06/10/05 社会保障審議会後期高齢者後期高齢者医療の在り方に関する特別部会 平成18年10月5日議事録 06/10/05 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第1回議事録  (1)日時  平成18年10月5日(木) (2)場所  東海大学校友会館 阿蘇の間 (3)出席者 糠谷部会長 鴨下部会長代理 遠藤久夫委員 川越厚委員 高久史麿委員      辻本好子委員 野中博委員 堀田力委員 村松静子委員      <事務局>      水田保険局長 宮島審議官 原医療課長 鈴木老人保険課長  唐澤保険局総務課長 石原調査課長 二川医政局総務課長       神田高齢者医療制度施行準備室長 谷内総務課企画官 他 (4)議題  ○後期高齢者医療制度の概要等について      ○その他 (5)議事内容 ○事務局(谷内企画官)  それでは時間もまいりましたので、これより「後期高齢者医療の在り方に関する特別部 会」を開催いたします。委員の皆様には本日御多忙の折お集まりいただき、厚く御礼申し 上げます。  初めに事務局より委員の皆様の御紹介をさせていただきます。  遠藤久夫委員、学習院大学経済学部教授でいらっしゃいます。  鴨下重彦委員、国立国際医療センター名誉総長でいらっしゃいます。  川越厚委員、ホームケアクリニック川越院長でいらっしゃいます。  高久史麿委員、自治医科大学学長でいらっしゃいます。  辻本好子委員、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長でいらっしゃい ます。  糠谷真平委員、独立行政法人国民生活センター理事長でいらっしゃいます。  野中博委員、医療法人社団博腎会野中医院院長でいらっしゃいます。  堀田力委員、弁護士で、さわやか福祉財団理事長でいらっしゃいます。  村松静子委員、在宅看護研究センター代表でいらっしゃいます。  次に厚生労働省幹部を紹介させていただきます。  保険局長の水田でございます。  大臣官房審議官の白石でございます。  それでは第1回目でございますので、保険局長より一言ごあいさつを申し上げます。 ○水田保険局長  水田でございます。今回この「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」という長い 名前でございますけれども、御参集いただきましてまことにありがとうございます。御存 じのとおり、先の通常国会におきまして、国民皆保険制度を堅持して医療保険制度を持続 可能なものにすると、こういう目的の下に医療制度改革関連法案が提出され、成立の運び になったわけでございます。その一環といたしまして、75歳以上の高齢者の方を対象とす る後期高齢者の医療制度が創設されるということになったわけであります。  この新しい医療制度におきましては、診療報酬につきましてもそれぞれ高齢者の心身の 特性にふさわしい医療が提供できるような、診療報酬体系を構築すべしと。こういった考 え方が昨年12月でありますけれども、政府与党で決めました医療制度改革大綱によって示 されているわけでございます。この特別部会は、まさにその新しい報酬体系の構築という ことを目的とするものでございます。  そもそもこの後期高齢者医療は大変難しい問題もございます。例えば終末期医療をどう するかと。こういった難しい課題があるわけでございますけれども、新しい診療報酬体系 を考えるにしましても、やはり「あるべき高齢者医療とは何か」というところから出発を いたしまして、それに即しまして物事を考えていく。出発点はあくまでもあるべき高齢者 に対する医療であると、このように考えておりまして、そういう意味で私ども医療保険に 関する検討の場といたしまして、社会保障審議会の医療保険部会でありますとか、中央社 会保険医療協議会、こういったことがありますけれども、あえてそれとは違うこの特別部 会という検討の場を、設けさせていただいたわけでございます。  今後の進め方でございますけれども、先ほど申し上げました医療改革関連法案の国会審 議の附帯決議におきまして、「国民的議論に供した上で策定すべし」と、こういうお求めが ございました。そういうことでございますので、この特別部会におきましては、まずは国 民の皆様に幅広い選択肢を提示するという、この選択肢の御提示ということを、当面私ど もとしてはしていただきたいことでございます。大変難しい課題が山積みでございまして、 各方面からも注目を浴びているところでございます。例えば一部報道におきまして、本日 の定額制をする検討に入ったと、こんなような報道がなされているわけでありますけれど も、まさに内容の議論はまさしくこれからの議論でございます。本件につきまして、まさ にこれから精力的な御議論をお願いをいたしまして、また思いきった御提案をいただけれ ばと思っております。  さらにここでの御検討、こういった御提案を踏まえて、先ほど申しました様々な検討の 場にまたフィードバックをし、あるいは国民の議論をお伺いすると。こういった手順を1 つ1つ踏みながら、まとめてそういった手順を踏んでいきたいと、このように事務局とし ても思ってございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○事務局(谷内企画官)  それでは議事に移りたいと存じます。まず部会長の選任について、社会保障審議会令第 6条第3項に、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」とさ れております。本特別部会においては、糠谷委員、鴨下委員、2名の社会保障審議会委員 がいらっしゃいますが、あらかじめこの2名の方々に相談いたしましたところ、糠谷委員 に部会長をお願いすることになりました。これにより、互選により選出されたものとさせ ていただきたいと存じます。それではこれからの議事運営につきましては、糠谷部会長に よろしくお願いいたします。 ○糠谷部会長  部会長を仰せつかりました糠谷でございます。委員の皆様の御協力をいただきまして、 円滑な部会運営に努めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し 上げます。それでは議事に入らせていただきたいと思います。まず部会長代理をお願いし たいと思います。社会保障審議会令第6条第5項に、「部会長に事故があるときは、当該部 会に属する委員または臨時委員のうちから、部会長があらかじめ指名する者がその職務を 代理する」とされております。このため、まず部会長代理を指名させていただきたく、鴨 下委員に部会長代理をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○鴨下部会長代理  ただいま御指名をいただきました鴨下でございます。部会長をお助けしてまいりたいと 思いますが、なるべく事故のないように祈っております。 ○糠谷部会長  それでは議事に入りたいと思います。後期高齢者医療制度の概要、これまでの議論、現 行の診療報酬体系等につきまして、事務局から簡単に説明をいただきたいと思います。そ れでは事務局の方、順次よろしくお願いをいたします。 ○神田高齢者医療制度施行準備室長  それではまず最初に、後期高齢者医療制度の概要について御説明をさせていただきます。 お手元の資料の2−1に基づいて、御説明をさせていただきたいと思います。まず1ペー ジ目をおめくりいただきたいと思います。現在の医療保険制度の基本構造というものが出 てございます。左側に市町村の国保、右側にいわゆる被用者保険と言われている保険者が ございます。現在の制度では、原則として75歳までの方々はそれぞれの医療保険に加入を し、75歳以上の方々につきましては、それぞれの国保、被用者保険に加入しながら、それ ぞれの制度に保険料を払いながら、給付は市町村が行うという形になっております。これ が老人保健制度と言われるものでございますが、それぞれの保険者はその給付につきまし て、それぞれの医療保険の加入者数に応じて平均的に75歳以上の方々が加入しているとい うふうに仮定をしまして、拠出金という形で費用を納めているということでございます。  あくまでも市町村は給付は行っておりますけれども、保険者としてはそれぞれの国民健 康保険、被用者保険に高齢者の方々も属して保険料もそちらに払う。ただ、給付を共同し て行うという保険者の共同事業と言われるような形で、現在、老人保険制度が運営をされ ております。  現在(注)に書いてございますように、14年の10月から、対象年齢を70歳から毎年1 年ずつ引き上げていくということでございまして、19年の10月に75歳に引き上がるとい うことで、現時点では74歳以上が対象ということでございます。  それとごらんいただきますと、青いところに退職者医療制度というふうに書いてござい ます。この折れ線をごらんいただきますとわかりますように、サラリーマンの方々は、若 いときには被用者保険に加入しておられて、退職しますと国民健康保険に加入をされると いうことになるわけでありますが、それによって他の国保の加入者の方々に負担が及ぶと いうことから、サラリーマンの期間が20年以上の退職者の方、若干細かく申しますと、被 用者の年金に20年以上加入して、老齢年金給付を受けることができる方については、国民 健康保険の被保険者でありますけれども、その医療費につきまして、被用者保険グループ で市町村国保に拠出金という形で、その方々の医療費を負担するという仕組みになってお ります。現在の仕組みはそのような仕組みになっているということでございます。  1枚おめくりいただきまして、新たな高齢者医療制度の創設ということでございます。 現在の先ほど申しました老人保健制度については、市町村は保険者ということではなくて、 あくまでも市町村国保ですとか被用者保険という、医療保険者の共同事業ということでご ざいますので、基本的には市町村は給付を行うということでありますので、財政責任が必 ずしも明確でないといったことですとか、被用者保険グループなどから拠出をします拠出 金について、負担が不明確であるといった問題点が指摘をされておりました。  そこで新しい制度におきましては、まず75歳以上の後期高齢者の方々につきまして、そ の心身の特性ですとか生活実態を踏まえまして、20年度から新たに独立した医療制度を創 設するということにいたしたわけでございます。あわせまして65歳から74歳までの前期 高齢者の方々につきましては、先ほど申しましたように、被用者保険から退職をして、大 幅に個々に加入をされるということになりますので、75歳以上の方だけを独立させた場合 には、非常に加入が不均衡になるということから、前期高齢者につきましては、保険者間 で医療費の負担について調整をするという仕組みを設けたわけでございます。  それから現行の退職者医療制度につきましては、前期高齢者についての財政調整の仕組 みができますので、原則として廃止をするということにしておりますけれども、暫定的に 平成26年度までの間は、存続をさせるということになっております。26年と申しますの は、昭和22年から24年までに生まれましたベビーブーマーの方々が65歳に達するのが、 ちょうど平成26年度ということでございます。  新しい制度の仕組みですと、65歳以上は不均衡について財政調整がされるわけでござい ますけれども、サラリーマンを退職される年齢というのは、65歳より若い方々もおられま すし、年金を受給されている方々につきましては、65歳未満の方々につきましても、平成 26年度の段階で退職被保険者に該当した方々については、引き続きその方々が65歳に達 するまでの間は、退職者医療制度を存続するということにいたしております。  1枚おめくりいただきますと、新しい後期高齢者医療制度の運営の仕組みというものが 出てございます。新しい後期高齢者医療制度というのは、従来のような医療保険者が共同 して給付を行うという事業ではなくて、実施主体としまして、全市町村が加入する広域連 合というものが、実施主体になっております。これは保険財政の安定ということを中心に 考えますと、財政単位は広域化をする必要がある。しかし、実際に保険料の徴収ですとか、 資格の取得ですとか、喪失の受理といった窓口業務などにつきましては、市町村でないと なかなか行えないといったことから、全市町村が加入をいたします広域連合が実施主体に なる。その両者の要請を踏まえまして、そのような形になったわけでございます。  したがいまして、基本的に市町村が実施をするわけでありますが、全市町村が参加をい たしまして、基本的に均一の保険料を設定するという形になります。したがいまして、財 政責任としてはこの広域連合が負うということで、財政責任の明確化が図られたというこ とでございます。  財源構成については、半分は公費、半分が保険料財源ということになってございます。 公費の負担割合は、これまでの老人保健制度と同様に、国・都道府県・市町村が4:1: 1という負担割合になってございます。  それから高齢者の方々にも保険料を御負担いただくということになっております。従来、 被用者保険の被扶養者の方々については、保険料を御負担しておられなかったわけでござ いますが、この全体にかかった給付の1割というのは、現行制度で高齢者の方々に御負担 いただいているのが、ちょうど給付費の1割程度ということでございますので、現在程度 の御負担をいただくということから、1割の御負担を高齢者の方々にお願いをするという ことになっております。  それから後期高齢者支援金という支援金を、社会連帯の精神に基づきまして、各医療保 険者の方々から拠出をしていただくということになっております。この費用につきまして は、各医療保険に加入している被保険者で、右下の方に四角がございますけれども、0歳 〜74歳までの現役世代の人数に応じて御負担をいただき、支援金を拠出していただくとい うことになっております。  それから下の方をごらんいただきますと、高齢者の方々の保険料を御負担いただくわけ でございますけれども、原則として一定額以上、年額で18万以上の年金がある方は、年金 から天引きをする。それからまたできるだけ口座振替等と書いてございますけれども、普 通徴収の場合には口座振替等で御負担をいただくというような仕組みを考えております。  1枚おめくりをいただきまして、これは参考ということでございますけれども、新しく 全く初めての試みとして、全市町村が参加をする広域連合というものが設立されるわけで ございますけれども、これは都道府県知事が設置の許可をするということになってござい ます。市町村議会の議決を経た協議によって規約を定めまして、申請をして許可をされる ということでございまして、この12月に各市町村議会に規約を諮っていただくよう、現在 準備が進められております。そして今年度中にこの広域連合を立ち上げていただくという ことで、準備を進めております。それから赤い帯が書いてございますが、来年の11月ぐら いには具体的な保険料の条例を設定していただくというようなスケジュールで、今後進め てまいりたいというふうに考えております。  1枚おめくりいただきまして、後期高齢者におけます医療給付について、どのような給 付があるかということでございますが、基本的には現在の老人保健法ですとか、国民健康 保険に支給されるものと基本的には同じということでございます。そこをちょっとごらん いただきますと、療養の給付という現物給付で行われます医療。それから入院したときの 食事の提供。それから療養病床に入院したときに提供されます食事ですとか療養環境。そ れから保険外併用療養費と書いてございますが、これは選定療養という差額ベッドですと か、歯科差額とかいったようなものですとか、保険に導入することについて、評価が必要 な療養などでございます。それから補装具等の療養費。それから訪問看護療養費。特別療 養費と申しますのは、保険料を滞納した場合に資格証明書を発行いたしまして、従来の被 保険証を返していただきまして、償還払いにするという手続がございますが、その場合に 支給されるものが特別療養費ということでございます。それから最後に高額介護合算療養 費というふうに書いてございますけれども、これは医療保険の各制度の世帯に、介護保険 の受給者の方が入っておられるときに、各被保険者からの申請に基づきまして、介護でか かった自己負担と医療でかかった自己負担を合算しまして、年間で一定額を超えた場合に、 医療保険者が一定の額を償還いたしまして、その費用を案分いたしまして、介護保険者に 請求をするというような仕組みが、新しく20年4月から新設される予定ということでござ います。  それから具体的な療養の給付の内容でございますが、これも従来の範囲と同じものでご ざいます。診察、薬剤・治療材料、それから処置・手術等の治療、それから在宅医療と(5) が入院ということでございます。  それから診療報酬の位置づけについて、被保険者が被保険者証を保険医療機関等、等と いうのは保険薬局でございますが、被保険者証を提示して受けますと、現物給付で受けら れるということで、被保険者の方々は一部負担金を払うことによって、給付が受けられる ということになります。保険医療機関は、療養の給付に要する費用の額から、一部負担金 に相当する額を控除した額を、保険者であります後期高齢者医療広域連合に請求をすると いうことになります。この費用に要する額につきましては、厚生労働大臣が中央社会保険 医療協議会の意見を聴いて定める基準によって算定するということになっております。ま た、こういった医療の取り扱いを定めます療養の給付の取扱い及び担当に関する基準。俗 に療養担当規則と言われておりますが、それも中医協の意見を聴いて決められるというこ とになっております。  次のページでございますが、飛ばしまして7ページ目でございますが、今申しましたよ うに、あくまでも実施主体は都道府県単位で、全市町村が加入する広域連合ということに なっておりますが、国・都道府県が財政支援をするということになってございます。例え ばということで申しますと、左のところにございますように、高額な医療費につきまして は、国・都道府県が4分の1ずつ負担をして、リスクをヘッジするというような高額医療 費に係る公費負担というものがございます。  それから真ん中のところに、財政安定化基金と書いてございますが、給付の見込み違い によって、給付が膨らみまして赤字が生じたような場合については、一時的にこの基金か ら貸付けをする。また、通常の努力をしても取れなかったような保険料の徴収リスクにつ きましては、半分は貸付けをし、半分は交付をするといったことなどがございます。また、 低所得者の方々に対する保険料の軽減分につきましては、公費で補填をするというような 仕組みが設けられておりまして、国・都道府県が財政リスクについては支援をするという 仕組みになってございます。  10ページに若干飛ばしていただきますけれども、原則として都道府県単位で均一の保険 料を設定するということでございますけれども、例外が若干ございまして、離島などの特 例におきましては、医療の確保が著しく困難であるということから、不均一の保険料を設 定することができる。原則として無医地区のところにつきまして、安い保険料を設定する ことができるということになっております。  それから経過措置としまして、施行当初におきましては、各地域におけます市町村間で 医療費の格差がまだ大きいという場合が考えられますので、一定割合以上、平均の医療費 から乖離している場合につきましては、これも不均一の保険料を設定することができると いうふうになっておりますが、こちらは6年間の間にだんだん解消をしていくということ で、6年間で原則として均一にしていただくという経過措置でございます。この不均一の 保険料と平均の保険料との差額につきましては、国・都道府県がそれぞれ2分の1を負担 するというような仕組みになっております。  それから11ページでございますが、ちょっと字がたくさん書いてあってあれでございま すが、先ほど、前の財政構造でごらんいただきましたように、後期高齢者の方が全体の給 付費の10%を御負担いただく。それから若年者の方々からの支援金が4割というのが、今 の負担割合でございますけれども、当然、後期高齢者の方々はこれからふえていくわけで ございますし、若年者の方々は減少していくということになった場合に、そのまま固定を しておきますと、若い方々の負担が非常に重くなるということになりますので、(3)にご ざいますように、若年人口が減少した分につきましては、後期高齢者と若人とで半分ずつ 負担をするということで、2年に一度ずつその割合に応じまして、後期高齢者の負担割合 を変えていくということになっております。  従いまして、若年者の方々から出します後期高齢者支援金の負担率というのは、それに 応じて下がっていくということになっております。左下に見通しが出ておりますけれども、 制度発足当初は10%程度ですけれども、7年後には10.8%ということで、若人の人口減少 率半分の分だけ負担割合が伸びるというような仕組みになってございます。仕組みにつき ましては以上でございます。 ○原医療課長  それでは引き続きまして、資料の2−2をごらんいただきたいと思います。ただいま説 明のありました後期高齢者医療制度は、先の通常国会で成立をしたわけでありますけれど も、これが決められるまでの間、いろいろと御議論がございました。それについてまとめ て御紹介をしておきます。  まず1ページ目の(1)でございますが、これは法案審議の中で、参議院の厚生労働委員会 で附帯決議がなされまして、その中でこの診療報酬体系について、必要かつ適切な医療の 確保を前提とし、その上でその心身の特性等にふさわしい診療報酬とするため、基本的な 考え方を平成18年度中をめどに取りまとめ、国民的な議論に供した上で策定することとい うことで、とりあえず平成18年の今年度中に基本的な考え方を、まずこの部会等でとりま とめていただくことになろうと思っております。  その下の(2)でございますが、これは法案が出される前に政府与党の医療改革協議会の中 で、昨年の12月に改革大綱が出されております。その中でこの後期高齢者医療制度につい ては、心身の特性等にふさわしい医療が提供できるよう、新たな診療報酬体系を構築する。 その中で終末期医療の在り方についての合意形成を得て、患者の尊厳を大切にした医療が 提供されるよう適切に評価する。また、地域の主治医に対する、在宅の患者に対する日常 的な医学管理から看取りまでの、常時一貫した対応を評価するというふうになっておりま す。このあたりの評価するというのは、診療報酬で言うと、その分しっかりと報酬を高く 評価しなさいと、こういうような意味だと思っております。  それからその下の(参考)でございますが、これは政府与党の協議会の前に、本省とし てとりまとめたものでございます。特性として、この中ではターミナルケアの在り方につ いてとか、あるいは日常的な医学管理から看取りまでの体制。それから様々な職種間の連 携ですね。このあたり。それからホスピスケアについても触れられております。このあた りが特に重点的に配慮すべき事項というふうに考えていたわけでございます。  次のページでございますが、これは官邸でつくられました「社会保障の在り方に関する 懇談会」の中で関連するところでございますが、介護保険制度の部分でございます。この 中で下線部でございますが、医療と介護の連携を含め、中重度者への重点的な対応を図る ことが必要である。この場合、地域における高齢者の生活を支援する観点から、福祉施策 と住宅施策の連携の強化を図ることが必要である。また、施設サービスについては、療養 病床の見直しも踏まえ、入所者に対する医療提供の在り方を含め、基本的な在り方につい て見直しを検討すべきであるとされているところであります。  その下の(4)でございますが、これは社会保障審議会介護保険部会の介護保険制度の見直 しについての議論の中でのものでございます。まずその中の基本的な考え方の中では、在 宅ケアや施設ケアという言葉がよく使われますが、ここでは地域ケアということを超える 概念として位置づけたいと、こういうことが言われております。例えば在宅ケアでは家に おられるわけですけれども、その中でサービスが365日・24時間提供されるような体制が 必要だし、逆に施設ケアの中では、在宅に近い環境が必要である。すなわち両方ともが両 方の要素が近づいていくようなことが必要なのではないかということが言われております。  さらに具体的には次のページでございますけれども、1つ目の○ですが、介護施設や痴 呆性高齢者グループホームなどにおける入所者の重度化への対応ということから、重度化 しますと、当然医療が必要になりますので、医療保険制度と介護保険制度の分担の在り方 についての検討が必要であると。さらに実態として、特別養護老人ホーム等、介護保険系 の施設の中で、終末期を迎えるケースができてきていることから、そのターミナルケアの 在り方について大きな課題である。さらにそのターミナルだけではなく、日常的な健康管 理あるいは緊急時への対応。このようなところを施設や居住系サービス利用者が、外部の 医療のリソースを使う場合を想定して、医療保険と介護保険の中で、その調整を検討して いく必要があると言われております。  (5)でございますけれども、これは高齢者介護研究会でございますが、この中で2015年の 高齢者介護のモデルといいますか、その考え方でございます。ここでは特に住宅のことに ついて言われております。住宅といいますか、どこで暮らすかということでございます。 現行制度では、痴呆性高齢者グループホームと特定施設が該当する。これは自宅や施設以 外の住まいという意味でこういうものがあると。これらのサービスが施設そのものは住居 部分であると。だから住居費や食費は入居者が負担して、そこに入ってくる介護保険のい ろいろなサービスについては、介護保険の制度の中でカバーしている。こういう特定施設 と言われるようなこういう対象を、このような限定された形だけではなくして、もっと広 く考えていく必要があるのではないかというふうな指摘が、ここでもされているところで す。以上、これらのことがいろいろと後期高齢者の医療にかかわる部分として、これまで も議論がされてきたわけでございます。  資料3−1を続けて説明させていただきます。ここでは医療保険におけます現行の診療 報酬体系。どのような仕組みで診療に伴ってお金のやり取りがされるかということでござ います。1ページ目をごらんいただきたいと思います。これはもう先生方は御承知と思い ますが、まず1番目に、被保険者というのが上の四角にございますが、被保険者が保険者 にまずは保険料を支払っていただく。保険料を支払うことによって、その医療機関で診察 あるいは検査、投薬等が受けられるようになるわけであります。医療機関でそのような診 療を受けた場合に、その場では一部負担金を支払って診察・治療等を受けます。それに対 して医療機関は、その一部負担金以外の部分について、診療報酬を審査支払機関のところ に請求をする。この機関ではその診療報酬の中身の請求が適正であるかどうかと審査をい たしまして、審査済みの請求書を保険料を集めております保険者に請求をして、そこから 保険金額が支払われて、それが医療機関の方に最終的に、一部負担金を除いた額が支払わ れると、こういうような仕組みになっております。  そこの診察や投薬等々の診療をいくらにするか、あるいはどのようなことをやっていい かと。こういうものを決めるものが報酬体系というものでございます。ここでは品目表と しての性格として、保険診療の範囲、内容を定めるということで、現在、例えば特殊な医 療については、これは保険診療には含めておりません。それから今現在は、例えば心臓移 植も保険の適用になっておりますけれども、昔は適用外であったわけで、保険の中には書 いていなかったわけです。そのように保険診療の範囲を決める部分と、それから個々の診 療行為をどれぐらいの価格にするかと。その価格表の性格と2つを持ったものが、報酬体 系の中では定められます。  したがって、この診療報酬を決めますと、医療機関にとってはその価格によって収入が 決まってきますので、医療機関の経営に大きく影響しますし、また、医療費の配分をどう するか。すなわち病院と診療所、そういう診療形態に分けた形とか、あるいは内科と外科 とか産婦人科とか、そういう診療科にどう分配するか。そういうものもこの診療行為の価 格でもって定められることになります。  さらに医療サービスの提供促進ということで、診療行為の価格を少し高めに設定します と、医療機関側はできるだけその行為をしようとしますので、医療提供体制の在り方につ いても影響を与えると。このようなものが診療報酬体系の役割あるいは機能としてござい ます。  下の細かいところですが、医科の診療報酬区分が約1,700区分、歯科が診療区分で300、 調剤が約10区分とこうなっています。そのほか実はこの区分の中にもいろいろと様々な条 件がありまして、診療報酬は非常にややこしくなっているのは事実でございます。また使 っていい薬につきましては、今現在、約14,000品目程度が定められております。  次のページでございますが、その中で診療報酬にはいろいろな価格の決め方がございま す。ここでは大きく「包括払い」というのと「出来高払い」というふうに区分しておりま すけれども、例えば右側の外来医療の部分でありますと、多くは診察に来られたら、診察 のための価格とか検査のお金とかそれから薬のお金とか、別々にそれに応じて出来高払い と言っておりますが、その量に応じて支払っていく方式がございます。  ただ、その中にも、例えば外来診療料と言いまして、病院では一定の細かい検査とか一 定の処置とかにつきましては、もう診療料という中で、どれをやっても同じ価格という形 でまとめてしまっている。この部分を包括払いと言っているのですが、その部分について はある検査をしてもしなくても、同じということですね。そういう包括払いも部分的には 外来で扱われております。  入院医療の急性期や慢性期でございますけれども、ここでもかなりいろいろと包括払い の方式が出てきております。また後ほど、どういう項目が入っているかは御説明させてい ただきます。またDPCについても、後ほど説明をさせていただきます。  次のページをごらんいただきたいと思います。これは外来診療の出来高払いで、どうい うふうに価格が決まっていくかということであります。ここでは例として、背中が痛いと 思って診療所を受診しました。その結果、尿の検査や血液の検査をされて、あと多分レン トゲンで背骨のレントゲン撮影をして、そして湿布薬の処方が多分出されたのだと思いま す。このような場合、例えば初めて診療所に行きましたので、初診料というのが270点、 それから様々な検査。これは中身はいろいろあるわけですが、まとめますと577点分検査 をしました。画像診断も合わせて158点分。それからここでは薬を出していませんで、処 方せんを出していますので、処方せん代として70点。合計1,075点という点数で評価され まして、これ1点10円で、価格に直しますと10,750円。このうちの通常3割が自己負担、 一部負担としてその場で払って、残りの7割が保険者へ請求されるとなっております。  次のページでございますが、入院診療の場合で出来高払いの病院。ここでは胃がんを手 術しますということで、30日間入院しましたと。開腹。お腹を開いて胃を全部取り出しま したと。入院期間が合計30日だったと。この場合にどれぐらいになるかということですが、 入院基本料。看護師さんやいろいろベッドをつくるために費用が要りますので、入院基本 料が1日いくらという形でついておりまして、30日間分としてここでは38,000点余り。 それから入院中にします様々な検査が8,000点。画像診断が3,500点余り。投薬・注射・ 薬剤51,000点。やや高いですけれども、ちょっと高価な抗がん剤等も使っているかもわか りません。それから直接の手術や麻酔の価格としては50,000点余りというのが大体計上さ れて、合計152,000点とこの方の場合はなっております。したがいまして医療そのものと しては、152万円程度なのですが、さらに入院の場合は、食事が当然ながらついてまいり ますので、この場合、入院時の食事療養費として、先ほどの療養の給付と別途に54,400 円が徴収されます。このうち一部負担金は24,000円程度ということになろうかと思います。 トータルは157万円となると。  それから入院診療で包括払いという場合ですが、これはいろいろな仕組みがあるのです が、ここでは急性薬物中毒で、救命救急センターに運ばれて、3日目に退院になったとい う場合でございます。ここでは救命救急入院料として、36,000点とございます。これは入 った日それからの2日間と、3日間の合計でございますが、ここでは左の欄を見ていただ きますと、入院基本料や検査や注射。これらはすべて1日何点という中で全部含まれてき まして、必要な検査を必要なだけ行っていただくと。それが一定の金額が決められており ます。それに含まれない薬剤や処置の点数については、別途少し出ておりますが、合わせ て36,000点程度となっているわけでございます。このように薬物のためのいろいろな検査 などは、すべてこの中に含まれていると。検査をする・しないにかかわらず、全部同じ点 数で評価がされています。これを包括払いと言っております。  次のページをごらんいただきたいと思います。先ほどのは本当に救急で入ってきた場合 ですが、今度は慢性の場合。療養病床というベッドの区分があるわけですけれども、病院 の療養病棟の入院基本料に該当するところに、例えばここでは肺炎で1カ月入院しました と。その場合、ここではもうほとんど何も全部療養病棟の入院基本料の中で賄っておりま すので、検査や投薬注射処置。一部全然含まれないものもあるのですが、この場合はすべ て含まれる範囲内でやったということで、1日当たり、これはちょうど31度あれば入院基 本料になるのですが、1日千何点と言って、金額を31倍して37,820点と出ます。これに よって食事と合わせますと、このような金額となっているということです。ですからこう いうところでは、1日当たりいくらにするのかというのが、非常に大きな影響が出てまい ります。  それから今言いましたように、どのように足していくのかという体系でございますが、 現在は医科は主として医師が行います診療に関すること。それから歯科の点数表。これは 歯科医師が行うもの。それから調剤報酬点数表。これは保険調剤薬局で行われる分につい ての点数であります。そのほかに診断群分類点数表でございます。これは後ほどまた御説 明をいたします。  次のページをごらんいただきたいと思います。ここから少し細かくなりますので、はし ょっていきますが、ここは医科の診療報酬点数表で、例えば初診料というのは270点と決 まっております。それから初めてのときはそうですが、これは当然カルテをつくらなくて はいけない、診察カードをつくらなくてはいけない。様々な費用がこの中で考えられてい るわけであります。そのほかにこういう初・再診料の中では、例えば血圧を測りますとい う行為をしても、血圧1回測って10点とか、そういう点数はついていないわけですね。あ る程度の分の簡単なそういう検査や処置は、もうこの初・再診料でやってくださいという ことになっております。そのほか、入院に関する基本料でありますとか、そのほかに加算 がついたり、あるいは先ほどの救命救急入院料のように、もう検査等は一定に包括されて いる特定入院料という制度もございます。これが基本診療料のベースになる診療の部分と して、こういうものがございます。  次のページをごらんいただきたいと思います。特掲診療料と言われているもので、これ はどちらかと言うと、先ほどの基本診療料というのは、1日いくらという形で、あるいは 1回いくらという形で全部丸まっていますが、個々の行為について点数を設定していかな いと、不公平が生じるだろうということで特掲診療料。これは実はほとんどは点数表の多 くの部分がこれに該当します。  これには医学管理のための点数。これは様々な項目がある中のごく一部を出したもので あります。それから在宅医療にかかわるもの。それから検査にかかわるもの。それから画 像診断にかかわるもの。それから投薬にかかわるもの。次のページにまいりまして、注射、 リハビリテーション、精神科の専門療法、処置、手術、麻酔、放射線治療。このような分 類に基づいて、それぞれの中で細かく診療行為について何点という形で点数が決められて おりますので、点数表という形で告示がなされているわけでございます。  次の11ページでございますが、歯科の分類でございます。歯科の分類は医科に比べて、 少し簡素化されておりますが、それでもそれぞれの初・再診料、医学管理等々の分が、こ こも一部だけ出しておりますが、この点数もいろいろな点数が決められていると。  それから調剤報酬点数表でございますが、これは先ほども言いました保険調剤薬局で、 処方せんを持ってこられた方々に、どういう価格でお金をいただくかというための点数で ございます。  13ページ。診断群分類点数表とございます。これは主として急性期の方々を診療される 病院について、事細かにいろいろなものを積み上げて請求するのは大変だということもあ りまして、一定程度まとめていくらという形でできるものはやりましょうという形で、今 現在、360病院だけが対象ではございますけれども、主な傷病、診療行為、重症度で分類 された2,300分類のうち1,438について、例えばその2つ目の丸にあります入院基本料や 検査、画像診断、投薬、注射、処置については、1日何点というのが決められておりまし て、その中でいろいろな検査をしたり、いろいろなレントゲンを撮ったり、いろいろな点 滴をしたりとか、そういうものを全部同じ点数の中でやっていただくと。そのかわり手術 や麻酔あるいは放射線治療は、特別にする人、しない人では大幅に違いますので、これは 別に取っていただく。そのような方でいわゆる包括化という形で、急性期の入院について も、部分的にこういうようなことが始まっております。  次のページでございますが、ちょっと細かい字で恐縮でございます。ここは各国の診療 報酬診制度ということで、ここも実は各国それぞれ年ごとにどんどん変わっていきますの で、概括だけここで見ていただきたいと思いますが、ここでは診療所と病院、主として入 院と外来みたいな、診療所とクリニックと分けて考えていただきますと、アメリカのメデ ィケアという、これは高齢者に対する制度ですけれども、ここは一応点数表に基づいて支 払う出来高払い制度がございます。  イギリスはドラスティックなのですが、自分の医師として患者さんが誰々先生を自分の 登録医にして、そこに登録しておきますと、その登録を受けた先生の方は、何人登録した かによって、一定金額がもらえるということになるわけであります。あとプラス、診療手 当というのが若干つきますけれども、基本的にはもう担当医制度みたいな形で金額が決ま る。  ドイツは保険診療をするそういう医者のグループの保険協会と契約で、一括いくらとい う形でもう契約を済ませて、あとの分配は医師会でそれぞれ出来高的に分配すると。  フランスはどちらかと言いますと、出来高払い制ですが、ここも一応全体の予算枠とい うものが全国の疾病金庫というところと医師組合との中で協約をして、全体を決めていく。 枠を超えると来年ちょっと減りますよと。こういうような制度のようでございます。  日本は出来高払いでございます。  それから病院の入院で考えていただきますと、アメリカはDRG−PPSと書いてあり ますが、これは日本でやっております先ほどのDPCと違いますのは、1つの病気あるい はその組み合わせがあるのですが、それについてはその病気が入院期間が何とか言わずに、 すべて「1疾病についていくら」という決め方をする。日本は入院期間1日当たりいくら ですから、入院期間を見ますと、少しは減っていきますけれども、日数に応じてやると。 そこが大きな違いです。  イギリスの場合はNational Health Serviceの病院トラスト。ここは契約でやっている ということになっております。  ドイツはここも1件当たりの包括払い制度と、それから1日当たり定額と、これは病気 によって違うということでございます。  フランスは公的病院の予算制で決まっていて、その予算の中で患者を診なさいというこ とになっているようですし、私的病院の方は契約で、大体日本で言うところの1人1日当 たりの定額で、日本の場合は病気によって違いますが、そういうホスピタルフィーとドク ターフィーと分けて払うということになっております。日本の分は省略させていただきま す。  最後の15ページは参考に医療費の財源構成ということで、老人医療費についておおよそ 半分程度が公費から出ているという形で、金額的に給付されるのが9.8兆円程度というこ とでございます。以上が現行の診療報酬体系でございました。続いて介護報酬についてお 願いします。 ○鈴木老人保健課長  老健局老人保健課長でございます。お手元の資料3−2を御説明させていただきます。 主に医療、保険との連携や役割分担を中心に、簡潔に御説明を差し上げます。まず1ペー ジの介護報酬の仕組みについてですが、特に報酬体系の図をごらんいただきたいのですが、 一番最初にまず第一歩として起こりますのは、右の方の要介護・要支援認定の申請という のが利用者の方からございます。これがございますと、82項目について調査をさせていた だいて、コンピューターで第一次判定というのがなされます。それと主治医の意見書等を 用いまして、二次判定を認定していただいた上で、保険者たる市町村が認定をするという ことになります。  ちょっと飛びますが、3ページ目の左下をごらんいただきますと、ここに要介護度別の 支給限度額と書いてございますが、この要支援1・2、要介護の1〜5までが、それぞれ の介護の手間のかかりぐあいというふうに御理解いただければいいと思うのですが、それ ぞれに月当たりの支給限度額が決まっております。  恐縮ですがまた1ページにちょっとお戻りいただきますと、月当たりの支給限度額が決 まりますと、被保険者の方が介護支援専門員、ケアマネジャーと言われていますけれども、 その方の支援を受けまして、御自分の状況、それから地域における様々な資源の状況等を 勘案しまして、どういうサービスを受けられるかというのを決定をされます。その場合は 低所得者等もございますが、原則として1割を負担をいただくということになっておりま す。  次に2ページ目をごらんいただければと思いますが、2ページ目は介護保険でどのよう なサービスがあるのかということですが、大きく分けて3つございますが、今年の3月ま では一番上と2番目だけでして、一番下は4月以降新しく導入されたサービスということ になります。一番上は居宅サービスということで、いくつかのタイプがございますけれど も、訪問系サービスというのは、サービスの事業者が御自宅なりに赴いて、様々な訪問介 護でありますとか、入浴介護でありますとか、リハビリテーション看護サービスを行うも のです。通所系サービスというのは逆に利用者の方に来ていただいて、実際に通所の介護、 通所のリハビリテーションといったサービスをするもの。短期入所サービスは、昔で言う ショートステイ、レスパイトケアというやつですが、短期に入所していただくもので、福 祉系のものと医療系のものがございます。その他、福祉用具の貸与ということで、ベッド なり車いすの貸与というのが居宅系のサービスでございます。  2番目が施設サービスということで、これは3つ施設の類型がございまして、介護老人 福祉施設、昔で言う特別養護老人ホームです。介護老人保健施設。そして最後は介護療養 型の医療施設というこの3つでございます。今年の4月に新しく導入されましたのが、地 域密着型サービスということで、これは市町村に指定をいただいて、特に小規模で多機能 なサービス等を、この中で見ることができるようにしようということでございます。  次に3ページ目をごらんいただければと思いますが、実際に介護報酬の考え方を少しわ かりやすく書いてみたものですけれども、真ん中の上の方が要介護者の支給限度額。下の 方が要支援者の支給限度額ということで、これは特に大きな違いがあるわけではないので すが、1つありますのが、実際に限度額が矢印で結んでございますけれども、限度額があ りまして、その限度額を超えた部分の訪問介護の、例えば上でありますと5回目というの は、全額自己負担でそれを利用いただくことは可能であるということが、少し医療との違 いかなということでございます。  次の4ページ目。少し介護と医療の給付関係を整理をしてみたものですが、介護保険は 先ほど御説明しましたように手挙げ方式で、申請をしていただいた方について介護のサー ビスを提供するということで、その中には医療系のサービスも含まれておりますけれども、 急性疾患に関する医療保険下のサービスを除けば、基本的には給付調整をきちっと行って、 介護保険の給付を優先するということになっています。  真ん中のところの表をちょっとごらんいただきますと、介護報酬については、例えば報 酬の単価の設定の方式ですと、介護ですと単位時間、人員配置等に基づいて決めています。 これは後でちょっと図式的にお示ししようと思います。地域差についても、1単位いくら というものについて、基本的には10円前後ですが、大都市であれば高いということになっ ております。それからサービスの上限についても、先ほど申し上げたように、要介護度等 に応じまして支給限度額がございますということであります。  次の5ページ目。特に医療と介護をどうつないでいるのかというところを、少しリハビ リテーションを例にお示ししたものですが、発症していただいて急性期のリハ、それから 回復期のリハ。このところは基本的には医療保険で見ていただくと。そして維持期のリハ になりますと、基本的には介護保険ですけれども、急性増悪の場合とか、一部の疾患の場 合には、医療保険でカバーをしていただくということもございますということで、この2 つが大きな役割分担ということになっております。  次に6ページ目。少し細かくなりますので、飛ばしながら御説明しようと思いますが、 今回18年4月に医療保険と同時に介護保険についても報酬改定がございましたので、その 主な視点を御紹介をいたしますと、先ほど様々な審議会等の御意見にもありましたような、 中重度への支援の強化。それから今般、制度改正で1つの大きな柱でありました介護予防、 リハビリテーションの推進。そして3番目は地域包括ケア、認知症ケアの確立ということ がございますし、4番目のサービスの質の向上については、様々な情報を公開することに よって、第三者的にも外から中身の評価をしていただこうということであります。  次の7ページ目をごらんいただきますと、先ほど累次御指摘ありましたような、医療と 介護の機能分担についても、今般の改定で力を入れたということでございまして、具体的 には下の点線のところに書いてありますけれども、例えば医療機関から、病院から退院時 のような場合に、ケアマネジメントをする場合に、評価をさせていただく。もしくは介護 の方のリハビリテーションについては、医療機関からつないだ場合に、短期集中的にやる 場合に、少し加算的に評価をすると、そういうことがございまして、医療と介護の機能分 担連携を強化をしたということでございます。  あと8ページ以降は参考でございますけれども、これはどういうふうに介護報酬を設定 しているかというのを、参考1の8ページのところは、訪問系のサービスについて、人の 費用ですとか消耗品の費用、減価償却費用に様々な加算等を加えて、評価をしているとい うことでございます。これは訪問系のサービスなのですが、逆に9ページの通所系サービ スの場合ですと、要介護度によって介護職員の配置の度合、人件費見合いのところが異な ってまいりますので、それ以外のところは相談員の人件費、消耗品、事務管理費、それか ら施設の償却費用等々、それから加算が同じようにございます。  最後に施設系のサービスですけれども、これもやはり要介護度に応じて、介護職員、看 護職員の人件費等が異なってまいります。共通のところとしては生活相談員等の人件費、 消耗品、備品等。加算がやはり同じようにございますということです。  次、11ページ以降。簡単に実際の算定例というようなものを、いくつかお示しをいたし ました。例の1では要支援1の方で、慢性的に医療ニーズがある場合ということで、1単 位10円として示してございますが、訪問看護、リハビリテーション、ショートステイ、福 祉用具というものを御利用された場合ということでございます。これが要支援1というこ とでかなり軽い方です。  次の12ページは要介護5という一番介護度の高い方で、一番下に図が模式的に書いてあ りますが、午前と午後でこのようなサービスを受けられた場合、どのぐらいの介護報酬の 支払いになるかということでございます。合計費用が1単位10円として換算しますと、 353,790円ということになります。  13ページは、今までは居宅系のサービスでしたが、今度は施設系のサービスを受ける要 介護5の方の場合です。これは実は報酬も多床室かユニットケアかで若干違いますが、一 応多床室でそろえましたが、1日当たりの単位数が決まっておりますので、それに掛けま すと、いわゆる特別養護老人ホームでは279,984円。老人保健施設で300,960円。介護療 養型の医療施設だと401,890円ということになります。これは要介護度5の場合です。  最後に14ページです。これは参考のためにお示しをしましたが、これは給付費の割合で、 給付費の中では保険負担が5割、それから公費負担が5割。若干居宅の場合と施設の場合 は違いますけれども、このほかに先ほど申し上げたような、低所得者の方を除けば10%の 自己負担があるということであります。以上です。 ○原医療課長  もう少しでございますので、あと手短に説明をさせていただきたいと思います。資料4 をごらんいただきたいと思います。後期高齢者医療、特に75歳以上に着目をいたしまして、 いろいろとデータをまとめてみました。1ページ目をごらんいただきたいと思います。こ れは人口構成でございますが、平成18年現在で75歳以上人口が1,192万人ということで、 約9%でございます。下の方のグラフはこれからの推計でございますけれども、大体2050 年あたりに75歳以上が3,586万人、35%強という割合になるということが予測されており ます。  次のページをごらんいただきたいと思います。これは世界主要な米英独仏と日本を比べ た高齢者比率ではありますけれども、この中で既に65歳以上の割合が、日本が19%を超 えている。それから75歳以上に限りましても8%を超えておりまして、これは先ほどより も少し古いデータですが、この諸外国に比べて、もう既に高齢化率が一番高いと。  次のページでございますが、医療費全体はどうかということでございますが、国民医療 費全体は毎年伸びておりまして、しかも国民所得を上回る伸びが続いているという現状で ございます。その下のグラフでありますが、その医療費の中で、では75歳以上にかかわる 医療費はどうかと。先ほど人口が約9%と申しましたが、当然ながら医療費は75歳以上の 方で28%を占めている。さらに65歳以上を超えますと、50%以上が65歳以上で占めてい るという形になっております。  次のページでございますが、これはよくごらんになられるかもわかりませんが、左側の 棒グラフは国民1人当たり医療費ということで、各年齢階級の人口でその使った医療費を 割りました。したがって患者さんにかかる医療費ということではなくて、人口当たりの医 療費で、当然ながら高齢者になりますと病気を持つ割合がふえますので、1人当たりの医 療費は高くなってきております。  その中身でございますが、入院と入院外を見ていただきますと、全体では入院外の方が やや多いようですけれども、そのうち入院と入院外の割合を見ますと、高齢者75歳以上の 場合は、やはり全体としては入院の方が多く見えてくると。これは約1カ月の審査分でご ざいます。  次のページをごらんいただきたいと思います。これは入院外の外来の受療率ということ で、患者調査から見ております。そうしますと75歳以上の方々は全体に比べて何が特徴 かと言うと、外来では循環器系の疾患、さらにそれに近い率で筋骨格系及び結合組織の疾 患という分類が多くなっております。中でも循環器では、高血圧性疾患で外来を受けてい る。それから筋骨格系でいきますと、脊柱障害ですから腰痛等がここに入るのではないか ということでございます。  次のページは入院でございます。入院を見てみますと、やはり循環器系の疾患が断然多 くなってきております。ここでは右をごらんいただきますと、脳血管疾患というのが非常 に高いというのがわかります。これは発生率とともども、あと脳血管疾患になった後、入 院期間が長引くということもございますので、そういう意味で受療率としては当然ながら 高くなって出てきております。  それから次のページをごらんいただきたいと思います。歯科について少し見ていきます と、歯科は75歳以上になりますと、それ以前よりも少し歯科医療費は減ってまいります。 ただ、内容的に言いますと、これは少し前のデータで老人医療から取っておりますが、や はり歯冠修復あるいは欠損部分の補綴ということで、その部分が多いわけでありますが、 特に有床義歯等、総入れ歯のようなものが非常に多くなってきているというのが特徴でご ざいます。  それから薬剤については次のページで、高齢者1人当たりの薬局調剤費ということで、 これもやはり当然ながら患者数もふえてまいりますので、75歳以上が当然高くなってまい ります。次の右側の帯グラフでございますが、これは薬剤の種類がどうかということを見 ていきますと、種類が多くなるほど高齢者の割合がふえてくる。高齢者はどちらかと言う と、薬剤の種類数が多く、いろいろな病気を持っているということがおわかりになると思 います。  次の9ページでございますが、これは入院医療について、どこにどういうような入院医 療を受けているかということで見ますと、75歳未満は圧倒的に一般病床が多くて、療養病 床との開きが非常に大きいのに対しまして、このえんじ色の75歳以上は、一般病床が一応 一番多いわけですが、それに近い割合で療養病床に入っておられるということで、入院の 5割とは言いませんが、4割近くが療養病床であるというのが、非常に大きな特徴になっ ております。  次のページですが、ここは国際比較ということで、一応一番上に日本の数字。あと先ほ ど出ましたドイツ、フランス、イギリス、アメリカの表を出しております。ここで見てい ただきたいのは、平均在院日数と人口千人当たり病床数でございます。日本だけが図抜け て長い。あるいは千人当たりの病床数が多いという結果になっております。ただ、あとス タッフはどうかということで、1つ飛びまして人口千人当たりの医師数を見ますと、日本 は2.0ということで、下のドイツ、フランス、イギリス、アメリカに比べると若干低いで すけれども、むちゃくちゃ低くはない。それに対しまして、あと一番右端の千人当たりの 看護職員数ですが、これも他の諸国に比べて人口当たりはそれほど少なくはないと。まあ まあ真ん中程度と。それを病床当たりで割りますと、病床がもともと多いわけですので、 非常に少なくなってきて、サービスの密度が薄くなっているというのが現況でございます。  次のページでございます。終末期に関するデータを少しだけ御紹介いたします。ここは どこで亡くなられたかという死亡場所でございます。外国としてはスウェーデン、オラン ダとフランスを比べております。日本は御承知のとおり、病院というのが81%でございま す。それから自宅が13.9%。極端に病院で亡くなられる率が高くなっております。スウェ ーデン、オランダ、フランスを見ていきますと、自宅というのはむちゃくちゃ多いわけで はなくて、大体20%程度。あるいはそれより少し多いぐらいが自宅であって、そのほか施 設系のところが非常に多い。フランスは若干医療系が多いですけれども、そういうような 施設系の部分で亡くなられる方が多いわけですが、日本ではその部分が極端に少なくて、 その部分の機能を病院が担っているというような形になっております。  次のページをごらんいただきたいと思います。これは年次推移でございますが、ちょう ど昭和50年ごろに、亡くなる場所が医療機関と自宅でちょうど交差する次期で、昭和50 年以降は医療機関で亡くなられる方が非常に多くなってくるという状況でございます。  次のページでございますが、これは平成16年の報告書からもらいましたが、平成15年 に調査がされております。上の表は、「自分自身が高齢となって、脳血管障害などによって 日常生活が困難となって、治る見込みがないと診断されたら、どこで最期まで療養したい ですか」という質問であります。上は一般の方々に聞いております。そうしますと、病院 と答えた方が4割程度。老人ホームと答えられた方が約4分の1程度になっております。  それに対しまして、同時期に医師や看護師や看護福祉士に聞いておりますと、ちょっと 色分けが若干誤解を生じやすいのですが、一応急性期の病院というのはほとんどないと。 それから介護療養型医療施設、いわゆる長期療養の病院ということで、赤の横線ですが、 23%、27%、18%。合わせてこれが病院ということですが、圧倒的に専門職の方々は自宅 で最期を迎えたい最期を迎えたいというような傾向が出ております。  次のページでありますが、次のページは御本人ではなくして、「家族の場合どうしますか」 という質問であります。そうしますと、全般的に先ほどのものよりも、一般の患者さんで 言うと、自宅で見て上げたいというのが少し多くなっております。そのかわり専門職は逆 に言うと、自宅よりも、どちらかと言うと療養型の病院で診てもらいたいというところが ふえてきていると。このようなところが意識調査として出ております。  資料5の最後の1枚を御説明をさせていただきます。今考えておりますこの特別部会で のスケジュールでございますが、本日第1回目を開催させていただきましたが、そのほか これから今後、今のところスケジュール的に3回程度予定をしておりますが、外来医療、 あるいは入院医療、あるいは最後の終末期医療等々、このようなある程度の項目を中心に、 委員の方々以外の方々からヒアリングをしつつ、また委員の方々で貴論を深めていってい ただくという形で、年内を進めていきたいなと思っております。年明けからはその中でい ろいろと御議論をいただいた御意見などをまとめまして、最終的には3月の末までに、こ の部会としての基本的考え方をとりまとめていただきたいと、そのように考えております。 説明が長くなりましたが以上でございます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは大変広範な内容の御説明をいただいたわけですけれ ども、委員の皆様方から御自由に御意見、御質問等を出していただければと思います。ど なたからでも結構ですから、御自由にどうぞ。 ○高久委員  資料2−2の真ん中の方に、「終末期医療の在り方についての合意形成を得て」という言 葉がありますけれども、合意というのはどういう人たちの合意なのか、この言葉がよくわ からないものですから、少し説明していただけますか。 ○原医療課長  ここは合意形成として、国民全部が同じ死に方をするとかそんな意味では当然ないわけ でして、終末期医療についてどのような形態があるのかと。例えば今はほとんどが医療機 関で亡くなられるという方が多いわけですけれども、それは逆に振り返ってみますと、例 えば施設に入っている方々でも、最期になったら何とか医療ケアの中で医療ケアをしてほ しいと、あるいは施設側もさせてあげたいと言いますか、そういうような形で、実は施設 から病院に移って亡くなられる方がかなりたくさんおられます。そういう意味で、医師に 看取られるということが、最期の瞬間が看取られるということが、絶対条件なのかと。  例えば先ほど言いましたように、昭和50年までというのは、自宅で亡くなられる方がほ とんどだった場合に、もちろん御臨終に医師が立ち会う場合もあるでしょうけれども、家 族としては静かに亡くなられるときに、あるいは朝起きたら亡くなられていたというよう な形を受け入れることは、多分そのときはできたのだろうと思いますが、そういう意味で は、今現在、かなり「やはり亡くなるときは、医師なり看護師なり、専門職の方がそばに ついていなきゃいけない」というような意識になっているのかもわかりません。だからそ ういう意味で、そういう意識をどう考えるのかと。だからそのあたりを国民的に、そうで なくてもいいと考えるのかというようなところが、多分そういう合意形成。合意という形 になるのかわかりません。在り方の部分ではないかというふうに思っております。 ○高久委員  では国民、一般的な人の一般的な合意であって、関係者の合意という意味ではないので すね。 ○原医療課長  もちろん先生がおっしゃっておられるように、例えば医療関係者ということも当然ある とは思いますけれども、一番大きなのは、具体的な個々の例について言うと、医師であり 看護師であり家族であり、そういうことには当然なります。 ○糠谷部会長  あと御自由にどうぞ。御質問、御意見、お願いいたします。どうぞ。 ○村松委員  後期高齢者医療についてという資料4の13ページ。この問いの中で、「治る見込みのな い疾病に冒されたと診断された場合」というのがございます。資料4の13ページです。問 いの中に「治る見込みのない疾病に冒されたと診断された場合」。そして14ページ。ここ では「治る見込みのない状態になった場合」。これが結果として、かなり異なってくるとい うふうに私は思うのですが、ここで意図して問われたことというのは何かあるのでしょう か。 ○医療課長  既存の資料から取りましたので、そのあたりは私どもには、現在ちょっとわかりません。 ○村松委員  はい、ありがとうございます。 ○糠谷部会長  いかがでございますか。どなたでも結構でございますが。 ○遠藤委員  私も質問でありますけれども、後期高齢者医療について資料4でありますが、この中で 後期高齢者の医療あるいはそれに関連するものの特徴としてターミナルケアの話と、あと 循環器疾患によるこの受療率が高いという内容と、多剤投与というのでしょうか、たくさ んの薬が使われているということが、具体的なケースとして上がっているわけですけれど も、これがいろいろと事務局が考えた中で、後期高齢者のある種、受療行動の特徴あるい は身体上の特徴だと、こういうようなメッセージが含まれているのか。そうでなくて、た またまの例として上げているものなのか。その辺はどういうふうに考えたらよろしいので しょうか。 ○原医療課長  実はすべて後期高齢者以上にかかわらず、いろいろな要素は実は頭の中にはございます が、ちょっとそれを集めるだけの時間が正直ございませんでしたので、既存の資料等、あ るいは今回ちょっと少し加工したもの等がございますが、それを集めたのがこの結果です。 また、様々な資料について、このような資料がないのか等々ございましたら、また会を追 うごとに準備をしてまいりたいと思います。どうぞ遠慮なく、言っていただければと思い ます。 ○遠藤委員  ありがとうございます。 ○辻本委員  これも質問ですけれど、資料4で13ページ、14ページに非常におもしろいデータが出 ているのですけれど、多分この報告書を詳しく私も見せていただければ、理解できるとこ ろと思いますが、今現在で、もし掌握していらっしゃったら教えていただきたいと思いま す。医療関係者が自分の最期を自宅でと望んで、自分たちの職域であるところを避けてい る。そのあたりが、この調査結果の中から、何が原因かということが出てきていたのかど うか。もしその辺がわかったら教えていただきたいと思います。 ○原医療課長  ちょっと申しわけございません。この部分については医政局の方でそうやっていた調査 検討会でございまして、ちょっと今担当者がありませんので、私どもで詳細がわかりませ ん。また後ほど、あるいは次回までに回答させていただきたいと思います。 ○野中委員  先ほど、高久委員が発言されたように、終末期医療の在り方についての合意形成につい ては、非常に大きな意味があり、どの様に合意形成されるかについて大きな関心がありま す。例えば合意形成がこの委員会だけで合意形成されるのか、あるいは国民が                                                                                       どの様に考えているか調査を実施し、この委員会で判断していくのかどうかに対して、今 後、十分検討していただきたいと思います。  先ほど遠藤委員が多剤投与の件を発言されましたが、高齢者はやはり若い人よりは病気 になる率が高いわけですから、そこに多くの薬剤や治療行為が実施されます。私はある面 では現象としてそれは仕方ないと考えます。でもそれを本当に抑制していいのかどうかと いう判断は、また終末期医療の在り方についての合意形成にとっても、私は大きな問題と 思います。  きょうの朝の新聞を見て、私はびっくりしました。本日の部会が始まる前に、医療を包 括にする話が出ていました。包括する事により高齢者に対しての過剰な医療、特に薬剤等 を何とか削減しようという話です。私は決して現場の人間たちがやみくもにむだをやろう としてやっていることではないというふうに信じています。合意形成がなされる前から包 括との記事が出る耳には怒りを覚えます。人間の命がこれからもうなくなるというときに、 1日でも1分1秒でもやはり原点として長く生きてほしいと努力することは僕はベースに あるべきと考えます。その過程の中に御本人と御家族、医療従事者がきちっとコミュニケ ーションする中で合意形成されていく作業が本来大事であって、財源の面だけで判断する ことでは、私は決してないと思います。  きょうの資料を見ていると、何かどうも財源というか、また朝の新聞に、これから始ま る会の前に新聞が書くのか。厚生労働省がまたいつものとおりに、資料をなにげなく床に 投げたとしか思えない。  それから、国民の合意形成には患者さんやご家族が終末期に対してどの様に考えたかと いうことと、国民が、自分がもし病気になったときに、どういうふうに治療を受けたいの かどうか。いわゆる保険料を払う方々が高齢者の医療制度を正しく認識される視点で、検 討をしたいと思いますし、そういう面で今後検討できるような資料もお出しいただきたい と思います。よろしくどうぞお願いいたします。 ○糠谷部会長  今の野中委員の御意見は、私もこの部会でどういう議論をしていくかという中では、大 変重要な御意見ではないかというふうに思っておりますけれども、事務局の方、ちょっと 今の御意見のお答えでなくてもいいですけれども、御感想なりちょっと聞かせてください。 ○原医療課長  はい。冒頭、局長の方からも話をさせていただきましたけれども、診療報酬そのものは お金をどう付けるかという話になるわけですけれども、そのためにも、そもそも後期高齢 者の医療がどういう形で提供されるのかという、その部分もここで大いに議論をしていた だきたい。ただ、今回、資料で間に合いませんでしたけれども、高齢者が生活をしている 中で、医療がどういうふうにその生活とかかわっているのかというようなところとか、あ るいは実は、あとターミナルについてはいろいろな資料が欲しかったのですが、ちょっと 集められませんでしたけれども、75歳以上になりますと必ず亡くなるわけですから、亡く なるときの医療をどのように考えるのか。そのあたりをまた今後議論していただきたいし、 そういうような資料も集めていきたいと思っております。 ○村松委員  後期高齢者医療についての資料の11ページ。やはり終末期における医療のことなのです が、日本の場合には、病院が81%、そして他の施設が2.4%というふうに非常に少ない数 値になっておりますけれども、この部分のなぜという資料をできましたらお出しいただき たいと思いますが。次回で結構ですが、なぜほかに比べて少ないのか。 ○医療課長  ちょっと私も直接この研究報告書から取っていますので、報告書がそこまで調べていた のかどうかわかりませんので、それは見させていただきたいと思いますが、先ほど少し私 も触れましたけれども、別途のいろいろな調査の中で、例えば老人保健施設でありますと か特別養護老人ホームで、まさにもう亡くなるなあと、そういうことが予見できたときに どうするかというと、老人保健施設のほとんどは「病院に移ってもらう」というふうに答 えていますので、例えば先ほど言いましたように、そういう場合には老人保健施設で最期 まで看取るという準備ができていないのかもわかりません。だからそのあたりはどういう ふうに分析しているかを含めて、ちょっと調べてみたいと思います。 ○村松委員  ぜひその辺は調べていただきたいと思いますが、在宅か病院かではないということを、 私はお伝えしておきたいと思います。 ○堀田委員  たくさんの資料が出て、よく頭が整理できていないのですが、最初に局長さんの方から、 後期高齢者の医療について、いくつかの選択肢について国民に示して決める。そのよすが としての議論にしたいと、こういうお話で、それは大変よくわかるのですが、ではどうい う問題について、どういう選択肢を示して国民に問うて、それで方向を決めて、それがど う診療報酬に反映していくのか。診療報酬の反映の仕方は事務の方でやられるのでしょう けれども、その基本的な問題というのは何かということがはっきりしないと、議論を進め ていっても、いろいろな意見が出て、何が問題なのかということがはっきりしてこないと いう状態になるおそれがあると思うのですね。  今後の進め方のテーマを見ますと、外来医療、入院医療、在宅医療とあるのですけれど も、それは1つの医療の対応の話であって、基本的な問題、選択肢を迫る問題が何かとい うのは、外来とか入院とか在宅とかいう切り方で、果たして出てくるのかどうか。むしろ そこに出てくるいろいろなテクニカルな問題に対応する前に、もうちょっと基本的なこと をしっかり詰めておかないと、なかなか問題が難しいのじゃなかろうかと思います。  1つは先ほど野中委員等からも出ております、終末期医療の在り方について。これは現 場での家族等の合意がどう要るかという問題の前に、一体家族の同意が要るのか、要らな いのか。そこも含めて国民はどのあたりで、延命治療を止めていいというふうに考えてい るのか。これは多分意見が永遠に分かれる問題ではありますけれども、それにしても考え 方ぐらいは整理して選択肢を示して、大方の方向を打ち出すということ。これは非常に必 要であろうと。  特に意識が回復する可能性がないというような状態で、延々と延命治療を続けるという。 ここの部分については、本人の意思がどれだけ、それまでの意識があったときの意思が非 常に要素が大きいのか、大きくないのか。大きいとすれば、その意思をどのようにして取 るのか。民間のNPOみたいなものに任せておいていいのかどうか。そういった問題がい ろいろ出てきますので、1つ終末期というのは大きなテーマであり、選択肢を示すべきで あろうと。  それから医療の在り方、特に後期高齢者の医療の在り方で、医師の先生方がおられる前 で、素人が言うのは大変はばかられるのですけれども、素人で考えても、若いうち・中年 のうちというのは、病気をしたって治る可能性は極めて高いし、早く治してほしいし、治 すことに専念する。これは医療として明快であり、かつそれができる。ところが後期高齢 者ぐらいの段階になってくると、治した方がいいのか、治さずにつき合っていった方がい いのか。治すことの意味がどれぐらいあるのか。そういう状態が非常にふえてくるだろう と思うわけでありまして、そういう基本的な医療自体の必要性は、これは若いうちは絶対 でしょうけれども、後期高齢者になったら、それが絶対的なものなのかどうか。それを上 回る大きな価値があるのじゃなかろうか。  例えばともかく治すことを前提に、リスクのある手術をしてもらうよりも、がんなり何 なりと適宜つき合いながら自分の人生を全うする。がんに限りませんがそういう選択肢も あるので、つまり生き方という問題について、個人個人が決める。手術するか・しないか も含めて、そういう選択によって、医療の在り方も変わってくる。そういう時期が後期高 齢者であろうと思いますので、そういう点について患者の生き方に基づく医療の選択とい うのを、どの程度どういう形で入れるのか、入れないのか。入れるとしてどこまで入れる のか。このあたりはやっぱり入院治療にしろ、在宅治療にしろ何にしろ、基本的な問題と して1つ置きかわるのじゃなかろうか。  それからもう1つ。やっぱり後期高齢者の今の選択の問題と絡みますけれども、特に後 期高齢者になりますといわばアメニティー、快適性と言いますか、生活の安定、静かな生 活、落ち着いた生活、そういったものが、治療を受けることよりも重要である。それは介 護ともまた違うので、そういう生活の仕方といいますか、入院していても在宅におっても、 病気をしながら生活する方法を、これは若い人もそうでしょうけれども、特に高齢者にな ると治療が長引くことも多いでしょうから、そういうことは非常に大きな要素になってく るのじゃなかろうか。そういう部分を医療の仕方とどう併存させ、どういうような体系で 医療と調和をとっていくか。そのあたりも若い人たちや中年の人たちとは違う問題であっ て、これもやっぱり生き方の選択の問題ですから、国民の望む方向、趨勢等々を聞く必要 がある。  基本的な点で選択肢があって、そのどちらにするかによって、医療の在り方に影響して くるというのは、今、資料を聞きながら3つぐらい思いついて、ほかにもあるかもしれま せん。そういった問題の議論が先にあった方が、私はこの外来、入院、在宅と進んでいく テーマよりも、議論がしやすいのかなという感じがいたしました。 ○糠谷部会長  今、堀田委員が言われた御意見は大変重要な御指摘だと思うのですね。私もこの資料1 に後期高齢者医療の在り方に関する特別部会の設置についてというので、趣旨及び審議事 項とこう書いてあるわけですけれども、ここの後段のところで、「後期高齢者の心身の特性 等にふさわしい医療が提供できるような新たな診療報酬体系を構築することを目的として、 後期高齢者医療の在り方について審議していただくため云々」と、こうなっているわけで すけれども、2回目以降ヒアリングをしていく中で、こういう議論もされるのかもしれま せんけれども、やっぱり今、堀田委員がおっしゃったように、「何を議論をしていくのか」 という問題意識がもうちょっとはっきりしていた方が、少し議論しやすいのかなという期 がしておりまして、保険局長さんから今の堀田委員から御意見についてのお考えも、また 後ほど伺えると思いますが、そういう点も含めて委員の皆様方の御意見を少し伺えたらと 思います。もちろんそれに限らず、自由に御議論していただいていいのですけれども、そ ういうことで何か自由に、もう少し御議論をいただければと思いますが。 ○辻本委員  高齢者医療の在り方ということを国が決めたり私たちがこの会議で決めることよりも、 本当はその人がどうしたいか。その希望を国がどう支えていくか。そうした視点を私たち は忘れては議論していけないと思います。ただ、今後しばらくの後期高齢者あるいは2年 後の当事者というところに当たる方たちが、やはり長年お任せ医療ということに甘んじて きた世代。自分がどういうふうに死にたいとか、自分がどういう医療を受けたいとかとい うことを、主体的に自分の言葉で語るということを、すべての人ができるわけではないの が現実です。  私どもも電話相談ということで、日々御本人のお声を聞かせていただいているのですけ れど、電話相談をかけてくる方は氷山の一角で、それ以外の方たちの家族からのお声を聞 いていると、やはり後期高齢者の方々に「まずあなたが主役です」ということを、この在 り方検討会の中でバックアップするような、そういう力になっていただきたいなというこ とを強く望みます。 ○村松委員  先ほど堀田委員の方から、選択肢ということで話されておりましたが、実は私はこのこ とだけは、ぜひきょうお伝えさせていただきたいと思いまして、少し整理をして持ってま いりました。私は在宅看護に携わって20年たちます。その中で昨年、146名の方が私のと ころの看護を受けてくださっておりまして、そのうちの72名が75歳以上でした。そして 在宅で亡くなられた方が32名。その中でがん末期の方が17名でした。そしてさらにその 中を分析してみましたら、92歳以上の方でお家で亡くなられた方が3名いらっしゃいまし た。1人は誤嚥性肺炎、もう1人は糖尿病・認知症、さらにもう1人が誤嚥性肺炎という ことなのですが、ここで介護をなさっていた方は、お嫁さんであり、娘さんであり、ヘル パーさんであった。奥様はとても手が出せなかった。加えてその方たちには医療行為をた くさん必要とする状況に置かれておりました。中心静脈栄養と言って胸からチューブを入 れて、さらにポンプを付けて酸素が必要で吸引が必要で、これが3人ともそろってすべて そうであった。  その中で看護に求められたことは何かと言いますと、時間延長の看護。できるだけ長く そばにいていただきたい。それは家族も不安。そして御本人もつらい。そういうことで最 期まで看取ったケースではあるのですが、私がここで思いますのは、約二十数年前、IC Uというところに勤務しておりましたが、まさにそこで見たものと似たような光景が在宅 に今あるチューブを付けた方たちを見てまいりましたが、それと似たような光景が在宅に 今ある。果たしてこれでいいのだろうか。本当にこの方の、この御本人の意思を尊重され たのだろうか。また、尊厳死という問題がありますけれども、それもまだ法律化されてい ない。その中でチューブだらけになって、そして家にいることが一体どういうことなのか。  そんなことを考えたときに、今の医療、病院の中でモニターをいろいろ付けられ、確か に急性期、慢性期、回復期とありますが、容態変化することもあるわけです。そこに対す る評価という、例えば私ども看護が携わっているところに対しての評価、あるいは御家族 の大変さ、御本人のつらさというところ。これは80歳であろうと、90歳であろうと、100 歳であろうと、死に向かうとき、あるいは普段の状況の中で身体機能が落ちていく。加齢 とともに必ず落ちていく。そこで必要になってくるわけです。そのあたりの今後というこ とを考え、その保険料の負担分という意味とか価値とか妥当性というのを、みんなが納得 しない中で形だけを決めるのは、まずいのではないかというふうに私は思っております。 ちょっと長くなりました。済みません。ありがとうございます。 ○野中委員  先ほど堀田委員、今、村松委員が言われたことと関係しますが、医療の現場で患者さん とつきあって、介護保険の方から医療を見ていきますと、実は病気になった患者さんとか 御家族は、家での生活を望まれても、まだまだ家での生活するイメージがまだまだない中 で、選択をしなければならない現状があります。もっと適切に選択できる状況をつくって いかないと、自分の死の選択もできない。  看取りの医療とは、実は「看取りの前の1年とか半年とか、その期間をどうやって自分 らしく生きるかどうかということを実現すること」と私は思っています。しかし、まだま た現場では、いわゆるテクニカル的な医療としか理解されていない。介護から医療を見る ときには、先ほど堀田委員も言われましたが、「治す」ということは大事なことですが、私 たち医師はそれを認識する必要があります一方で「支える」ということの大切さを理解を しなければいけない。特に、ぜひ体系には「支えることの大事さということ」をぜひ盛り 込んでいただきたい。  今回の大綱の中にも、やはり地域の他職種との連携とか、そういうものをきちっと検討 するということが入っておりますので、そのことをどうやってこの中に含めていくかどう かということが大事。私はやはり病気とか障害を抱えられた方々が、どうやって住み慣れ た地域で暮らしていくかどうか。地域とか自宅で暮らしていくかどうかというイメージを、 もっと国民がイメージが膨らむ形が、私は大事と思っていますので、私としては、この在 り方というものをぜひ考えていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思うので す ○糠谷部会長  ほかに川越委員、何か。 ○川越委員  非常にいろいろなことを考えながら聞かせていただきました。私は一介の臨床医ですの で、余り制度的なことはよくわからなかったのですけれども、幾つか興味ある点がござい ました。1つはちょっと思いつくままに申させていただきますと、資料2−2の2ページ のちょうど真ん中あたりに、「制度見直しの基本的な考え方」という中の、IIIの1の(4) というところに、地域ケアへの展開ということが書かれていまして、これは僕は非常にあ る意味で新鮮なインプレッションを持ちました。というのは、高齢者の方を家で看ていく ということ、特にがんの方を私はやっているのですけれども、医療を支える医療保険と、 生活を支える介護保険ということだけでは、例えば独居、ひとり暮らしの方とか老老介護 の方を、完全に支えきるということは、実際問題非常に難しい。  私たちのところでは、ひとり暮らしのがんの方が大体10%ですね。年間大体100人 くらいのがんの方が家で亡くなっておりますので、10人くらいはひとり暮らしなのです ね。今の制度の中で、ひとり暮らしの方を最期まで看るということは、非常に大変なこと なのですけれども、実は地域の力を僕たちはある意味で結集しているというところがござ います。それは具体的に言うと、地域のボランティアの方の力をいただいているというこ となのですね。ですから私たち、最期までかかわっていくというときには、医者だけの力 ではもちろんできません。看護師さんだけの力でもできない。ヘルパーさんたちの力でも できない。そういう地域の中の力を、どういうぐあいに結集していくかということをもう 1回理解をしなければいけないし、考えておりましたところですので、このところは非常 に新鮮な思いをいたしました。  それからガイドラインをつくるという話を、以前伺ったことがございます。いわゆる終 末期医療に関する合意として国民的なコンセンサスを得なければいけないということで、 ガイドラインをつくるという話が、どこかの委員会で動こうという話を聞いたことがあり ます。私も実は、そのガイドラインをつくる委員会にちょっと入ったのですけれども、実 際問題、それがまだ途中までと言いますか、終わっておりません。  その中で議論されたことで、僕は非常におもしろいなと思ったことは、いわゆる「本人 がどう考えているか」ということ。いわゆるディシジョンメイキングの問題でございます けれども、自己決定というのはつまり一人称・単数ですね。その人本人がどう考えている かという決め方をしなければいけないということ。これはアメリカなんかの当然考え方で すけれども、そこで議論になったことは、命というのは一人称・単数だけで決められない と。一人称・複数と言いますか、自分たち、つまり家族の思いとか何かということが、ど うしても入ってくる。  これは確かに私たち、がんの方が本人は「家で最期まで過ごしたい」と言うのだけれど、 家族の方は不安になって「入院させよう」というようなことがあったりするものですから、 やはり家族の意思というのは無視できない。「それをどういう形でガイドラインの中に持っ ていくか」というような議論が出ておりまして、日本的なディシジョンメイキングになる かもわかりませんけれども、だけどやはりこういう文化あるいは伝統の中においては、そ ういう考え方は僕は非常に大事だなということを思いながら聞いておりました。ちょっと 話が横道にそれてしまったわけでございますけれども、そういうことを思いました。  それから村松委員の話は非常によくわかるのですけれども、ただ、どこを問題にされて いるのかなということを実は思いました。というのは、90歳以上の方で非常に濃厚な医 療を在宅でやっているということでございますね。それがつまり90歳以上の方にICU でやっていると同じような医療を行うのが、いいのかどうかという、そういうところまで 踏み込んだディスカッションした方がいいということなのか。あるいは在宅でも、そうい う濃厚な医療というのがもっともっとできるような体制を整えたらいいのか。その辺のこ とがちょっと私は理解できなかったところがございまして、もし村松委員の方で差し支え がなければ、教えていただきたいと思います。 ○村松委員  御指摘ありがとうございました。私は2つのことを考えております。退院支援というこ とを今病院では盛んにしようとしておりますけれども、とにかく変化があったときに、救 急救命センター等に運ばれてしまう。運ぶと当然、いろいろなチューブを入れる。でも入 院短縮ということで短期間で帰宅させる。そこで振り回される本人、家族がいて、そのよ うな状態で帰ってきたときに、看なければいけない今の在宅もあるということですけれど も、それも1つは検討しなければいけない。  もう1つは、こういう後期高齢者で、75歳が後期高齢者なのかなという疑問もあるので すが、例えば90歳以上あるいは80代、御本人がどんな思いかというのもはっきりしない 中で入院をして、そしてチューブ等の医療器材や機器を装着されてします。これがどうな のだろうか。一方で入れなければいけない急性期の病院という今の、経営上も加えてある ということです。この双方をもう少し深く追求する必要があるのかなという思いで話させ ていただきました。言葉足らずで済みません。 ○辻本委員  済みません。今のお二方のお話が私たちのところにも、しょっちゅう家族から相談が来 たり、御本人が家族にも遠慮してということで、「私はこうしたいのだけれど、でもそれが 誰にも言えなくて」という悩みで届いてきたりします。ただ、多くの場合、都市型とかそ れからさっきの氷山の一角の水面上にいるような方たちの意識というのは別に置いて、そ うでない人たちは、倒れて救急車を呼んで、救急病院に運ばれたときにどういうことをさ れて、その結果2週間で病院を追い出されてという、その現実を全然御存じないのですね。 ですから御家族が、例えば高齢の御夫婦で生活しているときに、「お父さんが倒れた」と言 えば、奥さんはやっぱり慌てて、その御本人が日ごろから「病院へは連れて行くな」とど んなに言っても、やっぱり奥さんがうろたえて救急車を呼んでしまう。そうすると「こん なはずじゃなかった」ということが後になって出てくるわけですね。  ですから先ほど私が「意識というところへの働きかけ」ということを合わせてというふ うにお願いしたのは、やはりそういった現実ということを、もっともっとわかりやすく、 後期高齢者の方に提案できるような、そういう中身であってほしいということをさらにお 願いしておきたいと思います。 ○糠谷部会長  鴨下委員、何か御意見はございませんか。 ○鴨下部会長代理  やはり私は最初に高久委員がおっしゃった合意形成というのが、非常に深い大きな意味 があるのではないかと思うのですね。実は私は専門が小児科なものですから、どうしてこ の小児科医が後期高齢者のことを考えなきゃいけないのかと、自分でもまだ十分納得でき ていない面もあるのですが、今、それぞれの現場のいろいろ生々しいというか、貴重な現 場からの御意見で、これは非常に大変大事なものだとは思うのですが、それを少し横に置 いて、小児の医療と高齢者の医療という対比で考えますと、私はこれは医療費全体の枠の 中で、やはり余り高齢者の医療を必要以上に手厚くすることは、問題ではないかというふ うに、基本的に以前から考えております。また、きょうは余り時間がございませんけれど も、いずれ機会があれば、もう少しお話ししたいと思っております。以上です。 ○糠谷部会長  まだ少し時間がございますが、もしよろしければ、ちょっと今までの委員の御議論に対 する事務方の医療課長さんからお話を伺って、あと局長さんからもちょっと。 ○原医療課長  たくさんのいろいろな御意見をありがとうございました。まず終末期医療に関するガイ ドラインというのを、実は今、医政局の方でつくろうとしておりまして、現在、全くのた たき台という形で公表して、いわゆるパブリックコメントを取っている最中のようでござ います。これにつきまして年内に有識者からなる一応検討会を立ち上げて、議論をしてい くということになっております。したがって、この場でその部分を最後までとことんまで、 もちろん避けて通れない話題であることは十分承知しているのですが、その部分だけに限 って最終的なところをここでやるのは、ちょっとつらいところがあるかなと思っておりま す。  それから進め方について、実は項目をちょっとそういうようなところの何とかの医療、 医療というふうに区切ってしまいまして、非常に申しわけなかったと思うのですけれども、 実はヒアリングをしていこうというときに、現場で主としてこういうような立場で医療を しておられるとか、あるいは看護しておられるとか、あるいは関係しておられるという、 そういう方々の意見を聞いていく項目として立てたものですから、何とか医療となってお ります。  ただ、実際にやっていただいている方々から、実際にどのようなことが問題であるのか とか、そういうものを十分に聞きたいと思っていまして、そういう中から先ほど委員の方々 からいろいろ出てきました、いろいろな問題が浮かび上がってくると考えております。そ のあたりをまとめながら、全体の在り方というものも考えていきたいし、それに沿った形 の診療報酬というものを、その線で考えていきたいと思っております。  それからあと資料的に、例えば今回ちょっと医療を中心にお示しをしましたけれども、 もう少し高齢者の生活と言いますか、そういうようなところの資料が集められましたら、 次回にでもまた御提供したいなというふうに思っております。 ○水田保険局長  ただいま医療課長が申し上げたとおりでございますけれども、若干補足をさせていただ きますと、先ほどやはり堀田委員がおっしゃいました、若年者あるいは現役の方を対象と する急性期の医療・病気ごとの医療と、それから高齢者、特に後期高齢者を対象とするそ れが医療の在り方というのは、どう違うのだろうかと。別個の診療報酬体系をつくれと我々 はオブリゲーションがあるわけなのですけれども、その出発点はやっぱり何が違うのだろ うかというところだろうと思っています。それがおそらく、外来、在宅の場でどういうふ うに違うのか。入院という場面でどう違うのか。そういった場面の中での違いというもの を、それぞれの経験されている方からお伺いするという運びになるのじゃないのかなと思 っております。特にやはり生活を支える中で医療が果たすべき役割は何かとか、後期高齢 者をどういう視点で、若年者の医療と違う視点で見たらいいのかというところが、出発点 になろうかなと、そういうふうによろしければ進めていきたいと考えております。 ○糠谷部会長  まだ多少時間がございますが、何か特に御意見、御質問等はございますでしょうか。よ ろしゅうございますか。 ○遠藤委員  1つ言ってよろしゅうございますか。これは事務局へのお願いという形になるのかもし れませんが、今後、ヒアリングをする際ですけれども、おそらく定性的な話、あるいは多 少お話しされる方の手持ちの情報が開示される形になると思いますけれども、それとはま た別に、それに関連するようなことで、もう少しマクロ的なデータがあるのであれば、理 解をする上で助かると思いますので、少しその辺を整理していただければと思いますので、 ひとつよろしくお願いいたします。 ○糠谷部会長  私からもちょっとお願いなのですけれども、きょうお集まりの委員の皆様方は、それぞ れこの分野の御専門の方がほとんどなのですけれども、私などはある意味ではこの中での 一番の素人で、きょうの資料も本当に目がクルクル回るような気持ちで聞いていたわけで すけれども、次回以降のヒアリングをしていくというのは、そういうことでやっていただ くのですが、きょういろいろな委員の方から御議論がありましたように、あらかじめ方向 を示して議論するというのは、この段階はまだ全然そんな必要はまったくないしやらない 方がいいと思うのですけれども、やっぱり何を問題にしているのか、何を議論するのかな というのがわかるようなということで、難しい注文ですけれども、ヒアリングなりあるい は資料をつくっていただければという気がいたしますので、よろしくお願いをしたいと思 います。  ほかに特に何か御議論はございますでしょうか。それではよろしゅうございますか。そ れでは本日はこれにて終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございまし た。 (終了)     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係     代表 03−5253−1111(内線3288)