06/10/03 第3回ボイラー等の自主検査制度の導入の可否に関する検討会議事録      第3回 ボイラー等の自主検査制度の導入の可否に関する検討会 日時 平成18年10月3日(火) 15:00〜(非公開)                       16:00〜(公開) 場所 厚生労働省専用第21会議室(17階) ○平野座長 前回の8月2日、非公開でコスモ石油さん、ゼネラル石油さんからヒアリ ングを行いましたが、その際のご説明が、どうもこの委員会本来の目的と少しずれてい るということで、いろいろと質問をお出ししました。石油連盟及び事業場のうちの1社 からご回答をいただきました。本日はこの回答について、石油連盟及び事業場に対する 質疑を行いたいということです。これは各委員に事前にお配りしてあるので、質疑から 入りたいと思います。よろしければ質問を始めてください。 ○小澤委員 検査部門を本当に会社の中で独立した部署としてできるかどうか。要する に運転サイドとか、全体の中で検査する人間が独自性を本当に確保できるのかどうかと いうのが非常に大きな問題だと思うのです。コストダウンを図ることになると、安全に うまく運転されている状態が続いておれば、安全であるのが当り前で、なにもそんなに 高い金をかけて維持しなくてもいいのではないか、安全というのはそのように思われる、 そういう性質のものです。安全というのは実は高いものですね。しかし実際に事故が起 こったときには日常的にかかる費用よりも非常に高いものになるのですが。なにも起こ らなければ、それに関して金を払うのはそうは簡単なことではないのではないか。とこ ろで、検査部門の人間そのものをどうやって確保するのか、その養成をどうやってやる のかとか、その辺はどうなっているのでしょうか。  要するに外部に委託をしてしまうと、そういうのは外部の、例えば検査機関が養成し てくれますから非常に簡単に済むわけですが、自前でそういうことを養成しようとする と、そんなに簡単にはできないだろうし、難しいのではないかと私は思うのですが。 ○石油連盟 添付資料−1−3をご覧ください。真ん中に破線がありますが、破線の上 が既存の組織です。下はこれから石連として提案する組織です。先生のおっしゃる検査 担当部門という独自性は、現時点では社内検査担当部門が社内検査を実行する部門です が、その検査結果については、右端に書いてありますように、保全、運転、保安は担当 部門が検査結果について評価します。それは検査について再検査する必要があるかない か。あるいは腐蝕劣化、損傷といったものについての補修の必要性の評価をします。い まはそういう仕組みになっておりますが、自主検査を導入することによって特にボイラ ー、一圧についてもこのような仕組みでやりたいということです。 ○小澤委員 それは、例えば書類審査でやられるわけですね。 ○石油連盟 基本的にはそうです。 ○小澤委員 それでわかりますでしょうか。本当に担保できるのだろうか。 ○石油連盟 そういう審査と申しましても、この主部門の評価機関には当然保安の担当 者、保全の担当者、どういうフィードで運転しているかといういちばん運転状況を知っ ている運転部門の人間が入ってきますので、これまでの経験で、その辺はこれまではチ ェックしてきました。 ○鴨志田委員 それに関連して、現行ではこういう組織はありませんね。 ○石油連盟 破線の上のほうはあります。 ○鴨志田委員 上のほうに担当部門はありますが、独立した機関としてはありませんね。 ○石油連盟 はい、そうですね。 ○鴨志田委員 これは事実ですね。 ○石油連盟 はい。 ○鴨志田委員 そうすると、その基準をどこがお作りになるのか。石油連盟がお作りに なるのか。ですから組織を連盟のほうでお決めになるのか、それとも各社独自で決める のか。そうなってくると、石油連盟でお決めになるとすると、今度は石油連盟が第三者 検査機関になるということですね。そういうように考えてよろしいということですか。 ○石油連盟 まず、最初の基準は判断基準と考えてよろしいでしょうか。 ○鴨志田委員 はい。 ○石油連盟 この判断基準は、現状のところは、溶接部については割れがないことと構 造規格上決まっているし、厚さについては許可時の厚さを保持しなければならないとい うことで、現時点では基本的には設計時の条件を維持するということが、維持義務がか かわっていますから、それが我々としての判断基準になるということです。  それと、そのクライテリアをどこが作るかということですが、これはいまのところは 全部許可時の設計条件で維持義務がかかわるということで、法定ベースになっています。 法律の技術の基準です。 ○鴨志田委員 法定ベースで作るということですね。 ○石油連盟 いま現在はそうなっています。 ○鴨志田委員 そうなると、いまそちらで要求している自主検査というのが、自主検査 でないわけですね。法定ベースで作るならば、何らいまと変わらないわけですね。いま 行われているのが法定ベースで行われているわけですから、法定ベースを外れてやって いるわけではないわけですね。 ○石油連盟 はい。 ○鴨志田委員 そこにどんな意味があるのですか。 ○石油連盟 いま私どもが要望しているのは、法律で義務付けられている法定検査であ る性能検査について、これまでは官庁検査がつまり、登録検査機関がやっていました。 それを自主的な検査によって変えてほしいという要望です。 ○鴨志田委員 ですけれども、それは例えば2年連続にしても4年連続にしても、事実 上、石油連盟、石化連盟との合議の上で作ってきたわけですね。 ○石油連盟 はい。 ○鴨志田委員 ですから、少なくとも石油連盟の方のかなりのパーセンテージは、実際 に石油のプラントを持っている方々の知識等が入って構築されていると私は認識してい るのです。ですから、おっしゃっているように、実際には国が決めた法律ではないわけ ですね。実際に決めている、基準になっている多くの市場は、石油連盟なり、石化連盟 の資産を使って、私たちは2年、4年の基準を作ってきているわけですね。 ○石油連盟 はい。 ○鴨志田委員 ですから、その基準を今後どうお作りになるつもりですか。 ○石油連盟 現行の判断基準は技術の基準が判断基準です。技術の基準の適合性につい てを性能検査で確認しているということです。いまはそういうシステムになっています。 ですから、それ自体は変わるものではないし、連続運転期間が1年から2年、2年から 4年になったときは、必ずその何倍かのセーフティ・ファクターをかけて持つように、 例えば8年とか持つようになっているので、それは私どもに任せてもらっている寿命予 測の手法をもって、そこは我々が担保しているということです。 ○鴨志田委員 ということは、性能検査に下がったときには、性能検査のレベルまで技 術を下げるということですね。そう認識してよろしいですね。 ○石油連盟 そこは当然、社内検査というのはもともと、法律を満たすのは当然ですけ れども、やはり過去の不具合とか、いろいろなところから自分のためにやっている検査 でございます。一方、性能検査というのは、第三者に迷惑をかけないような、社会に迷 惑を及ぼさないような、そういう視点で決められているものだったので、検査の方法は 部位や箇所数は本来的に違っているものだと私は思っています。 ○鴨志田委員 ですから、ニュアンスはかなり違ってきます。ですから、連続運転とは ニュアンスが全然違うということは理解していただけますよね。 ○石油連盟 本質的にはそうだと思います。 ○鴨志田委員 そうですね。そうしますと、自主検査はどのレベルでおやりになるので すか。 ○石油連盟 これからもし自主検査を認められれば、その性能検査も合わせて、この検 査担当部門が行うということになります。 ○鴨志田委員 ですから、それはちゃんと答えてください。答えていません。どの技術 レベルで性能検査をおやりになるのですか。少なくとも2年、4年というように連続し てきて、かなりレベルが上がってきているわけですね。そして、かなりタイトになって きているわけです。それを自主検査をして、性能検査を1年ごとにやるときに、では2 年の、いわゆるフェーズであることではない、4年でやるレベルではないということに なる可能性が出てくるわけです。いいですか。現在行われている性能検査と同じことが 行われる可能性が出てくるということです。求めていることはそのように理解してよろ しいですかということです。 ○石油連盟 実際に検査を行うものは既存の各製油所にあります検査をやる組織で、従 来もここの検査をやる部門がやっていた検査をベースに、一応その書類を第三者機関の 性能検査で来られた方に見ていただいて、それを書類審査として、あと、性能検査で来 られた検査員の方に現場で機器の目視検査という形で見ていただいています。ですから、 我々がいま求めている性能検査を自主検査に置き換えるということは、いままで来てい ただいていた検査員の方が見ている検査と同じものを、既存の各社の検査員が行うとい う、そういう置換えだけをいま考えています。 ○鴨志田委員 私の質問を全然わかっていただいていないのです。連続運転ということ を、いま私たちはやっているわけです。性能検査をそのまま、例えばこれは圧力容器で すから法律で決まっていて1年、必ず開放検査を受けなければいけないわけです。です から、これは当たり前のことであるということです。いいですね。 ○石油連盟 はい。 ○鴨志田委員 これがベースです。2年なり4年なりというのは、それに2年以上、で すから合計で4年、4年の場合は間に入りますから8年、それを担保する形で検査体制 を作ったわけです。いいですね、そういうシステムを作ったのです。いま自主検査をす るということは、性能検査に相当する技術を持って、少なくともこの自主検査における 組織を作るのですね、ということを先ほどからお聞きしているのです。それでいいので すかということです。ですから、お求めになっている自主検査とはいかなるものか、と いうことが分からないということです。2年、4年、場合によっては特区で6年という 形まできて、技術的にずっと上がってきているわけです。これは技術の話をしているの です。組織の話だけではないのです。技術の話として私は質問しているのです。かなり タイトになってきているはずです。当然タイトになってきているのは、石油連盟なり石 化連盟が、ここの所は危ないから、こういう検査体制でいこうということの合意の下で 作ってきたわけです。いいですね。それはわかっていただけますね。 ○石油連盟 はい。 ○鴨志田委員 技術の話をしているのです。ですから、それを自主検査をするとすると、 元の検査、普通の性能検査に戻りますよということなのです。 ○石油連盟 いや、そういうことではなくて。 ○鴨志田委員 ちょっと待ってください。そうすると、2年なり4年なりを少なくとも 自社の所で1年ごとにやるということですね。そう理解していいということですね。 ○石油連盟 開放検査のときについては、次の開放検査までの連続運転を保証するため の検査を自主検査でやりますということです。 ○鴨志田委員 ですから、結局は、もともとの性能検査にすぎないではないですかと言 っているわけです。折角、2年、4年という形で培ってきた技術を全部かなぐり捨てる のですかということなのです。検査の方法にしても、チェック体制にしても、そこが私 にはわからないのです。技術的にわからないのです。言っていることがわかりますね。 ○石油連盟 はい。例えば4年連続運転をしますと、4年ごとに開放します。そうする と、残りの3年間というのは運転中の検査になります。その検査は我々が提案している のはいままでと何ら変わらない。開放検査のときも、基本的には我々のいまやっている 開放検査と同じ検査はやります。 ○鴨志田委員 それは私もよく存じ上げています。ですけれども、例えば4年連続の場 合には技術的に内容は全然違いますよね。検査するときに技術的な内容が全然違います ということなのです。 ○石油連盟 開放検査のときですか。 ○鴨志田委員 ええ、内容がそうですよね。 ○石油連盟 開放検査のときも、検査の内容は当然違います。 ○鴨志田委員 違いますよね。ですから、それを自主検査のときには1年ごとにおやり になるのですかということなのです。その内容をきちんと担保しますかということなの です。ですから、2年、4年というように上がってきているわけですから、それを踏ま えて自主検査ということの話をしていただかないと、性能検査の体制で技術的な話をし ていただくと、我々としては困惑するということなのです。 ○石油連盟 先生のご指摘はよくわかりました。 ○鴨志田委員 わかっていただければ結構です。 ○石油連盟 わかりました。それについては、我々はこれまでは毎年性能検査はやって いました。それと同じような制度で、毎年、開けなくても同じ制度できちんと連続運転 期間をこれから見ていくということで、2年、4年運転にしてもらった経緯があります。 その担保は、寿命予測手法を導入して、向こう何年間分の安全運転を見込んで、その傾 向管理で検査をしていきますよと。ですから、今度は開放検査をしても、例えばした時 点においても、向こう4年間の目でもって、安全運転管理についても向こう8年間の目 でもって、現時点の今回開けた設備の評価をしていくということになります。ですから、 毎年開けたような目で見るものではありません。 ○鴨志田委員 ですから、そうするとその分だけコストがかかってくる。費用対効果と いうことを考えたときに、きちんとしたコストが見合うのですかということです。調べ ることが非常にタイトです、かなり細かいです。 ○石油連盟 おっしゃるとおりです。これは高圧ガスのときもそうでしたし、ボイラー 一圧についても2年から4年のときもそうでしたが、相当設備の材料を取り換えたり、 安全投資は相当しておりました。そういう意味では高圧ガスも保安法のほうも、当初は 経済的なバランスは必ずしも合っていたとは限っていません。むしろ高圧ガスを見た場 合、安全投資のほうはどうしても先行投資がありましたので、連続運転のメリットは当 初はありませんでした。 ○鴨志田委員 私の質問は以上です。 ○平野座長 ほかにはありませんか。 ○小澤委員 もう一言、検査そのものは自主検査になろうが、いまの現行の検査でやっ ても、クオリティが落ちてはいけないのは当たり前なのです。第三者検査というのは、 第三者が検査することによって、それで質が良くなるという話ではなくて、要するに、 内部で変な処理をしないような仕掛けなのです。そういう仕掛けを我々は100年以上か かって作ってきたわけです。内部にそれを取り込んでしまった途端に、その仕掛けを外 してしまうのです。だから、技術的にどうのこうのというのは、もちろんそれも大事な 話ですが、仕掛けを外していいのかどうか、お互いにそれほど信用できますかという話 なのです。どこかに外の目があるよというだけで、ちょっと違うという、それを長いこ とかかって作ってきたわけです。ある種の社会的な制度というか、法律で作ったという よりは、経験的に我々はそれを学んできたはずなのです。私はその経験はものすごく大 事だと思うのです。それをなくしてしまったら、本当にきっとガタガタになります。先 に禍根を残すことになると私は思います。 ○平野座長 確かに、流れとしてISOでも第三者が入ってそれをきちんとチェックす るという、そういう体制の一方では、どんどん受け入れてきて、少し日本を国際化しよ うという機運にあるわけです。それに対して、自主検査のメリットがたぶんあると思う のだけれども、自主検査を提案するときに、認められたらやりますよというのは、少な くとも委員会では禁句です。これこれこういうようにできますからどうですか、という 提案でなければ、この場合は全く通らない。その提案がどうであるかということで、8 月2日には課長さんが、随分いろいろと皆さんにお尋ねしたと思うのです。これだけ実 力がありますよ、それではどういう制度にしますか、ということをお尋ねしているとい うか、あるいは皆さんから提案があれば委員会で検討して、それはいいだろうねという 話になるのではないかと思います。 ○小澤委員 いまお聞きしているのは、その監査の組織が何かできますよというぐらい のことしかないですよね。 ○鴨志田委員 そうですね。 ○小澤委員 実績はまだないですよね。その組織そのものもない状況ですから、それを どうやって作っていくのかという。 ○鴨志田委員 ですから皮肉を込めて第三者機関になるだけではないかと言ったわけで す。 ○平野座長 実はこの委員会というのは、いわゆる外の要請で立ち上げたのですが、い ちばん最初に引っかかったのは、一体何のために我々はここで議論をやるのだろうとい う、そこだったのです。提案された側からお伺いしたらと言って、皆さんに来ていただ いたのですが、実は皆さんが提案者ではないのです。経営者が提案されていらっしゃる わけです。その経営者はどのように考えているのでしょうか。その辺りの説明を、むし ろ提案者に来てもらって話を聞かないと、どうもうまくいかないかな。経営的にはこれ のほうがいいと判断されたので、行政機関を通じて厚生労働省にこういうことを検討し てくださいということできたのだと思うのです。筋としてはそうですよね。少なくとも 厚生労働省が提案者ではない。それから説明を伺っていると、石連も提案者ではない。 ○小澤委員 そうですね。 ○平野座長 この際ですから、折角皆さんにお集まりいただいたので、十分に質問をた くさん出していただいて、よろしくお願いします。 ○畠中委員 いまのお二方の説明のお話というのは、本当に検査制度の基本に位置付け られるようなお話だったと思います。それはそれでもう少し、後ほど私自身も深めたい と思うことが随分あります。  それは別として、この回答の1頁で、1番目の問いかけ、「第三者検査を廃し自主検査 とすることのメリットは何か。もしコスト削減であるなら云々」と。このメリットとし てここで(1)から(4)まで一応書いてあります。この(1)、あるいは(2)なのですが、例えば(1) であれば、「第三者機関との性能検査受検日程の調整が不要となる」とか、「性能検査受 検日にとらわれることなく」とか、あるいは(2)では、「社内検査と並行して順次自主検査 を実施できるため」とか、あるいは「また、性能検査受検を待つ間に生じる検査部位の 発錆等に伴う清掃や新たな付帯工事が発生しない」とか、そういうことが書いてあるの ですが、この(1)、(2)を読む限りにおいては、これは第三者検査機関との緊密な連携関係 の保持、あるいは、要するに検査日時の柔軟な設定が、第三者検査機関の努力も含めて の話だと思うのですが、日時の柔軟な設定等で、十分に対処できる話ではないのか。検 査予定日として後ろのほうに3日間と書いてありますが、検査官に例えば1日に10数人 来てもらって、一斉にやってもらえば済む話ではないのかという一般的な感じがするの です。  (3)の「性能検査受検立会いのため拘束される」と、ネガティブな言葉を使っています が、これは運転とか保全の人たちにとっては、1年に1回、受検への立会いというのは、 まさにある意味で検査の本質的な部分ではないのか。要するに、先ほど水平展開という 言葉もありましたが、そういう非常に経験豊富な検査官から、いろいろな角度からの話 を聞く。それによって自分が置かれている立場を客観的に認識することもできる。これ はある意味で検査の基本的な部分ではないかという感じがするのです。それをネガティ ブに書かなければならないというお気持がちょっとわかりません。  (4)ですが、「性能検査終了後の合格内示の講評を待つことなく云々」と。後ろの資料だ と、講評に1時間程度かかるらしいですが、その1時間も待てないのかと。やはり祈る ような気持で講評を待つという、1年に一遍、こういう緊張感もやはり私は検査の本質 的な部分ではないかという感じがするのです。  何かそういう目で見ますと、この第三者検査を廃し自主検査とすることのメリットを 4つ挙げていただいていますが、何か1つも胸を打ってこないという面があるのですが、 以上です。 ○平野座長 いまの点について、お答えいただければお願いします。 ○石油連盟 最初の(1)の柔軟な設定については、検査員の数もいま引っ張りだこになっ ているくらいです。添付資料−1−1に流れ図を書いていますが、2カ月前に1回仮予 約をしておいて、1カ月前にもう一度確定の日程調整をしているくらいなので、他社の 問題もありますので、いくら検査者側で我々の期待に応えようとしてもらっても、ほか の順番を待っている会社もありますので、一旦決まれば、そこで性能検査を受けるとい うものです。  (3)の性能受検の立会いは、三方が立会う。検査員の話を聞く。まさに検査の本質のと ころではないかというところです。これはおっしゃるとおりで、それはそれなりに貴重 な意見を聞くことは、我々誰もそれを否定するものではありません。ただ、もちろんそ こはそこで、私どもは十分に考えていますが、例えばの話、本質的なものから、検査者 側の質問では、例えば過去の検査、補修の履歴、あるいは安全弁の吹き出し設定圧力は 何キロにしているのですかとか、あるいは液はどこまできているのですかとか、そうい う質問は、私どもは運転している以上、当然頭に入っているもので、そういったものは 別に聞かなくてはならないということではないのですが、もしそこに本質的な問題があ れば、それはそれで先生のおっしゃるとおり、普通は尊重しなくてはならないと思って います。それは確かに今後の課題なのかもしれません。  もう1つ、講評なのですが、1日当たり検査員の検査基数は、全国調べますと大体15 基前後です。例えば熱交の場合は20基ぐらい進むのですが、ベッセルになってくると 10基も進まない。大体平均15基ぐらいです。そうすると、いちばん合理的にやってい る会社は、そのロットごとに、大体1つの装置に15基ぐらい一圧ボイラーが付いていま すから、これをそうやって、やってもらうのです。そうすると、本来ならば15基ですか ら1回必ずプールになるわけです。ですから、私どもにしたら2週間でシャットダウン を組んでいますので、どうしても最初の1基、社内検査が終わって、三方が立ち会って チェックをすれば、すぐに次の付帯工事に移りたいと思っていますので、15基プールす るというのは、その期間、私どもとしては少しでも早く次の段階に移りたいと思ってい ます。ですから、大体いちばん合理的に進んでいる会社だと、1回の検査で15基やって もらう。その間、全部一旦プールする。それから、会社にしてみると、例えば今年200 基なら200基全部検査が終わってから改めて検査を受ける。そうすると、相当その期間 ロスが起きるわけです。いろいろ検査者側とユーザー側の打ち合わせに乗っているので すが、私どもは支障がなければ、すぐに次の付帯工事に移りたいということで、講評は たった1時間という問題ですが、私どもとしては少しでも工事を早く進めたいというの が本音です。 ○畠中委員 一言だけ。いずれにしても、いまのお話を伺っていても、要するに検査の 受け方の話というか、受け方の柔軟性の確保というのでしょうか、例えばいまおっしゃ られましたが、上流から順番に1基ずつやっていきたいと。それはそれで第三者検査機 関との話合いで半日なら半日来てもらって、ボンとそこだけを見てもらって、また2、 3日後に次のをというやり方もあるでしょうし、あるいは一気にやりたいというのでし たら1日に20人なら20人を投入してくださいというやり方もあるでしょう。いずれに しても検査受検日を最優先で、そこを中心に据えて、前後のいろいろな作業を設定すれ ばいいだけの話かなと、(1)、(2)に関しては思います。 ○石油連盟 理屈はいま先生のおっしゃるとおりなのです。これはコンビナートが、例 えば川崎地区、あるいは千葉地区にできてから40年、50年経ってきているのですが、 その間いろいろコンビナートが建ってきて、昔は石油精製はある程度自由だったのです が、いろいろな石油化学、電力とか鉄鋼などが出てきますと、自分勝手に検査機関を使 うわけにいかない。結果的には大体1日で最大15基進めてねとか、あるいは全部終わっ てからやるからとか、こういうふうになってきた歴史的な経緯があります。ですから、 検査側には人がいっぱいいて、ある程度柔軟になれば、そういったこともこちらの都合 のいいこともできるかと思います。 ○安全課長 先ほど検査機関からヒアリングをしたのですが、検査機関としてはそれを 柔軟に対応してきているとのことです。2カ月前からではなくて、例えば申し込みにつ いては3カ月前から申込みを受け付けるし、検査自身も2カ月前からやっても有効期間 は変わらなくなっているということで、事実としてそんなに困っているということが全 然伝わってこないです。ここに書いてある(1)から(4)は、いずれにしても先ほど畠中委員 がおっしゃったように、こんなのはうまい具合に調整してもらって、例えば早め早めに 人費をたくさんこの時期に投入してくださいというのを双方が、検査機関はいま登録制 ですから、競争して、いちばんいい所を選べばいいわけですから、そことうまく調整す れば、ここに書いてあることは全部片付くのではないか。何一つデメリットにならない のではないかという感じがしますが。登録機関も競争ですから。 ○石油連盟 ええ、そうなのです。実際の登録検査機関の通達を、厚生労働省は平成11 年に4省庁が実務と検討会議で、素速く民間検査機関の参入を打ち出したのです。しか しその通達を読んでみますと、ボイラー、一圧の運転経験が必要という要件が入ったの です。  それともう1つは、検査機関が採用している検査の方々というのは、特級クラスの、 相当民間で優秀な方々を検査員に採用していますので、競争が参入自由になっても、そ ういう仕組みというのは相当時間がかかるのではないかと思います。 ○安全課長 本当に困っている実態が伝わってこないのです。受検日程の調整が不具合 に終わったお蔭で、これだけの損失があったとか、そういう具体例でもあればわかるの ですが、少なくともいま私どもが検査機関からヒアリングした結果によれば、先ほどの 3カ月、2カ月の件もあるし、ニーズがあれば1日に何十人を投入すると。それともば らばらでいいというのなら、何週間もかけてやると。そういう柔軟性を持ってやってい るということを聞いているものですから、どうもここに石連さんが書いていることとの 整合性がとれない。実際に本当に困っているのかというのが、まさしくここに書かれて いないのです。多少短くなるということはメリットであることは確かに事実でしょう。 ただ、現実にこんなのは両者で調整すれば簡単にクリアできるのではないかと思います。 ○石油連盟 例えば、平均的に首都圏というのは登録検査機関の検査員は大体15名前後 です。地方は2、3人と、もっと少なくなっています。そうすると、やはりこれだけの 主力工場の集まっている首都圏では、やはりみんなで分け合って性能検査を受検してい るので、このように2カ月前、あるいは3カ月前に少しずつ決めていくことが現状です。 ○鴨志田委員 非常に不思議に感じているのは、私の認識の間違いかもしれませんが、 たしか第三者認定で、いわゆる登録検査機関というのは名乗りを上げていいことになっ ているはずです。 ○安全課長 はい。 ○鴨志田委員 それでは、なぜ石油連盟さんが音頭を取って、少なくとも石油連盟に加 入している会社は合併を繰り返して、かなり巨大な企業になっているわけです。東燃ゼ ネラルさんにしてもどこにしても大きな外資本が入って、1つの形になっているわけで す。東燃ゼネラルさんがここに来て、オーナーシップだと叫んで帰って行きましたが、 それならばなぜ自分たちでそういう登録検査機関を作らないのですか。それが私にとっ ては不思議でならないのです。自分たちでやるということができるのだったら、それを やるのが最初ではないですか。それをおやりになればいいではないですか。そこまで開 放しているわけですから。 ○石油連盟 自分で作るのは合理的かもしれませんが、資本関係になると、それは第三 者性は保てないのではないかと思うのが1つです。 ○鴨志田委員 ですから、いまのような第三者認定のシステムがいちばんベストでしょ うと、私は申し上げているわけです。私はどこが名乗りを上げるのか、ずっと見ていた わけです。あのときに名乗りを上げてしかるべきだと思ったのです。  少なくとも、会社は合併を繰り返して、事実上はどんどん1つの会社になっているわ けです。そして東燃ゼネラルさんがおっしゃるように、オーナーシップで同じレギュレ ーションのもとで全部やっていますということを、前回、声高々に名乗りを上げていっ たわけです。それならば、自分たちの所でできるはずです。先ほど石油連盟さんがおっ しゃったように、この組織が作れるということを言うのだったらば、作れるのではない ですか。わざわざそんなことを廃止しなくても、第三者認定、自主検査しなくても、自 分たちでいまのシステムでできるのではないですか。それはなぜなのですか。今でもす ぐにできます。違いますか。私の認識が間違っているのでしょうか。 ○石油連盟 最終的には、資本の問題ではないかと思います。 ○鴨志田委員 ですから、資本の問題ではなく私たちが心配しているのは、先ほど水平 展開ができないという話が出ているように、たぶん水平展開ができないのだと思うので す。それぞれが独立しているオーナーシップであって、オーナーシップと言いながら、 1つのレギュレーションでやっていると言いながら、どこかで必ず事故を起こしている。 それは人の問題だということの発言をするわけです。各工場工場の独立性があるわけで す。だからこそ、第三者認定で総括者として第三者が入っていかなければいけないだろ うと私たちは認識しています。ですから、自主認定に対しては反対だと考えています。 できないのだということです。ここ数年見ているわけです。それができるのかどうかと いうことです。石油連盟というか、石油会社自身がそういう会社をつくってするのかな と、私は期待をしていたわけです。ですから、そのときに自主認定をするというのは、 やることが少し矛盾していませんか。すべて条件を整えられていて、2年、4年、そし て認定は自分たちで作れるという条件がありながら、なぜ自主検査に走らなければいけ ないのかということがわからないのです。 ○平野座長 今日の説明者は、たぶん組織を変えるところまでは権限がないので、そう いう話を持って帰って議論していただければと思います。 ○田中委員 非常に克明な説明書を出していただいたのですが、1頁の終わりから2頁 にかけて、コストのことが書いてあります。特に、2頁の上に「補足」とありますが、 さり気なく補足と言いながら、極めて本音が書かれているのではないかと思います。  「世界的な規制緩和」というのはそのとおりですが、規制緩和は別に、第三者検査を しなくていいということではないのです。特に、2行目にある「安全性を損なうことな く」、つまり、本当に自主検査をして安全性は損なわないのか、大丈夫かというところを きちんと説明しないと、なかなか筋が通らないと思います。  経営判断として、コストをなるべく削減したいというお気持はよくわかりますし、コ スト削減効果があるならば、何とかしたいということはあると思います。いままでのご 説明ですと、安全性を損なうことなくそれができるかという、担保するだけの材料がな かなか明らかになっていないのではないかという感じがします。  1の2や10、つまり2頁、7頁とも、何かあると、外部監査員として監査に立ち会う と入っています。つまり、自分たちでやると言っておきながら、何かあるときには、第 三者としての外部監査員を監査に立ち会わせて、検査ほどではないですが第三者の目を 入れますよということは、逆に言うと、自主検査そのものが、第三者検査に代わり得る ほどのレベルや内容に達していない部分があるということにもなりかねないのですが、 そうなのでしょうか。どうしてここで、外部監査員を立ち会わせると明示しているので すか。 ○石油連盟 非常に重い質問だと思います。今回の本質的な話に触れているのかと思い ます。平成15年に高圧ガス保安法の認定の取消しがありました。私どもは、社長の判断 というのは組織ぐるみの不正だという、社会的な裁定を受けました。  ところが、他の業界の取消しの事例を見ますと、悪意というよりも、県と合意してい た検査方法と、検査漏れ、記入漏れ、あるいはもともと検査する必要のないポンプのケ ーシングまで、鋳物ですから厚いのですが、それまで耐圧部材のように検査をしていた とか、そういったことがありました。したがってよく分けますと、不正の中にもいわゆ る検査漏れとか、法律が決まっているのに勝手に自分で判断してしまったとか、そうい った2種類があることがわかりました。  例えば検査漏れなどに関しては、自主検査だけでは緊張感というのが抜けるのかなと。 それと最初に申し上げたように、会社ぐるみとなると誰もチェックしようがなく、どう しても会社に対しての緊張感が必要で、第三者が必要なのではないか。又、自主検査と 第三者の監査員がいるということは矛盾しているのではないかというご指摘ですが、私 どもは自主検査をベースと言っておきながら、第三者性を入れた監査の中で、それを担 保していくという考えなのです。 ○田中委員 8頁に回答として「不正に対する担保、要件」と書いてあります。これは 専門の郷原委員もいらっしゃいますが、これを拝見しますと、この程度のことで不正そ の他の担保になるのかという印象なのです。これはどこでも企業不祥事を防ぐ基本的な 骨組みなのです。例えば、経営トップが意思を表明することはどこでもやることですが、 その意思がどの程度組織に徹底するのか、徹底し得ないとみんな困っているわけです。 それをどうするか、また工夫しなければいけません。  (2)の企業倫理委員会があるからと言って、不正防止機能はありません。企業倫理委員 会がどのような仕組みで、どのようにリードして社内にそれを徹底しているかという部 分が、なかなかうまく稼働していません。石連加盟の企業でも、企業倫理委員会を毎月 開いている企業をお調べになってみてください。ほとんどないはずです。数カ月に一遍 しか開いていないはずです。特に(3)の「第三者性」が、この程度の研修その他で、第三 者検査に代わり得る人材の育成と、その能力の向上は可能なのか。そういうところがこ こでは十分書き込まれていません。  ですから、最後の「不正に対する担保、要件」は、やはり安全が確保されるためには、 社内的にこういう仕組みを我々は作りますからできます、というところまで踏み込んだ 対応がないと、委員として何となくわかったというふうには、なかなかならないのでは ないかという印象ですが、いかがですか。 ○石油連盟 結論から言いますと、個人的には同意見です。今後、もちろん不正を防止 するとか、そういうネガティブな意味で、あるいは記入漏れというものは、第三者性の 緊張感は必要だと思いますが、さらにアクティブ的に、先端検査手法をとり入れたり、 事故とか不具合はこれから半減していくという、もっと積極的な意味合いにおいて、私 どもが提案した以上、これもきちんと委員会に提出して、検討してもらわなければなら ないと思っています。  これまでの話は第三者性の話でしたので、その辺の話は書いていませんが、意識には、 事実あります。先生のおっしゃるとおりです。 ○郷原委員 いまの点ですが、不正を防止するだけではなく、要するに腐食、磨耗によ る火災など、そういう損害事故を生じさせないようにするための企業としての取組みに ついて聞かれているわけです。それについて出てきているのが、先ほど田中委員も言わ れたように、この程度の話なのです。このように言われている理由は、最近起きた事故 やいろいろな問題については、経営トップの意思表明が不十分だったとか、そういう問 題だったということで、そこを改めればこういう事故は防げるという認識ですか。 ○石油連盟 安全は人と物とお金をかけなければならない、ということは底辺にあると 思います。やはり投資というものは、きちんと上の理解がないと進まないという意味で は当たっています。ただ、具体的に損傷劣化を予測して、徴候を見ることは、我々現場 に任されていますので、さらに安全を確保するための手当ては当然講じていかなければ ならないと思います。 ○郷原委員 経営者であれば、誰だって事故などは起こしたくないわけで、安全重視と いう方針は必ず打ち出しているとは思います。問題は、それをどこまで徹底するかとい うことに関しては、事業環境や競争状況等によってかけられるコストも違ってくると思 います。逆に言えば、2頁目に書かれている規制緩和の流れの中で、競争が激化して、 事業環境が悪くなったときにも、同じようなレベルの安全対策を自主検査において維持 できるかどうかが問題なのです。それを必ず枠にはめて、安全の問題は、どんな競争状 況であっても、絶対にそのレベルを下げさせない、そのための仕組みが第三者検査だと 見ることもできると思います。  ですから、それと比べますと、ここに書かれているコンプライアンスの体制は、担保 というようなものではないと思います。最後に書かれている、社会的制裁があるという のも、結果的にそういうものが発生するというだけで、事故に類する問題の社会的制裁 というのは、取り返しがつかない問題を引き起こしたときに、社会的制裁が働くわけで すから、基本的な見方としてはどうかなという感じがします。 ○石油連盟 これは卵が先か、鶏が先かという話になるかもしれませんが、事業環境が 悪化するとみんなが競争してしまっています。もしそういう時に保安の投資を減らした り、人を減らして事故に至ったという場合は、それは致命傷になるわけです。完全に競 争から水面下に入るわけです。その金額たるや、機会損失を入れれば、年間で何百億円 という話になるわけです。ですから、当然経営トップとしても、経営環境が悪い、基本 単価が悪化したということで、むしろそういう安全投資をもしサボったならば、それは 近い将来必ずその見返りがくると。それはどういう見返りかというのは、これまでの事 故から相当教訓を経営トップも学んでいかないと潰れるかもしれないと思っています。 ですから、これからはますます安全で競争力が引き下げられたら困るということで、安 全投資をやめることは、リスクを考えた場合、これからはないと思います。これまでは 確かに先生がおっしゃったとおりだと思います。 ○平野座長 今日はもう1つ議題があります。「連続運転認定事業場における安全管理等 の問題点等について」ということで、安藤委員にお願いしています。私自身ももう少し 質問したいこともあるのですが、ここで安藤委員のお話に移りまして、また時間を見て、 もし余ったら元へ帰る格好にしたいと思います。 ○安藤委員 それでは、必ずしも連続運転認定事業場という立場からではありませんが、 第三者機関の監査か、自主検査かということを、最近の新聞紙上のトレンドと申します か、機運で見たのがAです。Bは不具合事例・異常現象統計等から考察してみました。 Cは、もちろん安全を担保しつつ、経済性の向上は必要ですので、どういう見方ができ るだろうかということで、これは私の勝手な見方というご指摘を受けるかもしれません。 以上、3点から検討してみました。  Aの「近年の社会問題から見て、第三者機関の監査の必要性が見直される機運がある と考えられる」例として、1)第三者機関の監査強化(有効化)が痛感された例として は、建築構造確認申請の監査です。これが万が一間違えても、建築施工の管理がきちん としていれば、ひと目でわかる鉄筋量の半分というような事象もありました。  1.3)の「会社の会計監査」というものが新聞紙上をにぎわせていたようです。  2番目の「第三者機関の監査の有効性が痛感された例」としては、銀行の監査と営業 停止、保険会社の監査と営業停止、証券会社の監査と営業停止があります。これらは第 三者の非常に弱い、情報を持たない人の保護に大きく寄与していると考えられます。  3番目は「第三者機関の監査の必要性が痛感された例」です。自動車のリコール制度、 瞬間湯沸かし器の安全性、原子炉機器の不具合事例というようなものがあったと思いま す。  「不具合事例・異常現象統計からの考察」について、3頁目に付いている表1は、日 本ボイラー協会のホームページから引用した、不具合事例の統計です。  ボイラー協会では、一つひとつの事例があって、そこに原因と傷害者の数が、年別に 14年間まとめてあります。この14年間で、ボイラーで55件、圧力容器で52件、計107 件です。死傷者が112名、カッコ内は内数です。このような結果が報告されています。  この内容を具体的な解説で見ると、大部分が工学的に未知、あるいは予測不能が原因 ではなくて、大部分が広義のヒューマンエラー(ファクター)(事務局注:後日「ヒュー マンファクター」とするのが適当と資料と併せて訂正あり。)に起因していると考えられ ます。こういうデータに注目して、2年連続運転の認定に際しては、安全管理、運転管 理、保全管理及び教育と訓練に特段の配慮を払っております。そのために表1の不具合 事例は、2年連続運転認定の事業所では殆ど発生しておりません。非常に少ないです。 この点は、第2回委員会の石連さんの資料の「法規別異常現象」ともよく対応していま す。  2番目に、第2回委員会の石連さんの資料の「原因別異常現象」を拝見いたしますと、 ヒューマンエラー(ファクター)15件の他に、管理不適切22件、腐食・劣化34件、工 事管理18件、点検不十分13件の合計102件が指摘されています。これは広義の意味で のヒューマンエラー(ファクター)で、私の定義の場合です。つまり、工学的に予測不 能とは考えづらいという意味です。この他に、設計・施工24件、地震・天災2件が指摘 されています。このことから、全体の約80%は安全管理の徹底、すなわち適切な教育訓 練や適切な保全管理、少し身勝手な表現をさせていただきますと、2年連続運転認定条 件の水平展開により防止可能な場合が多いと考えてよろしいですかということです。  Cの「連続運転期間の更なる延長によるコストの削減」については、資料を拝見しま して、連続運転によるコスト削減効果が非常に大きい、というご説明がありました。1) 連続運転によるコスト削減(2年連続:480億円/年)です。これは石連さんの傘下会 社のことだと思いますが、石化協さんは入っていないと理解しています。4年連続:720 億円/年に対して、第三者の検査によるコスト増をシャットダウン工事の延長を3日と して、これについては異論も出ていましたが、12億円ということです。これは720億円 に比べて12億円というのは、私にとってはとてつもない漠大なお金ですが、相対比較で 見るとそう多くはない。このコスト増は連続運転の社会的受容性を高めるために、第三 者の目が入っている、という必要コストとも考えられますが、その点はいかがですか。 つまり、社会的受容性がない限り4年連続、それを6年、8年にもっていくことは、な かなか難しいのではないだろうかということです。  2)連続運転期間を4年以上に延長して、更なるコスト削減を取得することは、大き なメリットであると考えられます。この4年以上の延長が可能か否か、現在、どういう 状況にあるのかは、石連さんはご承知のことかと思います。そのためには、次の条件が 必要であると考えられます。2.1)工学的合理性を徹底追求することにより、安全性 を担保する。2.2)プライドあるオーナーシップには、緊張感、公開性、社会的認定 の裏付けが必要であると考えられますが、それには、ISOのごとき(ISOでは社内 監査員と第三者監査員の両方がタッチ)監査が必要であるのではないか。また、上記の ごとき広義のヒューマンエラー(ファクター)を防止するためには、プライドあるオー ナーシップが極めて重要であると考えています。  2.3)連続運転期間を4年以上に延長して、更なるコスト削減を取得するためには、 上記広義のヒューマンエラー(ファクター)を現時点より相当防止し、社会的受容性を 向上させることが必要ではないか。  結論として、以上のごとき考察により、第三者機関の検査を積極的に利用することに より、公開性、透明性、緊張感を確保し、ヒューマンエラー(ファクター)を低減させ て社会的受容性を向上させることにより、より長期連続運転の認定を取得することが、 最大のメリットであると考えられますが、如何でしょうかということです。以上です。 ○平野座長 石連さんのほうで、何かこれに対してお答えできることがあればお願いし ます。 ○石油連盟 ヒューマンエラー(ファクター)の原因の大部分を占めるというお話は、 私も同感です。いろいろな切り口がありますから、自己分析をするときに、設備に入れ たり、ヒューマンに入れたり、いろいろな分け方があると思います。先生の見方は、ヒ ューマンで括ってしまう部分を広く捉えると、こういう形になると思うのです。  今回、自主検査、自主保安を推進することで、コストをいかに下げるか、コスト削減 でメリットがあるよというお話がありましたが、もっと大きいのは、ヒューマンファク ターの部分をいかに向上させるかということだと思います。実際、この回答は我々が議 論した中でも、ヒューマンファクター、人のレベルをいかに上げるかという部分は、や はりかなりのウエイトを占めて、その部分が主体だろうと。したがって、PDCを回す という自主保安を推進することによって、ヒューマンのレベルを上げようと。責任感な り、オーナーシップもそうですが、そういった人のレベルを上げていかないと、いくら トップが方針を出してルールを決めて、教育しても、それだけではいけない。そのため には何かと言うと、やはり仕事のやり方をそういう方向に持っていかなければと思って います。  その1つの方法が、自主保安であって、あなたに任せたよと。もちろん、あるバック グラウンドはないと駄目ですが、任せて、安全の担保を何らかの形でとらなければいけ ません。そういう前提条件のもとにモチベーションを上げていって、責任感を持たせて いく、というやり方をどう作っていくか、それを我々は考えて議論してきたところです。  先生がおっしゃる部分、こういう考え方に対してはアグリーです。 ○安藤委員 どうもありがとうございます。やはり2年、4年から、6年という話も現 在出ておりまして、議論されていると承っています。やはりそのためには、社会的受容 性の向上がすごく大切なような気がします。そういう意味で、第三者の目があるのとな いのでは違うという気がします。つまり、現在のヒューマンエラー(ファクター)を減 らすことと、社会的受容性の2つを主張したつもりです。 ○安全課長 石連さんは誤解されているようです。先生が言っておられるヒューマンエ ラーというのは、人間のエラーではないのです。工学的に未知でない、予測不能なもの でないという意味です。ですから明らかに摩耗しているだろうとか、そういう所を故意 に検査しないとか、そういう意味のヒューマンエラーであって、いわゆる人間が誤りや すい動物であるという意味ではない。ですから、先生の趣旨をよく理解されていないと 思います。  先生は、第三者性を担保することによって、広義のヒューマンエラー、いわゆる工学 的な未知による事故を防止するのではなく、ヒューマンエラー、いわゆる工学的にはわ かっているのだが、手抜きとか、何らかのコンプライアンスが不足することによって事 故が起きている。それを防ぐためには、公開、透明、緊張感を確保する。すなわち第三 者機関の監査がいるということです。ですから、石連さんが言われたこととは全然ずれ ています。先生のご趣旨は、そういうご趣旨ですよね。 ○安藤委員 例えば、腐食とか劣化というのは、そんなに突発的なことはあまり起きな い。 ○安全課長 そういうことですよね。 ○安藤委員 ときたま運転条件が変わると、エロージョン、コロージョンで突飛なこと が起きることもあるとは聞いていますが、測定箇所、過去の経験を活かすことがいちば ん可能な領域ではないかと思います。 ○平野座長 今日はもう少しまとまる方向に動くかと思っていたのですが、そうもいか ないですね。毛利さん、これから先はどのようにしますか。あと1、2回議論しますか。 そろそろこの委員会の方向性を打ち出さないといけないでしょう。 ○毛利副主任中央産業安全専門官 いま考えているのは、これまでいろいろヒアリング したものの整理と言いますか、まとめに向けた議論をすることを考えています。 ○平野座長 私の印象では、先生方のベクトルが必ずしも同じ方向を向いているわけで はないですし、しかも対象が対象で、やはりいちばん大きな問題は、一体どうしたいの というのがあるのです。その方向性がはっきりすると、委員会としてもまとめようがあ るわけです。業界ではこういう方向でやってくれと出てきていると。厚生労働省ではこ う考えていると。そして先生方の意見を集約して、こういうことはどうですかというこ とは言えるのですが、いまのままですと、やはり経営者に出てきてもらわないといけな いのですかね。どういう意図で、経団連を通じてそういう要請をされたのか。現実問題 として、それよりももっと大切なことがあるのではないか。もっと節約できるようなこ ともあるのではないか。  それから世界的な流れと言いますか、時代の流れとしても、方向性としてはこうなの ではないかということがあって、それを私たちはある程度代表者にぶつけるわけです。 それが必ずしも注文を出した人たちの所まで行っていないのではないかと思いましたが、 どうですか。報告する上の者が命を縮めるかもしれませんしね。 ○石油連盟 一昨日、環境安全委員会がありましたが、それは安全・保安に関する最高 意思決定機関なのです。 ○平野座長 それはテクニカルな話ではないですか。例えば、今日出たように、こうい うシステムは本当に作る気はあるのですかと言っても、決定権がないのです。 ○鴨志田委員 そうなのです。私もそれを感じたのです。ですから、これはしょうがな いなと。一体、何を求めているのか。我々はどこに要求すればいいのか、だんだんわか ってきたわけです。 ○平野座長 委員長の不徳の致すところでもありますが、もう少しアンダーグラウンド を動かしていただいて、次回まとまれば、本当にまとめる方向にいきたいと思います。 議論のためのペーパーを事務局で作っていただいて、皆さんはそれに対して議論してい ただきたいと思います。 ○安全課長 前もプライベートな場で申し上げましたが、石連さんとは違うある大手の 業界団体では、やはりこういう問題は社長会にかけるのです。安全に関しても社長会に かけて、それから意思決定するのです。ですから、社長会にかけるために、担当者は動 きにくいから、局長名の文書をくださいという場合もあるわけです。石連の場合、環境 安全委員会で議決したというのは、まさしくそれは技術面での話であって、石連として の意思決定が本当にこのペーパーでできているのかどうかということなのです。指摘す ればボロボロ粗が出てくるわけです。本当のところ何がしたいのかというと、2頁目の 最初しかないかもしれません。それでは、これ1枚でいいではないですか、この5行で いいではないですかという話になってしまいますので、もう少し意思決定の仕方もきち んと石連として考えてほしいと思います。 ○石油連盟 わかりました。 ○平野座長 それでは毛利専門官にマイクを渡します。よろしくお願いします。 ○副主任中央産業安全専門官 「その他」のところですが、第1回のときに外国の検査 制度について質問があり、その後、既存の資料を中心に調査した結果をまとめたものが 資料3です。これは労働安全衛生法のボイラー・圧力容器と同等程度の機器を対象とし て、主要国の定期検査制度を、定期検査の周期と検査の実施者についてまとめたもので す。  まず米国で、趣旨からして「検査実施者」のところを説明いたします。この部分につ いては、州によって異なるということです。オハイオ州やカリフォルニア州などでは、 州や損害保険会社の第三者検査に加えて、オーナー・ユーザー検査組織として、設備の ユーザーによる実施検査が認められています。1頁の下にカギ括弧で囲ってあるのは、 ボイラー協会が現地調査報告を行った報告書からの引用です。これにはたまたま畠中委 員も加わり、調査されたというものです。検査部門は生産部門とは独立しているとか、 非常に資格のある高い検査員を専任で雇用したりとか、そういうことが要件になってい ます。  イギリスについては、(2)のところですが、検査の実施者をCompetent Person、検 査適格者と訳していますが、非常に位置づけの高い資格として確立している。そういう 人の中から雇えば、自主検査を行うことができるという仕組みになっています。親会社 や取締役会からの独立が要件になっています。  フランスについては、法令には「定期点検は、経営者の責任の下で、あり得べき欠落 を認識し、その重大性を評価するのに適した権限をもった人員によって実施される。」と されています。この検査の主体というのは、ベリタスとか欧州の第三者の検査機関に加 えて、ユーザーも入っています。例えば電力事業者などもあることを情報で得ています。  ドイツについては、欧州の検査主体であるTUVのような検査機関が検査実施者にな っています。これが原則ですが、例外がないかについては、引き続き調査をしておりま す。 ○小澤委員 いまの自主検査の問題は、例えばアメリカのオーナー・ユーザー検査組織 みたいな制度に比較的近いのではないかと思います。私もアメリカのボイラーコードの 資料を持っており、それを読んだりしていましたら、要するに検査員はちゃんとNBB Iの試験を受けて、資格を持っているのです。そういう人間をちゃんと雇っている。し かも、製造部門、あるいは運転部門とは違う所の部署に置いている。それが外側から見 てしっかりと確認されているという下で、オーナー・ユーザー検査が認められているわ けです。  アメリカやヨーロッパの社会制度の中で、そういう検査を持っているインスペクター の技術者という組織そのものが外にまた1つあって、そこはそこの連合で、その人間は ちゃんと保護されているという、そういう社会システムなのです。  例えば、日本の中では、1つの会社のメンバーだけであって、外には連合もないと。 せいぜいあっても機械学会のメンバーであるぐらいの程度で、そんなものは保護の対象 にも何にもならない。そういう仕組みがある所で初めて、そういうことができると思い ます。 ○安全課長 会社からこれをやられたらおしまいですよね。 ○小澤委員 そうなのです。お前、ちゃんと丸を付けなかったら危ないですよというこ とです。そういう圧力がかかる危険性があるわけです。それをずっと今までやってきて、 やっと第三者検査をやっていると思います。アメリカでここまでできているのは、そう いう体系を踏まえて考えないと危ないと思うわけです。これは非常に貴重な資料だと思 います。 ○畠中委員 先ほど来のお話で、石油連盟さんのご要求の具体的な姿がなかなか見えな いという話がありましたが、この委員会として検討するに当たっては、何らかの骨格ぐ らいは見えていないと、委員会としての結論はたぶん出せないと思います。  前回と今回で大体見えてきたことは、1つは、法令上の性能検査の義務づけとして、 開放検査、運転時検査のインターバルが法令で決まっています。運転時検査については、 外部の認定審査会のきちんとしたチェックを受けなければ、連続運転の認定は受けられ ない。この骨格に触わろうというお話はまずないと理解してよろしいのですね。 ○副主任中央産業安全専門官 そう理解しています。 ○畠中委員 あと開放時検査、あるいは運転時検査の検査については、回答の2頁の2 番目の問いかけの「第三者検査を廃し自主検査が可能と考える主張の根拠は何か」とい うことの補足説明で、「各精油所には検査担当部門があり、各機器の経歴などを踏まえて、 検査計画立案、社内検査実施、判定、記録保存などを専門的に実施しており、現状の第 三者検査のベースを提供している。これまでの第三者機関の検査結果が、社内検査結果 と著しく異なることがなく、併せて社内検査の妥当性が、監査を行う組織により確認で きれば、検査技術的には自主検査で代替可能と考える」という辺りから見ますと、有り 体に言うと、現在の社内検査を居抜きで、法定の性能検査、要するに開放時検査、運転 時検査を居抜きで認めてほしい、ということでよろしいのでしょうか。ですから、基本 的な枠組みに触れるつもりはない。ただし具体的な検査については、現在の社内検査を 居抜きで認めてほしいと理解としてよいですか。 ○石油連盟 その通りです。ただし、いろいろと不正の問題とか、監査組織が社内に留 まっている限り、それは誰も認めてくれないよというお話がありますので、添付資料− 1−3で説明した破線以下の監査に第三者に入ってもらい、一緒に監査することを提案 いたしました。 ○平野座長 いまの畠中委員のご発言ですが、ここに列席している人たちの中だけで解 決するというのでしたら、たぶんその枠組みをほとんど崩さないでいきましょうという 話になるかもしれませんが、経団連から言ってきたものを実行しようとすると、その枠 組みからはみ出さざるを得ない。そのときに出てきている人たちが、実はその枠組みか らはみ出すことを発言する権利もないし、力もないのです。そこに、この委員会の混乱 のもとが実はあったということです。皆さんのご意見を、畠中委員の言われた運用の改 善のような形でおさめることも、1つの我々の知恵かもしれません。あれだけ強い調子 で、これを変えろと言われて、しかも委員会まで召集して、それがここまでの議論で、 内部の手直しというか、そういう格好で終わるということでいいのですかね。かなりい ろいろな問題点が既に出てきていて、この状態で収めるというのは、全体の流れとして は私は賛同はできないのです。あとは事務局で検討していただいて、必要ならば先生方 にも議論に加わっていただいて、議論になるような案を打ち出さないとおさまらないと 思います。石連さんは今日で終わりでしょう。 ○安全課長 公開のヒアリングそのものは終了です。今後は、水面下でまた、いろいろ 打ち合わせをさせていただきます。 ○平野座長 そういうことで、皆さんの質問の矢面に立たされて大変だと思います。し かも、紺野さんが答えていいやら悪いやら、よくわからないところまでみんなに聞かれ て、非常に大変だったと思います。しかし、経営者にどこかでパイプラインがつながっ ていると思いますので、むしろ紺野さんのほうから、こんなふうだったよということぐ らいは伝えていいのではないでしょうか。これはあなたたちにとっても非常にいいチャ ンスです。安全を推進しながら、例えば利益を上げるとか、そういういいチャンスです ので、そんなことをお願いしたいと思います。  他にご発言がなければ、これで閉会にいたします。 ○副主任中央産業安全専門官 座長、委員の方々も、時間は過ぎておりますがありがと うございました。次回は12月19日の15時から開催いたします。次回予定している議題 は、会社法の関係や日本企業におけるコンプライアンスなどの点について、少しご説明 をいただきたいのが1点です。それから、いままでの検討結果を踏まえて整理して、報 告書の骨子も検討できればと考えております。どうぞよろしくお願いします。 ○平野座長 どうもありがとうございました。本日は皆様、ありがとうございました。 これで閉会にいたします。                   (照会先) 厚生労働省労働基準局安全衛生部 安全課機械班(内線5504)