06/09/13 第35回労働政策審議会職業能力開発分科会 議事録について 第35回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時 平成18年9月13日(水)10:00〜 場所 厚生労働省6階共用第8会議室 ○今野分科会長 ただいまから、第35回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催します。本日の 出席状況ですが、所用により江上委員、黒沢委員、水町委員、西原委員、河西委員、中村委員、山 野委員がご欠席です。  まず、職業能力開発分科会に所属されます委員の交代及び、当分科会の下に置かれています部会 に所属されています委員の交代がありますので、ご報告させていただきます。交代後の名簿はお手 元に参考までに配付してあります。本日はご欠席されておりますが、中馬委員に代わりまして東京 大学社会科学研究所助教授の水町委員がご就任されました。また分科会に置かれる部会ですが、委 員等については労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することと なっています。若年労働者部会の使用者代表は岩松委員に代わりまして、日本経済団体連合会労政 第一本部雇用管理グループ長の輪島委員にお願いしております。  続いて厚生労働省も人事異動がありましたので、事務局のご紹介をさせていただきます。奥田職 業能力開発局長、森岡総務課長、田窪特別訓練対策室長、田中キャリア形成支援室長、藤枝外国人 研修推進室長、村松調査官です。  事務局を代表して、奥田職業能力開発局長からご挨拶をいただきたいと思います。 ○奥田職業能力開発局長 ご紹介をいただきました奥田です。この度、9月1日付の異動によりま して、職業能力開発局長になりました。  私の前歴は東京労働局に3年おりましたので、この職業能力開発基本計画では「現場力」という 言葉が使われていますが、私の場合は現場の労働行政を3年間体験してまいりました。それ以前、 平成5年の夏から平成7年の夏にかけまして職業能力開発局の能力開発課長をやっておりまして、 当時の能力開発課は現在の総務課の半分と能力開発課の一部を引き継いでいるような課でございま したので、この審議会も担当していたことがありました。また、その後、今は名前がなくなりまし たが雇用促進事業団で総務部長を2年やっておりましたので、そのときにいろいろな事業団の施設 を見ており、全くの素人ということではありませんが何せ10年振りに戻ってまいりましたので、い ま大急ぎで勉強しているところです。  昨年は、この分科会は昨年7月20日から16回にわたって開催してきたということで、その成果 としてあとでお諮りをいたしますが、職業能力開発促進法の改正が行われ、また新しい職業能力開 発基本計画の策定もお願いしたということで、従来にない非常に多忙な1年間だったと思っていま す。今年度も新しい法律、新しい計画に基づいて施策を実行していくという重大な局面にあります ので、引き続き皆様方のお知恵、ご支援をいただきまして、日本の能力開発行政がさらに発展をい たしますよう私ども全力を尽くして頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し 上げます。 ○今野分科会長 ありがとうございました。  本日の議題に移ります。最初の議題は、「職業能力開発促進法及び中小企業における労働力の確 保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律」 の施行に伴う省令及び告示の改正等についてです。これについては、厚生労働大臣より労働政策審 議会会長あて諮問がなされたところであり、これを受けて、本分科会において審議を行うものです。  まず、事務局より説明をお願いします。 ○村松調査官 資料1−1から資料1−9までが関係の資料であり、本日諮問させていただくのは 資料1−3から資料1−9までの合わせて7本となります。資料1−1は先般の改正法の概要、ま た資料1−2は、それを踏まえ今回創設されます実践型人材養成システムにかかる検討会議の報告 書の概要ということで、関係資料として付けております。  まず、資料1−1、能開法及び中小労確法の改正の趣旨についてご説明いたします。1.の囲み に書いてありますように、人口減少社会を迎える中で我が国経済社会を担う若者の能力開発という ものが極めて重要である。特に現場力の育成・確保また団塊の世代の引退に伴って、技能の承継を 進めることが喫緊の課題であることから、これらに対応するため、今般の法律改正を行ったところ です。具体的には、矢印から下にあります企業が主体となった新しいシステムづくりということで、 実践型人材養成システムの創設を法律に位置づけたところです。企業が主体となって新規学卒者を 主たる対象として、訓練生を雇い入れてのOJTと教育訓練機関における座学を組み合わせた新た な職業訓練を能開法に位置づけて、就労・就学双方の要素を併せ持った「第三の選択肢」として普 及させることを意図しているところです。  これに関して具体的な制度の中身としては、資料1−2にあるように省令において定める事項と いうことで、資料1−3の能開法施行規則の改正に関する要綱において対象者等々について定めて います。資料1−4が指針において定める事項ということで、事業主が実践型人材養成システムを 推進していくに当たって留意すべき事項等々について定めています。詳しい内容は、後ほどご説明 申し上げます。  そのほか、資料1−1に戻りまして、「(2)若者等の熟練技能の習得促進」ということで熟練 技能指針を新たに定めたものが資料1−6になります。同じく「(3)労働者の自発的な職業能力 開発の促進」ということで、キャリア形成指針を改正して勤務時間の短縮等について、配慮規定を 追加したものが資料1−5になります。次に資料1−1の2頁です。中小企業労働力確保法の改正 によりまして、実践的な職業能力の開発・向上が必要な若者にとって良好な雇用機会の創出、技能 継承の取組に関する計画ということで、具体的には下の囲いにあります青少年雇用創出計画を新た に法律上位置づけたところです。これが資料1−8にある中小労確法関係の指針の改正になってい ます。こうした計画を策定した事業主に対する支援措置として、資料1−7及び資料1−9にあり ますように、雇用保険法に基づく助成金ですとか、委託募集の際の職業安定法上の規制緩和の要件 基準といったものを規定したところです。  それでは具体的に、資料1−3から個々の諮問の概要についてご説明を申し上げたいと思います。 資料1−3が、「職業能力開発法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」です。「第一 青少年 の範囲」として、認定実習併用職業訓練の対象となる青少年の範囲を15歳以上35歳未満と定めてい ます。第二は、実施計画の認定に関する手続を記載しており、(一)認定申請は厚生労働大臣に提 出すること、(二)これを雇用・能力開発機構を経由して行うことができること、を規定していま す。2番目に実施計画の記載事項があります。法の中で実施計画の対象者、期間及び内容等々を盛 り込むことを規定していますが、それ以外に実習併用職業訓練並びにこれを行う上で必要となる実 習及び講習の総時間数及び、この総時間数のうちで実習と座学のそれぞれの時間数について記載を 求めているところです。3番目は、実施計画の認定基準です。(一)から(四)にありますように、 実施期間が6カ月以上2年以下。2つ目は、能力の評価方法が客観的であること。3つ目は、1年 間あたりの時間数に換算した時間数が850時間以上であること。4つ目は、実習の総時間数に占める 割合が2割以上8割以下であることを基準といたしました。4番目は、変更申請の場合の手続を記 載しています。  第三は、労働者の募集の広告等と記載していますが、認定実習併用職業訓練を行う事業主がその 旨を表示できる場合、またその表示の内容について定めていまして、具体的にはニで、「認定実践 型人材養成システム」という文字を表記することが出来るとしています。その表示ができる場合と して、(一)から(四)を想定しています。第四は、訓練担当者の委託募集を行う承認中小事業主 団体の範囲と、その申請の手続について規定しています。  続いて、資料1−4「実習併用職業訓練の適切かつ有効な実施を図るために事業主が講ずべき措 置に関する指針案要綱」です。第一は割愛し、第二で具体的に事業主が講ずべき措置として5点上 げています。1点目は、OJTと座学を相互に関連づけること。2点目は、実習併用職業訓練の実 施期間、内容等、実施に関して必要な事項について教育訓練機関と十分に協議をすること。3点目 は、事業主において実習併用職業訓練の担当者を選任し、教育訓練機関との緊密な連絡体制を整え ること。4点目は、実習併用職業訓練の実施に関する具体的な事項を明らかにする書面を、事前に 希望する訓練生に対して交付すること。5点目は、能力評価の方法が客観的かつ公正であることを 定めています。第三は、実施する場合に事業主が留意すべき事項ということで、実習併用職業訓練 の対象者は労働者であることから、労働関係法令を遵守することを記載しています。  資料1−5は、キャリア形成指針です。基本的には法律に盛り込まれた事項をキャリア形成指針 の中に位置づけたものです。第一の一は相談の機会を確保すること。具体的には、事業所外でのキ ャリア・コンサルティングの機会を確保することといったものを指針の中に位置づけています。二 は、キャリア・コンサルティング担当者の能力の向上のために講習を受けさせること。三は、再就 職準備休暇の付与。四は、勤務時間の短縮を指針の中に新たに位置づけることとしたものです。  資料1−6は、熟練技能指針を新たに策定したものです。第二に具体的な内容が記載されており ますが、労働者が熟練技能等を習得する目標を定めることを容易にするために、事業主が配慮すべ き事項として(一)から(三)まであります。(一)は、業務に要する熟練技能等ごとに熟練技能 等に関する情報の管理、また習得の状況に応じた情報の提供を求めています。(二)は、熟練技能 の継承に係る基本方針及び当該基本方針に基づく取組の実施計画及び、これらに基づき実施する職 業訓練、能力検定等に関する情報を提供すること。(三)は、熟練技能等の習得に資する教育訓練、 職業能力検定等に関する情報を提供することを規定しています。ニは、能力開発計画を作成する際 に、労働者が段階的かつ体系的に熟練技能の習得ができるように事業主が配慮することを盛り込ん でいます。三は、熟練技能等を習得することができるようにするための労働者の配置、その他雇用 管理についての配慮として、(一)から(三)までの事項を盛り込んでいます。四は、熟練技能を 習得する意欲を高めるために、職業能力検定を受けさせること、また競技大会に参加させるように 配慮することを盛り込んでいます。第三に一、二として、公共職業訓練、認定職業訓練、その他の 教育訓練を活用すること。さらに、熟練技能の習得に係る技術的な助言、キャリア形成促進助成金 その他の支援措置を効果的に活用することを盛り込んでいます。  資料1−7は委託募集の特例の対象となる、認定事業共同組合等の承認に関する基準です。認定 実習併用職業訓練の適切かつ有効な実施を図るための人材確保に関する相談及び援助として、第一 の一(一)(二)に類する事業を実施または実施することを予定することと規定していまして、ニ はそのための事務処理体制が整備されていること、三は、構成員たる中小事業主の3分の1以上が、 実習併用職業訓練を実施または実施しようとしていることとしています。四は募集を行うに当たっ て、その募集に係る労働条件その他の内容が適切で、かつ労働者の利益に反しないことが見込まれ ていることとしています。  資料1−8は、中小労確法の関係の指針の改正です。第一は、社会経済情勢の変化に伴って、中 小企業を巡る環境変化がありますので、一定の見直し、更新を行っています。第二は、具体的に今 回追加された内容です。一の(一)基本的方向として、青少年の育成に資する実践的な能力開発な らびに熟練技能等の効果的かつ効率的な習得に資する能力開発を行うことを追加しています。(二) 中小企業が行う措置として、イ、熟練技能を有する労働者がOJTに従事することができる機会の 確保等の援助。ロ、青少年の実践的な能力開発に資する措置として(i)(ii)(iii)を実施する こと。(三)事業共同組合等が行うことが望ましい措置として、カリキュラムの策定また訓練によ って習得された技能、知識の評価の方法に関する相談、援助を実施することを追加しています。  2番目は、指針の第二の七「その他の雇用管理の改善」に係る部分に追加された事項です。(一) 基本的方向として、円滑な技能継承に資する雇用管理の改善に係る措置及び青少年の職場定着を図 ることを追加しています。(二)以降、円滑な技能継承のために確保する若年労働者が、将来にわ たって生き甲斐を持って働けるようにするための雇用管理制度の構築や、キャリア・コンサルティ ングの定期的な実施、また青少年の職場定着のための措置といったものを追加しています。  資料1−9は、今般の認定実習併用職業訓練を実施する場合に、中小労確法に基づく改善計画の 認定を受けた事業主が受ける支援措置として、試行雇用奨励金の対象として追加していること。ま た、キャリア形成促進助成金の対象として、一定の教育訓練に係る費用について、雇用保険法に基 づく助成を行うことを新たに盛り込んだところです。以上、雑駁ですが全体のご説明をさせていた だきました。よろしくお願いいたします。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問、ご意見がありました らお願いします。 ○鈴木委員 この実習併用職業訓練を実施するために、色々と指針等について方向を打ち出してい くことは大変結構だと思いますが、これを実際に立ち上げてスタートさせるにはいくつかの問題が 起こることもあると思います。1つは対象者が広がってはいますが、高校を卒業したぐらいの方に 対する周知徹底が非常に重要になってくると思うので、文科省の当該のところと十分に連携を取っ てやっていただきたい。それと、実習併用職業訓練を第三の道としてこれから大きく育てていこう ということならば、いままでの日本版デュアルシステムは、どちらかというとフリーターやニート を対象にしていたものであり、区分するとは言っているけれどもそういう目で見られてしまうと、 折角こういう新しい視点を持とうと思っても、それがネガティブに捉えられてしまうことも懸念さ れますので、ここの場では共通した認識がありますが、新しいものだということを一般社会や学校 関係者にうまく周知徹底していくのはものすごく大事ではないかと思います。  それから、実習併用職業訓練を行っていく中で、今は十分にいろいろな手立てを打っているよう に思いますが、スタートするといろいろな問題が発生しないとも限らないので、そういった際には 柔軟に対応していく必要があるのではないかと思います。  ついでに言えば、日本版デュアルシステムとか似たようなものがあるわけです。トライアル雇用 も、一部こういうのに非常に類似するところです。こういうようなものを将来的には1つにまとめ ないと、いろいろと混乱の元になるのではないかと思うので、状況に応じてその辺も柔軟に対応し ていただければと思います。以上です。 ○今野分科会長 ご意見ということでよろしいですか。 ○鈴木委員 はい。 ○今野分科会長 何かありますか。 ○草野審議官 おっしゃるとおり、この制度を第三の道として定着させていくためには、学生や親 御さんも含めた周知が非常に重要であり、早速パンフレットを作りまして、文科省を通じて各学校 などに広く行き渡るようにしたいと思いますし、また卒業に際していきなり、ということでなしに、 高校在学中から少しトライアル的な形で実習併用職業訓練を見る機会、あるいは体験してみる機会 のようなことを行って、それから実習併用職業訓練につなげていくことも考えていきたいと思いま す。おっしゃるとおり、これがうまくいくかどうかは学校にどれだけ浸透し、親御さんも含めたご 理解をいただけるかという点が非常に重要かと思っています。  また、事業主サイドからも中小企業事業主団体をいくつか指定してモデル的にやっていきたいと 思っていまして、いきなり数を稼ぐことよりもモデル的ないい事例を作って、それを広めていって 「なるほど、こういうものか」ということを序々に浸透させていく形で、ある程度期間を見ながら やっていきたいと思っています。 ○今野分科会長 実施段階になったら、適宜こんな状況ですよということをご報告いただけますね。 ○草野審議官 それは、委員の先生方にもよろしくご協力をお願いしたいと思います。 ○五嶋委員 実践型人材養成システムと日本版デュアルシステムの定着を図るために、2つの制度 を受け入れる側の学校、各種教育機関、教職員、学生、業界団体、企業と広く国民の理解を得るよ うにしていかないといけないのではないかと思っています。その土壌づくりというか、基盤づくり は極めて重要なのではないかと思います。ですから、この度の2つの制度の広報、周知をマスコミ あるいはインターネットなどを大いに活用していただいて、各種のイベントの開催あるいは分かり やすいコンパクトな導入マニュアルみたいなもの、パンフレットの作成などの実効性が上がるよう な方法を講じてほしいと思っています。  なおその際、実践型人材養成システムと日本版デュアルシステムの両制度については、利用者あ るいは現場にとっては聞き慣れないというか、未知の制度でもありますので、誤解あるいは混乱が できるだけ生じないように、両制度の総合的な全体像の違いが分かりやすく説明できるように、十 分にご配慮いただきたいと思っています。法律上の実習併用職業訓練が、実践型人材養成システム と同じ制度であることも説明しておく必要があるのではないかと思っています。  また、特に実践型人材養成システムの推進については、産業、教育、雇用といった政策連携が不 可欠ではないかと思っていますので、いまほどもお話がありましたように経産省、あるいは文科省 との連携強化を図ることも極めて大事ではないかと思っています。取りわけ、高等学校の進路指導 の担当教員あるいは生徒の保護者などの理解が大変重要なのではないかと思っていますので、周 知・啓発に積極的に取り組むことが必要なのではないかと思っています。  さらに付け加えるならば、実践型人材養成システムの推進ですが、事業協同組合などが共同で後 継者育成のために設置している認定職業訓練校の機能、あるいは事業協同組合の地域の事業主団体 を活用することが非常に大事なのではないかと思います。中小企業へ浸透させる方法として効果的 であり、大変結構なことだと考えていますので、事業協同組合等の業種別事業主団体の育成支援を 行っている私どもの中小企業団体中央会としては、ご協力していきたいと思っていますので、よろ しくお願いします。 ○今野分科会長 ありがとうございました。何かありますか。 ○草野審議官 連携してやっていく必要性は我々も感じていますし、文科省や経産省にはだいぶお 話させていただいて、連携してやっていくことにしています。人材育成協議会が中央に、各都道府 県に人材育成地域協議会という、訓練関係、労働関係、教育関係、経済界が全部一堂に入った組織 があります。そこでこれから集中的にご説明していこうと思っていまして、今後秋から手分けして 広く普及啓発をやっていきたいと思います。今年度はなかなか実績をあげることは難しいとは思い ますが、第1号、第2号が出れば幸いと思います。平成19年4月から本格的に行くように、いま から普及啓発を行いたいと思います。中小企業団体あるいは経済界、組合の方からもご協力をいた だいてやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○長谷川委員 資料1−6と資料1−8です。今回指針要綱がここに書かれているわけですが、ま さにそのとおりだと思っていますし、このことがきちんと実施できるような具体的な取組を、もっ とわかりやすい形で周知することが必要なのではないかということです。資料1−8の中小企業に おける労働力の確保というのは本当にこれが重要なわけで、ここに技能の伝承、青少年、パートタ イム労働者、高齢者の能力開発について書かれていますが、これが実施されれば、なかなか力が付 けられない労働者にどう力を付けていこうか、能力開発していこうかということが言われています ので、これらの告示に書かれたことを具体的に実施することが重要だと考えます。そのためには、 商工会議所や中小企業団体の皆さんの力を借りて、この内容の説明をもう少しわかりやすくしてあ げることと、資料1−9でいろいろな奨励金の制度も変わっているわけですから、施策と助成金の 活用の仕方をうまく説明していただいて、わかりやすい解説書を作って中小企業団体で勧めていた だけると非常にいいのではないかと思います。  霞ヶ関の人たちは法律を読むことに慣れているから何でもないと思いますが、地域や職場に行け ば行くほど、法律に書いてあることが何なのかがよくわからないのだと思います。それをもう少し わかりやすくして、制度と助成金が活用されるように、いきいきと助成金が活きるような方策を取 ってほしいし、是非中小企業団体の皆さん、商工会議所の皆さんと連絡を取って、連携をうまくや っていただきたいと思います。労働組合がどういう形で協力できるかを私どもも考えたいと思いま すが、組合が出来ることについては使用者団体の皆さんもどうぞご遠慮なく言っていただければ、 私たちも地方にもいろいろな組織がありますので協力したいと思いますので、折角できた法律です から、是非法律をいきいきと活かすことが必要ではないかと思います。 ○今野分科会長 趣旨は大変いいので、機能するように頑張れという話だと思います。ほかにあり ますか。よろしいですか。それでは、当分科会としては「職業能力開発促進法施行規則等の一部を 改正する省令案要綱」、「実習併用職業訓練の適切かつ有効な実施を図るため事業主が講ずべき措 置に関する指針案要綱」、「労働者の職業生活設計に即した自発的職業能力の開発及び向上を促進 するために事業主が講ずる措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱」、「労働者の熟練技能 等の習得を促進するために事業主が講ずる措置に関する指針案要綱」、「職業能力開発促進法第二 十六条の六第二項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準案要綱」、「中小企業における 労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善に係る措置に関する基本的な指 針の一部を改正する告示案要綱」、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について 妥当と認める旨の報告を私から労働政策審議会会長あてに行うことにしたいと思いますが、よろし いですか。                  (異議なし) ○今野分科会長 ありがとうございます。事務局から、報告文(案)をお配りいただきたいと思い ます。 (報告文(案)配付) ○今野分科会長 それぞれにつきまして報告文(案)がございます。これでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○今野分科会長 お手元の案のように報告します。よろしくお願いします。  次の議題です。平成19年度職業能力開発局重点施策と予算要求の概要についてです。事務局から お願いします。 ○森岡総務課長 平成19年度職業能力開発局重点施策と予算要求の概要について、資料2に基づい てご説明させていただきます。能力開発局の予算要求額1,458億円ですが、人口減少社会が到来し ていく中において、経済社会の活力の向上に向けた人材立国の実現を目指す。また、働く者一人ひ とりが職業生活の各段階で再チャレンジできる。その能力や持ち味を発揮することができる社会を 実現することを目指した予算編成をさせていただきました。大きな項目として、1頁の「若者の人 間力の強化と働く意欲の向上」、2頁の「公正かつ多様な働き方が実現できる労働環境の整備」、 3頁の「経済社会の活力の向上に向けた人材立国の実現」、「障害者の職業的自立に向けた就労支 援の総合的推進」、4頁の「外国人労働者問題への適切な対応」と、5点の大項目に分けて要求案 を作りました。主なものについて、簡単にご説明します。  「1 若者の人間力の強化と働く意欲の向上」205億円ですが、このうち現場の戦力となる若者の 育成71億円。主なものは今回の法律改正、また先ほどご審議いただきました省令告示案において定 めました「実践型人材養成システム」の普及推進を図るための予算です。これは先ほどご意見をい ただきましたように、地域の事業主団体における先導的なモデル事業を作ることと共に、こういっ たシステムに取り組む認定職業訓練施設についても要件の緩和を図りたい。さらに、キャリア形成 促進助成金に基づく支援措置も講じることによって推進を図っていきたいというものです。  次の産学官の連携による実務・教育連結型人材育成システムの普及促進は、日本版デュアルシス テムの推進のことですが、公共職業訓練施設または民間委託型による日本版デュアルシステムの実 施を図るとともに、事業主団体を通じてこういった企業実習と座学を連結させた教育訓練を促進す るための体験講習を取り入れていきたいというものです。  フリーター25万人常用雇用化プランは、厚生労働省においてフリーターを25万人常用雇用化する ということで強力に進めているものですが、予算96億円です。その中で年長フリーターに対する常 用就職支援として「年長フリーターに対する自立能力開発システム」の整備20億円。これは企業実 習を先行させまして、足りない分を訓練機関においてフォローアップ訓練することにしている企業 実習先行型システムを創設して普及させていきたいというものです。年長フリーターに対する再チ ャレンジ機会拡大プランの実施3,600万円については、フリーターとしての経験能力を適切に評価 する手法、これのチェックシート等を開発し、普及を図ってまいりたいというものです。それと、 先ほどの実務・教育連結型人材養成システム(日本版デュアルシステム)の普及促進です。  2頁目、フリーター・ニートをはじめとする若者の自立支援27億円です。現在展開している地域 若者サポートステーションが、ニート等の若者に対する地域の支援拠点またはネットワークとして の拠点ですので、これについてさらに拡充を図りまして、特に最近のニートにおいてはメンタル面 でのサポートが必要という若者が多いので、臨床心理士等を配置しまして、専門的支援体制を強化 する。さらに、箇所数も50カ所に倍増したいというもので、9.7億円です。若者自立塾は合宿形式 による集団生活の中での生活訓練、労働体験を通して若者を自立させるものですが、25カ所から40 カ所に増加させるということで17億円です。また、こういった若者の自立について努力していただ いている団体等に対しまして、厚生労働大臣表彰を行いますとともに、表彰者等が意見交換を行う フォーラムを開催したいということで3,000万円の予算を組んでいます。また、学生から職業人へ の円滑な移行の支援を図るために11億円です。若者向けのキャリア・コンサルティングの普及促進 ということで、若者向けにキャリア・コンサルティングを普及していく。地域にもキャリア・カウ ンセラー等を派遣して、きめ細かなキャリア・コンサルティングを行いたいということで6,000万 円です。  つづいて「2 公正かつ多様な働き方を実現できる労働環境の整備」です。非正規労働者の正社 員化を図るために4,200万円です。1つは、正社員転換のための非正規労働者に対する企業内職業 能力開発の促進で、非正規労働者から正規労働者へ転換する教育訓練等を行う企業等に対して、キ ャリア形成促進助成金を拡充したいというものです。また、派遣労働者に対する能力開発・キャリ ア形成の仕組みを整備するということで、こういった支援計画を作成することに3,500万円を要求 しています。  3頁は、「3 経済社会の活力の向上に向けた人材立国の実現」338億円です。ものづくり立国の 推進として22億円ですが、1つは2007年ユニバーサル技能五輪国際大会を静岡で開催することに なっています。この大会を成功させるとともに、これを契機として若者の就業意欲の喚起の重要性 に対する国民の理解を深めたいということで、大会運営費に対する補助金10億円です。また、もの づくりの魅力に対する理解を促進するために、工場や職業能力開発施設等を開放するといったこと 等を行うための予算9.1億円。中小企業等の技能の円滑な継承に対する支援を実施することとして、 技能継承のための取組を行う中小企業への助成等が3億円です。  職業生活を通じた能力開発の推進44億円ですが、キャリア・コンサルタントの資質向上等のキャ リア形成支援の推進を図るため、キャリア・コンサルタントに対する実務研修または実践的助言等 々の機会を拡大するとともに、能力評価試験の統一的実施や資格更新制度の在り方について検討を 行うということで37億円です。次に、広範な職種を対象とした職業能力評価制度の整備、について ですが、能力評価基準について現在整備しているところですが、この職種の拡大等を図りたい。ま た、非正規労働者を含めホワイトカラー等多様な労働者にも対応できるように、eラーニングの導 入等により職業能力習得の支援制度の普及促進を図りたい。こういった予算が7.1億円です。現場の 戦力となる若者育成については再掲しています。  「4 障害者の職業的自立に向けた就労支援の総合推進」60億円です。一般校を含めた公共職業 能力開発施設における障害者職業訓練を推進するもので44億円です。一般校における障害者訓練を 行う中でも、特にニート対策等で発達障害者に対する職業訓練等が必要であることから、このため に職業訓練をモデル的に実施したいというものです。地域の障害者支援機関を活用した実践的職業 訓練の推進として16億円です。さらに、障害者職業能力開発プロモート事業の拡充として、こうい ったプロモート事業を政令指定都市等に委託して行うことについて、現在3都市でやっているもの を10カ所に増やすということで9,200万円です。  「5 外国人労働者問題への適切な対応」4.5億円です。これは研修・技能実習制度について、労 働関係法令違反等の不適切な事案というのが指摘されています。こういったことを防止するために 制度の厳格な運用を行うことから、研修生・技能実習生の受入機関等に対する巡回指導を強化して、 監督機関等との連携も図っていきたいということで、この要求が4.5億円です。以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問、ご意見がありました らどうぞ。 ○長谷川委員 この中身というよりは全体のことについて質問します。おそらく能力開発の予算と いうのは一般会計からは、そんなにないはずだと思います。労働保険特別会計(雇用勘定)だと思 います。別な審議会で雇用保険の国庫負担の削減が議論されていますが、平成19年度の予算額が 1,458億円と見ると、あたかも一般会計から出るように見えてしまうわけです。私は1,458億円の中 身について一般会計からどれぐらいで、労働保険特別会計(雇用勘定)はどれぐらいかということ を明らかにしてほしいのです。そうでないと、あたかも政府が全部雇用政策を一般会計でやってい るようなものの言い方が最近はあるので、実はほとんどが労働保険特別会計(雇用勘定)だという ことについて、いろいろな人たちが認識することが重要ではないかと思います。今日、若者や高齢 者に対する雇用対策が必要だと言われていながら、しかしその費用はどこから出ているかといえば 労働保険特別会計(雇用勘定)から出ているわけで、もっとそういうことをいろいろな関係者にも 知っていただきたいし、強く言いたいわけです。できたら、こういう説明のときも一般会計と特別 会計がわかるような説明をしていただきたいと思います。 ○森岡総務課長 それぞれの場面で能力開発の費用が一般会計及び事業主からいただく雇用保険三 事業によってやっていることは説明させていただいていますが、今回は説明が漏れて申し訳ありま せんでした。この要求額1,458億円の内訳ですが、一般会計予算161億円、労働保険特別会計(雇 用勘定)からは1,293億円、労働保険特別会計(労災勘定)からは4億円の予算が入っています。 ○今野分科会長 いまのような要望がありましたから、次回以降はそういう点に注意してください。 ○森岡総務課長 かしこまりました。 ○今野分科会長 他にありますか。 ○佐藤委員 内容ではないですが、言葉の使い方で教えていただきたいのです。1頁はフリーター 25万人常用雇用化、2頁は2の(1)正社員化ですが、常用雇用化とは何なのだろうか。つまり、 常用雇用というのは1カ月を越えてですか。いろいろな統計によって違うので、常用雇用化と正社 員化を厚生労働省は使い分けているのかどうかです。  もう1つは、2頁の「2 公正かつ多様な働き方を実現できる労働環境の整備」の中に正社員化 というのがありますが、これは多様だと言いながら正社員化と1つのキャリアだけを支援すること なのか。例えば派遣労働者等がありますが、派遣労働者としての安定的なキャリア形成はあり得る と思いますが、全部正社員化しろというのが、多様な働き方実現とが合わないのではないかという 質問です。 ○亀島基盤整備室長 フリーター25万人常用雇用化プランというのは、従来そう使い慣らしてきた ものですから佐藤委員がご指摘のとおり、いわゆる正社員化を目指しているとお考えいただいても 良いと思います。ずっとこのように使ってきたものですから。正社員化の表現については、ご承知 のとおり非正規の格差問題等の中で、非正社員との対比で、このような整理になっています。  2番目の2頁「2」で、公正かつ多様な働き方というときに正社員化だけを考えているのかとの 御質問ですが、表題の中で大きく正社員化の機会を拡大という形でまとめていますが、実際は能力 開発の場面の中におきましては、特に派遣労働者にかかる能力開発については派遣で頑張ってやっ ていこうという方も3割以上いらっしゃいますので、そういう方々については派遣の中でより一層 キャリアを育んでいっていただくというモデルも1つの主力として作っていただこう。それと、も う一方で3分の1ぐらいは正社員になりたいという方がいらっしゃいますので、そういう方につい てのモデルも併せて作っていこうと。そのためには、市場における能力評価とか、そのための能力 開発、キャリアローテーションといろいろな課題がありますので、それを3年間にわたって業界団 体等協力いただいて詰めていきたいと思っています。 ○佐藤委員 前半の常用雇用化プランは、正社員化と書いてもかまわない。ただ、従来は常用雇用 化という表現を使っていたという趣旨で理解すればよろしいですか。 ○亀島基盤整備室長 概ねそのように考えていただいて宜しいかと思います。 ○井上委員 2頁の「2 公正かつ多様な働き方を実現できる労働環境の整備」で、意見と質問で す。労働者人口のうち、非正規の労働者が占める割合が年々増えていると思います。今回、非正規 の能力開発が新規ではありますが700万がついたことは非常にいいことだと思いますが、非正規労 働者の割合数を見ると、果たしてこれでどれだけの職業能力開発ができるかというところを少し疑 問に感じます。ほかの予算との配分を見ても、あまりにも差があり過ぎるのかなというのが意見で す。  この700万円という積算根拠が何かあると思いますが、例えば企業数を対象にしているのか人数 を対象にしているのか、もしそういうものがあれば教えていただきたいと思います。 ○石田育成支援課長 これは、いわゆるキャリア形成促進助成金の要件というか、要求の中身は助 成率の拡充ということですので、その拡充の差額分が要求額になっているということです。しかも、 キャリア形成促進助成金をお使いになっていただければわかると思いますが、初年度はそれほど出 なくて後年度に回っていきますので、初年度分ということで最初の頭出しの金額が出ていると理解 していただければいいと思います。 ○今野分科会長 いちばん最初におっしゃられた非正規労働者の能力開発は非常に重要で、それに 対して700万円だけかという印象があると思います。 ○石田育成支援課長 もともと非正規の方であれ正規の方であれ、これらの方を対象にして、企業 が能力開発に取り組むことに対しては、既に現行のキャリア形成促進助成金は対象にしていました。 ただ、それをもう一押しするために助成率を上げさせていただいた部分の差額であり、その部分の 初年度分を上げているということですので、新しい施策として表に見えるようにしたということで すので、全く今までは何もやっていないではないかと言われないようにという趣旨も含めてご理解 していただければと思います。 ○佐藤委員 いまのところ、この制度は企業が直接雇用しているパート等について正社員転換制度 があって、例えば転換するための教育訓練と限定された部分と理解していいですか。 ○石田育成支援課長 中身は、先ほどのお話とも少し関係しますが、正社員化と書いていますが、 正社員化もしくは必ずしも正社員化ではなくても、段階的に能力開発するという制度を設ける両方 を対象にしたいと思っています。それに乗って、正社員化の場合は正社員化していただくための教 育訓練をするということを通じて、支援をしたいと思っています。 ○今野分科会長 ほかにありますか。よろしいですか。次の議題に進みます。  公共サービス改革基本方針についてです。お願いします。 ○森岡総務課長 資料3に基づきまして、競争の導入による公共サービスの改革に関する基本方針 等についてご説明します。  資料3−1は、先の通常国会で成立しまして7月7日から施行されました競争の導入による公共 サービスの改革に関する法律、略して公共サービス改革法と申していますが、この概要について説 明したものです。法律の概要をご覧いただきたいと思います。プロセスですが、民間事業者または 地方公共団体の方から公共サービスに関する要望をいただきまして、この中で内閣において公共サ ービス改革基本方針により選定しまして、官民競争または民間競争による入札の対象となる事業を 決定することになっています。また、各省、独立行政法人において、それぞれ実施要項を作成する こと。これによって、競争入札を実施していくことになっています。それぞれの基本方針、実施要 項作成に当たりましては、官民競争入札等管理委員会が設置されていまして、ここにおいてプロセ スの透明性、中立性、公正性を確保することになっています。  この中に位置づけられました公共サービス改革基本方針において市場化テストにより入札を受け るものが決定されていますが、資料3−2の3つ目のマルの3行目に記載されていますように、9 月5日に閣議決定されたものです。この中にプロセス等が書かれていますが、資料3−2の3頁目 の7、IIIをご覧下さい。「以下の公共サービスについては、別表に基づき、官民競争入札又は民間 競争入札を計画的かつ着実に実施する。」ということになっていまして、厚生労働省関係において いくつか挙げられる中で、独立行政法人の業務の中で能力開発関係分が挙げられているところです。  1枚めくっていただいて、独立行政法人等ということで別表で定められているものですが、別表 の中で(1)として、独立行政法人雇用・能力開発機構の設立・運営する「アビリティガーデン」 における職業訓練事業、この中において右の措置の内容等民間競争入札を実施するということにし ています。その内容は原則として次のとおりとされていまして、「アビリティガーデン」における ホワイトカラーの関連職種を対象とした職業訓練コースの開発、及び職業訓練の実施に関する業務 のうち、業界共通型の在職者訓練であって、開発・試行実施終了後、一定期間が経過した12コース のうち6コース、これについて民間競争入札で行うということになっています。11月に入札公告し、 4月から落札して訓練を実施したいということでして、これについて独立行政法人雇用・能力開発 機構のほうで評価委員会を本日開催しまして、要項をお諮りしているところです。  また(2)ですが、独立行政法人雇用・能力開発機構の設置・運営する「私のしごと館」におけ る体験事業、これについても職業体験事業について民間競争入札を実施するということになってい ます。その内容は原則として次のとおりとされていまして、「私のしごと館」における適職の選択 と、若年者のキャリア形成を支援するための職業体験事業のうち、業界団体や伝統工芸団体等の協 力により実施している職種以外の5職種で「私のしごと館」が自らが実施しているもの、これに関 する体験事業について、民間競争入札で行うということになっています。これについても11月まで に入札公告し、4月から落札者による体験事業を実施ということで、本日、同じく独立行政法人雇 用・能力開発機構の評価委員会で要項をお諮りしているところです。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ちなみに「アビリティガーデン」で対象になる6コー スと、あと「私のしごと館」の5職種というのは、大体どんなものですか。 ○森岡総務課長 「私のしごと館」の5職種は確定していまして、宇宙開発、CGデザイナー、プ ログラマー、雑誌編集、小型製品組立(玩具)です。  それから「アビリティガーデン」のほうで行うのは、開発後5年以上が経っていて、かつ十分な 募集者が集まるといったものを対象に行うことを予定しているところですが、これはまだ6コース が完全に確定していません。本日、雇用・能力開発機構のほうで評価委員会等にもお諮りしている ところと聞いていますが、そういう意味で5年以上経って、かつ定員の充足がよくて、かつ受けた 人の満足が高いといったようなもの。例えば「Win-Winコミュニケーション力の向上」といったよう なコースがございます。これについては、まだ6コースが確定しているところではございません。 ○今野分科会長 ありがとうございます。 ○井上委員 一般的に官民競争入札というのは、官と民が一緒に入札ということになると思うので すが、今回の独立行政法人雇用・能力開発機構の業務は民だけが入札に来るということですか。そ れとも雇用・能力開発機構も一緒に入札に入るということですか。 ○森岡総務課長 今回の公共サービス改革法における基本方針の中で、官民入札によるものと民民 入札、いわゆる民間入札によるもの、それぞれ区分けされていまして、独立行政法人雇用・能力開 発機構の場合は、例えば「アビリティガーデン」のものですと、ある程度雇用・能力開発機構で行 ってきて、実績を作ってきて、これでパターンが出来たので民にお願いしてもいいかというものを お願いすることになっていまして、両方とも民間競争入札ということ、民民の入札ということで整 理されているところです。 ○佐藤委員 「アビリティガーデン」は今回、在職者訓練だけですが、なぜ離職者訓練はやめたの かという理由がよくわからないのですが。 ○森岡総務課長 離職者訓練についてもモデル的、試行的に市場化テストという形でやっていたわ けですが、離職者訓練については現在すでに委託訓練がたくさんありまして、離職者訓練のうちの 7割が委託訓練として、すでに民間に出しているものです。また実際「アビリティガーデン」で試 行的に行ってみたところ、土日、夜間ということもあって、就職率等がどうもかんばしくなかった ということもございまして、委託訓練では既に民間委託を行っているものですから、あえて市場化 テストという枠組みを踏まなくても、十分民間のほうにやっていただけるということから、今回は 在職者訓練のみで行うということです。  また離職者訓練については、いろいろ要望をいただく中においても、どうも要望がなかったと聞 いているところです。 ○佐藤委員 離職者訓練は委託訓練として民間に出しているのだから、ということなら逆に民間に 出しやすいのではないでしょうか。それともう1つは、試行的に行ったものは土日ですが、いま 「アビリティガーデン」でやっているのは昼間ですよね。ですから人が集まらないということは、 比較にならない、理由にならないのではないかと、よくわからないのですが。 ○森岡総務課長 閣議決定の公共サービス改革基本方針を決定するまでにも十分ご議論いただいた ところですが、この中で離職者訓練については、現在「アビリティガーデン」において行っている ものについては、民間でやっていない、出来ないものについてのみ国で現在行っているという整理 をしているところでして、試行的にやらせていただいたのは、そうでないものについて土日に空い ているところを使ってもらうという形でお願いしたモデル事業であり、実際に「アビリティガーデ ン」が行っているものについて、市場化テストで実施したというのとは、ちょっと形が違うわけで す。そういう意味において、結局、土日、夜間のようなコースというのは、他の委託訓練でも十分 やられている。民間委託でもやっていますし、そういったところでも活用できますし、また「アビ リティガーデン」についても、土日、夜間、これについての活用を図らなければいけないわけです ので、場所貸しを探すとか、そういったことで十分対応していきたいと考えているところです。 ○草野審議官 離職者訓練というのはご存じのとおり、ある程度集中的にやらないといけないわけ ですが、民間の教育訓練機関は大体在職者が相手ですので、通常の平日は夜とか、土日というのが 多いのです。  月間50時間以上というのは、例えば離職者訓練を民間にやっていただく委託訓練の基準なのです が、大体それをカバーしている民間教育訓練機関は非常に少ないのです。ですから、委託という形 で生徒を持ってきて、お金も流して、50時間以上になるように作り出しているというのが実態です。  ですから、委託訓練ならば民間で受けていただきますが、委託という形をとらないで、そのまま お願いするということになると、受け手の民間教育訓練機関が非常に少ないということもございま す。  実は委託によって、民間のコースを作り出しているのです。民間はそうでなければ、昼間のコー スというのは作らないというのが実態でして、ですから委託以外で試行的にやっても、受ける民間 教育訓練機関はほとんどないという実態がございます。 ○今野分科会長 お客とセットにしなければ駄目だという話ですね。 ○草野審議官 そうです。委託というのは単に業務委託するだけではなくて、生徒もある程度集め て、コースもこういうことをやってと考えてお金も流すという至れり尽せりで、民間に教育訓練コ ースを作り出しているという機能を果たしているわけです。ですから、単に受けてくださいという ことになると、自分の負担でやるという民間教育訓練機関が出てこないというのが実態です。 ○今野分科会長 よろしいですか。他にございますか。  それでは次に、技能検定職種等のあり方に関する検討会の報告書について、ご報告いただきます。 ○小林能力評価課長 技能検定職種等のあり方に関する検討会報告書というのがこの程取りまとま りましたので、資料4−1の概要版を使ってご報告させていただきます。  まず技能検定制度の概要です。これはご案内のとおりですが、改めて概略を申しますと、第2の 1に書いてありますが、能開法に基づく国家検定ということで、昭和34年から実施をし、平成17 年度には約47万人が受験、約17万人が合格。これまでに延べ約330万人が合格し、合格すると技 能士と称することができるとなっています。  現在、検定職種が137職種あり、製造あるいは建設など、ものづくり部門の職種が多くなってい ます。基本的に試験の実施は法律に基づきまして、都道府県が担当するという形になっていますが、 平成13年度から指定試験機関という形で、民間にも委託できるということになっています。そうい うことでフィナンシャル・プランニングなど8職種については、民間の指定試験機関が実施してい るというのが現状です。  今回、見直し検討を行った背景の1つに、行政改革等で検定職種の見直し・整理統合、あるいは 民間活力のさらなる活用ということが言われていたというのもございまして、それが検討会の名称 にも現れているわけですが、やはりそれだけではなくて、ものづくり技能というものの重要性が非 常に高まっている中で、そのツールとしての技能検定制度としても十分な役割を果たしていくべき ではないか、ということでご検討いただきました。ご検討いただいたメンバーは3ページ目に付け ていますが、法政大学の八幡先生を座長として、労使、学校関係者、技能士会、学識の先生方等に ご参集いただきました。  技能検定を取り巻く状況変化を踏まえて、関係の方々からのヒアリングも行った結果、第3の3 に1(○の中に1)から5(○の中に5)がございますように、5(○の中に5)はPDCAサイ クルの考え方に立った見直しという一般的なお話ですので、大きく1(○の中に1)から4(○の中 に4)の4つの課題に整理をしたということです。すなわち検定職種だけの議論に留まらず、幅広 いご意見をいただいたところでして、いちばん上に副題ということで付けていますが、「人財立国・ 日本」の基盤整備〜技能・ものづくりが尊重される社会の実現に向けて〜」ということで、いろい ろなご議論をいただいたということです。  まず2頁目ですが、最初の課題ということで、(2)として検定職種・検定内容等の見直しとい うことが書かれています。まず技能検定ですが、実は製造系ですと、活用はどちらかというと大企 業のほうが主体となっている。大企業の場合は、人材育成のプロセスの中に技能検定を上手く組み 込んで、ご活用いただいているということです。  中小企業のほうは、なかなかそういった体系的なプロセスがとられていないということももちろ んあるわけですが、もう1つ技能検定の検定内容が、やはり基本技能、いわゆるオーソドックスな 技能というのを相当程度重視しているということがございまして、中小企業の方ですと、現場の技 能だけだとすぐには受けられないということがある。それで今後、中小企業によりご活用いただく ことが必要だろうということで、検定内容についても現場実態を踏まえて、より実践的なものに見 直していくべきではなかろうかというご指摘です。  それから基本技能の修得支援、あるいは技能の複合化といったことにも対応するために、あるい は若年者対策ということも睨みながら、ものづくりに関する一連の技能(技能群)を検定内容とす る、「ものづくり基礎検定」みたいなものを導入してはどうか、というご提言をいただいています。  そうした検定内容の見直しの一方で、(3)ですが、社会的ニーズの乏しい検定職種については 統廃合を進めていくべきだということです。これら検定内容の見直し、あるいは検定職種の整理、 統合の話については、別途、実務的な検討の場を設け、早急に検討に着手し、結論を得られたもの から順次実施していくべきだというのが第1点です。  それから2つ目は、民間活力の一層の活用ということで、今後、職種の新設の場合には、民間の 指定試験機関に行わせることを原則とすべきではないかということと、そういった原則のもとで、 逆に社会的ニーズがあるものについては、そういった検定化に向けた民間の取組を積極的に誘導し ていくべきではないかという話です。  それから大きな3つ目が、多様な労働者の適切なキャリア形成の促進ということで、ここでは主 に、学校教育と連携した若年対策の話、それから、いわゆる非正社員が増加する中で、非正社員の 能力開発というのが重要だということについて書かれています。  4つ目が、これは技能検定の活用と表裏一体の話ですが、技能検定の社会的機能を高め、その一 層の活用を促進していくために、技能士の社会的活用についての働きかけを強化していく。あるい は、この報告書の中で企業型技能士と職人型技能士という言葉を使っていますが、いわゆる技能士 に、企業の中で働く技能士の方と、生業的に働いておられる方がおられまして、生業的に働いてお られる方の場合には、やはり消費者との接点というのが重要だろうということで、消費者にその技 能士が作ったものだということを直接アピールできるような仕組みというのを普及促進していって はどうか、といったようなことが書かれています。  以上、大きな4点の内容でご指摘をいただいたところでして、これを踏まえて具体化に向けた検 討を行いまして、順次、実施に移してまいりたい。また、必要に応じてご報告、ご相談をさせてい ただきたいと思っています。 ○今野分科会長 ありがとうございます。いまの技能検定は、大企業では上手に使われていると私 も思うのですが、中小企業ではなかなかだということで、ここでは中小企業に合わせた、つまり中 小企業の仕事の実態に合わせた検定内容にしようと、そういう話ですよね。ですから、現在働いて いて、養成されている技能で受ければ受かりやすいようにしましょうと、そういう話ですよね。  そのとき、この検討会でどういう議論をされたか教えていただきたいのですが、中小企業で使わ れないのは、技能検定が基礎的なことに集中している。しかも、その基礎は中小企業ではいらない から使わないというのと、いるけど検定を取るインセンティブはないとか、あるいは余裕がないか ら使われていないというので、だいぶ違うのではないかと思います。  私がちょっと心配していたのは、もし基礎が重要なのに、あまり応用のほうに内容を変えてしま うと、今度は大企業が「それじゃ、やめるか」という話になると、また困るので、その辺の中小企 業で使われない理由ということについて、検討会でどうお考えになったのかということを、お聞か せいただければと思います。議論がなかったら、ないでもいいのですが。 ○小林能力評価課長 まず中小企業の金属加工の方からのお話を聞かせていただいて、大企業は従 来型の旋盤、フライス盤、汎用機械が置いてありますが、中小企業はそんなものを置くスペースが なくて、むしろ中小企業は最先端の機械しかありません。そういう状況の中で、技能検定はやはり 人材育成のプロセスの中に等級を位置付けているということがございまして、基本技能をある程度、 当然見ているわけです。結果的にそれはなくていいのかというと、今度は大企業のほうが人材育成 に使えないということで、基本技能が重要だというご意見が、逆に委員の先生方から出まして、結 論的にはそこはバランスの問題だということだと思います。  それからもう1つ、先ほどご指摘いただいたような技能士となることのメリット、これはなかな か流動性の乏しい労働市場ですと、やはり直接処遇に反映されないと、なかなか検定取得のインセ ンティブが働かない部分がございまして、だからといって就業制限的な資格にすることができるわ けもございませんので、したがって技能士の地位向上に向けた取組、処遇改善に向けた取組という のを並行してやっていかなければいけないというご意見がございました。  それから、そういった見直しの中で若干手薄になるといけない基本技能の部分ですね。それは、 まず企業に入ると基本技能をある程度複合的に学んだ上で熟練に進んでいくというプロセス等を考 えると、ものづくりの一定の技能、基本技能を集めての検定制度みたいなものは、むしろニーズが あるし、基本技能が手薄には決してならないと思うのですが、より実践型に見直していく話の中で、 セットでそういうものづくり基礎検定というか、入門検定みたいなものも用意していってはどうか というような、大体そんな議論がございまして、それらを盛り込んでこのようになっているという ことです。 ○今野分科会長 そうすると中小企業でも、やはり基礎技能は必要であると。つまり旋盤は置いて いないけれど、ということでは認識したのですね。 ○小林能力評価課長 それは、認識はしていると思います。ただ、検定を受けるということの能力 開発等々における有用性というのは、大企業、中小企業を問わずあるわけですので、できるだけ中 小企業の方々に受けてもらえるような工夫を、いろいろな手だてでやっていこうではないかという、 そんなお話です。 ○今野分科会長 わかりました。他にございますか。 ○草浦委員 建設業に関する資格は137種類の中でもかなり多いのですが、やはり技能士というも のの価値といいますか、これがどうなのかというのが非常に不明確ではないかと私どもは思ってい るわけです。  先ほどのご説明の中にあったのですが、技能士の処遇改善や地位というものが、あまりはっきり していないのではないかという気がします。したがって、今後この検討会で検討された内容を具体 化されるについて、やはり技能士というものの存在といいますか、意味合いをもう少しはっきりと 理解させていただくようなやり方が何かないかと思うので、特にいろいろ建設業に関係する資格を いっぱい列記していただいているので、なおさらその重要性をはっきりとPRしていただければと 思います。 ○今野分科会長 技能士の名前を変えるという話はなかったですか。変えなくてもいいけれど、ニ ックネームを別途作るとか、そんな話はなかったですか。 ○小林能力評価課長 それはございませんでした。 ○草浦委員 技能士というネーミングも、あまりうまい名ではないですね。 ○今野分科会長 ちょっと暗いですね。他にご質問はございますか。 ○長谷川委員 いまの意見と関連するのですが、やはり技能検定を受けて自分が持っている資格と、 それから資料4−2の7頁にある職業能力評価基準ですが、これらのものというのは処遇と結びつ くようなものがない限り魅力がないのだと思います。自分はこの資格があるとすれば、大体どこに 行ってもこのぐらいの収入はあるというのが見えないと、何のために取るのか、ということになり かねない。ただ、大企業が比較的こういうのが上手くいくというのは、そういう資格を持っている とその人の能力評価に結び付くからだと思うのです。だから私の前々任者の総合局長は、大企業だ ったからいっぱい持っていたわけです。俺の資格はこんなにあるとか言って。それはやはり自分の 評価になっていくからだと思うのです。評価というのは収入に結びつく、所得に結びつくわけです から、だから今度は能力評価と賃金というものについて、もう少し議論を深めていくことが必要で はないか。もう少しそういうものが見えるようにしてくると、これらの制度が生きてくるのではな いかと思います。  労働の移動は確実に進んでいるわけですよね。それで、これから請負や派遣労働者の問題が必ず 議論になってくると思うのです。そうすると、やはり請負だとか派遣労働という、そういうところ でいろいろな働き方をしたとしても、自分はこうだというものが見えないと、今だとそういうとこ ろは、何か非常に劣悪な労働条件で、働くところみたいになってしまうわけで、もう少しここに評 価と処遇とをリンクさせることを積極的に議論することが必要だと思います。 ○今野分科会長 そこまでいかなくても、最低限、例えば現在機械系で1級を持っていたら、中小 企業に行ったら大体いくらという相場はあるのですか。 ○小林能力評価課長 実を申しますと、技能士の処遇に関する実態というのは、ほとんど把握でき ていないというのが実態です。 ○今野分科会長 要するにわからないということですか。 ○小林能力評価課長 どれぐらい技能士の資格を持っていると手当に反映されるかということを調 べたデータもあるのですが、もう5年ぐらい前のデータで、それも3割、4割ぐらいは一時金なり 月々の手当に反映しているということですが、調査対象が技能検定に関わりのある団体を通じてや っているということもありますから、若干数字が高めに出てしまっているのかと思います。  来年度の予算で技能士の処遇実態の把握と、それから好事例を踏まえて、何か評価制度を組み込 んだキャリアモデルみたいなものを作れないかという予算を一応計上しているということで、少し 実態把握をきちんとやっていかないといけないと思っています。 ○今野分科会長 他にございますか。よろしいですか。  それでは、本日の議題はこれで終わります。  議事録はいつものとおりですが署名については、私と、労働側は長谷川委員、使用者側は五嶋委 員にお願いします。  本日はこれで終了します。ありがとうございました。 【照会先】厚生労働省職業能力開発局 総務課 企画係 (内5313)