはりいろいろな支援策でも後押しをしな がら進めることが、障害者雇用の拡大になるのだろうなということで、当たり前だと言 われれば当たり前なのですが、その辺のことを自分の頭の中で整理する意味でも書かせ ていただきました。これから求められる対応ですが、1つ目は先ほど少し触れた短時間 就労の形態、いわゆる企業側は8時間労働に慣れ親しんできているところがあります。 例えば、4時間労働かける2という形態をどのように増やしていくのか。こういう仕事 スタイルの変革が求められると思うのですが、なかなかできてないところもあります。 いま、私どものように比較的多くのパートさんに働いていただいている方は馴染みがあ って組み合わせでやるのだということができてきています。それから、レストラン業界 やコンビニなどでもできてきています。しかし、別の馴染みのない産業は、まだまだ8 時間が1つの労働単位としてあるようなところは、やはり8時間を短時間に分解すると いうところに、企業側に非常に努力が必要なのかなという気もします。この辺りを、や はり業界別にといいますか、提言していく必要があるのではないかというのが1つ目の 意味であります。  2つ目に、仕事の種類が限定されてこない。これは、若干の心配であるのですが、や はり短時間の労働というときにどうしても簡単な仕事で単純な労働ということで切り離 されがちであるということです。障害を持った方たちだけにこういう仕事がいくこと自 体が、半面いいのだろうかなと。私どもでは、できれば同じような時間、同じような質 の仕事をしていただきたいということを理念にしているものです。すべてが悪いわけで はないのですが、留意しながら進める必要があるのではないかという気がしています。  3つ目は、対象とする事業所の規模です。短時間労働のニーズは、意外と大きな事業 所だけではなく、規模の小さい事業所にもあるのではないかなと思います。そういう意 味では、いま対象の事業所というのは規模が決まっていますが、もっと拡大してもいい とか、ただ拡大するときにも雇用率などで義務的に縛るのではなく、もう少し雇用して いったらプラスに考えてあげるみたいな支援策と組み合わせてやっていただくと、非常 に裾野の広い取組で、短時間型の雇用自体が進むのではないかという感じもします。  4つ目は、雇用率と雇用の支援策と書きましたが、雇用率の基準の見直しは是非実態 を把握したうえで対応していただきたいということです。今回、自分のところだけの資 料で申し上げて、非常に視野の狭い話をさせていただくわけですが、全体で見た際にど ういう状況にあるのかということを、慎重にご検討いただいた中で進めていただければ という要望です。例えば、イトーヨーカ堂の例を取りまして、短時間労働者数がいま1 万7,451名です。その中で、実際の人数が73人いらっしゃいますので、もし73名の方を 0.5カウントと置きましたとするならば、実際に雇用率を試算してみますと、短時間労 働者数の分母を、例えば1万7,451人の半分とそのカウントということで計算しますと、 雇用率はこの分野だけで0.42になります。したがって、この分母とこのカウント、分子 の関係の領域は、非常に私どもでもまだ低いわけで、全体の2.06からすると、当然です が雇用率は極端に下がるという実態があります。したがって、その辺りのことについて、 どのような形で見ていっていくのかということを慎重に検討していただきたいという意 味です。  次のところには、いまの数字でいくつかの試算を載せました。私は、いま専門的に議 論いただいている試算の仕方を知らないものですから、勝手にいくつか書いただけです。 例えば、分子に5番と6番、いわゆる常用労働者数のカウントと、短時間労働者のとこ ろを0.5とカウントしたときの数字を置いて、分子をいまの常用労働者だけで見ますと当 然ですが雇用率は上がる、ということが試算の1番です。2.19。それから試算の2につ いては、分子は同じですが、分母に実際の障害者の数だけを入れるということですと、 分母はそんなに大きくなりませんので、ほとんど変わらない2.19であると。試算の3で は、おそらく将来的にはこういう姿になるのかなと思いますが、分子は変わらないとし て分母に現状の短時間労働者側の人数の0.5を掛けた数字ということで見ますと、1.68に なります。試算の4では、分子は変わらずに分母に常用と短時間そのままの姿、いわゆ る短時間労働0.5掛けしないでやった場合には1.36というような形です。ただの計算結 果なのですが、現行の2.06の雇用率に対しての計算によっての格差が、私どもの例をと ってみてもかなり変化が激しいことをご理解いただければと思いまして、簡単に数字を 上げさせていただきました。  そのような中から、基本的な考え方として要望させていただきたいのは、1つには短 時間型の障害者の雇用推進を特に最初に勢いをつけていくには、一定期間に限り、雇用 率の上乗せ方式もいいのではないかなと書かせていただきました。先ほどの試算の1の ような考え方をある期間入れていくというようなことはどうなのだろうか。2つ目は、 雇用率の基準を変えていくにしても、やはりある程度の期間とステップを踏んでいただ けたらと思っています。期間の目標を示してある程度ステップで近づけていく。例えば、 短時間労働者数の掛け率を最終的に0.5ということで見ていくならば、それを段階的には 0から0.1、0.2とか、1年後、2年後と思って10年単位で0.5に近づけようとか、そのと きの雇用率をこれにしましょうという形で見ていただくと、非常に私どももステップを 踏んだ努力がしやすいと思います。それから、そういうことをしないで急激にこの数字 で見ようというときには、やはり法定雇用率の基準そのものも見ていただくということ が起きてくるのではないかなと。そうすると、やはり雇用納付金の問題などの基準にも すべて影響してきますので、そこをどのように整合性をつけていくかという問題も出て くるかと思います。以上簡単ですが、自分のところだけを見た意見ということでご容赦 いただきたいと思いますが、いまの実態と雇用率の考え方を簡単に述べさせていただき ました。以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。イトーヨーカ堂における、短時間労働と障害者の雇用実態 について、大変明解にお進めいただいたように思います。それでは、ただいまご説明を いただきました内容に関して、ご質問、ご意見がありましたら、いただきたいと思いま す。 ○八木原委員  今日は貴重なお話をありがとうございました。2つだけお聞きしたいのですが、お願 いします。  お仕事をされている中で、パートナーシップという言葉を使っていらっしゃいました が、障害のある方と普通の社員さん、あるいは通常のパートの方たち、どのような形で お仕事をしているのかがまず1つ、もう1つ、短時間労働の障害の方を雇用されていて の、その有効性というのがまだよく見えていないとおっしゃっていましたが、逆にデメ リットというのはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。 ○長岐氏  まず1つ目ですが、障害をお持ちの方で、働いていただくときに、社員とパートで区 別があるということですか。 ○八木原委員  そうではなくて、一緒に仕事をされていると思います。だから、どなたが仕事を指導 されていて、企業の中で、指導される方がいるのかどうかです。いわゆる、障害のある 方だけが1つの固まった部署で仕事をしているのではなくて、パートナーということで、 通常の社員さんと一緒にお仕事をされていると思いますが、その割合だとか、どういう 形で指導されているのかをお聞きしたかったのです。 ○長岐氏  まず、特定の部署というのはまったくなくて、あらゆる職場で働いていただくことを 前提に雇用を進めてまいりました。身体障害の方でも障害の部位によっていろいろ違い ますので、そういう方たちを雇用して職場開発してくるのは、ある程度時間がかかって 進めてきたわけです。それが別に短時間だとか8時間だとかではなしに、やはりどちら かと言うと、障害をお持ちの方に対して、それをどう乗り越えて、職業開発するのかと いうことには非常に力を注いでまいりましたので、それが短時間だからどうなるのかと いうのは、簡単には想定できないと思います。それから、有効性ということで、言葉に 語弊があったかもしれませんが、仕事を分割してお願いするのは、非常にそれなりの工 夫が必要だと思います。先ほど申し上げたように、8時間とか、ある程度の短時間以外 の労働で仕事を組み立てている所は、それを分割することのデメリットがまず大きくあ ると思います。そこには、いろいろな仕掛けを入れないと全体がうまく機能していかな いという形で、非常に抽象的な言い方で申し訳ないのですが、まずはそれがあるのでは ないかと。従業員の方でも非常に長時間働いている方もいるので、そういう意味では、 私どもは、障害の程度によって短時間だとか30時間以上だとか決めているわけではなく、 やはりその方が本当にどうなのかで就労時間を決めていますから、時間からきた切り口 で、障害の方に対する特別な配慮とかが出てくるかと言われても、思い当たる所がない みたいなイメージがあります。 ○時任氏(鈴木委員代理)  2点あります。イトーヨーカ堂グループの中で障害者を採用されて、2.06と大変感服 しているのですが、その作業の中に目が見えなくてもできる作業があるかどうか、それ が1点、イトーヨーカ堂グループの中で、目が見えない者、まったく見えない者と、弱 視まで含めてですが、視覚障害者を雇用しているケースがあるかどうか教えてください。 ○長岐氏  視覚障害の方は雇用しております。特にいま、お店のほうに電話交換所がありますが、 そちらのほうで全盲の方に働いていただいているケースがございます。それから、弱視 の方などもいますので、程度によっていろいろな仕事をしていただいていますが、特に お店の仕事が主体になるので、システム関係とか、目の不自由な方はバックルームの作 業という形が多いことは事実です。 ○舘委員  資料の中で、「直近の雇用状況の詳細」という所で数が上がっているのですが、その 中で特に、精神障害の常用労働者6人、それから、短時間労働者2人で、数は少ないの ですが、雇っていただいて有難いと思います。この方々というのは、手帳を持ってとい うことですよね。元々持っていらした方なのですか。 ○長岐氏  申し訳ありません。この6人に関しては、私、いま詳しい内容はつかんでおりません。 ○舘委員  それから、どういうお仕事をされているのか。一般的に言って、いろいろな仕事をさ れているということですか。仕事の内容で、例えば、障害別にこういう特長があるとい うのがあれば、教えていただきたいと思います。 ○長岐氏  この精神障害の方たちは、本部の事務をとっておられる方とか、あとはお店の販売で 働いている方と思います。過去の経緯はわかりませんので、そこの所はご容赦願います。  あとは、身体的に言えば、先ほどの目の不自由な方は、電話交換とか、お店のバック ルームのような形とか、身体障害の方では、車椅子の方、バックルーム作業、裏の作業 を中心にやっていた者に売場でも働いていただこうということで、売場の仕事もしてい ただくようにもうしております。そのときは、やはり手の届く範囲がございますので一 番はやはり高さです。それで、売場をいろいろ考えたのですが、時計売場みたいな所は ちょっと陳列を低くして、それから、簡単な電池交換とかを覚えていただくと、車椅子 の方でも接客しやすいし、できるということでしたので、そういう所の配属などもして おります。 ○輪島委員  5番のスライドですが、「短時間労働と障害者雇用について」の所で、いちばん実現 の可能性を見ると、試算の3という所です。そうなると、現行の実雇用率、2.06が1.68 まで下がるということだと思いますが、その点について、最後の頁で、「当初、短時間 型の推進を勢いづけるためには、一定期間に限り応用率の上乗せ」というご指摘をいた だいているわけです。結果として、2.06が1.68まで下がると、下がった所を一定期間分 子にのみ入れて、数字が上がってくるまでの一定期間に限ると考えるとすると、大体ど れぐらいの期間、例えば5年なのか、10年なのか、どれぐらいと考えているのか、お伺 いしたいのです。 ○長岐氏  私は端的に、0.1ポイント2年ということで、10年と想定して書いたつもりです。た だ、それが努力してそういう所に近づけられるかという数字ですので、他の業界とか実 態とかがわかりませんので、そういう所もご覧いただきながら、現実的な線を出してい ただくのかと思います。 ○輪島委員  制度が変わることによって、現在の2.06という所が1.68まで下がることは、企業がど こまでやればいいのかということにもなるのかと思いますので、その点から言えば、ご 指摘のとおり、一定期間に限って上乗せ方式、つまり、分子の所で入れていって支援策 をとることが現実的だと思いますが、その点についてどう考えるのかだと思います。  もう1点、これは事務局に聞くことだと思いますが、資料2の推計とイトーヨーカ堂 の推計値との違いを後でご説明いただきたいと思います。 ○岩村座長  それは、後ほど資料2のご説明をいただく際に、事務局のほうからコメントしていた だくことにしたいと思います。その他、いかがでしょうか。 ○片岡委員  私は障害の当事者で、いわゆる重度障害である1種1級なのです。だから、ここで採 用している重度障害者は、手帳でしているのか、見た目ですることもあるのですね。見 方においては、私などは重度障害というと、どこが悪いのですか、頭が悪いです、と言 っただけではみんなが返事するのですが、私自身も手帳は1種の1級なのです。という ことは、重度障害なのです。そういう場合には、私はいまケースバイではなしに、バイ パス手術をしているからということです。そういう人などはある程度労働に耐えられる ことによっての、内部障害者でも特にそういう人とか、車椅子などは特に働きやすいで す。そのような者を重点的に採用していけば、いわゆる大きい障害者雇用、特にセブン イレブンをやっている高知でもあまりないですが、そういうこともいいのではないかと。 いま高知のほうでも一生懸命、スーパーさんにもコンビニさんにもお願いをして、いわ ゆる短時間労働でもいいから入れてほしい。ということは、スーパーさんやコンビニさ んなど、4時間単位で人が入れ替わっても別に全体的支障はない、と私は思います。何 かその辺のお考えがありましたらお伺いします。手帳の数字で、重度障害とか、そうい うのははっきり分けているのですね。ここで、重度障害何名とかいうのは。 ○長岐氏  これは、採用するときに何か分け隔てがあるかという意味ですか。それはないです。 やはり内患の方もいれば車椅子の方もいますし、そういう方たちが本当に私どもの提供 する仕事についていけるのかどうかで、それは個人に確認をして採用していることです から。ただ、もちろん障害があることは、手帳の確認をさせていただきますね。  それから、2つ目の、短時間については、私どもは比較的そういう仕事のやり方がで きてきていますので、受け入れていく土俵はまだまだありますが、他の業界などはいか がなものかというところが。そんなに、全部の業界を知っているわけではないですが、 8時間型の労働でクイックされているのは多いのではないかという感じがいたします。 ○北浦委員  職務としては、いろいろ広い範囲で大変努力されているという話ですが、実態として は、どちらかというと店頭販売の業務よりも、いわゆる管理面というか、事務であると か、そういったような所が多いのかどうか。先ほど切り分けというお話がありましたが、 店頭販売の中で切分けは難しいという理解なのか。これは何か特定の職域を想定されて いて、そこで難しいと、一般論ではなく、イトーヨーカ堂の場合として、切分けが難し い所とそうでない所は結構あるのかどうか。職域開発に関連して、この辺の実態、職務 の問題が1点です。  それから2点目に、時間数の問題です。これ「30時間未満」とありますが、実態とし て、短時間で就いておられる障害者の方々です。実態として、時間数というのが、これ が比較的短いほうにシフトしているのかどうか。例えば「20時間」という所があります が、週20時間のラインより低めに出てくる方はいるのかいないのか、今後拡大していく とすると、これは職務との兼合いがありますが、短時間の中でもいくつか種別がありま すから、その短い型が出てくると、そういう想定があり得るのかどうか、この2点です。 ○長岐氏  1つには、働いていただいている仕事の職場ですが、先ほど出た、私どもはバックル ームと言いますが、皆さん方に来ていただく店頭の裏のほうの仕事、これに特定してい るわけではありません。やはり衣食住すべての分野にわたって働いていただいています。 障害別のものもありますので、見ていただいてもよろしいかと思います。  それから、短時間での働き方について。私はいま、4時間×2というのを中心に申し 上げましたが、実際に私どもで契約して働いている方で、30時間未満が55%いて、その うち20〜30時間が48%、ということは、20時間未満は7%しかいないわけです。おそら くこの方たちは、実際にお店のほうでも何らかのニーズがあって採用した結果だとは思 いますが、実は30時間未満とはいえ、各実態としては、20時間以上30時間未満、やはり ここの所がいちばん必要な分野であって、それ以上切り分けていくことになると、また 別の問題があります。2時間、3時間という方たちを1日の仕事の中に組み込んでいく のは、非常にマネージメントが難しいのです。 ○宮武委員  2点あります。1点目ですが、常用労働者の場合は30時間以上ですが、知的障害、私 どもが雇用先の条件を見ますと、小売サービス業、大体1日6時間で5日、30時間の労 働が多いですね。それで、これは30時間以上となっていますが、実際に、障害者の方が 1日何時間、週何十時間、30時間になるかどうか。30時間以上40時間未満ですか、そう いう型の障害者の割合がどうなっているか。それともう1点、ちょっと飛躍した考え方 かもわかりませんが、いま、雇用率の場合に、雇用者数、人数で計算されていますが、 トータルの労働時間数での換算というのは、そちらの場合で、パートの方、短時間労働 者というのは6時間、週4日で24時間、常用労働では30時間あるのですね。実際に、短 時間労働者というのは8割の時間を働いているわけですね。30時間に対して24時間とな りますね。0.5というのは15時間という見当になりますが、実際に、トータルで小売サ ービス業が産業構造的にもかなり増えていく中で、人数だけではなくて、労働時間とい う着目のし方はどうなのでしょうか。ご意見を伺いたいです。 ○長岐氏  1つ目のご質問ですが、いまパート契約そのものが7時間が限度ですので、私どもで 30時間以上と言っているのが、35時間未満で30時間以上という形です。それから、先ほ どの資料4番の所ですね。イトーヨーカ堂における、障害者雇用の常用労働者数につい てで、こちらで30時間以上の方の、身体、知的、精神ということで、数字を入れて、そ の中で重度の方、内訳を書かせていただいたので、この数字がいま実態としてあるとい うものです。  それから、2点目ですが、いま勝手に短時間の方で0.5ポイントみたいな言い方で書 きましたが、時間数で見る見方というのもあり得るのではないかと直感的に思いました。 あまり深く考えてはいないので、その辺はご容赦願いたいのですが、少しそういう見方 から見てみる必要もあろうかと、いま伺って感じたところです。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、長岐所轄マネージャーへのご意見、ご質問については、ここで一旦終了さ せていただきます。次に、佐藤センター長からのご説明に移らせていただきたいと思い ます。 ○佐藤氏   佐藤です。よろしくお願いします。  私どもの法人は「社会福祉法人石巻祥心会」と申します。名称ですが、障害者就業・ 生活支援センター事業を行っている事業所でして、「石巻地域総合生活支援センター」 も一緒になっております。  まず、東京に出て来ましたので、宮城の石巻地域はどこにあるか、そこからご説明を 申し上げなければいけないかと思って、こういうパワーポイントを作らせていただきま した。皆さんご存じの仙台市がありまして、その東側、北東にある石巻市、東松島市、 女川町、市町村合併で2市1町となりましたが、この地域で私どもは活動しております。 現在、宮城県の人口が大体230万人ですから、その10分の1、ただ仙台市がその半分以 上を占めているので、5分の1ぐらいが石巻地域の人口になります。その中で、この石 巻地域の障害者数ですが、これは平成17年度末の手帳保持者、知的、身体、それから精 神の部分については平成16年度末の精神通院公費負担の申請者数で計算していまして、 このような構成比になっております。知的が1,300、身体が8,400、精神が2,400という 数字になっております。  このような中で、石巻地域の企業の状況ということで、平成16年度、ちょっと古いデ ータになりますが、この部分についてはこのような構成になっております。石巻は北上 川という川の河口にありまして、古くから港町として栄えて来た所ですが、それが漁港 から造船業に変わり、漁港の部分についても200海里の問題で廃れていって、いまは水 産加工などが中心になったりするのですが、この構成比を見ると、圧倒的に多いのが小 売と卸売になっております。ただ、この地域は建設業も非常に多く、この比でいくと4 番目ぐらいになっている状況です。全体としては、この年度では1万1,411社となって おります。  この資料については、使用時間の状況ということで、平成17年度末での私どもの事業 所の登録者で就職された方の実績になります。就職者数としては46名となっております。 そのうち30時間未満が棒グラフの赤い部分、30時間以上が水色のグループになっていま す。30時間未満が25名、30時間以上が21名ということで、今回私がお招きいただいたの も、30時間未満の雇用が非常に多い所での話だったのかなと思っております。数として は、全国的に見れば就職者数はそんなに多いとは言えないのですが、割合としては半分 以上の人が短時間就労をしているという話だと思っております。  この部分で内容を見ていきますと、これは実際に1人1人を区分けして、名前や企業 名を除いた資料ですが、順番からいくと身体障害の方がうちでは3名しか関われなかっ たので、3名となっております。その次が精神障害の方で、12名が就職となっています。 職種は、産業別、職業別、職種となっていて、身体、知的の部分についてはさまざまな 業種、職種となっていると思われます。  ただ、次の知的に障害を持つ方の部分ですが、こちらは知的障害で一般、30時間以上 で雇用された方です。生産行程の部分で、水産加工員ということで、石巻は水産加工業 が非常に盛んでしたので、その部分での就労が非常に多いと、これは特徴的な部分と言 えます。生産行程、労務の仕事が多くあります。  こちらが短時間、30時間未満の就労です。こちらは大きな傾向はないのですが、やは り生産行程に関わる部分が多いですし、労務の職業になっております。珍しいところで は飼育員というのが1つありまして、これは水族館のペンギンを担当しているというこ とで、これも労務として入っているそうです。  この状況をA群、B群、C群と3つに分けてみました。意味合いとしては、就職をす る際に本人のニーズ、企業の状況で分類をしてみました。A群は、本人さんが一般雇用、 いわゆる30時間以上の雇用を希望していたのだけれど、企業のほうは短時間雇用しか提 供できない。その結果、今回は短時間雇用でもこの企業に勤めてみようと勤めてみたと いうケースです。B群は、本人が本人理由で短時間雇用を希望している、一般事業所で は30時間以上の雇用も可能だと考えていて、結果的に短時間雇用をしているケースです。 C群は、双方が短時間雇用を希望、または短時間雇用のみ職を提供可能というケースで、 この3つの区分をしてみました。 そこからいくと、知的に障害を持った方はA群、い わゆる企業理由で結果的に短時間雇用になっている人たちがほとんどでした。まず短時 間から始めてみようという結果になって、そのあと30時間以上の雇用になっているパタ ーンや、短時間雇用の事業所をもう1つ見つけて、フルタイムで働いている形の方など がおります。  身体障害の方についてはこのとおりですが、精神障害の方が非常に特徴的になってい るかと思います。10人の方が短時間雇用をされておりますが、そのうちご本人が短時間 雇用で働きたいとおっしゃったのが6名、会社、本人双方で短時間で働く、短時間の場 所を提供するという話になったケース、C群が4名です。明らかに、知的・身体の部分 と精神障害の部分が傾向としては違うということが、少ないデータの中でもこのように 出ているところがあります。  そのような中で、先ほど申し上げた短時間就労の仕事を2つないし3つ組み合わせて、 フルタイム、またはそれに近い形で就労していくケースの事例を少し挙げたいと思いま す。まず1つは、障害の状況としては、知的に障害をお持ちの方です。てんかんを外科 手術で治療しようとした経過がありますが、いまのところ発作はありませんが、いつま た発作があるのかと不安をお持ちの方ということです。収入の状況ですが、障害基礎年 金の2級、現在の就労の収入としては約7万円あります。この方は2つの事業所にお勤 めなのですが、それを合わせて7万円です。  生活の状況としては、入所施設を退所後、グループホームで生活をされ、今年からグ ループホームを退所して単身生活に移っています。雇用先については、事務用品店、事 務の補助、大量に出てくる伝票を日付ごとに整理していく仕事をされているようです。 週2日、1週間で14時間になります。時給は650円。2つ目の事業所が福祉系の事業所 で、その中で清掃や庶務の仕事をされています。週3日で1日3時間、9時間で時給が 750円です。  組合せの状況ですが、大体このような組合せで働いていらっしゃる方で、水曜日が空 いていますが、これはご本人さんの都合で、水曜日は1日空けてゆっくりしたいという ことで、水曜日と日曜日がお仕事が全くない日です。ここに入れていませんが、土曜日 の午前中は、趣味があって、編物の講座に通いたいということで、編物の講座に毎週通 って、それが終わったらお仕事にいくことになっています。  2ケース目ですが、こちらも知的に障害をお持ちの方です。収入の状況ですが、障害 基礎年金の2級、就労での収入が月約9万円あります。生活の状況は、それまでずっと お家で暮してきた方ですが、平成14年からグループホームに住んでおります。グループ ホーム退所後、平成18年からアパートを借りて一人暮らしをされております。  雇用先ですが、1つ目は小売店で販売のお仕事、品出しのお仕事をされています。週 5日、1週間で20時間となっております。時給が720円です。もう1つはこれから始める そうですが、来週辺りから新しく入るようで、福祉系の事業所で調理の補助の部分を始 めたいということで、週5日で10時間、時給750円ということです。  組合せの状況は午後から勤務に出る形で、1時から5時までの勤務になっております。 この方も、なぜか水曜日がお休みで、水日がお休みのパターンを取っております。今回 福祉系の事業所で夜ご飯の部分でお手伝いいただきたいということと、ご本人さんがも う少し仕事を増やしたいのだけれど、午前中はできればお休みをして、夜、それも自分 の家から近い所で働ければいいとのお話があり、たまたま近くの事業所でお仕事があっ たので、ご本人さんとニーズと合って来週から始めようということです。  こういった形で、精神障害の方の短時間就労については、いろいろな所ですでにお話 がされているかと思いますが、知的に障害を持った方でも、時間的に私どもの地域では なかなかうまくマッチができていないところがあり、そこの部分をいかにカバーしてき たかは、いまの事例でお話をしたとおりです。そこの部分で「有効性」と「課題」と2 つに分けて考えてみました。「有用性」と書いてありますが、「有効性」です。  有効性としては、精神障害者の場合は「疲れすぎない程度」の就労時間を確保できる ことがいいのではないかと思っております。2つ目、「社内の対人関係トラブルが起き にくい」というのはどういうことかというと、精神障害の方だけではなく、知的に障害 を持った方でもなかなか対人関係がうまく取れない方の場合、フルタイムで働いている と、関係が少しずつ深くなっていった段階でトラブルが出てくることが、私どもの関わ りの中で非常に多かったのです。そういった意味では、短時間や週2日だけ働く形が何 箇所かあるということで、表面的な関わりになってしまうかもしれませんが、対人トラ ブルまでいかなくて済んでいるケースが見えてきています。これはすべてに関して言え ることではないのですが、そういう傾向があります。  独自のスタイルに合った働き方ということで、当事者側の生活のスタイルを考え、ど のようにそこに働く時間を組み込んでいくかは、生活のスタイルが別の形でできている 場合は、フルタイムで働くのは非常に難しい部分があります。このあとでお話しますが、 高機能自閉症の方のケースなどでは、なかなかフルタイムで日中8時間働くのは難しい 状況があります。そういった中で、生活のスタイルに合った働き方での短時間就労は有 効かなと考えております。  先ほど申し上げた知的・身体の場合の話ですが、複数事業所を掛持ちしながら、フル タイムに近い就労も可能であると思います。課題としては、これは石巻の地域性ですが、 水産加工系の会社がこの部分で非常に多く、冬場の忙しい時間だけ、夏場は水産加工系 は暇なのですが、たまに急に仕事がドカンと入ってきます。そのときに、パートの職員 を多く雇っていないので、仕事があるのだけれど、どうだろうという話がよく来る状況 があり、季節や職種などに左右されているところが多い気がします。職種についても、 先ほどお話した水産加工系の仕事、労務の仕事が多く、前の方のお話でもあったように、 短時間就労については職種が非常に狭まっている印象を受けます。  最後にもう1つ、精神障害者の場合ですが、これは私たちが経験した事例で、短時間 で勤まったので長時間もできる。「過信」というのは誤解を招く言い方なので、どうか なと思いますが、もっとできるだろうという思いが出てくる。ただ、そこをもう少し慣 らしていこうと話をしながらも、長い時間まで持っていったときに体調を崩してしまう パターンが非常に多く、先ほど12事例ありましたが、いま現在同じ場所で勤めておられ る方が約5割、残りの5割の方は離職されてしまった状況にあります。短時間でお勤め の方がもっと働けるだろうと考えて、もうちょっと、もうちょっとと働いた場合に、疲 れてしまうところがあって、短時間の部分もできるところは見えるのですが、そこをど ううまく使っていったらいいかが、まだ分からないところがあります。  先ほど、独自の生活スタイルに合った働き方の部分でお話をして、有効性の1つとし てこういうお話を1つしておこうと思います。障害の状況としては、高機能自閉症と言 われている方です。障害基礎年金が2級、就労の収入が約6万円です。平成14年からグ ループホームを利用され、それまではずっと在宅でした。何もお仕事をされていない状 況で、福祉事務所関係で作業所などもお勧めしたのですが、なかなか合わなかったとこ ろがありましたが、グループホームを利用されるようになって、お仕事を始められまし た。今年の10月から、グループホームを退所して単身でお住いになっています。単身と いうか、仲のいい、気の合う方と一緒にルームシェアをしている状況です。  雇用先は1、2、3とありますが、新聞店を2つ、朝と夕で掛持ちをしております。 アルバイトとなっておりますが、これは雇用という関係よりは、ご本人さんが自分で見 つけてきたお仕事で、書店で床屋や美容院に毎週雑誌を置いていく仕事をされておりま す。週1回程度で、1回当たり30件ぐらいのお店を回ってくるわけですが、謝金として 5,000円いただいているということです。これを就労とみなしていいのかというところ もありますが、何がいちばん大事かというと、本屋さんで立読みをすること、週1回映 画館に行くこと、中古のゲームソフト屋に行って、新しいソフトが入っていないか確認 することです。この部分を大事にしながら収入を得ようということで、新聞屋さんにつ いては非常に彼にマッチした仕事で、一発でお渡しする所がわかる。新聞を止めたとき も、地図でここはなしになって、ここが今度は入ることになったということがよく分か る方で、新聞配達は彼には非常に合っているようです。  最後にまとめの部分ですが、雇用率制度については、石巻地域で300人を超える企業 は実質5社しかありません。いわゆる「納付金制度」に関係する所が5社、それ以外の 1万1,000社は、納付金制度そのものに全く関係しない会社がほとんどです。私たちは 会社を回って、いろいろとお話を聞きながら雇用の職域開発をしているわけですが、ハ ローワークさんでも同じことをおっしゃっていて、障害者を雇用しても、退職したら企 業イメージが下がると考えている会社が非常に多い感じがしております。そういう感覚 でお話をされることが非常に多いです。雇用率未達成企業でも、何もデメリットがない わけで、この部分も一体どうなのだろうというところもあります。未達成の企業は、よ ほど何かがない限りは公表されないし、私たちもハローワークさんから教えていただく ことは基本的にないので、雇用率が未達成である意味はどういうことなのかと思ってい ます。  これは一般市民レベルの話ですが、障害を持つ人が働くということ、イコール福祉作 業所のように考えている方々は、地方である石巻などでは非常に多く、このままではな かなか転換できないのではないかと思っております。この先どのように進めていったら いいのかは、大きな課題です。そのような中で、短時間就労そのものについては、全障 害の雇用率の算定対象にしていただきたいというのが私たちの思いです。これはかなり 乱暴な言い方で現実には不可能だとは思いながらも、あえて申し上げますが、それと抱 合せで、納付金の対象企業をいまの301人以上から56人まで拡充していただくことはで きないだろうかと思っております。これは単純に専門家の就労支援に関わっている人間 だけの努力ではなく、一市民レベルからこれに関わっていくことができるようにならな いかということです。56人レベルの企業であれば、石巻でも約3分の1から4分の1ぐ らいの事業所が関わってきますので、そうなってくると市民レベルでもいろいろな話が 出てくると思っております。企業を立ち上げるということは、企業の地域社会に対する 責任があるのではないか。そこの部分を障害者雇用に課していくことはできないかと思 います。  それ以外に、短時間雇用のところでは、石巻の事情からすると、それでも企業の理由 で短時間になっている所が実質多いと感じます。その部分を逆手に取って、工夫次第で はフルタイムのように働いていけることがあるので、障害者就労を進めるきっかけを作 ることはある程度可能と思っております。また、精神障害の方に対しては、短時間就労 は非常に有効であると考えておりますので、短時間就業についてはもっと考えて、有効 な手段をもっといろいろな形で進めていければいいなと思っております。下手な話で申 し訳ないのですが、私の話はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございまし た。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。石巻地区における大変興味深い取組みについて、明 解にお話をいただきました。  それでは、ただいまご説明いただいた内容について、皆様からのご意見、ご質問をい ただきたいと思います。先ほどの長岐総括マネージャーのイトーヨーカ堂のお話に関し ても、ご質問、ご意見等がありましたら、併せて承りたいと思います。 ○斉藤委員  知的障害者の就業のところで、企業理由が100%で、まずは短時間から始めましょう ということだと言われたのですが、理由はこれで間違いないでしょうか。理由をもう少 しご説明ください。 ○佐藤氏  フルタイムで働きたい人はその時点で断りますので、無理やり短時間に押し込まれた わけではありません。本人さんも最終的には納得して、どこかで30時間以上の仕事に就 けるようになったらいいね、という意味で働いているということです。 ○斉藤委員  短時間を企業が希望されているのは、どのような理由なのですか。 ○佐藤氏  その時点で、枠がそこしか提供できないという話が結構あります。これはかなり季節 に左右される部分があって、水産加工系は9月から3月ぐらいが非常に忙しいです。 ○八木原委員  貴重なお話をありがとうございました。1人の方が2カ所の仕事をするケース、組合 せの紹介をしていただいたのですが、こういった場合職場が変わるということは、対人 スキルの面でもいろいろな人と関わりを持つということでは難しくなるのではないかと、 単純に思ってしまうのです。その辺りの取組みはどうなのでしょうか。 ○佐藤氏  いま紹介した事業所のほとんどが、事業所としては小さいものです。福祉系事業所と 言っているのは、いわゆるデイサービスでナイトケアをしている所です。事務用品店の 方も非常に小さいお店でやっていて、簡単に言うと、大きな企業ですと担当者が人事異 動をします。小さい会社は人事異動をしません。その会社との相性もありますが、その 人と気持ちの上でぴったり合う場面が見えたときに、この仕事はどうだろうと話を進め ているところがあります。そうなると、長い期間働いていくことは随分可能になってく るわけです。  複数事業所を掛持ちしていくことは、必ずしもうまくいっているわけではないのです が、うまくいった所では小さい枠でやっている会社が有効な部分があると思っています し、そこのサポートもその枠の中でできている。小さな会社は、困ったらどうしようと 電話をくれるので、会社の内側に持っていかないのです。みんなに聞いて回るわけです ので、様々な人たちが関われます。精神の場合では、保健所やデイケアのPSWといっ た人たちが関われますので、精神の方は特に小さい所のほうがいいのかなと思っており ます。 ○片岡委員  雇用と直接関係ないことを聞いて申し訳ないのですが、自立支援法との関係で、平成 18年度からグループホームを出られた3人は、偶然だったのか、その辺りは関係ありま すか。 ○佐藤氏  ありません。むしろ、スタッフの顔をもう見たくないから、自分で暮らすという話で す。 ○岩村座長  私から1つお伺いしたいのですが、非常に有意義な取組みだとは思ったのですが、石 巻という1つの地域での取組みだろうということもあって、このようなことができる部 分があるのだと思いますが、就労の場所をどのように探しているのか。ハローワークな どを通しているのか、センターのほうで何か独自のネットワークをお持ちで、組合せの 就労を考えるときなどにアレンジメントをされているのか、その辺りを伺いたいと思い ます。 ○佐藤氏  例えば高機能自閉症の方の事例ですと、1社で考えれば1週間に10時間未満ですね。 こういった部分は当然ハローワークで紹介しませんので、私たちのほうで探していると ころもあります。よく新聞などにパートの募集が載っていますが、ああいう所はくまな く探していますし、あとはひたすら電話をかけて、実際に会ってみる。そういうものを 出す所は大体決まってきますが、新しく出たところはお付合いをしておくことも結構あ ります。ハローワークの方でも、実際そういう情報があったときに、正規のルートでは 載せられませんが、ハローワークの方からお伺いして、私たちも企業訪問をすることは あります。 ○舘委員  組み合わせるというのがとても面白いと思って感心したのですが、収入はないかもし れないけれど、辛うじて地域生活を維持できるような収入を確保されているに、私は非 常に敬意を表したいと思います。  そこで、最後のところで56人以上を雇用納付金の対象にしろということがありました が、それはそうなのですが、これを見ますと時間数が引っかからない人が多いです。逆 に言うと、時間数が分散する。そうした場合、具体的にインセンティブになるのでしょ うか。都市と地方では事情が違って、佐藤さんの悩みはお察しします。雇用義務は56か ら発生するわけですから、私もそろそろ56にしてもいいと思っていますが、具体的にい ま佐藤さんがやっている組合せの場合、企業としてはインセンティブになりそうですか。 ○佐藤氏  週7時間労働になるかかなり厳しいところがありますが、先ほど少し出ていたのです が、単純に0.5カウントではなく、働いている時間数の積算はできないかということは 考えます。  その中で企業が積み上げていくという考え方が1つあるのではないかと、私は思って いて、短時間雇用でも一生懸命やっている会社はいっぱいあるのです。大きな企業が頑 張れるのは、確かにそうだろうと思うのです。大きな企業の中でも、例えばユニクロと いう会社があります。石巻にもユニクロが2店あるのですが、どちらでも障害を持った 方を雇用されています。ただ、そこにいるスタッフは10〜15名ぐらいなのです。ユニク ロの本社から障害を持った人を雇用したから、そのために専任の職員が派遣されるわけ ではないので、そこの10〜15名ぐらいのスタッフで障害を持った方を雇用するためにい ろいろな工夫をされているのです。大きな企業といいながら、実は15人で、しかも石巻 で採用されたスタッフみんなで頑張っているわけです。そういうところを見ると、小さ な枠でもやれることはあると思います。ただ、その中で10時間だけでいいのだと言う人 もいらっしゃるのです。そういったところは、企業で10時間分を積み重ねて、法定雇用 率の算定に組み入れてもらえれば、56人からの事業所でも、実質納付金をかけたとして も可能性は出てくるのではないかと、乱暴な言い方で申し訳ないのですが感じていまし た。   ○舘委員  56人というのは、時間の積算によるものを前提にお考えになっているということです ね。 ○佐藤氏  はい。 ○舘委員  佐藤さんの所で、グループ就労などの試みをされたことはありますか。 ○佐藤氏  あります。グループ就労の最たるもので、どこでもありますがリサイクル系のところ で、瓶やペットボトルの収集をやりました。 ○宮武氏  最後の部分で、このままでは障害者就労イコール福祉作業所という構造があってとい う、市民レベルの話がありましたが、実際にご努力をされて、ユニクロなど小さい企業 の中でも障害者を何とか受け入れて取組みをされている。その中で、企業の意識や関わ る従業員の障害者に対する理解などは進んでいると思いますか。  企業の方が努力して受け入れているわけですね。その中で、知的障害や精神障害は初 めての所もあると思うのです。受け入れる企業にとっても、大きな第一歩だと思うので す。格闘して、戦力になっていくと思うのです。その中で意識が変わっていく実感、実 践でやっていて、市民意識が就労を通して変わっていくのかどうか。 ○佐藤氏  私は変わると信じています。障害を持った方と一緒に働いた経験のある方が、初めて 障害を持つ方の存在を知り、社会で生きていく可能性を認識できるものだと思っており ますので、教科書のようなお話の仕方で申し訳ありませんが、基本的なところとして私 はそれを信じておりますし、そういう絵も実際に見えてきていると思います。  ただ、いかんせん就業生活支援センター事業そのものについては、3人のスタッフと ジョブコーチが1人だけで回っておりますし、ハローワークとしても障害者専門官が1 人で、地域職業センターの方も毎日いるわけではないという状況がある中で、関われる 人の数が圧倒的に少ないがゆえに、4対23万人の世界は、オセロで言う黒から白へひっ くり返すにはまだまだ力が足りないと感じております。 ○時任氏(鈴木委員代理)  先ほど聞き落としてしまったのですが、資料の中にあったかもしれませんが見えない ので申し訳ありません。先ほどの従業員の母数の中で、イトーヨーカ堂さんやヨークマ ートやデニーズは大丈夫だと思うのですが、セブンイレブンはフランチャイズ展開なの で、各店舗の従業員が分母に入っているのかどうか、そこだけお尋ねしたいのです。 ○長岐氏  フランチャイズの数字は入っておりません。直営の部分だけです。 ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、ほぼ予定した時間ですので、お二人へのご質問、 ご意見についてはここまでとさせていただきます。今日おいでいただいた長岐総括マネ ージャー、佐藤センター長、お忙しいところ誠にありがとうございました。特に佐藤セ ンター長は遠くからおいでいただきまして、ありがとうございました。 ○岩村座長  お2人はこれをもってご退室されます。  引き続きまして、議題(2)について、事務局から資料のご説明をお願いします。 ○事務局  資料1〜4についてご説明します。資料1は「障害者の短時間労働について」という ことで、前回の研究会でのご議論も踏まえて、平成10年度、平成15年度の障害者雇用実 態調査と障害者職業総合センターの障害者雇用に係る受給の結合を促進するための方策 に関する研究中間報告などに基づき、障害者の方の短時間労働についての現状や短時間 労働に関する障害者のニーズについて分析したものです。  1頁目ですが、下のグラフは雇用保険の一般被保険者数の平成10年から平成15年の推 移となっております。総数が全体で3,332万人から3,333万人と横這いで推移する中、短 時間労働被保険者以外の被保険者は3,257万人から3,166万人と、全体で約91万人減少し ております。その一方で、短時間労働被保険者については、74万人から167万人、約93万 人の増加、対平成10年度では2.3倍の増加となっております。  2頁目は「障害種別の障害者雇用状況」で、下のグラフは、障害種別ごとの常用雇用 障害者数についての平成10年度と平成15年度の比較になっております。身体障害者につ いては、全体の39.6万人から36.9万人とやや減少しておりますが、知的障害者は6.9万 人から11.4万人と、約4.5万人の増加となっております。精神障害者については、平成 15年度調査の際に調査方法を変更したことによって、平成15年と平成10年の調査には連 続性がないのですが、ご参考までに平成10年と平成15年の数値を並べております。  3頁目は、労働時間別に見た障害種別ごとの障害者の雇用状況です。下のグラフは、 平成15年度の労働時間別に見た障害種別の障害者雇用状況となっております。すべての 障害種別において、週30時間以上の労働時間の割合が最も高くなっており、いずれも4 分の3、75%を超えている状況にあります。しかしながら、精神障害者については比較 的短時間労働の割合が高い。週20時間未満と週20〜30時間を足すと、大体9.2%になりま すが、比較的高いことがわかると思います。なお、知的障害者は労働時間が不明なもの が18.5%ということで、他の障害より多い点については留意する必要があるかと思いま す。  4頁目は、労働時間別に見た身体障害者の雇用状況の推移です。補足しますが、ここ では身体障害者についてのみ平成10年度から平成15年度の推移を載せておりますが、知 的障害者と精神障害者については、平成10年度の労働時間別に見た障害者の雇用状況を 把握していませんので、身体障害者のみとなっております。下のグラフを見ると、身体 障害者の雇用数は全体としては39.6万人から36.9万人、約2.7万人減少しておりますが、 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間身体障害者雇用数は、平成10年から平 成15年度にかけて1.1万人から3.0万人、約1.9万人の増加、約2.7倍になっています。こ れと、先ほど1頁目でご覧いただいた雇用保険短時間労働被保険者の平成10年から平成 15年の伸びを比べると、短時間身体障害者雇用数が短時間労働雇用者数の増加を上回る ペースで伸びていることが伺えるのではないかと思います。  5頁目は、障害程度別の短時間労働者の状況です。下のグラフを見ると、身体障害者 及び知的障害者の平成15年度の労働時間と障害程度の関係を見ると、身体障害者につい ては20時間以上30時間未満の区分で重度障害者の割合が3分の2を超え、他の区分と比 較して特に多くなっている状況です。知的障害者については、いずれの区分も重度以外 の障害者の割合が高いものの、該当区分が不明の障害者数が18.5%と比較的多いという 点については、留意する必要があるといった分析になっております。  6頁目は、短時間労働に関する障害者のニーズの分析です。3頁で障害者の労働時間 別の雇用状況を見ておりますが、それと合わせて短時間労働に関する障害者のニーズに ついて見たものです。下のグラフを見ると、労働時間に関する障害者ニーズは、求職者 が約6割、授産施設利用者が約5割週30時間以上で勤務することを希望し、最も多くな っております。2つ目の○ですが、週30時間未満の勤務をする労働者の割合です。週20 時間未満と週20〜30時間の勤務を希望するものと合わせた割合になりますが、求職者は 38.3%、授産施設利用者は45.7%で、週30時間未満の労働時間を希望するものも、相当 数いるのではないかと考えられます。しかし、障害者の労働時間の現状と比べると、週 20〜30時間の労働時間が6.7%、週20時間未満の労働時間が1.0%と、実態は障害者の希 望にマッチしていない状況にあると見ることができるのではないかと考えています。ま た、求職者に比べて授産施設等利用者は30時間未満の短時間労働を希望するものの割合 が多くなっております。  7頁は、6頁のものを障害種別に短時間労働者に関するニーズを見ていくものです。 身体障害者については、求職者及び授産施設等利用者のいずれにおいても、週30時間以 上の労働を希望するものの割合が最も多くなっております。一方で週30時間未満の労働 時間の希望は、求職者は38.9%、授産施設等利用者は34.4%となっております。しかし ながら、現状は週30時間未満の労働時間の割合が8.0と1.2で9.2%程度ということで、 1割に満たない状況となっております。  8頁目は、知的障害者についてです。下のグラフを見ると、求職者及び授産施設等利 用者のいずれにおいても、週30時間以上の労働時間を希望するものの割合が最も高い状 況になっております。一方で、週30時間未満の労働時間の希望については、求職者は 33.8%ですが、授産施設等利用者は48.5%で、週30時間未満の短時間労働時間を希望す るものの割合が非常に大きくなっています。しかしながら、現状では週30時間未満の労 働時間の割合は3.0%となっており、大変少ない状況になっております。  9頁目は、精神障害者についてです。下のグラフを見ると、先ほどもありましたよう に有効回答者数は9人ですが、求職者は週20時間未満の労働時間を希望するものの割合 が44.4%と最も多く、授産施設等利用者は週20〜30時間の労働時間を希望するものが 32.9%という状況です。  最後に、10頁目は障害程度別に見た求職者の短時間労働に関するニーズです。障害程 度が重くなるほど、短時間勤務を希望するものの割合が高くなっております。短時間労 働を希望するものは重度が45.3%、中度が35.5%、軽度が33.3%です。  資料2をご覧ください。短時間労働者を雇用率に算定した場合の雇用率等への影響・ 推定で、1枚目は平成16年の「第4回障害者雇用問題研究会」に提出した資料です。前 回の研究会で提出するようご指摘のあった資料です。上段ですが、これは短時間労働者 を現行の法定雇用率の算定式に加えて算定した場合の法定雇用率への影響です。現行の 法定雇用率の算定の式に、分子では身体障害者及び知的障害者について、それぞれ重度 短時間労働者の人数と被重度短時間労働者の人数に0.5を掛けたものを加え、分母では 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者を加えて計算しておりま す。その結果、1.86%となっていて、これは現行法定雇用率算定の際に参考とした数値 とほぼ同じになるという推計をしているものです。  下の段は、短時間労働者を法定雇用率に算定した場合の実雇用率への影響です。平成 15年の雇用状況報告により、実雇用率の算定式に、分子では身体障害者及び知的障害者 の数について、実雇用率の算定では入らない重度以外の身体障害者と知的障害者である 短時間労働者を加え、分母では短時間労働者を加えて計算しております。その結果、平 成15年現在の実雇用率1.48に対して、1.45%になるという推計をしているものです。  資料3は、「障害種別・障害程度別の雇用者数実数の推移」ということで、前回研究 会でのご意見を踏まえ、重度障害者についてダブルカウントをしない実人員を示した資 料です。これは、重度の身体及び知的障害者の短時間労働者が実雇用率にカウントされ ることになった平成5年からの数値の推移を示しております。障害者計を見ると、平成 5年からのダブルカウントを含んだカウントにあるいは実人員とも、平成14年、平成15 年辺りが底になっており、平成16年、平成17年と増加し、平成17年は過去最高という状 況にあります。  左の身体障害者を見ると、ダブルカウントを含んだカウント、実人員とも、平成14年、 平成15年辺りに底となっており、その後平成16年、平成17年と増加しております。その 内訳を見ると、身体障害者全体に占める重度以外の割合が低下する一方で、重度または 短時間重度の実数及び比率が年々高まっている状況になっております。  知的障害者の所ですが、ダブルカウント、実人員、重度、重度以外、短時間重度、い ずれについても増加が続いている状況にあります。資料3については以上です。  資料4ですが、「中小企業における障害者雇用」ということで、「第2回中小企業に おける障害者の雇用の促進に関する研究会」で提出している資料です。前回の研究会で 中小企業の実雇用率に関して議論がありましたので、その参考資料としてお出ししてお ります。本日は、説明は割愛させていただきますので、のちほどお時間のあるときに資 料をお読みいただいて、後日ご質問等お寄せいただければと思います。資料については 以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。先ほど輪島委員から、資料2についてイトーヨーカ堂の資 料との関係はどうかというご質問があったと思うのですが、それについてお願いします。 ○事務局  先ほどのご質問の件ですが、資料2は、先ほどご説明しましたように、平成16年当時 にやっていた研究会にお出しした資料をそのまま出している形になっておりまして、当 時の推計です。前回の研究会でも申し上げたように、いま新しい推計ができる前提の実 態調査をやっておりますので、年明けになろうかと思いますが、改めて新しいデータを お出ししたいと思います。そういう前提で、今日は過去のものをお出ししているもので す。  資料2の下段の実雇用率への影響ですが、輪島委員がお尋ねの件は、イトーヨーカ堂 さんの資料では、先ほどのデータでは2.06であったものが、この資料と同じ前提による 試算の3によれば1.68まで下がるという大きな影響があるのに対して、資料2の推計で は1.48が1.45と、下がり具合が小さいのではないか、だいぶ差があるのではないかとい うご指摘だろうと思います。いろいろ要素はあろうかと思いますが、大きな前提として、 イトーヨーカ堂さんの場合ですと、先ほどのご説明にあったように、現在のカウントの 母数になっているのが2万8,000人ほどで、それに対して短時間労働をカウントしたと きの前提になる母数が1万7,000人ほどということで、そうすると両方合わせた場合の 2割ぐらいと、かなり大きな比率を占めています。それに対して、全企業を調べてみる と、雇用保険のデータによれば被保険者のうちの短時間被保険者の割合が5%程度です ので、母数の入り具合が違うといった意味で、仮に短時間の部分での雇用の状況でも影 響の度合がかなり違うということはあるのではないかと思っております。  ただ、いずれにしても、個別の企業で見るとかなり影響が大きく出る部分があること は事実ですので、そういった点も含めて短時間の部分についてどのように考えていくか、 この場でもご議論いただければと思っております。よろしくお願いします。 ○輪島委員  1つだけ、資料2の下段の短時間労働者数94万人×0.5と、イトーヨーカ堂のお出し になった1万7,451人×0.5というのは、同じ土俵で計算をしていると見ていいのですか。 ○障害者雇用対策課長  おそらく、イトーヨーカ堂さんも母数を把握するに当たっては雇用保険被保険者の範 囲から計算しておられると思いますので、そういった意味では同じではないかと思いま す。 ○輪島委員  確認ですが、資料2の上の数字によると、制度の設計によって法定雇用率の変更はな いけれど、下の段によると実雇用率は下がる要因がある。かつ、個別の企業で見てみる と非常に大きい企業があると、そのように理解してよろしいですか。 ○障害者雇用対策課長  資料2の時点での推計では、そうだということになります。 ○輪島委員  新しい数字が来年の1月ぐらいに出るだろうと。 ○障害者雇用対策課長  ご議論の前提として、年明けにはまたご説明します。 ○輪島委員  わかりました。それからもう1つ、ヒアリングの2番目の佐藤さんからのご意見の所 で、個人の労働時間数を積み上げるというお話がありましたが、これをどう考えるのか。 雇用保険の中でどう見ているのか、一般的にはマルチジョブホルダーのような性格で、 どちらが雇用保険を払っているのかということになると思うので、基本的な考え方、労 働時間の積上げによって、個人で見ると20〜30時間のハーフカウントの対象になる、ま たは1番最初の事例だと30時間になりますから、フルカウントになりますね。その時点 をどう考えるのかという整理を、次回1度出していただきたいと思います。 ○岩村座長  マルチジョブホルダーについては、いま雇用保険の部会でも議論しているところでも ありますので、そこは事務局のほうでお調べいただいて、次回の宿題ということで資料 をお出しいただければと思います。ほかにいかがでしょうか。  それでは、時間も過ぎておりますので、特段ご意見、ご質問がなければ、今日はこの 辺りで終了したいと思います。次回も、予定では引続き関係者の方々からのヒアリング となっております。日程などについて、事務局からご説明をお願いします。 ○障害者雇用対策課長補佐  次回は11月21日(火)10:00〜12:00、場所は厚生労働省7階専用第15会議室になって おります。次回研究会の出欠については後日確認させていただきますので、よろしくお 願いします。 ○岩村座長  最後に、本日の議事ですが、いままで伺ってきた限りでは議事録の公開に特に差し支 えがある内容ではないと思いますので、そのまま議事録を公開するということでよろし いですか。 (異議なし) ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、これをもちまして今日の研究会は終了いたしま す。お忙しいところ、長い時間ありがとうございました。 【問い合わせ先】  厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課   雇用促進係   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL 03(5253)1111(内線5855)  FAX 03(3502)5394