06/09/19 第2回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 第2回 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 1 日時   平成18年9月19日(火)17:00〜19:30 2 場所   富国生命第1ビル28階第1会議室(東京都千代田区内幸町2−2−2) 3 出席者  ・参集者(50音順)     石井委員、小川委員、佐藤委員、志賀委員、末永委員、高井委員、武田委員、    時任委員、中井委員、原委員、原田委員、東馬場委員、松為委員、松井委員、    松矢委員、宮崎委員、森委員、山岡委員、輪島委員       ・オブザーバー    文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 水野専門官、社会・援護局障害保    健福祉課 矢田企画官、職業能力開発局能力開発課 三富主任職業能力開発指 導官  ・事務局    岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、 浜島調査官、白兼主任障害者雇用専門官、矢田障害者雇用対策課長補佐 4 議題 (1)平成19年度 障害者雇用施策関係予算 概算要求の主要事項について (2)障害者の就労支援の現状と課題について   〜職業リハビリテーション機関における支援の現状と課題についてヒアリング〜   (1) 地域障害者職業センター          報告者:東京障害者職業センター次長      宮崎 哲治 委員   (2) 障害者就業・生活支援センター          報告者:(社福)加古川はぐるま福祉会             加古川障害者就業・生活支援センター長  高井 敏子 委員 5 資料  資料1 平成19年度 障害者雇用施策関係予算 概算要求の主要事項(議題(1)関係)  資料2 ヒアリング対象機関について  資料3 地域障害者職業センターの業務について(議題(2)(1)関係)  資料4 障害者就業・生活支援センターの業務について(議題(2)(2)関係)  参考資料1 平成19年度 障害保健福祉関係概算要求の概要(障害保健福祉部)  参考資料2 平成19年度概算要求主要事項の概要        (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)  参考資料3 地域障害者職業センター関係資料  参考資料4 障害者就業・生活支援センター関係資料  参考資料5 対象者別の標準的な支援の図  参考資料6 厚生労働省発表資料「就労移行支援のためのチェックリスト」 ○座長  ただいまから、第2回「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関す る研究会」を開催いたします。議事に入ります前に、今月1日付けで、この研究会の主 催者である高齢・障害者雇用対策部長が交代されましたので一言ご挨拶をいただきます。 ○高齢・障害者雇用対策部長  9月1日付けで、高齢・障害者雇用対策部長を拝命いたしました岡崎です。よろしく お願いいたします。この研究会は、福祉、教育との連携の下で、障害者の就労支援・雇 用対策を進めていくということで本日が2回目ですけれども、ご議論いただいておりま す。障害者自立支援法もいよいよ10月から全面施行になるわけですが、福祉と雇用の連 携規定も設けられているわけです。やはり、自立ということを考えた場合に、いかに企 業で働くかということも非常に重要だろうと考えております。  厚生労働省になって、福祉と雇用の連携をいろいろな場面で進めておりますけれども、 障害者の部分というのはその中でも象徴的な部分であるし、実績も上げていかなければ いけない部分だろうと思っております。是非、皆様方のいろいろな知識・ご経験を活か していただきながら、より効果的な施策をしていきたいと思っておりますので是非よろ しくお願いいたします。 ○座長  どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。事務局にも人事異動が ありましたので、続いて紹介をお願いいたします。 ○事務局  異動のありました事務局のメンバーを紹介させていただきます。高齢・障害者雇用対 策部企画課長の宮野です。障害者雇用対策課調査官の浜島です。オブザーバーにも異動 がありましたので続けて紹介いたします。能力開発局の三富主任職業能力開発指導官で す。社会援護局障害保健福祉部の矢田企画官は、本日は所用により遅れて出席いたしま す。それまでの間の代理として、障害福祉課の川野課長補佐が出席しております。以上 です。 ○座長  小川委員は、少し遅れて出席とのことです。議事に入ります。議題1は「平成19年度 障害者雇用施策関係予算概算要求の主要事項について」です。議題2は「障害者の就労 支援の現状と課題について」で、2つの機関からヒアリングを行います。議題1の平成 19年度予算の概算要求について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  平成19年度の障害者雇用施策関係予算に係る概算要求の主要事項について資料1に 基づいてご説明いたします。平成19年度の要求額は147億5,000万円を要求しておりま す。昨年よりも約10億円弱の増額となっております。  内容としては、4本の柱で構成されております。1本目の柱は「雇用・福祉・教育の 連携による就労支援の強化」、2本目の柱は「障害の特性に応じた支援策の充実・強化」、 3本目の柱は「中小企業による取組の支援」、4本目の柱は「障害者に対する職業能力開 発の推進」です。  それぞれの柱の内容についてご説明いたします。1本目の柱の連携による就労支援の 強化の1として、「関係機関のチーム支援による、福祉的就労から雇用への移行の促進」 ということで新規事業です。これまで、10カ所のハローワークでモデル的に実施してお りました、地域障害者就労支援事業を全国展開する事業です。ハローワークを中心にし て、福祉の関係機関からなる障害者の就労支援チームをつくり、就職から職場定着まで 一貫した支援を行う事業を、全国のハローワークで実施するというものです。また、障 害者が適切なサービスを選択できるように、新たにワンストップ窓口をハローワークに 福祉サイドと連携して設置するものです。  2つ目は、障害者就業・生活支援センターの事業の拡充です。設置箇所数を、今年度 の110から160センターということで、50カ所の増設を要求しています。  3つ目は、養護学校の生徒とその親へ一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進とい うことですが、今年度からハローワークから福祉サイドへの働きかけとして、障害者就 労支援基盤整備事業を実施しております。この事業を拡充し、新たに学校も対象にハロ ーワークから働きかけを行い、雇用支援策に関する理解を図るセミナーや事業所見学会 などを開催するものです。  4つ目は、ジョブコーチ支援の充実ということで、従来どおりジョブコーチ助成金制 度を引き続き実施していくものです。  5つ目は、トライアル雇用です。対象者を6,000人から7,000人に拡充して実施する ことにしています。  2本目の柱の「障害の特性に応じた支援策の充実・強化」の1つ目に挙げられている のが、発達障害者に関する支援です。1の若年コミュニケーション能力要支援者就職プ ログラムの実施は新規事業です。特に、近年はニートに発達障害が原因だと思われる層 がいる、あるいは、ハローワークや若年支援機関の一般の利用者の中にも、本人が自覚 していない発達障害者が含まれていることが指摘されております。ハローワークにおい ても、こういった発達障害やさらにはコミュニケーション能力に困難を抱えているボー ダーラインの方について、その希望や特性に応じて専門支援機関に誘導するとともに、 専門支援機関を希望しない、あるいは障害を自覚できない方については、ハローワーク の一般の窓口において、専門的な支援を実施できるような体制を整備する事業です。ハ ローワークに、就職チューターという専門相談員を10局47人の配置を要求しておりま す。  発達障害者の2つ目の事業は、発達障害者の就労支援者育成事業です。今年度から、 発達障害者支援センターと連携し、医療や福祉関係者といった発達障害者の支援関係者 に対するいろいろな就職支援ノウハウを提供する講習や、事業主を対象とした普及啓発 を図るためのセミナーを実施しております。この実施箇所数を全国の4カ所から8カ所 に拡充するとともに、新たに発達障害当事者を交えたワークショップなど、実践的なス キルを身に付けるための体験交流会等を開催する予定にしております。  3つ目は、精神障害者の関係です。ハローワークと医療機関が連携し、精神障害者の 就職支援ということで、ジョブガイダンス事業を実施しております。このジョブガイダ ンス事業を機動的に実施するスキームに改めるとともに、ジョブガイダンス終了後、例 えば就職あるいは求職登録といった次のステップに移行できていない方が、従来ですと 4割程度残っていましたが、これらの方について、新たに医療から雇用へのチームで就 職支援をするという新たなモデル事業を加えております。  4つ目は、難病の雇用管理に関する情報提供です。これまで、難病に関する調査研究 を実施しておりましたが、疾患別にそれぞれの難病にアクセスしやすいよう必要なデー タを整理し、検索できるサイトを作り、情報提供を的確に行うことを考えております。  5つ目は、従来どおり障害者団体、当事者団体による自立啓発事業を引き続き実施し ていくことにしております。  3本目の柱の「中小企業の取組への支援」では、近年中小企業の雇用率が低下してい る中で、中小企業向けの支援策として、まず、中小企業団体による雇用促進のモデル事 業を新規で要求しております。事業主自らの取組を推進してもらうために、中小企業団 体に委託し、セミナーやワークショップ、好事例の作成などをお願いすることを考えて おります。  2つ目は、中小企業が共同して障害者雇用を推進するモデル事業です。中小企業単独 では、障害者雇用がなかなか進まないこともあり、事業協同組合などを活用し、障害者 雇用を促進するためのモデル事業を実施することを考えております。  4本目の柱の「障害者に対する職業能力開発の推進」の1つ目は、一般校を含めた公 共職業能力開発施設における訓練の推進ということで、一般校や障害者専門校における 障害者の公共職業訓練を引き続き推進していくものです。  2つ目は、障害者の委託訓練の推進です。対象者数を6,300人から7,000人に拡充し て実施します。  3つ目は、障害者のプロモート事業の拡充です。福祉施設や養護学校から、公共職業 訓練につなげるために、連携体制を確立し、訓練を行える人材を育成する事業をモデル 的に実施しております。今年度は、政令都市3カ所で実施しております。来年度は、そ の実施箇所を拡充します。  4つ目は、発達障害者に対する職業訓練のあり方に関する調査研究です。  来年度の障害者雇用施策の概算要求の主要事項については以上です。 ○座長  ありがとうございました。ただ今の説明に関しまして、ご質問、ご意見等ございます でしょうか。末永委員どうぞ。 ○末永委員  一般会計と特別会計には別れておりますが、その147億5千万の内の一般会計で増え たのか、減ったのか、特別会計の合計で増えたのか、減ったのか、納付金の関係もござ いますが、それについて教えていただけませんか。 ○障害者雇用対策課長  今すぐ具体的な数字を申し上げられなくて恐縮ですが、一般会計、雇用勘定共に今年 は増額要求をいたしておりまして、それぞれ確か20%増ぐらいの思い切った要求をさせ ていただいているところでございます。納付金につきましては、機構の予算ということ になってまいりますので、これから具体的に額を詰めていく形になりますが、納付金収 入が今年特に増えるという要素もさほどないかと思いますので、予算全体の額という意 味では前年並みという感じに予算的にはなってくると思います。そういった中で、今日 ご説明したような新規事業についても、やりくりをする中でやっていきたいということ でございます。 ○座長  他にいかがでしょうか。輪島委員どうぞ。 ○輪島委員  資料1でいくつか、注文ですが、まずIの雇用と福祉と教育の連携の1番の関係機関 のチーム支援です。これは非常に重要なことで、2年連続10カ所だったものが47カ所 になるということで、全国展開になるということで期待したいと思っています。ただ、 一方で既存の10がどのようにやってきたのかということをうまく整理をして、情報を積 極的に外に出していくべきなのではないかと思っています。特に、昨年度の10のところ の、東京であれば渋谷のハローワークは、非常にうまく地域の福祉施設との連携とか、 地域の情報をうまく整理したものが出てきていると思っているので、もう既に実施をし たものではありますけれども、そういう既存の情報をうまく提供する仕組みというもの をきちんとつくっていただきたいと思っています。  それから、2ページ目の5のトライアル雇用ですけれども、私どもとしては、基本的 にはこれは一般会計ではなくて、納付金会計から今後は支出をしていくということで、 大幅な拡充をするべきではないかなと思っています。  それから、4ページ目の委託訓練ですけれども、先ほども末永委員もおっしゃった点 で、今年の前半上期につきましては、3事業の見直しの関係で、労使でいろいろ意見交 換をしたという観点からいいますと、4ページ目のIVの2の委託訓練、これも一般会計 と3事業のものが混在して、予算として合計が6,300人分になっているわけですけれど も、3事業の見直しの関係でギリギリ言われるのは、その目標の設定と、それから、そ れの実現というようなことです。そうなると、このスキームは基本的には能開局から都 道府県に落として、都道府県で事業の展開をしてもらっているわけですけれども、3事 業分についていうと、能開局ではなくて職業安定局の方にもう1回取り戻して、ハロー ワークから委託訓練のスキームを落としていくというような仕組みにするべきなのでは ないかと思っております。  地域的にいうと、非常に偏在があって、何百件という委託訓練をやるというところも あるし、何十件というようなところもあるようですけれども、そういった偏在をなくす ためにも、ハローワークが基本的にこの委託訓練の、特にその3事業分の予算を使うと ころについていうと、きちんとやるべきなのではないかと思っているところです。今回 は意見です。注文でありますので、ご検討いただければと思っているわけです。以上で す。 ○座長  ありがとうございます。それでは、この件に関しては障害者雇用対策課長からお願い します。 ○障害者雇用対策課長  今お話があった中で、最初のチーム支援の関係でございますが、今、ご評価をいただ きましたように、これは私どもも非常に大切な取り組みだと思っております。今、10か ら47へというお話がありましたが、私どもがここで考えておりますのは、全てのハロー ワーク、つまり400以上あるわけですが、そこでこういう形の取り組みをどこでもでき るようにと思っておるところでございまして、規模の小さなところになってまいります と、なかなか具体的にどこまで動けるかという問題もあるかとは思いますが、基本的に は全国どこの地域でもこういったサービスが提供できるようにしてまいりたいと思って おります。  これまでの10のハローワークのいわば先行的な取り組みについて、取りまとめをして、 対外的にも出していったらいいのではないかというお話については、私どもとしても今 年度が終わった時点できちんと取りまとめをして、関係者の皆様方にも見ていただける ような形のレポートをまとめてみたいと思います。  実は、昨年度分については、内部的には10カ所のハローワークにレポートをまとめて もらいまして、ハローワークの職員には全国の職員の手元に渡るようにやっていますが、 まだ1年目ということもあって、それぞれ試行錯誤というところもありますので、今年 度が終わった時点できちんとした、対外的にもご説明できるような資料にまとめていき たいと思います。  その一環で今、渋谷のお話が出ましたけれども、実は前回の研究会の時に、輪島委員 からデータベースの公開のお話がありました。福祉施設のデータベースをハローワーク で持っているだけでなく、関係者の皆さんにも公表したらどうかというお話がありまし て、私は情報公開ベースで中途半端なお答えをしてしまいましたけれども、あの取り組 みは、実は渋谷がモデルケースになっておりまして、渋谷には非常にいい取り組みをし ていただいております。それを踏まえて、全国どこでもこういうものを作っていこうと いうことでございまして、輪島委員の前回の御意見も含めて、それを踏まえて、ハロー ワークの中で持っているだけではなくて、対外的にも見ていただけるようなものに仕上 げていくことができたらと思っておりますので、またいろいろご指導いただければと思 っております。  トライアルについては、御意見としては承りましたが、私どもとしては一般会計の中 で、企業の障害者雇用のきっかけ作りということで、財政当局にも十分に理解をいただ いて付けていただいている予算でございますので、引き続き一般会計の中でしっかりと した予算要求をしていきたいと思っております。  委託訓練については、委託訓練はハローワークもかなり連携をとらせていただいてい ますが、十分でないところもまだまだあるようでございますので、輪島委員がおっしゃ ったような形での連携がとれるように、指示をしてまいりたいと思っております。 ○座長  輪島委員どうぞ。 ○輪島委員  まず渋谷のハローワークの件ですけれども、4月18日に連携通達が出ていて、その通 達の一番最初の項目に、地域の情報をきちんとハローワークは集約しなさいと書いてあ るわけで、そのモデルケースが渋谷のハローワークの取り組みなんだろうと思っており ます。本年度が終わった時に、もしくは、少し遅くなるというニュアンスで聞こえます が、それはもったいないので、連携通達を実施するためには、モデルケースとしてこう いう取り組みがあるんだから、全国はこういうことを目指して、きちんと本年度取り組 みなさいというような指示をするべきではないかと思っています。  それから、納付金会計の関係ですけれども、今、240億ないしの納付金が単年度で納 付されるわけで、それを60万円で割ってみれば40,000人、つまり日本の中の301人以 上の企業で240億貯まっていて、割り戻しをすれば40,000人足りないんだということだ と思うのです。納付金をゼロにするためには、40,000人雇用することになるわけなので、 そういう意味からすると、トライアル雇用の常用雇用移行率というのは8割あるわけで すから、企業側にも、それから、障害を持っている本人にとっても都合がいいヒット商 品であるトライアル雇用を、6,000人とか7,000人という規模ではなくて、何万人とい うような規模で動かしていくというのが、基本的には必要なんだろうと思っています。  財源的に一般会計で、単年度1,000人ずつ増やしていっても、それはある程度限界が あるわけですから、そういう意味で、事業主にとってのメリットがあるものは納付金会 計へ移すという基本的な考え方の整理というのが必要なのではないかと、改めて申し上 げておきたいと思います。以上です。 ○座長  一応ご意見ということでございましたので、そういうことで。私も大変関心のあるこ とですけれども。それでは、他に御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、質問につきましては、全体のディスカッションのところでも、もしありま したら出していただくということで進めたいと思います。  それでは、議題2のヒアリングに移りたいと思います。本日より年内4回にわたりヒ アリングを行うことになっておりますが、ヒアリングの対象機関の追加については、前 回の議論を踏まえて検討しましたので、その結果について事務局から説明をお願いしま す。また、本日のヒアリングの進め方についても説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは事務局からご説明をいたします。まず、資料2をご覧になっていただきたい と存じますが、今後の研究会で予定されているヒアリング対象機関です。前回の研究会 で追加させていただいたヒアリング対象先としては、第4回の目に発達障害者関係団体 を追加しています。前回の研究会で発達障害者については、従来の福祉制度の狭間にあ るということで、この回で別途ヒアリングを追加いたしました。  それから、前回、自治体の取り組みもヒアリング先に追加して欲しいというご要望が ございましたので、第5回の方で地方自治体の取り組みを追加をさせていただきました。  それから、ヒアリングの進め方についてですけれども、本日のヒアリングは、地域セ ンターとナカポツセンターの2機関でございますが、1機関当たりご報告を30分でいた だいて、簡単な質疑をそれぞれ10分ずつ取りたいと思います。2機関からの御報告と質 疑が終わった段階で、本研究会の終わりの19時30分まででございますので、5分前ま でフリーディスカッションということで時間をとりたいと思っております。 ○座長  ありがとうございます。職業センターと就業・生活支援センターで、これは今ご案内 のように、これからの連携、ネットワークの中でとても重要な役割を果たしてきますし、 今、職業センターと就業・生活支援センター、また、各都道府県で就業支援センターが 独自にも出ておりますから、そういうものも含んだ形で、どういう関係を作っていくか というようなことで、最後にフリーディスカッションで議論していただければありがた いと思います。  それでは、まず1カ所目、東京障害者職業センター次長の宮崎委員から、「地域障害者 職業センターにおける支援の現状と課題」ということで、時間をとりたいと思っており ます。 ○座長  職業センターと、就業・生活支援センターですが、これはご案内のようにこれからの 連携、ネットワークの中でとても重要な役割を果たしてきます。職業センターと就業・ 生活支援センター、また各都道府県独自の就業支援センターも出ていますから、そうい うものも含んでどういう関係をつくっていくかということで、最後のフリーディスカッ ションで議論していただければありがたいと思います。  まず、東京障害者職業センター次長の宮崎委員から、「地域障害者職業センターにおけ る支援の現状と課題について」お話を伺います。 ○宮崎委員  東京障害者職業センターの宮崎です。地域障害者職業センターの業務についてご説明 いたします。パワーポイント資料と同じものを資料3としてお手元にお配りしておりま す。当センターのパンフレットもお配りしています。参考資料3に、私どものセンター の各事業についてのご案内と統計を付けていただいておりますので、そちらについては ディスカッションの中で必要に応じてご説明させていただきます。 (パワーポイント開始)  ご説明する内容として、1点目は障害者職業センターが実際にどのような業務を行っ ているかという点。2点目は、私どものセンターを過去からの経緯で見ていったときに、 どのように変遷してきているか。3点目は、このような変遷の中で各地域でどのような 形で受け止めながら取り組んできているか。という3点についてご案内していきます。  私どもの障害者職業センターの位置づけは、法律に規定されている障害者の職業生活 における自立を促進するために設置・運営されている障害者職業センターの1つです。 各都道府県に1カ所ずつ設置されております。また、北海道、東京、愛知、大阪、福岡 の5カ所には支所が設置されており、全センターで同じ業務を行っております。法律の 中で規定されている業務の内容は、4ページのシートにある1から4のとおりです。  どのような体制で業務をやっているかが5ページのシートです。黄色い部分が障害者 職業カウンセラーで、実際に障害者の支援をさせていただき、事業をうまく運営するよ うにコーディネート等で取り組んでいる職員です。右側のピンクの部分は、実際に障害 者の支援、あるいは事業主の援助をする非常勤の職員です。  6ページが利用者の人数です。全国の障害者職業センターにおいて、平成17年度にご 利用いただいた方の合計人数は24,853名です。それを障害別に見ますと、グラフにある ように、半数強が療育手帳を持っている障害者です。  7ページは、障害者、事業主それぞれに対する業務がどのように変遷してきているか をグラフ化したものです。特に平成10年辺りで、事業主支援業務を拡充していく中で、 障害者、事業主についての支援件数が非常に増えてきています。  具体的に私どものセンターの業務をご案内いたします。9ページでは、私どものセン ターの業務の流れを示しました。利用者の障害者、それから事業主の方それぞれに対し て、ニーズを的確に捉え、いろいろな事業を組み合わせながら、どのようなプランで進 めていったら円滑に進むかということを検討し、職業リハビリテーション計画や、事業 主支援計画を策定し、各事業の効果的な展開に心がけているところです。以前は、就職・ 雇用という真ん中のところのグリーンで示してあるところがゴール、目標という形で、 その後フォローアップ、適応指導していくことが多かったわけです。現状では、こちら の図に示しておりますとおり、就職・雇用よりも右側の業務が非常に拡充してきて、就 職・雇用というのは1つの通過点であり、職場に定着し、そして職業生活が安定し、障 害者が働きつづけられるようにという支援をさせていただいております。  10ページの図に書いてありますのは、私どもが行っている業務を、利用対象の種別に 分けて書いてみた図です。お配りしております東京障害者職業センターのパンフレット をお開きください。私どものセンターのパンフレットで見ますと、障害者に対する業務 は上のほうにブルーで書いてあります。そして、事業主に対する援助業務は、下のグリ ーンの部分です。真ん中のジョブコーチと、精神障害者職場復帰支援のところは、ブル ーとグリーンのグラデーションをかけておりますが、こちらは障害者、事業主双方に対 して支援をする業務だという位置づけです。このパンフレットは、もともと障害者や事 業主という利用者向けに作られたものなので、いちばん下に小さく書いてありますが、 ピンクの部分で関係機関業務というのがあります。こちらもかなりのウエイトで実施さ せていただいておりまして、障害者、事業主、関係機関をほぼ3等分ずつで業務を実施 しております。  12ページをご覧下さい。障害者に対する業務についてご説明いたします。私どもの地 域センターで行っている、障害者に対する支援というのは、職業リハビリテーション計 画に基づいて、対象者に効果的な支援を適切な時期に適正な体制で実施していくように と心がけております。  職業リハビリテーション計画というのは13ページに示しているように職業評価の結 果に基づいて、インフォームド・コンセントを行って、本人のその後の支援を展開して いくに当たり、「支援の利用者が主体者なのですよ」ということを意識していただきなが ら取り組む、というのが私どものインフォームド・コンセント、職業リハビリテーショ ン計画の策定の意味になります。障害者職業センターは、職業リハビリテーション計画 を策定する機関、評価機関なので職業評価をしてもらえばいいというお話を聞くことが あります。しかし、障害者職業センターは、計画を立てるために評価が終わったらサー ビスが終了ではなく、ここで立てた計画に基づいて、実際に支援をうまくコーディネー トして、職業リハビリテーション計画をもとに支援をうまく遂行していけるように、コ ーディネートしていくことを意識しながら取り組んでいる、ということをご理解くださ い。医療の分野のインフォームド・コンセントと同じで、治療をどのようにしていくか、 ということを一番大切にして業務を行っているということです。  14ページで、職業準備支援をご説明いたします。職業準備支援についてはグリーンの リーフレットをご覧ください。実際に模擬的な就労場面を活用した作業支援、職業準備 講習カリキュラム、精神障害者自立支援カリキュラムの3つをやっています。グリーン のリーフレットの裏側にそれが書いてあります。  15ページをご覧下さい。実際に模擬的就労場面を活用した作業支援では、基本的労働 習慣を形成し、職業に就くための準備を行うとともに、障害者にどのような職場環境を 用意したら、職場の中で力を発揮できるのだろうか、ということを把握・評価すること を目指して実施しております。これは、具体的な実施風景の写真です。職業準備講習の カリキュラムでは、事業主あるいは専門講師に講話をいただいたり、事業所見学の機会 を設定したり、体験実習的なことをしながら、就職活動のスキルを身に付けたり、就職 に向けたいろいろな知識を習得していただく、あるいは安定した職業生活を継続してい けるように、情報提供をしております。準備講習で実施していく課題を4つ紹介させて いただいております。精神障害者の自立支援カリキュラムでは、統合失調症の方たちを 中心とした、精神障害の方たちに、対人スキルを付けていただき、精神障害の方が就職 活動への動機づけを高めていただくことを目指しております。このカリキュラム自体は、 同じ障害をもっている方の集団の力をうまく使いながら、就職への準備性を向上させて いるところです。  16ページです。障害者と事業主双方に対するサービスということで2点。総合パンフ レットでグラデーションのかかっている2つの業務です。1つ目は、ジョブコーチによ る支援事業です。私どもの、黄色いリーフレットのジョブコーチの案内をご覧ください。 17ページをご覧ください。ジョブコーチの支援については、対象の障害者、そして事業 主の課題に合わせて、実際には雇用される前から、雇用と同時に、あるいは雇用された 後にといういろいろなタイミングで、そして1カ月から7カ月の間で期間を設定できる ような、柔軟なカリキュラムによって実施しています。就職のステージすべてで利用で きるツールとして活用しております。  ジョブコーチが支援している内容を表したものが18ページの図です。具体的には、私 どものパンフレットの裏側に、どのような支援マニュアルや資料を作っているかをご案 内しておりますのでご覧ください。  ジョブコーチが実際に支援を始めるときにどのような課題の方がいるかを整理してみ ますと、こちらのイ、ロ、ハのように大きく3つのものがあります。1つは、仕事をし ていく力を付けて、仕事がよくできるように。2つ目は、対人関係などをうまくこなし て、職場に定着・適応できるように。3つ目は、職場のルールや社会生活能力、社会性 を付けて、基本的労働習慣の崩れを直していくように。こういう課題が出てきたときに 支援をするということです。  次の業務は、20ページの精神障害者総合雇用支援です。こちらについては、昨年の法 改正に伴い、昨年10月から全国の地域センターに導入されて、現在、各地域センターが 最も力を入れている業務です。精神障害者という特性を考慮し、主治医等医療機関との 連携の中で本人に支援をしていくこと。事業主の理解を取り付けながら、企業の中でう まく受入れ体制ができるように事業主に働きかけていくこと。1つの機関だけで支える のではなく、関係機関のネットワークで支えていけるようにネットワークを強化してい くこと。この3方向を多面的に盛り込んでいるのが特徴になります。  この総合雇用支援の中心の業務というのが、21ページに示したリワークコーディネー ト、リワーク支援になります。この事業は、うつ病等の精神障害の方の職場復帰を行う 支援です。実際には対象者、事業主、医師、主治医それぞれの復職のイメージを同一に していく、統一化していくことが重要だということで、この合意形成を図っていくよう な働きかけをしていきます。例えば、みんなが復職したいと考えていても、本人は会社 に戻って前と同じ仕事だったらなんとかできるだろう。会社の方では、100%できるよう になったら職場に戻ってきていただければいい。主治医は、うつ病という病気を考えた ら、少し緩和出勤的に無理をしないで働かせたい、と言っていることがよくあります。 三者三様で、復職とは言っていても随分ずれがある。ここをうまく合意形成しながら、 復職のイメージを作り上げていくのがリワークコーディネートになります。コーディネ ートの結果、3、4カ月のスモールステップを使いながら、復職に向けたトレーニング をしていったほうがいいだろうという方については、次の段階でリワーク支援に進んで いただいている状況です。  22ページをご覧下さい。事業主に対する業務についてご案内いたします。事業主に対 する業務については、総合パンフレットのグリーンの部分です。大きく3点書いており ます。障害者雇用に関する相談、雇用管理サポート事業、体系的支援の3つです。障害 者雇用に対する相談の部分は、23ページのパワーポイントの黄色の部分です。実際にこ の支援は、地域センターが解説された当初から、障害者の就職支援をし、職場に適応で きるように援助する中で、やってきた業務です。雇用管理サポート事業というのは、障 害者の雇用管理の課題について、地域におけるさまざまな分野の専門家と協力しながら、 具体的な雇用管理上の課題を解決するために、いろいろな専門家にアドバイスしていた だく機会をつくるものです。私ども東京のセンターでは、企業の数もたくさんあります から、共通の課題を持った企業も多いです。そういう意味で、経験交流的な講習会や情 報交換会を開催したほうがいいだろうということで、総合パンフレットの中に、白抜き で雇用管理サポート講習会と書いてあります。実際に同じ課題を持っている企業に集ま っていただいて実施しております。ちなみに今年度は15回開催する予定で、いままでに 6回ほど実施してきていて、来週には7回目をやる予定です。障害種類別の基礎知識を 学んでいただく講座、採用面接のロールプレイをしていただきながら採用面接のあり方 を勉強していただきます。あるいは、業種別のメンバーに集まっていただいて、業種別 にどのような雇用管理上の課題を持っているのか、という経験交流を図っていただくよ うな取組をやっております。  24ページの体系的支援は、特に大企業を中心としてCSRとかコンプライアンスで、 障害者雇用に非常に積極的に取り組んでいただいている状況があります。こういう企業 から、障害者の採用計画を樹立していく、あるいは効果的な計画策定のための取組をし ていきたい、そこを地域センターでバックアップしてくれないかという相談をいただく ことが多く発生しております。特に、本社機能が集中している東京、大阪という大都市 では、こういうニーズが増えています。このときには、事業主支援計画に基づき、いろ いろな事業を活用し、研修会に講師を派遣したり、事業所のニーズ調査を実施したり、 そのほかいろいろな制度を組み合わせながら、円滑な障害者雇用を展開できるように支 援しております。実際に、全国の支店や支社で障害者雇用を進めていただくに当たり、 採用選考の留意事項について整理したり、東京でシミュレーションをして、そのモデル を全国の支店・支社に伝えながら、障害者雇用に取り組む企業も多く発生しております。 そういう場合には、私どもの全国ネットを使いながら、ほかの県の地域センターに「こ この企業はこんな取組をしている」ということを伝え、企業全体がうまく障害者雇用を 進められるようにバックアップしている状況です。  この体系的支援というのは、障害者雇用のコンサルテーション的な意味合いが非常に 強い事業ですし、ここの部分については知識やツールという部分だけではなかなか対応 しきれないところもあります。経験に裏打ちされた、幅広い可能性に関して、情報提供 できるような技術も必要ではないかと考えております。そういう意味では、企業に接す る、そして全国展開しているという地域センターの力をもっと発揮していかなければい けない領域ではないかと考えております。  関係機関に関する業務についてご案内します。26ページをご覧下さい。こちらについ ても大きく3種類あります。1つ目は対象者を介した連携、2つ目は職リハネットワー クの基盤整備、3つ目は職リハ専門職の養成研修・人材育成です。対象者を介した連携 については、実際に障害者をどのように支援するかを、関係の方に集まっていただいて 相談するということで、センター創立当初から実施してきているものです。ネットワー クがうまくいくように、職リハの最新情報、最新知識を提供したり、ネットワーク内の それぞれの機関の役割分担を図っていくような取組をしていくのが真ん中の基盤整備で す。ここについて地域センターでは、いろいろな協議会やフォーラムを実施し、ネット ワークの面的な広がりを支援していく取組をしております。養成研修・人材育成の点に ついては、特にジョブコーチの養成研修を始めるようになってから非常に増えてきてお ります。実際に地域の職リハ専門家の皆さん、あるいは一緒に職リハをやっていこうと いう方たちに、基礎知識や入門の技術を修得していただくような講習会、講座を実施し ております。最近では、中堅の実務担当者のスキルアップのための研修会を求める声も 非常に増えてきております。私ども東京センターでは、今年度は試行的に、経験交流的 な実務研修を実施していこうとしています。就業支援中級講座という形で開催していく 予定にしております。  これまで、地域センターの現在の業務についてご案内してきましたけれども、これら は実際には設立当初から全部揃っていたわけではなく、センターの成長とともに少しず つ拡充されてきております。その変遷を少しご案内いたします。  28ページをご覧下さい。センターが設立された当初から昭和の終わりぐらいまで、こ の頃の業務というと、ここに書いた図のような形になります。黄色い部分が主に業務の 中心としてやってきたところです。実際に求職中の障害者に対する職業評価的な関わり が中心でした。就職に向けてのセールスポイントを見出していく取組です。  そして、29ページの、時代が昭和から平成に切り換わるころになりますと、障害者の 能力を評価するだけではなく、セールスポイントをさらに伸ばしていく。労働習慣を習 得したり、就職のための武器を身に付けて、就職を具体化していくといった取組が増え てまいりまして、職業準備訓練、職業講習を導入してまいりました。これらの事業の中 で、職場に近づける努力、あるいは職場に入ってからの適応指導ということで、企業に 接する機会がどんどん増えていっています。  次に30ページになります。平成1桁から平成10年ぐらいまでの間のいちばんの中心 の部分というのは、職域開発援助事業という、ジョブコーチの前身の事業を順次導入し ていったこと。そして障害者雇用支援センター、以前はあっせん型雇用支援センターと いう名前だった障害者就業・生活支援センターができ、こちらへも技術協力をさせてい ただいたり、交流集会を開催しながら、地域の専門機関として職リハ情報を提供する役 割を増やしてきました。  次に31ページですが、平成10年、平成11年以降、ここで飛躍的に業務が変わってお ります。先ほどのグラフの中でもご案内しましたが、バブル崩壊後の雇用は、少し障害 者へ意識が向いてきたという風の中で、私どもの業務も企業に対して支援する、あるい は労働者の働くスタイルの多様化に合わせた形で支援するということが増えて、これに 伴い、これまで障害者雇用の経験の少ない企業が非常に増えてきました。そういう中で、 ジョブコーチの試行実施をしたり、事業主支援ツールが拡充され、そして、一方で精神 障害者の就職前支援であるとか、高次脳能機能障害者の復職支援といった形で、いまま であまりご利用いただかなかったタイプの障害者への取組を強化するという形で展開し ていっています。  実際にこのような形で展開していくと、平成1桁までの間というのは、人口や企業の 数、都道府県の格差という量的な格差が中心だったのですが、平成10年以降は各センタ ーが、どこが自分の所の重点業務なのかという見直しをしながら、戦略を立てて取り組 むという形に変わってきましたので、重点サービスの違いという質的な地域差が生まれ てきたように思います。  そして、32ページですが、昨年の法改正の中で、さらに精神障害の方の支援というこ とでピンクの部分が付加されております。実際にこれから精神障害の方への取組をはじ めとして、いろいろな形で業務が増えていくのではないかと考えているところですが、 就職前の支援、そして就職後職場で定着できるように、さらには復職の支援と、支援の ステージが拡大していくとともに、対象となるのも障害者中心から事業主、関係機関へ と対象範囲が拡充し、さらに障害種類の重複化・多様化によって支援の深さも拡大して いる。3方向それぞれグッと大きくなっているというのが地域センターの業務です。5 年ごとの法改正の中で見ていったときに、同じことをやっていた5年間が全くない、と いう状況になっています。  現状では、地域センターごとに若干の業務格差が発生してきているところですけれど も、この背景の部分を少し探っていきます。地域の中で、事業の重点をどこに置くかを 検討した場合に、それぞれ戦略を立て、重点化していくところをどこに置くかで、少し ずつ地域差が出てきているのではないかと思います。それぞれ対象者に対する支援、事 業主、関係機関への支援の3方向で見ていったときにどうかというところで33ページの 図を作ってみました。  対象者に対する支援は、34ページに示すように、実際には都道府県格差はほとんどな い状況ではないかと考えています。先ほどの量的な差はありますけれども、現実にカウ ンセラーが地域間の異動をして、他のセンターに異動したとしても、いろいろなタイプ のさまざまな課題を有する障害者に対して、個々の状況に応じて、すぐに支援を展開で きるような組織になっております。そういう意味では、障害者の部分に対する都道府県 の格差というのは、人口であるとか事業所数によって、事業をどれだけやるかという量 的な部分の差が大きいと思います。  35ページのとおり、事業主に対するサービスも、2番目の対象者が働きやすい環境整 備を支援していくという段階までは、ほとんどの知識、情報、ツールは全センターに付 加されておりますし、十分支援ができるということで、地域センター間の格差というの は量的な差だけではないかと思われます。ただ、先ほどもご案内しましたように、体系 的支援をはじめとして、障害者のコンサルテーションとでは、経験の差がサービスの質 の差につながりやすい性格を持っておりますので、実際には地域センター間のサービス の質の格差が若干発生していて、東京、大阪という経験値の高い所のほうが、よりサー ビスの質が高くなっているのは否めない事実かと考えています。  36ページの「関係機関との業務」では、地域の社会資源の設置数や発展段階、あるい は各機関の経験や自治体の制度の差が地域センターに対するニーズの差になっていると 考えています。例えば、非常にたくさんの社会資源がある東京では、機関ごとの就労支 援の実力差や経験の差が大きく、全体的に底上げしたり、東京都内の地域間格差を埋め るためのコーディネート機能を求められるケースも多く発生しております。経験が少な い機関からは、基礎的な知識や技術を提供してほしいというニーズが多い一方で、就労 支援の経験を重ねた機関からは、中級者へのスーパーバイズや人材育成について協力し てほしいというオーダーもあります。  地域センターの格差について見ていったときに、実際にはいろいろな要因が絡み合い ますので、47とおりと言ったほうがいいのかもしれないのですが、37ページのとおり強 引に分けると3つのタイプに分けられます。社会資源がくまなく整備されている東京の ような大きな所、県内の社会資源の地域格差が大きく均質ではない所、県内全体が発展 途上で、底上げを必要とされている所、その3タイプになるのではないかと思います。  1番目の社会資源が地域の中でくまなく整備されているところでは、職リハ情報の提 供や人材育成への要請も多くなっております。また、福祉サービスとは違って、実際に それぞれの機関が管轄しているエリアを越えて支援するのが就労支援の特徴です。そう いう意味で、都道府県内のほかの地域にも支援しなければいけないというようなときに は、マンパワーの不足があったり、制度の違いあるいは法人の考え方や理念の違いがあ って、1つの支援をするときに様々なやり方で支援をするというようなことになりかね ません。実際に、1つの事業所に複数の機関が入ったときに混乱してしまうことや、ほ かの機関の対象者は支援しないということになると、企業にも迷惑をかけることになり ますし、対象者ごとのサービス格差を生んでしまうことになりますので、そういったと ころを穴埋めするコーディネート機能が求められます。  従来は、一般的に障害者から始まって企業への支援という形につなげてきたところで すが、それが最近は、障害者からではなく、事業主の方から「障害者雇用を進めていき たい」、そして、「障害者をどのように支援してもらえるか」という流れも出てきました。 そういった援助も多くなってくると、関係機関との連携、コーディネートが非常に必要 になってきます。  2番目のタイプの県では、関係機関のコーディネート役を果たす部分とともに、社会 資源が不足する地域では、周辺の業務など、やや守備範囲を越えながら援助する。連携 先となる社会資源や専門家を発掘していくというニーズも寄せられることになりますし、 県内の地域格差を埋める取組を求められています。県内全体の底上げが必要な県では、 県内の有力な関係機関、社会資源と協力しながら戦略を立て、全体の底上げを図ってい くことが必要になると考えています。  最後に36ページをご覧下さい。これまで説明してきた地域格差に対して、地域センタ ーが全国組織であることのスケールメリットを生かしながら取り組んでいる、サポート しているということを説明して終わりたいと思うのですが、これについては大きく4点 あると考えています。  1つ目は、研究部門や新たなサービスを開発するセクションが高齢・障害者雇用支援 機構にあり、支援対象となる障害者の障害種類の拡大や支援ニーズの多様化といったと ころをバックアップする組織があり、そしてデータが蓄積されているということが背景 にあります。2つ目が、全国のセンターが一定の基準で同じ業務を実施しておりますの で、全国でデータを蓄積でき、他の都道府県の情報や実績に基づいて効果的な支援を提 供したり、全国どこでも同じサービスを受けることができるような安心ネットがあるこ とです。3つ目としては、このような形で展開するに当たって、カウンセラーの養成・ 研修という部分がバックボーンにあり、厚生労働大臣の指定講習以降、キャリアに応じ た体系的な職員研修を実施し、中堅カウンセラーには地域でスーパーバイズができるよ うな能力を付与しながら、コーディネーターとしての人材育成を図っていることです。 一番重要だと思っているのは4点目、地域に合わせてサービスをアレンジできる組織体 制です。全国ネットの人事異動であるがゆえに、ほかの県で体験している経験を持ち寄 って、その県に合わせたディテールやノウハウを検討できるような、自分の県に合わせ た最適なアレンジができる、そういう組織体となっていることです。  このような全国のスケールメリットを出しながら地域を支えていくことが地域センタ ーの使命かと考えています。  (パワーポイント終了)  地域センターの業務は、先ほども説明したように日々刷新してきておりますが、研究 部門との有機的な連携を図ったり、全国ネットでの一貫したサービス提供に心がけなが ら業務に取り組むとともに、全国の人事異動であるがゆえに、ほかの県での実体験に基 づく効果的なサービスを提供でき、その結果をさらにほかの県に情報提供しながらタイ ムリーに活用していける組織であるということが、よその機関にない独自性で、地域セ ンターの専門性を発揮できる源になっているのではないかと考えているところです。以 上、私から急ぎ足、早口で説明いたしましたが、地域障害者職業センターの業務と今の 状況についてご案内をさせていただきました。 ○座長  ありがとうございました。持ち時間を超えてしまいましたので、質問等はフリーディ スカッションに回していただくことにして、次の高井委員による「障害者就労・生活支 援センターにおける支援の現状と課題について」に進ませていただきます。30分間ご報 告いただいて、質疑応答10分間という持ち時間で進めたいと思いますので、ご協力をお 願いいたします。高井委員、よろしくお願いいたします。 ○高井委員  私は、兵庫県の加古川障害者就業・生活支援センターから来ました高井と申します。 どうぞ、よろしくお願いいたします。  障害者就業・生活支援センターの報告をさせていただきます。報告の順位はレジュメ のとおりに進めさせていただきます。  (パワーポイント開始)  就業・生活支援センターの前身である「あっせん型」雇用支援センターは、平成10 年10月に誕生しました。そして、福祉と労働の狭間を埋める画期的な事業として就業支 援を開始いたしました。安定した職業生活を継続的に支援するためには、就業面だけで はなく、生活面の一体的な総合支援が重要であることから、地域にその拠点づくりとし て、さまざまな試行を経て就業・生活支援センターの本格的実施となりました。そして、 現在はその有効性が評価されて次々と拡大され、全国110カ所で事業展開されておりま す。  就業・生活支援センターには運営マニュアルはなく、1つのセンターの1つの事業に 3つの部署が関与することから、非常に分かりづらい部分もあり、国からの情報提供が 都道府県に、そして市町村の労働行政、福祉行政に伝わるためには非常に温度差がある ように感じております。兵庫県の場合、事業指定は県の産業労働部が指定し、雇用安定 等事業の委託は労働局、そして、生活支援事業の委託は県の健康生活部福祉局が担って おり、それぞれの範囲が独立して関わっているような状況です。  ただ、私ども福祉施設が就業・生活支援センターとして指定を受けることによって、 とてもよかったことがあります。それは、身近な職業リハビリテーション機関の1つと して労働行政や企業の皆さんから承認され、そして、さまざまな情報が容易に提供され るようになったことです。  それでは加古川就業・生活支援センターの活動について報告させていただきます。一 法人が受託した事業ではありますが、就業・生活支援センターの大きな役割は、働きた いと希望する地域のすべての人たちの社会資源として提供することが大切な視点である と考えています。センターを利用される多くの方々はハローワークだけの支援では就職 できなかった人、そして地域の障害者職業センターの支援だけでは就職できなかった就 職困難者であり、生活、そして就業面の一体的支援が必要な方々の利用となっています。  数年前からは、特に精神障害者の相談・支援が急増しました。長い時間をかけて加療 中の方々がうまく就労移行されていないというのも実情です。  次に直接的支援の内容ですが、まず、ご本人からの相談を受けるところから始まりま す。そして、障害者就業・生活支援センターに登録していただき、ハローワークの求職 登録、必要に応じて障害者職業センターの評価を受けていただくとともに、私どもの就 業・生活支援センターの実際に働く現場においての職業評価も行い、個別支援計画を作 成していきます。そして、就業準備訓練等実際の職場を使った協力事業所での準備訓練 を行いながら、障害特性の把握・適職開拓につなげております。その結果を基に、就職 支援プログラムの策定、職場実習、就職支援、定着支援、再チャレンジへのシステムの 確立を行っております。実際の就業支援の流れはこの図のような形で流れていきます。 そして、うまくいかなかった場合は、また元に戻ってきて訓練を行って次へのチャレン ジを目指しているというのが実情です。  就業支援の実際についてですが、就業支援で私たちがいちばん大切にしているのは、 本人が決めた本人の望む生き方、働き方を実現したいということです。そして、本人を 中心に据えて、社会のさまざまなものをつなぎ合わせながら社会資源を開発し、さまざ まな関係機関とチームをつくりながら就業支援を進めております。働くことをイメージ しにくい人たちも多く、実際の協力事業所、企業内授産等を活用しながら適職開拓に努 め、職業評価を基に、労働行政のさまざまな制度を活用したり、地方自治体の独自施策 等も有効に活用しながら就労移行を進めております。  私たちのもう1つの大きな業務は、働きたい、働き続けたいと望む人たちの受け手で ある事業主を支援することです。今までの多くは、事業主におんぶに抱っこで、就職し たら事業主にお任せというような支援がたくさんありましたが、それでは障害者雇用が 進むはずがありません。そんな中で、雇用管理から障害者の特性や行動の理解、効果的 な伝達方法、倒産時、また事業規模の縮小等の場合も進路の変更等の支援を行っており ます。また、事業内容の変更等についての再支援等も行っております。全国110カ所の センターでは、1センター当たり82事業主の支援を行い、1年間で約800件の支援をし ております。  次に、地域の中で普通に働き、暮らすためにということでお話いたします。私たちの 事業の大きな目的は、就職支援は確かに大切な仕事ではありますが、それ以上に、安定 して働き続けることが重要だと思っております。そういう意味では職場定着支援がとて も大切であり、定期的な巡回指導をすることで問題の早期発見、早期立て直しを心がけ ております。また、崩れるときは、就業初期に起こる問題、何年も働き続ける中で起こ る問題等さまざまありますが、それぞれの本人の状況に合わせた定着支援を行っていま す。また、就業生活を維持するための環境整備の支援を行ったり、休職者の職場復帰支 援等も実施しております。  障害を持った人たちが地域の中で働くためには、確かに働くことの支援も大切ですが、 働くことは生活の一部分です。良い働きを続けるためには、当たり前の暮らしをしっか りと支えることがとても重要であり、その役割が就業・生活支援センターに課せられて いると思っております。そういった意味では、余暇の充実した豊かな暮らしを支えるた めに、金銭管理、基礎年金や各種福祉サービスの紹介・手続、住居の管理・清掃、通院 同伴、服薬管理、身支度、成年後見制度の手続、事故・事件等に巻き込まれた場合の対 応など、非常に幅広い生活支援が必要となっております。  このように、私たちの仕事は、相談から職業評価、職場実習、就職、職場定着、そし て再チャレンジの場と、途切れのない就業・生活支援が我々の役割だと思っております。 こうした活動を続ける中で「働くことが当たり前」を実現し、本人、保護者、事業主が 安心できるような環境をつくることに心がけています。  次は平成17年度の実績報告ですが、本日厚生労働省から参考資料4−2という形で、 平成17年度の概要と全国の事業の実施状況を詳細な資料として添付していただいてお りますので、後ほどご高覧ください。私どもの雇用安定等事業並びに生活支援事業等の 実施結果報告についてもこの資料の中に添付してありますので、後ほどご高覧いただけ れば、どれだけ細かい支援を日々行っているかをご理解いただけるものと思います。  次は支援の実施体制です。相談から始まり、定着支援に至るまでの就業・生活全般に おける総合支援が私たちには求められておりますが、その実施体制は「雇用安定等事業」 で就業支援担当者を2名設置すること、そして「生活支援等事業」で生活支援担当者1 名を置き、合計3名の職員配置がされています。多くの場合、この3名の者が就業面と 生活面の一体的支援を行っております。  私たちの事業は、頑張れば頑張るほど毎年支援対象者が増え続ける事業です。そして 近年では、多様化する障害内容、そして世相を反映するさまざまな複雑な問題が発生し ており、支援現場においては、3名という人員配置でこれだけのことをするには既に限 界に達していると感じております。全国110カ所のセンター1カ所当たりの登録者は181 名になっており、年間の相談件数は3,749件、そして1センター当たりの就職件数は28 件です。こんな状況ですので、3人でこれだけの支援をすることは、すでに限界を超え ている状況です。  「雇用安定等事業」で交付されている費用は「謝金」程度を支払えるような職員配置 しか想定されていないために、実績、研修、専門性を身につけた職員を育成したとして も、離職してしまう人もたくさんおります。一方、専門性の高い職員を配置した場合は、 センター自身が大赤字というような状況です。この状況で、多数のセンターは、運営費 の補填を本体の法人に頼っています。  このセンター事業を指定されるに当たっては、指定される条件として「法人の財政的 支援が受けられる」ということが挙げられておりますが、障害者自立支援法の施行に伴 い、本体法人の台所事情は火の車という状況で、これ以上は支援してもらえない状況に あります。私たちが行っている事業の内容としては、1,362万円で1センター当たり28 名の人が就職しています。これは、さまざまな援助制度を活用しながらということは事 実ですが、費用対効果はすでに十分すぎるほど上げているのではないかと確信しており ます。逆に、この効果に対する費用負担を見直す必要があるのではないかと強く感じて おります。  私たちには毎年、前年度の全国センターの業務実績報告の平均値を目安に、かつ前年 度を下回らないような目標数値が求められます。事業に目標を掲げることは確かに大切 なことだとは感じておりますが、全国に110カ所あるセンターは地域差、地域ニーズを 加味できないので、全国平均値を目標値とすることは現実的ではないように思います。 また、職員配置は3名と変更がないにもかかわらず、毎年上昇し続けるこの目標値設定 は到達点があるのか、と非常に疑問に感じることもあります。こんな中で、実績を上げ ることが大切、数字を追い求めることが大切かと。決してそうではないと私は思ってお ります。  最近では精神障害者の相談が急増しており、我々のセンターの仲間の中には、精神障 害者の支援を中心にするセンターもたくさんあります。ご本人の希望により、クローズ での支援を望まれる場合があります。そういった場合は、数値が実績として非常に上が りにくいという現状も知っていただきたいと思います。私は、こんな状況の中で、目標 設定はとても大切だと重々承知しておりますが、本日ご出席の委員の皆様から適切な業 務評価のあり方についてもご指導いただければと思っております。  毎年のように変更される雇用安定等事業の実績報告書。就業と生活を一体的に支援す ることを目的とした事業ではありますが、実績報告書はそれぞれ別です。このセンター には事務を担当する職員はおらず、さまざまな報告が重なり、事務量は非常に多く、現 場は大混乱しているということもご承知いただきたいと思います。このセンターの位置 づけですが、行政側の立場としては、雇用安定事業、生活支援事業、この2つから事業 の組立てがされておりますが、受託者である私たち障害者就業・生活支援センターはあ くまでも1事業であると考えております。そして、その業務の内容は、就業面と生活面 の一体的支援、そして就業推進に有効な周辺事業の全般であると考えております。この 意識のずれが様々なところでひずみを現しているのだと思っております。  次に、地域の関係機関との連携、ネットワークの構築です。私たちは、福祉施設とし ては異端児としてみんなから見られていました。しかし、こういった時代を経て関係機 関と連携できるような時代がやってきました。それも就業・生活支援センターの委託を 受けたからであると思います。この事業の中には、雇用支援連絡会議、雇用支援者養成 研修を必ずしなさいというような文章が入っております。こういった会議や研修会を持 つことによって、顔の見える地域でネットワークが構築できたと思っております。そし て、このネットワークの構築によって、さまざまな勉強会が地域でいま展開されている ところです。こんな活動のネットワークを構築できたのは本当にうれしいことです。  私たちの地域では、この表にあるようなネットワークを構築することができました。 本年度から、介護保険制度の中で包括支援センターが地域に展開されるようになりまし たが、私たちの地域では介護保険の対象者、また支援の要る人たちを地域の中で、みん なで住みやすい地域をつくっていこうということで、このネットワークの中にも入って いただきました。  次は福祉・教育分野への働きかけです。あっせん型雇用支援センターの運営マニュア ルの中では、「在学中の生徒への支援はするべからず」と書いてありました。しかし、学 校を卒業すると同時に就職した多くの方々は、1年以内に離職するケースが私たちの目 についてきました。本当に個別移行支援計画がうまく立てられ、スムーズに移行できて いるのか、非常に疑問に感じるところです。私は、学齢期は就業・生活の力が育成され る非常に大切な12年間であると感じております。もう一度各関係機関、学校、家庭は、 先送りにするのではなく、生きる力を確実に獲得するようなことを、それぞれの役割と して果たしていかなければならないのではないでしょうか。  私たちの地域では、学校とともに移行支援を実践中です。学校の進路相談に参画させ ていただき、実際に私どもの働く場所を職業評価の場として提供し、職場開拓実習支援、 職場支援、定着支援等も一緒に行っています。同様に、福祉施設等の移行支援も実践中 です。  地域における就労支援を担う人材の育成ですが、私たちのセンターの事業として、マ ンパワーの活用ということで雇用支援者の養成研修があります。これは年2回の研修を 通して実施しているわけですが、支援対象者を直接支援できるほどの力量を身につけら れるような状況ではなく、養成研修はしておりますし登録者もおりますが、実際の活動 には至っておりません。特に、お互いの信頼関係を必要とされる知的障害者や精神障害 者に、単発で出合った支援者が向いているとは決して思えません。ただ、この研修があ ることによって、地域への啓発、人材育成のための職員研修には有効であると考えてお ります。今後、この雇用支援養成研修については再考が必要なのではないでしょうか。  今後の課題について述べます。障害者就業・生活支援センターは福祉・教育・労働を つなぐ直接支援のみならず、まさにケアマネジメント機能を十分に果たしてきたように 思います。この機能をより強化するためには、ケアマネジャーのような職員を配置し、 人的支援がとても重要ではないでしょうか。また、障害者自立支援法の施行に伴い、本 体法人の財政的状況は非常に悪化しています。そういった意味では、就業・生活支援セ ンターが独立採算が取れるような財政的支援を是非お願いしたいと思っております。  障害の内容やニーズが多様化する中で、より効果的な就業支援を実施するためには、 すでに行われているものですが、センターにさまざまな支援メニューを付加することが 大切だと思います。例えば、ジョブコーチ支援事業、委託訓練事業、グループ就労等が もっと運用しやすいような形で規制緩和されることを願っております。先ほど輪島委員 からも提案がありましたが、例えば委託訓練の窓口がハローワークにあったら、もっと 使いやすいと思いますが、委託元である県の窓口には、本当に委託訓練の必要な所には つくらないという現状が全国各地にあるのではないでしょうか。  もう1点是非お願いしたいことは、身近な地域に就労移行支援事業、ハローワーク、 そして私どもの就業・生活支援センターという3点セットを、全国400カ所に早急に設 置されることを願っております。そうすることによって、機能的に身近な地域で働きた い、働き続けたいと思う人たちを支援できるのではないでしょうか。  次に人材育成です。高齢・障害者支援機構の就業担当者研修会にも参加し、また、厚 生労働省の就業支援者経験交流会等も一昨年から開催されておりますが、その中でそれ ぞれの方の成果物を出し合って、みんなで共有できるような場をもっと多くつくってい きたいと考えております。また、全国就業支援ネットワークの7ブロックの中で、支援 担当者が相互の交流を深めながら各地の先進的な取組から学ぶことも、人材育成につな がるのではないでしょうか。  今の私たちの事業の位置づけとして、障害者就業・生活支援センターは福祉・教育・ 労働をつなぐ担い手として非常に重要な役割を果たしております。相談から始まり、評 価、職場実習支援、就職支援、職場定着支援に至るまですべての支援を担っていると自 負しております。将来、障害者自立支援法が、また、特別支援教育の個別の移行支援が 成熟した段階では、システムとして、センターの役割は相談・定着支援に特化すること も必要なのかもしれません。しかし、その是非は就業移行支援事業等の今後の成果次第 であり、十分な検証なくして早計に論ずることは、障害者の就業支援施策の後退になり かねないと思っています。今初めて障害者の就業についての問題が非常に盛り上がって いるときだけに、慎重に事を運ばなければならないと思います。  最後に、現行の連携施策に対する評価・コメントです。省庁を越えた横断的な連携施 策がこんなにも出たのは初めてで、とてもうれしく思っております。しかし、国からの 発信を精一杯県にも、そして市町村にも伝えていただく努力を、今以上にしていただき たいと感じております。国が決めた制度に対する温度差があまりにもあることを、日頃 の事業の中で感じています。そして、規制緩和がもっと必要なのではないでしょうか。  次に障害者自立支援法の体系についての位置づけです。文章や仕組み図を見る中では、 障害者就業・生活支援センターは、何となく相談・定着支援という形の消極的な位置づ けのように理解してしまいます。しかし、移行支援事業は、今始まったばかりです。そ んな中で私は、就業・生活支援センターは商売繁盛するのではないかと思います。なぜ ならば、今までの福祉施設は、施設から出すという概念を持っておりませんでした。け れども、今回この法律の中では、2年間という期限を決めて出さなければならないとい う状況にありますが、2年間で働ける人として育てて企業に送り出せるのでしょうか。 私はこの点を非常に危惧しております。育てられないまま企業に送り込まれれば、企業 はCSR(社会的責任)等で前向きに努力していただいた雇用意欲が後退させてしまう ことにもなります。また、育てられていない人たちが行き場を無くして就業・生活支援 センターにどんどん来るのではないかと非常に危惧しているところです。  障害者自立支援法が施行され、職業訓練にも利用負担金が発生する時代になりました。 しかし、同様の職業能力開発施設では、訓練手当が支給されて訓練を受けるということ に、私は非常に違和感を感じております。  最近ではニート対策として、また発達障害者に対する就労支援が充実するような方向 で動き始めておりますが、私たちのセンターには定時制、通信制、単位制の高等学校に 在籍する人たちの相談が多く寄せられております。こういった人たちがたくさん全国に いるはずで、こんな人たちにも、障害者雇用の対象として情報提供をそれぞれの労働局 から発信していただきたいと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。6分間ぐらい質疑の時間が残っていますが、今の高井委員 のプレゼンテーションで、質問がありましたらお受けしたいと思います。いかがでしょ うか、とても重要な内容が出ておりますが。 ○松為委員  1つお聞きしたいのですが、17ページのところの福祉・教育分野の働きかけのところ で、先ほど高井先生がおっしゃった、在学中の生徒への支援はするべからずというのは、 これは本当にそういう格好で、制度かなんかで、決めているのですか。そこのところを 少し説明していただけるとありがたいですけれども。 ○高井委員  あっせん型の雇用支援センターの時のことですけれども、運営マニュアルの中に在学 中の方の支援はしてはいけないというような文言が入っていたように理解しています。 ○座長  そのことは、事務局の方から何かありますか。 ○障害者雇用対策課長  高井さんのところでやっていただいているような現行の生活・支援センターの扱いで、 こういうふうに決めているという認識は、私個人としてはないものですから、過去の部 分も遡って、どういう扱いがあって、それがその後どうなっているのかをきちんと確認 した上でご回答申し上げたいと思います。主旨としては、我々としては、こういったこ とをするべからずという立場にはないと思っておりますし、実際、高井さんのところ以 外にも、この間行ったナカポツセンターでも、同様に養護学校と連携をして、養護学校 にいるうちから就業支援を入れていただいているというお話も聞きましたので、そうい う方向は大切ではないかと思っております。 ○松井亮輔委員  20ページで、身近な地域に就労移行支援事業+ハローワーク+就業・生活支援センタ ーを早期に400カ所と書いてありますけれども、これは何か根拠はあるでしょうか。そ れから、先ほど、今の就業・生活支援センターの難しさをさまざま指摘されたわけです けれども、そういう状況の中で、今後110が400に現実的に拡大していくことが期待さ れますか。 ○高井委員  早期に400カ所というのは、たぶん障対課の方でそういう目標を挙げていただいてい るものだと思っております。400カ所あることによって、身近な地域で働くことと、生 活も含めた支援ができるものと思っておりますので、是非そうしていただきたいと思っ ております。 ○座長  これは、課長からお願いします。 ○障害者雇用対策課長  今、高井さんからご指摘がございましたように、障対課といいますか、私ども厚生労 働省の目標として掲げておりまして、具体的には、今回、自立支援法の関係で都道府県、 市町村に障害福祉計画を作っていただきますが、その基本的な指針というのを、6月に 告示の形で厚生労働省から出しております。その中に、就業・生活支援センターを含む いろいろな労働関係のメニューについても活用の目安を計画の中に立てていただくとい うことをお示ししているのですが、その一部としてナカポツセンターについては、障害 福祉圏域に1カ所ずつ設置をするということを目指すと書いてございます。現在、全国 で福祉圏域を数えていくと400ぐらいあるというお話なので、そのことが今、高井さん のレポートに出ているという形でございます。 ○座長  福祉圏域との関係ということです。これはスタートの時から、そういうことを目指し たいということでしたが、他にどうですか。 ○高井委員  それから、松井先生がもう1つお聞きになっていたかと思うのですが、なかなか難し い事業立てになっている中で、400カ所に広がる中で、そのことが伝承されるのかとい うことをお尋ねになっていたと思うのですが、是非それは厚生労働省にお願いしたいこ とですけれども、とにかく国からの情報が県に行き、そして市町村に行くという、その 伝えるという努力がまだまだ足りないと私は強く思っております。そのことを是非新し い事業を展開する中では、もっともっと強く伝えるという努力をしていただきたいと思 っております。 ○座長  ありがとうございました。45分になりましたので、ここからフリーディスカッション ですけれども、持ち時間いっぱいで職業センターから宮崎委員の御報告をいただきまし た。発展過程から現状の課題まで、非常に詳しいレポートを初めていただいたというこ とで、私はこの座長を仰せつかったことを大変嬉しく思っています。  連携ということで、この研究会は国の研究会ですけれども、連携は地域なんですね。 ですから、地域を見て、国の施策は地域の連携をより良くしていく、そこに効果的な刺 激といいますか、インセンティブを与えていくというのが国の施策になってくると思う んです。この研究会では、うまく回っていないところを率直に出していただいて、何が できるかということを全体的に見えるようにしていかないといけない。それが役割だと 感じています。そういう意味では、職業センターは東京とか大阪には支所がありますけ れども、全国1カ所ずつで、その強化が求められています。また、就業・生活支援セン ターは110カ所ですが、400カ所という目標があります。この2つ機関は、ハローワー クもありますけれども、重要な連携の役割を担っている機関であるという観点で、この フリーディスカッションをお願いします。  職業センターは、国の背骨あるいは地域の中枢みたいな役割ですが、しかし、地域に は密着型の就業・生活支援センターがまだ足りないという中で、職業センターは相当善 戦をしていますが、苦戦もあるというふうに私は見ているわけですね。精神障害とか新 しいメニューが出てきて、職業センターはかなり頑張っている中で、どういうふうに連 携していくのか。今日は2機関の報告でありましたけれども、これから7時25分までフ リーディスカッションで、いろいろと意見を出していただいて、課題を明確にしていた だきたいと思います。  では、時任委員、どうぞ。 ○時任委員  ここで発言することが必ずしも適切でないことは承知で申し上げますが、今後ヒアリ ングで発表される方に是非お願いしたいことがございます。私どもはテレビを見ており まして、ご覧のとおりですと言われると、チャンネルを変えたくなるんです。こちらで は、それができませんので、パワーポイントで出していただいたものについても、分か るようにお話をいただきたい。是非お願いしておきたい。 ○座長  なるべく情報を共有して参加できるよう、御配慮を事務局の方にお願いして、進めて いきたいと思います。どうもありがとうございました。武田委員からどうぞ。 ○武田委員  先ほどそれぞれ地域でというお話がありましたが、高井さんのお話を聞いていて、1 つひとつ頷いて、そうだよ、そうだよと思いながら聞いておりました。本当に、これま で無認可で就労支援をやっており、就業ポツを受けた時に、法人以外の支援の数など、 やる仕事が多い割には割に合わない委託費だと思いました。3人の事業に見合う委託費 にしていただきたいです。それでも私はやった方が良かったと思っていますが。  ただ、先ほど座長がおっしゃったように、全国一律のものは必要だと思いますが、1 センター当たり28人の就職目標があるんです。島根は人口が20万の圏域でそれをこな そうと思った時に、100万の人口のところと同じ数字を持ってこられる。これは県から 是非言えと言われてきているんですが、少し目標値をなだらかにしていただけないかと。 去年、うちの所長が青くなっていたのは、目標を達成するのに尽力しているのですね。1 年目からなんでそんなことするの。まず、地域のネットワークをつくることが1年目の 課題ではないか。そして、1年目の課題、2年目の課題、3年目の課題とあるはずだと。 確かに、1人でも多く就職する方がいいには決まっているし、もちろん実績は必要です。 ただ、もう脅しのように、何人達成しなかったら辞めさせます、止めますよということ を、県が言われるんだそうです。県としては、そこを何とか頑張って欲しいと思ってい ると。うちは島根の中でも20万圏、浜田に至っては周辺を合わせても、かなり広域を含 めて20万となると、島根は全国の下から数えたら早いので、多分一番最悪の状況にある とは思うんですが、そういうところでも全国一律の支援が受けられるのがこのナカポツ だと思っていますし、これは本当にありがたいことです。ですが、目標値は、少し傾斜 を付けていただきたいなということがあります。  それと、先ほど400カ所というお話があったんですが、本当に福祉圏域毎の目標を早 急に達成していただきたいと。私ども島根には3カ所あり、人口に比して恵まれた所だ とは思いますが、それでもやはり圏域毎のナカポツに期待が高まっていますし、このナ カポツをしたことで、地域のネットワークが確実に広がってきていることを肌で感じて おります。やはり、2年目に至って、企業の協力がとても得られやすくなってきました。 重要な制度ですので、これを何とか育てていただきたいなということを、高井さんの報 告に1つひとつ頷きながら強く感じました。 ○座長  ありがとうございました。それでは、志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  10月から就労移行支援事業をする立場から少し質問も含めてなんですが、お話をさせ ていただきます。  1つは、先ほど高井委員の方から、職業訓練の費用の話が出ておりましたが、例えば 職業センターの準備訓練、職務試行に至るまで、比較的期間は短いのではありますが、 例えば就労移行支援事業をこれから期間限定で行う中で、費用は当然かかるのが前提に なる。その上、その施設ではない場所に申請をして契約せねばならないという事務手続 き上の負担がかかってくるという面がある。先ほどの高井委員の報告を見ても、職業準 備訓練の方への移行をお願いしているケースが無かったりしていますけれども、職業セ ンターの準備訓練の役割と、これからたくさん出てくるであろう就労移行支援型の事業 との住み分けというか、役割分担並びに長期的な見通し、職業センターが今後いろいろ な事業をやっていく上での見通しみたいなのがありましたら、是非ご検討いただきたい と思っています。  もう1点ですが、どちらの委員からも、事業主あるいは事業所への支援、職業センタ ーはリワーク事業が若干関わってくると思いますが、私たちの方も時々相談があるのは、 事業主、事業所の方から障害者本人が直接相談には関わらない、あるいは、場合によっ ては相談を希望しない事業主への相談というのは、やはり、年間かなり件数が出てまい ります。当然、ネットワークという場合には、それにどう対応するかということを考え なくてはいけないのですが、就労移行支援事業あるいは私たち福祉事業の中で、それが どういうふうにできるかというのは、実は非常に難しくて、どうやっていいかというこ とが、いつも職場の中で、私たち法人だけではない課題になっております。その辺につ いて、職業センターあるいは就業ポツ、これからいろいろ出てきますが、そういった問 題について、どう考えていけばいいのかも御示唆いただければと思います。 ○座長  少し質問も入りましたね。意見というか。宮崎さんから少し意見を出していただけま すか。重要な点ですね。 ○宮崎委員  1点目の準備訓練の関係でございますが、これにつきましては、昭和62年から全国の 地域センターに入っているところでございますけれども、先ほご説明しているように、 中身がどんどん変わってきております。東京のセンターでいいますと、最近では、ほぼ 9割方が発達障害系の方で、そういった方たちに支援するようになってきていると感じ ているところです。  準備訓練ができた当初というのは、それこそ学校の生徒さんも入っていただきながら、 知的障害の方が職場でこつこつと働き続けられるようにという支援を中心にやっており ましたけれども、先ほど御説明したように、準備講習というカリキュラムの中で、就職 に向けてのスキルを身につけていただいたり、職業についての知識を高めていただいた り、職業に就いた後、安定できるように、そういった要素を組み入れながら、発達障害 の方たちへのメニューをこれから開発して取り組んでいかなければいけないと考えてお りますし、また、最近では、高次脳機能障害の方たちが職場復帰するに当たって、ある いは、再就職するに当たって、今まで知的障害の方等でつくってきたノウハウを活用し ながら、準備訓練を実施する形も増えてきて、対象の方がかなり変わってきているとい う状況はあると思っています。  東京の場合、知的障害で今まで利用されていた方は、地域の就労支援機関とかで直接 的に現場での支援、あるいは作業所も活用されながらの支援になってきているかなとい うことで、今まで利用されていた方も、他の支援を受けながら就職を目指していますし、 時代とともに少しずつ対象者が変わってきているという状況があるということです。こ れからも、その時々のニーズに合わせて展開していかなければいけない。それが我々の 使命でもあるんだろうなと思っているところです。  2つ目の部分については、確かに我々としても、ある面では、例えば企業の方からハ ッピーリタイアーというか、この障害者の方をこの後どうしていったらいいのかという ことで悩んでいらっしゃるので、ご本人を入れずにご相談をしなければいけないという ことも、年間何件か発生しています。これについてどういうふうに対応していくかとい うのはこれからの課題で、なかなか我々の方でも、こういう形でというものを持ち合わ せていないですし、また、そこについてのネットワークが組める関係機関というのも、 東京でもまだ十分にあるという段階ではないのではないかと感じているところです。よ ろしいでしょうか。 ○座長  志賀委員のご意見の中には、本人の方を伴わない企業、事業主からの相談を移行支援 事業が直接受けていく可能性というか、そういうケースも出てきているという。そこの 住み分けということもあったんでしょうか。 ○志賀委員  今のご回答の主旨と同じように、私たちの方では、就労支援の担当者が直接その問題 を受けるのではなくて、役割分担をしてやっていきましょうということしか、今のとこ ろできませんので、実際に事業主支援というふうになって、なおかつ就業ポツではない ですが、私たちのところから紹介をして、就労に結び付かない定着支援のケース、定着 支援の計画のみを立てる場合、当然そういうケースも中には出てくる可能性はあると思 うんです。現に今かなりいますので、それについての課題云々というのは、事業主支援 を実際にやっていこうという場合は、大きな課題になってきます。 ○座長  他の意見もどうぞ。 ○小川委員  それでは、宮崎委員と高井委員に1つずつ質問させていただきたいんですけれども、 宮崎委員についてはジョブコーチ事業ですが、私はジョブコーチ事業というのは職場で の集中支援もそうですけれども、基本的に人と仕事のマッチングとフォローアップが大 切だと考えております。これは、国の事業が始まった時から、ジョブコーチというのは 職場での集中支援だけでなく、フォローアップのところをどういうふうにするかという ことが課題だと考えております。それで、数字を御紹介いただきましたけれども、平成 14年から平成17年度のジョブコーチ支援の対象者数が10,000人を超えております。ジ ョブコーチの数で、707人という数字がこの4月で挙げられていますが、実際には第1 号のジョブコーチは、地域によると思いますが、フルに稼働しないジョブコーチも含ま れると思いますので、707人がフル稼働ではないという状況が推察されます。そうしま すと、仮に707人がフルに稼働したとしましても、1人が12、3人のフォローアップ件 数を抱えているという状況が考えられます。昨年度の支援の実績は、年間3,050人です。 仮に707人がフルに稼働したとしても、1人が年間4人強の支援を行っているという状 況で、私が申し上げたいのは、そろそろフォローアップが限界に来ていて、出すのはい いけれども、その後の支えるということが、ジョブコーチ事業という枠の中では厳しく なっているのではないかということです。ジョブコーチ事業には光と陰の部分があると 思うのですが、この支えるという部分について、もう少し現状についてのお考えを聞か せていただきたい。前回私がジョブコーチ事業について、6カ月の段階ではなくて、も う少し長いタームでの定着率を教えていただきたいと申し上げたのは、今申し上げたよ うな課題の意識があるからでありますので、もし、数字の準備がありましたら、その辺 の定着率の数字も教えていただきたいと思います。  続けて高井委員に質問させていただきます。高井委員のご発表は、私も地域での就労 支援のあり様として非常に頷ける部分が多かったです。私の手元には前回の会議で配ら れた資料があるんですが、最近の厚生労働省の就労支援の仕組みの図ですと、どうして も就業・生活支援センターが就職後のフォローアップを全面的に担当して、その手前の ところはハローワークや障害者職業センター、それから就労移行支援事業、ここが担当 する。図というのは、必ずしも実態を上手に表せるものではないというふうに認識して おりますけれども、この考えだと、就業・生活支援センターは、就職後の定着支援の働 く障害者のよろず相談、生活支援センターのような役割になっていくのではないかと思 います。高井委員の御発表の中でも、少しその辺について、それでいいのかどうなのか というクエスチョンのコメントもあったように思うのですけれども、就業・生活支援セ ンターの位置付けや役割について、どのようなあり様がいいのか、高井委員のお考えを お聞かせいただきたいと思います。 ○座長  それでは、宮崎委員からお願いします。 ○宮崎委員  ご指摘のとおり、ジョブコーチにつきましてはフォローアップがとても大切であると いう点は、私も同感でございます。実際に、私どものセンターでも支援が終了した後、 フォローアップをどのようにしていくか。重要ではあるけれども、全員を同じ形で未来 永劫やっていくのがいいのかどうかということもあります。当然、就労の段階でどうい うふうにその後の支援をしていくかというフォローアップ計画も立てながら、フォロー アップの中で、また新たな課題が発生した時には、再支援ということの含みも持ちなが ら支援に当たっているという状況でございます。  700人強のメンバーで10,000人以上のフォローアップをし続けるのは、かなり厳しい のではないかというご指摘ですが、地域較差があるので、私も全国のところまで把握し ているわけではないのですけれども、実際にフォローアップをしていく中で、ジョブコ ーチが企業の中でのナチュラルサポートの体制を作りながら、何かあった時にはSOSが きちっと入ってくるような体制をつくっていこう、という取り組みもございますから、 一定期間、1年とか2年とかという単位になってきた時に、ナチュラルサポートの体制 の中である程度、企業の側から連絡が来る体制がつくれた場合には企業の方に委ねてい くというような形もとっておりますし、あるいは、対象者によっては、御本人から連絡 が入るということもまま発生しますので、その辺りの状況を見ながら、少しずつ間合い を空けていくという対応をしています。それが頻度として、どうなのかというのは、こ れからもうちょっと検証していかなければいけない点があるのは否めないと思いますし、 実際に、精神障害の方、高次脳機能障害の方が増えてきた時にはどうしていくかという 課題になってくる部分ではあると思っています。  数字については、実際に私どもが1つの整理の中で6カ月の定着率で、定着している かどうかという数を把握し、全国で83.6%定着しているというお話を申し上げているん ですが、それ以降の定着の形というのは、先ほど申しましたように、事業所内にナチュ ラルサポートの体制を形作ってフェード・アウトしていくので、全てについて把握して いるわけではないということでございます。事業の成功率について、6カ月後で一応判 断をしていこうという流れで整理しております。よろしいでしょうか。 ○座長  高井委員、お願いいたします。 ○高井委員  第1回目の研究会の時に申し上げましたように、この図は気に入らないと申し上げま した。相談・定着支援が中心の図になっているので、変えていただきたいというお願い をしております。そして、今、私たちの仕事の位置付けは、福祉、教育、労働を繋いで いくという役割。それから、相談に始まって、評価、職場実習支援、職場定着支援まで を担う事業であるというふうに考えております。ただ、今後、障害者自立支援法が成熟 した段階では、役割分担をもう1度考えていかなければならない時代は来ると思ってい ますけれども、今の現状の中では、絶対に無理です。 ○座長  では、課長お願いします。 ○障害者雇用対策課長  今、ご指摘いただきました批判の多い図ですけれども、実は本日の参考資料5という 形であらためて入れさせていただいておりまして、前回の高井委員のご発言、それから、 それ以外にも就業・生活支援センターをやっていただいている皆さんから、位置付けが おかしいのではないかというご指摘も少なからずいただいた議論もございます。図で斜 めの網がかかっている部分が就業・生活支援センターということで、学校のところも少 し前の方から出しておりますが、次の福祉施設の利用者の周辺的な支援の流れ図、それ から離職した場合の周辺的な支援の流れ図、各場面で準備の段階及び求職活動の段階に おいても、就業・生活支援センターが深く関わっているというのを図の形で表現してみ たところでございます。この表現の仕方についても、ご指摘をいただきながら、我々と しての標準的な支援のよりよい図を作っていきたいと思いますので、ご指導いただけれ ばと思います。 ○座長  修正されているようですね。 ○小川委員  今の件に関連して申し訳ありませんが、1つ。私は数字に拘るわけではないと言いな がら、実は拘っているのですが、事業報告として6カ月ということについては、これは 当然だとは思うのですが、ただジョブコーチ支援というのは、集中支援のところでかな りコストがかかるものですから、その後の成果がどうなのかということについては、こ れは事業報告と別に、せっかく幕張のような研究の機関もあることですし、是非その効 果の検証ということをしていただきたいというふうに、これは私の要望と聞いていただ ければと思います。  それから、この図については、良く分かりました。私もちょっと見落としておりまし た。要するに、私の申し上げたかったのは、高井委員にご発言いただいて恐縮だったん ですけれども、就業・生活支援センターは地域で就職支援をきちっとしていく機関で、 顔の見えるネットワークの中で、そこの機能をきちっと持たなければいけない。数が増 えることと同時に就職支援の専門性をきちっと蓄積していかなくてはならないと思って おります。以上です。 ○座長  原委員、どうぞ。 ○原委員  教育の分野も今の小川委員、宮崎委員、高井委員のところと連携していく必要が強く あると思っているんですが、個別の教育支援計画、移行支援計画という言葉を今日使っ ていただきましたので、移行支援計画は個別の教育支援計画に十分に位置付いているわ けですが、先程来のお話のように、知的障害の方がカウントされるようになった時に、 非常に地域障害者職業センターは養護学校と連携をして、職業評価だけではなくて、職 業準備訓練等、大きく貢献をしていただいたと思っております。それが、今現在、発達 障害の方々に大きく動いていまして、知的障害のある方々の職業準備訓練の利用である とか、数から見てもずいぶん減ってきていると思います。その部分を補っているのが就 業・生活支援センターの皆さんの在学中からの相談であったり、実際の実習巡回の同行 であったりすると思っております。ですから、養護学校の役割については、次回ヒアリ ングがありますので、ここでは詳しくは述べませんが、職業センター、それから就業・ 生活支援センター、養護学校の果たす役割を、今日図が出ておりますけれども、どのよ うに考えていくかがとても大事だと思っておりますし、多分前回のお話の中でマンパワ ーがここにあるんだろうというふうにご意見が出てくると思いますので、今の専門性と いう部分でどういう役割分担を就業支援、就労支援の部分で行っていけばいいのか、意 見交換を続けられたらと思っております。ちなみに、進路指導担当と言われる教員がま だまだ数が足りないというのも、私自身は次回に提案したいと思っておりますので、よ ろしくお願いいたします。 ○座長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。どうぞ。 ○東馬場委員  今、座長の方から地域のお話がちょっと出ましたけれども、職業リハ機関としての現 状と課題という部分で話が進められていますけれども、私はセルプの関係からいきます と、作業所だとか授産施設といわれているものが県内にたくさんありまして、例えば、 日本でしたら2,500から3,000近い数が、小規模通書授産を含めるとあると思います。 高井委員も言われていましたように、新事業体系に移行していく中で、障害福祉課の世 界の中で就労移行だとか、就労継続事業だとか、あとは、地域活動事業というようなと ころの選択もしていくとは思うんですけれども、ここの選択のところを、今後労働との 住分けをどうしていくのかなと。  今、高井委員もおっしゃっていましたけれども、それぞれの法人で運営をしておりま すので、その法人が人件費を払っていくという時に、マンパワーをどう維持していくか とか、研修をどうしていくかという部分に必死になると思うのです。ですから、そこの 辺が本当に、あと、文科省の話も出ましたけれども、養護学校を教えてはならないとか、 教えてもいいとかという話になってきて、本当に制度のことをちゃんと守ってやってい るんですけれども、文部と厚生と労働でみんなそこで解釈が違ったりして、現場が混乱 しているというのが状況なんですよ。先ほど先生もおっしゃっていた職業センターの件 なんですけれども、東京は本当に養護学校を卒業される方が職業センターに行って、職 業能力評価をされているかも知れないんですけれども、たぶん養護学校全般の比率で見 ると、ほんのわずかな人しか職業能力評価をされていない。できていないと思うんです。 それは、圏内に1つしかないので遠いということもあるでしょうし、親がそこに押し出 そうというのもないかも知れませんけれども、そこでやっぱり、職業センターというシ ステムなんですけれども、今、福祉の分野では機能分化が法律で通ったんですけれども、 就労関係の部分ですね、障害者の就労の部分についての、この障害者雇用対策課とか、 障害福祉課だとか、文科省の特別支援教育の部分もあるんですが、その辺もひっくるめ てですね。今すぐにとは言わないんですけれども、例えば3年、5年先辺りのところを 目指して、本当にこの障害者の就労というものを制度的にどう組み替えるのかというよ うなところを、是非方向付けをしていただければありがたいかなと思います。実際、そ の現場で、お母さんの相談とかいろいろ受けている時に、本当に今、高井委員がいろん な事業を組み合わせてという絵を書かれていましたけれども、そこにまつわる事務とい うのは大変な事業、大変な仕事をされていると思います。ですから、それを、そんなこ とをやるんだったら辞めた方がいいわというような形の法人になっていったら、本来の 障害者が企業で働くというところがどんどん尻すぼみになってしまうところもあるので、 こんな話をしていいのかどうか分からないのですけれども、制度的な部分の縦割りを、 それぞれ仕事をされているんですけれども、大きくまとめて変えないと、現場の企業と 繋ぐというところが育っていかないというと変ですが、継続していかないですね。職業 センターのカウンセラーさんも2、3年で異動してしまいますよね。そうなった時に、地 域でその人のフォローというか、バトンを誰が渡していくかということになった時に、 やはり臭いが嗅げるとか、温度が感じられるみたいなところで、就労継続ができている ケースがいっぱいあると思うんですね。そういうところが何か感じているという状況で す。 ○座長  ありがとうございました。私もこの研究委員会の目的というのは、障害者基本計画の 中でも個別の支援計画の理解は部局を越えて連携していく、そういう意味で、厚生労働 省の障害福祉課、雇用対策課、それから文科省の部局を越えた連携がだんだん進んでき ていると思っています。それから、その業務のあり方についてもいろいろな誤解もあろ うかと思いますが、縦割りを修正して連携する業務も出てくるはずですね。それも、や はり一番いいネットワークでどう解決していくのかというようなものが。既にいろいろ なレベルで支援会議が、高井委員のところでも行われているし、学校の中にも置かれて いる。その支援会議の実態みたいなものがおそらく解答になってくるとは思っておりま す。ですから、このヒアリングを続ける中で、今、提起された問題をもう少し深めてい こうと、そんなふうに思っております。  それでは、輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  宮崎さんに伺うべきかどうかよく分からないですけれども、宮崎さんの資料の5ペー ジ目の職業センターの職員構成ですけれども、ご説明にあったように、最近いろんな事 業がいっぱい出来てきて、職業センターに全部降りていて、ご活躍の場が広がっている というふうな意味と、これは大変だろうなと思っています。その時に、主任カウンセラ ーとカウンセラーの人たちの本来あるべき仕事、専門性、専門性が高くて全国300人ぐ らいですかね。そういう人たちがむしろ今は管理的な仕事というか事務的な仕事という か、そういうものに時間をさかざるを得ない状況になっているのではないかと残念に思 っているのですが、そこはどういうふうにお考えになっているのか。  その点でいうと、宮崎さんの資料の一番最後の38ページのスライドの全国ネットのス ケールメリット。その一番下の箱で、東馬場さんもご指摘になりましたけれども、カウ ンセラーは2年、3年で変わって、転勤していってしまうわけですね。全国ネットで。 それは、ある一方ではメリットではあると思うのですけれども、むしろこれから就労支 援だとか、地域に根ざしていくとか、福祉との連携という観点からいくと、どうも異動 が全国的にやるということと、そのサイクルが非常に短くなっていて、職業センターは 何をやっているかというのが見えにくくなる原因ではないかと思うので、主任カウンセ ラーは全国規模で転勤してもいいのかも知れないし、あるいは、全国転勤をする人と、 それから地域採用の人と、それから、本当に専門性を発揮する人というように、大分カ ウンセラーも増えてきましたので、人事制度の中できちんと役割分担などの整理をする 時期にきているのではないかと思います。その点についてどのように思うのか。私はそ ういうふうに思うので、その点を厚生労働省に是非検討していただきたいと思います。  第2点目は、参考資料の3の1に職業センターの概要とあります。これだけ整理をさ れたものはあまり見なかったので、こういうふうになっているのかと思うのですけれど も、小川委員もご指摘になったように、地域的な問題だとか、データというのは、少し 不足しているのではないかと思うので、積算毎にどうなっているのかとか、ジョブコー チの配置はどういうふうになっているのかというような数字は、ここからはちょっと読 みとれないので、もう少し資料を出していただければと思います。資料の3の1という のは、厚生労働省の障害者雇用対策課ですか。その点、出していただければありがたい と思います。  それから、3点目は、非常に難しいところなのですけれども、実は、これは別の雇用 保険課というところで作っている資料です。これによると、雇用保険3事業が全てのナ カポツセンターの財源になっているので、勘定元としては雇用保険でみている。雇用保 険でどのようにみるのかというと、1つひとつの事業は評価されていて、こういう紙に なっていて、おっしゃるように非常に煩雑な目標設定をこの中でしているわけです。そ れが、現場の1つひとつのナカポツセンターに具体的には何人というふうになって、達 成度合いがどうだというふうになっていくと。17年度の目標というのは、実は4行でし か書いていないですが、結局は、そういうところが全体的に皺が寄っていって、大変厳 しい状況であるということなので、武田さんがおっしゃるように、地域的なバランスを 多少とる必要はあるのかも知れません。しかし、今まで、雇用保険を財源とした事業が 全体としてどういうふうに行われてきたかというのは、実際にはよく分からなかったの で、そういう意味で、画期的なことで、全ての事業について、どういう目標を作って、 それがどうなっているかということが分かるようになっているということは、評価すべ きだと思います。ただ、おっしゃるように、偏在もあるので、そこのバランスは今後の 課題だと思いました。  そういう観点からいくと、高井さんのご指摘のスライドの4ページ目のお金の流れで すね。兵庫県のセンターの場合には、雇用安定等事業、これは雇用福祉事業ではないか なと思うのですが、これを労働局が管理している。お金の勘定元が安定等事業は雇用保 険なので、これは労働局が管理をしている。それから、生活支援事業は福祉局の予算な ので、福祉が管理しているということになっていて、お金の出し元が違っているので、 実際にはこういうふうになっているのですけれども、もうそろそろ全体を一括で渡し切 りにするとか、そういうようなことを考えないと。そこでうまく使ってください、それ で連携をうまくやってくださいとして、きちんと企業支援もして、本人支援もして、そ れから就職の支援もして、フォローアップもしますという絵が書けるわけなので、そこ ら辺はテクニカルに、この参考資料の5を書き換えればいいという話ではなくて、全体 の金の流れと、所掌を変えないと、そこは難しいだろうなと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。かなり核心を突くご意見が出てお ります。はい、どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  今、輪島委員から大きく3点ご指摘があったと思いますが、1ツは、カウンセラーの異 動や、あるいはその具体的な業務として、本来やるべき業務に関われているかどうかと いった点については、非常に貴重なご意見をいただいたと思いますので、私どもの立場 でできることは限られているので、実際カウンセラーを雇用している高・障機構として どうするかということを考えるに当たっての参考となる意見として、機構の方にしっか り伝えていきたいと思います。  それから、各県毎の地域センターでの支援状況、あるいはジョブコーチの実施状況、 そういったものについても、これも機構と相談をいたしまして、次回以降また機会をみ てお出しをして、地域の状況を見ていただけるようにしてまいりたいと思っております。  それから、3事業の件は、今お話があったとおりで、3事業全体の中で目標設定という のが厳しく求められておりまして、その中で、ナカポツセンターについても、非常にご 苦労をいただいているという状況でございます。ただ、私どもといたしましては、でき る限り各センターにおいて、それぞれの目標を立てていただくというような形で工夫を してきているつもりでございますが、今後また、3事業全体の中で、ナカポツセンター についての目標設定について、どういった工夫ができるか、この場のご議論も踏まえま して考えていきたいと思います。  なお、財源の最後に、輪島委員がおっしゃった問題については、非常に大きなテーマ であろうかと思いますので、この点も、関係部局も含めて、どこまで何ができるかとい うことも含めまして、良く考えていきたいと思っております。 ○座長  ありがとうございます。この委員会の目的は、これからの連携をより良くするために 明らかにしておいた方が良い課題を明確にしておくということがあると思います。そう いう意味で、私は高齢・障害者雇用支援機構の評議員の委嘱も受けている立場ですから、 例えば、先ほどの人事のあり方とかは機構の中でもしっかり受けとめていかないといけ ない点ですが、ここで課題として出さなければならない点はどんどん出していただいて いいと思っております。そういうことで、私も私の立場でご意見をお伺いして、それは それで対応していきたいと思っておりますが、今の輪島委員の範囲で、宮崎委員、何か ございましたら、お願いします。 ○宮崎委員  カウンセラーに関する部分ですが、実際にカウンセラーはかなり人数が増えてきてい るというご指摘はありましたが、全国でいったら三百数十人という形にはなってきてい るものの、各センター別というのは、先ほどの図にありますように、カウンセラーの数 が3名から、一番多い私どもの東京センターで11名という状況です。そういう中で組織 が組まれているというところで、そんなに大きな、2つの異動の流れをつくってという ところまでできるか、非常に微妙な人数であるという状況があります。我々としても、 これだけ業務が増えてきているので、カウンセラーを是非増やしていただきたい、もっ ともっと人数をというのが、一番の思いでございますけれども、それがかなわない中で、 そうした時にどうしていくかというと、やはり人材をどういうふうに育成していくかと いうのは、もちろん off JT の部分もございますけれども、先ほど説明させていただい たように、いろいろな地域を経験しながら、さらにどういう形で自分の県を高めていっ たらいいのかという、そこの経験の部分というのが非常に大きくて、さらに主任カウン セラーというところでは、先輩カウンセラーとして対応することや、他のカウンセラー が対応できない障害者についてのご相談、事業主のご相談というのももちろんしており ますし、スーパーバイザーとして対応したり、地域の他の機関に対してのアドバイスを する、あるいは、そういういろいろな会議だとかで情報提供するというようなことも行 っております。もちろん、先ほどのご指摘の管理的な業務ももちろんしますが、それ以 外に役割を果たしているというところについては、是非ご理解いただければと思うとこ ろです。 ○座長  そろそろ時間が来てしまったんですが、では1つだけ。どうぞ。 ○石井委員  精神の関係で一言やはり発言しないとまずいかなと思いますので、今までの議論を聞 いていて感じたところを1つ2つ申し上げたいと思います。精神障害者の中で一般就労 を希望する者は年々増えています。ものすごい数で増えているというふうに、私として は感じております。従って、先ほどからもちょっと報告の中にもありましたけれども、 精神障害者の就労促進、あるいはリワークですね。ここのところに相当力を注いでいた だかないと、就労支援というのは何だろうという意見が出てきてしまうと思います。就 労を希望している精神障害者がまとまっているところは、やはり地域作業所だとか授産 所なんですね。あとは在宅です。あるいは、企業の中で休職というような格好でいるか も知れませんが、その人たちは組織化されていませんので、組織化されているところと いうのは、やはり作業所や授産所に通っている人達なわけです。ですから、精神障害者 の就労を考える時に、ネットワークを組むという時に、小規模作業所や授産所ですね。 小規模授産も含めて授産所、こういうところを抜きにしてネットワークというのはあり 得ないだろうと私は思うのです。それが第1点です。  それから、第2点は、今まで全然話しが触れられていないんですが、産業医との関係 ですね。産業医制度自体、私は非常に不備な現状だと思うのですが、産業医との連携を 考えて、リワークなり就労促進を企画していかないと、やはり偏ってしまうのではない か。今の全体の流れとして感じるところは、産業医よりも精神科医、病院、そちらの連 携となっています。どこかの図にありましたけれども、医療関係とはネットワークを組 もうとしているけれども、産業医やそういう作業所、こういうところとのネットワーク というのは、何か指摘が欠けているように思うので、是非これからはその辺も視野に入 れて取り組んでいただきたいと思います。 ○座長  はい。分かりました。 ○宮崎委員  今の作業所、授産施設等々とのネットワークという点につきましては、まず、私ども 就業支援基礎講座であるとか、フォーラムというようなもの、あるいは、精神障害者の 連絡協議会というようなものを組織しながら、勉強会であったり、会議であったりとい うようなことをやっていますし、対象者のご支援を申し上げる時の対象者を介した連携 というところで、作業所や授産施設はもちろん抜きにはできない機関なので、たくさん 関わりを持たせていただいております。おそらく、それは高井さんのところも同じで、 いろいろな就労支援をする時に、言わずもがなで、福祉の機関とは連携しながらやって いるというふうに考えられるところです。  それとともに、産業医との連携も、時間がなくて私の説明ではしょってしまったとこ ろがあるんですが、このリワークの事業では、実際に3者のコーディネートをしていく 中の事業主のところで、産業医も入っていただきながら、産業医の先生と主治医と、そ れからご本人、そしてまた、事業所の人事担当というようなところで連携をとりながら 進めております。産業医の先生方が実際に事業主に話をして、リワークの利用者をご紹 介いただくというようなこともかなり出てきておりますので、そういう面では、今、石 井委員ご指摘の産業医についてたまたま説明から抜けてはおりますけれども、ネットワ ークの中に入れながら取り組みをしているということを補足説明させていただきたいと 思います。 ○座長  ありがとうございました。時間が来ましたが、その小規模作業所、授産施設、これは 自立支援法で再編成されていくという課題もあるわけで、ヒアリングではセルプの代表 の東馬場委員からまた報告があるかと思いますが、その時にまた詳しくご意見をお伺い するということで、一応今日のヒアリングと討議はここまでにしたいと思います。  ここに資料として次回からのスケジュールと、それから、第1回の研究委員会の議事 録、未定稿ですけれども出ておりますので、ご参照いただきたいと思います。それでは、 事務局の方にお返ししたいと思いますが、どうぞ。 ○事務局  それでは、次回以降の日程につきまして、事務局からお願いがございます。お手元に 次回以降の開催案内を配付してございます。次回は10月24日(火曜日)の10時から12 時半まででございまして、場所は厚生労働省内の共用第8会議室でございます。  それから、第4回と第5回の研究会の時間でございますけれども、それぞれヒアリン グ機関を追加いたしましたので、以前にご案内した時間よりも30分延長してございます。 あとでご確認をお願いしたいと思います。  それから、先ほど座長からご案内がございましたが、第1回研究会の議事録を配付さ せていただいております。未定稿でございますので、各委員におかれましては、内容を ご確認いただいて、特に問題なければホームページに公開したいと思いますので、修正 点がございましたら、今週中に事務局までご連絡いただきたいと思います。事務局から は以上でございます。 ○座長  それでは他に何かご質問はございますでしょうか。  それでは、どうもありがとうございました。これで終わりにしたいと思います。   照会先:職業安定局障害者雇用対策課 雇用対策係(内線5854)