06/09/19 第63回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第63回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2006年9月19日(火) 17:00〜19:10 場所:厚生労働省共用第8会議室(中央合同庁舎5号館6階) 出席者:  労側委員:稲垣委員、鴨委員、篠原委員、龍井委員  使側委員:吉川委員、前田委員、松井委員、山崎委員、渡邊委員  公益委員:横溝分科会長、今田委員、奧山委員、佐藤委員、林委員 ○横溝分科会長  そろそろ時間でございますので、林委員と佐藤委員が少し遅れてお見えになるそうで すが、開催させていただきたいと思います。今日は夕方からという、いつもと違った時 間帯ですけれども日程調整の具合で。ご出席いただきましてありがとうございました。  ただ今から第63回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は岡本委 員が欠席です。  まず、事務局において異動がありましたので順次あいさつをいただきたいと思います。 よろしくどうぞ。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  9月1日付で雇用均等・児童家庭局長を拝命しました大谷です。不慣れな点もあって、 ご迷惑をお掛けすることもあると思いますが、どうぞよろしくお願いします。 ○村木審議官  同じく9月1日付で雇用均等・児童家庭局の審議官で参りました村木です。どうぞよ ろしくお願いします。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  同じく9月1日付で短時間・在宅労働課調査官を拝命しました富田です。どうぞよろ しくお願いします。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。それでは早速議事に入ります。本日の議題は、第一に「平 成19年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求の概要について」です。次に、「パートタ イム労働法・指針の実施状況について」と「「雇用の分野における男女の均等な機会及 び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省 令の整備に関する省令案要綱」、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関 する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針案」および「事業主 が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての 指針案」について」です。だいぶん盛りだくさんの議事がありますので、よろしくお願 いします。  まず、最初の議題の「平成19年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求の概要につい て」です。事務局から説明をお願いします。 ○香取総務課長  お手元の資料No.1に沿って、今日は大変議題が盛りだくさんですので簡潔に説明申 し上げたいと思います。平成19年度の雇用均等・児童家庭局関係の予算ですが、ご案 内のように、昨年度日本の人口が減少に転じたということで、総人口の減少を踏まえて、 これまで進めて参りました「子ども・子育て応援プラン」や本年8月に取りまとめられ た新しい少子化対策に沿って、いっそう少子化対策の強化をするということで、政府全 体としてはかなり厳しい財政状況の中ですけれども、省全体でも配慮いただき思い切っ た予算の要求をさせていただいています。  併せて、今年の骨太あるいは再チャレンジプラン等々での指摘も踏まえて、非正規対 策、私どもの局では、パートタイム労働対策を所管しているわけですが、この後、審議 いただくパートタイム労働対策の関係、そして、先の通常国会で成立した男女雇用機会 均等法の施行に関する必要な予算を計上するということです。  主要事項ですが、「少子化対策関係」と「公正かつ多様な働き方を実現できる労働関係 の整備」ということで、大きな二つの柱に沿って、それぞれ計上しています。内容につ いて簡単にご説明したいと思います。  まず「少子化対策の総合的な推進」ということですが、1番目として、働き方の見直 しということを挙げています。これは、これまで少子化対策は保育対策を中心にやって 参りましたけれども、この間の議論の中で、やはり働き方の見直しということも非常に 大きく関係するということで、「働き方の見直し」に関する事項を一番に挙げています。  (1)ですが、いわゆる両立支援、子育てとの両立を可能とする仕事と生活の調和という ことで、育児・子育て期の短時間勤務の両立支援こういった制度を利用しやすい職場風 土をつくっていくということで、66億円強の予算を計上しています。手元の資料12ペ ージをご覧いただきたいと思います。この関係の予算については、今年度の予算で、中 小企業対策として、初めて育児休業あるいは短時間勤務の労働者の出た企業に対して 100万円あるいは60万円の助成をするとしています。今年度、この関係の事業が平年 度化するということで、所要の額を計上していますけれども、実際に制度があってもな かなか利用することができないという事態があるということで、企業において職場風土 の改善の取り組みをしていただくということで、必須事項・選択事項ということで、企 業でさまざまな取り組みをしていただく。また、取り組みを支援するさまざまなサポー トの予算を計上して1年2年かけてこういった事業をやっていただいて成果が上がった 場合には、それぞれ両立指標で検証した上で、企業に助成をするということで新たな予 算を項目として追加して計上しています。  次に「パートタイム労働者の均衡ある処遇や能力開発の推進」ということで、これに ついては同じく13ページをご覧いただきたいと思います。これについても、中小企業 団体を通じて事業主が均衡処遇のためのさまざまな制度の導入を行う。あるいは中小企 業診断士などによる個別の指導を受ける支援事業というものを行うということで、2年 間にわたって事業を行うことに対して、その成果に応じて一定の助成を行う。従来、事 業主向けのさまざまな施策があったわけですが、今回この6項目に整理し、重点的な助 成を行うということで所要の予算の計上をしているところです。  大きな2番目、再就業・起業の支援ということで、「再チャレンジ女性の企業におけ る活躍の場の拡大」ということで、14ページになりますが、ここは、再就職を希望する 女性に登録していただいて、さまざまな情報提供や再就職支援の実施を通じて、全国12 カ所で再チャレンジのサポートプログラムを勧め、コンサルタントによって計画的な支 援をしていくというような事業を創設しているわけですが、19年度はこれを全国47カ 所、全都道府県で実施するということで拡大するとともに、企業の側にも再就職に関す るさまざまな雇用管理上のノウハウを提供する、あるいは両立支援に関する情報を提供 する。併せて、そういった再就職援助をしようという女性との一種のマッチングをし、 インターンシップと呼んでいる職場体験を実施することでこの事業を充実していこうと いうことになり、全体として再就職・起業の事業の拡充をするということで予算要求を しているところです。  次に、起業に関する支援の拡充。今度は就職ではなく起業の関係ですが、こちらは11 ページに書いていますけれども、今年度から、起業に関して総合的な情報提供を行う起 業支援専用サイトを立ち上げ、この運用が開始されます。併せて、起業のセミナーある いはメンターによる相談・紹介サービスの事業を拡充して総合的な支援を進めることに しています。  次に、4ページの大きな2番目ですが、地域の子育て支援ということで、(1)ですが、 「すべての家庭を対象にした地域子育て支援対策の充実」、これは、そこに「(ソフト交 付金)」と書いていますが、それぞれの市町村において市町村の行動計画に沿って地域の さまざまな子育て支援の事業を計画的にやっていただいているわけですが、これについ て、各市町村に交付金という形で一括の助成を行っているものです。今年度は、生後4 か月までの全戸訪問、これは後で話しますが、虐待などでも0歳児が非常に大きな問題 になっていますので、生後4か月までの間に、必ず市町村の職員や関係者が子育て家庭 を訪問して、何らかのコンタクトを持ち、支援が必要な家庭に対してはサービスを提供 できる体制をとるという新規事業を追加します。  あるいは、病児・病後児保育について、その制度を充実するといったような新たな事 業の追加。そして、従来の事業についてもそれぞれ拡充を行うということで、全体とし て440億円。本年度の予算が340億円ですので、100億円の増ということで要求させて いただいております。なお、これとの関係では、5ページの上の方に※印がありますけ れども、じつは、地域のさまざまな子育て支援の拠点として市町村において「つどいの 広場」と「地域子育て支援センター」を設置するということになっていて、これは、「子 ども・子育てプラン」では、平成21年度までに6,000カ所の整備となっています。今 回、夏の新たな少子化対策での取り組み等々を踏まえて、前倒しの整備をするというこ とで、整備目標を10,000カ所。基本的には中学校区に1カ所ということで、整備目標 を掲げるとともに、21年度の目標であった6,000カ所を19年度において実現するとい うことで、その分の所要の予算の計上をするということで大幅な予算の計上を行ってい るところです。  それから、3つ目の「○ハード交付金」保育所などの施設整備費についてですが、こ ちらについても、待機児童ゼロ作戦を進めるということで、本年度に対して60億円の 増で、200億円の整備費の計上をしています。(2)は、保育サービスの充実ということで、 これは、保育所で子どもを預かる費用、保育所の運営費を中心とした予算ですけれども、 人数にして約4万5,000人の増ということで、民間ではなくて公立の保育所に関する運 営費については、昨年の三位一体改革で一般財源化していますので、計上していません。  6ページの(3)です。総合的な放課後児童対策ということで、小学校へ上がる前の子ど もは、保育園あるいは幼稚園で預かっているわけですが、学齢期の子どもで、共働き等 で家庭における保育が困難な方については、「放課後児童クラブ」という保育サービス制 度があるわけですけれども、これについては、学齢期の子どもなので、実は文部科学省 サイドでも、全児童対策ということで、放課後の子どもの居場所づくり対策というもの を事業として行っています。今年の5月に、厚生労働大臣と文部科学大臣とで話し合い があり、できる限りこの二つの事業を市町村段階で統一的にあるいは連携して実施する ということで、この両事業を連携して実施できるような形で、制度なり予算の見直しを しようということになりました。  これを踏まえて、総合的な対策を講じるということで、市町村段階で教育委員会と福 祉部局が連携を図り、統一的な、市町村段階での放課後の子どもに対するサービスのプ ラン「放課後子どもプラン」をつくっていただき、それに対して両省が共同して助成を するという形にしようということで、新たに予算を計上しています。現在、約1万5,000 カ所整備されていますけれども、基本的には、すべての小学校区でこの事業が実施でき るようにするために、今年度それに必要な予算を計上することになり、2万カ所を要求 するということで、今年の予算に対して約70億円増の190億円を要求しています。併 せて、具体の事業の推進に当たって、市町村の体制を強化する。あるいは実施日数など の調整をするということで、幾つかの改善を行っているところです。  次に7ページの大きな3番ですが、小児科・産科医療体制の確保、不妊治療などの母 子保健対策ということです。小児科・産科医療は、最近小児科が不足している、あるい は産科が地域でどんどん閉まっているということで小児科・産科の確保、医療体制の整 備ということが非常に大きな課題になっています。病院側の確保あるいは医療機関の医 師の確保というのは、直接的には医政局の仕事なのですが、私どもの立場からも、産科・ 小児科の医療体制の整備ということで、特に産科・小児科は女性の医師が多いので、女 性の医師の就労の支援あるいは再就職・就労継続の支援といったことを中心に市町村に おいて体制を整備していただくということになり、これは昨年から新しく計上している 予算ですけれども引き続き予算を計上しています。  それから、不妊治療の関係ですが、これも少子化対策の中で重点的に取り組むように ということで閣議決定の中でも述べられているものです。現在、今年度の予算では、年 間10万円で通算5年間助成するという制度になっていますが、この年間10万円を倍増 して年間20万円を上限とするということで、予算の拡充をする。併せて、所得制限を 緩和するということで予算要求をさせていただいています。  次に大きな4番ですが、虐待その他の要保護児童対策です。虐待を受けた子どもへの 対策で、発生予防対策ということ。これは、先ほど話したように、虐待はかなり子ども が小さいときに起こる。死亡事例の約4割は0歳児で、さらにそのうちの7割が4カ月 未満の子どもであって、生まれてすぐの段階で、その子どもの養育環境をきちんと把握 する、あるいは子育てに関する情報をきちんと提供するということを、虐待の防止とい う視点からも取り組まなければならないということで、先ほど申し上げた次世代育成事 業の中で生後4カ月までの乳児の訪問事業を行いたいということです。  次に、早期発見早期対応で、市町村の児童家庭相談体制の強化あるいは市町村におい てさまざまな児童福祉施設や里親において小規模ケアを行う。あるいは家族の再統合、 養育機能の強化として、子どもだけではなくて、その家族に対する支援を行うというこ とで所要の職員の配置や事業化する費用の助成を考えています。  それから、児童養護施設の子どもの就学・就労です。実は養護学校を卒業する子ども たちは、高等学校を卒業し就職していくわけですが、多くの場合、身元保証の体制が十 分でなく、現場では養護施設の施設長が個人的にさまざまな形で身元保証をしていると いう事例があります。そういった子どもの身元保証をするという体制を、いろいろな形 でバックアップするということで、身元保証する方々の保障をする制度を創設しようと、 新規に要求しています。  大きな5番は母子家庭対策です。母子家庭対策については、母子家庭の自立支援・就 業支援ということで、厚生労働省の統合以降、労働部局と福祉部局が協力して母子家庭 の就業支援の体制をとっています。ハローワークなどでもさまざまな支援を行っていた だいていますし、母子の自立支援のプログラムをつくる体制が整っていますが、これを 引き続き推進していく所要の予算を計上しています。  この関係では今年度二つの新たな予算要求を考えています。一つは、就労ということ だけではなくて、子育てをしているために、なかなか働きに出るのが難しいという家庭 が多いので、在宅での就業を支援することができないかということで、在宅となると、 昔で言う内職のようなことになるわけですけれども技術・スキルのアップということと 仕事を発注してくれる企業との間のさまざまな調整、特にトラブルがあった場合の支援 が行えるようなサポートをしていくという在宅就業の支援のための新しい予算を要求し ています。  併せて、実は離婚された方の場合は養育費の確保が問題になるわけですけれども、養 育費についてはなかなか離婚段階できちんと養育費の確保の体制がとれていないケース が多く、事後にさまざまな形で養育費が取れないと苦労されることが多いようです。養 育費の取り決めについてきちんとやろうと思うと、裁判所が関与するということは非常 に手続きが掛かるわけですけれども、簡易・迅速な取り決めや家事調停に持ち込んだ場 合のさまざまなサポート、あるいは市町村で養育相談を行う業務を専門家が支援すると いったような事業を行うための相談支援センターをつくるということで、これも新規で 予算を要求しています。  大きな6番は児童手当です。児童手当は昨年法律改正をして、本年4月から小学校6 年生まで1子・2子が5,000円で、3子以降が1万円という手当を支給していますけれ ども、これについては、乳幼児について児童手当の額の加算をするべきではないかとい うことで、ご案内かと思いますが、今年の春から夏にかけて少子化対策などで議論され ました。これについては、非常に大きな財源を必要とするということもあり、予算編成 過程で財源も含めて検討して年末に結論を得るということで、政府部内で合意していま す。その前提で、今年度は、昨年度の改正分を平年度化するということで現行制度の要 求となり、ここに書いてあるような予算の計上をしています。  2ページに戻っていただいて。以上を合計して、雇用均等・児童家庭局の概算要求の 総額は、9,289億円で、対前年度比は6.3%の増ということになります。これは省全体の 予算が、ほとんど限りなくゼロに近い伸び率ですので、かなり省としてはさまざまな配 慮をいただいて要求ができているところです。  特に、特別会計については、年金特別会計の児童手当、それから労働保険の各勘定に おいて、それぞれ示しているような、かなり大幅な予算の増をお願いしているところで す。労働保険特別会計については、特別会計の見直しの関係で省全体としてはかなり大 きいマイナスの要求になっています。その中で、大きい額ではありませんけれども、16% を超える伸びということで大幅な予算要求をさせていただいています。  今後、この予算については、年末にかけて調整していくわけですが、基本的には政策 経費20%増の枠の中で要求を認めるということになっていますが、最終的には対前年度 比3%マイナスで査定することになっていますので、政府全体の中でさらにこの予算を 調整していくということになりますが、できる限り必要な予算が確保できるように努力 して参りたいと思います。簡単ですが以上です。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。ただ今の事務局の説明について、質問などがありましたら お願いします。 ○龍井委員  2点質問させて下さい。なるべく前向きなものを私どももバックアップしていきたい という思いはあるのですが。1点目は、資料の3ページの最初の育児休業・子育ての短 時間勤務などの、今回創設されるという制度、ちなみに、これは例えば一人当たりにな るのか1社当たりになるのか、どういう要件でどのぐらいの助成を考えておられるのか。 今の範囲でスキームがわかれば教えてほしいということです。  2点目は、同じページの(2)の再チャレンジ女性の問題なのですが、もちろん、このキ ーワードは、既に次期総理と目されている人のメッセージでもあって、使わざるを得な いのかと、わからないこともないのですが。少し気になるのが、いわゆる再就職を希望 される女性というのは膨大にいて、本当に年齢差別も含めて短時間・有期しかないとい うところで悶々としておられるという状況がずっと続いているわけです。その中で、こ の「再チャレンジ女性」という言い方が再就職を求める多くの女性たちの中で、ちょっ と言葉尻を捉えるようですが、出産育児で離職したという要件の人を取り出すというか、 スキームでいうと認定するというか、その上でバックアップしましょうと。このスキー ムを見る限り、これはぜひ、一層広げていただきたいし、そういうニーズがあると思う のですが。実は認定の仕方も難しいと思っているのですが、特に、ここに敢えて取り出 すということの意味合いがわかれば教えていただきたいと思います。 ○横溝分科会長  二つの質問について、お答えをお願いします。 ○麻田職業家庭両立課長  最初の新しい助成金の職場風土改善コースが一体どのくらいの助成なのかということ ですが、12ページに図があります。ここにありますのが1社当たりの助成額です。対象 として考えていますのが、こういう取り組みに経済面で支援が必要であると思われる中 小企業、具体的には労働者300人以下の中小企業で、子育て世代の従業員の数が一定以 上のところです。こういう企業が計画的に取り組む場合で、1年目に成果が上がってい れば50万円、さらに2年目に成果が上がっていれば50万円、そして、顕著な成果を達 成していれば、さらに50万円加算というような大体の枠組みと理解いただきたいと思 います。そういうような説明でよろしいでしょうか。  それからもう一つ、14ページの再就職希望者への支援事業です。実は今回拡充をして いまして、平成16年度から結婚、出産、育児、介護でいったん仕事を辞められた女性 の方で、いずれは再就職を希望するという方が計画的に再就職の準備をされるのに、キ ャリアコンサルティングなどで支援をするという事業をしてきています。これは比較的 小さい規模でやってきたわけですが、今回、職業安定局の方でマザーズハローワークの 機能の全国展開の要求をしておりまして、マザーズハローワークと連携をして、良好な 再就職につなげるという観点からこちらの再チャレンジサポートプログラムを、47カ所 に拡充することを要求しております。「再チャレンジ」という用語がどういう影響を与え るかについて、いろいろな議論があるかもしれませんが、これはこの事業では16年度 から使っている用語で、再就職をしたいという女性の方々に活用いただいている事業で すので、ご理解をいただきたいと思います。 ○横溝分科会長  はい、それでよろしいでしょうか。ほかにどなたか。はいどうぞ、篠原委員。 ○篠原委員  まず初めに3ページ目にあります、先ほど龍井委員の方からも質問がありましたが、 別に私は質問ではなくて、特にこの職場風土づくりというのが非常に難しい部分だと思 います。各労使の皆さんでいろいろな制度を工夫し合いながら、制度はあるけれどもな かなか実態に合わないというのが現状かと思いますので、この職場風土をいかに変えて いくかという部分がやはり非常に重要だと思いますので、ぜひこの部分は積極的な取り 組みのお願いを申し上げたいという部分とあと1点質問があります。ページ数からいう と不妊治療のところの7ページになるかと思います。先ほど説明いただいたわけですが、 私の組織でも非常にこの不妊治療の部分に関しては、積極的に取り組みを進めていると ころですけれども、10万円を20万円に拡大するということはこの通算5年は変わらな いということなのでしょうか。その点だけを。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○香取総務課長  一昨年度より10万円、通算2年で始まった制度で、18年度から5年に拡大をしてお ります。今年は額の方ということで5年は変わらずに額の方を増額で要求しています。 ○横溝分科会長  それでよろしいですか。 ○篠原委員  ありがとうございました。 ○横溝分科会長  ほかにはいかがでしょうか。はいどうぞ。 ○稲垣委員  少し質問です。6ページですが、放課後児童クラブの必要な全小学校区への設置促進 ということで非常に取り組んでいただいていいと思いますが、ソフト面での支援のとこ ろで基準開設日数の弾力化ということで、年間に281日以上が250日以上になると書か れていますが、この辺りのところをもう少し実際にはどのような形にされるのかを説明 をお願いできたらと思います。 ○香取総務課長  281日という今の考え方は、土曜日は開けて夏休み、冬休み、春休みに対応するとい う日数で積んでおります。実際にはほとんどの小学校が週休2日になりましたので、土 曜日はもちろん開けている所もありますが、土曜日は必ずしも開けなくてもいいという ことで、むしろ標準の基準は週5日と春休み、夏休み、冬休みを開けることにしまして、 それを一応基準にすると。もちろん土曜日に開けている所もありますので、そこにあり ますようにそこは超えている部分は加算で対応するということです。従来ですと280日 を基準にしていますので、250日だとむしろ基準に達しないので、減算というと言葉が 悪いですが、そちらが基準で、そうではなくて実態が土曜日はほとんど学校が閉まって いて子どもの数も非常に少ないので、土日は開けない前提を基準にして、開けている所 は加算するという形で基準開設日数の弾力化を図るということです。 ○稲垣委員  1点お願いですけれども、土日に働いている、要するに流通業などもありますので、 少しその辺りのところも考慮に入れていただけたらいいかと思いますのでよろしくお願 いします。 ○横溝分科会長  ほかにないようでしたら、次の議題に入りたいと思いますがよろしいでしょうか。  それでは次の議題は「パートタイム労働法・指針の実施状況について」です。まず事 務局から説明をお願いします。 ○高ア短時間・在宅労働課長  パートの関係につきましては、資料No.2、3、4と三つの資料を用意しております。4 番目の資料は前々回に配布した資料をもう一度参考までにと付けたもので、新規のもの としては2と3です。以下資料に基づきまして説明したいと思います。  まず資料2を見ていただきたいと思います。前々回に局長の方より審議会に対しまし て今後のパートタイム労働対策の関係につきまして審議をお願いしたわけですけれども、 過去の当分科会での議論との経緯をもう一度整理をしたいと思いまして作ったものがこ の資料の2です。  恐縮ですが1枚めくっていただきまして「参考」とついた後ろの紙を見ていただけれ ばと思います。パートタイム労働法につきましては平成5年に、パートタイム労働指針 につきましても作ったわけですけれども、それにつきましては前回平成15年8月に指 針を改正したわけです。そのときに当分科会で同じように議論いただいたわけですけれ ども、そのときに取りまとめられましたのが今後のパートタイム労働対策という報告で す。1枚戻っていただきまして、その資料のNo.2の1枚目がその報告。これは長文のも ので全部を配っていませんがその抜粋です。そこに書いてあることが二つありまして、 1つ目は第1パラグラフの最後のところですけれども、その時点で「当面は、通常の労 働者との均衡を考慮した処遇の考え方を指針に示すことによって、その考え方の社会的 な浸透・定着を図っていくことが必要である」と。まず指針をやりましょうとなってい たわけです。当然です。それに加えまして、中身を少し中略しまして、それ以外に下線 の部分ですが、「今後のパートタイム労働対策をさらに効果的に推進していくためには、 企業の雇用管理、労使の取組、パートタイム労働者の就労状況など、改正指針の社会的 な浸透状況を含めた実態把握を指針改正の一定期間経過後行うことが必要である。これ らの状況を踏まえ、社会的制度などの影響も考慮しつつ問題点の分析を行い、パートタ イム労働対策として求められる施策について、幅広い検討を加え、その結果に基づいて 必要な措置を講ずることが重要である」となっております。いわばこの審議会としても 一定経過後にその状況を見て、また議論なり検討なりをすることが必要だとなっており ました。そういう意味からしますと、今回の議論はそういう中に位置付けられているの かなと考えております。  そうなりますと、まず議論を開始するにあたりましては、そこにあります通り、指針 の実態、浸透状況を確認していかなければならないわけで、その資料として作りました のが資料のNo.3です。横長の資料を見ていただければと思います。この資料につきま しては、まさにその表題通り、パートタイム労働法・指針に規定されました事業主の講 ずべき措置につきましての実施状況をその法律の順序に基本的に沿いまして、整理した ものです。以下、説明をいたします。  1枚めくっていただきまして、まずパートタイム労働法・指針の周知の状況です。そ の中身ですが私どもの方で上の方にコメントを入れさせていただいております。「内容ま でよく知っている」、「内容についてある程度知っている」とする企業を合わせますと 74.4%という状況です。業種・規模別では、規模が大きいほど周知度が高い傾向という 状況です。なお、この資料につきましては下の方に「注」を幾つか付けてありますよう に、引用した調査・統計などが最初に出た時点で、その調査の中身、あるいは定義、時 期などについてはコメントを入れております。また前々回に、この分科会で委員の方よ り規模別の状況あるいは業種別の状況についても見るべきではないかという指摘をいた だいたので情報などでそういうものが入れられるものについては極力入れさせていただ いております。業種につきましては全業種というわけにはなかなかできませんので、パ ートが多く雇用されていることが調査で出ております、卸売・小売業、サービス業、製 造業、医療・福祉、飲食店・宿泊業について掲載をさせていただいております。また無 回答というデータにつきましては、今回は除いた形で整理をさせていただいております。 法・指針の周知状況は以上です。  もう1枚めくっていただきまして、次に労働条件の明示の関係です。労働条件の明示 の関係につきましてはパートタイム労働法第六条におきまして、文書は交付するように 努めるという規定があります。その状況ですが1枚めくっていただきまして4ページで す。パート労働者採用時の労働条件の明示方法ですが、文書により明示しているとする 事業所の割合が87.5%という状況です。業種・規模別につきましては、規模で一番小さ い5〜29人規模の企業におきましても文書による明示は約7割という状況になっていま す。  次に1枚めくっていただきまして、就業規則の整備の関係です。パートタイム労働法 第七条におきましてはパートタイマーに適用される就業規則を作成・変更しようとする 際には、通常の労働者の過半数代表組合代表者の意見聴取に加えまして、「パートタイム 労働者の過半数を代表する者の意見を聞くように努めてください」となっております。 1枚めくっていただきまして6ページにその状況です。そういう就業規則がある場合に 「事業所のパートの過半数が加入している労働組合の意見を聴いている」あるいは「事 業所のパートの過半数を代表する者の意見を聴いている」とする事業所が合わせて 57.4%となっております。  次に7ページですが、指針の関係です。まずパートタイム労働指針におきましては、 事業主が講ずべき措置といたしまして、下線のところを見ていただければと思いますが、 「事業主は、短時間労働者について」とびまして「その就業の実態、通常の労働者との 均衡等を考慮して処遇するべきである」と一般論として書いた上で、中でもその職務が 通常の労働者と同じ短時間労働者については以下の考え方を踏まえるべきであるとしま して、「人事異動の幅および頻度、役割の変化、人材育成のあり方その他の労働者の人材 活用の仕組み、運用等について、通常の労働者と実質的に異ならない状況にある短時間 労働者については、当該短時間労働者と通常の労働者との間の処遇の決定の方法を合わ せる等の措置を講じた上で、意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇することにより通 常の労働者との均衡の確保を図るように努める」とされております。その状況ですが8 ページです。職務が正社員とほとんど同じで、かつ、正社員と人材活用の仕組みや運用 が実質的に異ならないパートタイム労働者がいる場合にその賃金(基本給)の決定方法 ですが「同じ」とする事業所が14.4%、「一部のパートは正社員と異なる」とする事業 所が13.2%。「ほとんどのパートは正社員と異なる」とする事業所は23.2%、「正社員と 同じパートはいない」というのが49.3%という状況になっております。決定方法を規模 別に見ますと、「同じとする」という事業所の割合は規模が小さいほど高いという傾向が 見られます。 次にその賃金の水準ですが9ページです。区分が幾つかありますが仮に 正社員の8割程度以上とする事業所でいいますと全体の64.5%という状況です。規模別 に見ますと、8割以上とする企業は規模が小さいほど高いという傾向があります。以上 です。  次に10ページですが、同じく職務が通常の労働者と同じ短時間労働者の内、2のとこ ろですが「人材活用の仕組み、運用等について、通常の労働者と異なる状態にある短時 間労働者については、その程度を踏まえつつ、当該短時間労働者の意欲、能力、経験、 成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡を図るよ うに努める」とされております。加えましてそれ以外の短時間労働者も含めて短時間労 働者全般につきまして、例えば「賃金、賞与及び退職金についてはその就業の実態、通 常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努める」とされておりますし、また「事 業主は短時間労働者の職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置 を講ずるように努める」と指針上されているところです。その辺りの状況が11ページ です。まず採用時の賃金決定要素ですが、「地域の同業・同一職種の賃金相場」と答える 企業が複数回答ですけれども、64.4%と最も高くなっています。次いで「パート・契約 社員の在籍者」が43.9%、「仕事の難易度を考慮する」が28.0%となっております。  次に12ページ、昇級の際の決定要素ですが、同じく複数回答ですが、「個人の職業能 力の向上」とする割合が72.7%と最も高く、次いで「個人のこれまでの業績」51.6%、 「個人の努力」42.2%、という状況になっております。  13ページ、賞与の関係です。賞与支給制度の適用状況ですが、賞与制度を「正社員に 適用している」が83%、「パートに適用」が65.7%ということで、パートの適用割合は 正社員の適用割合の約8割という状況です。業種別・規模別で若干のばらつきはありま すが、全体としておおむね8割程度という状況になっております。 次に14ページ、退職金の関係です。退職金制度を「正社員に適用」が66.1%、「パー トに適用」は7.3%という状況です。規模別には規模が小さいほど割合が高いという傾 向が見られます。  次に15ページの責任ある地位への登用の状況です。登用しているパートがいる事業 所の割合が10.7%です。業種別では飲食店、宿泊業24.5%、卸売・小売業18.1%とい う状況になっております。  次に16ページですが、先ほど見ました通り、パートタイム労働者と正社員との均衡 を考慮した均衡処遇の考え方を指針に入れました2年前になる調査時点の平成17年の 調査と比較して、正社員との均衡を考慮した処遇改善の進捗度について聞いたものです が、「2年以上前から均衡処遇が図られている」、「進んでいる」を合わせますと約5割、 50.7%に達しております。「進んでいないが必要だと思うようになった」という事業所が 29.5%という状況になっています。以上、処遇の関係、賃金の関係を中心としたもので す。  次に労働時間の関係です。18ページを見ていただければと思います。指針の中でお願 いしています、労働時間および労働日数を定め、変更するに当たって、パートタイム労 働者の事情を考慮しているかどうかという点ですが、全体の95.6%が「考慮する」と答 えています。  次に19ページですが、所定外の残業の関係です。パートタイム労働者の所定労働時 間を超えて、あるいは所定労働日以外の日に労働させているかどうかの状況ですが、「パ ート本人の事情を考慮した上で労働させている」と答えた事業所が70.3%、「時間外労 働させることはない」と答えられました事業所が29.4%となっております。  次に20ページ、教育訓練の関係です。指針におきましてはそこにあります通り「就 業の実態に応じて実施するように努めるものとする」と書かれております。その状況は 21ページですが、中身別に見まして計画的なOJTの実施率ですけれども、これにつき ましては正社員に対する計画的なOJTの正社員の実施率の7割程度という水準になっ ております。一方、Off-JTの実施率は低い水準となっておりまして、「特に何も実施し ていない」と答える事業所の割合が36.9%に達しております。  次に22ページ、福利厚生施設の関係です。指針におきましては施設の利用について 「通常の労働者と同様の取扱いをするように努める」とお願いしております。その状況 が23ページです。福利厚生制度の適用状況についてですが、パート労働者への適用割 合が高いものは、社内行事への参加が85.1%、慶弔見舞金が71.1%、保養施設の利用が 41.0%という状況になっております。正社員と比較しまして適用が相対的に高い福利厚 生制度を見ますと、社内行事への参加92.3%、託児施設の利用85.4%、慶弔見舞金80.7%、 保養施設の利用79.2%となっております。  次に24ページですが、高齢者の短時間労働の促進ということで、「事業主は、短時間 労働を希望する高年齢者に適当な雇用の場を提供するように努めるものとする」と指針 に書いてあります。その状況が25ページです。60歳以上の労働者を雇用している事業 所につきまして何らかの特別の措置をとっているとする事業所の割合は左側の表ですが 33.7%いう状況です。具体的な中身につきましては複数回答で右側に載せてあります。 いろいろありますけれども、上から三つ目の労働時間の短縮、勤務時間の弾力化という 企業が15.6%という状況になっております。  次に26ページ、応募機会の付与、通常の労働者への転換の部分です。その指針にお いてそこにありますことをお願いしているところですが、その実施状況が27ページで す。まず応募機会の付与の関係ですが、優先的ではないが応募の機会を提供している企 業が58.8%、優先的に提供している企業が16.4%という状況です。業種別に見ますと医 療、福祉が高い。規模別に見ますと、規模が小さい企業ほど優先的に応募の機会を付与 している割合が高いという状況になっております。  次に転換制度の関係ですけれども、制度の有無について、「ある」と答えました事業所 が48.0%という状況です。規模別に見ますと、規模が小さい企業ほど、「ある」とする 割合が高いという状況です。前回、適用事例の状況はどうかというと質問をいただきま したが、制度および過去3年以内の適用事例の有無を調べたものが右側の方に載せてい ますけれども、「制度があって適用事例もある」という企業が23.3%、「制度はあるが適 用事例はない」と答えられた企業が11.8%という状況になっております。  次に29ページ以下、コミュニケーション、話し合いの促進の関係の部分ですが、指 針におきましては、そこにあります三つの措置をお願いしておりますが、その実施状況 は30ページですが、パートから本人の処遇について説明を求められたときに説明をし ているかどうかという部分ですが、説明しているという割合ですが、説明を求められた ことがないという場合を除きますとほぼ100%という状況になっております。  次に31ページです。パートについて雇用管理の改善などの措置を講ずるに当たって パートの意見を聴いているかどうかですが、「聴いている」とする事業所の割合が87.2% という状況になっております。  32ページですが、パートから処遇について苦情の申し出を受けたときに事業所内で解 決を図るように努めている企業の割合が96.0%という状況です。  最後ですが33ページ、これはパート労働法の第九条ですけれども、「短時間雇用管理 者を選任するように努める」と書いてある部分の選任の状況ですが34ページになりま す。10人以上のパートを雇用している事業所についてのみ、努めるようにされていると ころですが、その状況は「選任している」と答える企業が46.3%です。規模別に見ます と、規模が大きいほど選任割合が高いという傾向あります。以上、走り走りでしたけれ ども、資料の説明です。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。それではただ今の説明に対しまして、質問などありました らお願いいたします。鴨委員。 ○鴨委員  「パートタイム労働法・指針の周知状況」というところで、パート定義のところが「正 社員以外の労働者で、呼称や名称にかかわらず、1週間の所定労働時間が正社員より短 い労働者」となっておりますが、ここで出されているいわゆるパートというのは1週間 の所定労働時間が例えば1分でも短ければパートということで考えてよろしいというこ とですよね。 ○高ア短時間・在宅労働課長  そういうことです。 ○鴨委員  そうすると逆に1分でも長い労働時間を働いている、いわゆるパートと言われている 人は、この中には入ってこないということですか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  短い労働者と定義付けされている調査項目についてはそういうことです。 ○篠原委員  この調査項目はすべて1分でも短いパート労働者を扱っているわけではないのですか。 例えば、正社員的パートと入っておりますけれども、正社員的パートというのは、労働 時間は。 ○佐藤委員  正社員的パートはどこですか。 ○横溝分科会長  何ページですか。 ○女性  書いてないですね。 ○鴨委員  書いていないですか。ごめんなさい。今回は消えているみたいですので、今の発言は 取り下げます。 ○横溝分科会長  7月20日のものと今回は少し変わっているのですね。 ○鴨委員  わかりました。 ○横溝分科会長  では今のはいいですね。もう一回質問を整理して言っていただく。いいですか。 ○鴨委員  いえ、それでこれ自体はこれ以降いわゆる状況を把握して、これ以降のいわゆる均衡 を考慮した処遇にどのように近づけていくのかというところで出されているものだと思 うのです。それでその意味からすると、先ほど少し聞きましたが、1分でも長い労働者 であって、いわゆる呼称パートというのか、フルタイムパートというのか、そういう方 たちについては実態的にはこれから把握していくと考えてよろしいですかということで す。 ○高ア短時間・在宅労働課長  正社員と同じあるいは長いパートと呼ばれているかはともかくとして、そういう非正 規労働者といいますか、そういう方がいるという話は前々回も鴨委員の方から問題定義 をいただいたところでして、その際にも答えましたが、パートタイム労働法あるいは、 いわゆる短時間労働者ということであれば、所定労働時間が短いという属性を持った労 働者に対する対策の状況、あり方について議論いただくということでそこを中心として 議論していくことだろうとに思いますが、フルタイムということは呼称パートかパート ではないかはともかく契約正社員あるいは有期の労働者、あるいは呼ばれ方は事業所に よっていろいろとあるかと思いますが、その部分についての実態把握ということを当分 科会関係の部分ですることについては、私どもとしては予定をしておりません。 ○鴨委員  そこはもう全然予定されないわけですか。実態的に言えば、今フルタイムパートとい われるような40時間働いている、それからさらに、プラス残業時間もありのパートタ イム労働者がいるわけですから、その人たちは全然関係ないという形でこれからのここ の議論が進められるということなのですか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  確かに呼称で把握することはあるのかもしれませんけれども、繰り返しになりまして 恐縮ですが、いわゆる有期の方なり、契約社員の方なり、あるいはフルタイムで働いて おられるような方々の処遇の関係につきましては、例えば労働条件分科会の方で契約法 制度などの議論の際にもいろいろと議論されていると聞いておりますが、少なくとも現 行のパート法およびパート指針につきましては、呼称ではなくて労働時間が短いという 労働者に対しまして施策ということで議論をしてきて、かつ法律ないし指針が作られて いるという状況で、そういう意味で例えば呼称パートと呼ばれているフルという形で実 態を把握するということというのはフルの中での議論において拾うべき話であろうと思 いまして、私どもとしては現状においては、短時間労働者という場合に所定の労働時間 が短い労働者に着目して議論をお願いできればと思っております。 ○鴨委員  少ししつこくなりますけれども、そういうことであれば、これからのパート労働者の 均衡処遇を進めることからいえば、ある意味で今置かれているパート労働者の実態とか け離れた形で進むことも出てくるのではないですか。 ○佐藤委員  まず、問題がないどうこうではなくて、呼称パート、名称だけパートがあることをパ ートだというのは少し整理した方がいいと思います。まず労働時間が通常労働者より短 いということで、一つは例えば仕事が同じであっても処遇が低くなるという問題がある とした場合、どう処遇を改善していくのかという人を切り出してパート労働法の中では 取り上げているのです。ここでいうパートは通常時間が短い。他方確かに言われるよう に通常労働者と時間が同じ人たちもたくさんいるわけです。名前だけがパート。法律上 これはパートではなのです。この人たちの改善すべき問題がないと言っているわけでは なくて、ここの範囲は通常の、例えば今言ったような話や基準法の中で取り上げる形に なっています。ですからここで取り上げないからといって問題がない、改善の必要がな いと言っているわけではない。そこを理解していただく必要があると思います。  これまでの議論は短時間であるがゆえに、例えば一部の事業主が通常労働者と仕事が 同じでも処遇はほどほどでということがある。あるいは教育訓練を十分しないという問 題もかなり多くある。ここの部分をどう改善するかとできたのが短時間労働法なのです。 ですから基本的には短時間の人たちを対象にしている。パートで呼称でなくてもいい。 短時間の人であればパートで呼称であるわけでないので、呼称で議論するわけではない。 時間が短い人たち。だからと言って長い人たちを何もしなくていいとは言っていない。 それを誤解されると私は少し問題だという気がします。これはずっとそういう議論でや ってきた。 ○吉川委員  いろいろ細かい資料いただきましてありがとうございます。全体的な感想としまして は非常によく実行されているという印象を持ちます。今の説明でいきますと、短時間労 働者がすべての企業の給料についても7割以上というのが90%以上も実際払われてい ますし、小さい企業であっても、85%に上っているという非常に全体としてはいい傾向 に整っているのではないかと。その中で退職金制度と、教育訓練に対しては多少低いか もしれませんが、その他については非常によく行われているという印象を受けます。  逆に言うと、私は短時間の者に対するとだけ思わなかったものですから、この資料が 果たしてどちらなのか。混在しているように感じなくもないものですから、これだけ短 時間労働の中で、ある意味ではスムーズに行われているにもかかわらず、これ以上何を 目的とするのかが私はわかりにくいと思うのですけれども、その辺についてはいかがで しょうか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  吉川委員が質問いただいた答えではありませんが、データを若干確認させていただき ますと、賃金水準について聞いている9ページの資料ですが、表題を見ていただきます と、この調査項目につきまして現行のパート法およびパートタイム労働指針もそうです けれども、パートの方は千差万別というような状況でして、一口にパートについてとい うことではなかなか事業主にお願いする項目についても整理がしにくいということで、 佐藤委員から話もありましたが、職務、人材活用の仕組みの状況である程度グループ分 けしてパートの方々について事業主にお願いをしているという中で、この調査につきま してはそのうち職務と人材活用の仕組みが通常の労働者と変わらないパートタイム労働 者につきましての処遇の水準ということで答えたものの回答という状況です。パートの 全体の賃金水準についての質問に対する回答を整理したものではないという点だけ確認 させていただければと思います。 ○吉川委員  そうすると全体の何%ぐらいがこの範囲に入っている調査の対象だったのでしょうか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  この調査につきましては2ページに付けていますが、平成17年に実施したパートタ イム労働実態調査で、調査項目はそこにある通り1万3,000事業所を抽出した上で、有 効回答2,821ということで集計したものです。そういう意味では全規模業種にこれに基 づきまして復元していくというのはいろいろな過程なり何なり行わなければならないと いうことで、即座に全体のウエートが出るというものではないのですが、ただ正社員が 同じかどうかとか、人材活用の仕組み、運用が異なるかどうかという調査項目がありま すので、そういうもので推計しますと、全体のパートの労働者の一部、少ない一部とい うことではないかという状況です。いわばパートタイム労働者のうちの職務内人材活用 の仕組みが同じとするパートの割合というのは高くないということです。 ○吉川委員  高くない部門のところに対する法制化を考えるということですか。すみません。質問 が違いますか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  その辺についてはこの審議会の今後の議論のことですが、このデータはそういう一部 のパートの方々の賃金水準についての回答であった。逆に言えば、そこの部分につきま して現行のパート指針におきましては、「処遇の決定方法を合わせる等の措置を講じた上 で均衡処遇の確保に努めてください」と書いていますので、その実施要件についてのデ ータです。 ○佐藤委員  8ページを見ていただくと、ピンクのところは、職務や人材活用、正社員と同じパー トはいないということですから、逆に言うと5割ぐらいはそういう人たちがいる。ただ 人数ではありませんので、5割ぐらいの事業所は、職務と人材活用が通常労働者と同じ パートがいる。この5割は人数ではありません。5割の事業所が分母になって次を答え ているのです。逆に言うと半分のところは仕事や人材活用が違います。例えば正社員は かなり経験がいるけれどもパートはルーティンな仕事に使っているとか違うというとこ ろが5割ある。残りの5割、かなり人数は別ですけれども、パートの方の多分一部が多 いと思いますけれども、通常労働者、正社員と同じような仕事や人材活用の仕組みをし ている人がいる。この5割についてどういうふうに賃金を決めているかと聞いたのが9 ページです。 ○吉川委員  残りの5割のところの人の事業所の比率ですよね。そのうちの8割の所が70%以上の 給料が払われているということは、それなりの効果というかきちんと施行されていると 理解するのですが違いますか。 ○樋口委員  前回の改正から引き続き委員をやっている者の責務として、少し交通整理をしたいと 思います。前回の資料No.2で配られております「今後のパートタイム労働対策の方向 について」で、このときにどういう議論があったのかを思い出してみますと、この当時 パートについての均衡処遇をパート労働法の改正という形で進めるのか、それとも指針 というマイルドな形で進めるのかというようなことでいろいろな議論があったと記憶し ております。そのときの使用者側からの要請としまして、どうも均衡といっても社会的 に馴染みがないことではないか。今やるのは時期尚早であって、もしこれをパート労働 法の中でやるとすれば、社会的な混乱を起こすのではないかということから、とりあえ ずは周知徹底していくことが必要だということになり、指針の改正ということでやった ように記憶しています。もし間違っていたら、訂正していただきたいのですが、そうい うことで、この3年間の周知徹底を図っていくことを目的として、配られたこの資料 No.2のアンダーラインが引かれていますように、まず「実態把握を指針改正の一定期間 経過後に行う」これは先ほど説明のあった多くは平成17年です。中には16年のものも あったのですが、それを調査し把握しました。その把握した上でまず「社会的制度等の 影響も考慮しつつ問題点の分析を行い」最後のところですが「幅広い検討を加え」とい うのが今、審議会で行われようというようなところでありまして、「その結果に基づいて 必要な措置を講ずることが重要だ」その措置を講ずるとは具体的には何をいうのかとい うような質問だろうと思うのですが、それについてはいくつか考えられます。パートタ イム労働法の改正ということで今までの指針から格上げするというようなことも考えら れますし、他の方法も考えられるでしょう。ということで舞台俎上に載ったというよう なところが、交通整理としては的確な判断かと思います。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。 ○今田委員  せっかくきれいに交通整理していただいたので、それにそって議論を深めていくとい う方向で今吉川委員から結構うまくいっているのではないかと指摘があったのですが、 実態をどう評価するかということは、我々がこれからどういう考察をしていくかに重要 なこととなるので、その点で我々も考えなければいけないし、事務局サイドのこのデー タからどのように評価されているのか質問したいのです。この8と9ですけれども、こ の指針の基本的な1番コアな所は、職務が同じで人材活用の仕組みが同じ人というのを 中核において議論を立てていくルールがある。8で見ると結構多いわけです。両方とも 全くないというので佐藤委員が今言ったように紫色全てが職務と人材活用の仕組みが、 正社員とほとんど同じパートの賃金決定方法が正社員と同じというのは、全く指針通り のパターンです。そういう意味で言えば指針から何らかの形でずれている、逸脱してい るという評価になる。その結果として9ページのところで、職務と人材活用の仕組みが 同じ人、その人の賃金のレベルが吉川委員はすごく整っていると言われたのですが、こ れが今この全体で言うと100%から、こういう形のばらつきがでている。もちろんこの 指針のルールは賃金レベルを同じにしろとは言っていない。賃金決定システムを同じに してください。結果として賃金レベルは違うかもしれませんが、8と9は一致するデー タではない。そこはおさえておかなければいけないのですが、今言ったことで一部の厚 生労働省がつくった指針に本当にきちんと沿っている企業が2割弱しかない状況です。 結果として賃金がこういう状況で8〜9割がそういうばらつきがあってというのは指針 後の現状だと、これをどう評価するのかということだと思うのです。結論として結構う まくいっているか、均等が進んでいるかという評価するのか、今のこの二つのデータか らあまり指針はよく知っているという前の方でいろいろデータはよく理解している、ほ とんど理解していると言っていますけれども、この辺になったら理解はしているのか。 理解はしても実際に雇用管理のルールとして定着しづらいのか。そういう現状がいろい ろ読み取れてくると思うのですが、そういう現状把握について、事務当局はどのように この二つの評価を理解しておられるのか。我々の議論の参考として聞かせていただきた い。 ○高ア短時間・在宅労働課長  お答えします。まさにこの今議論になっています職務と人材活用仕組みが通常の労働 者と同じパートの処遇の関係ですけれども、7ページにその指針の抜粋をつけています。 指針を確認しますと、「通常の労働者と実質的に異ならない状態にある短時間労働者につ いては、処遇の決定方法を合わせる等の措置を講じた上で、意欲、能力、経験、成果等 に応じて処遇することにより、通常の労働者との均衡の確保を図る」ということで、い わば正確に読みますと「処遇の決定方法を合わせる等の措置」なので合わせるだけが唯 一という形で書かれている語ではないということは一つ押さえておかなければいけない ことだと思います。ただそれ以外の項目として指針に書いていませんので、8ページで 仮にその決定方法は合わせるという部分についてはどうなっていますかと聞いたのがそ の表です。ちなみに決定方法が同じという言葉も非常に漠とした言葉で、中身について はある、そういうこともありまして指針の通達もそうですし、この調査でもそこの下の ところの資料収集の上の部分に書いています、こういうことを明記した上で調査したも のです。具体的には「『賃金の決定方法が同じ』とは『正社員と同じ体系の賃金表を適用 すること。支給基準、査定や考課の基準、支払形態を同じにすること』」これは当然例示 です。全部という意味ではなくどれかということだろうと思います。そういう状況で見 たというもので、そういう意味からしますと、このすべてが「同じ」と答えた割合が 14.4%ということをそれだけで仮に低い。低いという意味は指針全体の構造の中で低い と見るかということが、少なくとも事務的にはまさにここの審議会の場で議論をいただ くべきことと思っています。それはどういうことかと言いますと、決定方法を合わせる 等の措置というものがどう実施されているのかについて総合的な評価ということになる と思いますので、その中の1項目を取り出して議論しても、もしかして経営サイドには 経営サイドの意見があるかもしれませんので、そういうことかと思います。  ただ形はともかく最終的に指針がお願いしていますのは、均衡確保を図るように務め てくださいということで、そうしますと結果的な水準の部分がどうなっているかという 方も重要なわけで、その状況を見たのが9ページです。これについても100%でなけれ ばいけないのか、そのあたりについては厚生労働省としても断定することはできないの ですが、仮に8割でみましたということで一応整理したものが64.5%という状況です。  その一方で割合として少ないのですけれども6割程度以下という企業もあるわけで、 6割程度以下ということは仮に5割も含まれているのかもしませんが、6割という水準 自体は川崎厚生労働大臣も国会の答弁などで「仕事が同じで賃金が半分だけというのは いかがなものか」と言っておりますし、そういう意味からしますとより低い方に行けば 当然何らかの意味で問題があるのではないかと思います。10割、8割、9割というあた りについて、そこも含めましてこの審議会分科会の場で議論をたまわればと思っていま す。 ○横溝分科会長  はい、前田委員。 ○前田委員  資料の見方ですが、今8ページのアスタリスクのところで、「支給基準、査定や考課 の基準、支払形態を同じにする」ということですが、この支払形態は、パートタイマー ということだとすると時給が多くて通常フルタイマーは月給が多い。パートタイマーに は賞与の仕組みがないのでそれを時給に加算しているなどそういうスタイルをとってい る会社もあるのではないかと思うのですが、そういう形態だとこれは同じでないという 形に出てくるのでしょうか。それともそのあたりはこの表ではどういうふうに読めばよ ろしいでしょうか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  この調査につきましては平成17年の調査は郵送調査です。ですから調査員が行って、 直接お話を伺ってという調査ではないので、まさに調査票を読んで事業主の方が当該事 業所の状況に応じて調査項目に当てはめて判断して回答されるということですので、一 義的にどちらかになるということでないことをまず理解いただきたいと思います。  そういう中にあってまさに8ページのところの「賃金の決定方法と同じ」とは何です かと書いてある文言がまさにそこにあるように「正社員と同じ体系の賃金表を適用する こと」あるいは「賃金の支給基準、査定や考課の基準、支払形態を同じにすること」と 書いてあるわけで、これを読んでどう判断されたかということです。例えば、時給あた りピタリと一致しなければ同じでないと狭く考えるということでもないかもしれません し、かといって、ありとあらゆるものがここで同じにするという意味で捉えて回答する というものではないということだろうと思います。基本的にはそこにあるように同じ体 系の賃金表を適用するとか基準をあわせるというのは、まさに評価のメジャーみたいな ものを備えている場合には該当するということだろうと思いますし、そういうものが備 わっていなくても支払形態を同じにするという方は、いわば時給なり月給なりそういう ところであっていればと答えられることだと思います。 ○吉川委員  言葉尻をとらえるようで申し訳ないのですが、そうするとこの資料はあくまでも、規 定時間以下先ほど1分以下と言っていましたが、それを対象にした資料ということで正 社員と同じと限定して見ていいですね。そうすると支払形態を同じにするということは、 時間が短時間の場合には、比較的パートは時給制が多いと思うのですが、そうすると支 払形態は同じになりません。それでなおかつ、調査を受けた会社によってそれなりに受 け取り方が違うということは、この資料は大変恐縮ですがあまり正確ではないと受け取 られても仕方ないという気もするのです。それが1点と、同じ待遇といいましても中小 企業で周りの同じ経営者の人たちの話を聞いたり、自分の会社のことも参考にしたりし て意見を言わせていただきたいと思うのですが、どうしてもパートの方は自分の決めら れた範囲内しかしなくてもいいという感覚が強いです。ところが同じような業種をして いても正社員になると周りとの全体の兼ね合いの中で仕事をしているということからす ると、決して目で見える部分では同じかもしれませんが、トータルで見たら決して同じ ではないというのが現実だと思いますので、その辺りのこともぜひ考慮していただきた いと思います。ですから、ある部分もう一つ考えたらパートの人や派遣の人に対しての 訓練といいますか、教育がどうしても正社員に比べると低い、浅い。そうするとその人 がこことは少し違ってしまいますが、正社員の登用になったときとても難しいという現 実もありますので、その辺のことも併せて書いてあるこの行数だけではない部分もぜひ 見ていただきたいと思います。 ○横溝分科会長  少し私が発言してもいいですか。No.3の資料を今日提示させていただいたのは、結局 パートタイム労働対策として今この均等分科会で、検討をするに当たっての一応の現状 把握の客観的な資料として出させていただいた。これは現状を把握するのがこの検討の 第一歩です。それで2ページ目を見ていただきますと、21世紀職業財団が1万3,000 事業所を抽出の上、有効回答が4分の1弱なのです。無回答は当然統計上入っておりま せんし、そしてまた「パート」の定義というのもパート労働法の規定にありますように、 「正社員以外の労働者で呼称や名称にかかわらず、1週間の所定労働時間が正社員より も短い労働者」と、この一定の定義で調査をしなければめちゃくちゃになってしまいま すので、回答をするに当たってはこういう正社員というのはこうですよ、処遇がどうと いうのはこうですよというコメント付き、説明付きで回答を求めて、それに従って回答 をいただいているということです。「この回答するにあたってこれはこういうことで答え てください」というのを回答する相手方が勝手に解釈してめちゃくちゃな回答だという のを前提でこの資料を読むというと資料そのものの存在価値がなくなります。それは読 んで100%正確とまでは言い切れないかもしれませんが、まずはきちんと把握し、認識 した上で回答していただいたという前提で現状把握の資料としてこれを読んでいただく。 そういう前提で議論の検討の素材として使っていただく。そういう形でお読みいただく ということを出発点、何か足がかりがなければ我々の検討の材料になりませんので、そ ういう認識でまず出発していただく。そして今日お配りしている資料No.4の方にパー トタイム労働対策に対する最近の主な提言と、これから事務局で説明していただきます ので、これを見ていただくと一層理解が深まるという気がしますがいかがですか。 ○佐藤委員  樋口委員が言われたように、先ほど指針の執行を見ながら答申を踏まえて今後どうす るか議論をするのですが、そのときにぜひ個人的にということもあるのですが、公益と してお願いしたいことは、先ほど吉川委員が言われたように正社員とパートが一見同じ 仕事をしていても違うではないか。ずっとその議論をしてきた。そうではなくて同じ仕 事をしていても違うのではないかと経営側は言われる。労働組合側はそうではない。時 間が違うけれども仕事は同じだ。そういう議論をずっとしてきて多分同一労働同一賃金 はとても大事だと皆さんは思っているのですが、つまり同一労働は何なのだ。どういう 場合同一労働とみなすのか。これが一応これまでの議論では仕事も同じだけではなくて 人材活用の仕組みが同じなのが同一労働。そういう人たちにでは同一賃金といったとき に賃金水準をそろえるのではなくて賃金の決定の仕方をそろえましょう。一応ここまで 議論をしてきたのです。ですから、ものさし研があり、パート研があったのですが、そ のときには同一労働、つまり時間は違うのだけれどもその人たちに同一労働と言えると いうのはどういう仕事なり働き方なのか。もし同一労働、こういう仕事でこういう働き 方が同一労働と言えるときに同一賃金といったときどうしたら同一賃金になるのかと議 論してきたのです。ですからその中で確かに単純に仕事が同じだから同一労働というふ うに指針には書かれていませんので、一応そこの整理してきたことを踏まえて議論して ほしい。つまりパートの議論はいつもゼロから始まるのです。これはぜひやめてほしい という一つのお願いです。  あと二つあるのですが、一つは時間の短い方と時間の長い方の同一労働・同一賃金と いう処遇のあり方を議論するときに、その考え方は、実はフルタイム同士に適用しても 適用できないのがおかしいのです。ここをぜひ考えていただきたいと思います。例えば、 大学には助教授がいます。でも、給与は違うのです。同じ助教授で給与が同じでなくて はいけないと議論されるのかどうかということをぜひ考えてみてください。例えば、同 じ賃金制度が適用されます。でも水準は違います。これがけしからんという議論をする のかどうか、つまり、フルタイム同士に適用したときも合理的に成り立ち得るかどうか。 つまり、パートとフルタイムだけではないのです。フルタイム同士に適用しても合理的 考え方なのかということがとても大事だと思います。  3つ目は、指針をこれまで作ってきたわけですけれども、例えば同じ仕事で人材活用 が同じ場合、処遇の決定方法を合わせなさいと具体的に示しているのは基本給だけなの です。それについては、できるだけ賞与や退職金も合わせてくださいと書かれているの ですけれども、具体的にどうしなさいというメッセージを出しているのは基本給のとこ ろだけです。これは、指針を作る前の研究会レベルで、審議会ではありませんので使用 者代表というわけではありませんけれども、懸案なども含めて基本給についての基本的 考え方はある程度合意できたのですが、賞与や退職金、さらには配偶者手当や交通費な どの手当ついてはかなり広いので、この部分については指針段階であまり議論できなか った。そこまで議論するとまとまらなかったと思います。だから、今回、賃金といって もかなり広いですので、どの範囲まで同一労働・同一賃金という考え方を適応するとな った対象数について、仕事や人材活用の仕組みが同じといったときに、処遇というのは どこまで考えるのか、あるいは、どこまでが同じでどこまでがバランスを取ればいいの か。そこまで議論していただければというのが、これまでパートでやってきたお願いで す。 ○龍井委員  私どもも03年の結果を踏まえているつもりです。ただ問題は、03年のときも同じ議 論がされていたのは、今、正社員同士の話が出たけれども、実際にここで出されている ような正社員とパートのそこに同じような制度を作ろうとすれば、例えばそこにフルタ イムパートがいたらそこを無視してはできないわけです。視野に入れなさいという対象 の範囲がそうだという経過はそうなのですが、絶えずそこは念頭に入れておかなければ たぶん経営者の方も困るということで、いつも念頭に入れて提起してほしいという問題 ですので、ぜひお願いしたいと思います。 もう一点、これがどこまで事実かという提起があったのですが、座長がおっしゃるよ うに素材としてはなかなか無い、ただ、我々も含めて働いている側の意見というのはこ れから申し上げていきたいと思っていますが、例えば行政もやっているような労働相談 の例や実際にアドバイスをしている方など、現実に直面している方々は定性的にどう見 ているか。定性的というのは指針ができる前と後で変わったかどうかというのはワンポ イントで捉えるのも大事だけれど、やはりそういう幅の広いヒアリングなどもぜひこの 場でやっていただきたいというのが要望です。 ○鴨委員  今、ゼロからの議論という話があったのですけれども、私自身はゼロから議論するつ もりはないのだけれども、こういうパートの均衡処遇をこれからどう進めるのかという 議論の中で、やはり指針がどのように進んだのかという結果を見たとしても、労働者の 働いているパート労働者の実態で見ればほとんど変わっていないし、もっと言えば悪く なっているとどうしても思わざるを得ないのです。だからそういう意味において、これ からパート労働者の均衡処遇をいかに図っていくのかということが、これからの議論に なるということからすれば、やはり今のパート労働者が置かれている実態というのをき ちんと把握していくべきではないかという意味で、しつこいようですけれどもいろいろ こだわっているということです。 ○吉川委員  私が気になったのは、支払い形態を同じにすると書いてありますが、パートの人と正 社員の支払い形態はたぶん違うケースが多いと思うのです。そうするとこの基本的に全 ての職務と人材活用の仕組みは正社員と同じパートの賃金の紫色のところがなければも っと増えるという可能性もあるかと思いまして、この支払い形態を同じにするというと ころに引っ掛かったのです。意見として申し上げます。 ○佐藤委員  一般的に、時給計算するか月給かということと、例えば月単位で払うかということが あります。つまり時間給だけれども月単位だということと両方を誤解している可能性が あります。つまり時間が短くなると時間給にしなければならないということではなくて、 例えば正社員でも8時間勤務の人が6時間になるときは月給のまま6/8です。それは月 で払うわけですから、あまりそこはこだわらなくてもやれますので、例えば時間給で月 給であっても、そこはそらえて月単位で払うということはできると思います。実際そう している企業は多いと思います。 ○吉川委員  この資料を受取った企業の受け取り方なので、その違いというものを申し上げたかっ たのです。 ○横溝分科会長  よろしいですか。それはもう一度答えなくてもよろしいですね。 ○松井委員  今後、実態を把握して議論を進めていくということについては賛成です。ただ、今日 示されたものも参考の資料ということのようですが、樋口委員が指摘されたように古い 資料もあります。例えば、11ページの資料というのは指針の改正後1年も経たないよう なときで、なおかつ、その有効回答数が180件というものについて、こういうことに基 づいて本当にやるのかなど、実態把握が重要であることはわかるのですが、非常に難し い部分もあるということを踏まえて、今後どのような議論を進めていくのか十分考えて いただきたいと思います。実態にあまり関係なく進めていくのかどうか、その辺は使用 者側としては少しこだわっていきたいと思っております。 ○樋口委員  普段から調査しているものの立場として、昨日何が起こっているかを今日答えられれ ばいいのですが、集計もありますし調査票の作成などもあって、どうしても1年ぐらい かかるのは仕方ないかと、ある意味では現行の中ではできる限り最新の情報に基づいて 議論するしかないかという感じはします。  ただ、事務局に一つお願いなのですが、この21世紀職業財団がやっている調査もあ りますが、これはたぶん社会的な浸透状況はどうかということについては的確な情報だ と思いますが、その一方で賃金水準がパートと一般労働者の間でどのように推移してき ているのか、拡大してきているのか縮小してきているのか、それは賃金構造基本調査な どの中で時間あたりに換算してそれがどうなっているか、ボーナスがどうなっているか というようなことはわかりますので、そういった情報も提供していただきたいというこ とがあります。  2番目のお願いは、今までの短時間労働についての議論というのは、女性や高齢者と いったところに視点が置かれて議論されてきたと思うのですが、ここのところ起こって いるフリーターの問題について、短時間労働者も中にはいると思うのですが、どの程度 いるのかわかりませんが、そういった情報があったら提供していただきたいと思います。 今、男女を問わず若年のそういう人たちが増えてきていて、フリーターと言われていま すが、有期なのか期間は長いのか短いのか時間はどうなのかということで分かれてくる と思いますが、やはりそこを視野に入れた短時間労働法の議論をしていかないとまずい のかという気がしますので、そういう情報もあれば提供していただきたいと思います。 ○高ア短時間・在宅労働課長  1点目の賃金構造等の関係については次回公表したいと思います。2点目のパートの 構造といいますか、就業構造といいますか、従来、主婦パート問題であったものが今も そうなのかという辺りが非常に重要な指摘だと思います。その点につきましても次回ま でに用意したいと思っております。 ○松井委員  今、樋口委員が指摘されたような資料を出してくださるとき、その結果だけではなく て、可能であるならばその結果に至った要因などがどのようなことになるのか推定でき るものがあれば、それも合わせて検討して資料の提供をしていただければと思います。 なぜなら、賃金の状況というのは社会的情勢によって相当変わってくるものもあります ので、そこですぐ格差が広がったなどそれだけでなくて、その場合はどうしてそうなっ たのかなどがわかる範囲内でそういったものも資料の提供をお願いしたいと思います。 ○高ア短時間・在宅労働課長  私どもは決して統計分析の専門家ではないので、白書なり既に分析したものを極力引 用するという形で客観性を持たせた上で、可能な限り提供したいと思います。 ○今田委員  発言が適切かどうかわからないのですが、前回の指針の段階で作ったものというのが 一つの基準になっているわけです。それをある意味、今回のスタート点とするのかどう かもはっきりしないのですが、指針のあり方というものについての正確な評価をしない で、議論に走ってしまうというのは問題かと思います。なぜなら、均衡とは何を問うの か、結果として何をさせたいのか、どういう帰結をもたらすことを目的としているのか ということについても、皆さんなんとなくわかったようでわからないという状況もあっ て、哲学まで持ち出すとこの審議では全く時間が足りないということもよくわかるので すが、一度に均衡の物差しでテクニカルな議論をし始めると、皆さん乗れないというか、 何のための均衡なのだという感じで、全体的に引いているような感じがするのです。均 衡の議論というのは熱い議論なわけです。そういうものを基礎に置いて、だからこそク ールな尺度が必要なのだという両方を、我々、労使も公益も事務局もそういうことを理 解した上で、時間も限られますが、一つの指針のようなものが基準になって、さらに均 等を実現していく上においてはどうすれば効果的なのかという議論の順番が必要だと思 いますので、細かなテクニカルな議論に入る前に、今なぜ均等が必要なのか、どこが問 題なのかというようなことも我々で理解できるような形で事務局から問題提起やデータ 提供をしていただいて、最終的なゴールへ向けて議論が煮詰まっていくような努力をし ていただきたいというお願いです。 ○山崎委員  わかればお聞きしたいのですが、2ページに「13,000事業所を抽出の上」とあります が、抽出するときに均等に6つの規模別に選んでお願いしたのか、それともそうではな くて、単に抽出して結果的に2,821になったものをこのようにふるいわけたのか。もう 一つは、6つに分けていただいていますけれども、2,821の内訳のそれぞれの企業数が わかるかです。例えば、5〜29が数社ではあまり参考にはなりませんのでどのような内 訳になっているかを教えていただきたいと思います。 ○高ア短時間・在宅労働課長  お答えします。抽出につきましては統計に基づいて抽出したということで、規模ごと に同じ企業でやっているということではありません。ただ、回答率などについては手元 に数字はありませんが割合で申し上げますと、1,000人以上の企業の数は全体の26.9%、 500〜999が13.3%、300〜499が11%、100〜299が18.7%、30〜99が16.9%、5〜 29という部分につきましても12%という状況です。決してサンプル数が1桁などとい うことではありません。 ○横溝分科会長  このパート労働に関しまして資料4は省略ということですが、私から見ると今年にな ってからの各界の意見で、均衡の大合唱で、これも理解のよすがになるかと思いますの で皆さんに読んでいただくということにします。  次回の進め方について協議願いたいと思いますけれども、次回におきましても本日お 配りした資料に基づき議論いただきたいと思います。なお、議論をスムーズに進めるた めに、今日示した資料の項目を基にしまして、今後、議論いただきたい項目の案につい て私と事務局で協議の上作成させていただき、次回までにお示しして引き続き議論をし ていただくという形で進めたいと思いますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  では、議題3です。資料5と6について説明をお願いいたします。 ○安藤雇用均等政策課長  説明を申し上げます。お手元の資料5〜7までが議題3の関係ですが、資料7は前回 諮問を申し上げました省令案要綱、指針案を付けておりますので、適宜、参照していた だければと思います。簡単に説明します。  資料5は9月14日に実施いたしました労働基準法第113条の規定に基づきます女性 労働基準規則の改正にかかる公聴会における公述要旨を付けております。この要旨は公 述人作成のものをそのままお付けしております。公述につきましては公労使1名ずつの 3名の方からいただいたものです。  まず、公益代表の中窪先生でございますが、九州大学大学院法学研究院教授中窪公述 員です。これまでの法改正の流れを踏まえますと、合理的理由のなくなりました女性保 護は見直して、女性一般ではなく妊娠・出産機能の保護に焦点を明確化すべきである。 そうした観点からすれば、今回の省令案要綱に示された作業員の業務については範囲が 広いという印象を受けるという指摘をいただきました。しかしながら作業員の業務につ きましては、まずは規制緩和の結果を見た上で今後とも検討を続けていくということで あれば、今回の規制緩和については賛成であるという意見をいただいております。  次に、労働側代表の大阪交通労働組合特別執行委員の山口公述人、4ページになりま す。今回の規制緩和は女性土木技術職員の将来展望につながるものと評価するとした上 で、大阪市交通局における近年の女性技術職員の職場進出の状況や活躍ぶりにつきまし てのご紹介がありまして、そうした経過や男女を問わない人材の確保・養成の必要性が 高まる中で、シールドの工事現場への女性就労の要請が高まってきたこと、また今回の 改正で新たな職域が広がるということが期待されること、さらには工事現場の概念を変 えるような安全性水準の向上に資することが期待されるということについて述べていま す。  最後に、使用者側代表の西松建設株式会社環境安全部長の小手川公述人からで6ペー ジになります。新工法の開発によりまして、坑内の安全レベルが高くなっていまして、 労災発生率も下がっている。また、衛生レベルも改善されて、粉じん抑制・防護技術が 向上していること、また、事務所や宿舎などの施設も快適なものとなっていることにか んがみまして、女性の就労の条件は整っていること、さらには諸外国の動向、機会均等 の観点から今回の省令案要綱には賛成であると述べまして、今回の改正で土木技術者を 目指す学生が増加するきっかけになることを大変期待するということでした。以上が、 公聴会の概要です。  次に、資料6は現在実施中のパブリックコメントの中間取りまとめとして出していま す。9月14日までの到着分で、応募数25者52件について意見が寄せられております。 主なものを簡単に紹介申し上げますと、省令案要綱につきましては間接差別について5 年以内に見直しを行うことを明記すべきだという意見、あるいは差別にかかる指針につ きましては雇用管理区分について削除すべきだという意見、また、間接差別の合理性判 断につきましては、経営上のコストは合理的理由にならないということを明記すべきだ というような意見があります。また、労働能率の低下について、妊娠・出産などによる 場合とほかの疾病による場合を同列に扱うべきではないという指摘もありました。また セクシュアルハラスメント指針につきましては、職場について業務と直接関係しないあ らゆる場所を含めるべき、あるいは明確な拒否・抗議をしなくてもセクシャルハラスメ ントに当たるとすべき、相談時点から被害者と行為者が接触しないようにすべきなどと いった意見がありました。  その他全般としまして、男女差別的な企業への指導の徹底、あるいは長時間労働の是 正について項目を追加すべきだという意見、また固定的な役割分担意識に基づく言動も セクシュアルハラスメントに含めるべきだという意見があったところです。  パブリックコメントにつきましては、9月27日までの期間実施しておりますので、全 体を再度取りまとめまして次回の機会に報告を申し上げたいと思っております。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。  均等法の省令案・指針案についての意見は前回にもお伺いいたしましたが、ただいま 事務局からパブリックコメントなどについて、また公聴会についても説明がありました ので、これらの意見も踏まえまして、さらに意見がありましたらお願いいたします。 ○龍井委員  今日は議題に入っていましたので時間を取って意見交換ができると期待していたので すが、この時間帯で審議をしたとみなされると困るというのが実際のところです。前回、 かなり網羅的に申し上げて、それについての意見交換にまでいかなかったものですから。 予定で聞きたいのは答申の段階はいつという前提で議論すればいいのでしょうか。まず、 それだけお伺いしておきたいのです。 ○安藤雇用均等政策課長  次回につきましては場所・時間共に調整中ですので、後ほど連絡を差し上げたいと思 います。 ○龍井委員  そうであれば5分だけでも説明だけでもわかりますので、次回にゆっくり議論してい ただくということであればそこでまた改めて申し上げます。 ○横溝分科会長  今、次回議論するテーマを言うということですか。そうではなくて、あらかじめこう いうことを議論したいと言っておきたいという意味ですか。 ○龍井委員  ここで意見交換できるという前提で用意はしてきていますけれども、それができない ようであれば次回に回したいと思います。そういう意味では、次回答申ではなくて、そ の次という前提でお願いしたいということです。 ○横溝分科会長  それでいいですか。 ○安藤雇用均等政策課長  可能であれば今回できる限りのところまでやっていただければと思います。 ○横溝分科会長  時間を延長しても構わないという意味ですか。 ○安藤雇用均等政策課長  先生方の予定次第かと思います。 ○横溝分科会長  いかがですか。時間延長が駄目な方は手を挙げていただけますか。どれくらいでしょ う。 ○龍井委員  説明だけで終わるのでは前回と同じですから、意見交換の場であると認識しておりま すので。 ○横溝分科会長  それはそうです。次回に議論するに当たりましても、今日、問題点を言っておいてい ただければ次回の議論も深まっていくと思いますので。 ○篠原委員  わかりました。それでは、せっかくいただいた時間ですので的確に早く話をさせてい ただきたいと思います。  まず、間接差別のところになります。やはり間接差別というところが2番目のタイト ルについて突然出てくるという印象がありますので、適切な表題ではないのではないか と感じました。なので、一つの案ですが、直接差別のところを「性別を理由とする差別」 というような形で修正すべきではないかというのが1点です。  2点目は、雇用管理区分のところ、第2の1のところになりますけれども、やはりC EDAWの方から勧告という非常に厳しい指摘を受けておりますので、この雇用管理区 分という部分が差別の温床とならないようにきちんと明確にすべきではないかというよ うなことが挙げられると思います。今の時点では、例えばということで一つの例を挙げ ていますけれども、やはり複数の事例を挙げて説明すべきではないかと思います。  雇用管理区分のところになりますけれども、一番初めに雇用管理区分ということが明 記されているので、逆に非常に強調されているような受け止め方をされる恐れがありま すので、この記載箇所をどこかに移動すべきではないかと思います。  直接差別のところの募集・採用のところになりますけれども、特にこの部分の男性の 既婚者について妻が無職であるというようなことを募集・採用の条件とすることは差別 であることを、きちんと明示すべきではないかという要望です。  「(4)配置」のところですが、片働きないしは共働きを配置の条件とするということは 差別であるということを、きちんと明示すべきではないかという点と、その配置のとこ ろですが、(イ)の(2)のところに長時間労働の部分が明記されていますけれども、特に連 合の方でも男性と女性の働き方のワークライフ・バランスというようなことも、今まで もずっと提起させていただいております。特にこの部分が出てしまいますと、男性の基 準に女性を合わせるという方向に受け止められる可能性があるので、もう少し書き振り を工夫していただきたいと思います。特に時間外や深夜業務に男性を予定すること自体 が男性に対する差別であるとどうしても思われる場合に、差別ではないとされるために は女性を当てればよいということではないということを明らかにすべきではないかと思 っております。  間接差別のところになります。特にこの間接差別のところは、今回省令で三つと限定 されているわけですけれども、国会の附帯決議でも、これ以外にも存在するというとこ ろが付いていますので、きちんと省令で列挙されているもの以外にも存在するというこ とを、この間接差別の一般の定義の中に明示すべきではないかということです。  それから、第3の1の(1)間接差別の定義のところになりますが、これは(2)のところ にもかかってくると思うのですけれども、合理性・正当性の部分については、事業主の 方が説明責任をきちんと負うものであるということは、やはり明示すべきではないかと 思っています。 ○横溝分科会長  よろしいですか。ほかに。では渡邉委員どうぞ。 ○渡邉委員  前回にも私がこだわったというか、5ページホの(1)と(2)のところでは「こととする」 となっていて、9ページのロでは「ものとする」と。この辺の語尾にこだわることにつ いて、指針を多くの中小企業社が読む場合に表現が少しわかりやすい方がよいと思って、 統一して「すること」でよいのではないかと思うのですけれど。この辺について、指摘 をしたい。この前「方針をもってすることとする」と事務局で言ったような気がするの ですが。 ○横溝分科会長  少し書き振りを検討していただくということで。 ○渡邉委員  語句のことで統一した方がよいのではないかと。 ○松井委員  今、篠原委員から説明があったものは、できれば文章にして事務局の方に提出してい ただいて、内容がうまく理解できるように、ぜひお願いしたいと思います。少し早口で 理解不能だった点が多かったのではないかと思います。  ただ、1、2点反対しなければいけない点がありましたので、1点だけ言っておきます。 間接差別のところについて、挙証責任というのを、使用者側・事業主側と言っていまし たけれど、それは、まず、そういう整理になっているのかどうか。恐らく違うのではな いかという気がするのですが。国会などでの議論はどうだったのか、事務局から回答を お願いしたいと思います。 ○鈴木均等業務指導室長  国会答弁ということですが、多分篠原委員が言われたのは間接差別の第3の1の(1) のところの(3)の部分の合理性ということで、一般的な間接差別法理における挙証責任の あり方ということかと思います。この一般的なものについては国会では答弁していませ ん。ここについて、諸外国の例が参考になると思いますが、例えばアメリカであれば、 この間接差別の三つの要件のうちの2番目の要件については、基本的には労働者が挙証 責任を負い、3番目の合理的理由については、それの反証という形で使用者側が挙証責 任を負うというのが一般的なものかと思います。ただ、私どもはここについて、挙証責 任云々ということについては特に書いていませんが、あくまでも1の(1)と(2)について は、裁判所で一般法理に従って裁判官にご判断いただくということですので、挙証責任 をどちらにするかについて行政が裁判を拘束するというのは適当ではありませんから、 指針に書くのは不適当だという理由でこちらには書いていないというものです。 ○横溝分科会長  篠原委員、先ほどの発言を書面でというのは、いかがですか。よろしいですか。 ○篠原委員  用意させていただきます。 ○横溝分科会長  議事録もありますけれども、いただいた方がより良いと思いますので、よろしくお願 いします。 ○稲垣委員  また次がありまして、妊娠・出産のところの不利益取扱いについて意見を申し上げた いと思います。まず、不利益取扱いの例、第4の3の(2)のところですが、不利益取扱い の例として幾つか書かれていて、これは基本的に、育児介護指針に準拠していると思う のですが、この育児介護ということと産後休業の扱いは区別すべきであると思っていま す。  それから2番目として、第4の3の(3)ですが、産休を一般疾病よりも低く扱っている 場合にのみ不利益取扱いの例として示しているのは問題だと思っています。  それから、3の(3)のニの賃金とか賞与における不利益というところです。不就労の期 間分を超えた不支給のみを不利益取扱いとなっていますけれども、それだけでは足りな いだろうと思います。特に、賞与算定基礎では、産後休業というのは強制休業期間です ので一般の疾病などとは区別すべきだと思います。  それから、3の(3)のハ「不利益な自宅待機」ということで、前回、前々回も意見を申 し上げましたけれども、法で禁止をしているということを理由にして不利益な自宅待機 が勧奨される懸念があると思いますので、なお書き以下のところは削除していただきた いと思います。  それから、第4の3の(2)のヌ配置転換のところです。責任から外す配転というのも不 利益取扱いであるということを明確にしていただきたいと思います。  それから、3の(2)のホ降格のところです。降格の禁止というところで書かれているの は矛盾すると思いますので、ここの部分については削除していただきたいと思います。  それから、3の(3)のニの(1)休業のところで、文言の書き振りなのですけれど、ここの ところで、「実際には労務の不提供や労働能率の低下が生じていないにもかかわらず」こ ういうことをしたときには減額することと書かれているのですけれども、これは当然の ことですので、ここの「実際には」から「かかわらず」までの部分を削除していただき たいと思います。以上が妊娠・出産のところの不利益取扱いについての意見です。 ○横溝分科会長  今のも篠原委員と同じように書面で出していただけますか。大変ですけれど、お願い します。 ○樋口委員  前の審議会のときに、法案・方針を出すときに議論したことが重なっていると思いま すので、もう一度両方とも過去の議論を整理して出していただいたらいかがでしょうか。 ○佐藤委員 また議論するのは止めてほしい。もちろん議論していないこともありますが、議論した ことも入っているので。それは一応、労使で議論して作ったわけですから、それをもう 一度繰り返すというのは困ります。 ○樋口委員  不利益取扱いの話も、法律を出すときに答申する段階で、ここで一回議論したもので す。 ○稲垣委員  法律と指針では、また少し意味合いが違ってくると思いますので、ぜひもう一回。 ○樋口委員  それについては使用者側から確認が出て、それを入れてくれという要請があったこと だと思っています。それを労働側も了承したのです。皆さんはいなかったかもしれませ んが。ですから、そのときの議論をもう一度振り返っていただくとよいのではないでし ょうか。 ○横溝分科会長  今、発言いただいたものを、あらかじめ出していただいて、それが前回どの程度議論 され、どの程度集約されているのか。もう一回議論し直す必要があるのか。それは発言 内容を提出していただいて、それを労・使・公益委員も見て次回のテーブルに乗せたら いかがでしょうか。ですから、少し早めに出していただくということで、いかがでしょ うか。 ○奧山委員  今の点で。それが可能かどうかわかりませんけれども、次回の、この省令指針の見直 し案についての議論を効率的に進めるためにも、必要なものと必要でないものを区別し ながら、今の労働側から言っていただいた意見といいますか、要望の書面・文章を、事 前に見ることはできるのですか。当日またそれを読んで、説明いただいて議論しますと、 かなり時間を取るのではないかと危惧するのですけれど。可能であればですけれど。 ○横溝分科会長  では、それはそのように。事務局で大丈夫ですか。 ○安藤雇用均等政策課長  労働側の方から、なるべく早く出していただければスムーズに進むと思いますので、 よろしくお願いします。 ○松井委員  樋口委員が言われたように、今までどこまで合意されていたのかということも併せた 形で、会長と事務局には、ぜひそれをお願いしたいと思います。やはり、それを踏まえ ないと、今後もいったん決まったことが、また何度も何度も繰り返されても。議論とい うのは、あまり尽くしても仕方がないと思いますので、ぜひそういう整理をお願いした いと思います。そこで見解の相違があるならば、それを明らかにして進めていただけれ ばと思います。 ○横溝分科会長  次回はそういうことにさせていただきます。次回は、日時・場所は調整中ということ ですか。 ○鴨委員  セクシュアルハラスメントのところについても意見を用意してきたのですが、少し時 間的にも無理だと思いますので、文書で出させていただきます。 ○横溝分科会長  では、そうして下さい。時間も大分経過しましたので、本日はこれくらいで終了させ ていただきます。本日の署名委員は、龍井委員と山崎委員にお願いします。よろしくお 願いします。  次回の予定について事務局より説明をお願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  先ほど申し上げましたが、調整中ですので、追って連絡を差し上げます。よろしくお 願いします。 ○横溝分科会長  では、本日はこれで終了させていただきます。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(7836) 1