06/09/06 中央社会保険医療協議会薬価専門部会平成18年9月6日議事録 平成18年9月6日 中医協薬価専門部会            第34回議事録 (1)日     時  平成18年9月6日(水)11:40〜12:22 (2)場     所  厚生労働省専用18会議室 (3)出  席  者  遠藤久夫部会長 土田武史委員 小林麻理委員 室谷千英委員 対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 松浦稔明委員            竹嶋康弘委員 鈴木満委員 黒ア紀正委員 山本信夫委員            向田孝義専門委員 長野明専門委員 渡辺自修専門委員            〈事務局〉 水田保険局長 白石審議官 原医療課長 磯部薬剤管理官 他 (4)議     題  ○薬価改定の頻度を含めた在り方について ○遠藤部会長  それでは、委員の皆様御着席のようですので、ただいまより、第34回中央社会保険医 療協議会薬価専門部会を開催いたしたいと思います。  まず、委員の出欠状況でございますけれども、本日は、全員の委員の方が御出席されて おります。  それでは、議事に移らせていただきます。  薬価専門部会におきましては、薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準の在り方について 論点を整理するため、前々回(7月26日)は日本製薬団体連合会、欧州製薬団体連合会 (エフピア)及び米国研究製薬工業協会(ファルマ)の3団体から意見聴取を行い、引き 続き、前回(8月9日)は日本医薬品卸業連合会及びその関連の団体である日本ジェネリ ック医薬品販社協会から意見聴取を行いました。  本日は引き続き、薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準の在り方についてさらに御議論 をお願いしたいと思っております。  これまでの当部会での議論を踏まえまして、「薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準の 在り方(論点)」という資料が事務局より提出されておりますので、本日はこれに沿って 御議論をしていただければと思っております。  それでは、事務局から、この資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いし ます。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。時間も押しておりますので、私の方から、資料に従って簡潔 に内容を御説明したいと思います。  資料は、中医協薬−1でございます。「薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準の在り方 (論点)」という資料でございます。この資料としては、今部会長からもお話しございま したように、この薬価専門部会の御意見、それから、前提といたしまして、この議論が昨 年12月に取りまとめいただきました「平成18年度薬価制度改革の骨子」に基づいての 議論でもございますので、その前提の部分を少し総論の中で書かせていただいております。 内容的には、総論と各論と少し分けましてまとめさせていただいております。  まず総論の部分でございます。2つ丸を置かせていただいておりますけれども、最初の 丸の部分でございます。そもそもこの薬価改定の頻度の問題ということがどういうところ から議論はなされているのかということでございますけれども、ここに書いてございます ように、現行の薬価算定ルールというものが、卸さんから医療機関・薬局に販売した、価 格交渉した結果、その市場実勢価をもとに薬価を算定するという仕組みであることから、 必然的に薬価差が生じるということを前提としている仕組みであると言えるというわけで ございます。しかし、現に薬価基準、あるいは償還価格が決まりまして、その後取引価格 が下がっているにもかかわらず、その保険からの償還価格である薬価が据え置かれている 状態というものは、医療保険財政や患者負担の観点からは好ましいとは言えないのではな いか、ここが一つこの議論の原点でございます。そういった部分から、そのような視点に 立ちまして、現行の2年に1回という薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準全体の在り方 について検討をしていくべきではないかということかと思います。  それから、2番目の丸でございますが、特にこの2回のヒアリングを通じまして御意見 をいろいろいただきましたけれども、この2年に1回という改定頻度を前提として、この 2年間のスパンで価格形成がなされている、こういう現状の中で、単に改定頻度を引き上 げる、こういう議論を進めていくことが現実的ではないのではないか、こういう御指摘も 強くいただいているところでございますけれども、その関係で、新薬へのアクセスの問題、 未妥結・仮納入の問題、そのような医薬品市場におけます取引慣行の在り方を含めた市場 価格の把握方法、こういった問題についても検討すべきではないかということで、全体に かかわる問題をこの2つの総論として書かせていただいております。  各論の問題でございますけれども、ヒアリングの際に出ました論点の中で、特にメーカ ーサイドからの御意見として、いわゆる新薬へのアクセスの問題、いわゆる「ドラッグ・ ラグ」というふうに言っておりますけれども、世界的に使われている薬がなかなか日本で は上市されずになかなか使われていないではないかと、こういった御指摘の問題というこ とでございます。これについては、特に産業界からの御意見といたしまして、この頻度の 引き上げを行うことで、先ほど総会でもございましたけれども、新薬の収載に当たっては 類似薬効比較方式を原則としておりますので、算定比較薬の薬価を著しく低下をさせて、 かつ頻度を上げることによって、その薬価が収載直後から急速に下落させていくと、そう いった可能性もあるのではないか、そういうことが、結局新薬の上市意欲を損ない、「ド ラッグ・ラグ」の問題解消の妨げになるのではないか、こういった御指摘かと思います。 この点については、薬価の問題以外にも、例えば国内における治験環境の問題ですとか、 承認審査の実施の体制の問題とか、世の中ではいろいろな御指摘があるところでもござい まして、そういった点で、平成18年度の薬価制度改革におきましては、その新薬へのア クセスの向上を図る観点から、その画期性加算、有用性加算等の加算率の引き上げなども 行いまして、新薬の薬価算定についても適切な対応を行ってきたところでございます。  次のページでございますけれども、そのほか、卸サイドから特に御指摘をいただきまし た点で、未妥結・仮納入、総価取引の問題でございます。いわゆる未妥結・仮納入と申し 上げますのは、卸さんから医療機関に実際に納入する場合に、実際に納入する価格を決め ずに納入を続けると、こういうことでございますけれども、このような状態の中で薬価調 査の信頼性を確保するという観点からは、未妥結・仮納入の是正に取り組むことが大事で はないのか、こういう御指摘かと思います。  それからあとは総価取引ということで、ある程度一律の値引き交渉、こういったものに ついて、銘柄ごとの市場価格を薬価に適切に反映させる観点からは、総価取引というもの の解消も前提ではないかといった御指摘だったかと思います。  未妥結・仮納入の問題につきましては、特にヒアリングの中では、バイイングパワーの 強い大規模の病院、それからチェーン薬局、こういったところの取引における状況につき まして聴取したところでございますけれども、それ以外の中小規模の医療機関、薬局にお ける状況についてもきちんと聴取した上で、引き続き議論を進めていってはどうかかとい うことでございます。  また、総価取引の問題につきましては、総価で一律何%値引きというようなことだけで はなくて、その総価に見合うように個々の単価をまた個別に設定すると、いわゆる単品総 価契約というものもありまして、その場合は、やはり個々の単価というものにつきまして は、ある一定の競争原理に基づく単価の設定になっているということで、現行の銘柄別の 薬価制度というものを否定するほどの問題まではいかないのではないかということでござ います。  どちらにいたしましても、こういった市場での取引の状況でもございますので、そうい った状況を踏まえて、この実際の市場実勢価の把握というものについて、「18年度薬価 制度改革の骨子」でも、一部そういったことをまとめておりますけれども、今後も調査の 充実などにつきまして、あわせて議論する必要があるのではないかということでございま す。  そのほかにも、例えば薬価改定に伴うコスト負担の問題でございますとか、それから、 先ほどの加算率以外における新薬の薬価算定方式の問題ですとか、それから、例えば後発 品のある先発品の薬価の改定をどうするのかとか、それから、いわゆるジェネリック品の 使用促進をどのようにしていくのか、こういった種々の御意見もあり、そういった点を 「その他」として項目を書かせていただいております。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  今御説明ありましたように、この論点は既に当部会でいろいろな御議論をいただいたも の、さらには少しその論点の視点を広げる、あるいは整理をするという意味合いで事務局 から幾つかのことが付加されたというようなものでありますので、このことに必ずしも縛 られる必要はございませんけれども、このような多様な視点からの議論ができるだろうと いう形でこれがなされているということであります。  本来であれば、一つ一つ議論をしていってもよろしいかと思うのですけれども、時間の 制約もございますので、このような論点が出されているということを前提に、御意見、御 質問等々されればと思いますので、フリーに御意見賜りたいと思います。 ○長野専門委員  私自身意見を申し上げるのが今回初めてですので、大変僣越でございますが、よろしく お願い申し上げます。  今事務局より御説明ございました、まず総論のところなのですが、特に最初の2行でご ざいます。今の御説明を伺っていますと、まずは「薬価差が生じることを前提としている 仕組み」だというふうに書かれています。これはそうだと思います。しかし、これからの 検討のことを考えますと、この総論で、この書きぶりですと、存在を肯定しているのか、 あるいは否定しているのか、まずそこがこの書きぶりでは意図がなかなか伝わりにくくて、 なかなか難しいなという印象を持ったのが1つです。  それから、そういう2行を前提として、実際の取引の末、薬価以下で実態として売られ ていますから、そこに薬価差が生じていると。これはおかしいと。それをすぐに頻回改定 という一つの対応措置というのでしょうか、そこに総論的に話をつなげてしまっていると いう印象が強くあります。  私は、7月26日に日本製薬団体連合会あるいはファーマ、エフピア、そして8月9日 に卸連さんその他流通業者の方がいろいろ意見を言われているのを伺っていて、どうもあ のときの意見陳述の内容が、あるいは内容を骨格としたいわゆる総論になっていないので はないかなという印象を持っております。加えて、各論、これは製薬企業の方から意見陳 述をした1つが「ドラッグ・ラグ」という言葉で象徴されておりましたので、それは入っ ているのかなと。しかし、その他、今つぶさにどれが抜けているとは申し上げられません が、重要な点が抜けているのではないかなという印象を持ちます。  そういう中で、ここからは質問なのですが、この総論・各論という今回の御説明資料は、 これから幅広に、薬価制度改革議論をここで進めていこうというスタートの資料なのか、 そろそろまとめようというふうにされる資料なのか、私はスタートの資料だというふうに 感じていますし、そうであれば、今申し上げたようなことがもっともっと盛り込まれてい なければいけないのではないかなという印象を持ちましたので、質問と意見という形にさ せていただきます。 ○遠藤部会長  質問というのは事務局に対する質問ということですか。 ○長野専門委員  はい。 ○遠藤部会長  それでは整理しますと、質問の1つは書きぶりの問題が1つありましたね。その問題と、 もう1つこれの位置づけ、つまりこの文章の位置づけということですね。 ○長野専門委員  はい。 ○遠藤部会長  わかりました。では、それについて事務局お答えいただけますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  この論点の資料につきましては、今回薬価専門部会を開催をいたしまして、特に薬価改 定の頻度の議論を始めるということは、直近の前回からの「薬価制度改革の骨子」をまと めた以降、18年度の診療報酬改定後、直ちに議論をしようと、特に薬価改定の頻度の問 題は早期にやりましょう、こういうことから始めております。そういう議論の中で、それ を中心に議論をするということかと思いますけれども、ヒアリングの中では、そこを議論 する上では、いろいろな実は関係する課題があるであろうということで、確かに長野専門 委員おっしゃるように、専門委員の目から見て、まだまだ十分加わっていないではないか という御指摘はあろうかと思いますけれども、事務局なりにまとめさせていただいて、ま たこれを一つたたき台にいたしまして、今日確かに論点の紙は初めて出させていただく資 料でもございますので、皆様から御意見があれば、その御意見を入れさせていただきまし て、再整理をさせていただき、次の議論に臨みたいということでございます。  また、最初の丸については、そもそもこの頻度の議論がどういうところから始まってい るのかということをまず共通の認識として持つ必要があるだろうということで書かせてい ただいているものでございます。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  長野委員、よろしいでしょうか。 ○長野専門委員  ちょっといろいろ意見ございますけれども、今は取りやめておきます。 ○遠藤部会長  そういうことでありますので、既にこの問題につきましては多くの意見を各委員からも 承っているわけでありますけれども、議論を継続する上でのさまざまな視点を整理をした という位置づけでありますので、この文章に必ずしもこの議論はこだわる必要はないと思 っております。  というところで御議論をいただければと思います。 ○鈴木委員  まず、いいものを安く買って悪いのかどうかということがあると思います。今のお話に 関連するかもしれませんけれども。医療は経営効率を追求するものではないということで あるのであれば、もう少しやはり、先ほどもお話が出ましたように、技術料を中心とした 診療報酬体系というものが前提にあってこういう話になるのであれば、それは差益などは なくてもいいのかもしれません。その1点を申し上げたいと思います。  あと、次の問題ですけれども、各論として、未妥結・仮納入、総価取引というような話 が出ておりますけれども、卸の方の資料によりますと、半年で大病院で4割、1年たって 5割が妥結するというようなお話でしたから、1年たたないと9割妥結しないようなもの をどうやって納入価を決めていくのかなという、それを毎年やりたいということではまる で手順前後といいましょうか、値段が決まっていないのに値段を決めるというようなこと は非常に理屈に合わないような気がいたします。  その次、それに引き続きまして、そうなれば、もうここの各論の方に、中小の我々のと ころにもその調査をするようなお話が書いてございますけれども、そうなると、小さいと ころは量も買えませんので、問屋さんやあるいは薬価の言いなりになりますから、そうい うところの調査結果というのは、もうこれはひとり歩きをするだけで、バイアスがかかっ た単なる数字でしかないという位置づけになると思いますので、私は頻回改定には反対を いたします。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。後半部分で、今回この資料で新たに追加された内容について、 小規模医療機関の納入価を使ったらどうかというような具体的なことが書かれてあります けれども、それにつきまして、その数値というものは必ずしも信頼できる数値ではないの ではないかと、こういうような御議論だったということですね。ありがとうございます。 ○対馬委員  この薬価の改定ですけれども、頻回改定についてはこれから議論を詰めていくというこ とですけれども、ただ、基本的な考え方とすれば、やはり総論に書いているように、市場 の実勢をもとにしながら公的な制度として薬価基準制度をつくっているということですの で、そういったことからする物の考え方としてもそうだろうということがありますし、ま た、改定することで、早くに差益を還元するというのがやはり国民、患者にとって筋だろ うというふうに思うのです。ただ、問題は原則論だけ言っていれば解決するかということ ではありませんので、さまざまな問題があるだろうということですので、今後特に詰めて いく必要があるのだろうというふうに思います。  その中で、さまざまな問題がありますので、ここでは申し上げませんけれども、この中 医協の議論といいますのはエビデンスに基づいた議論ですから、「こうかもしれない」と いう仮説だけではなく、もう少し我々が議論できるような定量的な資料をできるだけお出 しいただければ、またそれに沿った議論ができるのかなと、こういうふうに思いますので、 事務局によろしくお願いしたいというふうに思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。前回、かなり具体的な資料が 出てきて、これは特に意見聴取をした側から出してもらったものですが、それに加えて、 ここに書いてあるようなこと、新たな提案も書いてあるわけですから、エビデンスをでき るだけつけてそれにもとづいた議論をしていただきたいと思います。ありがとうございま す。 ○山本委員  先回と先々回の議論のときでありますけれども、この頭書きの在り方というところで、 頻回改定が前提になるものではないということにつきましては確認をさせていただいてお りますので、ここにある総論は、単にこうした現象があるということで理解をしておりま すので、それはそれとしまして、一つ気になりますのは、各論の方であります。(1)につき ましては、まさに薬価制度そのもの、上の総論に書いてございますことに合致すると思い ますが、(2)の方につきましては、流通の問題に影響がしますので、この中医協の場でそう したものを議論することがなじむのかどうかということを先回も申し上げたのですけれど も、確かに実態としてはこうしたことがあるということについては無視はできないと思い ますが、(1)にありますように、いわゆる薬価制度をどうするか、その中で頻回改定がいい か悪いかという是非論が多分これから議論をされるのであろう。その中に、確かに総論の 頭2行のところに、そうした薬価差を生じる前提があるのだということだけが浮き上がっ た形で各論の(2)が取り上げられてしまうと、本来薬価の性格であったり、算定の仕組みと いったようなものに対しては極めてバイアスのかかった議論が起きると思いますので、ぜ ひ議論としては、流通の問題を無視するわけにはいかないでしょうけれども、これが中心 になるような形での論点整理については私としてはあまり好ましいと思っておりませんし、 ましてや、それが大きな理由として頻回改定を行うというようなもし論法だとすれば、い ささか事務局のやり方には愉快な思いはいたしません。  と同時に、・の「その他」にあります4つの項目でありますけれども、改定のコストに つきましては、それぞれ調査の手間でありますし、後発品の使用促進というのは、いわゆ る医療費全体の問題に影響しますが、新薬の算定方式、後発品の価格の改定方式というこ と、これがまさに薬価のここでの議論でありますので、そうした整理をする際に、いろい ろなものがごった煮になったような状態での論点整理メモというのは議論がしにくうござ いますので、もうちょっと整理を進めていただけないかなという気がいたします。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。おっしゃるとおり、その他につきましても、ただ幾つかの例が 並んでいるだけということでありますので、これはそういう意味では、いろいろな議論を さまざまな視点からやるための取っかかりというような位置づけであって、このための報 告書をつくる原案だということでは決してないというふうにお考えいただければと思って おります。 ○小島委員  時間もありませんので、私も簡潔に、3点ほど意見を述べておきます。  今回の論点整理の総論の一番上の丸のように、支払側、あるいは患者、被保険者の立場 からすれば、より実勢価格を適切に反映させるということで、頻回改定ということも当然 検討すべき課題だと思っております。その際の論点として、あるいはこれから整理してお くべき課題として3つあるのではないか。  1つは、実勢価格と公定価格の乖離、今回の調査では2年間で8%乖離があった。実勢 価格と公定価格の乖離、差益は、今回8%、前回は6%、その前が7%でした。この6〜 7%ぐらいの乖離があるが、これをどう見るかということだと思います。今薬剤費6兆円 と言われておりますので、7%とすれば4,000億円、そのうち調整幅を2%とれば、 残りの3,000億円ぐらいが医療機関・薬局に残りますが、それをどういう性格として 見るのか。調整幅2%を除けば6%程度、それは許容範囲と見るのか、そこはきちっと整 理すべきです。また、調整幅と乖離との関係も整理しておく必要があるのではないか。  2つ目に、ヒアリングの中でも製薬メーカーの方から指摘されております。頻回改定、 毎年改定をすれば価格が相当下がってしまい、結果的に新薬の開発意欲が低下するという 指摘があります。では、2年改定と毎年改定で本当にどのくらいの影響があるのか定性的 な説明としては理解できます。では、エビデンスとして実証的にどうなのかと、新薬開発 の開発費用がどれだけ落ちるのかということについての実証的な検証があるのかどうか、 その辺も含めて検討すべきです。  3つ目に、とりあえず、2年に一遍ずつ、従来の調査、改定をするということを前提に した場合に、中間年についてはモニタリングをするというようなことはどうか。それで、 モニタリングの結果、乖離幅が一定の幅を超える場合には改定をするということも考えて もいいのではないか。そういうことも含めて検討すべきではないか。中間年の乖離が5% がいいのかどうかはありますが、今は完全物価スライドになりましたけれども、かつて年 金は物価スライドで5%条項がありました。累積で5%の物価が上昇したときには年金を 改定、引き上げるということでした。そういう一定の幅を超えた場合に見直すといったよ うなことも含めて、頻回改定をすべきかどうかということを検討すべきではないか。そう いうことも論点に入れたらどうかと思っています。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  今小島委員からは、一つの提案と同時に、幾つかの御要望というものがあったわけです ね。特に「ドラック・ラグ」の問題でいいますと、開発費が減少するのではないかという こと、ある程度エビデンスが欲しいということですが、どこまで精度が高いものができる かどうかということは難しいかもしれないのですけれども、そういう御要望があったこと は承っておきます。 ○長野専門委員  1点だけ、今小島委員の御発言の中身で意見を述べておきます。中間年の調査、一定率 以上の乖離があればというような、非常に個別具体的な試案を具体的に御表明になったの ですけれども、なるほどなという思いと、いやしかし、諸条件が全く変化のない中で果た して具体策というのは早期に出していいものかどうか、これは最終的にいかに縮めるかと いう御主張のとおりにいかない可能性もあるので、もっともっとぜひ議論をしていただき たいというお願いをあえてしておきます。 ○遠藤部会長  長野委員、ただ、ここはフリーディスカッションでありますから、あくまでも、一つの こういう方法はどうだろうかということを言っていただくのは全く構いません。そういう 視点からまた分析の視座が広がりますので、ということであります。 ○丸山委員  こうやって見ていきますと、長野さんから、この差額の存在を肯定するのか否定するの かという御意見があったのですが、さっきの総会で新しい薬の価格の設定をやりましたが、 製薬会社の利益率が、一応公定価格というか、基準価格の中で確保され、流通にも確保さ れる。だけれども、この薬局という組織の利益に対しては基準価格は約束していないので す。基準価格の中に薬局の取り分というのは何もない。そうすると、薬局は、私も何遍も 行ってわかりますが、技術料かなんかだけで経営していくということになると、今の医薬 分業の中で薬局はかなり人をかけてお客様、患者さんを呼び込もうとしている、あのコス トを払うのは大変だろうと思うのです。だから、差益を上げようとするのは経営としては 当たり前の行為でしょう。だから、自由主義経済の競争の中にあるから、基準価格との差 をいかに生むかというのが、薬局のある意味では生命線になる、こういうふうに実は理解 するのですが、薬局のヒアリングは何もしていなくて何もわからない、経営状況が何もわ からない、これはちょっと問題だなというのが、私のこの議論の前提です。  ですから、差額の存在を肯定もしなければ否定もしないが薬局は現実としてそれを生ま なければいけないのではないか。だけれども、差額を全部薬局に持っていかれるのはどう か。お医者さんがまだ見ているところもあるけれども、さっき鈴木先生が、いや、技術料 があればもうそれは要らないという大変心強いお言葉だったのですが、薬局はそうはいか ないですね。だけれども、差額を全部薬局が持っていくのはどんなものか。やはりこの前 も申し上げましたように、支払う立場、患者さん本人、あるいは健康保険組合等々、支払 側というのは、その差額があるのなら、その低い方で、低い値段で払わせて欲しいと願う のは当然のことだと思うのです。  だから、実態と基準値に差があるというのなら、その差を縮める、それには改定頻度を 上げるというのは一つの大きな手法だと思うのです。しかし一方で、改定頻度を上げると いうことは、調査の頻度も上げるわけですから、実務的に大丈夫なのか。頻度を上げて、 調査の正確性、信頼性を確保することが可能か。また、いろいろ取引慣行がある。これは もう直さないといけないと思うのですが、本当はもう少しで直るというような感じですよ ね。私の国税なり会計士はどう思っているのかという質問に、いや大した違いはないので と説明しているとのことでした。大した違いがないのなら、もうちょっと努力すれば、こ の未妥結・仮納入という実態は直り得るのではないかと思います。ある一定の仮定で決算 して、会計士も国税もオーケーするのなら、問題はほとんどない。やればできるのではな いでしょうか。従って調査の実務的な手法が大丈夫か、あるいは市場環境をもうちょっと 整備する、そういったことをやれば改定頻度をもう少し増やすことができると思うのです。  ただ、今すぐできるのかというと、これまたいろいろありますから、できれば一定期限 を定めておいて、それに向けて環境を整備していくというのが一番現実的なことではない のかなというふうに思います。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  最後はこの落としどころというか、そういう御意見を賜ったわけでありますが、薬局の 話が出ましたので、薬局の御意見ということではないのかもしれませんが、薬剤師会を代 表で、山本委員、どうぞ。 ○山本委員  薬局の意見と言っていいのかわかりませんが、最初の小島委員から手元に残ってしまう ぞというお話は、私どもだけではないという気もしますので、確かに計算上残るのかもし れません。丸山委員のお話のように、最初は私は大変喜びまして、残ってもいいぞという ふうにとったわけでありますが、それはけしからぬとなりますと、現在まで…… ○丸山委員  けしからぬとは言っておりません。 ○山本委員  わかりました。ありがとうございます。  診療報酬を決めるときに、そうしたもともと薬価との差益ではなしに、先ほど鈴木委員 もおっしゃったように、技術料で我々は仕事をしていくという大きな前提の中で仕事をし ていますので、そういった意味でいえば、薬価差に依存するいわゆる経営体質というのは 好ましくないというのは、従来からのここの議論でありますが、そこについてはまず我々 としてもそうならないようなことをこれまでしてきたつもりであります。特に薬局だけに、 残っているわけではないし、ましてや、全部の薬局が均等に残っているわけでもございま せん。そのあたり、ぜひ誤解のないようにお願いしたいのと、要するに、診療報酬、調剤 報酬等、報酬の中に占める薬剤費の割合と使用量というのは必ずしも一定ではございませ ん。全体の中での比較でありますから、個々の報酬体系の中でどれほど薬剤費が使われて いるかということもぜひお聞きいただいた上で、ただいまの御意見につきまして、御理解 をいただきたいなと思います。  もう1点、今日出ました総−3−2にありますような資料を見ましても、これは2カ月 間の資料の統計ですから、決して1年間たってみるとどうなるかわかりませんが、少なく とも4月、5月、2カ月間で見ると、医科、歯科含めてでありますが、ほぼ似たような数 字でマイナスがついておりますけれども、調剤報酬については極めて大きな数字の落ち込 みが出ておりまして、これはまさに手元に残っているだろうと言われる薬剤費が落ち込ん でいる部分でありまして、それを考えますと、単純に我々ばかりが薬を何かしているので はないかという、そうした言われ方については少々納得しかねるものがありますので、ぜ ひそこは誤解のないようにお願いいたします。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。 ○渡辺専門委員  時間が押しているようですので、簡潔に申し上げたいと思います。  まず、頻回改定そのものの総論の部分と考え方でございますけれども、ここに書いてお られない部分で申し上げたいのは、改定されれば確かに経営上大きな打撃を受けますけれ ども、もう1つ皆さんよく御存じのように、医学、薬学、それに関連する科学が進歩して きておりますので、そういう点から見て、医療と医薬品というものはかなり大きく密接な 関係にございます。この前ピロリ菌の問題が厚労省から発表されましたけれども、ピロリ 菌の駆除については、抗生剤とある意味の薬剤が2つ加えれば解決するというふうになっ ておりますので、そういうように、診療報酬全体が医療全体を考えながら改定されるのは 2年に1度という考え方であれば、その一環である薬剤は、投与されるという薬剤もやは り2年に1度に改定されるということが非常にリーズナブルではないかと思います。包括 化が少しずつ進んできておりまして、DPCの問題とかいろいろな問題が少しずつ進展し てきておりますので、やはりそういう面から見ても、医療費の改定と薬価の改定というも のは同じ期間で考えるのが一番順当ではないかと、そんな感じがいたします。  それから、個別具体的に少し意見がございまして、薬価の仮納入・仮払いの問題、価格 妥結の問題についても、医薬品卸も経済課の方の方々から意見聴取、あるいはこういうふ うにしたらどうか、あるいは我々の考えはこうだ、いろいろな意見交換が今進んでおりま すので、この2ページ目の(2)、2つの問題については、やはりもうしばらく様子を見てい ただきたいというのが実態でございます。  それから、丸山委員は経営的に非常にお詳しい方なので、私どもから言うと御質問がな かなか複雑に見えますが、この前、サプライチェーンマネジメントだとか、プッシュとか プルの話がございました。これについては、まずサプライチェーンマネジメントは、全体 最適で物事をいろいろ考える思想でございますので、すぐに医療用医薬品がそれに適合し ているかどうかはちょっと不明な点がございますけれども、そういう発想で流通を考えて みるということはとても大切な御指摘だというふうに思います。  それから、よく御存じのように、医療用医薬品は病気にフィットしたものでございます ので、ドクターの処方で初めて需要が確定してくるというものでございます。それで、一 言で言えば、プッシュというような、通常のマーケティング手法はとても通用するもので はございません。あくまで薬剤に関する情報提供を中心としたプルという発想で私ども考 えております。このことだけは、せっかくの機会ですので、追加して御発言させていただ きます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  丸山委員、それに関連したことでひとつお願いします。 ○丸山委員  せっかくのお答えですので質問をひとつ、在庫責任はどの部門が持つのですか。 ○渡辺専門委員  在庫は、これは会計原則をよく御存じなので、上場している企業が多いですから、実際 に検収して入庫した時点で所有権はメーカーから卸に移ります。 ○丸山委員  販売の方が持つのですか。 ○渡辺専門委員  ええ、そうです。所有権は全部移転していきます。 ○丸山委員  メーカーは持たないのですか。 ○渡辺専門委員  メーカーから私どもの物流センターとか倉庫に入れば、その時点ですべて所有権は変わ ります。 ○長野専門委員  1点だけ申し上げます。先ほど対馬委員の方からもお話しございましたけれども、私か らもお願いしたいのは、これから各論を再整理して、さらに充実してたたき台として出し ていただくときに、ぜひ実証的な数値に基づいた資料を各テーマごとにきちんと出してい ただいて、もっともっと実態に沿った議論ができるようにしていただきたいということを、 改めて対馬委員と同じ意見を申し上げておきます。よろしくお願いします。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  先ほどの対馬委員の御議論を承ったときに、私もできるだけエビデンスのつくものをと いうことを事務局に要請いたしました。ただ、これから始まる制度でありますから、した がって、それにジャストミートするような資料があるかどうかというのはわかりませんが、 ある程度傍証はできるようなものをできるだけ集めていただきたいということだと思いま す。  基本的に、市場価格と公定価格の乖離というものがあまりあってはいけないという点で は、すべての委員の方々のある程度の合意は得られているのだと思うのですけれども、頻 回改定をするということは、そもそもが市場価格を適正に評価できるのかどうかという問 題と、やった場合のその後のインパクトがどの程度あるのかというところがまだ十分読み 切れない。したがって、それに関連するような資料が欲しいと要求したい。そのような感 じが現状までの議論かなというふうに思っております。これは大変重要な課題であります ので、今後また御審議を続けていかせていただきたいと思っております。  そういうことで、次回も引き続きまして、薬価改定頻度を含めた薬価算定基準の在り方 について御審議を賜りたいと思いますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。  それでは、本日の薬価専門部会、これにて閉会したいと思いますけれども、事務局の方 で、今幾つか要求が出ましたけれども、何か特段ございますか。  よろしゅうございますか。それでは、次回の日程につきましては追って事務局より連絡 いたしますので、よろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。                【照会先】                 厚生労働省保険局医療課企画法令第2係                 代表 03−5253−1111(内線3276)