06/09/28 医療関連サービス基本問題検討会 第20回議事録           第20回 医療関連サービス基本問題検討会                        日時   平成18年9月28日(木)                             15:00〜                        場所   はあといん乃木坂                             312会議室 ○笹子補佐  定刻となりましたので、ただいまから、第20回医療関連サービス基本問題検討会を開 催します。皆様方におかれましては、大変ご多忙のところ本検討会にご出席いただきま して誠にありがとうございます。  議事に入ります前に、役員改選及び人事異動に伴い、本検討会委員及び事務局の交替 がございましたので、ご出席の皆様のご紹介をさせていただきます。まず本検討会の委 員の皆様をご紹介します。  学習院大学経済学部教授の遠藤久夫委員です。  大家他喜雄委員に替わり、社団法人全国自治体病院協議会常務理事の遠藤昌夫委員で す。  日本大学医学部教授の大道久委員です。  財団法人医療関連サービス振興会評議員の川原丈貴委員です。  慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の田中滋座長です。  社団法人シルバーサービス振興会常務理事の長橋茂委員です。  野中博委員に替わり、社団法人日本医師会常任理事の羽生田俊委員です。  青山学院大学経営学部教授の三村優美子委員です。  社団法人日本病院会副会長池澤康郎委員からは所用により遅れるとの連絡をいただい ています。  また本日、所用によりご欠席されている委員の皆様は、  高津茂樹委員に替わり、社団法人日本歯科医師会常務理事の太田謙司委員。  社団法人日本医療法人協会副会長の須藤祐司委員。  社団法人全日本病院協会副会長の手束昭胤委員。  社団法人日本精神科病院協会理事の畑俊治委員です。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  医政局長の松谷でございます。  二川経済課長の後任の武田でございますが、所用により遅れています。お詫び申し上 げます。  経済課医療関連サービス室藤田室長の後任の川瀬でございます。  経済課医療関連サービス室一戸課長補佐の後任の中谷でございます。  私、経済課西平課長補佐の後任の笹子でございます。  事務局を代表いたしまして、医政局長の松谷からご挨拶を申し上げます。 ○医政局長  医政局長の松谷でございます。改めましてご挨拶申し上げます。医療関連サービス基 本問題検討会の委員をそれぞれ引き継ぎいただき、また引き続きお願いをしている委員 がいらっしゃると思いますが、お引き受けいただきまして本当にありがとうございます。 また今日はお忙しいところ、ご出席いただきまして改めて御礼を申し上げます。日頃か ら、医療関連サービスの質の確保、あるいは業界の健全育成という観点からのご尽力も 賜っておりまして、重ねて御礼を申し上げる次第でございます。  我が国における医療環境は、日々、新しい状況を担って改革が進められているわけで ございますけれども、ご存じのとおり、先般の通常国会におきまして、「良質な医療を 提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」というのが、健康保 険法、その他の法案とともに審議をされまして、医療改革という観点からこの2法案が 成立をいたしまして、去る6月21日に公布されたところでございます。  今回の法律改正におきましては、地域における医療機能の分化・連携を推進するため の医療計画制度の見直しをはじめといたしまして、患者さんの視点に立った医療提供体 制のあり方に関する多くの点での改正が行われているところでございます。  医療関連サービスにつきましても、医療機関の経営の合理化・効率化、あるいは患者 さんのサービスの向上に大きく貢献をしていただくという観点から、そのさらなる質の 確保・向上ということが、患者さん、国民の目から見て極めて大事なところでございま して、医療改革の中でも是非、その考え方を持ちながら、医療関連サービスの質の向上 に努めていく必要があると考えている次第でございます。  現在、病院が外部委託を行う場合には業務委託基準というのがあり、検体検査業務等 の8業種につきまして省令等で定めているところですけれども、この業務委託につきま しては、これを定めました医療法の施行後10年以上が経過しておりまして、この間にお ける患者さん、国民のニーズの多様化など、医療を取り巻く環境は大きく変化をしてき ているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、患者さんに対するサービスの質の確保・向上を図ると いう観点から、現行の業務委託の基準の見直しを含めまして、引き続き対応していくこ とが重要であると考えております。本日は、そういった観点からのご検討もお願いした いと考えておりまして、ご参集の委員の皆様方におかれましては、それぞれご専門の立 場から、ご忌憚のない意見を賜って、今後の医療行政の充実に反映させていただきたい と考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 ○笹子補佐  ただいま経済課長が到着しましたので、ご紹介申し上げます。二川経済課長の後任の 武田でございます。 ○武田経済課長  武田でございます。 ○笹子補佐  次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。資料1は医療関連サービスの現況、 資料2−1はガス消毒の比較、資料2−2はオゾンガスについて、資料2−3は課長通 知に規定する消毒方法、資料2−4は患者等の寝具類の洗濯業務の現行基準、資料2− 5は寝具類洗濯専門部会の設置について、資料3−1は医療施設の清掃業務委託基準で 規定している消毒用具について、資料3−2は医療施設の清掃業務の現行基準、参考資 料として業界からの要望書、以上が本日の資料です。資料の未配付など不備がありまし たら事務局にお申し出ください。では、以降の進行につきまして、座長、よろしくお願 いします。 ○座長(田中)  本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。引き続き座長を 務めさせていただきますので、よろしくお願いします。先ほど、医政局長よりお話があ りましたように、医療関連サービスの質、安全の確保のために、この検討会での討議も、 それに役立つ重要な点であると考えます。事務局からご紹介がありましたように、委員 及び事務局の交替により新体制となりましたので、どうぞよろしくお願いします。本日 は病院団体のお三方が欠席ですので、遠藤昌夫委員におかれては、病院の管理者として いろいろとご発言をお願いします。  議事に入らせていただきます。本日の議題は医療関連サービスの現況について、患者 等の寝具類の洗濯業務委託基準の見直しについて、医療施設の清掃の業務委託基準の見 直しについて、その他です。はじめに議題(1)の医療関連サービスの現況について、 事務局から説明をお願いします。 ○川瀬室長  資料1の医療関連サービスの現況について、ご説明をさせていただきます。この資料 につきましては、財団法人医療関連サービス振興会において、3年に一度、実態調査を 行っているものを今回の資料として配付しています。  2頁をご覧ください。左側に事業の種類があります。これらの具体的内容については 右側のサービスの概要という欄にコメントされていますが、今回はこの説明は省略させ ていただきますので、後ほどご参照いただきたいと思います。この中に掲げられている 業種は16業種ありますが、この中で医療法に定められている業務委託基準に関するもの は四角い枠で囲んだ9業種になります。医療法に基づいて委託基準を定めるているもの は8業種ですが、振興会では医療機器の保守点検業務というものを院内医療機器保守点 検と、在宅酸素供給装置保守点検の2つに分けて調査を行っていることから、ここでは 9業種に印しが付されているという状況です。  3頁をご覧ください。委託率の状況を申し上げます。寝具類洗濯・賃貸、医療廃棄物 処理、検体検査については、いずれも95%以上の委託率で、ほぼすべての病院が委託を している実態です。これに次いで院内清掃、医療用ガス供給設備保守点検の委託率が80 %台になっています。院内医療機器保守点検修理、在宅酸素供給装置保守点検、患者給 食については、平成12年から15年の3カ年において高い伸びを示しています。若干、 数字的には低いところですが、院内情報コンピュータ・システムについてもこの3年間 で高い伸びを示しています。  4頁をご覧ください。これは前頁の委託率をライフサイクル曲線に当てはめたもので す。寝具類洗濯・賃貸、医療廃棄物処理、検体検査は完全に成熟期を迎えていると見ら れています。80%台となった院内清掃、医療用ガス供給設備保守点検、70%台となった 院内医療機器保守点検も成熟期を迎えていると見られています。一方、在宅酸素供給装 置保守点検、患者給食、医療事務、院内情報コンピュータ・システム、滅菌・消毒の各 サービスは成長期の段階にあると見られますが、文字通り成長期のサービスとして成長 率が高くなっています。その他のサービスは導入期の段階にありますが、医業経営コン サルティング、院内物品管理の両サービスは成長期に近づきつつあるという状況が伺え ます。  5頁をご覧ください。医療関連サービスへの満足度です。どのサービスについても端 的に満足する病院は必ずしも多くありませんが、全般的に一定の満足を示す病院が多く、 「満足」と「やや満足」を合わせた割合は概ね半数以上となっています。中でも検体検 査、医療用ガス供給設備保守点検の場合、「満足」と「やや満足」を合わせた割合が80 %近くになっています。医療廃棄物処理、在宅医療サポート、寝具類洗濯・賃貸、在宅 酸素供給装置保守点検なども割合が70%前後となっています。  6頁をご覧ください。医療関連サービスマークの認定数です。医療関連サービスマー ク制度は、良質な医療関連サービスの提供に必要な要件を認定基準と定め、この基準を 満たすサービスの事業者に対し、医療関連サービスマークの認定を行っているものです。 トータルの認定数を申し上げると、平成13年度の2,102事業者が、平成18年度においては 2,399の事業者となっています。  7頁以降については、業務委託に関する関係法令ですが、今回はこの説明は省略させ ていただきます。以上で資料1の説明を終わります。 ○座長  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明に対して、何かご質問、ご意見が おありでしたらお願いします。 ○遠藤(昌)委員  いまの資料で説明を省かれた9頁にある表ですが、医療機関内で病院独自、業務委託 とあり、内外における委託基準の有無というところで寝具類洗濯が×になっているので すが、この洗濯というのが×というのは基準がないということを意味しているのですか。 それとも委託してはいけないということを意味しているのですか。 ○川瀬室長  そうではなくて、病院の設備を使って外部の業者が病院の中に入り、病院の中で寝具 類を洗濯するというものに対しては、現在、基準がないということです。病院の寝具を 外部の事業者に委託するということについては基準がありますけれども、事業者が病院 の中に入って洗濯業務をするというものに対しての基準がないということです。 ○遠藤(昌)委員  わかりました。 ○座長  他には、質問はよろしいですか。これは基本的に現在、この業界がどうなっているか の確認を全員でしたということにさせていただいて、次に移ります。次は本日の議題の 2ですが、患者等の寝具類の洗濯業務委託基準の見直しについて、事務局から説明をお 願いします。 ○笹子補佐  ただいま池澤委員がお見えになりましたので、ご紹介します。社団法人日本病院会副 会長の池澤康郎委員です。 ○池澤委員  池澤と申します。よろしくお願いします。遅れまして、誠に申し訳ございません。 ○座長  議題2に関する資料の説明をお願いします。 ○中谷補佐  続きまして、資料2についてご説明いたします。資料2−1ですが、これは寝具類の 消毒方法のうち、ガス消毒についてそれぞれのガスの比較をしています。左側のホルム アルデヒドガスと中央のエチレンオキシドガスにつきましては、現在の基準に定められ ているものです。右側の少し太い線で囲んでいるオゾンガスについて、今回、追加する かどうかを検討していただくこととなります。比較する項目としては有害性や法律規制 などですが、有害性の点についてオゾンガスは、既存のガスに比べて明確なものは認め られていないという状況です。また法律規制のほうも、既存のガスが労働安全衛生法に ついて規定があるのに比べて、オゾンは特に規制がないというところが大きな特徴とな っています。  資料2−2を説明します。オゾンガスについて、基本性質や活用状況などを簡潔にま とめたものです。基本性質については先ほどと重複しますので省略させていただきます。 中段より下の3の活用状況というところで、これは業界のほうで調べていただいた状況 ですが、(1)で病院や老健施設の中で白衣等の殺菌、病室内の殺菌や脱臭、医療機器 や介護用品の洗浄や殺菌について、既にオゾンが活用されている現状になっています。  資料2−3を説明します。現在、課長通知の中で消毒方法が寝具の状況によって分類 されていて、それを簡単にまとめた表です。左側ですが、対象となる寝具の感染の危険 性によって分かれており、いちばん上の部分が一類感染症等の病原体に汚染されている 寝具類となっています。これについては、感染症法等においてその消毒方法が定められ ています。その下の枠ですが、病毒感染の危険のある寝具類ということで、感染症法に は規定されていないものですけれども、感染の危険があるという寝具類についての消毒 方法です。上から蒸気、熱湯、塩素剤、界面活性剤、クロールヘキシジンとあり、その 下に先ほど説明した2つのガスの消毒方法が規定されています。いちばん下の部分が感 染の危険のない寝具類ということで、2種類が定められている状況です。今回、ご検討 いただこうと考えているのが、真ん中の部分の2種類のガスに加えて、オゾンガスによ る消毒というのを、ここに追加するかどうかというのが課題です。  資料2−4ですが、医療法施行規則、局長通知及び課長通知の全文をまとめた資料で す。いちばん右側の部分が課長通知ということで、いま一覧表で示したものです。右下 に小さく頁が打ってありますが、14頁の下の部分に(4)ガスによる消毒という規定が あり、(1)がホルムアルデヒドガスによる消毒、15頁の上で(2)が酸化エチレンガスによる 消毒ということで、現在、この2種類が通知の中で規定されている状況で、ここにオゾ ンを追加するかどうかということになるわけです。  資料2−5ですが、いま説明したオゾンガスについて専門的な観点から検討していた だくために、医療関連サービス基本問題検討会の下に「寝具類洗濯専門部会」を設置し て、オゾン消毒の安全性や有効性について検討することとしてはどうかという提案です。 本日、こちらでお認めいただければということで案として示しています。なお委員構成 については、学識経験者2名程度、医療関係者4名程度、事業者1名程度ということで、 具体的な委員の選定については座長と事務局で相談させていただき、後ほど各委員にお 知らせするという手順で考えています。当面のスケジュールについては、10月ごろから 開始して、全体で3回程度開催し、報告書をまとめて、こちらの検討会にご報告させて いただきたいと考えています。説明は以上です。 ○座長  ありがとうございました。最終的に決めるのはこの専門部会の設置の是非ですが、そ の前に親委員会としての責務で、このガス消毒にオゾンガスを加える検討をしていいか どうかを議論したいと思います。資料及び説明に対する質問でも結構ですし、ご意見で も結構です。お願いします。 ○遠藤(昌)委員  質問ですが、資料2−2の基本性質の有効性のところですけれども、この間、ちょっ と話題になったセレウス菌とか、田舎のほうへ行くと枯草菌とか、そういう芽胞を作っ たり酵素に似ているような菌が結構空中を飛び回るのです。そういうものにもこれは効 くのでしょうか。 ○中谷補佐  その点に関しましても、専門部会のほうで検討していただければと思います。 ○座長  それを検討事項に含めよということですかね。 ○遠藤(昌)委員  検討していただきたいという希望を出すことで、今日のところはよろしいですか。 ○座長  そうですね。 ○遠藤(昌)委員  このオゾン発生器というのは最近ブームで、沢山の業者がいろいろな方法で造ってい ます。安い発生器だと普通の空気をそのままオゾン化させるので、5分の4含まれてい る窒素もついでに酸化されてNOxという有害ガスとして出てきてしまいます。PSA方式 といって吸着剤を使って酸素と窒素を分離し、酸素だけオゾン化するというのが最近の 主流だと思います。その方法でも、酸化されないとはいえ、窒素も一緒に出てくると思 うのです。比率は4対1のままだからいいのかなとも思うのですが、その辺に対する配 慮とか、もともと窒素と酸素を分ける装置は、窒素を取り出すために開発されたものな ので、酸素のほうは副産物として出てくるものであって純度はそんなに高くないと思わ れるのです。それでもいいのかどうか。  あとは実際に行う場合、どのように使うかなのです。ギシッと寝具類を詰めた部屋の 中でガスを循環させても、寝具どうしがピタッとくっついている所はオゾンガスが入っ ていかないのです。だからその辺は、完全にオゾンガスが行きわたったかどうかを検証 する検証方法があるのかどうか。  うちの病院には、日本で最初に感染管理ナースの資格を持ったナースがいて、インフ ェクション・コントロールチームを作っているのですが、彼女に聞いたところ、このオ ゾンガスのエビデンスはまだかなり低くて、ほとんどエビデンスがないのではないかと 言われました。私のほうは素人で、「そうか、じゃ、言っておくよ」と言って出て来た のですが、エビデンスレベルがどのぐらいあるかということです。  この設置要綱を拝見すると、有効性や有毒性に関しては学識経験者などが入って検討 することになっていますが、実際の運用に関する事項も検討していただきたいと思いま す。今回、セレウス菌の問題が起きたときに、うちの病院もいち早くインフェクション ・コントロールチームが、院内での対処方法についてマニュアルを作って配布しました。  その際に、業者との関係を調べて愕然としたのですが、委託契約を結んでいる中に、 運用に関する取り決めが何も書かれていないのです。値段がいくらだとか、どのぐらい で取り替えるとか、そういう規約は作ってあるのですが、何の消毒法を用いて、どのよ うな状態にして納品するとか、安全であるという検証はどうするのかとか、そういう契 約内容になっていないのです。そういう契約方法をしなければいけないという法律があ るのかどうか調べたのですが、私が不勉強なのかもしれませんが、ほとんどないみたい です。法的には、「業者はこういう基準を持っていること」という法律ですし、委託す る場合には、「そういう基準を満たしている業者に発注しろ」という法律はあるのです が、実際に契約を結ぶときに、この寝具に関しては、いっぱいある消毒方法の中でどれ を使って、どういうふうにして納めなさいとか、そういう取り決めは全然ないのです。 そのために某医大のセレウス菌の問題などが起きたりすると思うのです。うちの病院で も、業者が納入する消毒済寝具の中にセレウス菌が大量に繁殖していたとしても、全く 防げないです。その辺の契約方法についての具体的な方法も一緒に検討していただける と、現場としてはありがたいかなと思いました。 ○座長  そもそもエビデンスがあるかどうかは検討されるのでしょうが、それだけでなくて機 器の種類、ガスが本当に行きわたるかどうかも、部会で検討してほしいというご意見で したので、それを踏まえて作業してください。それと最後の契約のあり方に関する規制 というのは、何もオゾンガスに限らず一般的な話だと思いますが、それについては何か 事務局でありますか。 ○川瀬室長  契約自体の中に、個々の細菌等を全部羅列するようなものになるということでしょう か。いま大きく分けている感染の例えば一類から四類、それ以外だとか、感染性のある ものとか、そういう括りの中で今のセレウス菌がどの分類に入るのか。それによってた ぶん変わってくると思います。 ○遠藤(昌)委員  私の病院でも現状は非常に危険で、もし納入された寝具から院内感染して訴えられた ら、絶対に裁判では勝てないから、次年度の契約ではそういうのを全部盛り込んだ契約 にしますと病院の企画担当者は言っているのですが、ではどういう契約書を作ったらい いのかというと、全然わからないのです。 ○座長  モデル契約は、確かに納期や価格が書いてありますね。たぶんオゾンに限る話ではな いご質問ですので、前段のオゾンの機器をどうするかとか、ガスが全体に行きわたった かどうかというのはオゾンの話だけでいいと思いますが、専門部会に委ねる話と、むし ろ事務局でお考えいただくものと、両方ご指摘いただいたので即答できないにしても、 検討をお願いします。 ○笹子補佐  若干、補足させていただきます。資料2−4で省令や通知が一欄表になっているもの があると思います。その右下の洗濯15というところをご覧いただきたいと思います。こ こに業務委託モデル契約書というものを示しています。ここの中では納期と納入場所、 業務遂行上の注意事項、対象物、寝具類の取扱い等々について示していますので、ご紹 介させていただきます。 ○大道委員  いわゆる医療関連サービスの質の担保については、医療関連サービス振興会という団 体が、質担保のための認証事業をやっているのです。この認証事業で認定を受けた者と 病院は契約しなければならないということではないようです。これまでの経緯では国の 立場から言えば、ここにあるさまざまな規則、さらには局長通知、課長通知等について しっかりと遵守されていれば、医療機関として契約することは適正であるという考え方 だと思います。  業界の努力としては、いま言った医療関連サービス振興会の中に、適切で合理的な認 定のためのさまざまな諸基準が準備されているはずです。この寝具についても認定事業 が行われていると私は認識していますが、そこで一定の質を担保しようという業界での 努力はあるわけです。医療機関がどこの業者と契約するかは医療機関の裁量の範囲です けれども、医療関連サービス振興会としては、質をそれなりに保証した業者はこうであ るということを公表しているわけですので、この辺は医療機関としては大いに参考にす べきだろうと考えます。この辺は長い経緯があるところですので遠藤(昌)委員もご存 じかと思いますが、私の認識はそういうことです。 ○遠藤(昌)委員  全然知らないです。 ○大道委員  そうですか。是非、ご認識いただいて、そのために大変な努力をしてきていますので、 よろしくどうぞ。実は私はその関連サービス振興会の認定評価委員会でしたか、長年、 その委員を仰せつかっていて、毎回、それなりに一生懸命議論はしておられると受け止 めていますので、私が申し上げていいかどうかわかりませんが、関連でご報告します。 ○座長  ありがとうございます。仕組みが背景にあるというご説明をいただきました。非常に 助かります。 ○川瀬室長  いまの資料2−4の同じ一欄表ですが、これの5頁の左を見ていただけますか。医療 法の施行規則のところで、第十一号と第十二号に掲げるものを業者と病院のほうで確認 してもらう。それで先ほどの契約モデルというところで実質上やっていただくというの が基本です。行政のほうで細かいところまで表記できない部分を、こういうところで実 質上の病院の意向を業者に示すような形で、整理されているという状況かと思います。 ○座長  よろしいですか。ほかの点でもご質問、ご指摘がありましたらどうぞ。 ○大道委員  確認ですが、今回の計画は寝具に関連したということで今日の会議があると思います。 資料1の7頁の下に8業務が出ているわけですが、この中で(7)に患者等の寝具類の洗濯 とあり、ここでオゾンガス消毒法というものを適用することの妥当性ということで、よ ろしいのですね。ただ、オゾンガスの活用については、つい先般あった医療機器等の滅 菌消毒との関わりがあります。この辺の関係は国のほうではどう考えているのですか。  方法論的には、この間やったばかりの議論なのですが、今回、オゾンガス法を認める というのは、あくまでも寝具類、リネン関連に限るというか、そういうことで検討する ということなのですね。医療の現場はかなり進んでいると言いますか、今でもEOGは もちろん使っているのですが、エアレーションといって滅菌後にガスを飛ばすのですが、 排気装置がかなり不備な病院が散見されるということで、大分気を使っている。こうい うことがあるからオゾンガス法という方法が合理的なのではないかという専門家の助言 がありますが、寝具とともに医療機器の滅菌についてはこの検討会として、我々はどう いうスタンスで議論したらいいのかなということです。まずマル7ですねと言われるの であれば、そういうつもりで議論させていただきたいと思いますが、もし検討の余地が あるのだったら確認を事務局でしていただきたいという気がします。 ○座長  今すぐわからなければ、また後日回答ということになるでしょうか。 ○中谷補佐  医療機器等の場合は最終工程が滅菌まで求めています。今回は消毒についての検討な ので、寝具類の洗濯業務に限っての適用とさせていただきたいと思います。 ○大道委員  わかりました。了解です。 ○座長  ほかに確認事項、ご質問はありますか。ほかにないようでしたら、いま幾つか出た要 望も含めて専門部会で検討していただくことにして、その専門部会の設置を承認するこ とで、よろしいですか。 (異議なし) ○座長  異議なしですので、事務局から提案のあった専門部会の設置を検討会としては承認い たします。なお先ほど事務局からもありましたように専門部会の人選につきましては、 学識経験者、医療関係者、業界という構成にさせていただきますが、最終的に座長に一 任させていただきたいと存じます。よろしいですか。 (異議なし) ○座長  ありがとうございました。専門部会のメンバーが確定しましたら委員の皆様にお知ら せいたしますので、事務局においてはそのように手続を踏んでください。  次に議題の3です。医療施設の清掃の業務委託基準の見直しについて討議します。事 務局から説明をお願いします。 ○中谷補佐  資料3−1に基づいて説明させていただきます。現在、清掃事業者が具備すべき消毒 用具については、施行規則において定められていますが、この施行規則の改正について ご提案させていただき、ご検討いただきたいというものです。具体的には、真ん中の四 角の中にあるのが現行基準で、下線を引いているところで「清掃用具及び消毒用具を有 すること」となっています。その消毒用具として真ん中にロとありますが、「消毒を行 うための噴霧器」というのが定められています。現在、院内感染防止の通知の中で噴霧 器の使用は不可という研究報告がされています。2頁が医療施設における院内感染の防 止についてという資料になります。さらに3頁のところで下線を引いていますが、この 通知の中で、「一律に広範囲の環境消毒を行わないこと。血液もしくは体液による汚染 がある場合は、汚染局所の清拭除去及び消毒を基本とすること」となっています。さら に2つ下の○の下線で、「近年の知見によると、消毒薬の噴霧、散布、薫蒸や紫外線照 射などは効果が不確実であるだけでなく、作業者への危険性もあることから、これらの 方法については、単に病室等を無菌状態とすることを目的として漫然と実施しないこと」 となっています。この根拠は厚生労働科学研究において示されていて、それが4頁、5 頁の部分で、5頁に同様の箇所について下線を引いて示しています。6頁に噴霧器の実 際の機器の写真の例を示しています。要するに噴霧器で消毒剤をまくのではなく、実際 に局所を清拭しなければ効果がないという知見に基づく通知となっています。1頁に戻 っていただき、こうした通知や知見が出ていることから、現在の業務委託基準の中にあ る消毒を行うための噴霧器については削除してはどうかということで、いちばん下の四 角の中が改正案となっています。このロの部分を削除して、さらにロに関連して下から 2行目の部分も「消毒用具」という部分を削除しています。  資料3−2は、いまお示した施行規則等の全体をまとめたものです。具体的には2頁 のいちばん左の囲みの中の下の部分で三のロと、4頁の左側の五のロにある消毒用具に 該当します。  これに関する参考資料として、平成18年7月28日付で(社)全国ビルメンテナンス協会 から、委託基準に定めれている噴霧器の削除についての要望書が出ています。この要望 書の中で、実際には噴霧器による噴霧法はほとんど行われていなというコメントが出さ れています。施行規則の改正に関するご提案については以上です。 ○座長  ありがとうございます。検討会で決めるのは、最終的に提案のような省令改正を行う かどうかになります。いまありました説明及び資料について、質問やご意見がありまし たらお願いします。 ○遠藤(昌)委員  床面とかに付いた生物学的な汚れが目に見えている場合には、そこを拭けばいいので すが、目に見えていない場合にどうするのかということです。それと、これは清掃業者 に対する規制ですよね。そう言っては申し訳ないですが、清掃業者というのはピンから キリまであるのです。自治体病院というのは必ず入札制なので、その点で非常に苦慮し ているのです。こちらが長年お付合いいただいて、すごくきれいにしてくれる業者は値 段が高いのです。清掃業というのはほとんど人件費ですから、1人いくらというのでこ ちらも大体計算できるので、このぐらいという予算をとって入札にかけます。しかし、 応札してくる業者はピンからキリまであるので、その半額ぐらいで応札してこられると、 もう絶対にうまくいかないと分かっていても、落札されてしまうと契約しなければいけ なくなってしまいます。そうすると拭き取れと言っても、例えば50メートルある廊下を きれいに拭き取るってすごい大変な労力なので、適当に拭いて、はい、終わりましたと 言われたときに、そのぐらいだったら噴霧したほうがまだいいかなというところが現実 問題としてあるのです。  私の病院でも、この前、SARS騒ぎのときに患者さんを1人引き受けたのですが、 その後、アルコールで全部きれいにしなければいけないということになりましたが、そ れを誰がやるかというと、結局、清掃業者に頼むしかないのです。うちの職員ではとて もできませんし、だから清掃業者に頼みました。彼らは噴霧器を持って来てアルコール をまいていましたけれども、そういう場合、どうなるのかなというのがちょっと心配で す。 ○中谷補佐  これを削除しましても、さらにその下の具体的な運用を示す課長通知では、きちんと 清掃のほか消毒をしなさいということで具体的なことを定めています。逆にこの厚生労 働科学研究の言いたいことは、まさに漫然と噴霧していると、粒子ですので例えば消毒 したい床に粒子が付いたとしても、粒子と粒子の間に隙間があればそこは消毒されない ことになりますので、それよりはきちんと清拭をするほうが有効だということになりま す。 ○遠藤(昌)委員  噴霧してから、あとザーッと拭くわけで、噴霧してから拭くとほとんど全部カバーで きますけれども、最初から拭き取るだけだと本当に大変なので、それこそ噴霧した時の 粒子の間よりも拭き残した面積のほうが、はるかに大きくなる可能性があるのです。拭 き残しは100%ないという何か保証があればいいのですが、その規定は法律的にはないわ けです。 ○中谷補佐  そうですね。ただ、拭き残しがないというのが、噴霧をしていれば拭き残しがないと いうことも担保されているかどうか。これを削除しても噴霧してはいけないというわけ ではないですね。 ○川瀬室長  ここは用具としての削除はありますけれども、実質上というか、病院との契約におい ては、解釈上は使用しても構わないということになります。 ○遠藤(昌)委員  使われても構わないと言っても、法的には噴霧器を常備する必要はないと言われてい るので、うちにはありませんからできませんと言われた場合に、どうなりますか。 ○川瀬室長  先ほどと同じように、病院は、こういう手法、こういう仕様で清掃なり消毒をしてく れという契約になりますので、病院がどこまで業者に対して仕様書を求めるかというこ とです。だから逆に言いますと、そういう仕様を作って、それに応じる業者は病院の言 うことはちゃんとできるわけです。例えば病院が噴霧をして清掃なり消毒をしてくれと いう仕様を作れば、当然、噴霧をしなければいけないですから、噴霧器がないとそれは 履行できないということで、もともと応札資格がないという形になります。 ○遠藤(昌)委員  何か矛盾しているみたいですけれど。法的には整備する必要がないと言いながら、現 場ではないと応札できませんよというのは何か法律を無視しているみたいで、業者のほ うから今度は反対に訴えられて、国が認めているのにこの入札の公示はおかしいから、 これは書き直すべきだと言われたらどうなるのでしょうね。 ○中谷補佐  そこは個別の契約の問題ですので、確かにご懸念はあろうかと思いますが、ここはあ くまでも厚生労働科学研究で、漫然と噴霧をしても効果が不確実だという事実に基づい て、この改正案というのを提示しています。確かに噴霧の後、さらにきれいに清拭して いただけるのであれば、清拭によってきちんと消毒効果というのが得られているので、 そういった使い方をしているのであれば問題ないと思いますが、ただ、そうは言っても、 噴霧器がなければこの基準を満たしていないというのでは、漫然と効果がないと言われ ている噴霧器を有することを基準にしていることになりますので、そこは正すべきでは ないかというのが今回のご提案の趣旨です。 ○羽生田委員  医療施設内で、いま遠藤(昌)委員が言われたようにはっきり血液が垂れているとか いったものは、清拭することによってきれいになるというのは理屈としてわかるのです が、例えばSARSであるとか、いま問題になっているインフルエンザが感染を起こし た場合に、これは院内であろうと院外であろうと噴霧による消毒以外は広範囲な消毒は、 まず無理だろうと思います。ですから通常の施設内での清拭業務、清掃業務については、 噴霧はせずに拭くことということは構わないのですが、噴霧器まで持たないでいいとい うことが本当にいいのか。噴霧器も、こういう清掃業者がもし噴霧器を常備していて他 の場所で使うということであれば、例えば保健所でそういったものができたときに、保 健所だけでは当然消毒しきれませんから、業者委託もしなければならないことが必ず起 きると思います。その時に、私の所は院内専門だから噴霧器は持っていませんよという 所ばかりになってしまったら、実際のところ非常に困ることが起きるのではないですか。 全部拭いてまわるわけにいかないと思います。その場合に広範囲な所の消毒というのは、 いちばん効果があるものとしては噴霧というのが、広範囲では効果があるのではないか と思います。私は感染症に関して専門家ではないのですが、その点はいかがなのでしょ うか。 ○大道委員  私の理解では、おそらくこれは、とりあえずの根拠は小林先生と大久保先生の研究班 の話ですよね。先ほどある意味でわかりやすく言われたのでしょうけれども、噴霧とい うことは粒子状のものが平面に付着するだけであれば、その間の感染性の細菌とかさま ざまな事というのは、決して効果的ではないですよということをエビデンスとして示し たのだと思います。噴霧でも程度にもよります。ベタッと付くぐらい噴霧するのか、非 常に曖昧な状況のままでやると効果的ではないということが、今回、それなりに国の研 究費で証明されエビデンスとして出てきたということ。したがって噴霧することだけで の、ここで言う清掃業者としての行政上の通知というのは適切ではないと。むしろ噴霧 器は置かなくてもいいと削除するのでなく、しっかりと清拭という、なめるようにやる ことがより効果的だということが実証され、また理解のある病院はそれをやっているの です。いままで何となくガスをまいたり、拭けば何となくきれいになった気分になって いたけれど、必ずしもそういうことではないのだということが、ここ10年来の話です。  私もこの報告書を読ませてはいただいているのですが、決して噴霧をしなくていいと いう意味ではなくて、そのかわりに労力はかかるけれども、ちゃんと清拭をしてくださ いよというふうなことなのですよね。そこのところをはっきりさせないと、業者のほう は噴霧をしなくていいから、ここは適当にちょいちょいとなめればいいですよという話 では、たぶんないのだということを、通知の中で反映することになるのではないでしょ うか。そういうふうに徹底しないと、いまのようなある種の誤解を招くので、いま遠藤 (昌)委員が言われたのも、噴霧した上で拭いているのでしょう。 ○遠藤(昌)委員  そうです。 ○大道委員  噴霧してまいたほうが、それなりにいちいちやるよりよほどいいのであれば、噴霧し てあげてしっかりまくというのは1つの方法だと思います。 ○羽生田委員  通常はアルコール噴霧した後に拭いていますよね。 ○大道委員  それは、よくやる手法ですよね。 ○遠藤(昌)委員  病室に出入りするときに、手を消毒するためのアルコールも噴霧ですから、手にプシ ュッとやって、あと手を揉んでおくわけですが、それは噴霧だし、鳥インフルエンザの ときも、テレビの画面に出てきた業者がやっていたのは鳥舎とか全部噴霧でした。だか ら結局、噴霧で万全を期しているわけではないけれども、次案の策として噴霧を使わざ るを得ない場合というのが必ずあると思います。よくアメリカから導入されてくるCD Cガイドラインとか、ああいうものもエビデンスレベルが一見高そうに見えるのですが、 ある特殊な条件設定の中でデータを取って、それを拡大解釈していたりするのがあるの で、CDCなどでも数年に1回、結論が全く逆になったりすることがあるのです。です から、ちょっと何かエビデンスが出たからと、すぐに飛び付いて変えてしまうというの も、ちょっと危ないかなという気がします。 ○中谷補佐  (社)全国ビルメンテナンス協会のほうから、現在、清掃業務で事業者が噴霧をやっ ているのかどうかという実態調査で、数字を示していただいているデータがあるのです が、これによると、消毒方法として清拭ですか噴霧ですかというアンケートについては、 156の事業者のうち、「清拭」というのが148、「噴霧」というのが8です。パーセント にすると清拭が95%、噴霧が5%という実態調査の結果です。  ただ、噴霧器を使用しているかどうかについては、まさに噴霧器を使用しても清拭を していれば、いまのアンケートでは「清拭」と答えると思いますので、使用しているか どうかについては「使用している」が156のうち28で18%、「使用していない」が128で 82%です。単純に数だけでは言えないかもしれませんが、実際に清拭をしている、ある いは噴霧を使用していない所も相当あるという実態があります。 ○遠藤(昌)委員  もちろんそうでしょうけれども、ではその5%を無視していいのかということなので す。その5%が噴霧器をどういう背景、状況で使ったかということです。ただ漫然と業 務契約を結んで、毎日、毎日、病院の中を清拭する代わりに、ピューッとただ噴霧した だけということをやっているのか、或いは、例えば結核患者が発生してしまった、だか ら病室などを消毒しなければいけない、そういうような状況で使ったのかということで す。そういうところまできちっと調べてあって、それで噴霧器が本当に必要ないのかど うかです。 ○中谷補佐  実際に普段は使っていないけれども、具備させるべきではないかというご意見かと思 いますが、ただ、通常以外の特別な場合というのは、別の法律によって消毒されるもの と認識しておりますので、これは一般の清掃事業者が備えるべきものということですか ら、必ず持っているべきかどうかという点で、必ず持っているとされている噴霧器によ る消毒は有効ではないという報告も一方であるものですから、ここをどう考えるかとい うことかと思います。 ○座長  感染症法で定めるようなときの話とは別の、普通の清掃の話であるとの整理ですね。 SARSの類があったときはもっと別な法律等によって、そこは噴霧を含む消毒があり 得るという説明をしているわけですね。 ○遠藤(昌)委員  しかし、臨機応変に対応しなければいけないときに、自治体病院というのは融通がき かないのです。特殊な消毒をしなければならないとなって、では業者を頼もうと言うと、 まず業者が市に登録されている業者かどうか、随意契約でいいのか入札しなければいけ ないのか、そういうことをいろいろ考えると、今まで1回も頼んでいない業者になんか 頼めないのです。だから自ずといつも頼んでいる業者に、ちょっとお願いだからやって よ、というのが一般的なのです。だから法的に特殊な場合も担保されていますよと言っ ても、現場はそれに即していない。すると法律をつくっても全く活きない法律になって しまう。 ○大道委員  そもそも医療関連サービスの行政側の位置づけというのは、これは医療機関が適正な 外部委託を行うためには、こういう条件を具備する業者にしか委託できませんという、 そういう規制をしているわけです。これは業務委託基準です。いま、そこで業務委託基 準について、「噴霧器を具備していること」というのが基準に入っているわけです。し たがって現段階の法運用では、すべての清掃を委託する業者は噴霧器を整備している。 していなければ委託を受けられませんからね。しかし、実際に調査してみると、噴霧器 を使っている所は、はっきり言って9割方は使用していませんという話が実態として上 がってきたわけです。  それで要件として、業務委託基準としてこの噴霧器を付けるということは今日の業界 からの報告もありますし、さまざまな状況の中で、そういうことでなくてもいいのでは ないかというのが、この検討会に課せられた議論です。どうしてもSARSの問題とか AIDSの問題など、さまざまに特段の配慮を必要とする清掃の場を想定したときに、 この範囲の中でやらなければいけないとか、そういうことではないと思います。  私も先ほど申し上げたようなことで、これまでいろいろな議論をさせられているもの ですから、いまの段階で噴霧器を業務委託基準に持っていなければ委託できませんとい うのは、ちょっと実情に合わないと思います。ただし、特段に、いまお話があったよう に結核患者が発生して排菌の状況があり、早速転院はさせたものの、あとの病室をどう するのですかというのは、一般の清掃基準の範囲で運用するのではなく、特段に配慮し たことを業務として病院が業者に指示する。その上で適当にやれという訳にはたぶんい かなくて、委託元としての責任をそれなりにしっかりするためには、適正に委託された 業務が実施されたかどうかを確認するというか、ちゃんとしなければならないというの が、一応の医療関連サービス業務についての遂行の考え方だし、契約が適正に実施され たかどうか確認するのは、病院の責任という考え方できていると私は理解しています。  ただ、遠藤(昌)委員がおっしゃるのもよく分かるのです。そうは言ったって人手は 足りないし、いちいちそれをどうやって確認するのか、それは大変なことだし自治体病 院は特段にそうだと遠藤(昌)委員は強調されますが、自治体病院に限らず、今はどこ の病院も大変なのです。 ○遠藤(昌)委員  わかりました。 ○大道委員  実際には、どこの病院も大変なのですが、そこは、そういう考え方で議論を進めたほ うがいいのではないでしょうか。 ○羽生田委員  感染症法に基づく消毒方法というのは、また別にあると思います。その時にはおそら く噴霧器を使ってということで、ですから業者としてそういうところまで業務としてや るというところは、噴霧器を当然用意することになるのだろうと思います。医療施設の 中でのこれはこれで、ほかの時の対応がきちっと別にあるということであれば、それは それでいいと思います。 ○座長  議論するとお互いに理解が進みますので、日常の清掃と、そういう特段の感染の恐れ のときの話という二段構えで、ここは大部分の日常の清掃について、このような噴霧器 を置くのは実情に合っていないとの提案だったと思います。でもおかげさまでみんな理 解が進みまして、問題点もわかりましたし病院経営の大変さもわかりました。 ○中谷補佐  資料3−2の3頁の右側に(5)とあり、特定感染症患者の場合の清掃の方法の中に は、感染症法、結核予防法に定められたということになっていますので、こうした特殊 な場合については、その他の規定によることとなっています。 ○座長  清掃ではなく消毒というコンセプトが適用されると。ほかの点はいかがですか。 ○大道委員  関連で、むしろ先ほど遠藤(昌)委員が言われたことなのですが、どうも昨今、特に 自治体等公務員組織と言ったらいいのでしょうか、入札によらざるを得ないのです。名 前は出しませんが例のエレベーターの事件があって以来、今日はたまたま清掃の話です けれども、食事サービスや関連サービス8領域それぞれに多かれ少なかれあるのですが、 入札という形でやることをどうしても迫られる事業体での質の担保の問題は、もしかし たらこの医療関連サービス検討会の基本課題になる可能性があります。安いことはいい のですが、その質を担保していることの確認行為というのは、医療機関は現実にはかな り難しいのです。  ですから、やらなければいけないというのは先ほどあえて私は申し上げたところです が、質を担保するために国のさまざまな業務委託基準が守られていれば、その範囲の中 でできるだけ安い所を取ればいいということを迫られる運用というのは、もしかしたら 問題が出てきているのではないか。今までもあったのでしょうが、今後、この問題をど うするかは運用の問題として、特に契約の問題などは民間もそうなのですが、特段にい ま申し上げているような自治体病院等での考え方というのは、もしかしたら改めて検討 したほうがいいのではないか。ちょっとそういう思いがしました。どういうふうにした らいいかというのを、いま持ち合わせているわけではありませんが、質の担保の状況を もう少しはっきりさせて、その上で価格をどうするかというのは、医療関連サービスと いう、これだけ育った大きな分野があるわけですし、この議論をして20年近く経ってい ますので、検討したほうがいいのではないかという意見です。 ○座長  事務局でご検討ください。確かにエレベーターのような事故があってはいけません。 特定の課題ではなくて一般論として質を担保するためにどうしたらいいか。ほかはよろ しいですか。一応、議論はありましたが、この清掃に関する省令改正については原案の とおりで、よろしいですか。 (異議なし) ○座長  ちゃんと配慮しつつということです。では本日の議題については、これで終了です。 ほかに事務局から何かありますか。 ○川瀬室長  本日はお忙しい中ご出席いただきまして、大変ありがとうございました。ご承認いた だきました専門部会につきましては、先ほど座長からもありましたように、メンバーが 確定しましたら、委員の皆様方にお知らせいたします。同じくご承認いただきました噴 霧器の削除に係る省令改正については、今後、事務局において作業を進めてまいります ので、よろしくお願いします。本日はご審議をいただきまして、大変ありがとうござい ました。 ○座長  これにて、本日の検討会を終了いたします。                                     −了− (照会先) 厚生労働省医政局経済課    医療関連サービス室        佐藤、峰岸 03−5253−1111 (内線)2538又は2539