06/09/22 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成18年9月22日議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成18年9月22日 15:00〜17:40   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(14名)五十音順   伊 賀 立 二、 板 倉 ゆか子、◎井 村 伸 正、 笠 貫   宏、    神 山 美智子、 竹 嶋 康 弘、 土 屋 利 江、 永 井 良 三   西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 広 津 千 尋、 本 田 佳 子、    望 月 眞 弓、○山 口   徹、 吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   外、参考人1名   欠席委員(8名)   池 田 康 夫、 井 部 俊 子、 岩 田   誠、 河 盛 隆 造、    北 澤 京 子、 松 尾 宣 武、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子   3.行政機関出席者   高 橋 直 人(医薬食品局長)、 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   中 澤 一 隆(総務課長)、   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   伏 見   環(安全対策課長)、  村 上 貴 久(監視指導・麻薬対策課長)   小 林   剛(医薬情報室長)、 俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、   佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、大 西 証 史(監視指導室長)   植 村 展 生(血液対策企画官)、 山 田 雅 信(安全使用推進室長)、    杉 浦 勝 明(農林水産省消費・安全局畜産水産安全管理課長)、他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○井村分科会長 ただ今から、薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催いたします。審 議に入る前に、委員の交替がありましたので、御紹介申し上げます。長尾拓委員が退任 され、替わって国立医薬品食品衛生研究所所長の西島正弘委員が就任されております。 続いて事務局の方にもかなりの異動がありましたので、それについて事務局から御紹介 をお願いいたします。 ○総務課長 総務課長の中澤でございます。本年9月の人事異動により着任いたしまし た。どうぞよろしくお願いいたします。幹部職員の異動がありましたので、議事に先立 ち、御紹介申し上げたいと存じます。福井前局長に替わり、高橋医薬食品局長が就任い たしておりますので、御挨拶をいたします。 ○医薬食品局長 9月1日付で医薬食品局長に就任した高橋でございます。よろしくお 願い申し上げます。薬事行政においては、医薬品や医療機器の品質、有効性、安全性の 確保を図り、国民のニーズに応えて、迅速かつ安定的に医薬品を提供していくというの が、大きな使命です。委員の皆様におかれましては、引き続きそれぞれの専門分野にお ける最新の科学的知見と、豊かな御経験に基づいて厳正な審議をいただいて、本審議会 に対する国民の期待に応えていただきますよう、改めてお願い申し上げます。  先の通常国会では、一般用医薬品のリスクの程度に応じて、専門家が関与して適切な 情報提供や説明を行う、あるいは相談対応を行うといった制度を構築するために、販売 するものの全般にわたる46年ぶりの改正をいたしました。それとともに、違法ドラッグ の迅速かつ実効ある取締りを可能とするための改正を行ったところです。内容について は後ほど御説明申し上げますが、今後の円滑な施行に向けて、準備を進めていこうとし ておりますので、よろしくお願い申し上げます。本日の分科会では審議事項2件、報告 事項35件が予定されております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○総務課長 続いて、9月に異動のあった私どもの局の幹部職員の紹介をいたします。 中垣審査管理課長、伏見安全対策課長、俵木医療機器審査管理室長です。また、本日は 出張により欠席しておりますが、薬事企画官として関野が着任しております。  次に、本日の出席状況について御報告いたします。当分科会委員数23名のうち、14 名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しております。御欠席は池田委 員、井部委員、岩田委員、河盛委員、北澤委員、松尾委員、松本委員、溝口委員の8名 です。なお、竹嶋委員は後ほどより御参加との連絡をいただいております。それでは井 村分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 それでは最初に事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 審議事項については資料No.1-1、資料No.1-2、資料No.2となっております。報 告事項については資料No.3〜No.37となっております。その他、議事次第、座席表、名簿、 資料No.20-2として、アドベイド注射用添付文書(案)の差替え分を、本日配付しておりま す。本日は審議事項が2件、報告事項が35件予定されております。審議事項の議題2に ついては、分科会規程の改正となりますので、委員の皆様には御審議いただきたいと思 います。 ○井村分科会長 それでは議事に入ります。本日の審議事項の議題1に関しては、医薬 品第二部会部会長の池田委員が欠席されておりますので、部会長代理として群馬大学大 学院医学研究科教授の堀内龍也先生に、参考人として出席していただいております。資 料No.1ですが、議題1「医薬品ベルケイド注射用3mgの生物由来製品及び特定生物由来 製品の指定の要否、製造承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要 否について」の審議に入ります。この品目は、すでに承認されている類似薬がなく、新 しい有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、この薬事分科会の規則である「薬 事分科会における確認事項」の第3項に基づき、薬事分科会において審議を行うことに なっております。  初めに、医薬品第二部会での審議結果等を御報告いただいた後で審議をしたいと思い ます。それでは堀内参考人、よろしくお願いいたします。 ○堀内参考人 池田部会長に代わり、医薬品第二部会で審議をしたベルケイド注射用に ついて、概要を御説明いたします。審査の詳細については、事務局審査管理課から説明 していただきます。  本剤の対象疾病である「多発性骨髄腫」は、完治が期待できない血液悪性腫瘍で、我 が国では推定で年間約3,000人が罹患しております。初発時の治療は抗癌剤の併用療法、 又は自家造血幹細胞移植を伴う大量化学療法が施行されますが、治療が奏効した場合で も、ほぼ全ての患者が再発いたします。再発後は抗癌剤やデキサメサゾンの投与、同種 造血幹細胞移植等が用いられておりますが、いずれも臨床的に満足できる治療とはいえ ません。本剤は、これらの「再発又は難治性の多発性骨髄腫」に対して、効果を示す薬 剤として承認申請されました。また2005年4月開催の未承認薬使用問題検討会議で「早 期に申請がなされるよう対応が図られると共に、承認までの間に安全性確認試験を実施 するなどの適切な対策が必要である」と報告されているものです。  資料の「資料概要」2-6に「薬理」というのがありますが、少し複雑な作用メカニズ ムですので、この11ページ、12ページを御覧ください。本剤のボルテゾミブは新規の 作用機序を有し、プロテアソーム阻害により活性型のNF-κBの産生を抑制することによ って、腫瘍の増殖を抑制し、薬効を示すと考えられている抗悪性腫瘍薬です。一般に新 たに産生されたタンパク質は翻訳後の修飾を受けて、本来の機能を発現する場合が多い です。この機能の一端を担うのがユビキチン-プロテアソーム系です。20Sのプロテアソ ームは細胞質にあり、αリング2個、βリング2個が会合して円筒粒状をしており、カ スパーゼ様作用、トリプシン様作用、キモトリプシン様作用というタンパク分解酵素活 性をもっております。この粒子の活性化に必要な19Sの複合体がこの粒子に結合いたし ますと、ユビキチン化されたタンパクを認識し、そのタンパクを特異的に切断いたしま す。ボルテゾミブは20Sのプロテアソームのタンパク分解酵素活性を、選択的かつ可逆 的に阻害いたします。  NF-κBの因子はサイトカイン接着因子、転写因子など、多くの遺伝子の転写調節に関 与しており、腫瘍の細胞浸潤と転移、血管新生、細胞増殖などに重要な役割をしている 転写因子であることが知られておりますが、このNF-κBの活性化を阻害するなどによ り、複数のシグナル伝達系に影響を及ぼし、抗腫瘍効果を発現すると考えられている分 子標的薬の一つです。  本剤はすでに米国、欧州連合を含め、世界50数カ国で承認を受けております。本剤に ついては8月25日の医薬品第二部会で審議を行いました。本薬剤は再発あるいは難治性 多発性骨髄腫の患者に対する治験でデキサメタゾン投与群と比較してKaplan-Meier曲 線からも延命効果のあることが示され、有効性は確認されております。しかし特に日本 人女性に高頻度に重篤な肺障害が国内治験等で認められておりますので、重篤な肺障害 の危険因子や市販後の安全対策措置、市販後調査の内容について検討・確認を行いまし た。その結果、全症例に使用成績調査を実施するなどの承認条件、指示事項をつけて承 認して差し支えないと判断するに至りました。  以上、本剤の概要を説明いたしましたが、事務局からもう少し詳細な説明をお願いし たいと思います。 ○事務局 続いて事務局から、資料No.1の(ボルテゾミブ)について、臨床試験の成績 を中心に御説明申し上げます。臨床試験成績としては国内1試験、海外5試験の成績が 提出されております。資料No.1-1-1.8「添付文書(案)」の5ページに、臨床成績が簡単 にまとめられておりますので、御参照いただければと思います。海外で実施された比較 臨床試験においては、本剤投与群はデキサメタゾン群と比較して病勢進行に至るまでの 期間、すなわちTTP(Time to Progression)が有意に延長しました。また、国内の臨 床試験においては33例中10例、割合にしますと30.3%の奏効率が示されております。 このようなことから本剤の有効性は認められると判断しております。  安全性に関してですが、最も重要な問題点は、国内では海外よりも高い頻度で、本剤 投与による重篤な肺障害が発現する可能性があるということです。国内で実施された臨 床試験においては34例中1例に、本剤との因果関係が否定できない間質性肺炎が発症し ております。また血液内科の専門医が、本剤を個人輸入で使った患者において、肺障害 が認められたことを契機に、日本臨床血液学会及び日本血液学会の2学会が、合同で独 自に調査を実施した結果、本剤を使用した日本人46例中7例において、急性呼吸切迫症 候群等の重篤な肺障害が発現したという情報が報告されております。  現時点においては、肺障害発症の危険因子や予防方法等は明らかでありませんが、本 剤は救援治療として有効性が示されており、本剤を十分な管理ができる施設や医師の下 で使用することで、副作用のリスクを最小限とし、なおかつ万一、重篤な副作用発現の 場合にも万全の対応が取られるようにするという対応の下で、承認すべきというように 判断したところです。このため、製造販売後の対応としては、治療開始初期は患者を入 院の環境下におき慎重に観察を行うこと、使用全症例を対象に、中央登録方式による製 造販売後調査を実施し、肺障害の発生頻度、発症患者の背景因子等について、特に重点 的に調査を行うこと、収集された情報を製造販売後、早期から定期的に確認をして、医 療関係者に遅滞なく情報提供すること等、申請者に指示をして対応を行っております。 また資料No.1-2にある「ベルケイド適正使用ガイド」の作成を、申請者に指示して、医 療機関に対して肺障害等に関する詳細な情報提供を行うこととしております。  以上、総合機構での審査及び医薬品第二部会での御審議の結果、本剤は「再発又は難 治性の多発性骨髄腫」に対して有用性が認められ、承認して差し支えないものと判断し、 本薬事分科会で御審議いただくことが適当という判断に至った次第です。本剤は新有効 成分、かつ希少疾病用医薬品に指定されておりますので、再審査期間は10年、原体及び 製剤は毒薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないとされており ます。御審議、よろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明について、委員の皆様方から 御質問あるいは御意見がありましたら、どうぞお願いいたします。かなり厳しい作用の 新薬ですので、いかがでしょうか。 ○神山委員 資料No.1-2のガイドの1ページに、「主な副作用の画像所見」というのが ありますが、この方が後ろの方の1例、60代の女性の画像ということでよろしいのか、 それから投与開始前の画像で、本当にこの人が投与してよかった人なのかということを 伺いたいのです。 ○事務局 冊子の1ページに記載している画像所見の方は、オレンジの紙の2ページ目 のいちばん上、No.1の症例です。こちらは治験の中で本剤を使われて、こういった症状 をたどられた方です。投与すべき患者だったかどうかということについては、今回のフ ェイズI、II相試験のプロトコルというか、試験計画の中で、被験者の選択基準や除外 基準ということで、いろいろな条件を付けておりまして、それには合致した方であると いうことです。 ○望月委員 細かな質問というか、指摘になるかもしれません。薬自体はとても重要な 薬で、社会に出していくのに危険な薬ではあっても、必要な薬だと私は判断しましたの で問題はありません。ただ添付文書(案)の2ページの右側の真ん中辺に、3.「相互 作用」という項があります。相互作用については、まだまだ十分な検討がなされている とは思えないのです。この薬が持っている作用そのものの中に、チトクロムP450の弱い 阻害作用があるということもあって、ここの書きぶりは注意をしておいていただいた方 がいいかと思います。  こちらの方で書いてある書き方は、「CYP3A4の阻害剤又は誘導剤を併用している患者 においては」ということで、阻害作用のあるものと誘導作用のあるものを併用している 患者においては、この薬の効果が変動するので注意をしてくださいという書き方になっ ています。これは米国の添付文書に則った書き方になっていますが、私はCYP3A4や CYP2C19の基質となるものについても、注意を喚起しておいた方がいいのではないかと 思います。  ヨーロッパの添付文書は、注意喚起の文書がちょっと違っています。1-6の「外国語 における使用状況」の中で、ブルーに仕切ってある中の比較的最後の方に、ヨーロッパ のEUの添付文書があり、日本語訳も付いています。その7ページの4-5の二つ目のパ ラグラフ、「強力なCYP3A4阻害剤とCYP2C19阻害剤、あるいはCYP3A4の誘導剤との併 用の場合に注意すること」の後に、「特にCYP3A4、あるいはCYP2C19の基質と併用され る場合には注意すること」と書いてあるのです。これを加えていただいた方がよいので はないかと思います。  それにはもう一つの理由があります。日本語の添付文書の5ページの左側の真ん中辺 に、「代謝」という項目があります。ここも、P450の特に2C19に対する阻害能が、ち ょっと気になるところがある、という書きぶりで書かれています。一応今の段階では相 互作用の方の情報と、動態の方に書かれている情報が、場所もちょっと離れているので、 書き方としては、基質になるものの併用にも注意をするということを入れておいていた だいた方が、私はいいかと思います。いかがでしょうか。 ○井村分科会長 今の御意見の意味はよく分かりました。事務局から何かありますか。 ○審査管理課長 御指摘、どうもありがとうございました。CYP2C19ほかの取扱いにつ いては、御指摘の方向で改めるよう、検討させていただきたいと思います。 ○井村分科会長 ほかに御意見、御質問はありますか。 ○伊賀委員 資料No.1-2の個別の患者の18、19ページでお聞きしたいことかあります。 治療の開始のときにいろいろな計画等がありますが、治療開始後に中止する例が非常に 多いわけです。この中止するメルクマールの傾向として、肺の異常だけが記載されてい ます。症例の方では患者の希望(PD)が大変多いのです。この患者の希望というのは、具 体的にどのような内容なのですか。患者の同意を得て投与を開始したが、途中で患者が 中止を希望する場合、患者が何らかの異常を訴えることで中止を判断されている。とい うのは、治療のタイミング判断で大変難しいのは、投薬開始のタイミングよりも、副作 用等が起こる前に投薬を止めるタイミング、というところですよね。そういう意味で治 療を中止するときの判断が、この資料で見ると患者の希望(PD)が多いのです。この辺り について、具体的に御説明いただけますか。 ○機構 委員の御質問の内容を確認させていただきます。国内I、II相試験の患者希望 の具体的な理由、個別の症例での事項ということでしょうか。 ○伊賀委員 添付文書案の警告ので3.2)、治療中及び治療後の中止等に関しては、 肺の所見等が入っていますが、実際に中止された症例では、随分患者の希望などが具体 的に記載されています。 ○井村分科会長 差し当たって、患者の希望ということに限ってよろしいですか。 ○伊賀委員 結構です。 ○井村分科会長 患者の希望というのは、どんなものかということです。 ○機構 特にこの患者の希望ということであり、有害事象あっての患者の中止希望では ないということは確認してあるのですが、個別の症例の患者自身の詳細な情報について は、お答えするには時間をいただかないと、この場で何番の症例がどういう理由でとい うことは、今はお答えできません。 ○井村分科会長 有害事象がまだ起こっていないうちに、患者が中止を希望されたので 中止をしているのですか。 ○機構 一般論としては、これは再発・難治性の状態で、これ以上治療を継続すること を止める場合というのは、通常の診療の場合でもあります。あるいは転院だったのかと いうのは、今この段階では資料を持ち合わせておりませんので、申し訳ございません。 ○伊賀委員 自覚症状等が現れて、希望されるのかということでお聞きしたのです。メ ルクマールがなかなか分かりにくいので、どのタイミングで中止されるかというのは、 最終的にドクターの判断だと思うのですが、そのときに血が出るというように、血液に 何らかの異常があるとか、肺の方の異常とか、いろいろなことがあると思うのです。 ○井村分科会長 差し当たって、詳しいことは分からないということなので、でよろし いですか。 ○伊賀委員 はい。 ○井村分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○笠貫委員 薬剤の有効性と副作用も含めて有用性があるということは、十分理解でき ます。しかし、この薬の場合に限らないのかもしれないのですが、日本人では間質性肺 炎が多いことから、人種差があるかどうかということは、イレッサのときからは問題に なっていると思います。また、抗不整脈薬でいきますとアミオダロンは、少ない投与量 にもかかわらず、欧米に比べて日本では間質性肺炎が多いということが、分かってきま した。そうしますと間質性肺炎をいかに早期発見することについて、適正使用ガイドに 盛られる必要があるのではないかと思います。先ほど女性が、一つの危険因子として出 ましたが、今のところは間質性肺炎を予測する明らかな方法はないと思うのです。  もう一つは、間質性肺炎が起こった時、治療法としてはパルス療法が確立されている と思いますが、間質性肺炎になってパルス療法で治癒するとは、必ずしも限らないので す。そのままパルス療法をやって薬を止めたにもかかわらず再発する、それを繰り返し ながら致死的になり得るという、治療法に限界のある重篤な副作用という位置づけられ ます。資料No.2に、会社としてどのようにするか、という事が書いてありますが、例え ば薬の使い方の中でどれぐらいのタイミングで、例えば、胸部エックス線写真を撮るの か、肺機能の拡散能検査をするのか、CTをどういうようにするのかなど、もう少し具 体的に書かれた方がいいのではないかという感じがいたしました。  この薬を最大8サイクルまで使うとなると、かなり長期に使う薬になりますから、間 質性肺炎が早期に出てくる場合と、遅れて出てくる場合があります。そうすると、どの タイミングで出現するかということを、何と何との組合せでどれぐらい定期的にチェッ クしていくのか、そこまでガイドラインとして示していただかないと、これでは使用者 にとって意義のある注意事項になっていないのではないかと思います。もっと細かい検 討を加えて書いていただけたらと思います。 ○堀内参考人 今の点は大変重要な御指摘だと思います。違う時期も当然起こり得るの ですが、一般的に第1サイクル、あるいは第2サイクルというように、比較的早期に多 めに起こると言われております。ですから先ほどの報告にもありましたように、最初は 入院をして使うということになっているわけです。何せ治験の症例数が34症例しかない ので、それも含めて全症例をフォローし、多様な患者に使った場合に、どのような安全 な使い方ができるかということを、これから確立していくという段階だろうと思います。 本来なら今の段階で提案されれば、このガイドラインの中に出せればいいとは思います が、現状ではなかなか難しいのではないかということで、市販後の調査でそれを明確に するというのが、一つの条件になっていると思います。 ○笠貫委員 間質性肺炎の早期発見は、パルス療法を効果的にするにも、いちばん大事 だと思うのです。その場合に間質性肺炎の初発の症状、所見は、非常に個人差があるの です。自覚症状として出てくる場合もありますし、胸部エックス線写真で出てくる場合 もありますし、CTでしか分からない場合もありますし、拡散能などの呼吸機能でない と分からない場合もあります。  こういう組合せで、少なくとも第1サイクルの2週間の、どの時点と、どの時点では、 患者に負担にならない程度で、最低これとこれはチェックをして、2週間の1サイクル が終わったときは、ここまでチェックをしておき、次は10日間休んで、次のサイクルの 3週間に入るときには、これとこれをチェックしておく、そして、それが終わったとき にはどれぐらいのチェックをしておくというように、もう少しきめの細かいチェック項 目を、時間の経過の中で示しておかないと、後で発見が遅れたといった問題が出てくる のではないかという感じがするのです。  たぶん、この薬が8サイクルまでいったケースというのは、あまり多くないだろうと 思います。そうすると、不確定要素があるのではないでしょうか。今後、症例を重ねて いって、間質性肺炎に対しても、より安全に使っていけるという対策を示していくため にも、全症例登録のプロトコルをつくっておいた方がいいのではないでしょうか。その 方が使う医師にとっても、後で対策をきちんと立てるときにも、役に立つのではないか と思います。 ○井村分科会長 今の御意見に対して何かありますか。 ○堀内参考人 本来なら、これは学会等でやるべきことかと思います。イレッサのとき も結局は学会でガイドラインを作られたと思います。そのガイドラインに従って使うよ うになって、間質性肺炎の発症はかなり抑えられました。確かにゼロにはなっていない し、死亡患者も出ているとは思いますが、かなり抑えられました。この場合もほかの薬 があまりないわけですから、年間3,000例という患者は、かなりの頻度で使われるだろ うことは予測されます。したがって、これは条件を付けた方がいいかもしれませんが、 早期に学会等と共同して、ガイドラインを作成する事が妥当ではないか、と私は思いま す。 ○笠貫委員 先生が御指摘なさったことは、私も同感ですが、最初のI相、II相では34 例中1例、個人輸入では46例中7例というのは、あまりにも高い頻度だと思います。こ れは学会の協力なしには、正確な頻度とそれに対する対策は立てられないだろうと思い ます。そういう意味でこれについては、ぜひ添付文書という枠だけではなく、有効な使 い方と一緒に、安全な使い方についてのプロトコルを考えていただくことを、学会に対 して強くお願いすべき薬ではないかという感じがするのですが、いかがでしょうか。 ○井村分科会長 御意見はよく分かりました。 ○審査管理課長 笠貫委員から御指摘いただいた件について、現段階での状況を御報告 したいと思います。資料No.1-2の29ページに、「治療中、治療期間中の注意事項」とし て、総括的なものがまとめられております。具体的には30、31ページにあります。例え ば31ページの頭を見ていただきますと、2サイクル目以降に入るかどうかという判断基 準、今、先生がおっしゃったプロトコルの簡単なものが出ております。さらに32ページ 以降はそれ以外、末梢性神経障害等の副作用について、議論がされているわけです。  また学会との関係ですが、1-2の裏表紙を御覧いただきますと、このガイドは血液学 会、臨床血液学会で推薦いただいた監修委員の指導の下、堀田先生に委員長を務めてい ただいてまとめたものです。学会との関係も、御指導・御協力を得ながら進めてきたと いうのが、これまでの状況です。もちろん今後も症例の集積あるいはデータの集積にち なんで、よりガイドライン化を進めていく努力は、引き続きやらせていただきたいと思 っております。 ○井村分科会長 笠貫委員の御意見も極めてごもっともだと思いますので、今、中垣課 長がおっしゃったように、今後もそのような方向でやって、御努力いただくということ でよろしいですね。ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。だいぶ 議論をさせていただきましたが、もし特段の御意見がないようでしたら、この部会の報 告を踏まえ、分科会としてもこの品目について、生物由来製品及び特定生物由来製品の 指定は不要であるということ、製造承認を「可」とするということ、再審査期間は10 年とするということ、原体・製剤ともに毒薬に指定するということが適当であろうとい うことで、決議をしたいと思います。そのような議決をしてよろしいでしょうか。あり がとうございました。それでは御異議なしということで、薬事・食品衛生審議会規程第 3条第1項の規程に基づき、この分科会の議決をもって審議会の議決といたしますので、 その旨、厚生労働大臣に答申することにいたします。答申書の文案、その他の取扱いに ついては、いつものように事務局と私の方に御一任いただければと思います。  続いて議題2、薬事分科会規程の一部改正について御審議いただきたいと思います。 では事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.2、「医薬品等安全対策部会の所掌改正及び指定薬物部会の設置につ いて」を御説明させていただきます。先ほど局長の挨拶の中でも御紹介申し上げたとお り、先の通常国会において、薬事法の改正を行っております。その薬事法の改正の内容 ですが、大きく二つの内容があります。一つはここにありますように、一般用医薬品の リスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提供と相談対応がなされる実効性の ある制度の構築を目指すための、販売制度全般にわたる見直しです。もう一つは、いわ ゆる脱法ドラッグの迅速、かつ実効ある取締りを可能とするための規定の改正という内 容になっております。  具体的な内容について御紹介いたします。資料の6ページ、参考2を開いてください。 ここでは販売制度の見直しの背景を書かせていただいております。左側の下の方に「背 景」ということで、枠で括ってあります。医薬品の本質、効能・効果とリスクを合わせ 持つものというところから、使用に当たっては情報提供が不可欠ということ、実際の現 在の医薬品の販売に当たっては店舗で薬剤師が不在、という実態が指摘されているとい うこと。一般薬であっても、稀に重大な健康被害を生ずるおそれがある医薬品もあると いうこと、比較的リスクの低い医薬品も、一律の情報定義を求めているという実態があ るということ、薬剤師を取り巻く環境としては、薬学教育6年制の実施が始まったとい うことがあります。  そういう背景を踏まえて、医薬品販売制度の見直しということで、リスクの程度に応 じた情報提供の重点化、いわゆるメリハリと実効性の向上、それから一般用医薬品の販 売にふさわしい、薬剤師以外の専門家の資質確保の必要性が考えられ、所要の改正を行 ったものです。  7ページは、「リスクの程度に応じた情報提供と相談体制の整備」です。新しい制度 では一般用医薬品のリスクの程度に応じて、三つのグループに分類し、それぞれに応じ た情報提供体制を整備するという形になっております。一般用医薬品として使用経験の 少ない、特にリスクの高いもの、ここでは便宜上「A」と書いてありますが、「第I類 医薬品」と言われるものと、稀に入院相当以上の健康被害を生ずるリスクが比較的高い、 いわゆる第II類医薬品と、リスクが比較的低いもの、ここでは「C」と書いております が、第III類医薬品といった形で、医薬品を分類しております。  リスクの程度に応じた情報提供のあり方としては、第I類、Aの医薬品については情 報提供は義務化、Bの医薬品については、情報提供は努力義務、Cについては必ずしも 必要ではないとなっております。ただ相談があった場合には、必ず義務を課すと。それ らに対応する専門家としては、Aは薬剤師、BとCは薬剤師あるいは新しい登録販売者 という、一定の資質確認をされた者が対応するという形にします。  8ページは、「医薬品の販売に従事する専門家」についてです。先ほど申し上げた登 録販売者という新しい専門家は、薬剤師とは別の新たな専門家ということで、都道府県 試験を課し、それに合格した者を新しい専門家、登録販売者とします。  販売制度全体の業態のあり方ですが、現行はこの枠の左側のように、薬局のほかに一 般販売業、薬種商、配置販売、特例販売といった業態の種類があります。これが新しい 制度の下では、薬局はそのままですが、店舗販売、配置販売という二つの業態にまとめ ます。それに関与する専門家としては、薬局については薬剤師が管理いたしますが、店 舗あるいは配置販売については、薬剤師あるいは登録販売者が対応いたします。扱える 品目ですが、薬剤師は当然すべての医薬品が扱えますが、新しい登録販売者はA、第I 類医薬品を除く医薬品、いわゆる第II類、第III類の医薬品が扱えるようにするものです。  これらの制度の改正については、必要な経過措置を設けるという形にしております。 9ページですが、そのほかにも適切な情報提供、あるいは相談対応のための環境整備と して、薬局・薬店における掲示事項、医薬品のリスクの程度に応じた外箱表示のあり方、 医薬品をリスクの分類ごとに分けた陳列のあり方というのを、今後省令で規程して、環 境を整備していこうと考えております。施行期日は原則本年6月の公布日から3年以内 の政令で定める日となっております。ただ一般用医薬品を三つに分けるリスク分類の指 定については、平成19年4月1日に分類を行うという形になっております。また、登録 販売者が受けなければならない都道府県試験に関しては、公布日から2年以内の政令で 定める日という形で、段階的な施行を行います。以上が販売制度の見直しの関係です。  10ページはもう一つの柱である、いわゆる脱法ドラッグ、違法ドラッグ対策です。こ れは麻薬類似の有害性、精神毒性などが疑われる物質で、アダルトショップやインター ネットなどで若者を中心に濫用が広がっているものです。これらについて、現在は薬事 法において医薬品に該当するということで、取締り、監視、指導を行っているわけです が、問題点としては医薬品以外のものであるかのような販売の偽装が行われており、迅 速かつ実効性のある取締りは、なかなか困難という現状があります。  これを改善するために薬事法を改正して、○で四つ書いてある柱に沿った改正を行っ ております。一つは指定薬物という分類を、新たに薬事法の中に定めます。具体的には 幻覚、中枢神経系の興奮・抑制などの作用を有し、濫用されるおそれのある物質を指定 薬物として、厚生労働大臣が指定することにします。そして指定薬物に指定されたもの については、医療用・産業用などの一定の用途を除き、原則製造、輸入、販売、広告な どを禁止するという形を取ろうと考えております。また指定薬物である疑いのある物品 を見つけた場合は、検査命令を受けるよう指示することができるようにします。それか ら違反行為に対する罰則強化ということで、3年300万円の罰金から、5年以下500万 円以下の罰金という形で、罰則を強化するということも盛り込まれております。この規 定は、公布日から1年以内の政令で定める日から施行するという内容になっております。  では1ページに戻ってください。このような法改正を受けて、薬事・食品衛生審議会 の意見を聴くということが、法律上求められている事項があります。それを受けて、こ の審議会における受け皿をつくるための規定の整備が必要です。まずは1の(1)にありま すように、医薬品等安全対策部会の所掌の改正をさせていただきたいということです。 これは医薬品を第I類、第II類、第III類という形で区分に分類するわけですが、この分 類作業を行うための部会として、医薬品等安全対策部会で行いたいと考えており、その ための所掌の改正を行うものです。  (2)は、今回新しく指定薬物というものを指定する必要が出てまいりまして、この際 にも薬事・食品衛生審議会の意見を聴くことが求められております。ただ、この受け皿 として、既存の部会では対応できませんので、新しく指定薬物部会というのを設置させ ていただきたいということです。  部会の所掌については、2の(1)(2)に書いてあるような形で、所掌を定めたいと思 っております。改正時期については、いずれも御了解いただければ速やかに規程を施行 させていただきたいと思っております。最後に、指定薬物部会のメンバーについては、 新たに精神医学の専門家などから構成したいと考えております。  2、3ページは、具体的な薬事分科会規程の改正はこういう形になるというもので、 変更前、変更後を記載しております。  4ページを開いてください。薬事分科会における審議事項の取扱いについては、この ようにさせていただきたいというものです。まず一般用医薬品の分類で、区分の指定や その変更に関しては、原則部会では審議、分科会では報告という扱いにさせていただき たいと思っております。もう一つの指定薬物についても、原則指定薬物部会で審議し、 薬事分科会に報告という形で対応させていただきたいと。御審議のほど、どうぞよろし くお願いいたします。 ○井村分科会長 ただ今の説明について、何か御意見、御質問はありますか。いかがで しょうか。 ○神山委員 よく理解できないのですが、新規に設置する指定薬物部会というのは、違 法ドラッグの指定をする所なのでしょうか。それとも一般用医薬品のA、B、Cの区分 の指定、及びその変更に関する事項を調査・審議するのでしょうか。その辺の関係がよ く分からないのです。 ○井村分科会長 おっしゃった前の方だと思います。 ○事務局 説明が不十分で申し訳ございません。新しく設置する指定薬物部会というの は、違法ドラッグに関して、それを指定薬物と指定することを御審議いただく部会と考 えております。一般用医薬品の区分の分類については、既存の医薬品等安全対策部会の 方で対応させていただくことを考えております。 ○井村分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○神山委員 この議題とは直接関係ないのですが、例えば区分をしてAの薬になったと きの情報提供の内容として、副作用を情報提供すると書いてありますよね。しかし副作 用だけではなくて、資料No.3にあるような、副作用が起きたときには補償があるという 情報も、是非提供するように決めていただきたいのです。一般の方は、こういう制度が あるということを知らない人がほとんどですので、お願いしたいと思います。 ○井村分科会長 これに関しては1年半にわたって、厚生科学審議会の部会の方で議論 をして、今、委員がおっしゃったような御意見がたくさん出てまいりましたので、大丈 夫だと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○笠貫委員 1年半にわたってということでしたので、もう議論済みのことかと思いま すが、今回のA、B、Cの分け方でいきますと、Aは11種類の薬しかないわけです。そ の11種類の薬以外は、薬剤師以外の管理者、つまり登録販売者がすべてできるというの が、いちばんのポイントだと思うのです。その11種類の薬のために、これだけの薬の区 別をするのでしょうか。11種類は薬剤師ができ、その11種類を除いたら、すべて登録 販売者ができるとなると、その11種類がなぜそんなに大きい意味を持つのか疑問があり ます。  もう一つは、Bのリスクが比較的高いもの、稀に入院相当以上というもので、風邪薬、 鎮痛下熱剤にも、死亡例もあるわけです。登録販売者にすべての情報の提供や収集を任 せられるだけの試験の仕組みを作れるのか、その内容が担保できるのかどうかが心配な のですが、いかがでしょうか。 ○井村分科会長 まず11種類のA類、第I類の成分に関しては、その分類を担当された 望月委員がいらっしゃいますので、ひとつその意味を解説いただければと思います。 ○望月委員 思い出しながらになりますので、不正確なところもあるかもしれませんが、 リスクの程度の分類の中でいちばん大事にしたのが、今委員からも御指摘のあった、非 常に重篤で重大な副作用がどの程度出るのかということと、投与してはいけない患者の 母集団が、比較的広い範囲にわたっているかどうかということです。それと、あとは飲 み合わせの問題で非常に注意すべき組合せ等があるのではないか。そのあたりを中心に 議論をさせていただきまして、あと習慣性とかもあるものも多少は大衆薬の中にありま すので、そういったものも含めて総合的に判断して、かなりこれは専門家の関与が重要 で、しかも情報提供を義務づけるべきだろうという範囲をI類とし、大衆薬は配合薬が 多いのでI類が入っていれば必ずAグループ薬品として、すべて薬剤師が基本的には直 接対面で必ず情報提供、情報交換をするという形で分類してあります。  これから安全対策部会の方で御検討いただくにあたって、笠貫委員がII類の中の御心 配をされていたのですが、実はII類の中にもI類に上げたいと思うものはいくつかあり ます。特にII類になってはいるけれども、I類にどうしても近いというものは*マーク を付けまして、そこは少し色分けをさせていただきました。II類ですけれども、スーパ ーマーケットのような形で自由に手に取れるような配置の仕方ではなく、必ずその専門 家との接点を持てるような売り方をしてほしいものです。*を付けた以外のもので、ま だ*を付けてもいいかなと思うものも残っている気もするのですが、それは今度、安全 対策部会の方で正式なI類、II類、III類の分類をされていく過程で、再度、御検討いた だける部分もあるのではないかと思っています。 ○井村分科会長 ありがとうございました。竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員 私は、今、笠貫委員の言われた後半のところが気になるのですが、これは 決まったことなのでしょうか。Bのリスクの比較的高いものというところで、先ほど言 われたことの反復になるのですが、入院相当以上の健康被害が生じるのが稀にせよある という薬が、風邪薬ほか鎮痛、神経剤と書いてありますね。こういうふうなものを扱え る、ここでは薬剤師以外の専門家の資質を持った登録販売者という理解でいいのでしょ うか。そういう方々が扱うということに関する危険度というのはどうなのですか。それ はあまりないのですか。成分云々ではなくて政策的なものになると私は思うのです。い ちばん心配なのはスーパーとかにパッと行って購入できる、例えば精神剤のようなもの が心配だと言いますが、それもそうですけれども、もっと簡単に行けて簡単に購入出来 るということです。そういう所でのこの資質を持った方というのは、これは具体的には どんな試験をして、どの程度の資質を想定されているのですか。ちょっと御説明いただ きたいと思います。 ○井村分科会長 事務局、お答えいただけますか。 ○事務局 先生方の御懸念、ごもっともでございます。そのあたりは国会での審議でも 大きなポイントになったところです。基本的な考え方としては、登録販売者が扱ってい る品目について、実際にそれを販売するときに必要となる内容、すなわちその医薬品の 成分の効能・効果、副作用等々、そういうものをきちんと理解していることを確認する というのが、その試験の趣旨ですので、裏返して言えば、実際に扱っている品目の安全 性、副作用などについても十分に理解していることを確認できるような試験内容になる のだろうと思っています。  ただ、具体的な試験内容のレベルなどについては、これから都道府県の薬務担当課長 あるいはそのほかの専門家等々、関係者からなる検討組織を立ち上げて、その検討結果 を踏まえて試験のガイドラインというものを作っていきたいと考えています。その際に、 先生からの御指摘についても十分留意した形で対応していきたいと考えています。 ○井村分科会長 竹嶋委員は首を傾げていらっしゃいますが、よろしいですか。笠貫委 員、どうぞ。 ○笠貫委員 先ほど試験の問題で、その質がどう担保されるかというお話をしました。 鶏が先か卵が先かという問題だと思いますが、まだそこが決まらない段階のところで、 Aを11品目でBが200品目ですということについて危惧の念を禁じ得ないのです。  先ほどAとBの間で、Aに近いBというものを別な印で*を付けてやりますという話で したが、それはむしろAに入れてまず始めたほうがいいのではないでしょうか。そして この試験制度の質が担保されたら、そのAに近いBというものをBに入れるということ にし、新しいシステムを入れるときの安全対策としては、そのほうがより安全ではない かと感じますが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 資料2の8ページを御覧ください。この8ページに、今、御議論のあ った登録販売者について、現行の制度と新しい制度の種類、専門家、販売可能な医薬品 の種類が分かれて出ています。現行で申し上げると、薬局、一般販売業、薬種販売業、 配置、特例というふうにあり、専門家は薬剤師、薬種商、配置、定めがないというのを、 今回の制度では薬局、店舗販売業、これが従来の一般販売業と薬種販売業に当たるのだ ろうと思いますが、店舗を持って販売する業態です。あと配置販売業と書いたわけです。  ここに登録販売者として名前が出てくるものであって、まず登録販売者でもない方々 が売るということを想定しているわけではないというのが1点です。2点目はその登録 販売者の資質ですが、先ほど担当補佐から御説明申し上げたように、これからその詳細 を決めていくところがありますけれども、基本的な考え方としては、この括弧の中にあ りますとおり、試験については販売に即した内容、その種類、主要な成分、効能・効果、 副作用など大まかな内容を理解しているかどうか確認するというのが基本的な考え方で す。現在の薬種商の試験も、今、都道府県でやっているわけですが、端的な言葉で申し 上げると都道府県でばらつきがかなりあるようです。今回はそのようなことがないよう に、国で先ほど申し上げたように検討会を作ってガイドラインを作っていくということ です。そういう意味では、より整備されていくのだろうと思います。  また、今の薬種商のところを見ていただくと指定医薬品以外の医薬品ということで 474成分出ています。全成分が485ですから、逆に申し上げると11除いたところは売っ ているところもあり、そういう意味で申し上げると、より整備をしながら、一方では現 状も見ながら、今回の法改正はしてきているし、今後、またその充実を図っていくとい う方向性ということで、御理解を願えればと思っています。 ○板倉委員 質問させていただきたいのですが、8ページのところで「必要な経過措置 を設ける」という言葉が出ています。「配置販売業の場合と特例販売業の場合の従来ど おりの配置販売を認めることとする」という言葉の中身として、配置販売業の場合に、 このBに当てはまるような医薬品について、今、売られているのかどうかということと、 この制度が決まっても経過措置として売ることができるのかどうかについて、もう少し はっきり説明していただけるとありがたいと思います。 ○井村分科会長 その辺について、いかがですか。 ○審査管理課長 配置販売業ですけれども、現行の配置販売業で売れる薬というのは指 定されています。その中に新しい区分で言うとBというのがあるかと言われると、それ はありますというのがまず正確な答えです。2番目に、それでは、この配置販売業につ いて従来どおりの配置販売業も認めると書いているわけですが、では従来どおり永々と してやっていくのかという点について、部会においても国会においても大臣が答弁して いますけれども、資質向上義務というのを法的に課しています。また、この配置販売業 者についても登録販売者の試験を受けるように、大臣の言葉を借りると粘り強く努力を していくという答弁をしているところです。そういった法的な手当と指導という形で並 行してやっていきたいと考えているところです。 ○井村分科会長 よろしいですか。 ○板倉委員 御説明で分かりましたけれども、ということは、既得権を認めたような形 で進むと解釈すればいいということですね。 ○井村分科会長 差し当たりですね。 ○板倉委員 差し当たりというのは具体的に時間が特定されていないわけですから、そ うすると粘り強くと言うけれども、永遠に逃れ続けることもできるということになるの ではないかと思います。先ほどの笠貫委員の御意見とも関わってくると思いますが、消 費者の方としては非常に心配があります。  特に国民生活センターの場合、配置業関係の苦情というのが非常に多いわけです。そ ういった意味で特例が認め続けられることになると、いろいろな面で問題があるのでは ないかという気がしますので、具体的にある程度の年度を決めるとか、実際にこういう 問題を心配しなくても済むように、スムーズな形での制度にしていただきたいと思って います。 ○審査管理課長 板倉委員の御指摘は、いくつかあった国会における大きな議論の一つ です。先ほどお答えさせていただいたとおり大臣も答えていたところでして、その資質 の向上を図っていく。さらには衣更えをしていくというような形で、お約束をしたとこ ろでございます。国会においても共産党を除き賛成を得て成立したものですから、そう いう意味で申し上げると、行政としては国会での大臣の答弁を着実に実行していくとい うことで、お約束しておきたいと思います。 ○井村分科会長 そのような努力が、これからなされることを期待して、省令や政令と いうところで何とかしていただくことになると思います。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 2点ほどあります。1点目は、確認させていただきたいのですが、今回、 医薬品等安全対策部会が所掌して分類の見直しが行われる部分についてです。現在、販 売されている大衆薬を第I類、第II類、第III類に分類して指定する という作業は、安全対策部会で結構だと思いますけれども、これから先、新たに承認を していく医薬品について、従来は指定薬にするかどうかという規制区分について、その 承認を担当している一般用医薬品部会でその指定はしてきました。そこの関係はどうな るのかを確認させていただきたいと思います。 ○井村分科会長 今、委員の言われた指定というのは、今の議題で分かりにくくなりま すけれども。 ○望月委員 たぶん今後、新たにこの制度が動き始めたときに、新たな一般用医薬品を 審査する際、I類とか、このA薬品、B薬品でもいいですが、配合剤の場合はそういう ふうになります。それは承認を担当している一般用医薬品部会のほうで指定をするのか どうかということです。そこの部分は安全対策部会が新薬について、新たに承認する薬 についても担当されるのか。そこがこの文章だと分からなかったのです。 ○審査管理課長 今回の法改正の中で、いわゆるスイッチOTC、すなわち医療用であ ったものを一般用に変えていくようなもの、あるいはダイレクトOTC、すなわち医療 用でもなくOTCとして認めていくもので、リアップが前例としてあるかと思いますが、 このようなものというのは厚生労働大臣が指定するまでもなく、I類ということが法律 に規定されています。そういう意味から申し上げて一般用医薬品部会においてスイッチ OTCの審議は、もちろん今後とも承認に係る部分は一般用医薬品部会でやっていただ きますが、その際に必要な分類というのはないのであろうと考えているところです。 ○井村分科会長 そうですかね。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 分からないです。すべてスイッチではないのではないか。部会で審議して きたものというのは、そういうものばかりではなかったような気が私はしています。今 後はスイッチのものしか部会では審議しないという理解でいいのでしょうか。 ○審査管理課長 端的な例を申し上げたわけで、それ以外のところで、もちろん一般用 医薬品部会で例えばIII類にあるものをII類に上げるべきだ、あるいはI類に上げるべき だという御意見があれば、当然のことながらそれは安全対策部会の方へ御連絡申し上げ、 安全対策部会の中で御議論を賜ることにしたいと考えています。要するに最終的な権限 と申しますか責任と申しますか、それを安全対策部会でやっていただきたいと考えてい るところです。 ○井村分科会長 望月委員、いかがですか。それでいいですね。 ○望月委員 はい、分かりました。それで、ここで言うべきかどうか分かりませんけれ ども、その安全対策部会で御検討いただくときの視点として一つ必ず入れていただきた いのが、1ページ目の(1)の医薬品等安全対策部会の所掌の改正のところの書き方です。 2行目の「一般用医薬品をその副作用等による健康被害が生じる恐れの程度等に応じて」 云々ということで、「安全対策に係るものであることから、医薬品等安全対策部会の所 掌の見直しを行う」となっています。実は販売制度改正の厚生科学審議会の議論の中で 出てきたものの中の副作用以外の部分です。  つまり、使い方を間違ったために効果が出ないという健康被害というのか、効果が出 ないがために病状が悪化していくという部分のリスクというのも、一応、今回は評価を しています。副作用という側面からの安全性という見方だけではなく、一般用医薬品と いうのは医療関係者が選択して使っていくものと違い、消費者が基本的には選択し、そ れを医療関係者がI類、II類などについては支援するという形になっていると思います。 そういう環境の製品であるという視点に立って、従来の副作用だけではない部分につい ても、きちんと考えた上でのI類、II類、III類というのを検討していただきたいと思い ます。 ○井村分科会長 そうですね。その安全対策部会の作業は、厚生科学審議会が昨年12 月に出した報告書の内容に沿った形で行われれば、そういう格好になるだろうと思いま す。是非、それを要望しておきたい。よろしくお願いします。ほかに、伊賀委員、どう ぞ。 ○伊賀委員 一般用医薬品に関する副作用情報の収集システムというのは、私の理解す る限り十分に整備されているとは思いません。今回、登録販売者という新たな資質を持 った方が設けられるときに、薬剤師については一般用であろうと副作用情報等、健康被 害に関する情報を患者さんからもし得られれば、これはきちんと報告するということは いいと思いますが、今回、登録販売者については、そのあたりについてはどのような形 で、これは義務化もされていますか。あるいはシステム的にそれはもうできていますか。 ○井村分科会長 システムというところまでいっていないです。 ○伊賀委員 たぶん多くの心配はそのあたりで、売りっ放しになるとか、何かあったと きにはどうするのですかということが、本当にきちんと消費者に対して説明できるのか なという点をお聞きしたいのです。 ○安全対策課長 お答えします。まず医薬品の副作用情報の仕組みとしては、医師、薬 剤師等の医薬関係者が直接、厚生労働省に知り得た場合に一定の物を報告していただく 場合と、医師、薬剤師等の医薬関係者が当該製品の企業に報告して、企業が報告の基準 にしたがい厚生労働省に報告する場合と二つあります。両方とも法律上の義務規程とし て整備されています。  今回、設けられる登録販売者に関しても、この医薬関係者というカテゴリーの中に入 りますので、当然、医師、薬剤師と同等の副作用に関する厚生労働大臣への報告義務、 及び製薬企業の情報収集活動への協力規定がかかるという形になっています。 ○井村分科会長 その辺についても、いろいろと心配が議論の中にはたくさん出てきて います。いかがですか。大分この議題に時間を費やしてしまいましたので、まだ35題ぐ らい残っています。先に進ませていただいてよろしいですか。もし特別に御反対がなけ れば、これを御了承いただいたということにさせていただきますが、よろしいですか。 ありがとうございました。それでは報告事項に移りたいと思います。この報告事項です が、いつものように担当の部会ごとに区切って報告いただくことにしますので、まずは 副作用・感染等被害判定第一部会と第二部会の関係の議題の3から、簡単に御説明をお 願いします。 ○事務局 副作用・感染等被害判定結果について、簡単に御紹介します。前回の分科会 以降に、第一部会、第二部会の計3回が開催されています。資料については各開催ごと の資料と、いちばん上に3回の合計したものを資料として配付しています。「まとめ」 と書いた資料に従って、御報告させていただきます。  3回の合計の医薬品の副作用による判定については、新規が186件、継続が20件、現 況が57件の計263件について、御審議いただきました。審議経過については、支給決定 とすることが適当と考えられるものが227件、その内訳については請求どおり支給され るものが115件、請求期間の一部について支給決定するもの111件、請求内容の一部に ついて支給決定されるものが7件となっています。また不支給決定とされることが適当 と考えられるものが30件あり、その内訳について、使用方法が不適正であったものが6 件、医薬品以外の原因によるものが14件、副作用による疾病に対する医療が入院相当で はない場合が6件、資料不足等で判定不能であった件が3件、障害とは認められないも のが1件、副作用による障害で日常生活が著しく制限される程度でない場合が1件とな っています。さらに追加情報を得て審議を継続させるものが6件ありました。  また今回、第二部会においては生物由来製品における感染の被害の判定がありました。 輸血製剤により感染して、健康被害を受けたとして3件の請求について審議が行われ、 生物由来製品との因果関係が確認され、請求どおり支給決定するものが1件、請求期間 の一部について支給決定するものが2件でした。以上をもちまして副作用・感染等被害 判定の結果報告を終わります。 ○井村分科会長 何か御質問はございますか。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 質問ではないのですが、前回も指摘しましたが、1回目に何かが起こって 2回目でもう一回その薬物が投与され、例えば、薬疹が出ていてその次は薬物性肝障害 になっているとか、あるいは最初多形紅斑型薬疹があってその次がスティーブンス・ジ ョンソン症候群が出るとか、同じ施設内か施設が違うか分かりませんけれども、同じ薬 が2回、別の機会に投与されて、おそらくその薬物によるアレルギー的なものに起因す る副作用が起こっているという事が何カ所かに出てきました。前回もそれは指摘したの ですが、それをこの救済制度で認めないということではなく、そういうことが防げるよ うな安全対策の仕組みを、是非、作っていただきたいということです。  例えば、薬局などでは「おくすり手帳」というのを使って、その副作用歴などをそこ に書き、過去にどういった薬剤でどういった副作用が起こっているという情報が、継続 的にずっといろいろな医療機関に持って行っても伝わるように、本当に簡単で初歩的な 仕組みを持っています。前回の時にお聞きしたら、医療機関が違うので同じ薬が再投与 されて、アナフィラキシーショックが2回起こったというケースがありました。毎回、 これだけ出てくると、そういうことをなくすための何か仕組みをもう少し考えていただ いたほうがいいな、と思うのですがいかがでしょうか。 ○井村分科会長 安全対策課長、どうぞ。 ○安全対策課長 まず委員が指摘された症例のうち、例えば、4ページのいちばん上の 1番目の症例ですが、これですと(1)のタケプロン、(2)のタケプロンと同じ薬が2回出て います。これは最初のときに、このスティーブンス・ジョンソン症候群を治療した医療 機関では、バファリンAとありますけれども、これ以外の医薬品はこのSJS発症後に 服用したと考えていて、このバファリンAを当時は原因薬と考えていました。(2)のタケ プロンで再度出たわけですが、そのとき、改めて過去の投薬歴等も調べると、(1)のSJ Sの発症前にタケプロンも使っていたことが分かったわけです。この症例に関しては、 こういった経緯があるということで個別の事例として判断しています。  一般論として、委員が指摘されたいろいろな救済事例で、もっと工夫すればいろいろ 防げることがあるのではないかという御指摘だと思います。医薬品医療機器総合機構の 方においては、こういった救済の業務と安全対策の業務を行っているわけですが、医薬 品医療機器総合機構の中期計画の中でも、安全部門と救済部門の連携を図るべしという 目標を立てています。その中で救済に上がってきた事例については、機構の安全部の方 で中身を見ていますが、今、言われたように何かできることはないかということで、例 えば特定の薬で適正使用のお知らせをしているのに、なおいろいろな副作用が出ている のであれば、改めて再度の注意喚起を図るということも対策として考えられます。そう いった形での取組みは、進めている最中です。具体的にどのような対策がとられている かについては、お答えできるだけのものを持ち合わせていませんが、そういった方向で 役所側でも動いております。 ○井村分科会長 何らかの記録を取っていくということは、おそらく因果関係をこれか ら、いろいろと確かめていくためにも非常に重要なことだと思います。是非、そのよう に御努力いただきたいと思います。ほかによろしいですか。 ○事務局 一つだけ補足なのですが、この資料の見方で、先ほど安全対策課長から説明 された事例はそうですけれども、それ以外の1番、2番と書いた原因薬があって、1番、 2番の副作用があるような、例えば7月部会でやっている22番の症例の原因医薬品は、 1番がペンタサ、2番もペンタサ、カロナールになっています。副作用は、1番は結節 性紅斑型薬疹、2番目が薬物性肝障害となっています。このような事例については、こ の副作用が同時に起こっているという事で、同時に起こった場合に、副作用ごとに原因 薬を決めるという事になり、同時に起こった副作用の両方に対してペンタサが原因薬に なるだろうということです。ただ、カロナールについては薬疹でなくて肝障害のほうの みの原因になるだろうという事で判定されています。したがって2回起こったわけでは ないという判定になっています。 ○井村分科会長 記述の解釈の問題です。そういうことだそうです。これにつきまして は御確認をいただいたということで、よろしいでしょうか。ありがとうございました。 それではそうさせていただきます。次は医薬品第一部会の関係の議題で4〜16とありま すが、これにつきまして続けて御説明をお願いします。 ○事務局 医薬品第一部会の関係について件数が多くありますが、まとめて簡単に御報 告申し上げます。資料No.4です。販売名がレキップ錠、一般名が塩酸ロピニロールです。 これはドパミンD2受容体病系の作動薬です。効能・効果は6番の欄にありますがパーキ ンソン病です。7月20日の医薬品第一部会で御審議をいただきまして承認の御了解をい ただいたものです。  資料No.5ですが、アルチバ静注用、一般名がレミフェンタニル塩酸塩です。これは麻 薬系の全身麻酔用の鎮痛剤で、効能・効果が全身麻酔の導入及び維持における鎮痛とい うことです。7月20日の医薬品第一部会で御審議をいただきまして、承認の御了解をい ただいています。  資料No.6ですが、販売名がソナゾイド注射用、一般名がペルフルブタン、構造はここ にありますように簡単なものですが、このペルフルブタンは微小気泡をもちまして、超 音波検査における肝腫瘤性変の造影という効能・効果です。7月20日の第一部会で御審 議をいただきまして、承認の御了解をいただいています。  資料No.7ですが、販売名がリプレガル点滴静注用、一般名がアガルシダーゼアルファ という製剤です。これはファブリー病と申しまして、先天的にα-ガラクトシダーゼAと いうのが欠損したような患者さんに対し、本剤を酵素補充療法という形で投与する薬で す。8月24日の第一部会で御審議をいただき、承認の御了解をいただいています。  資料No.8ですが、販売名がプレミネント錠、高血圧の配合剤で、中身がロサルタンカ リウム、これはアンジオテンシンII受容体の拮抗薬ですが、それにヒドロクロロチアジ ド、チアジド系の降圧利尿薬の2剤を配合剤にした製剤です。8月24日の第一部会で御 審議をいただきまして、承認の御了解をいただいたところです。  資料No.9ですが、販売名が注射用オノアクト、一般名が塩酸ランジオロールです。こ れは効能追加の承認で、6番の効能・効果のところで下線を引いた2番のところが、今 回、追加をするところです。手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対 する緊急処置ということです。これまで手術時のものが、今後、手術後というところが 追加になるということです。8月24日の医薬品第一部会で御審議をいただきまして、承 認の御了解をいただいています。  資料No.10ですが、販売名がル・エストロジェル0.06%、エストラジオールの外用ゲル 剤で5番の用法用量のところを御覧いただくと、これをプッシュで出して、両腕の手首 から肩までに塗抹するという使い方です。効能・効果が更年期障害及び卵巣欠落症状に 伴う血管運動神経症状ということです。8月24日の医薬品第一部会で御審議をいただき まして、承認の御了解をいただいています。  資料No.11ですが、アレグラ錠、塩酸フェキソフェナジンという、これは抗アレルギー 薬ですが、これに今回、小児の用法用量を追加するという内容です。効能・効果につい て変更はありません。8月24日の医薬品第一部会で御審議をいただき、承認の御了解を いただいています。  資料No.12ですが、タケプロン静注用、ランソプラゾールというプロトンポンプ阻害剤 で、胃潰瘍の注射剤です。これまで経口剤がありましたが、注射剤ということの承認で す。8月24日の医薬品第一部会で御審議をいただきまして、承認の御了解をいただいて います。  資料No.13ですが、オキノーム散0.5%、これはオキシコドンと言います麻薬系の鎮痛 薬の普通製剤です。現存ですとオキシコンチン錠という徐放性の製剤がありますが、そ れを使うときの用量調節とか、突発性の疼痛とかに使う普通の散剤です。8月24日の医 薬品第一部会で御審議をいただき、承認の御了解をいただいています。  資料No.14ですが、アウドラザイム点滴静注液、一般名がラロニダーゼです。これもα -L-イズロニダーゼというのが先天的に欠損をした患者さんに対し、この薬を酵素補充療 法として使うということです。ムコ多糖症I型という疾患に使うもので、これは国内の 患者数が20名くらいしかいない非常に少ない疾患です。8月24日の医薬品第一部会で 御審議をいただき、承認の御了解をいただいています。以上が新薬の関係です。  資料No.15ですが、これは希少疾病用医薬品指定についての御報告です。2ページ目に 指定品目の概略を書いています。AMG531という薬ですが、これは慢性型特発性血小 板減少性紫斑病に伴う血小板減少の改善という効能・効果です。トルバプタンという薬 ですが、多発性嚢胞腎の進行抑制ということで、この二つについて希少疾病用医薬品の 基準に照らし、指定をして差し支えないという御判断を、7月20日の医薬品第一部会で いただいています。  資料No.16ですが、再審査期間の延長についてというものです。今回の御報告の品目が マイスリー錠で、これは酒石酸ゾルピデムという不眠症の薬です。パキシル錠、塩酸パ ロキセチンの鬱の薬ですが、この両者について小児の用法量設定、小児における有効性、 安全性を検討する目的で、臨床試験をやるという申し出があり、そのために再審査期間 をそれぞれ4年間延長し、その間にそういう検討をやっていただくということです。そ れぞれ7月と8月の医薬品第一部会で御審議をいただき、延長についての御了解をいた だいたところです。以上です。 ○井村分科会長 部会長の永井委員から、どうぞ。 ○永井委員 たくさんあって大変なのですが、いくつか補足させていただきます。最初 のレキップ錠、塩酸ロピニロールですが、パーキンソン病用薬です。議論の中で長期投 与される薬であるということから、いろいろな精神症状が発現する可能性があるという ことで、患者さん、家族向けの説明資料を作成するよう、企業に指示することにしまし た。  議題5のアルチバ静注用は、先ほど説明がありましたようにフェンタニールの類薬で すけれども、半減期がフェンタニール3時間程度のものがこれは数分間の半減期である ということから、麻酔の導入維持に必要ということで、この特徴について確認をしまし た。  議題6のソナゾイド注射用は、マイクロバブルを使ったエコー用の造影剤です。日本 国内の臨床試験では特に有害事象はなかったということですが、海外では別の類薬で心 筋梗塞等が起こったということもありますので、製造販売後の有害事象の発現に関する 情報収集を行うよう指示が出ています。  議題7のアガルシダーゼアルファ、リプレガル点滴静注用ですが、これはファブリー 病という心臓とか腎臓、神経系に異常の出る先天性異常です。アガルシダーゼベータと いうのが既に販売されていますけれども、構造の違うアガルシダーゼアルファについて も、この薬効が認められているということです。これも非常に珍しい病気ですけれども、 製造販売後の長期的調査で、しっかりと腎機能の経時的なフォロー等を行っていただき たいということです。  議題8はいろいろ議論が出ましたが、アンジオテンシンII受容体拮抗薬と降圧利尿薬 の合剤です。プレミネント錠です。昔は降圧利尿薬というのはよく使われていましたが、 次々と新薬に置き換わってきました。しかし、アンジオテンシン系の抑制薬と降圧利尿 薬を組み合わせると非常に効果がよろしいと、新薬ばかり組み合わせるよりも、こうい うものを組み合わせたほうがいいということで、今、見直しが行われています。そうい う意味で、こういう合剤があってもいいのではないか。ただ、効果が意外と強いもので すので、降圧薬のファーストチョイスというよりも、まずこのアンジオテンシン系受容 体拮抗薬のみで効果不十分な場合に、こういうものを使っていくということにしました。  議題10のエストラジオールの経皮的な外用薬ですが、これもいろいろな合併症が起こ り得ますので、使用期間中の定期的な検診、特に婦人科的な検診あるいは乳房検診等が 必要であるということを注意喚起するということ。また患者さん用の説明文書を作るこ とにしました。  議題12のタケプロンの静注用ですが、これもあまり問題はありませんけれども、ただ、 代謝酵素との関係で個人差があるということですので、個人差があることを注意喚起す ることにしました。  議題14のアウドラザイム点滴静注液ですが、これも非常に稀な疾患でムコ多糖症I型 というものです。非常に少ない症例ですけれども、製造販売後の使用ケースについて調 査を条件とするということにしました。  最後の再審査期間の延長で、パキシルも挙がっていますけれども、小児の臨床試験に おけるいろいろな自殺関連事象の防止ということで、第三者によるチェック機構の設置 等の検討を企業にお願いしています。以上です。 ○井村分科会長 委員の皆様方から御意見、御質問がありましたらどうぞ。何かござい ますでしょうか。広津委員どうぞ。 ○広津委員 報告事項ということなので、あまり詳細に議論するつもりはないのですが、 ただ、今回、なぜか統計的な視点から見ると議論に無理があったり、そもそも試験計画 が不適切であったのではないかと思われるのが散見されますので、ちょっと意見を述べ させてもらいます。  例えば9番などはデータを見せていただくと、25ページにサマリーの表があります。 これを素直に見ると、L用量からM用量へ漸増する方が、M用量からH用量へ漸増する 方法より効いているように見えるのです。ただ、議論の中ではL用量からM用量だと、 L用量でそのまま有効になるのが1割程度で、9割は上げなければならないからという 議論ですが、ただ、上げた結果は62%ぐらい有効なわけです。一方、M用量からH用量 のときは、M用量のまま有効なのが2割です。確かに1割より2割が多いことは分かる のですが、2割程度です。一方、ちゃんとH用量に増量したときの最終の有効率が43.1 %ということなので、このデータを素直に読むとやはり、L用量からM用量へ漸増の方 が有効、となります。また、Lから漸増した場合のMの有効率0.6に対し、Mからスタ ートした時のMの有効率0.2というのも気になります。にくらべ、そのことは、この報 告書でちゃんと指摘されていますが、メーカーの答えは患者の不安定性という程度の答 えしかありません。つまり、このデータのままではちょっと議論不足で、もう少しエビ デンスがなくていいのかな、という感じがします。  11番ですが、11番も報告書で非劣性マージンの設定が非常に不適切で、非劣性限界値 の設定としては既に失敗であるということが言われています。そのためにメーカーに無 効同等の危険性はないかという議論をさせてはいるのですが、その議論も細かいことを 言うと、非劣性のときは片側リスク2.5%のところを、両側5%片側5%の設定で、通 常の非劣性マージンを設定した時に、辛うじて非劣性が言えるという議論をしています。 これは、もともとその設定で設計すると1,000例ぐらい必要なので、ちょっと妙なこと をやったわけです。その結果がたまたま良くても、これはたぶん設定時よりは本当にた またま良かったのではないかという疑念が残ります。つまり、後知恵の結論になってい るのではないかという感じが否めないわけです。  12番も、15mg×2と30mg×2の検討がされていて、II相試験では15mg×2のほうが いいわけです。ちなみにIII相をそれでやったら駄目だったので、次のIII相を30mg×2で やって非劣性が言えたというのですが、何か2回目のIII相に関して中身はよく分かりま せんけれども、内視鏡的止血術が高率で実施されていて、そのためどちらの薬も効いて いるのではないかという議論があるのです。  要するに、このやり直しの時に何で15mg×2をちゃんと設定してやっていないかとい うのが非常に疑問で、そのことは報告書の29ページに実はきちんと指摘されています。 そこを読んでいただくと、本当にその指摘どおりだと思うのです。ただ、29ページのそ の指摘の文章の最後の1.5行で結論が逆転しているのです。その直前までは、まさに指 摘どおりでいいと思うのですが、その判断をするところで非常に飛躍が感じられます。 これは試験計画として2番目の非劣性試験をやるときに、15mg×2をきちんと置いてお かなかったのが、そもそもいけないという感じがするわけです。  提出された資料から何とか読もうとする姿勢は分かるし、たぶんこの結論に誤りはな いと思うのですが、もとの試験計画が不適切であったものが解釈の仕方で通るようだと、 だんだん日本の臨床試験の質そのものが低下するのではないかという心配があります。 エビデンスがちゃんと示されていないものに関しては、エビデンスを求めることをきち んとやった方がいいのではないかという気がします。 ○井村分科会長 ただいまの御意見について、何かコメントはありますか。 ○審査管理課長 専門的な観点からの委員の御指摘、誠にそのとおりだろうと思います。 それは資料No.12も資料No.11も、報告書の中で用法用量について、あるいは試験結果につ いて分析を機構でもやっているわけですし、また資料No.9についても28ページから29 ページにかけて、専門家の先生も交じえて議論をしているわけです。  もちろん試験結果を基本に置きながら、薬理作用であるとか臨床の現場であるとか、 あるいは欧米における承認の状況であるとか、そういうものを考えて、こういう結論に 至ってきたのだろうと思いますし、委員の御指摘のように、今後の日本の臨床試験のあ り方というか治験の開発の組み方という意味では、従来、治験相談業務というのがほと んどない状況で、こういったものというのは開発されてきた経緯があるのだろうと思い ます。  医薬品医療機器総合機構においても、治験段階への関与を強めるということで、そう いったレベルアップを図っていきたいと考えています。将来に向けて臨床試験のあり方 について、学会等とも連携しながら整備を進めていきたいと考えているところです。 ○広津委員 確かに94、95年の試験もあるのですが、中には2002、2003年のも含まれ ています。ただいまの御説明のとおり、医薬品医療機器総合機構にちゃんと事前に相談 に来たものに関しては、たぶんきちんと指導がされていると思うのですが、100パーセ ント来ているわけではないと思います。その部分をどう正していくかということも、ち ょっと考えていただいた方がいいような気がします。 ○井村分科会長 よろしくお願いします。ほかにいかがですか。もしよろしければ先に 進ませていただきたいと思います。議題の4〜16について、御確認いただいたというこ とにさせていただいて、よろしいですか。ありがとうございます。次は医薬品第二部会 関係の17〜22までの議題について、御説明をお願いします。 ○事務局 御説明申し上げます。資料No.17です。注射用アナクトC、乾燥濃縮人活性化 プロテインCの製剤の、これは効能追加です。6番の効能・効果のところに記載してい ますが、先天性プロテインC欠乏症に起因する電撃性紫斑病という部分を、今回効能追 加させていただくものです。7月21日の医薬品第二部会で御審議をいただきまして、承 認の御了解をいただいています。  資料No.18ですが、ニューモバックスNP、一般名が肺炎球菌ワクチンです。ニューモ バックスという販売名のものが長らく売られているわけですが、その製造方法、規格及 び試験方法等を変更しましたので、それに伴って新しい販売名で承認するということで す。7月21日の医薬品第二部会で御審議をいただきまして、御了解をいただいたところ です。  続きまして資料No.19です。イトラコナゾールという成分でございます。トリアゾール 系の抗真菌薬で、これまで経口剤がありましたが、今回注射剤ということです。8月25 日の医薬品第二部会で御審議いただきまして、承認の御了解をいただいています。  資料No.20です。アドベイト注射用、一般名がルリオクトコグアルファです。これは血 液凝固第VIII因子の遺伝子組換製品で、従来リコネイトという販売名で売られておりまし たが、その製造工程から、ヒトとか動物由来の原材料を除きまして、最終製剤中からヒ ト血清アルブミン、これは安定剤でしたが、それを除いた製剤ということです。8月25 日の医薬品第二部会で御審議をいただきまして、承認の御了解をいただいております。 これに対しては、本日、資料No.20-2として添付文書の改定版を配らさせていただいてい ますが、主な改定箇所は2ページの右側に、取扱上の注意という欄がありますが、そこ に記録の保存等についての記載を追加したということです。続いて資料No.21です。ブス ルフェクス点滴静注用、ブスルファンの注射剤で、ものとしては前回の本分科会で御報 告をして、7月26日に承認をした製剤で、今般はその内容に小児の用法用量、効能・効 果の追加をするという内容です。8月25日の医薬品第二部会で御審議をいただきまし て、承認の御了解をいただいています。  医薬品第二部会の最後で、資料No.22です。生物学的製剤基準の一部改正についてです。 大きく4項目ありますが、いちばん大きいのは1番目で、肺炎球菌ワクチン、これは先 ほど申し上げたようにニューモバックスを製造方法とか規格が変わるということで、基 準の改正をするということです。 2番以降はポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンのpHの部分を少し改正する ということ。3番の人全血液ですが、これは白血球の除去作業を献血時に今後やるとい うことで、その関連部分の改正です。最後の新鮮凍結ヒト血漿のところは、外観試験の 修辞的な変更です。第二部会の関係は以上です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。堀内先生、何か御追加いただけますでしょ うか。 ○堀内参考人 それではいくつかについて、議論の内容を御紹介したいと思います。ま ず17番、注射用アナクトCですが、これは先天性のプロテインC欠乏症、これは大体 0.2〜0.3%ぐらいの人に、保因者があるわけですが、それに電撃性の、これまでも先天 性プロテインC欠乏症による深部静脈血栓症とか、急性肺血栓塞栓症が適用になったの ですが、それにさらに電撃性紫斑病を追加したということです。従来ですと、新鮮凍結 血漿だとか、そういうものでプロテインCの入っている製剤を使っていたわけですが、 今回、プロテインCそのものを投与することができるようになったということで、臨床 試験の成績は少数ですが、有用性を考慮して、製造販売後に使用全例に対する調査をす るということを条件に、承認をするということにしました。  19番、イトリゾールですが、これはイトラコナゾール自体は水に難溶性ですので、従 来経口薬があったのですが、それに添加剤を工夫しまして、その分を可溶化して注射剤 にしたというもので、特にイトラコナゾール自体の問題と、新しい添加剤ヒドロキシプ ロピルーβーシクロデキストリンについて、議論をいたしました。この新しい添加剤です が特に問題ないだろうということになりました。イトラコナゾール自体は薬物代謝酵素 CYP3A4と強い親和性を持っていて、CYP3A4で代謝する薬物の代謝を阻害をするというこ とがよく知られている典型的な薬剤です。相互作用について特に注射薬にしたときには、 経口薬に比べてバイオアベラビリティが高くなることが予想されましたので、薬物相互 作用について情報提供をさらに充実させるということにいたしました。  20番、アドベイト注射薬ですが、これは血液凝固第VIII因子です。従来先ほどお話があ りましたように、リコネイトということで言われていたわけですが、完全にCHO細胞 というのを培養して、それに遺伝子組換えで作らせるわけですが、従来ですとウシ胎児 血清を加えて培養していたのですが培養液からウシ胎児血清を除いたということで、そ の段階、さらに製剤にする場合に安定剤としてアルブミンを加えていましたが、アルブ ミンを除いたということです。それ自体はより安全性を確保したものということですが、 一般的にはウシ胎児血清が入っていても、製造工程の中ではプリオン等は除かれている とは思いますが、一応さらに安全性を高めたということで、結構ではないかということ です。ただ、安定性については従来のものは、室温で3年間安定だったというものが、 今回については5℃で2年間という、若干安定性は下がっている。どちらがいいかとい うことがありますが、安全性が確保されたということだろうと思います。ということで 承認いたしました。  21番です。ブスルフェクスですが、これはいわゆるアルキル化剤、抗癌薬のブスルフ ァンについて、小児用の用法を設定したということで、特に小児、ユーイング肉腫ファ ミリー腫瘍とか、神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植、これの前処置に用いると いうことで、小児医療をきちんと設定したということで評価いたしました。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは委員の方々から、何か御質問がご ざいましたら、あるいは御意見がありましたらどうぞ。 ○望月委員 資料No.21のブスルフェクスの点滴静注用なのですが、非常にきめ細かい実 体重に合わせてパーキロで何ミリという投与量をきっちり決めていく背景は、中で議論 されているTDMが必要であるということを如実に物語っているなと思うのです。やは りこの薬はきちんとした用量設定をしないと効果も出ないし、逆に非常にクリティカル なリスクもあるという薬だと思うのです。私が資料を見せていただいた範囲では、この 議論の中でTDMはできない施設が多いから、そこまでは求めないようにしましょうと いうことで、添付文書に全く触れないことになったような気がします。せめて、TDM をすることが望ましいぐらいは、どこかに書いていただいた方がいいかということと、 もし書いていただけるのでしたら、一応目安になる有効域の濃度は議論されて、こうい う濃度で適切ではないかということが書かれていましたので、その辺りについて、通常 TDMをする薬品の場合、薬物動態のところにそういった情報を載せることになってい るので書いていただいたら、と思います。そういうことが可能かどうかです。80%がこ の実体重投与量でいくと合ってくるという議論はあったのですが、いろいろなことを考 えると、TDMをしていただくのが望ましいぐらいは入っていてもいいのかと思ったも のですから。 ○井村分科会長 堀内先生、何かありますか。 ○堀内参考人 特に小児に対してはTDMをやるのがいいことだと私も思っています が、現実問題としてはなかなか難しい面があります。そういう面で小児の癌化学療法に 十分な知識と経験を有する医師の下で用いること、というようなところで逃げてはいる のですが、あまり使いにくくなっても少し困るなということで、そうしてしまいました。 本来は望月委員のおっしゃるとおりだと思います。 ○審査管理課長 事務局としても、今堀内参考人が御説明されたとおりだと考えていま した。方向性としてTDMをやっていくという方向性なのだろうと思います。この件に ついても、もちろん医療機関の整備、癌対策の充実みたいなことも図っているわけです から、それとともに、このもの自体に受けるデータの集積等を踏まえて、望月委員の御 意見を、できるだけ早い機会に活かせるようにしていきたいと思っています。 ○井村分科会長 ありがとうございました。望月委員どうぞ。 ○望月委員 もう一点、私は統計学の専門ではないので全然視点が違う立場なのですが、 実は先ほど広津委員がおっしゃっていた事と同様に、今回申請されたいろいろな医薬品 の用量の決め方、効果の最終的な判断のところが、こういう議論でこういうふうになっ ていってしまっていいのだろうかというところが、結構たくさんあったのです。それで、 日本人でやっている用量もそうですが、日本人で決めた用量から、今度は国外のデータ を使っていくときに、きちんとしたブリッジングの考え方に基づいているのかと、少し 疑問に思うようなところもありました。以前に承認されたものの中でも、日本人で決ま った用法用量で有効性も安全性も検証された後に、何のブリッジングとかの考察もされ ずに、突然海外の用法用量が持ち込まれて、承認されているというようなものもありま したので、その辺の方針というか、どのようにお考えなのかを今回は聞いてみようと思 って、今日は参りました。 ○井村分科会長 ありがとうございました。中垣課長どうぞ。 ○審査管理課長 あまりに一般論で、新任の課長にはなかなか答え難いものがあるわけ ですが、私が了解している範囲で申し上げますと、もちろん提出された試験の資料がい ちばんの基本にあるのだろうと思います。これにいろいろな情報、類薬の情報、薬理作 用、あるいは海外での試験結果の情報など、そういった情報を織り交ぜながら、最後は 総合的に多角的に判断をしていくのだろうと思います。先ほど広瀬先生からも御意見を いただきました。機構もいいところまできているのだけれども、最後の詰めのところが もう少し合理的な判断、あるいはその合理的な判断であることが分かるような説明とい うものが求められているところがあるのだろうと思います。  それぞれ医薬品医療機器総合機構としても、精いっぱいやってきているのだろうと思 いますし、私はそう確信しているわけです。また、一方においては、より良い医薬品を より早く求め、かつ安全に求めるという声もあるわけで、そういう中で質、体制の充実 もまた必要になってくるところがあると考えています。いずれにしても根本的な承認審 査のあり方等々についても、また検討していきたいと思っております。よろしく御指導 をお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。堀内参考人どうぞ。 ○堀内参考人 医薬品第二部会でも、常にこのブリッジングスタディ、妥当なブリッジ ングスタディかどうかという議論はされて、多くの薬剤でもって出てきます。やはり十 分でないケース等考えられるケースがやはりあると思います。したがって、それを補強 する意味で、全症例フォローとか、市販後臨床試験という形をとるケースが多いのです が、本質的に改善するためにはグローバルスタディというか、外国でやられているもの が日本に入ってくる形が多いわけですから、グローバルスタディによる開発が行われな いと、いつまでも続く問題ではないかと思っています。 ○井村分科会長 ありがとうございました。板倉委員どうぞ。 ○板倉委員 資料No.18のニューモバックスですが、54ページを拝見しますと、どうして これが許可されなければいけないのかとが、素人にはよく分からないところがあります。 現在までに提出された資料及び回答からは、「本剤の品質、有効性、安全性は十分に確 認されているとは言えないと判断する」ということが書いてありますし、添付文書でも、 効能・効果の「肺炎球菌による感染症の予防」で、対象の2にある患者が「接種上の注 意」にある非常に気を付けなければいけない患者になっています。ワクチンを不必要と 思っている患者が医師から勧められたときにどう判断して取捨選択するのか。偏見もあ るとは思うのですが、特に消費者の方は、ワクチンに対して非常に不安な部分がありま すので、私にも分かるように認められた経緯を教えていただけるとありがたいと思いま す。 ○井村分科会長 成川さん何かございますでしょうか。はい、中垣課長。 ○審査管理課長 まず最初に御質問、御意見をいただいた54ページの3の総合評価の上 の2行を引用していただいたのだろうと思います。日本語的に言うと十分というのをど のようにとらえるか、ということに尽きるのだろうと思います。御理解いただいている ように、しかしながら、のところに書いてありますように、それぞれについてフォロー していくということを条件に、このワクチンがなくなってしまうということは、公衆衛 生上も避けるだろうという判断があると考えています。  また、このワクチンをいわゆる医療消費者的な観点から申し上げますと、不必要に打 つ、これは医療としてあるまじき姿なのだろうと思いますし、そういう意味から申し上 げますと、情報提供といいますか、一般の方々がアクセスできるような情報提供のあり 方を機構のホームページを通じて、いろいろな形でやってきているわけですが、そうい った活動をより積極的にやるべきだという御支援、御要望だと考えており、その方向で やっていきたいと思います。 ○井村分科会長 はい、神山委員。 ○神山委員 今の不必要な人に打つという点ですが、効能・効果のところの対象者の書 き方が高齢者だけ異質です。ほかはこうこうこういう人と具体的な症状が書いてあるの に、高齢者については65歳以上の高齢者と書いてあるので、元気な高齢者というのは不 必要な高齢者になるのではないかと思うのです。ただ「高齢者」と書くだけではなく、 何か制限が必要なのではないかという印象を受けました。 ○井村分科会長 その点に関していかがでしょうか。事務局から何かコメントがありま すか。 ○審査管理課長 一般論で申しますと、高齢者がかかりやすいという一般論でここは書 いてあるのだろうと思うのです。ただ、くれぐれも繰り返しになりますが、元気なとい うか、不必要な高齢者にまで打てというようなことではないですから、その点は強調し ておきたいと思いますし、何らかの形で明らかにするような形をとることを考えてみた いと思います。ありがとうございます。 ○井村分科会長 ではそうしていただくということで確認させていただきます。それで は先に進ませていただいてよろしいですか。ありがとうございました。本件については 御確認いただいたということにさせていただき、少し急がせていただきたいのですが、 よろしく御協力のほど、お願いいたします。  医療機器体外診断薬部会の関係の議題で資料No.23というのがありますが、これについ て御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.23です。販売名、エキシマレーザー角膜手術装置EC-5000というも のです。5番の性能使用目的、効能・効果のところ、1と2についてはすでに御承認を いただいているものですが、今回3番のレーザー角膜内切除形成術、LASIK、近視及び近 視性乱視の矯正ということについて、9月1日の医療機器体外診断薬部会で審議いただ いて、了承いただいたものです。 ○井村分科会長 ありがとうございました。土屋部会長から追加はございますか。 ○土屋委員 LASIKについてはやはり安全に行うために、手技が重要なため、添付文書 の重要な基本的注意として、日本眼科学会が認定している講習会を受講した眼科専門医 により行われること。トレーニングを受けることを盛り込んでおります。 ○井村分科会長 委員の方々から御意見、御質問はございますか。よろしゅうございま すか。それでは御確認いただいたということにさせていただいて、次は医療材料部会の 関係で、議題24、25があります。御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.24、販売名メニコンライフリー、他15販売名ですが、ハードコンタク トレンズで、こちらは性能及び使用目的のところ、近視、遠視及び無水晶体眼の視力補 正を目的として、終日装用及び30日間までの連続装用というような長期間のものが新し いということで、申請いただいたものです。  資料No.25、販売名、ムコアップというものです。5番の性能使用目的にありますが、 内視鏡的粘膜切除術において、胃、大腸腫瘤部の粘膜を形成隆起させ、切り取るという ことに使うためのものです。こちらは9月1日の医療材料部会で御審議いただき、了承 いただいたものです。 ○井村分科会長 ありがとうございました。こちらも土屋部会長ですが。 ○土屋委員 手短に言わせていただきます。メニコンのハードコンタクトレンズで、当 初、ソフトコンタクトレンズとの比較が行われていましたが、それとは材質が違うので、 タンパク等の吸着等とは違うので、そのメニコン自身のハードコンタクトの1週間と比 較しなさいということで行ったところ、臨床成績上も特に問題ないということで、30日 間を了承しました。ムコアップについては特にございません。 ○井村分科会長 ありがとうございました。何か御質問はございますか。板倉委員どう ぞ。 ○板倉委員 メニコンの患者向けの添付文書のところの最初の囲みのBの最後の文章で すが、1カ月に少なくとも1回はレンズを外してケアを行い、レンズを装用せずに就寝 し、翌朝はめてくださいとなっています。これを読みますと、1カ月に一度だけレンズ を装用せずに就寝する、と日本語的には読めてしまうのですが、それでよろしいのです か。 ○井村分科会長 それでよろしいのですよね。 ○板倉委員 1か月に一度以外は、はめたまま寝て大丈夫だということですか。 ○事務局 連続装用というのは基本的にはめたまま寝て大丈夫だということです。ただ、 使っているうちにゴミとかが入って痛くなったときは、一旦外していただいて、ケアを していただいてからもう1回はめていただくということになります。 ○井村分科会長 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。それではこ の件に関しまして、御確認いただいたということにさせていただきます。ありがとうご ざいました。次は日本薬局方部会の議題26です。 ○事務局 資料No.26、第十六改正日本薬局方作成基本方針についてです。こちらは7月 14日開催の日本薬局方部会で御審議いただいております。日本薬局方は本年3月31日 に、第十五改正を告示したところですが、全面改正を5年ごとに行っており次回の第十 六改正に向けて、この作成基本方針を御検討いただいたものです。  資料の2枚目に、この作成方針の柱というものが上に5つあります。こういったもの を今後中心に、次回の改正の原案作成を進めていくとしています。こちらは7月の部会 で御了承いただいた後、8月3日付で事務連絡として、すでに発出しております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。この5本の柱の順序が入れ替わったぐらい で変化はないようですので、よろしゅうございますでしょうか。それではこれも御確認 いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。早川先生は特 に御追加はなくてよろしゅうございますか。 ○早川委員 結構でございます。入れ替わったのではなくて、2番目に新しく最新の学 問技術の積極的導入による質的向上ということを、特に謳ったということです。ほかは 大体同じです。 ○井村分科会長 ありがとうございました。私はどうも説明を誤解したようで、失礼し ました。それではこれについてはよろしゅうございますか。それでは御確認いただいた ということでよろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは一般用医薬 品部会で、議題の27ですが、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 それでは議題27、資料No.27です。医薬品アフタッチA、アフタカバー、アフ タロン、アフタコートTの製造承認の可否についてです。こちらは副腎皮質ステロイド 剤トリアムシノロンアセトニドを有効成分とする口内炎用薬の外用薬で、新一般用医薬 品です。トリアムシノロンアセトニドは一般用として初めてですので、スイッチOTC としての申請になります。6月28日に開催された一般用医薬品部会で御審議いただき、 承認して差し支えないとの御結論をいただきまして、承認条件として3年間の安全性な どに関する製造販売後調査を実施することとされています。 ○井村分科会長 ありがとうございました。部会長の松尾先生が御欠席です。委員の方 々から何か御質問はございますか。よろしゅうございますか。それではこれも御確認い ただいたということにさせていただいて、次は化学物質安全対策部会の議題28です。御 説明をお願いいたします。 ○事務局 議題28です。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律による化学物質 の規制に関するものです。本年3月の本部会において、2-(2H-1,2,3-ベンゾト リアゾールー2ーイル)-4,6ジ-tert-ブチルフェノールについて、難分解、高蓄積、長 期毒性が判明したことから、第一種特定化学物質として、製造使用等を原則禁止するこ とについて御報告しています。化審法においては、第一種特定化学物質が使用されてい る製品を輸入してはならないということとされており、海外の使用状況等を考慮して輸 入禁止製品の指定を行うこととされています。  今般、当該物質の海外における使用状況等について調査を行った結果、お示ししてお ります8品目について、当該物質が使用された製品が認められました。このため、本年 7月11日の化学物質安全対策部会において、輸入禁止製品として、当該8製品を指定す ることが適当であるとされております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。特定化学物質の入っている製品についての 輸入禁止の措置です。御説明のとおりでして、部会長は私ですが、特に付け加えること はございません。御確認いただいてよろしゅうございますか。ありがとうございました。 それでは次は動物用医薬品部会の関係で29から37について御説明をお願いいたします。 ○事務局 農林水産省です。動物医薬品等部会関係について御報告させていただきます。 議題29、動物用医薬品ノビリスORTinacの輸入承認の可否及び再審査期間の指定につい てです。本剤は株式会社インターベットより輸入承認申請されました鶏オリニソバクテ リウムライノトラケアレA型B3263/91株を主剤とする肉用種鶏用の不活性化ワクチン です。効能・効果としては、肉用種鶏を免疫することによる肉用系でのオリニソバクテ リウムライノトラケアレA型菌による病変、気嚢炎による消耗の軽減です。  平成18年8月22日に開催された動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可と し、薬事分科会に報告して差し支えない。なお再審査期間が6年間とされたものです。  続いて議題30です。動物用医薬品クアドリゾール1及び同5の輸入承認の可否、再審 査期間及び毒劇薬の指定についてです。本剤は川崎三鷹製薬株式会社より輸入承認申請 されたクワドリゾール1及び同5というベダプロフェンを主剤とするイヌ用の経口投与 剤です。効能・効果はイヌ運動機疾患に伴う炎症及び疼痛の緩和です。平成18年8月 22日に開催の動物医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし、薬事分科会に報告し て差し支えない。なお、本剤は劇薬に該当し、再審査期間は6年とされたものです。  議題31、動物用医薬品フラッシュベイト、エコスピードの製造販売承認の可否につい てです。本剤は有恒薬品工業株式会社より製造販売承認申請されたフラッシュベイトと エコスピードというハエ成虫の駆除剤です。ジノテフランを主剤とする塗布または噴霧 剤です。効能・効果は畜鶏舎内及びその周辺のハエの成虫の駆除です。平成18年8月 22日に開催された動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし、薬事分科会に 報告して差し支えないとされたものです。  議題32、動物用医薬品フォーベット50注射液の輸入承認事項変更承認の可否及び再 審査期間の指定についてです。本剤は長崎薬品株式会社により、輸入承認事項変更承認 申請されたフォーベット50注射液というもので、フルニキシンメグルミンを主剤とする ウシ用の静注剤です。今般、対象動物としてブタの筋注を追加するものです。平成18 年8月22日に開催の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして、承認を可とし、薬事 分科会に報告して差し支えない。再審査期間は6年とされたものです。  議題33、動物用医薬品マルボシル2%、同10%の輸入承認の可否、再審査期間の指定 及び毒劇薬の指定についてです。これら2製剤はマルボフロキサシンを含有する注射剤 です。適応症はウシの細菌性肺炎及びブタの胸膜肺炎です。平成18年8月22日に開催 された動物用医薬品等部会において、承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えな い。なお、毒劇薬には指定しない。再審査期間は6年間とするという審議結果をいただ いたものです。  議題34、コバクタン「三共」、コバクタン、セファガードの輸入承認事項変更承認の 可否及び再審査期間の指定についてです。これら3製剤は硫酸セフキリノムを含有する 注射剤です。現在ウシの肺炎を適応症として承認されていますが、今回の事項変更によ り、ブタの胸膜肺炎の適応症を追加するための申請です。平成18年8月22日に開催さ れた動物用医薬品等部会において承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えない。 なお、再審査期間は2年間とするものという審議結果をいただいています。  議題35、動物用生物学的製剤基準の一部改正についてです。この基準は薬事法第42 条第1項の規程に基づき農林水産大臣が動物用生物学的製剤について、薬事・食品衛生 審議会の御意見を聞いて、農林水産省告示により定めるものです。  今回の基準の内容としては、動物用標準ツベルクリンについて、標準品の配付元を変 更するための改正です。本案についても平成18年8月22日に開催された動物用医薬品 等部会で了承されたものです。  議題36、動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部改正についてです。この省令 は薬事法第83条4に基づく農林水産省令で、農林水産大臣が畜水産物への残留防止のた めに、使用者が守るべき動物用医薬品の適正な使用方法の基準を定めるものです。平成 18年8月22日に開催された動物用医薬品等部会で了承されております。  資料1〜2ページにエトキサゾールを有効成分とする外皮塗布剤を、搾乳牛以外のウ シに使用する際の用法及び用量と、使用禁止期間を定めています。食品安全委員会によ る食品健康影響評価に基づき、本案のように使用禁止期間等が設定されたものです。  3〜4ページです。議題32のフォーベット50注射液の輸入承認事項変更承認に伴う 改正です。5〜6ページにかけては、議題33のマルボシル2%及び10%の承認に伴う 改正です。7〜8ページは議題34のコバクタン「三共」、コバクタン及びセファガード の輸入承認事項変更承認に伴う改正です。9〜10ページは厚生労働省により、セフチオ フルの残留基準が設定されたため、既承認のセフチオフルナトリウムを有効成分とする 注射剤について、新たにデータを評価し直した結果、ウシ及びブタに使用する際の使用 禁止期間が変更されるものです。  議題37です。動物用抗生物質医薬品基準の一部改正についてです。この基準は動物用 抗生物質医薬品について、薬事法第83条の規程により、読み替えられる同法第42条の 第1項に基づき、農林水産大臣が、製法、性状、品質等について定める基準です。今回 の改正は、平成18年3月31日にあった日本薬局方の第15改正が行われ、これに整合性 をとるといった改正と乳房注入剤について、従来青色1号による着色を義務付けていま したが、この着色を任意とするといった目的の改正です。平成18年8月22日に開催さ れた動物用医薬品等部会で了承されています。以上で報告を終了します。どうぞよろし く確認をお願いいたします。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それでは何か御質問がございました ら、神山委員どうぞ。 ○神山委員 資料31の動物用医薬品残留問題調査会審議結果というところに指摘事項 があります。資料31において、平成18年7月12日開催、動物用一般医薬品調査会の指 摘事項は別紙使用上の注意の【取扱上の注意】1)として追加したというのは別紙、追 加になっていて分かるのですが、平成18年5月16日開催の動物用医薬品残留問題調査 会の指摘事項である、噴霧塗布する際の換気扇使用に関する注意が、【取扱上の注意】 2)に追加記載したというのが分からないのです。換気扇に関するということが2)に 換気扇という字がないので、どういう対応になっているのかというのが質問の一つです。 ついでにもう一つ、32からずっとその後のものについて、休薬期間が始めから書いてあ るもの、例えば取扱上の注意に休薬期間とか、何日間は出荷してはいけないと最初から 書いてあるものと、32のようなものは、使用規則に従って使えという一般論しか書いて いないものとがあるのですが、動物用医薬品でも食べるものなので、間違わないように、 一緒に改正するわけですから、休薬期間のようなものは取扱上の注意に書いてしまって ほしい。ほかのものが書かれているのに、32が書いていないというのは、そういう必要 がないと思いますので、何日ということを最初から書いていただきたいと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございます。それについて、何かコメントはありますか。 ○事務局 休薬期間について御説明させていただきます。資料No.32のフォーベット50 注射液の休薬期間が書いていないという御指摘だと思います。これについては実は農林 水産省令で動物用医薬品の使用に関する基準があり、こちらに使用禁止期間、休薬期間 と同じものが設定されています。 ○神山委員 そのことは分かっています。そういう仕組みは分かっているのですが、例 えば33も34も、みんな農林水産省令で休薬期間が決まっているものだと思うのです。 32も33もみんな同じものなのに、例えば33だったら休薬期間がウシ3日、牛乳という のがよく分からなくて、乳牛ではないかと思うのですが、48時間とか書いてあるので、 そうやって取扱上の注意にも3日とか書いてあるわけです。だから、同じものが決まっ ているからもう一遍そちらを見なさいではなくて、32も、そこの取扱上の注意に、同じ ように書いてしまったら、あちこち探さないで一つ見れば分かるのではないですかと、 ただ、それだけの話です。 ○井村分科会長 分かりました。今からでも何かそういうことができるのでしたら、そ ういう御配慮をお願いして、今からでは少し遅いのであれば、今後はそうしていただく ということで、よろしゅうございますか。 ○事務局 おっしゃるとおりで、使用規程省令に定められているものは、当然記載する ようにしております。 ○神山委員 書いていないのですが、書くように指導していただきたいと思います。 ○事務局 最終的に承認するときに、手続上の問題で申し訳ありません。使用規程省令 ができるときに合わせて承認できますので、そのときに使用上の注意に入れさせるよう な手続を従来からやっております。誤解を与えるような資料の提出の仕方で御迷惑をか けまして、申し訳ございませんでした。 ○井村分科会長 それではよろしくお願いいたします。 ○神山委員 換気扇のことが何も書いていないのです。 ○井村分科会長 記述上の何か抜けているところがあるのでしょうか。 ○事務局 そうです、これについては具体的に換気扇という言葉を入れた形の表現に改 めさせたいと思います。 ○井村分科会長 はい、お願いいたします。 ○板倉委員 資料No.29ですが、別紙4のところの(4)に本剤は出荷前38週間は使用 しないことと書いてあるのですが、非常に長い期間なのですが、こういういわゆるニワ トリの寿命というか、出す肉との関係できちんと守られるようにできるのかどうかにつ いてだけ、お聞きします。 ○吉田委員 1ページの効能・効果の6、肉用種鶏を免疫して、というのは肉用、食べ るためのニワトリを作り出すための卵を産むニワトリです。大体1年か2年、卵をせっ せと産みますと、効率が悪くなって、そのうちに廃棄へということになります。ですか ら、あと半年使ったら終わりだという予定が大体たちます。先ほどの日数からいきます と約9カ月、つまり、廃鶏にする予定がたちますから、その9カ月ぐらい手前ぐらいか らは、こういうものは使いませんと。あとはガラスープの材料になったりということに なるわけです。ですから十分に予定がたちますので、普通に市販されている肉用鶏にじ かにうっているわけではありません。 ○板倉委員 そういうのは分かっていますので、期間的にどうなのかということでお聞 きしたのです。 ○吉田委員 十分にこれは予定がたつのです。もう大体2年も卵を産ませたら、みんな おしまいです。大変言葉が悪いのですが、そのように理解していただければ結構かと思 います。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。私、伺わなくて大変失礼したのですが、吉田部会 長の方で、何か付け加えることはございませんか。 ○吉田委員 特にございません。 ○井村分科会長 よろしゅうございましょうか。それではこの件についても、すべて御 確認をいただいたということにさせていただきます。私の不手際で、なんと40分近く遅 くなりまして、申し訳ありません。重い審議事項が2つございまして、皆様方、非常に 熱心に御討議いただきましたので、ありがとうございます。本日の議事を終了させてい ただきますが、次の分科会は12月中旬に行われる予定です。例によりまして御都合を伺 ってから決めさせていただきます。それでは薬事分科会を終了させていただきます。ど うもありがとうございました。 (了) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)