06/09/12 先進医療専門家会議平成18年9月12日議事録 06/09/12 第13回先進医療専門家会議 議事録 (1)日時  平成18年9月12日(火)14:00〜 (2)場所  霞ヶ関東京會舘 ロイヤルルーム (3)出席者 猿田享男座長 吉田英機座長代理 赤川安正構成員 越智隆弘構成員        加藤達夫構成員 金子剛構成員 北村惣一郎構成員 田中憲一構成員        田中良明構成員 谷川原祐介構成員 辻省次構成員 坪田一男構成員        樋口輝彦構成員 福井次矢構成員 渡邊清明構成員       <事務局> 審議官 医療課長 企画官 医政局研究開発振興課長  他 (4)議題 ○先進医療の科学的評価(7月受付分)について       ○先進医療の届出状況(8月受付分)について       ○先進医療の実績報告について       ○高度先進医療と先進医療の統合について (5)議事内容 ○猿田座長  ただいまより第13回先進医療専門家会議を開催いたします。  まず、構成員の出欠状況ですが、飯島構成員、岩砂構成員、笹子構成員、竹中構成員、 及び永井構成員が御欠席です。  また、片山構成員が退任され、後任として、順天堂大学医学部脳神経外科教授の新井一 先生にお願いすることになりましたので御報告いたします。なお、本日は新井構成員は御 欠席との連絡をいただいております。  また厚生労働省において異動がありましたので、事務局より紹介をお願いいたします。 ○福田企画官  このあたり9月1日付で人事異動がございましたので、紹介させていただきます。  白石順一大臣官房審議官、医政・医療保険担当でございます。  事務局関係課も大きくかわっておりますので、紹介させていただきます。  医薬食品局審査管理課の中垣俊郎課長でございます。  俵木登美子医療機器審査室長でございます。  新木一弘研究開発振興課長でございます。  医療課長は7月の異動でしたが、前回、所用によりましてこちらに参加できませんでし たので、紹介させていただきます。原徳壽医療課長でございます。  八神敦雄保険医療企画調整室長でございます。  磯部総一郎薬剤管理官でございます。  阿部重一医療指導監査室長でございます。  人事異動の報告は以上でございます。 ○猿田座長  課長さんから何かございますでしょうか。 ○原課長  私は7月10日付で医療課長に着任いたしました。10年前、平成8年に医療課で課長補佐 をしておりまして、その時以来、座長の猿田先生にお世話になっております。今日も先進 医療について御審議いただくわけですが、ここ数年間、医療保険関係の状況は随分変わっ てまいりまして、先進医療という新しい分野が特定療養費制度の中にできました。この10 月からは保険外併用療養という名前に変わりますが、いずれ保険適用するかどうかという 評価をしていくような重要なものでございます。  高度先進医療というのは昔からありまして、それと先進医療は少しニュアンスが違って いるところがありますが、これを合わせて評価療養の中で先進医療としてやっていただく ことになります。今日の最後の議題にありますが、保険の世界を広げるための試金石にも なる先進医療でございますので、十分に御審議をお願いしたいと思います。  簡単ですが、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  ありがとうございました。  それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。  7月に届出のありました新規技術に関する審議に移りたいと思います。今回提出されて おります先進医療の内容及び事前評価をお願いしていた先生方の御意見が事務局に届けら れておりますので、その状況について事務局より説明をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−1をごらんいただきたいと思います。7月受付分の先進医療の届出 状況でございます。  1ページは7月に受け付けられた3つの技術を一覧表にして、先進医療名、適応症、先 進医療費用、特定療養費、技術の概要、受付日をお示ししています。  2ページですが、先進医療として届出のあった新規技術(7月受付分)に対する事前評 価結果を示しています。  整理番号40番の「カラー蛍光観察システム下気管支内視鏡検査及び光線力学療法」です が、竹中構成員に事前評価をしていただきまして、総評としては「適」ということです。 審査結果としての適応症は肺癌、気管支前癌病変ということです。評価の詳細につきまし ては別紙ということで、後ほど説明をさせていただきます。  41番の「消化管間葉系腫瘍の遺伝子解析」については「その他」をごらんいただきます と、「D004 13 悪性腫瘍遺伝子検査」において保険適用されているということで整理をさ せていただいております。  42番の「カリエスリスクコントロール療法」も「その他」をごらんいただきますと、使 用する医療材料及び医薬品の項目でカリエスリスク判定唾液検査キットが薬事法未承認の ものであることと、この技術自体が予防的処置になるため、保険給付には該当しないとい うことになっております。  40番は竹中構成員に評価をしていただきましたが、本日、竹中先生は所用で御欠席です ので、後ほど事務局から説明させていただければと思います。 ○猿田座長  ただいま説明がありましたように、7月の受付は40、41、42の3件でしたが、いろんな 問題がありまして、40番だけが適となっております。  何か御質問等はありますでしょうか。  40番に関してですが、竹中先生から私には、先進性もあり、使っている器具に関しても 認められているものであり、診断的にも治療的にも新しいところがあるので認めていいの ではないかということです。私から説明しますか。 ○福田企画官  事務局から概要だけ説明させていただきます。先−1の3ページをごらんいただきたき たいと思います。  名称は先ほど申し上げたとおりでして、適応症は肺癌、気管支前癌病変です。  内容につきましては、先進性というところをごらんいただきますと、世界で最も感度が 高く色調の再現性に優れているカラーICCDを使用した蛍光観察システムを用いて、従来の 蛍光内視鏡ではとらえることが困難であった早期癌病変を発見できる。  概要につきましては、その下に書いてあるとおりです。  効果のところをごらんいただきますと、本件技術で用いる蛍光観察システムにより、従 来の蛍光システムや気管支鏡ではとらえることが困難な癌病変を発見することができるた め、肺癌の早期治療に結びつけることができるということです。  費用ですが、先進医療に係る費用(自己負担)が1回6万6千円。この機器は高いもの ですので、その減価償却を患者数で割り戻し、医療従事者の経費を合わせて、このくらい というのが積算の根拠になっています。  特定療養費(保険給付分)が120万3千円となっています。これは肺癌の例で、入院53 日間、さらに光線力学療法を行っていますので、このような経費になっています。  4ページは竹中構成員からいただいた事前評価ですが、「先進技術としての適格性につ いて」です。  適応症については、妥当であるということです。  有効性については、従来の技術を用いるよりもやや有効。  安全性は、余り問題なし。  技術的成熟度については、当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であ れば行える。  社会的妥当性については、倫理的問題等はない。  現時点での普及性については、当該機器は高額なものということもあり、罹患率、有病 率から勘案して、普及していないという判断になっています。  効率性は、やや効率的。  将来の保険収載の必要性は、将来的には保険収載を行うことが妥当となっています。  総評として、総合判定は「適」ですが、コメントとして、従来の技術と比較して初期病 巣の発見には有効との報告がある。ただし、false positive,negativeの問題や、予後を 左右する精度であるかは、不明であるというコメントが添えられています。  次に5ページですが、当該技術を用いる医療機関の要件(案)が示されています。  I.実施責任医師の要件です。  診療科としては、呼吸器科が必要ということです。  資格としては、呼吸器内視鏡学会専門医が必要という判断になっています。  当該診療科の経験年数は5年、当該技術の経験年数は3年が必要ということです。  当該技術の経験症例数については、助手として10例、術者として10例以上ということで す。  II.医療機関の要件です。  実施診療科の医師数としては、常勤医師が3名以上必要である。肺癌の治療に及ぶこと もあり、一定水準の人数が必要という御判断と思われます。  他診療科の医師数については、呼吸器科の医師が3名以上いれば、それ以外は不要とい うことです。  看護配置については、特別なリクエストはない。  その他医療従事者の配置についても同様です。  病床数は必要である。  診療科としては呼吸器科が必要ということです。  侵襲を伴う治療も含めて行うということですので、当直体制、緊急手術の実施体制は必 要ということです。  当該医療機関内における緊急手術の実施体制が必要ということですので、他の医療機関 との連携体制は不要ということです。  院内検査、医療機器の保守管理体制、倫理委員会による審査体制、医療安全委員会の設 置については必要ということです。  医療機関としての当該技術の実施症例数についても30症例以上を求めるという内容にな っております。  III.その他の要件として、頻回の実績報告については、30症例まで又は6ヵ月間は1ヵ 月ごとの報告を求めるということになっています。  事務局からの説明は以上です。 ○猿田座長  竹中先生の評価では、肺癌の早期診断という点では有用であり、それを早期治療に結び つけていけるということでいいだろうということです。技術的には内視鏡の技術を持って る人でなければ難しいが、そうであればよろしいのではないか。使われる器具その他に関 しては大きな問題はないということで、実際にやられた施設では20数例で効果的な診断が できたということを報告されています。  ただいまの説明について、何か御質問等はございますか。 ○越智構成員  先進医療の名称は「カラー蛍光観察システム下気管支鏡検査及び光線力学療法」になっ ていますが、これを見てましたら、観察するところまでじゃないかなという感じがしまし て、最後に「療法」と入ってるのはつけ足したような気がします。 ○猿田座長  最初は診断のところで出てきてたんですけど、診断から治療へもっていけるところがあ るということで、事務局と対応していただいたんですが、そのあたりを事務局から説明し ていただけますか。 ○福田企画官  特殊な能力をもつ気管支鏡によって、癌病変の部分とそうでない部分をきちっと見分け ることができる。第一義的には技術としてそこをやりたいというお話だったわけです。そ こで癌病変が特定できれば、内視鏡治療の適応になるものについては光線力学療法に自然 に結びついていくということがありまして、文献上の報告もありますので、それもあわせ て今回評価をしたらいかがかという議論になりまして、そういう形で今回、まとめをさせ ていただいたということです。 ○猿田座長  提出された施設ではこの療法をやっておりまして、すべて効果があったということだっ たものですから、そこまでデータが出てるのなら、そういう方向にもっていっていいんじ ゃないだろうかということでした。 ○越智構成員  この言葉にこだわりましたのは、混合診療としての請求の場合は観察の部分であって、 治療法の部分は治療費として適切に評価されているのかどうかという意味で、分けた方が いいのではないかという感じがしましたので。 ○福田企画官  一連のものとして行われる場合には、カラー蛍光観察システムを用いた経費をその中に うまく乗せていただく。診断だけの場合にも、そういう形で価格設定していただくことに なろうかと思います。提出された医療機関では治療まで結びついていますので、治療も含 めて全体にかかる経費を割り戻して価格設定しているということです。先進医療に乗せる 医療費の部分については、そのような考え方で進めておりますので、特に大きな問題はな いのではないかと思っております。 ○田中(憲)構成員  将来的に保険収載を行うことが妥当というコメントと総合判定のコメントの内容に乖離 があるように思えますが、症例を経験してゆくなかで、有効性の確認を行っていくと理解 してよろしいでしょうか。 ○福田企画官  おっしゃるとおりかと思います。医療機器が高価であり普及性が必ずしも十分でないと いうことがありますので、症例を積み重ねる中で効率性も含めて全体の水準が保険医療の 適用に近づいていくことを期待しているということではないかと思います。 ○猿田座長  かなり高額な機械で、持ってるところがほんの数施設のようですので、その点がひっか かってるみたいですけど。 ○吉田座長代理  光線力学的治療の機械が高いんですね。 ○福田企画官  病変部を特定するための蛍光観察システムが高いものですから、まず最初に病変を特定 する部分でも高くなりますし、そこできちっと正確に前癌病変も含めて小さいのも早くか らわかるというお話なんですが、そういうことですので治療も診断の部分も両方にかかっ てくるということです。 ○吉田座長代理  肺癌の治療というのは保険を通ってるんですか。 ○福田企画官  光線力学療法の治療は通っております。肺癌ですと若いステージのところで一定の薬剤 を使った場合、レーザーについても一定の制約はありますが、そういった条件下で診療報 酬上も認められています。 ○吉田座長代理  昨年出た大腸ポリープの健康診断でポリープが見つかった場合にどうしようかというの で、見つかった時点で保険適用に変わりましたよね。これは肺癌の健康診断でも使うわけ ですか。健康診断で見つけようという方法もこれから広がるわけでしょ。これだけ精密度 が高いと。 ○福田企画官  今回は診断に結びつけ治療に結びつけるという範囲の中で御議論いただいてるものとい うことですので、そこは別の形で症例を集積していただくなり議論をしていただくという 形になろうかと思います。 ○猿田座長  医療機関の要件に関してはどうでしょうか。技術としては呼吸器内視鏡学会の専門医の 資格のある方なら大丈夫だろうということですから、内視鏡学会の専門医でよろしいでし ょうか。 ○越智構成員  「資格」のところで「要」とするんでしたら、次の「当該診療科の経験年数」のところ が5年となっていますが、これはいらないんじゃないですか。専門医という規定にするん でしたら、そこは不要ではないか。今まではそんな形で審査が通ってるのが多かったよう に思うんですが。 ○福田企画官  呼吸器内視鏡学会の専門医と整合がとれるような経験年数にしてありますが、表記法の 部分につきましては、告示を出す際には過去の表記法と整合をとった形で整理をさせてい ただきたいと思います。 ○田中(良)構成員  光線力学療法の議論があったんですが、適応症を見ますと肺癌となってるわけですね。 これは限定しなくてもいいのか。進行癌とか、あるいは肺門とか気管支とか近い方の病変 については内視鏡的な検査だと思いますが、そういうことまで含めて適応症を規定しなく ていいかどうか。  気管支の前癌病変というのは漠然とした概念だと思うんですが、こういうとらえ方でい いかどうか教えてほしいんですけど。 ○猿田座長  こちらに提出されている書類では、偏平上皮癌、肺門のものが多いんですが、多発性の 肺癌の治療にも使われて効果が出ているということです。肺門の初期の症例が一番いいん ですが、ほかの施設でも2カ所、3カ所で同じような症例で効果を上げているという報告 が来ておりますので、こういう形で判断されてるということかと思います。  実際にいくつか論文を出されてますけど、そこでも同じようなことが出されていますの で、まあまあかなということです。  かなり高い機器ですから多くのところではできないと思いますが、診断率その他がいい ということで、将来はこういったものが普及してきれば効果を上げそうな技術であろうと 考えます。  ほかに御意見がございませんようでしたら、こういう形でお認めいただく。先ほど越智 先生からお話しいただきました専門医の年数のところは合わせるということで、認めるこ とにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、8月の受付分について事務局から報告をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−2をごらんいただきたいと思います。先進医療の届出状況について 8月分受付分の概要をお示ししたものです。細かい説明は省略させていただきますが、こ の表にありますように、4件の届出がなされています。以上です。 ○猿田座長  8月はここにあります4件が出ておりまして、各先生方に審査をお願いしているところ ですが、何か御意見はございますでしょうか。  未使用機器のこととか薬に関しても適応外ということがありましたので、そういった点 は受け付けのところで厳重にチェックしておりますが、この4件については受け付けた時 点では審査できるだろうということです。よろしいでしょうか。  それでは、これまで先進医療として承認された技術のうち、頻回の実績報告を求めてい る技術について、事務局より報告をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−3をごらんいただきたいと思います。先進医療発足にあたりまして、 技術の安全性、有効性などいろいろな観点から、通常の場合は年1回、定例的な報告をい ただくことになっていますが、それよりも頻回に報告をいただいた方がいいだろうという ものについては要件を課しております。今回、6ヵ月ごとにというものについて報告例が まとまりましたので、資料として用意させていただきました。  6ヵ月に1度の頻度で報告の要件が定められた技術がここにお示ししています3件でし て、これらについては6ヵ月を超えましたので、こういう形でまとめてお示ししていると いうことです。  3番の技術については督促をしているところですが、まだ報告がありませんので、こち らにお示ししているような表現ぶりになっています。  5番、6番の医術については、この表にお示ししているような形で報告をいただいてお ります。効果については著効、有効が多くなっていますが、不変、不明というのもありま して、内容としてはそのような状況になっております。  集積がまだ十分でないところもありますが、本日はこのような形で報告をさせていただ いたということです。 ○猿田座長  先−3にありますように、半年たってどのくらいやられているかということで、5番、 6番に関しては効果的な結果が出ているということです。3番に関してはお願いしている ということです。  この点に関して何か御意見はございますでしょうか。こういう状況にあるということで よろしいですか。  続きまして、8月9日に行われた中医協において、現行の高度先進医療と先進医療の統 合について諮問答申がなされていますが、事務局より報告をお願いします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−4をごらんいただきたいと思います。「高度先進医療における薬事 法未承認又は適応外使用に該当する技術の取厚いについて」というものです。  1.概要ですが、健康保険法等の一部改正に伴い特定療養費制度の再編成により、平成 18年10月1日より高度先進医療と先進医療が統合されることとなりました。これに伴い、 高度先進医療で承認されている既存技術は、原則として先進医療において継続することと しています。  ただし、高度先進医療の既存技術の一部には、使用する医薬品及び医療機器が薬事法上 の未承認又は適応外使用に該当する技術が含まれており、これらの技術の取り扱いについ て検討する必要があります。  先−4の資料1に高度先進医療で承認されている技術を一覧で示しています。100種類 以上の技術が認められていますが、薬事法未承認・適応外のものが18ありまして、それを 資料2で示しています。  先−4の資料2ですが、「高度先進医療における薬事法未承認・適応外の医療機器・医 薬品を含む技術」を一覧表として整理をしたものです。それぞれの技術の名称、実施医療 機関数、未承認及び適応外の機器・医薬品の概要を示しています。  承認年月日をごらんいただきますと、15年から17年の初頭にかけて未承認・適応外のも のが多くなっているという傾向がうかがわれます。これらの技術の取り扱いをどうするか ということについて御議論いただく必要があるということです。  先−4に戻りまして、2.論点です。  先進医療専門家会議で先進医療を取り扱いについて御議論いただきましたが、その取り 扱いについては次のような整理がなされています。 ・「先進医療に係る届出等の取扱いについて」(保医発第0630002号、17年6月30日) において、薬事法上の未承認又は適応外使用に該当する医薬品及び医療機器を用いた 医療技術は、先進医療の対象とならないとされています。 ・高度先進医療の既存技術のうち18技術が未承認又は適応外使用を含んでおり、平成17 年度の実施としては合計447件が実施されています。このため、対象となる全技術に おいて、保険外併用療養での実施を平成18年10月1日に中止することは影響が多大で あると考えております。  3.対応方針案ですが、薬事法上の未承認又は適応外使用に該当する医薬品及び医療機 器を用いた高度先進医療の技術については、以下のように取り扱うこととしてはどうかと いうものです。  高度先進医療として認められている既存の18技術については、今後、(1)薬事法上の承認 申請、(2)その承認に向けての治験、(3)一定の基準を満たす「臨床的な使用確認試験」、こ のいずれかを実施していただく。こういった形に乗れば、それぞれの制度を踏まえて、保 険外での併用療養との活用も可能になってくる。(1)と(2)については現在でもそういう形で 活用が可能ですので、そういうことを目指していただくということです。  ただし、上記(1)〜(3)を実施するためには一定の準備期間を要するため、経過措置として 平成20年3月末までの間に進めていただいたらどうか。それまでの間は適応外であったり 未承認であっても、先進医療の枠組みの中で保険外併用療養としての位置づけを用意する ことができるということです。  平成20年3月末までに(1)〜(3)を実施していない技術については、原則として先進医療の 承認を取り消すこととします。  なお、「臨床的な使用確認試験」の実施に当たっては、当該試験が一定の基準を満たす ものか否かについて、あらかじめ厚生労働省の確認を受けることとするとしています。  また、(1)の承認申請後及び(2)の治験実施後については既に評価療養の対象とされていま すが、新たに検討される(3)一定の基準を満たす臨床的な使用確認については、高度先進医 療の適応外技術にかわり評価療養とする方向で、今後、中医協において検討することとし ています。  引き続き関係の審議会等での議論が必要ということが前提となりますが、全体の流れと しては、一定の経過措置を置く中で、将来的には薬事法の承認をきちっと取るということ が前提で、必要なプロセスを踏んでいただきたい。ただちにそうするというのは無理があ るので、経過期間を設け、その仕組みについても(3)というものも追加的に考える。医療現 場でのさまざまなニーズとか、それぞれの技術によってやりやすさというのもあろうかと 思いますので、一番適切な選択肢をとっていただいて、評価療養として保険外併用療養の 枠組みの中で、それぞれ続けていただきたい。以上が事務局案でございます。 ○猿田座長  10月1日から高度先進医療を先進医療に統合するということです。高度先進医療の場合 は技術も高度なんですが、各技術、その技術を承認する施設に関しても、その都度、認め るか否かを検討して決めていた。未承認の技術や適応外使用も高度先進医療では認めてや ってきた。そこが、先進医療にもっていく時に一番大きな問題になるということです。  ただいまの説明について、何か御質問等はありますでしょうか。 ○坪田構成員  全体的な流れについてお尋ねしたいんですが、高度先進医療の場合は各施設ごとに安全 性と効果についてかなり議論された上で承認されてきたと理解しております。ということ は、安全性その他において患者さんにとっても有効であったと認められているわけですよ ね。今回、先進医療に組み入れるということで、万が一、承認取り消しということになっ たら、システムとしての後退であり、患者さんに迷惑がかかることがあるのではないかと 思うんですが、その辺は流れとしてどのようにお考えなんでしょうか。 ○福田企画官  一連の規制緩和を進めながら、混合診療的な問題で、患者さんのオプションを広げる。 そういった中で一つ一つに細かいチェックを入れずに、要件を定めて、それで届出ベース でという形で、広くなおかつ迅速に物事を進めていきましょうという形で、一つの方向性 が示された。その結果として先進医療専門家会議もできてるわけですが、別の面の課題と して、先生がおっしゃったようなことが出てきているということだと思います。  高度先進という医療機関と個々の医療技術について厚生労働大臣が承認するという枠組 みの中で進められてきたものについては、まずは経過措置として一定の期間を置いて、引 き続き従来の形でやっていただく。大きな枠組みが変わったからといって、患者さんを含 めて医療の進歩全体にとってマイナスになっては元も子もありませんので、そのように考 えています。  ただ、保険外と保険の両方を使いながら、そこにずっととどまるというのは適切ではな いのではないか。保険適用を目指して医療技術としてのものはやっていっていただきたい。 そういう中で法改正が行われていますので、患者さんのためになるような新しい技術へと 促すような仕組みを一方でつくっていかなくてはいけない。  今の時点でお示しできる(1)、(2)、(3)をお示ししていますが、このほか医療機器について は二課長通知が5月22日に新しく出ておりますし、関係部局もいろいろ努力をしておりま すので、マイナス面が大きく出ることなく、法改正の趣旨がプラスに生かされるような形 で、高度先進についても先進医療全体についても進めていけたらということです。  10月1日に動き出さなくてはいけないので、現にやられているところに問題が起きない ような形で措置させていただく必要がありますので、現時点で申し上げることができる範 囲内で説明をさせていただいてるというのが今回の内容であるということです。 ○猿田座長  坪田先生がおっしゃった承認取り消しというのは非常に重要な問題でありまして、今ま で高度先進の場合もどんどん症例を積み重ねてきて、非常にたくさんやられて一般的にな った技術は保険適用にするように努力してたんですね。半年とか1年以内にチェックして、 皆さん方の意見を聞いて、これはそろそろ保険適用にすべきではないかということをやっ てたんですね。いい技術だけど、余り症例のないものがあるのが問題で、それをなくして いいのかどうか。各施設に聞いて、これから発展していくかどうか、別に違う技術でやっ ていけるだろうかということまで聞いて処理してたんですね。患者さんが助かる技術であ れば、できるだけ生かしていかなくてはいけない。  もう一つは、先進医療というのは保険に近い方に動いてるわけです。それでやってきた わけですから、そこへだんだん近づけていこうというのが今度の改正で、決まったからに は、みんなに迷惑がかからないようにやっていきたいということかと思います。 ○北村構成員  考え方の筋道は理解できるんですが、未承認の医薬品・医療機器と適応外使用というの を一つにくるめてしまっていいのかということを感じるんですね。しかも、すべて承認済 みのみとしますと、評価医療というものになるべきものが単に混合診療であるという形に 見えてしまうんですね。新しい医療としての取り込みを評価していくというのであれば、 せめて適応外使用は充分な検討の後、認めていってはどうかと感じるんですね。  先−4の資料2にあります81番のキシロカイン0.5%は適応外使用であるということで、 高度先進医療から外れる。しかしキシロカインを発売しているところに治験をしろといっ ても、しないですね、今からは。  その取り扱いについて(1)、(2)、(3)というのがありますが、治験をやりなさいということ になると大変大きな問題になるし、医療機器の治験となると企業がやるのか医師主導型で やりなさいというのかという問題もありますし、莫大な経費がかかってくる。(3)の「臨床 的な使用確認試験」というのは何をしろというのか内容がよくわからない。  暫定期間を置いてディスカッションを続けるということはあると思うんですが、適応外 使用というのは人体に使って安全という薬事の承認がおりた薬や器具ですので、それを先 進医療に使ってはならない、治験をしなさい、あるいは特別なことをしなさいというので は、これは単純な混合診療の容認であるという形でとらえられがちになるのではないか。 施設を限定し、資格を限定して新しい試みをやらせるという趣旨を残していただきたいな という気がしますので意見を述べさせていただきました。 ○福田企画官  適応外と未承認には本質的な違いがあるのではないかという御指摘ですが、今の行政の 中でも二課長通知でのいろんな対応の部分とか、考慮しながらもやれてる部分もあります。 私どもとしても今後いろいろ考えていく上では先生の御指摘も踏まえながらという形には なるのかなと思っております。  きょうの時点では、10月1日からの施行を踏まえての対応ですので、そこを中心にして 御議論いただきながら、先生からいただいたような将来に向けてのさまざまな論点も伺い たいと思っております。  (3)の一定の基準を満たす「臨床的な使用確認試験」については、担当課が来ております ので、そちらから概要を説明させていただきます。 ○研究開発振興課長  研究開発振興課長でございます。ただいま御質問のありました一定の基準を満たす「臨 床的な使用確認試験」ですが、ここで使っているさまざまな高度先進の医療技術というの は、この場で御議論いただいてるものですので、かなりの程度、安全性等について確認が 済んでいると思います。これから本格的な保険導入という方向に向けて、その溝を埋める ための臨床的な確認が何らかの形で必要ではないかと思っております。そういう意味で、 これから薬事法の承認申請を行うことを想定した臨床実績の確認を行っていきたいという ことですが、どんな基準で確認試験を考えるかということについては、これから関係課と も協力しつつ、医政局で基準を検討させていただきたいと思っております。 ○猿田座長  北村先生がおっしゃったことは非常に重要な問題ですので、これから対応を考えていか なくてはいけないと思います。 ○北村構成員  高度先進医療と先進医療とが一つ違うのは、先進医療の方は一つ承認されると、あとは 都道府県で申請して、どんどんやれちゃいますよね。薬事法未承認も適応外使用も含める という形になってしまうと、おっしゃるような心配はあるかもしれないんですが、一つ承 認されたら類似は全部認めて、都道府県だけで対応してよろしいという枠(現先進医療) と、一つ一つの施設が会議にかけて申請をとっていくという形のもの(現高度先進医療) とが一つになってしまうというところは…。そしてレベルも下げた形で両方通ってないと だめということは、高度という意味の医療に取り組む側の立場としてはそれでよいのかな という感じがするんですね。  今後ともディスカッションを引き続いてやるとおっしゃってますので、きょうの基準が 決定という形でないのであれば結構だと思うんですが、決められてしまいますと、高度先 駆的医療を心がける施設としては非常にやりにくい。そのために一課題、一施設ごとに厳 しく審査して厳しく評価していただいて、承認を受けてやっているということがあるので はないかと感じます。 ○吉田座長代理  先−4の資料2を見ますと、56番、61番のセンチネルリンパ節というのは外科系でも盛 んにやってますよね。症例数も多いわけです。112番の活性化自己リンパ球移入療法とい うのはいろんながんでやられてますので症例が多いですよね。色素というのは他でもけっ こう使ってるんですよね。インターロイキンとか抗原ペプチドも高度先進でやってるんで すが、(3)の「臨床的な使用確認試験」というと、先進医療としてやられた症例数はけっこ うたくさんありますよね。そのデータをもとにして、どこかの医療期間で検討して、適応 を拡大しようということは可能ですか。それがないと、なかなか進まないですね。 ○研究開発振興課長  今まで実績のある部分ですので、それを踏まえて、どんな基準にしたらいいのか。症例 数が多いものと少ないものがありますが、その辺も踏まえて、どんな基準にしたら一番ス ムーズにいくのか。今使ってる技術ですので、円滑に移行することが必要だと考えており ますので、今の点を踏まえて検討させていただきたいと思っております。 ○田中(憲)構成員  高度先進医療として多数の診療が行われていますが、全体の有効性あるいは安全性につ いての評価は行れてますでしょうか。 ○福田企画官  基本的に毎年1回、定例報告の際にさまざまなデータも出していただきまして、それぞ れの内容については、高度先進の場合は臨床的な観点から評価をする先生方お二人に審査 をしていただく。一方、保険という立場でお入りになっている構成員の先生にお願いして、 その結果を集計して、それをベースにディスカッションしていく。その中で内容を具体的 に絞り込んでいきまして、診療報酬の改定時に保険適用という形に結びつけていくという ことです。今回の改定では8技術を高度先進から保険適用にさせていただいたということ です。 ○猿田座長  技術に関しては2名の先生に事前評価していただき、保険の先生に評価していただいて、 それをここで会議として議論して決めていくという形です。 ○樋口構成員  18技術に関しては今のような取り扱いをする方向ということでわかりましたが、今後は、 今までの高度の中では認められていた未承認あるいは適応外というのはすべてなくなるの でしょうか。そういうものは高度先進の中でも対象にならないということになるのでしょ うか。 ○福田企画官  今回、高度先進という仕組みがなくなってしまうということですので、原則としては先 進医療の考え方に一本化する。従来の高度先進も基本的には保険に入ることを前提として おりまして、薬事法の範囲をクリアしたものが入ってきているわけです。厳しい審査の中 では必要性といろんな観点から、現時点で残ってるものは18ですが、そういったものが適 応外を含む形で認められたということです。  今回、経過措置を置く18の技術については従来の高度先進の形が残りますが、これから 全く新しく届出を出そうという場合については現時点では先進医療で合意されている考え 方で御議論いただくことになるということです。 ○坪田構成員  樋口先生と北村先生の意見の続きになるかもしれませんが、今の考え方からすると適応 外使用とか未承認のものは扱える場がなくなってしまう。これを機会に先進医療のあり方 自体を見直すのはどうかという議論も出てくるんじゃないかと思うんです。今まで先進医 療で申し込まれてきましたよね。その時に未承認と適応外使用に当たるものがあると、こ の会議に出る前に、これは未承認のものが入ってるからだめということで申請が受け付け られませんよね。そういうのは何%ぐらいありましたか。 ○福田企画官  手元に数字がないんですが、届け出られたものは3ヵ月ルールがあるもんですから、同 時に公的に先生方に見ていただいております。この場で結果的に薬事法の範囲をクリアで きてないという形で報告していますが、それが実態であるという形です。1回か2回前の 会議に整理したものを出しておりますが、今後の議論の際にも出させていただきます。1 年たつと今までの定例報告のものをディスカッションしていただく必要がありますので、 そういった際にあわせて今までのものを整理をするという形でお出しすることも可能かと 思います。場合によっては、その前に出すことも可能かと思います。 ○坪田構成員  すぐには対応できないと思いますが、北村先生がおっしゃったように適応外使用につい ては何らかの形で受け付けられるような可能性があれば、将来検討していただければあり がたいと思います。 ○福田企画官  特定療養費の枠組みですと治験とか、一部変更も二課長通知をベースにしたものとか、 いろんな枠組みがあるわけですが、それだけでは円滑にいかないというお声の反映だと思 います。この会議の発足の際にもありましたが、まずは保険診療を目指す、安心と安全を 担保する、患者さんのオプションにできるたけ広く対応する、できるだけ迅速にとか、い くつかの原則があってスタートしたと思います。それを今までやってきて、もう少し議論 を重ねる必要があるかと思うんですが、そういった中で御議論いただくことになると思い ます。 ○猿田座長  実際に先進医療をやってみたら保険適用外がこんなにふえてるというので驚いたんです ね。それが先進医療として出てきたわけですが、そういった点をこれから考えていかなく てはいけない。大切な点だと思っています。 ○吉田座長代理  高度先進医療では適応外、適応拡大でやったわけですよね。今回、高度先進医療が廃止 になっちゃって、先進医療の会議で出てきますので、いい機会だと思うんですね。3年あ りますから、ここで十分に議論していただく。適応外使用については、他の疾患とか他の 使用で安全性が確定してるんですよね。そういうものをきちんと提出していただいて、二 課長通達を十分利用するという形でもっていけるチャンスができたと思うんですが、いか がでしょうか。高度先進に18が入ったことで、この先進医療会議でも議論が前に進むと思 うんですね。なんとかしなくてはいけないということですから。 ○猿田座長  そのとおりだと思います。ほかにございませんでしょうか。  これからの移行措置の問題で、ほかに議論しておくことはないですか。 ○福田企画官  特にございませんが、厚生労働省としても良い医療をなるべく早くお届けするというの が役所の仕事の一つですので、そういった観点から関係者は一生懸命努力はしております。 今回、先進医療というものができて、前に進んだのか後ろにさがったのか、いろいろな御 意見があろうかと思いますが、全体としては前に進んでいくということを感じとっていた だきながら一緒に議論していくことが必要ではないかと思っております。  私どもとしては先進医療の部分については、いろんな決め事にしても、結果的に決まっ たことにしても、オープンにしながら広くディスカッションしていただくという姿勢で臨 んでおりますので、我々が気がつかないところがあれば御指摘いただいて、この場の議論 に供していただければと思っております。 ○猿田座長  中医協で決定されましたので、10月1日からこういった形で動くということで、移行措 置のところを議論していくことになると思いますが、そこまではお認めいただいたという ことでよろしいでしょうか。それをどのように議論していくかということが大変ですが、 事務局ともよく相談して、必ずここに諮って、特に廃止がないように、どういう形で認め ていけるかということを相談しなくてはいけないと思います。  ほかにどなたか御意見はございませんでしょうか。  事務局としては、これからの対応を相談していくということでよろしいですか。  この次からこの問題が具体的に出てきます。きょうお配りしました先−4の資料1など を見ていただいて、どのくらい技術が普及しているかということと、未承認の技術は18あ るんだということを知っておいていただいて、次の時に議論させていただく。それまでに 私どもとしても事務局と今後の方針を詰めていきたいと考えております。  こういう方向でいくということが決まったということで、今後よろしくお願いいたしま す。  それでは、以上をもちまして第13回先進医療会議は終了いたします。どうもありがとう ございました。 −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)