『振動工具』の分類状況
『振動工具』とされている工具
<S42.10.5 安発第8号>
・ チェーンソー(排気量40cc以上の内燃機関により駆動するチェーンソー)
<S49.1.28基発第45号,S50.10.20基発第608号 等>
・ さく岩機,チッピングハンマー,リベッティングハンマー,コーキングハンマー,ハンドハンマー,ベビーハンマー,コンクリートブレーカー,スケーリングハンマー,サンドランマー等の打撃機構を有する工具
・ エンジンカッター等の内燃機関を内蔵する工具で,可搬式のもの(チェーンソーを除く。)
・ 携帯式皮はぎ機
・ 携帯用タイタンパー
・ 携帯用研削盤,スイング研削盤,その他手で保持し,又は支えて操作する型式の研削盤(使用するといし直径(製造時のおけるものをいう。以下同じ。)が150mmを超えるものに限る。)
・ 卓上研削盤又は床上研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるものに限る。)
<H5.3.31 基発第203号,H12.2.16 基発第66号>
・ 刈払い機
工具振動レベル測定の対象とされている工具
<S63.1.8基発第11号;詳細は基発第11号本文中で規定>
・ ピストンによる打撃機構を有する工具
イ さく岩機
圧縮空気を動力源とする手持ち式さく岩機であって,次に掲げる機種
a ハンドハンマーb レッグドリル
c ストーパ
*圧縮空気を動力源として打撃と回転によりさく岩を行う手持ち式さく岩機に限定。
したがって,電気さく岩機,油圧さく岩機等は対象から除外。
ロ チッピングハンマー
圧縮空気を動力源とするチッピングハンマーであって,手持ち式のもの
ハ リベッティングハンマー
圧縮空気を動力源とするリベッティングハンマーであって,手持ち式のもの
ニ コーキングハンマー
圧縮空気を動力源とするコーキングハンマーであって,手持ち式のもの
ホ ベビーハンマー
圧縮空気を動力源とするベビーハンマーであって,手持ち式の小型ハンマーのうち,重量2kg以下のもの
ヘ スケーリングハンマー
圧縮空気を動力源とするスケーリングハンマーであって,手持ち式のもの
ト コンクリートブレーカー
圧縮空気を動力源とする手持ち式コンクリートブレーカーであって,重量42kg以下のもの
チ 電動ハンマー
電気ハンマーのうち,手持ち式のもの
リ コールピックハンマー
圧縮空気を動力源とするコールピックハンマーのうち,手持ち式のもの
ヌ サンドランマー
圧縮空気を動力源とするサンドランマーのうち,手持ち式のもの
ル 多針タガネ
圧縮空気を動力源とする多針タガネのうち,手持ち式のも
ヲ ケレン
圧縮空気を動力源とするケレンのうち,手持ち式のも
・ 内燃機関を内蔵する工具
エンジンカッター
金属,石材の切断できるエンジンカッターのうち手持ち式のもの
・ 振動体内蔵工具
イ タイタンパー
鉄道の道床の突き固めに用いられるタイタンパーのうち,電動式のもの
ロ タンパー
タンパーのうち次に掲げる機種
a エンジン式タンパーb 電動式タンパー
ハ 棒状コンクリート振動機
棒状コンクリート振動機のうち,次に掲げる機種
a 内蔵コンクリート振動機b フレキ式コンクリート振動機
c 直結式コンクリート振動機
・ 回転工具
イ 電気ディスクグラインダー
電気ディスクグラインダーのうち,次に掲げる機種
a JIS C 9611に規定する電気ディスクグラインダーb JIS C 9611に含まれない電気ディスクグラインダー
ロ 空気グラインダー
空気グラインダーのうち,次に掲げる機種
a JIS B 4901-1977に規定する空気グラインダーb JIS B 4903-1980に規定する高速空気グラインダー
c JIS B 4904-1980に規定する空気ディスクグラインダー
d 上記a〜dに含まれない手持ち式空気グラインダー
ハ 電気サンダー
b 電気オービタルサンダー
c 電気ベルトサンダー
ニ スイング研削盤
スイング研削盤のうち,吊り下げて使用するもの
・ その他の工具
イ インパクトレンチ
インパクトレンチのうち,次に掲げる機種
a エアーインパクトレンチb 電動インパクトレンチ
ロ バイブレーションドリル
電気ハンマードリル及び振動ドリルのうち,次に掲げる機種
a ドリルが回転するほかに,ピストンを内蔵して打撃を行う電気ハンマードリルb ドリルが回転するほかに,ラチェットにより振動で打撃を行う振動ドリル
c 上記a〜cに類似するバイブレーションドリル及び電気インパクトドリル(注)
注:振動ドリルを外国ではインパクトドリルということがあるが,国内では小型のハンマードリルを電気インパクトドリルと言うこともある。
国内規格・国際規格・海外規格で振動測定方法を規定している工具
<JIS B 7762シリーズ / ISO 8662 シリーズ>
-2 チッピングハンマ及びリベッティングハンマ
-3 ロックドリル及びロータリハンマ *a
-4 グラインダ *1
-5 舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ
-6 インパクトドリル(振動ドリル) *a
-7 インパクト,インパルス又はラチェット動作のレンチ,スクリュードライバ及びナットランナ *2
-8 ポリッシャ及びロータリ並びにオービタル及びランダムオービタルサンダ
-9 ランマ
-10 ニブラ及びシャー
-11 締結工具(釘打ち機等)
-12 往復動作ののこぎり及びやすり並びに揺動又は回転動作ののこぎり
-13 ダイグラインダ *1
-14 石工工具(往復打撃動作で石材加工を行う工具)及び多針たがね
(注) 波線の下線を施した工具は,基発等の「振動工具」に記載されていないもの
*a ロータリハンマ,振動ドリルは「バイブレーションドリル」に含まれる
*1 ISO 8662-4 改正DISでは,Part 4はアングルグラインダのみの規格とし,ストレートグラインダはPart 13のダイグラインダとまとめるとされている。
*2 ISO 8662-7 改正では,ラチェット動作の工具は規格から削除することが検討されている。
<ISO 22867>
チェーンソー,刈払い機(エンジン駆動)
<EN 60745シリーズ(EN 50144は旧規格であるため省略)>
-2-1 ドリル及びインパクトドリル
-2-2 スクリュードライバ及びインパクトレンチ
-2-3 グラインダ,ポリッシャ及びディスク形サンダ
-2-4 ディスク型以外のサンダ及びポリッシャ
-2-5 マルノコ
-2-6 ハンマ
-2-8 シャー及びニブラ
-2-11 レシプロソー(ジグソー及びセーバーソー)
-2-13 チェーンソー
-2-14 かんな
-2-15 ヘッジトリマ
-2-17 ルータ及びトリマ
-2-20 バンドソー
(注) 波線の下線を施した工具は,基発等の「振動工具」に記載されていないもの
振動測定規格記載の工具 と 基発等の「振動工具」
<規格に記載され,「振動工具」には記載されていない工具>
- インパルスレンチ
- スクリュードライバ
- ナットランナ
- ラチェット式レンチ
- ポリッシャ
- ランダムオービタルサンダ
- ニブラ,シャー
- 締結工具(釘打ち機等)
- のこぎり(往復・回転・揺動動作)
- やすり(往復動作)
- ストレートグラインダ,ダイグラインダ
- 石工用打撃工具
- かんな
- ルータ,トリマ
- バンドソー
- ヘッジトリマ
波線の下線を施した工具は「振動工具」の範疇に加えるべきと思われる工具
<「振動工具」に記載され,規格には記載されていない工具>
- リベッティングハンマ,コーキングハンマ,ベビーハンマ,スケーリングハンマ,
コールピックハンマ - エンジンカッタ
- 皮剥ぎ機
- タイタンパー,タンパー
- 棒状コンクリートバイブレーター
- スイング研削盤
- 卓上 / 床上研削盤
点線の下線を施した工具は「振動工具」の範疇に残すべきと思われる工具
<「振動工具」の範疇に加えるべきと思われるその他の工具>
- 型枠バイブレータ
- インパクトドライバ
- ロータリハンマ(ハンマ又はバイブレーションドリルに含める?)
- ケレン(ハンマに含める?)
- グラインダ派生工具(コンクリートかんな,コンクリートカッター等)
- 衝撃式ドライバ / レンチ
- 各種名称のハンマ機構を備えた工具(フラックスチッパ,オートチゼル 等々)
- その他,多くの工具があると思います。(調査が必要と考えます)
<工具に関連しての意見>
★ 基発,測定規格とも動力源「空気圧」「電動」を指定しているものがありますが,同じ作業を同じ機構を持つ工具で行うのであれば,動力源により区別するべきではないと考えます。ちなみに,ISO 8662-7(グラインダ)は,すべての動力源を対象とし,ISO 8662-7(インパクト工具)改正では「動力源による対象工具の区別はしない」ことを前提に作業を進めています。ただし,特定の工具について,振動測定方法を別途設定する必要が生じる場合が生じるかと思います。(「アイドリング」「空ふかし」等の特別の条件を考慮しなければならないエンジン工具など)
★ 「振動工具」(「振動工具」という名称の適否は別として)を工具のカテゴリ(“ハンマ”とか“グラインダ”とかの)で規定することには疑問を感じます。
- 動力工具には新しいカテゴリが発生することが多く,その都度見直しや修正が必要になる。
- 業界・団体あるいは工具使用者により,異なったカテゴリ名(一般名称)を用いていることがある。
ある名称が異なる業界・団体。使用者には理解不能な場合をたびたび経験している。
- 基発第11号 3 (5) 2 ロのように,同じ工具が国内外で異なる一般的名称を持つことがある。このため,海外で工具の説明を行うときお互いに想定した工具が異なっており意志疎通に苦労した経験がある。(海外メーカに適用するとき問題になる可能性がある。特にその名称にこだわるメーカの場合,意図的な判断をされることが考えられる)
- ある機構を持つ工具を想定してカテゴリを規定すると,カテゴリの中に別の機構の工具を含む場合がある。“コンクリートバイブレータ”と言う場合,普通,振動棒式のものを考えるが,「手持ち式型枠バイブレータ:型枠に押し付け振動板で振動を与える工具」も業界内では一般的に“コンクリートバイブレータ”と称されている。
- 動力工具の中には,一つの工具で複数の機能を持ったものがある。
- 同じ目的で用いられる同じ名称の工具でも,振動に対しては異なった特性を持つものがある。スクリュードライバで,ラチェット式クラッチを持つものは打ち込み停止後に振動を伴うが,セルフストール形のものは打ち込み完了と同時に動力が停止する。また,サイレントクラッチ等と称し打ち込み完了と同時に出力軸への動力伝達を遮断するものもある。
いずれも,振動特性は全く異なる。
また,アングルグラインダのように,研削・切断の両用途が前提となっている工具もある。