06/09/20 平成18年9月20日社会保障審議会福祉部会議事録 社会保障審議会福祉部会(平成18年9月20日)議事録 1 日時:平成18年9月20日(水)10:00〜12:00 2 場所:東海大学校友会館「阿蘇の間」 3 出席委員:      岩田部会長、石原委員、石橋委員、江草委員、小島委員(代理:飯倉氏)      京極委員、鴻江委員、木間委員、駒村委員、白澤委員、高岡委員、鶴委員      中島委員、福田委員(代理:須藤氏)、堀田委員、村尾委員、森委員   欠席委員:      井部委員 4 議事 (1)介護福祉士のあり方について (2)社会福祉士のあり方について 5 報告事項 (1)平成19年度概算要求の概要について (2)生活保護制度について (3)ホームレスの実態に関する全国調査検討会について (4)生協制度見直し検討会について (5)社会福祉法人経営研究会報告書(「社会福祉法人経営の現状と課題―新たな時代 における福祉経営の確立に向けての基礎作業―」)について 6 審議内容 (矢崎総務課長)  駒村先生、若干おくれるので、始めておいてくださいというご連絡受けておりますの で、これより始めさせていただきます。  今回、福祉人材のあり方を中心に幅広くご審議をいただくため、社会保障審議会福祉 部会を開催することといたしたところでございます。つきましては新たに委員をお願い いたしておりますので、まず委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと思います。お 手元に名簿をお配りしておると思いますが、この名簿あいうえお順でございますが、そ れに沿ってご紹介させていただきたいと思います。                 (委員及び事務局紹介:略) (矢崎総務課長)  ここで、今回の審議会をお願いしました趣旨も含めまして、社会・援護局長の中村か ら一言ご挨拶を申し上げます。 (中村社会・援護局長)  改めましておはようございます。社会・援護局長の中村でございます。社会保障審議 会福祉部会を開催するに当たりまして一言ご挨拶を申し上げたいと思います。 まず、委員の皆様には、お忙しい中、委員にご就任いただき、また、本日ご出席いただ きまして大変ありがとうございます。  先ほど総務課長の矢崎から冒頭申し上げましたように、今回は福祉部会におきまして、 福祉人材のあり方などを中心にご審議いただきたい、こう思いましてこのたび福祉部会 を開催させていただきました。ご審議いただきたいこと当面は大きく3つ考えてござい ます。  1つは、介護の現場の中核を担います「介護福祉士のあり方について」でございます。 昨年、介護保険法の一部改正法案を厚生労働省は国会に提出させていただきましたが、 介護保険はご案内のとおり、施行後5年の見直しの法案であったわけですが、その際、 国会でご審議いただきました中でも介護に従事する方の労働条件や雇用管理の問題、介 護の質の向上、これを担うのは人間の人材の問題だということで、この辺が制度論とは 別に大変論議になりまして、その際、資格制度のあり方も含めその見直しを行うべきで あるということで、これは後ほどご説明いたしますが、国会での附帯決議でもこういっ たことが求められております。  このような中で、私どもとしては、ことしの1月から検討会「介護福祉士のあり方及 びその養成プロセスの見直し等に関する検討会報告書」も配布させていただいておりま すが、後ほどご説明をさせていただきますが、その検討会をもちまして、これからの介 護を支える人材養成のあり方について報告書もまとめていただいたところでございます。  私どもといたしましては、こういった検討も踏まえまして、介護福祉士の養成プロセ スの見直しや教育内容の見直しを行ってまいりたいと考えておりますので、当部会にお きまして、まずこの点についてご審議を願いたいと思います。  なお、介護福祉士の養成制度の見直しについては、法律改正も必要と考えております。 次期通常国会に改正法案を提出したいと考えておりますので、部会でのご審議もその辺 もにらみながらご検討をお願いたいと思っております。  第2点目は、「社会福祉士のあり方について」でございます。社会福祉士の状況につ きましても、後ほど現状をご説明させていただきますけれども、介護保険制度、これは 措置から契約へと移った介護保険制度はもとより、実は昨年障害者自立支援法が制定さ れまして、ことしの4月から実施に移されておりますが、この制度の中でも、相談支援 事業という制度が法制化されるということで相談支援のニーズが高まっております。ま た、生活保護制度の中でも、昨年度から自立支援プログラムということで被保護者の方 の自立支援をさらに促進していこうと、こういう取り組みを行っております。一言で言 えば、高齢者、障害者、生活保護の被保護者、ホームレスの方々など社会生活上の問題 を抱えた皆様の自立支援を進めることが大きな課題になっております。こういった中で 社会福祉士に期待されることは非常に大きいわけですが、現状ではどうも活動の場が少 ないとか、実践能力が不十分であるとか様々な課題が指摘されております。こういった 中で今後の社会福祉士のあり方について幅広くご議論いただいて、必要な見直しについ てご意見を賜りたいと考えております。  3点目は、前の2つと関連いたしますが、「福祉人材の確保について」でございます。 90年代初頭バブル経済が崩壊して長期的な経済低迷が続いておりまして、そういった中 で福祉の人材については割合確保がたやすい状況が続いてまいりましたけれども、昨今 の経済情勢の回復の中で、むしろ福祉人材の需給状況がタイトになるという現状にござ います。私どもも1993年(平成5年)に人材確保指針を定めたところですが、しばらく この見直しもしておりませんので、この人材確保指針の見直しをはじめ人材確保対策に ついても取り組んでまいりたいと思います。こういった点につきましてもご議論を賜り たいと考えております。  以上、人材関係の3点を申し上げましたけれども、このほか社会福祉行政全体の動向 につきまして、節目節目で委員の皆様にご報告申し上げたいと考えておりますのでご意 見を賜りたいと思います。当面、年内は介護福祉士と社会福祉士について重点的にご審 議をいただき、その後、年明けから人材確保指針の見直しについてご審議を賜りたいと 考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。 (矢崎総務課長)  次に、部会長及び部会長代理の選任でございます。社会保障審議会令には、「部会長 は当該部会に属する委員の互選により選任し、部会長代理は部会長が指名する」とされ てございますが、あらかじめ親審議会である社会保障審議会の委員をしていただいてお ります岩田先生、京極先生にご相談申し上げまして、その結果、部会長は岩田委員、部 会長代理は京極委員にお願いすることにいたしておりますので、ご報告申し上げさせて いただきます。よろしくお願いいたします。  なお、本部会の公開については、あらかじめお手元に配布させていただいております。 こういったことで運営を取り仕切ろうということですので、よろしくご了知のほどお願 いいたします。  それでは、以後の議事運営につきまして、部会長にお願い申し上げたいと思います。 よろしくお願いいたします。 (岩田部会長)  部会長の岩田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今、局長からご説明いただきましたように、当面介護福祉士と社会福祉士の人材養成 についての議論がこの福祉部会の課題になります。本日は第1回目の部会でございます ので、まず共通認識をしっかり持って、その後の十分な議論の基礎にしたいと考えてお ります。  それでは、時間も限られておりますので、早速議題に入りたいと思います。初めに、 介護福祉士のあり方についての議論を行いたいと思います。  まず、事務局からご説明をいただき、その後、江草委員から、これに関しての資料が 提出されておりますので、そのご説明をいただきまして、その後、皆様のご議論をいた だきたいと思っております。 それでは、事務局、どうぞよろしくお願いします。 (成田福祉人材確保対策室長)  それでは、介護福祉士制度の見直しについて、資料1に沿いましてご説明をさせてい ただきます。  資料の構成ですが、「介護福祉士を取り巻く状況」、「介護ニーズの変化」、「介護 福祉士制度の見直しの方向」、「生涯を通じた能力開発と魅力ある職場づくり」となっ ております。  おめくりいただきまして、1ページから介護福祉士を取り巻く状況でございます。2 ページにまいりまして、介護福祉士制度は、1987年5月に成立し、翌88年4月から施行 された社会福祉士及び介護福祉士法に基づく名称独占の国家資格でございます。「専門 的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むの に支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、並びにその介護者に対 して介護に関する指導を行うことを業とする者」と定義をされております。  3ページにまいりまして、介護福祉士の登録者数等の状況でございます。一番下の行 をご覧いただければと思いますが、今年の5月末現在で登録者の方が約54万5,000 人い らっしゃいます。内訳は、養成施設の卒業生の方が4割弱の約20万人、国家試験の合格 者の方が6割強の約34万人いらっしゃるところです。  4ページにまいりまして、介護職員に占める介護福祉士の割合でございます。上の方 の介護保険事業関係をご覧いただきますと、施設サービスでは、介護職員に占める介護 福祉士の割合が約4割となっております。在宅サービス関係は、約18%が介護福祉士の 方になっているという状況でございます。  5ページにまいりまして、平成17年6月の介護保険法の改正の際の参議院厚生労働 委員会の附帯決議でございます。冒頭、局長からもご紹介させていただきましたけれど も、「介護需要が増大する中で、介護労働の魅力を高め、優秀な人材を介護の職場に確 保していくため」いくつかのことが書いてございますが、その中に「資格制度のあり方 の見直しに取り組むこと」ということも含まれているところです。  6ページですが、平成16年7月の社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見 直しに関する意見」です。介護福祉士について、「介護職員については」、「将来的に は、任用資格は『介護福祉士』を基本とすべき」とされております。  7ページからですが、介護職員数の将来推計でございます。7ページの上の表は、要 介護認定者等数、介護保険利用者数、後期高齢者数の将来の推計がございます。この推 計の伸び率を使い、介護職員の数の将来推計を行っております。  8ページの表をご覧いただければと思いますが、平成16年(2004年)の介護職員が約 100万人いらっしゃいます。この100万人という数字を前のページの伸び率で推計します と、10年後の平成26年(2014年)には介護職員の数が約138万人から156万人になると推 計されるところです。したがって、今後10年間で年間平均約4万人から5.5万人の介護 職員の増加が必要であると見込まれているところです。  9ページからが介護ニーズの変化でございます。  10ページの図ですが、社会福祉制度の潮流ということで、中央にあるように、少子高 齢化者の急速な進展、高齢・単身世帯の増加といったようなことを踏まえ、福祉・介護 の分野では様々な変化が起きておりまして、その結果、高齢者介護・障害者福祉分野の パラダイムの転換といったような状況になっております。具体的には、措置から契約へ といったような流れ、「地域で普通の暮らし」ができるようにする、市町村中心といっ たこと、新しいサービスの進展、といったようなことが起きているところです。  11ページにまいりまして、社会福祉の動向ということで、主な制度改正をご紹介して おります。中ほどに1988年の社会福祉士及び介護福祉士法の施行がございますが、これ 以降も90年の福祉8法の改正、ゴールドプランの策定、2000年の介護保険法の施行、 2003年の支援費制度の施行、昨年の介護保険法の見直し、障害者自立支援法の制定など があったところです。こういったことに伴い、介護の分野では、介護システムの変革、 サービス形態や求められる介護サービスの変化といったような介護ニーズの変化があっ たと考えられるところでございます。  12ページは、こういった介護福祉士を取り巻く状況の変化に対応して、求められる 介護福祉士像を整理したものです。これからの介護福祉士の人材養成における目標とし て12項目を挙げております。この12項目ですが、「介護福祉士のあり方及びその養成プ ロセスの見直し等に関する検討会」という検討会の報告書から引用したものでございま す。この検討会は、今年の1月に設置されまして、8回にわたる会合を行い、7月5日 に報告書が取りまとめられたところです。  13ページから、介護福祉士制度の見直しの方向がございますが、この方向は基本的に この検討会の報告書の考え方を踏まえたものになっております。  14ページからが、介護福祉士資格取得方法の改正の方向でございます。15ページの図 をご覧いただきますと、上の部分が現在の介護福祉士の資格の取得方法です。左上が現 在養成施設で2年以上1,650 時間以上勉強していただいて、卒業後に資格を取得してい ただく方法です。右上が現在実務経験3年で国家試験を受けていただく方法、右から2 つ目が福祉系高校で専門教科を1,190 時間勉強し、卒業していただいた上で国家試験を 受けていただく方法です。  14ページに見直しの方向が書いてございますが、「今後の資格取得方法については、 多様な人材を確保する観点から、養成施設ルート、実務経験ルート、福祉系高校ルート の3つのルートを残しつつも、各ルートを通じ質の全般的向上を図るため、教育内容の 充実を行うとともに、すべての者について一定の教育プロセスを経たのちに国家試験を 受験するという方向で、一元化を図る。」とされております。  15ページ、図の下の部分をご覧いただきますと、見直し後のイメージが書いてござい ます。左下の養成施設ルートについては、教育時間を1,800 時間程度まで充実し、卒業 後に国家試験を受けていただくこととされており、その右隣の福祉系高校ルートについ ては、養成施設と同等の1,800 時間の教育を行う場合には、卒業後に国家試験受験資格 を付与し右側の実務経験ルートについては、実務経験に加え一定の養成課程、例えば6 カ月以上の養成課程又は1年以上の通信課程を課すこととされており、また右から2番 目ですが、今年度から導入される介護職員基礎研修を修了された方については修了後実 務経験2年で受験資格を付与することとされております。  16ページは、見直しのイメージ図でございます。各ルートの下の白い部分が現行で、 上のグレーの部分が追加部分です。いずれのルートにつきましても、養成課程の増加な どの充実を図ることによって全体的な介護福祉士の質の向上を図ることとされておりま す。  17ページでございますが、教育内容、カリキュラム・シラバスの見直しのイメージを 図にしたものです。中央の長方形の部分が教育内容ですが、国家資格としての介護福祉 士については、基礎的な能力の付与を目指し、教育時間を1,650時間から1,800時間程度 まで充実し、内容の抜本的な見直しを行うこととされております。  また、教育内容については、白のマルで示されておりますけれども、「人間と社会」、 「こころとからだのしくみ」、「介護」の3つの領域による構成とすることとされてお ります。長方形の下の方では、介護の現場を踏まえた実践的な教育を行うといったこと、 上の方には「尊厳を支えるケア」の実現を目標に挙げるなどとなっております。また、 長方形の右下では、介護福祉士の養成において重要な介護実習について、そのあり方を 見直すこととされております。左下の長方形では、介護福祉士の養成を行う養成施設の 基準や教員資格の見直しも行うといったことも盛り込まれております。  18ページは、カリキュラムの見直しのイメージをお示ししたもので、左側が現行の2 年制の1,650時間以上のカリキュラム、右側が見直し後の1,800時間程度のカリキュラム のイメージとなっております。  19ページでは、参考としてつけておりますが、カリキュラム・シラバスの見直しにつ いては、検討会の報告も踏まえまして、各分野の専門有識者及び実践者からなる作業チ ームを設置して、カリキュラム・シラバス、教員要件、養成施設の基準等をご検討いた だきたいと考えております。  20ページですが、作業チームの構成として、「人間と社会」、「こころとからだの しくみ」、「介護」の3班を設置して、各班の幹事の方々として、資料にございます6 名の方にお願いをしているところです。スケジュールについては、9月以降、各班ごと に随時検討をし、年内をめどに一定の取りまとめを行った上で福祉部会にもご報告した いと考えております。  21ページからですが、介護福祉士の資格取得後の、生涯を通じた能力開発と魅力ある 職場づくりについてでございます。  22ページが資格取得後の生涯を通じた能力開発とキャリアアップでございます。介護 福祉士は基礎的な能力を有する資格ですので、資格取得後も生涯にわたって能力の向上 に努めていただく必要がございます。また、介護福祉士の資格取得後の専門的な資格の 導入が必要であると考えられるところです。また、介護福祉士を雇用する事業者におい ても、介護福祉士への支援を行うことが求められるところです。こういった中で、体系 的な研修制度の構築、キャリア開発支援の仕組みづくり等が重要であると考えられると ころでございます。また、施設長、生活指導員等の任用要件の見直しにつきましても、 介護職員のキャリアパスの形成上有意義であると考えられるところでございます。  23ページにまいりまして、魅力と働きがいのある職場づくりですが、介護福祉士の 能力向上とキャリアアップのためには、介護職員が働く職場が魅力と働きがいのある職 場となり介護の仕事を続けていくことができるものであることが重要でございます。こ のためには、雇用管理や労働条件の改善が必要ですし、また社会福祉法の規定に基づく 人材確保指針の見直しも必要であると考えられます。また、福祉の経営としても優れた 人材の確保は重要であると考えられますし、介護報酬等での介護福祉士の評価も重要で あると考えられます。  24ページの図が今ご説明した内容を1枚にまとめたものです。いろいろな対策を講 ずることによって、質の高い人材の確保、介護職員の確保・定着促進を図っていくこと とされております。  資料の説明は以上でございます。ありがとうございました。 (岩田部会長)  ありがとうございました。ご質問があるかと思いますが、引き続き江草委員からご説 明いただきたいと思います。養成施設協会の会長でいらっしゃいます。どうぞ。 (江草委員)  江草でございますが、ご説明をさせていただきたいと思います。  実は、私ども介護福祉士養成施設協会は、約400校余の学校の団体でございます。す べての学校が参加しております。したがいまして、養成施設の代表である私としまして は、様々な考え方があることは承知しておりますけれども、これを各ブロックの代表者 が集まりまして、それぞれの意見を漏れなく聞かせていただいて、それを取りまとめて おるということでございますので、そういう形でご報告申し上げたいと思っております。  今、介護福祉士制度がいつできたのか、どのような形で発展してきたかというお話が ございました。過去の介護福祉士の約40%が養成校の卒業生であることをまず強調して おきたいと思います。そして、それは量的な確保ということ、介護力の量的な確保だけ ではなくて、質的水準を維持することにおいても心配りを十分してきたつもりです。  したがいまして、介護福祉士の養成については責任を痛感し、かつ、また誇りを持っ てやってきております。そのために400の学校の間に学校間格差があってはいけない。 卒業生のレベルが一定のレベル以上でなければいけないということから、国家試験の受 験はいたしませんが、それに準じた共通試験を設けまして、もう10年以上前からそれを 推進しているところです。  一方、私どもとしては、我が国の介護水準のレベルを維持するために協力すべきであ るという考え方から、先ほど来、ご説明ありました実務コースがあります。3年以上の 実務経験を持った方が国家試験をお受けになるということですが、この方々の介護技術 の研修をかなりの犠牲を払いながら協力いたしまして、30時間程度の講習をやらせてい ただいております。  このような形の中でやってきておるわけですが、大きな悩みがいくつかございます。 その1つは、私たちは誇りを持ってと、先ほど強調いたしましたが、この誇りというの は、保健福祉専門職というのはたくさんあります。医師、看護師から始まりまして、保 健の関係のそれがあります。そして、また保育士、社会福祉士等々の福祉関係の専門職 がございますが、その専門職の養成はすべて高等学校教育を修了した後に、2年ないし 3年以上の年限の養成施設をまず卒業しなければいけない。そして卒業した者のみが国 家試験の受験資格がある。こういう形で行われておるわけですが、介護福祉士のみはこ のような範疇から外れておるわけであります。これは保健専門職が一体となって我が国 の保健福祉事業の水準を確保したい、こういうふうに願っておる今日ですので、そうい う意味では極めて不適切ではないかということを声を大きくして言い続けてまいったと ころでございます。しかしながら、介護福祉士の制度が誕生したときの諸般のいきさつ から、実務経験者のルートは無視できないといった形から、私たちは遠からず一定の移 行期間の後には、この問題も解消されるものと考えて、先ほど申しましたような、介護 技術の修得についても協力を申し上げてきたところでございます。  ご承知のように、平成16年6月、まだ2年余りしかたってないわけですが、そのと きに、「介護福祉士試験の在り方等介護福祉士の資質の向上に関する検討会」が行われ ております。実はかく申しておりますが、私はその座長を務めております。その報告書 を提出してありますが、その報告書には、介護福祉士の資格取得に関しては、環境整備 の状況を踏まえて、指定養成施設の卒業生が受験資格を取得する方法ということで統一 しようということを報告書の中に載せておるところでございます。したがいまして、養 成施設の協会としては、当然のことながら、一日も早く環境整備が行われることを念願 し、期待しながら今日まで時間を過ごしてきておるところでございます。  こういう中で、ご承知のように、高齢者の高齢者福祉保健の介護福祉士に対する要望 は次第に複雑かつ多様なものを求めるようになっております。例えば終末期の介護の問 題、認知症の問題、あるいは在宅介護の問題、こうしたことを考えますと、質の非常に 高いものを要求するということですので、これに対して「介護福祉士のあり方及びその 養成プロセスの見直し等に関する検討会」の報告書、先ほど成田室長からお話がござい ましたそれによりまして、カリキュラムを1,650時間から1,800時間。また、その内容 もただいま作業チームが編成されておるところですが、できるだけ早く適切なものをつ くろうというところまで来ておるところです。  そういたしますと、実際2年間の教育で十分なのかということが大きな問題になりま して、私どもとしましては、なるべくは3年以上を希望しておるということも今まで各 方面で発言させていただきました。先ほど申し上げました養成プロセスの見直し等に関 する検討会においても、私はその委員を務めておりましたが、介護福祉士養成施設とし ては3年以上ということを強く要望したい。しかし、これは状況がそれほど簡単ではご ざいません。400の学校がすべて一度期に3年になるわけにいきませんし、教員の充実 の問題もある。  また学生の確保の問題もある。さらに言うなれば、より高いものを求めることは結構 だけれども、より高いものばかりになったら介護保険の支払いができるのかというよう な発言も当時あったように記憶しております。そういうことから、当面2年でやむを得 ないが、内容を充実するために1,800時間程度にまず持っていこうではないか。それか ら、同じ1,800時間でも教え方を考えようではないか等々の話も出ておるところです。  なお、また、これでは不十分であるということから専門介護福祉士ということも考え なければいけない。これはどういうことかと申しますと、看護師の場合、いくつかの専 門看護師の認定を団体認定なさっておられるようですが、それに似たようなものも考え ていいのではないか。我々も相当真剣にこの数年間検討を続けておるところです。  こういう中で、実は先ほどのご説明のように、指定養成施設のコース、実務者のコー ス、もう一つは高校のコース、こういう3コースを、ご説明ございましたが、最後のコ ーススについて、私どもとしましてはいくつかの意見を持っています。細かいことはま た改めて議論がございますでしょうから、そのときに申し上げますが、一体高齢者ある いは障害者の方に接する場合の人間的なといいましょうか、人格的なと申しましょうか、 あるいは社会生活を送った経験と申しましょうか、こういう中で、普通高等学校教育を 終わることは最低であって、その後、専門教育を受けることが、他のすべての保健福祉 医療の専門職の養成で行われておるのと同様の養成すべきではないか。そのために知的 レベルにおいて、ある試験問題に合格したならば、何歳でもいいということになります と、極端に言いますと、中学校卒業しただけでも構わないのか、経験はなくてもいいの か、こういう議論もないわけではないと私は思います。  そこで私どもとしましては、ちょうど保育士の国家試験を受けられるときに、高等学 校卒業後、2年間の専攻科的なものを終えた後に受けるのが最低の資格になっておると 仄聞いたしております。もしそうであるならば、当然幼いお子さんをお世話する人とと もに、高齢者をお世話する方も同じようなことであってしかるべきではないかと思って おるところです。  こうしたことから、介護福祉士の養成については、確かに先ほどのお話がありました ような魅力ある職場づくり、大事でございます。そしてまた生涯を通じた能力開発、こ れも非常に大事なことですが、それと同時に素材としての介護福祉士というものの基本 的な能力、基本的な資格、これについて慎重な検討が行われるべきではないか、こうい うふうに考えでいるところでございます。  こういう考え方を取りまとめまして、9月12日付で、私どもの団体から社会・援護 局長にあてて意見要望書という形で意見を申し上げたところでございます。  以上です。 (岩田部会長)  ありがとうございました。それでは、先ほどの事務局のご説明、今の江草委員からの ご説明の2つについて、皆様からご質問、ご意見を伺いたいと思います。どうぞ、どの 点からでも結構です。 (森委員)  実は、全国の自治体の中でも、私どもは恐らく珍しいと思いますけれども、今、おっ しゃった高等学校に福祉科のコースを持ち、あわせて養成施設、いわゆる介護福祉士の 専門校、これを持っている自治体なのですけれども、そういう中でいろいろな国の制度 の中で、今、例えば日本の社会福祉の問題もそうなんですけれども、介護福祉士のあり 方、その資質がどのように求められているか、これは実は私ども自治体は、ご案内のよ うに、介護保険の保険者であると同時に、いわゆる基礎的な自治体として住民の福祉と いう、そういう観点からも取り組まなければいけない。そこには、今、国の方でお考え 方になっていらっしゃるように、例えば自立の支援も人間の尊厳も私どもはこのような 仕組みをつくっていかなければいけない。そうすると福祉の人材は私は多様であってい いと思います。  そういう中で、どれだけ、今、江草先生おっしゃいますように、どれだけ資格として の、俗に言いますと、認知されるかどうか。この資格が有意なものであるかどうかとい うことが社会通念上皆様方から認識されることの方が大事で、そのためにどういう手だ てを講じていくか。例えば介護保険も障害者の自立支援もそうですけれども、利用者の 立場、そういう視点が一番求められるのではないでしょうか。  こういう中で、どういうサービスをされる方が求められておるのか、それが私はこれ からの福祉の人材の姿ではないかと思います。例えば福祉系の高等学校で、江草先生が おっしゃいました。知的レベルの問題、いろんな意味のレベルがあるかもしれません。 例えば、ボランティアとして福祉に対して、小さいときから、それに対して素養を持っ て育ってきた。そういう方が高等学校で福祉の道をとなれば、より高度な資格を取るた めに努力をしていく。そのキャリアパス、そういう手だてを講じることの方が大事であ って、いわゆる多様性を排除することのないように、ぜひいろんなコースがあって、そ の中で切磋琢磨していく、そういう道筋をぜひこの人材というのはあってほしいと。そ れが私どもお預かりする基礎自治体にとっては、そういう有意な人材がたくさん地域に あってくれることが地域住民にとって、あるいはサービスの利用者にとって望ましいの ではないか、こんなふうに思いましたので、ぜひ、そういう議論を、私もきょう初めて 出てまいりましたけれども、議論していただければと思います。 (岩田部会長)  ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。 (江草委員)  森市長さん、私はほかの審議会でも何回かご一緒しておりますので、顔なじみなので あるのでありますが、おっしゃるとおりであります。問題は多様なということと、介護 福祉士というものが多様であっていいのかということとは別だと思うんですね。例えば 医師のことを、私が医者ですから、挙げて申し上げますが、多様な医者がおっていいと、 これはそのとおりなんです。しかし多様なというのは一定水準以上で多様でなければい けないので、一定水準を担保するために医科大学の卒業生のみが医師国家試験を受けて、 それに合格したものであると。しかもそれでは十分でないから、今は2年間は研修医の 制度をとると、こういうことになっているのも、一定水準を卒業だけではだめだという ことで2年を上に乗せたわけですね。  同じような意味で、私どもは議論しておるわけです。ですから高等学校出て、やさし い気持ち持っておるのがだめなのか、そんなことを言っておるのではないですね。それ はまた違った制度、違った形でおやりになっていいのではないでしょうか。例えば保育 士の場合も保育の高等学校もあるのですね。しかし、それではだめで今度は専攻科にな ったのです。准看さんもそうですね。准看がいいか悪いかというのはいろんな議論があ るのだけれども、准看さんというものについて否定しておるわけではないが、准看さん で看護師さんと同じ業務内容を展開すると問題があるのではないか。そこで准看の養成 している高等学校の看護科が、少なくとも私の承知しているところでは、ごく一部を除 いてほとんどが専攻科を設けて、3+2という課程をとっているんです。それがまだで きないところの場合には、3+2を、自分の学校でなくて、他のそのようなことを受け 皿としておる学校に行くわけですね。第2看護科なんて言っているのは大体それでござ います。  そういうこともあわせて考えないと、やさしいから、試験に通ったから、合格率がい いからということがオーケイという条件にはならないのではないか。その議論をしてお かないと情緒的議論に終わってしまうのではないか。あるいは全く実務的議論に終わっ てしまうのであって、体系・システムを考える議論にはならない、私はそういうふうに、 考えております。 (岩田部会長)  介護福祉士会の会長さんでいらっしゃる、石橋委員いかがでしょうか。 (石橋委員)  2通りの考え方があるわけですけれども、1つには、江草委員の方からおっしゃられ ましたように、対人援助の専門職としては当然ながら知識、技術も必要ですが、倫理性 とか人間性も非常に大きく作用してくると思います。そのときの18で仕事をするのと 20歳で卒業するという人生経験の1年、2年は非常に大きいのではないかと思ってお ります。したがって、少しでもより人生経験を積んでいただいてから介護の現場に出て いただくというのはより望ましい形ではないかということも思いますし、それからもう 一つ、介護福祉士教育というのは資格を取るまでだけではなくて、その資格を取ってか らも非常に重要なことでありトータルに捉える必要があります。それとキャリアパスの 仕組みも導入しながら、足りないところがあれば、資格を取ってから教育する方法もあ りますので、その辺のバランスをいかにとっていくかということが非常に大切かとは思 っております。  いずれにしても、これから多様なニーズに対応していくためには、より専門的な知識 とか技術、人間性・倫理性がこれからますます必要になってくると思いますので、でき るだけこの改正の方向性を早く取りまとめていただいて、より質の高い介護士の養成が できるようになっていただきたいということは思っております。 (岩田部会長)  そのほか、いかがでしょうか。どうぞ、中島委員。 (中島委員)  江草先生でもいいのですけど、ちょっとわからないので教えていただきたいのですが、 現行の制度では介護福祉士の質が担保されないということは、実際に現場でどういう問 題が、つまり質の低さゆえに、どんなサービスが行われていて、この大変の問題を来し ているとお考えなのか、具体的な例を教えていただきたいと思います。 (江草委員)  今、中島委員のお話の中身が、私はちょっと理解しにくいのですけれども、介護のサ ービスの満足が担保されてないということは私は考えておりません。それ相当の満足は していただいておると。それを求めて教育をやっているわけですから、しかしより高い ものを求めるということは、それとは別の次元の話ですね。例えば、今から18年前に この制度ができたときには、認知症はないことはなかったのですけど、今ほど重要なテ ーマではなかったわけですね。それが最近は急増しておると。これに対応するためには、 今までのカリキュラムでは不十分であると、そういう意味でございます。 (中島委員)  そうすると国家試験の内容をそういう新しく追加された様々な症例とか知識、そうい うものを組み込む形でもう少し難しくしていくということで対応できるものなのでしょ うか。 (江草委員)  いや、当然1つの方法だと思います。しかし、それはシステマティックに教育を受け ていないと、ただ、それを通過しただけでいいのでしょうか。そうではないと思うんで すね。ちょっと言葉は不適切かもしれませんが、事例、事例に応じて対応する能力は、 組織的系統的な教育を受けてないと難しいのではないでしょうか。もし、それがなかっ たならば,大学教育も存在の意味がないんですね。例えば実学であろうとも組織的に教 育を受けなければ、その実学は単なる部分的な知識でしかないわけです。それではだめ だと。  そして将来展望を考えますと、ある年齢のときに組織的に教育を受けていく者のみが、 応用的な発展的な対応ができる人になれるのではないでしょうか。それがもしなかった らならば、指定養成施設とは一体何かという議論になってしまう。しかし、今、先生が おっしゃるように、時々刻々と変わっておるわけですから、その対応について、国家試 験の、今までは実は国家試験の中身はどうのこうのという議論は、この制度の見直しの とき議論はないんですけれども、当然私はしなければいけない議論だと思っております。 (岩田部会長)  専門職の資格制度としてどう考えるかという問題と、人材を確保していく。あるいは 利用者への満足度を向上させていくといういくつかの課題が混在しているのだろうと思 いますけれども、専門職の資格の議論が1つの中心になりますので、専門職として見た ときに、どういうレベルあるいはどういうルートで考えたら一番いいかというのがどう しても1つの中心にならざるを得ないだろうと思います。先ほどのご説明にもありまし たように、実際働いている人の中での資格者の割合もまだ大変低いわけですね。ですか らそのことも踏まえながら、また、介護というのはもともと家族の中で担ってきたもの ですが、それを専門的な仕事として報酬を得てやっていこうということになりますので、 こういう資格ができたのだと思いますけれども、それをどういうふうに、今回どこのレ ベルでレベルアップを図るという大変難しい問題になると思いますが、きょうは第1回 目の議論ですので、2通りのといいますか、人材を確保していくという側面と質を向上 していく側面をどう調和させていくかという大変難しい課題があることを認識したとい うところにとどめたいと思いますが、よろしゅうございますか。 (森委員)  実は、事務局にお聞きしたいのですが、これだけ国家試験を含めて登録していらっし ゃる方、しかし、それが実際に現場でこれだけの仕事についていらっしゃる方が少ない と、こういうことをどのように分析しておられるかどうか。例えば、先ほど江草先生が おっしゃいましたように、より高い質の人材育成をこれからやっていくことが、ある面 では将来的なキャリアパスを含めて大事なことであると、私はその点についてはよく理 解しておりますけれども、しかし、これだけ国家資格、昭和62年に制度ができてもう 18回ぐらい試験をやっていて、それが現場として、それがある面では実際についてな い。この辺の把握は何か資料的なこと含めて、あるいは分析したことが何かおありにな るかどうか、お聞かせ願えればありがたいと思います。 (中村社会・援護局長)  ご質問ありがとうございました。いくつか今までの議論にもご参考までにお話しをさ せていただきたいと思います。せっかくですから、配布されております1月から開かれ た検討の会報告書で、どのレベルの資格にするのかについて検討していただきましたの で、11ページをお開きいただきたいと存じます。  今度の見直しを行う際に、介護福祉士について、国家資格としてはどの辺を目指すの だろうかということを改めてご議論いただきまして、11ページの「資格制度のあり方」 の中の「1 基本的な考え方」ですが、「国家資格としての『介護福祉士』は、介護を 必要とする幅広い利用者に対する基本的な介護を提供できる能力を有する資格として位 置付けることが適当である。」 「このような位置付けのもと、介護ニーズの変化に対 応し、今後求められる介護福祉士像も踏まえ資格取得方法等の制度のあり方を見直すべ きである。」とまとめられています。  したがって、介護福祉士の国家資格は、「基礎的能力を有するものと位置付けられる ことから、資格取得後の介護福祉士は、生涯を通じて自己研鑽を行うことが求められ る。」また、「このため、生涯を通じた能力開発を可能にし」これは例えば事業者さん の責務にもなるわけですし、「研修体系を整備する」これは行政の仕事にもなるわけで すし、それから、先ほど江草先生からもご指摘ございましたが、「国家資格とは別に」 例えば職能団体、養成施設協会の皆さん方の共同作業になるかもしれませんが、「認知 症、障害等の特性を踏まえた専門的対応ができるような」上位の「専門資格を導入する ことが適当」ではないか、とされております。  また、11〜23ページまではどうやって介護福祉士をつくっていくかということを論 じているわけですが、24ページでは、「資格取得後の生涯を通じた能力開発とキャリ アアップ」ということで、国家資格はいわば基礎的なものであり、(即戦力が望ましい のですけれども、どんな資格でも一定の修養が必要なので、)その後、就業する中で組 織的にキャリアアップを図っていくということで、現任研修24ページ、25ページの専 門介護福祉士などについて論じた後、そうやって努力して、能力を高め、また実践を積 んだ人たちが責任のある地位につけるようにすることが必要であるということで、施設 長や生活指導員といったような、職場でのポスト、任用資格の方にもつなげていったら どうかというのが大体報告書の骨子になっております。  森委員のご質問の五十数万人国家資格を取っているのだけれども実際の就業状況如何 ということですが、これは次回また資料をあるものについては提出させていただきたい と思いますが、かなり資格取得されていて、今現に介護職についていらっしゃらない介 護福祉士さんもいる。これはまたこの部会に審議をお願いしております人材確保の方の テーマにもつながると思います。なぜそんなに介護職につかないのか、あるいはついて も離職率が高いという問題もあります。どうしてやめていくのか、そこはどういう問題 があるのか、それを解決するにはどうしたらいいのか、逆に介護福祉士会の調査では、 離職された方の、あるいは今職についてない介護福祉士さんのかなりの方が、戻りたい とか、介護の職につきたいというご意向は持っている。それを実際実現するにはどうし たらよいのかというのは、もう一つ別の政策課題だと思いますので、その辺については また資料を提出させていただきたいと思います。我々としても問題意識は持っています。 (岩田部会長)  よろしいでしょうか。それでは、また、次回この議論は継続しますので、きょうはも う一つの議題であります社会福祉士のあり方の方に移りたいと思います。これもまず事 務局からご説明をお願いしまして、その後、村尾委員と白澤委員からご意見をいただき たいと思います。  それでは、まず事務局からお願いします。 (潮谷社会福祉専門官)  それではお配りしてあります資料2に沿って社会福祉士制度の見直しとして、その現 状について、この表紙にございます5つの点についてご説明させていただきます。  おめくりいただき1ページ目でございますが、社会福祉士制度の概要と現状について ご説明させていただきます。  おめくりいただきまして2ページ目でございます。社会福祉士制度の導入の趣旨とい うことで、昭和62年の社会福祉士及び介護福祉士法案の提案理由説明と、社会福祉士 の法律上の定義についてお示しさせていただいております。資料にございますように、 社会福祉士とは、「社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上 若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障があ る者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業とする者」と 定義されており、介護福祉士同様、名称独占の資格でございます。  資料をおめくりいただき、3ページ目でございますが、資料の下段の方に参考として お示ししてあります「国際ソーシャルワーカー連盟によるソーシャルワークの定義と社 会福祉士の実際との関係から、社会福祉士は国際的な意味においてもソーシャルワーク を担う者である」というような指摘もなされているところでございます。  おめくりいただき、4ページは、社会福祉士の資格取得者の状況でございます。社会 福祉士の登録者数は制度導入以降年々増加しており、平成18年7月末現在8万2,799 人となっているところでございます。  5ページ目については、参考資料として、社会福祉士の概要について端的にまとめた ものをお示しさせていただいておりますので、ご参考いただきたいと思います。  6ページ目でございますが、社会福祉士の任用・活用の現状ということでご説明させ ていただきます。  7ページ目でございますが、まず社会福祉士の就労状況として、日本社会福祉士会の 会員のみを対象とした調査結果を見てみますと、お示ししておりますように、社会福祉 施設や社会福祉協議会で就労している会員の方が圧倒的に多く、全体の半数以上を占め ているという状況でございます。  次のページをお願いいたします。次に介護保険事業において生活相談員等として従事 している社会福祉士の状況を見てみますと、資料にお示ししておりますように、入所系 の施設の生活相談員等のうち社会福祉士の資格を有する者は約28%、通所系では約15% という状況になっております。  次のページをお願いします。9〜11ページにかけては、介護保険事業を除く社会福 祉施設における生活相談員として従事している社会福祉士の状況でございます。お示し ておりますように、生活相談員等の社会福祉士の資格所持率が10%以下の施設も少な くなく、社会福祉施設等における生活相談員等の社会福祉士資格所持率は概して低い状 況となっております。  12ページまでおめくりください。次に福祉事務所の職員について見てみますと、資 料にお示ししてありますように、福祉事務所職員の社会福祉士の所持率は極めて低い状 況になっております。  おめくりください。13ページは、社会福祉士の任用に係る現行法令上の規定でござ いますが、お示ししておりますように、社会福祉士は、児童相談所の所長や児童福祉司、 地域包括支援センターの職員の要件として法令上規定されていますが、社会福祉士は、 社会福祉法に定める社会福祉主事の任用要件として規定されている者と同等以上の者と して位置づけられているため、施設長や生活相談員等の任用要件に社会福祉主事の要件 が準用されている場合には、特に「社会福祉士」と定めなくても、これらの職種に社会 福祉士を配置することができることとなっております。  また、見てきたように、これらの職種における社会福祉士資格所持率は概して低いと いうのが実情になっております。  また、このことと関連して、資料下段にお示ししておりますように、本年7月に出さ れた介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会報告書におい て、福祉の現場に従事している介護福祉士や社会福祉士のキャリアパスを念頭に置いた 施設長等の任用要件の見直しについての指摘もなされているところです。  おめくりいただき、14ページですが、社会福祉士資格取得方法の現状ということで ございます。  おめくりいただき、15ページでございますが、資料にお示ししてありますように、 社会福祉士の資格取得方法には、全部で11のルートがございますが、これらのルート を大別いたしますと、左から福祉系大学等において、厚生労働大臣が指定します12科 目を修めて卒業することで受験資格を得る福祉系大学等ルート、児童福祉司や身体障害 者福祉士として5年以上の経験を持って受験資格を得る行政職ルート、福祉系の大学等 において厚生労働大臣が指定する6科目を修めて卒業した後、厚生労働大臣が指定する 短期養成施設において6カ月以上社会福祉士として必要な知識や技能を取得することで 受験資格を得る短期養成施設ルート。一般の大学等を卒業した後、厚生労働大臣が指定 する一般養成施設において1年以上社会福祉士として必要な知識や技能を修得すること で受験資格を得る一般養成施設ルートの4つのルートに分けることができます。  それぞれのルートについては、後ほど説明させていただきたいと思いますが、社会福 祉士資格を取得するためには、いずれのルートを経ようとも必ず国家試験を受験し合格 することが必須の条件となっております。  なお、各養成施設及び大学等の数については、この資料の中にもお示ししております のでご参考いただけたらと思います。  おめくりいただきまして16ページでございますが、4つのルートの現状についてお 示ししております。まず福祉系大学等ルートでは、指定科目の内容及び時間数について は、社会福祉士及び介護福祉士法令上の定めがないため、各大学等の裁量に委ねている というのが現状となっております。  次に一般養成施設ルートの現状として、一般養成施設が法令に基づいて厚生労働大臣 の指定を受けた養成施設であるため、教育内容等については法令に基づく基準を遵守す ることが求められていること。また、通信課程における実習等の授業時間が、昼間・夜 間課程の2分の1となっていることなどを挙げることができます。  次に短期養成施設ルートの現状として、一般養成施設と同様に、教育内容等について は、法令に基づく基準を遵守することが求められていること。制度設立以来、1校1課 程しか設置されていないことなどを挙げることができます。  最後に行政職ルートの現状として、4つのルートの中で唯一、指定科目の履修や養成 課程を経ることなく、行政機関での実務経験のみをもって受験資格を取得することがで きるルートであるということを挙げたいと思います。  おめくりいただき、17ページでございますが、参考資料として、社会福祉士養成施 設の状況についてまとめたものをお示しさせていただいておりますので、ご参考いただ きたいと思います。  18ページでございますが、過去18回の国家試験の状況についてお示しさせていただ いております。時間の関係上、受験者数や合格者数等の細かい数値等については割愛さ せていただきますが、一番右端の下段にお示ししておりますように、過去18回の国家 試験の受験者総数は約30万人、合格者総数は約8万 5,000人、平均合格率は28.6%とな っております。また、一番下にお示ししておりますが、ルート別に平均合格率を見てみ ますと、大学等ルートが23.8%、行政職ルートが46.1%、一般養成施設ルートが42.8% という状況となっております。 次に社会福祉士養成課程の現状についてでございます。 おめくりいただき、20ページでございますが、ここでは社会福祉士養成施設養成課 程(カリキュラム)と社会福祉士試験、受験資格取得に必要な指定科目及び社会福祉士 試験科目比較表をお示しさせていただいています。一番左端が一般養成施設ルートにお けるカリキュラムとなっております。なお、アンダーラインがつけられている科目につ いては、短期養成施設ルートにおけるカリキュラムとなっております。また、括弧書き で指定科目となっておるところが大学等ルートにおいて受験資格を得るために必要とな る厚生労働大臣が指定する科目でございます。次に括弧書きで基礎科目となっていると ころが短期養成施設に入るために大学等において履修しておく必要がある科目でござい ます。また、右端が国家試験における試験科目でございます。  資料からも明らかなように、社会福祉援助技術演習、社会福祉援助技術現場実習、社 会福祉援助技術現場実習指導の3科目については、社会福祉の援助技術を実習や演習等 の授業によって直接経験するという科目となっていることから、国家試験の科目とはな っていないのが現状となっております。  おめくりいただき、21ページでございますが、試験科目となっていない社会福祉援 助技術現場実習等の現状についてお示しさせていただいております。一般養成施設や短 期養成施設では、厚生労働大臣が定める施設や機関等における 180時間の実習を実習 指導者の下に行うなど、資料にお示ししてあるような事項をそれぞれの科目において実 施することが法令通知上求められております。しかし福祉系大学等については、これら のことが法令上適用されていないということが現状となっております。 22ページでございますが、厚生労働大臣が指定する実習施設の範囲を具体的に示し させていただいております。 おめくりいただき、23ページでございますが、社会福祉施設等において実習指導を 行う者の要件について具体的にお示しさせていただいています。 24ページでございますけれども、最後に社会福祉士を取り巻く状況についてご説明 させていただきます。 25ページでございますが、資料にお示ししておりますように、少子高齢化が進行す る中で、増大化、複雑化する国民の福祉需要に対応するために社会福祉の分野では、社 会福祉士制度が設立された1980年代から今日までの間に様々な制度改革が行われてお り、社会福祉士を取り巻く状況は大きな変化を遂げているところです。 26ページでございますが、社会福祉の実施体制の変化についてご説明させていただ きます。資料にお示ししておりますように、社会福祉の実施体制は、社会福祉士制度が 創立されたころの低所得者を対象とする措置制度による入所型のサービス提供体系から、 平成2年のいわゆる福祉関係8法の改正やゴールドプランの策定実施、平成12年施行 の介護保険法や平成15年施行の支援費制度の導入によりまして、福祉サービスの利用者 の選択と自己決定に基づいて行われる事業者と利用者との対等な契約関係を基調とする 利用者本位の社会福祉への大きな転換が図られたところです。そして現在では社会福祉 の対象は低所得者に限定したものから広く福祉サービスを必要とする者へと普遍化し、 福祉サービスを利用する者の自立と尊厳を重視したサービスの提供が求められるように なっているところでこざいます。  おめくりいただきまして、27ページでございます。また、介護保険分野におけるケ アマネジメントの導入であったり、地域包括支援センターの設置をはじめ、また、障害 者福祉分野における相談支援事業の制度化など、さらに、生活保護分野では自立支援プ ログラムが導入されたり、就労支援が重視されるなど、相談支援システムそのものも大 きく変化してきております。  また、措置から契約への移行に伴って、苦情解決や第三者評価等が重視され、その仕 組みが導入されたり、権利擁護活動や成年後見活動が行われるようになるなどサービス の利用支援と権利擁護ということも重要になってきております。  おめくりいただきまして、28ページでございます。また資料にお示ししております ように、社会福祉経営の分野においても変化が起きてきています。また、社会福祉士施 設や事業所の職員としてではなく、地域住民の福祉に関する相談を行う事業所を開設し、 介護支援専門員や成年後見人として地域を基盤に活動する独立型社会福祉士が登場する など、社会福祉士を取り巻く状況は、社会福祉士制度設立時から今日までの間に非常に 大きく変化してきているところです。  以上で、社会福祉士制度の現状についての説明を終わらせていただきます。 (岩田部会長)  ありがとうございました。続きまして、まず村尾委員の方からご意見をちょうだいし たいと思います。日本社会福祉士会の会長でいらっしゃいます。 (村尾委員)  村尾でございます。お手元に2枚の資料がございますが、ご説明いたします。  社会福祉士の国家試験を受かった人の受け皿としての役割を担ってきているわけでご ざいます。現状の問題点ですが、会員は2万3,599 人で加入率は28%ですが、現在徐々 に入会率が高まっております。  運営体制は全国に支部がございまして、社団法人化を進めております。主要なところ はほぼ法人化できまして、早い時期に全都道府県の法人化が可能になることが期待され ております。  会員の活動は、本部・支部の活動委員会というネットワークを強化するという形で、 大勢の会員がそれぞれのところに参画をして展開してもらっています。それから、地域 包括支援センターが中心になっておりますけれども、地方分権を視野に置いて身近な活 動、こういうことを進めておりますし、ここの中で独立型の社会福祉の活動も急速に広 まっております。  次の社会福祉士会の活動目標で、活動目標をどこに置くかということですが、相談・ 援助業務ということで姿が見えないのではないかというご意見が随分ありますけれども、 今後は地域で暮らすための生活支援の仕組みづくり、コミュニティソーシャルワーカー としての活動をしていく。アウトリーチという言い方になりますが、そういう活動を主 体にしていきたいと思っております。  もう一つは、特定なニーズに対する取り組みが重要でして、虐待の問題、暴力、ハン セン、低所得者のホームレス、生活保護、そういう低所得者に見られる問題に取り組む 必要があると思っています。  社会福祉士のスキルアップといいますか、それをどこに目標を置けばいいかというこ とですが、まず実践的な支援のための知識、技術の習得ということですけれども、具体 的にはチームアプローチと言われておりますのが新しい課題ですけれども、ネットワー クだとかスーパービジョン、現場対応型の地域技術を目標にしたいと思っております。 それから職業倫理の習得、福祉サービスが措置から契約で市場原理の中に組み込まれて きておりますから、経済的な倫理も踏まえて、そういう職業倫理をしっかり習得してい く必要があると思っています。権利擁護の支援能力の向上ということで、情報開示もあ りますし、苦情対応、成年後見こういう事業がかなりウエイトが高くなっておりますの で、この辺の支援能力の向上が必要だと思っています。それから、事業運営管理能力の 向上ということで、地域福祉計画、事業開発、運営管理などの目標を充実させていく必 要があると思います。  社会福祉士会としてどういう支援機能をこれから高めていくかということですが、地 域包括支援センターへの支援策が重要なテーマになっておりますが、現在、全支部で非 会員も含めて実施中であります。研修会などの実施、情報提供、ネットワークづくりを やっております。それから、他団体との連携については、医療、福祉、保健団体はもち ろんですけれども、日弁連とは虐待対応チームということで、ほぼ全支部で取り組みを できるようなことを進めております。日本司法支援ネットワーク、ここにはネットワー クとして登録をしていて、10月からの実施でございます。リーガルサポート、司法書 士会とは定期的に連携が進んでおります。市町村の各種審査会、協議会、いろんなもの がありますが、そこに参画を積極的にするということで活動をしております。  それから、スキルアップのところは、どういう目標を立ててやっているかということ ですが、生涯研修ということですが、一般研修と専門研修で、一般は支部を中心にジェ ネリックのソーシャルワーカーを育てていく。本部では専門研修でスペシフィックソー シャルワーカーを育てていこうと、こういう目標を持っております。アセスメントとモ ニタリング、こういう手法、言語化・技術化・数値化できない、そういう実証的研究を しっかりやっていくということです。  2ページ目ですが、今後の課題としては、社会福祉主事の専門性、担当業務、これを もう一度しっかりと明確化していく必要があると思っています。  それから、社会福祉士養成における役割、専門職団体の役割は何かということですが、 教育の分野と職能団体、職域、この三者がそれぞれ役割を持って連携を進めることが重 要ですけれども、具体的には学校教育では理論と演習、福祉施設への実習がありますが、 社会福祉士会では生涯研修ということ、職域も入りますが、それぞれの役割分担、ここ をしっかりもう一度議論していくそれぞれの役割を改めて考えていく必要があるのでは ないかと思っております。  次は、最後、要望になりますけれども、社会福祉士が活動できる職域の拡大というこ とで、まず1つは、成年後見、虐待、ハンセン、滞日外国人、こういうものに取り組ん でおりますけれども、そこをしっかり職域としてちゃんと位置づけができないか。  それから、生活保護を受けている人、要保護者も含めて地域支援プログラム、ホーム レスの地域生活移行事業が進んでおりますし、多重債務者については、権利擁護や成年 後見等にも必ずついて回ることですから、こういう者への対応をしっかりやっていく必 要があると思っております。  もう一つの要望としては配置基準を明記をして採用の拡大をお願いしたいということ で、社会福祉主事制度というのが定着しておりますけど、これを段階的に廃止するよう な方向で検討していただきたい。実行はなかなか課題が多いと思いますが、そういうお 願いを申し上げたいと思います。  具体的には行政職としての社会福祉士の採用ということで、社会福祉士にかわって配 置を位置づけるということで、それに対する国の何らかの誘導策を検討していただけれ ばと思っております。  もう一つは、社会福祉施設における社会福祉士の採用ということで、指導員等という ことで、これは幅広く考えていただきたいのですけれども、任用資格を社会福祉士資格 保有者としていただく。また、報酬等を加算というようなもの、社会福祉士専門職を配 置することによって収益につながると、こういうことを取り入れていただきたいと思っ ています。  それから、最後に資料はございませんけど、口頭でもう一件、追加させていただきた いと思いますが、大学や専門学校で社会福祉の受験を目指す学生を教えている教師につ いてですが、担当科目によりますけれども、社会福祉士の国家資格を持ち、かつ現場で の経験を有する方を教師にすることについてご検討いただきたいと思っています。この お願いは明確な根拠に基づくものではございませんけれども、受験学生や福祉現場など の方々の大変強い要望としてございますので、ご理解をいただきたいと思います。この 課題についても、本部会での検討課題の1つに加えていただければ幸いでございます。 どうぞよろしくお願いいたします。  以上でございます。ありがとうございました。 (岩田部会長)  ありがとうございました。それでは続きまして、社会福祉士の養成校協会の会長でい らっしゃいます白澤委員からお願いします。 (白澤委員)  ただいまご紹介いただきました白澤でございますが、社会福祉士養成校協会は、大学、 一般養成施設、専修学校を合わせまして、現在 256校が会員校でございます。介護福 祉士と違いまして、我々社会福祉士の方は社養協を中心として、利用者の福祉をどう実 現するのか、そういう利用者本位の立場から、もう一度社会福祉士制度を抜本的に見直 してみたいということで、きょうは意見を申し上げさせていただきたいと思います。 これまでの経過ですが、資料を見ていただきますと、非常にタイトな資料を用意させ ていただきましたが、3枚のレジュメでご説明させていただきます。後ろについており ます参考資料1は、社会福祉士制度に関する意見交換で既に局長には申し上げたことで す。社会福祉士の養成のあり方と職域をどう拡大していくのかということを中心に書い たものです。  2つ目の参考資料2は、本協会の総会で議論のたたき台という条件づけではございま すが、承認されました今後の社会福祉士養成教育のあり方についての提案でございます。 既にこれも社会・援護局の方に提出させていただいております。この中では我々が社会 福祉士養成教育をどうするのかということを根本的に見直す内容になっております。  レジュメの2ですが、社会福祉士制度改革についての基本的な考え方ということです が、先ほど事務局から社会福祉士とはどういう仕事かという話がございました。なかな か相談支援というのは見えないということですが、簡単にいえば、ケアマネージャーが やるような調整機能、コーディネーション機能に合わせて、自分で自分の問題を解決し ていく、そういう自己開発を利用者が支援する。さらには権利擁護であるとか、社会資 源を新たにつくり上げていく、そういう役割を果たすのが社会福祉士の仕事です。これ について現状ではニートであるとか、ホームレスの問題、生活保護、高齢者、障害者の 問題を考えますと、社会福祉士という業務は大変重要かつ緊急に養成が求められている と認識しているわけであります。しかしながら、社会福祉制度創設から20年近くたつ わけですが、必ずしも十分な発展をしてこなかった、こういうふうに思っています。  そういう中で、2点私たちは今回お願いをしたいということで意見を申し上げたいわ けですが、1点目が社会福祉士養成教育において実践能力を有した優秀な人材を育成し ていくことです。具体的にはカリキュラムや実習、演習のあり方、実習時間を含めた実 践能力を高める教育体系の確立が非常に大事だと考えています。その抜本的な見直しを していただきたい。  2点目は、社会福祉士専門職の業務が、先ほどの事務局の説明でもございましたが、 社会福祉士主事が中心になってきている。それを社会福祉士へと移行することで、社会 福祉士の職域拡大を進めて、同時に労働条件や労働環境を充実する中で社会福祉士の社 会的地位の向上を図っていただきたいというのが2点目です。  それで、具体的な中身ですが、1つ目は、社会福祉士養成教育の改革についてですが、 具体的な内容は、資料2に詳しく書かれている内容でございます。1つはカリキュラム の抜本的な見直しをしていただきたい。すなわち実践能力が得られるカリキュラムに改 正をする。そして様々な職域で求められている能力が身につくということです。  具体的に申し上げますと、資料2の中の34ページぐらいから具体的な3つのカリキュ ラムの提案をさせていただいております。こういうことをベースにお考えいただきたい ということです。   2点目が、社会福祉士実習・演習の充実ということで、座学を超えてそれを具体的 な実習や演習に結びつけた教育体系、養成教育を行っていくということです。具体的に は何点かございますが、1つは実習時間を現行の180時間から360時間を今回の到達目標 にして、大幅な増加を図っていくこと。 2つは、演習や実習担当教員の研修体制を確立して、一定の研修を修了した者を養成 課程担当教員の要件とする仕組みが必要。これについては本協会がブロック別研修をす ることも可能だと思っています。  3つ目ですが、実習機関の確保、これについては経協や老施協にも大変お世話になっ ているわけですが、実習指導者の養成を拡充する。あるいは実習を受け入れ、適切な実 習指導を積極的に行っている機関や施設に対して、社会的評価を高まる配慮をしていた だきたいというのがお願いでございます。  同時にここには書いてございませんが、社会福祉士が適切に活用しているNPOであ るとか、独立型の社会福祉士、あるいは民間企業、そういう社会福祉士がきちんとやっ ているところでの実習もぜひご検討いただきたいと思っております。  4つ目ですが、実習指導については、実習生・実習指導者・実習指導担当教員の三者 が、当該実習生の状況や課題・成果を協議して、適切なスーパービジョンが行われる体 制をつくっていく。こういうように大学の中の実習や演習を充実すること。  3点目は、先ほど事務局からの説明もございましたが、大学、一般養成施設、通信教 育機関でのバランスのある社会福祉士の養成をお願いしたい。  大学については、独自性を生かしながらも、特色ある社会福祉士教育の中で社会福祉 士の養成教育を行っていくべきですが、現状では大学間の格差も大きいということで、 社会福祉士養成教育については一定の教育水準を確保する方策が必要だと考えています。 通信課程については、授業時間数が大変少ない。授業形態では演習技術や現場実習が、 印刷授業にはなじまない側面もあるのではないかということで、もう一度、三者でのバ ランスのある社会福祉士の養成教育をお願いしたいと思っております。  これは我々養成校としての責任も大変大きいということを申し上げているわけですが、 同時にそういう中で見える、国民に役に立つ社会福祉士をつくっていく中で、2番目で すが、社会福祉士の職域拡大と労働条件や労働環境の充実をお願いしたい。先ほども申 しましたように、社会福祉主事が、制度的には現在も社会福祉業務の中心を担っている という中で、社会福祉士の職域を広げることにより、国民の自立の支援に私たちがかか われるような体制をつくっていただきたい。  具体的には、福祉事務所での生活保護業務ということでございます。そういう中で、 被保護者の自立支援の促進を図っていきたい。2つ目が、社会福祉施設での生活相談員 等ということで、単に施設での利用者のQOLを高めるだけでなく、地域生活へ戻って いく、そういう支援を生活相談員を中心として展開させていただきたい。3番目が障害 者の自立支援法の中にもございます相談支援事業所の中での自立支援。4番目が地方自 治体での児童の相談業務。これは今までの議論ですが、5番目は、もう一段、社会福祉 士の仕事を広く、ハローワーク等での就労支援専門職という形で、ニートや障害者、生 活保護、ホームレス等にかかわれる自立の支援ができる、そういう職域の拡大ができな いのか。さらには6番目ですが、社会福祉施設管理職の資格化に我々が社会福祉士の養 成がかかわれないか。現状では相談業務中心ですから、管理的・指導的・教育的・経営 的な能力を新たに追加的なカリキュラムを受講することで管理職議論をぜひご検討いた だければありがたいと思っています。7番目は、介護保険制度の中で、介護老人福祉施 設等での社会福祉士配置での介護報酬の加算していただき、利用者のQOLを高めてい こうということでございます。  追加して3点簡単にお願いしたいと思うのですが、1つは独立型の社会福祉士が一定 の収入が見込められるような仕組みを考えていただきたい。これは福祉人材確保等の関 係もあるかと思います。  2点目は、社会福祉協議会等での職員の専門職ということでインフォーマルな社会資 源をどう開発していくのか、さらに権利擁護にどうかかわっていくのかということで、 そのあたりの専門職制を検討していただければありがたい。  最後、3番目ですが、待遇の改善に絡みまして、我々の大学などでは、今は民間企業 の給与との格差は大変大きいわけです。そういう中で、せっかく社会福祉士になりなが ら民間企業に行く学生も随分おります。そういう意味では、私たち自身もそういう人た ちが福祉専門職に入っていける、そういうインセンティブを働かす、意欲を高めるとい う仕事は大変重要なのですが、システムとしてもそういう仕組みをぜひお考えいただき たい。  以上でございます。 (岩田部会長)  ありがとうございました。時間もあまりございませんけれども、2〜3ご質問なり、 ご意見をいただきたいと思いますが、京極委員、何か。 (京極部会長代理)  私、この社会福祉士、介護福祉士両方とも今から二十数年前に専門官のときにかかわ ったので、この約20年間の間の変化は大変なもので、潮谷専門官から社会福祉士につ いては話が出ましたけれども、前々からちょっと、村尾委員のご発言の最後にもござい ましたけど、社会福祉士としての援助技術や実習指導、これは実は保健・医療、福祉の 専門職の中ではちょっと異例でありまして、例えば医師なり看護師なり、必ず資格のあ る医師、看護師の下で技術や実習指導することになっているんですね。介護福祉士も初 期においてはもちろん存在していませんでしたので、看護師の方の援助を受けて技術の 取得とか実習指導されたという、実習の方は現場の方の力があったので看護師とは限り ませんけれども、だんだんと実習指導についても、援助技術についても看護師になった と。  社会福祉士だけは20年たっても必ずしも援助技術の演習とか、実習指導については そうなってないと。これはいろいろ事情があったのですけれども、これから非常に大事 であって、諸外国見てもソーシャルワークの資格を持ってない人が教えている例はあま りないんですね。大学は治外法権で養成施設ではないので、介護福祉士養成施設の場合 は大学も網がかかっているのですけど、大学は養成施設の範疇から外れていまして、し たがって、これは自由にやってよろしいということがあったために、ちょっと専門職養 成では異例な現象が20年間で起こったのではないか。  私は大学間の格差は、先ほど白澤委員からお話がありましたけれども、かなりあるの ではないかと思うんですが、実態がなかなかつかめないので、もし何かそういうことで、 非常に努力している例とそうでない例と、固有名詞出すのはちょっとまずいのですけれ ども、もしありましたら教えていただきたい。  それから学校連盟もございますので、養成施設協議会と同時に学校連盟の議論もある と思いますが、なかなか大学は、皆さんご案内のように教員がいろいろやっていますの で、外からやれと言われてもなかなか言うことを聞かないところがありますので、それ では本当にいい学生が育たないし、現場から本当に求められる就職対策にも響いてきま すので、何か大学間の格差で具体的なことがあれば教えていただきたいと思います。 (白澤委員)  それでは、私からお答えさせていただきますが、資料が今回ないということで、次回 何だったら整理をして提出させていただきたいと思いますが、先ほども事務局、京極先 生からもお話がございましたように、大学には網かけがないということになっています。 そういうことで必ずしも180時間という実習がやられていないところも少しあるだろう と思います。資料はございますので、次回提出をさせていただきます。あるいは教科に ついても、これは網がかかってないわけですから、制度的に問題があるわけではないの ですが、多様になっているという事実だろうと思います。次回提出をさせていただきた い。あるいは日本社会福祉教育連盟にも一度聞かせていただいて、資料があれば出させ ていただきます。 (岩田部会長)  社会福祉士の議論の方ですけれども、定義の問題があるのではないでしょうか、1つ は。今、カリキュラム、養成内容と職域拡大、その後のレベルアップと3つ出されてい ると思いますが、要するにこの社会福祉士の法律上の定義が当時の時代的な背景や制約 の中で、例えば身体上精神障害があるとか、環境上の理由により援助が必要な者への働 きかけということになっていますが、実際上は児童施設の生活指導員の方たちもこの資 格を持っていらっしゃる。かえってそっちの方が保有率が高かったりしていますね。そ れから、白澤委員の提出された1ページの社会福祉士とはという今日的解釈の方に少し 幅広く書かれていますけれども、こちらにしても、対象が個人という感じなのですけれ ども、実際上は村尾委員からも白澤委員からもご報告いただいたように、家族とか地域 社会に働きかける役割があるわけですね。だから、そもそも定義問題をきちんとしない と、カリキュラムにいかないような気がちょっとします。  介護福祉士の方は、逆にやることはかなりはっきりしているし、イメージがきちんと しているし、働く場もはっきりしているわけですが、社会福祉士の方は働きかけの対象 も働く場ももう少し広いし、そこをしばれないところに意味があるような仕事ですから、 何か定義をまずはっきりさせるというか、定義の改正が必要かどうかという議論が必要 なのではないかという気はちょっとします。  そのほか、ご意見どうぞ。 (森委員)  今の岩田部会長さんのお話から、私自身が思いますに、地域福祉論というものが、社 会福祉士のこれからにとってはすごく大きな、ある面ではそこを突き詰めていくと、社 会福祉士のありようそのもの、またトータルで福祉の人材のあり方が見えるのではない かと私なりに思いました。 (岩田部会長)  その時代の変化とか、社会福祉の考え方が、新たにこういうふうに変わったよという ご説明がさっきあったわけですけれども……。 (京極部会長代理)  介護のときもお話があったのですけど、20年間で変化があって、特に定義の問題で も、恐らく介護福祉士もどちらかというと、身体的なことにずっと例示もありますし、 こころのケアとか、そういう大きい問題があって、定義も若干変えなくてはいけないと 思うので、社会福祉士だけが定義の問題ではない。ただ、社会福祉士は抽象的なきらい があるような、私の責任の一端あったのですけれども、この20年間で社会福祉士が本 来担うべき課題は具体的に列挙して、介護の方は見えやすいのですけど、社会福祉士の 方は見えにくいので、今、地域福祉の話も出ましたけれども、20年でどういう変化が 起きたのか、それに対する社会福祉士の業務というか、知識と技術というのは何なのか、 ちょっと整理すると。これはカリキュラムの問題にいきなりいかなくても、ちょっとイ メージが出てくるのではないかと思います。 (駒村委員)  村尾委員の資料の中で、私が行間の意味が読み取れていないのかどうなのかわからな いのですけれども、福祉事務所が能力的に非常に問題がありそうな感じで、社会福祉士 の資格を持っている方も非常に少ないので、能力が落ちているのではないかと心配をし ているのですけれども、白澤委員の資料2ページ目の3.(2)では資格の議論が行われて いて、村尾委員の方も2ページのIVの2で同じく資格の話が出ているのですけれども、 行間の意味がうまく理解できなかったので、もし補足していただければありがたいので すけれども、1の職域拡大で生活保護の要保護者の対応というのは、これは白澤委員の (2)の職域拡大や福祉主事を見直してこういう資格をはっきりと職員にもつけないという 意味で言っているのか、そうではなくて別の意味で出ているのか、意味として対応とい うのは一体どういう意味なのか、ご説明いただければと思うんですけれども。 (岩田部会長)  江草委員どうぞ、ご質問。 (江草委員)  今、介護福祉士の場合はよく見えておるがというお話がありましたが、確かにそのと おりなんですね。ところが見えておるものが表現、介護福祉士の業務ということが法律 に書いてある文章で非常に今広がっておる。広がっていることが、18年前の先生がお 書きになったころからあまり進化してないんですね。だから、これは考え方が進化する、 サービスの多様性が見えてくるようになった。これをよく理解してないとだめなのです けれども、前の時点と今の時点と関連しないで議論しますと、ものすごく拡散してしま うのではないか、こんなことを思うのですね。  したがって、私は今回は広い意味で見直しのいい時期だと思っております。京極先生、 いかがでしょうか。 (岩田部会長)  それでは、駒村委員のご質問に対して、村尾委員あるいは白澤委員どうぞ。 (村尾委員)  生活保護の要保護者、ホームレス、ここのところだと思いますけれども、ちょっと表 現はよくないのですが、生活保護の問題は、現に保護を受けている人とこれから受けよ うとするその以前の人の問題、これが大変大きな問題だと思います。それは自立支援プ ログラムというのを受ける前の段階で十分活用する。そこが社会福祉士の対応だろうと 思いますし、ホームレスは地域生活支援移行事業というのをやっておりますけれども、 そういう対応を職域としてやれるのではないか。 (駒村委員)  職域として。 (村尾委員)  ええ。それは現にやっている事例もありますから、定点にちゃんと事務所を構えて、 都庁の裏の中央公園では、東京の会員が常時毎日行っております。それは1つの職域と してできるのではないか、そういう意味でございます。 (白澤委員)  駒村委員のとおりなんですが、生活保護というのは、我々福祉事務所についても議論 しておりますが、一方でハローワーク等で、もう少し外部化した議論で自立支援を考え ていくべきと、こういうふうに考えています。 (岩田部会長)  多分、行政職との関係が1つ、例えば福祉事務所でも全部行政の内部でやっているわ けではなくて、業務委託みたいのがありますよね。そのときに社会福祉士会が受託した り、あるいはNPOや社会福祉法人が受託するときに社会福祉士がそこの業務に当たる というようなイメージと2つ多分あって、だから業務拡大の方は必ずしも行政職の中で 増やせというだけではないということですね。 (駒村委員)  そこはよく生活保護法の19条なんかに、委託禁止をしているようなところまでは含 まないで、別のところというような意味合いですか。 (岩田部会長)  そうですね。今のところ、今後は知りませんけれども。 (駒村委員)  わかりました。 (岩田部会長)  というような、まだ、きょうはただ話を伺ったということにすぎませんが、ちょっと 時間がございませんので、きょうの議論は以上にさせていただきたいと思います。基本 的な定義のところから、介護福祉士にしましても、江草委員がおっしゃったように、新 しいイメージできちんと確立した上で、内容について少し入っていった方がどうも生産 的なような感じもいたします。  それでは、報告事項の方をお願いいたします。 (矢崎総務課長)  それでは資料3ですが、社会局行政の状況と最近の動向についてご報告申し上げたい と思います。事項は、そこに書いてございますような19年度の概算要求等々です。  まず、1ページ目でございますが、概算要求関係です。厚生労働省の予算は、政府全 体の一般歳出のうち半分近くという非常に大きなボリュームを占める予算ですが、上段 ですが、19年度の要求額は厚生労働省全体で21.6兆という巨大な規模になってござい ます。中身ですが、年金とか医療に係る義務的経費が大宗を占めているところです。  2ページが、社会・援護局(社会分)の関係の予算ですが、要求額2兆 1,000億円と いうことでございまして、対前年度伸び率0.1 %です。 主な事項をご紹介したいと思いますが、まず生活保護の関係で、2兆円余の要求です が、これは直近の保護費の伸び、鈍化傾向にございますが、そういったことも踏まえて 必要な予算額を計上しているということです。  そこの1の(1)に、また後ほどご説明しますが、いわゆる骨太方針の中で、年末ま での予算編成過程でいくつか検討する事項も示されています。  2番目でございますが、セーフティネットの関係でございまして、これも150億円か ら50億円増の200億円の要求をしているところでございます。これは生活保護の適正運 営ということで、長期生活支援資金の創設いわゆるリバースモーゲージの観点からの取 組み、それから、先ほど来、お話が出ていますが、自立支援プログラムの着実な推進等 です。 3ページですが、ハローワーク等との連携、こういったものにも取り組んでいくとい うことでございます。  IIですが、地域福祉の推進という観点でございまして、より地域福祉を進めるという 観点から、先駆的・試行的事業に対します補助金、民間団体10/10といった新しい特 別支援事業を創設する、あるいは「日常生活自立支援事業」ですが、権利擁護事業を再 編して取り組むといった要求をしておるところでございます。  IIIですが、社会福祉施設整備に対する支援ということで、三位一体の関係で、主とし て障害者の関連施設、保護関連施設が社会局予算に計上されておりますけれども、必要 額を計上しているところでございます。  4ページでございますが、施設整備に関しまして、福祉施設に対する政策的融資とい うものを独立行政法人福祉医療機構というところで行っております。これにつきまして も、必要な融資枠の確保をお願いしているところでございます。イの貸付条件の改善等 ということがございますが、先般の国会で成立した医療制度改革法等により療養病床の 転換といった事項も医療政策として進められることになっておりますので、こういった ものの円滑化措置の事項要求もしているところでございます。  IVでございますが、福祉に携わる人材の資質の向上等、まさに今日ご議論いただいた 点とも関係するわけですが、まず1番目で、介護福祉士の関係の実習内容の高度化モデ ル事業でございます。これもご説明申し上げましたように、実習の内容をより密度を濃 くしていくという観点からモデル的なところを選定して研究・検討に着手したいという ことです。  そのほか、福祉人材のキャリアアップ事業の創設で5ページですが、5番目の福祉人 材確保推進事業ということで、これも先ほど議論ございましたが、介護福祉士の資格を 持っておりましても、働いておられない方、こういった潜在マンパワーの掘り起こし、 あるいはハローワークと連携、こういったものにも取り組んでいきたいと考えていると ころです。  それから、6ページは、V、ホームレス関係ですが、これもホームレスの自立支援の ため、引き続き事業を推進していきたいということです。  続きまして、7ページから生活保護制度の関係のご報告です。おめくりいただき8ペ ージですが、三位一体で補助率をめぐり、自治体との間での議論が昨年行われたわけで すが、結果的に昨年の12月、厚生労働大臣、全国知事会、市長会、内閣官房長官で話 し合いが持たれまして、生活保護の適正化への取組みを速やかに実施していこうという ことが確認されたところです。  これを受けまして9ページですが、そこにございますように、各地方自治体におきま す取組みの状況、こういうものも参考とさせていただき、適正に運営するための手引と いったものを3月に作り、各自治体の方にも連携をお願いしているところです。何点か ございますが、例えば左下、年金担保融資と生活保護の関係、これも自治体からのお話 多々あった点でございますが、こういったものも一定の整理をしています。  10ページですが、先ほど予算のところでも若干ご報告しましたが、いわゆる骨太の 2006ということで、本年7月に方針が決定されたものでございます。この中で生活保 護については、いくつか下に事項が列記されてありますが、「早急に見直しに着手し、 可能な限り2007年度に間に合わないものについても2008年度には確実に実施する」と いうことで、扶助基準の見直し、母子加算、級地の見直し、先ほどもご紹介したリバー スモーゲージの活用、こういったものが列記されています。  11ページですが、ホームレスの関係でございます。ホームレスの関係については、 平成14年に、ホームレスの自立の支援などに関する特別措置法が制定され、基本指針 等がつくられて対策が講じられてきています。この中で、施行後5年後に見直すという 旨の規定がございまして、そのために全国調査に取り組もうということでございます。  具体的には19年1月に調査を行うということで、現在そのための検討会を開いてい るところです。今秋までに調査事項について取りまとめて、19年1月に実施し、19 年春にまたその結果の分析等をお願いしていくということです。  14ページに飛ばさせていただきます。生協制度の見直し検討会の設置についてです。 生協法も昭和23年に制定されたわけですが、この間、いろんな世の中の動き等に応じ、 制度改正の検討に着手しました。何点かございますが、そこに記してございますが、共 済事業に関しては、契約者保護等の観点から、類似の協同組合法である農協法や中小企 業等協同組合法が改正されていますが、こういうものも踏まえた見直しを行う、あるい は経営責任体制の強化、そういったものについてご議論をお願いしているところです。  4のスケジュールですが、年内をめどに結論をこの検討会に出していただきまして、 成案が得られますれば、次期通常国会に改正法案をお願いしていきたいと考えていると ころでございます。  16ページでございます。社会福祉法人経営の現状と課題というものですが、これは 全国社会福祉施設経営者協議会と私ども社会・援護局のメンバーで自由な意見交換をし た研究を行っておりまして、その研究会の報告でございます。報告書自体はお手元にお 配りしておりますので、また後ほどご覧いただきたいと思います。内容は多岐にわたっ ておりますが、今までの施設経営が施設管理中心で、法人という視点が抜けていたので はないか、あるいは事業規模も小さいのではないか、画一的サービスだったのでないか、 こういった問題意識があります。この問題意識の下、今後規模の拡大、多角的な経営を 行えるような方途を考えていく、あるいは長期資金の調達方法の多様化を考える、さら にガバナンスの確立、経営能力の向上、さらに今回の審議会とのご議論とも関連いたし ますが、人材育成と確保、介護福祉士の資格をはじめとして、質の向上に取り組む必要 がある、こういった内容になってございます。副題にございますように、基礎作業とい う位置づけでございまして、今後検討をさらに進め、必要な対応も図っていきたいと考 えているところです。  最後、資料はご用意してございませんが、もう一点、ご報告事項として、日本とフィ リピン間の経済連携協定のお話しをさせていただきたいと思います。これも先週新聞等 に載ってございましたが、日・比間での経済連携協定(EPA)と言われるものです。 これは平成16年11月に両国首脳間で大筋合意がなされ、EPA自体は多様な分野で の取組みで、これは協定、条約になりますので、リーガルな面を含めて詰めが行われて きたものです。それが9月9日にヘルシンキで小泉総理とアロヨ大統領の間で署名がな されたというものでございます。この中で人の移動ということで、介護福祉士・看護師 候補者の受入れ、一定の秩序立った枠の中での受入れをしていくとの内容の協定が署名 されました。  報道されておりますように、ボリューム感としては、当面2年間で介護福祉士 600 人、看護師 400人といったような受入れ上限の中で秩序立った受入れをやっていくと いうことでございます。当然ながら、これは条約ですので、署名後、それぞれ日本、フ ィリピン両国の国会での承認を経て発効されていくということになります。 以上、ご報告でございます。 (岩田部会長)  ありがとうございました。ご質問たくさんあると思いますが、今日はもう時間がござ いませんので、また、この報告についても、何かございましたら事務局にご連絡いただ くか、あるいは次回のこの会でご発言いただきたいと思います。よろしゅうございます か。  では、最後に次回の日程についてご案内いたしたいと思います。 (矢崎総務課長)  どうも本日はありがとうございました。次回の日程でございますが、10月25日(水 曜日)10時から予定されていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。 場所等につきましては、決まり次第、またご連絡申し上げたいと思います。 (岩田部会長)  どうもありがとうございました。  以上で本日の部会を終了いたします。次回、またよろしくお願いいたします。どうも ありがとうございました。 照会先:社会・援護局総務課総務係     03-5253-1111(内線2814)