06/09/25 第2回男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会議事録 第2回 男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会          日時 平成18年9月25日(月)          10:00〜          場所 厚生労働省5階共用第7会議室 ○北城座長 ただいまから「第2回男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推 進協議会」を開催いたします。本日はお忙しいところをご参加いただきましてありがと うございます。まず、今回初めてご出席の委員の方々がいらっしゃいますので、事務局 から紹介をお願いいたします。 ○職業家庭両立課長(麻田) それではご紹介いたします。ライオン株式会社代表取締 役社長藤重貞慶様の代理で、代表取締役の今井眞様です。東京商工会議所常務理事の茂 木洋様です。獨協大学経済学部助教授の阿部正浩様です。 ○北城座長 本日は川口委員、中野委員、紀陸委員がご欠席です。事務局のほうに異動 があったようですので、紹介をお願いいたします。 ○職業家庭両立課長 9月1日付で異動がありましたので紹介いたします。雇用均等・ 児童家庭局長の大谷泰夫です。 ○雇用均等・児童家庭局長(大谷) このたび雇用均等・児童家庭局長を拝命いたしま した大谷でございます。男性の育児参加という重要なテーマにつきまして、ご指導ご尽 力を賜っておりますことを厚く御礼申し上げます。この協議会のみならず、今後ともこ うした仕事や働き方のテーマにつきまして、よろしくご指導賜りますようお願い申し上 げます。 ○職業家庭両立課長 審議官の村木厚子でございます。 ○審議官(村木) 同じく9月1日付で審議官でまいりました村木でございます。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○北城座長 それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は前回に引き続き、男性 が育児参加できるワーク・ライフ・バランスの推進についてです。前回の会議では、事 務局から提案された資料について意見交換を行い、皆様からの発言の内容を原案に盛り 込み、提言をまとめております。委員の皆様には大変お忙しい中、企業経営の視点から 見た男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランスの推進についてメッセージをいた だき、ありがとうございました。今回は皆様からのメッセージや前回いただいた意見な どを反映させて、事務局のほうで修文いたしました。修正した資料について引き続きご 議論をいただき、ご意見をいただければと思います。事務局から修正した資料の説明を お願いいたします。 ○職業家庭両立課長 資料1−1と1−2を使い、説明いたします。最初は資料1−1 ですが、表題については、第1回の議論の中で企業経営者に訴えるような副題を付けて はどうかといった複数の意見がありましたので、「環境変化に対応する企業経営」という 副題を付けました。この副題も委員の方から提案していただいたものです。前回、案の ときにはなかったので、表紙の下のほうに誰が書いたかわかるように、平成18年9月 とこの協議会の名前を入れております。以下、訂正した所は赤字になっておりますので、 そこを中心に説明いたします。  次頁は、最初にエピソードが2つ入っている所です。上から10行目ぐらいですが、 ノー残業デーの取組で、「残業代が不要になりました」という記述がありますが、そもそ もワーク・ライフ・バランスは残業代を減らすためにやるものではないし、経営に対す る無用な誤解や反発を招くおそれがあるとの委員からの指摘がありましたので、ここを 削った案で提案したいと思います。  次の目次については大きな変更はありませんが、(1)の(3)の生活時間と仕事時間を、 「仕事時間と生活時間」のように逆にしております。これはワーク・ライフ・バランス という言葉の順番に合わせてはどうかという指摘があり、それを踏まえたものです。ま た、たくさんのメッセージをいただきまして、ありがとうございました。メッセージの 項を1つ起こしております。  次頁の左側ですが、前回の議論の中でワーク・ライフ・バランスという言葉がまだま だ人口に膾炙していないので、誤解を招かないようにきちっと理解してもらうために、 そもそも論を書いてはどうかとの指摘が多数ありました。それをここに書いてみました が、かい摘んで紹介すると、まず「ワーク・ライフ・バランスとは」と見出しを付け、 皆様方にあらかじめお配りした修正案では何も書いていなかったのですが、カタカナ表 記についていろいろな批判があるため、日本語も併記し、その下に「仕事と生活の調和」 を入れております。  全体は3パラグラフになっており、最初は定義ということで、佐藤委員とも相談させ ていただきまして、ワーク・ライフ・バランスとは仕事上の責任を果たすと、仕事以外 の生活で、やりたいこと、やらなければいけないことができなくなってしまうというワ ーク・ライフ・コンフリクト(葛藤)がない状態のことを言うと。別の言い方をすれば、 両方を実現できる状態のことという簡単な定義を置きました。その下に、これがなぜ企 業経営上の課題として重要になってきたかということを、働き手のライフスタイルや意 識の変化ということでまとめております。  3段落目ですが、労働時間を一律に削るというような誤解のないようにすべきだとの 指摘があったので、個々人にとって望ましいワーク・ライフ・バランスのあり方が多様 であること、あるいはライフステージごとに変化すること、ライフの内容も家庭生活だ けではなく、地域活動や学習などいろいろなものがあるなどといったことを書いており ます。以上が最初のそもそも論で、これを付け加え、1頁以降の前書き的な文章へ移行 する形にいたしました。  前書き1ですが、前回、協議会として最も強調したい3点を示したわけですが、もう 少し企業の競争力や生産性に直結するような面を前面に出すべきではないかとの議論が あったので、これで本当によろしいかどうか議論していただきたいと思います。最も訴 えたい3点のうち、トップにはワーク・ライフ・バランスが企業の競争力を高めるとい うテーマを持ってきております。内容が変わっているわけではなく、順番を変えたのと、 表現を若干端的にしたということです。強調したい点の2点目、3点目の仕事も家庭も 大切にしたいという男性の声、子育て中の両立からみんなのワーク・ライフ・バランス へ、これも内容は前回と同じですが、左側にワーク・ライフ・バランスの定義を置いた ので、それも踏まえて少し簡潔な書き方にしております。前書きは1頁、2頁、変更点 は以上です。  次に、3頁以下の男性が育児参加できる働き方の必要性とメリットの部分ですが、5 頁をご覧ください。いままで提言にはあちこちに囲みを設け、人事担当者や労働者の生 の声を入れておりましたが、前回経営者としての意見をいろいろいただきましたので、 関連するテーマのところに、経営者の生の声として前回の議論を要約して入れておりま す。そのような意味で、5頁の下は多様な人材活用についての前回の発言を入れてみま した。赤字の1点目、下から2つ目のポツですが、創造性が必要とされる社会で新たな 発想ができるようになるためにも、自分の時間が大事だという発言。2点目として、自 分の時間ができることの結果として、従業員が企業人としてだけでなく、人間としての 幅が広がることが企業にとっても有用だ、という発言を入れております。  6頁ですが、題名は先ほど述べたとおり、順番を入れ替えており、枠囲みの中にも前 回の議論を1つ入れました。ワーク・ライフ・バランスとは仕事の目標をしっかりと設 定し、それを実行するために多様な働き方を認めることであり、単純に労働時間を減ら して、その分を余暇にまわすことではないということを書いております。  8頁はCSRの遂行がワーク・ライフ・バランスを進める1つの必要性であると書い てあるところです。4行目に「企業は本来の企業活動だけではなく、社会的公正や」云々 としておりましたが、社会的公正や環境問題への取組自体も企業活動ですので、「単に業 績だけではなく」としたほうが良いとの意見をいただいたことから、このように訂正し ております。  8頁の下のほうですが、枠の上に、労働者が希望するライフスタイルを実現できる環 境を提供することが賃金やキャリアアップと並んで人材を惹きつけるもう1つの報酬と なりますという表現にしていましたが、報酬という言葉に違和感があるとの意見があっ たので、「重要な要素の1つ」といった修正案を示しております。こちらについて何かあ れば、議論をいただきたいと思っております。枠囲みの中は前回の議論ですが、ワーク・ ライフ・バランスは若い人たちが非常に重視しているので、優秀な人材を集めるために 大事、大きなメリットがあるという発言があったので入れております。  9頁は従業員の意欲の向上、生産性の向上です。枠の中ですが、前回の議論でワーク・ ライフ・バランスの企業経営にとっての最大のメリットは、労働生産性を上げることだ という発言があったので入れております。  少し飛びますが、14頁をご覧ください。いままでの所は企業経営にとっての必要性や メリットだったのですが、12頁以降は、それに取り組むためにはどのようなことが大事 かというポイントのまとめになっております。3番目のポイントとして、管理職や従業 員の意識改革ということがあります。その中で労働者自身の問題を少し指摘しておりま す。前回の発言の中に、従業員自身が自分の働き方について主体的・能動的に考えるこ とが大事だという指摘があったので、この発言を入れております。  15頁には人事制度面の工夫というのがあります。男性が育児参加できるという取組を 成功させるために、目標設定や業績評価に関する上司と部下の間のコミュニケーション がポイントであるとの意見があったので、その点をここに盛り込んでおります。  16頁には労働時間管理面の工夫という項目があります。これも前回の議論ですが、仕 事の優先順位を付けて、無駄な仕事をカットすることで残業が減ったという発言があっ たので、こちらに盛り込んでおります。  同様に、17頁は労働時間管理面の工夫に関連して、長時間労働をさせているというこ とは、生産性について真剣に考えていないことではないかという指摘があったので、こ の点も盛り込んでおります。  少し飛びますが、22頁をご覧ください。これは皆様方にいただいたメッセージをまと めた部分です。いろいろなメッセージをいただきましたので、企業経営に絡むメッセー ジを1グループ、男性や育児に関するメッセージを1グループ、ワーク・ライフ・バラ ンスそのものに関するメッセージを1グループとグルーピングをして示しております。 24頁の右側には皆様方の名簿をお付けしております。その下には小さな字で囲みがあり ますが、これは推進協議会がどのようなものであるかを説明するとともに、このたびは 2回というかなりの速攻で提言をまとめているわけですが、2回でゼロからつくり上げ たわけではなく、それに先立って若手の検討会を6回やり、考え方の整理をしたと。決 して短期間で粗製濫造したのではなく、十分準備をして、その成果を踏まえ、さらに企 業経営者の視点を盛り込んだことを明らかにする文章を付け加えております。もう1つ、 概要版1−2がありますが、内容の修正は本体資料1−1に沿って修正しているもので すので、詳しい説明は省略いたします。 ○北城座長 それでは、まず資料1−1を中心に議論していただき、後ほど概要版につ いてもご意見をいただきたいと思います。質疑に入る前に確認ですが、推進協議会の名 前は「男性が」と、これで決まっているわけですね。資料のほうは、「男性も」としては いかがかというご意見があったと思いますが。 ○職業家庭両立課長 そうです。推進協議会のほうは設置要綱で名前が決まっておりま す。どのような題名を付けて提言を出すかということは、この推進協議会で議論して自 由に決められますので、今日、もし変えたいことがあれば、変えることは十分可能です。 ○北城座長 ほとんど似ているタイトルですが。 ○職業家庭両立課長 「男性が」とするか、「男性も」とするかというのは、検討会でも 少し議論がありましたが、集まった人たちの感性では「男性も」のほうが、女性もする し男性もするという、何となく柔らかい感じがするということでした。別に事務局には こだわりはありませんので、議論していただければと思います。 ○北城座長 そういったことも含めて、いろいろとご意見を出していただければと思い ます。どなたでも結構です。 ○岡村座長代理 前回の議論を踏まえてまとめてあるので、私はこの原案に基本的に賛 成いたします。これでよろしいのではないかと思います。ただ1つ、定量的な把握に基 づく議論が十分展開されていないところが少し気になります。大体そうだ、そう思う、 そう感じるという部分についてはかなり的確に捉えられていると思うのですが、例えば 男性が育児参加している例を的確に表現できる方法はないかということと、もし定量的 な部分が難しいとすれば、それを実現している会社なり、企業なり、外国でも構わない と思いますが、成功事例のようなものを挙げていただければと思います。ワーク・ライフ のバランスが取れれば、中長期的には必ず業績に結び付いてくるはずですし、現実にそ のようなことを実現した会社というのが、欧米ではいくつか具体的な例に挙がっている ところです。定量的な部分と実例みたいなものを少し折り込めないだろうか。そのよう な感じがしましたが、全体の流れとしてはこの原案に全く賛成です。 ○北城座長 いまのことで、定量的というのは研究事例があまりなく、日本ではニッセ イ基礎研究所でしたか、多少研究しているようですが、かなり数が多くならないと、ワ ーク・ライフ・バランスを重視したから経営がうまくいったのか、経営戦略そのものが 良かったからなのか、わかりにくいです。 ○岡村座長代理 そうですね。業績が良くなったかどうかというのはちょっと難しい話 だと思うのですが、例えば男性が育児参加しているレベルは、いま日本はどれぐらいの レベルかということを明示できればと思います。 ○北城座長 概要の1頁目の一番上に書いてあるのが、日本の男性は家事関連に1日1 時間も使っていない、そのうち育児は25分しか使っていないと。海外は大体1時間ぐ らい使っているとか、欧米比較はできます。 ○職業家庭両立課長 あまり有益なことは申し上げられないのですが、資料の中で、定 量的に男性が育児をどのぐらいしているかというのは、長いバージョンの7頁、短いバ ージョンの1頁にあります。ワーク・ライフ・バランスと企業業績の関係を、定量的に 分析したものというのはなかなか少なく、日本での先行的な研究としてはニッセイ基礎 研でやったものがあるので、1つの例として長いバージョンの18頁に紹介しています。 ○佐藤委員 海外の研究も、男性の育児参加の企業経営への影響というのはほとんどな いのです。あるのはワーク・ライフ・バランスの企業経営への影響です。ただ、それも 直接企業経営というよりも、割合計量的に出ているのは、例えば定着率にどのような影 響があったか、一部モチベーションのようなものへの影響もありますが、一番大きいの は定着率です。離職が減ったことによってコスト面でどのぐらいのメリットがあったか など、いくつか出ていますが、そのような意味では、ある程度限定的なものになります。 もう1つ、メンタルヘルスのようなものについての問題が減ったとか、そのようなもの はあります。 ○岡村座長代理 離職率についてのデータはあるのですか。 ○佐藤委員 例えば、イギリスなどでは政府がワーク・ライフ・バランスを推進してい るホームページに、ここの会社ではいくら減ったとか、どう計算したかわからないので すが、そのようなものは一応出ています。ただ、どのような形で計算したかはわかりま せんが、そのようなものはいくつかあります。 ○岡村座長代理 いろいろな所で議論をしていると、必ず一方的な議論になるのです。 労働側から言わせると、時間短縮の話ではないか、時間短縮など、いまの状態でできる わけがないではないかという答が返ってくるし、経営側から見ると、それは時間短縮を 目指した制度だろうと、その対立の図式がなかなか解けない。それを解くのがこの協議 会の仕事だと思いますが、その辺をわかりやすく、実例をベースにした議論になると非 常にいいという感じがします。無理なデータを無理に作って出すことは避けたほうがい いと思いますが…。 ○北城座長 他にご意見があればお願いいたします。 ○山崎(雅)委員 全般的なまとめについてはあまり大きな異論がないのですが、副題 の環境変化に対応する企業経営の「環境変化」というのをどのように読むのかについて、 この問題が環境変化に対応する問題だと考えるのか、そうではなくて、もっと根本的な ものかということが1つあると思うのです。環境変化と入れるならば、このような環境 変化だということをある程度強く書いたほうがいいかなと感じました。  もう1つは、男性の話は割合たくさん書いてあるのですが、前の協議会がそのような 感じできたのかなと思うのですが、女性の側のいろいろな意見というのが意外と抑えら れているようです。一番初めの前書きの所に、このようなことで代弁していこうという ことが書いてありますが、むしろ全体のレポートは、目次にあるように、男性が育児参 加できる働き方の必要性の「男性が」というところに着目し、ずっとまとめてきたと理 解してよろしいのでしょうか。これは質問です。 ○職業家庭両立課長 最初の環境変化については委員の1人からいただいた提案ですが、 環境変化というのは、製品やサービスの市場の変化もあるし、働き手のほうの労働市場 の変化もあり、前回はその2つの変化に対応するといった議論の流れだったように記憶 しております。それはどちらかと言うと、事務局が言うよりは委員の間で議論していた だく話ではないかと思います。もう1つ、女性の側の意見は表面上は出てきていないの ですが、そのような思いも込められております。ただ、女性は怒っているぞ、男も少し は反省しなさいといったアプローチよりは、男性自身が望んでいるではないですか、み んなにとっていいことではないですかといったアプローチをしたほうがいいのではない かということもありまして、主役は男性であるという呼び掛けをしたらということで作 ってみたものです。  また、女性が何を望んでいるかでちょっと関係するのが、働く妻が、夫にどんな働き 方を希望しているかということで、資料1−1の4頁の上のグラフに出ています。子ど もがあって働いている女性が、夫にどのようなライフスタイルを希望するかをきいてみ ると、仕事も子育てもという大変欲張りな希望を持っている人が圧倒的です。私は家の ことをするから、あなたは仕事をしてという人は9.6%です。 ○今井委員 内容については、前回の議論も踏まえてきっちりとできており、賛成です。 特に、目次の3の「働き方を可能とする取組」というのが、推進協議会の軸としても非 常に重要になると思います。その中で人事制度なり、あるいはいろいろな管理の仕組、 従業員の情報提供ということで、積極的な、いわゆる普及、啓蒙啓発していくための情 報提供も必要になる。その辺をもっと大々的にやっていかないと、このようなものを企 業の中で仕切って、現実に壁となったりするのは、賛成派というか中間管理職なわけで す。経営が旗を振り、当事者もいいと言っても、中間管理職辺りがそこで「うん」とな ってこないと問題がある。そのような意味では、情報提供というよりも、いかに普及啓 発を図るという意味でのいろいろな実例、これは前回も出ていますが、そのようなとこ ろが強く必要かなというのが1点。2点目として、いろいろな仕組の導入に対して、税 制優遇など今回は触れられていないのですが、推進協議会としてはその辺はどのように 考えていくのかということがあります。 ○北城座長 最初のほうは何かありましたか。 ○職業家庭両立課長 いま言われたことは、企業の中でこのような考え方をいかに普及 していくかが非常に大事であって、そのやり方を実例などでもう少し盛り込めるといい のではないかということですか。 ○今井委員 そうです。岡村委員が言われた先例モデル、いろいろな実例です。という のは、実例がないと、やっていないと、思い浮かばないということがあるわけです。 ○職業家庭両立課長 それを必ずしも十分に反映できているかどうかわからないのです が、12頁以下の取組のポイントのところで、1と2は企業理念や風土、トップの姿勢と いった企業全体レベルの話ですが、3以降は少し現場レベルの話で、管理職や従業員の 意識改革についてのいろいろな取組、取り組んでいる人の発言を載せております。少し 重なる部分があるのは労働時間管理面の工夫で、どのような意識を持って労働時間を管 理しているか、要員管理、仕事の管理、従業員にそのような意識を持たせたり、制度に ついての情報をきちんと伝えるためにどのようなことをするかということです。これ自 体は最初から事例集を作るという方向で始めていなかったものですから、事例というこ とではちょっと少ないと思いますが、実際に先進的に取り組んでいる企業で、自分たち はこう考えて、このようにやっているといった発言をなるべく入れることによって、可 能な限り実例的な内容も盛り込んだと思っております。  もう1つは、この考え方を今後どのように普及するかという問題があります。作って、 印刷して終わりということではあまりにもったいないし、普及することで目的が達せら れるので、1つの方法として、私どもで持っている地方の労働局を通じて、いろいろな 企業に普及、広報したいということと、この協議会には使用者団体の方も入っていただ いておりますので、そのような団体経由での普及もお願いしたいと思っております。  2点目の税制優遇等の政策提言的なお話も大事なことだと思いますが、今回のこの協 議会はいろいろな制度をこのように変えるといったことの提言というよりは、いまある 制度の中で企業経営上このようなことが大事だ、それはなぜか、取り組む上で何がポイ ントかということを経営者の間で議論し、提言することに重点を置いております。ご指 摘の点も大事なことですが、今回の提言ではそのようなものは別枠と考えております。 ○北城座長 税制というのはどのように対応するかということもあるし、そう簡単な制 度設計もできないと思いますので、どちらかと言うと経営者の意識の問題が非常に大き いし、企業風土とか、中間管理職がどうするかも経営者に依存するところが大きいと思 います。、どのように普及させるかという観点ですが、広報活動については何か表彰もし ているようで、ワーク・ライフ・バランスの表彰というのはどのぐらい認知されている かわかりませんが、もっと認知度を高めていくことが必要でしょう。例えば、最近の学 生は、ワーク・ライフ・バランスを積極的に推進しているかどうかが就職時の企業選択 の重要な視点になってきており、企業が積極的に取り組むことが、経営者にとってのメ リット、すなわち優秀な学生を集めることができる、定着する、社会的に非常に高く評 価されるということにつながり、企業イメージの向上にも大きく貢献し、ひいては業績 向上にもつながるのだと思います。そのような意味では経済団体にこの資料を送ってP Rを図るのも良いとは思いますが、やはりマスコミで取り上げてもらって認知度を高め ることが非常に重要だと思います。安倍さんが自民党総裁に就任されましたが、総裁選 の政権公約ではワーク・ライフ・バランスが重要とおっしゃっていました。どのように 進めるかそれ以上はわからなかったのですが、しかし、言ったというのはいいことです から、そのようなことを通してもう少しマスコミなどで取り上げてもらうように工夫を したいところです。民間の雑誌や新聞社でも企業の取り組みについて取り上げているの で、メディアと協働してどんどん表彰したりランキングを発表したりすると、経営者に 多少でも影響を与えるのではないでしょうか。岡村委員、いかがですか。我々は会社の ランクが低いと、どうなっているのかと思いますから、そのようなことを考えてはどう でしょうか。 ○茂木委員 前回の議事録も読ませていただき、推進をするという面からいくと、やは り企業風土をどうつくっていくかということがいちばん大事かなという感じがしました し、前回の議論でもだいぶ出ておりました。そのような意味では、先ほども話が出てい た14頁の従業員自身が自らの働き方について主体的に、能動的にということが、経営 者はもちろん第一義的に重要ですが、従業員サイドがどこまで主体的に考えられるかが、 企業風土づくりの上から言うと相当重要だという感じがしますので、ここが入ったのは かなりいいことだと思います。ただ、この中で1点質問ですが、能動的な仕組とは何を 指すのか。個別企業レベルで考える仕組なのか、仕組とはどんな内容か伺いたいと思い ます。  もう1つはちょっと違うことですが、この議論自体は、全体的には定着を図って、1 つの企業で了承させて、辞めないでということが前提になっているわけですが、例えば 労働移動ということでは中小企業のほうは人手が足りなくて非常に困っているわけです。 そのような労働移動の観点での視点というのは、今後の課題の1つになるかなという感 じがしました。1つの企業の中で働き続けられる状態をつくることが、いまの状況では 第一義的に大事ですが、もう1つのラインとして、労働移動があって、そこの受け皿と いう部分がもう1つあるのではないかという感じがいたしました。 ○職業家庭両立課長 14頁の新たに盛り込んだ経営者の発言は、前回中野委員が発言さ れたことを要約して入れております。仕組とは何かというのは中野委員に聞いてみない と、私自身も確たるイメージを持って書いているわけではありません。もし風土とか、 そのようにしたほうがわかりやすい、あるいはこんな仕組があるということであれば、 ご意見をいただきたいと思います。 ○茂木委員 従業員サイドが、ある面自主規制をしているのかなという部分もあって、 いま全体的に能力給ということを労使が合意し、進めてきたわけですが、能力給に基づ く能力差の問題、他よりも上に行きたいなど、そのような意識が過剰に出た場合、その 過剰さが逆に主体性を奪っていることもあるので、この辺りはどのようにいくのか。私 にも答はないのですが、そこの意識をどうつくっていくのかというのが、この問題だけ ではなくて大事な問題ではないかと思っております。いまの人たちの意識構造はどのよ うになっていくのかが、企業風土づくりの上からもかなりポイントになると思いますの で、ちょっとお話いたしました。 ○北城座長 おっしゃるとおり、能力給主義ということがあると、従業員側も成果を求 められ、より高い成果を出そうとして長時間働くという色彩もあると思います。それで は能力主義というか成果主義をやめるのかというと、これからの社会はそういうことに もならないと思うのです。そうすると、最後は社員が長時間働いていることを良しとす るような管理職がいるかとか、あるいはそれを経営者がどう考えるかではないかと思う のです。能力をはかるときに、もちろん成果は見るのですが、従業員に休暇も与えない、 研修にも出さない、ただただ仕事だけやらせるといった管理職が、そのような管理をす ること自体が会社の経営にとって良いのかどうかは、ある程度経営者が判断し、そのよ うな管理職は良くないということにしないと、なくならないのではないかと思うのです。 やはり、最後は経営者がどう考え、どう動くかが問題ではないか。もちろん中間管理職、 社員とみんな影響しますが、最後は経営者が判断してそのように経営し、なおかつ成功 していただかないと駄目ではないかと思いますから、具体的に書くのはなかなか難しい 気がしました。 ○内海委員 経営者や管理職が長時間働くことを良しとせず成果できちっと評価すると いうことが、まず重要なことだと思いますが、実際は、長時間働いている人の多い職場 ですと、「お先に失礼します。どうもすみません」と定時で帰るのでも、謝りながら帰る という職場風土ができてしまっています。今日は帰るぞという強い意思を持たないとな かなか帰れないというのが実態です。やはり、一人一人が仕事と生活のバランスを取る のだという強い意思を持つことが大事なのではないかと思います。もちろん、経営方針 やマネージメントがワーク・ライフ・バランスをきちんと考えていることが前提ではあ りますが、本人の強い意思との両方でやっていくのがいいのではないかと思います。  ワーク・ライフ・バランスという問題は、育児参加の話だけではないと思います。こ の協議会は少子化対策から発しているので、男性が育児休職を取れるような企業という ことでこのようなテーマになっていると思うのですが、実際には子育て中の人ばかりで はなく、いろいろな人のことを考えなくてはいけないとなると、早く帰る子育て中の人 の負荷を肩代わりする子どものいない人や独身者といった人たちのワーク・ライフ・バ ランスはどうなってしまうのかということも考えなくてはなりません。ワーク・ライフ・ バランスは、子育て中の人にとってなくてはならないものですが、子育て中でない人で も、自分自身の能力開発や趣味を活かすなど、人生を豊かに生活していく上でその人な りに当然必要なことだと思いますから、そのような人たちにも共感してもらえる報告書 にしないといけないのではないかと思います。そのような意味では、「男性が育児参加で きる」という表現は少し強い印象を受けますので、「男性も育児参加できるワーク・ライ フ・バランス」という言い方のほうが、いろいろなことを可能にするワーク・ライフ・ バランスというように、可能性を広げる言葉になるのではないかと思います。 ○北城座長 最初の点は14頁の修文した中身の「主体的・能動的に考える仕組」、この 仕組を抜いてしまったほうがいいかもしれません。考えることができるようにする仕組 とはどのような仕組だといろいろ言われて、その仕組がはっきりしないと何かというこ とになってしまうので、まず自らも考えなさいと。そのようなことをやっている人が将 来偉くなって社長になれば、会社も随分変わるでしょうね。 ○阿部委員 関連して、仕組が必要かどうかは皆さんで決めればいいと思います。ただ し、仕組とはこのようなことだと思います。家庭生活のあり方について社会や企業が決 めるわけにはいかない、個人が決めることである。しかし、個人がこうしたい、ああし たいと言っているにもかかわらず、社会や企業がそれを阻害してしまうようなことがな いように、どのようなサポート体制を取っていくかということを、仕組と読み換えるこ とはできないでしょうか。そのために、どのような制度なり、運用なりを整えていくか ということが、この部分で議論されていく、あるいは会社の中で議論されていくことで はないかと思います。  その中で1つ、皆さんがおっしゃっていたように、中間管理職の役割は非常に大切で す。企業風土や会社全体の雰囲気も大変重要ですが、中間管理職も非常に重要な役割を 果たすだろうと思います。というのは、いま私はある製造メーカーについてケーススタ ディをしているのですが、その中で中間管理職がどのようなタイプの人間的素養を持っ ているか、例えばリーダーシップ能力、コミュニケーション能力など、仕事のためのス キルとは別のEQ的な素養が重要であるということが次第に見えてきています。管理職 のEQ的な素養が、部下の生産性にどう影響するかなどいろいろ調べました。そうする と、コミュニケーション能力が高い、リーダーシップ能力が高いといった中間管理職が 管理する部や課では、非常に高い成果を上げる一方で、実は労働時間が短いということ が見えてきました。  逆に、そういった能力が低い管理職の管理する部や課では、生産性が低いにもかかわ らず、部下の労働時間は長いのです。ところが、人事評価を見ると、労働時間が長いタ イプの中間管理職のほうが、評価は高いのです。それは能力主義だ何だと言っていなが ら、実は能力を見ていない、成果を見ていない。特にホワイトカラーは見にくいという ところがあるので、そのような結果になっているのかもしれません。  もっといろいろな研究が必要だと思っていますし、そのようなことを社会に発信して いく必要があると思います。現在、我々が直面している問題としては少子化問題が非常 に大きい。これから2,000万、3,000万の労働力人口が減少していく中では、特にホワ イトカラーの生産性を上げる必要が今まで以上に出てくると思います。そのときに、ど ういった仕組が必要かということを、ワーク・ライフ・バランスを通じて1つのきっか けにできるのではないか。そのためにはこういった仕組があってもいいし、これを労働 市場からの制約と受け止めて、この中で企業経営を考える、中間管理職が人材教育をど う考えていくかというのは必要ではないかと思っております。ここで議論して長くする のは申し訳ないですが、そのようなことではないかと思います。 ○北城座長 そのようなことも含めて仕組と言えば仕組だとすると、中野委員が仕組と 言われていますから、仕組を残しておいてもいいかなと思います。いま言われた言葉の 中で、能力主義と成果主義とを一緒に使っていますが、能力主義と言うよりも、成果主 義と言ったほうが良いかもしれません。能力を持っていても、発揮しない人は成果に結 び付かないわけですし、能力主義と言うと、能力があるかどうかだけになってしまいま すから、成果主義と言ったほうが良いかもしれません。それでは仕組は基本的に残して いいですか。次に山崎委員お願いいたします。 ○山崎(克)委員 ワーク・ライフ・バランスを中小企業が導入するということは、大 方経営者、事業者の判断だと思います。提言を読んでみると、枠内に経営者、事業者の 意見がかなり書いてありますが、業種別あるいは規模別が見えないのです。インタビュ ーをもとにと書いたとういうことですが、中小企業者が読んだときに、メッセージもほ とんどが大手の方ですから、自分たちとは関係がないといったことになるのではないか という危惧があります。中堅企業はいいのでしょうが、小さい所は自分たちに関係のな いことだという感じがするのではないかと思いますので、PRあるいは普及させるとき には、多くの企業が身近に感じて、やらなきゃいけないということになるような工夫を していただければと思います。  もう1点、先ほど労働局長を通じてPRをするという話があったのですが、次世代育 成対策推進法では市町村で行動計画を立てるようになっております。その中身はわから ないのですが、やはり国だけではなくて、地方からもそのような声を上げることが必要 ではないかと思います。これは継続的にやらないとなかなか普及しないので、そこは労 働局と市町村、特に市町村長がうまくリードをしないと、企業もなかなか取り組まない という面がありますので、その辺は連絡を取って、普及が十分うまくいくようにお願い したいと思います。 ○職業家庭両立課長 ヒアリングをした企業は大体15社ぐらいです。公表情報しかな いものですから、ここは男性の育児参加に熱心だという企業は、中小はそれほどなかっ たというのが実状でした。ここに業種や規模を入れると、中小が入っていないというこ とで、さらに疎外感が出てしまうかもしれませんし、企業が特定されないような形でイ ンタビューさせてほしいということで行ったので、業種などを書くとわかってしまうこ とになり、そこはちょっと難しいと思います。ただ、普及の段階で、中小企業にも関係 があるのだと思ってもらえるような工夫は是非したいと思いますし、山崎委員の団体の ほうにもご協力をお願いしたいと思っております。一つひとつ分解すると非常にお金が かかるとか、スケールメリットがないとできないというのは、むしろ非常に少ないよう な感じがしておりまして、そこはPRの仕方の工夫次第で共感を持って受け止めてもら えるかなと思っていますし、自治体も活用してやっていきたいと思います。 ○大矢委員 ワーク・ライフ・バランスを推進するための意識改革ということは、今回 非常に明確になって、全体的に意義ある提言にまとまっているのではないかと思います が、男性も育児参加という部分になると、個人の自立的で能動的な意識に留まっている のではないかと考えます。というのは、あるべき姿の育児参加の象徴的なものとして育 児休業があるわけですが、育児休業の場合は休業保障などといった制度面のことに触れ ないと、推進していくことはなかなか難しいのではないかと思われます。また評価につ いても、もう少し明確に掘り込んだ形で入れていかないと、個人の面でどうぞと言われ ても、これからの出世にひびいたり、給与保障がされないのでは、全く自立的な部分に 頼るところしかないというニュアンスをこの提言の中では受けると思います。  実際に取得する側から見ると、きれい事で終わっているなという感じのニュアンスを 受ける危惧があることから、そのような意味では、今回の提言は推進していくのが主眼 であるという位置づけを明確にしていったほうがいいのではないかと思います。 ○佐藤委員 おっしゃることはよくわかるのですが、制度だけに絞っていくと、男女で 差はないわけです。男性だけ昇進に遅れがなくて、女性だけが遅れるのでは困るわけで す。女性が取りやすく、男性が取りにくいということを問題にしているので、制度が違 うわけではないのです。人事制度の仕組も男性だけ評価を変えている、それ自体は問題 なのですが、普通はそれはないと思います。制度的には同じであるにもかかわらず、企 業内で男性が取りにくいというところに切り込むというのが今回のテーマだと思います から、大事な点は大事な点ですが、それをやり出すと、男女ともでの議論と同じになっ てしまうのではないかと考えております。 ○大矢委員 具体的に言うと、やはり男性の給与が高く、給与保障が4割という形です と、男性が取りにくいということもありますし、いまの状況では今後評価や昇格につい ても影響を受けると思われている部分があるので、その点についてふれました。 ○職業家庭両立課長 男性が取りにくいということで、評価面と制度面の話については、 どのぐらいきちっと答えられているかわからないのですが、15頁から16頁にかけて関 連する部分があります。人事制度面の工夫で一番大きく取り上げているのは、休業など いろいろな制度を利用したときに、昇格制度ではどのような取扱いになるかということ が不透明である職場がまだまだ多いので、そうだとしたら恐くて取れないということが 起こりがちですから、まずルール化してくださいということを1つ大きく言っておりま す。休業中の経済支援の話ですが、16頁の上から2つ目の箱で、ちょっと分量は少ない ですが、取りやすくするために有給にしたという制度面の工夫をしている事例を紹介し ております。これを越えて、国の制度として制度をこのようにすべきだ、あのようにす べきだという議論は、この協議会では正面から取り扱っている問題ではないので、また それはそれで別の場面でするといった仕分けにさせていただければありがたいと思いま す。 ○大矢委員 そうであれば、冒頭に位置付けを言及した方がこの提言の役割が明確にな るかなと思います。 ○佐藤委員 追加的に、男性の場合、妻が専業主婦だと、育児休業で所得が4割という のは非常にきついのはよくわかるのです。一方で、男女ともにフル・フルで働き、女性 の所得が多くても、これは研究したのですが、女性が取っているのです。つまり、所得 だけではなくて意識なり、風土のほうが実は非常に大きい。そこを変えていくというこ とが大事かなと。実態はフル・フルで働いているカップル、女性に相当所得があっても、 データ的には、多くの場合女性が取っているのです。もちろん、専業主婦のようなケー スもありますが、男性のほうが所得があるから、女性のほうが所得が少ないから取って いないというだけではなかなか説明できないというのが現状ではないかと思います。 ○北城座長 このような思想を啓発する協議会だということで、制度面を中心には書い ていないということをどこかに書いておいたほうが良いかもしれません。 ○水越委員 今回の提言は全体的にソフトな提言であると私も感じます。先ほどのご意 見のように定量的な資料もまだまだこれからというところですし、実際にこの提言で、 経営者の方々がどれだけ決断してくれるのか少々懸念はあります。しかし、タイトルに 「男性も育児参加できる・・・」とかなりはっきりとしたキーワードを発することによ り十分に認識していただけるのではないかと思います。 ワーク・ライフ・バランスについてですが、ライフスタイルは個人に委ねられるもので あり、育児のスタイルも各家庭、各個人が決めるものという原則はお互い認識したいと 思うのです。ただ、1人の人生を考えたとき、ライフステージによって本当に仕事に打 ち込む時期と、ワーク・ライフ・バランスを取っていくことが必要な時期と、そしてま た、むしろ家庭生活のほうに軸足を置きたい時期というのは個々人によって違うのでは ないでしょうか。一生、仕事と生活のバランスが同じという形にはならないのではない かと思います。  それぞれのライフステージに合わせて選択できる働き方を認め合えることが、これか らの時代、個人にとっても企業にとっても重要であり、21世紀に通用する働き方にな っていくのではないかと私は思います。  今回の提言内容はソフトでも良いのではないかと思います。ただ、サブタイトルの「環 境変化に対応する企業経営」が少々、わかりづらいと思うのですが、良い案が浮かびま せん。 ○北城座長 他にご意見はありますか。 ○岡村座長代理 意見ということではないのですが。この中は基本的に正規従業員を対 象にした話なのでしょうか。非正規従業員についてはどう考えるのかという問題も頭に 入れておく必要があるのではないか。偽装雇用などがいま非常に問題になっているので、 何か考えておいたほうがいいのではないかと今ふっと気がついたのです。その辺はどう お考えになったのですか。 ○職業家庭両立課長 事務局として雇用形態により、この問題状況が違うということは ないと思います。雇用形態の如何を問わず、働く人にとっても、そのような人を雇って 企業経営をする側にとっても、このようなワーク・ライフ・バランスが大事であること は変わらないと思います。特に正社員中心とか、そうでない所が中心とか、こちらは入 らないとか、そのような頭はなく、すべてにかぶる共通の問題として、気持としてはま とめたつもりです。実際に労働時間が長くて、いろいろな問題が起こりやすい状況に置 かれているのは、正社員の人たちであると思います。 ○岡村座長代理 育児休暇の制度が、派遣企業と派遣を受けている企業との間で違うと か、そのような問題がある。本体では育児休暇を3年認めていて、派遣企業では1年間 しか認めていないという、制度の違いがあるわけです。あまり制度面や政策面を言って しまうと、提言書のバランスが崩れてしまうので、そこまで入り込む必要がないのかも しれません。これは一つの問題意識として持っておくということが必要です。 ○職業家庭両立課長 この提言自体は、そのような労働条件がずれていた場合に、どう かということよりは、企業経営の上でのワーク・ライフ・バランスの考え方の骨のとこ ろをまとめて、応用は追々という考えで作っているものです。実際に、育児休業は派遣 労働者の場合、派遣元の責任になりますので、派遣元の制度でやっていただくことにな ります。 ○北城座長 そうですね。正規と非正規も重要な課題なのですが、すべてのことを書い てしまうと焦点が当てられないから、主として正規雇用者を対象とした企業のやり方で よいのではないかということです。 ○佐藤委員 この副題を落としてしまうというのはどうでしょうか。 ○北城座長 私は、副題としてはこれからの時代の企業経営とかそんな感じがいいかと。 ○佐藤委員 それもいいかもしれません。それが1つですね。 ○北城座長 これからの時代。少子高齢化に向かう、これからの時代の企業経営。 ○山崎(雅)委員 そうですね。個人の面で言えば、能力発揮という側面で捉えるとい う捉え方もあるし、企業の面で捉えると、成果という側面で捉える捉え方もあるのです が、書くと確かにややこしくなります。 ○北城座長 これからの時代ぐらいでどうかと。 ○佐藤委員 これはちょっと今のままだとよくわからないので、落としてしまったほう がいいかという気もしないではない。これからの時代の企業経営のほうがはっきりする。 ○北城座長 そのようなことで、多くの皆さんの賛同を得ました。水越委員がタイトル を何とかと言われたので、私もタイトルを一生懸命に考えていました。 ○山崎(雅)委員 あと目次を見ていて気がついたのですが。先ほど座長が言われたの は、「男性が」と「も」の話です。これは目次の小項目も「も」に統一してしまってもい いのではないですか。それならソフトなイメージが出てくる。 ○佐藤委員 協議会の名前だけが書いてあって、あと中身は基本的にそう直す。 ○北城座長 協議会の名前は変えられないのですね。 ○山崎(雅)委員 もう終わっているから、変えないほうがいいと思います。 ○佐藤委員 そうすると、問題にする人がなぜ違うのかと。 ○山崎(克)委員 「男性も」にすると、男性も参加できるのだという程度の解釈にな りませんか。男性も参加してもいいんだよ、という程度の感じにも取れないことはない。 ○北城座長 大体、女性は育児をしていることが前提になっているので、このままで良 いのではないでしょうか。では、いろいろいただいたご意見をもとに修正するとして、 先に少し概要の1の2をお話いただいて、両方合わせてどのように取りまとめるか、ま た皆さんとご相談したいと思います。  概要の1の2について、ご意見は何かありますか。基本的な意見はいまの本編につい ての議論で出たような内容で完結すると思います。本編をコンパクトにまとめて概要版 を作ることは良いことだと私は思うのですが、まず、目次と、結果として何が言いたい のかということを、最初に書いておいてはいかがでしょうか。この出席者リストに岡村 委員などの名前が出ていることで、権威をつけるためにいちばん前に書いたのかもしれ ませんが、出席者リストは後ろで良いのではないでしょうか。最初にこの「概要」で何 を言いたいのか書いておいたほうが良いと思います。1枚目は、確かにメッセージで始 まっているのだけれども、そもそもこれはどういう趣旨で何を書いているのかが必ずし も明らかではありません。それと、目次が必要でしょう。今の作り方だとバラバラと資 料が出てしまう感じがするのです。確かに本編を読みなさいということかもしれないけ れども、本編を読まないでこれだけ読む人からすると、どういう目次とかどういう趣旨 かと先に言ったほうが良いのではないでしょうか。それから、参加者リストはいちばん 後ろでいいのではないですか。他にどうぞ。 ○今井委員 そのようにしないと、ソフトの上にソフトになってわからなくなってしま う。メリハリをつけていただきたい。 ○佐藤委員 2頁が、先頭でもいいのではないかと思います。 ○北城座長 2頁が先頭だと、これをちゃんと読めということになるのです。最初に簡 単にこの資料は何なのか、何を言おうとしているのかを明らかにしておきたい。 ○佐藤委員 全体のまとめですね。 ○北城座長 まとめをちょっと簡単に書いて、目次も章立てで書いたほうがいいのか。 ○佐藤委員 なるほど。別に作るということですね。それはいいかもしれません。 ○北城座長 どこが目次で、どこが内容なのかがわかりにくいような気もしますので、 ちょっと検討するということです。 ○職業家庭両立課長 はい。 ○北城座長 他に何かありますか。概要の1頁のいちばん上のグラフで、日本人男性の 家事・育児時間は非常に短いというデータがありますが、これを強調するためにも、場 合によってはこの「日本」という文字の色を変えても良いかもしれません。何かぱっと 目立つように。いかにも日本は少ないと。 ○職業家庭両立課長 はい。 ○岡村座長代理 北城座長が言われたことと全く同じことですけれども、やはりエグゼ クティブサマリーみたいな形にしていただいて、それで詳しいデータはこちらにあると いう読み方ができるようにしていただいたほうが、読みやすいのではないですか。大体 2つ作ると、概要までしか読まないのです。 ○北城座長 そうですよね、忙しいですから。そのような意味では、経営者の声や我々 の声を3頁とか5頁に散りばめていただいたのだけれど、ここに散りばめるか後ろにま とめるか検討し直しても良いかもしれません。忙しい経営者からすると、ともかく要点 だけ教えてほしいという声はあります。1頁の上のグラフなどは割合影響力があります ね。男が育児に参加していないというのがよくわかります。 ○佐藤委員 本体1頁の、「次の3点が大事です」というのを前に持っていくのはいかが ですか。 ○北城座長 そうですね。3点書くかどうかは別にして、ともかく言いたいことを「は じめに」として書いてしまう。今この話は録音されているのですよね。先ほど水越委員 が言われた話を、最初に書いてしまったほうがいいのではないか。初めにふさわしいお 話をされていたので。要するにワーク・ライフ・バランスというのは、ある局面ごとに その働き方の取組に違いがある。あるときは仕事に徹底的に取り組みたい時もあれば、 あるときはもう少し家庭や他のことに時間を使いたいこともある。それが実現できるよ うな社会であるほうが、働き手にとっても好ましいし、また企業の業績にも貢献するの ではないかということを、先に書いていただいたほうが良いかもしれません。ワーク・ ライフ・バランスというのは、一律、一生の間同じようなワーク・ライフ・バランスで、 勤務時間を短くしろという話ではない。ときには徹底的にワークすることもあるし、と きには他のことに時間を使いたい。その働き手のニーズに合わせて働ける環境を作るこ とができる、ということが好ましいということを、どこかに書いていただいたほうが良 いかもしれません。 ○山崎(克)委員 お願いなのですが、中小企業はまだパソコンよりペーパー情報がか なり多い状況です。厚労省カラーもあると思うのですが、印象に残る目立つような色で お作りいただければと思います。そうでないと他の資料と一緒に隅に積まれてしまう。 ○職業家庭両立課長 濃いほうがよろしいですか。 ○山崎(克)委員 濃いというか、はっきりわかるような印象づけるような。 ○北城座長 目次とか。そうですね、ぱっと開けたときに厚い資料を読まされると思う と、もう読まないで置いてしまう。ぱっと見て、印象に残れば読みましょうということ があるかもしれません。他にありますか。  なければ伺っていた話です。広報活動をこれからどうするかということをよく検討し ていただきたいと思いますが、まず、企業経営者に向けて、インパクトのあるような形 でどう広報するのか。これは、中小企業の方にも関心を持っていただけるような広報活 動が要ると思う。もう1つは、学生や働いている人たちにも、どうやってこのようなメ ッセージを出していくのか。企業経営者から見ると、優秀な学生を採用したいという気 持もあるし、いま働いている優秀な社員に持続して働いてほしいという気持もあると思 います。それから広く社会一般から、優れた企業と見なされている企業の社会的責任の 中には、環境に配慮するだけではなく、従業員のニーズにも適切に配慮している会社の ほうが、社会から見て好ましい企業だという見方もあると思うのです。企業の社会的責 任についても、経営者は関心があるだけに、この活動を単に経営者の組合、経団連、商 工会議所などに配るとか、労働局経由だけで展開するのではなくて、もうちょっと広く 多くの人に知ってもらうためには、マスコミに上手に出すやり方を考えていただいたら 良いと思うのです。そのような意味で先ほどマスコミがいらっしゃったけれども。いま 表彰というのは、どのようにやっていますか。 ○職業家庭両立課長 実は今日、平成18年度のファミリー・フレンドリー企業表彰の。 ○北城座長 ファミリー・フレンドリー表彰というのをやめて、ワーク・ライフ・バラ ンス表彰といった名称にしてはいかがですか。ファミリー・フレンドリーと言うと、別 の概念かと思われてしまいますから。あるいは別に作っていただいても良いのですが。 ○佐藤委員 もう変えてもいいと思います。 ○北城座長 我々が言っているのはファミリーだけではない。従業員の多様なニーズの 中にファミリー以外のこともあるかもしれない。それも含めてワーク・ライフ・バラン スが大事だということだと思います。ワーク・ライフ・バランス表彰とかにしていただ ければ、より考え方も広がって良いのではないでしょうか。大体ファミリー・フレンド リーという言葉はあまり流行らなかったですね。 ○職業家庭両立課長 この中に表彰を受けられた企業の方もおられますので。 ○北城座長 いや、もちろん世の中には非常に重要なことなのですが、そのようなこと も含めて、せっかくワーク・ライフ・バランスという言葉を使った提言をするわけです から、考え方とともに、その言葉も広めていくためにも、表彰もその名称に合わせては どうかと提案した次第です。いずれにしても、まず、広報活動のあり方を少し検討して いただきたい。2番目に、今回は制度の改革の提言はしないということを、どこかで明 確にしておいたほうが良い。要するに、啓発活動としてこの推進協議会は活動したとい うことを、書いておいたほうが良いのではないか、という辺りですね。あとはこれまで 内容等について議論したことを反映していただきたい。概要はインパクトがあるように、 簡潔にまとめていただきたい。「概要」と書きながら、結構長いですけれども、どこに何 が書いてあるのか、多少順番がよくわからない感じがします。逆に言うと、本文ではど こに書いてあると、どこかに書くのですか。本文との関連はどうやって見やすくするの ですか。 ○職業家庭両立課長 これを最初に作ったときの発想としては、目次がつくほど長いも のではなく、見開きごとにコピーをして、例えば従業員研修とかに使えるようなものや、 事業主の方が集まった場で説明できるようなものをと思っていたのです。一貫して長い 読み物というよりは、切り取りで使えるような形にしようと思ったものですから。 ○北城座長 それもあるけれど、4、5頁で、経営者がぱっとわかるような資料にして しまったほうが良いのではないか。研修で使うのであれば、本文からコピーを取っても らえば良い。 ○職業家庭両立課長 はい、それもあります。 ○北城座長 というような発想にしてはいかがでしょうか。我々の声など書いていただ いたほうが良いけれども、あまりたくさん載せてしまうとコンパクトにならなくなって しまいますし、載せるならば後ろに書いていただいて、先ほど水越委員が言われたよう な、考え方がぱっと分かるような資料にしていただく。日本においては、男性は育児に は参加していない、家事も含めて1時間もやっていないということもわかるように。 ○今井委員 広報には、「ゆとりマーク」を付けましょうというのがありますね。それも 全くこの中では触れないのですか。 ○北城座長 ゆとりマークもやめて、ワーク・ライフ・バランスマークに変えてもらう とか。 ○今井委員 折角あるのだから、言葉をそのようにして。 ○北城座長 このようなことを言ってはいけないのかもしれないけれども、週60時間 働いているということは、週20時間月80時間残業をするのが4人に1人、裁量労働し ている人もいるのでしょうけれど、これを厚生労働省の資料として追認しているのです。 このようなことをあまり言うと、この資料が出なくなってしまうけれど、これは重要な ことなのです。  他に何かご意見はありますか。ないようでしたら、いろいろ出していただいた議論に いくつか修正点があったと思います。概要のほうは、内容というよりも、もう1回作り 直しがあると思います。また皆さんにお集まりいただくようになると、なかなか時間を 取ることは難しいと思いますので、基本的には皆さんにいただいた議論を中心にして、 あとは事務局と私と、岡村委員にご意見をいろいろいただきながら、まとめていきたい と思います。ご了解いただけますか。 (異議なし) ○北城座長 どうもありがとうございます。それではこの提言のとりまとめ、今後の扱 い等について、事務局から説明をお願いします。 ○職業家庭両立課長 ただいま座長からご発言がありましたとおり、内容については座 長と相談をさせていただきまして、確定をしたら協議会の提言として、なるべくいろい ろな人に広く取り上げてもらえるように広報をしたいと思います。公表の際には、各委 員の皆様にもご連絡をさせていただきます。提言の公表後は、企業向けの啓発資料とし て活用し、このような考え方の普及を図っていきたいと思います。具体的には先ほど申 しましたように、まずは自分の組織を活用するということで、労働局を通じて全国の企 業に配付したいと思っています。また、協議会に参集された委員の方々にも、各企業な り団体の中で、周知啓発にご活用いただきたいと思います。特に使用者団体3団体の皆 様におかれましては、組織の中で加盟企業の方に配付をよろしくお願いします。 ○北城座長 いまの事務局の進め方について、ご意見はありますか。公表というのは、 どのようにするのですか。新聞記者にバッと投げ込むのですか。それともお話をされる のですか。 ○職業家庭両立課長 実は事前レクを週末にしていますので、レクをするような形でし たいと思います。 ○北城座長 折角まとめられたものですし、できるだけ多くの人に知っていただくため には、マスコミ等で取り上げられることも重要だと思いますので、よろしくお願いした いと思います。それでは他にご発言がないようでしたら、少し早めですけれどもこの推 進協議会の第2回会合を終わりたいと思いますが、終わりに雇用均等・児童家庭局長か らご挨拶いただきたいと思います。お願いします。 ○雇用均等・児童家庭局長 一言御礼のご挨拶を申し上げます。皆様方にはご多忙中に も関わりませず、本協議会にご出席を賜り精力的なご議論をいただきまして誠にありが とうございました。また企業経営の視点から、皆様の貴重なメッセージが盛り込まれた 提言を、おとりまとめいただきましたことに重ねて御礼を申し上げます。  近年働き手の意識やライフスタイルが変化する中、本協議会では男性の育児参加を切 り口として、仕事と生活を両立できるような働き方についてご検討いただきました。こ のような働き方ができる環境を整備することが、企業経営上も必要であり、またメリッ トをもたらすものであるということについて、この協議会の提言が経済界に向けての大 きな発信となると思います。提言の内容につきましては、今後啓発資料として積極的に 活用すると共に、子育て層だけでなく、働く人々全体のワーク・ライフ・バランスが実 現できるよう、本日ご指摘いただきましたように、国の機関あるいは地方自治体のみな らず、幅広く効果的な広報活動に努めてまいりたいと考えています。また皆様方におか れましても、各企業、団体内の周知啓発や、働き方の見直しなどの取組について、ご尽 力いただけますようよろしくお願い申し上げます。  最後に、今後とも雇用均等行政にご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げま して、私からの御礼のご挨拶に代えさせていただきます。どうもありがとうございまし た。 ○北城座長 どうもありがとうございました。それではお忙しいところご出席いただき、 活発にご議論いただきましてありがとうございました。是非この活動が広く社会に認知 され、日本社会を変えるような成果を出すことを期待して、この委員会を終わりたいと 思います。どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課 法規係 (内線7856)