06/09/27 第２３回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録


第２３回 労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会

１　日  時　平成１８年９月２７日（水）１３：００～１５：００

２　場  所　厚生労働省職業安定局第１会議室（１３階）

３　出席者　委  員（公益代表）
                      諏訪部会長、大橋委員、北村委員、椎谷委員、白木委員
　　　　　　　  　（労働者代表）
                      池田委員、成瀬委員、野村委員、長谷川委員、原委員、
                      山川委員
                  （使用者代表）
                      荻野委員、奥田委員、片野坂委員、郷農委員、成宮委員、
                      樋渡委員

　　　　　　事務局　髙橋職業安定局長、鳥生次長、岡崎高齢部長、生田総務課長、
                    楪葉雇用政策課長、内田雇用開発課長、尾形外国人雇用対策課長、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
                    久保村能力開発課長、菅野地域雇用対策室長、阿部若年者雇用対
　　　　　　　　　　策室長、荒牧建設・港湾対策室長、藤枝外国人研修推進室長

４　議  題
（１）人口減少下における雇用対策の検討について
（２）建設労働者雇用改善法に基づく実施計画の認定について

５　議事内容

○諏訪部会長　ただいまから第23回の雇用対策基本問題部会を開催させていただきま
す。議題に入る前に、事務局である職業安定局の幹部に異動がありました。髙橋局長、
鳥生次長、岡崎高齢・障害者雇用対策部長がそれぞれご就任されましたので、ご紹介を
お願いいたします。

○髙橋職業安定局長　９月１日付で職業安定局長に就任いたしました髙橋です。委員の
皆さま方には引き続いてご指導をお願いいたします。よろしくお願い申し上げます。

○鳥生職業安定局次長　安定局次長にまいりました鳥生と申します。どうかよろしくお
願いいたします。

○岡崎高齢・障害者雇用対策部長　高齢・障害者雇用対策部長、岡崎です。よろしくお
願いいたします。

○諏訪部会長　

（出欠状況報告）

　議事に入ります。本日の議題は２つありまして、１つが「人口減少下における雇用対
策の検討について」、もう１つが「建設労働者雇用改善法に基づく実施計画の認定等に
ついて」です。まず、第１の議題「人口減少下における雇用対策の検討について」を、
議論していただきます。はじめに事務局から資料の説明をいただきまして、その後で皆
さまにご審議いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。　

○生田総務課長　私からは「人口減少下における雇用対策の検討について」、資料－１
と資料－２を使いまして説明させていただきます。

　資料－１については、８月２４日に職業安定分科会から当基本問題部会に検討依頼が
ありました。検討依頼がありました中身について、分科会の議論でも相当議論が拡散し
たということもありまして、どういった点について集中的に議論をすべきかということ
について、きちんと事務的に整理をして示すようにということで、諏訪部会長からもお
話がございまして、整理をしたものがこれです。分科会で検討依頼します際に、必要な
法的整備として、雇用対策法と地域雇用開発促進法の改正を頭に置いて、検討依頼をし
ていただいていますので、その辺りを中心とした論点の整理をしたものです。これにつ
いて順次説明してまいります。

　雇用対策法の説明に入る前に、雇用対策法がどういう法律かということについて説明
をしたほうがいいと思いますので、最初に資料－２の１頁です。雇用対策法の条文が付
けてありますが、雇用対策法は昭和41年にできた法律で、それ以降大きな改正はされて
いません。全体の体系は１頁に目次がありますように１章から７章までです。大きく総
則のところに法律の目的なり、あるいは雇用政策の体系について書いてあります。第２
章に雇用対策基本計画、３章に求職者・求人者への指導、４章が技能労働者の養成確保
に関係する規定、５章が職業転換給付金、６章が事業主に対して再就職の援助をお願い
するための規定です。

　２頁の第１条に「目的」が書いてあります。昭和41年にできたときの目的のポイント
は、第１項の後半部分で「労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとと
もに、国民経済の均衡ある発展と完全雇用の達成とに資することを目的とする」と書い
てありますが、こういったことが雇対法の目的のポイントとなっています。

　２頁に４条で「国の施策」ということが書いてあります。これは３頁の右側につなが
るものですが、この「国の施策」は、雇対法が雇用対策の基本法であるということを示
すものでして、具体的な法的ルールについては、雇用関係の各法律、例えば高齢者雇用
安定法だとか、障害者雇用促進法とかいった法律の中で書いてあるわけですが、そうい
った法律の上位概念である政策の方向性を示す部分がここです。

　現在４条には１号から７号まで列挙されています。１号が職業紹介・職業指導につい
て、２号が技能労働者の養成について、３号が就職困難者の就職を容易にするための職
業転換、地域間移動等について書いています。４号が離職を余儀なくされる労働者の円
滑な再就職の促進の対策、５号が唯一、対象者別のメニューとして、高年齢者の職業の
安定を図るための定年の引上げ、あるいは継続雇用制度の導入の円滑な実施。６号が不
安定な雇用状態の是正を図るための、雇用形態の改善等を促進するために必要な施策と
いうことで、６号が制定当初は季節労働者の通年雇用を中心に想定されていたようです。
７号がその他の対策で幅広く雇用対策を受けるための号です。こういったメニューが掲
載されていますが、現在の雇用対策の状況に対して、十分に精査されていない状況にな
っています。

　４頁には第７条で事業主にお願いする事項として、「労働者の募集及び採用について、
その年齢にかかわりなく均等な機会を与えるように努めなければならない」という条文
があります。この条文に基づいて６頁の12条に「指針」というのがありまして、年齢に
よってできるだけ区別しないように、ということを具体化するためのメニューを、大臣
指針の形で示すという根拠規定が12条になっています。

　４頁の第２章で「雇用対策基本計画」の条文があります。この８条の中に雇用対策基
本計画の具体的な内容が書いてありますが、この計画については３項にあるように、「雇
用対策基本計画は、政府の策定する経済全般に関する計画と調和するものでなければな
らず、かつ、職種、技能の程度その他労働力の質的側面を十分考慮して定めなければな
らない」と書いてあり、政府の経済計画の存在が前提となった計画となっています。そ
の点については、政府の経済計画が平成14年以降「改革と展望」という毎年度改定する
計画ではないものに取って代わったものですから、その前提がなくなっているというこ
とで、この計画自体どうするかについて議論が必要ではないかと考えています。

　５頁に３章とありますが、この「求職者及び求人者に対する指導等」については、職
業安定法の中に書いてもいいような事柄について、当時の環境から雇対法の中に具体的
規定が盛り込まれている部分です。これについて特段の手当は不要ではないかと考えて
いる部分です。６頁にも「求職者に対する指導」あるいは「求人者に対する指導」で、
具体的な条文が並んでいますが、いまの流れの中で特段の手当は必要ではないと思って
いる部分です。

　７頁は４章で「技能労働者の養成確保等」があります。こういった内容については、
職業能力開発促進法の中で、具体的な施策メニューは掲げられていまして、あくまで、
その上位概念として、どういう政策をとっていくかという基本的な考え方を示すもので
すが、16条、17条に「職業訓練の充実」と「技能検定制度の確立」があります。こうい
った部分については、その用語の整理も含めて見直していく必要がある部分があるので
はないかと考えています。

　７頁の第５章ですが「職業転換給付金」です。これについては具体的内容は８頁の第
18条に掲げられています。この職業転換給付金は、雇用保険の失業等給付の支給が終了
した後の特別の離職者等について、一般会計で特別の給付を出すことを手当てする規定
です。想定されているのは、以前炭鉱離職者のような方もおられましたが、今では駐留
軍離職者だとか、あるいは漁業関係の離職者の方、あるいは本州四国連絡橋の離職者の
方とか、そういう国の特別の対策によって離職した方を中心とした支援、対象者になっ
ています。こういった部分についても、特段見直す必要はないと思っています。

　９頁の６章に「事業主による再就職の援助を促進するための措置」ということで、再
就職援助計画について規定されています。この再就職援助計画については、１つの事業
所で基本的には30名以上の離職者が出るような事業規模の縮小が必要になったときに、
再就職援助計画を事業主の方に作っていただく。作っていただいた事業主の方には、一
定の支援ができるという枠組みが書いてあります。こういった点についても引き続き必
要だと理解していまして、特段に見直す必要はないと思っています。

　11頁の27条に「国と地方公共団体との連携」という規定があります。この規定につ
いては、平成11年に地方分権一括法に基づいて、地方事務官制度が廃止になったときに
できた規定です。当時は都道府県庁の中に職業安定課なり雇用保険課なりという課があ
りまして、労働大臣から都道府県知事宛に指示が行って、その都道府県知事がハローワ
ークの所長宛に指示をする流れで、機関委任事務の形式で地方公共団体を経由して指示
が流れていました。ですから、対策の実施については、地方公共団体と一体的にハロー
ワークも仕事をしていた実態がありましたが、地方分権の議論の中で、その機関委任事
務というような、国から地方公共団体に対して一方的に指示する仕組というのは、否定
されたということもありまして、法定受託事務あるいは自治事務という事務しかできな
くなったということもあります。

　ハローワーク関係の雇用関係の事務については、基本的に国の直轄事務、直接執行事
務という整理になっています。そういう中で、国と地方公共団体が連携して仕事をすべ
きだ、ということを明らかにするためにできた規定です。27条に関わるような規定につ
いては、現在のような地域別のさまざまな問題が起きている中では、見直していく必要
があるのではないかという問題意識をもっています。

　28条ですが、大量雇用変動届があります。これは先ほどの再就職援助計画よりもさら
に範囲が広くて、事業規模の縮小などにはかかわらず、30名以上の雇用量の変動、つま
り離職者が出たときに届出をするというものでして、届出を罰則で担保する義務規定で
す。こういった規定が今後の雇対法の見直しの中で参考になるケースがあるのではない
かと考えています。以上が雇用対策法の中身です。

　資料ー１は２つに分けて書いています。１つは雇用対策法関係、１頁目です。雇用対
策法については、その柱書きに書いてあるように、雇用対策についての基本法として、
国が実施すべき雇用対策の基本的事項を定めています。ただ、人口減少下において、よ
り多くの人が社会を支えるということで、若者、女性、高齢者、障害者といったすべて
の方で働く希望をもつ方については、みんなに働いていただける政策を実施すべきでは
ないかということで、そういった点について盛り込んでいく必要があるのではないかと
いう問題意識があります。具体的には以下のような点について検討することが考えられ
ますので、順次説明します。

　最初がいま申し上げた点と若干重複しますが「新たな雇用政策の目的及び国の施策に
ついて」です。これについては人口減少下において、より多くの者が社会を支えるとい
う観点から、若者、女性、高齢者、障害者など、すべての人の就業参加の実現を目的と
して、雇用政策を展開することを明らかにするため、法の目的を改めるということで、
法律の目的を昭和41年当時想定されていた事態と環境が相当変わっているので、目的自
体を変えることがまず必要ではないかと考えています。第４条に掲げられている国の施
策についても、その並び方、体系、用例、あるいは個別施策についても盛り込まれてい
ないという問題がありますので、この４条の各施策について、整理をしていく必要があ
るのではないかと考えています。

　「事業主の責務」です。これは再就職援助計画ともかかわりがありますが、再就職の
援助あるいは募集・採用時の年齢制限の是正ということで、先ほど申し上げたような規
定があります。こういう規定については、こういう形での規定をさらに設けることにつ
いて検討をすべきではないかということで、いま若者について、若者の複線型雇用とい
ったことが非常に重要ではないかという議論がされています。そのために若者の能力、
経験の正当な評価及び採用の機会の拡大について、事業主に一定の配慮をいただくとい
ったことを規定する。あるいはその規定に基づいて大臣指針の形で、例えばこういう形
での若者雇用へのご協力をお願いしたいということについて、具体的に書くことが考え
られるのではないかということで、この点についてご議論をいただきたいということで
す。

　次が「雇用対策基本計画、地域との連携強化」の点です。雇用対策基本計画について
は経済計画が14年１月に終了して「改革と展望」に変わっているので、雇用対策基本計
画は終了させたうえで、次のような対応が必要ではないかということで、２頁の冒頭に
(1)(2)で整理をしています。(1)が地域の実情と合わせて、かつ機動的に雇用施策を実施す
るために、都道府県労働局長が毎年度、都道府知事の意見を聴いて雇用施策の実施に関
する方針を策定する、ということにしてみたらどうかというものです。

　これについては、先ほど地方公共団体と国との連携について規定があるということを
申し上げましたが、実態的になかなか連携が進みにくいという面もありますので、こう
いった方式をとることによりまして、国、出先機関としての都道府県労働局と県との間
で、十分なその施策についての意見交換がなされて、その地域に合った雇用対策が実現
できるということで、非常に意味があることではないかと考えています。

　もう１つが(2)です。こういった都道府県労働局ごとの方針を策定する前提として、ど
ういう点を盛り込むのか、あるいは国全体としてどういう方向を目指すのかといったこ
とについて、全国方針といったものを厚生労働大臣が定めたらどうかということです。

　外国人労働者の問題です。これについては外国人労働者の雇用管理改善、外国人雇用
状況報告の義務化等ということで、項目を起こしています。外国人労働者については、
現在、各方面でさまざまな議論がなされています。基本的には私どもは単純労働者は今
後も認めないという基本方針は堅持する考え方ですが、現実に技能実習生の方、あるい
は日系人の方も含めて、国内にたくさんの外国人の方が入って来られています。そうい
う方が働いておられることについて、十分実態の管理をしていくべきではないかという
声があります。

　今年の３月に閣議決定された規制改革・民間開放推進３か年計画の中でも、外国人雇
用状況報告というのを、現在、法律上の根拠は特にないのですが、とらせていただいて
いますが、その外国人雇用状況報告の内容を拡充して義務化することについて、提言さ
れていまして、それを実現していく必要があると考えています。その際には大量雇用変
動届あるいは再就職援助計画のことをご紹介しましたが、そういった規定も参考に、雇
用対策法の中に一定の規定を設けるということがあり得るのではないかということが、
ここの問題意識です。

　次に「地域雇用開発促進法関係」です。地域雇用開発促進法については、全国的に雇
用情勢が非常に改善してきているということですが、ただ、地域によっては非常に厳し
い情勢が続いているところもありまして、地域間格差が顕著です。雇用情勢が特に厳し
い地域については、重点的に対策をとるという手法で、今後地域雇用対策を進めるべき
ではないかという基本認識があります。併せて地方公共団体で独自の取組、創意工夫を
するということがありますので、そういった創意工夫を生かす形での雇用対策の実施が
大事ではないかという問題意識を、最初の４行に書いています。

　その次の○に具体的な地域法の見直しのことが書いてあります。現在は雇用機会増大
促進地域、求職活動援助地域、能力開発就職促進地域、高度技能活用雇用安定地域とい
う、４つの地域類型ごとに支援策が盛り込まれていましたが、これを再整理して、(1)と
して雇用情勢が特に厳しい地域と、(2)にある雇用創造に向けた市町村等の意欲が高い地
域の２つの類型に再編をして、これらの地域に合った助成策、あるいは支援策を検討し
ていくことがいいのではないかという問題提起です。以上が議論のためのたたき台とし
て準備しました論点です。

　資料－２で、いまの説明にかかわる関係資料を簡潔に説明させていただきます。資料
－２の12頁までは雇用対策法の条文で、いま説明したところです。13頁は「雇用対策
法の改正経緯について」です。昭和41年にできたときのことが13頁の２に書いてあり
ます。一言で申しますと、技能工不足ということもあって、技能工の養成の必要性が高
いということと、もう１つは、人が足りない地域に人の余剰がある地域から地理的な労
働移動をさせるということが、この法律の制定の背景にあります。規定の内容もそれを
踏まえた中身になっています。３の２行目の最後ですが、「技能労働者の養成確保、職
業転換の支援等に係わる施策を盛り込んだ」と書いていますが、このとおりの内容にな
っていました。

　14頁はそれ以降の法改正の経緯です。まず48年に一度改正がありました。そのとき
には高年齢者雇用安定法の改正で、定年引上げの規定が盛り込まれた中で、それに該当
するような部分を４条に盛り込んだということです。平成11年には地方分権の関係、あ
るいは中央省庁等改革の関係で、２つの見直しがされています。１つは国と地方公共団
体の連携規定、先ほどご紹介した規定が設けられたということ。あとは雇用対策基本計
画について、雇用審議会の意見を聞くというのを、雇用審議会がなくなってしまったも
のですから、経済財政諮問会議の意見を聞くという整備がされたということがあります。

　平成13年の改正では、労働者の募集・採用について、年齢に係わりなく均等な機会を
与えることについての、事業主の努力義務規定ができまして、それについての指針を設
ける規定ができました。再就職援助計画とそれに係わる助成等についても規定が設けら
れました。

　15頁から19頁までですが、これについては４条の国の施策の各号が、それぞれ各法
律で、どういう法律を想定して作られたかということを示す資料です。１号の職業紹介
については職業紹介にかかわるような規定、これは代表例でして、それ以外ももちろん
指している規定等はありますが、こういう法律のこういう規定。２号は技能検定だとか、
技能労働者の養成ですが、これについては職業能力開発促進法のこういった規定です。

　16頁は労働者の職業転換、地域間の移動などについては、雇用保険法あるいは雇用対
策法のこういった規定。４号の円滑な再就職の促進。離職を余儀なくされる労働者の円
滑な再就職の促進については、そこに掲げられている雇用保険法、あるいは雇用対策法
の規定。５号の高齢者の定年の引上げ等については、高年齢者等の雇用の安定等に関す
る法律の規定、あるいは雇用保険法の規定です。６号の雇用形態の改善などについては、
雇用保険法の中で、季節労働者に対応する規定がありますが、そういった規定。７号に
ついては、雇用対策法のさまざまな規定がありますが、代表例として７条が掲げられて
いますが、こういった規定を想定しています。

　20頁はいわゆる年齢指針の具体的な中身です。年齢指針については、年齢にかかわり
なく均等な機会を与えるということで、具体的に第二に掲げられていることをやってい
ただくことと、第二に掲げられていることを行うときに、第三の事項の要件に該当する
ときには、年齢制限をすることが可能であるということを書いています。こういった形
で指針を定めて対応するということで、雇対法で対応しています。

　21頁、こういった年齢制限、年齢指針を設けることによりまして、政策効果が上がっ
ていることを説明するための資料です。21頁の平成13年に年齢指針が出来たわけです
が、14年には年齢制限不問求人が急に16.7％にまで上がっています。直近では16年12
月に年齢制限不問求人が増えていますが、これは高年齢者雇用安定法で、年齢制限を設
ける場合に理由を明記するといった規定が設けられた中で、こういうふうに年齢制限不
問求人が増えているという状況です。

　22頁は、経済計画と雇用対策基本計画の対応関係について示した資料です。ずっと経
済計画と雇用対策基本計画については対応していた。第１次計画は若干ずれがあります
が、それ以来ずっと対応してまいりました。直近では平成14年以来、経済計画がなくな
ってしまいまして「改革と展望」の形で毎年置き換える方式になっています。「改革と
展望」に変わって以降、雇用対策基本計画の見直しがされていないということです。

　23頁は経済計画についての法的根拠です。経済計画については、従来の経済計画は経
済企画庁設置法の中で、「長期経済計画の策定に関すること」ということで、計画をき
ちんと作ることが設置法の事務として規定されていまして、法律上の根拠がきちんとあ
ったということです。それに比べて、現在の「改革と展望」については、内閣府設置法
の４条の中で、次に掲げる事項の企画・立案ならびに総合調整に関する事務を司るとい
うふうに、４条の柱書きで書いた上で、１号で短期及び中長期の経済の運営に関する事
項、２号で財政運営の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案のために必要となる
事項という書き方で、これを具体化する中で中期展望を設けているということで、中期
展望そのものについての法的根拠は特にない状況になっています。

　24頁、25頁、26頁、27頁、28頁については、雇用対策法の中の各号列挙の中の職業
紹介の次に能力開発が書かれています。能力開発についての現在の対策、それから平成
19年度予算要求をしている事項の重点を整理したものです。24頁の現在の対策について
は、大きな柱がありまして、１つが能力開発。能力開発が４つに分かれていて、１つが
事業主等が行う能力開発を支援するやり方、２つ目が労働者が自分で勉強することを応
援するやり方、それから公共職業訓練を実施するやり方、主に若者に着目して、フリー
ター・ニートのキャリア形成支援というやり方が上に書いてあります。下のほうでは能
力評価・技能振興といった行政手法について書いてあります。いちばん下に国際協力が
書いてあります。

　25頁以下に19年度の概算要求のものがありますが、19年度、新しい取組としては、
25頁の１の（１）の「実践型人材養成システム」の普及促進。あるいは（２）の最初の
○にあるような年長フリーターの常用就職支援における「年長フリーター自立能力開発
システム」の整備といったこと、その下の「・」にある「再チャレンジ機会拡大プラン」
の中で、フリーターとしての経験能力を適切に評価する手法の開発・普及があります。

　26頁では前年と同じですが、地域若者サポートステーションについて拡充強化を図る
ということ。正社員転換のための非正規労働者に対する企業内職業能力開発の促進とい
ったこと。27頁の派遣労働者への能力開発・キャリア形成といったことがあります。28
頁については障害者の能力開発への取組なり、あるいは技能実習制度の適正な運用につ
いての取組について書いています。

　29頁、30頁は職業転換給付金制度についてです。職業転換給付金については２の（１）
の(1)から(5)にある求職者向けの給付と（２）の(1)、(2)にある事業主向けの給付ですが、
基本的には雇用保険受給者に対して出されている給付と並びの給付とご理解いただけれ
ば結構かと思います。財源については基本的に一般会計でみる考え方です。30頁が「職
業転換給付金支給状況」です。14年、15年と雇用状況が悪化したせいもあって一時的に
増えていますが、傾向としては減少傾向だということです。

　31頁、32頁、33頁が再就職援助計画についての資料です。31頁が「再就職援助計画
の概要」ですが、これについては、事業規模の縮小等に伴いまして、30人以上の離職者
が出る場合に出していただくものです。これについての支援策が33頁に書いてありま
す。今年まではこの３つの助成制度で支援することになっています。ただ、雇用保険３
事業の見直しの議論がありまして、定着講習支援給付金については18年度限りで廃止と
いうことですが、この前の２つの助成制度については引き続き設けていますし、こうい
った形で支援していくという考え方です。32頁に「再就職援助計画の認定状況」があり
ます。これは14年がいちばん多かったのですが、それ以降、減少傾向にあります。

　34頁、35頁、大量雇用変動届についてです。大量雇用変動届については、34頁の２
にあるように、「事業規模の縮小等」という要件は特にありませんで、自己の都合又は
自己の責めに帰すべき理由によらないで離職する者の数が、30人以上の場合に出してい
ただくものです。これについて国として、３に書いてある支援を行うという前提です。
罰則で担保する規定になっています。この大量雇用変動届についても、再就職援助計画
よりも件数は多いのですが、大きな流れとしては、平成14年以降減少傾向にあります。

　36頁、37頁では「国と地方公共団体の連携・協力について」の資料です。これについ
ては先ほど口頭で説明した内容が書いてあるということで、後ほどお読みいただければ
と思います。

　38頁以下は若者に関する関係資料で、ポイントとなるものを抜き出したものです。38
頁がフリーター・ニートの数です。これは何度か説明していますが、フリーターについ
ては最盛期2003年の217万人から2005年の201万人まで相当減ってはまいりました。
ただ、その減っている対象はあくまで15歳から24歳という若い層でして、25歳から34
歳の層については98万人から97万人までしか減っていません。そういうことで、いわ
ゆる年長フリーターと言われる層についての対策が現在非常に重要でして、こういった
層が滞留している状態を打開することが大きな課題になっています。ニートについては
64万人という数がずっと変わらないということです。

　39頁、「年齢階級別非正規雇用比率の変化」が左側の図です。これについては直近の
数字が右側の黒い棒グラフです。やはり20歳から24歳、あるいは25歳から29歳とい
った層で、非正規雇用者比率が上がっているということで、若い層での非正規が増えて
いるのが最近の特徴です。右側に正規→非正規、あるいは非正規→正規といった形で雇
用形態が変わっていく、就業形態が変わっていくことの推移について書いたものですが、
最近、増えているのは、正規から非正規に変わる人、あるいは非正規から非正規にその
まま変わっていく人がやはり多いということです。非正規から正規になるような方が最
近少し増えてきましたが非常に少ないということです。

　40頁は正社員・フリーターの今後の就業希望です。正社員の方に正社員を希望される
方が多いというのは想定されることですが、フリーターについても正社員希望が72.2％
いるということです。フリーターについての評価については、一応、統計データとして
は「評価にほとんど影響しない」と答えていただいている企業が多い状況です。ただ「マ
イナスに評価する」という企業も30％あります。フリーターを正社員として採用する場
合の上限年齢階級別企業数の割合を書いていますが、やはり上限としては、20～24歳と
いうことで24歳よりも下と答える企業、あるいは25歳～29歳ということで29歳より
も下と答える企業が非常に多く、30を超えると相当きついという感じはすごく出ていま
す。

　41頁ですが、通年雇用あるいは第二新卒の採用について、企業がどういう対応をして
いるのかについて示した資料です。通年採用については既に導入している企業が25.6％
ありますが、ただ、25.6％しか導入していただいていないので、こういった動きをさら
に進めていかないと、なかなか年長フリーターの雇用は進まないのではないかと考えて
います。第二新卒についても、採用対象としない企業が44％もありまして、こういった
点が注目していくべき点ではないかと考えています。42頁は最近の雇用環境の改善によ
りまして、新規学卒の方については相当状況が好転していることを示す資料です。

　43頁以下は若年者雇用対策についての提言を列挙したものです。冒頭に「骨太2006」
が書いてありまして、その下に「経済成長戦略大綱」、それから「新しい少子化対策に
ついて」、44頁の頭にある「再チャレンジ可能な仕組み構築」といった中で、若者の対
策については相当手厚く記述をされています。中心は年長フリーターを中心とした方の
採用を進めるための複線型雇用の導入といったことについて、対応すべきではないかと
いう点が多くあります。45頁には少し前のものですが「若者自立・挑戦プラン」の提言
等もあります。

　政府の提言以外のものとしては、45頁の中ほどから日本経団連からの提言、その下に
は東京商工会議所からの提言。46頁の日本経団連からの提言については、複戦型雇用に
ついても、それなりに対応すべきではないかということが、内容として盛り込まれてい
ます。46頁のいちばん下には連合の提言があります。

　47頁から51頁までについては、現在の若者対策について説明している資料です。学
生の段階からキャリア探索プログラムといった取組を行うとともに、新規学卒者につい
て就職を進めるための若年者ジョブサポーターの活用といった対応、あるいは六本木ジ
ョブパークのような所で、大学生向けの就職支援を行うといった取組、未就職卒業者に
ついて、トライアル雇用といった試しに働いていただくという手法を使っての雇用の促
進といったことに取り組んでいます。

　48頁にジョブカフェによる就職支援、日本版デュアルシステムの取組があります。現
在取り組んでいる柱の対策は、49頁に書いてある「フリーター25万人常用雇用化プラン」
です。これについては昨年度「フリーター20万人常用雇用化プラン」ということで計画
を立てさせていただきまして、22.5万人の雇用が実現できたわけですが、今年度も25
万人を達成できるように努力をしています。50頁、51頁はいわゆるニート向けの対応で
して、「若者自立塾」対策あるいは「地域若者サポートステーション」の対策が掲げら
れています。

　52頁、53頁、54頁は19年度の新規施策です。52頁に19年度の新施策の冒頭部分が
ありますが、やはり中心は年長フリーターの常用就職支援です。能力開発のところで若
干単語が出てきましたが「再チャレンジ機会拡大プラン」が中心です。その中で新しい
メニューとして「ジョブクラブ方式による常用就職の支援」を考えています。53頁のと
ころではフリーター・ニート対策で、これは能力開発局の施策の説明の中で既に申し上
げました。

　３ですが、学生向けのガイダンスです。これについては就職希望者の多い商業高校、
工業高校、あるいは普通高校でも希望者が多い学校をすべて網羅しまして、常用就職の
利点、あるいはフリーターになった場合にはこういう問題があるのだといった、フリー
ター化防止のための内容のガイダンスを設定する取組をやろう、ということで考えてい
ます。54頁の５にあるように、「複線型の応募機会の拡大に向けた取組の推進」も非常
に大きな柱になっています。この２行目にある法的整備等の取組については、雇用対策
法の改正を想定しています。

　55頁ですが、これ以下が地域雇用にかかわる資料です。地域雇用の問題については、
全国的な雇用状況は改善していまして、55頁の上のほうに書いてある愛知県、東京都、
三重県という所は、相当雇用がよくなっている所ですが、下のほうの、いわゆる７道県
については、雇用状況が悪いままになっています。こういった引き続き厳しい地域につ
いて、対応を重点化する必要があるのではないかということです。

　56頁にはこういった地域雇用対策についての提言ということで、政府の提言としての
「骨太2006」、あるいは「経済成長戦略大綱」があります。基本的には「地域の雇用再
生プログラム」を想定しています。雇用再生という切り口から地域再生を図るというこ
とで、政府全体で取り組もうという考え方です。

　57頁には地域雇用対策について、雇用が悪い地域を中心とした要望事項が整理してあ
ります。要望の主なものとしては、地域雇用開発促進法による地域雇用開発の継続実施
といったこと、あるいは(2)にある地域雇用創造支援事業の継続実施や、パッケージ事業
はその中に含まれる重点的なものですが、パッケージ事業等の重点的な継続実施です。
それから雇用改善の一体的な推進に向けた自治体や関係機関との連携の強化で、国と自
治体が連携することは、各県とも希望していることではないかと考えています。58頁は
現在の地域雇用対策について整理をしたものです。大きく２つありまして、１つは地域
雇用開発促進法に基づく対策です。もう１つがパッケージ事業等を中心とした地方公共
団体独自の取組を支援するという手法があります。この２つが現在の地域雇用対策の柱
です。

　59頁は現在の地域雇用開発促進法の枠組みについて整理したものです。４つの地域が
そこに整理されています。そこに書いてある地域ごとに対策を講じるというものです。
60頁以下にその４つの具体的な地域指定の対象が整理されていますが、これは説明は省
略いたします。

　72頁はパッケージ事業で、地方公共団体の創意工夫を支援するものです。ここに書い
てある雇用創出メニュー、あるいは能力開発メニュー、あるいは情報・相談メニューと
いった取組について支援することにしていますが、実施規模についてはいちばん下に枠
がありますが、事業額は１地域１年度当たり２億円を上限と書いていまして、３年間対
応することになっているので、最大６億円までいくということですが、平均額が大体
5,000万程度で、１億5,000万程度で事業をされている所が多いということです。

　73頁から76頁までが、そのパッケージ事業を実施している地域です。77頁がいわゆ
る７道県について、重点的に支援をするその内容を整理したものです。78頁はその支援
内容をどの程度実施できているかという、実績を整理したものです。78頁でわかるよう
に、バックアップ事業、あるいはパッケージ事業といった事業について、当初の想定よ
りは高いカバー率になっているということで、７道県には相当その支援が集中している
という実状にもなってきています。

　次の頁は「地域雇用戦略会議」と書いてあります。これは現在７道県で取り組んでい
ただいているものでして、今年の年末には地域雇用戦略というのが７道県で取りまとめ
られる見通しです。地域雇用戦略については、厚生労働省の施策だけではなくて、その
いちばん下に各地方支分部局の名前が書いてありますが、地方運輸局、地方整備局、経
済産業局、総合通信局、地方農政局。内閣官房自体も出向いて対応する形で、全政府で
取り組む形になっています。

　80頁は、先ほど政府の提言で来年の２月にまとまる予定になっている「地域の雇用再
生プログラム」についての資料です。これについても厚生労働省が支援メニューを提供
するだけではなく、各省が支援メニューを提供して、雇用再生を図るという考え方です。

　81頁は地域雇用開発促進法に基づいて、現在事務方として、どういう見直し内容を想
定しているかという資料です。左側にあるように、現在は４つの地域について、それぞ
れ助成金なり、委託事業なりの対応をしています。見直し後については、雇用状況が悪
い地域については、雇用開発促進地域（仮称）と名付けまして、いろいろなタイプの助
成金をメニュー化して提供することで支援しようというものですし、雇用創造推進地域
については、少し雇用が悪い地域について地方公共団体が中心となって、独自の取組を
していただくときに支援していこうというものです。

　82頁は来年度の地域雇用開発関係予算です。いま法律の見直しで説明しましたような
事項に対応する予算要求について記述しています。83頁は地域雇用開発について、３事
業の見直し検討会議の中で指摘された点について表にして整理したものです。例えば雇
用安定事業の３番目、４番目の事業、地域産業施策連携推進事業、あるいは地域求職活
動援助事業といった事業については、３事業見直し検討会議の中でも、「廃止すること
が適当」と提言されています。今回の見直しはそれにも対応していく必要があると考え
ています。

　84頁以下が外国人についての資料です。外国人については数がどういうふうに変化し
ているかについて、84頁のグラフのとおりです。平成７年から17年まで増加を続けて
います。この外国人問題については、さまざまな所で議論がされていますが、私どもの
雇用対策法にかかわるという意味での閣議決定についてはこれで、85頁に「規制改革・
民間開放推進３か年計画」ということで、冒頭に線を引いている所に書いてあることが
書かれています。「職業安定関連法令を改正し、外国人を雇用する全ての事業主に対し
て報告を義務づけるとともに、本人氏名・在留資格等、現在は収集していない情報も新
たに求めることについて検討し、結論を得る」ということが言われていまして、これに
応えていく必要があるということです。

　86頁は現在の「外国人雇用対策の体系」です。任意の制度ではありますが、外国人雇
用状況報告を取らせていただいて、外国人の求職者については、職業紹介を的確にやる
ということ、(3)にあるように、雇用管理の改善の指導をする、あるいは(4)にあるように
適正就労を確保する、不法就労を防ぐといったことが対策の中身になっています。87頁
には、雇用状況報告の概要が書いてありますが、これについてはカバーしている外国人
労働者が大体20万人ぐらいだということで、適法就労外国人が大体60万人なので、そ
の中の３分の１程度が現在でもカバーはされています。

　88頁が「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」の要約で、89頁以下がフルバ
ージョンがセットされています。この指針は法律上の根拠があるものではなくて、労働
基準局長、職業安定局長、職業能力開発局長、３局長通達という形で示されているもの
です。この３局長が外国人についてはこういう対応をする、ということを宣言したもの
でして、これに従い事業主の方にお願いするということを今もやっています。

　92頁は「研修・技能実習制度の現状」について整理したものです。これについては技
能実習の入国者は当然増えています。その対象の産業については繊維・衣服関係、機械
・金属関係、食品製造関係が数としては多く、対象国としては中国が圧倒的に多いとい
うことです。それから中小企業の受け入れが多いということです。93頁にあるように、
この技能実習については、１年の研修と２年間の実習の形になっています。２年間の実
習期間中は雇用労働者として働くという整理でして、雇用保険の被保険者にもなってい
ただいています。

　94頁以下です。94頁以下は女性労働にかかわる資料です。94頁の上は「女性の年齢
階級別労働力率」、94頁の下が「女性の就業に関する意識の推移」、95頁は「雇用者に
占める女性割合」「平均勤続年数の推移」を示しています。96頁にはパートタイム労働
者について増えてきているということを示す資料です。女性労働者に関する提言につい
ては、97頁、98頁にありまして、やはり「骨太2006」あるいは「経済成長戦略」「少
子化対策」といった中で、さまざまな提言がなされていますが、これについては女性の
就業支援といったこと、あるいは少子化対策という観点も踏まえた両立支援といったこ
とが、中心に盛り込まれています。

　関係団体の提言としては、98頁に連合の提言が掲載されています。99頁は現在行われ
ている女性労働対策について整理したものです。いわゆる均等対策、両立支援対策、パ
ートタイム労働対策、在宅ワーク対策といったものが大きな柱になっています。100頁
から101頁にかけては、19年度の新たな概算要求の内容です。いま申し上げましたよう
な点を中心に、新しい政策を要求しています。

　102頁以下が高年齢者雇用対策にかかわるものです。102頁は完全失業率、有効求人倍
率について年齢階級別に示したものですが、やはり高い年齢層は厳しいという実態です。
103頁には継続雇用について。65歳までの継続雇用については、徐々に道筋がついてき
たことを示す資料です。104頁、105頁が高年齢者雇用対策に対する提言ということで「骨
太2006」「経済成長戦略大綱」「再チャレンジ推進会議」のとりまとめが掲げられてい
ますが、いずれも高齢者の就業参加を促すという内容です。とりわけ「再チャレンジ可
能な仕組みの構築」という中では、70歳まで働ける企業の普及促進ということも掲げて
います。

　106頁は現在の「高年齢者雇用対策の体系」です。体系としては65歳までの雇用、再
就職の促進、高齢者の多様な就業・社会参加の促進です。107頁からは19年度の概算要
求でして、65歳までの継続雇用を確実に定着させることと、108頁から書いてあるよう
に、70歳まで働ける企業を普及促進するといったことが中心です。

　110頁以下については、障害者雇用対策についての資料です。110頁は障害者雇用率の
推移、あるいは雇用障害者数の推移ですが、徐々によくなってはきています。一時期雇
用情勢が悪化したときは相当落ち込んだのですが、よくはなってきてはいますが、さら
にこういった対応については、強化していく必要があるだろうと考えています。111頁
は障害者の職業紹介の就職率や就職件数が掲げられています。

　112頁から113頁は障害者雇用対策についての提言です。「骨太2006」あるいは「経
済成長戦略」「再チャレンジ」といったところで、やはり障害者の再チャレンジを応援
することについて盛り込まれています。115頁には現在の障害者雇用対策の体系が整理
されています。この体系については事業主に対する指導・援助で、障害者雇用率制度を
中心とした事業主の方に対するお願いをする、障害者の特性を踏まえた職業リハビリテ
ーション等を行う、障害者雇用に関する啓発を行うという大きな柱で対応しています。

　116頁以下が19年度の概算要求の内容で、今後の新しい政策展開に即した新しいメニ
ューがあります。ポイントだけ申しますと、116頁の「関係機関のチーム支援による、
福祉的就労から一般雇用への移行の促進」で、ハローワークを中心に、障害者の就労支
援チームを組んで障害者雇用を進めるといった取組。117頁のいちばん上にあります養
護学校の先生、生徒、親と一緒になって、養護学校卒業段階から雇用を進めるといった
取組。「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」ということで、発達障
害者に着目した就職支援。118頁の３にある医療関係者との連携した就職支援といった
取組を進めようとしています。

　最後に120頁以下で、正規・非正規問題にかかわる資料です。120頁は正規労働者に
ついて、平成６年以降減少を続けていましたが、平成18年に若干もちかえしたという数
字。非正規雇用者については、ずっと増加を続けている数字を示しています。そういっ
た数字についての四半期ごとの動きが121頁です。122頁は正社員の有効求人倍率等に
ついて示したものです。全体の有効求人倍率は７月の段階で1.09ですが、正社員有効求
人倍率は0.60というのが、現在の状況です。123頁は都道府県ごとのそういった数字に
ついて示すものです。

　124頁はパートタイム労働者、あるいは派遣労働者が、現在の仕事に就いた理由につ
いて整理したものです。最近の傾向としては、特に派遣労働者について顕著なのですが、
「正社員として働く会社がなかったから」という数が増えてきてはいます。パートタイ
ム労働者については逆に「自分の都合のよい時間に働けるから」という数が減ってきて
いる傾向があります。

　125頁以下に非正規雇用に関する提言があります。これについても関係団体の提言が
最初に掲げられていますが、連合、日本経団連といった団体の提言です。それから再チ
ャレンジにかかわる提言があります。政府関係の再チャレンジ可能な仕組みの構築だと
か、あるいは経済成長戦略大綱の中で書かれているのは、非正規労働者について再挑戦
ができることの支援をするといったことや、均衡処遇を実現するといったことが書かれ
ています。こういった問題点も頭に置きながら、議論を進めていく必要があるのではな
いかと考えています。

　127頁は、平成19年度の非正規にかかわる予算要求の内容です。職業安定局の関係で
申しますと、ハローワークにおける正社員就職増大対策が非常に大きなメニューです。
ハローワークでのマッチングを進めるためには、ハローワークでの求職者は正社員希望
が圧倒的に多いので、そういった方の就職につながるように、企業の方にも現在の労働
市場の状況について十分説明をして、いまの求職者に合った求人の内容に少しでも変え
ていただければというお願いをしていこうというのが、これです。

　４つ目の○に「製造業の請負事業の適正化及び雇用管理の改善の推進」がありますが、
これは製造業の請負事業で働く人の雇用管理改善を進める、あるいは適正就業を進める
ために、請負事業者の方、あるいは発注者の方向けにガイドラインとチェックシートを
作る。それを活用して、雇用管理改善・適正化を図っていこうというものです。

　あとは先ほど若者対策で説明したものが重複して書いてあります。私からは以上です。

○諏訪部会長　このように雇用対策法という基本法は、かかわる範囲がえらく広いとい
うことがこれで実感できただろうと思うのですが、それだけにいろいろご質問があろう
かと思います。どうぞご意見なりご質問なり、ご自由にお出しください。

○郷農委員　部会長のほうで順番を決めていただいたらいかがですか。

○諏訪部会長　議論をする中身ですか。

○郷農委員　あまりに範囲が広過ぎて、どこからか。

○諏訪部会長　そうなのですが、雇用対策法というのはご存じのとおり基本法であって、
こういう雇用に関する一連の行政の基本になるいろいろな項目が決められているわけで
す。その中に十分に盛り込まれていないものがあるので、時代の変化の中に合わせてき
ちんと再整理しようというのが、今度の我々の課題です。そして、その課題にかかわる
関連の情報をとりあえず一渡り出していただいたというのがこれです。したがいまして、
今日のところは全体をご理解いただいて、このあと順番に議論をしていただくことにな
りますので、今日は総論的にご質問なりご意見なりをいただければと思っています。

○奥田委員　この見直しというか検討課題についての理解の仕方なのですが、いま具体
的に100何頁にわたりまして、いま進めている雇用対策法関連のいろいろな動きの説明
を受けました。それと雇用対策法に書かれている内容の整合性をまず図る必要がある、
という理解でよろしいですか。

○生田総務課長　雇用対策法については、確かに対象範囲が相当広く、検討課題もたく
さんあります。まず、私どもが絶対に来年の通常国会で法案の対応をしたいと考えてい
る項目は２つあります。

　１つは、若者の対策ということで、「骨太2006」や「経済成長戦略」といったものに
盛り込まれていますが、いわゆる複線型雇用を進めるための法的整備を図る必要があり
ます。そういったことで、提言されていることを実現することがまず必要です。それに
ついては、法的な整理としては、雇用対策法の中でいずれかの対応をするしかないと考
えております。

　２つ目の外国人労働者問題については、先ほど規制改革・民間開放推進３か年計画が
閣議決定されているとご紹介いたしました。これについても外国人雇用状況報告という、
現在、任意で取っている報告についてはもう少し内容を具体化して、義務的に取れるよ
うにすることを措置しないといけませんので、そういった点についても対応しなければ
いけません。それについては、各法律を見渡しても雇用対策法で措置するしかないとい
うことです。その２点については、早急な対応が現実論として求められています。

　ただ、雇用対策法については、最近、人口減少社会に転換したということで、雇用対
策にとっても大きな転換期です。昭和41年に雇用対策法が出来た時とは環境が様変わり
しています。ですから、それに合った形に雇用対策法を変えていくことは、いま私が通
常国会に向けて２つの課題と申し上げた以上に、非常に大事な課題です。こういった雇
用施策の目的や政府の施策の体系については、現時点で今後の対応をきちんと整理して、
それを踏まえて各法律を展開したり、雇用政策を実際に展開していくことが必要になる
のではないかと考えております。

　先ほど雇用対策基本計画などのご説明をしましたが、政府の経済計画を前提として作
っていた雇用対策基本計画については、政府の経済計画の中では一定の対応をする必要
があるだろうということです。その他、さまざま措置すべき点もあると思いますので、
この場でご指摘をいただければと思います。

○原委員　貴重な統計資料に基づいて話をされました。雇用問題という切り口から考え
ますと、かなりの問題提起をした統計資料になっているのではないかと思います。

　これはこの部会の直接のテーマかどうかは別としても、雇用問題といった場合、最大
の問題は正規・非正規の問題をどう考えるのか。労働組合の我々としても直接責任のあ
る問題で、あまりにも非正規がパーセンテージにおいて急増しています。特に小泉構造
改革の５年間の規制緩和のもとで、特にものづくり現場を中心として急増しているとい
う問題があります。職場ではさまざまな問題点が起こっていますし、社会的にも二極化
と言いますか、年収200万円を脱することができず、いつまで経っても200万円の労働
者がいる一方、一応収入が上がっていく正規労働者がいる。やはり正社員、非正規社員
の問題をどうするかということで、それは法律や政策において何らかの歯止めをすると。
厚生労働省はたぶんそのつもりだと思いますが、そういったことについて十分議論をし
ていく必要があるのではないか。

　これは大体ミクロとマクロの問題で、2006年のレポートにおいても、この種の問題に
ついては、若者に対して夢のある政策を打ち出していかなければならないと言っている
わけです。やはり企業の利益を考えた場合には、どうしても正規・非正規の問題につい
ては、非正規を拡大することになっています。それは個別企業の問題というよりも、政
策でどういう歯止めをしていくか、ということが重要ではないかと考えています。ちな
みに今、偽装請負の問題なども発生していますが、そういった問題も含めてこの場で議
論が詰められたらいいのではないかと思います。

　もう１点は、先ほど外国人労働者の問題について何らかの考え方を言われましたが、
これについても問題提起については大賛成です。つい最近の経済雑誌においても、外国
人実習生という名や研修生という名の奴隷という記事もあり、日本の恥ともなるような
実態報告が週刊誌等でもなされています。これらについても、法規制の強化については
この場で十分な議論をされたらどうかと考えています。

○生田総務課長　正規・非正規の問題については、非正規だから悪いとは必ずしも限ら
ないと私どもは思います。要するに、希望で非正規という形で働いている方もおります
し、そういう方たちについては問題がないと思います。ただ、本来正規労働者として働
きたいのに非正規労働者として働かざるを得ないような人々に対し取り組む必要がある
と考えます。とりわけ、ハローワークでマッチングをする過程で考えますと、正規労働
者希望の方が圧倒的に多い中で、求人がなかなかそうなって来ないということですので、
少しでも事業主などにご理解いただいて、正規就業という形で就職していただく必要が
あります。このことは、マッチングの過程ではすごく大事です。

　もう１つの切り口としては、均等処遇の実現があります。正規・非正規の問題につい
ては、いろんな行政分野に跨っていまして、例えばパートタイム労働者について、均等
処遇だといったことにつきましては雇用均等分科会において検討しているところであ
り、パートタイムについてここで議論することはなかなか難しいのではないかと考えて
おります。あと期間雇用の問題については、労働条件分科会で検討されております。そ
ういったことからも、当分科会だけにおいて正規・非正規の問題について検討すること
は困難であります。

　派遣の問題については、派遣労働者自体の雇用関係のあり方とかは、労働者派遣法に
規定されています。このため、これについてはこの職業安定分科会の需給制度事業部会
という所で議論すべき問題です。いまお話がありました偽装請負については違法派遣と
いうことで取り締まりをするということで、基本的に需給制度部会で議論いただくべき
と考えられますが、ただ一方で請負労働者については、先ほども申し上げたように、雇
用管理の改善を図っていく必要があると言われおり、例えば、そのような状況で働く労
働者の雇用管理改善を図っていくべきではないかというご議論については、当基本問題
部会で議論いただくことになると思います。

　再整理をいたしますと、パートタイム労働者の問題については、先ほどと同じような
関係にあるということと、期間雇用者、派遣労働者についても同様です。それ以外の対
象者の問題、あるいは横串で雇用管理の改善を図るべきだという問題については、ご議
論をいただくことはありがたいと考えています。

　外国人の問題については、外国人の雇用状況報告を拡充強化して、国内でどのように
働けているのか、実態を確実に把握して、それに基づいて対策を講ずるという考え方で
す。技能実習については、個別の事情もありますので、担当から説明いたします。

○藤枝外国人研修推進室長　先ほどの研修、技能実習制度については、本来は技能移転
を通じた国際協力という目的で制度を運用しているわけです。しかし、一部で研修期間
中に不正行為、不法就労に当たる時間外労働をさせていたり、あるいは実習移行後、雇
用関係のもとでも、例えば労基法違反があったり、最低賃金法違反があったりという事
例が指摘されており、一部問題が生じています。こういった事案については、制度の趣
旨に照らして、これは非常に問題があると我々も認識しております。法務省の入管局、
制度の中核機関である財団法人国際研修協力機構（JITCO）、労働基準監督署と連携を強
化して、その制度の適正化に努めています。この制度の厳格な運用、あるいは適正化に
ついては、規制改革会議、政府内、自民党等からも指摘を受けており、まずやれるとこ
ろはしっかりと適正化に向けた対応をしたいと思います。

　併せて、技能実習制度のあり方、見直しについては、自民党や政府内でも見直しの検
討をせよというご指摘をいただいております。技能実習制度は関係する省庁が、入管の
関係もありますので法務省、厚生労働省、経済産業省、外務省、国土交通省の５省庁が
共管する形で運営を行っており、この５省庁で見直しについての検討を協議することに
なっています。したがって、その検討の過程の中で、必要に応じて職業能力開発分科会、
職業安定分科会の場で、ご報告なりご意見をいただくことも検討したいと思いますので、
また状況が動き次第ご相談させていただきます。

○成瀬委員　いま正規・非正規の問題が話題に出ましたので、関連して私からも発言い
たします。先ほど生田課長からもあったように、非正規の労働者の中でも、一方でそう
いう雇用形態を望んで就労されている方もおられますので、非正規雇用をとにかく減少
させればいいということではないと思います。

　資料のどこかにもありましたように、問題は望んでいないにもかかわらず、正規従業
員にはなれず、非正規雇用という形で働かざるを得ない方々が相当数に上っていること
だと思います。非正規雇用が増えていることは、ある意味で経済合理性の中で個々の事
業主の方々がそう判断されて、そういう雇用に切り替えているということだと思います。
それ自体、法令の範囲の中では、当然個々の事業主は経済合理性のもとで動きますので
責められるものではないと思います。ただ、経済合理性に対して、国の政策としてどう
誘導していくのか、という視点から考えていかなければならないと思います。

　話がわかりにくいので例を挙げて言いますと、非正規雇用の人件費が正規従業員の半
分だとした場合、同じ仕事をやらせたときに、正規従業員には非正規雇用の２倍の質と
量の労働を提供できるかというと、それはなかなか困難だろうと思います。ということ
から考えますと、どうしても雇う側としては非正規雇用を優先的に雇用することになら
ざるを得ないわけです。そういう意味で、処遇の均衡化、あえて均等待遇とは言いませ
んが、処遇でバランスをとるほうに政策的な誘導があってしかるべきではないか、とい
う問題意識を持っています。

　この件は職業安定局の職務、任務の範囲を超えているのかもしれませんが、是非、厚
生労働省全体で、しかるべき場で検討をいただきたいテーマだと思いますので、今後も
よろしくお願いします。

○生田総務課長　いまご指摘をいただいた正規・非正規の問題で、均衡処遇にかかる問
題については、省内でも関係審議会で議論をされているところです。そういった関係審
議会の事務局には、成瀬委員のご指摘については十分伝えて、検討していただくように
言っておきたいと思います。

○髙橋職業安定局長　いま非正規問題が何点かありましたが、一口に非正規と申し上げ
ても、パートという形態があったり、期間雇用、派遣という形態があったりとさまざま
な実態を一口に非正規という形で論じられているわけです。派遣なら派遣、パートなら
パート、期間雇用なら期間雇用とそれぞれの問題にかかわる必要な政策の方向性なり、
具体的な制度的手当、法的手当というものは、当然それぞれの問題領域に応じて検討し
ていかなければならない課題だと思います。

　同時に雇用対策法というのは、雇用対策を講じていく上での基本的な理念、方向性を
宣言的に法律という形で構成しているのが雇用対策法だと思います。そういう法律の性
格上、さまざまな形態を持つ非正規雇用という問題領域において、雇用対策法の中でど
ういう形で横断的な理念として規定ができるのか、また規定するのがいいのか。そこが
１つの議論の論点としてあるのだろうと受け止めています。

　現行の雇用対策法の中でも、例えば「不安定な雇用状態」という表現がありますが、
かつては「季節労働者」、場合によっては「日雇労働者」という雇用形態、就業形態と
いうものが、当時の労働市場の状況の中で念頭にあった規定と理解できるわけですが、
それを今日的な労働市場の変化の中で、どういうふうに理念法としての雇対法の中に規
定ができるのか、ということが１つの議論ポイントとしてあるのではないかと思います。
個別の課題については、個別に処理する上で個別法という中でどう対応していくべきか
は、別途の議論、大きな課題としてあるという前提でご議論をいただければと思います。

○椎谷委員　40年前の法律なり、その法律に基づいて初めて雇用対策基本計画が作られ
たことを思い返しますと、いま局長が話されたことが大変重要だと思うのは、法律は確
かに安定局として出すのでしょうが、中身の問題というのは全省に跨ったり、もちろん
厚生労働省の中の他局にみんな跨るわけですが、安定局の中に閉じこもらないで、他の
局なり省にどんどん働きかけて、そういうものを実現できるような方向で努力してもら
うことが大事だと思います。

　例えば当時は、当時の状態が完全雇用であるかどうかということがまず出発点で、完
全雇用ではないがそれに限りなく近くなっている。ただ、残っているのが不完全就業と
いう言い方でしたが、季節労働者や日雇、臨時工、期間工という言葉で言われました。
あるいは家内労働者という言葉もあったかと思います。そういう問題についても、かな
りきめ細かく書き出して、各局なり、他の省にもものを言える状態にしてあったのです。
少なくとも、雇用対策法に基づく雇用対策基本計画の中にはかなり幅広く書いてあった
わけです。あるいは最賃法の問題もそこに載せてあったわけですから、安定局の中に閉
じこもらないで、なるべく幅広く政策的な努力をお願いしたいと思います。

○郷農委員　専門家ではなくて、このような意見が通るのか心配ではありますが、まず、
人口減少社会になっていったときに、市場の縮小も当然考えられますが、そこでどのく
らい労働力の減少が見込まれるのかということを、どのくらい精査してあるのか疑問を
持っています。

　自分自身も書いたことがあるのですが、外国に住んでいて、日本に帰ってきて感じた
ことは、過大なサービスが日本の社会では供給されている。例えば、外国ではケーキを
お母さんが焼いているが、日本では全部お店が焼いているとか、さまざまな過剰なサー
ビスが目につきました。これからも人口が減少して労働力も不足すれば、本当に必要な
サービスや製品だけが生き残って、ザクザク捨てられているような製品は作らなくてい
いということで、実際の労働力が本当に不足するかどうかは、私は疑問だと思います。
実は堺屋太一さんが同じことをＮＨＫの番組でおっしゃっていました。その辺は厚生労
働省ではどのように見ているかということです。労働の効率化と不要なサービスがどの
くらい削ぎ落とされていく可能性があるか、データや調査の結果があるのか知りたいと
ころです。

　それから、いま働いていない人たちを足りなくなるから駆り出そうという場合、働い
ていない人たちに本当に働く意欲があるのかということも疑問です。それは企業が雇わ
ないからいけないとか、どんどん遊んでいる人を雇いなさいというのは、企業にとって
は法律として負担になってきます。遊んでいる人たちに、あなたたち働きなさいという
ように、義務化して個人を束縛するような法律はできないわけです。可能だから企業だ
けをターゲットにするというイメージのある法律は、ちょっと賛成し兼ねるというのが
私の考えです。

　実際に働きたくない主婦の方や、ニートの人たちもいらっしゃいますが、ニートの人
たちは若くてエネルギーもあるのに、遊んでいるのはもったいない話だと思いますし、
経済的にも是非活用すべきだと思います。例えば、女性を労働力の調整のために、いま
必要だから駆り出しておいて、労働力が足りてきたからもう家に帰っていいよという感
じでまた追い払う、という調整役に女性を使わないでいただきたいと思います。どうし
てそう申し上げるかと言いますと、亡くなられた橋本総理が通産大臣のときに、女性起
業家の会にいらして、いみじくも「女性は労働力の調整に非常に役に立つ存在だ」とお
っしゃってギョッとしたのです。いまでも霞が関でもしそういう考え方がある程度残っ
ているようならば、改めていただきたいと思います。

○生田総務課長　最初に細かいデータがどうなっているか、という話は雇用政策課長に
させます。今回の雇用対策法の改正の前提となっている考え方は、あくまでご本人が働
く希望を持たれているのに働けないケースは、できるだけなくしていこうということで
す。無理矢理働く気のない人を強制的に働かせようということは、全く考えておりませ
ん。あくまでも働く希望を持つ方について、少しでも働く機会を提供できる対応が大事
ではないかという前提ですべて議論しておりますので、最初に申し上げておきます。

○楪葉雇用政策課長　先ほど経済全体のパイの話もありましたので、少し私から、雇用
政策研究会で昨年７月に発表した数字をご報告いたします。長期的に人口が減少してい
くという中で、いわゆる労働力率が変化しなかったらどうなるかという話と、あるいは
さまざまな施策を講じて、それで自分の能力と意欲に応じた就業をしていくというケー
スも想定しました。その場合、いまのまま何もしなかったら、2030年では労働力人口が
1,000万人ぐらい減少していく。他方、労働市場への参加が進むケースで考えますと、
1,000万人減のところが約500万人減でおさまる。トータルとして経済成長率は2030年
においても、約1.6％程度が達成可能ではないかという整理をしています。

○大橋委員　いまの女性に無理矢理働かせるのではないかという議論ですが、こういう
所で出てくるというのは、おそらく女性の環境が違ってきた。あるいは高齢者でも平均
寿命が10年、20年延びてきた。そういう環境の変化があって、それで働いてもいいと
いう人たちの層が増えて、それを踏まえてということですから、そういう環境変化を念
頭に置いて対策を考えていくことが大事だと思います。そういう意味では、環境として
どういう変化があって、どういう形で労働力があるかということについては、ちゃんと
した情報を持っていないといけないと思います。

　少し話がずれますが、地域という概念がすごく気になるのです。地域と言うと、ここ
では都道府県、行政単位が出てきますが、関西の失業率が非常に高い。その１つの大き
な原因が、大阪で地盤沈下のようなことがあると、四国で特に若い人たちがもろに影響
を受ける。そういう仕組みがあるときに、県単位、都道府県単位で地方法人、全国法人
というのがありまして、この地方法人を考えたときに、各都道府県が個別に案を練ると
いうことです。例えば四国は大阪にかなり大きく依存していますし、東京近郊の埼玉等
々も強く影響を受けますので、その辺の地域圏のような所の政策の整合性はどうやって
確保するのか、という問題についてお聞きします。

○生田総務課長　環境変化については十分押さえて、今後資料づくり等に心掛けたいと
考えています。地域の問題については、地方公共団体と連携した対応をするということ
を前提に考えますと、まず県レベルで県知事と話をすることは外せないものですから、
県レベルでの方針をまずベースに置くということです。県レベルの方針を作る前提とし
て、厚生労働大臣のほうで国レベルの指針を作ることを想定しています。その国レベル
の指針を作る段階で、地域圏、労働市場圏、ブロックと言いますか、そういうことにつ
いてブロックごとに何か配慮すべきことがありましたら、そういうことを盛り込めるか
どうか、今後検討したいと考えています。いままでブロック単位で提案した経験があま
りないので、従来の雇用対策基本計画でも、そういう整理はしておりませんでした。今
後、都道府県の方針を作ることが前提になりますので、大橋委員がご指摘になったこと
は非常に大事な点だと思いますので、じっくり考えたいと思います。

○片野坂委員　個別のテーマのところになると思いますが、正規雇用と非正規雇用のと
ころで、120頁の10数年の変化を見ますと、平成18年度になって、明らかに正規雇用
が少し戻りつつあるという数字が出ていて、今後この法律を見直すときに、要はこうい
う雇用情勢がどうなるか見通しながらまとめていく必要があると思います。昨今、景気
の回復でかなりの企業が、例えば二次募集をしたり秋にも募集を開始したりということ
が新聞にも出てきています。学生なども採用活動をしている。企業によってはまだ予定
の採用数を満たしていないとか、この辺の動きのデータはないのですが、直近の採用状
況を少しチェックするなどする。問題は、企業が雇用を復活しつつあるときに、ここ５
年間、10年間やってきた非正規を相変わらず増やしているのか、そうではなく正規型に
戻りつつあるのか、直近のデータを見ながら推定していくことも必要なのではないかと
思います。

　それからこれは質問になりますが、地域で基本的に雇用情勢が厳しいということを見
ていくときに、求人倍率を使っている所がありますが、倍率だけでは実態は掴めない。
つまり、一体何人の雇用数があって、求人が何人であるという規模を見るとか。現実に
私も田舎の出身ですが、都道府県の中でも明らかに都市部に集まって、ここにあるよう
な地域は人口が減少しています。もっと言えば、73頁から、地域でいろいろな事業をや
って、面白い名前も散りばめられていますが、こういったプログラムで一体何パーセン
トぐらい雇用回復ができているのか、少し実態が掴めるようなデータを揃えていただく
と、そのテーマのときに議論しやすいと思います。

　私は求人倍率だけで本当に実態が掴めるのかということで、東京の1.何倍と、地方の
村の1.何倍では全く絶対数が違うだろうと思いますので、そういうところを教えていた
だきたいと思います。

○生田総務課長　いまご指摘があった点については、例えば秋期採用、通年採用、第２
新卒については新しい動きが出ているのではないかというご指摘ですので、こういった
データがもし取れるようでしたら、探して取ってみたいと思います。若年者の雇用につ
いては、議論をいただく機会が今後もあると思いますので、そのときに資料を提出いた
します。

　地域雇用についても、確かに倍率だけではわかりにくい面もありますので、そういっ
た数のスケールのデータについても、地域雇用対策の議論をする機会があると思います
ので、そのときに資料を提出したいと考えています。パッケージ事業でいろいろなメニ
ューについて、どれぐらいの雇用創出効果があるのかというご発言がありましたが、こ
れについてもちゃんと数字を揃えて提出したいと考えています。

○原委員　資料の見方も統計数字の見方も、立場が違えばこんなに評価や分析が違うの
かということを痛感したのです。例えば120頁の非正規雇用の現状ということで、2005
年から2006年にかけての正規雇用者の数が増えたと。この状況を踏まえて議論をすべき
だとおっしゃいましたが、正社員が７万人増えたのですが、右の数字を見ると、非正規
雇用者が1,591万人から1,663万人ですから、これは72万人増えています。ですから、
正社員が、景気の調子がいい、企業がどんどん忙しくなって、良い人を採りたい、正社
員をと。それは立派なこと、結構なことです。その正社員が７万人増えて、片や同じ時
期に72万人非正規が増えていることは根本的な問題なのです。私の立場から言えば、正
しく統計数字を見ながら、いまの日本の雇用にかかわる問題点をこの場で議論しないと、
日本は大変なことになっていくのではないか。今日はあまり議論をするつもりはないの
ですが、一言申し上げました。

○片野坂委員　平成18年度の動きを少しミクロに、月別とか変化を見ていくことは決し
て無駄ではないと思います。そういう意味で、長いトレンドでいくと、明らかに非正規
雇用者数が増えてきたことは間違いないことです。それに歯止めがかかるか、占えるか
どうかということです。

○諏訪部会長　それでは今後細かくいろいろな部分を議論していくことになります。そ
れは追々順番に考えていくことになりますので、本日ご説明いただいたような全体展望
の中で是非皆様にもお考えいただければと思います。

　そこで今日は議題が２つありますので、今日の段階ではこれ以上ご質問なり、ご意見
がないようでしたら、もう１つの議題に進みたいと思います。

○成瀬委員　質問ですが、検討スケジュールと言いますか、各会議の部会で１つずつテ
ーマを取り上げて検討していくということでしょうが、職業安定分科会では、必ずしも
事務局から検討依頼をするテーマ以外のことも含めて、それ以外のテーマも議論を排除
しないという事務局からのご答弁をいただいているのですが、各会の部会の中心テーマ
になっていないテーマは何回目に議論すればよろしいのですか。

○諏訪部会長　まず、事務局からお願いします。

○生田総務課長　今後のスケジュール等のかかわりですが、今日は全体についてひと当
たりご議論をいただきました。今後は個別のテーマについて集中的にご議論をいただく
機会があったほうがいいのではないかと考えています。その場合、事務的に分量が多い
ものと想定していますのは、１つ目が若者対策、２つ目は地域の雇用対策、３つ目が外
国人の問題です。それ以外にもいろいろな課題があるわけですが、例えば若者対策の議
論をいただくときに、障害者の問題や高齢者の問題を言っていただいても構わないとい
うことを前提に、若者対策のご議論をいただくときは若者対策が重点ですが、それ以外
の議論は排除しないという形でご議論をいただければいいと思います。ですから、いつ
の段階でそういうことを出していただくかというのは、皆様のお考えに従って出してい
ただければと考えています。この機会にこのテーマということは特になく、その３回に
ついてはそういう重点のテーマで議論を当面させていただきたいということです。

○成瀬委員　わかりました。

○樋渡委員　いまのお話ですと、かなりいろいろと議論をしていく可能性があると受け
止めましたが、議論したことが、雇用対策基本法の中でどのように反映されるのか。反
映されることを前提に議論するのか。それとも、それぞれの法律の中に落とし込んでい
くことを前提に議論するのか。それもこれからということなのですか。そこがよく分か
らないのです。

○生田総務課長　事務局の希望としては、雇用対策法という法律と地域雇用開発促進法
の改正を最終的には想定していますので、その法律に盛り込めるような事項を前提にご
議論をいただければありがたい、というのが私どもの考えです。

　ただ、法律の条文になる、ならない以外の問題として、法律の運用としてこういうこ
とがあるのではないかというご意見も当然あると思いますので、そういったご意見を排
除することはできないという考え方です。私どもとしては法律に盛り込むレベルのもの
としてはこういうものがあるんだ、そういうご理解に役に立つような資料についてはで
きるだけ準備をした上でご議論をいただきたいと思います。それ以外の議論を排除する
とはなかなか言いにくい、というのが私どもの考え方です。

○諏訪部会長　いまのは質問と答弁が若干ずれていると思います。

○樋渡委員　両方とも平行しながらこれからやっていきましょう、ということでよろし
いのですか。両方ともあり得るということですか。

○長谷川委員　おそらく事務局の問題意識は、現在の雇用対策基本法を改正したいわけ
でしょう。要するに、いまの情勢に合うような形に改正したいと。しかし、そうは言っ
ても、今後、雇用対策を施策としてどのようにしなければいけないのか。それはある意
味ではすごい議論をしながら、雇用対策法に何を盛り込んでいくのか、その議論をした
いのだと思うのです。そういう議論のときは意外と幅広になってきますし、必ずしもこ
の雇用対策法だけに入り切れない話もいまみたいになってくるわけです。例えば外国人
労働の問題とか、非正規の均等処遇の話というのは、どこで扱うかという話にもなって
くるわけです。しかし、議論はしなければいけないと思います。

　ある意味では、地域雇用対策法と雇用対策法をちゃんと改正する、その議論をしたい
のだと。そのためには雇用対策をどう行うかということを、大きく議論しなければいけ
ないので、その議論を排除するものではないという認識でよろしいですか。

○生田総務課長　そのとおりです。

○長谷川委員　１つお願いがあるのは、前の検討会、雇用政策課長から研究会の報告が
ありましたが、これはやはり人口減少社会における雇用はどうあるべきかと、ずっと書
いてあるわけです。その報告もにらみながら、現代版にこの法律を変えるとすれば、盛
り込まれていない課題についてはどう盛り込んでいくのかとか、そういう進め方をして
いただけるといいのではないか。

○成宮委員　いま長谷川委員がうまく引用していただいたと思いますが、要するに法律
の改正ということから言うと、その部分については今年中にある程度詰めなければいけ
ない。それについてはここに示されている３点に対応した分野を、いま３つ課長が挙げ
られたわけです。「取りあえず今回は審議会の議論を経て、来年の次期通常国会に目指
す法改正としては、将来いろいろあるかもしれないけれども、取りあえずはこの３つに
ほぼ絞った形にしたいと思います。いろいろ議論した中で、何でもかんでもということ
で、次期通常国会に出す法律事項としてオープンにどんどん広げていくことはあり得る
ということではないのだ」、というくらいの整理があったほうがいいのではないか。

　実はこの部会に話が下りてくる前の段階でいろいろテーマがあって、それを全部やる
のであれば、３カ月、４カ月ではなくて、１個ずつでもそれぐらいかかるのではないか
という議論があったわけです。その関連で考えますと、議論の間口そのものは絞られな
いにしても、この短期間に法律に向けての作業をきちんとこなす部分については、ある
程度ここに提示されているものにほぼ限定したくらいのイメージでやっていくことでな
いと、とてもこなしきれないのではないかと思います。

○生田総務課長　いまいろいろご意見をいただきました。資料－１でたたき台として示
したものが、いわゆる雇用対策法なり、地域雇用開発促進法に盛り込む事項という意味
でご議論をいただきたい事項を、事務的に整理したものです。ですから、こういった点
を中心にご議論いただきたい、という気持は私どもも持っております。先ほど長谷川委
員からお話がありましたように、こういう点を盛り込むに当たり、幅広くご議論がある
ことは悪いことではありませんので、幅広い議論を前提として最終的にこういった点、
法律に盛り込むべき事項について、できるだけ議論を集約していきたいという気持はあ
ります。ですから、それに役に立つような資料づくりに心掛けたいと考えています。

○諏訪部会長　それではそういうことで、今後は進めていきたいと思いますので、皆様
お忙しい中を申し訳ありませんが、ご協力をよろしくお願いします。次の議題は「建設
労働者雇用改善法に基づく実施計画の認定等について」です。まず、ご説明をお願いし
ます。

○荒牧建設・港湾対策室長　資料－３に「労働政策審議会職業安定分科会運営規程」を
付けており、その２頁目に「別表」ということで、雇用対策基本問題部会の専決事項で
棒線を振っています。建設雇用改善法については、昨年の10月に改正法を施行されたわ
けです。その改正法の施行令、省令、許可基準等についてご審議をいただいた昨年の９
月21日の職業安定分科会において、これらについては基本問題部会の専決事項とすると
いうことが定まったわけです。

　それ以降今回新たに８月に、参考資料として後ろに付けておりますが、財団法人みや
ぎ建設総合センターから、改正建労法に基づく実施計画、あるいは建設業務有料職業紹
介事業および傘下の事業所８企業、建設業務労働者就業機会確保事業についての認定又
は許可の申請が出されて、本審議会で諮問する必要が生じたところです。

　本来ですと当基本問題部会のご了承を得て、建設労働専門委員会のほうでご議論をい
ただくことですが、日程等の関係で事前に委員の方にご説明、ご了解をいただいて、す
でに実施している港湾労働者派遣事業の許可の取扱いと同様に、当部会にも設けられて
いる建設労働専門委員会において議論をいただくことで、10時から開催された建設労働
専門委員会において議論を行い、具体的にはこれらについて妥当である旨の結論をいた
だきました。これらについては、今後とも建設労働専門委員会で実質的にご議論をいた
だいて、それを部会長に報告して、当部会としての了承を得たいという取扱いにしたい
と思いますので、報告とともに今後の取扱いについてご説明いたしました。

○諏訪部会長　ただいまご説明にありましたとおり、みやぎ建設総合センターに係る実
施計画の認定等については、当部会に置かれた建設労働専門委員会での議論の結果が、
部会長宛に報告されますので、答申内容については、それを受けて、私にご一任をいた
だければと思いますが、そういう措置でよろしいですか。

                                （異議なし）

○諏訪部会長　ありがとうございます。今後の申請についても、建設・港湾対策室長か
ら説明があったように、同様に部会長宛に報告を受けて処理するというご一任をいただ
いてよろしいですか。

                                （異議なし）

○諏訪部会長　ありがとうございました。そのように取り計らわせていただきます。こ
の件について、その他にご質問、ご意見等はありますか。よろしいですか。それでは本
日は以上をもって終了いたします。次回は、若年者雇用対策の問題を中心に皆様にご検
討をいただきたいと思います。どうぞそのような心づもりをお願いします。

（署名委員指名）

以上で、本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（照会窓口）
厚生労働省職業安定局雇用政策課雇用政策係
                                      　　　　　ＴＥＬ：03-5253-1111(内線5732)