06/09/20 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１８年９月２０日議事録


０６／０９／２０　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第８８回診療報酬基本問題小委員会議事録　	

(1)日時　　平成１８年９月２０日（水）９：５８～１１：１７
(2)場所　　厚生労働省専用第１８会議室
(3)出席者　土田武史委員長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　対馬忠明委員　小島茂委員　丸山誠委員　大内教正委員　松浦稔明委員　
         竹嶋康弘委員　鈴木満委員　石井暎禧委員　黒﨑紀正委員　山本信夫委員
         白石専門委員　田中分科会長　池上分科会長　福井分科会長　
　　　　　＜事務局＞
　　　　　水田保険局長　白石審議官　原医療課長　岩渕保険課長　唐澤総務課長　
          石原調査課長　武田経済課長　神田国保課長　他
         ○診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価分科会の平成１８
　　　　   年度調査について
         ○診療報酬調査専門組織・手術に係る施設基準等調査分科会の平成１８
　　　　   年度調査について
(5)議事内容
○土田小委員長　時間前ですが、皆さんおそろいになりましたので、始めさせていただき
たいと思いますが、よろしいですか。
　それでは、ただいまより、第８８回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会
を開催いたします。
　まず、委員の出欠状況について報告いたします。本日は、松浦委員の代理で矢野さんが
お見えになっております。
　なお、保険局長は公務のため途中退席される旨の連絡を受けております。
　それでは、議事に入らせていただきます。
　最初は、「診療報酬専門組織・慢性期入院医療の包括評価分科会の平成１８年度調査」
について議題としたいと思います。
　本日は、同分科会の池上直己分科会長に御出席いただいております。平成１８年度調査
研究（案）について御説明いただきまして、その後質疑応答を行うという形で進めてまい
りたいと思います。
　それでは、池上先生、お願いいたします。
○池上分科会長　おはようございます。分科会長の池上でございます。
　それでは早速、お手元の資料、中医協診－１をごらんいただけますでしょうか。「診療
報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価分科会の平成１８年度調査について」とい
うところでございます。そのまま箇条書きしてあるところを読み上げさせていただきます
と、
・　当分科会においては、中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会の付託を
受け、平成１６年度より慢性期入院医療に係る患者特性及びサービス提供等の実態を
調査し、患者分類案について検討を行ってきた。
・　当分科会の検討結果に基づき、平成１８年度診療報酬改定において、療養病棟入院
基本料等に医療の必要性による区分及びＡＤＬの状況による区分並びに認知機能障害
加算に基づく患者分類を用いた評価が導入されたところ。
・　中医協答申に際しては、「慢性期入院医療については、患者分類を用いた包括評価
の実施状況について、診療報酬調査専門組織を通じて客観的なデータを収集して検証
を行うこと。」との意見が附されたことから、平成１８年８月２４日、９月１３日に
分科会を開催し、別紙１のとおり平成１８年度の調査実施案を取りまとめたので、報
告する。
　分科会としては、８月２４日と９月１３日に会を開きまして、そして、今日御承認いた
だければ、調査の企画をさせていただきたいと考えております。
　ページをめくっていただきますと、別紙１、「平成１８年度慢性期入院医療の包括評価
に関する調査の実施について（案）」がございまして、ここに、時間の関係で主要なとこ
ろだけ読み上げますと、中ほど、
　平成１８年度の調査においては、新たに設定された患者分類手法について、以下の観
点から検証を行う。
　(1)　患者分類に基づく包括評価導入に伴う職員配置、患者構成、コストの変動
　(2)　医療区分の妥当性
　(3)　ＡＤＬ区分の妥当性
　(4)　認知症加算の妥当性
　(5)　患者分類に基づく包括評価導入前後の医療の質の変化
　(6)　医療療養病棟の役割
でございます。
　調査内容は、御質問があればお答えしますけれども、概要だけ申しますと、（１）の
「レセプト調査」、（２）は「職員配置の変動に関する調査」、特に、医師や看護職員等
の増減を行ったかどうかについて調査いたします。（３）、「患者構成の変動に関する調
査」、これは包括評価分類を導入した結果、どのような患者の移動があったか、それは新
規に入院された患者さんが包括評価の導入によってどのように変動したかということを中
心に調査する予定でございます。（４）は「患者特性調査」、これは横断面の調査であり
まして、続きますページをめくっていただく「タイムスタディ調査」と同様に、この２つ
をもってこの包括評価分類の妥当性について検証し、また新たな調査項目も若干加える予
定でございます。以下「コスト調査」は、この「患者特性調査」と「タイムスタディ」と
いうのは、いわゆる直接的な費用についての調査でございまして、患者当たり均等にかか
る部屋代や光熱費などがどの程度あるかということは、これより明らかにできませんので、
コスト調査を用いて医療機関の減価償却費などについても調査する予定でございます。こ
れは前回の調査と同様でございます。（７）の「その他」というのは、今後の病床転換の
予定、医療療養病棟の役割に係る意見、及び患者評価に係る書類作成に要する時間等につ
いて調査いたします。
　調査の進め方の案としまして、ページをめくっていただきますと、
（１）調査内容については、本分科会において審議の上、中医協診療報酬基本問題小委
員会の了承を得て、速やかに実施する。
（２）調査結果については、逐次公表を行いつつ、本年度末を目途に報告書を取りまと
める。
これは部分的にしかこれまで結果が報告されておりませんでしたので、これは報告書の形
でまとめるという意見が委員から出されまして、このような形で記載をさせていただきま
した。
　以上が調査の分科会としての案でございまして、御了承いただければ、速やかに調査の
企画をさせていただきたいと考えております。
　続きまして、お時間を許していただければ、別紙２、下のページで７からございまして、
これはこれまで２回の分科会が開催されて、９月１３日に開かれたこの２回目の分科会は、
その前に開かれておりました８月２４日に出された指摘事項に対する事務局からの回答で
ございまして、これについては分科会の中で特に強い御意見が出されましたので、報告さ
せていただいてよろしゅうございますでしょうか。
　それでは、下のページの７とありまして、別紙２となっております。「前回の分科会の
指摘事項に対する回答」、これは分科会の委員からの質問に対して事務局として用意して
いただいた回答文書でございます。
　「１　調査の目的は何か。また、本分科会の役割の範囲を明確にすべき。」であるとい
うことで、
・　調査は、(1)医療区分、ＡＤＬ区分、認知症加算の妥当性の検証、(2)職員配置、患者
構成、コスト、医療の質等の診療報酬改定後の変化等の検証を目的とする。
・　本分科会の役割は、調査を企画・立案するとともに、その結果を分析し、必要に応
じて区分の見直し等を検討するまでであり、その後の、診療報酬の設定の在り方等に
ついては中医協において検討する。
　それから、「２　医療区分ごとのコストに、どの程度の開きがあったのか、前回の調査
結果を開示してもらいたい。」。それについては、その下の４の「「区分の妥当性」は、
どのように検証するつもりか。」とあわせてお答えしたいと思いますので、「４「区分の
妥当性」は、どのように検証するつもりか。」ということとあわせて読み上げさせていた
だきますと、
・「区分の妥当性の検証」においては、９区分及び５区分の両区分について検証するこ
ととし、同一のグループに分類された患者について、臨床面、コスト面の同一性が確
保されているか否かを確認する。
この説明を補足いたしますと、分科会として出しました分類案は９区分でございましたけ
れども、それに対して中医協で決まりました実際の診療報酬点数がついたのは５区分であ
りました。したがって、このいずれの区分が妥当であるかということを含めて検証させて
いただくことでございます。
　その１ページ飛んで９ページ、別紙３をごらんいただければと思います。そこに「各区
分の費用等」とございます。このページの「患者数構成比」及び「患者１人１日当たりの
ケア時間」については既に報告させていただいております。これによると、医療区分１の
構成が半数強ということで、医療区分３が１割、そしてこのケア時間というのは、この各
区分に分類された患者の平均ケア時間がございまして、例えば医療区分３のＡＤＬ区分１
が１０５．９分、ＡＤＬ区分３が同じく１７６．４分というふうになっております。
　ここまでは提示されましたけれども、前回分科会の意見、要望に基づいて事務局が新た
に提示したのは、次の１０ページです。「患者１人１日当たり費用」でございます。ケア
時間との違いは何かといいますと、ケア時間というのは基本的に人件費の差でございます
けれども、この注のところに書いてございますが、これは人件費に薬剤費及び特定保険医
療材料費を加えたものでございます。ただし、薬剤費の中には、抗癌剤及び麻薬は除かれ
ているのは、これらについては出来高で請求できるというために除かれているわけでござ
います。それによりますと、医療区分１のＡＤＬ区分１の認知症加算がない場合には１日
当たり３，４８４円に対して医療区分３のＡＤＬ区分３では９，２７５円という値が出て
おります。ただし、これは直接費用でございまして、患者１人当たり均等にかかる間接費
用、部屋代及び光熱費、減価償却費などについては含まれていません。これらは均等にか
かりますので、この格差を縮小する傾向になると思います。
　このような９区分に対する費用の実態に対して実際につけられた点数は、「療養病棟入
院基本料２」についてございますように、医療区分３は一まとめ、医療区分２はＡＤＬ区
分１とそれ以上のところに線があって、医療区分１はＡＤＬ区分３がこのような点数とな
っています。
　この点数はともかく、点数についてはこの中医協で御議論、御検討いただくことでござ
いますけれども、改めて、この上にありますＡＤＬ、患者１人当たりの費用が分類導入後
もこのような傾向が踏襲されているかどうかについて調査をさせていただく予定でござい
ます。
　この患者１人当たりの費用については初めて分科会に出されまして、これは分科会の委
員から、ぜひこの基本問題小委員会で御報告するようにということを仰せつかってござい
ます。
　以上が、戻りまして、別紙２の７ページにあります２と４についてでございます。
　それ以外に、７ページの「３　医療区分１の位置づけを明確にしていただきたい。」と
いうことで、
・　医療区分は、慢性期入院評価分科会の調査結果に基づき、医療の必要性に応じて３
段階に区分したものであり、医療区分１は、相対的に医療の必要性が低い区分として
位置づけられたもの。
・　(1)医療区分１は相対的に医療の必要性が低い区分であり、約５割を占めていること
　(2)「慢性期入院医療実態調査」の結果により、療養病床において「医療的な状態は
安定しており、医師の指示はほとんど必要としない」患者が約５割占めていることが
明らかであることから、医療区分１の患者は「医療的な状態は安定しており、医師の
指示はほとんど必要としない」患者であると見なし得ると考えている。
という回答でございます。
　ページをめくっていただきまして、
５　退院可能であるのにもかかわらず、退院できない患者がどの程度いるか、また、ど
のような理由で退院できないのか、についても調査すべきではないか。
これは先ほど申しましたように、
　・　調査項目に追加する。併せて、退院できない患者が多数入院している療養病床の今
後の方向性についても調査する。
６　急性期医療からの患者の受け入れに変化があったかどうかについても、調査すべき
ではないか。
・　前回も直近２週間の新規入院患者の調査を実施しているので、今回も同様の調査を
実施することにより検証が可能である。
　７　ケア時間の変化については、慎重に分析していただきたい。
・　ケア時間の分析の際に十分配慮する。
　８　療養病床の現状を調査するだけでなく、今後の療養病床が持つべき機能についても
、現場の実践者からの意見を聴取する等により、調査していただきたい。
・　調査項目に追加する。
　９　今回の改定後、書類作成の負担が著しく増えているので、調査項目に加えていただ
きたい。
・　調査項目に追加する。
　以上、お時間をとって恐縮でございますけれども、この分科会での指摘事項に対する事
務局の回答を御説明申しました。今日は、これらを踏まえた別紙１にございます調査につ
いて御議論・御検討いただければ、そして御承認いただければ幸いでございます。
　ありがとうございました。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
　それでは、ただいま池上分科会長から説明がありました件につきまして、御質問、御意
見などございましたら、どうぞお願いします。
○鈴木委員　医療政策とはいえ、やはり１０ページに書いておりますような、非常にある
意味では無謀な点数のつけ方をしたわけなものですから、そういう意味では、もう少しき
ちんとした受け皿というようなものを準備をするべきだったというふうに思います。今回
は、このことに関しては池上分科会長の責任ということではございませんけれども、くれ
ぐれも分科会の指摘事項の５に関しまして、間違いのない結果を調査をしていただきたい
と思います。
○竹嶋委員　関連して。この分科会の御努力に感謝をまず申し上げますが、８月２４日に
分科会をやられましたときの中の御議論ですね、そういうものを拝見させていただきます
と、その中で、池上会長は、この分科会はコストに応じた患者分類を技術的な面から検討
する場ということで、介護療養の廃止は想定しておらず、点数が想定外の結果となったと
いうふうな御発言になっています。まずそれを一つ確かめたいということです。分科会が
お調べになったこととその後の作業が想定外な結果になったという池上会長の御発言が間
違いないかどうかを、まず確かめさせていただきたいと思います。
　それから、今、今後の検証ということで、当然であると私は思いますが、冒頭というか、
私も当初から、まず受け皿はあるのかということを強く申し上げてきたと思います。それ
から、実際に現場におけます特に看護師の皆さんの数というのは大丈夫だろうかというよ
うなことも指摘を申し上げてきました。今の御発言の中では、今後そういうところを今か
ら調べていくということでございますけれども、はっきり言いまして遅い。これは分科会
の責任ではありませんで、厚生労働省の責任だと私は思います。
　私ども日本医師会といたしましては、既に６月２０日に、福岡県医師会と私ども日医総
研と共同ですぐ調査を行いました。その中で、医療区分１に属するのが４３．４％、これ
は大方のいろいろなところから申し出ているのと大体合っています。そこはいいのです。
　しかし、問題はそれから先なのであって、例えばそういう方々、厚生労働省が考えてお
られる、医療は必要ない、だから、この方たちはもう介護のところに行けるのだという御
説明をいつもなさっておられます。だから、そういうところに行く。そうすると、まず受
け皿がないということの一つのあかしで、要するに、患者さんの方、あるいは家族の方は
もちろん行ってもよろしい、それから施設の方もそちらの方にお回ししたいと。ところが、
施設がない、４０．７％の数があるわけですね。それからもう１つは、施設に仮に行かな
くても在宅でもいいではないかという方、４４．６％在宅もありますが、繰り返しますが、
施設待ちが４０％、こういうところをやはりまずきちっとシミュレーションした上でコス
トをつけていかなければいけませんので、コスト自体、これは分科会がそこには関与しな
い、中医協で決めてほしいということでございますが、医療あるいは介護の現場というの
は生きている場でございますので、やはりそれは分科会という権威のあるそういうところ
でやるときには、そこまで責任を持ってやっていただきたい、これは要望でございます。
　それから、これも私が今申し上げましたのは、この前の回でも申し上げたのですが、十
分な検証というか、シミュレーションをやらないで、一気に昨年末からこれを進めてきた
ということが、今そのほころびを起こしているわけですね、これは間違いないと思います。
皆さん共通な認識を持っておられると思います。そのことのあかしが、これまた先日の９
月１５日でしたか、厚生労働省の辻事務次官が、急ぎ過ぎたというコメントを記者発表で
なさっておりますね。だから、その点については十分今後検証していきたいということを
言っていますが、その後に、だからといって見直しの中でこのコストを扱うということは
しないという発言、これもおかしな話なのです。何のために検証をやるのか。その結果に
おいてどうするかということをまさに中医協は決めるわけであって、厚生労働省のその責
任ある方がこういう発言をされると、これは大変おかしな話だと思います。はっきり表に
出たこういう内容を見まして、これはやはりどう考えても大変無理があるので、早急にま
ず調査をやっていただきたいし、もう現場は大変今混乱しています。間違いなく混乱して
います。ここを例えばデータで出すとか言っても、これは無理な話です。厚生労働省がい
ろいろな案をつくるのは、そういう現場をわからないでつくっているということも逆に言
えるわけです。
　そういうことを十分勘案されまして、政治のレベルでは、これも私が言うまでもありま
せんが、この健保法改正の中で、今度一連の法律案の中で、国会での附帯決議の中の１０
条、ここにはっきり明記しています。そういう経緯を踏まえて、当然これは混乱が起こる
だろう、要するに、財源だけを先に考えて見切り発車したということですから。この附帯
決議は、国会ですから国民です、これは、国民の決めたこと、意思ですよ。その中では、
「すべての転換を希望する介護療養病床及び医療療養病床が老人保健施設等に確実に転換
し得るために、老人保健施設の構造設備」云々、その「人員配置基準につき、適切な対応
を図る」という表現がはっきりしている。これは我々も当然そのところは明文化しました。
　それから、その中で、これはもう１つこの中医協のメンバーみんなで確認しなければい
けないのは、その進捗状況を適切に把握し、これは今だから適切にやっていますよという
ことで理解をしてもよろしいのですが、「利用者や関係者の不安に応え」という、こうい
う文言も入っているわけですね、よく読んでいただくと。それからさらに具体的に、「療
養病床の患者の医療区分については、速やかな調査・検証を行い、その結果に基づき必要
に応じて適切な見直しを行う」、「適切な見直し」ですよ、これは。それはさっきの辻事
務次官のお話のように、検証を行っても、例えばそのコストが上がるということは考えて
いないということではないはずなのです。
　ですから、ここで要望ですが、要望というよりもまずお尋ねしたいのは、診療報酬基本
小委員会はいつ開かれるのか、そしていつごろ分科会のおまとめをお出しになるのか、も
う現場は大変今混乱しております。それと、土田会長には、もちろんこれはいいかげんに
してもらっては困ります。やはり急いでやって出していただきたい。
　それからもう１つ、今日はまとめのようなものが出ましたけれども、例えばその内容、
こういうものは分科会でたたき台はもうできているのでしょう。だからこそ、そういうも
のは中医協に、例えば今日初めて聞きましたが、１０ページのところのデータ、これは分
科会に出なくて中医協に出たというお話がございましたけれども、これは私の聞き間違い
ですか。こういうところはきちっとしたデータというものをやはりその分科会でも確実に
見て知っておいておかれなければいかぬのではないかと。これは本当に国民、あるいは
我々医療関係、そういう本当に生きた医療の現場でも本当に毎日動いているところですか
ら、そんなに悠長な問題ではないのです。だから、そういうところを、会長に申し入れで
すが、できるだけ急いでいただきたい。
　私どもは、そうはいいながら何もしないで言っているわけではありません。日本医師会
でも、６、７、８、９月にわたりまして、今度の７月１日以降のことを調査を行っており
ます。もう６、７、８月は出ました。あと９月をまとめて１０月には中医協に出させてい
ただきます。それは今度の診療報酬改定の影響です。それから、もう１つ別に、この療養
病床問題は非常に重大であるということから、私どもはそれだけを別に取り出して、これ
は１カ月だけでございますが、今９月の末にまとめますので、１０月のそのとき一緒に出
したいと考えておりますが、それに間に合うぐらい一緒にやっていただきたい。そこで資
料を出し合ってお互い意見を出し合いたい、そういうふうに考えておりますので、ぜひ急
いで正確にお願いしたいと思います。
○土田会長　池上先生の方に１つの質問と３つほど要望が出ておりますが、答えられる範
囲内でお願いいたします。
○池上分科会長　まず最初に、この分科会長としての立場からすると、分科会はあくまで
技術的側面についての調査でございますので、具体的な点数の配分、あるいは５区分にな
った経緯については全くあずかりできない立場にございますので、会長としてはこれは何
とも言えないと思います。ただ、個人としては、このような点数になったということ、あ
るいはこのような５区分になったということは、私の個人としては想定外であったという
ことは事実だと思います。
　２番目に、調査の速やかな実施については、もし今日御承認いただければ、可及的速や
かに調査を粛々と進めていきたいとは考えております。
　それから最後の点、１０ページの患者１人当たりの費用というのは、８月の分科会の中
で委員からの要望に応じてこれが新たに作成されて９月１３日の分科会において初めて提
示されました。その初めて提示されたものをこの場、基本小委の場においてぜひ報告する
ようにという各委員からの御要望がございましたので、先ほどのように御報告したまでで
ございます。
　あと、それ以外の点については私からはちょっとお答えできないので、お許しいただけ
ればと思います。
○竹嶋委員　ありがとうございました。
○土田小委員長　これは事務局の方で補足ございますか。
○事務局（原医療課長）　調査は、大きく言いますと、レセプト調査とあと病院に入って
やる調査とございます。レセプト調査の方はレセプトさえ集まればできるだけ速やかに出
していけると思いますけれども、なかなか病院に入ってやる調査については、その内容に
よっては必ずしも早くできないものもあると思います。例えば医療分類がどういう割合に
なっているかとか、そのあたりは、またあるいはそのための医療区分をその分類にした理
由、そういうようなところはレセプトからある程度把握できますので、そのようなところ
は年明けぐらいには出していけるのではないかというふうに考えております。
○対馬委員　まず、池上分科会長には大変長期間にわたって検討していただきまして、そ
れが今回不十分といいますか、まだまだこれから改善する余地はありますけれども、こう
いった形で結実したことに対してお礼を申し上げたいというふうに思います。
　それから、今もお話がございますとおり、各委員、池上分科会長も含めて、大変強い思
いでありますとか厳しい見方もされたというふうに受けとめますけれども、私ども中医協
の委員としても、最終的にこういった形で了解をしたという立場ではございますので、私
どもも応分の責任は負わなくてはいけないというふうに思っています。また必要があれば
改善・改革を図っていかなければいけないというふうに思います。
　若干経緯も申し上げますと、中医協に出されたのは２月のぎりぎりのタイミングで、た
しか２月８日に議論したというふうに思うのです。そのときは４区分だったのです。医療
の必要性の１のところと３のところはすべて一本という格好にしまして、４プラス認知症
のところで１ということだったのです。それで、それでは分科会で検討していた趣旨が本
当に生かされるのかということで、やはり医療の必要度とＡＤＬ区分ということはぜひ重
要視していただきたいということを強く申し上げた。これは私どもも２号側も共通した意
見だったと思いますけれども、それで今回お出しいただいている５区分ということになっ
たわけです。
　ただ、今日改めて特に１０ページ目の上の１人１日当たり費用を見ますと、本当にその
ときの議論が十分だったかということは忸怩（じくじ）たるものがあると。仮にこういっ
たデータが出れば、もう少し違った議論もできたのではないかなという思いはあります。
　要望ですけれども、１つは事務局に対してですけれども、我々中医協は言うまでもあり
ませんけれども、できるだけデータに基づきエビデンスに基づいた議論をしようではない
か、こういったことをここ何年も強く言っていまして、またそれに随分事務局もこたえて
いただいたのかなというふうに思うのですけれども、恐らく１人１日当たりの費用の資料
は今回の改定のタイミングの段階で事務局の手元にあったのではないかという疑念もあり
ます。或いは、それまで、ここまでのデータはなかったということかもしれませんが、で
きるだけデータを出していただいた上で、それをもとに我々は議論するということを改め
てもう一度強く要請しておきたいというのが１点です。
　それから、池上分科会長、大変恐縮ですけれども、先ほどのお話にあったとおり、いろ
いろなテーマ、広範なテーマで大変御尽力いただきますけれども、この分類が５分類でい
いのかどうかということを含めてぜひ御議論いただきたい、検証いただきたいというふう
に思います。
　あと中医協、先ほど竹嶋委員の方からも、今回の療養病床の問題も中医協で議論するの
だということはそのとおりだろうというふうに思います。ただ、これは全体の総費用がプ
ラスになるところもあればマイナスになるところもある、それをすべて合わせて３．１６
ということで、この療養病床についてもその中に当然入っているわけでございますので、
その全体の中での議論だろうと。これは以前平成１５年ですか、再診料の逓減制見直しを
やったときにも、全体的に財源の中立だということを、あくまでそういうベースでもって
やっていったということでございます。ここはひとつ御留意いただきたいと、こういうふ
うに思います。
○竹嶋委員　今の対馬委員に。
○土田会長　はい、竹嶋委員、どうぞ。
○竹嶋委員　対馬委員の一番最後のところでございますが、私もそれはわかっております。
ほかのところでそれは決めて、そしてここは診療報酬を仕分けると。しかしながら、例え
ば有識者会議で中医協の在り方というものを決められましたね。あれも途中から変わりま
したよね、今までの中医協の在り方ではいけないということで変わりましたでしょう。そ
うしたら、一つの流れの中で、やはりここが、ここがというのは、その決めるところが十
分な機能を果たさないということも考えられると思う。そういうときには、やはりこうい
う決めるところから矛盾が出てくる、激しい多様な意見の交流も起こる。私はわかりませ
んが、審議会というのはそんなに激しい意見は出ないと思うのですけれども、中医協に委
員はそれぞれ現場を抱えていますから、そういうところから出てきた問題というのをやは
り上げていってやらないと、これは国民のためにならないと思うのです。私はいつも基本
はそこに置いているわけで、決してここで何もかもやれということを言っているのではな
いので、ここで議論したことをやはりそういう、上で全部網をかけて決めるところに上げ
ていかなければいけない。それに厚労省も出ておられますから、担当の方々も、やはりお
聞きいただきながら出していかなければなけない、それが国民のためになると、そういう
考えから言っています基本的なことは十分わかっております。
○石井委員　コストとの点数の関係に関しては対馬委員と全く同一な立場で同じような感
想を持っております。ただ、今度の改定で非常に難しいのは、介護保険との同時改定であ
り、それとの機能分担の問題です。この課題点数が点数等の問題になったことです。
　それで、池上先生に質問を兼ねてお聞きしたいのですが、池上先生は前から、急性期以
外のこういう施設の医療、介護といったものに関しては、このようなマトリックスでもっ
て、全体的に同じような方向で区分し報酬を決めるべきだというお考えだと理解していた
のですが、そうお考えかどうかということと、それから、その場合は、特に今回のような
機能分担ということを含めますと、老人保健施設とか特別養護老人ホーム、それから介護
療養病床というのも、人員要件は別として、同じような問題を全部抱えているわけなので、
こういった介護保険との境を越えた機能分担の問題にしてがここに提起されているので、
そちらのデータも参考にして我々としても問題を検討したいと思っておりますが、そのよ
うなデータがおありになるかどうかという、この２点を御質問したいと思います。
○池上分科会長　まず、マトリックスとして基本的に報酬を設定するというのはそのとお
りでございまして、かねがね私はそれがあるべき今後の方向性だと考えております。その
ようにマトリックスできめ細かく報酬を設定しませんと、単一の報酬であれば、その中で
比較的コストがかからない患者が入院した方が病院として利益が出ますので、そのような
傾向は診療報酬として望ましくないと考えているからであります。
　それから２番目の問題について、この介護保険施設についてどうかということは、前回
は介護保険の療養病床について調べてそれの異動を分析しました。今回も同様に介護保険
の療養病床について調査する予定でございます。しかし老健、特養などについては、これ
は中医協が基本的に行う調査でございますので、それは対象外となっております。それに
ついてはまた御議論いただければと思いますけれども、個人的な見解を申し上げれば、例
えば特別養護老人ホームの場合は、これは医療については医療保険から給付されているわ
けでございまして、そのような形も考えられるのではないかということは個人的には考え
ております。よろしゅうございますでしょうか。
○土田小委員長　よろしいですね。ほかにございますでしょうか。
○古橋専門委員　この調査の結果は大変待たれるところでございますし、慢性期入院領域
では、今回大変大きなダイナミックな変更がございました。そういう中で、ケアを提供す
る現場の実態というのがどうなっているか、業務の量と質の変化というのを知りたいと思
うのですけれども、（５）の「タイムスタディ調査」という項目の中で、詳細がちょっと
わからないのですが、前回調査の表などを見た範囲からいいますと、今回の医療レベルの
区分からいきますと、推測できることは、医療処置等が増えているのではないかというこ
とが予測できます。そういう中で処置の範囲というものがどのように定義されているのか、
その辺を分科会の方でお決めになっていれば伺いたいと思います。
　もう１つは、この慢性期入院の領域の中では、アセスメントに基づきます予防対策とい
うのも重要でございまして、それは例えば褥瘡予防であり、転倒・転落の予防であり、誤
飲・窒息とか、あとは行動制限を回避していくためのケアであったり、そういうものがや
はり業務の実態として発生していると思います。そうしたものをタイムスタディ的に、あ
るいは患者特性という（４）の領域的に調査ができるのかどうか、そのあたりが知りたい
と思います。
　もう１つは、御意見も出ましたが、１０ページのこの費用については私も大変関心を持
って見ましたけれども、入っていないとされます部屋代とか光熱費、あるいは減価償却費
等の標準値というものがどのくらいなのか、１０ページの下の点数と対比して見る中で大
変興味がございますが、この標準値というようなものは分科会で押さえておられるのかど
うか、そこをお伺いしたいと思います。
○池上分科会長　それでは、３点についてお答え申し上げます。
　医療処置の範囲というのは、これは明らかな医療処置は、例えば点滴の用意とか、その
ようなものは計上しております。また、看護師が行った行為か看護助手が行った行為かと
いうことは、これは分けて集計・分析しております。
　それから２番目の予防対策については、むしろ今回新たな項目として加えさせていただ
いたのは、２ページにございます「平成１８年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査
の実施について（案）」の１に「患者分類に基づく包括評価導入前後の医療の質の変化」
というのがございまして、例えば御指摘いただいた褥瘡について、全患者における褥瘡の
割合というのを見ても、それは患者の特性を反映しておりますので、わかりやすい言葉で
言えば、寝たきりの状態にある患者における褥瘡の割合がどうであるか、それが導入前後
でどのように変化したかということなどを通じて質の評価という形で予防対策がどのよう
な効果を上げているかを、また、この導入によってどう変わったかということを分析する
予定でございます。
　それから、最後のコストの標準値については、前回もまた今回も調査いたしまして、な
かなかこれは病院の標準値を見出すことは難しい課題で、いつ建設されたのか、あるいは
どのような住環境にあるかによって当然コストは変わってきます。この調査とは別に、私
が別に行った研究によりますと、全体の患者、区分に関係なく、全体のコストの約半分は
均等にかかる費用ではないかと推測されます。これについても今回、今年度の調査をもし
御承認いただければ、さらに標準値を出すことができるかどうか検討させていただきたい
と考えております。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
○山本委員　今回の調査につきまして、新しく導入された点数について評価をするという
ことにつきましては、今多くの委員の方々からお話があった点を十分踏まえて反映できる
ような調査が行われれば、私は特に異存はございませんが、その中で、例えば費用につい
ては薬剤師も含めた、要するに医療機関で働くスタッフがみんな人件費で含まれていると
いうふうに記載がございますし、その一方で、薬剤の使用状況であったり、あるいはその
他の提供できるサービスという観点からしますと、今回ＡＤＬと医療区分で分けておりま
すので、薬剤がＡＤＬに及ぼす影響が少なからずあるということが指摘されていることか
らすると、当然、調査の内容の（２）、あるいは（５）といったようなところで、「等」
に含まれているという理解でよろしければ、そんなお答えで結構なのですが、そこには医
師、看護師、看護補助者という記述だけでありますけれども、その「等」の中には、当然
薬剤師も医薬品にかかわるという意味で含まれているという理解でよろしいのでしょうか、
その１点だけちょっとお伺いしたいのです。
○池上分科会長　これについては、病棟薬剤業務に関しては、その実際に患者と対面して
行う業務については調査の範囲でございます。そのほか薬剤費は処方などの調査によって
把握する予定でございます。
○遠藤委員　検証部会でも改定の結果を検証しなければいけないということで、この療養
病床に関しましては、この専門組織に調査の依頼をしたわけでありまして、６ページの
（３）に検証部会として調査を依頼する項目ということで、退院患者の調査と入院患者の
調査、非常にシンプルに書いてありますけれども、こういう趣旨のことを御依頼したとい
うことで、これにつきましては、実際、調査内容を、３ページの中に入退院、退院先並び
に退院理由であるとか、あるいは専門組織の中での御議論の中で、退院したくてもできな
い人がどれぐらいいるのか、その理由は何かということに対して、それについても検討す
るという、そういう調査計画がなされているということで、御依頼した内容について対応
がされているということで、まずは感謝申し上げたいと思います。
　ただ、なぜゆえに検証部会としてこの退院患者の調査ということを筆頭に挙げているの
かということは、その趣旨は、やはり大きな制度改正に伴って患者さんが居宅なり介護施
設などにスムーズに移行できるのかどうか、いわゆる患者難民というものが発生しないの
だろうかということの懸念に対する調査だという、そういうような思惑もあるわけであり
ます。
　ということでありますので、２ページの「調査の目的」という中に(1)から(6)まで書いて
あるわけですけれども、これらはすべて間接的には、今申し上げましたスムーズな移行に
対してどうかということを聞いていることにはなるのかもしれませんけれども、私、個人
的には、患者さんの移行がスムーズに行われているのかというような視点からの分析とい
う項目を１本立てていただきたい、そういう視点から、既にここに書かれておりますよう
な退院の理由とかそういうことも含めて、さらにもう少しそういう視点から調査ができる
のであるならば工夫していただきたいと、そのように個人的には考えておりますので、御
要望したいと思います。
　以上です。
○土田小委員長　これはすぐ答えられないと思いますので、検討課題としてお聞きしてお
きたいと思います。答えられる範囲内で結構です。
○池上分科会長　御趣旨は既にこの調査内容に反映いたしてあると思いますけれども、こ
れは明示的に、例えば(7)として加えることは容易にできますし、御指摘のように、それの
方がこの要望にはおこたえすることになると思いますので、そのようにさせていただきた
いと考えております。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
　大分議論いただきましたが、先ほど竹嶋委員の方から話がありましたように、この療養
病床をめぐってはいろいろと今回の改定の影響が大きいということは、こちらの方も認識
しております。そういうことからいって、できるだけ早くこの調査をしていただいて、そ
れで実態はどうかということを踏まえて、またここで御議論いただきたいというふうに考
えております。
　それで、先ほど池上分科会長の方から、可及的速やかに調査を実施したいという話があ
りましたので、そこのところを踏まえて、ただいま説明いただきました内容で、調査に早
急に取りかかっていただきたいということで、ここで御了解いただきたいのですが、この
ような形でよろしいでしょうか。それで、一応そこはそれでお願いしたいと思います。
　ただもう１つ、先ほど対馬委員の方から発言がありましたように、この１０ページの患
者１人当たり費用というのが、今日初めて出てまいりましたが、これは決して事務局の方
で意図的にこれを出さなかったということではなかったろうというふうに思いますが、先
ほど来発言もありますように、極めて重要なデータでありますので、今後はこういうこと
はなるべく早く出していただいて、それでそれによって議論の内容も当然変わってくる可
能性もありますので、そこのところは今後十分にそういう形で出していただきたいという
ことをここで改めて要望申し上げておきたいと思います。
　池上分科会長、どうも長い時間、ありがとうございました。
　それでは、次の議題に移りたいと思いますが、「診療報酬調査専門組織・手術に係る施
設基準等調査分科会の平成１８年度調査の検討状況報告」について議題としたいと思いま
す。
　本日は、同分科会の福井次矢分科会長に御出席いただいております。最初に、平成１８
年度調査研究（案）について御説明をいただきまして、その後質疑応答を行いたいと思い
ます。
　福井分科会長、よろしくお願いします。
○福井分科会長　分科会長を仰せつかっております福井です。
　私たちのこの分科会は２つの検討事項を仰せつかっております。手術件数と手術成績に
関する調査、および手術に係る情報の開示についてであります。これまで７月３１日と９
月１３日に２回分科会を開きました。３月をめどに中間的なデータ解析の報告をしたいと
考えております。現在までのところ、以下のような調査研究を計画しておりますので、説
明させていただき、もし御了承が得られるようでしたら、その方向でデータ収集に取りか
かりたいというふうに考えております。
　お手元の資料の中医協診－２ですが、手術件数と手術の成績の関連性について科学的に
調査するということについて、分科会の委員の大江和彦先生が、厚生労働科学研究費補助
金で「外科手術のアウトカム要因の解析と評価方法に関する研究」を行うことになってお
りますので、その研究をできるだけ分科会の委員の意見も反映した形で行っていただきた
いということで議論を進めてまいりました。といいますのは、この私たちの分科会が独立
して別個の調査を行うには、人的にも費用の面でも時間的にもかなり難しいというふうに
認識しておりますので、大江先生のこの研究班のデータをでき得る限り分科会として活用
させていただく方向でお願いしているところであります。
　その大江先生の研究班の研究概要が２ページ以降に添付してあります。現在までのとこ
ろ、１３の手術について調査をしようということで、５つの学会との調整がほぼ完了して
いると聞いております。いくつかの学会とはまだ調整中ではありますが、ほぼできる方向
で調整がされていると伺っています。日本胸部外科学会から、冠動脈バイパス術、肺悪性
腫瘍手術、腹腔鏡下肺悪性腫瘍手術。日本外科学会に関連するものといたしましては、食
道癌・食道全摘術、膵頭十二指腸切除術、直腸癌の切除術あるいは切断術、腹腔鏡下結腸
切除術、乳腺悪性腫瘍手術。日本産科婦人科学会の関連では、子宮悪性腫瘍手術。日本泌
尿器科学会では、前立腺悪性腫瘍手術。日本整形外科学会に係るものでは、人工股関節置
換術、人工膝関節置換術。そして、日本脳神経外科学会では、未破裂脳動脈瘤手術。この
１３の手術につきまして調査を行いたいという意向で、対象とする医療機関はそれぞれの
学会に登録された医療機関にお願いするということでございます。ここには「選定した」
という文言が書いておりますが、実質的には学会に登録したすべての医療機関に調査をお
願いするというのが大江委員からの説明でございました。
　対象となる症例は、本年１０月あるいは１１月から明年の３月までの期間に当該医療機
関でそれらの手術を受けた患者で、以下簡単に説明いたしますが、症例票の作成はこの期
間に退院した患者の退院時とします。調査期間の最終月につきましては、月末時点で入院
中の患者さんについてはその日の時点での症例票を作成していただきます。
　調査票の種類が３種類挙げておりますが、第１番目が医療機関票、病院ごとに１枚のも
の、２番目が術者の一覧票、それから３番目が症例票でございます。それらを３ページ以
降に示しております。
　１）が医療機関票でございまして、ベッド数、それから年間の対象術式に関係した手術
件数を挙げていただきます。
　２）が術者の一覧票でございまして、術者の識別記号、それから当該手術を経験した経
験カテゴリー、例えば、冠動脈バイパス手術、消化器系の手術でしたら５０例未満、５０
～１００例未満、１００～５００例未満、それから５００例以上というふうな幾つかのカ
テゴリーに手術数を分けて答えていただきます　。
　それから３）が症例票で、それぞれの患者さんの個票データになります。２つの例を示
してありまして、３ページの下のところからは、冠動脈バイパス術の症例票でして、５ペ
ージには、膵頭十二指腸切除術の症例票を掲げてあります。それぞれ術者の情報と、それ
から術前、患者さんがどういう状況だったのか、手術にかかわるいろいろなリスクがござ
います。冠動脈バイパス術でありましたら、糖尿病はなかったかどうか、術前に透析治療
はなかったか、または心不全はなかったかなど、患者さんの重症度にかかわる情報をもら
う。そして手術情報、どのような内容の手術で手術時間はどれくらいで出血量はどれくら
いという情報、アウトカムにかかわる術後情報としては、例えば術後の一過性の脳血管障
害はあったか、運動機能障害はなかったか、手術から退院までの日数、それから退院時ま
たは３月３０日の時点での患者さんの生死などを記述してもらうというふうな個票を今の
ところ考えております。
　最後の膵頭十二指腸切除術につきましても、それぞれ疾患の特徴がございますので、項
目は微妙に異なってまいりますけれども、以上の情報を記入していただくということでご
ざいます。
　分科会では、いろいろな御意見が委員から出ましたが、基本的には大江研究班の研究を
進めていただいて、それを分科会としてまた結果を検討させていただきたい。それに加え
まして、前回の分科会では、例えば大動脈の手術、心臓では弁疾患の手術、それから冠状
動脈のカテーテルによる治療、ＰＣＩと言われている血管の形成術なども調べてはどうか
という御意見がございました。
　また、胸部外科学会では、別個にいろいろなデータを集めておられるということも南委
員から指摘がございました。それから長谷川委員からは、これまでに発表されている手術
件数とそのアウトカム、手術成績に関するいろいろな文献のレビューもきっちり行ってい
ただけるということでございましたので、大江委員の研究の成果に加えまして、できるだ
けほかのデータも集められる限り集めて検討したいと考えております。
　分科会が仰せつかったミッションの２つ目であります手術に係る情報の開示につきまし
ては、前回開催された分科会で検討を始めたところでございますので、今後、検討の結果
を御報告したいと思います。
　以上でございます。できましたら今、説明させていただきました方向でこの分科会の活
動を御了承いただければ大変ありがたく存じます。
　以上です。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御質問などございましたら、どうぞ。
○石井委員　施設基準に関しまして、今回の調査票を見ますと、純粋に手術とそれのアウ
トカムということになっておりますが、実はもう１つ問題があるという指摘が前の中医協
でなされています。それは、地域における医療がどれだけ行われ得るかというような問題
で、地域医療の観点から、手術が日本中のどこでもある程度受けられるようにと、そうい
う観点ももう１つ必要であろうということがありました。特に、緊急の手術を要するよう
なものに関しては、病院のどういうところに置かれている病院かというような情報も我々
としては必要なのではないか。というのは、一般的に多いところに例えば集積ということ
だけでは解決できない問題がありますので、この調査票を見ましても、医療機関のそれ自
体の特性についてはほとんど調査対象になっておりませんので、そういったことも検討し
ながら、中医協としてはこの問題を考えなくてはならないのではないかと思いますので、
その辺について、この調査ではお考えになっているのかを、お聞きしたいと思います。
○福井分科会長　恐らくここには出ておりませんが、医療機関票というところに何県のど
こにあるという情報がありますので、それについての解析は可能と考えます。それから、
緊急の患者さんかどうか、全く予定手術の患者さんばかりを集めているのではないかとい
う点につきましても、３ページの一番下にございますように、緊急区分などを入れており
ます。患者さんの重症度による層別化を行った上でデータ解析をしない限りは、意味をな
さない調査でございますので、その点につきましては、分科会の委員すべての者が非常に
神経を使っているところでございます。考えられる範囲内で漏れなくデータを入れていた
だきたいと考えております。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
　ほかにございますか。
○対馬委員　石井委員のお話で、純粋に学問的にということで、それは分科会の場として
はいいのですが、ただこの中医協ということでいいますと、前回の改定のときの附帯意見
の中に、「手術に係る施設基準については、再び診療報酬上の評価を行うことを視野に入
れて、速やかに調査及び検証を実施する」ということですから、中医協の場においてはや
はり「視野に入れて」ということなのです。これは申し上げておきたいというふうに思い
ます。
　それからあと２点ほどちょっと質問をしたいのですが、福井先生、よろしくお願いしま
す。１つは、ここにある手術で、私ども専門的なところはあまりよくわかりかねるところ
があるのですけれども、非常に身近な、例えば胃癌等が入っていないのはどうしてなのか
なということが１つ。それからあとは、特に癌などの場合ですと、５年後、１０年後の生
存率というのでしょうか、そういったものが重要だというふうに言われるのですけれども、
そのあたりも視野に置かれているのか、それともそこはちょっと別ということなのかどう
か。
　もう１点はスケジュールの感覚なのですけれども、来年、１９年のいつぐらいに全体を
取りまとめるということになっておりますが、そういったスケジュールについてはいかか
でしょうか。
　そこをお伺いしたいというふうに思います。
○福井分科会長　すみません、胃癌につきましてはどうして外れたのか、私もその点につ
いては確認しておりませんでした。
　それから２番目のスケジュールについては、私たちも伺っております。そのための中間
的な解析の報告を３月末日をめどに行うようにというふうにスケジュールを立てていると
ころでございます。
　それから、長期的な、または中長期的な生存率についてですが、報告がそのようなスケ
ジュールなものですから、私たちとしては、３年生存率、５年生存率というところまでの
データを追うということは、分科会では考えないでディスカッションをしてきました。
　○竹嶋委員　対馬委員の御発言、もっともだと思うのですね、中医協で診療報酬を一応
頭に入れてということですから。逆に、だからこそ、この学術的見地といいますか、そう
いうところから福井分科会長ほか御検討いただいているところを、診療報酬とかそういう
ところで、この分科会では横に置いて十分検討していただきたい。だからこそ、これは大
事だと思うのです。
　そして、私も外科系ですが、１つ今、癌の発言、今恐らく福井会長が言われたとおりだ
と思うのです。というのは、前のとき、前は中医協の委員ではありませんでしたが、前の
ときに手術症例ということだけをあまり浮き立たせたから、これではいかぬということ、
これは賢明だったと思うのです。だから、この内容、医師の資質もありましょう、それか
らさっきのいろいろな文献等々もありましょう。その中で予後というのがあるわけです。
手術しただけではなくて、その後の予後がどうかと。だからここが非常に大事なところな
ので、その予後のところに、癌であれば生存率等が入ってくるでしょうし、ただ、ほかの
機能障害とかはそこまで考えなくても１年ぐらいで見られることもあるわけです。そこだ
と思うのです。対馬委員のおっしゃった、私も賛成なのです。賛成というか、それは認め
るけれども、だからこそ、どうぞそれを抜きにして、そしてまた中医協の場で、本当にこ
うした方がいいのかと、国民の医療のためにこれはいいのかということは申し上げたいと
思います。
　それからもう１つ、石井委員が言われたことに補足しますが、一つ案としてはこういう
案もあるわけです。例えば東京、こういう大都会は大きな病院が密集していますね。そこ
に集約化していると１，０００例とかの症例はぱっと集まるでしょう。患者さんがお集ま
りになられる。また、いい医療ができると思います。だけれども、本当に私はいつも言う
のですが、今度は地方に行きますと、１，０００例なんか年間集まるからはないです。１
００とか２００とにかもしれません。そうなりますと、やはりそれぞれの数は、もう前の
ときに指摘しましたけれども、パーセンテージで、評価する中で、そういうものを見てい
くとか、何かそういうインセンティブを与えていただいて、やはり地方の医療というのが、
当事者の方々が活性化するような、これは何度も言いますが、医療を預かっている現場と
してはぜひそういうことを望んでおりますので、どこかにそういうことを置かれて、どう
ぞデータをよろしくお願い申し上げます。
○古橋専門委員　この調査、実施されるという方向が決まったのですから、ある意味で調
査結果に説得力と信憑性のあるということが非常に重要と思います。そういう点では、症
例票の例１に示されたものと術式が当然違うのですが、例２に示されたもののアウトカム
の項目が少し違っております。私などから看護の視点で見ますと、術後の感染の有無とい
うこととか、症状を伴う縫合不全とか、術後の緊急処置があったかどうかあたりは、普遍
的・一般的な項目だと考えられるのですが、例１につきましては、そういう項目がアウト
カムとして入っていないように思われるのですけれども、この術式によりましてアウトカ
ムの項目でベーシックなものと特色のあるものというのは、皆分かれるのでございましょ
うか。私などは、やはり術後感染とか、術後における緊急対応とか縫合不全というような
ものは共通項目として把握するということがあってもいいように思うのですが、専門のお
立場からすると、それはそうではないのだというようなことがあれば、含めて教えていた
だきたいと思います。
○福井分科会長　４ページを見ていただきますと、「術後情報」のところの「再開胸止血
操作の有無」というところが恐らくそれに相当しますし、５ページでは、やはり「術後情
報」のところの「症状のある縫合不全」というふうなところに相当いたします。それから
感染症につきましては、確かに明確ではございませんので、その御意見は伝えたいと思い
ます。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
○遠藤委員　時間もないということですので簡単にちょっとお聞きしたいのですけれども、
こういう調査をしたときに、件数が非常に少ない病院と非常に多いところが混在している
場合には、恐らく件数とアウトカムとの相関が出てくる可能性は高いと思うのです。した
がいまして、どういうサンプルを選ぶかによって結果が違ってくる可能性があると思うの
ですけれども、例えば年間１症例、２症例しかないところと１００症例あるところとを一
緒にした議論をすれば、恐らく症例の低いところにはアウトカムは悪いだろうということ
を前提にすれば出てくる可能性があると思うのですけれども、これは大体対象とする医療
機関というのが学会で選定したところ、あるいは登録されているというところですので、
イメージ的には、かなりある程度やっているというようなところを中心にというふうに考
えてよろしいのでしょうか。
○福井分科会長　私たちが前回確認したところでは、それぞれの学会に登録していて、こ
の研究調査に協力していただけるという意思表示をされたところはすべてと聞いておりま
す。したがって、何例以上のところを何施設選ぶとか、そういう操作はしないというふう
に伺っております。確かに非常に症例数の少ないところばかりの施設のデータでしたら、
これは統計学的に言って有意差は非常に出にくくなると思います。２０～３０例のところ
から４，０００例までというふうに、もしばらつきが大きければ、統計学的には有意差が
出やすいのですけれども、日本ではそれほどの幅を持った症例数の違いというはないよう
に伺っておりますので、統計学的にはなかなか厳しいものになるのではないかなと予想は
しております。
○遠藤委員　わかりました。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。この調査、非常に結果は楽しみなので
すが、ほかに御質問がないようでしたら、ただいま福井分科会長から説明いただいたよう
な形で調査を進めていただきまして、それで結果がまとまった段階で再びここで御報告を
いただき議論したいというふうに考えておりますが、そういう形で進めさせていただいて
よろしいでしょうか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
　それでは、福井分科会長、どうも長い時間ありがとうございました。
　次の議題に移りたいと思います。次は、１号側委員から資料が提出されております。そ
れについて説明をお願いします。
○対馬委員　お手元に薄緑の「医療療養病棟に入院されているみなさまへ」というパンフ
レットがあるというふうに思います。中身を説明するというよりは、むしろこういったも
のを健保連として作ったということです。今回７月１日から御承知のとおり、患者分類を
活用した包括評価ということで、随分変わりますので、そういう意味では私ども保険者と
しても患者の視点に立ってできるだけわかりやすくということでパンフを作成したという
ことです。結果的には、やはりなかなか仕組み自体の関係がありますので、２４ページと
いうことで少しページ数は多くなったのですけれども、できるだけわかりやすくというこ
とで心がけたつもりでございますので、御活用いただければというふうに思います。
○鈴木委員　御努力、感謝したいと思います。
　厚労省の方のポスターはどうなっていますか。
○事務局（唐澤総務課長）　総務課長でございます。
　厚労省のポスターにつきましては、医師会と共同で制作をさせていただいておりまして、
医療の現場の方にお届けをしたいということで取りかかっておりますれども、大変恐縮で
ございますが、私どもの方に部数の見込み違いがございまして、御迷惑をおかけしており
ます。ただいま増刷に取りかかっておりますので、できるだけ速やかにお手元にお届けし
たいと思っております。不手際についておわびを申し上げます。
○土田小委員長　よろしいでしょうか。
　それでは、本日の小委員会はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございま
した。
　次回の日程が決まっておりましたら、お願いします。
○事務局（原医療課長）　次回、中医協の開催日程は未定でございますので、また追って
連絡をさせていただきます。
○土田小委員長　どうもありがとうございました。
　なお、この後総会がございますので、準備が整うまでしばらくお待ちください。


【照会先】
　   　　厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
　   　　代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）   


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