06/09/15 第4回自立支援医療制度運営調査検討会議事録 第4回 自立支援医療制度運営調査検討会議事録          日 時:平成18年9月15日(金)13:30〜15:21          場 所:厚生労働省 7階 専用第15会議室 (議事次第) 1.開 会 2.挨 拶 3.議 事  (1)厚生労働科学特別研究「自立支援医療の給付のあり方に関する     研究」報告について  (2)その他 4.閉 会 (議事内容) ○佐藤座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回「自立支援医療制 度運営調査検討会」を開催したいと思います。委員の皆様には、本日お忙しいところを 御出席いただきまして、大変ありがとうございます。 なお、今回から日本医師会の天本先生に構成員として参画していただくことになりま した。先生、よろしくお願いいたします。 ○天本構成員 天本です、よろしくお願いします。 ○佐藤座長 それでは、まず障害保健福祉部の中谷部長よりごあいさつをお願いしたい と思います。よろしくお願いします。 ○中谷障害保健福祉部長 障害保健福祉部長の中谷でございます。どうぞよろしくお願 いいたします。高いところから失礼かと思いますので、座ったまま失礼をさせていただ きたいと思います。 まず、本日お忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございます。お陰様 で、平成18年4月に一部自己負担を伴う自立支援法が施行されまして、いよいよこの1 0月からは新たな体系がスタートをし、それから、児童の方々への費用徴収も開始する わけでございます。この間、思い起こしてみれば、自立支援法は今までの措置を引きず ってきました体系から大きく様変わりするものですから、5年間で本格的に移行してい ただこう。それに、激変をしないように、こういうさまざまな激変緩和措置を取りなが ら軟着陸をしていくんだということでございました。 そこで、自立支援法の中で、やはり介護サービス、訓練等サービスと併せまして、自 立支援医療は非常に大きな位置を占めているものでございます。そこで、先生方のお力 を得まして「重度かつ継続」の範囲を御検討いただき、4月から既にそれが実施されて いるわけでありますけれども、やはり私たち、不断に見直し、実証的なデータに基づい て更に論議をしなければいけないということで、本日も竹島先生の研究班からの報告書 をいただき、御検討いただくことというふうに承知をしております。 この検討会におきまして、活発に御議論いただきまして、自立支援医療制度がより安 定をしますように、定着いたしますように御審議をいただけたら幸いでございます。ど うぞよろしくお願いいたします。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。 それでは、議事に入ります前に、事務局より本日配付されました資料について確認を お願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○鷲見課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。 1枚目が、議事次第となっております。 それから、分厚い冊子で資料1−1。こちらは竹島先生の精神部分の報告書でござい ます。 資料1−2。こちらは分担研究者は岩谷先生でございますが、主任研究者の竹島先生 より後ほど御説明いただけることになっております。 最後に、1枚紙でございますが、資料2としまして「今後の検討事項(案)」という 形で付けさせていただいております。 よろしいでしょうか。 もし、途中抜けている部分等がございましたら、また事務局までお申し付けください。 よろしくお願いいたします。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。それでは、本日は議題が(1)と(2) となっておりますが、議題(1)「厚生労働科学特別研究『自立支援医療の給付のあり 方に関する研究』報告について」に入りたいと思います。その内容について、竹島先生 よろしくお願いします。 ○竹島構成員 精神保健研究所の竹島でございます。本来なら、これは平成17年度の特 別研究ですので、もう少し早く研究成果をまとめさせていただかなければいけないとこ ろだったんですが、私どももいろいろと作業に時間がかかりまして、今になったことを おわび申し上げたいと思います。 今日は、資料1−1と1−2に沿って、順次、説明させていただきたいと思います。 報告書の内容が複雑な部分もございますので、事務局の方には少し時間を取っていただ いておりますので、ゆっくり説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいた します。 まず、資料1−1の精神の方でございますが、分担研究報告が3つと、研究 協力報告が1つという全体の構成図になっております。 分担の3つは、1つ目がレセプトの分析でございまして、2番目が審査機関である精 神保健福祉センターで行った質問紙調査でございます。 3番目が、これ以前の「重度かつ継続」の精神通院公費の範囲が現行のものよりもう 少し狭い段階のときに、これに対して現場の意見はどうかということを医療機関等にヒ アリングを行ったときの報告でございます。 すべて、私が分担研究者でございますけれども、それぞれ研究協力者の三宅、小山智 典、小山明日香の3人に分析を担当させまして、私の責任の下でまとめてまいりました。 分担研究報告書(1)でございますが、研究計画に関しましては、後ほど育成、更生 の部分とも関係する部分がありますので、ここでは少し、研究方法のところを丁寧に説 明させていただきたいと思います。 2ページ目をごらんいただきたいと思います。「A.はじめに」の下の5行のところ に、この分担研究(1)の目的を書かせていただいております。 「本研究は、精神通院公費負担制度の給付状況の実態(診療報酬明細書データ)に基 づき『重度かつ継続』の範囲、予想される自立支援医療の給付実態等を明らかにするこ とを目的とする」ということでございます。 「B.対象と調査方法」でございますけれども、社会保険診療報酬支払基金に、当時 の精神保健福祉課を通して協力の依頼をいたしまして、平成18年2月分の診療報酬明細 書の抽出を依頼いたしました。 抽出方法でございますが、平成12年度の特別研究で、1回、レセプトの分析を行って おりますので、基本的にはこのときと同じ抽出の方法でできると大変前後が比較できる といいましょうか、2回のうちの異同が比較できるということでございますけれども、 残念ながら、全く同じ抽出方法を取るということは不可能でございました。 基本的に必要なことは、無作為抽出という方法を取るということが重要なことである と考えて、ただし、支払基金の方で保管されているデータの状況等がございますので、 複雑過ぎる手間をかけることも難しいということで、原則無作為ということで支払基金 の方に抽出方法を考案していただくという方法を取り、我々がそれを了解するという手 続を取って決定いたしました。 支払基金の方からは、実務上の理由から「今回は各都道府県の規模に沿って抽出数を 指定し、抽出に当たっての条件として、1医療機関で老人保健との併用1件、高齢者及 び本人との併用3件、家族及び3歳未満との併用3件、公費との併用3件をそれぞれ上 限とすること(計10件)」という提案がありまして、それを我々としては採用いたしま した。 ただし、もう一点の問題がありまして、提出書類の電子化が進んでいる。それで、電 子化データに関しては抽出が困難であるということでございましたので、電子化されて いないレセプトを分析の対象にするという方法にいたしました。これは後ほど申し上げ ますが、電子化が進んでいる、いないということによって、若干、対象に偏りが生じる という面がございますけれども、これはこの研究上、やむを得ない、いたし方ないとこ ろとして、それは了解するということにいたしました。 その結果として、精神通院公費で3,674 件という抽出をいたしました。これは12年 度の抽出よりも大分大きい件数でございますが、その理由は、レセプトの中で院外処方 が増えているということから、分析に足るだけの件数を残すという、処方薬までの分析 ができるレセプトの数を十分確保するという観点から、この件数を確保したものでござ います。 まず、手続は医師により主診断を決定する作業をいたしました。それで、傷病名中に 複数の精神障害の傷病名の記載がある場合には、処方等も考慮に入れて、重要と思われ る、つまり通院公費の適用となっている、主診断であろうと思われるものを選択すると いう方法を取りました。ただし、基本的にレセプトの中に主と書いて、これが主診断で ある、主傷病であるということが明示してあるものについては原則、それに従って分類 をしております。 傷病名に関しましては、ICDコードの分類に従って分けさせていただきました。 その他の傷病につきましては、合併精神障害、副作用による傷病、関係の乏しい傷病 に分類いたしました。 なお、その次で、3ページの「倫理面への配慮」でございますが、本分析に関しまし ては、国立精神・神経センター武蔵地区の倫理審査委員会に申請し、その承認を得て実 施しております。 ここからは、お手数でございますけれども、本文と図表を交互に見ていただいた方が 見ていただきやすいと思いますので、その都度、ページを申し上げますので、そのペー ジをおめくりいただきたいと思います。 まず「1.基本属性」でございますが、8ページの表1をごらんいただきたいと思い ます。そこに「表1.医科レセプトの属性分布」と書いてございまして、全レセプト3, 674 件で、処方せん料なしのレセプトが1,686 件ということでございます。 その次の性別でございますが、全レセプトで見ますと男性より女性が多いということ でございます。 病院・診療所で見ていただくと、この辺りで処方せん料なしレセプトというところで 若干の特徴が出てまいりますが、全レセプトでは病院・診療所というところでは病院が 若干多いということでございますが、処方せん料なしレセプトになりますと病院のレセ プトが増えてくるということで、やや病院の傾向が反映されがちな分析になるというこ とになります。ただ、これ以外の方法は難しいので、こういう形で、これが一定の限界 と思いつつ、この上で分析を進めたいと思います。 年齢階層につきましては、30歳代、40歳代、50歳代がほぼ20%強で並んでいるとい うことで、これは処方せん料なしレセプトについても共通しております。 主たる傷病でございますが、全レセプトでは40%強が統合失調症に対して、処方せん 料なしレセプトに関しましては47%で、統合失調症が少し増えるということでございま すが、その次に気分障害、神経症性障害等と続くという点では変わりはございません。 生活保護に関しましては、両方とも27%程度でございました。 これが「1.基本属性」の結果でございます。 3ページに戻りまして「2.主たる傷病別にみた請求点数および診療実日数の分布」 でございます。これは、13ページに「図1.主傷病別請求点の相対度数分布」を挙げて ございます。 ここで見ていただきたいことは、主傷病別に見た場合に、1件当たりの平均は2,612 点、最小で78点、最大で3万3,223 点に分布しておりますが、2,000 点未満で60%、4, 000 点未満では90.2%でございまして、大多数は5,000 点未満に属するということをこ こで見ておいていただきたいと思います。 続きまして、14ページは診療日数でございますが、こちらでも傷病別に若干の違いは ございますが、大多数は4日までということでございます。21日以上というのは、ほぼ 毎日受診しているという方でございますが、それについては0.8 %という数でございま す。多くの方は、それほど頻回の受診をされているわけではないのだけれども、F0、 F1、F2に受診回数の多い方もいらっしゃるということで、これは精神科デイ・ケア 等の影響が考えられるということでございます。 次に「3.初診からの経過年数」、4ページをごらんいただきたいと思います。図表 の方は15ページでございます。 この「3.初診からの経過年数」というふうに書かせていただきましたのは、この診 療報酬明細書の性質上、保健種類が変更になりますと新しいものになっていくというこ とで、疾病が始まってからの初診からの年数ということにはならないという点がござい ます。ですから、実際のこの傷病等で受療されている期間は、ここに挙げている期間よ りは長い方に傾くというふうに御理解いただきたいということでございます。 その上でございますが、年数が1年に満たないものは15.4%でございます。これは後 ほど申し上げますが、精神科の臨床の先生方にヒアリングしたところでは、長期とはど れぐらいの期間であるかということの中では、やはり2年程度以上の受療を要するもの が長期ではないかという御意見が幾つか聞かれましたので、ほぼそれに一致するもので はないかと考えられます。 9ページをごらんになっていただきたいと思います。「表2.初診からの経過年数お よび1日当たり請求点数の平均値および標準偏差」でございます。 ここに書いてございますとおりで、右側をごらんになっていただきたいと思いますが、 1日当たりとして最も平均値が多いのは、5,000 点から1万点のところが1,100 、1,50 0 、1,700 というふうにありますが、負担額(10%)の5,000 円から9,000 円ぐらいの ところが1日当たりの請求点も高いというような傾向が出ております。 続きまして、ちょっと時間がかかると思いますので、少しスピードを上げていきたい と思います。 10ページの方は「表3.主傷病別請求点の平均値とその内訳」でございまして、器質 性精神障害とかそれぞれを見ていただきたいと思いますが、器質性精神障害では痴呆性 疾患、重度痴呆のデイ・ケアが51.6%を占める。精神作用物質による障害では精神科デ イ・ケアが34.3%を占める等、それぞれの特徴がございます。神経症性障害等では、通 院精神療法等の占める割合が比較的高いというようなことになりまして、ここではそれ らの傷病における受療する内容に違いが出ておるということでございます。 その次の11ページでございますけれども、いわゆる高負担群の内訳ということで、ど れぐらいの方が高負担群に属していくのかということを分けてまいりました。 その上で見ていただきますと、まず上の診療日数で、横で5,000 点から、1万点から、 2万点以上というところで見ていただきますと、やはり高負担群ではまず診療日数の多 い方が多くなる。当たり前のことかもしれませんが、そういう傾向がございます。 生活保護に関しましては、高負担群の中で生活保護の受給者の割合が高くなるという ことがございます。これも、やはり傷病ゆえに仕事ができにくいという方が当然、その 中に含まれてくるから、こういう傾向ではないかと考えられます。 傷病別で見ますと、2万点以上というものの占める割合は、それぞれそのような数と して挙げられております。 12ページをごらんになっていただきたいと思います。こちらには「表5.負担額(10 %)別請求点の平均値とその内訳」をここに挙げさせていただいております。 特に、2万点以上の高負担群では、87.4%が精神科デイ・ケア及び重度痴呆疾患患者 のデイ・ケアの請求点でございます。 ここで最後に申し上げておきたいと思いますが、精神通院公費を、他の傷病、いわゆ る、精神通院公費の目的以外に利用された結果として高得点になっているようなものが あるかということでございますが、私どもの分析したところでは、そういった事例はご ざいませんでした。精神通院公費としての目的の中で請求が大きくなっているという事 例でございました。 以上でございますが、この結果についての考察を次に述べさせていただきたいと思い ます。 「D:考察」としましては、このレセプトの抽出の方の限界等はございますけれども、 可能な限りの代表性を有するレセプトの分析は行われたと思います。では、これ以外に どういう方法があるかといいますと、なかなか難しいということでございます。 それと、先ほど言いましたが、処方せん料の請求は、レセプトの割合が増えたという ことも一点、やはりこの辺に対する、ここに見えていないデータというものがあり得る のではないか。精神科クリニック等の受療者の方が受療動向が少し反映されにくい傾向 はあると思いますが、ただ、ここからかなりの類推はできるのではないかと思いますの で、その辺はまた三野先生等に御追加いただけたらと思います。 次に「重度かつ継続」の対象がどれぐらいの実態として属しているかでございますが、 今回「重度かつ継続」に傷病名として挙げられております器質性精神障害、精神作用物 質による障害、統合失調症圏、感情障害、てんかんを合わせますと、現在の整理したレ セプトの中の87.9%が「重度かつ継続」に属します。 ということは、つまり、現在、精神通院公費を利用している方の大多数は「重度かつ 継続」に該当するということでありまして、これ以外に症状等によって該当するものが 当然ございますので、この結果から見る限りでは、精神通院公費というものがかなりそ ういった対象の方に、必要とされる方に利用されているというふうには、ある程度確認 ができるのではないかと思っております。 こういうことで、一度、表のページに戻らせていただきまして、最後に「研究要旨」 をごらんになっていただきたいと思います。 そこにまとめさせていただいておりますが「重度かつ継続」として、傷病名で対象と されたものが87.9%であって、かつ主傷病の初診から経過年数が2年以上であるものが 68.5%であったということから考えますに、第3次のこちらの検討会の結果で示された 「重度かつ継続」の範囲に従うならば、精神通院公費から自立支援医療制度に移行する 利用者の大多数は「重度かつ継続」に該当するものであるということになります。この ことは、精神通院公費が、幾つか地域による状況の違い等の問題はございますにしまし ても、全体としてマクロに見た場合にはおおむね適正に執行されてきたのではないかと いうふうには考えられます。 ただし、今後、自立支援医療への移行に伴って制度の運用に変化が生じることがあり ますので、今後ともこういった運用実態についての分析は必要になってくるのではない かと考えられるというところでございます。特に、近年、この精神通院公費の利用者は かなり増加していっておりますので、その利用実態等につきましては、一定の限界はご ざいますけれども、平成12年度との比較も今後の課題ではないかと思っております。 次に、分担研究(2)の方に進ませていただきたいと思います。ページで申し上げま すと、16ページでございます。これは、先ほど申し上げましたが、判定機関であります 精神保健福祉センターを対象に行いました質問紙調査でございます。 17ページに、同じく、その目的を左下の方に書かせていただいております。「本研究 の目的は、自立支援医療に移行する前の精神障害者通院医療費公費負担制度(以下、精 神通院公費制度)の運用状況を、実証的なデータと制度運用に関わってきた判定機関の 見解をもとに明らかにし、自立支援医療制度の適正な運用に向けた提言を行うことであ る」ということでございます。 平成17年12月に、47都道府県と15政令指定都市にある精神保健福祉センターに質 問紙調査を行いました。回収率は88.7%でございます。 質問紙調査の項目につきましては、37ページ以降にございます。ごらんになっていた だければわかりますが、判定状況、実際に判定されている件数の推移、最近の状況、電 子化して入力されている項目の実態、現在の判定体制について、判定会議の開催状況、 判定における委員の役割、判定業務に関して内規等の作成の有無、判定で適用でないと 判定された場合の申請者及び医療機関への通知方法、判定業務における判断の現状、そ れから、他の都道府県との運用に違いがあるというふうに実感されたことがあったかど うかということです。 その次に、公平な制度運用を行うためにどのような方法が効果があるかということで、 これは43ページで幾つかの項目をお聞きしました。それから、自立支援医療への移行に ついてどのような取組みをしているかということと、制度が適正に運用されるためには どのようなことが重要と思うかをテキストで書いていただく。そのような項目で調査を いたしました。その結果を述べさせていただきたいと思います。 まず、23ページをごらんいただきたいと思います。「表1 精神通院公費の承認割合」 で見ていただきたいのは、判定の結果、申請件数のほぼ全数が承認されているというこ とでございます。 「表2 申請に占める割合」でございますけれども、2割から3割が手帳とあわせた 申請という形式でございます。それは表2のところを見ていただけたらと思います。 その次に、24ページの「表3 診断書・患者票の電子データ化の実態」にございます ように、電子化の割合に関しましては、基本的に患者票として作成する項目は、当然、 ほぼ全数、実施されているわけでございますけれども、その中でもかなり電子化をされ ているわけですが、地域によっては病名等も電子化された項目の中に入っているという ことで、個人情報の保護の問題はあるといたしましても、この制度の運用実態をある程 度、都道府県で電子化されているデータの中からも、把握が可能かもしれないというふ うに考えられるということでございます。 25ページで「表4 現在の体制」でございますが、判定する委員会の数というのは1 つないし2つがほとんどである。判定に関わる委員の総数は5名というところが多い。 判定に関わる委員の構成は、精神保健福祉センターの医師とそれ以外という構成が最も 多く、センターの医師のみ、センターの医師以外の医師というところも一部ございます。 それから、判定の回数は月2回が67.9%、約3分の2である。開催時間は2時間程度 であるということでございます。ですから、やはりこういった一定の判定体制の限界の 中で、どのように効率的な方法を実施するかということは、それぞれのところで課題で はないかというふうに考えられます。 26ページで「表5 判定の方法」でございます。判定における委員の役割としまして は、3分の2が全書類にすべての委員が目を通すわけではないけれども、すべての書類 は必ずいずれかの委員の判定対象になるという、分担し合って判定するという形式が3 分の2でございます。 事務局の作業としては、事前の記載漏れの有無などを確認し、返戻するということが 事務局の役割としては多い。それから、その他の申し合わせや内規が作成されていない というところが多い。 適用でないと判定された場合の通知方法でございますが、文書で通知しているが89% ございます。医療機関に対しては、文書で通知しているが43.6%ございますが、先ほど の承認状況から見てもわかりますように、実際に公費として適用でないと判定されたと いう経験をまだ余り持たないというところも多いというのが実態でございます。 27ページをごらんいただきたいと思います。「表6 判定に関する意見等」でござい ますけれども、この中では複数委員による一致した見解が必要であるという意見とか、 適用でない理由を詳細に記述する必要があるとかの意見とか、いろいろ挙げられてござ いました。この中で、いかに実務的にいい方法があるかについては、更に判定機関の立 場から検討していただく必要があるのではないかというふうに考えられます。 28ページでございますが「表7 診断名による判定の実態」というのがございます。 幾つかの診断を挙げまして、その診断でもって、診断名のみで適用になるもの、症状等 の記載に応じて判断されるものというのがここに挙げてございます。 ここで気づかれますことは、神経症等に関しましては「診断名のみで適用」の割合が 低いということでございまして、一定の重度症状を担保にして適用にするという考え方 が示されている。更に知的障害に関しましては「基本的に適用にならない」。これは知 的障害のみでは適用にならない、何らかの精神症状といったものの背景がないと適用に ならないという意味で書かれているのではないかと思います。 この「診断名のみで適用」というところで、更にそこで申請件数が増えてきた場合に 制度の拡大が起こり得ないとは言えないところがありまして、その辺は更に分析の余地 があるのではないかということでございます。 その次に「表8 精神障害者通院医療費判定指針と適用対象との関係」で、29ページ に書いてございます。 指針にほぼ一致して適用されているという印象が持たれるところと、指針より広く適 用されている、あるいは指針より狭く適用されているというところがございまして、こ の三者を比べますと「指針にほぼ一致して適用」がほとんどでございますけれども、指 針よりやや広いのではないかという印象を持っているというところが、指針より狭いと いうところよりは多いということでありまして、制度が利用されてきますと利用者も利 用を望むというところもございますし、こういった傾向はやはり生まれてこざるを得な いものではないかと考えられます。 30ページでございますが「表9 公平な制度運用に向けた対策についての意見」とい うことでいろいろ挙げていただきました。 この中で「たいへん有効」「ある程度有効」「あまり有効でない」「有効でない」と いうところで書いてございますが、これは別の分析ではございますけれども、やはりど ういった方法が有効かというのはそれぞれの地域あるいは申請件数、1人当たりの委員 の件数等によってもまた違ってくる可能性はございますけれども、結論といたしまして は、単一の方法というよりは幾つかの方法を併用するということではないかと考えられ るということでございます。 それから「表10 公平な制度運用に向けた対策についての意見」ということで、意見 を書いていただきましたものがここにまとめてございます。 その次は「表11 自立支援医療制度への移行についての意見等」でございまして、こ の時期は既にある程度の山場を越えてきているのかもしれませんが、この報告につきま して、再度、また元の「研究要旨」のページで述べさせていただいておりますが、この 報告の中で、先ほど審査の実態については1、2の判定委員会が月1、2回、2時間程 度で振り分けによって行われているところが多いということをお話しいたしました。 判定の実態といたしましては「精神症状や精神化治療の必要性の記載に応じて判断」 するとした回答が多いんですが、神経症性障害や人格障害等についても「診断名のみで 適用」としている県が1、2件ほどあって、広義に適用している可能性が考えられたと ころでございます。これは、あくまで可能性が考えられたということだけでございまし て、それ以上にこちらの方で根拠立てて言うことは難しいと考えております。 それから、医療機関に関しては判定指針を周知することは約9割の県が有効であると 考えておりまして、今後、特に制度の理解等を含めまして市町村等が窓口になっていく と、とにかくたくさんの人が利用することが望ましいという考え方でいった場合に、医 療機関の窓口では、実際に医師の側で診断書の作成を求められた場合に、それを作成し ないということはなかなか難しいということがありますので、やはり入り口のところか ら制度の適用についての周知を図っていくということが必要ではないかということが述 べられると思います。 次に、3つ目の分担研究でございますけれども、45ページをごらんいただきたいと思 います。先ほど申し上げましたが、聞き取り調査の結果でございます。これについては ごく簡単に報告させていただきたいと思います。 最初に、この調査を始めた段階で3疾患、統合失調症、躁うつ病(狭義)、難治性て んかんを「重度かつ継続」の対象するとなったときに、現場からそれでは狭いなどとい ろんな御意見がございました。これに関して、どういうふうに狭いのかをまず把握して いこうということで御協力いただきまして、46ページに書いてございますけれども、現 場の意見をヒアリングするという目的で、2か所の精神保健福祉センターと、5道府県 の病院・診療所11施設をヒアリングいたしまして、その結果をまとめたということでご ざいます。 その結果が、時間的な制約もありますので、45ページの「研究要旨」のところだけで 述べさせていただきます。 結論といたしましては、この当時の3疾患というものは非常に狭いという認識を持つ 方が多かった。というのは、このICD分類のそれぞれのところで、やはり適用になる 人がいる。気分障害でもありますし、それから、神経症性障害でも、強迫性障害等もあ りますし、あるいは引きこもり等の事例に関しましても、医療機関でデイ・ケアでフォ ローするからこそ社会復帰や社会参加への支援ができるのであって、医療の関与がなか ったら更に重度化し、あるいは引きこもりが重症化し、更には暴力等の問題に発展する のを防止することができているんだという御意見がございます。 アルコールに関しましても、外来アルコール治療というものがやっと伸びてきた段階 で、この方向になると、やはりこれは外来治療の発展を危うくするものであるという御 意見がございまして、正直言いまして、いずれの意見も聞かせていただくと、どれも理 解できる、納得できるという御意見でございました。 そういうことで、結論といたしますと、今回の第3回の検討会の方向というのは、基 本的に、この現場の意見を満たしている方向でまとめられているんだというふうに感じ られたということをここに申し上げたいと思います。 ただし、その現場の意見をどの程度に満たしていることが実効的なのかというところ は、また難しい課題が若干残るかもしれませんが、現場の課題については対応した方向 性であったと考えられているということでございます。 次に、58ページに移っていただきたいと思います。今までの研究の方向というものは、 すべて私の方で確実に決定してやったものでございますが、ここまで至りまして薬剤と いうものの分析、特に新しい抗うつ薬とかが登場しておりまして、そういったことがど のように影響しているかということでございます。 済みません、1つ大事なことで、やはりこれはお伝えしておいた方がいいと思います ので、ヒアリングの中で出てきた意見を少し追加して述べさせていただきたいと思いま す。 ヒアリングの中で言われましたことは、精神通院公費があることによって、例え ば所得というものの区分の中で言っている場合に、その所得が前年度所得で考えられて いる。その当該年度になってくると、失職をしたり、あるいは給与が非常に下がったり している人たちがいる。あるいは所得は一定あるのだけれども、年俸が下がり、ローン 等の削れない経費を大きく抱えている人たちもいるというところで、やはり医療現場と していろいろなまの患者さんを診ていて思うことがあるという意見があったということ を一言だけ追加しておきたいと思います。 その次に、使用薬剤の分析でございますが、58ページの右側をごらんいただきたいと 思います。 「(1)外来精神病患者における新規抗精神病薬、新規抗うつ薬の処方実態、(2)外来精神 病治療における診療報酬に新規抗精神病薬がもたらす影響、(3)外来気分障害治療におけ る新規抗精神病薬と新規抗うつ薬の処方実態とこれらが診療報酬にもたらす影響、(4)気 分障害の診断の記載のある外来患者の範囲および受けている治療の実態」、この4つの 分析を行いました。その結果が59ページ以降に書いてございます。 まず「(1)外来精神病患者における新規抗精神病薬、新規抗うつ薬の処方実態」でござ いますが、これは、この薬剤が分析できる779 名について分析をした結果でございます が、このうち751 名ですから、大多数が抗精神病薬の処方を受けていたということでご ざいます。 60ページ。これは64ページの図1を見ていただいた方がわかりやすいのではないか と思います。 新規抗精神病薬の処方があった割合でございますが、年齢から見ると、より若年の患 者の方に利用されている割合が高いという結果が出てまいりました。このことに関しま しては、やはりこちらで分析された中で、比較的年齢の高い患者さんは、ある程度、そ の処方に慣れていて、それで一定の安定が得られていて、変更することが余り考えられ ていないという患者さんがそこに多かったのではないかというふうに考察をさせていた だいております。 次に、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ペロスピロンの処方を受けてい る患者を年齢別に検討いたしましたところ、40歳未満の若年階層ではそれぞれこのよう な人数ということでございます。 また、65ページの表1をごらんになっていただきたいと思います。これは年齢別の処 方の実態がここの中に挙げてございます。 ここで、今回、処方のことを分析させていただきましたが、こういった薬剤の処方の 実態は、今まで全体を代表する情報というのはなかなかございませんでしたので、やは り今回の重要な分析のポイントではないかというふうに考えてございます。 なお、この分析につましては、慶應義塾大学の稲垣先生に分析を担当していただきま した。精神薬理学の専門の先生でございます。 その次に「(2)精神病治療における診療報酬に新規抗精神病薬がもたらす影響」。 それから、ちょっと時間が厳しいのではしょらせていただきたいと思いますが「(3)外 来気分障害治療における新規抗精神病薬と新規抗うつ薬の処方実態とこれらが診療報酬 にもたらす影響」というのを回帰分析を行いまして、何がどれぐらい影響しているかを ここに分析してございます。 最後でございますが、「(4)気分障害の診断の記載のある患者の範囲および受けている 治療の実態」でございますが、この中で重要なことといたしましては、現在、現在の主 たる自分の傷病が気分障害である以上に、気分障害の診断を受けた人の割合がもっと更 に高いということが1点。 それと、気分障害の中で、特に重症であり、長期の療養を要するであろうということ を、その処方から判断される患者さんの割合をこの中で分析させていただいているとい う点でございまして、それが54%以上存在するという形で分析をしていただいておりま す。このような点からも、処方の実態も含めまして「重度かつ継続」に該当する患者さ んの状況から推測されるのではないかと考えております。 次に、資料1−2の「育成医療、更生医療における『重度かつ継続』の範囲に関する 検討」について報告をさせていただきたいと思います。これは分担研究者の岩谷先生と、 研究協力者の、ここの座長であられます佐藤先生の方で分析、まとめられた研究報告で ございます。代わりまして説明させていただきたいと思います。 まず、2ページでございますが、こちらの方は「自立支援医療(育成医療及び更生医 療)において、障害別に初診からの期間を求めるとともに、継続的に高額な医療費が必 要となる疾患を明らかにすること」で、先ほど申し上げましたとおり、対象としまして は同じく平成18年2月診療分(3月請求分)の請求審査前の医科レセプトの入院及び外 来分でございます。 更生医療・育成医療は、大変幅が広く、精神通院公費のようにある程度、絞り込まれ ておりませんので、大変、分析が複雑であったと思います。こちらの方にしましても、 やはり診療報酬支払基金の方からレセプトの抽出の方法について提案がございまして、 それを我々としても採用させていただいてございます。更生医療及び育成医療として提 出されたレセプトから1医療機関5件を限度とし、入院と外来の比率はおおむね6対4 として更生医療レセプト1,106 枚、育成医療レセプト938 枚の計2,044 枚が抽出され ております。 ここで、8ページをごらんいただきたいと思います。実際に、分析に供したレセプト は、このうちの1,442 件でございまして、この差はどうなったかと申しますと、腎機能 障害が件数として大変多うございますので、腎機能障害に関しましては308 件を無作為 抽出するという方法を取りまして、1,442 件を分析したということでございます。そう いう方法を取ったということであります。 「研究方法」でございますが、抽出されたレセプトを記載された主病名と診療内容に 基づきまして、更生医療を、そこにあります腎機能障害、免疫機能障害、心機能障害、 心臓ペースメーカー、肢体不自由、その他の6障害・疾患に分類した。 それから、育成医療に関しましても、そちらに書いてございます12の障害・疾患に分 類いたしました。これが始まりでございます。 今度は、その1,442 枚のレセプトを基に、以下の6つの分析を行っています。 まず「(1)継続的に高額な医療負担が生じる疾患(高額治療継続者<いわゆる『重度か つ継続』>)の範囲・妥当性を検証するため、初診からの期間(治療の期間)と医療費 について解析した」とございます。治療の期間に関して、先ほど申し上げましたとおり、 保険が変更になった場合には、そのレセプトも始まりが変わるということで、同じ限界 を有するという点がございます。 「(2)障害別に初診からの期間を求め、初診からの期間が3年以上のレセプトが占める 割合を求めた」。これは継続ということの分析でございます。 「(3)障害別に診療報酬請求点数の平均値、中央値、最大値、最小値、%タイル値(25、 50、75、90)を求めた」ということでございます。これは重度が一つの診療報酬という ところで見立てて、それがどういう数字であるかを分析するためでございます。 それから「(4)初診からの期間(年数又は月数)別に、障害別、外来入院別に平均診療 報酬請求点数、標準偏差、最大値、最小値を求めた」とございます。 今度は、(5)で、外来における薬剤費が高額である場合には、院内処方か否かによりそ の医療費が大きく変わるので、その両方の有意差の有無の検討を行っております。 最後に、(6)で、医療費がどれぐらいかかっていくのかということでございますが、こ この事例においては随分と変化がございますが、一つの計算の方法としまして3年間と いう期間を取って、入院2か月と外来34か月の合計医療費を推定するという方法を取っ てございます。 これは、その下の方に書いてございますが、入院治療を行った場合には「月またぎに なる場合」や「3年の期間内に再度の入院治療(手術)を行う場合」を想定して、入院 2か月という形で計算をするという方法を取ってございます。こういった場合に、やは り過小に見積もられるリスクが発生するということがございますので、後ほど申し上げ ますが、医療費の計算においては90%タイル値を用いるということで、あるいは医療の 受療の期間が保険の変更等により短く見積もられるということのリスクも考えて、90% タイル値を用いるという方法で計算がされております。 結果でございますが、そちらに書きましたように、外来702 枚、診療報酬740 枚のレ セプトの分析をしております。 9ページでございますけれども、障害別に初診からの期間の度数分布と初診からの期 間が3年以上を占める割合を示しております。 3年以上のレセプトが占める割合が40%以上であるものが9ページに書いてござい ますけれども、入院では更生医療の腎機能障害、育成医療の肢体不自由・中枢性、外来 では更生医療の腎機能障害、免疫機能不全、それから、育成医療の肢体不自由・中枢性 といったものが挙げられてございます。ですから、40%以上の中に、この「重度かつ継 続」に属するものが多くを占めるということがこの中でごらんいただけるのではないか と思います。 次に、10〜12ページは、先ほど挙げました18の疾患・障害に関しまし て、障害別の診療報酬の統計という形で挙げております。 ここでごらんいただきたいのは、10ページを見ますと、腎機能障害と免疫機能不全が 外来では1万点を超えている。それから、入院に関しましては心臓機能障害、心臓ペー スメーカーが10万点を超えているということでございます。 同じく、その次のページが育成医療でございますが、育成医療におきましては心臓機 能障害の中でシナジス、腫瘍が1万点を超えている。それから、入院に関しましては、 同じく心臓機能障害が10万点を超えているというところでございます。シナジスについ ては、後ほど報告書の中で説明が書いてございます。 その次に、46ページから順次ごらんになっていただきたいと思います。 46ページは、治療期間と診療報酬請求点数との関係を視覚的にとらえやすくするため に、障害別に初診からの月数と診療報酬請求点数の散布図を挙げてございます。グラフ によって目盛りが異なっているところがございますので、その点は特に重要なところに ついては注意させていただきますので、よろしくお願いいたします。 全体の傾向から見ますと、6 ページ、47ページと、特に46ページをざっとごらんに なっていただきたいと思いますが、更生医療の腎機能障害や免疫機能障害は、経過月数 が長期に及んでも、診療報酬請求点数は高額のままで持続するという傾向がございます。 それは46ページ、47ページを特に見ていただけるとわかっていただきやすいのではな いかと思います。そういう傾向があるということであります。 また、育成医療の心機能障害において、診療報酬請求点数の違いが大きな2つの群に まとめられたと4ページの上の方に書いてございますけれども、これに関しましては、5 2ページをごらんになっていただきたいと思います。 52ページの下の図でございますけれども、大きく見ました場合に2つのグループが存 在するかのように見えるということであります。それは53ページにございますが、その レセプトを基に書いて分析して確認しましたところ、シナジスという薬が使われている ということでございまして、これは2歳未満の心機能障害の患者等が気道感染でウイル スに感染した場合、重症の場合に死に至ることがあるということで、感染予防のために シナジスが注射により投与される場合があるということでございます。これは中澤先生 から後ほど御説明があればありがたいかと思いますが、これが非常に高額であるという ことで、これを使用されているレセプトがあるということで、この2つの群に分かれて いるかのような表れ方をするということでございます。 次に、13ページは平均診療報酬の請求点数の比較検定でございます。その結果で申し 上げますと、更生医療の免疫機能不全と育成医療の腎機能障害において有意な差が認め られたということでございます。この点を配慮して、後の分析を行っているということ でございます。 もうすぐ終わりでございますので、よろしくお願いします。 次に、14ページでございますが、今まで出てきた結果を基に医療費というものを計算 し、それでもって「重度かつ継続」の範囲というものが妥当な設定になっているかどう かを検討するということでございます。 勿論、これは個別の患者さんに戻っていきますと差があるのかもしれませんが、全体 として見たときに、ある程度マクロな設定でもって分析をする必要がございますので、 ここでは14ページの一番上の腎機能障害について少し詳しく説明をして、あとは簡単に 説明させていただきたいと思います。 腎機能障害の上が平均でございまして、下が90%タイル値でありまして、両方を説明 させていただいて、あとは90%タイル値を説明させていただきたいと思います。 まず、入院医療でございますけれども、平均で4万7,537 点、外来で3万2,818 点で ございます。3年間といいますのは、この4万7,537 かける2プラス外来の3万2,818 かける34という計算をした結果が、この121 万886 という数になります。これが点数 でございます。 1割負担でございますので、これがそのまま円に置き換わったものが下の1割負担の 場合の医療費でございます。 次に、自立支援医療の負担上限額は、所得層が中間層が1である場合と、中間層が2 である場合とで、5,000 円と1万円ということになりますので、それをそのままここに 記載しております。 医療保険上の自己負担額(3年間)は、高額医療費等を適用された場合にどうなるか ということが、ここに金額で挙げてございます。 その下でございますが「重度かつ継続」の対象外であった場合にどうなるか。これは 1割負担で、上の121 万強にございます。 「重度かつ継続」になった場合でございますが、これは5,000 ×36、または10,000 ×36という金額でありまして、この結果として差額AからBを引いたものが、逆に言っ たら医療費が高くかつ「重度かつ継続」の適用であることによって、負担が小さくなる ということになりまして、この差額が大きいことが一つの目安ではないかと考えてられ るということでございます。 こういった形で同じく下は90%タイル値ということで、過少に見積もることがないよ うに安全域をかなり取った場合の分析でございますが、その下が152 、134 という形に なっております。 同じような形で90%タイル値、14ページの下の方では「免疫機能障害」が111 万強、 93万強となっております。 15ページで「心臓機能障害」は23万、21万となっております。 「心臓ペースメーカー」は25万、24万で、こちらの方は大体20万円に収まっている ということでございます。 16ページ「肢体不自由」の18万、17万。 その下の「その他」に関しましては限られた症例数でありまして、これが対象外にな っているのではないかという点につきましては、これ以上の分析なかなか難しいのです が、少数ですのでここにおいては、あえてここで話題にすることは難しい部分でござい ます。 表6については「育成医療1」で同じくシナジスのあり・なしということで書 いてございます。 18ページについては「内臓障害」「鼠径・臍ヘルニア」と書いてございますが、全体 としまして、やはり今回は「重度かつ継続」の対象になっております免疫機能不全と腎 機能障害等といったものとは、数字おいて大きな違いがあることをごらんになっていた だきたいと思います。20〜23ページがそのような分析の結果でございます。 その辺のところが4〜5ページ等の説明でございます。 最後に6ページの「D.考察」と総括を述べさせていただきまたいと思います。 1つ抜かしておりました。先天性心疾患に関しまして、種類が多く、疾患重症度とか 治療内容にばらつきが大きいのですが、レセプト記載の疾患別に診療報酬点数には大差 がなかったので、まとめて解析の対象としております。これは先にお断りしておきたい と思います。 次に「D.考察」でご説明しておかなければいけないのは、小腸機能障害が「重度か つ継続」の対象になっておりますが、これに関しましては臨床家の意見としまして、高 額な医療費が必要、長期に手術するが出てくるということで「重度かつ継続」が望まし い、それが適切であるということでもございますけれども、今回のレセプトの中ではそ の分析に該当するレセプトが含まれていなかったということでございます。ですから、 含まれていないから、これをもって「重度かつ継続」の範囲から対象外とするという考 え方は当たらないのではないかと考えます。 時間が限られてきましたので、最後に冒頭の要旨に戻らせていただきたいと思います。 以上、分析の結果でございますが、結果としまして、今回提示された育成、更生の「重 度かつ継続」の範囲がおおむね妥当であると考えられるというのが、今回のこの分担研 究成果の結論でございます。しかしながら、引き続き自立支援医療が適切に運営される よう継続的に実態の把握を行う必要があるだろうということでありますし、以上の内容 等もまた変わってまいりますが、その辺を追究していく必要があるだろうということに なっております。 以上でございまして、総括研究報告といたしましても、精神通院公費、育成、更生の レセプトを分析し、また精神通院公費につきましては判定期間を対象にした調査。更に ヒアリング等を行った結果といたしまして、全体としまして精神通院公費に関しまして は、臨床の現場が「重度かつ継続」を対象とすべきという部分については、今回の第3 回検討会で対象とした「重度かつ継続」の範囲とほぼ一致する。 臨床の現場から見た判断に重要な部分は沿っていると考えられるということと、それ はこれまでの精神通院公費の対象の範囲とかなり一致度が高いという現実があったとい うことでございます。それが1点申し上げるのではないかと思います。 それから、育成、更生に関しましても、今回の「重度かつ継続」の範囲が大体必要と されていることの実態を反映しているのではないかと考えられるということでございま す。 心疾患につきましては、申し上げることがぬかっておりましたけれども、心疾患の場 合には実際の自己負担という部分になってきた場合には、医療費の仕組み上そんなに大 きくならないということがございまして、追加させていただきたいと思います。 以上で終わります。 どうもありがとうございました。 ○佐藤座長 先生、膨大な研究報告をどうもありがとうございました。 ただいまの御説明は、精神に関して4つの分担、更正医療、育成医療について1つと いうことで、非常に多い資料でございましたけれども、これについて、今後、御質疑、 御意見をいただいていきたいと思います。いかがでございましょうか。 先ほどの精神のところの基本的なデータの性格で、クリニク等が少なくなっておる影 響について、できれば三野先生にコメントをお願いしたいという御意見がございました が、何かございますでしょうか。 ○三野構成員 三野でございます。 竹島先生、非常に広範囲に及ぶ調査ありがとうございました。客観的にデータを分析 していただきました。特に、薬剤に関してこのような調査が行われたのは、恐らくこの 研究で初めてではないかと思っています。ありがとうございました。 私は精神しかわかりませんので、普通に精神公費だけコメントさせていただきたいと 思います。 8ページの「表1.医科レセプトの属性分析」のところで、私も竹島先生と同じく、 先に「重度かつ継続」の議論があったときに、レセプトのデータを随分集積させていた だいて、そのときに、やはり一番迷ったのは院外処方せんの扱いでございます。恐らく 精神科診療所におきましては、院外処方を行っているところが、確実に5割はある。都 市部においては、6割、7割ぐらいあるだろうと思います。 その実態が8ページに出ておりまして、診療所1,678 枚のうち、処方せん料なし、つ まり、院外処方でないところが466 になりますので、約七割が院外処方になろうかと思 います。 その内訳を見てみますと、統合失調症については、全体の割合よりも、大体少し多い ぐらいかなと思いますが、F3とF4の合計、全レセプトでは、約1,550 です。処方せ んになりますと、500 に減ってしまうので、恐らくF3、F4の辺りのところが、大都 市圏における精神科診療所の院外処方の割合がかなり大きいのではないかなと思ってお ります。 私の単なる実感で、数値的にはっきりしたところはないので、よくわからなくて大変 申し訳ないんですけれども、とりわけF33、双極性うつ病、双極性気分障害ではない、 非常に議論になりました、いわゆる大うつ病等が精神科診療所において中核群になって いる。このレセプトの調査の中で抜け落ちているところがあるのではないかと思ってい ます。 しかし、これは調査のしようがございませんので、行く行くいろいろ御検討いただか なければいけない。私が注目いたしますのは、精神の一番最後、67ページの御研究の「表 3 外来気分障害患者における年齢階層別抗うつ薬の処方率」を見ると、いわゆるSS RI、SNRIの比率が181 のうち、かなりの数に上っておりますが、従来系のものが 約四割なっております。Fの33においては、大うつ病がもう少し多いのではないかなと いう印象がございます。 ただ、これは調査してみなければわからない。恐らく院外処方において、比較的罹病 期間が短い方が、かなり高薬価になっている可能性はあるのではないかと思っておりま す。 これは竹島先生にも御相談申し上げて、院外処方もなかなか難しいと思うんですが、 できれば、そういう調査も少し時間をかけてやっていただければと思っております。 ありがとうございました。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。 先ほど、心臓について中澤先生にコメントをいただきたいとお話があったんですが、 更正・育成と交互にやってしまいますと、大変かと思いますので、先に精神の方の部分 について、御意見なり御質問がありましたら、伺っていきたいと思いますが、いかがで しょうか。 ○花井構成員 特にないです。 ○佐藤座長 桑原先生どうぞ。お願いします。 ○桑原構成員 精神保健福祉センターの桑原です。  精神通院公費にかかる4つの報告は、先ほど三野先生もおっしゃったように、非常に バランスがよく、また、現場の実感も反映していただいており、参考になるところが多 かったということをまず感想として申し上げたいと思います。  ただ、精神保健福祉センター、判定する側からみて、今後、さらなる検討が必要かな と思う点が幾つかございましたので、その点について意見を述べさせていただきたいと 思います。  1点は、資料1-1の23ページの「表1 精神通院公費の承認割合」で、全体的に見ま して、確かに9割ぐらいは承認になっておりますが、経年的に見ますと、だんだん承認 の比率が減ってきています。最近、承認の判定が厳しくなってきている傾向にあります が、この点については、対象疾患の比率そのものが動いていることもございますし、も ろもろの要因があろうかと思いますので、経年的にチェックしながらさらに検討をする 必要があるのかなと感じました。 もう一点は、合併症の件で、今回のレセプト分析の結果は非常に面白く、膨大な資料 なので、後でまたゆっくりと見せていただこうと思いますが、先ほど竹島先生の方から、 今回の検討の中では、合併症についての費用負担は余りなかったとのコメントがありま した。ただ、現場として実際に判定していたり、あるいは全国センターの相互の意見交 換をしたりしている中では、合併症の問題について検討を要するような申請事例が相当 あるというようなことがございます。  レセプトの抽出法、研究の目的・方法といったことも含め、個々の研究には、勿論、 限界があるわけですから、ほかの方法等も含めて検討する必要があるのではないか、今 後の課題ということではさらなる検討が必要かなと思いました。  以上でございます。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。 ただいまの御意見は、先ほどの分担研究の2が中心だと思うんですが、今日の議題2 のところで、今の点については、話が出るようでございますので、よろしくお願いした いと思います。 そのほかございますでしょうか。花井先生、よろしゅうございますか。 ○花井構成員 今日、実は初めてこの場で見させてもらったので、十分検討ができてい ませんけれども「重度かつ継続」の範囲が、実際に今回の検討で合致するという報告が 出て、印象としてよかったなと思います。 例えば実際に診断書を書いて審査を受けるときに、今はいろんな疾患の範囲が多様化 していますので、その前にそれが本当にうまく反映されるような書き方、あるいは書き 方によっては、それがだめになったり、よかったりということもあるので、その辺は今 後の課題なんでしょうけれども、ますます難しい問題が出てくるかなという感じがしま す。 1つの身近な例ですが、うちの病院の高機能自閉症の外来で診ている患者さんの依頼 を受けてやったときに、バツになって帰ってきた例が1点あったんですが、それを見る と、外来通院が月2回ぐらいなんです。それでバツになってきているんですが「重度か つ継続」の場合に、状態像から診る場合も含めまして、この方は施設に入っていろいろ なケアを受けているわけで、初めてそれなりの生活ができているところは、医師の方で は、なかなかそこまで書けなかったという問題もあって、そういう点でバツになったと いうこともあります。 「重度かつ継続」というインテンシブな書き方が難しいので、今後いろいろ問題の尾 を引くかもしれないなという印象があります。 その程度で、今回の4つの分担報告については、更に詳しく見させていただきたいと 思っています。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。 ただいまの花井先生の話も、先ほどの桑原先生と同じように、今後の申請書の書き方、 判定等に関するものでございましたので、今日の議題2のところで話し合いが行われる ということだろうと思います。 事務局からは、今の竹島先生の報告についてのコメントみたいなことはございますで しょうか。 ○鷲見課長補佐 いいえ、特にございませんけれども、先ほど桑原先生、花井先生、三 野先生の御意見等を踏まえて、また次の議題の資料2の方で少しお話しをさせていただ ければと思います。 ○佐藤座長 どうぞ。 ○竹島構成員 先ほどの桑原先生の御質問なんですが、私が申し上げたのは精神通院公 費の範囲から著しく適用が拡大されている。本来的でない仕様と思われるようなレセプ トというのは見られなかったということでございます。 ○佐藤座長 そのほか精神の部分の報告に関して、いかがでしょうか。 竹島先生の先ほどのサマリーのところで、短い要約がございましたが、その要約に関 しても、これは違うという意見もございましたらいただきたいと思いますが、特にない でしょうか。また詳しく見ていただいた上で、今後また意見をいただくということも必 要かと思います。 続きまして、更生・育成医療の方について話を移させていただいて、また問題が残っ ているところに気づきましたら、精神の方でも御意見をいただきたいと思います。 先ほど竹島先生の方からは、シナジスのことについて、中澤先生の方から後でコメン トをいただきたいという話がございましたので、先に先生の方からその点お願いしたい と思います。 ○中澤構成員 まずシナジスのことについてお話をして、それからこの御研究の今後の 方向ということで、次の議題に触れるかもしれませんけれども、一緒にお話をしたいと 思います。 シナジスは、御存じのようにRSウイルスというものの発症を軽減化するというモノ クローナル抗体でありまして、実はこれは物すごい効果なわけで、それが2歳未満のお 子さんに予防効果がある。実際には去年からスタートして全国調査をやっておりますけ れども、非常に効果があって入院が減った、あるいは入院しても患者さんの入院期間も 軽少化したということで、非常に有意義なお薬であります。 ところが、レセプトの上に出てきますように非常に高価でありまして、その点が大き な問題になっておりますが、幸いなことに全国的に今、一応のコンセンサスが得られて 保険でカバーをしていただいておりますし、これは当初開始するに当たって5回を原則 にしているということでございましたけれども、実際には今年は9月から始まるらしい。 実は去年は4月まで流行がありました。そうしますと、5回でなくなる可能性があると いうことでございますけれども、原則5回ということにしております。 そういうことで、シナジスというのは高価で、これがレセプト上に大きく反映されて いるというふうに思われますが、ここで1つだけ分析に当たって、結局2か月の入院の 部分と、それプラス34か月で3年間ということで差をごらんになっておられるわけでご ざいますけれども、実際にはこのシナジスに関して非常に高価ではあるけれども半年で 終わってしまうということでありまして、3年間の平均値をとる分析のため薄められて しまっている可能性がある。この辺のところを、今後どういうふうに扱っていくかとい うことが課題かなというふうに考えております。 先ほど竹島先生の御分析の中で、第4番目のところで新しい薬剤の分析がございまし たし、循環器の疾患の部分でもシナジスもそうでございますが、肺高血圧の治療薬が保 険の収載に許可されておりますが、これも非常に高価であります。 今年度から心臓移植も正式に認められましたし、心臓移植後の免疫抑制治療も恐らく 高額になってくることが予想されるので、この辺のところが今後竹島先生の御研究にな らって私ども心臓の部分でもやっていかないといけない部分かなと考えております。 一つ分析に関しまして、6ページの「医療費」に関して心疾患の部分を最初にお書き いただいているわけでございますけれども、ばらつきが大きいと思われたが、レセプト 記載の疾患別診療報酬点数上には大差がなかったというふうに記載がございますけれど も、実際に14ページの腎臓機能の一番上の表と2番目の表の入院のところをごらんいた だくと、平均値で4万7,500 というところが出ておりますが、入院のところで7万9,0 00 で、大体90%タイルにして50%プラスぐらいです。ところが、次のページを見てい ただくと、心臓の場合は平均が14万5,000 、ところが90%タイルにしますと38万とい うことになっておりまして、これは非常に差があるということだろうと思います。それ は、ほかの疾患に比べてやはりばらつきがあるのではないかと、この数字からだけ見て も思いますし、実際、私は数年前から始まっておりますDPCのカテゴライゼーション にも関わりましたけれども、先天性心疾患に関しては11のカテゴリーに分けた。11の カテゴリーに分けたというのは、診療報酬上似通ったものを集めたということでござい まして、そういう厚生労働省の御指令でありましたのでそういうふうに分けたわけです。 それでも11に分かれているわけで、心疾患、心臓機能障害と一くくりになっていますが、 実際は非常にバラエティーがあるということもありまして、今、岩谷先生と佐藤先生が おまとめいただいた心疾患の部分に関して、特に育成の部分に関して56枚と65枚とい うレセプトの数は少な過ぎるのではないかと思います。 例えば、非常に重症な患者さんというのは数%、例えば5%台なものですから、この 中に恐らく1人か2人しかお入りではないのではないか。そうしますと、その部分が全 く漏れてしまう可能性があるということで、もうちょっと幅を広げていただいて、疾患 別ということをもう少し考えてもいいのかなというふうに思っております。 これも竹島先生がフリーコメントの中でおっしゃいました、ローンを抱えていて収入 が削れない出費があるというお話をなさったわけでございますが、これは要望としてコ メントということでしょうか。更生医療は別としても育成医療に関わります分野を見ま すと、やはり子育ての途中の御家族がおられて、これは子どもさんたちの教育費という のが恐らく削れない出費の部分になっているんだろうと思います。 前回も親御さんたちの統計を見せていただきましたけれども、所得税を払っておられ る方が育成医療に関しては70%ぐらいだったと思います。更生医療に関しては30%ぐら い。あるいは精神に関しては、もっと低かったように思います。これはそういう家族構 成の違いということがあって、その点を勘案されていないのかなということが、ちょっ と気になりました。ただ、同じ所得税のレベルで適用を決めていいのかというのは、私 個人の感想でございます。 以上、そういうことを感じました。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。先ほどのシナジスに関しては、今、御説 明いただいたところで皆さん御理解いただいたと思います。 また小児の心臓に関しては、例数が少ないということがございましたので、その不足 分を24ページ辺りの参考資料というところに、ある小児センターの方から各疾患ごとに どの程度かかるのかというデータをいただいておりますので、こういうものも参考にし ながら、今後先生にも御検討いただきながら詰めていく必要があろうと思いますが、全 体的にまとめてグループ化して分析せざるを得なかったということを御理解いただいて おきたいと思います。 今の心臓の点でも例数の問題が出ておりましたが、上小鶴先生、先ほど中心静脈栄養 と在宅中心静脈栄養の短腸症候群の問題なども、実際にはケースとして今回なかったが、 月20万程度かかっているので、我々として前回選択したのは妥当ではないかというコメ ントを竹島先生からいただいたんですが、いかがでしょうか。 ○上小鶴構成員 この研究で、膨大なことを見ていただいてどうもありがとうございま した。先ほど例数として出てこなくても、判定の場面には当然出てきておりまして、当 然のことであろうと。最初の段階でこの疾患が入るのは当然であるということは申し上 げたとおりであります。 そのほかにも、新しい治療法も出ていますし、今後もいろいろ問題があるかと思いま す。人工呼吸器からの疾患は大抵特定疾患でカバーされる部分があって、余り目に見え てこない部分があります。特定疾患でほとんど治療したものもありますので、それとは また対象疾患が変わった形で見ていかざるを得ないというところがあります。 一番心配されたのは、先ほど中澤先生の言われたとおり、心臓疾患の患者さんたちか らも実はいろんな意見が寄せられました。所得面で高く評価されて困っているんですと いうことで、何とかなりませんかという話は、この会に出ていることを知っている人た ちから言われました。そのことは事実としてお話ししておきたいと思います。特に子育 ての時点であるということも強い要望があったということです。 当初心配されていたのが、高額医療費は前払いが必要だということがあったので、こ の件に関しては最初の段階で不安は申し上げておいたのですが、今回前倒しで出してい ただけるということが決まったということ。それから、この10月から市町村によっては 4月から変わることがわかっているので、既に手を付け始めていますということを現実 に言われておりますので、高額医療費に関するサポートが早く始まったということがあ って、ちょっと助かったと考えております。 今後さまざまな疾患が出てくる中で、治療法に関してはずっと今後も継続して検討し ていただいて、範囲を広げていただければと考えます。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。 天本先生、医師会のお立場で何か御意見がございましたら、どうぞ。 ○天本構成員 まず、精神科通院公費負担ということに関して、給付の在り方としてお おむね適正に運用されていたということですけれども、これから部長が最初にお話にな ったように激変化緩和ということで、これから少しずついろいろと変わってくるという ことで、この研究の中に言われているように、これからいろんな意向があるということ でのモニタリングが重要だという御指摘がありましたので、それは是非継続していただ ければという意見を述べさせていただきます。 次の育成・更生に関しては、専門的な分野でなかなか私にもつかめないところがある んですけれども、細かい配慮が必要だということだろうと思いますので、その辺またい ろんな制度設計などにおいても御配慮いただければと思います。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。 どうぞ、お願いします。 ○鷲見課長補佐 事務局からでございますが、先ほど中澤先生の方から御質問がござい ました、新しいお薬であるシナジスについても2005年から適用拡大になるとか、あとは 肺高血圧症についても症例数は少ないけれども薬剤が高いとか、いろんな課題がござい ますが、医療は日々進歩しておりますので、そうした状況を踏まえて私どもも調査に活 かしていったり、研究を継続することを通じて自立支援医療の適正な運営ということを 心がけていきたいというふうに考えております。それが1点でございます。 また、上小鶴先生からのお話でございますけれども、現物給付化のことについて先生 からお話がございましたが、育成・更生医療につきましては、前もってお金を準備しな いといけないのは大変だというお話もございまして、現実に現物給付化を既にさせてい ただいているという点が1つです。 さらに、育成医療につきましては中間所得層におきまして、上限額を「重度かつ継続」 の対象外であっても中間所得層Iには1万円、中間所得層IIには4万200 円という上 限額を付ける形で対応させていただいているところでございます。 いずれにいたしましても、正式な調査もやっておりますし、また竹島先生が18年度か ら新たに厚生労働科学研究として自立支援医療をフォローアップするための研究を継続 していただくことになっておりますので、そうした中できちんと対応していきたいと考 えております。 以上でございます。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。そのほか、どなたかコメントございます か。 両報告に関して、いろいろ御意見をいただきまして、竹島先生の方からいただい たサマリーについて、特段大きな問題はなく、ただ今後継続的にフォローアップ、モニ ターして、また新しい治療の中身も加えながら検討していくべきだということでござい ましたが「重度かつ継続」の範囲に関して、現在の範囲で一定の妥当性が見られたとい うことで、この調査結果をいただくということで、よろしゅうございますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○佐藤座長 それでは、今後も実態把握のための調査を検討するという計画が既にある ということ、また、制度の運営に関しては、先ほど厚労省の方からありましたように、 前倒ししてあるとか、小児への対応がなされておるという点も踏まえながら御理解をい ただいて、一定の妥当性が現在の範囲で見られたということで、皆さんの今回の研究に 対するまとめとさせていただきたいと思います。 それでは、今日は2つ議題があって「その他」というところの資料もあるようでござ いますので、まず資料について説明を事務局からお願いしたいと思います。 ○鷲見課長補佐 それでは、お手元の資料2に基づきまして説明させていただきたいと 思います。こちらは「今後の検討事項(案)」ということでお示しさせていただいてい るものでございますが、実は1番と2番につきましては、これまでも先生方に検討会の 資料としてお示ししてきているものでございまして、実はこの前に「重度かつ継続」の 範囲があったわけですが、それを除いた形で「今後の検討事項(案)」で1と2という ことで載せさせていただいております。 具体的に申しますと「1.(再)認定に係る考え方について」というものと「2.そ の他の検討事項について」ということでございます。 大きく分けまして「1.(再)認定に係る考え方について」は、一番最初に公費負担 の対象とすべきかどうなのか。そうした状態像はどういうものなのか。状態像が公費負 担の対象になった場合には、その基準をどうすべきなのか。そして、基準をきちんと満 たすためには、先生方にどういった形で診断書を書いていただく必要があるのかという ことでございます。 「2.その他の検討事項について」は、1番を入口論としますと、2番は出口論とな りまして、むしろ実際に診療が行われて公費負担として請求があった際に、どういった 形で適正に審査がされているのかという話。また、審査をするときの指針というものは、 実際はどういうことになっているのかという辺りでございます。 この辺りにつきましては、先ほど先生方から幾つか御意見もございましたし、また、 竹島先生の方からも今回も幾つか報告が出ておりますけれども、事務局としましては、 例えばもう少し具体的な審査基準であるとか、審査体制が現在どのような状態であるの かという話。また、もし基準を変更するとすれば、どういった形で変更すべきなのか。 具体的な事例等を踏まえながら御意見、ヒアリングという形になるかもしれませんが、 検討会の中で先生方から資料等を用いながら御説明いただきたいと考えております。 これにつきましては、精神医療と更生・育成という形で、それぞれ審査体制なども異 なりますので、それぞれの医療の種類に応じて、そうした形で御説明をいただきたいと いうのが事務局からの提案でございます。 以上でございます。 ○佐藤座長 どうもありがとうございます。ただいまの説明に対して御質問、御意見は ございますでしょうか。 幾つかの項目が箇条書きになっておりますが、箇条書き一つひとつは短いんですが、 今から中身を検討というと、相当細かい点を詰めていくということになろうと思います けれども、いかがでございましょうか。 先ほど、竹島先生の精神のところの分担研究の2のところにもこの項目に関係するも のがあって、それで桑原先生等からも御意見をいただいたところでございますけれども、 何か改めてございますでしょうか。 ○桑原構成員 それでは、今後の課題ということで、今、私が感じていることについて 少し意見を述べさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げたように、今回、竹島先生には、全般的な、レセプト申請の実態を踏 まえたデータをとりまとめていただいたということで、非常に成果が大きかったのでは ないかと思います。  また、先ほど竹鳥先生の方から、合併症について追加のコメントをいただきました。 その点については、私も全くそのとおりだと思います。  どういうことかというと、標準的な治療をしている限りにおいては、やはり今回のよ う なレセプト申請の分析結果が出てくるのではないかという印象があります。ただ、問題 は個別具体的な事例で、そういった標準的な申請から逸脱しているようなときに、それ を取り扱う基準をどういうふうに考えていくかのということが、一つ今後の課題になる のかなと思います。  ですから、この研究を基にして、もう少し個別具体的な事例にそって継続検討してい く必要があると思います。審査体制とか審査基準のあり方との関係では、この辺のこと についても検討が必要ではないかと思います。  審査体制については、資料1-1の第2、第3の報告の中でもとりあげられていました けれども、今すぐ大きく変えられるという状況ではありませんので、これは、当面は現 状維持でいくにしても、特に、審査基準については、どこまでを妥当と考えるのか、今 回の全般的なデータの分析結果では、非常に妥当性の高い結果が出ていますので、そう いったものを踏まえながら、適正な審査基準のあり方について少し詰めていく必要があ るのではないかということが、一点考えているところでございます。  それと、(再)認定の件については、冒頭の部長さんのお話にもありましたけれども、 非常に準備期間が少ないなかで、多数の申請ケースを扱わなければいけない。なおかつ、 今回非常に手続が複雑になったこともあって、現場は、相当混乱を来しております。  「重度かつ継続」など、新たな自立支援医療制度について、医療担当者側の理解、当 事者や家族あるいは市町村の担当者も含め、制度そのものを適正に理解してもらうため には、もう少し時間がかかりますので、ここで、改めて(再)認定の基準という課題に入 ってきますと、現場は非常に混乱するのではないかという気がしています。 ですから、審査体制・基準と(再)認定の問題は、両方とも大切な課題で、今後継続的 に検討しなければいけないと思いますけれども、少なくとも(再)認定に係る問題につい ては、実際のデータ等も収集しながら少し慎重に進めていただけると、現場としては大 変ありがたいと感じているところでございます。  以上でございます。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。先生からは(再)認定のところが両括弧 に入っている趣旨的なところも含めて御意見をいただいたように感じるんですけれども、 そのほかございますでしょうか。 上小鶴先生、どうぞ。 ○上小鶴構成員 それでは、更生医療を見ている立場から申し上げます。 1つは身障手帳と同時に出てくるのもかなり多いんですが、特に育成に絡むような子 どもの場合に、以前はある一定年齢にならないとなかなか手帳にしないという姿勢があ ったものは、今はもう変わっていますので、こういう医療を受けるために必要で、有期 認定で処理するようにという形で動いておりますが、それで(再)認定ということで、 その後のフォローをする形にしております。 ただ、問題なのは、基準に合致しない形の内容の診断書、もしくは検査データが出て きてしまう。それで通らないという形の返事をお出しするのは、後の更生相談所でも月 間で、いつも私の前に決裁書類が来ますが、たしか5例ぐらいはあるかと思います。 そういう形で、きちんとした書類が出てこない。異常のある部分の提示がない。例え ば更生医療ですと、心電図ですとか、検査データ、X線等を要求するわけですが、妥当 であるという所見が出てこないと通過できないという形になりますので、この辺の診断 書として出てくるものの質が要求されるということになります。 身障手帳の診断に関しては、埼玉県は少なくとも講習会を毎年県レベルでやっており ますので、この段階でお話はするんですが、更生医療に関しては付け足し的にちょっと お話しする程度になっておりまして、基準を守っていただきたいということがきちんと 伝わる必要があるだろうと考えます。 そういった研修会の場は全国的には全部やられていないだろうと思います。国リハで も、うちからも派遣して出てもらってやっていただいておりますが、そこまで突っ込ん だ話が研修会の中では出てこないというところがあります。 ですから、全国への伝達講習として国リハでやっていただいて、そこからまた全国で やっていただけるような形を取っていただければありがたいと考えております。 レセプトのチェックは、我々更生相談所の中ではやらないわけです。市町村がやって いるわけです。ここで延長となった場合に出てきたデータの中で、特に合併症や何かの 内容になってしまって、ちょっと違うんではないでしょうかという形で切られてしまう というのが多少出てきています。ここら辺で自分はレセプトチェックが必ずしもできて いないんだろうなという印象を持ちますが、おおむね問題はないんですけれども、とこ ろどころそういうのがあるでしょうということです。 ですから、内容のチェックがどこまでなされるかというのは、いまだ明確ではありま せん。市町村レベルまでは、我々は全くチェックできていないというのが現状です。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。審査する側の悩ましいところを伺いまし たけれども、更生医療の方でも、国立リハセンターで2〜3回講習会をやっております が、県からお一人程度の出席ということですので、今、先生がおっしゃったように、な かなか市町村までの浸透性を確保することについてはできていなかったんですが、そう いうことも非常に大事だと思います。 いかがでございましょうか。どうぞ。 ○竹島構成員 1−1の35ページをごらんになっていただきたいと思うんですが、これ も先ほど少し説明が不十分だった部分の中に入りますが、申請の中で2〜3割が手帳と 両方の申請でありましたが、ヒアリングをした意見の中で、4番目の「手帳、年金受給 者証による申請は通院公費用の診断書を添えることが必要」ということがございまして、 やはり年金とか手帳の中で申請がされている分につきまして、結局はそれに対する状況 といったものが、余り情報として出てこないという問題があります。だから、この辺り も今後の認定のところに関わるもので重要な議論ではないかと思っております。 ○佐藤座長 どうもありがとうございます。いかがでしょうか。今後詳しく検討してい く中身について、少し方向性を示す御意見をいただいたところでございますけれども、 もしよろしければ、今後、この方向の検討を重ねて詰めていくということで、先生方か らも、またいろいろ発表をいただいて御検討いただければと思っております。 先生、どうぞ。 ○三野構成員 三野でございます。桑原先生の御意見は当然のことでございます。個別 逸脱した事例というのは、恐らく合併症の事例で、診断書の様式は整っているけれども、 レセプトを検討すれば、これはどうかなというのがあって、ルールはルールですので、 これをどういうふうにはねていくかということを、私どもも実感としてわかないところ がございますので、プライバシーを保持する形で幾つかの事例を公開いただければ、逆 に言えば、判定指針の中身まで検討できるのではないか、是非ともそれをお願いしたい と思っています。 それから、竹島先生におまとめいただいた報告の30ページでございますけれども「公 正な制度運用に向けた対策についての意見」。これは非常に興味深く拝見したんでござ いますが、ここで精神科医療機関へ判定指針を周知するということが90%近くに上って おります。昨年の「重度かつ継続」の議論の中で、判定指針というものが余り知られて いなかったのが医療機関においても知られたということは非常にいいことだろうと思っ ています。確かにまだ十分な理解を得られていないところがございまして、インテンシ ブな治療ということの書きぶりの中でそれを検証すべきだろうと思います。これも具体 的な事例を御提示いただければと思っております。 もう一つ私どもが現場で感じますのは、申請の窓口は市町村に移行したといっても、 やはり都道府県の格差というものはかなり大きくて、特に私は香川県の診療所でござい ますけれども、配偶者が転勤でおいでになる方が多いんですが、かなり疾患名について 違和感がございます。診断書についても、現住所をほかの都道府県に置かれている方が いるので、私どもは都道府県の診断書を15〜16集めていますけれども、大分書きぶりが 違うというところがございます。やはりこれは通院公費に関しては、全国的な制度でご ざいますので、この辺のところも御検討いただければと思っております。よろしくお願 いしたいと思います。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。 どうぞ、中澤先生。 ○中澤構成員 中澤でございます。今、個々の事例に対する評価というか、診断という か、そういう基準というのが大切だという話は、私も先ほど申し上げましたように、そ れはどうにかつくらないといけないのかなという気はしております。 もう一点は、更生医療のところでございますけれども、私も診断書をつくっていた立 場からしますと、最近私が直接専門としております先天性心疾患の人たちがだんだん大 人になっていきます。今、育成医療が二十歳までになっています。二十歳を超してしま うと、要するに重症度が表われてこないような診断書になっていますので、これを機に その辺も少し改められればと考えておりますので、是非その点、前向きにお考えいただ けたらと思います。 以上でございます。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。 最後に天本先生、何かコメントはございますでしょうか。 ○天本構成員 介護保険においてもそうですけれども、いろんな意味で平準化というこ とは重要なことだろうと思いますので、また今回の自立支援法が始まった一つの目的の 中で、いろんな意味で公平に、地域差とかをなくそうということがあったかと思います ので、是非このような形で検討を深めていただければと思います。 ○佐藤座長 どうもありがとうございました。今、今後の進め方について幾つかの御意 見をいただいたわけでございますが、この件に関しては、今後いろんな側面から検討し ていくことでございますので、一応、ここで皆さんの参考意見をいただいたということ にしてディスカッションを終わりたいと思います。 最後に事務局の方から何かございましたらお願いします。 ○鷲見課長補佐 それでは、今後の検討の内容につきましては、また先生方と御相談さ せていただきながらきちんと深めていきたいと思っております。 また、次回の日程でございますけれども、先ほどの資料等の関係もございますので、 また別途日程調整の上、決まり次第私どもから先生方に御連絡させていただきたいと思 います。 以上でございます。 ○佐藤座長 では、これで第4回の自立支援医療制度運営調査検討会を閉会したいと思 います。どうも御協力ありがとうございました。                                                       (照会先)                    [自立支援医療制度運営調査検討会事務局]                     厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部                       精神・障害保健課 自立支援医療係長 岩倉 慎 TEL: 03-5253-1111(内線3057) FAX: 03-3593-2008 1